JP4183115B2 - 演奏独習装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏独習装置に関し、特に、練習の進行を演奏者自身が決定できるモードと自動的に進行が指示されるモードとを備えることにより練習が単調になるのを回避できる演奏独習装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
記憶媒体に記憶された演奏データをパーソナルコンピュータ(以下、「パソコン」という)で再生して画面上に順次譜面を表示して演奏指示する装置が知られる。例えば、特開平9−305171号公報には、鍵盤の図形を画面に表示すると共に、表示された鍵盤の各鍵に対応して押鍵から離鍵までの範囲をスクロールバーで表示し、このスクロールバーを自動演奏データの再生に従って鍵盤図形に近付けていくようにスクロールさせる演奏指示装置が開示されている。
【0003】
この演奏指示装置によれば、前記スクロールバー表示によって、押鍵時間を直感的に認識できるし、現在押鍵している演奏データのあとに続く演奏データを予知できるので、スムーズな演奏が期待できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の演奏指示装置では、演奏データが最初から順番に再生されるだけの単調なものであるため、演奏者が退屈してしまうことがある。また、演奏者が重点的に練習したい部分があっても、曲全体を一定の習熟度で習得できるように練習を進行させる装置では、演奏者の意に沿わない進行が強いられることにもなる。
【0005】
上記不具合を解消するため、フリーで演奏させるモードが考えられるが、自動的に進行を指示されるオートモードと全くかけ離れて自由に演奏させるものであるため、互いの関連性が希薄となり一貫した練習にならない。そこで、オートモードによる練習機能を維持しつつ、演奏者による進行選択の自由度もある演奏独習装置が望まれる。
【0006】
本発明は、上記要望に応え、自動的に進行を指示できる機能を維持しつつ、演奏者自身が練習の進行を変更することができる演奏独習装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決し、目的を達成するための本発明は、楽譜情報を表示して演奏者に楽器の演奏指示を行う演奏独習装置において、演奏曲の範囲を規定するユニット毎に演奏指示を行う演奏指示手段を具備し、該演奏指示手段が、演奏指示のためのユニットの指定を予定の進行に従って自動的に行う自動モードと任意のユニットを指定できる手動モードとで選択的に動作できるように構成された点に第1の特徴がある。
【0008】
第1の特徴によれば、ユニット毎に演奏指示の進行が自動的に行われる自動モードの他、演奏者が練習の進み具合等に応じてユニットを指示できるので、任意に練習の進行を進ませたり遅らせたりすることができる。
【0009】
また、本発明は、演奏指示を行うユニットを指定できるレッスンメニューを表示する表示手段を具備し、該表示手段が、前記レッスンメニュー上に前記自動モードおよび手動モードを選択するモード選択スイッチを表示させるように構成された点に第2の特徴がある。
【0010】
第2の特徴によれば、レッスンメニューから練習すべきユニットを指定できるし、レッスンメニューが表示されているときには、手動モードから自動モードに、または自動モードから手動モードへ任意に切り替えできる。
【0011】
また、本発明は、前記自動モードで演奏指示が行われているときに、レッスンメニューを表示させるレッスン中断手段を具備した点に第3の特徴がある。第3の特徴によれば、自動モードで演奏指示中にも、手動モードと同様に任意のユニットへ移行することができる。
【0012】
また、本発明は、前記レッスンメニューが、習熟度が高いほど広い範囲の楽音情報を含むように設定されたユニットを演奏データに対応させて習熟度別に表示するものであり、前記自動モードでは、前記演奏指示手段が、前記レッスンメニュー上のユニットのうち、演奏が予定の合格基準に達していないものであって、かつ最も早い時期に演奏すべきユニットを、次に楽譜情報を表示するものとして指定するとともに、同じ習熟度のユニットの演奏が全て前記合格基準に達した場合に、前記次に楽譜情報を表示するユニットを習熟度が上位のものから選択して指定するように構成された点に第4の特徴がある。
【0013】
第4の特徴によれば、同じ習熟度のユニットが全て合格基準に達しないうちは、それより上位には練習が進まないので、確実に曲の習得ができる。
【0014】
