JP4173991B6 - 骨充填材料を混合する装置 - Google Patents
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Description
【0001】
(関連出願)
本願は、2001年10月25日に出願された米国仮特許出願第60/243,195号から優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、特に、医療分野で使用するために、材料を共に混合してその材料を他の器具に移動するシステムおよび方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
例えば、骨充填材料として使用するために、医療分野で、複数の材料(粉末材料を含むポリ(メタクリル酸メチル)骨セメント)を液状モノマーと共に混合する現在の方法および装置は、しばしば、十分に満足のいく結果をもたらさない。
【0004】
典型的には、手術を行う状況では、この目的に使用する器具は、これらの成分を受容する小さいボウル、およびボウル内の成分を混合するスティック(例えば、共通舌圧子)である。粉末材料が使用される場合、通常、その容器からボウルに直接注がれる。結果的に、この方法は、しばしば、粉末材料がこぼれるので、乱雑となる。これらの成分の1種が液状モノマーである場合、この方法には、液状モノマーによる有害なヒュームの放出が関与し得る。
【0005】
骨充填材料の場合と同様に、これらの成分を混合した後、さらに別の問題に遭遇する。この骨充填材料を骨の空洞に分配するとき、一般的な方法には、まず、その材料を注射器に移動し、次いで、この材料を、空洞に送達する器具に移動することがある。この注射器は、その注射器本体を通って完全に係合したプランジャーを引き出すことによって材料を真空吸引することにより、または注射器プランジャーを取り出して注射器の後部に材料を注ぎプランジャーを再挿入することにより、いずれかにより、装填される。これは、困難で面倒な手順である。それゆえ、これらのヒュームを含有させつつ材料を混合しそれらの内容物を他の器具に簡単かつ清浄に移動または分配する方法を提供することが必要とされている。
【0006】
(発明の要旨)
医療品の様々な製造業者は、ポリ(メタクリル酸メチル)骨セメントを混合および/または分配する種々のシステムを開発し、製造し、そして供給しようと試みているものの(DePuy−PCT公報第WO97/21485号を参照;Immedica−PCT公報第WO99/37256を参照;およびStryker−米国特許第6,042,262号を参照)、このようなシステムは、しばしば、高価であり、複雑すぎ、高価および/または外部動力の付属品を必要とするか、または少量の骨充填材料を混合できない。これらの問題および他の問題があるために、特に、医療分野において、材料を混合し移動する改良されたシステムおよび方法が必要とされている。
【0007】
本発明の他の局面は、携帯型システムおよびそのシステムを使用する関連方法を提供し、これらは、正確には、混合前にその成分を測定し、混合中にその成分を含有し、その骨充填材料を混合または攪拌し、この混合物を他の器具に都合良くかつ清浄に移動または分配する。この携帯型システムは、材料を混合し移動する簡単で迅速で費用効率の高い方法を提供する。
【0008】
本発明の他の局面は、携帯型システムおよびそのシステムを使用する関連方法を提供し、これらは、混合中にその成分を十分に含有し、(望ましくは、混合中に放出された有毒なヒュームのこぼれをなくす)。
【0009】
本発明の1局面は、未混合状態で成分(例えば、骨充填材料)を受容するレセプタクルを含むアセンブリを提供する。該アセンブリはまた、混合要素を含み、該混合要素は、該成分を混合するために、該レセプタクルに挿入可能である。該アセンブリは、さらに、該混合要素用のアクチュエータを含み、該アクチュエータは、駆動部材および被駆動部材を含み、該被駆動部材は、該駆動部材と連結されている。該アクチュエータは、該混合要素と取り外し可能に連結されている。十分に混合した後、該混合要素は、取り外すことができるか、および/または該混合物を移動または分配するために、該レセプタクルには、プランジャーが挿入される。
【0010】
