JP4182188B2 - 測定装置試料流路のリーク検知システムおよびそのシステムを搭載した燃焼排ガス測定装置 - Google Patents
測定装置試料流路のリーク検知システムおよびそのシステムを搭載した燃焼排ガス測定装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、測定装置の試料流路のリーク検知に関するもので、例えば、環境用測定装置等のリーク検知システムとして特に有用である。
【0002】
【従来の技術】
従来、発生源用測定装置や環境大気用測定装置あるいは自動車排気ガス測定装置などの大気汚染測定装置においては、図5に示すように、試料採取点から分析計までの間に試料流体中の除湿や除塵あるいは定流量化などを目的として、フィルタ、切換弁、導管、除湿器、吸引ポンプ、絞り弁、流量計などが設けられるとともに、各部材を配管で接続し試料流路を形成している(例えば非特許文献1参照)。
【0003】
ここで、試料流路にリークが生じると、正しい測定値が得られず装置の設置目的を満たすことができない。こうしたリークは、一般に稼動後の接続部の弛みや部材の破損のみならず、保守・点検に伴う作業時に生じる場合や作業が原因で生じることが多い。
【0004】
一方、リーク箇所を特定し修復・確認する方法としては、通常、作動状態では流量計や圧力計などをモニターしてリークの確認を行っていた。また、試料流路を空気で加圧し流路外部に例えばSnoop(Swagelok社製)等を塗布し漏れる空気を検知する方法などが多く行われる。
【0005】
【非特許文献1】
日本工業規格「JIS B7982−2002」
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、僅かなリークであっても、測定値の誤差が無視できないことが多い一方、運転時ではリークが生じているか否かを確認することが難しい。つまり、リークが生じた場合の現象としては、
(1)測定値の低下(O2のような大気中に存在する成分は除く)
(2)測定値の激しいフラツキの発生
(3)測定値の鈍りの発生
(4)大気中に存在する成分との反応による測定値の変化
などが挙げられるが、リークが測定値に大きく影響を与えない限り検知することは難しい。また、試料中の測定成分濃度の変動とリークの発生との区別が難しく、リーク箇所でのモレ量が刻一刻変化ことを考慮すると測定値だけでの判断は不可能に近い。校正時における確認も、校正ガスの導入路以外の流路でのリークは全く検知できず役に立たない。
【0007】
さらに、リークが生じた場合であっても、リーク箇所を特定し修復することは非常に困難を伴う作業であり、上記の測定装置のように試料の処理に必要となる部品点数が多く複雑な配管接続となり易い装置にいては、リーク箇所の検知は特に困難性が高い。
【0008】
また、リークが生じた場合であっても、連続運転中の現地の測定装置を停止し保守することは測定値の欠測を生じることとなり、修復作業が難しいことが多い。特に環境監視を目的とする測定装置にあっては尚更であり、修復作業も迅速性が要求され、上記のリーク検知方法の現場での実施は難しい。特に、容器のチェックは大掛かりなリーク検知装置を必要とする。
【0009】
さらに、昨今、搭載される各種測定装置においては、リモートメンテナンスや自己診断機能の要請が強くなってきており、装置全体の機能だけでなく、リークに関する診断機能は欠かせないものとなっている。特に省人化・省力化が必要な現場設置型の測定装置では、なお一層こうした要請が強くなってきており、リークの有無に対する警報機能だけでは不十分となってきている。
【0010】
そこで、本発明の目的は、試料流路のリークの有無を含めた測定装置の作動状態を正確に把握し、保守を容易にするとともに、測定精度の向上に寄与する簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムおよびそのシステムを搭載した燃焼排ガス測定装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、測定装置の試料流路におけるリークと検出部に導入される試料組成について鋭意研究したところ、下記のシステムによって上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、測定装置試料流路のリーク検知システムであって、燃焼排ガス中の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における測定値と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする。こうしたシステムによって、特に従来困難であった試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを提供することができる。
【0013】
また、本発明は、測定装置試料流路のリーク検知システムであって、燃焼排ガス中の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における測定値を所定時間前における測定値と比較する手段、前記比較により算出された測定値変化量と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする。こうしたシステムによって、試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを提供することができる。
