以下、本発明の実施形態を、添付図面に示す本発明の一実施例に基づいて説明する。
図1〜図11は本発明の一実施例を示すものであり、図1はエンジンの部分縦断面図であって図2の1−1線断面図、図2は図1の2−2線断面図、図3は図2の3−3線断面図、図4は図1の要部拡大図、図5は吸気側ロッカアームを図4の5矢視方向からみた底面図、図6は図4の6−6線断面図、図7はリフト可変機構の斜視図、図8は図4の8−8線断面図、図9は図2の9−9線断面図、図10は図2の10−10線断面図、図11は動力伝達手段の一部を示す斜視図である。
先ず図1において、直列多気筒であるエンジンEのエンジン本体11は、内部にシリンダボア12…が設けられたシリンダブロック13と、シリンダブロック13の頂面に結合されたシリンダヘッド14と、シリンダヘッド14の頂面に結合されるヘッドカバー15とを備え、各シリンダボア12…にはピストン16…が摺動自在に嵌合され、各ピストン16…の頂部を臨ませる燃焼室17…がシリンダブロック13およびシリンダヘッド14間に形成される。
シリンダヘッド14には、各燃焼室17…に通じ得る吸気ポート18…および排気ポート19…が設けられており、各吸気ポート18…が一対の機関弁としての吸気弁20…でそれぞれ開閉され、各排気ポート19が一対の排気弁21…でそれぞれ開閉される。吸気弁20が備えるステム20aの上端部に設けられるばねシート22およびシリンダヘッド14間には、各吸気弁20…を閉弁方向に付勢する弁ばね23が設けられる。また排気弁21が備えるステム21aの上端部に設けられるばねシート24およびシリンダヘッド14間には、各排気弁21…を閉弁方向に付勢する弁ばね25が設けられる。
各吸気弁20…を開閉駆動する吸気側動弁装置28は、本発明に従って構成されるものであり、吸気側動弁カム29を各気筒毎に有する吸気側カムシャフト30と、吸気側動弁カム29に従動して揺動するとともに各気筒毎に一対の吸気弁20…に共通に連動、連結される吸気側ロッカアーム31と、吸気弁20…の作動特性のうち開弁リフト量を変化させ得るリフト可変機構32とを各気筒毎に備えており、排気弁21…を開閉駆動する排気側動弁装置33は、排気側動弁カム34を各気筒毎に有する排気側カムシャフト35と、排気側動弁カム34に従動して揺動するとともに各気筒毎に一対の排気弁21…に共通に連動、連結される排気側ロッカアーム36とを各気筒毎に備える。
図2および図3を併せて参照して、シリンダヘッド14には、各気筒の両側に配置されるようにして上部ホルダ38…が締結されており、各上部ホルダ38…には、吸気側カムホルダ41…および排気側カムホルダ42…を協働して構成するキャップ39…,40…が上方から締結される。而して吸気側カムホルダ41…を構成する上部ホルダ38…およびキャップ39間には吸気側カムシャフト30が回転自在に支承され、排気側カムホルダ42…を協働して構成する上部ホルダ38…およびキャップ40…間には排気側カムシャフト35が回転自在に支承される。
排気側ロッカアーム36の一端部は、排気側カムシャフト35と平行な軸線を有して上部ホルダ38で支持された排気側ロッカシャフト43で揺動可能可能に支承されており、排気側ロッカアーム36の他端部には、一対の排気弁21…におけるステム21a…の上端に当接する一対のタペットねじ44,44が進退位置を調節可能として螺合される。また排気側ロッカアーム36の中間部には、排気側ロッカシャフト36と平行な軸45が設けられており、排気側動弁カム34に転がり接触するローラ47が前記軸45との間にニードルベアリング46を介在させて排気側ロッカアーム36に軸支される。
このような排気側動弁装置33は、前記排気側ロッカアーム36の揺動支持部すなわち排気側ロッカシャフト43を、排気側ロッカアーム36の排気弁21…への連動、連結部すなわちタペットねじ44…よりも外側に配置するようにしてシリンダヘッド14に配設される。
図4および図5において、吸気側ロッカアーム31の一端部には、一対の吸気弁20…におけるステム20a…の上端に上方から当接するタペットねじ49,49が進退位置を調節可能として螺合される弁連結部31aが設けられる。また吸気側ロッカアーム31の他端部には、第1支持部31bと、第1支持部31bの下方に配置される第2支持部31cとが相互に連なって設けられ、第1および第2支持部31b,31cは、吸気弁20…とは反対側に開いた略U字状に形成される。
