図1は、本発明になるディスク装置の第1実施例の機械的部分をカバーを取り外して示す斜視図である。ディスク装置の第1実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第1実施例に適用される。
図1中、磁気ディスク装置は、大略カバー1a及びベース1bからなるディスクエンクロージャ1と、インタフェース1fと、ヘッド位置決め機構2と、ヘッドアーム3と、ヘッドアーム3と連結されたヘッドサスペンション4と、ヘッドサスペンション4を介してヘッドアーム3に支持された磁気ヘッド5と、スピンドル6に固定された磁気ディスク7と、センサ群9と、ヘッドIC11と、プリント基板101と、パッキン103と、乾燥剤104とからなる。スピンドル6は、同図では見えないが、スピンドルモータにより回転駆動される。本実施例では、センサ群9はプリント基板101上に設けられているが、ヘッドIC11上に設けられていても、磁気ディスク装置内の他の機構の動作に支障のない箇所に設けられていても良い。同図に示すように、磁気ディスク7が複数設けられる場合には、ヘッド位置決め機構2、ヘッドアーム3、ヘッドサスペンション4及び磁気ヘッド5も夫々複数設けられる。又、センサ群9は、後述するように、一又は複数のセンサからなる。このような構成の磁気ディスク装置を構成する各部は、センサ群9を除いて周知の部品を使用し得る。
図2は、携帯型電子装置の第1実施例の概略構成を示すブロック図であり、ディスク装置の第1実施例のより具体的構成を示す。同図中、図1と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。携帯型電子装置の第1実施例では、本発明がノートパソコン等と呼ばれる携帯型パーソナルコンピュータに適用されている。
図2中、ディスク装置はディスクエンクロージャ1及び制御部21からなる。ディスクエンクロージャ1内には、図1に示す各部に加えて、ヘッド集積回路(IC)11、ボイスコイルモータ12及びスピンドルモータ13等が設けられている。又、制御部21は、図2に示す如き接続のハードディスクコントローラ22、リードチャネル23、キャッシュメモリ24、マイクロプロセッサユニット(MPU)25、サーボ制御部26、クロック発生部27及びセンサアンプ28からなる。制御部21の一部又は全部は、図1に示すプリント基板101上に設けられていても良い。
ホスト部31は、携帯型電子装置全体の動作を制御するホスト装置32等からなる。ホスト装置31は、インタフェース29を介して制御部21のハードディスクコントローラ22に接続されている。尚、図示は省略するが、ホスト装置31には、キーボード等の入力装置と液晶表示装置等の表示装置とが接続されている。
磁気ディスク7へのデータ書き込み時には、制御部21内のハードディスクコントローラ22は、ホスト装置32からライト命令及びライトデータをインタフェース29を介して供給される。ライトデータは、一時的にバッファメモリとして使用されるキャッシュメモリ24に格納される。ライト命令は、ハードディスクコントローラ22を介してMPU25に供給される。MPU25は、クロック発生部27からのクロックに基づいて、ボイスコイルモータ12及びスピンドルモータ13をサーボ制御部26を介して制御する。これにより、磁気ヘッド5はヘッドアーム3により磁気ディスク7上の所望のトラック位置まで移送され、磁気ディスク7はスピンドル6により定格回転数で回転される。ここで、定格回転数とは、予め決められた、約1気圧で室温等の通常使用条件下で、磁気ディスク装置が本来の性能を発揮できる磁気ディスクの回転数を言う。通常使用条件下では、磁気ディスク7に対するデータの書き込み及び読み出しは、通常はこの定格回転数で行われる。
他方、ライトデータは、キャッシュメモリ24から読み出されて、ハードディスクコントローラ22を介してリードチャネル23に供給される。リードチャネル23は、MPU25の制御下で、ライトデータを符号化してヘッドIC11に供給する。ヘッドIC11は、符号化されたライトデータを磁気ヘッド5により磁気ディスク7上に書き込む。
磁気ディスク7からのデータ読み出し時には、制御部21内のハードディスクコントローラ22は、ホスト装置32からリード命令をインタフェース29を介して供給される。リード命令は、ハードディスクコントローラ22を介してMPU25に供給される。MPU25は、クロック発生部27からのクロックに基づいて、ボイスコイルモータ12及びスピンドルモータ13をサーボ制御部26を介して制御する。これにより、磁気ヘッド5はヘッドアーム3により磁気ディスク7上の所望のトラック位置まで移送され、磁気ディスク7はスピンドル6により定格回転数で回転される。
