JP4194826B2 - 輸液加温装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、たとえば医療の分野において生体に種々の輸液を供給するに先立って、その輸液を予め好適な温度に加温するための輸液加温装置の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医療活動の現場などでは、たとえば血液、血漿、生理食塩水、栄養液、あるいは薬液などの輸液を生体内に供給する場合がある。そのような場合、たとえば輸液はスタンドに吊り掛けられた袋あるいは瓶などの輸液容器内に貯留され、それに接続された点滴筒、ローラクランプ、輸液チューブ、および注射針を経て生体の血管内などに注入され、或いは輸液チューブを通して生体の消化器内へ直接供給されたり、生体の口内へ経口的に供給されたりするのが一般的である。
【0003】
そのような輸液は、品質保持などの要請から比較的低温にて保存されているものが多く、たとえば緊急手術などのように速やかな輸液の供給が必要となった際には、上記輸液を可及的速やかに生体の体温程度まで加温することが求められる場合がある。そのため、かかる輸液を上述のように供給する過程において、その輸液を予め好適な温度に加温する為の輸液加温装置が開発されている。たとえば、特許文献1や特許文献2に記載された輸液加温装置がそれである。特許文献1に記載された輸液加温装置は、輸液と加温媒体とを導く通路が備えられた袋状の熱交換パックであり、輸液が加温媒体によって加温されるようになっている。また、特許文献2に記載された輸液加温装置は、加熱コアの周面を覆うシート状に密封された通路を流体が通過させられることにより、加温されるようになっている。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−102349号公報
【特許文献2】
特表2000−502938号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、かかる従来の輸液加温装置は、上述のように、加温媒体を循環させる装置、或いは温度制御される加熱コアを用いたりする必要があることから、患者の移送中、野外などにおける応急施設においては、電源を確保することが困難であるため、輸液を加温することができない場合があった。これに対し、空気中の酸素と反応することによって発熱する材料から成る発熱体や生石灰を水と反応させることによって発熱させる発熱体などを、上記輸液の加温の熱源として用いることが考えられるけれども、そのような発熱反応を利用した発熱体では、速やかに加温し且つ一定の温度に比較的長時間維持するという加温機能が得られないため、輸液の加温に対しては不適当であった。
【0006】
本発明は、以上の事情を背景として為されたものであり、その目的とするところは、電源が確保されない環境下であっても輸液を速やかに加温し且つ一定の温度に比較的長時間維持することができる輸液加温装置を提供することにある。
【0007】
かかる目的を達成するため、本発明者は種々検討を重ねた結果、体温付近やそれよりも所定値高い融点を有する物質は、その相変化時に発生する潜熱は速やかに発生して速やかな昇温が得られるとともにその昇温温度は略一定の温度で比較的長時間維持されることから、輸液を加温するための熱源として極めて優れた性質を有することを見いだした。本発明はこのような知見に基づいて為されたものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明の要旨とするところは、輸液を輸液チューブを通して生体に供給するに先立って、該輸液を予め所定の温度に加温するための輸液加温装置であって、(a) 前記輸液チューブを着脱可能に保持するためのチューブ保持装置と、(b) そのチューブ保持装置内に装着され、液相から固相への相変化時に発生する潜熱によりそのチューブ保持装置に保持された輸液チューブ内を流通する輸液を加温する潜熱型蓄熱部材と、(c)前記チューブ保持装置内に設けられ、前記潜熱型蓄熱部材を固相から液相へ相変化させる加熱を行うための電気ヒータとを、含み、 (d) 前記チューブ保持装置は、前記輸液チューブを所定の回曲形状で保持するチューブ保持部材を有し、そのチューブ保持部材に直接または間接的に密接した状態で着脱可能に収容袋を備え、 (e) 前記潜熱型蓄熱部材は、蓄熱材料と、発熱開始操作に応答してその蓄熱材料を液相から固相への相変化を開始させるトリガ部材と、それら蓄熱材料およびトリガ部材を液密な状態で収容する可撓性の収容袋とから構成されるものであり、 (f) 前記収容袋は、可撓性シートから構成され、前記チューブ保持部材に対する密接面側の可撓性シートに一端部が接続され且つ他端部がその密接面側の可撓性シートから離隔する熱伝導フィンを備えたものであることにある。