さらに、本発明は、前記レッスンメニューが、習熟度が高いほど広い範囲の楽音情報を含むように設定されたユニットを演奏データに対応させて習熟度別に表示するものであり、前記自動モードでは、前記演奏指示手段が、レッスンメニュー上のユニットのうち、演奏が予定の合格基準に達していないものであって、かつ最も早い時期に演奏すべきユニットを、次に楽譜情報を表示するものとして指定するとともに、習熟度が上位にあるユニットに含まれる下位のユニットの演奏が全て前記合格基準に達した場合に、該上位にあるユニットを、前記次に楽譜情報を表示するユニットとして指定するように構成された点に第5の特徴がある。
【0015】
第5の特徴によれば、ある程度のユニットがまとまって演奏できるようになれば、それらのユニットを含む上位の習熟度のユニットに進むことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。図2は、本発明の一実施形態に係る演奏独習装置の構成を示すブロック図である。同図において、パソコン1は、パソコン本体11と、入力装置としてのキーボード12およびマウス13と、出力装置としてのディスプレイ14とを備える。パソコン本体11は、ハードディスクやROM・RAM等を有する周知の構成のものを使用できる。MIDI信号を入出力できるインタフェースを備えるのが好ましい。
【0017】
鍵盤楽器2は鍵盤21とサウンドシステム22とを備える。鍵盤21は押鍵および離鍵を検出する検出回路23と、押鍵および離鍵の検出情報に応じて楽音を生成する音源装置24とを備える。検出回路23で検出された押鍵・離鍵情報に基づいて音源装置24で楽音が生成され、サウンドシステム22を通じて出力(発音)される。鍵盤楽器2にもMIDIインタフェースを備えるのがよい。鍵盤楽器2の全体動作は、図示しないマイクロコンピュータで制御される。
【0018】
パソコン本体11と鍵盤楽器2は、互いに信号を送受信することができるように、図示しないインタフェース(例えば、MIDIインタフェース)を介して接続される。
【0019】
上記演奏独習装置において、練習曲は外部から供給することもできるし、予めハードディスク等に格納しておくことができる。練習曲は音高データ(ノートナンバ)、押鍵情報(ノートオンタイム・ノートオフタイム)、ベロシティ、テンポデータ等の演奏データとして準備される。演奏データには上記データ以外のものも含められるが、本発明の要部ではないので説明は省く。
【0020】
選択された練習曲は曲の先頭から再生するのに限らず、曲の途中から再生しても良い。練習する部分は自動的に指定できるし、演奏者自身によって手動で指定することもできる。練習箇所は、曲全体または予定数のサイズ(小節数)に分割した曲の部分毎に指定できる。曲の全体または曲の部分をユニットと呼ぶ。ユニットは習熟の程度つまりグレードが高くなるにつれてそのサイズが大きくなり、1ユニットにを構成する小節数が多くなる。最高グレードでは、曲全体を一つのユニットとみなすことができる。
【0021】
なお、ここでは、ユニットを複数の小節で構成したものとして説明するが、ユニットは小節に限らず、任意の範囲の楽音情報で構成することができる。例えば、一つないしは複数のモチーフやフレーズを一つのユニットとすることによって、音楽的には自然な練習が可能である。要は、グレードが高くなるほど長い演奏を一気に練習できるように広い範囲の楽音情報を含むようにユニットを構成すればよい。
【0022】
自動指定(自動モード)の場合、練習するユニットは、予定された進行に従って自動的に指定される。例えば、演奏結果に基づいて習熟度がパソコン1で自動判定され、その習熟度が合格基準に達したユニットの練習が重複しないように配慮してユニットが指定される。
【0023】
一方、手動指定(手動モード)の場合は、演奏者自身が練習したいユニットを任意に指定できる。また、手動モードを解除して自動モードに切り替えることもできるし、自動モード中でもレッスンの中断によってユニットを任意に指定することもできる。モード選択画面のための情報は演奏データに含めることができ、モード選択画面は所定の時期にディスプレイ14に表示される。
【0024】
図3は、レッスンメニューの一例であり、楽譜に対応したグレード毎のユニットを示す図である。同図において、ディスプレイ14上に表示された12小節分の楽譜について、グレード毎にユニットが設定されている。曲が長い場合はこの画面をスクロールして曲の最後まで表示させることができる。なお、画面のスクロールに代えて画面を拡大または縮小して曲の部分または全体を選択的に表示させることができる。画面の拡大または縮小は、例えば、画面左下に表示させた「+」「−」のスイッチを操作することによって行うことができる。
