JP4191903B2 - 電子写真用受像シート - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真用受像シートに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方法は、ドライ処理で、印字スピードが速く、汎用紙(普通紙や上質紙)に出力できることから、コピー機やパソコンの出力機として使用されている。
しかしながら、顔や風景等の画像情報を写真として出力する場合、汎用紙等では、特に光沢が劣るため、写真用途としての専用紙が求められており、光沢を向上させるために、特開平4−212168号及び8−211645号各公報に示されるように支持体上に熱可塑性樹脂を含むトナー受像層を設けた電子写真用受像シートが提唱されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、高光沢の電子写真用受像シートは、トナー受像層が低温での熱応答性(定着熱で受像層がシャープメルトしたり、軟化する現象)を改善し、定着性を向上する設計になっているので、いわゆるブロッキングが生じるという問題点があった。このため、使用前に、電子写真用受像シートを積層したシートで、又はロールで保存すると、電子写真用受像シートの支持体が、その下に位置する電子写真用受像シートのトナー受像層と接着したり、また、積層するシートを取り出そうとすると、電子写真用受像シートの支持体と、その下に位置する電子写真用受像シートのトナー受像層等とが接着して、下にある電子写真用受像シートの支持体からトナー受像層が剥がれたりするなど問題となっていた。
【0004】
このブロッキングの問題を改良するために、支持体のトナー受像層側において、電子写真用受像シートを構成する層の少なくとも一層、トナー受像層に有機及び/又は無機の微粒子を配合するとブロックキング防止効果があるが、今度は、得られる画像の光沢性が低下してしまうなど問題となっていた。
従って、本発明は、平滑性(光沢)に優れ、写真用途として用いることができるとともに、保存中に積層された電子写真用受像シート間の接着やブロッキングを生じない、電子写真用受像シートを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題を解決するため、鋭意検討した結果、支持体上に熱可塑性樹脂を含有するトナー受像層を設けた電子写真用受像シートにおいて、前記支持体の前記トナー受像層側において、前記トナー受像層又は該トナー受像層以外の電子写真用受像シートを構成する層に、ガラス転移温度又は融点が定着温度以下である有機粒子を配合することにより、上記課題が解決されることを見出し、本発明に到達したものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、詳細に説明する。
支持体
本発明の電子写真用受像シートに使用される支持体としては、定着温度に耐えることができ、平滑性、白色度、滑り性、摩擦性、帯電防止性、定着後のへこみ等の点で要求を満足できるものならばどの様なものでも使用できる。
このような支持体としては、例えば、原紙(合成紙も含む)や、合成樹脂シート、又はこれらのシートに樹脂等を塗工したコート紙等を使用することができる。
これらの支持体は、単層で使用しても、複数層で使用してもよい。
【0007】
原紙の材料は、支持体に使用されるものとして公知の原紙に使用されるものを特に制限なく、各種の材料から選ぶことができる。その例としては、針葉樹や、広葉樹から選ばれる天然パルプや、ポリエチレンや、ポリプロピレン等のプラスチック材料製の合成パルプ、あるいは天然パルプと合成パルプの混合物等が挙げられる。
また、必要に応じて、原紙には、クレーや、タルク、炭酸カルシウム、尿素樹脂微粒子などの填料、ロジンや、アルケニルケテンダイマー、高級脂肪酸、エポキシ化脂肪酸アミド、アルケニルコハク酸等のサイズ剤、でんぷんや、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリアクリルアミド等の紙力増強剤、硫酸バンドや、カチオン性ポリマー等の定着剤等を配合してもよい。
【0008】
原紙の坪量は、例えば、50〜250g/m2、好ましくは、100〜180g/m2の範囲にあることが好ましく、その厚みは、例えば、20〜200μm、好ましくは、50〜180μmの範囲にあることが適当である。
原紙には、具体的には、上質紙や、例えば、日本写真学会編「写真工学の基礎−銀塩写真編−」、株式会社コロナ社刊(昭和54年)(223) 〜(240) 頁記載の紙等が好適なものとして挙げられる。
【0009】
支持体としての合成樹脂シート(フィルム)は、合成樹脂をシート状に成形したものであり、例えば、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂をシート状に押出成形する等によって得られる。
支持体としてのコート紙は、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴムラテックス又は高分子材料を片面又は両面に塗工した紙又はシートであり、用途に応じて、塗工量が異なる。このようなコート紙としては、例えば、アート紙、キャストコート紙、ヤンキー紙等が挙げられる。
【0010】
また、原紙等のシートに、各種の樹脂、ゴム又は高分子シート又はフィルム等をラミネートしたものでもよい。このようなラミネートする材料としては、例えば、ポリオレフィンや、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリスチレン、ポリメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレン、ポリイミド、トリアセチルセルロース等が挙げられる。なお、これらのシート又はフィルムには、白色反射性を与える処理を行ってもよい。このような処理方法としては、例えば、これらのシート又はフィルム中に酸化チタンなどの顔料を配合する方法が挙げられる。
【0011】
また、支持体としては、上記各種の支持体を任意に組合せて積層体としたものであってもよい。
原紙等に、樹脂等を塗工する方法としては、例えば、これらの原紙に、樹脂溶液又は懸濁液等を塗布、含浸若しくは噴霧等する方法が好適に挙げられる。
塗工又はラミネートする前の原紙の両面又は片面には、原紙等の上に塗工する樹脂等との接着性を改善する目的で、コロナ放電処理や、火炎処理、グロー放電処理、又はプラズマ処理などの活性化処理を施すことが好ましい。
【0012】
支持体として、コート紙を使用する場合には、原紙等の表面に設ける樹脂としては、熱可塑性樹脂を使用することが適当である。
このような熱可塑性樹脂としては、例えば、以下の熱可塑性樹脂を例示することができる。
(イ)ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂等のポリオレフィン樹脂や、エチレンやプロピレン等のオレフィンと、他のビニルモノマーとの共重合体樹脂や、アクリル樹脂等。
(ロ)エステル結合を有するもの
テレフタル酸、イソフタル酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、アビエチン酸、コハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸等のジカルボン酸成分(これらのジカルボン酸成分にはスルホン酸基、カルボキシル基等が置換していてもよい)と、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、ビスフェノールAのジエーテル誘導体(例えば、ビスフェノールAのエチレンオキサイド2付加物、ビスフェノールAのプロピレンオキサイド2付加物など)、ビスフェノールS、2−エチルシクロヘキシルジメタノール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキシルジメタノール、グリセリン等のアルコール成分(これらのアルコール成分には水酸基などが置換されていてもよい)との縮合により得られるポリエステル樹脂、
【0013】
ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリブチルアクリレート等のポリアクリル酸エステル樹脂又はポリメタクリル酸エステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、スチレンアクリレート樹脂、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体樹脂、ビニルトルエンアクリレート樹脂等。具体的には特開昭59−101395号、同63−7971号、同63−7972号、同63−7973号、同60−294862号に記載のものを挙げることができる。また、市販品としては東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130、花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010、ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188等が使用できる。
【0014】
(ハ)ポリウレタン樹脂等。
(ニ)ポリアミド樹脂、尿素樹脂等。
(ホ)ポリスルホン樹脂等。
(ヘ)ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂、塩化ビニル−プロピオン酸ビニル共重合体樹脂等。
(ト)ポリビニルブチラール等の、ポリオール樹脂、エチルセルロース樹脂、酢酸セルロース樹脂等のセルロース樹脂等。
(チ)ポリカプロラクトン樹脂、スチレン−無水マレイン酸樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリエーテル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等。
熱可塑性樹脂は、単独で使用してもよく、又はこれらの熱可塑性樹脂の混合物として使用してもよい。
支持体としてコート紙を使用する場合には、塗工する熱可塑性樹脂としては、特に、ポリエチレン、例えば、高密度ポリエチレンや低密度ポリエチレン、更には、ポリプロピレン等の他のポリオレフィン、ポリエステル等を好ましく用いることができる。また、これらの樹脂は、混合して使用してもよい。
【0015】
例えば、ポリオレフィンとしては、一般に低密度ポリエチレンを用いて形成することが多いが、支持体の耐熱性を向上させるために、ポリプロピレン、及びポリプロピレンとポリエチレンとのブレンド、高密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンとのブレンドを用いることが好ましい。特に、コストや、ラミネート適性等の点から、高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとのブレンドを用いることが最も好ましい。
【0016】
高密度ポリエチレンと、低密度ポリエチレンとのブレンドは、例えば、ブレンド比率(質量比)1/9〜9/1で用いられ、好ましくは、2/8〜8/2、最も好ましくは、3/7〜7/3で用いられる。両面で使用する場合には、裏面に使用されるポリオレフィンは、例えば、高密度ポリエチレン、あるいは高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレンのブレンドを用いて形成することが好ましい。ポリエチレンの分子量に特に制限はないが、メルトインデックスが、高密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンのいずれについても、好ましくは、1.0〜40g/10分の間のものであって、押出し適性を有するものが望ましい。
【0017】