1実施形態では、前記混合要素は、パドルを含み、該パドルは、回転に応答して前記成分を混合する。該パドルは、成分の混合を促進する構造体(例えば、複数のアパーチャ)を含むことができる。この配置では、前記アクチュエータは、パドルを回転する駆動部材を含む。該アクチュエータは、ドライブトレイン(例えば、遊星歯車列)を含むことができ、これは、駆動部材を被駆動部材に連結する。望ましくは、該駆動部材は、手動操作可能であり、外部動力源を必要としない。
【0011】
1実施形態では、前記レセプタクルは、分配バルブを含む。該分配バルブは、混合工程中には閉じられ、移動または分配工程を実行するとき、手で操作して開放または閉鎖される。
【0012】
(実施形態の詳細な説明)
これらの実施形態は、骨充填材料を混合することに関連して、本発明の特徴を具体化するシステムおよび方法を記載している。しかしながら、そのように記載したシステムおよび方法は、その応用において、骨充填材料の混合には限定されない。これらのシステムおよび方法は、多様な用途(医療分野の内外)で使用するように適用できる。
【0013】
本明細書中で記載した発明の種々の構成部品は、非鉄材料および/または非金属材料から構成でき、このことにより、種々の実施形態は、磁気環境および/または全室MRI環境で使用可能になることもまた、理解できるはずである。
I.構成部品
図1Aは、構成部品を示し、これには、キット200として配列され、材料混合移動システムを形成するために、互いに共同して使用可能である。これらの構成部品の数および構造は、変えることができる。図1Aでは、キット200は、レセプタクル12(これは、混合する材料を受容し、混合後、それらの材料をスタンド14(これは、レセプタクル12を受容する)に移動または分配する);混合要素16(これは、これらの材料を混合するために、レセプタクル12に挿入できる);アクチュエータ18(これは、混合要素16を駆動する);プランジャー20(これは、混合した材料をレセプタクル12から押し出すために、レセプタクル12に挿入できる);分配要素22(これは、レセプタクル12から押し出された混合材料を分配する);および測定装置24(これは、混合するためにレセプタクル12に設置された材料を測定する)を含む。
【0014】
望ましくは、部品12、14、16、18、20、22および24は、実質的に剛性の金属材料、プラスチック材料またはセラミック材料を含む。1実施形態では、12、14、16、20、22および24は、ポリプロピレンを含み、そして部品18は、Acetalホモポリマー(DuPont Corporation製のDELRIN(登録商標)材料)または透明または着色ナイロンを含む。これらの部品材料は、望ましくは、骨充填材料との接触による影響を受けないか、および/またはγ線で滅菌可能である。もちろん、種々の他の代替材料が使用でき、これには、限定期間中に著しく劣化することなくモノマーとの接触に耐えることができる材料が挙げられる。
【0015】
A.レセプタクル
図2Aで示すように、レセプタクル12は、近位末端30および遠位末端32を有する。レセプタクル12は、さらに、内部ボア37を有し、これは、望ましくは、近位末端30から遠位末端32へと伸長している。遠位末端32は、遠位先端34を備え、そこを通って、材料(例えば、骨充填材料)を分配し得る。
【0016】
レセプタクル12は、異なる使用段階で混合要素16およびプランジャー20を別々に収容するサイズである。遠位先端34の内面は、後にさらに詳細に記載するように、使用中に混合要素16の遠位先端62を支持するサイズである。近位末端30は、レセプタクル12の外面33に一組のタブ36を備え、このレセプタクルをアクチュエータ18と連結し、これは、順に、混合要素16の近位末端56に解除可能に連結する。プランジャー20をレセプタクル12に挿入したとき、タブ36により、また、後に詳細に記載するように、混合後に材料を分配するために、医師は、レセプタクル12およびプランジャー20を握って操作できるようになる。
【0017】