【0025】
演奏の習熟度が高い方から順にグレード▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼とし、各グレードに応じてサイズを変えたユニットを設定している。すなわち、最も低いグレード▲5▼では2小節で1ユニットを構成し、その次に高いグレード▲4▼では4小節で1ユニットを構成している。このように、グレードが高くなるにつれて1ユニットを構成する小節数を多くしている。
【0026】
レッスンメニューは、演奏結果に基づく成績を一目で見ることができる成績表であると同時に、次に練習すべきユニットの表示でもある。すなわち、指定されたユニットの演奏が終了すると、演奏結果が演奏データと比較されて成績が決定される。そして、その成績はランクを表す文字でレッスンメニューに表示されるとともに、合格基準に達していないユニットは再度指示される。
【0027】
図3の例では、グレード▲5▼の第1小節および第2小節からなるユニットU1の練習が終わり、第3小節および第4小節からなるユニットU2が次に練習すべきユニットとして表示されている。演奏が終わったユニットは成績表示される。成績は、ランク順にS,A,B,C,Dの文字で表示される。合格基準に達したユニットU1,U3にはランク「S」と合格を示す帯が表示される。但し、このランク付けは一例であり、ランクの区分けは任意に設定できるし、合格基準に達しなかった場合は、ユニットの指定は更新されないで、同じユニットが再び指定される。
【0028】
ユニットを自動的に指定するモードでは、合格点に達していないユニットのうち、同じグレード中で早い時期に演奏されるユニットが指定される。また、同一の楽音情報を有するユニットは一括して成績管理されるので、例えば、図においてユニットU1が合格点に達することにより、このユニットU1と同じ楽音情報を有する第9小節および第10小節からなるユニットU3も練習済み、つまり成績の表示に変わる。したがって、習熟したユニットの重複練習が回避される。
【0029】
指定されたユニットの演奏データが再生されて、この演奏データに基づいて後述のような押鍵指示がディスプレイ14に表示される。演奏者はその押鍵指示の表示に従い、ユニット毎に演奏の習熟度が高まるまで、つまり所定の合格判定がなされるまで繰り返し練習することができる。
【0030】
現在練習中のグレードについて全ユニットが合格判定された場合は、その上のグレードで、よりサイズの大きいユニットが指定され、その演奏データが再生される。例えば、グレード▲5▼が合格した場合、グレード▲4▼に進んでユニットU4が指定されて演奏データが再生される。グレード▲4▼ではグレード▲5▼の倍の数の小節を一気に練習するようになる。グレードが上がる程、難易度つまりテンポや合格基準を上げるようにしておくことで、習熟度に応じた、より高度な練習が可能になる。
【0031】
一方、手動モードで練習する場合は、任意のユニットを指定して演奏データを再生できるので、繰り返し、納得いくまで練習できる。但し、手動モードにおいても、全く任意にユニットを指定できるようにすると練習の成果が上がりにくいので、例えば、成績が合格点に達するまではグレードが上げられないようにするのがよい。つまりグレード中の全てのユニットが合格点に達するまでは、現グレード中のユニットだけを指定でき、上位のグレードのユニットは指定できないようにする。
【0032】
各ユニットは、次のようなデータ構造を有することができる。各ユニットのデータとして、ユニット成績情報、リンク情報、および成績情報を含めることができる。
【0033】
ユニット成績情報は、ユニット毎の練習成績であり、ハイスコアやアベレージスコア、成績の登録日時などを含めることができる。同じ楽音情報のユニットは共通のユニット成績情報で管理される。ユニークなIDを有し、ユニットの識別を可能にしている。
【0034】
リンク情報は、ユニット毎のリンク情報であり、曲先頭からのユニットの先頭位置および終端位置(いずれも時間情報)と、同じ楽音情報を有する複数のユニットをリンクするリンク用IDとを有する。成績情報は、曲全体の、グレード毎およびユニット毎のリンク情報の配列情報を有する。
【0035】
