JP4175046B2 - 画像形成装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置及びその制御方法に関し、詳しくは、画像形成の動作終了時に、クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより、インク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る画像形成装置及びその制御方法に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット方式の画像形成装置、例えばインクジェットプリンタは、ランニングコストが低く、プリント画像のカラー化、装置の小型化が容易である等の点から広く普及されている。このインクジェットプリンタは、プリントヘッドのインク吐出面に設けられた微小なインク吐出孔から微量なインクを吐出させて画像記録を行うようになっており、長時間続けて印刷動作を行わず、プリントヘッドのインク吐出孔からインクを吐出させていない場合には、前回の印刷動作によりインク吐出面のインク吐出孔付近に付着したインクが蒸発乾燥して増粘、固化してしまうことがあり、正常なインク吐出が困難となる。
【0003】
このため、従来では、やや硬めのゴム製等のブレードをプリントヘッドのインク吐出面に押し当て、該インク吐出面上をスライドさせることにより、上記インク吐出面に付着して増粘、固化したインクを除去する(ワイプする)ことでプリントヘッドのクリーニングを行っていた。これに関連して、特開昭57−34969号公報には、複数のブレードを回転軸に取り付けて回転させ、ワイピング効果をさらに高める技術が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このような従来の技術では、やや硬めのゴム製等のブレードをプリントヘッドのインク吐出面に押し当てて該インク吐出面上をスライドさせることにより、上記インク吐出面に付着したインクをワイピングするようにしているので、上記ブレードによりインク吐出面に大きな力が加わり、該インク吐出面を傷つけてしまう場合があった。また、上記ブレードでは、ワイピング効果にのみ頼らざるを得ないが、ワイピングするだけではインク吐出孔にインクが残ってしまうことがあった。なお、複数のブレードを用いた場合でも、上記と同様に、インク吐出面を傷つけてしまう場合があると共に、インク吐出孔付近にインクが残ってしまう問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、このような問題点に対処し、画像形成の動作終了時に、クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより、インク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る画像形成装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、第1の発明による画像形成装置は、複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面を有するプリントヘッドを備え、上記インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置であって、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材と、このクリーニング部材を内部に収容すると共に上記インク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を内側に備え、上記プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材と、このキャップ部材の開閉を行い該キャップ部材が開く動作に伴って上記クリーニング部材の外周面を上記プリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を上記複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させるキャップ開閉手段と、このキャップ開閉手段の駆動を制御する駆動制御手段と、上記インク吐出面のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段とを備え、上記記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、上記駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動して一旦閉じられたキャップ部材を再度開閉して、上記クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、上記吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔から上記キャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出させるようにしたものである。
【0019】
このような構成により、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動して、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材を内部に収容すると共にインク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を内側に備え、プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材を一旦閉じられた状態から再度開閉し、該キャップ部材が開く動作に伴って上記クリーニング部材の外周面をプリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させ、この移動する際のクリーニング部材の弾性変形によりインク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔からキャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出する。これにより、上記インク吐出孔内のインクの吸引と、その後のインクの予備吐出とにより、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る。
【0020】
また、第2の発明による画像形成装置は、複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面を有するプリントヘッドを備え、上記インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置であって、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材と、このクリーニング部材を内部に収容すると共に上記インク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を内側に備え、上記プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材と、このキャップ部材の開閉を行い該キャップ部材が閉じる動作に伴って上記クリーニング部材の外周面を上記プリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を上記複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させるキャップ開閉手段と、このキャップ開閉手段の駆動を制御する駆動制御手段と、上記インク吐出面のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段とを備え、上記記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、上記駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を閉じ、上記クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、上記吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔から上記キャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出させるようにしたものである。
【0021】
このような構成により、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動して、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材を内部に収容すると共にインク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を内側に備え、プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材を閉じ、該キャップ部材が閉じる動作に伴って上記クリーニング部材の外周面をプリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させ、この移動する際のクリーニング部材の弾性変形によりインク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔からキャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出する。これにより、上記インク吐出孔内のインクの吸引と、その後のインクの予備吐出とにより、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る。
