JP4191726B2 - 動物の処分方法および装置 - Google Patents

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Description

本発明は、動物を酸欠状態に陥らせることなく安楽死させる方法および動物用処分装置に関する。さらに詳しくは、動物の処分時、炭酸ガスや酸素を含有しないガスによる窒息の手段を用いず、揮発性麻酔薬と空気または酸素とを含む麻酔ガスを吸入させることによって死に至らしめ、苦痛を伴わないで安楽死させ得る方法および装置に関する。
捕獲された野良犬、野良猫などの動物や飼い主に捨てられたペットなどは、最終的に動物管理センターなどの施設に収容される。あるいは処置に困った飼い主から持ち込まれる動物もそうした施設に引き取られる。これらの施設においては、一定期間保護している間に、新たな引き取り手や里親を捜す努力がなされている。しかしながら、動物を収容できる期間は限られており、ある一定の期間内に新しい飼い主が見つからない場合には、動物はやむなく処分されることになる。現在、そうした施設で処分される動物の数は、毎年、膨大な数にのぼる。
人間の心を癒し、安らぎを与えたペット、人間の生存と活動に必要とされた動物の終末処分法は、動物に極力、恐怖感と身体的な苦痛を与えることなく、人道的な方法で行わなければならない。動物の安楽死処分方法として、薬剤を投与する方法(例えば、特許文献1参照)もあるが、注入する施行者に負担が大きく、安全確保からも問題が多い。二酸化炭素、窒素などの窒息性ガスを用いる方が容易であることから、ガスを用いる処分が採用されており、その実施方法および装置の提案がなされている。
上記施設における動物の処分のために、二酸化炭素を用いる方法および移動式設備が開示されている(特許文献2)。しかしながら、現在まで広く行われている二酸化炭素を使用し処分する方法は、酸欠状態で窒息し苦悶する可能性もあり、そうした安楽死処分に疑問が投げかけられた。そこで、麻酔ガスと上記窒息性ガスとを併用する方式も提案されている(特許文献3)。この場合、動物を麻酔下で窒息させるが、酸欠状態を経て致死させることに変わりはない。加えてガスの導入のタイミング、濃度などの調整などが必要となって煩雑である他、装置そのものも複雑となり、コストの上昇を招く。
また、現状では処分後の二酸化炭素がそのまま大気に放出されているケースも多く、地球環境保護の観点からも好ましいとは言えない。使用した二酸化炭素を回収する方法も提案されてはいるが(特許文献4)、回収された二酸化炭素を再利用するためには精製装置も必要となる。動物処分装置に好適とされる圧力スイング吸着法を用いて精製するとしても、再利用までの保管も含めて装置全体の大型化は免れない。
US2003/0159659 特許第2987772号 特開2005−143389号公報 特開2003−38090号公報
本発明はこのような背景の下になされたものであり、動物管理センターなどの施設において、二酸化炭素や酸素以外のガスによる窒息の手段を用いず、動物の処分時の苦痛をなくして、比較的短時間で処分させることができる方法および装置を提供することを課題とする。
本発明者らは、前記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、処分の対象となる動物に3%以上の麻酔ガスを吸入させることによって麻酔をかけ、その状態を一定時間持続させることにより動物を安らかに死へ至らしめ、動物を安楽死させる方法および装置を用いることにより前記課題を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。すなわち本発明は、以下の[1]〜[7]に関する。
[1]処分の対象となる動物に、気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素とからなる麻酔ガスを、酸欠状態にならない酸素濃度に保ち、かつ、その揮発性麻酔薬濃度をコントロールしながら吸入させて眠らせ、覚醒がないまま致死させることを特徴とする、動物の処分方法。