次に、フローチャートを参照して演奏独習装置の処理を説明する。図4は、メインフローチャートである。ステップS1では、ディスプレイ14に画像を表示するためのVRAMやタイマのクリア等を含むパソコン1の初期化を行う。ステップS2では、練習曲を選択する。例えば、ディスプレイ14に練習曲のリストを表示し、演奏者はキーボード12やマウス13を使って曲を選択する。曲の選択がされたならば、ステップS3に進み、練習モードが自動モードか手動モードかを判別する。自動モードか手動モードかの指示情報を演奏データに予め含めておくのがよい。いちいち自動モードか手動モードかを指示する操作が省略されるからである。ステップS3では、この指示情報に基づいて自動モードか手動モードかを判別できる。なお、モードの指示を促す画面をディスプレイ14に表示させて演奏者に選択させるようにしてもよい。この場合、表示された選択画面から演奏者がキーボード12やマウス13等を使ってモードを選択できる。
【0036】
自動モードが指示されている場合は、ステップS4に進んで、レッスン内容を自動的に設定する。つまり予定の手順に従い、演奏データを再生するユニットが自動的に指定される。ユニットの自動指定についてはさらに後述する。
【0037】
手動の場合は、ステップS5に進み、図3のレッスンメニューを表示させる。レッスンメニューの表示では、画面下部に「ユニットを指定してください」等、ユニットの指定を促すメッセージを表示するのがよい。初期メニューでは、最下位グレードの最初のユニットが指定されている。そのままでよければ、演奏者はスタートのための指示をキーボード12等を使って入力する。練習するユニットを初期値から変更したい場合は、レッスンメニュー上のユニットを記述した枠を指示して希望のユニットを指定する。
【0038】
ステップS6では、スタート指示が入力されたか否かの判断がなされる。スタート指示がなされた場合はステップS7に進む。スタート指示の画面はレッスンメニューに含めることができる。ステップS7では、自動モードか手動モードかを判別する。後述のレッスン中断後にステップS5に進んでレッスンメニューが表示させた場合は、ここで再びモード設定が確認される。自動モードであれば、ステップS4に移行し、手動モードであればステップS8に進む。ステップS8では、レッスンメニュー上にレッスン対象となるユニットを表示し、レッスンを開始する。
【0039】
ステップS9では、演奏データに従って押鍵指示をディスプレイ14上に表示する。押鍵指示の例は図6に関して後述する。ステップS10では演奏データに含まれる楽音、つまり伴奏音やメトロノーム音を再生する。再生音は鍵盤楽器2の音源装置24やサウンドシステム22を用いて発音することができる。ステップS11では、練習者の演奏結果をパソコン1に読み込む。成績判定のためである。ステップS9〜S11はタイマ割り込み処理で行われる。なお、再生された演奏情報による指示音高と、演奏結果の音高とが一致しない場合は、押鍵指示情報の表示を進ませるのを停止する。演奏者が再度押鍵して、その音高が演奏データと一致すれば押鍵指示情報の表示が先へ進められる。
【0040】
ステップS12では、レッスンを中断させてレッスンメニューを表示させるか否かを判断する。つまり、レッスンメニューを表示するかどうかの指示を受け付けることにより、自動モードにおいても練習中にレッスンメニューを表示させてユニットの指定ができるようにする。レッスンメニューを表示させる指示があれば、ステップS13で、レッスンの中断処理を行い、押鍵指示情報の表示等を停止してステップS4に進む。
【0041】
レッスンメニューを表示させる指示が所定の待機時間入力されなかった場合は、ステップS14に進み、レッスンが終了したか否かを判断する。指定されたユニットの演奏データについてすべて演奏された場合にこのステップS14は肯定となる。ステップS15では、成績処理が行われる。成績処理では、前記ステップS11で読み込まれた演奏結果つまり演奏者による実際の押鍵結果が演奏データと比較され、その一致の程度で成績が決定される。比較内容は音の長さ、ベロシティ、テンポ等であり、ミスタッチの回数つまり指示と異なる鍵を押した回数を合格基準回数と比較することもできる。成績処理では、これらの比較結果によりランクを決定する。
【0042】
上記成績処理の結果、当該ユニットに関して合格基準に達したか否かが判断される。ステップS16ではレッスンを続行するか否かの判断がなされる。この判断はキーボード12等を使って入力される演奏者の指示の有無に基づいて行うことができる。レッスン続行ならば、ステップS3に進む。続行の指示がない場合はこの処理を終了する。続行の指示があってステップ3へ戻った後のユニットの指定では、合格していれば次に演奏すべきユニットを設定し、不合格ならば同じユニットを再度指定する。
【0043】