コート紙に使用される塗工用の熱可塑性樹脂層は、単層でもよく、また複数層で使用してもよい
熱可塑性樹脂の厚みは、例えば、5〜100μm、好ましくは、10〜50μmである。表面に設けられる熱可塑性樹脂層と、裏面に設けられる熱可塑性樹脂層は、成分や、物性、厚み、構成について同一であっても、異なっていてもよい。
【0018】
塗工又はラミネートする樹脂は、熱可塑性樹脂である必要はない。従って、例えば、モノマーや、熱可塑性樹脂を熱や、光で、又は硬膜剤、架橋剤などと反応させた樹脂や、熱硬化型樹脂を使用してもよい。また、塗工される樹脂層の少なくとも1層が、光重合開始剤を含むモノマーや、樹脂組成物を紫外線照射により硬化したものであってもよい。この場合に使用される樹脂組成物は、電子線硬化性有機化合物を主成分として含むものが挙げられ、この有機化合物の種類には、特別の限定はない。これらの化合物はモノマーでもよく、又はオリゴマーであってもよく、これらは単独使用されてもよく、あるいは、それらを混合したものであってもよい。
【0019】
また、塗工される樹脂層は、紫外線照射により硬化する紫外線硬化性有機化合物の種類にも何ら限定はない。この紫外線硬化性樹脂組成物は、上述の電子線硬化性樹脂に光重合開始剤を適当量加えることにより調製される。また、本発明において、電子線硬化に供される樹脂組成物には、当然のことながら光重合開始剤は必要ないが、たとえ含有していたとしても、電子線照射による硬化には何ら差しつかえない。しかしながら、光重合開始剤の種類によっては著しい臭気を発生することもあり、無意味な使用は控えなければならない。
【0020】
不飽和有機化合物含有樹脂組成物は、白色顔料、必要に応じてその他の添加剤を含んでいてもよい。電子線硬化性不飽和化合物は、例えば下記化合物から選ぶことができる。
(1)脂肪族、脂環族、及び芳香脂肪族の、1〜6価のアルコール及びポリアルキレングリコールのアクリレート化合物類
(2)脂肪族、脂環族、芳香脂肪族の、1〜6価のアルコールにアルキレンオキサイドを付加させたもののアクリレート化合物類
(3)ポリアクリロイルアルキルリン酸エステル類
(4)カルボン酸と、ポリオールと、アクリル酸との反応生成物
(5)イソシアネートと、ポリオールと、アクリル酸との反応生成物
(6)エポキシ化合物とアクリル酸との反応生成物
(7)エポキシ化合物と、ポリオールと、アクリル酸との反応生成物
【0021】
これらの化合物を具体的に述べるならば、電子線硬化性不飽和有機化合物として、ポリオキシエチレンエピクロルヒドリン変性ビスフェノールAジアクリレート、ジシクロヘキシルアクリレート、エピクロルヒドリン変性ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ヒドロキシビバリン酸エステルネオペンチルグリコールジアクリレート、ノニルフェノキシポリエチレングリコールアクリレート、エチレンオキサイド変性フェノキシ化リン酸アクリレート、エチレンオキサイド変性フタル酸アクリレート、ポリブタジエンアクリレート、カプロラクタン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、
【0022】
ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,4−ブタジエンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、及びネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジアクリレートなどをあげることができる。本発明においては、これらの有機化合物を単独で、あるいはその2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0023】
本発明で使用される光重合開始剤は、一般に知られるものから選ぶことができるが、例えばエチルアントラキノン、メチルベンゾイルホルメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アントフェノン、ジエトキシアセトフェノン、及びトリクロロアセトフェノンのようなアセトフェノン類、o−ベンゾイルメチルベンゾエート、ベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインアルキルエーテル、ベンジルジメチルケタール、テトラメチルチウラムモノサルファイド、キサントン、チオキサントン類、ベンゾフェノン類、アゾ化合物、などから適宜選択して使用することができる。またこれらの光重合開始剤の2種類以上を混合して使用することも可能である。
【0024】
一般に、光重合開始剤の添加量は、紫外線硬化性樹脂の重量に対して、通常0.1〜10質量%の範囲内にあることが好ましい。また、例えばN−メチルジエタノールアミンや、ビスジエチルアミノベンゾフェノンなどの公知の光重合促進剤を前記光重合開始剤と併用することは、硬化速度の向上のために好ましい。上記光重合促進剤の添加量は、その効果が発揮される限り特に限定はないが、一般的に光重合開始剤の重量の0.5〜2倍量であることが適当である。
【0025】
電子線照射に用いられる電子線加速器としては、特にその方式に限定はなく、例えば、バンデグラーフ型スキャニング方式や、ダブルスキャニング方式、カーテンビーム方式などの電子線照射装置が使用できる。これらのなかでも、比較的安価で大出力の得られるカーテンビーム方式のものが有効に用いられる。電子線照射の際の加速電圧は、例えば、100〜300kVであることが好ましく、吸収線量としては、0.1〜6.0Mradであることが好ましく、0.2〜4.0Mradが特に好ましい。吸収線量が0.1Mrad以下の場合には、電子線照射による樹脂の硬化が不十分になることがある。一方、必要以上に吸収線量を高くすると、エネルギー消費に無駄であるばかりでなく、紙基体の無用の劣化を招くことにもなり好ましくない。
【0026】
電子線照射時における雰囲気中の酸素濃度は、例えば、500ppm 以下であることが好ましい。酸素濃度が500ppm を超えると、酸素が重合反応の抑制剤として働き、樹脂組成物の硬化が不十分になることがある。電子線硬化性樹脂塗布液は、直接空気に触れることがなく、従って電子線照射時における雰囲気中の酸素濃度を特に低減させる必要はかならずしも必要ない。また合わせて電子線照射によるオゾン発生を防止する、又は電子線がウインドウ通過する際に発熱するウインドウを冷却する目的で窒素ガスなどの不活性ガスを流してもよい。
【0027】
紫外線照射に用いられる紫外線照射装置は、特にその方式に限定はないが、例えば、低圧水銀灯や、中圧水銀灯、高圧水銀灯、メタルハライドランプなどが使用でき、これらのランプを適宜集光型、半集光型、拡散型などの光反射器と組合せ、また一般には紫外線照射ランプは発熱するため、水冷ジャケット、コールドミラー、アルミミラーなどにより冷却対策して使用することが好ましい。また一般に充分な硬化を得るためには、処理速度に応じて、出力80w/cm以上の複数個の紫外線照射装置をならべて使用することが好ましい。
【0028】
紫外線及び電子線照射を施して表面樹脂被覆層を硬化させた後、トナー受像層との接着性を向上させる目的でコロナ放電処理などの表面処理を施したり、あるいは下塗り層を表面に塗布してもよい。
なお、コート紙に使用される熱可塑性樹脂層等の表面には、必要に応じて、光沢面や、又は特開昭55−26507号公報記載の微細面、マット面又は絹目面の型付けがされてもよいし、必要に応じて設けられる導電層が形成される側とは反対側(裏面)の熱可塑性樹脂層等の表面には、無光沢面の型付けがされてもよい。更に、型付けした後のこれらの表面には、コロナ放電処理や、火炎処理などの活性化処理を施すことができ、活性化処理後に特開昭61−846443号公報に記載のような下引き処理を行うこともできる。
また、熱可塑性樹脂層等には、本発明の目的を害しない範囲内において、適宜選択した各種の添加剤を添加させることができる。
【0029】
本発明で使用される支持体の厚みは、例えば、25μm〜300μm、好ましくは、50μm〜260μm、更に好ましくは、75mμ〜220μmであることが適当である。また、支持体の剛度としては、種々のものがその目的に応じて使用することが可能であり、写真画質の電子写真用受像シート用の支持体としては、カラー銀塩写真用の支持体に近いものが好ましく用いられる。
【0030】
また、本発明で使用される支持体としては、定着性能の観点から、20℃で相対湿度が65%の条件下における支持体の熱伝導率が、例えば、0.50kcal/m・h・℃以上であることが好ましい。ここで、熱伝導率は、JIS P 8111に準拠して調湿した転写紙を、特開昭53−66279号公報に記載された方法によって測定することができる。また、支持体の密度は上記の観点から0.7g/cm3 以上であることが好ましい。
支持体中には、本発明の目的を害しない範囲内において、適宜選択した各種の添加剤を配合することができる。このような添加剤としては、例えば、増白剤や、導電剤、填料、酸化チタン、群青、カーボンブラックなどの顔料や染料などを必要に応じて含有させておくことができる。
【0031】
支持体の片面又は両面には、その上に設けられる層との密着性を改良する目的で種々の表面処理や、下塗りを施すことができる。表面処理としては、例えば、光沢面や、特開昭55−26507号公報に記載の微細面、マット面又は絹目面の型付けの処理や、コロナ放電処理、火炎処理、グロー放電処理、又はプラズマ処理などの活性化処理などが挙げられる。下塗りとしては、例えば、特開昭61−846443号公報に記載の方法を用いることができる。また、これらは単独に用いてもよく、また、型付けなどを行った後に活性化処理を施したり、更に活性化処理などの表面処理後に下塗りを行うなど、任意の組み合わせで併用して用いることもできる。
【0032】
本発明で使用される支持体中や、その表面や裏面、及びそれらの組み合わせには、親水性バインダーと、アルミナゾルや酸化スズのような半導性金属酸化物、カーボンブラックその他の帯電防止剤を配合又は塗布してもよい。具体的には、特開昭63−220246号公報などに記載の支持体を使用できる。
【0033】
電子写真用受像シート
本発明の電子写真用受像シートは、支持体上に、トナー受像層のみを有してもよく、また、その使用目的に応じて、トナー受像層とともに、追加の層を有していてもよい。少なくともカラー及び黒トナーを受容し、画像を形成するためのトナー受像層が支持体上には設けられる。トナー受像層以外のものとしては、例えば、表面保護層や、中間層、下塗り層、クッション層、帯電調節(防止)層、反射層、色味調製層、保存性改良層、接着防止層、アンチカール層、平滑化層などを設けることができる。また、それぞれの層が2以上の層より構成されていても良い。
【0034】
透明支持体上にトナー受像層等が設けられる透過型の電子写真用受像シートの場合には、支持体上の各層も透明であることが好ましい。また、反射支持体上にトナー受像層等が設けられる反射型の電子写真用受像シートの場合には、支持体上の各層は透明である必要は無く、むしろ白色であることが好ましい。
白色度としては、JIS P 8123に規定される方法で測定して、85%以上であることが好ましい。また、440nm〜640nmの波長域で、分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内であることが好ましい。更には、400nm〜700nmの波長域で分光反射率が85%以上、かつ同波長域の最大分光反射率と最低分光反射率の差が5%以内であることがより好ましい。
【0035】
また、本発明に用いられる電子写真用受像シートは、支持体に対して、トナー受像層と反対側にバック層を設けることができる。
透明支持体上にトナー受像層等が設けられる透過型の電子写真用受像シートの場合、バック層も透明であることが好ましいが、反射支持体上にトナー受像層等が設けられる反射型の電子写真用受像シートの場合は、バック層は透明である必要は無く、何色であってもかまわない。但し、電子写真用受像シートの裏面にも画像を形成する、両面出力型受像シートの場合は、バック層も白色であることが好ましい。白色度及び分光反射率は、表面と同様に85%以上が好ましい。