【0025】
また、第3の発明による画像形成装置の制御方法は、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御によりキャップ開閉手段を駆動して一旦閉じられたキャップ部材を再度開閉し、該キャップ部材が開く動作に伴って、キャップ部材の内部に収容され、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材の外周面を複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔からインクをキャップ部材の内側に設けられたインク受部に予備吐出させるように制御するものである。
これにより、上記インク吐出孔内のインクの吸引と、その後のインクの予備吐出とにより、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る。
【0026】
また、第4の発明による画像形成装置の制御方法は、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御によりキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を閉じ、該キャップ部材が閉じる動作に伴って、キャップ部材の内部に収容され、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材の外周面を複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔からインクをキャップ部材の内側に設けられたインク受部に予備吐出させるように制御するものである。
これにより、上記インク吐出孔内のインクの吸引と、その後のインクの予備吐出とにより、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて詳細に説明する。
図1は本発明による画像形成装置、例えばインクジェットプリンタの実施の形態を示す斜視図である。このインクジェットプリンタは、インクジェットヘッド1が独立した形態を有してプリンタ本体2に直接装着される形式のものを示しており、上記インクジェットヘッド1を矢印Hのように収納してプリンタ本体2に固定状態でセットするようになっている。
【0028】
上記インクジェットヘッド1は、液体インクを例えば電気熱変換式又は電気機械変換式などで微細に粒子化して吐出し、記録紙(記録媒体)上にインクドットを吹付けるもので、図1及び図2に示すように、インクカートリッジ3と、プリントヘッド4と、ヘッドキャップ5とを備えて成る。
【0029】
上記インクカートリッジ3は、内部に1色又は複数色のインクを収容するもので、その筐体が図1に示すプリンタ本体2の幅方向、すなわち記録紙の幅方向に全幅にわたって細長く伸びている。上記筐体の内部には、図示省略したが、例えば四つに分かれたインク室があり、イエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKの4色のインクが充填されている。なお、上記インクカートリッジ3は、硬質樹脂等で形成されている。
【0030】
上記インクカートリッジ3の底面部には、図2(図1に示すインクジェットヘッド1の拡大横断面図)に示すように、プリントヘッド4が設けられている。このプリントヘッド4は、上記インクカートリッジ3から供給されるインクを微細に粒子化して吐出させるもので、微小な孔から成るインク吐出孔が該インクカートリッジ3の長手方向に沿って記録紙の全幅に対応して設けられたインク吐出面6を有している。
【0031】
そして、このインク吐出面6は、例えばニッケル及びニッケルを含む材質でニッケル電鋳法により薄いシート状に形成され、上記インクカートリッジ3の長手方向に伸び、イエローY,マゼンタM,シアンC,ブラックKの4色のインク吐出孔の列がそれぞれ設けられており、4色一体型のラインヘッドとされている。なお、図示は省略したが、上記インク吐出面6のY,M,C,Kの各色のインク吐出孔の列のある部分と、該インク吐出孔を挟む両側にてヘッド電極を樹脂で覆った凸部が形成された部分とは、波打ち面状に形成されている。
【0032】
上記インクカートリッジ3の底面側には、ヘッドキャップ5が取り付けられている。このヘッドキャップ5は、後述のクリーニングローラ7を内部に収容すると共に、上記プリントヘッド4のインク吐出面6を覆いインク吐出孔の乾燥と目詰まりを防ぐために保護するキャップ部材となるもので、上記インクカートリッジ3の筐体と同じ長さで細長く伸び、上面が開口した浅い箱状に形成されており、該プリントヘッド4に対し相対的に移動し且つ着脱可能に装着されている。そして、上記ヘッドキャップ5は、プリントヘッド4のインク吐出面6の長手方向に直交する方向に矢印A,Bのようにモータ等の移動手段により移動され、矢印A方向に移動した状態で上記インクカートリッジ3から外され、矢印B方向に戻った状態で再びインクカートリッジ3に装着されるようになっている。なお、上記ヘッドキャップ5は、硬質樹脂等で形成されている。
【0033】
上記ヘッドキャップ5の内部には、クリーニングローラ7が設けられている。このクリーニングローラ7は、上記プリントヘッド4のインク吐出面6をクリーニングするクリーニング部材となるもので、弾性を有する材料で円柱状に形成されており、上記ヘッドキャップ5内の一側部にて該ヘッドキャップ5の長手方向に取り付けられている。したがって、上記プリントヘッド4のインク吐出面6の長手方向と平行となる。そして、上記クリーニングローラ7は、上記ヘッドキャップ5と共に矢印A方向に移動してプリントヘッド4のインク吐出面6をクリーニングするようになっている。
【0034】
また、同じく上記ヘッドキャップ5の内側には、インク受部8が設けられている。このインク受部8は、上記プリントヘッド4のインク吐出孔からの予備吐出インクを受けるもので、浅い箱状のヘッドキャップ5の底面の一部又は全体で予備吐出されたインクを受けるようになっている。
【0035】
次に、上記ヘッドキャップ5及びクリーニングローラ7の具体例について、図3〜図5を参照して説明する。まず、図4において、ヘッドキャップ5は、図1に示すインクカートリッジ3の幅と長さに合わせて細長状に形成され、図3に示すように、下部に底面を有し全周囲に側壁が立ち上部が開口した浅い箱状に形成されている。そして、前述のように、ヘッドキャップ5はプリントヘッド4のインク吐出面6の長手方向に直交する方向に矢印A,Bのように移動されるが、矢印B方向に戻った状態で再びインクカートリッジ3に装着される際の位置決め手段として、図3に示すように、クリーニングローラ7と反対側の側壁の上端部に位置決め爪12が設けられている。この位置決め爪12がインクカートリッジ3の下部側縁部に係止してヘッドキャップ5を位置決めするようになっている。
【0036】
そして、上記ヘッドキャップ5の上記プリントヘッド4側にて長手方向の一側の側壁近傍には、上記プリントヘッド4のインク吐出面6の全長にわたって接触する円柱状に形成されたクリーニングローラ7が着脱可能に保持されている。すなわち、上記クリーニングローラ7の両端部には、図4に示すようにピン9が突出して設けられ、このピン9が図3に示すように略U字状の形状で立ち上がる保持部材10で保持されている。この保持部材10の上部のピン受入れ部は弾性的に開閉可能とされており、上記のピン9を上方からピン受入れ部に押し付けることにより該ピン受入れ部が開いてピン9を受け入れ、その後閉じて保持する。逆に、上記のピン9を上方に持ち上げることにより、該ピン受入れ部が開いてピン9を取り外すことができるようになっている。
【0037】
なお、上記クリーニングローラ7の円柱状の形状は、図4及び図5に示すように、その長手方向の中央部分が緩やかに太くなったいわゆるクラウン形状に形成されている。これは、クリーニングローラ7が長手方向の中央部分で下方に撓むことがあるので、その撓みによりインク吐出面6と非接触になることを防止するためである。
【0038】
また、上記クリーニングローラ7の前記インク吐出面6に接触する部分は、弾性を有するゴム等の材質で形成されている。すなわち、上記クリーニングローラ7の芯材は、例えば金属や硬質樹脂等で形成されているが、その芯材より外側の周面部分はゴム等の弾性部材で形成されている。なお、上記クリーニングローラ7の全体がゴム等の弾性部材で形成されていてもよい。
【0039】
そして、上記クリーニングローラ7をヘッドキャップ5に保持する部分には、図3に示すように、フローティングスプリング11が介在されている。このフローティングスプリング11は、上記クリーニングローラ7をプリントヘッド4のインク吐出面6側に付勢する手段となるもので、例えば側面視で略U字状に形成された板バネから成り、前記保持部材10の近傍にてピン9の下方に挿入されている。そして、上記フローティングスプリング11の付勢力が両端部のピン9に働くことにより、クリーニングローラ7をプリントヘッド4のインク吐出面6に略均一な力で押圧する。