1実施形態では、レセプタクル12は、約70立方センチメートル(70cc)の容量を有する。もちろん、他のサイズのレセプタクル12は、混合要素16および他の付随した部品のサイズ、および混合する充填材料の望ましい量に依存して、使用できる。他の代表的なサイズには、5cc、10ccおよび20ccの注射器を挙げることができる。レセプタクル12の外面33は、望ましくは、目盛り39を含み、これは、レセプタクル12の内部の容量を示す。好ましくは、目盛り39は、レセプタクル12の遠位先端34の近くから開始する。レセプタクル12は、望ましくは、混合中および移動中にて、レセプタクル12に設置したときに混合する材料を見ることができるように、透明なポリプロピレンから作製される。
【0018】
代替実施形態では、図2Bで示すように、レセプタクル12は、遠位末端32にて、レセプタクル基部35を含む。レセプタクル基部35は、一般に、半球状の形状であり、レセプタクル12の内部ボア37を支持する。レセプタクル12の内部ボア37内では、レセプタクル基部35にて、中心ネック(図示せず)が位置しており、これは、先の実施形態に関連して先に記載したように、混合要素16の遠位先端62を受容し確実に保持するサイズである。レセプタクル基部35は、望ましくは、内部ボア37を安定にし上昇させて、混合した材料を簡単に分配または移動させる。レセプタクル基部35は、レセプタクル12ができるだけ倒れないように、しっかりした基盤を与えるサイズである。レセプタクル12は、混合した骨充填材料を分配する出口34Bを有する。
【0019】
もし望ましいなら、レセプタクル12は、レセプタクル12中のヒュームを排除するかおよび/または材料を脱気するために、標準的な手術室の真空ホース用の真空付属品31(図2Bを参照)を組み込み得る。この真空ホースは、さらに、レセプタクル基部35にあるインデント31Aにより、固定され得る。もし、さらに望ましいなら、レセプタクル12は、骨充填材料装置送達銃用のカートリッジを形成し得る。
【0020】
B.スタンド
図1Aで示したシステムでは、スタンド14(図3を参照)は、混合中にて、レセプタクル12を支持する。スタンド14は、上面40および下面42を有する。上面40は、中心ネック44を有し、これは、レセプタクル12の遠位末端32を受容して確実に保持するサイズである。ネック44内の中心には、小チャンバ46があり、これは、レセプタクル12の遠位先端34を受容するサイズである。スタンド14の下面42は、平坦面を有し、これにより、スタンド14は、処置テーブルのような表面で、平らに置くことができる。
【0021】
レセプタクル基部35がレセプタクル12に直接組み込まれるような図1Bで示すシステムには、別個のスタンド14は、絶対に必要な訳ではない。
【0022】
C.混合要素
混合要素16は、様々な構成にでき、図7、8および9は、代表的な異なる構成を示している。使用中にて、混合要素16は、レセプタクル12内で回転して、このレセプタクル内に含有された材料を混合する。
【0023】
記載した種々の構成では、混合要素16は、上面50および下面52を有する。これらの実施形態では、上面および下面50および52は、外向きに伸長している中心リブ51を有し得、これは、混合要素16の完全性を維持するための補強材として作用する。混合要素16はまた、1個以上の横断リブ53を含み得る。
【0024】
混合要素16は、近位末端56および遠位末端57を有する。遠位末端57は、望ましくは、平坦先端62を備え、これは、レセプタクル12の遠位先端34に嵌るように適合される。混合要素16の遠位先端62は、望ましくは、レセプタクル12の遠位先端34に位置している成分を混合する。遠位先端62はまた、望ましくは、レセプタクル12の遠位先端34内のベアリング面として作用して、レセプタクル12内での混合要素16の側面運動を束縛するだけでなく、それが回転するにつれて、混合要素16をレセプタクル12内の中心に保つ。遠位先端62はまた、混合要素16がアクチュエータ18との確実な係合を維持するように作用する。
【0025】
もし望ましいなら、近位末端56は、アクチュエータ18に装着するのに適当な種々の形状であり得るものの、近位末端56は、中実円筒形先端58を備えることができる。先端58は、後にさらに詳細に記載するように、アクチュエータ18に連結するように適合される。先端58は、横材60を有し、これは、図7、8および9で示すように、アクチュエータ18から混合要素16への回転力の伝達を容易にする。横材60はまた、所定位置でスナップ留めすることにより、混合要素16をアクチュエータ18のキー溝89としっかりと係合するように作用する。先端58はまた、強度および安定性をさらに与えるために、図9で示すように、リッジ59を含み得る。
