JP4176807B2 - 自動車用シートの格納構造 - Google Patents
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Description
ところで、取り外した中央のシートは、自動車室内から外へ取り出して保管するか、室内に格納場所を設けて格納される。一般的には、いつでも着脱可能状態を確保する観点から室内に格納場所を設ける場合が多い。
室内に着脱可能としたシートの格納場所を設ける場合、自動車室内のフロア面の下部に設けたり、フロア面上に格納容器を設置したりしている。その一例が下記特許文献1に示す格納構造のものである。
しかし、上述した様に離脱したシートをレール等の案内部材で案内する場合には、そのレール等の案内部材をシートの設置位置から格納位置までの間、連続して設ける必要があり、特に、このレールが配設される位置がフロア面上の場合には、乗員が移動する際に障害となったり、室内の見栄えが悪いと言った問題が生じることがある。
先ず、本発明に係る自動車用シートの格納構造がとる基本手段は、自動車室内のフロア上に配設されたシート設置部材に取外し可能シートが着脱可能に設置されており、取外し可能シートを格納することのできる格納容器が、取外し可能シートの設置位置から離間した自動車室内の位置に設置されており、取外し可能シートとシート設置部材間は取外し可能シートを格納容器に格納移動させる方向に向けて移動案内する案内構造が構成されており、また、格納容器には取外し可能シートを格納する際に取外し可能シートとの間に取外し可能シートを移動案内する案内構造が構成されており、自動車室内におけるシート設置部材と格納容器の配置関係は、取外し可能シートが該取外し可能シートに構成される案内構造とシート設置部材に構成される案内構造との組合せにより該取外し可能シートがシート設置部材上を格納容器に格納移動させる方向に向けて移動案内されている状態で、該取外し可能シートに構成される案内構造が前記格納容器に構成される案内構造にも移動案内可能とされる配置関係とされており、取外し可能シートに構成される案内構造がシート設置部材に構成される案内構造と格納容器に構成される案内構造との両案内構造にまたがって位置できる配置関係とされている。
先ず、取外し可能シートは、基本シートの側部に配設される補助シートであり、補助シートはシートクッションとシートバックとから構成されて、シートバックがシートクッションに対して折り畳み可能とされており、基本シートと一体的移動可能に形成されたシート設置部材に補助シートのシートクッションが着脱可能に設置されており、補助シートのシートクッションとシート設置部材との間に前記案内構造が構成されているのが好ましい。
この好ましい手段によれば、取外し可能シートは基本シートの側部に配設される補助シートとされている。そして、補助シートは基本シートと一体的移動可能に形成されたシート設置部材に対して着脱可能に構成されている。このため、取外し可能シートとしての補助シートの構成を、基本シートと補助シートをフロアに対して独立して設置する場合に比較して簡素化することができる。
この好ましい手段によれば、格納容器が前列の左右のサイドシートの間に配設される。このため格納容器の配置位置を乗員の乗降に支障のない位置とすることができる。また、取外し可能シートと格納容器の配設位置とが車幅方向で見て同じ位置関係状態とされている。このため、両者の位置関係が車幅方向で異なる位置関係の場合に比べシート設置部材及び格納容器に構成する案内構造を比較的簡素な構造として構成することができる。
この好ましい手段によれば、格納容器の入口開口部に設けられる蓋を格納容器に構成される案内構造の一部として構成する。したがって、蓋の案内構造により確実に取外し可能シートを案内移動することができる。また、蓋は回動蓋とされておりフロアに接地した場合には、シート設置部材により近接した位置関係状態となるため、その分だけ格納容器とシート設置部材間の間隔を長く設定することも可能となる。
この好ましい手段によれば、取外し可能シートをシート設置部材から離脱させた場合には、この取外し可能シートが設置されていた空間をいわゆる乗員のウオークスルーとすることができる。
先ず、本発明の基本手段によれば取外し可能シートの設置位置から格納位置までの間の経路にはレール部材等の案内手段の設置をする必要がない。したがって、取外し可能シートの設置位置から格納位置までの間の経路には障害物をなくすることができ、見栄えも良くなる。