【0040】
これにより、図2に示すように、インクカートリッジ3の底面側にヘッドキャップ5が取り付けられた状態で、上記フローティングスプリング11の付勢力と、クリーニングローラ7の弾性力と、クラウン形状とで、上記クリーニングローラ7は、プリントヘッド4のインク吐出面6の全長にわたって接触するようになる。なお、上記フローティングスプリング11は、略U字状の板バネに限られず、コイルスプリングであってもよい。
【0041】
また、上記クリーニングローラ7は、上記プリントヘッド4のインク吐出面6との接触により従動回転するようになっている。したがって、図2に示すように、ヘッドキャップ5が矢印A方向に移動することにより、クリーニングローラ7はプリントヘッド4のインク吐出面6の全長にわたって適度な圧力で密着しながら回転し、その回転移動によりインク吐出面6に付着しているインクをクリーニングする。
【0042】
ここで、上記クリーニングローラ7によるプリントヘッド4のインク吐出面6のクリーニング作用について、図6を参照して説明する。なお、図6では、説明を分かり易くするため、インク吐出面6とインク吐出孔13とクリーニングローラ7とを拡大した断面図で示している。まず、図6において、クリーニングローラ7は、図2に示すヘッドキャップ5と共に矢印A方向に移動しながら、インク吐出面6との接触により矢印C方向に従動回転する。そして、上記クリーニングローラ7が、図2に示すプリントヘッド4のインク吐出面6の或る列のインク吐出孔13の位置を通過するとする。
【0043】
図6(a)は、矢印C方向に従動回転しながら矢印A方向に移動してきたクリーニングローラ7が、或る列のインク吐出孔13の位置に差しかかった状態を示している。このとき、上記インク吐出孔13の部位には、インク室14からのインク15が充満されており、該インク吐出孔13の内部には上記インク15の表面の界面張力により凹状曲面のメニスカス16が形成されている。ここで、メニスカス付近のインクは、乾燥により通常のインク粘度よりも増粘している状態となっている。そして、図6(a)に示すように、上記クリーニングローラ7が矢印C方向に従動回転しながら矢印A方向に移動することにより、上記インク吐出孔13を一方側縁部から他方側縁部に向けて塞いで行き、その間に該インク吐出孔13内の空気が他方側縁部の隙間から矢印Dのように押し出されて行く。
【0044】
次に、図6(b)に示すように、上記クリーニングローラ7が更に矢印C方向に従動回転しながら矢印A方向に移動して、丁度インク吐出孔13の位置に来ると、該インク吐出孔13を完全に塞いだ状態になる。このとき、クリーニングローラ7は上記インク吐出面6に押圧して接触されているので、微視的には、該クリーニングローラ7の表面の一部がその弾性により上記インク吐出孔13の一方側縁部と他方側縁部との間で該インク吐出孔13内に少し入り込み、その分だけインク吐出孔13内の空気を押し出した状態で該インク吐出孔13の入口を塞ぎ、内部を密封している。このとき、メニスカス16に対してかかっている、メニスカス16をインク室側へ引き込む力(メニスカスに対す負圧)の状態によっては、該クリーニングローラ7の表面がメニスカス16に接触し、インク15を吸引することもある。
【0045】
その後、図6(c)に示すように、上記クリーニングローラ7が更に矢印C方向に従動回転しながら矢印A方向に移動して、上記インク吐出孔13の他方側縁部を塞いだ状態で一方側縁部だけを開いて行く。このとき、微視的には、上記インク吐出孔13内に少し入り込んだクリーニングローラ7の表面の一部がインク吐出孔13の一方側縁部から離れる際に、該インク吐出孔13内の密封された空気が引かれて一方側縁部の隙間から矢印Eのように吸引される。
【0046】
すなわち、図6(b)に示すようにインク吐出孔13内の空気が少し押し出されて密封された状態(正圧)から、図6(c)に示すように上記インク吐出孔13内の空気が引き出された際(負圧)のインク吐出孔13内の圧力変化により、該インク吐出孔13内のインクが吸引されるようになる。ここで、図6(b)の状態で、メニスカス16に対してかかっている、メニスカス16をインク室側へ引き込む力(メニスカスに対する負圧)の状態によっては、該クリーニングローラ7の表面がメニスカス16に接触し、インク15が吸引され始めることもある。これにより、上記インク吐出孔13内に残ったインクが図2においてプリントヘッド4の外側に引っ張られる吸引力が作用し、該インク吐出孔13内のインクを吸引して確実に除去することができる。
【0047】
この場合、ゴム等の弾性を有する材料で円柱状に形成されたクリーニングローラ7をインク吐出面6上で移動させるので、該インク吐出面6のヘッド電極を樹脂で覆った状態の保護層を損傷させることなく、上記インク吐出面6のクリーニングを行うことができる。
【0048】
なお、上記クリーニングローラ7は、以上の説明ではプリントヘッド4のインク吐出面6との接触により従動回転するものとしたが、該インク吐出面6との接触状態で回転しないように固定されていてもよい。例えば、図3において、クリーニングローラ7の両端部にピン9を上下方向に2本設け、この2本のピン9を保持部材10の略U字状の溝内に挿入することにより、クリーニングローラ7は回転しないようにされる。この場合は、クリーニングローラ7で上記インク吐出面6を擦りつつ移動するので、該インク吐出面6に付着している液状インクは勿論のこと、固化してこびり付いたインクもクリーニングできる。
【0049】
また、上記クリーニングローラ7は、ブレーキ機構により回転を制限して上記プリントヘッド4のインク吐出面6を擦りつつ回転するものとされていてもよい。このブレーキ機構は、例えば図3において、クリーニングローラ7の両端部のピン9を保持部材10で保持する部分に、適宜の弾性体を介在させ、その弾性体に開けられた孔に上記ピン9を圧入したり、クリーニングローラ7の両端面を上記の弾性体の側面に圧接する機構になっており、上記クリーニングローラ7の回転時に適度なブレーキ力が発生するようになっている。この場合は、クリーニングローラ7が上記インク吐出面6を擦りつつ少し回転するので、該インク吐出面6を損傷させることなく、付着している液状インクは勿論のこと、固化してこびり付いたインクもクリーニングできる。
【0050】
上記ヘッドキャップ5の内側のインク受部8には、図3〜図5に示すように、その底面である受面にインク吸収部材8’が敷設されている。このインク吸収部材8’は、上記プリントヘッド4から予備吐出されたインクの跳ね返りを防止する手段となるもので、例えばスポンジ、ポリウレタン、発泡ポリウレタン等の多孔質の高分子物質から成り、図4に示すように、インク受部8の受面の略全面にわたって敷かれている。ただ、図5に示されるように、クラウン形状に形成されたクリーニングローラ7の中央部の太径部分を逃げるために、その下方部分には敷設されていなくても良い。
【0051】
上記のようにインク吸収部材8’を敷設した場合は、図2に示すプリントヘッド4から予備吐出されたインクの跳ね返りを防止すると共に、そのインクがインク受部8に溜まらないように吸収することができる。したがって、予備吐出インクがインク受部8で跳ね返ってインク吐出面6に再付着するのが防止される。また、適宜の期間使用して、予備吐出されたインクを吸収したインク吸収部材8’をインク受部8から外して廃棄し、新しいインク吸収部材8’を敷設することにより、予備吐出インクの清掃を簡単に行うことができる。
【0052】
なお、図3〜図5に示す実施形態では、ヘッドキャップ5の底面の全体をインク受部8とした例を示したが、本発明はこれに限らず、底面の一部をインク受部8としてもよい。例えば、図2において、クリーニングローラ7を少し中央部寄りに移して、ヘッドキャップ5のクリーニングローラ7側の側壁と該クリーニングローラ7との間に仕切り板を設け、この仕切り板と上記側壁とで囲まれた室をインク受部8としてもよい。この場合は、上記プリントヘッド4のインク吐出孔からの予備吐出インクを受ける場所を、ヘッドキャップ5の特定位置に限定することができる。
【0053】
次に、上記プリントヘッド4のインク吐出孔からのインクの予備吐出について説明する。インクの予備吐出は、前述のようにインク吐出孔内のインクが蒸発乾燥して粘度大又は固化して、正常なインク吐出が困難となるのを防止するために、印字、印画を行う前にインク吐出孔内のインクを例えば吸引して排出するものである。このインクの予備吐出は、上記クリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニングの実施後に、インク吐出孔からヘッドキャップ5のインク受部8に向けて行うようになっている。例えば、上記プリントヘッド4のインク吐出孔から10kHz程度の周波数でインク滴を吐出し、これを数回繰り返して予備吐出を行う。
【0054】
図2において、各色のインク吐出面6を一つのクリーニングローラ7でクリーニングすることによる混色を避けるために、各色のインク吐出面6のクリーニングの実施後にインクの予備吐出を実行する場合は、インクを予備吐出するタイミングを制御する必要がある。
【0055】
そのために、図7に示すように、上記ヘッドキャップ5に、該ヘッドキャップ5がプリントヘッド4に対し相対的に移動する際に上記プリントヘッド4のインク吐出孔からの予備吐出のタイミングを検出する手段が設けられている。なお、図7においては、ヘッドキャップ5の移動方向を図2とは反対側に動くものとして示している。
