JP4174888B2 - Anodized film - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はアルミニウム陽極酸化によるアルマイト皮膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のアルマイト皮膜の幾何学的形状については、「表面技術総覧」(昭和58年6月15日初版、(株)広信者発行)P.59〜P.63に示されている。上記文献および図3に示すように、従来のアルマイト皮膜100は、中央に細孔101を持つ複数のセル102が、その皮膜表面である外層102a側からアルミニウム素材表面にバリアー層を介して当接する内層102b側にかけて順次成長して皮膜形成されたものである。このセル102は、内層102b側から外層102a側にかけてほぼ同一径で形成されている。皮膜の硬度はセル径に依存するため、このように形成されたアルマイト皮膜はその皮膜形成方向にほぼ一定の硬度を持つものとなる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したようにアルマイト皮膜の硬度はセル径に依存するため、硬質アルマイトを形成する場合には図4に示すようにセル径が大きいものを、軟質アルマイトを形成する場合には図5に示すようにセル径が小さいものを形成する。アルマイト皮膜に耐摩耗性を要求する場合、一般的に硬質アルマイトを選択するが、硬質アルマイトではその硬質性のために相手部材との初期なじみに時間がかかる。また相手部材との初期なじみを速やかに行うためには軟質アルマイトを選択すればよいが、軟質アルマイトではその軟質性のために要求される耐摩耗性が実現できないという問題がある。
【0004】
故に、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、十分な耐摩耗性を実現するとともに、初期なじみが良好なアルマイト皮膜を提供することを技術的課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記技術的課題を解決するためになされた請求項1の発明は、アルミニウム素材の表面に形成され、内層から外層に向かうにつれて硬度が低く、セル径も小さくなっており、アルマイト皮膜の最内層でのセル径Aとアルマイト皮膜の最外層でのセル径Bとの比は、A/B=2〜5の範囲とすることである。
【0006】
上記発明によれば、アルマイト皮膜は、内層から外層に向かうにつれて硬度が低くなっているので、皮膜表面の外層側では硬度が低く、皮膜内部の内層側では硬度が高い。従って、このようなアルマイト皮膜が施されたものを相手部材と摺動させるとき、皮膜の外層側の硬度が低いことで相手部材との初期なじみが速やかに達成される。また皮膜の内層側の硬度が高いので初期なじみが達成された後の耐摩耗性にも優れる。このため十分な耐摩耗性を実現するとともに、初期なじみが良好なアルマイト皮膜を提供することができる。
また、上記発明によれば、アルマイト皮膜は、内層から外層に向かうにつれてセル径が小さくなっている。皮膜硬度はセル径に依存し、セル径が小さい程皮膜硬度が低くなるので、本発明によるアルマイト皮膜はその外層側(セル径が小さい側)の硬度が低く、その内層側(セル径が大きい側)の硬度が高くなる。従って、このようなアルマイト皮膜が施されたものを相手部材と摺動させるとき、皮膜の外層側の硬度が低いことで相手部材との初期なじみが速やかに達成される。また皮膜の内層側の硬度が高いので初期なじみが達成された後の耐摩耗性にも優れる。このため十分な耐摩耗性を実現するとともに、初期なじみが良好なアルマイト皮膜を提供することができる。
更に、前記アルマイト皮膜の最内層でのセル径Aと前記アルマイト皮膜の最外層でのセル径Bとの比は、A/B=2〜5の範囲とすることが好ましい。上記A/Bが2以下であると、アルマイト皮膜の外層側の硬度が高く、初期なじみが迅速に達成できない。上記A/Bが5以上であると、アルマイト皮膜の外層側の硬度が低すぎて耐摩耗性の低下の要因となる。従って、耐摩耗性が良好であり、かつ初期なじみを迅速に達成するためには、上記A/Bが2〜5の範囲であることが好ましい。
【0009】
尚、上記請求項1の発明において、内層とは、アルミニウム素材に形成するアルマイト皮膜のうちのアルミニウム素材の表面に近い側、すなわち皮膜の内部側の部分をいう。また、外層とは、アルミニウム素材に形成するアルマイト皮膜のうちの皮膜表面に近い側の部分をいう。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施の形態により具体的に説明する。
【0012】
図1は、本例において使用するアルマイト皮膜装置の概略図である。図において、アルマイト皮膜装置1は、電解液槽2と、アルマイト皮膜槽3と、電解液供給回路4とを主な構成とするものである。
【0013】
電解液槽2は、上部開口した箱体形状を呈しており、その内部に電解液21が充填されている。本例においては電解液として硫酸水溶液を使用する。従って、形成されるべきアルマイト皮膜は、Al、Al(SOおよびHOを主とした混合物質となる。また、電解液槽2内には熱交換器22が設置されている。この熱交換器22は、電解液21の温度を所定温度となるように調節している。
【0014】