また、本発明の電子写真用受像シートは、不透明度がJIS P 8138に規定される方法で測定して、85%以上、好ましくは、90%以上であることが好ましい。
【0036】
ガラス転移温度又は融点が定着温度以下である有機粒子
本発明で使用される有機粒子は、写真技術分野において、マット剤に対応するものではあるが、マット剤とは異なり、表面を荒らすものである必要はない。有機粒子は、親水性有機コロイドバインダー中に分散可能な有機の不連続固体粒子であると定義できる。
本発明で使用される有機粒子は、定着温度以下のガラス転移温度又は融点を有することが必要である。トナー像が透明性を帯びて階調画像を呈するための定着時の熱の温度は、50℃以上である必要があり、機械の耐久性の観点から200℃以下が一般的である。従って、本発明で使用される有機粒子の融点及び/又はガラス転移温度は200℃以下であることが好ましい。更に、保存性の観点から、本発明で使用される有機粒子の融点は、30℃以上であることが好ましく、特に50〜150℃であることが好ましい。また、本発明で使用される有機粒子のガラス転移温度は、150℃以下であることが適当である。但し、機械の性能の向上に応じて、本発明で使用される有機粒子の融点及び/又はガラス転移温度の好ましい範囲も向上することは明記されたい。
【0037】
本発明で使用される有機粒子としては、例えば、澱粉や、セルロースエステル(例えば、セルロースアセテートプロピオネート等)、セルロースエーテル(例えば、エチルセルロース等)、合成樹脂等が好適なものとして、挙げられる。
合成樹脂の例としては、水不溶又は難溶性合成ポリマー、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸エステル(例えば、ポリアルキル(メタ)アクリレートや、ポリアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ポリグリシジル(メタ)アクリレート)、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリビニルエステル(例えば、ポリ酢酸ビニル)、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン(例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレン)、ポリスチレン、ベンゾグアナミン樹脂、ホルムアルデヒド縮合ポリマー、エポキシ樹脂、ポリアミド、ポリカーボネート、フェノール樹脂、ポリビニルカルバゾール、ポリ塩化ビニリデン等が含まれる。なお、上記ポリマーを構成する繰り返し単位を組み合わせたコポリマーを用いてもよい。
【0038】
有機粒子を構成する材料がコポリマーである場合、少量の親水性の繰り返し単位が含まれていてもよい。親水性の繰り返し単位を構成するモノマーの例には、例えば、アクリル酸や、メタクリル酸、α,β−不飽和ジカルボン酸、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、スルホアルキル(メタ)アクリレート、スチレンスルホン酸等が含まれる。
有機粒子として使用できるマット剤としては、例えば、英国特許1055713号、米国特許1939213号、同2221873号、同2268662号、同2322037号、同2376005号、同2391181号、同2701245号、同2992101号、同3079257号、同3262782号、同3443946号、同3516832号、同3539344号、同3591379号、同3754924号、同3767448号の各明細書、特開昭49−106821号、同57−14835号の各公報に記載がある。特に、有機粒子としては、例えば、ポリエチレンや、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリメチルメタアクリレート、及びその共重合体等が好ましい。
本発明で使用される有機粒子としては、二種類以上の有機粒子の混合物として使用することができる。
【0039】
本発明で使用される有機粒子は、平均粒径として、例えば、0.1〜100μm、好ましくは、2〜30μmであることが適当である。
有機粒子は、本発明の電子写真用受像シートにおいて、例えば、0.0001〜1.5g/m2、好ましくは、0.0002〜0.8g/m2、特に好ましくは、0.0005〜0.6g/m2の量で使用することが適当である。使用する有機粒子の大きさや比重によって好ましい範囲を適宜選択することができる。
本発明で使用される有機粒子は、層に添加するだけで層の熱特性が変化するため、必ずしも表面を凹凸とする必要はない。この時、有機粒子の粒径によって好ましい塗布量があり、粒径が小さいと、塗布重量中の個数が多くなるので塗布量が少なくても保存時又は使用時のブロッキングを改良できる。反対に粒径が大きいマット剤は、塗布重量中の個数が少ないので塗布量が多くなる傾向にある。
【0040】
具体的には、本発明で使用される有機粒子としては、例えば、ポリエチレンの商品としては、住友精化製フロービーズLE−1080、CL−2080、EA−209、CL−2507、CL−5007、CL−8007、CL−12007、フローセンUF−1.5、フローセンUF−4、フローセンUF−20、フローセンUF−80、積水化成品工業製テクポリマーMB−8C、MB−5、MB−8、MB−12、MB−20、EMA−10、EMA−35、EMA−35Lなどを挙げることができる。
【0041】
トナー受像層
本発明で使用されるトナー受像層は、転写工程にて、(静)電気、圧力等にて現像ドラムあるいは中間転写体より画像を形成するトナーを受容し、定着工程にて熱、圧力等にて固定化する機能を有する。
本発明で使用されるトナー受像層は、熱可塑性樹脂とともに、トナー受像層としての作用等に影響しない限り、各種の添加剤を含有することができる。
トナー受像層の厚さは、使用されるトナーの粒子径の1/2以上、好ましくは、1倍〜3倍の厚さであることが適当である。また、トナー受像層としては、特開平5−216322号、7−301939号各公報に開示された厚みのものが好ましい。
【0042】
トナー受像層は、以下の項目の内の1項目の物性を有することが好ましく、更に好ましくは、複数の項目、最も好ましくは、全ての項目を物性を有することが適当である。
(1)トナー受像層のTg(ガラス転位温度)が30℃以上、トナーのTg+20℃以下。
(2)トナー受像層のT1/2(1/2法軟化点)が、60〜200℃、好ましくは、80〜170℃。1/2法軟化点は、特定の装置を使用し、特定の条件の下で、所定の押出加重を加えながら、初期設定温度(例えば、50℃)で余熱時間例えば300秒後に、所定の等速昇温速度で昇温した時の各温度における流出開始時と終了時のピストンストロークの差の2分の1となる温度で評価される。
(3)トナー受像層のTfb(流出開始温度)が、40〜200℃、好ましくは、トナー受像層のTfbが、トナーのTfb+50℃以下。
(4)トナー受像層の粘度が1×105CPになる温度が、40℃以上、トナーのそれより低い。
(5)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、1×102〜1×105Pa、損失弾性率(G”)が、1×102〜1×105Pa。
【0043】
(6)トナー受像層の定着温度における損失弾性率(G”)と、貯蔵弾性率(G’)との比である損失正接(G”/G’)が、0.01〜10。
(7)トナー受像層の定着温度における貯蔵弾性率(G’)が、トナーの定着温度における貯蔵弾性率(G”)に対して、−50〜+2500。
(8)溶融トナーの受像層上の傾斜角が、50度以下、特に40度以下。
また、トナー受像層としては、特許第2788358号明細書、特開平7−248637号、8−305067号、10−239889号公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましい。
【0044】
上記(1)の物性は、示差走査熱量測定装置(DSC)により測定することができる。(2)〜(4)の物性は、例えば、島津製作所製フローテスターCFT−500又は500Dを用いて測定することができる。(5)〜(7)の物性は、回転型レオメーター(例えば、レオメトリック社製ダイナミックアナライザーRADII)を用いて測定することができる。(8)の物性は、共和界面化学(株)製の接触角測定装置を用い、特開平8−334916号公報に開示した方法で測定することができる。
【0045】
本発明のトナー受像層に使用される熱可塑性樹脂としては、定着温度で変形してトナーを受容しうるものであれば何でも良い。好ましくは、トナー受像層に使用される熱可塑性樹脂は、トナーのバインダーとして用いられている樹脂と同系統の樹脂が好ましい。トナーには、多くはポリエステル樹脂や、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などが用いられているので、その場合、本発明のトナー受像層に用いられる熱可塑性樹脂としても、ポリエステル樹脂やスチレン−アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体などの熱可塑性樹脂を用いるのが好ましい。具体的には、上述した支持体としてコート紙を使用する場合、コート紙に使用されるている熱可塑性樹脂の欄で説明した熱可塑性樹脂と同一の熱可塑性樹脂を好ましく用いることができる。
このような熱可塑性樹脂は、トナー受像層の質量に基づいて、通常、20質量%以上、好ましくは、30〜100質量%配合されることが適当である。
【0046】
トナー受像層に用いられる熱可塑性樹脂としては、特公平5−127413号や、同8−194394号、同8−334915号、同8−334916号、同9−171265号、同10−221877号各公報等に開示されている物性等を満足するものが好ましく用いられる。
本発明のトナー受像層に用いられる熱可塑性樹脂としては、受像層を形成した状態で前述の受像層物性を満足できるものが好ましい。更に好ましくは、樹脂単独でも、前述のトナー受像層に好ましい物性を満足するものが挙げられる。また、前述の物性の異なる樹脂を2以上併用することもできる。
【0047】
トナー受像層に用いられる熱可塑性樹脂としては、トナーに用いられている熱可塑性樹脂の分子量に比べ大きいものが好ましく用いられる。但し、分子量は、トナー樹脂と、トナー受像層に使用される熱可塑性樹脂との熱力学的特性の関係によっては必ずしも、前述の分子量の関係が好ましいわけではない。例えば、トナー樹脂より、トナー受像層で使用されている熱可塑性樹脂の軟化温度が高い場合、分子量は同等か、トナー受像層の熱可塑性樹脂の方が小さいことが好ましい場合がある。
トナー受像層に用いられる熱可塑性樹脂として、同一組成の樹脂の平均分子量が異なるものの混合物を用いるのも好ましい。また、トナーに用いられている熱可塑性樹脂の分子量との関係は、特開平8−334915号公報に開示されている関係が好ましい。
トナー受像層に用いられる熱可塑性樹脂の分子量分布は、トナーに用いられている熱可塑性樹脂の分子量分布より広いものが好ましい。
【0048】
トナー受像層に使用される熱可塑性樹脂は、水溶性のものであってもよい。水溶性熱可塑性樹脂としては、水可溶性であれば、その組成、結合構造、分子構造、分子量、分子量分布、形態等は特に制限されない。熱可塑性樹脂を水溶性とするためには、例えば、熱可塑性樹脂が水可溶化基を有することが必要であり、この水可溶化基の例としては、例えば、水酸基や、カルボン酸基、アミノ基、アミド基、エーテル基等が挙げられる。
