JP3149970U - Psa酸素濃縮器を用いた空気循環方式 - Google Patents
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Abstract
【課題】PSA酸素濃縮器を用いて、患者に苦痛を与えることなく酸素吸入を有効に行うことができる酸素投入システムを提供する。【解決手段】酸素吸入を必要とする者又は動物を収容する酸素テント1の内部の空気を酸素と窒素とに分離するゼオライトを利用して、内部の空気から分離した酸素を前記酸素テントの内部に供給することにより酸素テントの内部の空気を循環させるPSA酸素濃縮器2を用いた空気循環方式であって、前記者又は前記動物の呼気により発生した炭酸ガスを含み、大気よりも高い酸素濃度となる空気を内部から連通手段3,4を介して前記PSA酸素濃縮器に送り、酸素テントの内部から前記PSA酸素濃縮器に送った空気を前記ゼオライトによって酸素と窒素に分離し、前記ゼオライトにより分離された酸素を前記PSA酸素濃縮器から連通手段を介して酸素テントの内部に供給する。【選択図】図1
Description
本考案は、入院中の患者や在宅患者に対する酸素吸入或いは、美容のための酸素吸入或いは運動後における酸素吸入或いはリラクゼーションのための酸素吸入或いは動物に対する酸素吸入等に適用するPSA酸素濃縮器を用いた酸素投入方式に関する。
従来、酸素投与を必要とする受容者例えば患者への酸素供給源として、高圧酸素ボンベ又は病院内の酸素配管設備が一般的に用いられている。
ところが、近年は、欧米及び日本において、在宅患者の酸素療法に際しては、高圧の酸素ボンベを身辺に置く危険性や、搬送の困難さを軽減するために、酸素濃縮器を使用する事例が多くなってきている。
酸素濃縮器は、特許文献1および2で示すように、空気中の窒素ガスと酸素ガスとを分離し、窒素ガスを排除して高濃度の酸素ガスのみを患者に供給する装置で、このガス分離方式には大別して分子膜を応用した比較的低濃度の30〜40%酸素の濃度が得られる「膜式」と指称される方式と、酸素濃度90%以上を確保できるゼオライトを備えた「PSA方式」とがあり、近年は酸素ボンベと同等の治療効果が得られる理由から、圧倒的にPSA方式の酸素濃縮器が活用されている。
ちなみに、米国では、約150万人の患者がPSA方式の酸素濃縮器を利用し、日本国内でも13万人の患者がその恩恵に浴していると言われており、発展途上国においても、酸素ボンベの供給が不便な地域では、PSA方式の酸素濃縮器が急速に普及してきている。
また、酸素濃縮器のような簡便に吸入酸素供給源が得られる事により、従来の重篤患者及び呼吸器疾患の患者への酸素供給だけでなく、老人の痴呆防止や酸素の美容効果に着目しての医学的な研究も進み実用化されつつある。
入院患者などへの酸素投与は、特許文献1で示されるように、カニューラ等を用いて鼻腔を経由して行われるが、その投与方法は決して快適なものではなく、また、外気を混合しながらの酸素吸入となるため、患者の呼吸動作によっても一定の酸素濃度で吸入されない惧れがある。そのため、以前は、「酸素テント」と称して、患者のベッドの周囲をビニールなどのシートで覆い、その中に酸素を供給して、酸素濃度25%〜40%程度の酸素リッチの環境を作り、高濃度の酸素を自然な呼吸状態で吸入させる装置が用いられていたが、現在は後述する理由から殆んど実用化されていない。
現在、医療現場で活用されているものとしては、新生児未熟児に用いられる保育器が存在する。また、上記の用途以外に、酸素投与として、カニューラやマスクを用いることができない犬や猫などの動物に対しては、動物を収容しているケージの周辺をプラスチック板などにより閉鎖し、その中に酸素を供給して、動物の生活空間全体を酸素リッチの状態として、治療に必要な酸素投与が行われている。
図2は、患者が伏すベッド10の周囲をビニールなどのシート11で覆い、このように構成された酸素テント内に、酸素ボンベ12により外部から酸素aを供給してテント内を酸素リッチの状態とした場合の構成を示しており、患者は酸素テント内において、酸素濃度の高い空気を吸入し、呼気はベッド10を通じて矢印bで示すようにその下方から外部に自然排出される。