[2]前記揮発性麻酔薬が、ハロセン(1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエタン)、イソフルラン(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチル ジフル
オロメチルエーテル)、セボフルラン(フルオロメチル 2,2,2―トリフルオロ―1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル)、エンフルラン(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル ジフルオロメチルエーテル)、デスフルラン(1,2,2,2−テ
トラフルオロエチル ジフルオロメチルエーテル)から選ばれる1種または2種以上の混合物であることを特徴とする[1]に記載の動物の処分方法。
[3]前記揮発性麻酔薬が、イソフルラン(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチル ジフルオロメチルエーテル)、セボフルラン(フルオロメチル 2,2,2―トリ
フルオロ―1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル)から選ばれる1種または2種の
混合物であることを特徴とする[1]に記載の動物の処分方法。
[4]吸入させる揮発性麻酔薬の濃度が3%〜80%であることを特徴とする[1]〜[3]のいずれかに記載の動物の処分方法。
[5]前記揮発性麻酔薬が、病院または動物用処分装置から余剰麻酔ガスとして回収されたものであることを特徴とする[1]〜[4]のいずれかに記載の動物の処分方法。
[6]処分する動物を収納する処理室1と、気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素とからなる麻酔ガスを該処理室1に供給する装置2と、水封されているタンクに揮発性麻酔薬を液化回収する装置3と、該処理室1から排出された処理ガスについて揮発性麻酔薬を液化回収処理する前に該処理ガスを一時的に貯蔵しておくための貯蔵タンク設備4、および該貯蔵タンク設備4に溜められた揮発性麻酔薬の濃度を希釈するためのブロワー5とを備えていることを特徴とする動物用処分装置。
[7]麻酔ガスを供給する装置2がパージ用ブロワー7を備えた処理室1に接続され、さらに該処理室1から排出された処理ガスを一時的に貯蔵しておくための貯蔵タンク設備4が該処理室1に接続され、水封されているタンクに揮発性麻酔薬を液化回収する装置3が該貯蔵タンク設備4に接続され、かつ、該貯蔵タンク設備4とその液化回収する装置3との間に、該貯蔵タンク設備4に溜められた揮発性麻酔薬の濃度を希釈するためのブロワー5が接続されていることを特徴とする[6]に記載の動物用処分装置。
本発明の動物を安楽死させる方法および動物用処分装置を用いれば、動物に気化した揮発性麻酔薬をキャリアーガスの空気または酸素とともに吸入させて麻酔をかけて、その状態を一定時間保つことによって安らかに死へ至らしめるが、動物は、揮発性麻酔薬によってすでに中枢神経が麻痺しているので苦痛を感じることはない。従って、本発明によれば
、動物を従来のように酸欠状態に陥らせて窒息死させ、苦しめるというようなことがなく安楽死させることができる。
また、実質的には揮発性麻酔薬のみを使用するため、煩雑な作業がなく簡便であることのほかに、使用した揮発性麻酔薬を液化回収するが、その作業、再使用までの保管も極めて容易であり、装置も大型化しない。揮発性麻酔薬は高価であるためコスト的に有利であり、また、地球温暖化係数を有するこれらの麻酔物質を回収することができるため、環境保全上有益である。
[発明の詳細な説明]
以下、本発明について詳しく説明する。
本明細書で、「処分」とは、対象とする動物(人間を含まない)を安楽死に至らせる処理全般をいう。特に望ましくは動物の保護および管理に関する法令に則った所定の手続きを踏み、社会通念上許容される安楽死である。「動物管理センター」とは、動物の保護と管理を行い、処分の権限をも与えられた公的または民間の機関をいう。日本では保健所などが該当する。