更に、格納容器が前列の左右のサイドシートの間に配設される場合には、格納容器の配置位置を乗員の乗降に支障のない位置とすることができる。また、取外し可能シートと格納容器の配設位置とが車幅方向で見て同じ位置関係状態とされる場合には、両者の位置関係が車幅方向で異なる位置関係の場合に比べシート設置部材及び格納容器に構成する案内構造を比較的簡素な構造として構成することができる。
更に、取外し可能シートを自動車室内に設置する際の、取外し可能シートの車幅方向の幅を乗員が通ることのできる幅とした場合には、この取外し可能シートをシート設置部材から離脱させた場合には、この空間をいわゆる乗員のウオークスルーとすることができる。
本実施形態は、先ず、いわゆるワンボックスタイプの自動車室内のフロアF上にシートが前後方向に三列配列されたシート配列構成のものである(図12参照)。そして、二列目に配設されるシートの中央位置のセンタシート30が取外し可能シートとして構成されており、その取外し可能とした二列目のセンタシート30を、一列目の左右のサイドシート76,78間に設けた格納容器80に格納する構造のものである。したがって、本実施形態では、二列目のセンタシート30が一列目の位置のフロアF上に設けられた格納容器80に格納される形態のものである。図12は二列目のセンタシート30が取外され、一列目のシート間に設置された格納容器80に格納移動される状態を示している。なお、図12において、74は三列目のシートであり、いわゆる一体的ベンチシートとして形成されている。
図1は二列目シートを表した外観斜視図であり、図2はセンタシート30を取り外した状態として表した外観斜視図である。この二列目シートは、自動車室内のフロアF上に配設されており、左右の両サイドシート10,20と、これらの間に設けられたセンタシート30とによって構成されている。以下の説明では、便宜上、車両の左側に配設されたサイドシート10を左サイドシート10と称し、車両の右側に配設されたサイドシート20を右サイドシート20と称して説明することがある。この左サイドシート10は図1の紙面右手前側に示されており、右サイドシート20は紙面左奥側に示されている。
なお、両サイドシート10,20の基本構造が個々にシートバック12,22およびシートクッション14,24を備えているのは周知のとおりである。同様にセンタシート30においても、シートバック32およびシートクッション34を備えている。なお、図において12A,22Aはアームレストであり、周知の方法にて左右のサイドシートに回動可能に取り付けられている。
センタシート30は両サイドシート10,20の間における補助シートとしての役割を果たすものである。このため、センタシート30のシートバック32およびシートクッション34は、両サイドシート10,20のシートバック12,22およびシートクッション14,24と比べて横幅が半分程度に設定されている。そして、図2に示されるように、センタシート30はサイドシート10,20の間のスペースSに配設されており、センタシート30を使用しない場合は、スペースS内に設けられた受け皿状の支持台40から取り外して格納することが可能とされている。図2はセンタシート30を取り外した状態を示し、図示状態はセンタシート30が持ち上げられた状態として図示されているが、格納のために実際にセンタシート30をスライド移動させるときには図示状態のように持ち上げる必要はなく、支持台40の上面をスライドさせながら移動させていけば良い構造となっている。
図2に戻って、前述した各サイドシート10,20の間のスペースSは、人が車両の前後方向に通り抜け(ウォークスルー)できる幅(例えば400mm)に設定されている。したがって、センターシート30が支持台40から取り外された状態では、この設置されていたスペースSを、人が通り抜けするためのスペースとして使用したり、三列目シート74(図12参照)に着座する乗員が足を投げ出すことのできるスペースとして使用したりすることができる。そして、このとき、支持台40は、人が通り抜けする際の踏み台として機能したり、足を投げ出した際の足置きとして機能したりする。
次に、一体的移動可能に構成されている左サイドシート10とセンタシート30の関連構造について説明する。
図5には左サイドシート10全体の骨組み構造が斜視図によって表されている。同図に示されるように、左サイドシート10の骨格部は、シートバック12の骨格部を成す門型形状のバックフレーム12Fと、このバックフレーム12Fの両脚部分に連結されたシートクッション14の骨格を成すクッションフレーム14Fと、から構成されている。このバックフレーム12Fとクッションフレーム14Fとの連結は、バックフレーム12Fの両脚部分とクッションフレーム14Fとの各間の位置に設けられたリクライニング装置10Rによって行われている。なお、リクライニング装置10Rの構成は、従来公知のものであるため、詳細な説明は省略する。
