JP4193598B2 - 平板状シリカ微粒子の製造方法 - Google Patents

平板状シリカ微粒子の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は溶媒可溶性の平板状シリカ微粒子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
モンモリロナイトなどの膨潤性層状ケイ酸塩化合物は粒子径が0.1〜数10μmである。この膨潤性層状ケイ酸塩化合物の層間に4級アンモニウム塩などを挿入して樹脂中に分散させて、樹脂の耐熱性、機械的特性、ガスバリヤー性などを向上させる検討がなされている(特許文献1参照)。この樹脂複合材においては膨潤性層状ケイ酸塩化合物の層が単層で分散していることが好ましいとされているが、層間の凝集力が強いため各層を完全にばらばらにして単一分散させることは困難である。
【0003】
一方、100nm以下のナノサイズのシリカ微粒子はシリカゾルあるいはコロイダルシリカとして知られ、珪酸ソーダを酸により中和する方法またはテトラアルコキシシランを加水分解縮合重合する方法で製造される。このコロイダルシリカは球状で水またはアルコール等の極性溶媒中に分散したコロイドであり、溶媒中ですでに単一に分散しているため、この分散状態を保ったままシード重合法などにより樹脂との複合化が行われている(特許文献2参照)。しかし、このシリカ-樹脂複合材は機械的特性以外には目立った特性の向上が報告されていない。
【0004】
さらに、カチオン界面活性剤の存在下でテトラアルコキシシランを加水分解縮合重合してナノサイズの多孔質構造を有するメソポーラスシリカを合成することが知られている(非特許文献1参照)が、粒子形状は不定形でナノサイズではなく、また溶媒に溶解することも不可能である。非特許文献1には、ラウリルアミン塩酸塩水溶液中でテトラエトキシシランを加水分解すると−NH と−SiO−との相互作用およびラウリルアミン塩酸塩のミセル形成によりシリカナノチューブが生成し、未反応のシラノール基をメチル化処理することによりチューブがバンドル化することを防ぐことが報告されているが、シリカナノチューブを単離して溶媒に再分散させたという報告はなされていない。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−92677号公報
【特許文献2】
特開平9−194208号公報
【非特許文献1】
Langmuir(2000)Vol.16,2376
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、有機溶媒に可溶性であるナノサイズの平板状のシリカ微粒子およびその製造方法を提供するものである。このシリカ微粒子は、有機溶媒を用いたコーティング剤等に溶解して使用でき、またその粉末は、各種樹脂に配合する充填剤として使用でき、樹脂への分散性を保持しつつ、その複合体の耐熱性、ガスバリヤー性、低熱膨張率化などの特性を向上させることができると考えられる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の問題点を解決すべく、本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、カチオン界面活性剤の存在下でテトラアルコキシシランの加水分解縮合重合反応を行うことによりナノサイズの平板状のシリカ微粒子が得られることを見出した。本発明はこの平板状シリカ微粒子の製造方法に関する下記発明である。
【0008】
カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合反応させ、かつ該反応の途中で該反応を1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物で停止して得られる固体状のシリカ微粒子の粉末であり、該シリカ微粒子の粉末は有機溶媒に可溶であり、該有機溶媒溶液中のシリカ微粒子が細孔径0.2μmのフィルターを通過し得るものであることを特徴とするシリカ微粒子の粉末。
【0009】
上記シリカ微粒子の粉末が有機溶媒に溶解した溶液。
【0010】
カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合反応させ、下記所定のシリカ微粒子を生成させるために該加水分解縮合重合反応の途中で1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えて加水分解縮合重合反応を停止させて、生成するシリカ微粒子が有機溶媒に可溶でありかつ該有機溶媒溶液中のシリカ微粒子が細孔径0.2μmのフィルターを通過し得るものであるところのシリカ微粒子を製造することを特徴とするシリカ微粒子の製造方法。
【0011】
ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で測定される微分分子量分布曲線の面積比で分子量が100万以上の成分の割合が10%以下であり、上記測定で求められる数平均分子量が1500〜10万であり、最大長さが200nm未満であり、かつ、表面に少なくともトリオルガノシリル基を有する平板状シリカ微粒子の粉末。
【0012】
上記平板状シリカ微粒子が有機溶媒中に溶解した溶液。
【0013】
カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合し、下記所定の平板状シリカ微粒子を生成させるために該加水分解縮合重合反応の途中で1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えて加水分解縮合重合反応を停止させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で測定される微分分子量分布曲線の面積比で分子量が100万以上の成分の割合が10%以下であり、上記測定で求められる数平均分子量が1500〜10万であり、最大長さが200nm未満であり、かつ、表面に少なくともトリオルガノシリル基を有する平板状シリカ微粒子を形成させることを特徴とする平板状シリカ微粒子の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明のシリカ微粒子の粉末は、後述の製造方法の説明において説明するように、カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合反応させ、かつ該反応の途中で該反応を1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物で停止して得られる固体状のシリカ微粒子の粉末である。このシリカ微粒子は、従来知られていた4官能性加水分解性シラン化合物由来の液状オリゴマーとは異なる固体状の高分子量物であり、また、3官能性加水分解縮合重合性シラン化合物から得られる直鎖状のラダー型ポリシロキサンとも異なる化合物である。
【0015】
カチオン界面活性剤の存在下で加水分解縮合重合(以下、単に縮合重合ともいう)を行うことにより、平板状のシリカ微粒子が形成されると考えられる。平板状になる機構は定かでないが、縮合重合反応の際カチオン界面活性剤の長鎖アルキル基の疎水性相互作用とN+およびSiO-間の静電引力によるコンプレックス形成により二次元的に集合しながら縮合重合反応が進行するためと思われる。このような反応過程で縮合重合反応を1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物で停止することにより、生成するシリカ微粒子の分子量を制御し、適切な分子量のシリカ微粒子が得られる。
【0016】
また、1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を選択することにより、シリカ微粒子の表面特性(有機溶媒親和性など)を変化させることができる。この分子量や表面特性の制御により、得られる固体状シリカ微粒子粉末を有機溶媒に可溶なものとすることができ、有機溶媒に溶解しているシリカ微粒子の全量が細孔径0.2μmのフィルターを通過し得るものとすることができる。細孔径0.2μmのフィルターを通過し得ることより、このシリカ微粒子の粉末は200nm以上の長さを持つ形状の微粒子を含まないと考えられる。なお、本発明においては細孔径0.2μmのフィルターとしてADVANTEC社製ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製フィルター(商品名:DISMIC-25JP020AN)を使用した。また、このシリカ微粒子の形状は、透過型電子顕微鏡(TEM)による粒子形状の観察に基づくものである。
【0017】
4官能性加水分解性シラン化合物は、ケイ素原子に加水分解性基が4個結合した化合物である。加水分解性基としては、炭素数6以下のアルコキシ基、炭素数6以下のアルコキシアルキルオキシ基、炭素数6以下のアルケニルオキシ基、炭素数6以下のアシルオキシ基、塩素原子、アミノ基、炭素数6以下のジアルキルアミノ基、オキシム基、イソシアネート基などがある。4官能性加水分解性シラン化合物は、これらの加水分解性基の1種以上が4個ケイ素原子に結合した化合物である。特に、炭素原子4以下のアルコキシ基が4個ケイ素原子に結合した化合物、即ち、テトラアルコキシシランが好ましい。テトラアルコキシシランの具体例としては、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ(n−プロポキシ)シラン、テトラ(i−プロポキシ)シラン、テトラ(n−ブトキシ)シラン、テトラ(t−ブトキシ)シランが挙げられる。
【0018】
4官能性加水分解性シラン化合物における加水分解性基は水と反応してシラノール基となり、シラノール基どうしが脱水縮合重合してシリカが生成する。この反応の途中にある4官能性加水分解性シラン化合物の部分加水分解縮合重合物もまた本発明におけるシリカ生成原材料として使用しうる。この部分加水分解縮合重合物は平均分子量500以下のものが好ましい。本発明におけるシリカ微粒子は特に部分加水分解縮合重合物ではない単量体のテトラアルコキシシランから生成するシリカ微粒子であることが好ましい。
【0019】
1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物により縮合重合反応を停止させたことにより、本発明のシリカ微粒子はその表面にトリオルガノシリル基を有し、4官能性加水分解性シラン化合物の加水分解性基の加水分解で生成したシラノール基の少なくとも一部がこのトリオルガノシリル基で封鎖されている。このトリオルガノシリル基による封鎖は、シリカ微粒子形成においてその分子量を制御して所定の大きさを超える高分子量の分子の生成を抑制し、また有機溶媒親和性や表面反応性などの表面特性発揮のために行われる。