本明細書でいう「動物」とは、人間を含まない動物であり、幅広く解されるべきである。すなわち、人間以外の脊椎動物であり、具体的にはイヌ、ネコなどの愛玩動物、家畜、家禽類、野生動物などである。また、本発明に用いられる「麻酔ガス」は、気化した揮発性麻酔薬ならびに酸素および/または空気を含む気体混合物である。好ましくは気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素とからなる麻酔ガスである。
処分方法
まず、本発明である動物の処分方法について説明する。その処分方法は、
処分の対象となる動物に、気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素とからなる麻酔ガスを、酸欠状態にならない酸素濃度に保ち、かつ、その揮発性麻酔薬濃度をコントロールしながら吸入させて眠らせ、覚醒がないまま致死させる。
麻酔ガスを吸引して眠りに入った動物は、死に至るまで、終始、酸欠状態に陥ることのないようにされ、吸入された揮発性麻酔薬の作用により再び覚醒させないで安楽死させることを特徴としている。
処分される動物は、麻酔物質を吸入させるために、処理室に収容するか、または各個体に対して個別に吸引マスクのようなものを使用して、麻酔ガスとして麻酔物質を吸入させる。動物に吸引させる麻酔ガスは、動物各個体に対して、吸入マスクなようなもので個別に麻酔をかけると使用する揮発性麻酔薬の量が少なくて済む。この方法を用いてもよいが、動物が興奮状態の場合、不動化させることが困難であることが多いため、全体が密閉できる構造である処理室を使用することが好ましい。しかし、これに限定するものではなく、処理室としての機能性に支障が出ない程度の通気が可能であるものでも使用できる。また、使用する揮発性麻酔薬は気化しても、通常、空気より重いため、上方が開放された升状構造(ピット状構造)であってもよく、動物に密閉による恐怖感を抱かせないので好都合である。また、処理室は、複数の動物に同時に麻酔をかけることができるよう大きなものでもよいし、個別に麻酔をかけられるよう小さく区分されているものでもよく、その大きさと形態は特に限定されない。
本発明において対象とする動物に麻酔ガスの成分として吸入させる麻酔物質は、揮発性麻酔薬であり、病院などの医療現場で全身麻酔の処置に笑気ガスとともに吸入麻酔薬として用いられている化合物が好適である。本発明に好適な揮発性麻酔薬として、例えば、ハロセン(1,1,1−トリフルオロ−2−ブロモ−2−クロロエタン)、イソフルラン(
1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチル ジフルオロメチルエーテル)、セボフル
ラン(フルオロメチル 2,2,2―トリフルオロ―1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル)、エンフルラン(2−クロロ−1,1,2−トリフルオロエチル ジフルオロ
メチルエーテル)、デスフルラン(1,2,2,2−テトラフルオロエチル ジフルオロ
メチルエーテル)から選ばれる1種または2種以上の混合物などが挙げられる。
そのなかでも特に、イソフルラン(1−クロロ−2,2,2−トリフルオロエチル ジ
フルオロメチルエーテル)、セボフルラン(フルオロメチル 2,2,2―トリフルオロ―1−(トリフルオロメチル)エチルエーテル)から選ばれる1種または2種の混合物で
あることが望ましい。
上記の揮発性麻酔薬はいずれも沸点が60℃未満であり、常温では液体である。いずれも蒸気圧が高く、気化させて使用される。