【0056】
上記予備吐出のタイミングを検出する手段は、図7において、ヘッドキャップ5の下面側に設けられた位置検出シート17と、この位置検出シート17に対向して図1に示すプリンタ本体2内に設けられた光電スイッチ18とから成る。上記位置検出シート17は、ヘッドキャップ5が矢印A方向に移動して行くときのプリントヘッド4の各色のインク吐出面6との対応位置を調べるためのもので、例えばY,M,C,Kのインク吐出面6の配列ピッチに合わせて明暗のパターンが形成され、そのパターンの配列は上記インク吐出面6の各色Y,M,C,Kの順とは逆方向とされている。また、ヘッドキャップ5の移動の初期状態では、位置検出シート17側のパターン配列が、矢印A方向に対して後方へずれている。
【0057】
光電スイッチ18は、上記ヘッドキャップ5と共に移動する位置検出シート17の明暗のパターンを検出するもので、例えば発光ダイオード(LED)から成る発光部18aと、フォトダイオードから成る受光検出部18bとを一体的に組み合わせて成る。上記位置検出シート17の明暗のパターンは、発光部18aから射出される光の波長に対して反射率が変化するものであり、受光検出部18bもその反射光の波長に対して敏感なものとされている。
【0058】
このような構成により、ヘッドキャップ5が矢印A方向に移動して行くとき、該ヘッドキャップ5の下面の位置検出シート17が光電スイッチ18の前を通過する際に、該位置検出シート17の明暗パターンを検出してY,M,C,Kのインク吐出面6との対応位置を調べることができる。これにより、ヘッドキャップ5と共に移動するクリーニングローラ7の位置を知って、該クリーニングローラ7による各色のインク吐出孔13のクリーニングの実施直後に、順次各色のインク吐出孔からインクの予備吐出を実行するようにタイミングを制御する。このとき、上記予備吐出されたインクは、確実にインク受部8内に受け取られる。
【0059】
図8は、クリーニングローラ7の他の実施形態を示す概略説明図である。この実施形態は、クリーニングローラ7を回転駆動機構により正方向或いは逆方向に回転するようにしたものである。すなわち、図2において、クリーニングローラ7のピン9に、プリンタ本体2内に設けられたモータ(図示省略)の回転軸を適宜の減速比の歯車機構を介して結合し、上記クリーニングローラ7を積極的に回転駆動するように構成されている。
【0060】
そして、上記モータによるクリーニングローラ7の回転は、図8(a)に示すように、図7に示すヘッドキャップ5の矢印Aの移動方向と同じ方向に回転されると共に、上記ヘッドキャップ5の移動速度v1よりもクリーニングローラ7の外周速度v2の方が大となるような回転数で回転される。この場合、プリントヘッド4のインク吐出面6とクリーニングローラ7の外周面との間の速度差に基づく擦りが生じ、該インク吐出面6が確実にクリーニングされる。また、上記ヘッドキャップ5の移動速度v1の方を、クリーニングローラ7の外周速度v2よりも大となるような回転数でモータを回転させる場合も、上記と同様にインク吐出面6とクリーニングローラ7の外周面との間に擦りが生じ、該インク吐出面6が確実にクリーニングされる。
【0061】
或いは、図8(b)に示すように、クリーニングローラ7を図7に示すヘッドキャップ5の矢印Aの移動方向とは逆方向に回転させてもよい。この場合は、プリントヘッド4のインク吐出面6とクリーニングローラ7の外周面との間の移動方向の相違による擦りが生じ、該インク吐出面6が確実にクリーニングされる。このように、図8に示す実施形態の場合は、プリントヘッド4のインク吐出面6は、クリーニングローラ7の積極的な回転により次々と繰り出される新たな外周面によりクリーニングされる。
【0062】
図9は、以上のように構成された画像形成装置の制御を行う制御装置部40の構成及び動作を説明するためのブロック図である。この制御装置部40は、クリーニングローラ7を内部に収容したヘッドキャップ5を移動させる移動手段の駆動を制御したり、プリントヘッド4のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御したりするもので、制御部41と、メカ駆動部42と、ヘッド駆動部43とを備えて成る。
【0063】
上記制御部41は、ヘッドキャップ5を開閉させる後述のキャップ開閉モータ46の駆動を制御する駆動制御手段、及びインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段となるもので、その内部には各種の情報や制御プログラムを格納しておくROM44と、このROM44から読み出した制御プログラムに基づいて各種制御指令を送出するCPU45とを有し、後述のメカ駆動部42及びヘッド駆動部43の制御を司るようになっている。
【0064】
また、メカ駆動部42は、前記ヘッドキャップ5を開閉させるためのキャップ開閉モータ46及び記録媒体としての紙を供給、排紙するための給排紙モータ47を駆動させるものである。なお、上記キャップ開閉モータ46は、前記クリーニングローラ7の外周面とプリントヘッド4のインク吐出面6とを接触させた状態で該両者を相対的に移動させる移動手段となる。
【0065】
さらに、ヘッド駆動部43は、前記プリントヘッド4のインク吐出面6に設けられたインク吐出孔からインクを吐出する素子部を駆動するもので、例えば発熱抵抗体で構成されるイエロー用電気熱変換手段48と、マゼンタ用電気熱変換手段49と、シアン用電気熱変換手段50と、ブラック用電気熱変換手段51とにそれぞれ駆動信号を送出するようになっている。
【0066】
このように構成された制御装置部40は、制御部41が外部からの画像形成の動作を示すプリント信号を取り込むと共に、図7に示す光電スイッチ18からの各色のインク吐出面6との対応位置の検出信号を入力して、上記メカ駆動部42及びヘッド駆動部43に駆動信号を送り、クリーニングローラ7がインク吐出面6上の通過した色のインク吐出孔の列から順に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの順でインクを前記ヘッドキャップ5内に予備吐出させるように制御する。
【0067】
図10は、以上のように構成された画像形成装置の制御方法を示すフローチャートであり、主としてプリント動作の制御を示している。なお、この制御は、図9に示す制御部41内のROM44に格納された制御プログラムに基づいて、CPU45からの指示により実行される。
【0068】
まず、図10のステップS1において、図9に示す制御部41に画像形成の動作開始を示すプリント信号が入力されると、ステップS2において、該制御部41はメカ駆動部42にキャップ開トリガー信号を送出してキャップ開閉モータ46を駆動させることにより、ヘッドキャップ5の開動作を開始する。次に、ステップS3において、ヘッドキャップ5の開動作に合わせてクリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニングを行い、制御部41がヘッド駆動部43に予備吐出信号を送出することによりインクの予備吐出を行う。
【0069】
続いて、ステップS4において、ヘッドキャップ5が退避位置に到達したことを確認し、ステップS5において、プリント動作を開始する。そして、プリント動作が終了すると(ステップS6)、制御部41はメカ駆動部42にキャップ閉トリガー信号を送出してキャップ開閉モータ46を駆動させることにより、ヘッドキャップ5を閉じる(ステップS7)。以後、プリント信号の入力に応じて上記の動作を繰り返せばよい。なお、ステップS7において、プリント動作が終了したとき、ヘッドキャップ5は、一旦閉じた後に再度開閉動作をし、該ヘッドキャップ5が開く動作に伴ってクリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニング及びインクの予備吐出を行う。
【0070】
次に、以上のように構成された画像形成装置におけるクリーニングローラ7及びヘッドキャップ5による一連のクリーニング動作について、図11を参照して説明する。ここでは、図2に示すインクジェットヘッド1において、矢印A方向にヘッドキャップ5が移動し、プリントヘッド4のインク吐出面6のクリーニングを行い、その実施後にインクの予備吐出を行うものとする。
【0071】
まず、図11(a)は、インクカートリッジ3に対してヘッドキャップ5が閉じた初期状態を示している。そして、この状態で図1において、インクジェットヘッド1はプリンタ本体2に収納されてセットされる。次に、上記プリンタ本体2にセットされた状態で、ヘッドキャップ開信号により、図11(b)に示すように、ヘッドキャップ5がインクカートリッジ3に対して相対的に矢印A方向に移動される。すると、上記インクカートリッジ3に対してヘッドキャップ5と共にクリーニングローラ7が矢印A方向に移動し、プリントヘッド4のインク吐出面6に押圧接触した状態で該インク吐出面6との接触状態で従動回転し、或いは固定又はブレーキ機構により回転が制限され、又はモータにより正方向或いは逆方向に回転されて移動する。
【0072】