【0020】
本発明のシリカ微粒子は有機溶媒に可溶性であり、種々の有機溶媒に3質量%以上、多くは5質量%以上溶解し得る。本発明の有機溶媒可溶性とは適宜の有機溶媒に3質量%溶解し得ることをいう。このシリカ微粒子は有機溶媒中で凝集することなく単一分子として有機溶媒中に存在していると考えられる。有機溶媒の種類に対する溶解性はシリカ微粒子表面のトリオルガノシリル基の種類や量により変化する。また、後述のように2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を用いてシリカ微粒子の表面特性を変化させることもできる。2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の使用により表面にジオルガノシリル基やモノオルガノシリル基が結合したシリカ微粒子が生成すると考えられる。
【0021】
上記オルガノシリル基(モノ〜トリオルガノシリル基の総称)の種類や量により有機溶媒の種類に対する溶解性を変化させることができる。例えば、トリアルキルシリル基が結合したシリカ微粒子はアルコールやTHF(テトラヒドロフラン)などの極性有機溶媒に溶解性となり、フッ素含量の高いフルオロアルキル基を有するオルガノシリル基が結合したシリカ微粒子はフッ素系有機溶媒に溶解性となる。このようにオルガノシリル基の種類や量を変化させることにより、シリカ微粒子の有機溶媒の種類に対する溶解性や溶解度を変化させることができる。このような溶解性の制御を行うことにより、本発明の平板状シリカ微粒子は多くの種類の有機溶媒に対し5〜20質量%程度溶解しうるものとすることができる。
【0022】
有機溶媒としては極性有機溶媒が好ましいが、これに限られない。有機溶媒としては、例えば、エタノールやイソプロピルアルコールなどのアルコール系溶媒、エチレングリコールモノプロピルエーテルやTHFなどのエーテル系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド系溶媒、ヘキサフロロメタキシレンやジクロロペンタフルオロプロパンなどのフッ素系有機溶媒などがある。
【0023】
本発明のシリカ微粒子の粉末は、上記固体状のシリカ微粒子の集合体であり、固体状の粉末である。上記シリカ微粒子は1個のシリカ分子と考えられる。このシリカ分子は固体として存在する程度に高分子量であり、かつ有機溶媒に溶解し得る程度の分子量を有すると考えられる。また、後述の平板状という形状も溶解性に関与していると考えられる。また、本発明は上記シリカ微粒子が有機溶媒中に溶解した溶液である。この溶液中のシリカ微粒子の量は0.5質量%以上が好ましく、その上限はシリカ微粒子の溶解度量(シリカ微粒子の種類や有機溶媒の種類による)である。
【0024】
本発明のシリカ微粒子は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン(以下、PStという)換算で測定される微分分子量分布曲線の面積比で分子量が100万以上の成分の割合が10%以下であり、上記測定で求められる数平均分子量が1500〜10万である、シリカ微粒子であると考えられる。好ましくは上記分子量が100万以上の成分を実質的に含まない。このシリカ微粒子は通常分子量分布の広いシリカであり、その分子量分布は1000〜50万にわたるものが好ましい。上記数平均分子量は2000〜5万が好ましく、特に2000〜3万が好ましい。また、上記と同じ方法で測定される重量平均分子量は3000〜10万が好ましく、特に4000〜5万が好ましい。以下特に言及しない限り、平均分子量とは数平均分子量をいう。
【0025】
前記のように、本発明のシリカ微粒子は平板状の形状を有していると考えられる。この平板状シリカ微粒子の最大長さは平均100nm以下であり、最大長さ200nm以上のものは実質的に含まないと考えられる。特に、最大長さの平均は1〜50nmであることが好ましい。最大長さを含む面の形状は円や多角形に近い形状であり、線状ではないものである。また、この平板状シリカ微粒子の平均の厚さは5nm以下であると考えられ、特に0.1〜1nmであることが好ましい。さらに、最大長さ/厚さの比は5以上、特に10以上が好ましい。
【0026】
本発明のシリカ微粒子は、カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合反応させ、所定のシリカ粒子を生成させるために該縮合重合反応の途中で1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えて該縮合重合反応を停止させて製造される。1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えることによりシラノール基の封鎖と反応の停止を同時に行う。1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加える前に、2〜3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えてシリカ微粒子の表面修飾を行うこともできる。1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物では入手の困難な種々の有機基を有する2〜3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を使用することにより、シリカ微粒子表面に種々の有機基を導入して表面特性を変化させることができる。そのような有機基として、例えば反応性基を有する有機基や疎水性の高いフルオロアルキル基などがある。2〜3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物では縮合重合反応を停止することが困難であるので、2〜3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させた後に1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させて加水分解縮合重合反応を停止する。