【0011】
【発明の効果】
このようにすれば、輸液を輸液チューブを通して生体に供給するに先立って、その輸液チューブを保持するためのチューブ保持装置内に装着された潜熱型蓄熱部材が液相から固相への相変化時に発生する潜熱によりその輸液チューブ内を通過する輸液が加温される。潜熱型蓄熱部材は、その液相から固相への相変化時に発生する潜熱が速やかに発生させられて速やかな輸液の昇温が得られるとともにその昇温は略一定の温度で比較的長時間維持されることから、電源が確保されない環境下であっても輸液チューブ内を通過する輸液がすみやかに加温され、その輸液チューブ内を通過する輸液が加温開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。また、前記チューブ保持装置内に設けられ、前記潜熱型蓄熱部材を固相から液相へ相変化させる加熱を行うための電気ヒータを備えていることから、潜熱型蓄熱部材がチューブ保持装置内に装着されたままで、その融点以上の温度に加熱されることにより液相状態とされることで繰り返し再使用可能状態とされる利点がある。また、前記収容袋は、金属層を含む可撓性シートから構成され、前記チューブ保持部材に対する密接面側の可撓性シートに一端部が接続され且つ他端部がその密接面側の可撓性シートから離隔する熱伝導フィンを備えたものであるから、収容袋内の蓄熱材料は潜熱の放出に伴って上記密接面側から固相状態へ相変化するとき、液相状態の部分から熱伝導フィンを通して密接面側へ熱伝導が行われるので、加温される輸液の温度低下が好適に抑制される。
【0012】
発明の他の態様】
ここで、好適には、前記潜熱型蓄熱部材は、パラフィン系蓄熱材料、塩水化物系蓄熱材料、包接形水化物系蓄熱材料のいずれかから構成されるものである。このようにすれば、パラフィン系蓄熱材料、塩水化物系蓄熱材料、包接形水化物系蓄熱材料のいずれも、その液相から固相への相変化時において潜熱を発生するので、その融点を輸液に適した温度たとえば生体の体温程度またはそれ以上の温度である36乃至50度程度に設定することにより、輸液チューブ内を通過する輸液が開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。
【0013】
また、好適には、前記潜熱型蓄熱部材は、融点から冷却されても液相状態が保持される過冷却状態となる性質を有し、その過冷却状態で刺激に応答して固相へ相変化することにより潜熱を放出する蓄熱材料から構成されるものである。このようにすれば、潜熱型蓄熱部材は、過冷却の液相状態である保存状態では発熱せず、刺激に応答して速やかな昇温が得られるとともにその昇温は略略一定の温度で比較的長時間維持されるので、輸液チューブ内を通過する輸液が開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。
【0014】
また、好適には、前記潜熱型蓄熱部材は、前記蓄熱材料と、発熱開始操作に応答して該蓄熱材料を液相から固相への相変化を開始させるトリガ部材と、それら蓄熱材料およびトリガ部材を液密な状態で収容する可撓性の収容袋とから構成されるものである。このようにすれば、潜熱型蓄熱部材は、収容袋の状態で保存され、発熱開始操作に応答してトリガ部材が過冷却状態の蓄熱材料を液相から固相への相変化を開始させることから、所望のタイミングで速やかな昇温が得られるとともにその昇温は略一定の温度で比較的長時間維持されるので、輸液チューブ内を通過する輸液が開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。また、潜熱型蓄熱部材の交換時においても、輸液チューブ内を通過する輸液の加温が実質的に継続される。
【0015】