他方、磁気ヘッド5により磁気ディスク7から読み出されたデータは、ヘッドIC11を介してリードチャネル23に供給される。リードチャネル23は、MPU25の制御下で、読み出されたデータを復号化してリードデータを生成する。リードデータは、MPU25の制御下でリードチャネル23からハードディスクコントローラ22に供給され、キャッシュメモリ24に一時的に格納される。キャッシュメモリ24から読み出されたリードデータは、ハードディスクコントローラ22からインタフェース29を介してホスト装置32に供給される。
尚、スピンドルモータ13は、定格回転数以上の回転数でも回転可能となる容量のものを用いている。
センサ群9は、磁気ディスク装置の環境を検出するための気圧センサ、温度センサ、湿度センサ、ピエゾ素子、超音波センサ及び塵埃センサからなるグループから選択された少なくとも1つのセンサを有する。センサ群9を構成する各センサが出力する検出信号は、センサアンプ28により増幅されてMPU25に供給される。MPU25は、センサ群9の各センサからセンサアンプ28を介して得られる検出信号に基づいて、環境変化による磁気ヘッドと磁気ディスクとの接触頻度又は接触強度を低減するための対策を取る。この結果、環境変化に拘らず、磁気ヘッド5及び磁気ディスク7のダメージを最小限に抑さえられる。
尚、センサ群9が設けられるディスクエンクロージャ1内の位置は、図1に示す位置に限定されるものではない。又、センサ群9を構成する各センサは、1箇所にまとめて配置する必要はなく、ディスクエンクロージャ1内の異なる位置に配置しても良い。更に、言うまでもないが、センサ群9を構成する各センサは、磁気ディスク装置の各機構の動作に支障がなく、且つ、気圧等の検出するべき環境パラメータを検出するのに適した位置に設けられる。
次に、本実施例の動作を、図3と共に説明する。図3は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。
図3において、ステップS1は、磁気ディスク装置の電源をオンとし、ステップS2は、磁気ディスク7を第1の回転数で定常回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御する。データ書き込み/読み出し時における磁気ディスク7の第1の回転数は、例えば4500rpmである。この第1の回転数は、本実施例では磁気ディスク7の定格回転数である。ステップS3は、センサ群9の気圧センサからの検出信号の示す気圧が、予め設定された設定気圧以下となったか否かを判定し、判定結果がNOであれば処理はステップS2へ戻る。本実施例では、この設定気圧は、0.8気圧である。他方、ステップS3の判定結果がYESであると、ステップS4は、磁気ディスク7が第1の回転数より高く定められた第2の回転数で定常回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御する。本実施例では、この第2の回転数は5400rpmである。
ステップS5は、センサ群9の気圧センサからの検出信号の示す気圧が、0.8気圧より高くなったか否かを判定し、判定結果がNOであれば処理はステップS4へ戻り、磁気ディスク7の回転数は第2の回転数に維持される。他方、ステップS5の判定結果がYESであると、ステップS6は、磁気ディスク7が第1の回転数に戻って定常回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御する。
ステップS7は、ホスト装置32からの磁気ディスク装置の運転終了命令に基づいて、磁気ディスク装置に対する電源をオフとして磁気ディスク装置を停止するか否か、即ち、磁気ディスク7の回転を停止するか否かを判定する。ステップS7の判定結果がNOであれば、処理はステップS2へ戻る。他方、ステップS7の判定結果がYESであると、ステップS8で磁気ディスク7の回転を停止するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御し、処理が終了する。
尚、磁気ディスク7の回転数を検出する手段自体は周知であるので、その図示及び説明は省略するが、MPU25は、磁気ディスク7の回転数を検出する手段からの信号に基づいて、常に磁気ディスク7の回転数を知ることができる。例えば、磁気ディスク7の回転数は、磁気ディスク7から再生されたサーボ情報中のインデックスの間隔から求めることができる。