アルマイト皮膜槽3は、ワーク設置槽31と、電解液噴出ノズル32と、整流器33とを有する。ワーク設置槽31は、アルマイト皮膜されるべきワークAを設置固定するものであり、ワークAに直接接触してワークAと同一極となるもので、導電性物質より形成されている。尚、本例においては、アルマイト皮膜されるべきワークAとして、シリンダ等の円筒形状のものを使用する。電解液噴出ノズル32は、ワークAの内部に挿入された位置に配設されている。このノズル32は、内部に電解液が供給されるべき空間を擁しているとともにその側表面に多数の細孔321が形成されており、導電性物質より形成されている。整流器33は、プラス端子33aおよびマイナス端子33bを備え、電線によりワーク設置槽31とプラス端子33aが、ノズル32とマイナス端子33bが接続されて両者と電気的に連結されている。
【0015】
電解液供給回路4は、電解液槽2とノズル32とを連結する配管41と、該配管41の途中に配設されたポンプ42および流量計43とを有する。
【0016】
上記構成のアルマイト皮膜装置1において、下記条件にて定電流電解(100A/dm)による陽極酸化皮膜処理であるアルマイト皮膜処理を行った。
【0017】
電解液中の硫酸濃度:150±50g/L
電解液温度:8℃
電解液噴射液量:4L/分
処理時間:11sec.
具体的には、図1に示すアルマイト皮膜装置1において、まずポンプ42を駆動させる。すると、電解液槽2中の電解液21がポンプ42の駆動により配管41内に流れ込む。配管41内に流れ込んだ電解液はポンプ42、流量計43を経てノズル32に導入される。ノズル32に導入された電解液は、ノズル32の側表面に形成された多数の細孔321から噴出する。これにより、ワークAの内壁面に電解液が吹き付けられる。このとき整流器33のプラス端子33aにはワーク設置槽31が、マイナス端子33bにはノズルがそれぞれ電線により電気的に接続され、プラス端子33aからマイナス端子33bにかけて100A/dmの定電流が流れるようにされている。従って、ワーク設置槽31およびこれに接触したワークAが陽極、ノズル32が陰極となり、陰極であるノズル32から陽極であるワークAに電解液が吹き付けられ、吹き付けられた電解液を介して陰極(ノズル32)と陽極(ワークA)とが電気的に接続されて電気分解反応が起こる。この電気分解反応により陽極であるワークAが陽極酸化され、ワークAにアルマイト皮膜が形成されるものである。
【0018】
上記アルマイト皮膜形成過程において、整流器33のプラス端子33aとマイナス端子33b間の電圧は初期が0Vであるのに対し、最終的には70Vとなった。従って、70V/11sec.=381V/分、即ち1分間に381Vの電圧変化を行ったことになる。
【0019】
上記条件により形成したアルマイト皮膜において、そのセル構造の概略図を図2に示す。図に示すように、本例で形成したアルマイト皮膜10は、その外層10a側のセル径が小さく(最外層のセル径で約60〜80nm)、その内層10b側のセル径が大きく(最内層のセル径で約200〜260nm)なっている。つまり、本例のアルマイト皮膜は、内層10bから外層10aに向かうにつれてセル径が小さくなっている。尚、膜厚は15μmであった。
【0020】
また、本例により形成したアルマイト皮膜10のビッカース硬度(10g)Hv10を測定した。測定結果を表1に示す。
【0021】
【表1】

Figure 0004174888
【0022】
上記表1よりわかるように、本例により形成したアルマイト皮膜10は、その外層10a側の硬度が比較的低く、内層10b側の硬度が比較的高い。つまり、本例のアルマイト皮膜10は、内層10bから外層10aに向かうにつれて硬度が低くなっているものであることがわかる。従って、本例のアルマイト皮膜10が施されたものを相手部材と摺動させるとき、皮膜10の外層10a側の硬度が低いことで相手部材との初期なじみが速やかに達成される。
【0023】
また、本例により形成したアルマイト皮膜10と従来技術でのアルマイト皮膜(Hv10=380、膜厚15μmのものを使用)とで、摩擦係数および耐摩耗性試験結果(摩耗量)を比較したものを表2に示す。
【0024】
【表2】
Figure 0004174888
【0025】
上記表よりわかるように、本例のアルマイト皮膜は従来のアルマイト皮膜よりも摩擦係数が小さく、また、従来のアルマイト皮膜よりも耐摩耗性試験結果である摩耗量が少ない。このことから本例のアルマイト皮膜は耐摩耗性に優れていることがわかる。
【0026】
以上のように、本例のアルマイト皮膜10は、内層10bから外層10aに向かうにつれて硬度が低くなっているので、皮膜10の外層10a側の硬度が低く、皮膜10の内層10b側の硬度が高い。従って、本例のアルマイト皮膜10が施されたものを相手部材と摺動させるとき、皮膜10の外層10a側の硬度が低いことで相手部材との初期なじみが速やかに達成される。また皮膜10の内層10b側の硬度が高いので初期なじみが達成された後の耐摩耗性にも優れる。このため十分な耐摩耗性を実現するとともに、初期なじみが良好なアルマイト皮膜を提供することができる。
【0027】
また、本例のアルマイト皮膜10は、内層10bから外層10aに向かうにつれてセル径が小さくなっている。皮膜硬度はセル径に依存し、セル径が小さい程皮膜硬度が低くなるので、本例によるアルマイト皮膜10はその外層10a側(セル径が小さい側)の硬度が低く、その内層10b側(セル径が大きい側)の硬度が高くなる。従って、このようなアルマイト皮膜が施されたものを相手部材と摺動させるとき、皮膜10の外層10a側の硬度が低いことで相手部材との初期なじみが速やかに達成される。また皮膜10の内層10b側の硬度が高いので初期なじみが達成された後の耐摩耗性にも優れる。このため十分な耐摩耗性を実現するとともに、初期なじみが良好なアルマイト皮膜を提供することができる。