上記の揮発性麻酔薬は、麻酔ガスの有効成分として動物に吸入させるために空気または酸素によって同伴され、公知の技術や装置、例えば、手術で使用される麻酔器を使用することができ、特に限定されない。通常、人間の麻酔目的においては、キャリアガスとして酸素を用いるが、本発明の用途においては、揮発性麻酔薬の効果の向上や深麻酔下での死に至るまでの時間を短縮するためにも、またコスト的な面からも空気を使用することが好ましい。通常、室温で液体である揮発性麻酔薬に空気を吹き込み、バブリングさせて揮発性麻酔薬を気化させるため、動物に吸入させるまでにその濃度を空気により調整すればよい。実際に処分する動物に吸引させる麻酔ガスは、このように気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素との混合気体であり、その調製と濃度調整は容易である。複数のガス(例えば、炭酸ガス、窒素、笑気、酸素など)を用いる従来方法に見られる、各ガスの濃度調節、導入タイミングの設定といった煩わしさはない。
麻酔ガス中の気化麻酔薬の濃度は、液状揮発性麻酔薬に空気または酸素を吹き込み、気化させるときの温度で調整することができる。麻酔ガスに含まれる空気または酸素は、動物に吸入させるまでの揮発性麻酔薬のキャリアとして、濃度調整のための希釈のため、さらに吸入した動物が酸欠状態に陥らないようにする役割がある。揮発性麻酔薬の濃度は、通常3%以上、好ましくは3%〜80%、より好ましくは5%〜50%、特に好ましくは7%〜40%に設定され、動物が死にいたる一定時間、例えば10分〜20分間程度麻酔を持続させる。動物の様子を見て気化した麻酔薬濃度を適宜変えてもよく、また必要に応じて酸素濃度を増してもよい。麻酔下での持続される時間は、動物の大きさや種類によって個体差があるため特に限定されないが、安楽死の効果を発揮する時間が採用される。イヌ、ネコの場合には、通常25分間ほどで死に至ることが多い。
揮発性麻酔薬を吸引した動物は、麻酔ガスの作用によって麻酔作用により中枢神経が麻痺し、麻酔状態となる。この状態は、通常、手術が行われるのと同様であり、意識消失、無痛状態となるため動物は苦痛を感じることはない。揮発性麻酔薬を含む麻酔ガスを供給している限り、覚醒に戻ることはなく、揮発性麻酔薬が致死的な濃度以上であれば不可逆的に死に至る。その間、麻酔ガスには適当量の酸素が含まれるために酸欠状態に陥ることはない。本発明方法は、揮発性麻酔薬の薬理作用に基づくのであり、酸欠状態に陥らせて窒息死させる従来方法とは異なる。
また、上記の揮発性麻酔薬はその沸点が23〜58℃の範囲にあるために、揮発性麻酔薬回収装置などを用いることによって容易に液化回収することができる。液化回収された揮発性麻酔薬は、通常、さらに精製する必要なく再び使用することができる。または、病院に設置された手術室から排出される余剰麻酔ガスを回収処理する装置などによって回収される揮発性麻酔薬を再使用してもよい。このため、一般的に高価な揮発性麻酔薬の有効利用が可能となり、コスト的に非常にメリットが生じる。
動物用処分装置
次に本発明の動物用処分装置について説明する。本装置は、基本的に
処分する動物を収納する処理室と、その処理室に気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素とからなる麻酔ガスを供給する装置とを備えており、その処理室内で麻酔ガスを吸入した動物が、眠って酸欠状態に陥ることなく、短時間に死に至ることを特徴としている。
この装置内に収容され、麻酔ガスを吸入した動物は、それに含まれる揮発性麻酔薬の作用により中枢神経が抑制され、次第に深麻酔状態に陥り、やがて呼吸機能が停止し安らかに死へ至る。使用される麻酔ガスは上記のとおりである。
本発明の装置は種々の実施の形態において、本発明の趣旨に沿って任意の変形、変更が可能であり、それらは本発明に含まれる。すなわち、本発明の装置の全体または一部について、構造、構成、配置、形状形態、寸法、材質、方式、方法などを本発明の趣旨に合致する限り、種々のものにすることができる。
次に本発明の動物用処分装置の好ましい態様を、図1および2を用いて説明する。本発明の動物用処分装置は、