この状態で、図2において、プリントヘッド4のインク吐出面6のうち、イエローYのインク吐出面6がクリーニングされたとする。すると、ヘッドキャップ5の下面側に設けられた位置検出シート17(図7参照)のイエローYに対応する部分が光電スイッチ18の検出位置に移動してきて、イエローYのインク吐出面6のクリーニングが終了したことを検出する。これにより、図9に示す制御部41からヘッド駆動部43に対し予備吐出開始信号が送出される。すなわち、上記イエローYのインク吐出面6のインク吐出孔の列(イエロー用電気熱変換手段48)に対し予備吐出開始信号が送出される。
【0073】
次に、図11(c)に示すように、イエローYのインク吐出面6のインク吐出孔から予備吐出インク52が噴射される。その後、上記イエローYのインク吐出面6のインク吐出孔に対し予備吐出停止信号が送られ、予備吐出インク52の噴射が停止される。以後同様にして、図2において、順次M,C,Kのインク吐出面6のクリーニングローラ7によるクリーニングが終わる都度、当該インク吐出面6のクリーニング終了を光電スイッチ18で検出して、制御部41からそれぞれのインク吐出孔の列に対し予備吐出開始信号及び予備吐出停止信号が送られる。これにより、図11(d),(e),(f)に示すように、各色のインク吐出孔の列からの予備吐出のタイミングが制御され、M,C,Kの順で予備吐出インク52の噴射が順次実行される。
【0074】
このようにして、各色のインク吐出面6のクリーニングと予備吐出が終了すると、図11(g)に示すように、ヘッドキャップ5は、矢印A方向に一杯に移動してやや上方に移り、退避位置に収まる。この状態で、記録紙に印字、印画を行う。
【0075】
次に、所要の頁数の印字、印画が終了すると、ヘッドキャップ閉信号が送られ、ヘッドキャップ5は上記の退避位置から、図11(h)に示すように、インクカートリッジ3に対して相対的に矢印B方向に移動される。すると、上記インクカートリッジ3に対してヘッドキャップ5と共にクリーニングローラ7が矢印B方向に移動して閉じた状態となり初期状態に戻る。なお、このクリーニングローラ7が矢印B方向に戻る際は、該クリーニングローラ7はインク吐出面6には接触せず、そのインク吐出面6のクリーニングは行わない。
【0076】
以上のように、所要の頁数の印字、印画が終了すると、インクカートリッジ3に対して一旦閉じて初期状態に戻ったヘッドキャップ5は、再び、ヘッドキャップ開信号を受けて、図11(a)〜(g)の動作を繰り返す。即ち、ヘッドキャップ5が開く動作に伴って、クリーニングローラ7でY,M,C,K各色のインク吐出面6のクリーニングを順次行い、その都度、クリーニングされたインク吐出面6の対応色の予備吐出インク52を噴射する。そして、ヘッドキャップ5は、再びヘッドキャップ閉信号を受け、図11(h)の動作を経てインクカートリッジ3に対して閉じた状態の初期状態に戻る。その後、次の印字、印画の指示を待つ。
【0077】
なお、図11に示す動作の説明では、ヘッドキャップ5が矢印A方向に移動する際にクリーニングローラ7がインク吐出面6に接触して該インク吐出面6のクリーニングを行うと共に、その実施後インクの予備吐出を行い、ヘッドキャップ5が矢印B方向に戻る際にはクリーニングローラ7はインク吐出面6に接触しないものとしたが、本発明はこれに限らず、インクの予備吐出を行わず、クリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニングのみを行う場合もある。また、クリーニングローラ7がインク吐出面6に接触しない状態でヘッドキャップ5が矢印A,B方向に移動する場合もある。この場合は、クリーニングローラ7でインク吐出面6のクリーニングを行わず、ヘッドキャップ5内に向けてインクの予備吐出だけを行う。このとき、図11(g)に示すヘッドキャップ5の退避位置から、同図(h)に示す位置に戻ったところでインクの予備吐出を行い、再び同図(g)に示す位置に退避するシーケンスもある。
【0078】
また、図11(g)に示すヘッドキャップ5が退避位置にある状態でヘッドキャップ5の開閉動作に関係なく、したがってクリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニングを行わずに、インクの予備吐出を行う場合もある。
【0079】
図10及び図11においては、ヘッドキャップ5が矢印A方向に移動して開くときに、インク吐出面6のクリーニングを行い、その実施後にインクの予備吐出を行う場合について説明したが、それとは逆に、インク吐出面6のクリーニングを行わずにヘッドキャップ5を矢印A方向に移動して開き、その後ヘッドキャップ5を矢印B方向に移動して閉じるときにクリーニングローラ7によりインク吐出面6のクリーニングを行い、その実施後にインクの予備吐出を行うようにしてもよい。図12は、印字、印画の動作終了時に、上述のヘッドキャップ5を開いた状態から矢印B方向に移動して閉じるときに、クリーニングローラ7によりインク吐出面6のクリーニングを行い、その実施後にインクの予備吐出を行う場合の動作及び制御方法を示すフローチャートであり、主としてプリント動作の制御を示している。なお、この場合も、該制御は、図9に示す制御部41内のROM44に格納された制御プログラムに基づいて、CPU45からの指示により実行される。
【0080】
まず、図12のステップS11において、図9に示す制御部41に画像形成の動作開始を示すプリント信号が入力されると、ステップS12において、該制御部41はメカ駆動部42にキャップ開トリガー信号を送出してキャップ開閉モータ46を駆動させることにより、ヘッドキャップ5の開動作を開始する。
【0081】
次に、ステップS13において、ヘッドキャップ5が退避位置に到達したことを確認し、ステップS14において、プリント動作を開始する。続いて、プリント動作が終了すると(ステップS15)、制御部41はメカ駆動部42にキャップ閉トリガー信号を送出してキャップ開閉モータ46を駆動させることにより、ヘッドキャップ5の閉動作を開始する(ステップS16)。そして、このキャップ閉動作に伴ってクリーニングローラ7の外周面をプリントヘッド4のインク吐出面6に接触させてインク吐出面6のクリーニングを行い、制御部41がヘッド駆動部43に予備吐出信号を送出することによりインクの予備吐出を行う(ステップS17)。こうして、ヘッドキャップ5は、閉じて初期状態に戻る。
【0082】
次に、図12に示すクリーニングローラ7及びヘッドキャップ5による一連のクリーニング動作について、図13を参照して説明する。なお、ここでは、印字、印画のプリント動作が終了した後のクリーニング動作について説明する。
【0083】
図13(a)に示すように、ヘッドキャップ5が退避位置に収まった状態で、所要の頁数の印字、印画が終了すると、ヘッドキャップ閉信号が送られ、ヘッドキャップ5は上記の退避位置から、図13(b)に示すように、インクカートリッジ3に対して相対的に矢印B方向に移動し閉動作を行う。
【0084】
ヘッドキャップ5の閉動作に伴って、クリーニングローラ7は、その外周面をプリントヘッド4のインク吐出面6に接触させて、ヘッドキャップ5の開動作とは逆方向からK,C,M,Yの順にインク吐出面6のクリーニングを行う。そして、各色のインク吐出面6に対応する位置検出シートの通過を図示省略の光電スイッチで検出し、対応色の予備吐出インク52を噴射する。こうして、全ての色についてのインク吐出面6のクリーニングと予備吐出を終えると、図13(c)のヘッドキャップ5を閉じた初期状態に戻る。なお、この場合も、クリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニングのみを行い、インクの予備吐出を行わないようにすることも、逆に、インクの予備吐出のみを行い、クリーニングローラ7によるインク吐出面6のクリーニングを行わないようにすることも可能である。
【0085】
次に、以上説明した画像形成装置、例えばインクジェットプリンタの全体構成及びその動作について、図1及び図14〜図20を参照して説明する。このインクジェットプリンタは、インクジェットヘッドからインクを微細に粒子化して吐出し、記録紙上にインクドットを吹付けて印刷するもので、図1に示すように、インクジェットヘッド1と、プリンタ本体2と、ヘッド着脱機構19と、ヘッドキャップ開閉機構20とを備えて成る。なお、このインクジェットプリンタは、インクジェットヘッド1をプリンタ本体2に直接装着する形式のものを示している。
【0086】
上記インクジェットヘッド1は、液体インクを例えば電気熱変換式又は電気機械変換式などで微細に粒子化して吐出し、記録紙上にインクドットを吹付けるもので、前述の図1〜図11において説明したものと同様に構成されている。
【0087】
プリンタ本体2は、上記インクジェットヘッド1を所定箇所に装着してインクジェットプリンタとしての機能を発揮するためのもので、記録紙トレイ、記録紙の搬送系、動作駆動系、全体の制御回路部等を備えている。なお、図1において、符号21は、記録紙を供給する給紙カートリッジ及び印刷後に排紙される排紙受けを示している。
【0088】
ヘッド着脱機構19は、上記インクジェットヘッド1をプリンタ本体2の所定箇所に装着して固定すると共にその固定を解除するもので、例えばプリンタ本体2の中央部に設けられた凹所から成る所定箇所にインクジェットヘッド1を挿入してその上面部を押さえるように構成された横長のバー部材から成る。すなわち、上記プリンタ本体2の全幅方向に伸び、例えば垂直方向と水平方向とに起倒するようになっている。そして、図1に示すようにバー部材が垂直方向に起立した状態でインクジェットヘッド1を矢印H方向に収納して装着し、図14に示すようにバー部材が水平方向に倒された状態でインクジェットヘッド1を上記所定箇所に固定するようになっている。