【0028】
また、本例のアルマイト皮膜10の最内層でのセル径Aは200〜260nm、最外層でのセル径Bは60〜80nmであり、A/B=2.5〜4.3である。A/Bの範囲は2〜5が好ましいと考えられる。A/Bが2以下であると、アルマイト皮膜の外層側の硬度が高く、初期なじみが迅速に達成できない。A/Bが5以上であると、アルマイト皮膜の外層側の硬度が低すぎて耐摩耗性の低下の要因となる。
【0029】
また、本例におけるアルミニウム素材を陽極として陽極酸化皮膜処理を行うアルマイト皮膜方法は、陽極としてのワークAと陰極としてのノズル32の間に印加する電圧を徐々に増加させる方法をとっている。電圧が小さい場合は皮膜のセル径が小さく、電圧が大きい場合は皮膜のセル径が大きくなるので、皮膜形成初期の印加電圧が小さいときに皮膜外層を形成して皮膜外層のセル径を小さくし、皮膜形成終期の印加電圧が大きいときに皮膜内層を形成して皮膜内層のセル径を大きくすることで、内層から外層に向かうにつれてセル径が小さくなっているアルマイト皮膜を形成することができる。尚、本例ではこの電圧の変化を381V/分で行った例を示したが、この電圧変化は100V/分〜500V/分であれば、良好な耐摩耗性および迅速な初期なじみを達成できるアルマイト皮膜が形成されるものと考えられる。
【0030】
また、本例におけるアルマイト皮膜方法は、陰極としてのノズル32から陽極としてのワークAに電解液を吹き付けつつ陽極から陰極へ電流を流す方式を採用している。定電流方式によるアルマイト皮膜形成では、生成されたアルマイト皮膜自身が抵抗となるので、電圧は皮膜生成に伴って徐々に増加する。しかし、良好な耐摩耗性および迅速な初期なじみを達成できるアルマイト皮膜を形成するための電圧変化、例えば100v/分〜500v/分の電圧変化を実現するためには大電流(例えば本例のように100A/dm)を流して皮膜形成を高速化す必要がある。ところが、電解液中に陽極および陰極を浸漬し、両極に電圧を印加して陽極にアルマイト皮膜を施す通常の方法であると、大電流を流すことによる多量のジュール熱の発生で、生成したアルマイト皮膜が溶解してしまうという問題があるので、この方式(浸漬方式)では小電流を流さざるを得ず、その結果アルマイト皮膜の内層側のセル径と外層側のセル径で有意な差をつけることができない。これに対し、本例のように陰極としてのノズル32から陽極としてのワークAに電解液を吹き付けつつ陽極から陰極へ電流を流す方式を採用すれば、電解液の攪拌による冷却効果が得られ、アルマイト皮膜の溶解を防止することができる。このため本例の方式では大電流を流すことができ、アルマイト皮膜の内層側のセル径と外層側のセル径で有意な差をつけることができる。その結果、内層から外層に向かうにつれてセル径が小さくなっているアルマイト皮膜を形成することができる。すなわち、本例の方式は、良好な耐摩耗性および迅速な初期なじみを達成できるアルマイト皮膜を形成するための好適な方法である。
【0031】
【発明の効果】
本発明によれば、十分な耐摩耗性を実現するとともに、初期なじみが良好なアルマイト皮膜を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における、アルマイト皮膜装置の概略図である。
【図2】本発明の実施の形態における、アルマイト皮膜の模式図である。
【図3】従来技術における、アルマイト皮膜の模式図である。
【図4】従来技術における、硬質アルマイト皮膜の模式図である。
【図5】従来技術における、軟質アルマイト皮膜の模式図である。
【符号の説明】
1・・・アルマイト皮膜装置
2・・・電解槽
21・・・電解液、 22・・・熱交換器
3・・・アルマイト皮膜槽
31・・・ワーク設置槽、 32・・・電解液噴出ノズル(陰極)、 33・・・整流器、 33a・・・プラス端子、 33b・・・マイナス端子
321・・・細孔
4・・・電解液供給回路
41・・・配管、 42・・・ポンプ、 43・・・流量計
10・・・アルマイト皮膜、 10a・・・外層、 10b・・・内層
11・・・アルミニウム素材[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an alumite film formed by aluminum anodization.
[0002]
[Prior art]
The geometrical shape of the conventional anodized film is shown in "Surface Technology Overview" (first edition on June 15, 1983, published by Hiroshina Co., Ltd.) P.59-P.63. As shown in the above document and FIG. 3, in the conventional alumite film 100, a plurality of cells 102 having pores 101 in the center come into contact with the aluminum material surface from the outer layer 102a side, which is the film surface, via a barrier layer. A film is formed by sequentially growing toward the inner layer 102b side. The cells 102 are formed with substantially the same diameter from the inner layer 102b side to the outer layer 102a side. Since the hardness of the film depends on the cell diameter, the alumite film formed in this way has a substantially constant hardness in the film forming direction.