【0026】
混合要素16はまた、図7〜9で示すように、1個以上のアパーチャ61、63、65、67、68および69を有する。アパーチャ61、63、65、67、68および69は、選択した成分(例えば、粉末化材料および液状モノマー)を共に混合するのを助けるように機能する。アパーチャ61、63、65、67、68および69は、望ましくは、その混合物の一部が混合要素16を通って流れるのに十分に大きく、それにより、混合要素16は、抵抗を最小にして、レセプタクル12内で回転できるようになり、また、選択した混合材料の混合を最大にできる。もし、アパーチャ61、63、65、67、68および69のサイズを大きくするなら、回転に対する抵抗が少なくなる。しかしながら、それに伴って、十分な混合を保証するために、この混合物中では、混合要素16をさらに回転する必要がある。アパーチャが大きいと、その混合プロセスが容易になるのに対して、アパーチャが小さいと、混合要素16に「乗り上がる(riding up)」成分が生じ得る。このような場合、その混合は、これらの成分を混合物に後退させるために、瞬間的に停止しなければならない。
【0027】
望ましくは、混合要素16は、レセプタクル12の内部を実質的に横切って伸長するサイズである。このような配置により、混合要素16の回転が粉末化成分および液状成分をレセプタクルの内壁から「擦り落とす」ことができるので、その粉末成分および液状成分を混合し易くでき、これらの成分の均一な混合を保証する。レセプタクル12および混合要素16の側壁間の現実の物理的な接触は、絶対的に必要な訳ではないものの、少なくとも1実施形態では、混合要素16とレセプタクル12の側壁とは、非常に近接している。
【0028】
図8で示した実施形態では、混合要素16は、望ましくは、一連の均一に間隔を置いた小アパーチャ65(これらは、混合要素16の近位末端56の近くから始まる)に続いて、少なくとも2個の大アパーチャ69(これらは、混合要素16の遠位末端57の方へと伸長している)、および少なくとも2個の中間サイズのアパーチャ67(これは、遠位末端57にある)を有する。このような実施形態により、簡単に混合できるようになり、先に述べた混合物の「乗り上がり」をできるだけ少なくする;しかしながら、この実施形態では、典型的には、アクチュエータ18をさらに回転する必要がある。この実施形態では、骨充填材料の場合、適当な混合物を確保するには、約5回〜20回のアクチュエータ18の回転で十分であるはずである。
【0029】
図7で示した実施形態では、混合要素16は、複数の均一に間隔を置いたアパーチャ61を有し、これらは、リブ51に平行に位置しており、また、混合要素16は、さらに、遠位先端62にて、少なくとも2個のアパーチャ63を有する。この実施形態では、適当な骨充填材料を混合するために、アクチュエータ18を約5回〜10回で回転する必要がある。この実施形態では、これより少ない回転でもよいものの、この実施形態は、典型的には、先に述べた実施形態を行う操作者の代わりに、その回転に対してさらに高い強度が必要である。さらに、その成分を混合物に後退させるために、その混合プロセス中には、時々、停止する必要がある。
【0030】
図9で示した実施形態では、混合要素16は、2個の大アパーチャ68(これらは、混合要素16の近位末端58の近くから始まっている)に続いて、少なくとも2個の大アパーチャ69(これらは、遠位末端57の方へと伸長している)を有する。この実施形態では、骨充填材料を適当に混合するために、アクチュエータ18を約15回〜20回で回転する必要がある。図9で示した最小表面積の混合要素16では、十分に混合した後のレセプタクル12から取り外したとき、混合要素16上には、少量の骨充填材料だけが残るにすぎない。
【0031】
他の代替実施形態では、混合要素16には、種々のサイズおよび形状(図示せず)の任意数のアパーチャを組み込むことができる。
【0032】
D.アクチュエータ
