JP4175608B2 - メタロ−β−ラクタマーゼ測定用試薬 - Google Patents

メタロ−β−ラクタマーゼ測定用試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術】
本発明は、耐性菌の産生するメタロ−β−ラクタマーゼの測定に有用な化合物又はその塩、及び該化合物を含むメタロ−β−ラクタマーゼ測定用試薬に関する。
【0002】
【従来の技術】
日本のみならず国外の医療現場でも耐性菌による感染症が近年問題になっている。耐性菌としては、従来問題となっていたメチシリン耐性黄色ぶどう球菌(MRSA)以外に、メタロ−β−ラクタマーゼ(「MBL」と呼ばれる場合もある)を産する緑膿菌などのグラム陰性桿菌が各地の医療機関から単離されている。メタロ−β−ラクタマーゼは第3世セフェム系だけでなく、イミネペムをはじめとするカルバネペム系β−ラクタム剤をも分解してしまうことから、最も危険なβ−ラクタマーゼであると考えられている。
【0003】
感染症の治療に際しては起炎菌の同定が不可欠であり、起炎菌が耐性菌である場合には耐性機構の推定が治療方針を決めるにあたって必要となる。メタロ−β−ラクタマーゼを産出する耐性菌による感染が疑われる場合、産出されたメタロ−β−ラクタマーゼを簡便に検出できれば、適切な治療方法の選択が可能になる。そのような理由から、メタロ−β−ラクタマーゼを簡便かつ高選択的に高感度で検出する方法が求められている。
【0004】
メタロ−β−ラクタマーゼはこれまで知られていたセリンを活性部位とするラクタマーゼと異なり、複核の亜鉛部位を活性部位として有している。本発明者らはこのMBLのラクタム剤加水分解機構を解明し、さらに阻害剤を開発することによって、既存のβ−ラクタム剤との併用によってこの酵素を産生する細菌を克服することを目的とした研究を行い、チオール化合物が腸内細菌セラチア・マルセッセンス(Serratia marcescens)由来のメタロ−β−ラクタマーゼに対して極めて高い拮抗阻害剤として作用することを見出し、この阻害剤を添加した培地によってメタロ−β−ラクタマーゼを検出する方法を開発した (Goto, M., et al., Biol. Pharm. Bull., 20, 1136-1140, 1997; Y. Arakawa et al., J. Clin. Microbiol., 38, 40-43, 2000)。しかし、この方法では、菌が繁殖するのに数日を要し、メタロ−β−ラクタマーゼ検出に要する時間が長いという欠点があった。メタロ−β−ラクタマーゼを産出する細菌の検出する他の方法としては、メタロ−β−ラクタマーゼの遺伝子をPCR法で検出する方法が知られているが、この方法も多大な時間と費用がかかるという欠点がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題及び課題を解決するための手段】
本発明の課題は、メタロ−β−ラクタマーゼを簡便かつ高選択的に、しかも高感度に測定するための手段を提供することにある。本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、チオール基と蛍光発色団とをリンカーで結合した化合物がメタロ−β−ラクタマーゼに特異的に結合し、強い蛍光を発することを見出した。本発明は上記の知見を基にして完成されたものである。
【0006】
すなわち、本発明により、下記の一般式(I):A-X-NH-CH(R1)-CH(R2)-(CH2)n-N(R3)-[(CH2)m-NH]p-CO-(CH2)q-SH〔式中、Aは5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基、9−アクリジニル基、又はクマリニル基を示し;Xは−SO2−又は−CO−を示し;R1及びR2 は水素原子を;nは0〜2の整数を示し;R3は水素原子を示し;nは0〜2の整数を示し;R3は水素原子、アルキル基、又はアラルキル基を示し;mは2〜4の整数を示し;pは0又は1を示し;qは2〜4の整数を示す〕で表される化合物又はその塩が提供される。
【0007】
本発明の好ましい態様によれば、Aが5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基であり、Xが−SO2−であり、R1、R2、及びR3が水素原子であり、pが0である化合物又はその塩;及びAが5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基であり、Aが−SO2−であり、R1、R2、及びR3が水素原子であり、pが0であり、qが2である上記の化合物又はその塩が提供される。
【0008】