このように、本実施例では、気圧が設定気圧以下となると、磁気ディスク7の回転数を第1の回転数より上昇させる。これにより、磁気ヘッド5の磁気ディスク7からの浮上量が増加して、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触頻度及び接触強度が減少する。
尚、第1実施例の変形例として、ステップS4は、ステップS3の判定結果がYESの場合に、磁気ディスク7が第1の回転数より低い第3の回転数で回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御するようにしても良い。この場合の第3の回転数は、例えば3600rpmである。
本変形例では、気圧が設定気圧以下となると、磁気ディスク7の回転数を第1の回転数より低下させる。これにより、磁気ヘッド5が磁気ディスク7と接触する接触面積は増加するものの、接触時のダメージは軽減されるので、磁気ディスク7が部分的に大きなダメージを受けることがない。
気圧が設定気圧以下となった場合に、第1実施例の如く磁気ディスク7の回転数を上昇させるか、変形例の如く低下させるかは、磁気ディスク装置の消費電力、スピンドルモータ13の回転性能等に基づいて決定しても良い。
次に、本発明になるディスク装置の第2実施例を、図4と共に説明する。本実施例の基本構成は、図1及び図2に示す第1実施例の基本構成と基本的には同じであるので、構成については図1及び図2を参照して説明する。磁気ディスク装置の第2実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第2実施例に適用される。
本実施例では、図1に示すヘッドアーム3に周知のピエゾ素子からなるタッチセンサ9aが設けられている。タッチセンサ9aは、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触状態を検出して、接触状態を示す検出信号を出力する。タッチセンサ9aの出力検出信号は、センサ群9を構成する各センサの出力検出信号と同様に、センサアンプ28を介してMPU25に供給されるので、MPU25は常に磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触状態を知ることができる。
図4は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。同図中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。図4において、ステップS4aは、磁気ディスク7が第1の回転数より高い回転数で回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御する。このステップS4aの後、ステップS11は、タッチセンサ9aの検出信号が磁気ヘッド5と磁気ディスク7とが接触していることを示すか否かを判定する。例えば、予め設定された設定値が、タッチセンサ9aの出力検出信号のホワイトノイズ値の150%であるとすると、ステップS11は、タッチセンサ9aの検出信号がこの設定値以上であるか否かを判定する。
ステップS11の判定結果がYESであると、処理はステップS4へ戻る。他方、ステップS11の判定結果がNOであれば、ステップS12は、磁気ディスク7の回転数の上昇が中止されて磁気ディスク7の回転数が例えばタッチセンサ9aの検出信号がそのホワイトノイズの150%以下となった回転数を維持するように、サーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御する。ステップ12の後の処理は、上記第1実施例の場合と同じである。
本実施例では、タッチセンサ9aの出力検出信号をMPU25で監視することにより、磁気ヘッド5が磁気ディスク7と接触しないように磁気ディスク7の回転数を自動的に制御することができる。又、上記第1実施例の場合と同様の効果を得ることもできる。
尚、第2実施例の変形例として、ステップS4aは、ステップS3の判定結果がYESの場合に、磁気ディスク7が第1の回転数より低い回転数で回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御するようにしても良い。この場合も、上記第1実施例の変形例と同様の効果が得られる。