また、好適には、前記チューブ保持装置は、前記輸液チューブを所定の回曲形状で保持するチューブ保持部材を有し、そのチューブ保持部材に直接または間接的に密接した状態で着脱可能に前記収容袋を備えるものである。このようにすれば、収容袋の状態で潜熱型蓄熱部材が着脱可能にチューブ保持装置内に装着されるので、その潜熱型蓄熱部材の交換作業が容易となる。
【0016】
また、好適には、前記収容袋は、金属層を含む可撓性シートから構成され、前記チューブ保持部材に対する密接面側の可撓性シートに一端部が接続され且つ他端部がその密接面側の可撓性シートから離隔する熱伝導フィンを備えたものである。収容袋内の蓄熱材料は、その潜熱の放出に伴って上記密接面側から固相状態へ相変化し、液相状態の部分から放出される潜熱はその固相状態の部分を通して熱伝導が行われるので、加温効率が低下して輸液の温度も順次低下することが避けられなかったが、上記のようにすれば、液相状態の部分から熱伝導フィンを通して密接面側へ熱伝導が行われるので、加温される輸液の温度低下が好適に抑制される。
【0023】
【発明の好適な実施の態様】
図1および図2は、本発明が適用された一例の輸液加温装置10の構成を説明する図であって、図1は蓋体14を開けた状態の輸液加温装置10の正面を示す図、図2は蓋体14を閉じた状態の輸液加温装置10の断面図すなわち図1のII-II 視に示す面である。
【0024】
図1および図2において、輸液加温装置10は、長手状の箱体12と、その箱体12の側部に回動可能に連結されてその箱体12の一面である上面(前面)を開閉する上蓋14と、上記箱体12の側部に回動可能に連結されてその箱体12の他の面である下面(裏面)を開閉する下蓋15とを備えている。それら箱体12、上蓋14、下蓋15はたとえば比較的硬質のプラスチックから構成される。箱体12の一面には、輸液チューブ16を嵌め入れるための溝18が形成されてチューブ保持部材として機能するチューブ保持板20が嵌め着けられ、ネジ22などにより固定されている。上記溝18は、輸液チューブ16と密接できるようにその外周面と同様の深さおよび溝幅のU字状の溝底形状と、輸液チューブ16の所定の保持形状に保持するために、たとえばS字形状の溝形状とを備えている。このチューブ保持板20は、たとえば、ポリプロビレン樹脂やそれよりもさらに熱伝導率の良い材質たとえばアルミニウム合金などから構成されている。
【0025】
上記上蓋14の内側には押え板22が固定されており、その上蓋14を閉じた状態では、溝18内の輸液チューブ16が押え板22により押えられてその押え板22とチューブ保持板20との間で把持されることにより固定されるようになっている。上記チューブ保持板20に形成されている溝18は、2つの回曲部を連結する直線部が、溝18の入口および出口にそれぞれ連通させられており、輸液チューブ16はその直線部内のみに嵌め入れられた状態で、輸液加温装置10に保持されることもできるようになっている。これにより、輸液チューブ16のうちの加温長さは、S字状の回曲形状で保持される場合と、I字状の直線形状で保持される場合とから選択されることができる。本実施例では、上記箱体12、それに嵌め着けられたチューブ保持板20、上蓋14および下蓋15が、輸液チューブ16の一部を保持するためのチューブ保持装置を構成している。
【0026】
上記チューブ保持板20によって一面が塞がれることにより箱体12内に形成された直方体状の空間24内には、潜熱型蓄熱部材或いは潜熱型加温部材として機能する輸液加温袋26が好適にはチューブ保持板20の裏面に密接する状態で収容されている。この輸液加温袋26内には、パラフィン系蓄熱材料、塩水化物系蓄熱材料、包接形水化物系蓄熱材料などの、液相から固相への相変化時に潜熱を発生する潜熱型蓄熱材料28が液密に収容されている。通常は、液相状態で流動して偏在しないように、スポンジ状の連続気孔多孔質材や発泡シート材に含浸させられた状態で収容される。
【0027】