別の観点からは、上記の一般式(I)で表される化合物又はその塩を含むメタロ−β−ラクターマーゼの測定試薬;及びメタロ−β−ラクターマーゼの測定方法であって、下記の工程:(a)上記一般式(I)で表される化合物又はその塩をメタロ−β−ラクターマーゼ産生菌又はその抽出物に接触させる工程、及び(b)上記化合物又はその塩がメタロ−β−ラクターマーゼに結合したことにより生じた蛍光を測定する工程を含む方法が本発明により提供される。また、微生物がメタロ−β−ラクターマーゼ産生菌であるか否かを判定する方法であって、(c)微生物又はその抽出物に上記一般式(I)で表される化合物又はその塩を接触させる工程、及び(d)接触により蛍光強度の増加が認められた場合に該微生物がメタロ−β−ラクターマーゼ産生菌であると判定する工程を含む方法が本発明により提供される。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記一般式(I)において、Aは蛍光性発色団である2又は3環の芳香族基を示す。芳香族基を形成する環としては、例えば、ナフタレン環又はアントラセンなどのアリール環、又はアクリジン又はクロメンなどのヘテロアリール環のいずれであってもよい。Aが示す芳香族基は環上に1又は2個以上の置換基を有していてもよい。置換基の種類は特に限定されないが、アルキル基、アルケニル基、ハロゲン原子、水酸基、アルコキシ基、置換若しくは無置換のアミノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、オキソ基などを例示することができる。例えば、Aがナフチル基である場合には、置換基としてジメチルアミノ基などの置換アミノ基を1個有する場合が好ましい。この例として、例えば、5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基を挙げることができる。アクリジニル基としては9−アクリジニル基が好ましい。クロメニル環上の2位の炭素原子にオキソ基が置換してクマリニル基となる場合も好ましく、例えば8−クマリニル基が好ましい。これらのうち、Aが5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基である場合が最も好ましい。
【0010】
Xは−SO2−又は−CO−を示すが、Aがナフチル基である場合にはXが−SO2−であることが好ましく、Aがアクリジニル基又はクマリニル基である場合にはXが−CO−であることが好ましい。
【0011】
1及びR2はそれぞれ独立に水素原子又はアルキル基を示すが、アルキル基としては炭素数1〜6程度の直鎖状、分枝鎖状、環状、又はそれらの組み合わせからなるアルキル基が好ましい。より具体的にはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、イソブチル基などを例示することができる。R1及びR2が互いに結合してそれらが結合する2個の炭素原子とともに5〜7員の環を形成する場合、形成される環は非芳香族環又は芳香族環のいずれでもよい。芳香族環が形成される場合には、ベンゼン環が形成されることが好ましく、非芳香族環が形成される場合にはシクロヘキサン環が形成されることが好ましい。形成される環には1個又は2個以上の置換基が存在していてもよいが、それらの例は上記のAについて述べたものと同様である。これらのうち、R1及びR2がともに水素原子であることが好ましい。
【0012】
3は水素原子、アルキル基、又はアラルキル基を示すが、アルキル基は上記に例示したものと同様である。アラルキル基の例としては、例えば上記のアルキル基と単環性又は多環性アリール基との組み合わせからなるアラルキル基を挙げることができ、より具体的にはベンジル基、フェネチル基などを挙げることができる。R3は水素原子であることが好ましい。mは2〜4の整数を示すが、mが2であることが好ましい。pは0又は1を示すが、pが0であることが好ましい。qは2〜4の整数を示すがqが2であることが好ましい。
【0013】
上記一般式(I)で表される化合物のうち特に好ましい化合物として、
(a)Aが5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基であり、Xが−SO2−であり、R1、R2、及びR3が水素原子であり、nが0であり、pが0であり、qが2である化合物〔化合物A:N−2−[[[(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル)−スルホニル]アミノ]エチル]−3−メルカプトプロパナミド〕;及び