【0014】
さらには、本発明は、測定装置試料流路のリーク検知システムであって、燃焼排ガス中の複数の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段であって前記複数の成分ごとに理論値との差が異なる閾値を設定することが可能な手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における前記複数の成分の測定値と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする。こうしたシステムによって、特に従来困難であった試料流路のリークの有無をより正確に把握し、測定精度の向上に寄与する簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを提供することができる。
【0015】
また、燃焼排ガス測定装置であって、上記のいずれかのリーク検知システムを適用することを特徴とする。こうしたシステムを搭載することによって、試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、測定精度の高い燃焼排ガス測定装置を提供することができる。
【0016】
ここで、前記リーク検知システムにおいて、測定手段によって得られたCO2測定値またはO2測定値を用いてリーク量を算出し、測定対象成分濃度を補正することが好適である。こうしたシステムを搭載することによって、特に従来困難であった試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、リークの影響の少ない測定精度の高い燃焼排ガス測定装置を提供することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
本発明は、測定装置試料流路のリーク検知システムであって、燃焼排ガス中の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における測定値と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする。本発明者は、燃焼排ガス中の例えばCO2成分が、通常運転時において比較的安定な濃度を維持していること、試料流路の周囲を取り巻く大気のCO2成分の濃度と大きく異なること、および略燃焼条件から算出される濃度となることに注目し、測定装置の吸引(減圧)ラインでのリークの検知に有用であることを見出したもので、任意の時間におけるCO2測定値と燃焼の理論的条件から算出した閾値との比較によってリークの有無を判断することを特徴とし、従来困難であった試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを可能とする。
【0018】
具体的には、リークが発生すると試料流路に大気が流入するため、例えばCO2濃度の場合には正常時よりも低下した状態となり、O2濃度の場合には上昇した状態となる。つまり、正常時の測定値の推量が可能な場合には、それよりも実測値が低下あるいは上昇していることからリーク発生の可能性を検知することができる。つまり、上記推量可能な測定値に対し幾らかの裕度をもって閾値を設定し、実測値がそれを超える場合あるいはそれより降る場合にリークが発生しているとの判断を行うことができる。
【0019】
閾値は、燃焼の理論的条件つまり燃焼条件から導き出せることを前提として、1つは試料中に存在する成分に関する値であり、試料流路周辺の雰囲気と濃度的に大きな差異がある場合に限定して設定される。例えば、CO2の場合、通常の重油ボイラであれば試料中に10〜15%存在する一方、大気中には500〜1000ppm程度しか存在しないことから、閾値として例えば8%あるいは12%などと設定しうる。また、O2の場合、通常の重油ボイラの燃焼中であれば試料中に1〜5%存在する一方、大気中には約21%存在することから、閾値として例えば2%あるいは6%などと設定しうる。
【0020】
むろん本発明は、CO2やO2に限定されず、燃焼条件によって理論排出濃度の推算が可能な他の成分についても同様に適用可能な場合がある。例えば、燃料中に存在する硫黄(S)分は使用前に予め測定されており、理論二酸化硫黄(SO2)排出濃度は、燃焼条件が決まれば相当精度の高い推算が可能であり、本発明の適用が可能である。
【0021】
また、ここでいう燃焼条件とは、例えばボイラの場合には、ボイラの稼動状態、ボイラの方式やボイラの制御方式、燃料の種類や空気との比率、あるいは燃焼温度など、排ガス中のCO2濃度に影響するあらゆる条件(以下「ボイラ情報」という)をいい、エンジンの場合には、エンジンの稼動状態、排気量・トルク等のエンジンの特性、空気循環式などのエンジンの方式、燃料の種類や空気との比率、あるいは燃焼温度など、排ガス中のCO2濃度に影響するあらゆる条件が該当する。
【0022】
以下、ボイラ排気ガスを試料とし、その中のCO2濃度を基に機能するシステムを例にとって説明する。