ところで、酸素テント内に放出される患者の呼気中には、当然ながら炭酸ガスが含まれており、また酸素テント内に放出される呼気の全てを効率よく外部に排出する構成となっていないので、酸素テント内に徐々にではあるが、炭酸ガスが蓄積され、かつ、それが高濃度となり、患者は酸素リッチの空気を吸入するだけでなく、同時に高濃度の炭酸ガスをも吸入することになる。高濃度の炭酸ガスは、呼吸中枢神経に対する影響が大きく、非常に憂慮すべき結果を招く事になるので、酸素テント内の炭酸ガス蓄積防止の手段を積極的に講じないかぎり、酸素テントを用いた酸素投与方式は、治療のみならず逆に危険性を伴う惧れがある。
上記において、酸素テント内の炭酸ガス蓄積を防止する手段として、従来は、次の二つの方法が考えられている。その第1は、酸素テント内に大量の酸素を送り込んで、呼気の殆んどを酸素テント外に積極的に排出する方法であり、その第2は、酸素テント内に炭酸ガス吸収装置を装備する方法である。前記第1の方法は、例えば酸素テント内の容積を2立方メーターとした場合、毎分1,000リッターの酸素又は空気を送り込むとすると、2分間でテント内の空気は入れ替わり、これによって炭酸ガスの蓄積は回避できる。また、第2の方法は、炭酸ガス吸収剤を備えた装置を別途設けて、酸素テント内の空気を常時循環させながら炭酸ガスのみを選択的に除去する方法である。
ところで、上記した第1の方法においては、現実に高濃度酸素の気体を毎分1,000リッターもテント内に送り込むことは、多くの点で相当の困難性を伴い現実的ではない。また、上記した第2の方法によれば、有効的な能力を持たせるには、新生児保育器のように、小さな空間以外は経済的負担が大きすぎるばかりでなく、炭酸ガス吸収剤は消耗が激しく、また消耗度については、吸収剤の色の変化を視認することにより監視できるが、電気的手段により監視することができないので、常時目視して居なくてはならず、また、頻繁に吸収剤の交換を行う必要があり、そのため長期間連続して治療を継続することが要求される酸素吸入療法のような場合、医療従事者への負担が大き過ぎると同時に、医療事故防止の観点から危険である。そこで、本願考案は、患者を、カニューラやマスクの束縛から解放し、しかも効率良く安全に長時間酸素療法を継続することができる酸素投与方式を提供しようとするものである。
本願考案は、酸素吸入を必要とする者又は動物を収容する収容室の内部の空気を酸素と窒素とに分離するゼオライトを利用して、前記収容室の内部の空気から分離した酸素を前記収容室の内部に供給することにより前記収容室の内部の空気を循環させるPSA酸素濃縮器を用いた空気循環方式であって、前記者又は前記動物の呼気により発生した炭酸ガスを含み、大気よりも高い酸素濃度となる空気を前記収容室の内部から連通手段を介して前記PSA酸素濃縮器に送り、前記収容室の内部から前記PSA酸素濃縮器に送った空気を前記ゼオライトによって酸素と窒素に分離し、前記ゼオライトにより分離された酸素を前記PSA酸素濃縮器から連通手段を介して前記収容室の内部に供給するPSA酸素濃縮器を用いた空気循環方式(空気循環システム)。
本願考案によれば、収容室内の空気をPSA酸素濃縮器を通して強制循環させる構成であるから、収容室内に貯留する患者の呼気に伴う炭酸ガスは、PSA酸素濃縮器に備えられているゼオライトにより大きく吸収分離され、その分離された炭酸ガスは外気に排出されるので、収容室内に貯留する炭酸ガスにより患者に与える障害を回避することができるばかりでなく、大気よりも酸素濃度の高い収容室内の空気をPSA酸素濃縮器に導いて再利用するので、酸素生成効果が高く得られ、かつ、省エネルギー化をはかることができるなどの利点を有する。
以下、図面にもとづいて本願考案の実施の形態を詳述する。
図1において、1は酸素吸入者を収容する収容室として、患者が伏すベッドの周囲をビニールなどのシートで覆って形成された酸素テントを示しており、この酸素テント1は、周知のように、ベッドの周囲を覆ったシートの下縁(裾)は開放状態にあり、従って医療従事者がシートの下縁から酸素テント1内に自由に出入可能な状態となっている。
図1において、1は酸素吸入者を収容する収容室として、患者が伏すベッドの周囲をビニールなどのシートで覆って形成された酸素テントを示しており、この酸素テント1は、周知のように、ベッドの周囲を覆ったシートの下縁(裾)は開放状態にあり、従って医療従事者がシートの下縁から酸素テント1内に自由に出入可能な状態となっている。