上述したクッションフレーム14Fは、シートクッション14の幅方向の両側部に並べて配設されており、それぞれシートクッション14の側部形状に沿って前後方向に長尺状に形成されている。詳しくは、クッションフレーム14Fは、鋼板から成る前後方向に長尺な板状部材が断面角筒状に折り曲げられると共に、その折り曲げられた開先同士が互いに溶着されて成る閉断面形状に形成されている。これにより、クッションフレーム14Fが曲げや捩れに強い構成となっており、シートクッション14がこのクッションフレーム14Fによって下方側から安定して支持されるようになっている。
ここで、各アッパレール51は、ロアレール52との間に設けられたスライドロック装置53によって、常時はロアレール52に対するスライド移動がロックされた状態として保持されている。このスライドロック装置53のロック状態は、シートクッション14の前部位置に配設された各スライドロック装置53を繋ぐ操作レバー50Aの引上げ操作を行うことによって解除される。したがって、操作レバー50Aの引上げ操作によってスライドロック装置53のロック状態を解除することにより、図7に示されるように、左サイドシート10全体をフロアFに対して前後方向にスライド移動させることができる。そして、左サイドシート10のスライド移動をさせた後に操作レバー50Aの引上げ操作をやめれば、スライドロック装置53が再びロック状態に戻される。これにより、左サイドシート10をその調整したスライド位置にロックすることができる。
また、センタシート30も、シートバック32とシートクッション34とを有する。これらシートバック32やシートクッション34は、前述した様に各サイドシート10,20のそれよりも横幅が狭く形成されている。このセンタシート30は、図3に示されるように、シートクッション34の下面側に配置形成された着脱構造を支持台40の幅方向の両端部位置に配置形成された対応する着脱構造にそれぞれ係着させることによって、支持台40の上に離脱可能に装着されるようになっている。なお、センタシート30の支持台40への着脱構造については、後に詳しく説明する。
このセンタシート30のシートバック32は、シートクッション34が支持台40の上に装着された状態で、その背凭れ角度を後方側に向けて起こし上げていくことにより、左サイドシート10のシートバック12に設けられた図示しないロック装置に係合ロックされるようになっている。これにより、センタシート30のシートバック32は、左サイドシート10のシートバック12に凭れ掛かるようにしてその背凭れ角度が保持されている。
詳しくは、2本の支持フレーム41,42は、それぞれ、支持台40の前側の枠部と後側の枠部とを構成するように前後方向に並べて配設されている。そして、前側に配設された支持フレーム41の紙面右側の端部は、クッションフレーム14Fの断面角筒状の両側板部を構成する第1側板部F1と第2側板部F2とに板厚方向に貫かれて挿通されて剛結合されている。
一方、後側の支持フレーム42は第1側板部F1と図で見てこの第1側板部F1の左側に配設された鋼板から成る支持ブラケットFbに剛結合されている。すなわち、第2側板部F2には前述したバックル10Bの根元側部分がクッションフレーム14Fに固定された状態として設けられており、支持フレーム42は剛結合困難な構成となっている。支持ブラケットFbは、第1側板部F1や第2側板部F2と板面を向かい合わるようにして互いに幅方向に並んで配設されている。この支持ブラケットFbは、後述するセンタシート30を支持台40に着脱可能に係合ロックさせるために設けられたロック装置46をクッションフレーム14Fに固定するための機能部品として設けられているものである。
そして、図3に示されるように、上記骨組み構造を成す支持台40は、その上面側全体が樹脂製の表面カバー62によって覆われており、内部の骨組み構造が外側からは見えないようになっている。この樹脂製の表面カバー62は、支持台40の上にセンタシート30を設置したり踏み台や足置きとして使用したりする際に、外部からの押圧力を受けても大きく変形したり割れたりすることのない剛性を有した構成となっている。
なお、以上説明した支持台40は、本発明で言う取外し可能シートとしてのセンタシート30を着脱可能に設置することのできる「シート設置部材」に相当するものである。