吸気側ロッカアーム31の第1支持部31bには、吸気側カムシャフト30の吸気側動弁カム29に転がり接触するローラ50が第1連結軸51およびニードルベアリング52を介して軸支されるものであり、ローラ50は略U字状である第1支持部31bに挟まれるように配置される。
図6を併せて参照して、吸気側ロッカアーム31は、軽合金の鋳造等によって型成形されるものであり、その弁連結部31aにおける上面の中央部にはたとえば略三角形状の肉抜き部53が形成され、前記上面とは反対側の面である弁連結部31aの下面両側には、前記肉抜き部53とは互い違いに配置されるようにして一対の肉抜き部54,54が形成される。
ところで、前記肉抜き部53,54,54は吸気側ロッカアーム31の型成形時に同時に成形されるものであり、上方の肉抜き部53の抜き勾配が弁連結部31aの上面に向かうにつれて肉抜き部53の開口面積を広げる方向となるのに対し、下方の肉抜き部54,54の抜き勾配は弁連結部31aの下面に向かうにつれて肉抜き部54,54の開口面積を広げる方向となるので、肉抜き部53の内側面の傾斜方向と、肉抜き部54,54の内側面の傾斜方向とは同一であり、相互に隣接する肉抜き部53,54;53,54間で弁連結部31aに形成される壁部31d,31dの厚みは略均等になる。
図7および図8を併せて参照して、リフト可変機構32は、前記吸気側ロッカアーム31の第1支持部31bに一端部が回動可能に連結されるとともに他端部がエンジン本体11の固定位置に吸気側ロッカシャフト57を介して回動可能に支承される第1リンクアーム58と、前記吸気側ロッカアーム31の第2支持部31cに一端部が回動可能に連結される第2リンクアーム59と、第2リンクアーム59の他端部を回動可能に支承する可動支軸60と、該可動支軸60をその軸線と平行な軸線まわりに角変位させることを可能として可動支軸60に連結されるコントロール軸61とを備える。
第1リンクアーム58の一端部は、吸気側ロッカアーム31の第1支持部31bを両側から挟むように略U字状に形成されており、ローラ50を吸気側ロッカアーム31に軸支する第1連結軸51を介して第1支持部31bに回動可能に連結される。また第1リンクアーム58の他端部を回動可能に支承する吸気側ロッカシャフト57は、シリンダヘッド14に締結される上部ホルダ38…で支持される。
第1リンクアーム58の下方に配置される第2リンクアーム59の一端部は、吸気側ロッカアーム31の第2支持部31cに挟まれるように配置され、第2連結軸63を介して第2支持部31cに回動可能に連結される。
第1リンクアーム58の他端部の両側で上部ホルダ38,38には、吸気側ロッカシャフト57を支持するようにして支持ボス64,64が一体に突設され、これらの支持ボス64…で第1リンクアーム58の他端部の前記吸気側ロッカシャフト57の軸線に沿う方向での移動が規制される。
ところで、両吸気弁20…は弁ばね23…で閉弁方向にばね付勢されるものであり、閉弁方向にばね付勢されている両吸気弁20…を吸気側ロッカアーム31で開弁方向に駆動しているときに吸気側ロッカアーム31のローラ50は、弁ばね23…の働きによって吸気側動弁カム29に接触しているのであるが、吸気弁20…の閉弁状態では、弁ばね23…のばね力は吸気側ロッカアーム31に作用することはなく、ローラ50が吸気側動弁カム29から離れてしまい、吸気弁20…の微小開弁時における弁リフト量の制御精度が低下してしまう可能性がある。そこで、弁ばね23…とは別のロッカアーム付勢ばね65…により、前記ローラ50を吸気側動弁カム29に当接させる方向に吸気側ロッカアーム31が付勢される。
前記ロッカアーム付勢ばね65…は、前記支持ボス64…を囲繞するコイル状のねじりばねであり、エンジン本体11および吸気側ロッカアーム31間に設けられる。すなわちロッカアーム付勢ばね65…の一端は前記支持ボス64…に係合され、ロッカアーム付勢ばね65…の他端は、吸気側ロッカアーム31と一体に作動する中空の第1連結軸51内に挿入、係合される。
