JP4180517B2 - ブラインド取付け用シーリングプラグ - Google Patents

Description

本発明は、適当な穴に、たとえば高圧流体に抗して差し込んでシールする、ブラインド取付用のシーリングプラグに関する。ブラインド取付とは、穴の片側のみからのアクセスによりプラグを取り付けることを意味する。

既知のタイプのこのようなシーリングプラグ（たとえば、商標ＡＶＳＥＡＬおよびＫＯＥＮＩＮＧ ＨＫとして入手可能なもの）は、中空円筒形スリーブ、およびテーパ付ヘッド部を有するステムを備え、このヘッド部をスリーブ中に引き出すことで、穴をふさぐまで径方向にスリーブを拡張させる。

このタイプのプラグの主な不都合点は、差し込まれる穴と、取り付け前のプラグスリーブの外径との直径の許容差が比較的小さいことである。これによりいくつかの問題が生じる。このように、同一のプラグによってうまくシールすることができる穴径の範囲が制限されるため、実際には所定範囲の種々のサイズのプラグが必要となる。さらに、プラグを加工材に差し込むために自動機械が用いられる場合、加工材の穴は固定基準に対して非常に正確に位置決めされねばならず、また自動プラグ取り付け機は、取り付けサイクルの挿入段階中にプラグを穴に正確に位置合わせすることが可能でなければならない。これが行われないと、挿入中にプラグが加工材と衝突する危険性があり、これによりプラグの表面または加工材の穴の表面が損傷を受ける可能性がある。これらのいずれが生じた場合も、プラグの取り付けが不完全となり、不適切にプラグが差し込まれた穴から流体が漏れる恐れがある。

本発明の１つの目的は、これらの問題を克服するシーリングプラグを提供することである。

したがって、本発明の態様の１つでは、本発明は、請求項１に記載のシーリングプラグを提供する。

本発明の他の特徴は、さらなる請求項に記載する。

次に本発明の特定の実施形態を、例として、添付図面を参照して記載する。

図１を参照すると、プラグは、スリーブ１、およびブレークネック（breakneck）３の形態をした弱化部分（weakened portion）を有するステム２を備える。ステムヘッド４は、拡張部５、およびブレークネック３に隣接した中間部６を有し、この中間部６は、ステムの引き抜き部（pulling portion）７よりもわずかに大きい直径である。拡張部５と中間部６との間の移行部は、環状リング９の形態をとる突起または隆起部を有する肩部８をなす。この例では、図１の拡大部分に示すように、隆起したリングはテーパー状の断面を有する。

ステム引き抜き部７は、従来のブラインドリベット取付け（riveting）工具との係合のための従来の引き抜き溝（pulling groove）１０を有する。スリーブ１は、アルミニウムのような比較的軟質の材料から製造され、ステム２は、鋼のような比較的硬質の材料から作られる。スリーブ１は、突出した環状リング９がスリーブ１の端面２０に当接するようにステム２に組み立てられる。

図２は、その環状ノーズピース１１が誘導部分（leading part）であり（工具の残りの部分は図示しない）、差し込まれる穴１２の周りで加工材１３の面２２に当接している、取付け工具に係合されたプラグを示す。プラグのヘッド４およびスリーブ１は完全に、差し込まれる穴１２の中にある。プラグのヘッド４およびスリーブ１は、完全に穴１２の中にある。取付け工具は、ブレークステムリベットまたはロックボルトを取り付けるのに一般に使用されるタイプのものである。この取付け工具は、引き抜き溝１０と係合することによって突起プラグステムを把持する引き抜きつかみ部（pulling jaw）（図示せず）を備え、このつかみ部は、ノーズピース１１から引っ込められている。ノーズピースの反発力は、ヘッド４から遠いスリーブの端部に抗するものであり、そのため、増加張力がステム２に加えられるにつれて、増加圧縮力がスリーブ１に加えられる。