アクチュエータ18(図4および5Aおよび5Bを参照)は、混合要素16を駆動する。望ましくは、アクチュエータ18は、DELRIN(登録商標)材料または透明または着色ナイロンから形成される。図4で示すように、アクチュエータ18は、手の平サイズの円筒形状である。
【0033】
アクチュエータ18は、外面70を有し、これは、もし望ましいなら、使用者に握り易いように、ギザギザまたは刻み目を付けられ得る。図4A〜4Fは、アクチュエータ用の種々の代替ハンドル設計を示す。アクチュエータ18は、上半分72および下半分74(また、図6Aおよび6Bを参照)を有し、これらは、種々の方法(ファスナー、接着剤またはスナップ嵌めを含めて)で、共に連結されるように適合されている。
【0034】
アクチュエータ18の上半分72は、駆動部材として機能するのに対して、アクチュエータ18の下半分74は、被駆動部材である。上半分72は、下半分74に対して回転する。
【0035】
アクチュエータ18の上半分72および下半分74の両方は、内側76および外側78を有する。図6Aで示すように、上半分72の内側76は、リングギア73を含む。下半分74の内側76は、遊星歯車配列84を含み、これは、リングギア73と噛み合う。
【0036】
遊星歯車配列84は、太陽歯車86および1個以上の遊星歯車88を含む。太陽歯車86は、ネジ95によって、アクチュエータ18の下半分74に軸方向に固定されている。遊星歯車88は、ネジ94によって、リテイナーリング92に固定されている。1代替実施形態では、遊星歯車88は、2個のギアを含み、各ギアは、太陽歯車86の反対側に位置付けられる。
【0037】
遊星歯車88の歯は、リングギア73の歯と噛み合う。遊星歯車88の歯はまた、太陽歯車86と噛み合う。アクチュエータ18の上半分72をアクチュエータ18の下半分74に対して回転すると、リングギア73が回転する。これは、順に、アクチュエータ18の定置下半分74内で、遊星歯車88に対して回転を与える。遊星歯車88が回転すると、順に、アクチュエータ18の下半分74内で、太陽歯車86が回転する。3個の遊星歯車88が存在する実施形態では、リングギア73(すなわち、アクチュエータ18の上半分72)の1回転は、アクチュエータ18の下半分74内での太陽歯車86の約4回転に等しい。2個の遊星歯車88が存在している実施形態では、リングギア73の1回転は、太陽歯車86の約3回転に等しい。
【0038】
図5Aで示すように、アクチュエータ18の下半分74の外側78は、中心スロット96を有し、これは、混合要素16の円筒形先端58を受容する。太陽歯車86から突出している心棒87(図6Aを参照)は、スロット96内に伸長する。先端58にある横材60は、心棒87のキー溝89(図5Aを参照)に嵌り、これは、混合要素16を太陽歯車86に連結する。それゆえ、太陽歯車86が回転すると、混合要素16が回転する。
【0039】
さらに、下半分74の外側78は、安定化構造体98(図5Aを参照)を有する。構造体98は、レセプタクル12のタブ36と接しているかおよび/または握って、太陽歯車86から混合要素16に回転を与えつつ、レセプタクル12が回転するのを防止する。安定化構造体98は、ファスナー99により、外側78の下半分74に固定される。もし望ましいなら、アクチュエータ18は、レセプタクル12内のヒュームを排出するために、標準的な手術室真空ホース(図示せず)用の付属品を組み込み得る。
【0040】
代替実施形態(図6Bを参照)では、アクチュエータ18の上半分72は、一体化リングギア73を有し、これは、アクチュエータ18の内面71(図18を参照)に適合される。アクチュエータ18の下半分74は、遊星歯車配列84を有し、これは、リングギア73と噛み合う。遊星歯車配列84は、太陽歯車86および複数の遊星歯車88を含む。望ましくは、遊星歯車配列88は、2個の遊星歯車88を含む。太陽歯車86は、心棒87によって、アクチュエータ18の下半分74に軸方向に固定されている。心棒87は、その上部で、上半分72にスナップ留めするように適合され、また、その下部で、混合要素16の先端58を受容するように適合されている。心棒87の中間部は、太陽歯車86を所定位置で保持するために、また、太陽歯車86が与えた回転力を受容するために、四角にされている。
【0041】