【0027】
本発明のシリカ微粒子はカチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合させて得られる。カチオン界面活性剤の存在下に縮合重合反応を行うことによりコンプレックス形成を伴う二次元的なSiO連鎖の成長が起こり、平板状の形状を有するシリカ微粒子が生成すると考えられる。カチオン界面活性剤の存在しない条件下では平板状の微粒子は生成せず、球状の微粒子が生成すると考えられる。
【0028】
カチオン界面活性剤としては、R NXで表されるアミン塩や四級アンモニウム塩が好ましい。Rは、水素原子、アルキル基やフェニル基などの1価有機基または水素原子を表し、4個のRはそれぞれ異なっていてもよい。4個のRの内少なくとも1つは1価有機基であり、その1価有機基としては炭素数10以上の長鎖アルキル基が好ましい。他のRとしては炭素数4以下のアルキル基または水素原子が好ましい。対イオンXはCl、Br、Iから選ばれるハロゲン原子が好ましい。具体的には、デシルアミン塩酸塩、ウンデシルアミン塩酸塩、ドデシルアミン塩酸塩、トリデシルアミン塩酸塩、テトラデシルアミン塩酸塩、ヘキサデシルアミン塩酸塩、オクタデシルアミン塩酸塩、ドデシルジメチルアミン塩酸塩、テトラデシルジメチルアミン塩酸塩、ヘキサデシルジメチルアミン塩酸塩、オクタデシルジメチルアミン塩酸塩、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド、テトラデシルトリメチルアンモニウムクロライド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロライドなどが例示される。
【0029】
1〜3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物としては、下記式(1)で表されるヘキサオルガノジシロキサン(1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物)、下記式(2)で表されるヘキサオルガノジシラザン(1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物)、下記式(3)で表される1〜3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物などが好ましい。なお、ヘキサオルガノジシロキサンやヘキサオルガノジシラザンは加水分解により2分子のモノシラノール化合物が生成することより、本発明における1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物である。
【0030】
(RSi−O−Si(R (1)、
(RSi−NH−Si(R (2)、
SiY4−n (3)。
【0031】
、R、Rはそれぞれ独立に1価の非加水分解性の有機基を、Yは1価の加水分解性基を、nは1〜3の整数を表す。Rが2個または3個存在する場合各Rは異なっていてもよく、6個のRや6個のRについても同様である。R、R、Rはそれぞれケイ素原子に結合する結合手が炭素原子の結合手である1価の有機基であり、特にアルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルアルキル基、ハロアルキル基、官能基含有アルキル基、官能基含有シクロアルキル基が好ましい。
【0032】
上記アルキル基としては炭素数20以下のアルキル基が好ましく、特に炭素数4以下のアルキル基(以下、低級アルキル基という)が好ましい。アルケニル基としては、ビニル基やアリル基などの炭素数4以下のアルケニル基が、シクロアルキル基としてはシクロヘキシル基が、アリール基としてはフェニル基や低級アルキル基等で置換されたフェニル基が、アルアルキル基としてはベンジル基などのフェニル基含有低級アルキル基が、ハロアルキル基としては炭素数16以下のフルオロアルキル基が好ましい。官能基含有アルキル基としては、水酸基、エポキシ基、グリシジルオキシ基、エポキシシクロアルキル基、アミノ基、N−アミノアルキルアミノ基、N−フェニルアミノ基、メタクリロイルオキシ基、メルカプト基などの官能基を有する炭素数6以下のアルキル基が好ましい。
【0033】
式(1)〜(3)で表される化合物において、同一ケイ素原子に複数の有機基が結合している場合、それら有機基の全てが低級アルキル基であるかそのうちの1個が低級アルキル基以外の有機基であることが好ましく、低級アルキル基以外の有機基としては、炭素数5以上のアルキル基、フェニル基、フルオロアルキル基、および官能基含有アルキル基が好ましい。フルオロアルキル基としては、CF(CF−(CH−、CF(CF−CONH−(CH−、CF(CF−SONH−(CH−などのパーフルオロアルキル部分を有するフルオロアルキル基が好ましい(pは1〜10の整数、qは2〜6の整数)。
