JP4176353B2 - 圧縮せん断による結晶表面固化成形方法および圧縮せん断による結晶表面コーティング方法 - Google Patents

圧縮せん断による結晶表面固化成形方法および圧縮せん断による結晶表面コーティング方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面層と内層が異なる組織、機能を有する複合組織型の成形体、いわゆる傾斜機能材を得ることができる成形方法に係り、特に、微粉物質固化成形することができる圧縮せん断による結晶表面固化成形方法および圧縮せん断による結晶表面コーティング方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粉物質、例えば、アルミニウム系や銅系、鉄系等の金属粉末は、それらを使用する際、普通、金属粉末の主成分である金属と酸素とが結合した酸化膜によりその表面が覆われている。このような金属粉末表面の酸化膜は、固化成形体を製造するとき、金属粉末の一体化を阻害する。このため、金属粉末を還元し、固化成形する際、還元雰囲気中で固化成形することも考えられるが、このようにして固化成形体を製造したのでは、例えば、金属を溶製し、延伸して得られる金属製延伸材製品に比べ、製品コストが高くなり、経済的ではない。
【0003】
一方微粒物質を固化成形する方法として、例えば、捻り圧縮せん断による結晶表面固化成形方法や衝撃波による固化成形方法が提案されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述した捻り圧縮せん断による結晶表面固化成形方法では、図10に示すように、一対の成形工具1、2をそれぞれの面が互いに向かい合うように間隔を空けて平行に配置し、その間に所定量の微粉物質Aを充填し、その後、微粉物質Aを一対の成形工具1、2により圧縮したまま、図中下方に示す成形工具2を回転軸中心20の周りに回転させ、捻り圧縮せん断により固化成形するようにしている。
【0005】
ここで、図10は、従来の捻り圧縮せん断による結晶表面固化成形方法を説明するための固化成形時の状態を示す斜視図であり、図10中矢印3は押圧力の方向を示し、矢印21は成形工具2の回転方向を表す。
このようにして得た一例の固化成形体Bを図11に示す。図11(a)は平面図、図11(b)は正面図であり、符号tB は固化成形体Bの厚さである。捻り圧縮せん断による結晶表面固化成形方法では、微粉物質Aを互いに向かい合う平坦な面の平行を保った状態で圧縮しているので、固化成形体Bの厚さtB が一様である板状製品を得ることができる。
【0006】
しかしながら、捻り圧縮せん断による結晶表面固化成形方法で得られた固化成形体Bは、回転軸中心20からの距離である半径方向距離rによって、内部組織や機械的性質が大きく異なってしまうという問題があった。
また、衝撃波による固化成形方法は、図12に示すようにコンテナー30内に充填された微粉物質Aを衝撃波の重畳を利用して固化成形するため、フライヤー31とコンテナー30との衝突により衝撃波を発生させなければならず、固化成形作業が極めて危険であるという問題があった。図12中に示した矢印32、33、34は、それぞれ平面衝撃波の方向を示す矢印、斜め衝撃波の方向を示す矢印およびフライヤー31の移動方向を示す矢印である。
【0007】
そこで、本発明は、上記従来技術の問題点を解消することにあり、圧縮せん断力が負荷された面の異なる位置において内部組織や機械的性質等の差が少ない均一な固化成形体を安全にかつ簡便に得ることができる圧縮せん断による結晶表面固化成形方法を提供することを目的とする。
また、本発明は、表面層と内層が異なる組織、特性を有する複合組織型の成形体を得ることができる成形方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の通りである
【0009】
1. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に所定量の微粉物質を充填し、前記微粉物質をいずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、前記微粉物質を圧縮せん断により固化成形することを特徴とするせん断による結晶表面固化成形方法。
【0010】
2. 上記1.に記載の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法により所定厚さの固化成形体を得、次いで、得られた固化成形体といずれか一方または両方の成形工具との間に前記微粉物質を充填し、この後から充填された微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、最初に得た固化成形体と一体化することを特徴とするせん断による結晶表面固化成形方法。