遊星歯車88は、中空ギアポスト93により、アクチュエータ18の下半分74に固定される。リテイナーリング92は、保持タブ90を有し、これは、遊星歯車88の中心ボアを通って嵌り、中空ギアポスト93に伸長している(図6Bを参照)。保持タブ90は、小タングを有し、これらは、中空ギアポスト93を通って下方に伸長して、リテイナーリング92をアクチュエータ18の下半分74に確実に係合する。リテイナーリング92はまた、望ましくは、安定化フィート97を有し、これは、下方に伸長して、遊星歯車配列84に強度および安定性を与える。
【0042】
図5Bで示すように、アクチュエータ18の下半分74の外側78は、安定化構造体98Bを有し、これは、一般に、レセプタクル12の挿入に適合するように、長楕円形である。安定化構造体98Bの長楕円形状は、太陽歯車86が心棒87(これは、混合要素16と連結する)に回転を与えつつ、レセプタクル12が回転するのを防止する。
【0043】
E.プランジャー
プランジャー20(図14および16を参照)は、レセプタクル12のボア37に嵌る。レセプタクル12内でプランジャー20を前進させると、望ましくは、レセプタクル12から空気が追い出されるだけでなく、レセプタクル12から材料が分配される。
【0044】
図19で示すように、プランジャー20はまた、望ましくは、バルブ用の1個以上の開口部103を含み、これらは、プランジャー20と混合した骨充填材料との間のレセプタクル12内にある空気を自動的に掃き出す。プランジャー20は、シール101を含有でき、これは、種々の材料から作製され、これらの材料には、混合した骨充填材料との接触によって影響を受けない非剛性材料が挙げられるが、これらに限定されない。1実施形態では、プランジャー20は、バルブを含むことができ、これは、小ボールボアリング(図示せず)を備え、それにより、空気は、レセプタクル12を通ってプランジャー20を前進させるにつれて、排出できるようになる。このボールベアリング(図示せず)は、この骨充填材料よりも密度が低いプラスチック材料から作製され得る。プランジャー20が粘稠な骨充填材料と接触するにつれて、このボールベアリングは、強制的に、閉鎖位置にされる。この空気を掃き出すことにより、プランジャー20と材料とが直接接触できるようになり、これにより、その材料の分配制御が向上する。
【0045】
F.分配要素
図1Aで示したシステムでは、分配要素22は、ノズル100を含み、これは、レセプタクル12の遠位先端34に嵌るように適合される(図17を参照)。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34には、LUER(登録商標)取付具(図示せず)が組み込まれる。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34には、取付具(図示せず)が組み込まれ、この取付具は、5ccまたは10ccの注射器の本体に噛み合うように適合される。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34には、配管(図示せず)が組み込まれ、この配管は、5ccまたは10ccの注射器本体内に取り付けられるように適合される。
【0046】
図1Bで示したシステムでは、分配要素22は、望ましくは、クリップ121(図20を参照)によって、レセプタクル12の遠位先端32上にスナップ留めされる。分配要素22はまた、他の手段(例えば、接着剤、溶接、または当該技術分野で公知の他の手段)により、レセプタクル12に装着され得る。分配要素22は、望ましくは、レセプタクル12の出口34B(図2Bを参照)と噛み合う。弁体125の内側には、ストップコック弁(図示せず)または他の型の適当な弁が位置でき、これは、混合した材料用の出口127を有する。分配要素22は、1本以上のハンドル123を備えることができ、これらは、弁体125の末端に位置している。2本の分配ハンドル123(これらは、図20で示している)により、分配要素22を左手または右手のいずれかで操作できるようになる。LUER(登録商標)取付具129は、望ましくは、注射器またはネジ付き骨充填装置を装着し易くするために、弁体125上に組み込まれる。もちろん、移動される混合材料を受容する器具の種類に依存して、弁体125上には、任意数の他の型の取付具または配管を組み込むことができる。