【0034】
前記式(3)で表される化合物において、Yは1価の加水分解性基である。ケイ素原子に結合するYの数(即ち、4−n)がこの加水分解性オルガノシラン化合物の官能性を表す。Yはアルコキシ基等の前記の加水分解性基であり、好ましいYは低級アルコキシ基である。特に好ましいYはメトキシ基とエトキシ基である。Yの数が2または3の場合、複数のYは異なっていてもよいが、通常は同一の基である。
【0035】
前記式(1)で表される化合物としてはヘキサメチルジシロキサンが好ましく、前記式(2)で表される化合物としてはヘキサメチルジシラザンが好ましい。前記式(3)で表される化合物としては下記化合物が好ましい。
【0036】
1官能性化合物:トリメチルクロロシラン、t−ブチルジメチルクロロシラン、トリフェニルクロロシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルアセトキシシラン、トリフェニルアミノシラン。
【0037】
2官能性化合物:ジメチルジクロロシラン、ジエチルジクロロシラン、フェニルメチルジクロロシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、エチルメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、n−ヘキシルメチルジメトキシシラン、n−デシルメチルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、3−メタクロイルオキシメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ブチル)エチルメチルジメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン。
【0038】
3官能性化合物:メチルトリクロロシラン、エチルトリクロロシラン、n−オクタデシルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、n−ヘキシルトリメトキシシラン、n−デシルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、3−メタクロイルオキシトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N-(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3,3,3−トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ブチル)エチルトリメトキシシラン、2−(パーフルオロ−n−ヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N-(1,3−ジメチルブチリデン)−3−(トリエトキシシリル)−1−プロパンアミン、N−(2−(ビニルベンジンアミノ)エチル)−3−アミノプルピルトリメトキシシラン。
【0039】
カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合する場合、水に対するカチオン界面活性剤の量は、水100質量部に対しカチオン界面活性剤1〜10質量部が好ましく、特に3〜5質量部が好ましい。カチオン界面活性剤が少なすぎる場合は球状のような溶解性の低い形状の粒子が生成するなどの問題があり、多すぎる場合はゲル化が起こり、シリカ微粒子が高分子量化して溶解性が低下するなどの問題がある。また、水に対する4官能性加水分解性シラン化合物の量は、水100質量部に対し4官能性加水分解性シラン化合物5〜20質量部が好ましく、特に10〜15質量部が好ましい。4官能性加水分解性シラン化合物が少なすぎる場合は粒子成長に時間がかかるなどの問題があり、多すぎる場合はゲル化が起こるなどの問題がある。
【0040】
加水分解縮合重合反応は、前記シリカ微粒子を形成するために上記カチオン界面活性剤や原料化合物の量以外に、反応温度、PH、反応時間等の反応条件を制御して行う。反応温度が高すぎる場合、PHが高すぎる場合、反応時間は長すぎる場合には分子量の高すぎるシリカが生成し、ゲル化成分が生成して目的のシリカ微粒子が生成しない。反応温度は室温から100℃程度が好ましいが、ゲル化抑制および反応時間の観点から室温〜60℃がより好ましい。加水分解縮合重合反応を促進するために通常は酸や塩基が使用される。本発明では、酸を使用することが好ましく、適切量の酸を使用して反応速度を制御する。酸の使用量は水溶液のPHを調節することにより行うことが好ましい。pHは2〜5であることが好ましいが、ゲル化抑制および反応時間の観点からpH4〜5が好ましい。例えば、反応温度40℃、pH4においては反応時間10〜40時間、反応温度40℃、pH4.5においては反応時間5〜20時間が好ましい。これらの条件はカチオン界面活性剤の種類や量により、変る場合もある。なお、PHの調整は通常塩酸などの酸を添加することによって行われる。
【0041】