処分する動物を収納する処理室1と、気化した揮発性麻酔薬と空気または酸素とからなる麻酔ガスを該処理室1に供給する装置2と、水封されているタンクに揮発性麻酔薬を液化回収する装置3と、該処理室1から排出された処理ガスについて揮発性麻酔薬を液化回収処理する前に該処理ガスを一時的に貯蔵しておくための貯蔵タンク設備4、および該貯蔵タンク設備4に溜められた揮発性麻酔薬の濃度を希釈するためのブロワー5とを備えていることを特徴としている。さらに処理室1から揮発性麻酔薬をパージするためのブロワー7を処理室1に別途に接続させてもよい。
上記装置の構成において、麻酔ガスを供給する装置2がパージ用ブロワー7を備えた処理室1に接続され、さらに該処理室1から排出された処理ガスを一時的に貯蔵しておくための貯蔵タンク設備4が該処理室1に接続され、水封されているタンクに揮発性麻酔薬を液化回収する装置3が該貯蔵タンク設備4に接続され、かつ、該貯蔵タンク設備4とその液化回収する装置3との間に、該貯蔵タンク設備4に溜められた揮発性麻酔薬の濃度を希釈するためのブロワー5が接続されている。
殺処分の対象となる動物を処理室1内に収容した後に、麻酔ガスが所要量の空気または酸素とともに処理室内に揮発性麻酔薬供給装置2より供給される。処理室内の麻酔ガス濃度は、キャリアガスの空気または酸素の量などによってコントロールすることができ、酸素濃度は、例えば20%以下にならないように制御される。通常、気化した揮発性麻酔薬の濃度は、上記のとおり、揮発性麻酔薬の気化器の温度をコントロールさせることで所定の濃度まで適宜選択することができる。
動物が揮発性麻酔ガスを吸い込むと、動物は麻酔ガスによる麻酔作用により中枢神経が麻痺し、麻酔状態となる。この時点では、酸素または空気が供給されているので、動物が酸欠状態に陥ることはない。揮発性麻酔薬の濃度が高い状態で一定時間吸引し続けると、次第に呼吸が弱まりやがて呼吸機能は停止し死に至る。処理後は、例えば揮発性麻酔薬供給装置2の麻酔物質の供給を停止し、酸素または空気のみを供給するか、あるいは処理室1のパージ用ブロワー7により、V1とV4を開け大気を吸引し処理室内の麻酔物質をパージするか、または連続して処理する場合には、パージなしとすることも可能である(図2参照)。
一時的に該処理ガスを貯蔵しておくためのタンク設備4のV2とV3は、流通させる揮発性麻酔薬の濃度によって、揮発性麻酔薬を直接希釈ブロワーで希釈しながら液化回収するか、または、一時的に貯蔵した後に希釈ブロワーで希釈しながら液化回収するか、いずれか選択してもよい。またいずれの系においても、希釈ブロワー5を使用せずに直接液化回収してもよい。
また、処理室1と麻酔ガスを供給する装置2間の配管については、結露が生じることがあるので、断熱処理または、加熱保温できるようにすることが好ましく、さらに好ましくはドレインバルブを設置することが望ましい。
さらに、処理室1とV2の間、および処理室1とV4の間には、動物の体毛を除去するフィルターを設置し、配管の閉塞を防ぐ措置を講ずることが好ましい。
揮発性麻酔薬の回収は、処理室1から排出された処理ガスを常圧で冷却することにより、気化した揮発性麻酔薬を液化させる方式が採用される。使用する揮発性麻酔薬はいずれも沸点が60℃未満であることから容易に液化させることができ、略完全に回収することが可能である。好都合にもその精製が同時に達成されるため、きわめて効率的な回収方法である。二酸化炭素のような気体の回収の場合と異なり、揮発性麻酔薬がいったん液体となればその容積も激減し、取り扱いと保管も極めて容易になる。なお、本発明における揮発性麻酔薬の回収装置として、現在、病院で使用されている余剰麻酔ガスの回収装置と同様の装置をそのまま接続して使用することができるというさらなる利点がある。
以上、図1および図2を参照して説明をしたが、これらの図はこの発明を理解できる程度に概略的に示してあるにすぎない。つぎに実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。