【0089】
ヘッドキャップ開閉機構20は、上記インクジェットヘッド1がプリンタ本体2の所定箇所に固定される状態でヘッドキャップ5をプリントヘッド4(図2参照)に対して相対的に移動しインク吐出面6(図2参照)を解放すると共に、印刷終了後に上記ヘッドキャップ5を閉じるもので、例えばプリンタ本体2の側面に設けられたラック22と、ピニオン23との噛み合わせから成る。なお、上記ラック22の内側の側面にはピン状の突起があり、これが上記ヘッドキャップ5の対応する外側面に形成された凹部に嵌合している。
【0090】
そして、図14に示すように、インクジェットヘッド1をヘッド着脱機構19でプリンタ本体2の所定箇所に固定した状態で、上記ピニオン23を図示省略のモータで所定方向に回転することにより、図15に示すようにラック22が矢印A方向に移動し、これと共に図1に示すヘッドキャップ5を矢印A方向に移動して開き、退避位置に収めるようになっている。
【0091】
なお、上記ヘッドキャップ開閉機構20は、上述のラック22とピニオン23との噛み合わせに限られず、例えばゴムローラをヘッドキャップ5の両側面に押し当て、このゴムローラの回転軸にモータを結合し、該モータを回転して上記ゴムローラの摩擦により上記ヘッドキャップ5を矢印A方向に移動して開くようにしてもよい。
【0092】
次に、図1に示すプリンタ本体2の所定箇所にインクジェットヘッド1を固定してヘッドキャップ5をプリントヘッド4(図2参照)に対して相対的に移動しインク吐出面6(図2参照)を解放する具体的な機構と動作について、図16〜図20を参照して説明する。
【0093】
まず、図16は、図1においてインクジェットヘッド1をプリンタ本体2の所定箇所に矢印H方向に挿入して収納した状態を示す。この状態では、インクジェットヘッド1内でその両側端部に設けられたキャップロックフック24の下端部が、つる巻きバネ25の弾性力によりヘッドキャップ5の両側部の係止片部26に係合している。これにより、上記ヘッドキャップ5はインクカートリッジ3に対して一体的に装着されている。
【0094】
この状態で、図16において、ヘッド着脱機構19を矢印J方向に押し下げて固定する。すると、上記ヘッド着脱機構19の下辺部に設けられたキャップロック解除片27でキャップロックフック24の上端部28を押し下げて回動させ、図17に示すように、該キャップロックフック24の下端部を持ち上げ、ヘッドキャップ5の両側部の係止片部26との係合を解除する。これにより、図14に示すように、インクジェットヘッド1がヘッド着脱機構19でプリンタ本体2の所定箇所に固定されると共に、ヘッドキャップ5が移動可能となる。
【0095】
次に、図14に示すヘッドキャップ開閉機構20を動作させ、ピニオン23を図示省略のモータで回転させてラック22を矢印A方向に移動させる。すると、図18に示すように、インクカートリッジ3の底面側に装着されたヘッドキャップ5が上記ラック22と共に矢印A方向に移動して開く。そして、図2に示すようにインクカートリッジ3の底面に設けられたプリントヘッド4のインク吐出面6を、フローティングスプリング11で付勢されたクリーニングローラ7でクリーニングを開始する。なお、図18において、符号Pは上記ヘッドキャップ5の移動の軌跡を示す。
【0096】
その後、上記ヘッドキャップ5は、図19に示すように、移動軌跡Pに従って矢印A方向に順次移動する。このとき、上記ヘッドキャップ5に取り付けられたクリーニングローラ7により、図2に示すY,M,C,Kの各色のインク吐出面6を順次クリーニングすると共に、そのクリーニングの実施後にインクの予備吐出を行う。
【0097】
そして、上記各色のインク吐出面6のクリーニング及び予備吐出が終了すると、図20に示すように、ヘッドキャップ5は、移動軌跡Pに従って矢印A方向に一杯に移動してやや上方に移り、図15に示すように退避位置に収まる。この状態で、記録紙に印字、印画を行う。このとき、上記ヘッドキャップ5は、図20に示すようにやや上方に移ることから、その収納時のスペースを小さくすることができる。また、図20において、インクカートリッジ3の底面に設けられたプリントヘッド4の下方を記録紙が通過するが、上記ヘッドキャップ5の下面で記録紙の通過の案内をしてもよい。この場合、ヘッドキャップ5の下面側には、記録紙の案内のためのリブを設けてもよい。また、記録紙に印刷された状態のインクが付かないように撥水処理をしてもよい。
【0098】
この状態で、所要の頁数の印字、印画が終了すると、ヘッドキャップ5は、図20に示す退避位置から上記の逆順の動作により矢印B方向に移動し、図17に示すように、ヘッドキャップ5がインクカートリッジ3の底面側に戻った初期状態となる。なお、プリント動作終了時に、上記ヘッドキャップ5を、図21に示す矢印B方向に移動して一旦閉じられたヘッドキャップ5を、再び矢印A,B方向の開閉動作をさせ、閉じる動作に伴ってインク吐出面6のクリーニング及び予備吐出が行われる。または、プリント動作終了時に、ヘッドキャップ5が閉じる動作に伴ってインク吐出面6のクリーニング及び予備吐出が行われる。
【0099】
そして、図16において、ヘッド着脱機構19を矢印Jと反対方向に開くことにより、キャップロックフック24がつる巻きバネ25の弾性力によりヘッドキャップ5の両側部の係止片部26に係合し、ヘッドキャップ5がインクカートリッジ3に対して一体的に装着される。この状態で、図1に示すように、インクジェットヘッド1をプリンタ本体2から取り外すことができる。
【00100】
なお、ヘッドキャップ5が図20に示す退避位置にある状態で、何等かの原因でプリンタの電源を遮断した場合は、上記ヘッドキャップ5は上記の退避位置に残ったままの状態となる。そして、この状態で、図16に示すように、ヘッド着脱機構19を矢印Jと反対方向に開くと、ヘッドキャップ5を上記の退避位置に残したままインクカートリッジ3だけを取り外してしまうこととなる。そこで、これを防止するため、何等かの原因でプリンタの電源が遮断された場合は退避位置にあるヘッドキャップ5が図16に示す初期状態の位置に自動的に戻るようにする、或いは、ヘッドキャップ5が図16に示す初期状態の位置に戻っていない場合はヘッド着脱機構19を矢印Jと反対方向に開くことができないようにする、というインターロック機構を設けてもよい。
【0101】
このように、本発明の画像形成装置によれば、プリント動作終了後に、一旦閉じられたヘッドキャップ5を再度開く動作に伴って、またはヘッドキャップ5の閉動作に伴って弾性を有する材質で形成された円柱状のクリーニングローラ7を、インク吐出面6上を移動させ、クリーニングローラ7がインク吐出面6を移動することによりインク吐出孔内のインクを吸引し、その実施後にインクを予備吐出してインク吐出面6を傷つけることなくインク吐出面付近のクリーニング効果の向上を図ることができる。
【0102】
以上の説明によるインクジェットプリンタは、インクジェットヘッド1をプリンタ本体2に直接装着する形式のものを示したが、本発明はこれに限らず、インクジェットヘッド1をトレイを介してプリンタ本体2に装着する形式のものにも同様に適用できる。以下、他の形式のインクジェットプリンタの概要について、図21を参照して説明する。
【0103】
まず、図21(a)に示すように、インクカートリッジ3にヘッドキャップ5が一体的に装着されたインクジェットヘッド1を、プリンタ本体2に対し進退可能に設けられたトレイ29の内側の所定位置に矢印Qのように装着する。その後、上記トレイ29を矢印R方向に移動させてプリンタ本体2内にセットする。このとき、図21(b)に示すように、ヘッドキャップ5は上記トレイ29の矢印R方向の移動の途中で、プリンタ本体2内に設けられた適宜の掛止手段に掛止されて停止する。なお、上記トレイ29は、インクジェットヘッド1をプリンタ本体2内にセットしたり、交換したりするためのものである。
【0104】
その後、上記トレイ29は矢印R方向にそのまま移動することにより、インクカートリッジ3がヘッドキャップ5に対して相対的に矢印R方向に移動し、その結果、ヘッドキャップ5が開く。それと同時に、上記インクカートリッジ3に対してヘッドキャップ5が相対的に矢印Rと反対方向に移動する際に、図11で示すと同様の動作により、プリントヘッド4のインク吐出面6をクリーニングすると共に、インクの予備吐出が行われる。その後、記録紙に対し印字、印画が行われる。
【0105】
そして、印字、印画のプリント動作が終了すると、インクカートリッジ3は、ヘッドキャップ5に対して相対的に矢印Rと反対方向に移動してヘッドキャップ5が閉じた状態の初期状態に戻る。なお、インクカートリッジ3が相対的にヘッドキャップ5を閉じる方向に戻る際は、プリントヘッド4のインク吐出面6のクリーニングもインクの予備吐出も行わない。その後、ヘッドキャップ5のインクカートリッジ3に対する相対的な開閉動作を再度行い、ヘッドキャップ5の開動作に伴って、プリントヘッド4のインク吐出面6のクリーニング及びインクの予備吐出が行われる。
【0106】
または、インクカートリッジ3をヘッドキャップ5に対して相対的に矢印Rと反対方向に移動してヘッドキャップ5を閉じる際に、プリントヘッド4のインク吐出面6のクリーニング及びインクの予備吐出が行われるようにすることも可能である。さらに、インク吐出面6のクリーニングまたはインクの予備吐出のいずれか一方のみを行うようにしてもよい。