所定の分子量のシリカ微粒子が生成した段階で上記加水分解反応を停止し、生成したシリカ微粒子のシラノール基を封鎖する。縮合重合反応を停止するためには1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させることによって行う。1官能性加水分解性シラン化合物を添加して反応を停止させる際、酸などの触媒を添加しておよび/または反応温度を高めて反応を促進し、速やかに反応を停止することが好ましい。この場合添加する酸としては特に濃塩酸が好ましい。速やかに反応を停止するためには、1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の溶液に反応生成物を含む水溶液を添加して停止反応を行う方法も使用できる。
【0042】
オルガノシリル基によるシリカ微粒子の表面修飾のためには、1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物以外に2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を使用することが好ましい。シリカ表面に疎水性基や反応性基等を導入するためには1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物のみの使用では不充分な場合がある。したがって、特定の表面修飾のためには2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を使用することが好ましく、かつ反応停止ために1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を使用する。2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を使用しても加水分解反応は停止せずシリカの分子量は増大しつづけるので、所定の目的分子量で反応を停止するためには、まず表面修飾のために2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させ、その後1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させて加水分解縮合重合反応を停止させることが好ましい。
【0043】
2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させて表面修飾を行う場合、4官能性加水分解性シラン化合物の加水分解でシリカ微粒子が形成された後に反応系に2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を添加する。その添加時点のシリカ微粒子の平均分子量は1000以上であることが好ましい。添加した後は分子量の成長が実質的に起こらないようにアルコールで2〜5倍に希釈を行うことが好ましい。希釈しない場合、オルガノシラン化合物由来のシラノールの分だけ全体のシラノール濃度が高まるために急激なゲル化が起こりやすくなる。原料4官能性加水分解性シラン化合物1モルに対して使用する2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の量は、特に限定されるものではないが、0.8モル以下、特に0.3モル以下が好ましい。ただし使用した量全て反応しなくてもよい。
【0044】
必要により上記修飾を行った後、目的とする平均分子量に近いシリカ微粒子が生成した段階で、1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させて縮合重合反応を停止させる。1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の量は、反応停止後のシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基(未反応の加水分解性基が残存している場合もある)がさらに反応してゲル状成分が生成することがないように、反応停止前のシリカ微粒子の表面に存在するシラノール基(未反応の加水分解性基が残存している場合もある)の大部分がトリオルガノシリル基で封鎖される量であることが必要である。通常は、実質的に全てのシラノール基が封鎖されるように過剰当量の1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応させることが好ましい。多くの場合、シラノール基の量を測定することなく大過剰の1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を用いて反応を停止させる。原料4官能性加水分解性シラン化合物1モルに対して使用する1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の量は、生成するシリカの平均分子量によるが、通常は0.1モル以上、特に0.5モル以上であって、上記の過剰量となる量であることが好ましい。
【0045】
水中の反応で得られたシリカ微粒子は水に不溶であり、したがって濾過や沈殿物回収などで固体を水から分離して反応系から分離できる。また、反応停止の際1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の溶液を使用した場合、この溶媒と水との混合溶媒に対してシリカ微粒子が不溶となるように、適切量の水を添加したり、上記溶媒の種類や量を選択することが好ましい。1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物の溶液における溶媒としては、イソプロピルアルコールのような水と相溶性がありかつシリカ微粒子の溶解性が高すぎない溶媒が好ましい。その後必要ににより、水などの不溶解性溶媒で洗浄し精製することもできる。得られた粉末はシリカ微粒子の集合体であり、またこの粉末は前記のように可溶解性の有機溶媒に溶解して溶液とすることができる。