図5は、磁気ディスク7の回転数と、磁気ヘッド5の磁気ディスク7からの浮上量との関係を説明する図である。
磁気ヘッド5の磁気ディスク7からの浮上は、磁気ディスク7が回転する際に生じる磁気ヘッド5と磁気ディスク7との間の空気圧の揚力に依存する。図5中、1気圧の環境下で磁気ディスク7が定格回転数で回転している状態では、磁気ヘッド5は例えばA1に示す位置にあり、磁気ヘッド5は安定した状態で磁気ディスク7から浮上している。この状態で、環境が0.9気圧,0.8気圧,0.7気圧と変化すると、磁気ディスク7が定格回転数で回転していても、磁気ヘッド5の浮上量は低下し、磁気ヘッド5は例えばA2,A3,A4に示す位置をとる。磁気ヘッド5がA3,A4に示すような位置まで下降してしまうと、磁気ヘッド5は次第に磁気ディスク7の表面に依存する凹凸の高い部分から順に接触してしまう。
しかし、上記第1及び第2実施例の如く、磁気ディスク7の回転数を第1の回転数、即ち、定格回転数より上昇させると、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との間の部分的な気圧が上昇する。これにより、気圧が0.8気圧で磁気ヘッド5が例えば図5中A3に示す位置にある状態で、磁気ディスク7の回転数を定格回転数より高い回転数へ上昇させると、磁気ディスク7の回転数の上昇により磁気ヘッド5は破線A5で示す位置まで浮上する。従って、磁気ディスク装置が使用される環境の気圧が低下しても、磁気ヘッド5の磁気ディスク7からの浮上量が増加して、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触頻度及び接触強度が減少する。 尚、図5中、破線A1’は、1気圧の環境下で、且つ、磁気ヘッド5がA1の位置にある状態で、磁気ディスク7の回転数を定格回転数からこの定格回転数より高い回転数へ上昇させた場合に磁気ヘッド5が浮上する位置を示す。この破線A1’で示す位置は、気圧が0.8気圧で、磁気ディスク7が定格回転数より高い回転数で回転しており、且つ、磁気ヘッド5が破線A5に示す位置にある状態で、気圧が1気圧へ上昇した場合に磁気ヘッド5が浮上する位置でもある。
尚、磁気ヘッド5の磁気ディスク7からの浮上量FHは、磁気ディスク7の実用範囲内の周速度vと略比例する関係にあり、FH=av+b(ただし、a,bは定数)なる関係が成立する。
又、上記第1及び第2実施例の変形例の如く、磁気ディスク7の回転数を第1の回転数より低下させると、磁気ヘッド5と磁気ディスク7とは接触する。これにより、磁気ヘッド5が磁気ディスク7と接触する接触面積は増加するものの、接触時のダメージは軽減されるので、磁気ディスク7が部分的に大きなダメージを受けることがない。
次に、本発明になるディスク装置の第3実施例を、図6と共に説明する。本実施例の基本構成は、図1及び図2に示す第1実施例の基本構成と基本的には同じであるので、構成については図1及び図2を参照して説明する。ディスク装置の第3実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第3実施例に適用される。
図6は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。同図中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。図6において、ステップS4の後、ステップS21は、サーボ制御部26を介してボイスコイルモータ12を回転制御することにより、ヘッドアーム3により磁気ヘッド5を磁気ディスク7上の第2の領域へ移動する。本実施例では、磁気ディスク7上には、磁気ディスク7が上記第1の回転数で定常回転している際にデータ書き込み/読み出しが通常の転送レートで行われる第1の領域と、磁気ディスク7が第1の回転数より速い第2の回転数で回転している際にデータ書き込み/読み出しが通常の転送レートと同じ転送レートで行われる第2の領域とが設けられている。従って、ステップS21で磁気ヘッド5が第2の回転数で回転する磁気ディスク7上の第2の領域へ移動されることにより、通常の転送レートと同じ転送レートで、データ書き込み/読み出しが第2の領域に対して行われる。ステップS21以降の処理は、上記第1実施例の場合と同じである。
本実施例では、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触頻度及び接触強度を減少させると共に、気圧の低下により特に磁気ディスク7の全領域にわたってダメージが生じることを防止することができる。