レッスンメニューが表示されている場合は、レッスンメニュー上で自動モードか手動モードかの指示を行うことができる。例えば、自動モードにおいてレッスンメニューを表示させた場合、ステップS5でユニットを指定するとともにモード選択をすることもできる。手動モードが指示された場合はステップS7からステップS8に進む。ユニットの選択をして、モードを自動モードのままに維持した場合は、ステップS7からステップS4に移行する。ユニットを指定してステップS4に進んだ場合は、その指定されたユニットから自動モードのレッスンが開始される。手動モードから自動モードに切り替えられた場合は、現ユニットから自動モードのレッスンが開始される。
【0044】
なお、自動モードで押鍵指示を行っているときに、レッスンメニューを表示させてユニットを指定する際、先のユニットにジャンプするだけでなく、すでに練習して合格基準に達したユニットを指示して、演奏者が納得いくまで演奏の習熟度を上げることもできる。この場合、指定されたユニットの演奏が終われば、次はまだ演奏が終わっていないユニットのうち、時期的に早く演奏すべきユニットに進む。成績は、最新のものに更新される。
【0045】
図5は、ユニットの自動指定の処理を示すフローチャートである。ステップS41では、最高グレードの全てのユニットが合格しているかを判断する。最高グレードが合格していない場合はステップS42に進んで現在練習中のグレードの全ユニットが合格したか否かをユニット成績情報に基づいて判断する。この判断が否定のときはステップS44に進み、次に練習すべきユニットを指定する。例えば、図3のようにユニットU2を枠で囲む等の表示に変え、その後、ステップS7(図4)に進む。ステップS42が肯定のときはステップS43に進み、グレードを1段階上げてステップS44に進む。例えば、グレード▲5▼からグレード▲4▼へ1段階グレードが上げられたときは、その直後のステップS44では、グレード▲4▼の最初の4小節からなるユニットが指定される。こうして、最高のグレード▲1▼が合格したならば、ステップS41は肯定となり、処理を終了する。
【0046】
図6は、図4のステップS5でディスプレイ14上に表示された押鍵指示の一例を示す図である。同図において、画面の上部および下部に鍵盤図形を表示する。なお、押鍵指示が鍵盤のどの鍵に対応するかを見やすくするために鍵盤図形Kを画面の上下に表示したが、これを画面の下部にだけ表示してもよい。鍵盤図形K,Kの間に示され、楽音の長さに応じた長さと鍵盤図形Kの白鍵の幅とを持つ複数の略矩形マークが押鍵指示である。一つのマークが一つの楽音に対応する。画面は上下が時間軸であり、下部の鍵盤図形Kに近い押鍵指示ほど、早い時期に弾くべき楽音を示す。押鍵指示マークは予定のテンポで下方に移動し、押鍵指示マークの下端が下部鍵盤図形Kに達したときが押鍵タイミングであり、押鍵されている鍵に対応する押鍵指示マークが画面から消えたときが、その鍵の離鍵タイミングである。押鍵指示の移動つまりスクロールは、演奏者が押鍵または離鍵したときに実施される。
【0047】
押鍵指示の表示方法は、本出願人の出願に係る特願2001−352206号の明細書に記載されているものを適用することができる。なお、押鍵指示はスクロールするものに限らず、曲全体の押鍵指示を一括表示するものや、画面の切り替えを行っていくものであってもよい。
【0048】
図1は本実施形態に係る演奏独習装置の要部機能を示すブロック図である。同図において、レッスンメニュー作成部3は、図3に一例を示したようなレッスンメニューを作成する。演奏データ記憶部4には、練習曲の演奏データが格納されている。レッスンメニュー作成部3は演奏データや検出回路23で検出された押鍵情報等を使用してレッスンメニューを作成し、作成されたレッスンメニューはディスプレイ14に表示される。レッスンメニューには、次に演奏するユニットと演奏済みのユニットの成績(ランクや合格判定)が含まれるが、その他に、各種指示スイッチが表示される。ユニット指定ボタンL1、モードスイッチL2、スタートスイッチL3等である。例えば、モードスイッチL2をキーボード12またはマウス13で指示することにより、現在のユニット指定モードが反転する。自動モードの時は手動モードに、手動モードの時は自動モードに切り替えられる。ユニット指定ボタンL1は手動モードのときに表示され、このボタンL1をキーボード12またはマウス13で指示して、希望のユニットの表示をさらに指示することにより次に演奏するユニットが指定される。スタートスイッチL3はユニットが指定された後にレッスン開始を指示するために設けられる。
【0049】