【0011】
3. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に所定量の微粉物質を充填し、厚さが均一でかつ厚さ方向に機能が傾斜した固化成形体を得るに当たり、厚さ方向の機能に対応した微粉物質を複数用意し、用意した複数の微粉物質を厚さ方向位置に対応するように一対の成形工具の間にそれぞれ層状に充填し、層状に充填された複数の微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、一体化することを特徴とするせん断による結晶表面固化成形方法。
【0012】
4. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に所定量の微粉物質を充填し、厚さが均一で、かつ厚さ方向に機能が傾斜した固化成形体を得るに当たり、厚さ方向の機能に対応した微粉物質を複数用意し、先ず、ある厚さ方向位置に対応した微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、次いで、得られた固化成形体といずれか一方または両方の成形工具との間に厚さ方向位置に対応した他の微粉物質を充填し、この後から充填された微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、最初に得た固化成形体と一体化するという操作を、繰り返すことを特徴とする圧縮せん断による結晶表面固化成形方法。
【0013】
5. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に被コーティング材を挟み、被コーティング材の表面をコーティングするに当たり、前記被コーティング材といずれか一方または両方の成形工具との間に微粉物質を充填し、前記微粉物質をいずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化させ、前記被コーティング材の表面をコーティングすることを特徴とする圧縮せん断による結晶表面コーティング方法。
【0014】
ここで、上述した両方の成形工具を1回、もしくは複数回移動させるとは、一対の成形工具を互いに反対方向に移動させることとする。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1を用いて、本発明の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法について説明する。
図1は、本発明の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法の説明図であって、(a)は固化成形する前、(b)は固化成形した後の状態を示す要部縦断面図である。また(c)は得られた固化成形体Bの厚さ方向断面模式図である。
【0016】
以下の説明では素材を微粉物質とした場合について説明する
【0017】
なお、図1(a)中矢印3は、成形工具1に付加される押圧力の方向を示し、矢印4は、成形工具2の移動方向を示している。また図中符号、tA は固化成形する前の微粉物質Aの充填高さ、LA は固化成形する前の微粉物質Aの充填長さであり、tB は固化成形体Bの厚さ、LB は固化成形体Bの長さである。固化成形体Bの厚さ方向に直角な面の広さ(固化成形体Bの長さLB と固化成形体Bの幅との積)は、用いる固化成形装置、例えばプレス装置のプレス能力や一対の成形工具1、2の幅に応じて定まる。
【0018】
以下では、一対の成形工具1、2の互いに向かい合う面が平坦とされ、板状の固化成形体Bを得る場合について示し、また、押圧力が付加される成形工具1をパンチ1、パンチ1に付加される押圧力の方向と交差する方向に移動させる成形工具2を可動ダイ2としている。固化成形体Bを得る際、所定量の微粉物質Aがパンチ1および可動ダイ2の互いに向かい合う面の間に充填される。
【0019】
本発明では、微粉物質Aをパンチ1に付加される押圧力により圧縮したまま、互いに向かい合う面の平行を保った状態で、押圧力の方向と交差する方向に可動ダイ2を1回、もしくは複数回移動させ、微粉物質Aを圧縮せん断により固化成形するようにしている。
図1(a)、図1(b)には、可動ダイ2をパンチ1に付加される押圧力の方向と直角な左方向にある移動量δだけ1回移動させ、固化成形体Bが得られた場合について示してある。
【0020】