尚、本実施例では、磁気ディスク7の回転数が第1及び第2の回転数の2種類設定される場合を例にとっているので磁気ディスク7には第1及び第2の領域、即ち、2種類の領域が設けられている。しかし、磁気ディスク7の回転数が3種類以上設定される場合には、同様にして磁気ディスク7に3種類以上の領域を設ければ良い。
又、磁気抵抗効果型ヘッドを用いた場合、信号再生中にヘッドがディスクと接触すると、サーマルアスペリティが発生し、再生信号にノイズが混入したり、接触により静電破壊が生じたりする不具合が発生し得る。しかし、本実施例によれば、このような不具合を解決し、ヘッドの寿命及びディスク装置自体の寿命を延ばすことができる。
尚、第3実施例の変形例として、ステップS4は、ステップS3の判定結果がYESの場合に、磁気ディスク7が第1の回転数より低い第2の回転数で回転するようにサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を制御するようにしても良い。この変形例の場合、上記第1実施例の変形例と同様の効果に加えて、第3実施例と同様の効果も得ることができる。
次に、本発明になるディスク装置の第4実施例を、図7と共に説明する。本実施例の基本構成は、図1及び図2に示す第1実施例の基本構成と基本的には同じであるので、構成については図1及び図2を参照して説明する。ディスク装置の第4実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第4実施例に適用される。
図7は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。同図中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。図7において、ステップS3の判定結果がYESであると、ステップS31は、サーボ制御部26を介してボイスコイルモータ12を回転制御し、ヘッドアーム3により磁気ヘッド5を磁気ディスク7の略径方向へ移動することにより、ヘッドシーク動作を開始する。本実施例では、ヘッドシーク動作により、磁気ヘッド5は磁気ディスク7の最内周トラック位置から最外周トラック位置へ、又は、その逆方向へ、移動を繰り返す。このヘッドシーク動作により、磁気ヘッド5は、例えば50ミリ秒毎に磁気ディスク7上の隣接トラックへ移動する。又、このヘッドシーク動作時には、磁気ディスク7の回転数が上記第1実施例又はその変形例の場合と同様に、第2の回転数まで上昇又は低下させている。
ステップS32は、上位装置32から書き込み/読み出し命令が発行されたか否かを判定する。ステップS32の判定結果がYESとなると、ステップS33は、磁気ヘッド5を磁気ディスク7上の目標トラック位置まで移動して、ヘッド位置決め動作を行い、データ書き込み/読み出しを行う。この場合、ヘッドシーク動作時に磁気ディスク7の回転数を上記第1実施例又はその変形例の場合と同様に第2の回転数まで上昇又は低下させているので、磁気ディスク7の回転数を第1の回転数まで戻してデータ書き込み/読み出しを行う。ステップS34は、データ書き込み/読み出しが完了したか否かを判定し、ステップS34の判定結果がYESであればステップS35でヘッドシーク動作をステップS31の場合と同様に行う。このヘッドシーク動作時にも、磁気ディスク7の回転数が上記第1実施例又はその変形例の場合と同様に、第2の回転数まで上昇又は低下させている。ステップS35以降の処理は、上記第1実施例の場合と同じである。
尚、ヘッドシーク動作時の磁気ヘッド5の移動は、上記の如くゆっくりとした移動に限定されず、数トラック毎の移動でも、ランダムな移動でも良い。しかし、磁気ヘッド5の高速移動は、例えば磁気ディスク7の最内周トラック位置から最外周位置までの大きな移動範囲内では勿論のこと、隣接トラック位置への移動時にも避けることが望ましい。又、図7では、ステップS31でヘッドシーク動作を開始すると、磁気ディスク7の回転数が第2の回転数に上昇又は低下させられるので、データ書き込み/読み出しを効率的に保障するために、後のステップS6で回転数を第1の回転数に戻したり、ヘッドシーク時に磁気ディスク7の回転数を変化させない場合には、ステップS6は省略したりすることもできる。又、磁気ディスク7の回転数を変化させても磁気ヘッド5の浮上量がデータ書き込み/読み出しを保障できる場合は、転送レート等の制御が必要かも知れないが、データ書き込み/読み出しの度に回転数を戻さなくても良い。