進行制御部5は、スタートスイッチL3が押されるとユニット指定ボタンL1とユニットの表示の指示に従って演奏データ記憶部4の演奏データのうち指定されたユニットの演奏データを読み出し、押鍵指示部6に入力する。押鍵指示部6は入力された演奏データに基づいてディスプレイ14に押鍵指示を表示する。
【0050】
押鍵指示が表示される場合は、レッスンメニューはディスプレイ14上から消去され、レッスンメニューが表示される場合は押鍵指示はディスプレイ14上から消去される。レッスンメニューは指定されたユニットの演奏が終了して評価される毎に表示されるが、途中でレッスンメニューを表示させたい場合に対応できるようにレッスン中断スイッチL4が設けられる。このレッスン中断スイッチL4は押鍵指示表示画面上に設けることができる。レッスン中断スイッチL4が押されるとディスプレイ14の表示はレッスンメニューに変わる。
【0051】
レッスンメニューの表示は、図3に示したように実際の楽譜に対応させるものに限らない。図7は鍵盤図形と鍵盤図形に対応させた矩形図形とで楽譜を代表させたユニット表示の例を示す図である。鍵盤図形を画面下部に配置し、その上に上下に時間軸を取って楽音に応じた長さの矩形図形を表示させた。そして、矩形図形の右側にグレード毎のユニットを表示している。
【0052】
図7では、グレード▲5▼の第1〜第4小節を含むユニットが合格し、第5〜第8小節を含むユニットが不合格(ランクD)であって再度第5および第6小節からなるユニットが指定されている例を示す。
【0053】
上述の実施形態では、一つのユニットを合格したならば、同じグレード中の次の小節を演奏するようにユニットを設定するようにした。しかし、この設定方法に限らず、できるだけ早い時期に連続した多くの小節を練習できるように設定することもできる。
【0054】
例えば、図3において、ユニットU1とその次に隣接するユニットが合格したならば、その次は、同じグレード内の次のユニットを指定するのではなく、グレードを一つあげてグレード▲4▼の最初のユニットに進むこともできる。グレード▲4▼の最初のユニットはグレード▲5▼の最初の二つのユニットを合わせたものであるので、この二つのユニットを通しで練習することになるグレード▲4▼で比較的長い演奏を体験できる。
【0055】
そして、グレード▲4▼の最初のユニットが合格したならば、再びグレード▲5▼に戻り、第3番目のユニットを選択する。それが合格したならば続いてとグレード▲5▼の第4番目のユニットを選択する。グレード▲5▼の第4弁目のユニットが合格したならば、グレード▲4▼に上がって第2番目のユニットを選択する。この第2番目のユニットが合格したならば、グレード▲3▼の最初のユニットを選択する。このように、上位グレードの一つのユニットに含まれる下位グレードのユニットが合格した場合は、その上位グレードに進んで練習できるようにする。
【0056】
なお、押鍵指示情報は指示された通りの鍵が押鍵されないと次にスクロールされないようにして習熟度を高めるようにした。しかし、最高グレードIでは、練習者の習熟度が高められているはずであるので、指示された通りの押鍵がなされなかった場合も連続して押鍵指示情報の表示を行うようにしてもよい。できるだけ曲全体を通した演奏の練習をできるようにするためである。
【0057】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1〜請求項5の発明によれば、演奏指示が楽音情報の範囲を規定するユニット毎で行われる。そして、このユニットの指定を、予定の進行に従い自動的に行われるモードと、任意にユニットを手動で指定することができるモードとを選択して実施できる。したがって、自動的に進行が決定されている画一的な演奏指示だけでなく、演奏者の好みに応じて進行を進ませたり、元に戻したりすることができる。
【0058】
特に、請求項2の発明によれば、レッスンメニューの上から、自動モードおよび手動モードの選択ができる。請求項3の発明によれば、自動モードのときに、レッスンを中断するとレッスンメニューが表示され、手動でユニットを指定することができる。したがって、自動モードで進行していて、現在のユニットの連数が終了していない場合であっても、演奏者が先に進みたいとか、元に戻ってさらに練習したいとかの場合に対応することができる。
【0059】
請求項4,5の発明によれば、各習熟度の所定のユニットが合格基準に達したときには、それより上位の習熟度の練習に進む。したがって、練習範囲を徐々に広げていきつつ、習熟度も徐々に上げていくことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る演奏独習装置の要部機能を示すブロック図である。