微粉物質Aとしては、例えば、アルミニウム系や銅系、鉄系、シリコン系等の金属粉末、あるいは非金属粉末を用いることができる。微粉物質Aの粒度は、+150μm (100 メッシュ)以下のものを用いることができる。パンチ1および可動ダイ2は、例えば、合金工具鋼の金型を使用するのが普通である。
本発明では、可動ダイ2を1回の移動させ、微粉物質Aが十分固化されていないときには、固化成形されていない微粉物質Aを均一に圧縮したまま、さらに右方向に移動するようにして固化成形体を得るようにすることもできる。
【0021】
あるいは、本発明では、可動ダイ2を1回移動させ、1回の移動で固化成形体Bが得られた場合でも、このような移動を繰り返すこともできる。
固化成形体Bの厚さ方向に直角な面に作用させる圧縮力は、固化成形体Bの長さLB と固化成形体Bの幅との積で除した値で、微粉物質Aの降伏点以上、純アルミニウムの場合、300MPa以上の範囲とするのが十分な機械的性質が得られるから望ましい。また、パンチ1に付加される押圧力の方向と直角な左方向への可動ダイ2の移動量δは、1mm以上とするのがせん断を十分付与できるから望ましい。可動ダイ2の移動速度は、適宜な速度とすることができる。例えば、可動ダイ2の移動速度を1mm/s以上とすることができる。但し、本発明では、固化成形する際、衝撃波を発生させて用いることはない。
【0022】
このようにすることにより本発明では、衝撃波が発生することもなく安全に、かつ簡便に固化成形することができ、かつ圧縮せん断力が負荷された面の異なる位置において内部組織や機械的性質等の差がより少ない均一な固化成形体Bを得ることができる。その際、常温で、大気雰囲気中で固化成形することもできる。また、本発明では、厚さ方向の機能に対応した微粉物質を複数用意し、厚さが均一でかつ厚さ方向に機能が傾斜した固化成形体を得ることもできる。
【0023】
例えば、図2(a)、(b)には、厚さ方向の機能に対応した微粉物質A1 、A2 を用意し、固化成形体B1 、B2 が一体化されている固化成形体を得る場合を示した。このような固化成形体を得るには、用意した複数の微粉物質A1 、A2 を厚さ方向位置に対応するように一対の成形工具1、2の間にそれぞれ層状に充填し、層状に充填された複数の微粉物質A1 、A2 をパンチ1に付加される押圧力により圧縮したまま、互いに向かい合う面の平行を保った状態で、押圧力の方向と交差する方向に可動ダイ2を1回、もしくは複数回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、一体化する。このようにして得られる固化成形体は、厚さ方向に機能が傾斜した傾斜機能材料であり、そのうえ、圧縮せん断力が負荷された面の異なる位置において内部組織や機械的性質等の差が少ない。
【0024】
また、厚さ方向に3層以上の機能層を形成する場合、それぞれの厚さ方向位置に対応する微粉物質を用い、同様にすればよいので説明を省略する。
上述したような固化成形体を得るには、図3(a)、(b)に示すようにすることもできる。すなわち、厚さ方向の機能に対応した微粉物質A1 、A2 を用意し、先ず、図1で説明したようにして、微粉物質A1 からなる固化成形体B1 を得、得られた固化成形体B1 を一対の成形工具1、2のいずれか一方の成形工具に取り付けて配置する。次いで、図3(a)に示したように、この固化成形体B1 と他方の成形工具との間に他の微粉物質A2 を充填し、圧縮せん断により固化成形する。このようにすることにより、図3(b)に示すように先に得た固化成形体B1 と後に固化成形された固化成形体B2 とが一体化した固化成形体を得ることができる。一体化した固化成形体は、厚さが均一でかつ厚さ方向に機能が傾斜した傾斜機能材料であり、そのうえ、圧縮せん断力が負荷された面の異なる位置において内部組織や機械的性質等の差がより少ない。なお、厚さ方向に3層以上の機能層を有する固化成形体とする場合、それぞれの厚さ方向位置に対応する微粉物質を用い、同様にすればよいので説明を省略する。
【0025】
ここで、図3(a)、(b)では、固化成形体B1 を可動ダイ2に取り付け、固化成形体B1 とパンチ1との間に微粉物質A2 を充填した場合を示したが、固化成形体B1 をパンチ1に取り付け、固化成形体B1 と可動ダイ2との間に微粉物質A2 を充填するすることもできる。
また、図3(a)、(b)に示した圧縮せん断による結晶表面固化成形方法を応用すれば、図4(a)、(b)に示すようにして被コーティング材Cの表面をコーティングすることもできる。図中A3 は、微粉物質であり、B3 は微粉物質A3 を固化した被膜である。微粉物質A3 としては、被コーティング材C表面の被膜B3 として適当なものを用いる。なお、ここでは一対の成形工具1、2の互いに向かい合う面が平坦とした場合について示した。
【0026】