第1リンクアーム58の他端部は、コイル状に巻かれている前記ロッカアーム付勢ばね65…の外周よりも側面視では内方に外周が配置されるようにして円筒状に形成されるものであり、第1リンクアーム58の他端部における軸方向両端には、ロッカアーム付勢ばね65…が第1リンクアーム58側に倒れるのを阻止する複数たとえば一対の突部66,67が、周方向に間隔をあけてそれぞれ突設される。したがって第1リンクアーム58の他端部が大型化することを回避しつつ、ロッカアーム付勢ばね65…の前記倒れを防止し、第1リンクアーム58の他端部の支持剛性を高めることができる。
しかも前記突部66,67は、第2リンクアーム59の作動範囲を避けて配置されるものであり、突部66,67…が第1リンクアーム58の他端部に設けられるにもかかわらず、第2リンクアーム59の作動範囲を充分に確保することができる。
エンジン本体11に設けられた吸気側カムホルダ41…におけるキャップ39…には、吸気側ロッカアーム31の他端側上部に向けてオイルを供給するオイルジェット68…が取付けられる。
ところで、複数の上部ホルダ38…の1つには、図示しないオイルポンプからのオイルを導く通路69が設けられる。また吸気側カムシャフト30の下半部に対向して各上部ホルダ38…の上部には円弧状の凹部70…が設けられており、前記通路69は、各凹部70…の1つに連通する。一方、吸気側カムシャフト30には、オイル通路71が同軸に設けられており、各吸気側カムホルダ41…に対応する部分で吸気側カムシャフト30には、内端をオイル通路71に通じさせる連通孔72…がその外端を吸気側カムシャフト30の外面に開口させるようにして設けられる。これにより各吸気側カムホルダ41…および吸気側カムシャフト30間には、前記連通孔72…を介して潤滑用のオイルが供給されることになる。
また上部ホルダ38…とともに吸気側カムホルダ41…を構成するキャップ39…の下面には、前記凹部70…に通じる通路を上部ホルダ38…の上面との間に形成する凹部73…が設けられ、凹部73…に通じてキャップ39…に設けられる通路74…に連なるようにしてオイルジェット68…がキャップ39…に取付けられる。
このように吸気側カムシャフト30を回転自在に支承するようにしてエンジン本体11に設けられる吸気カムホルダ46…のキャップ39…にオイルジェット68…が取付けられるので、吸気側カムシャフト30および吸気側カムホルダ41…間を潤滑するための油路を利用して、充分に高圧かつ充分な量のオイルをオイルジェット68…から供給することができる。
また第1および第2リンクアーム58,59の一端部を吸気側ロッカアーム31に連結する第1および第2連結軸51,63のうち上方の第1連結軸51側に向けてオイルジェット68からオイルが供給されるので、第1リンクアーム58および吸気側ロッカアーム31間を潤滑したオイルが下方の第2リンクアーム59側に流下することになる。
しかも可動支軸60および第2連結軸63の一部を中間部に臨ませるオイル導入孔75,76が、可動支軸60および第2連結軸63の軸線を結ぶ直線と直交する方向で第2リンクアーム59に設けられており、各オイル導入孔75,76の一端は第1連結軸51側に向けて開口している。したがって第1リンクアーム58から下方に流下したオイルが、第2リンクアーム59と、可動支軸60および第2連結軸63との間に効果的に導かれることになり、簡単かつ部品点数を少なくした潤滑構造で、吸気側ロッカアーム31と、第1および第2リンクアーム58,59との連結部、ならびに第2リンクアーム59および可動支軸60間をともに潤滑して円滑な動弁作動を保証することができる。
コントロール軸61は、一列に並ぶ複数気筒に共通にエンジン本体11に支承される単一のものであり、吸気側ロッカアーム31の両側に配置されるウエブ61a,61aと、両ウエブ61a,61aの基端部外面に直角に連なってエンジン本体11に回動可能に支承されるジャーナル部61b,61bと、両ウエブ61a,61a間を結ぶ連結部61cとを各気筒毎に有して一体のクランク形状に構成され、可動支軸60は、両ウエブ61a,61a間を結ぶようにしてコントロール軸61に連結される。
コントロール軸61の各ジャーナル部61b…は、エンジン本体11のシリンダヘッド14に結合される上部ホルダ38…と、上部ホルダ38に下方から結合される下部ホルダ77…との間で回動可能に支承される。下部ホルダ77…は、上部ホルダ38…に締結されるようにしてシリンダヘッド14とは別体に形成されており、シリンダヘッド14の上面には、下部ホルダ77…を配置するための凹部78…が設けられる。