【0107】
なお、図21において、符号30は記録紙トレイを示し、符号31は記録紙を示し、符号32は送りローラを示し、符号33は送りベルトを示し、符号34は排紙トレイを示し、符号Sは記録紙の排紙方向を示している。
【0108】
また、以上の説明では、画像形成装置として例えばラインヘッド型のインクジェットプリンタに適用したものとしたが、本発明はこれに限らず、シリアル型のインクジェットプリンタに適用することも可能である。また、インクジェットプリンタに限らず、記録方式がインクジェット方式のファクシミリ装置や複写機等の画像形成装置としても実施可能である。
【0109】
【発明の効果】
本発明は以上のように構成されたので、請求項1に係る画像形成装置によれば、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段でキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を一旦閉じられた状態から再度開閉し、該キャップ部材が開く動作に伴って、キャップ部材の内部に収容され、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材の外周面をプリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させ、この移動する際のクリーニング部材の弾性変形によりインク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次各色のインク吐出孔からインクをキャップ部材の内側に設けられたインク受部に予備吐出することができる。これにより、複数色それぞれのインク吐出孔内のインクの吸引と、その後、クリーニング部材が各色のインク吐出孔の列を通過した順に上記インク吐出孔から行なうインクの予備吐出とにより、各色のインク吐出孔を備えたインク吐出面を一つのクリーニング部材でクリーニングすることによる混色を避けることができる。したがって、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図ることができる。また、クリーニング部材をクラウン形状に形成したことにより、クリーニング部材が長手方向の中央部分で下方に撓んだ場合でも、クリーニング部材とインク吐出面とが非接触になるのを防止することができる。
【0116】
また、請求項2に係る画像形成装置によれば、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を閉じ、該キャップ部材が閉じる動作に伴って、キャップ部材の内部に収容され、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材の外周面をプリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させ、この移動する際のクリーニング部材の弾性変形によりインク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次各色のインク吐出孔からインクをキャップ部材の内側に設けられたインク受部に予備吐出することができる。これにより、複数色それぞれのインク吐出孔内のインクの吸引と、その後、クリーニング部材が各色のインク吐出孔の列を通過した順に上記インク吐出孔から行なうインクの予備吐出とにより、各色のインク吐出孔を備えたインク吐出面を一つのクリーニング部材でクリーニングすることによる混色を避けることができる。したがって、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図ることができる。また、クリーニング部材をクラウン形状に形成したことにより、クリーニング部材が長手方向の中央部分で下方に撓んだ場合でも、クリーニング部材とインク吐出面とが非接触になるのを防止することができる。
【0120】
さらに、請求項3に係る画像形成装置の制御方法によれば、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御によりキャップ開閉手段を駆動して一旦閉じられたキャップ部材を再度開閉し、該キャップ部材が開く動作に伴って、キャップ部材の内部に収容され、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材の外周面を複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過した順に上記インク吐出孔からインクをキャップ部材の内側に設けられたインク受部に予備吐出させるように制御することにより、複数色それぞれのインク吐出孔内のインクの吸引と、その後、クリーニング部材が各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次各色のインク吐出孔から行なうインクの予備吐出とにより、各色のインク吐出孔を備えたインク吐出面を一つのクリーニング部材でクリーニングすることによる混色を避けることができる。したがって、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図ることができる。また、クリーニング部材をクラウン形状に形成したことにより、クリーニング部材が長手方向の中央部分で下方に撓んだ場合でも、クリーニング部材とインク吐出面とが非接触になるのを防止することができる。
【0121】
そして、請求項4に係る画像形成装置の制御方法によれば、記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、駆動制御手段の制御によりキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を閉じ、該キャップ部材が閉じる動作に伴って、キャップ部材の内部に収容され、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材の外周面を複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次各色のインク吐出孔からインクをキャップ部材の内側に設けられたインク受部に予備吐出させるように制御することにより、複数色それぞれのインク吐出孔内のインクの吸引と、その後、クリーニング部材が各色のインク吐出孔の列を通過した順に上記インク吐出孔から行なうインクの予備吐出とにより、各色のインク吐出孔を備えたインク吐出面を一つのクリーニング部材でクリーニングすることによる混色を避けることができる。したがって、上記プリントヘッドのインク吐出面を傷つけず、かつインク吐出孔付近のクリーニング効果の向上を図る。また、クリーニング部材をクラウン形状に形成したことにより、クリーニング部材が長手方向の中央部分で下方に撓んだ場合でも、クリーニング部材とインク吐出面とが非接触になるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による画像形成装置、例えばインクジェットプリンタの実施の形態を示す斜視図である。
【図2】 図1に示すインクジェットヘッドの拡大横断面図である。
【図3】 図2に示すヘッドキャップ及びクリーニングローラ並びにインク受部の具体例を示す側面図である。
【図4】 上記ヘッドキャップ及びクリーニングローラ並びにインク受部の具体例を示す平面図である。
【図5】 図4のE−E線断面図である。
【図6】 上記クリーニングローラによるプリントヘッドのインク吐出面のクリーニング作用を説明するための拡大断面図である。
【図7】 ヘッドキャップがプリントヘッドに対し相対的に移動する際に行われるインク吐出孔からの予備吐出のタイミングを検出する手段を示す説明図である。
【図8】 クリーニングローラの他の実施形態を示す概略説明図である。
【図9】 上記画像形成装置の制御を行う制御装置部の構成及び動作を説明するためのブロック図である。
【図10】 本発明の画像形成装置の制御方法を示すフローチャートであり、主としてプリント動作の制御を示している。
【図11】 インクジェットヘッドのヘッドキャップ及びクリーニングローラによるクリーニング動作を示す説明図である。
【図12】 本発明の画像形成装置の他の制御方法を示すフローチャートであり、主としてプリント動作の制御を示している。
【図13】 図12のクリーニング動作において、プリント動作終了後の動作を示す説明図である。
【図14】 本発明による画像形成装置、例えばインクジェットプリンタの実施の形態を示す斜視図であり、インクジェットヘッドを装着した状態を示す図である。
【図15】 同じくインクジェットプリンタの実施の形態を示す斜視図であり、ヘッドキャップを開いた状態を示す図である。
【図16】 図1においてインクジェットヘッドをプリンタ本体の所定箇所に矢印H方向に挿入して収納した具体的な機構と動作を示す説明図である。
【図17】 インクジェットヘッドがヘッド着脱機構でプリンタ本体の所定箇所に固定されると共に、ヘッドキャップが移動可能となった具体的な機構と動作を示す説明図である。
【図18】 インクカートリッジの底面側に装着されたヘッドキャップが矢印A方向に移動して開いた状態の具体的な機構と動作を示す説明図である。
【図19】 上記ヘッドキャップが移動軌跡Pに従って矢印A方向に順次移動する状態の具体的な機構と動作を示す説明図である。