図1に燃焼機関としてボイラを用いたときの排ガス中のCO2濃度の変化および閾値との関係を模式的に例示する。予め正常時の理論CO2濃度Aoを算出し、一定の許容幅aを考慮した閾値Aaを設定しておいて、測定装置の設けたCO2濃度計によって測定した試料中のCO2濃度が閾値Aaを下回った場合、具体的には、図1のC領域における斜線部について異常(リークの発生)と判断される。
【0023】
図2に、上記のボイラの停止や休止などに伴うCO2濃度低下との区別を含めた、基本的な判断フローを例示する。CO2測定値を保存し、任意に設定された所定時間の測定値を求め、ボイラ情報として稼動中か否かの情報を受けて、該測定値と閾値との比較、によって正常か異常かの判断が行われる。異常と判断した場合には、「リーク発生」等所定の警報が発生され、装置の保守または点検による修復作業に結びつき、リモートメンテナンスや自己診断機能の役割を果たすことが可能となる。
【0024】
ここで、測定値としては瞬時値をそのまま対象とすることが通常であるが、濃度変化が激しい場合には判断を誤ることがありうるため、平均値での比較を行うことも可能であり、ボイラの稼動状態によって平均する時間間隔が決定される。
【0025】
同様に、正常時でのボイラの稼動状態によるCO2濃度の変動幅を考慮して閾値が設定され、燃焼条件とリンクして閾値を変更することも、精緻な判断・制御を行う目的において有用である。例えば、ボイラの空気−燃料比率を切換えたとき試料中のCO2濃度が変化するが、このとき切換情報をボイラ情報として受け、当初のCO2濃度閾値を切換えることで、より実働状態に合致したリークの判断が可能となる。
【0026】
なお、判断対象を1つの成分に限定する必要はなく、2以上の成分について判断基準を設けることも有用である。例えば、ある成分の変動幅が比較的大きい場合には理論値と閾値との差を大きく設定する必要があり、1つの成分ではリークの検知が困難となる場合には、2以上の成分について理論値と閾値との差を小さく設定し、複数の成分での異常時にリークと判断する方法が可能である。また、CO2やO2のように吸着性の弱い成分では応答が速く、SO2のように吸着性の強い成分では応答が遅く、各測定成分によってレスポンスの相違することから、応答の速い成分では理論値と閾値との差を小さく設定し、応答の遅い成分では理論値と閾値との差を大きく設定して、両者が同時に異常の場合にリークと判断する方法が可能である。このように、複数の成分、あるいは、より適切な閾値の設定によって精緻な判断リークの検知が可能となる。
【0027】
また、本発明は、測定装置試料流路のリーク検知システムであって、燃焼排ガス中の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における測定値を所定時間前における測定値と比較する手段、前記比較により算出された測定値変化量と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする。燃焼排ガス中の例えばCO2成分は、本来、通常運転時において比較的安定な濃度を維持していることおよび試料流路でのリーク時にCO2測定値が大きくハンチングすることがあることに着目し、測定装置の吸引(減圧)ラインでのリークの検知に有用であることを見出したもので、任意の時間におけるCO2測定値の短時間での変動幅が所定値(閾値)を超えるか否かによってリークの有無を判断することを特徴とし、従来困難であった試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを可能とする。
【0028】
具体的には、上述のようにボイラ排気ガスを試料とし、その中のCO2濃度を基に機能するシステムを例にとって説明すると、リークが発生すると試料流路に大気が流入するため、図1のB領域におけるような測定値のハンチングがみられた場合に異常(リークの発生)と判断される。判断基準となる時間幅および閾値は、正常時でのボイラの稼動状態によるCO2濃度の変動幅を考慮して設定され、上述のようにボイラ情報とリンクして時間幅および閾値を変更することも、精緻な判断・制御を行う目的において有用である。
【0029】
ここで、燃焼条件とは、例えばボイラの場合には、上述のようにボイラの稼動状態など、排ガス中のCO2濃度に影響するあらゆる条件、つまり、ボイラ情報として利用されるものであり、エンジンの場合においても、同様に上述のとおりである。また、測定値を微分した値を基準に閾値を設定し、実際に連続測定を行った値の微分値を閾値と比較する方法も、同様に異常の検知に有効な手段である。さらに、微分値の変動が大きい場合には、当該微分値を所定時間分平均した値を閾値と比較する方法も有用である。
【0030】
なお、上記の測定値を閾値と比較する判断手法との組合せも可能であることはいうまでもない。また、2以上の成分の組合せによる判断手法も上述同様可能である。
【0031】