【0047】
G.測定装置
成分を混合するためにレセプタクルに設置する前に、これらの成分を測定するために、測定装置24(図1Aを参照)が使用される。測定装置24は、一定のサイズ(例えば、10ccの測定カップ)であり得、目盛りが付けられ得るか、および/または混合前に粒子を精選する篩を含み得る。
【0048】
H.漏斗
混合する成分をレセプタクル12に入れるか注ぎ易くするために、漏斗10が使用される(図1B)。
【0049】
II.システムの具体的な使用
図1Aで示した実施形態では、レセプタクル12、スタンド14、混合要素16、アクチュエータ18、プランジャー20、ディスペンサー22および測定装置24だけでなく、混合する成分は、使用するために集められるか、必要に応じて、キット200から引き出される。医師または助手は、スタンド14(図10を参照)の上側40のネック44内に、レセプタクル12の遠位末端32を挿入する。望ましくは、レセプタクル12の遠位先端34は、スタンド14の上側40に位置している小チャンバ46内で保持され、望ましくは、遠位先端34を閉じて密封する。
【0050】
図20で示すように、医師は、混合する成分(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)骨セメント用の粉末化成分)を測定するために、測定装置24を使用し得る。この粉末化成分は、レセプタクル12に注がれる。もし、レセプタクル12がその外面33で目盛り付き秤39を備えているなら、この成分は、所望レベルに達するまでに、レセプタクル12に添加できる。この粉末化成分をレセプタクル12に添加した後、他の成分(例えば、骨セメント用の液状モノマー)が添加できる。
【0051】
次いで、混合要素16およびアクチュエータ18が得られる。望ましくは、混合要素16の遠位末端56は、(図11で示すように)、アクチュエータ18の下半分74の外側78に位置しているスロット96内に挿入される。このアセンブリは、今ここで、反転され、混合要素16の遠位末端57は、レセプタクル12(これは、図12の分解図で示されている)の近位末端30に挿入される。望ましくは、混合要素16は、混合要素16の遠位先端62がレセプタクル12の遠位先端34内に伸長されるように、挿入される。アクチュエータ18は、望ましくは、レセプタクル12の近位末端30に位置しているタブ36と係合して、アクチュエータ18の下半分74がレセプタクル12に対して静止したままになる。
【0052】
医師は、今ここで、スタンド14、レセプタクル12またはスタンド14とレセプタクル12とを、他方の手で保持しつつ、アクチュエータ18の上半分72を一方の手で握る(図13を参照)。次いで、アクチュエータ18の上半分72は、レセプタクル12に対して、例えば、まず、時計方向、次いで、反時計方向(逆でも良い)に、前後に半回転で、回転される。あるいは、またはこの前後運動と共に、アクチュエータ18は、単一方向に回転され得る。望ましくは、アクチュエータ18は、この混合物を混合するのに十分な時間、回転される。
【0053】
この混合物を十分に混合した後、アクチュエータ18および混合要素16は、レセプタクル12から取り外され、脇に置かれる。もし望ましいなら、混合要素16は、要素16にくっついている混合物を取り除くために、レセプタクル12の上部に接触させて擦り落とされ、望ましくは、このような混合物をレセプタクル12に戻す。次に、レセプタクル12の近位末端30には、プランジャー20が挿入される(図14を参照)。このアセンブリは、今ここで、安全に反転でき、スタンド14は、レセプタクル12から取り外される(図15を参照)。望ましくは、スタンド14は、プランジャー20を挿入してアセンブリを反転させる前には、レセプタクル12から取り外されない。このような場合、この混合物は、骨充填材料の場合と同様に、レセプタクル12の遠位先端34にある開口部から簡単には流出できる。
【0054】