本実施例によれば、磁気ヘッド5が磁気ディスク7と接触する部分が常に変化するので、磁気ディスク7のある特定な部分が常に大きなダメージを受けることがない。更に、ヘッドシーク時の磁気ディスク7の回転数を第1の回転数より上昇させる場合には、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触頻度を低減することもできる。
次に、本発明になるディスク装置の第5実施例を、図8と共に説明する。本実施例の基本構成は、図1及び図2に示す第1実施例の基本構成と基本的には同じであるので、構成については図1及び図2を参照して説明する。ディスク装置の第5実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第5実施例に適用される。
図8は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。同図中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。図8において、ステップS3の判定結果がYESであると、ステップS41は、サーボ制御部26を介してボイスコイルモータ12を回転制御し、ヘッドアーム3により磁気ヘッド5を磁気ディスク7の略径方向へ移動することにより、磁気ヘッド6を磁気ディスク7上に設定した退避位置へ移動する。ここで、磁気ディスク7上の退避位置とは、(a)磁気ヘッド5の磁気ディスク7の径方向上の浮上プロフィールで最大浮上量が得られる位置、又は、(b)保護膜及び/又は潤滑膜が厚く形成された磁気ディスク7上の領域内の位置、又は、(c)表面の平滑性が向上された磁気ディスク7上の領域内の位置である。更に、(d)上記第2実施例のように、タッチセンサ9aの出力検出信号をMPU25で監視し、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触が検出されない磁気ディスク7上の領域を、退避位置を含む退避領域として自動的に設定することもできる。
尚、ステップS41で磁気ディスク7の回転数を第2の回転数に上昇又は低下させても良い。この場合には、データ書き込み/読み出しを効率的に保障するために、ステップS43でデータ書き込み/読み出しを行う際に磁気ディスク7の回転数を第1の回転数に戻したり、更に、ステップS45では磁気ディスク7の回転数を第2の回転数に上昇又は低下させたりすることもできる。又、磁気ディスク7の回転数を変化させても磁気ヘッド5の浮上量がデータ書き込み/読み出しを保障できる場合は、転送レート等の制御が必要かも知れないが、データ書き込み/読み出しの度に回転数を戻さなくても良い。
図9は、本実施例における磁気ヘッド5の磁気ディスク7の径方向上の浮上プロフィールを示す図である。同図中、縦軸は磁気ヘッド5の磁気ディスク7からの浮上量(nm)を示し、横軸は磁気ディスク7の半径位置(mm)を示す。この場合、同図中のRで示す退避ゾーンが、退避位置を含む退避領域に対応し、この退避領域での磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触頻度は非常に低減されている。
図10は、退避位置を含む退避領域内において、保護膜及び/又は潤滑膜が厚く形成された磁気ディスク7を示す斜視図である。同図中、磁気ディスク7上の退避領域7Aでは、保護膜及び/又は潤滑膜が、データ記録領域7Bより厚く形成されており、退避領域7Aでの耐接触性が向上されている。例えば、データ記録領域7B内での潤滑膜の膜厚が10Åであると、退避領域7A内での潤滑膜の膜厚は20Åである。又、退避領域7A内での保護膜の膜厚は、例えばデータ記録領域7B内での保護膜の膜厚の1.5〜2.0倍である。
図11は、磁気ディスク7の一部を示す断面図である。同図に示す磁気ディスク7は、基板7−1上に、下地膜7−2、記録膜7−3、保護膜7−4及び潤滑膜7−5が順に形成されている。この場合の特定領域7A及び通常領域7Bでの保護膜7−4及び潤滑膜7−5の好ましい膜厚の一例は、表1に示す如くである。尚、これらの膜の膜厚は、使用する磁気ヘッド5等にも依存するので、表1の膜厚には限定されず、磁気ヘッド5等に応じて適宜最適な膜厚に設定すれば良い。