着脱構造として、図3に示されるように、センタシート30のシートクッション34の下面側には、支持台40への着脱構造として機能する係止ピン34A,34B、位置決め孔34H及びストライカ34Sがそれぞれ配設されている。この係止ピン34A,34Bは、図5に示されるように、シートクッション34の骨格を成すクッションフレーム34Fの下部前方側位置に設けられた幅方向に延設されたピン部材の各端部形状によって構成されている。また、位置決め孔34Hは、クッションフレーム34Fの下部後方側位置で、幅方向に張り出し状に設けられた板状のブラケット39に貫通形成されている。また、ストライカ34Sは、クッションフレーム34Fの下部後方側位置で、位置決め孔34Hが貫通形成された板状のブラケット39とは反対側の幅方向に張り出して設けられている。これらピン部材34A,34B、板状のブラケット39及びストライカ34Sは、それぞれクッションフレーム34Fに一体的に固定されている。なお、図5では、紙面の都合上、センタシート30のシートバック32の骨格を成すバックフレーム32Fは、下半部分のみが表されている。
図3に戻って、支持台40の上面側には、上述したセンタシート30に設けられた各着脱構造に対応する係止凹部43A,45A、位置決めピン43B及びロック装置46が着脱構造としてそれぞれ配設されている。この一方の係止凹部43Aは、図5に示されるように、補強フレーム43の前端部位置に配設されており、その凹状の開口部分を前方に向けた配置構成とされている。また、もう一方の係止凹部45Aは、左サイドシート10のクッションフレーム14Fに一体的に固定された起立板45の上端部位置に配設されており、その凹状の開口部分を前方に向けた配置構成とされている。この起立板45は、左サイドシート10のクッションフレーム14Fから前側の支持フレーム41の上方側位置まで延設された構成となっている。また、位置決めピン43Bは、補強フレーム43の後端部位置でこれと一体的に設けられており、補強フレーム43から上方側に突出するかたちで配設されている。また、ロック装置46は、左サイドシート10のクッションフレーム14Fに一体的に固定された支持ブラケットFbに一体的に固定されている。この支持ブラケットFbは、前述した後側の支持フレーム42が挿通される構成のものであり、クッションフレーム14Fの第1側板部F1や第2側板部F2と板面を向かい合わるようにして互いに幅方向に並んで配設されている。
この紙面向かって左側に形成された右側壁部62Rは、図5において前述した補強フレーム43を覆い隠すかたちで形成されている。詳しくは、右側壁部62Rは、着脱構造の構成部品である係止凹部43Aや位置決めピン43Bの配設された部位が肉抜きされた形状として形成されている。これにより、係止凹部43Aは、右側壁部62Rによってその周囲が覆われてはいるが、外部に対しては露呈した状態として、外観視で表面カバー62の内部に埋もれた構成とされている。詳しくは、右側壁部62Rの肉抜き開口形状は、係止凹部43Aの凹状の開口部分がその前方側と紙面右方側とに露呈するように肉抜きされた形状とされている。
また、紙面向かって右側に形成された左側壁部62Lは、図5において前述した起立板45やロック装置46を覆い隠すかたちで形成されている。詳しくは、左側壁部62Lは、着脱構造の構成部品である係止凹部45Aやロック装置46の配設された部位が肉抜きされた形状として形成されている。これにより、係止凹部45Aやロック装置46は、左側壁部62Lによってその周囲が覆われてはいるが、外部に対しては露呈した状態として、外観視で表面カバー62の内部に埋もれた構成とされている。詳しくは、左側壁部62Lの肉抜き開口形状は、係止凹部45Aの凹状の開口部分がその前方側と紙面左方側とに露呈するように、そして、ロック装置46がその上方側と紙面左方側とに露呈するようにそれぞれ肉抜きされた形状とされている。
ここで、左側壁部62Lにおけるロック装置46の配設された肉抜き開口部位には、T字状の切込み48の形成された可撓性面状のゴムひれ47が設けられている。これにより、ロック装置46がゴムひれ47に被覆されて外観視では見えないようになっている。
上述した様に着脱構造は、支持台40の幅方向の両側位置に配設されており、中央位置は平板状とすることが可能となる。このため支持台40を構成する表面カバー62をウオークスルーしやすい構成とすることができる。