(b)Aが5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基であり、Xが−SO2−であり、R1、R2、及びR3が水素原子であり、nが1であり、pが0であり、qが2である化合物〔化合物B:N−2−[[[(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル)−スルホニル]アミノ]プロピル]−3−メルカプトプロパナミド〕
を挙げることができるが、本発明の化合物はこれらの化合物に限定されることはない。
【0014】
上記一般式(I)で表される化合物のうち、上記(a)の化合物は、例えばダンシルエチレンジアミンと等モルの3−メルカプトプロピオン酸とを酢酸エチル中で縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミドを用いて反応させることにより容易に製造することができる。その製造の具体例を本明細書の実施例に示した。上記(b)の化合物は、原料としてダンシルプロパンジアミンを用いて同様に製造できる。他の化合物も上記の製造方法に準じて容易に製造することが可能であり、当業者は原料化合物、試薬、反応条件を適宜選択することが可能である。
【0015】
本発明の化合物は塩の形態で存在する場合もある。塩の種類は特に限定されず、酸付加塩又は塩基付加塩のいずれであってもよい。酸付加塩としては、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩などの鉱酸塩、又はマレイン酸塩、シュウ酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩などの有機酸塩を挙げることができ、塩基付加塩としてはナトリウム塩などの金属塩、アンモニウム塩、ジメチルアミン塩などの有機アミン塩を例示することができる。また、本発明の化合物は水和物又は溶媒和物として存在する場合もあるが、これらもすべて本発明の範囲に包含される。さらに、本発明の化合物は1以上の不斉炭素を有する場合もあるが、光学活性体又はジアステレオ異性体などの純粋な形態の立体異性体、立体異性体の任意の混合物、又はラセミ体などはいずれも本発明の範囲に包含される。
【0016】
いかなる特定の理論に拘泥するわけではないが、本発明の化合物又はその塩は、末端チオール基がメタロ−β−ラクタマーゼの活性部位である複核の亜鉛部位に結合することにより蛍光を発する性質を有しており、その結合はメタロ−β−ラクタマーゼに特異的である。特に、蛍光発色団として作用するAの芳香族基とメタロ−β−ラクタマーゼの亜鉛部位に強固に結合するSH基とが適当な長さのリンカーを介して結合しているために、本発明の化合物は、メタロ−β−ラクタマーゼに特異的に結合し、その結果として強い蛍光を発する性質を有している。従って、本発明の化合物又はその塩をメタロ−β−ラクタマーゼの測定用試薬として用いることができる。本明細書において「測定」という用語は、検出、定量などの概念を含めて最も広義に解釈しなければならず、いかなる意味においても限定的に解釈してはならない。
【0017】
本発明の化合物又はその塩を含むメタロ−β−ラクタマーゼ測定用試薬には、通常の測定用試薬の調製に用いられる適宜の添加物を添加することができる。例えば、緩衝剤、pH調整剤、溶解補助剤、防腐剤などを添加して、固体又は溶液状の組成物の形態で調製されていてもよい。また、溶液状の組成物を凍結乾燥して固形の組成物として調製することもできる。
【0018】
本発明のメタロ−β−ラクタマーゼ測定用試薬の使用方法は特に限定されないが、感染症の患者から得られた生体組織から分離培養された起炎菌に対して適宜の量の試薬を接触させ、蛍光を測定することによりメタロ−β−ラクタマーゼを測定することができ、対照に比べて蛍光強度の増加が認められる場合には起炎菌中にメタロ−β−ラクタマーゼの存在を証明することができる。
【0019】
本発明の試薬を用いたメタロ−β−ラクタマーゼの測定方法として、例えば、分離培養された菌体を冷凍粉砕し、遠心分離して上澄み液を採取してカラムでメタロ−β−ラクタマーゼを粗分離した後、緩衝液中で本発明の試薬と超音波等を用いて混合し、例えば励起波長280nm又は340nmで蛍光強度を測定する方法を例示することができる。もっとも、本発明の試薬を用いたメタロ−β−ラクタマーゼの測定方法は上記の方法に限定されることはない。励起波長は試薬の種類に応じて適宜選択することが可能であり、通常は室温で2時間程度の反応時間で高選択的かつ高感度にメタロ−β−ラクタマーゼを測定することができる。
【0020】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例に限定されることはない。
【0021】
例1:N−2−[[[(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル)−スルホニル]アミノ]エチル]−3−メルカプトプロパナミド(化合物A:実施例中「DansylC2SH」と呼ぶ場合がある)の製造