2はゼオライトを備えたPSA酸素濃縮器を示しており、このPSA酸素濃縮器2は、周知のように、これに備え付けのコンプレッサーを介して新鮮な外気cを吸引して、空気中の酸素ガスと窒素ガスとをゼオライトにより分離し、この分離された酸素ガスは、例えばパイプから成る連通手段3を介して酸素テント1内に供給され、これによって酸素テント1内は、酸素リッチの状態となると共に、分離された他方の窒素ガスは前記コンプレッサーを介して排出口dから器外に排出される。
4は、酸素テント内に貯留する空気を、酸素濃縮器に備え付けのコンプレッサーにより吸引して、酸素濃縮器2に戻すための例えばパイプなどから成る連通手段であって、前記コンプレッサーの作動によって酸素テント1内の空気は、酸素濃縮器2を通して強制的に循環される。
しかして、上記したように、ゼオライトを備えたPSA酸素濃縮器2を通して酸素テント1内の空気を循環させることにより、以下に述べるような利点を有する。即ち、考案者は、PSA酸素濃縮器に使用されており、かつ、一般的に酸素と窒素の分離剤としてのみ認識されていたゼオライトに着目し、該ゼオライトについて種々実験した結果、ゼオライトには、高能率の炭酸ガス吸収能力が存在することを解明し、これに着目した。
即ち、表1は、ゼオライトによる大気中のガス分析値を示しており、表1から明らかなように、ゼオライトにより酸素濃縮器が、当然ながら高濃度の酸素を生成しているが、大気中に存在した500ppmの炭酸ガスが0.8ppmに減少している。
このことは、PSA酸素濃縮器が備えているゼオライトには、高能率の炭酸ガス吸収能が存在することを証明している。
しかして、本願考案によれば、ゼオライトを備えたPSA酸素濃縮器により酸素テント内の空気を強制的に循環させて、酸素テント内の空気を酸素濃縮器に通すことにより、高濃度の酸素を酸素テント内に供給することができると共に、患者の呼気に伴って酸素テント内に貯留する炭酸ガスをも吸収し、このようにして酸素濃縮器を介して分離された窒素ガスと炭酸ガスは、酸素濃縮器の排気口dから外気に排出されて大気中で薄められる。
さらにまた、本願考案によれば、以下に述べるような利点を有する。即ち、従来の酸素濃縮器においては、専ら酸素濃縮器周辺の酸素濃度21%程度の外気のみを器内のコンプレッサーにより取り入れ、この外気を分離することによって得られた酸素を患者に対する酸素供給源として使用するにすぎなかったが、本願考案によれば、酸素テント内の空気を、酸素濃縮器を通して再び酸素テント内に供給する強制循環方式であり、酸素テント内の空気には当然ながら患者の呼気に伴う炭酸ガスのみならず、酸素濃度40%近くの酸素ガスも含んでおり、この高濃度の酸素ガスを再利用することになるので、酸素生成効率が高まり、省エネルギー化をはかることができる。
1 酸素テント
2 PSA方式酸素濃縮器
3、4 連通手段
2 PSA方式酸素濃縮器
3、4 連通手段
Claims (3)
- 酸素吸入を必要とする者又は動物を収容する収容室の内部の空気を酸素と窒素とに分離するゼオライトを利用して、前記収容室の内部の空気から分離した酸素を前記収容室の内部に供給することにより前記収容室の内部の空気を循環させるPSA酸素濃縮器を用いた空気循環方式であって、
前記者又は前記動物の呼気により発生した炭酸ガスを含み、大気よりも高い酸素濃度となる空気を前記収容室の内部から連通手段を介して前記PSA酸素濃縮器に送り、
前記収容室の内部から前記PSA酸素濃縮器に送った空気を前記ゼオライトによって酸素と窒素に分離し、
前記ゼオライトにより分離された酸素を前記PSA酸素濃縮器から連通手段を介して前記収容室の内部に供給するPSA酸素濃縮器を用いた空気循環方式。 - 前記収容室の内部から前記PSA酸素濃縮器に送る空気は、酸素濃度が40%近くに達することを特徴とする請求項1に記載のPSA酸素濃縮器を用いた空気循環方式。
- 前記収容室は、ベッドの周囲をシートで覆い、かつ前記シートの裾を開放した酸素テントであり、
前記酸素テントの内部の空気から分離した酸素を前記酸素テントの内部に供給することにより前記酸素テントの内部の空気を循環させることを特徴とする請求項1又は2に記載のPSA酸素濃縮器を用いた空気循環方式。
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JP2009000601U JP3149970U (ja) | 2009-02-09 | 2009-02-09 | Psa酸素濃縮器を用いた空気循環方式 |
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