しかも上部および下部ホルダ38…,77…と、ジャーナル部61b…との間にはニードルベアリング79…が介装されるものであり、このニードルベアリング79…は、複数のウエブ61a,61a…および連結部61c…を有して複数気筒に共通なコントロール軸61のジャーナル部61b…と、上部および下部ホルダ38…,77…との間に介装するために半割り可能とされる。
ところで、上部および下部ホルダ38…,77…には、コントロール軸61のウエブ61a…側に突出するコントロール軸用支持ボス部80…が、前記ジャーナル部61aを貫通せしめるべく形成される。一方、吸気側カムホルダ41…を協働して構成すべく相互に結合された上部ホルダ38…およびキャップ39…には、吸気側カムシャフト30を貫通せしめるカムシャフト用支持ボス部81…が吸気側ロッカアーム31…に向けて突出するようにして形成されており、上部ホルダ38…には、コントロール軸用支持ボス部80…およびカムシャフト用支持ボス部81…間を結ぶリブ82…が一体に突設される。
前記リブ82…内には、ニードルベアリング79…側にオイルを導く通路83…が、上部ホルダ38…の上面の凹部70…に通じるようにして設けられる。
ところで、排気側動弁装置33が排気側ロッカアーム36の揺動支持部を、排気側ロッカアーム36の排気弁21…への連動、連結部よりも外側に配置するようにしてシリンダヘッド14に配設されるのに対し、上記吸気側動弁装置28は、その吸気側ロッカシャフト57および可動支軸60…を、吸気側ロッカアーム31…の吸気弁20…への連動、連結部よりも内側に配置するようにしてシリンダヘッド14に配設される。
しかも吸気側および排気側動弁装置28,33間でシリンダヘッド14には、燃焼室17に臨むようにしてシリンダヘッド14に取付けられる点火プラグ86を挿入せしめるプラグ筒87が取付けられるのであるが、このプラグ筒87は、上方に向かうにつれて排気側動弁装置33に近接するように傾斜して配置される。
而して吸気側動弁装置28におけるコントロール軸61は、吸気弁20…と、前記プラグ筒87…との間で、連結部61c…外面を前記プラグ筒87…に対向させるようにして配置されることになるが、連結部61c…の外面には、プラグ筒87…との干渉を回避するための逃げ溝88…が形成される。
ところで吸気弁20…が閉弁状態にあるときに第2リンクアーム59を吸気側ロッカアーム31に連結する第2連結軸63は、コントロール軸61のジャーナル部61b…と同軸上にあり、コントロール軸61がジャーナル部61b…の軸線まわりに揺動すると、可動支軸60はジャーナル部61b…の軸線を中心とする円弧上を移動することになる。
可動支軸60が下降する方向にコントロール軸61が回動し、吸気側カムシャフト30の吸気側動弁カム29でローラ50が押圧されると、吸気側ロッカシャフト57、第1連結軸51、第2連結軸63および可動支軸60を結ぶ四節リンクが変形して吸気側ロッカアーム31が下方に揺動し、タペットねじ49,49が吸気弁20のステム20a…を押圧し、吸気弁20…を低リフトで開弁する。
また可動支軸60が上昇する方向にコントロール軸61が回動し、吸気カムシャフト30の吸気側動弁カム29でローラ50が押圧されると、前記四節リンクが変形して吸気側ロッカアーム31が下方に揺動し、タペットねじ49,49が吸気弁20…のステム20aを押圧し、吸気弁20…が高リフトで開弁する。
図9および図10を併せて参照して、気筒配列方向に沿うコントロール軸61の一端部、すなわちコントロール軸61が備える複数のジャーナル部61b…のうち前記気筒配列方向に沿う一端側のジャーナル部61bは、エンジン本体11におけるシリンダヘッド14の側壁外面に取付けられる収納ボックス90内に突入されるものであり、コントロール軸61におけるジャーナル部61b…の外周の少なくとも一部を支承してエンジン本体11に取付けられるホルダ、この実施例では前記ジャーナル部61b…の外周の上半部を支承してシリンダヘッド14に取付けられる複数の上部ホルダ38…のうち前記気筒配列方向に沿う一端側の上部ホルダ38には、前記気筒配列方向に沿う一端側のジャーナル部61bを囲繞しつつ、エンジン本体11におけるシリンダヘッド14およびヘッドカバー15の側壁外面から一部を突出せしめる位置決め部91が一体に設けられる。