ダンシルエチレンジアミン(3.94g)と3−メルカプトプロピオン酸(1.43g)とを酢酸エチル中で縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド(2.77g)を用いて0℃で18時間反応させた。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して20%メタノール-クロロホルムで溶出して目的物を黄緑色の油状物として得た(収率77%)。
元素分析値(クロロホルム0.25分子の溶媒和物)
Calcd. C, 50.37%; H, 5.86%; O, 11.67%; N, 10.22%; S, 15.39%
Found C, 50.93%; H, 5.86%; N, 10.08%
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm) 1.50, 2.29, 2.66, 2.89, 3.06, 3.32, 5.80, 6.20, 7.19, 7.52, 7.57, 8.23, 8.28, 8.55
IR (cm-1) 2789, 2569, 1649, 1309
MS m/z=381 [M]+
【0022】
例2:N−2−[[[(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル)−スルホニル]アミノ]プロピル]−3−メルカプトプロパナミド(化合物B)の製造
ダンシルプロパンジアミン(3.0g)と3−メルカプトプロピオン酸(1.02g)とを酢酸エチル中で縮合剤としてジシクロヘキシルカルボジイミド(2.01g)を用いて0℃で18時間反応させた。溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーに付して20%メタノール-クロロホルムで溶出して目的物を黄緑色の油状物として得た(収率60%)。
元素分析値(クロロホルム0.5分子の溶媒和物)
Calcd. C, 48.81%; H, 5.65%; O, 10.54%; N, 9.23%; S, 14.09%
Found C, 49.35%; H, 5.92%; N, 9.11%
1H-NMR (CDCl3) δ(ppm) 1.33, 1.49, 2.29, 2.59, 2.81, 2.85, 3.19, 5.89, 5.99, 7.11, 7.43, 7.49, 8.13, 8.24, 8.46
IR (cm-1) 2789, 2569, 1643, 1309
MS m/z=395 [M]+I
【0023】
例3:試験例
蛍光セル中2.7mLの50mMトリス塩酸緩衝液(pH7.4+0.5M NaClと10%メタノールを含む)に100μMのDansylC2SH(メタノール溶液)を30μL加えて全量3mLとした(DansylC2SHは測定溶液中1μM)。励起波長340nmとし、350nmから800nmにおける蛍光強度を日立製F−4500型分光蛍光光度装置で測定した(25℃、スリット幅5.0nm)。つぎにメタロ−β−ラクタマーゼを濃度が1μMになるように加えて同一条件下で蛍光強度を測定した。図1に示されるように、メタロ−β−ラクタマーゼが存在する場合には、蛍光分析でのスペクトルのピーク強度がDansylC2SHのみ(ブランク)に比べて5倍程度高くなっており、DansylC2SHがメタロ−β−ラクタマーゼの測定試薬として有用であることが示された。
【0024】
一方、DansylC2SHはアルブミンとは結合せず、アルブミンやカーボニックヒドラーゼと混合しても蛍光スペクトルに変化は認められなかった(図2)。また、DansylC2SHに替えて、末端にアミド基又はヒドロキシル基を結合した化合物はメタロ−β−ラクタマーゼと反応せず、蛍光スペクトルに変化は認められなかった。
【0025】
例4:試験例
50mMリン酸緩衝液(pH7.0、2μM Zn(NO32を含む)で1g/mLに懸濁させた菌体液5mLを超音波破砕し、7000rpmで30分間遠心した。この上澄を静かに採取して粗酵素液とした。これを陽イオン交換樹脂(SP−FF)ショートカラム(直径0.8cm×3cm)を用いて約1.5mL毎に分取した。約7mLの50mMリン酸緩衝液(pH7.0、2μM Zn(NO32を含む)を流した後、溶出液を50mMリン酸緩衝液(pH7.0、2μM Zn(NO32と0.5M NaClを含む)で流した(フラクションNo.5より)。各分画は31倍希釈して280nmにおける吸光度をUV分光光度計で測定し、酵素濃度を算出した(モル吸光係数を49000として計算した。例えばフラクションNo.6では酵素濃度が1.46×10-4Mであった)。