また、本発明は、測定装置試料流路のリーク検知システムであって、燃焼排ガス中の二酸化炭素(CO2)および酸素(O2)を測定する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間帯におけるCO2測定値とO2測定値についての変化量または増減方向からリーク有無を判断する手段、を有することを特徴とする。一般に燃焼排ガス中のCO2濃度とO2濃度とは、一定の相関関係があることが知られている(特公昭61−22727号公報)。本発明者はこうした関係を利用し、試料中のCO2およびO2の相対的な濃度変化、つまり、増加傾向あるいは減少傾向といった両者の相関的な変化の方向性を考察することが、測定装置の試料流路のリーク検知に有用であることを見出したものであり、本システムは、特に一般ボイラのように試料中の酸素濃度が空気中の酸素濃度に比べ低くその差が大きい場合に有用である。
【0032】
図3に、上記公報に記載された空気過剰率λ(空気燃料比率あるいはA/F値とすることも可能)とCO2およびO2の濃度との関係を示す。λが1.0以下においては、O2濃度は殆どO%に近い状態で変化はせずCO2濃度が徐々に上昇する。CO2濃度は、λ=1.0をピークとして、λが1.0以上において逆に徐々に減少する一方、O2濃度はλ=1.0をスタートとして、λが1.0以上において徐々に上昇する。試料中のCO2およびO2の濃度がこうした相対的な関係とならない場合において、試料流路内での異変、つまり最大の要因であるリークの発生を推測することができる。
【0033】
具体的には、ボイラ稼動状態において
(1)ボイラ情報からの判断では燃焼条件が安定であるにも拘らず、CO2濃度が減少し、O2濃度が増加する場合
(2)CO2濃度に変化がないにも拘らず、O2濃度が増加する場合
(3)O2濃度の増加率が、CO2濃度の減少率よりも高い場合
の場合にリークの可能性がある。
【0034】
従って、例えば、保存されたCO2およびO2の測定値から任意に設定された一定時間間隔での瞬時値あるいは平均値を求め、任意の時間帯での瞬時値あるいは平均値とその隣接する時間帯での瞬時値あるいは平均値の変化を追跡したときの傾向が上記(1)〜(3)のいずれかに相当するときに異常と判断し、リークしていると判断することが可能となる。ここで、平均値での比較を行ったのは、瞬時値では、濃度変化が激しい場合に判断を誤ることがありうるためである。図4に実測状態での正常時および異常時の各成分の濃度変化を例示する。
【0035】
また、上記と同様に、任意の時間帯におけるCO2測定値とO2測定値の変化量について着目し、上記の傾向を判断する場合の傾斜値(単位時間当たりの平均値の変化量)を、各々CO2に関係する閾値およびO2に関係する閾値として設けることで、より定量的かつ正確に異常の判断を行うことが好適である。任意の時間におけるCO2測定値の変化量が前記閾値を超えた場合に異常の判断を行うことで、通常時の判断動作を軽減することができる。判断基準となる時間幅および閾値は、正常時でのボイラの稼動状態によるCO2やO2濃度の変動幅を考慮して設定され、ボイラ情報とリンクして時間幅および閾値を変更することも、精緻な判断・制御を行う目的において有用である。
【0036】
ここで、ボイラ情報とは、例えば、上述のようにボイラの稼動状態など、排ガス中のCO2やO2濃度に影響するあらゆる情報をいう。また、測定値を微分した値を基準に閾値を設定し、実際に連続測定を行った値の微分値を閾値と比較する方法も、同様に異常の検知に有効な手段である。さらに、微分値の変動が大きい場合には、当該微分値を所定時間分平均した値を閾値と比較する方法も有用である。
【0037】
なお、上述の測定値と閾値との比較など、各判断方法を組み合わせた方法を採ることも可能であることはいうまでもない。また、例えばSO2などを加えた3以上の成分の組合せによる判断手法も上述同様可能である。
【0038】
また本発明は、以上のようなシステムを搭載することによって、試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、測定精度の高い燃焼排ガス測定装置を提供することができる。ここで、O2測定用分析計は、O2が排出規制に基づく測定対象物であることから燃焼排ガス測定装置に搭載されることが多く、併せて本発明の目的として利用することが可能である。また、従来からボイラ燃焼管理用あるいは排気ガス管理用として燃焼排ガス流路に複数のO2計が常設されており、リークの判断の参考に、測定装置のO2測定値と比較対象として利用することが可能である。CO2測定用分析計についても、昨今燃焼効率の精度の高い管理を行う等の目的から燃焼排ガス測定装置に搭載されることが多くなってきており、測定値の利用が可能である。また、上記と同じ目的で燃焼排ガス流路に常設されるCO2計をリークの判断の参考とすることが可能である。
【0039】
また、前記リーク検知システムにおいて、測定手段によって得られたCO2測定値またはO2測定値を用いてリーク量を算出し、測定対象成分濃度を補正することが好適である。本発明をリークの検知から一歩進めて、リーク時の測定対象成分濃度の補正まで行うことが可能であることを見出したもので、従来異常値として欠測扱いとなっていた測定値を利用することが可能となり、リークの影響の少ない測定精度の高い燃焼排ガス測定装置を提供することができる。
【0040】
具体的には、以下の燃焼式からCO2とO2の関係が導き出されることから、異常時の測定値を補正するものである。
CmHn+(m+n/4)O2→mCO2+n/2H2O