センタシート30を格納するには、図8に示すように、そのシートバック32を前方へ倒してシートクッション34に重ね合わせ、かつ、支持台40に対するシートクッション34の結合(ロック装置46)を解除して該支持台40からセンタシート30を離脱させ、前方の格納容器80に格納する。格納容器80の詳細構造は後述するが、一列目の左右のサイドシート76,78(図12)間に配置されている。このときのセンタシート30は、支持台40から格納容器80の位置までセンタシート30の裏面構造と支持台40の表面カバーの構造の組合わせにより的確に案内される構成となっている。そこで、このセンタシート30を案内するための構成を次に説明する。
接合部60を構成する支持台40の表面カバー62については、その単体を斜視図で表した図11からも明らかなように、前述もしたように中央部の平板状の座板部62Aの両サイドにおいて上方へ立ち上げられた右側壁部62R及び左側壁部62Lの両側壁がそれぞれ位置している。これにより、表面カバー62の断面形状は、その中央部が両サイドよりも低くい凹形状になっている(図10)。そして、両側壁部62R,62Lの上縁部分には、案内面62Ra,62Laがそれぞれ形成されている。これらの案内面62Ra,62Laは、個々に所定の幅を有し、かつ、個々の高さが大きく変化することなく前後方向へなだらかに連続している。
接合部60を構成するシートクッション34のアンダカバー64については、センタシート30を拡大斜視図で表した図4からも明らかなように、シートクッション34の下面中央部において前後方向(図4では上下方向)に連続した膨出部67を有する。また膨出部67の両側は、それぞれ一段奥まった段差状の鍔部68,69になっており、これらの鍔部68,69も前後方向に連続している。なお、膨出部67の先端部の先端膨出部67Aは膨出部67より幅広に形成されている。また、膨出部67の後端部の中央部には縦長に凹み37が形成されており、この凹み37内には突起35が形成されている。この突起35の高さは膨出部67の高さと同一高さとされている。
図9,10で示すようにセンタシート30が支持台40に支持されている状態での接合部60においては、アンダカバー64の膨出部67が表面カバー62の中央部の座板部62Aの位置に位置し、アンダカバー64の両鍔部68,69は表面カバー62における両側壁部62R,62Lの案内面62Ra,62La上に位置する。
以上の構成の説明から理解できるように、シートクッション34のアンダカバー64と支持台40の表面カバー62の両者の凹凸嵌合による接合部60の構造が、本発明で言う「取外し可能シートとシート設置部材間に構成される案内構造」に相当する。そして、アンダカバー64の膨出部67の凸構造が取外し可能シートに構成される案内構造であり、表面カバー62の座板部62Aの凹構造がシート設置部材に構成される案内構造である。これらの案内構造の嵌合構造はセンタシート30がロック解除してスライド移動する際に、格納容器80が設置された方向に向けて案内移動するように形成されている。
そこで、接合部60を構成している支持台40の表面カバー62に沿ってシートクッション34のアンダカバー64をスライドさせながらセンタシート30を前方へ移動させて格納容器30に格納する(図8)。このときのセンタシート30の移動は、表面カバー62における両側壁部62R,62L間の中央部の座板部62Aの位置にアンダカバー64の膨出部67が位置し、かつ、両側壁部62R,62Lの案内面62Ra,62Laにアンダカバー64の両鍔部68,69が支持されて案内される。したがって、支持台40から格納容器80に向かうセンタシート30の移動軌跡が安定し、センタシート30が左右に大きくずれ動くような事態がない。
上述したセンタシート30を支持台40から離脱させ、格納容器80にスライド移動させる操作をまとめると、ストライカ34Sをロック装置46から係合解除するために折り畳まれたセンタシート30の後方側を持ち上げ操作することで、係止ピン34A,34Bが係止凹部43A,45Aから前方側へ解除可能となる。つまり、センタシート30は、先ず後方側のみを上方へ操作し、次いでそのまま前方へ操作するという、2段階姿勢操作により支持台40から離脱する。離脱したセンタシート30はその後全体を離間させて持ち上げることなく接合部60の嵌合状態を維持した状態でスライド移動して格納容器80に到達する。スライド移動する際、センタシート30は支持台40と格納容器80間のフロアFのカーペット等に触れることなく移動することが可能とされている。