上記パラフィン系蓄熱材料としては、たとえばC14〜C16パラフィン、C15〜C16パラフィン、L−デカール、C14パラフィン、C16パラフィン、高密度ポリエチレンなどが用いられる。また、上記塩水化物系蓄熱材料としては、たとえばCaCl2 ・6H2 O、Na2 SO4 ・10H2 O、Na2 CO3 ・10H2 O、NaHPO4 ・12H2 O、Ca(NO3 2 ・4H2 O、Na2 2 3 ・5H2 O、NaCH3 COO・3H2 O、Ba(OH)2 ・8H2 O、Sr(OH)2 ・8H2 O、Mg(NO3 2 ・6H2 O、KAl(SO4 2 ・12H2 O、NH4 Al(SO4 2 ・12H2 O、MgCl2 ・6H2 O、KNO3 −LiNO3 、KNO3 −LiNO3 −NaNO3 などが用いられる。この塩水化物系蓄熱材料は、塩(CaCl2 )に水分子が結合した形の化合物結晶であり、単位体積当たり融解熱と伝導率の点で上記パラフィン系蓄熱材料よりも優れているが、多少なりとも過冷却現象を示す。また、上記包接形水化物系蓄熱材料としては、たとえばSO2 ・6H2 O(1気圧下)、C4 8 O・17H2 O、(CH3 3 N・101/4 H2 O、(C4 9 4 NCHO2 ・32H2 O、(C4 9 4 NCH3 CO2 ・32H2 Oなどが用いられる。この包接形水化物系蓄熱材料は、水分子が通常の氷とは異なった三次元網目構造を成し、その中に形成された空間に他の分子(たとえばC4 8 O)が取り込まれた形の化合物であり、過冷却現象を示す。過冷却現象とは、融点以下の温度に冷却されても凝固が開始されず液相状態に保たれる性質である。
【0028】
上記蓄熱材料28は、比較的大きな蓄熱量を備えるとともに、所望の融点に設定され得、相分離が抑制される性質がある。たとえば、上記蓄熱材料28として例示された材料のうち、酢酸ソーダ(NaCH3 COO・3H2 O)や硫酸ナトリウム(Na2 SO4 ・10H2 O:芒硝)が蓄熱量が大きい点で特に優れている。また、その酢酸ソーダは、それにたとえば尿素を加える割合によってその融解温度が31.5°乃至58.4°の範囲の所望の値に設定されることができる。また、酢酸ソーダは、0.5乃至5重量%のキサンタンガムまたはこれといなご豆ガムおよびグァルガムの混合物がそれに混合させることにより、その相分離が大幅に改善される。
【0029】
前記輸液加温袋26には、好適には、融点から冷却されても液相状態が保持され、刺激に応答して過冷却状態の液相から固相へ相変化する潜熱型の蓄熱材料28、たとえば上記塩水化物系蓄熱材料や包接形水化物系蓄熱材料のいずれかが収容される。図3の断面図に詳しく示すように、輸液加温袋26には、蓄熱材料28と、発熱開始操作に応答して過冷却状態の蓄熱材料28を液相から固相への相変化を開始させるトリガ部材30と、それら蓄熱材料28およびトリガ部材30を液密な状態で収容する外袋(収容袋)32とから構成される。その収容袋32は、図4の断面図に詳しく示すように、アルミニウムなどの金属層と樹脂層とが積層された複合材である可撓性シートから構成されるとともに、その可撓性シートのうち前記チューブ保持板20に対する密接面側すなわち図3の上面側の可撓性シートに一端部が接続され且つ他端部がその密接面側の可撓性シートから離隔して他方の側の可撓性シートに接続される複数枚の熱伝導フィン34を備えたものである。この熱伝導フィン34は、アルミニウム箔のような熱伝動性が高く且つ可撓性の金属箔から好適に構成される。
【0030】
上記トリガ部材30は、ステンレススチール、磁鉄鋼などの金属製円板から構成され、所望の時期において外部操作による機械的変形を与えることにより金属イオンを積極的に発生させて、過冷却状態にある液相の蓄熱材料28を固相状態へ変化させ、その過程で潜熱を放出させる。
【0031】
図4は、前記潜熱型の蓄熱材料28の特性を説明する図である。図において、温浴或いは電気ヒータなどの加熱によって固相状態の蓄熱材料28が加温されてその温度が融点付近に上昇させられると、液相状態への相変化が発生(t1 時点)し、それ以後には蓄熱が行われる。この蓄熱期間(t2 時点乃至t3 時点)では温度が略一定となる。上記加温が停止させられて蓄熱が終了させられると、蓄熱材料28の温度は一旦上昇した後で、自然冷却によりゆるやかに低下させられ、液相のまま融点よりも低い常温とされ、過冷却状態の液相とされる。そして、発熱開始操作により前記トリガ部材30が変形されると、それに応答して過冷却状態の蓄熱材料28の固相への相変化が開始の開始され(t5 時点)、蓄熱材料28の温度が融点付近に上昇させられた後、その融点付近の温度で一定に比較的長時間保持(t5 時点乃至t6 時点)される。そして、固相への相変化が終了すると、蓄熱材料28の温度がゆるやかに低下させられる(t7 時点)。なお、過冷却現象のない潜熱型蓄熱材料では、図4の破線に示すように、t4 時点から融点付近の一定の温度に維持される。