又、図10に示す磁気ディスク7において、退避領域7Aの表面の平滑性を、データ記録領域7Bの表面の平滑性より向上させても良い。この場合、退避領域7Aでの耐接触性が向上される。磁気ディスク7の表面の平滑性を向上する手段としては、潤滑膜を設ける等の周知の手段を採用することができる。この場合、図9に示す磁気ヘッド5の磁気ディスク7の径方向上の浮上プロフィール中、退避領域7Aに対応する退避ゾーンRにおける最大浮上量Rmaxは、例えばデータ記録領域7Bの2/3〜1/2程度に設定すれば良い。
次に、本発明になるディスク装置の第6実施例を、図12と共に説明する。本実施例の基本構成は、図1及び図2に示す第1実施例の基本構成と基本的には同じであるので、構成については図1及び図2を参照して説明する。ディスク装置の第6実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第6実施例に適用される。
図12は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。同図中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。図12において、ステップS3の判定結果がYESであると、ステップS51は、サーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を停止し、磁気ディスク7の回転を停止することにより、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触によるダメージを防止する。
ステップS52は、ホスト装置32からデータ書き込み/読み出し命令が発行されているか否かを判定し、判定結果がYESとなると、ステップS53は、磁気ディスク7に書き込むべきライトデータ又は磁気ディスク7から読み出されたリードデータを、一時的に図2に示すキャッシュメモリ24に格納する。ステップS54は、キャッシュメモリ24がフル、即ち、残された記憶容量が所定量以下であるか否かを判定し、ステップS54の判定結果がYESであると、ステップS55でサーボ制御部26を介してスピンドルモータ13を回転制御し、磁気ディスク7を第1の回転数で回転すると共に、磁気ディスク7に対する書き込み/読み出し命令を発行してデータ書き込み/読み出しを磁気ディスク7に対して行う。例えば、キャッシュメモリ24に書き込まれているライトデータが存在する場合には、このライトデータが磁気ディスク7に書き込まれる。
他方、ステップS54の判定結果がNOであると、処理はステップS56へ進む。この場合、ステップS56は、キャッシュメモリ24に対するデータ書き込み/読み出しが完了したか否かを判定し、ステップS56の判定結果がYESとなると、磁気ディスク7が回転していれば、ステップS57がステップS51と同様にして磁気ディスク7の回転を停止し、処理はステップS5へ進む。ステップS5以降は、上記第1実施例と同様のステップS5及びS6の処理が行われる。又、ステップS55においてデータ書き込み/読み出しを磁気ディスク7に対して行った場合には、ステップS56は磁気ディスク7に対するデータ書き込み/読み出しが完了したか否かを判定し、ステップS56の判定結果がYESとなると、ステップS57がステップS51と同様にして磁気ディスク7の回転を停止し、処理はステップS5へ進む。
本実施例によれば、気圧が低下すると磁気ディスク7の回転を停止するので、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触によるダメージを防止することができる。又、ライトデータ及びリードデータは、一時的にキャッシュメモリ24に格納されるので、データの信頼性も保証することができる。
次に、本発明になるディスク装置の第7実施例を、図13〜図15と共に説明する。ディスク装置の第7実施例は、本発明になる携帯型電子装置の第7実施例に適用される。
図13は、携帯型電子装置の第7実施例の概略構成を示すブロック図であり、ディスク装置の第7実施例のより具体的構成を示す。同図中、図2と同一部分には同一符号を付し、その説明は省略する。携帯型電子装置の第7実施例では、本発明がノートパソコン等と呼ばれる携帯型パーソナルコンピュータに適用されている。