したがって、図３を参照すると、工具が作動すると、ステム２が、ノーズピース１１中へ引き込まれ、そのため、ステムヘッド拡張部５が、工具のノーズピース１１の方に引かれる。図３の拡大部分に示すように、この初期の作用は、ステムヘッド環状突出リング９をスリーブ１の端面２０に押しつけることである。

この引張力が増すにつれて、ステムヘッドの肩部８とノーズピース１１との間の圧縮力が増し、スリーブ１が径方向に拡張する。スリーブ１の前端面２１がノーズピース１１との間の摩擦力により径方向に拡張するのが部分的に抑制され、スリーブの他方の端面２０が、ステムヘッドの肩部８上の環状リング９との係合によって径方向に拡張するのが部分的に抑制されるため、スリーブは最初は樽型（図４に示すように）に径方向に拡張する。肩部８によりスリーブ１に加えられる力は、図４に示すように、ステムヘッドがスリーブの端部に押しつけられるほど強いものである。これにより、ステムの肩部とスリーブ端面２０とが密接する。

環状リング９は、図４の拡大部分に示すゾーン１４および１５におけるステムとスリーブとの密接を維持するのに有効である。引張力がさらに増すと、ステム肩部８はスリーブをさらに圧迫し、その周面（peripheral surface）１６が穴表面１７に接触するまでスリーブの直径がさらに拡大する。引張力がさらになお増すにつれ、ステムヘッド４はスリーブをさらに圧迫し、スリーブ材の圧縮力の増大と、それに続いて、スリーブを拡張させる径方向の力の増大とが生じる。図５に示すように、これにより、スリーブ周面１６’と穴表面１７’との間の接触領域１８が増大する。２つの表面１６’と１７’との間の圧力は、これら２つの表面が密接するまで増大する。径方向圧力の増大によっても、スリーブの孔の表面１９がヘッドの部分６の表面と密接するようになる。

ヘッド部６とスリーブの孔との間のこの密接は、ステムのブレークネック３が所定の張力負荷（tension load）で最終的に破損した場合にステムヘッド４が跳ね返ることを防ぐのに有効である。したがって、ブレークネックの破損の際にはステムヘッド４とスリーブとの間にいかなる相対的な軸方向移動も生じることなく、ステムヘッドがスリーブ内に保持される。ゾーン１４および１５におけるステムとスリーブとの間の密接、およびゾーン１８にわたるスリーブの周面と穴との密接が維持される。

図６に示すように、ブレークネック３の位置は、取り付け作業が完了するとステムヘッド４のブレーク面が常に加工材の表面の下にあるような位置である。

上記例のシーリングプラグは、取り付けられていないプラグと穴との間に比較的大きいクリアランスがある穴を有効にシールして、プラグが穴へさらに容易に挿入されるようにする。

スリーブの比較的大量の径方向の拡張により、上記のことが達成される。結果として、プラグは、プラグおよび穴の軸の径方向の極めて正確な位置あわせを必要とせずに、穴に挿入されることができる。プラグが穴に挿入されると、プラグと穴との間にいくらかの径方向の位置ずれがあった場合でも、加工材と取付け工具との間に弾性コンプライアンス装置（resilient compliance device）を組み込むことができるため、プラグを問題なく取り付けることができる。したがって、取り付け作業中にプラグが拡張すると、コンプライアンス装置により、プラグが穴と径方向に位置合わせされる。

上記例のプラグは、十分に拡張してプラグの取り付け前の直径よりも著しく大きい穴をシールすることができ、また、対応するより小さい穴において、従来技術のプラグについて前述したものとほぼ同じレベルの流体圧力に対して穴をシールすることができる。たとえば、初期の本体直径が９ｍｍである上記例によるプラグを、直径１０ｍｍの穴に取り付けることができ、それにより、取り付けられたプラグは１０００バール（１００ＭＰａ）を越える圧力に耐えることができることが、実験により確定された。これは、９．４ｍｍ未満の直径の穴に取り付けられた場合にのみこのレベルの圧力に耐えることができる、従来技術の直径９ｍｍのプラグに匹敵する。