【0032】
以上のように構成された輸液加温装置10では、輸液を生体に供給するに先立って、輸液チューブ16内の輸液の近傍に配置された輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26が液相から固相への相変化時に発生する潜熱を発生させ、その潜熱により輸液チューブ16内の輸液が加温される。すなわち、チューブ保持装置を構成する箱体12に嵌め着けられたチューブ保持板20と上蓋16との間に保持された輸液チューブ16に対して、そのチューブ保持板20の裏面に密着させられることにより輸液近傍位置すなわち輸液加温可能位置に配置された輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26が液相から固相への相変化時に発生する潜熱を発生させ、その潜熱により輸液チューブ16内の輸液が加温される。輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26内の潜熱型蓄熱材料28は、その液相から固相への相変化時に発生する潜熱が速やかに発生させられて速やかな輸液の昇温が得られるとともにその昇温は略一定の温度で比較的長時間維持されることから、電源が確保されない環境下であっても輸液チューブ16内を通過する輸液が速やかに加温され、その輸液が加温開始当初から比較的長時間略一定の温度で加温される。
【0033】
また、本実施例によれば、輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26は、パラフィン系蓄熱材料、塩水化物系蓄熱材料、包接形水化物系蓄熱材料のいずれかから構成され、それらパラフィン系蓄熱材料、塩水化物系蓄熱材料、包接形水化物系蓄熱材料のいずれも、その液相から固相への相変化時において潜熱を発生するので、その融点を輸液に適した温度たとえば生体の体温程度の温度またはそれ以上の温度である36乃至50度程度に設定することにより、輸液チューブ16内を通過する輸液が加温開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。
【0034】
また、本実施例によれば、輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26は、融点から冷却されても液相状態が保持され、刺激に応答して過冷却状態の液相から固相へ相変化する蓄熱材料28から構成されるもので、輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26は、保存状態では発熱せず、刺激に応答して速やかな昇温が得られるとともにその昇温は略一定の温度で比較的長時間維持されるので、輸液チューブ16内を通過する輸液が開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。
【0035】
また、本実施例によれば、輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26は、蓄熱材料28と、発熱開始操作に応答して該蓄熱材料を液相から固相への相変化を開始させるトリガ部材30と、それら蓄熱材料28およびトリガ部材30を液密な状態で収容する可撓性の収容袋32とから構成されるものである。上記蓄熱材料28は、収容袋32の状態で保存され、発熱開始操作に応答してトリガ部材30が過冷却状態の蓄熱材料28を液相から固相への相変化を開始させることから、所望のタイミングで速やかな昇温がすみやかに得られるとともにその昇温は略一定の温度で比較的長時間維持されるので、輸液チューブ16内を通過する輸液が開始当初から比較的長時間一定の温度で加温される。また、輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26の交換時においても、輸液チューブ16内を通過する輸液の加温が実質的に継続される。
【0036】