このように、センタシート30のシートクッション34と支持台40との接合部60を利用することにより、センタシート30を使用可能な位置で支持している支持台40と、これに隣接して設けられている格納容器80との間においてセンタシート30をスムースに移動させることができる。したがって、支持台40と格納容器80との間に特別な案内手段を設ける必要がない。
先ず、図12から図17に示す第1の格納構造の形態について説明する。
支持台40から離脱させたセンタシート30は、図12に示すごとく一列目の左右のサイドシート76、78の間に配されたコンソールボックス100に格納される。すなわち、コンソールボックス100は、小物などを収納する上部の収納容器81と、車両後方側に開口を有する下部の格納容器80とからなり、この格納容器80内に二列目のセンタシート30が格納されることになる。そして、コンソールボックス100はセンタシート30の前方に位置しており、かつ格納容器80の開口が後方側に形成されていることで、センタシート30は支持台40からの離脱操作に連続してそのまま前方の格納空間に効率よく格納できるように構成されている。すなわち、一列目の左右のサイドシート76、78間に配設される格納容器80の車幅方向の位置と、二列目の左右のサイドシート10,20間に配設されるセンタシート30の車幅方向の位置とは、共に車幅方向の略中央位置であり同じ位置関係とされている。
図13ないし図17において、格納容器80は、底壁85と、該底壁85の左右端から上方へ立設した左右の側壁86、86と、この左右の側壁86、86上に架設され格納容器80の上面を塞ぐ天壁87と、格納容器の奥方を塞ぐ奥壁88とによって区画された縦長六面体形状を呈している。なお、図14ないし図17における図面左側が、本明細書における自動車前方かつ格納容器80の奥方であり、図14ないし図17における図面右側が、本明細書における自動車後方かつ格納容器80の開口側後方である。格納容器80は、二列目のセンタシート30をちょうどその内部に格納できるような形状に形成しながら、後述のように格納空間内でセンタシート30を若干姿勢操作できる程度の余裕を有する高さ寸法を有している。
また、格納容器80の底壁85の後縁部分98(開口側)は、隆起部95の隆起寸法(高さ寸法)と同じ高さにあり、この後縁部分98から格納空間奥方に向かって下降して底壁85の前後方向中央部分は水平となっており、ここからさらに格納空間奥方に向かって傾斜下降する凹部99が連続して形成されている。
図14に示す状態から、さらにセンタシート30を格納容器80の奥方へスライドさせると、図15に示されるように、センタシート30の係止ピン34A,34Bがレール91の傾斜部91Bに差し掛かって、当該傾斜部91Bから凹み形成されている溝93に係止ピン34A,34Bのフランジ部が嵌まり込む。このとき、傾斜部91Bは奥方に向かって下降していることで、センタシート30の前方側も下方へ傾斜する。これにより、係止ピン34A,34Bは、センタシート30の自重によって溝93からの抜け外れが防止される。なお、この位置状態でも、センタシート30の下面後方側は、底壁85の後縁部分98と当接している。また、センタシート30の前方側の下方傾斜に伴って、アンダカバー64の凹み37と底壁85の隆起部95とが嵌合することで、その後のスライド操作を左右にブレることなく円滑に行なえる。
以上の説明から明らかなように、格納容器80の左右の側壁86及び張出部90等により形成されるセンタシート30を格納案内する構造が、本発明で言う「格納容器に構成されえる案内構造」に相当する。この格納容器80の案内構造には、先に説明したセンタシート30が支持台40との間の案内構造により案内されている間に、センタシート30の一部が嵌合して案内されるようになっている。例えば、折畳まれたセンタシート30の先端部となるいわゆるヘッドレスト部位が嵌合案内されるようになっている。
なお、以上の説明は二列目のセンタシート30を支持台40から離脱させて、格納容器80に格納移動させる場合について説明した。逆に、格納容器80に収納したセンタシート30を二列目の補助シートとして利用するために、支持台40に固定するためのシート設定移動は、上記説明した操作を逆に行うことにより行えばよいものである。この場合、格納されたセンタシート30は格納容器80により形成された案内構造により案内されて、二列目のセンタシート30の設置位置に向けて移動する。