[0003]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, since the hardness of the anodized film depends on the cell diameter, when forming hard anodized, as shown in FIG. 4, when the soft anodized is formed, as shown in FIG. A cell having a small cell diameter is formed. When a wear resistance is required for the alumite film, a hard alumite is generally selected. However, the hard alumite takes time for initial familiarization with the mating member due to its hardness. In addition, in order to quickly perform initial familiarity with the mating member, soft anodized may be selected. However, soft anodized has a problem that the wear resistance required for its softness cannot be realized.
[0004]
Therefore, the present invention has been made in view of the above circumstances, and an object of the present invention is to provide an alumite film that realizes sufficient wear resistance and good initial familiarity.
[0005]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above technical problem, the invention of claim 1 is formed on the surface of an aluminum material, and the hardness decreases as the distance from the inner layer toward the outer layer decreases, and the cell diameter decreases. The ratio of the cell diameter A to the cell diameter B in the outermost layer of the alumite film is A / B = 2-5.
[0006]
According to the invention, the hardness of the anodized film decreases from the inner layer toward the outer layer, so that the hardness is low on the outer layer side of the film surface and high on the inner layer side inside the film. Therefore, when a member on which such an alumite film is applied is slid with the mating member, the initial familiarity with the mating member is quickly achieved due to the low hardness of the outer layer side of the film. Moreover, since the hardness of the inner layer side of the film is high, the wear resistance after the initial conformation is achieved is also excellent. Therefore, it is possible to provide an alumite film that achieves sufficient wear resistance and has good initial conformability.