また、本実施例によれば、箱体12、上蓋16を含むチューブ保持装置は、その輸液チューブ16を所定の回曲形状で保持するチューブ保持板(チューブ保持部材)20と、下蓋15の開閉によって収容袋32をそのチューブ保持部材16に直接的に密接した状態で着脱可能に備えていることから、袋の状態で輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)26が着脱可能にチューブ保持装置内に装着されるので、その潜熱型蓄熱部材の交換作業が容易となる。
【0037】
また、本実施例によれば、輸液加温袋26を構成する収容袋32は、金属層を含む可撓性シートから構成され、チューブ保持部材16に対する密接面側の可撓性シートに一端部が接続され且つ他端部がその密接面側の可撓性シートから離隔する熱伝導フィン34を備えたものである。収容袋32内の蓄熱材料28は、その潜熱の放出に伴って上記密接面側から固相状態へ相変化し、液相状態の部分から放出される潜熱はその固相状態の部分を通して熱伝導が行われるので、加温効率が低下して輸液の温度も順次低下することが避けられなかったが、上記のようにすれば、液相状態の部分から熱伝導フィン34を通して密接面側へ熱伝導が行われるので、加温される輸液の温度低下が好適に抑制される。
【0038】
次に、本発明の他の実施例を説明する。なお、以下の実施例において、前述の実施例と共通する部分には同一の符号を付して説明を省略する。
【0039】
図5は本発明の他の実施例の輸液加温装置40の上蓋14を開いた状態を示す正面図であり、図6は図5の輸液加温装置40の上蓋14を閉じた状態を示す断面図であり、図7は輸液加温装置40内に嵌め着けられたチューブ保持板42を示す縦断面図である。
【0040】
本実施例の輸液加温装置40は、箱体12の上面開口に嵌め着けられたチューブ保持板42を備えている。そのチューブ保持板42の前面(上面)は前記チューブ保持板20と同様に構成されているが、その裏面(下面)には、蓄熱材料28が入れられた輸液加温袋26を収容する収容空間43を形成し且つ電気ヒータ44が固着されたブラケット46が一定の間隔を隔てて備えられている。上記輸液加温袋26は、チューブ保持板42の裏面とブラケット46との間にそれらに密接状態で嵌め入れられるようになっている。図5の48は、上記電気ヒータ44に接続された電源コードである。上記電気ヒータ44には、外気温度或いは周囲温度に拘わらず、所定の加熱温度を維持する機能を備えたセラミックヒータが好適に用いられる。
【0041】
本実施例の輸液加温装置40では、輸液加温袋26内の蓄熱材料28が電気ヒータ44によってその融点付近以上に加熱されるようになっているので、蓄熱材料28が液相から固相への相変化に基づいて潜熱を放出した後において、輸液加温袋26を箱体12内のままで、蓄熱材料28が加温されてその固相状態から液相状態へ相変化させられる過程で蓄熱される利点がある。したがって、蓄熱材料28がパラフィン系蓄熱材料である場合には、電気ヒータ44によって蓄熱材料28が周期的に加温されることにより、輸液が連続的に加温される。すなわち、電気ヒータ44による加温が融点付近とする温度調節装置が用いられることにより、電気ヒータ44による加温中には、パラフィン系蓄熱材料である蓄熱材料28の蓄熱と輸液チューブ16内の輸液の加温とが同時に実行され、電気ヒータ44の加温停止中では、蓄熱材料28の液相から固相への相変化に基づいて放出される潜熱により輸液チューブ16内の輸液の加温が行われる。
【0042】
以上、本発明の好適な実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、さらに別の態様においても実施される。
【0043】
たとえば、前述の実施例においては、輸液加温袋26により輸液チューブ16内の輸液の加温が行われていたが、輸液加温袋26を輸液パックすなわち輸液貯留袋に密着させた状態で保持することにより、その輸液貯留袋内に貯留されている輸液が輸液加温袋26により加温されるようにしてもよい。このようにしても、輸液加温袋26により、輸液が加温開始当初から比較的長時間略一定の温度で加温される。
【0044】
また、前述の実施例では、輸液加温袋26の形状は、空間24或いは43の形状と同様に変形する1つの袋であったが、折り畳まれることによりその空間24或いは43内に収容されてもよい。