実際の発生源としての燃焼装置にあっては、燃焼後に各種の処理用として余剰空気を注入することがあるが、この場合には、注入条件を一定として、CO2およびO2の変化量の関係を用いて補正することも可能である。ここで、窒素(N2)分圧[N2]は、燃焼に用いられた空気および余剰分pから成り、O2分圧[O2]は余剰分pのみとなる。また、mとnの関係は使用燃料が決まれば自動的に定まる。
【0041】
つまり、正常時の[CO2]と[O2]との関係をメモリーしておき、任意の時間の[CO2]を基準に正常時の[O2]を推定し、実測(異常)時の[O2]との差をリークによる希釈量とする。この数値を基に、例えば、測定対象である窒素酸化物(NOx)や二酸化硫黄(SO2)の測定値を補正することができる。
【0042】
上記では、余剰空気注入量を一定とした場合を例示したが、変動している場合には、上述のような燃焼排ガス流路に常設されているO2計の測定値を用いて余剰空気注入量を算出しておき、任意の時間の[CO2]を基準に正常時の[O2]を推定し、実測(異常)時の[O2]との差をリークによる希釈量とすることができる。
【0043】
以上のように、試料流路のリーク検知は測定装置において重要な役割を果たすことから、燃焼装置の稼動状態あるいは測定装置の使用条件に対応した、任意の閾値の設定やシステムの選定をすることが好ましい。
【0044】
なお、こうした測定装置および試料流路のリーク検知システムは狭い意味での燃焼に限定されるものではなく、広く酸化反応を伴う試料を測定する装置であれば適用することが可能であることはいうまでもない。
【0045】
【発明の効果】
以上のように、燃焼排ガス中の成分濃度測定値を基にリークの有無を判断する本発明のリーク検知システムによって、特に従来困難であった試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを提供することができる。
【0046】
また、成分濃度測定値の変化量からリークの有無を判断することによって、試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを提供することができる。
【0047】
さらには、燃焼排ガス中のCO2測定値およびO2測定値を判断基準として、両者の相対的な変化量または増減方向からリークの有無を判断することによって、特に従来困難であった試料流路のリークの有無をより正確に把握し、測定精度の向上に寄与する簡便な測定装置試料流路のリーク検知システムを提供することができる。
【0048】
また、上記のリーク検知システムを搭載することによって、試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、測定精度の高い燃焼排ガス測定装置を提供することができる。
【0049】
ここで、CO2測定値またはO2測定値を用いてリーク量を算出し、測定対象成分濃度を補正することによって、特に従来困難であった試料流路のリークの有無を正確に把握し、保守を容易にするとともに、リークの影響の少ない測定精度の高い燃焼排ガス測定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るリーク検知システムの判断手法の一例を示す説明図
【図2】本発明に係るリーク検知システムの判断フローの一例を示す説明図
【図3】燃焼排ガス測定時のCO2およびO2(一酸化炭素(CO)を含む)測定値の変動の一例を示す説明図
【図4】燃焼排ガス測定時のCO2およびO2測定値の変動の一例を示す説明図
【図5】従来の燃焼排ガス測定装置の構成例を示す説明図
【符号の説明】
AO 理論CO2濃度
Aa 閾値
a 許容幅
Claims (5)
- 燃焼排ガス中の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における測定値と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする測定装置試料流路のリーク検知システム。
- 燃焼排ガス中の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における測定値を所定時間前における測定値と比較する手段、前記比較により算出された測定値変化量と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする測定装置試料流路のリーク検知システム。
- 燃焼排ガス中の複数の成分濃度を測定する手段、燃焼の理論的条件から算出した閾値を入力する手段であって前記複数の成分ごとに理論値との差が異なる閾値を設定することが可能な手段、前記測定手段から測定値を取り込み記憶する手段、任意の時間における前記複数の成分の測定値と前記閾値との比較からリークの有無を判断する手段、を有することを特徴とする測定装置試料流路のリーク検知システム。
- 請求項1〜3のいずれかに記載のリーク検知システムを適用することを特徴とする燃焼排ガス測定装置。
- 前記リーク検知システムにおいて、測定手段によって得られたCO2測定値またはO2測定値を用いてリーク量を算出し、測定対象成分濃度を補正することを特徴とする請求項4に記載の燃焼排ガス測定装置。
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