【図2】 本発明の一実施形態に係る演奏独習装置のシステム構成図である。
【図3】 レッスンメニューの表示例を示す図である。
【図4】 演奏独習装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】 ユニットの指定処理を示すフローチャートである。
【図6】 押鍵指示の表示例を示す図である。
【図7】 レッスンメニューの別の表示例を示す図である。
【符号の説明】
1…パソコン、 2…鍵盤楽器、 3…レッスンメニュー作成部、 4…演奏データ記憶部、 5…進行制御部、 6…押鍵指示部、 12…キーボード、 14…ディスプレイ。
Claims (3)
- 楽譜情報を表示して演奏者に楽器の演奏指示を行う演奏独習装置において、
演奏曲の範囲を規定するユニット毎に演奏指示を行う演奏指示手段と、
演奏指示を行うユニットを指定できるように楽譜または楽譜を表す図形に対応付けたユニット表示図形を含むレッスンメニューを表示する表示手段とを具備し、
前記演奏指示手段が、演奏指示のためのユニットの指定を予定の進行に従って自動的に行う自動モードと任意のユニットを指定できる手動モードとで選択的に動作できるように構成され、
前記表示手段が、前記レッスンメニュー上に前記自動モードおよび手動モードを選択するモード選択スイッチを表示させるように構成されているとともに、
前記自動モードで演奏指示が行われているときに、レッスンメニューを表示させるレッスン中断手段をさらに具備したことを特徴とする演奏独習装置。 - 楽譜情報を表示して演奏者に楽器の演奏指示を行う演奏独習装置において、
演奏曲の範囲を規定するユニット毎に演奏指示を行う演奏指示手段と、
演奏指示を行うユニットを指定できるレッスンメニューを表示する表示手段とを具備し、
前記演奏指示手段が、演奏指示のためのユニットの指定を予定の進行に従って自動的に行う自動モードと任意のユニットを指定できる手動モードとで選択的に動作できるように構成されているとともに、
前記レッスンメニューが、習熟度が高いほど広い範囲の楽音情報を含むように設定されたユニットを楽譜に対応させて習熟度別に表示するものであり、
前記自動モードでは、前記演奏指示手段が、前記レッスンメニュー上のユニットのうち、演奏が予定の合格基準に達していないものであって、かつ最も早い時期に演奏すべきユニットを、次に楽譜情報を表示するものとして指定するとともに、同じ習熟度のユニットの演奏が全て前記合格基準に達した場合に、前記次に楽譜情報を表示するユニットを習熟度が上位のものから選択して指定するように構成されたことを特徴とする演奏独習装置。 - 楽譜情報を表示して演奏者に楽器の演奏指示を行う演奏独習装置において、
演奏曲の範囲を規定するユニット毎に演奏指示を行う演奏指示手段と、
演奏指示を行うユニットを指定できるレッスンメニューを表示する表示手段とを具備し、
前記演奏指示手段が、演奏指示のためのユニットの指定を予定の進行に従って自動的に行う自動モードと任意のユニットを指定できる手動モードとで選択的に動作できるように構成されているとともに、
前記レッスンメニューが、習熟度が高いほど広い範囲の楽音情報を含むように設定されたユニットを楽譜に対応させて習熟度別に表示するものであり、
前記自動モードでは、前記演奏指示手段が、レッスンメニュー上のユニットのうち、演奏が予定の合格基準に達していないものであって、かつ最も早い時期に演奏すべきユニットを、次に楽譜情報を表示するものとして指定するとともに、習熟度が上位にあるユニットに含まれる下位のユニットの演奏が全て前記合格基準に達した場合に、該上位にあるユニットを、前記次に楽譜情報を表示するユニットとして指定するように構成されたことを特徴とする演奏独習装置。
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US11/946,731 US7525035B2 (en) | 2002-09-04 | 2007-11-28 | Musical performance self-training apparatus |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002273311A JP4183115B2 (ja) | 2002-09-19 | 2002-09-19 | 演奏独習装置 |
Publications (2)
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