センタシート30を格納容器80に格納移動させる場合に、回動蓋72を入口開口部70から開いてフロアに接地した状態にすることにより、前述した格納容器80本体の案内構造により案内される前に格納容器80を構成する回動蓋72の案内側壁72Aにより案内することができる。これにより、支持台40と格納容器80本体との間を長く配設することが可能となる。なお、入口開口部70を回動蓋72に閉鎖した状態では、格納したセンタシート30を隠すことができて見栄えも良くなる。
第2の形態は、基本的には先の第1の形態と同様であり、格納容器80の左右側壁86、86から張り出し形成された張出部90の張り出し寸法を先の第1の形態よりも大きく設定している点が異なるのみである。詳しくは、左右の張出部90、90の間の幅寸法が、センタシート30のアンダカバー64の先端膨出部67Aの幅寸法よりも小さく、この先端膨出部67A以外の膨出部67のアンダカバー64の幅寸法よりも大きく設定されている。
これにより、センタシート30をこれの前方側から格納容器80内にスライド挿入していくと、レール91の水平部91A上をアンダカバー64の先端膨出部67Aが摺動していくことになる。このとき、係止ピン34A,34Bはレール91と当接していない。そして、さらにセンタシート30を格納容器80の奥方にスライド移動させて、アンダカバー64の先端膨出部67Aがレール91の固定部92を越えると、センタシート30の前方側が下方へ落ち込むことで、係止ピン34A,34Bがレール91と当接することになる。このとき、係止ピン34A,34Bはちょうどレール91の傾斜部91B上に落ちるので、同時にレール91の溝93に係止ピン34A,34Bのフランジ部が嵌まり込むことにもなる。その後は、先の第1の形態と同様にスライド操作して格納容器80に固定すればよい。
図18に示すごとく、レール91の水平部91Aを廃して、センタシート30の下面を格納容器80の底壁85上を摺動させるように構成してもよい。このようにセンタシート30の下面を格納容器80の底壁85上を摺動させても、アンダカバー64の凹み37と底壁85の隆起部95とが前後スライド可能に嵌合するので、センタシート30が左右にブレることなくスライド挿入可能である。したがって、係止ピン34A,34Bを確実に受け入れるために、レール91の始端(後方側)は底壁85に接する高さ位置に設定しておく。この場合は、側壁86から張り出し形成される張出部90は必ずしも必要ではない。そして、センタシート30の前方側を底壁35から浮上させた傾斜姿勢で保持するため、レール91は奥方に向かって上方へ傾斜している。そのため、固定部92の底壁85からの高さ寸法を、係止ピン34A,34Bのセンタシート30底面からの高さ寸法よりも高く設定しておく。
なお、センタシート30の後方側は、アンダカバー64の突起35が底壁85の後縁部分98から隆起部95に連続して摺動していく。そして、係止ピン34A,34Bをレール91の固定部92にまで突き当てると同時に、センタシート30の自重又は下方押し下げ操作により、突起35を嵌合凹部96に嵌合固定すればよい。なお、この形態では、センタシート30の前方側が下方へ傾斜する動作がないこと、及び固定部92が上方へ傾斜しているので、センタシート30を格納空間内に格納固定したとき、該センタシート30の前方側は底壁85から浮上していること、の2つの理由により、底壁85の奥方には凹部99を形成する必要はない。また、センタシート30は格納空間内で傾斜して固定されているので、該センタシート30の自重が突起35と嵌合凹部96との嵌合部分に集中するので、突起37が嵌合凹部96から容易に抜け外れることが防止できる。
たとえば、上記の実施の形態では、取外し可能シートが二列目の補助シートの機能を果たすセンタシートの場合について説明した。しかし、上記実施形態におけるサイドシート等メインシートそのものを取外し可能シートとする場合であってもよい。
また、上記の実施の形態では、取外しシートとしてのセンタシートは左サイドシートと一体化してタイプのものであった。しかし、センタシート等の取外しシートは他のシートと独立してフロアに設置される構成のものであっても良い。
また、取外しシートを格納する格納容器は一列目の左右のサイドシート間に配設される場合について説明した。しかし、格納容器の配設位置は支持台等のシート設置部材との配置関係で、両者の移動のための案内構造を配設できる位置関係にあれば、自動車室内のフロア上にあれば良いものである。また、上記各形態での格納容器はコンソールボックスと一体的に設けられた場合について説明したが、格納容器のみの単独で設置しても良い。
12 シートバック
12F バックフレーム
14 シートクッション
14F クッションフレーム