【図20】 ヘッドキャップが移動軌跡Pに従って矢印A方向に一杯に移動して退避位置に収まった状態の具体的な機構と動作を示す説明図である。
【図21】 インクジェットヘッドをトレイを介してプリンタ本体に装着する他の形式のインクジェットプリンタを示す概略説明図である。
【符号の説明】
1…インクジェットヘッド
2…プリンタ本体
3…インクカートリッジ
4…プリントヘッド
5…ヘッドキャップ
6…インク吐出面
7…クリーニングローラ
8…インク受部
8′…インク吸収部材
9…クリーニングローラのピン
10…保持部材
11…フローティングスプリング
13…インク吐出孔
14…インク室
15…インク
17…位置検出シート
18…光電スイッチ
19…ヘッド着脱機構
20…ヘッドキャップ開閉機構
40…制御装置部
41…制御部
42…メカ駆動部
43…ヘッド駆動部
52…予備吐出インク

Claims (4)

  1. 複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面を有するプリントヘッドを備え、上記インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置であって、
    弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材と、
    このクリーニング部材を内部に収容すると共に上記インク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を備え、上記プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材と、
    このキャップ部材の開閉を行い該キャップ部材が開く動作に伴って上記クリーニング部材の外周面を上記プリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を上記複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させるキャップ開閉手段と、
    このキャップ開閉手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
    上記インク吐出面のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段とを備え、
    上記記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、上記駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動して一旦閉じられたキャップ部材を再度開閉して、上記クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、上記吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔から上記キャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出させることを特徴とする画像形成装置。
  2. 複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面を有するプリントヘッドを備え、上記インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置であって、
    弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材と、
    このクリーニング部材を内部に収容すると共に上記インク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を備え、上記プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材と、
    このキャップ部材の開閉を行い該キャップ部材が閉じる動作に伴って上記クリーニング部材の外周面を上記プリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を上記複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させるキャップ開閉手段と、
    このキャップ開閉手段の駆動を制御する駆動制御手段と、
    上記インク吐出面のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段とを備え、
    上記記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、上記駆動制御手段の制御でキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を閉じ、上記クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、上記吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔から上記キャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出させることを特徴とする画像形成装置。
  3. 複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面を有するプリントヘッドと、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が 緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材と、このクリーニング部材を内部に収容すると共に上記インク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を内側に備え、上記プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材と、このキャップ部材の開閉を行うと共に該キャップ部材が開く動作に伴って上記クリーニング部材の外周面を上記プリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を上記複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させるキャップ開閉手段と、このキャップ開閉手段の駆動を制御する駆動制御手段と、上記インク吐出面のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段とを備え、上記インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置の制御方法であって、
    上記記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、上記駆動制御手段の制御によりキャップ開閉手段を駆動して一旦閉じられたキャップ部材を再度開閉して、上記クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、上記吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔から上記キャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出させるように制御することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
  4. 複数色それぞれのインク吐出孔の列が設けられたインク吐出面を有するプリントヘッドと、弾性を有する材料で円柱状に形成されると共に長手方向の両端部に比して中央部分が緩やかに太くなったクラウン形状に形成されたクリーニング部材と、このクリーニング部材を内部に収容すると共に上記インク吐出孔から予備吐出されたインクを受けるインク受部を内側に備え、上記プリントヘッドのインク吐出面を保護するキャップ部材と、このキャップ部材の開閉を行うと共に該キャップ部材が閉じる動作に伴って上記クリーニング部材の外周面を上記プリントヘッドのインク吐出面に接触させた状態で該両者を上記複数色それぞれのインク吐出孔の列に対して直交する方向に相対的に移動させるキャップ開閉手段と、このキャップ開閉手段の駆動を制御する駆動制御手段と、上記インク吐出面のインク吐出孔からのインクの吐出動作を制御する吐出制御手段とを備え、上記インク吐出孔からインクを吐出させて記録媒体上に画像形成を行う画像形成装置の制御方法であって、
    上記記録媒体に対する画像形成の動作終了時に、上記駆動制御手段の制御によりキャップ開閉手段を駆動してキャップ部材を閉じ、上記クリーニング部材の外周面をインク吐出面に接触させて移動させることにより上記インク吐出孔内のインクを吸引し、上記吐出制御手段の制御により上記クリーニング部材がインク吐出面上の各色のインク吐出孔の列を通過して各色のインク吐出孔のクリーニングを実施した直後に、順次上記各色のインク吐出孔から上記キャップ部材内のインク受部にインクを予備吐出させるように制御することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
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