ところでシリンダヘッド14のヘッドカバー15への合わせ面92は平坦に形成されるのに対し、ヘッドカバー15のシリンダヘッド14への合わせ面93のうち前記位置決め部91に対応する部分には下方に開いた凹部93aが形成されており、シリンダヘッド14の前記合わせ面92のうち前記凹部93aに対応する部分には円弧状に凹んだ凹部94が外側にも開放するようにして設けられる。しかもシリンダヘッド14の側壁内面には上下に延びる突条14aが一体に設けられており、この突条14aの上面は、前記凹部94を囲む略U字状にして前記合わせ面92に面一に連なる平坦なシール面95を形成する。
前記位置決め部91は、シリンダヘッド14の合わせ面92およびヘッドカバー15の合わせ面93の凹部93a間に挟まれるようにして略台形状に形成される被挟持部91aと、被挟持部91aおよび上部ホルダ38間を結ぶ連結部91bと、シリンダヘッド14およびヘッドカバー15の側壁外面から一部を突出するようにして前記被挟持部91aの下部に連なる円筒状の突部91cとを一体に備える。
この位置決め部91には、コントロール軸91の前記ジャーナル部91bを挿通せしめる貫通孔96が設けられており、該貫通孔96の外端側内面および前記ジャーナル部91b間にニードルベアリング97が介装される。
シリンダヘッド14およびヘッドカバー15の合わせ面92,93間に介装されるシール部材98は、ヘッドカバー15の合わせ面93に装着されるものであり、このシール部材98は、合わせ面93における凹部93aの内面および前記位置決め部91の被挟持部91a間にも介在するように形成される。また位置決め部91において突部91cの下部は合わせ面92の凹部94に嵌合されるのであるが、その突部91cを除く部分の下面は、シリンダヘッド14の合わせ面92およびシール面95に対応した平坦なシール面99として形成されており、シリンダヘッド14の合わせ面92およびシール面95と、シール面99との間には、前記突部91cを囲むようにして略U字状に形成されるシール部材100が、前記シール部材98に両端部を連接させるようにして介装される。
収納ボックス90は、ボックス主体101と、該ボックス主体101に締結される椀状のケース102と、ボックス主体101に締結される蓋部材103とで構成される。
ボックス主体101は、シリンダヘッド14とは反対側を開放した箱形に形成されるケース部101aと、該ケース部101aの一側側壁に連なって下方に延びる支持壁部101bとを一体に備え、複数のボルト104…でシリンダヘッド14の側壁外面に取付けられる。また前記ケース102は前記ケース101aの一側側壁および支持壁部101bを外側方から覆うようにしてボックス主体101に複数のボルト105…で締結され、前記蓋部材103は、前記シリンダヘッド14とは反対側から前記ケース部101aを覆うようにして前記複数のボルト104…のうちケース部101aを締結する複数のボルト104…の共締めによりケース部101aに締結される。
前記収納ボックス90のボックス主体101においてシリンダヘッド14の側壁外面に当接する端壁には、前記位置決め部91のうちシリンダヘッド14およびヘッドカバー15の側壁外面から突出する突部91cを嵌合せしめる嵌合孔106が設けられ、突部91cの外周に弾発的に接触する環状のシール部材107が嵌合孔106の内面に装着されている。
収納ボックス90には該収納ボックス90の外方に配置される電動モータ110が取付けられ、収納ボックス90内には、電動モータ110の回転動力をコントロール軸91の一端部であるジャーナル部91bに伝達するための動力伝達手段111が収納される。
図11を併せて参照して、動力伝達手段111は、収納ボックス90内に突入されたジャーナル部61bの一端部にキー112を介して基端部が個体されるコントロールアーム113と、ジャーナル部61bの軸線と直交する平面に軸線が配置されるねじ軸114と、ねじ軸114に螺合するナット部材115と、該ナット部材115にピン116で一端が連結されるとともに他端がピン117,117を介してコントロールアーム113に連結される連結リンク118と、ねじ軸114および電動モータ110間に設けられる減速ギヤ機構119とを備える。
コントロールアーム113は収納ボックス90におけるボックス本体101のケース部101aに収納されており、横方向に延びる軸線を有するねじ軸114の大部分は、前記ジャーナル部61bの下方でケース部101aに大部分が収納され、ケース部101aの側壁でねじ軸114の両端部が回転自在に支承される。しかもねじ軸114の一端部はケース部材102内に突入される。