図７は、いずれも直径９ｍｍである上記例および従来技術のシーリングプラグによるシーリングプラグの比較を、グラフにより示す。このグラフは、９ｍｍ以上の穴の直径（ミリメートル）に対する、取り付けられたプラグの吹き出し圧力（バール）をプロットしている。グラフＡ（実線）は、言及したタイプの従来技術のプラグに関する結果を示す。グラフＢ（破線）は、上記例によるプラグの結果を示す。本発明のプラグは、従来技術のプラグの直径差の範囲の２倍の直径差の範囲にわたって有用であり、その範囲の大部分にわたって、従来技術のプラグよりも実質的に高い吹き出し圧力を提供する。

本発明は、上記例の詳細部に限定されない。たとえば、ステムヘッドには、記載した単一の環状突起ではなく、複数の環状突起を設けてもよい。各突起の断面は、テーパー状以外であってもよい。

ステムのヘッドには、断面寸法が低減されたロッキング部（例えば環状溝）を設けてもよく、それにより、スリーブが取り付け中に変形した場合、スリーブの材料が少なくとも部分的にロッキング部に入り、スリーブ内へのヘッドのロッキングが強化される。

プラグの取付け時の一連の工程を示す、シーリングプラグの断面図である。 プラグの取付け時の一連の工程を示す、シーリングプラグの断面図である。 プラグの取付け時の一連の工程を示す、シーリングプラグの断面図である。 プラグの取付け時の一連の工程を示す、シーリングプラグの断面図である。 プラグの取付け時の一連の工程を示す、シーリングプラグの断面図である。 プラグの取付け時の一連の工程を示す、シーリングプラグの断面図である。 従来のプラグおよび本例のプラグの比較特性を示すグラフである。

Claims (3)

1. 適当な穴（１２）に差し込んでシールする、ブラインド取付用のシーリングプラグであって、
   スリーブ（１）と、
   ヘッド（４）を有するステム（２）であって、該ヘッド（４）の少なくとも一部（５）がステム（２）の残りに対して径方向に拡張している、ステム（２）と、を備え、
   前記ステムヘッド（４）は、肩部（８）を有し、該肩部（８）には環状突起（９）が設けられており、
   前記ステム（２）は、前記スリーブ（１）の一方の端部から突き出て、
   前記環状突起（９）は、前記スリーブ（１）の他方の端部（２０）に当接しており、
   前記ステムヘッド（４）は、
   前記スリーブ（１）の材料よりも硬質の材料からなり、
   前記ヘッド（４）と、該ヘッド（４）から遠い側の前記スリーブ（１）の前記一方の端部との間に弱化部分（３）を備えて形成され、
   それによって、シーリングプラグが適当な穴（１２）に挿入され、該穴（１２）に前記スリーブ（１）が完全に入り、前記スリーブ（１）に対して増加する力が前記ステム（２）に加えられると、
   前記肩部（８）が、該肩部（８）に当接する前記スリーブ材に軸方向圧縮を加えることによって、前記ステムヘッド（４）の前記環状突起（９）を前記スリーブ（１）に埋め込み、前記スリーブ（１）を変形させ、前記穴の壁（１７）と係合するように径方向に拡張させ、その後、前記ステム（２）は、前記弱化部分（３）で砕け、前記ヘッド（４）が前記スリーブ（１）内に残るようになっている、
   シーリングプラグ。
2. 前記環状隆起部（９）は、テーパー状の断面を有する、請求項１に記載のシーリングプラグ。
3. 前記ステムヘッド（４）の前記肩部（８）は、複数の前記環状突起（９）を含む、請求項１または２に記載のシーリングプラグ。

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