Moreover, according to the said invention, the cell diameter of the alumite film | membrane becomes small as it goes to an outer layer from an inner layer. The film hardness depends on the cell diameter, and the smaller the cell diameter, the lower the film hardness. Therefore, the alumite film according to the present invention has a low hardness on the outer layer side (small cell diameter side) and its inner layer side (large cell diameter). Side) hardness increases. Therefore, when a member on which such an alumite film is applied is slid with the mating member, the initial familiarity with the mating member is quickly achieved due to the low hardness of the outer layer side of the film. Moreover, since the hardness of the inner layer side of the film is high, the wear resistance after the initial conformation is achieved is also excellent. Therefore, it is possible to provide an alumite film that achieves sufficient wear resistance and has good initial conformability.
Furthermore, the ratio of the cell diameter A in the innermost layer of the anodized film to the cell diameter B in the outermost layer of the anodized film is preferably in the range of A / B = 2-5. When the A / B is 2 or less, the hardness of the outer layer side of the alumite film is high, and the initial familiarity cannot be achieved quickly. When the A / B is 5 or more, the hardness of the outer layer side of the alumite film is too low, which causes a decrease in wear resistance. Therefore, in order to achieve good wear resistance and quickly achieve initial familiarity, the A / B is preferably in the range of 2 to 5.
[0009]
Incidentally, in the invention of the first aspect, the inner layer, referred side closer to the surface of the aluminum material of the anodized aluminum film to be formed on an aluminum material, i.e. the inner side portions of the film. Moreover, an outer layer means the part of the side close | similar to the film | membrane surface among the alumite films | membranes formed in an aluminum raw material.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be specifically described with reference to embodiments.
[0012]
FIG. 1 is a schematic view of an alumite coating apparatus used in this example. In the figure, an alumite coating apparatus 1 is mainly composed of an electrolytic solution tank 2, an anodized coating tank 3, and an electrolytic solution supply circuit 4.
[0013]
The electrolytic solution tank 2 has a box shape with an upper opening, and an electrolytic solution 21 is filled therein. In this example, an aqueous sulfuric acid solution is used as the electrolytic solution. Therefore, the alumite film to be formed is a mixed material mainly composed of Al 2 O 3 , Al 2 (SO 4 ) 3 and H 2 O. A heat exchanger 22 is installed in the electrolytic solution tank 2. The heat exchanger 22 adjusts the temperature of the electrolytic solution 21 to be a predetermined temperature.
[0014]
The alumite coating tank 3 includes a work installation tank 31, an electrolyte solution ejection nozzle 32, and a rectifier 33. The work installation tank 31 is used to install and fix the work A to be anodized, and is in direct contact with the work A so as to have the same polarity as the work A, and is made of a conductive material. In this example, a cylindrical shape such as a cylinder is used as the workpiece A to be anodized. The electrolyte solution ejection nozzle 32 is disposed at a position inserted into the workpiece A. The nozzle 32 has a space in which an electrolytic solution is to be supplied, and has a large number of pores 321 formed on the side surface thereof, and is formed of a conductive material. The rectifier 33 includes a plus terminal 33a and a minus terminal 33b, and the work installation tank 31 and the plus terminal 33a are electrically connected to each other by connecting the nozzle 32 and the minus terminal 33b by electric wires.
[0015]
The electrolyte supply circuit 4 includes a pipe 41 that connects the electrolyte tank 2 and the nozzle 32, and a pump 42 and a flow meter 43 that are disposed in the middle of the pipe 41.
[0016]
In the alumite film apparatus 1 having the above-described configuration, an alumite film treatment that is an anodized film treatment by constant current electrolysis (100 A / dm 2 ) was performed under the following conditions.
[0017]
Sulfuric acid concentration in the electrolyte: 150 ± 50 g / L
Electrolyte temperature: 8 ° C
Electrolyte injection amount: 4 L / min Processing time: 11 sec.
Specifically, in the alumite film apparatus 1 shown in FIG. 1, the pump 42 is first driven. Then, the electrolytic solution 21 in the electrolytic solution tank 2 flows into the pipe 41 by driving the pump 42. The electrolyte flowing into the pipe 41 is introduced into the nozzle 32 through the pump 42 and the flow meter 43. The electrolyte introduced into the nozzle 32 is ejected from a large number of pores 321 formed on the side surface of the nozzle 32. As a result, the electrolytic solution is sprayed on the inner wall surface of the workpiece A. At this time, the workpiece installation tank 31 is electrically connected to the plus terminal 33a of the rectifier 33, and the nozzle is electrically connected to the minus terminal 33b by electric wires, so that a constant current of 100 A / dm 2 flows from the plus terminal 33a to the minus terminal 33b. Has been. Therefore, the workpiece installation tank 31 and the workpiece A in contact with the workpiece A serve as an anode, the nozzle 32 serves as a cathode, an electrolyte is sprayed from the nozzle 32 serving as a cathode to the workpiece A serving as an anode, and the cathode ( The nozzle 32) and the anode (work A) are electrically connected to cause an electrolysis reaction. By this electrolysis reaction, the workpiece A which is an anode is anodized, and an alumite film is formed on the workpiece A.