【0026】
UV用セルに50mMリン酸緩衝液(pH7.0、2μM Zn(NO32を含む)を3mL入れ、これに各フラクション0.1mLを入れて混合し、280nmにおける吸光度を測定してフラクションNo.に対して吸光度の値をプロットした(図3)。次に分光光度計を用いて粗酵素、フラクションNo.6について励起波長280nm及び340nmとして蛍光強度を測定した(25℃、スリット幅5.0nm)。
【0027】
▲1▼粗酵素
100μMのDansylC2SH30μLを50mM Tris−HCl(pH7.4、0.5M NaClと10%メタノールを含む)に加えて全量を3mLとした(DansylC2SHは測定溶液中1μM)。粗酵素又はフラクションNo.1を10μL混合し、励起波長280nm、340nmとしてそれぞれの蛍光強度を測定した(25℃、スリット幅5.0nm)。結果を図4に示す。
【0028】
▲2▼フラクションNo.6
100μMのDansylC2SH30μLを50mM Tris−HCl(pH7.4、0.5M NaClと10%メタノールを含む)に加えて全量を3mLとした(DansylC2SHは測定溶液中1μM)。フラクションNo.6の5倍希釈液を100μL混合し、励起波長280nm、340nmとして蛍光強度を測定した(25℃、スリット幅5.0nm)。結果を図5に示す。
【0029】
【発明の効果】
本発明の化合物又はその塩はメタロ−β−ラクタマーゼの選択的かつ高感度な測定用試薬として有用である。本発明の化合物をメタロ−β−ラクタマーゼ測定用試薬として用いることにより、メタロ−β−ラクタマーゼを短時間で、簡便かつ確実に測定でき、感染症の起炎菌がメタロ−β−ラクタマーゼ産生菌であるか否かを迅速に決定できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の測定試薬としてDansylC2SHを用いてメタロ−β−ラクタマーゼを測定した結果を示した図である。
【図2】 DansylC2SHとアルブミン又はカーボニックヒドラーゼとの反応を検討した結果を示した図である。
【図3】 菌体からメタロ−β−ラクタマーゼを調製する工程におけるフラクション回収の結果を示した図である。
【図4】 粗酵素とDansylC2SHとの反応を示した図である。
【図5】 試験例におけるフラクションNo.6とDansylC2SHとの反応を示した図である。

Claims (6)

  1. 下記の一般式(I):A-X-NH-CH(R1)-CH(R2)-(CH2)n-N(R3)-[(CH2)m-NH]p-CO-(CH2)q-SH〔式中、Aは5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基、9−アクリジニル基、又はクマリニル基を示し;Xは−SO2−又は−CO−を示し;R1及びR2 は水素原子を;nは0〜2の整数を示し;R3は水素原子を示し;mは2〜4の整数を示し;pは0又は1を示し;qは2〜4の整数を示す〕で表される化合物又はその塩。
  2. Aが5−ジメチルアミノ−1−ナフチル基であり、Xが−SO2−であり、R1、R2、及びR3が水素原子であり、pが0である請求項1に記載の化合物又はその塩。
  3. N−2−[[[(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル)−スルホニル]アミノ]エチル]−3−メルカプトプロパナミド又はN−2−[[[(5−(ジメチルアミノ)−1−ナフチル)−スルホニル]アミノ]プロピル]−3−メルカプトプロパナミド、あるいはそれらの塩である請求項1に記載の化合物又はその塩。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を含むメタロ−β−ラクターマーゼの測定試薬。
  5. メタロ−β−ラクターマーゼの測定方法であって、下記の工程:(a)請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩をメタロ−β−ラクターマーゼ産生菌又はその抽出物に接触させる工程、及び(b) 上記化合物又はその塩がメタロ−β−ラクターマーゼに結合したことにより生じた蛍光を測定する工程を含む方法。
  6. 微生物がメタロ−β−ラクターマーゼ産生菌であるか否かを判定する方法であって、下記の工程:(c)微生物又はその抽出物に請求項1ないし3のいずれか1項に記載の化合物又はその塩を接触させる工程、及び(d)該接触により蛍光強度の増加が認められた場合には、該微生物がメタロ−β−ラクターマーゼ産生菌であると判定する工程を含む方法。
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