【0046】
本発明のシリカ微粒子はナノサイズの微粒子であり、その主構造はポリシロキサンからなり、表面はオルガノシリル基で封鎖されている。このシリカ微粒子は種々の有機溶媒に可溶であり、またオルガノシリル基の有機基として官能基含有有機基を存在させることにより、表面に反応性を付与したり、種々の材料に対する表面親和性を付与することができる。本発明のシリカ微粒子の粉末は、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、アクリル樹脂など各種樹脂などへの分散性がよいためこれらの樹脂に対する配合剤として使用できる。
【0047】
また、本発明のシリカ微粒子は造膜性を有し溶液として取扱うことができる。したがって、この溶液を使用して、スピンコート、ディップコート、スプレーコート、ダイコートなどの種々のコーティング法により各種の基材上にシリカの薄膜を形成することができる。さらに、他のコーティング剤成分と併用して本発明のシリカ微粒子を含むコーティング液を製造し、それを使用して本発明のシリカ微粒子を含む各種塗膜の形成も可能である。
【0048】
【実施例】
(実施例1)
イオン交換水40gにドデシルアミン塩酸塩1.33g(6mmol)を溶解した。この溶液に2%塩酸0.50gおよびテトラエトキシシラン5.0g(24mmol)を添加して室温で透明均一になるまで撹拌した。この時点でブロモクレゾール試験紙でpHを測定した結果、pHは4.2〜4.4であった。その後、撹拌下に40℃の恒温漕中に20時間保持した。次に、この反応液をイソプロピルアルコール50g、ヘキサメチルジシロキサン3.90g(24mmol)の混合液中に添加した後、濃塩酸2.4mlを加えて撹拌した。室温で約1日撹拌を続けた後、上澄みを除去して沈殿物を60℃で5時間真空乾燥したところ、2.1gの白色の粉末状固体(以下、白色粉末という)を得た。
【0049】
得られた白色粉末は、THFに可溶(細孔径0.2μmのADVANTEC社製のPTFE製フィルター(商品名:DISMIC-25JP020AN)を全量通過した:以下同様)であり、溶解度は10質量%以上であった。また、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、およびN,N-ジメチルホルムアミドにそれぞれ10質量%以上可溶であった。THFを溶媒としてGPCにより分子量を測定したところ、PSt換算分子量で2000〜10万にわたる分子量分布の広いポリシロキサンであり(図1参照)、PSt換算で数平均分子量11000、重量平均分子量38000であった。図1はその分子量測定の結果を微分分子量分布曲線で示したグラフであり、測定条件等は以下の通りである。
【0050】
カラムの種類:東ソー製TSKgel SUPER-HZ2000+HZ3000+HZ4000(PSt充填、内径4.6mm、長さ15cm)、
溶離液の種類と流速:THF、0.35ml/min、
標準物質PStの分子量範囲:500〜111万、
検出器の種類:示差屈折率計(単位は任意)。
【0051】
また、得られた白色粉末の91%エタノール溶液を水中に滴下してシリカ微粒子を水に分散させ、これを銅メッシュ上にすくい取ったものを透過型電子顕微鏡(TEM)により粒子形状を観察した。図2にTEM観察図(写真)を示す。図2には1次粒子と不定形の2次粒子が写っており、この図から得られた微粒子(1次粒子)の厚さは0.1〜1nmの範囲にあり、粒子平面の長さは1〜50nmの範囲にあると推定される。
【0052】
(実施例2)
イオン交換水40gにドデシルアミン塩酸塩1.33g(6mmol)を溶解した。この溶液に2%塩酸0.50gおよびテトラエトキシシラン5.0g(24mmol)を添加して室温で透明均一になるまで撹拌した後、40℃の恒温漕中に6時間保持した。次に、この反応液をイソプロピルアルコール50g、ヘキサメチルジシロキサン3.90g(24mmol)の混合液中に添加した後、濃塩酸2.4mlを加えて撹拌した。室温で約1日撹拌を続けた後、上澄みを除去して沈殿物を60℃で5時間真空乾燥したところ2.5gの白色粉末を得た。
【0053】
得られた白色粉末は、THF、エタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールモノプロピルエーテル、N,N-ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒に10質量%以上可溶であった。THFを溶媒としてGPCにより分子量を測定したところ、PSt換算で数平均分子量3700、重量平均分子量6030であった。
【0054】
(実施例3)