20 二列目の(右)サイドシート
22 シートバック
24 シートクッション
30 センタシート(取外し可能シート)
32 シートバック
32F バックフレーム
34 シートクッション
34F クッションフレーム
34A 係止ピン
34B 係止ピン
34H 位置決め孔
34S ストライカ
35 突起
40 支持台
43A 係止凹部
43B 位置決めピン
45A 係止凹部
46 ロック装置
60 接合部
62 表面カバー
62A 座板部
62R 右側壁部
62L 左側壁部
64 アンダカバー
67 膨出部
67A 先端膨出部
70 入口開口部
72 回動蓋
72A 案内側壁
73 結合ピン
74 三列目のシート
76 一列目のサイドシート
78 一列目のサイドシート
80 格納容器
83 溝
85 底壁
86 側壁
87 天壁
88 奥壁
90 張出部
91 レール
92 固定部
95 隆起部
96 嵌合凹部
98 後縁部分
100 コンソールボックス
F フロア
F1 第1側板部
F2 第2側板部
Claims (5)
- 自動車室内のフロア上に配設されたシート設置部材に取外し可能シートが着脱可能に設置されており、
該取外し可能シートを格納することのできる格納容器が、前記取外し可能シートの設置位置から離間した自動車室内の位置に設置されており、
前記取外し可能シートとシート設置部材間は該取外し可能シートを前記格納容器に格納移動させる方向に向けて移動案内する案内構造が構成されており、
また、前記格納容器には前記取外し可能シートを格納する際に該取外し可能シートとの間に該取外し可能シートを移動案内する案内構造が構成されており、
前記自動車室内におけるシート設置部材と格納容器の配置関係は、前記取外し可能シートが該取外し可能シートに構成される案内構造と前記シート設置部材に構成される案内構造との組合せにより該取外し可能シートがシート設置部材上を前記格納容器に格納移動させる方向に向けて移動案内されている状態で、該取外し可能シートに構成される案内構造が前記格納容器に構成される案内構造にも移動案内可能とされる配置関係とされており、前記取外し可能シートに構成される案内構造が前記シート設置部材に構成される案内構造と前記格納容器に構成される案内構造との両案内構造にまたがって位置できる配置関係とされていることを特徴とする自動車用シートの格納構造。 - 請求項1に記載の自動車用シートの格納構造であって、
前記取外し可能シートは、基本シートの側部に配設される補助シートであり、該補助シートはシートクッションとシートバックとから構成されて、シートバックがシートクッションに対して折り畳み可能とされており、
前記基本シートと一体的移動可能に形成されたシート設置部材に該補助シートのシートクッションが着脱可能に設置されており、
該補助シートのシートクッションとシート設置部材との間に前記案内構造が構成されていることを特徴とする自動車用シートの格納構造。 - 請求項1に記載の自動車用シートの格納構造であって、
自動車室内には少なくともシートが前後方向に二列配列されており、かつ、前後の各列には左右にサイドシートがそれぞれ配設されており、
前記取外し可能シートは後列の左右のサイドシートの間の位置に配設されており、
前記格納容器は前列の左右のサイドシートの間に配設されており、
前記後列に配設される取外し可能シートの車幅方向の位置と、前記前列に配設される格納容器の車幅方向の位置とは同じ位置関係とされていることを特徴とする自動車用シートの格納構造。 - 請求項3に記載の自動車用シートの格納構造であって、
前記格納容器に形成される取外し可能シートを格納するための入口開口部は、後列に向けて開口されており、
該開口部には該開口を閉鎖する蓋が設置されており、該蓋は自動車室内のフロアに接地することのできる回動蓋とされており、該蓋がフロアに接地した際には前記取外し可能シートに構成される案内構造と組合されて前記取外し可能シートを前記格納容器に移動案内する格納容器に構成される案内構造として構成されることを特徴とする自動車用シートの格納構造。 - 請求項1から請求項4のいずれかに記載の自動車用シートの格納構造であって、
前記取外し可能シートが自動車室内に設置された際の該取外し可能シート車幅方向の幅は乗員が通ることのできる幅であって、該取外し可能シートを設置位置から離脱させた場合には、該設置位置を乗員が通ることができる配置構成とされていることを特徴とする自動車用シートの格納構造。
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