[0018]
In the alumite film forming process, the voltage between the positive terminal 33a and the negative terminal 33b of the rectifier 33 was initially 0V, but finally 70V. Therefore, 70V / 11 sec. = 381 V / min, that is, a voltage change of 381 V was performed per minute.
[0019]
FIG. 2 shows a schematic diagram of the cell structure of the alumite film formed under the above conditions. As shown in the figure, the alumite film 10 formed in this example has a small cell diameter on the outer layer 10a side (the cell diameter of the outermost layer is about 60 to 80 nm) and a large cell diameter on the inner layer 10b side (the innermost layer). The cell diameter is about 200 to 260 nm. That is, the cell diameter of the alumite film of this example becomes smaller as it goes from the inner layer 10b to the outer layer 10a. The film thickness was 15 μm.
[0020]
Further, the Vickers hardness (10 g) Hv10 of the alumite film 10 formed in this example was measured. The measurement results are shown in Table 1.
[0021]
[Table 1]
Figure 0004174888
[0022]
As can be seen from Table 1 above, the alumite film 10 formed in this example has a relatively low hardness on the outer layer 10a side and a relatively high hardness on the inner layer 10b side. That is, it can be seen that the alumite film 10 of this example has a hardness that decreases from the inner layer 10b toward the outer layer 10a. Therefore, when the member on which the alumite film 10 of this example is applied is slid with the mating member, the initial familiarity with the mating member is quickly achieved due to the low hardness of the coating 10 on the outer layer 10a side.
[0023]
Also, the coefficient of friction and wear resistance test results (amount of wear) were compared between the anodized film 10 formed according to this example and the conventional anodized film (H v10 = 380, using a film thickness of 15 μm). Is shown in Table 2.
[0024]
[Table 2]
Figure 0004174888
[0025]
As can be seen from the above table, the anodized film of this example has a smaller coefficient of friction than the conventional anodized film, and the wear amount as a result of the abrasion resistance test is smaller than that of the conventional anodized film. This shows that the alumite film of this example is excellent in abrasion resistance.
[0026]
As described above, the hardness of the alumite film 10 of this example decreases from the inner layer 10b toward the outer layer 10a. Therefore, the hardness of the outer layer 10a side of the film 10 is low, and the hardness of the inner layer 10b side of the film 10 is high. . Therefore, when the member on which the alumite film 10 of this example is applied is slid with the mating member, the initial familiarity with the mating member is quickly achieved due to the low hardness of the coating 10 on the outer layer 10a side. Further, since the hardness of the inner layer 10b side of the coating 10 is high, the wear resistance after the initial familiarization is achieved is also excellent. Therefore, it is possible to provide an alumite film that achieves sufficient wear resistance and has good initial conformability.
[0027]
Moreover, the cell diameter of the anodized film 10 of this example becomes small as it goes to the outer layer 10a from the inner layer 10b. The film hardness depends on the cell diameter, and the smaller the cell diameter, the lower the film hardness. Therefore, the alumite film 10 according to this example has a low hardness on the outer layer 10a side (small cell diameter side) and its inner layer 10b side (cell The hardness of the larger diameter side is increased. Therefore, when the object having such an alumite film is slid with the mating member, the initial familiarity with the mating member is quickly achieved due to the low hardness of the film 10 on the outer layer 10a side. Further, since the hardness of the inner layer 10b side of the coating 10 is high, the wear resistance after the initial familiarization is achieved is also excellent. Therefore, it is possible to provide an alumite film that achieves sufficient wear resistance and has good initial conformability.