【0045】
また、前述の実施例では、輸液加温袋26はチューブ保持板20、42の裏面に密着するように配設されていたが、輸液チューブ16に直接的に密接するように配設されてもよい。
【0046】
また、前述の実施例においては、箱体12、上蓋14などから構成されたチューブ保持装置が用いられていたが、チューブ保持装置が軟質プラスチックから筒状に形成され、その筒状の一部が開閉されるように構成されたものでもよい。
【0047】
また、前述の実施例において、輸液加温袋26により加温される輸液は、血液、血漿、生理食塩水、栄養液、あるいは薬液から成るものだけでなく、流動性の栄養食材などから成るものであってもよい。輸液が、血液、血漿、生理食塩水、注射用栄養液、あるいは注射用薬液などである場合は、輸液容器に接続された点滴筒、ローラクランプ、輸液チューブ、および注射針を経て生体の血管内に注入されるが、輸液が経口用栄養液、経口用薬液、あるいは流動性の栄養食材などである場合は、輸液容器に接続された輸液チューブを通して生体の消化器へ直接供給されたり、生体の口内へ供給されたりする。
【0048】
その他一々例示はしないが、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例である輸液加温装置の構成を説明するために、上蓋が開かれた状態を示す正面図である。
【図2】図1に示す輸液加温装置の上蓋が閉じられた状態を示す、図1のII-II 視断面図である。
【図3】図1の輸液加温装置内に装着された輸液加温袋の構成を説明する断面図である。
【図4】図1の輸液加温装置内に装着された輸液加温袋に収容されている潜熱型蓄熱材料の温度特性を説明する図である。
【図5】本発明の他の実施例における輸液加温装置の構成を説明する正面図であって、図1に相当する図である。
【図6】図5の実施例の輸液加温装置の上蓋が閉じられた状態を示す、図5のVI-VI 視断面図であって、図2に相当する図である。
【図7】図6に示すチューブ保持板の構成を説明する縦断面図である。
【符号の説明】
10、40:輸液加温装置
12:箱体、14:上蓋(チューブ保持装置)
16:輸液チューブ
20:チューブ保持板(チューブ保持部材)
26:輸液加温袋(潜熱型蓄熱部材)
28:蓄熱材料
30:トリガ部材
32:収容袋(袋状の本体、外袋)
34:熱伝導フィン(熱伝導部材、可撓性シート)
44:電気ヒータ

Claims (3)

  1. 輸液を輸液チューブを通して生体に供給するに先立って、該輸液を予め所定の温度に加温するための輸液加温装置であって、
    前記輸液チューブを着脱可能に保持するためのチューブ保持装置と、
    該チューブ保持装置内に装着され、液相から固相への相変化時に発生する潜熱により該チューブ保持装置に保持された前記輸液チューブ内を流通する輸液を加温する潜熱型蓄熱部材と、
    前記チューブ保持装置内に設けられ、前記潜熱型蓄熱部材を固相から液相へ相変化させる加熱を行うための電気ヒータとを、含み、
    前記チューブ保持装置は、前記輸液チューブを所定の回曲形状で保持するチューブ保持部材を有し、該チューブ保持部材に直接または間接的に密接した状態で着脱可能に収容袋を備え、
    前記潜熱型蓄熱部材は、蓄熱材料と、発熱開始操作に応答して該蓄熱材料を液相から固相への相変化を開始させるトリガ部材と、それら蓄熱材料およびトリガ部材を液密な状態で収容する可撓性の収容袋とから構成されるものであり、
    前記収容袋は、可撓性シートから構成され、前記チューブ保持部材に対する密接面側の可撓性シートに一端部が接続され且つ他端部が該密接面側の可撓性シートから離隔する熱伝導フィンを備えたものであることを特徴とする輸液加温装置。
  2. 前記潜熱型蓄熱部材は、パラフィン系蓄熱材料、塩水化物系蓄熱材料、包接形水化物系蓄熱材料のいずれかから構成されるものである請求項の輸液加温装置。
  3. 前記潜熱型蓄熱部材は、融点より低い温度においても液相状態が保持され、刺激に応答して該液相状態から固相状態へ相変化する性質を有する蓄熱材料から構成されるものである請求項1または2の輸液加温装置。
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