水溶性熱可塑性樹脂の例としては、リサーチ・ディスクロージャー17,643号の26頁、18,716号の651頁、307,105号の873〜874頁及び特開昭64−13,546号の(71)頁〜(75)頁に記載されたものが挙げられる。具体的には、水溶性熱可塑性樹脂としては、例えば、ビニルピロリドン−酢酸ビニル共重合体や、スチレン−ビニルピロリドン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、水溶性ポリエステル、水溶性ポリウレタン、水溶性ナイロン、水溶性エポキシ樹脂等を使用することができる。
【0049】
トナー受像層は、水溶性でない熱可塑性樹脂のものについては、例えば、水分散液で、支持体上に塗布することによって調製することができる。水分散液としては、アクリル樹脂エマルション、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、SBR(スチレン・ブタジエン・ゴム)エマルジョン、ポリエステル樹脂エマルション、ポリスチレン樹脂エマルション、ウレタン樹脂エマルション等から適宜に選択され、2種以上組合せることもできる。ゼラチンの場合には、目的に応じて、石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、カルシウム等の含有量を減らしたいわゆる脱灰ゼラチンから選択できる。
【0050】
トナーのバインダーがポリエステル樹脂である場合には、トナー受像層の樹脂としてポリエステル樹脂が好ましい。
市販品のポリエステル樹脂としては、例えば、東洋紡製のバイロン290、バイロン200、バイロン280、バイロン300、バイロン103、バイロンGK−140、バイロンGK−130、花王製のタフトンNE−382、タフトンU−5、ATR−2009、ATR−2010、ユニチカ製のエリーテルUE3500、UE3210、XA−8153、日本合成化学製のポリエスターTP−220、R−188等が挙げられ、アクリル樹脂としては、市販の商品名では、三菱レイヨン(株)製ダイヤナールSE−5437、SE−5102、SE−5377、SE−5649、SE−5466、SE−5482、HR−169、124、HR−1127、HR−116、HR−113、HR−148、HR−131、HR−470、HR−634、HR−606、HR−607、LR−1065、574、143、396、637、162、469、216、BR−50、BR−52、
【0051】
BR−60、BR−64、BR−73、BR−75、BR−77、BR−79、BR−80、BR−83、BR−85、BR−87、BR−88、BR−90、BR−93、BR−95、BR−100、BR−101、BR−102、BR−105、BR−106、BR−107、BR−108、BR−112、BR−113、BR−115、BR−116、BR−117、積水化学工業製エスレックP SE−0020、SE−0040、SE−0070、SE−0100、SE−1010、SE−1035、三洋化成工業ハイマーST95、ST120、三井化学製FM601等が使用できる。ポリエステルエマルションの市販品としては、例えば、東洋紡製バイロナールMD−1250、MD−1930や、互応化学製プラスコートZ−446、Z−465、RZ−96、第日本インキ製ES−611、ES−670、高松油脂製ペスレジンA−160P、A−210、A−515GB、A−620等が好適に挙げられる。
熱可塑性樹脂の成膜温度は、プリント前の保存に対しては、室温以上が好ましく、トナー粒子の定着に対しては100℃以下が好ましい。
【0052】
本発明で使用されるトナー受像層には、上記熱可塑性樹脂の他に、トナー受像層の熱力学的特性を改良する目的で各種添加剤を配向することができる。そのような添加剤としては、例えば、可塑剤(本発明で使用される有機粒子以外のもの)や、滑り剤又は離形剤、フィラー、架橋剤、乳化物、分散物などが挙げられる。
可塑剤としては、公知の樹脂用の可塑剤を特に制限なく使用することができる。可塑剤は、トナーを定着する時の熱及び/又は圧力によって、トナー受像層が流動又は柔軟化するのを調整する機能を有する。
可塑剤としては、「化学便覧」(日本化学会編、丸善)や、「可塑剤−その理論と応用−」(村井孝一編著、幸書房)、「可塑剤の研究 上」「可塑剤の研究下」(高分子化学協会編)、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等を参考にして選択することができる。
【0053】
可塑剤は、高沸点有機溶剤や熱溶剤などとして記載されているものもあるが、例えば、特開昭59−83154号、同59−178451号、同59−178453号、同59−178454号、同59−178455号、同59−178457号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、同62−174754号、同62−245253号、同61−209444号、同61−200538号、同62−8145号、同62−9348号、同62−30247号、同62−136646号、特開平2−235694号各公報等に記載されているようなエステル類(例えば、フタル酸エステル類、リン酸エステル類、脂肪酸エステル類、アビエチン酸エステル類、アジピン酸エステル類、セバシン酸エステル類、アゼライン酸エステル類、
【0054】
安息香酸エステル類、酪酸エステル類、エポキシ化脂肪酸エステル類、グリコール酸エステル類、プロピオン酸エステル類、トリメリット酸エステル類、クエン酸エステル類、スルホン酸エステル類、カルボン酸エステル類、コハク酸エステル類、マレイン酸エステル類、フマル酸エステル類、フタル酸エステル類、ステアリン酸エステル類など)、アミド類(例えば、脂肪酸アミド類、スルホアミド類など)、エーテル類、アルコール類、ラクトン類、ポリエチレンオキシ類などの化合物が挙げられる。
可塑剤は、樹脂に混合して使用することができる。
なお、可塑剤が、滑り又は離型効果を有する場合には、このような効果を有さないものを意味する。
【0055】
また、可塑剤として、比較的低分子量のポリマーを用いることができる。この場合分子量としては、可塑化されるべきバインダー樹脂の分子量より低いものが好ましく、分子量が15000以下、好ましくは、5000以下であるものが適当である。また、ポリマー可塑剤の場合、可塑化されるべきバインダー樹脂と同種のポリマーであることが好ましい。例えば、ポリエステル樹脂の可塑化には、低分子量のポリエステルが好ましい。更にオリゴマーも可塑剤として用いることができる。
上記に挙げた化合物以外にも市販品として、例えば、旭電化工業製アデカサイザーPN−170、PN−1430や、C.P.HALL社製品PARAPLEX−G−25、G−30、G−40、理化ハーキュレス製品エステルガム8L−JA、エステルR−95、ペンタリン4851、FK115、4820、830、ルイゾール28−JA、ピコラスチックA75、ピコテックスLC、クリスタレックス3085等を挙げることができる。
【0056】
可塑剤は、トナー粒子がトナー受像層に埋め込まれる際に生じる応力や歪み(弾性力や粘性などの物理的な歪み、分子やバインダー主鎖やペンダント部分などの物質収支による歪み等)を緩和するために任意に使用することができる。
可塑剤は、トナー受像層中において、ミクロに分散された状態でもよいし、海島状にミクロに相分離した状態でもよいし、バインダー等の他の成分と十分に混合溶解した状態でもよい。
可塑剤は、トナー受像層の質量に基づいて、例えば、0.001〜90質量%、好ましくは、0.1〜60質量%、特に好ましくは、1〜40質量%で配合することが好ましい。
また、可塑剤は、スベリ性(摩擦力低下による搬送性向上)の調整や、定着部オフセット(定着部へのトナーや層の剥離)の改良、カールバランスの調整、帯電調整(トナー静電像の形成)等の目的で使用してもよい。
【0057】
本発明で任意に使用することができる滑り剤又は離形剤(本発明で使用される有機粒子以外のもの)は、本発明の電子写真用受像シートが定着時に定着加熱部材と接着しないようにすることを目的として添加される。特にトナー受像層が、定着部材との定着温度における180度剥離強さが、0.1N/25mm以下、より好ましくは0.041N/25mm以下であることが適当である。180度剥離強さは、定着部材の表面素材を用い、JIS K6887に記載の方法に準拠して測定することができる。
本発明の電子写真用受像シートに用いられる滑り剤又は離形剤としては、例えば、高級アルキル硫酸ナトリウム、高級脂肪酸高級アルコールエステル、カーボワックス、高級アルキルリン酸エステル、シリコーン化合物、変性シリコーン、硬化性シリコーン等が含まれる。
また、ポリオレフィンワックス、弗素系オイル、弗素系ワックス、カルナバワックス、マイクロクリスタリンワックス、シラン化合物も好ましく用いられる。
用いることができる滑り剤又は離形剤については、米国特許2882157号、同3121060号、同3850640号、フランス特許2180465号、英国特許955061号、同1143118号、同1263722号、同1270578号、同1320564号、同1320757号、同2588765号、同2739891号、同3018178号、同3042522号、同3080317号、同3082087号、同3121060号、同3222178号、同3295979号、同3489567号、同3516832号、同3658573号、同3679411号、同3870521号の各明細書、特開昭49−5017号、同51−141623号、同54−159221号、同56−81841号の各公報、及びリサーチ・ディスクロージャー(Research Disclosure) 13969号に記載されている。
【0058】
滑り剤又は離形剤の使用量は、5〜500mg/m2、好ましくは、10〜200mg/m2であることが適当である。定着部での定着部材へのオフセットを防止する目的のオイルを用いない、いわゆるオイルレス定着の場合の好ましい滑り剤又は離形剤の量は、例えば、30〜3000mg/m2、好ましくは、100〜1500mg/m2である。
ワックス系の滑り剤又は離形剤は、有機溶剤に溶解しにくいため、水分散物を調製し、熱可塑性樹脂溶液との分散液を調製して、塗布するのが好ましい。この場合、ワックス系の滑り剤又は離形剤は、熱可塑性樹脂中に微粒子の形で存在する。この場合、滑り剤の使用量は、5〜10000mg/m2、好ましくは、50〜5000mg/m2である。
滑り剤又は離型剤としては、例えば、シリコン系化合物や、フッ素化合物、ワックス等が挙げられる。
滑り剤又は離型剤としては、一般的には幸書房「改訂 ワックスの性質と応用」や、日刊工業新聞社発行のシリコーンハンドブック記載の化合物を用いることができる。また、特公昭59−38581号、特公平4−32380号、特登第2838498号、同2949558号、特開昭50−117433号、同52−52640号、同57−148755号、同61−62056号、同61−62057号、同61−118760号、特開平2−42451号、同3−41465号、同4−212175号、同4−214570号、同4−263267号、同5−34966号、同5−119514号、同6−59502号、同6−161150号、同6−175396号、同6−219040号、
【0059】
同6−230600号、同6−295093号、同7−36210号、同7−43940号、同7−56387号、同7−56390号、同7−64335号、同7−199681号、同7−223362号、同7−287413号、同8−184992号、同8−227180号、同8−248671号、同8−248799号、同8−248801号、同8−278663号、同9−152739号、同9−160278号、同9−185181号、同9−319139号、同9−319143号、同10−20549号、同10−48889号、同10−198069号、同10−207116号、同11−2917号、同11−44969号、同11−65156号、同11−73049号、同11−194542号各公報に記載のトナーに用いられているシリコン系化合物や、フッ素化合物、ワックス等が好適に使用される。また、これら化合物を複数組合わせて使用することもできる。