図13に示すように、本実施例では、コイルアンプ41と、電磁コイル42と、呼吸孔カバー43とが更に設けられている。MPU25は、環境変化、即ち、センサ群9の各センサの出力検出信号に基づいて、呼吸孔カバー43の開閉を制御する制御信号をコイルアンプ41を介して電磁コイル42に供給する。電磁コイル42は、制御信号に応答して、呼吸孔カバー43を開けたり閉めたりする。 図14は、本実施例におけるディスクエンクロージャ1の呼吸孔45付近の構造を示す断面図である。同図中、(a)は呼吸孔45が開いている状態を示し、(b)は呼吸孔45が閉まっている状態を示す。例えば金属製の呼吸孔カバー43には、ゴムパッキン43aが設けられており、電磁コイル42が励起されると、電磁コイル42が発生する磁力により呼吸口カバー43が吸い寄せられ、呼吸孔45がこのゴムパッキン43aにより完全に塞がれる。
尚、図14に示す構造は、例えば図1中、Pで示す位置に設けられる。しかし、図14に示す構造が設けられる位置は、Pで示す位置に限定されるものではなく、カバー1a等の磁気ディスク装置内の他の機構の動作に支障のない位置であればどこでも良い。又、ディスクエンクロージャ1は、気密性の高い周知の構造を有することも、言うまでもない。
又、呼吸口カバー43は金属製である必要はなく、電磁コイル42が励起された際に呼吸口カバー43が吸い寄せられような位置に金属等からなる部材を接着しても良い。
図15は、本実施例におけるMPU25の動作を説明するフローチャートである。同図中、図3と同一ステップには同一符号を付し、その説明は省略する。図15において、ステップS3aは、センサ群9の気圧センサからの検出信号の示す気圧が、予め設定した第1の気圧以下となったか否かを判定する。第1の気圧は、例えば0.95気圧である。ステップS3aの判定結果がYESであると、ステップS61は、コイルアンプ41を介して電磁コイル42を励起する制御信号を供給し、呼吸孔カバー43を閉じて呼吸孔45を塞ぐことにより、ディスクエンクロージャ1内の気圧がそれ以上低下しないようにする。又、ステップS62は、センサ群9の気圧センサからの検出信号の示す気圧が、予め設定した、上記第1の気圧より低い、第2の気圧以下となったか否かを判定する。第2の気圧は、例えば0.90気圧である。ステップS62の判定結果がYESとなると、ステップS63は、上記第1〜第6実施例のうちいずれかの処理を行って、磁気ヘッド5及び磁気ディスク7の接触によるダメージを抑さえる。
ステップS64は、センサ群9の気圧センサからの検出信号の示す気圧が、上記第2の気圧より高くなったか否かを判定する。ステップS64の判定結果がYESとなると、ステップS65は、磁気ディスク装置の動作を磁気ディスク7が第1の回転数で定常回転する通常動作に戻す。例えば、ステップS63で磁気ディスク7が第1の回転数より高い回転数で回転された場合には、ステップS65により磁気ディスク7の回転数が第1の回転数に戻される。又、ステップS66は、センサ群9の気圧センサからの検出信号の示す気圧が、上記第1の気圧より高くなったか否かを判定する。ステップS66の判定結果がYESとなると、ステップS67は、コイルアンプ41を介して電磁コイル42をオフとする制御信号を供給し、呼吸孔カバー43を開けて呼吸孔45を開放する。ステップS68は、ホスト装置32からの命令に基づいて、磁気ディスク装置の動作が終了したか否かを判定し、判定結果がNOであれば処理はステップS3aに戻り、YESであれば磁気ディスク装置の電源がオフとされて処理は終了する。
本実施例によれば、ディスクエンクロージャ1内の気圧の低下を抑制することで、磁気ヘッド5と磁気ディスク7との接触によるダメージを抑さえることができる。
図16は、本発明になる携帯型電子装置の外観の一実施例を示す斜視図である。図16では、本発明が携帯型パーソナルコンピュータ(所謂ノート型パソコン又はラップトップコンピュータ)に適用されている。
図16中、携帯型パーソナルコンピュータは、本体500と、大略開閉可能なカバー501に設けられた表示装置502と、キーワード503とからなる。又、本体500内には、図1に示す如きディスク装置1が装着され、インターフェース1fを介して本体500と実質的に接続される。
尚、上記各実施例及び変形例は、必要に応じて適宜組み合わせが可能であることは、言うまでもない。
又、上記各実施例では、環境パラメータとして、主に気圧を検出する場合について説明したが、温度や湿度といった他の環境パラメータについても同様の対策を取り得、又、複数の環境パラメータを検出して、その組み合わせに対する対策を取るようにしても良い。
以上、本発明を実施例により説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲内で種々の変形及び改良が可能であることは言うまでもない。