電動モータ110は、前記ねじ軸114の軸線と平行な出力軸120を有しており、ねじ軸114の下方で収納ボックス90の外方に配置されるものであり、収納ボックス90のボックス主体101におけるケース部101aの下方に配置される電動モータ110は、その出力軸120の一端部をケース部材102内に突入させるようにして、前記ボックス主体101における支持壁部101bに複数のボルト121…により取付けられる。
減速ギヤ機構119は、電動モータ110の出力軸120およびねじ軸114間に設けられてケース部材102内に収納されるものであり、出力軸120に固定される駆動ギヤ122と、該駆動ギヤ122に噛合してねじ軸114の一端部に固定される被動ギヤ123とから成る。
ところで、コントロールアーム113の基端部には、コントロール軸61におけるジャーナル部61bの軸線を中心とする仮想円弧上に配置されるようにして一対の被検出部124,124が突設されており、収納ボックス90において前記ジャーナル部61bの一端部に対向する壁部である蓋部材103に、前記両被検出部124,124を検出することでコントロール軸61の回動量を検出するようにして、コントロール軸61と同軸のセンサ125たとえばロータリーエンコーダが取付けられる。
次にこの実施例の作用について説明すると、吸気弁20…の開弁リフト量を連続的に変化させるためのリフト可変機構32において、第1および第2リンクアーム58,59の一端部は、一対の吸気弁20…に連動、連結される弁連結部31aを有する吸気側ロッカアーム31に並列して相対回動可能に連結され、第1リンクアーム58の他端部がエンジン本体11に支持される吸気側ロッカシャフト57で回動可能に支承され、第2リンクアーム59の他端部は変位可能な可動支軸60で回動可能に支承されている。
したがって可動支軸60を無段階に変位させることで吸気弁20…のリフト量を無段階に変化させることが可能であり、スロットル弁を不要として吸気量を制御することが可能である。しかも第1および第2リンクアーム58,59の一端部が吸気側ロッカアーム31に回動可能として直接連結されており、両リンクアーム58,59を配置するスペースを少なくして動弁装置のコンパクト化を図ることができ、吸気側動弁カム29からの動力が吸気側ロッカアーム31のローラ50に直接伝達されるので吸気側動弁カム29に対する優れた追従性を確保することができる。また吸気側カムシャフト30の軸線に沿う方向での吸気側ロッカアーム31、第1および第2リンクアーム58,59の位置をほぼ同一位置に配置することができ、吸気側カムシャフト31の軸線に沿う方向での吸気側動弁装置28のコンパクト化を図ることができる。
また第1リンクアーム58の一端部は第1連結軸51を介して吸気側ロッカアーム31に回動可能に連結され、ローラ50が第1連結軸51を介して吸気側ロッカアーム31に軸支されるので、第1リンクアーム58の一端部の吸気側ロッカアーム31への回動可能な連結、ならびに前記ローラ50の吸気側ロッカアーム31への軸支を共通の第1連結軸51で達成するようにして、部品点数の低減化を図るとともに吸気側動弁装置28をよりコンパクト化することができる。
吸気側および排気側動弁装置28,33のうちリンク可変機構32を備える吸気側動弁装置28では、吸気側ロッカシャフト57および可動支軸60が、吸気側ロッカアーム31の吸気弁20…への連動、連結部よりも内側に配置され、排気側動弁装置33が備える排気側ロッカアーム36の揺動支持部が、排気側ロッカアーム36および排気弁21…の連動、連結部よりも外側に配置されているので、燃焼室17をコンパクト化して良好な燃焼を得るべく吸気弁20…および排気弁21…の挟み角α(図1参照)を小さく設定しても、シリンダヘッド14の大型化を回避しつつ吸気側および排気側動弁装置28,33の相互干渉を回避することができる。
また排気側動弁装置33は、排気側動弁カム34を有する排気側カムシャフト35と、排気側動弁カム35に従動して揺動すべく排気側ロッカシャフト43を介してエンジン本体11に揺動可能に支承されるとともに排気弁21…に連動、連結される排気側ロッカアーム36とを備え、吸気側および排気側動弁装置28,33間に配置されるプラグ筒68が、上方に向かうにつれて排気側動弁装置33に近接するように傾斜してシリンダヘッド14に取付けられているので、プラグ筒68を吸気側および排気側動弁装置28,33との干渉を回避するように配置して、シリンダヘッド14全体のより一層のコンパクト化に寄与することができる。