[0028]
Moreover, the cell diameter A in the innermost layer of the alumite film 10 of this example is 200 to 260 nm, the cell diameter B in the outermost layer is 60 to 80 nm, and A / B = 2.5 to 4.3. It is considered that the range of A / B is preferably 2 to 5. When A / B is 2 or less, the hardness of the outer layer side of the alumite film is high, and initial conformability cannot be achieved quickly. If A / B is 5 or more, the hardness of the outer layer side of the alumite film is too low, which causes a decrease in wear resistance.
[0029]
In addition, the anodized film method in which the anodized film treatment is performed using the aluminum material as the anode in this example employs a method of gradually increasing the voltage applied between the workpiece A as the anode and the nozzle 32 as the cathode. When the voltage is small, the cell diameter of the film is small, and when the voltage is large, the cell diameter of the film is large. Therefore, when the applied voltage at the initial stage of film formation is small, an outer film layer is formed to reduce the cell diameter of the outer film layer. When the applied voltage at the end of film formation is large, the inner layer of the film is formed to increase the cell diameter of the inner layer of the film, whereby an alumite film having a cell diameter that decreases from the inner layer toward the outer layer can be formed. In this example, the voltage change was performed at 381 V / min. However, if the voltage change is 100 V / min to 500 V / min, good wear resistance and quick initial familiarization can be achieved. It is thought that an alumite film is formed.
[0030]
Further, the alumite coating method in this example employs a system in which an electric current is passed from the anode to the cathode while spraying the electrolyte from the nozzle 32 as the cathode to the workpiece A as the anode. In the formation of the alumite film by the constant current method, the generated alumite film itself becomes a resistance, so that the voltage gradually increases as the film is generated. However, in order to realize a voltage change for forming an alumite film capable of achieving good wear resistance and quick initial conformation, for example, a voltage change of 100 v / min to 500 v / min, a large current (for example, as in this example) It is necessary to increase the film formation speed by flowing 100 A / dm 2 ). However, in the usual method of immersing the anode and cathode in the electrolyte and applying a voltage to both electrodes to apply an alumite film to the anode, a large amount of Joule heat is generated by passing a large current. Since there is a problem that the film dissolves, this method (dipping method) has to pass a small current, and as a result, there is a significant difference between the cell diameter on the inner layer side and the cell diameter on the outer layer side of the anodized film. I can't. On the other hand, if a method of flowing an electric current from the anode to the cathode while spraying the electrolytic solution from the nozzle 32 as the cathode to the workpiece A as the anode as in this example, a cooling effect by stirring the electrolytic solution is obtained, Dissolution of the alumite film can be prevented. For this reason, in the method of this example, a large current can flow, and a significant difference can be made between the cell diameter on the inner layer side and the cell diameter on the outer layer side of the anodized film. As a result, an alumite film having a cell diameter that decreases from the inner layer toward the outer layer can be formed. That is, the method of this example is a suitable method for forming an alumite film that can achieve good wear resistance and quick initial conformance.
[0031]
【The invention's effect】
According to the present invention, it is possible to provide an alumite film that achieves sufficient wear resistance and good initial conformability.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view of an alumite coating apparatus in an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a schematic view of an alumite film in the embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a schematic view of an alumite film in the prior art.
FIG. 4 is a schematic view of a hard anodized film in the prior art.
FIG. 5 is a schematic view of a soft anodized film in the prior art.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF SYMBOLS 1 ... Anodized film apparatus 2 ... Electrolytic tank 21 ... Electrolytic solution 22 ... Heat exchanger 3 ... Anodized film tank 31 ... Work installation tank, 32 ... Electrolyte ejection nozzle (Cathode), 33 ... rectifier, 33a ... plus terminal, 33b ... minus terminal 321 ... pore 4 ... electrolyte supply circuit 41 ... piping, 42 ... pump, 43 ... Flow meter 10 ... Alumite coating 10a ... Outer layer 10b ... Inner layer 11 ... Aluminum material

Claims (1)

アルミニウム素材の表面に形成され、内層から外層に向かうにつれて硬度が低く、セル径も小さくなっており、
前記アルマイト皮膜の最内層でのセル径Aと前記アルマイト皮膜の最外層でのセル径Bとの比は、A/B=2〜5の範囲であることを特徴とするアルマイト皮膜。
Formed on the surface of the aluminum material, the hardness is low and the cell diameter is small as it goes from the inner layer to the outer layer ,
The ratio of the cell diameter A in the innermost layer of the alumite film and the cell diameter B in the outermost layer of the alumite film is in the range of A / B = 2-5 .
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