すなわち、本発明の圧縮せん断による結晶表面コーティング方法は、被コーティング材Cを、互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具1、2のいずれか一方に取り付けて配置すると共に、被コーティング材Cと他方の成形工具との間に所定量の微粉物質A3 を充填し、微粉物質A3 を一方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、互いに向かい合う面の平行を保った状態で、押圧力の方向と交差する方向に他方の成形工具を1回、もしくは複数回移動させ、微粉物質A3 を圧縮せん断により固化し、被コーティング材Cの表面をコーティングする。被コーティング材Cとしては、例えば、アルミニウムや鉄とすることが好適であり、また、被膜B3 とする微粉物質A3 はアルミニウムや銅とすることができる。
【0027】
図4(a)、(b)においては、被コーティング材Cを可動ダイ2に取り付け、被コーティング材Cの上面をコーティングする場合を示したが、図4(a)、(b)で被コーティング材Cの下面をコーティング場合、被コーティング材Cをパンチ1に取り付け、微粉物質A3 を被コーティング材Cの下側に充填する。
ここで、図1に示したようにして得た薄板状の固化成形体Bの厚さtB が不十分である場合、次のようにして厚くすることもできる。
【0028】
先ず、図1で説明したせん断による固化成形方法により、所定厚さtB の固化成形体B1 を得、次いで、得られた固化成形体B1 といずれか一方の成形工具(図3参照、この場合、パンチ1)との間に微粉物質A2 を層状に充填する。この後から充填された微粉物質A2 を、いずれか一方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、互いに向かい合う面の平行を保った状態で、押圧力の方向と交差する方向に他方の成形工具を1回、もしくは複数回移動させ、せん断により固化成形し、最初に得た固化成形体B1 と一体化する。この際、固化成形体B1 に用いる微粉物質A1 と微粉物質A2 とを同じものとする。
【0029】
本発明に用いる微粉物質としては、アルミニウム系や銅系、鉄系、シリコン系等の金属粉末が好適であり、そのうち特に酸素と結合して強固な酸化膜でその表面が覆われているアルミニウム系の金属粉末に適用することがより好適である。また、本発明に用いる微粉物質は非金属粉末、例えば、プラスチック粉末等を用いることもできる。
【0030】
例えば、傾斜機能材料製品を製造する場合、厚さ方向の機能に対応した複数の微粉物質A1 、A2 の組合せは、放熱板製品の場合、アルミニウム粉末とアルミニウム/クラスタダイヤモンド複合粉末との組合せとし、軸受製品の場合、アルミニウム合金粉末とクラスタダイヤモンド分散固体潤滑複合粉末との組合せとすることができる。
【0031】
以上の説明では板状の固化成形体を得る場合および板状の被コーティング材の表面をコーティングする場合について説明したが、本発明の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法および本発明の圧縮せん断による結晶表面コーティング方法では、用いる一対の成形工具の互いに向かい合う面の形状を製造するものの形状に対応させることにより、棒状、パイプ状等種々の形状の固化成形体を得ることができ、また棒状、パイプ状等種々の形状の被コーティング材の表面をコーティングすることができる。
【0032】
【実施例】
図5に示す固化成形装置10を用いて、微粉物質Aとして、平均粒径が37μm の純アルミニウム粉末(東洋アルミニウム株式会社:品名AC-1003 )を固化成形し、得られた固化成形体の相対密度、ビッカース硬さ、機械的性質および結晶方位について調べた。なお、用いた純アルミニウム粉末の粒度(ロータップテスト)は、+150μm (100 メッシュ):0質量%、+45 μm (325 メッシュ):24.3質量%、-45 μm :75.7質量%であった。
【0033】
図5は、本発明に用いて好適な固化成形装置10の縦断面図であり、パンチ1、可動ダイ2は図1〜4と同じものである。また、符号3は押圧力の方向であって、この固化成形装置10においては、機体7に螺設された雌ねじに螺合するスクリュー6の把持部6aを回すことにより、シャフト5を下方に移動させる。
これにより、パンチ1の平坦な面と可動ダイ2の平坦な面との平行を保った状態で、パンチ1と可動ダイ2との一対の成形工具で純アルミニウム粉末を圧縮するように構成されている。
【0034】