処分する成犬1頭を170リットルの密閉した処理室1に収容し、揮発性麻酔薬を供給する装置2に揮発性麻酔薬である、イソフルランとセボフルランとの混合物を注入した。揮発性麻酔薬は、25℃に設定したガラス気化器を毎分6リットルの空気でバブリングを行うことにより気化させ、処理室1に供給した。麻酔ガスとして上記条件にてイソフルランとセボフルランとの混合物を供給したところ、約5分後から麻酔効果が生じ、意識消失、無痛状態に陥り、揮発性麻酔薬の供給を開始から30分以内で順次、呼吸停止、心停止となった。上記期間の間に処理動物が苦痛を感じる様子は観察されなかった。
なお、本発明の実施例における使用物質の濃度、使用量、処理時間、処理温度等の数値的条件、処理方法等はこの発明の範囲内の好適例にすぎない。本発明はこれらの実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更が可能である。
現在、日本を含む世界各国に設置されている動物管理センターまたは処分施設では、そのほとんどが炭酸ガスによる方法で処分の実施がなされている。その施設のほとんどにおいて、本方法に置き換えることは容易にできると考えられる。
また、病院で使用された揮発性麻酔薬の回収は、今後増加するものと考えられるが、回収された揮発性麻酔薬の再利用の用途として極めて有用であり、したがって本発明は有効利用および環境保全の観点から、産業上利用可能性が充分考えられる。
図1は、本発明に係る動物用処分装置の第1の実施例を示すブロック図である。本発明の動物用処分装置の1例を示しており、処分する動物を収納する処理室、揮発性麻酔薬供給装置、揮発性麻酔薬の液化回収装置、処理ガスの貯蔵タンク設備、ブロワーから構成される。 図2は、本発明に係る動物用処分装置の第2の実施例を示すブロック図である。図1に示した装置からパージ用ブロワー7を除去したものである。
符号の説明
1 処理室
2 揮発性麻酔薬供給装置
3 揮発性麻酔薬回収装置
4 貯蔵タンク
5 希釈用ブロワー
6 フィルター
7 パージ用ブロワー
V1〜V4 バルブ

Claims (6)

  1. 処分の対象となる動物に、病院または動物用処分装置から液化回収された余剰麻酔ガスと空気もしくは酸素とからなる気体混合物を吸入させ、しかも死に至るまで、終始、酸欠状態にならない酸素濃度を保ち、かつ、その麻酔ガス濃度をコントロールしながら吸入させて眠らせ、苦痛および覚醒がないまま致死させることを特徴とする、動物の処分方法。
  2. 前記余剰麻酔ガスが、病院に設置された手術室から排出される余剰麻酔ガスを大気に放出させないで回収処理する装置によって液化回収されるものである、請求項1に記載の動物の処分方法
  3. 前記余剰麻酔ガスが少なくともセボフルランを含む、請求項1または2に記載の動物の処分方法
  4. 吸入させる麻酔ガス濃度が3%〜80%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の動物の処分方法。
  5. 処分する動物を収納する処理室1と、病院または動物用処分装置から液化回収された余剰麻酔ガスと空気もしくは酸素とからなる気体混合物を該処理室1に供給する装置2と、水封されているタンクに揮発性麻酔薬を液化回収する装置3と、該処理室1から排出された処理ガスについて揮発性麻酔薬を液化回収処理する前に該処理ガスを一時的に貯蔵しておくための貯蔵タンク設備4、および該貯蔵タンク設備4に溜められた揮発性麻酔薬の濃度を希釈するためのブロワー5とを備え、請求項1〜4のいずれかの方法を実施するための動物用処分装置。
  6. 麻酔ガスを供給する装置2がパージ用ブロワー7を備えた処理室1に接続され、さらに該処理室1から排出された処理ガスを一時的に貯蔵しておくための貯蔵タンク設備4が該処理室1に接続され、水封されているタンクに揮発性麻酔薬を液化回収する装置3が該貯蔵タンク設備4に接続され、かつ、該貯蔵タンク設備4とその液化回収する装置3との間に、該貯蔵タンク設備4に溜められた揮発性麻酔薬の濃度を希釈するためのブロワー5が接続されていることを特徴とする請求項5に記載の動物用処分装置。
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