【0060】
具体的には、シリコン系化合物としては、例えば、シリコーンオイルとして無変性シリコーンオイル(具体的には、ジメチルシロキサンオイルや、メチルハイドロジェンシリーコンオイル、フェニルメチルシリコーンオイル、市販品として信越化学工業製KF−96、KF−96L、KF−96H、KF−99、KF−50、KF−54、KF−56、KF−965、KF−968、KF−994、KF−995、HIVAC F−4、F−5、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH200、SH203、SH490、SH510、SH550、SH710、SH704、SH705、SH7028A、SH7036、SM7060、SM7001、SM7706、SH7036、SH8710、SH1107、SH8627、
【0061】
東芝シリコーン製TSF400、TSF401、TSF404、TSF405、TSF431、TSF433、TSF434、TSF437、TSF450シリーズ、TSF451シリーズ、TSF456、TSF458シリーズ、TSF483、TSF484、TSF4045、TSF4300、TSF4600、YF33シリーズ、YF−3057、YF−3800、YF−3802、YF−3804、YF−3807、YF−3897、XF−3905、XS69−A1753、TEX100、TEX101、TEX102、TEX103、TEX104、TSW831、など)、
【0062】
アミノ変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−857、KF−858、KF−859、KF−861、KF−864、KF−880、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8417、SM8709、東芝シリコーン製TSF4700、TSF4701、TSF4702、TSF4703、TSF4704、TSF4705、TSF4706、TEX150、TEX151、TEX154など)、カルボキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製BY16−880、東芝シリコーン製TSF4770、XF42−A9248など)、カルビノール変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF42−B0970など)、ビニル変性シリコーンオイル(市販品として東芝シリコーン製XF40−A1987など)、エポキシ変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8411、SF8413、東芝シリコーン製TSF3965、TSF4730、TSF4732、XF42−A4439、XF42−A4438、XF42−A5041、XC96−A4462、XC96−A4463、XC96−A4464、TEX170など)、
【0063】
ポリエーテル変性シリコーンオイル(市販品として信越化学工業製KF−351(A)、KF−352(A)、KF−353(A)、KF−354(A)、KF−355(A)、KF−615(A)、KF−618、KF−945(A)、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH3746、SH3771、SF8421、SF8419、SH8400、SF8410、東芝シリコーン製TSF4440、TSF4441、TSF4445、TSF4446、TSF4450、TSF4452、TSF4453、TSF4460など)、シラノール変性シリコーンオイル、メタクリル変性シリコーンオイル、メルカプト変性シリコーンオイル、アルコール変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8427、SF8428、東芝シリコーン製TSF4750、TSF4751、XF42−B0970など)、
【0064】
アルキル変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SF8416、東芝シリコーン製TSF410、TSF411、TSF4420、TSF4421、TSF4422、TSF4450、XF42−334、XF42−A3160、XF42−A3161など)、フッ素変性シリコーンオイル(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製FS1265、東芝シリコーン製FQF501など)、シリコンゴムやシリコン微粒子(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH851U、SH745U、SH55UA、SE4705U、SH502UA&B、SRX539U、SE6770U−P、DY38−038、DY38−047、トレフィルF−201、F−202、F−250、R−900、R−902A、E−500、E−600、E−601、E−506、BY29−119、東芝シリコーン製トスパール105、120、130、145、240、3120など)、シリコーン変性樹脂(具体的にはオレフィン樹脂やポリエステル樹脂、
【0065】
ビニル樹脂、ポリアミド樹脂、セルロース樹脂、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、スチレン−アクリル樹脂などやこれらの共重合樹脂をシリコーン変性した化合物など、市販品として大日精化製ダイアロマーSP203V、SP712、SP2105、SP3023、日本油脂製モディパーFS700、FS710、FS720、FS730、FS770、東亜合成化学製サイマックUS−270、US−350、US−352、US−380、US−413、US−450、レゼダGP−705、GS−30、GF−150、GF−300、東レ・ダウコーニング・シリコーン製SH997、SR2114、SH2104、SR2115、SR2202、DCI−2577、SR2317、SE4001U、SRX625B、SRX643、SRX439U、SRX488U、SH804、SH840、SR2107、SR2115、東芝シリコーン製YR3370、TSR1122、TSR102、TSR108、TSR116、TSR117、TSR125A、TSR127B、TSR144、TSR180、TSR187、YR47、YR3187、YR3224、YR3232、YR3270、YR3286、YR3340、YR3365、TEX152、TEX153、TEX171、TEX172など)、
【0066】
反応性シリコーン化合物(具体的には、付加反応型や、過酸化物硬化型、紫外線硬化型があり、市販品として東芝シリコーン製TSR1500、TSR1510、TSR1511、TSR1515、TSR1520、YR3286、YR3340、PSA6574、TPR6500、TPR6501、TPR6600、TPR6702、TPR6604、TPR6700、TPR6701、TPR6705、TPR6707、TPR6708、TPR6710、TPR6712、TPR6721、TPR6722、UV9300、UV9315、UV9425、UV9430、XS56−A2775、XS56−A2982、XS56−A3075、XS56−A3969、XS56−A5730、XS56−A8012、XS56−B1794、SL6100、SM3000、SM3030、SM3200、YSR3022など)などが挙げられる。
【0067】
フッ素化合物としては、フッ素オイル(市販品としてダイキン工業製ダイフロイル#1、#3、#10、#20、#50、#100、ユニダインTG−440、TG−452、TG−490、TG−560、TG−561、TG−590、TG−652、TG−670U、TG−991、TG−999、TG−3010、TG−3020、TG−3510、トーケムプロダクツ製MF−100、MF−110、MF−120、MF−130、MF−160、MF−160E、旭硝子製サーフロンS−111、S−112、S−113、S−121、S−131、S−132、S−141、S−145、三井フロロケミカル製FC−430、FC−431など)、フッ素ゴム(市販品として東レ・ダウコーニング・シリコーン製LS63Uなど)、フッ素変性樹脂(市販品として日本油脂製モディパーF200、F220、F600、F2020、F3035、大日精化製ダイアロマーFF203、FF204、
【0068】
旭硝子製サーフロンS−381、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40、SA−100、トーケムプロダクツ製EF−351、EF−352、EF−801、EF−802、EF−601、TFE、TFEA、TFEMA、PDFOH、住友3M製THV−200Pなど)、フッ素スルホン酸化合物(市販品としてトーケムプロダクツ製EF−101、EF−102、EF−103、EF−104、EF−105、EF−112、EF−121、EF−122A、EF−122B、EF−122C、EF−123A、EF−123B、EF−125M、EF−132、EF−135M、EF−305、FBSA、KFBS、LFBSなど)、フルオロスルホン酸、フッ素酸化合物や塩(具体的には無水フッ酸、稀フッ酸、ホウフッ酸、ホウフッ化亜鉛、ホウフッ化ニッケル、ホウフッ化錫、ホウフッ化鉛、ホウフッ化銅、ケイフッ酸、フッ化チタン酸カリウム、パーフルオロカプリル酸、パーフルオロオクタン酸アンモニウムなど)、無機フッ化物(具体的にはフッ化アルミニウム、ケイフッ化カリウム、フッ化ジルコン酸カリウム、フッ化亜鉛4水和物、フッ化カルシウム、フッ化リチウム、フッ化バリウム、フッ化錫、フッ化カリウム、酸性フッ化カリウム、フッ化マグネシウム、フッ化チタン酸、フッ化ジルコン酸、六フッ化リン酸アンモニウム、六フッ化リン酸カリウムなど)などが挙げられる。
【0069】
ワックスとしては、石油ワックスとしてパラフィンワックス(市販品として日本精鑞製パラフィンワックス155、150、140、135、130、125、120、115、HNP−3、HNP−5、HNP−9、HNP−10、HNP−11、HNP−12、HNP−14G、SP−0160、SP−0145、SP−1040、SP−1035、SP−3040、SP−3035、NPS−8070、NPS−L−70、OX−2151、OX−2251、EMUSTAR−0384、EMUSTAR−0136、中京油脂製セロゾール686、428、651−A、A、H−803、B−460、E−172、866、K−133、ハイドリンD−337、E−139、日石三菱石油製125°パラフィン、125°FD、130°パラフィン、135°パラフィン、135°H、140°パラフィン、140°N、145°パラフィン、パラフィンワックスMなど)、
【0070】
マイクロクリスタリンワックス(市販品として日本精鑞製Hi−Mic−2095、Hi−Mic−3090、Hi−Mic−1080、Hi−Mic−1070、Hi−Mic−2065、Hi−Mic−1045、Hi−Mic−2045、EMUSTAR−0001、EMUSTAR−042X、中京油脂製セロゾール967、M、日石三菱石油製155マイクロワックス、180マイクロワックスなど)、ペトロラタム(市販品として日本精鑞製OX−1749、OX−0450、OX−0650B、OX−0153、OX−261BN、OX−0851、OX−0550、OX−0750B、JP−1500、JP−056R、JP−011Pなど)など、植物系ワックスとしてカルナバワックス(市販品として日本精鑞製EMUSTAR−0413、中京油脂製セロゾール524など)、ヒマシ油(市販品として伊藤製油製精製ヒマシ油など)、ナタネ油、大豆油、木ろう、綿ろう、ライスワックス、サトウキビワックス、キャンデリラワックス、ジャパンワックス、ホホバ油、動物系ワックスとして蜜蝋、ラノリン、鯨蝋、ステ蝋(鯨油)、羊毛蝋、
【0071】