ところで吸気側動弁装置28のリンク可変機構32が備えるコントロール軸61は、可動支軸60をその軸線と平行な軸線まわりに角変位させることを可能として可動支軸60に連結されるとともに吸気側ロッカアーム31の両側でエンジン本体11に支承されるものであり、両持ち支持によりコントロール軸61の支持剛性を高め、吸気弁20…のリフト量可変制御を精密に行うことが可能となる。
また単一の前記コントロール軸61が、一列に並ぶ複数気筒に共通にしてエンジン本体11に支承されるので、部品点数の増大を回避してエンジンEのコンパクト化を図ることができる。
しかもコントロール軸61は、吸気側ロッカアーム31の両側に配置されるウエブ61a,61aと、両ウエブ61a,61aの基端部外面に直角に連なってエンジン本体11に回動可能に支承されるジャーナル部61b,61bと、両ウエブ61a、61a間を結ぶ連結部61cとを有してクランク形状に構成され、可動支軸60が、両ウエブ61a,61a間を結ぶようにしてコントロール軸61に連結されるので、角変位駆動されるコントロール軸61の剛性増大を図ることができる。
前記コントロール軸61のジャーナル部61b…は、エンジン本体11のシリンダヘッド14に結合される上部ホルダ38…と、上部ホルダ38…に下方から結合される下部ホルダ77…との間で回動可能に支承されるものであり、コントロール軸61のエンジン本体11への組付け性向上を図ることができ、しかもシリンダヘッド14とは別体である下部ホルダ77…が、上部ホルダ38…に締結されるので、コントロール軸61を支持するにあたってのシリンダヘッド14の設計自由度を増大することができる。
また上部および下部ホルダ38…,77…と、ジャーナル部61b…との間に、半割り可能なローラベアリング79…が介装されるので、コントロール軸61の支持部での摩擦損失を低減しつつ、コントロール軸61の組付け性を高めることができる。
また相互に結合された上部および下部ホルダ38…,77…には、コントロール軸61のウエブ61a…側に突出するコントロール軸用支持ボス部80…が形成され、コントロール軸用支持ボス部80…を貫通するジャーナル部61b…が上部および下部ホルダ38…,77…間で回動可能に支承されるので、コントロール軸61の支持剛性をより一層高めることができる。
また上部ホルダ38…と、上部ホルダ38…に上方から結合されるキャップ39…に、吸気側ロッカアーム31に向けて突出するカムシャフト用支持ボス部81…が形成されており、吸気側カムシャフト30が、カムシャフト用支持ボス部81…を貫通して上部ホルダ38…およびキャップ39…間に回転可能に支承されるので、吸気側カムシャフト30を支持するための部品点数を最小限に抑えつつ、吸気側カムシャフト30の支持剛性を高めることができる。
さらにコントロール軸用支持ボス部80…およびカムシャフト用支持ボス部81…間を結ぶリブ82…が上部ホルダ38…に突設されているので、コントロール軸61および吸気側カムシャフト30の支持剛性をさらに高めることができる。
ところで、コントロール軸61は、吸気弁20…と、シリンダヘッド14に設けられるプラグ筒87との間に、連結部61cの外面をプラグ筒87に対向させるようにして配置されており、前記連結部61cの外面に、プラグ筒87との干渉を回避するための逃げ溝88が形成されるので、プラグ筒87を吸気側動弁装置28側により近接させて配置することを可能とし、エンジンEのコンパクト化が可能となる。
吸気側動弁装置28の吸気側ロッカアーム31では、その弁連結部61aの相互に反対側の面に、互い違いとなる肉抜き部53,54,54が形成されるので、吸気側ロッカアーム31の軽量化を図ることが可能である。
しかも吸気側ロッカアーム31の型成形時に各肉抜き部53,54,54も形成されるのであるが、相互に隣接する肉抜き部53,54;53,54の抜き勾配が相互に逆方向であることから相互に隣接する肉抜き部53,54;53,54の内側面は同一方向に傾斜することになり、したがって相互に隣接する肉抜き部53,54;53,54間で吸気側ロッカアーム31に形成される壁部31d,31dの厚みは略均等となるものであり、略均等な厚みの壁部31d,31dによって吸気側ロッカアーム31の剛性を維持することができる。