この実施例では、パンチ1と可動ダイ2との間の純アルミニウム粉末の圧縮応力を300 MPaで一定とし、純アルミニウム粉末が圧縮された状態で可動ダイ2を矢印4の方向に1回移動させた。また、パンチ1と可動ダイ2との間への純アルミニウム粉末の充填量は、いずれの場合でも質量0.1gとし、また、充填する際には、純アルミニウム粉末が周囲に飛散してしまわないように充填用金型を使用し、厚みt=0.16mmの均一な固化成形体を得た。
【0035】
その際、発明例1としては、テーブルプレスを用いて可動ダイ2を1mm/sの速度で移動させ、準静的なせん断応力を純アルミニウム粉末に作用させた。移動量は、1〜2mmの間で変化させた。発明例2としては、ガス銃からストライカを発射し、図5に示す可動ダイ2に衝突させ、動的なせん断応力を純アルミニウム粉末に作用させた。可動ダイ2の矢印4方向への移動量は、ガス銃のガス圧をコントロールして発明例1とほぼ同じとなるように調整した。
【0036】
発明例1および2共に、常温で、大気雰囲気中で固化成形した。
発明例1および2により得られた固化成形体の相対密度を図7に、ビッカース硬さを図7に、機械的性質として引張強さを図8に示した。
相対密度は、溶製材の密度に対する得られた固化成形体の密度であって、相対密度が0.97以上であれば、固化成形体中の空孔が少なく、良好な成形体と評価できる。ビッカース硬さは、ビッカース硬さ試験をJIS 2244の規定に準拠し、試験力294Nで行い、測定した。機械的性質として、引張試験をJIS 2241の規定に準拠し、室温で、引張速度 0.5mm/ minで行い、引張強さを求めた。引張試験片は、JIS 2201に準拠し、幅が4mm、 標点距離が3.2 mm、平行部長さが3.84mm、肩部半径が15mm、つかみ部幅が6mmとした。
【0037】
図6〜8に示す結果から、発明例1および2の場合、いずれの条件でも、空孔が少なく、良好な固化成形体が得られていることがわかる。また、発明例1および2の場合、いずれの条件でも、ビッカース硬さおよび引張強さは、純アルミニウムA1060-O の展伸材よりも高く、機械的性質が良好であることがわかる。また、発明例1および2の場合、引張試験後の試験片破面のSEM観察により粉末微粒子同士が十分結合していたことを表すディンプルマークが観察された。
【0038】
なお、比較例として、可動ダイ2を移動させず、それ以外の条件は発明例1、2と同じ条件で成形した場合、純アルミニウム粉末同士が十分固化せず、試験を行うための成形体を得ることができなかった。比較例の場合、固化不良部をSEM観察したところ、粉末微粒子の界面が明瞭に残っており、その輪郭が円形状でほとんどせん断を受けていないことがわかった。
【0039】
また、本発明例1の可動ダイ2の移動量が2mmの条件で圧縮せん断により固化成形し、得られた固化成形体の試料表面に対する結晶方位の集積度を調べ、図9に示した。試料表面は、パンチ1または可動ダイ2の平坦な面と接触していた圧縮せん断力が負荷された面であり、図9中の角度2θはX線の入射角と検出器とのなす角度で、試料長手方向とは可動ダイ2の移動方向であって、固化成形体の長さ方向である。
【0040】
この結果と、111並びに200、220反射の極点図の結果とから、Al結晶(fcc 構造) の(100)面が試料表面方向に向いていると共に、試料長手方向に(011)面が向いていることがわかった。そして、結晶格子は、試料面内方向にはほとんど回転しておらず、(100)面が試料長手方向に傾いて分布していることがわかった。すなわち、可動ダイ2の移動方向に対応した結晶組織が形成されている。
【0041】
従って、この結果から、図1(c)に示した、表面層11が結晶組織である固化成形体が得られることがわかる
【0042】
【発明の効果】
本発明によれば、衝撃波を発生させることがなく安全にかつ簡便に、圧縮せん断力が負荷された面の異なる位置において内部組織や機械的性質等の差がより少ない均一な固化成形体を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法の説明図であって、(a)は固化成形する前、(b)は固化成形した後の状態を示す要部縦断面図である。(c)は得られた固化成形体の厚さ方向断面模式図である。
【図2】図2(a)、(b)は、本発明の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法の適用例を説明する要部縦断面図である。
【図3】図3(a)、(b)は、本発明の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法の他の適用例を説明する要部縦断面図である。
【図4】図4は、本発明の圧縮せん断による結晶表面コーティング方法を説明する要部縦断面図である。