鉱物系ワックスとしてモンタンワックス、モンタン系エステルワックス、オゾケライト、セレシンなどの天然ワックスや、脂肪酸エステル(市販品として新日本理化製サンソサイザーDOA、AN−800、DINA、DIDA、DOZ、DOS、TOTM、TITM、E−PS、nE−PS、E−PO、E−4030、E−6000、E−2000H、E−9000H、TCP、C−1100など)、合成炭化水素としてポリエチレンワックス(市販品として中京油脂製ポリロンA、393、H−481、三洋化成製サンワックスE−310、E−330、E−250P、LEL−250、LEL−800、LEL−400Pなど)、ポリプロピレンワックス(市販品として三洋化成製ビスコール330−P、550−P、660−P)、
【0072】
フィッシャートロプシュワックス(市販品として日本精鑞製FT100、FT−0070など)など、酸アミド化合物あるいは酸イミド化合物(具体的には、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミドなど、市販品として中京油脂製セロゾール920、B−495、ハイミクロンG−270、G−110、ハイドリンD−757など)、変性ワックスとしてアミン変性ポリプロピレン(市販品として三洋化成製QN−7700)、アクリル酸変性やフッ素変性、オレフィン変性ワックス、ウレタン型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−6010、HAD−5090など)、アルコール型ワックス(市販品として日本精鑞製NPS−9210、NPS−9215、OX−1949、XO−020Tなど)など、水素化ワックスとして硬化ひまし油(市販品として伊藤製油製カスターワックスなど)、ヒマシ油誘導体(市販品として伊藤製油製の脱水ヒマシ油DCO、DCO Z−1、DCO Z−3、ヒマシ油脂肪酸CO−FA、リシノレイン酸、
【0073】
脱水ヒマシ油脂肪酸DCO−FA、脱水ヒマシ油脂肪酸エポキシエステルD−4エステル、ヒマシ油系ウレタンアクリレートCA−10、CA−20、CA−30、ヒマシ油誘導体MINERASOL S−74、S−80、S−203、S−42X、S−321、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸MINERASOL RC−2、RC−17、RC−55、RC−335、、特殊ヒマシ油系縮合脂肪酸エステルMINERASOL LB−601、LB−603、LB−604、LB−702、LB−703、#11、L−164、など)、ステアリン酸(市販品として伊藤製油製の12−ヒドロキシステアリン酸など)、
【0074】
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ベヘニン酸、セバシン酸(市販品として伊藤製油製のセバシン酸など)、ウンデシレン酸(市販品として伊藤製油製のウンデシレン酸など)、ヘプチル酸(市販品として伊藤製油製のヘプチル酸など)、マレイン酸、高度マレイン化油(市販品として伊藤製油製のHIMALEIN DC−15、LN−10、00−15、DF−20、SF−20など)、吹込油(市販品として伊藤製油製のセルボノール#10、#30、#60、R−40、S−7など)、シクロペンタジエン化油(市販品として伊藤製油製のCPオイル、CPオイル−Sなど)などの合成ワックスなどが挙げられる。
本発明のトナー受像層に任意に添加される離型剤としては、これらの誘導体や、酸化物、精製品、混合物を用いることもできる。また、これらは、反応性の置換基を有していてもよい。
本発明で使用される滑り剤又は離型剤は、トナー受像層の質量を基準として、例えば、0.1〜10質量%、好ましくは、0.3〜8.0質量%、特に好ましくは、0.5〜5.0質量%とすることが適当である。
【0075】
本発明のトナー受像層に任意に添加される有機又は無機のフィラー(本発明で使用される有機粒子以外のもの)としては、バインダー樹脂用の補強剤や、充填剤、強化材として公知のものが用いることができる。フィラーとしては、「便覧ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)、「新版 プラスチック配合剤 基礎と応用」(大成社)、「フィラーハンドブック」(大成社)等を参考にして選択することができる。
また、フィラーとして、各種無機フィラー(又は顔料)を用いることができる。無機顔料としては、例えば、シリカ、アルミナ、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、雲母状酸化鉄、鉛白、酸化鉛、酸化コバルト、ストロンチウムクロメート、モリブデン系顔料、スメクタイト、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、ムライト等が挙げられる。フィラーとしては、特に、シリカや、アルミナが好ましい。二種類以上のフィラーを併用してもよい。
フィラーとしては、粒径の小さいものが好ましい。粒径が大きいと、トナー受像層の表面が粗面化し易い。
【0076】
シリカには、球状シリカと無定形シリカが含まれる。シリカは、乾式法、湿式法又はエアロゲル法により合成できる。疎水性シリカ粒子の表面を、トリメチルシリル基又はシリコーンで表面処理してもよい。シリカとしては、コロイド状シリカが好ましい。シリカの平均粒径は、例えば、4〜120nm、好ましくは、4〜90nmであることが適当である。
シリカは、多孔質であることが好ましい。多孔質シリカの平均孔径は、50〜500nmが好ましい。また、多孔質シリカの質量当りの平均孔容積は、例えば、0.5〜3ml/gが好ましい。
【0077】
アルミナには、無水アルミナとアルミナ水和物が含まれる。無水アルミナの結晶型としては、α、β、γ、δ、ζ、η、θ、κ、ρ又はχを用いることができる。無水アルミナよりもアルミナ水和物の方が好ましい。アルミナ水和物としては、一水和物又は三水和物を用いることできる。一水和物には、擬ベーマイト、ベーマイト及びダイアスポアが含まれる。三水和物には、ジブサイト及びバイヤライトが含まれる。アルミナの平均粒径は、例えば、4〜300nm、好ましくは、4〜200nmであることが適当である。アルミナは、多孔質であることが好ましい。多孔質アルミナの平均孔径は、例えば、50〜500nmであることが適当である。多孔質アルミナの質量当りの平均孔容積は、例えば、0.3〜3ml/gが好ましい。
【0078】
アルミナ水和物は、アルミニウム塩溶液にアンモニアを加えて沈澱させるゾルゲル法又はアルミン酸アルカリを加水分解する方法により合成できる。無水アルミナは、アルミナ水和物を加熱により脱水することで得ることができる。
フィラーは、添加する層のバインダーの乾燥質量に基づいて、5〜2000質量%であることが好ましい。
本発明のトナー受像層に任意に配合される架橋剤は、トナー受像層の保存安定性や、熱可塑性等を調整するために使用することができる。このような架橋剤としては、反応基としてエポキシ基や、イソシアネート基、アルデヒド基、活性ハロゲン基、活性メチレン基、アセチレン基、その他公知の反応基を2個以上分子内に有する化合物が用いられる。
【0079】
また、架橋剤として、これとは別に、水素結合や、イオン結合、配位結合等により結合を形成することが可能な基を2個以上有する化合物も用いることができる。
架橋剤としては、樹脂用のカップリング剤や、硬化剤、重合剤、重合促進剤、凝固剤、造膜剤、造膜助剤等として公知の化合物を用いることができる。カップリング剤の例としては、例えば、クロロシラン類や、ビニルシラン類、エポキシシラン類、アミノシラン類、アルコキシアルミニウムキレート類、チタネートカップリング剤などが挙げられる他、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品」(ラバーダイジェスト社編)等に挙げられた公知のものを用いることができる。
【0080】
本発明のトナー受像層には、トナーの転写や、付着等を調整したり、トナー受像層の帯電接着を防止するために、帯電調整剤を含有させることが好ましい。帯電調整剤としては、従来から公知の各種帯電調整剤を使用することができる。このような帯電調整剤としては、例えば、カチオン界面活性剤や、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン系界面活性剤等の界面活性剤等の他、高分子電解質、導電性金属酸化物等を使用できる。
例えば、第4級アンモニウム塩や、ポリアミン誘導体、カチオン変性ポリメチルメタクリレート、カチオン変性ポリスチレン等のカチオン系帯電防止剤、アルキルホスフェート、アニオン系ポリマー等のアニオン系帯電防止剤、脂肪酸エステル、ポリエチレンオキサイド等のノニオン系帯電防止剤が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0081】
トナーが負電荷を有する場合、トナー受像層に配合される帯電調整剤としては、例えば、カチオンやノニオンが好ましい。
導電性金属酸化物としては、例えば、ZnOや、TiO2 、SnO2、Al2O3 In2O3 、SiO2、MgO 、BaO、MoO3等を挙げることができる。これらの導電性金属酸化物は、単独で使用しても良く、これらの複合酸化物で使用しても良い。また、金属酸化物は、異種元素を更に含有させてもよく、例えば、ZnO に対して、Al、In等、TiO2 に対してNb、Ta等、SnO2に対しては、Sb、Nb、ハロゲン元素等を含有(ドーピング)させることができる。
【0082】
本発明で使用されるトナー受像層は、1×106 〜1×1015の範囲(25℃、65%RHの条件にて)の表面電気抵抗を有することが好ましい。1×106 Ω未満の場合は、トナー受像層にトナーが転写される際のトナー量が充分でなく、得られるトナー画像の濃度が低くなり易い。一方、表面電気抵抗が、1×1015Ωを超える場合には、転写時に必要以上の電荷が発生し、トナーが充分に転写されず、画像の濃度が低く、電子写真用受像シートの取り扱い中に静電気を帯びて塵埃が付着し易く、また複写時にミスフィード、重送、放電マーク、トナー転写ヌケなどが発生し易くなるので好ましくない。
【0083】
透明なトナー受像層の最適表面電気抵抗の範囲は、1010〜1013Ω/cm2、好ましくは、5×1010〜5×1012Ω/cm2であり、帯電防止剤の使用量は、表面電気抵抗の値がこの範囲内に入るような量であればよい。支持体に対し、トナー受像層と反対側の面の表面電気抵抗は、5×108 〜3.2×1010Ω/cm2、好ましくは、1×109 〜1×1010Ω/cm2が適している。
表面電気抵抗の測定は、JIS K 6911に準拠し、サンプルを温度20℃、湿度65%の環境下に8時間以上調湿し、同じ環境下で、アドバンテスト(株)製R8340を使用し、印加電圧100Vの条件で、通電して1分間経過した後に測定することで得られる。
【0084】
本発明の電子写真用受像シートに使用されるトナー受像層には、画質、特に白色度を改良する目的で、蛍光増白剤や、白色顔料、有色顔料、染料等を用いることができる。
蛍光増白剤は、近紫外部に吸収を持ち、400〜500nmに蛍光を発する化合物で、公知の蛍光増白剤が特に制限なく各種使用することができる。蛍光増白剤としては、K.VeenRataraman編“The Chemistryof Synthetic Dyes”V巻8章に記載されている化合物を好適に挙げることができる。具体的には、スチルベン系化合物や、クマリン系化合物、ビフェニル系化合物、ベンゾオキサゾリン系化合物、ナフタルイミド系化合物、ピラゾリン系化合物、カルボスチリル系化合物などが挙げられる。それらの例としては、住友化学製ホワイトフルファーPSN、PHR、HCS、PCS、B、Ciba−Geigy社製UVITEX−OBなどが挙げられる。
【0085】