また吸気側動弁装置28は、吸気弁20…のリフト量を無段階に可変とするリフト可変機構32を備えるので、部品点数が比較的多くなり、吸気側動弁装置28の重量増大の原因ともなりがちなリフト可変機構32を有する吸気側動弁装置28にあっても、吸気側ロッカアーム31の軽量化を図ることで吸気側動弁装置28の軽量化を可能とし、限界回転数の増大を図ることができる。
しかもコントロール軸61の一端部のジャーナル部61bの一部は、エンジン本体11の側壁外面に取付けられる収納ボックス90内に突入され、収納ボックス90の外方に配置される電動モータ110が収納ボックス90の外面に取付けられ、コントロール軸61の軸線と直交する平面に軸線が配置されるねじ軸114を含む動力伝達手段111が、電動モータ110の動力をコントロール軸61に伝達すべく収納ボックス90に収納されており、電動モータ110は、ねじ軸114と平行な軸線の出力軸120を有して収納ボックス90の外面に取付けられ、動力伝達手段111は出力軸120およびねじ軸114間に設けられる減速ギヤ機構119を備えて収納ボックス90に収納される。
したがってコントロール軸61の軸線に沿う方向での電動モータ120および収納ボックス90のエンジン本体11からの突出量を抑えることができ、また電動モータ110の出力軸120から出力される回転動力は減速ギヤ機構119を介してねじ軸114に伝達されるので、電動モータ110の小型化を図ることができ、より一層コンパクト化を図ることができる。
またコントロール軸61の一端部に同軸に対向するようにセンサ125が配置されており、コントロール軸61の回動量を高精度に検出することができ、しかも電動モータ110および収納ボックス90がコントロール軸61の軸線に沿う方向で比較的薄く構成されるので、電動モータ110、収納ボックス90およびセンサ125を含む全体構造をコントロール軸61の軸線方向にコンパクト化することが可能であり、エンジンEの大型化を抑えることができる。
さらにコントロール軸61におけるジャーナル部61b…の一端側外周の少なくとも一部(この実施例では上半部)を回動自在に支承してエンジン本体11のシリンダヘッド14に取付けられる上部ホルダ38に、コントロール軸61の前記ジャーナル部61bを囲繞してエンジン本体11の側壁から一部を突出せしめる位置決め部91が一体に設けられており、エンジン本体11におけるシリンダヘッド14の側壁外面に取付けられる収納ボックス90に、位置決め部91の前記側壁からの突出部である突部91cを嵌合せしめる嵌合孔106を有するので、収納ボックス90をシリンダヘッド14の側壁外面に取付ける際に、シリンダヘッド14に取付けられる上部ホルダ38の位置決め部91を収納ボックス90の嵌合孔106に嵌合させることにより、上部ホルダ38で外周の少なくとも一部が回動可能に支承されるコントロール軸61と、収納ボックス90内の動力伝達手段111との連結精度を容易に高めることが可能であり、収納ボックス90のシリンダヘッド14への取付け位置に多少の余裕を持たせておくことで、コントロール軸61および動力伝達手段111の連結精度を高めた状態で収納ボックス90をシリンダヘッド14の側壁外面に取付けることができる。
またエンジン本体11の一部をヘッドカバー15とともに構成するシリンダヘッド14に上部ホルダ38が取付けられ、シリンダヘッド14およびヘッドカバー15の合わせ面92,93間に、位置決め部91の一部である被挟持部91aが挟まれるので、コントロール軸61をより低い位置に配置して、吸気弁20の開弁リフト量を変更するためのリフト可変機構32をコンパクト化し、ひいてはエンジンEの小型化に寄与することができる。
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明を逸脱することなく種々の設計変更を行うことが可能である。
たとえば上記実施例では、機関弁である吸気弁20の開弁リフト量を変化させ得る吸気側動弁装置28に本発明を適用した場合について説明したが、本発明は、機関弁の作動特性をコントロール軸の回動によって変化させ得るようにした動弁装置に関連して広く実施することができる。