イオン交換水40gにドデシルアミン塩酸塩1.33g(6mmol)を溶解した。この溶液に2%塩酸0.50gおよびテトラエトキシシラン5.0g(24mmol)を添加して室温で透明均一になるまで撹拌した後、40℃の恒温漕中に20時間保持した。次に、この反応液をイソプロピルアルコール50g、(2−パーフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシラン1.12g(2.4mmol)の混合液中に添加して、60℃、3時間加熱撹拌した。室温に戻した後、ヘキサメチルジシロキサン3.90g(24mmol)および濃塩酸2.4mlを加えて室温で約1日撹拌した。沈殿物を60℃で5時間真空乾燥したところ3.2gの白色粉末が得られた。
【0055】
得られた白色粉末のペンタフルオロジクロロプロパンに対する溶解度は3質量%以上であった。ペンタフルオロジクロロプロパン/イソプロピルアルコール混合液(容量比1:1)およびヘキサフルオロメタキシレンにそれぞれ5質量%以上可溶であったが、THFには不溶であった。
【0056】
(実施例4)
イオン交換水40gにヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロライド1.28g(4mmol)を溶解した。この溶液に2%塩酸0.50gおよびテトラエトキシシラン5.0g(24mmol)を添加して室温で透明均一になるまで撹拌した後、40℃の恒温漕中に18時間保持した。次に、この反応液をイソプロピルアルコール50g、(2−パーフルオロヘキシル)エチルトリメトキシシラン2.25g(4.8mmol)の混合液中に添加して、60℃、3時間加熱撹拌した。室温に戻した後、ヘキサメチルジシロキサン3.90g(24mmol)および濃塩酸2.4mlを加えて室温で約1日撹拌した。沈殿物を60℃で5時間真空乾燥したところ3.5gの白色粉末が得られた。
【0057】
得られた白色粉末は、ペンタフルオロジクロロプロパン/イソプロピルアルコール混合液(容量比1:1)、ペンタフルオロジクロロプロパン、およびヘキサフルオロメタキシレンにそれぞれ10質量%以上可溶であった、THFには不溶であった。
【0058】
(実施例5)
イオン交換水40gにドデシルアミン塩酸塩1.33g(6mmol)を溶解した。この溶液に2%塩酸0.50gおよびテトラエトキシシラン5.0g(24mmol)を添加して室温で透明均一になるまで撹拌した後、40℃の恒温漕中に17時間保持した。次に、この反応液をイソプロピルアルコール50g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン0.75g(2.4mmol)の混合液中に添加して、60℃、3時間加熱撹拌した。室温に戻した後、ヘキサメチルジシロキサン3.90g(24mmol)および濃塩酸2.4mlを加えて室温で約1日撹拌した。沈殿物を60℃で5時間真空乾燥したところ2.4gの白色粉末が得られた。
【0059】
得られた白色粉末は、THF、イソプロピルアルコール、エタノール、酢酸エチルにそれぞれ10質量%以上可溶であった。THFを溶媒としてGPCにより分子量を測定したところ、PSt換算で数平均分子量5300、重量平均分子量11300であった。
【0060】
【発明の効果】
本発明のシリカ微粒子は有機溶媒可溶性であり、その溶液は細孔径0.2μmのフィルターを通過する。このシリカ微粒子表面のオルガノシリル基の種類を変えることにより、シリカ微粒子が溶解する有機溶媒の種類を変えることができ、種々の溶媒に溶解し得るシリカ微粒子を得ることができた。4官能性加水分解性シラン化合物の加水分解縮合重合反応によるシリカ微粒子の製造において、加水分解縮合重合反応を停止させる1官能性のオルガノシラン化合物の添加時点を制御することにより得られるシリカ微粒子の分子量を制御することにより、上記の性質を有するシリカ微粒子を得ることができる。また、加水分解縮合重合反応をカチオン界面活性剤の存在する水中で行うことにより、平板状のシリカ微粒子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した平板状シリカ微粒子の分子量測定の結果を微分分子量分布曲線で示したグラフ。
【図2】実施例1で製造した平板状シリカ微粒子の透過型電子顕微鏡写真による観察図。

Claims (2)

  1. カチオン界面活性剤の存在する水中で4官能性加水分解性シラン化合物を加水分解縮合重合し、下記所定の平板状シリカ微粒子を生成させるために該加水分解縮合重合反応の途中で1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えて加水分解縮合重合反応を停止させて、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによりポリスチレン換算で測定される微分分子量分布曲線の面積比で分子量が100万以上の成分の割合が10%以下であり、上記測定で求められる数平均分子量が1500〜10万であり、最大長さが200nm未満であり、かつ、表面に少なくともトリオルガノシリル基を有する平板状シリカ微粒子を形成させることを特徴とする平板状シリカ微粒子の製造方法。
  2. 加水分解縮合重合反応の途中で、2または3官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えて反応させ、次いで1官能性の加水分解性オルガノシラン化合物を反応系に加えて反応を停止させて、表面にジまたはモノオルガノシリル基とトリオルガノシリル基とを有する平板状シリカ微粒子を形成させる、請求項に記載の平板状シリカ微粒子の製造方法。
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