白色顔料としては、フィラーの項で述べた無機顔料(酸化チタン、炭酸カルシウム他)を用いることができる。有色顔料としては、特開昭63−44653号公報等に記載されている各種顔料及びアゾ顔料(アゾレーキ;カーミン6B、レッド2B、不溶性アゾ;モノアゾイエロ、ジスアゾイエロ、ピラゾロオレンジ、バルカンオレンジ、縮合アゾ系;クロモフタルイエロ、クロモフタルレッド)、多環式顔料(フタロシアニン系;銅フタロシアニンブルー、銅フタロシアニングリーン、シオキサジン系;ジオキサジンバイオレット、イソインドリノン系;イソインドリノンイエロ、スレン系;ペリレン、ペリノン、フラバントロン、チオインジゴ、レーキ顔料(マラカイトグリーン、ローダミンB、ローダミンG、ビクトリアブルーB)又無機顔料(酸化物、二酸化チタン、ベンガラ、硫酸塩;沈降性硫酸バリウム、炭酸塩;沈降性炭酸カルシウム、硅酸塩;含水硅酸塩、無水硅酸塩、金属粉;アルミニウム粉、ブロンズ粉、亜鉛末、カーボンブラック、黄鉛、紺青等が挙げられる。
【0086】
染料としては、公知の種々の染料を用いることができる。油溶性染料としてはアントラキノン系化合物、アゾ系化合物などが挙げられる。水不溶性染料の具体例としては、C.I.Vatヴァイオレット1、C.I.Vatヴァイオレット2、C.I.Vatヴァイオレット9、C.I.Vatヴァイオレット13,C.I.Vatヴァイオレット21、C.I.Vatブルー1、C.I.Vatブルー3、C.I.Vatブルー4、C.I.Vatブルー6、C.I.Vatブルー14、C.I.Vatブルー20、C.I.Vatブルー35等の建染染料、C.I.ディスパーズヴァイオレット1、C.I.ディスパーズヴァイオレット4、C.I.ディスパーズヴァイオレット10、C.I.ディスパーズブルー3、C.I.ディスパーズブルー7、C.I.ディスパーズブルー58等の分散染料、C.I.ソルベントヴァイオレット13、C.I.ソルベントヴァイオレット14、C.I.ソルベントヴァイオレット21、C.I.ソルベントヴァイオレット27、C.I.ソルベントブルー11、C.I.ソルベントブルー12、C.I.ソルベントブルー25、C.I.ソルベントブルー55等の油溶性染料が有る。
【0087】
また、銀塩写真で用いられているカラードカプラーも好ましく用いることができる。
本発明の電子写真用受像シートに使用されるトナー受像層は、白色度が高い方が好ましい。白色度としてはCIE 1976(L*a*b*)色空間において、L*値が80以上であることが好ましく、より好ましくは85以上、更に好ましくは90以上である。また、白色の色味はできるだけニュートラルであることが好ましい。白色色味としては、L*a*b*空間において、(a*)2+(b*)2の値が、50以下が好ましく、より好ましくは18以下、更に好ましくは5以下である。
また、本発明のトナー受像層は、光沢性が高い方が好ましい。光沢度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、45度光沢度が60以上であることが好ましく、より好ましくは75以上、更に好ましくは90以上である。ただし、光沢度は110以下であることが好ましい。110を越えると金属光沢のようになり画質として好ましくない。
【0088】
光沢度は、JIS Z 8741に基づいて測定することができる。
また、本発明で使用されるトナー受像層は、平滑性が高い方が好ましい。平滑度としては、トナーが無い白色から最大濃度の黒色までの全領域において、算術平均荒さ(Ra)は3μm以下が好ましく、より好ましくは1μm以下、更に好ましくは0.5μm以下である。
算術平均荒さは、JIS B 0601、B 0651、B 0652に基づいて測定することができる。
【0089】
本発明で使用されるトナー受像層には、出力画像の安定性改良、また受像層自身の安定性改良のため、種々の酸化防止剤や、老化防止剤、劣化防止剤、オゾン劣化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、防腐剤、防かび剤などを配合してもよい。
酸化防止剤としては、例えば、クロマン化合物や、クマラン化合物、フェノール化合物(例、ヒンダードフェノール)、ハイドロキノン誘導体、ヒンダードアミン誘導体、スピロインダン化合物が含まれる。また、酸化防止剤としては、特開昭61−159644号公報に記載されている各種の酸化防止剤を使用することができる。
また、老化防止剤としては、例えば、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p76〜121に記載のものが挙げられる。
【0090】
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール化合物(米国特許3533794号明細書記載)や、4−チアゾリドン化合物(米国特許3352681号明細書記載)、ベンゾフェノン化合物(特開昭46−2784号公報記載)及び紫外線吸収ポリマー(特開昭62−260152号公報記載)が挙げられる。
金属錯体としては、例えば、米国特許4241155号や、同4245018号、同4254195号の各明細書、特開昭61−88256号、同62−174741号、同63−199248号、特開平1−75568号、同1−74272号の各公報に記載のものが挙げられる。
また、「便覧 ゴム・プラスチック配合薬品 改訂第2版」(1993年、ラバーダイジェスト社)p122〜137に記載の紫外線吸収剤、光安定剤も好ましく用いられる。
【0091】
更に、本発明で使用されるトナー受像層には、その他写真用添加剤として公知のものを各種用いることができる。例えば、写真用添加剤としては、リサーチ・ディスクロージャー誌(以下RDと略記)No. 17643(1978年12月)、同No. 18716(1979年11月)及び同No. 307105(1989年11月)に記載されており、その該当箇所を下記にまとめる。
添加剤の種類 RD17643 RD18716 RD307105
1.増白剤 24頁 648 頁右欄 868 頁
2.安定剤 24頁〜25頁 649 頁右欄 868〜870 頁
3.光吸収剤 25頁〜26頁 649 頁右欄 873 頁
紫外線吸収剤
4.色素画像安定剤 25頁 650 頁右欄 872 頁
5.硬膜剤 26頁 651 頁左欄 874〜875 頁
6.バインダー 26頁 651 頁左欄 873〜874 頁
7.可塑剤、潤滑剤 27頁 650 頁右欄 876 頁
8.塗布助剤 26頁〜27頁 650 頁右欄 875〜876 頁
界面活性剤
9.スタチック防止剤 27頁 650 頁右欄 876〜877 頁
【0092】
保護層
本発明の電子写真用受像シートには、表面の保護、保存性の改良、取り扱い性の改良、筆記性の付与、機器通過性の改良、アンチオフセット性の付与等の目的で、保護層をトナー受像層の表面に設けることができる。保護層は、1層であっても良いし、2層以上の層からなっていても良い。保護層には、バインダーとして各種の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等を用いることができる。好ましくは、トナー受像層と同種のものが用いられる。但し、熱力学的特性や、静電特性等は、トナー受像層と同じである必要はなく、それぞれ最適化することができる。
【0093】
保護層には、トナー受像層で用いることのできる上記のような各種の添加剤を配合することができる。特に保護層には、本発明で使用する有機粒子とともに、他の添加剤、例えば、可塑剤や、離形剤、滑り剤等を配合することができる。なお、以下に挙げる添加剤の例は、保護層以外に用いることもできる。
本発明の電子写真用受像シートの最表面層(例えば、表面保護層が使用されている場合には、表面保護層など)は、トナーとの相溶性が良いことが、定着性の観点から好ましい。具体的には、溶融したトナーとの接触角が、例えば、0〜40度であることが好ましい。
【0094】
バック層
本発明の電子写真用受像シートには、裏面出力適性付与、裏面出力画質改良、カールバランス改良、機器通過性改良等の目的で、支持体に対して、トナー受像層の反対側にバック層を設けることができる。
また、両面出力適性改良のため、バック層の構成がトナー受像層側と同様であってもかまわない。バック層には、上記トナー受像層に関連して説明した各種の添加剤を用いることができる。このような添加剤として、帯電調整剤等を配合することが適当である。バック層は、1層よりなっていても良いし、2層以上よりなっていても良い。
また、定着時のオフセット防止のため、定着ローラー等に離型性オイルを用いている場合、バック層は、オイル吸収性としてもよい。
【0095】
任意のその他の層
本発明の電子写真用受像シートは、支持体及びトナー受像層との密着性を改良する目的で、密着改良層を有してもよい。密着改良層には、上記で説明した各種の添加剤を配合することができる。特に架橋剤を用いるのが好ましい。また、本発明の電子写真用受像シートには、トナーの受容性を改良するため、密着改良層とトナー受像層との間に、クッション層を設けることができる。
更に、本発明の電子写真用受像シートは、前述の各種層以外に中間層を設けることができる。例えば、中間層は、支持体と密着改良層との間や、、密着改良層とクッション層との間、クッション層とトナー受像層との間、トナー受像層と保存性改良層との間等に配置することができる。もちろん、支持体と、トナー受像層と、中間層とからなる電子写真用受像シートの場合には、中間層は、例えば、支持体とトナー受像層との間に存在させることができる。そして、本発明で使用される有機粒子は、これらの各層に任意に添加することもできる。
【0096】
カラー電子写真用トナー
本発明の電子写真用受像シートは、印刷又は複写の際に、トナー又はトナー粒子と組合せて使用される。トナーは、一般に、着色剤と、バインダー樹脂とを主成分として構成される。
トナーに使用される着色剤としては、公知のものであれば、特に制限されることなく、各種の着色剤を使用することができる。このような着色剤としては、例えば、カーボンブラックや、アニリンブルー、カルコイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、デュポンオイルレッド、キノリンイエロー、メチレンブルークロリド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリーンオキサレート、ランプブラック、ローズベンガル、C.I.ピグメント・レッド48:1、C.I.ピグメント・レッド122、C.I.ピグメント・レッド57:1、C.I.ピグメント・イエロー97、C.I.ピグメント・イエロー12、C.I.ピグメント・イエロー17、C.I.ピグメント・ブルー15:1、C.I.ピグメント・ブルー15:3等が代表的なものとして例示される。着色剤の含有量は、トナーの質量に基づいて、例えば、2〜8質量%であることが適当である。着色剤の含有量が、2質量%より少なくなると、着色力が弱くなり易く、8質量%より多くなると、カラートナーの透明性が悪化し易い。
【0097】
トナーに使用されるバインダー樹脂としては、例えば、スチレン、クロロスチレン等のスチレン類、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソプレン等のモノオレフィン類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニル、酪酸ビニル等のビニルエステル類、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸ドデシル等のα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル類、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルブチルエーテル等のビニルエーテル類、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、ビニルイソプロペニルケトン等のビニルケトン類などの単独重合体及び共重合体を例示することができる。