【図5】図5は、本発明に用いて好適な固化成形装置の縦断面図である。
【図6】図6は、本発明により得られた固化成形体の相対密度を示すグラフである。
【図7】図7は、本発明により得られた固化成形体の硬さを示すグラフである。
【図8】図8は、本発明により得られた固化成形体の引張強さを示すグラフである。
【図9】図9は、本発明により得られた固化成形体のX線回折パターンである。
【図10】図10は、従来の捻りせん断による固化成形方法を説明する斜視図である。
【図11】図11は、捻り圧縮せん断による固化成形方法により得られた一例の固化成形体を示す(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図12】従来の衝撃波による固化成形方法の説明図である。
【符号の説明】
A(A1 、A2 、A3 ) 微粉物質
B(B1 、B2 ) 固化成形体
11 表面層
12 内層
3 被膜
C 被コーティング材
1 パンチ
2 可動ダイ
3、4 矢印
A 固化成形する前の微粉物質の充填高さ
A 固化成形する前の微粉物質の充填長さ
δ 移動量
B 固化成形体の厚さ
B 固化成形体の長さ
5 シャフト
6 スクリュー
6a 把持部
7 機体
10 固化成形装置
20 回転軸中心
21 回転方向
r 半径方向距離
30 コンテナー
31 フライヤー
32 平面衝撃波の方向を示す矢印
33 斜め衝撃波の方向を示す矢印
34 フライヤー31の移動方向を示す矢印
d コンテナーの左右間隔

Claims (5)

  1. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に所定量の微粉物質を充填し、前記微粉物質をいずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、前記微粉物質を圧縮せん断により固化成形することを特徴とするせん断による結晶表面固化成形方法。
  2. 請求項1に記載の圧縮せん断による結晶表面固化成形方法により所定厚さの固化成形体を得、次いで、得られた固化成形体といずれか一方または両方の成形工具との間に前記微粉物質を充填し、この後から充填された微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、最初に得た固化成形体と一体化することを特徴とするせん断による結晶表面固化成形方法。
  3. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に所定量の微粉物質を充填し、厚さが均一でかつ厚さ方向に機能が傾斜した固化成形体を得るに当たり、
    厚さ方向の機能に対応した微粉物質を複数用意し、用意した複数の微粉物質を厚さ方向位置に対応するように一対の成形工具の間にそれぞれ層状に充填し、層状に充填された複数の微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、一体化することを特徴とするせん断による結晶表面固化成形方法。
  4. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に所定量の微粉物質を充填し、厚さが均一で、かつ厚さ方向に機能が傾斜した固化成形体を得るに当たり、
    厚さ方向の機能に対応した微粉物質を複数用意し、先ず、ある厚さ方向位置に対応した微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、次いで、得られた固化成形体といずれか一方または両方の成形工具との間に厚さ方向位置に対応した他の微粉物質を充填し、
    この後から充填された微粉物質を、いずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化成形し、
    最初に得た固化成形体と一体化するという操作を、繰り返すことを特徴とする圧縮せん断による結晶表面固化成形方法。
  5. 互いに向かい合う面が平行に配置された一対の成形工具の間に被コーティング材を挟み、被コーティング材の表面をコーティングするに当たり、前記被コーティング材といずれか一方または両方の成形工具との間に微粉物質を充填し、前記微粉物質をいずれか一方または両方の成形工具に付加される押圧力により圧縮したまま、前記互いに向かい合う面の平行を保った状態で、前記押圧力の方向と直交する2軸のうちの一軸方向にいずれか一方または両方の成形工具を1回移動させ、圧縮せん断により固化させ、前記被コーティング材の表面をコーティングすることを特徴とする圧縮せん断による結晶表面コーティング方法。
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