【0098】
特に代表的なバインダー樹脂としては、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂、スチレン−アクリル酸アルキル共重合体、スチレン−メタクリル酸アルキル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂をあげることができる。更に、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリアミド樹脂、変性ロジン等を挙げることができる。これらの樹脂の中でも、特に電子写真用受像シートにおけるトナー受像層に用いたものと同一系統のポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。
【0099】
本発明に用いられるトナー用のバインダー樹脂は、本発明の電子写真用受像シートにおけるトナー受像層に用いた樹脂の好ましい物性と同様の物性であることが好ましい。具体的には、トナーのバインダー樹脂は、150℃において角周波数10rad/secで測定した貯蔵弾性率が10〜300Paであるものが好ましい。
トナーのバインダー樹脂は、特開平8−305067号公報等に開示されているようなシャープメルト性を有するバインダー樹脂であることが好ましい。
本発明の電子写真用受像シートと組合せて使用することのできるトナーの平均粒径は、例えば、3〜15μm、好ましくは、4〜8μmであるのが適当である。また、トナー自体の150℃における貯蔵弾性率G′(角周波数10rad/secで測定)は、10〜200Paであることが適当である。
【0100】
また、本発明の電子写真用受像シートと組合せて使用されるトナーには、外添剤を添加してもよい。外添剤としては、無機粉末及び有機粒子が使用される。無機粒子は、SiO2や 、TiO2 、Al23 、CuO、ZnO、SnO2 、Fe23 、MgO、BaO、CaO、K2 O、Na2 O、ZrO2 、CaO・SiO2 、K2 O・(TiO2n、Al23 ・2SiO2 、CaCO3 、MgCO3 、BaSO4 、MgSO4 等を例示することができる。また、有機粒子としては、脂肪酸又はその誘導体や、これ等の金属塩等の粉末、フッ素系樹脂、ポリエチレン樹脂、アクリル樹脂等の樹脂粉末を用いることができる。これらの粉末の平均粒径は、例えば、0.01〜5μm、好ましくは、0.1〜2μmであることが適当である。
【0101】
画像形成装置及び方法
本発明の電子写真用受像シートに対して、画像を形成する方法は、特に制限されるものではない。各種の電子写真法に適用することができる。
例えば、本発明の電子写真用受像シートには、カラー画像を好ましく形成することができる。カラー画像の形成は、フルカラー画像を形成し得る電子写真装置を用いて行うことができる。通常の電子写真装置は、受像シート搬送部と、潜像形成部と、潜像形成部に近接して配設されている現像部とがあり、機種によっては、装置本体の中央に潜像形成部と受像シート搬送部に近接してトナー像中間転写部を有している。
【0102】
更に、画質の向上を図るための方法として、静電転写あるいはバイアスローラ転写に代わって、あるいは併用して、粘着転写又は熱支援型の転写方式が知られている。例えば、特開昭63−113576号、特開平5−341666号公報にはその具体的な構造が記載されている。特に熱支援型転写方式の中間転写ベルトを用いた方法は、小粒径(7μm以下)のトナーを使用する場合には好ましい。該中間ベルトとしては例えば電鋳ニッケルで形成された無端状ベルトで、表面にはシリコーン又はフッ素系の薄膜を有し、剥離特性を付与したものが用いられる。また、電子写真用受像シートへのトナー転写後或いは転写後半の中間ベルトには冷却装置を設けることが好ましい。該冷却装置により、トナーはそれに使用されるバインダーの軟化温度或いはガラス転移温度以下に冷却され、効率よく電子写真用受像シートに転写し、中間ベルトからの剥離が可能となる。
【0103】
定着は、最終画像の光沢や平滑性を左右する重要な工程である。定着方式は加熱加圧ローラーによる定着、ベルトを用いたベルト定着などが知られているが、上記光沢、平滑性等の画像品質の点からはベルト定着方式の方が好ましい。ベルト定着方式については、例えば、特開平11−352819号公報に記載のオイルレスタイプのベルト定着方法、特開平11−231671号、特開平5−341666号各公報に記載の二次転写と定着を同時に達成する方法等が知られている。
上記の定着ベルトの表面は、トナーの剥離性あるいはトナー成分のオフセットを防止するためにシリコン系あるいはフッ素系あるいはその併用系の表面処理が施されていることが好ましい。また定着の後半にはベルトの冷却装置を備え、電子写真用受像シートの剥離を良好にすることが好ましい。冷却温度は、トナーバインダー及び、又は電子写真用受像シートのトナー受像層のポリマーの軟化点、あるいはガラス転移点以下にすることが好ましい。一方、定着初期には、電子写真用受像シートのトナー受像層あるいはトナーが十分に軟化する温度まで昇温する必要がある。具体的には冷却温度は70℃以下、30℃以上が実用上好ましく、定着初期においては180℃以下、100℃以上が好ましい。
【0104】
【実施例】
以下、本発明について、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、これらの実施例及び比較例は、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
なお、以下の実施例及び比較例において、「%」及び「部」は、それぞれ「質量%」を表す。
【0105】
<支持体A>
高密度ポリエチレンと低密度ポリエチレン(PE)との7:3の混合物を、以下の表1に示すように、坪量160g及び厚み151μmの上質紙のトナー受像層側の表面には、13μmの厚みとなるように、また、上質紙の裏面には、15μmの厚みとなるように、ラミネートした。次いで、得られたポリエチレン層をコロナ放電処理した後、ワイヤーコーターで両面に、下塗層用組成物を乾燥後の塗布重量が約0.1g/m2になるように塗布し、乾燥して、支持体Aを得た。
【0106】
表1
Figure 0004191903
【0107】
<下塗り層用の組成物>
ゼラチン 5g
水 1000g
【0108】
次に、支持体Aの裏面側には、下記組成のバック層用の組成物をバーコーターで乾燥膜重量が4.5g/m2になるように塗布し、乾燥して、バック層を形成した。
<バック層用組成物>
ポリエステル樹脂(バイロナールMD-1200、東洋紡製) 90g
マット剤(エポスターL15、日本触媒製) 50g
水 10000g
注)マット剤としてのエポスターL15は、融点やガラス転移温度を有さず、示差熱分析において、300℃で分解を開始するベンゾグアナミン−ホルムアルデヒド縮合体からなる平均粒径12μmのポリマー粒子である。
次いで、支持体Aの表面側には、下記組成のトナー受像層用の組成物を、ワイヤーコーターで、乾燥時の塗布重量が8g/m2になるように塗布し、乾燥して、トナー受像層を形成した。
【0109】
<トナー受像層用の組成物>
ポリエステル樹脂(タフトンU-5、花王製) 400g
二酸化チタン(タイペークA-220、石原産業製) 60g
TPP(第八化学製) 34.8g
有機粒子(表2記載) xg
メチルエチルケトン 800g
注) TPPは、可塑剤として使用されるトリフェニルフォスフェートである。
【0110】
次に、上記トナー受像層の上に、場合により、保護層として、下記組成の組成物を、乾燥時の塗布重量が、0.8g/m2となるように塗布し、乾燥して、保護層を形成した。
<上塗り層>
A515GB(高松油脂製) 1790g
LX814(日本ゼオン製) 491g
水 8900g
SH7028A(東レシリコンダウコーニング製) 740g
注)A515GBは、水分散ポリエステル樹脂である。
LX814は、バインダーとして使用される水分散アクリル樹脂である。
SH7028Aは、滑り剤又は離形剤として使用されるシロキサンの構造を有るシリコーンゴムである。
【0111】
評価方法
1)欠落及びブロッキングの評価
未プリント品のトナー受像層(光沢)面同士及びトナー受像層(光沢)面と未プリント品の裏面、並びに、プリント品の白、グレー(画像のR=G=B=50%)、黒の画像面同士、を重ねて、78hPa(80gf/cm2)の荷重をかけて、30℃、20%RHで、1週間保持した後、面の欠落及びブロッキングの状態を観察した。欠落及びブロッキングが発生した場合を×、全く生じなかった場合を○とする。
2)画質評価
電子写真用受像シートをA4に裁断し、女の人のポートレイト画像を用いて、30人中25人以上が写真的に好ましいと判断した場合を○、20人以上が好ましいと判断した場合を△、20人未満の場合を×とする。
【0112】
使用したプリンターは、図1に示す定着ベルト系としたことを除いて、富士ゼロックス製カラーレーザープリンター(DocuColor 1250−PF)を用いた。
即ち、図1に示すに定着ベルト系1では、加熱ローラ3と、テンションローラ5とにわたって定着ベルト2が懸架され、テンションローラ5には、その上方で、定着ベルト2を介して、クリーニングローラ6が設けられ、更に、加熱ローラ3の下方には、定着ベルト2を介して、加圧ローラ4が設けられている。トナー潜像を有する電子写真用受像シートは、図1において、右側から、加熱ローラ3と、加圧ローラ4との間に挿入され、定着され、次いで、定着ベルト2に載って移動し、クリーニングローラ6で清浄化される。
【0113】
この定着ベルト系においては、定着ベルト2の搬送速度は、30mm/secであり、加熱ローラ3と加圧ローラ4との間のニップ圧力は、0.2MPa(2kgf/cm2)であり、加熱ローラ3の設定温度は150℃であり、これが定着温度に相当する。なお、加圧ローラ4の設定温度は、120℃に設定した。
以下の表2では、使用した電子写真用受像シートの構造を示し、以下の表3では、上記評価方法によって評価した電子写真用受像シートのプリント前及びプリント後における特性評価結果を示す。
【0114】
表2
Figure 0004191903
Figure 0004191903
【0115】
表3
Figure 0004191903
【0116】
上記の結果から分かるように、本発明によれば、ザラツキや欠落がなく、平滑性に優れ、従って、写真性に優れているとともに、プリント前及びプリント後の電子写真用受像シートを積層した場合でも、電子写真用受像シート間の接着やブロッキングを生じない。
【0117】
【発明の効果】
本発明によれば、平滑性(光沢)に優れ、写真用途に有用であるとともに、保存中に接着やブロッキングを生じない電子写真用受像シートが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例で使用したプリンターにおける定着ベルト系の概要構成図である。
【符号の説明】
1 定着ベルト系
2 定着ベルト
3 加熱ローラ
4 加圧ローラ
5 テンションローラ
6 クリーニングローラ

Claims (3)

  1. 支持体上に熱可塑性樹脂を含有するトナー受像層を設けた電子写真用受像シートにおいて、前記支持体が原紙の片面または両面に樹脂を塗工またはラミネートした支持体であり、前記トナー受像層に含まれる熱可塑性樹脂がポリエステル樹脂であり、かつ、前記トナー受像層にガラス転移温度又は融点が、トナー受像層に画像を定着する温度以下であるポリエチレン粒子を配合し、前記ポリエチレン粒子の平均粒径が12〜30μmであることを特徴とする電子写真用受像シート。
  2. 前記ポリエチレン粒子の塗布量が0.0005〜0.6g/m2である請求項1に記載の電子写真用受像シート。
  3. 前記原紙の両面にラミネートされる樹脂が、ポリエチレン樹脂である請求項1に記載の電子写真用受像シート。
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