スタンド14をレセプタクル12から取り出した後、注射器から空気を排出する通常の様式でプランジャー20を前進させることにより、レセプタクル12の遠位先端34から、空気を追い出すことができる。この混合物は、プランジャー20を前進させることにより、レセプタクル12から直接分配され得る。もし望ましいなら、ディスペンサー22は、レセプタクル12の遠位先端34上に嵌められる。1実施形態では、もし、ディスペンサー22がノズル100であるなら、この混合物は、ノズル100を通って分配される。他の実施形態では、もし、レセプタクル12の遠位先端34がLUER(登録商標)取付具を組み込むなら、このLUER(登録商標)取付具は、米国特許第6,241,734号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で開示されているように、骨充填装置と噛み合い得る。このLUER(登録商標)取付具がレセプタクル12の遠位先端34に組み込まれるとき、その組合せにより、複数の骨充填装置を直接満たすことが可能となる。他の実施形態では、もし、レセプタクル12の遠位先端34が、5ccまたは10ccの注射器の注射器本体と噛み合う取付具を取り込むなら、この注射器は、レセプタクル12内で、この混合物で満たされ得る。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34は、5ccまたは10ccの注射器本体内に嵌る配管を取り込み得、それにより、この注射器は、そのプランジャー末端から充填できるようになる。このような実施形態では、この配管は、この注射器のプランジャー開口部を通って挿入される。この注射器は、その遠位先端からその近位末端へと充填され、この配管は、この注射器を所望レベルまで満たしつつ、引き出される。
【0055】
図1Bで示したシステムは、使いやすさを高めて工程を少なくした別の特徴を含む。レセプタクル20は、分配要素22を閉鎖位置にして、キット200に包装される。混合する材料に加えて、密封されたキット200からシステム部品(レセプタクル12、混合要素16、アクチュエータ18、プランジャー20および漏斗10)を集めた後、医師または助手は、レセプタクル12の近位末端30内に漏斗10を位置付け、粉末化した成分をレセプタクル12に注ぐ。もし望ましいなら、液状モノマーを添加する前に、レセプタクル12には、粉末化した追加成分(例えば、(この混合物を放射線不透過性にするための)無菌硫酸バリウムまたは(感染を防止するための)抗生物質)が添加され得る。混合要素16およびアクチュエータ18は、先に記載したように、共に連結され、そしてレセプタクル12に挿入される。アクチュエータ18は、レセプタクル12の近位末端30にあるタブ36と係合するように位置付けられる。医師または助手は、今ここで、先に記載したように、アクチュエータ18を回転して、この材料を混合する。レセプタクル12内のモノマーのヒュームは、望ましくは、真空ホース付属品31により、レセプタクル12から排出され得る。この混合物を十分に混合した後、アクチュエータ18および混合要素16は、レセプタクル12から取り外されて、脇に置かれる。次に、プランジャー20は、レセプタクル12の近位末端30に挿入される。このシステムから、プランジャー20にある開口部103を通って、空気が自動的に掃き出される。次いで、残留空気/モノマーの混合物は、真空ホース付属品31により、レセプタクル12の内部ボア37から排出され得、医師または助手がモノマーのヒュームに晒されるのをさらに減らす。この混合物は、今ここで、移動する準備が出来ている。望ましくは、混合した材料は、米国特許第6,241,734号で開示されているように、この骨充填装置に直接移動される。この工程により、この材料を他の装置(例えば、注射器)に移動する必要がなくなり、これは、順に、米国特許第6,241,734号の装置を充填するのに使用される。この混合物は、プランジャー20を押し下げることにより、開放した分配要素22を通って、直接分配され得る。あるいは、この混合物の流れは、分配ハンドル123を回転してストップコック弁(図示せず)を開閉することにより、制御され得る。
【0056】
もし、別の骨充填材料の混合物が望ましいなら、または初期混合物が硬化および/または使用不可能になった後に追加の骨充填材料が必要になったら、使用済の混合要素16(これは、その上に骨充填材料を有する)は、アクチュエータ18から取り出されて、新しい混合要素16と交換され得、アクチュエータ18は、骨充填材料の追加バッチと混合するのに使用できるようになる。このような場合、キット200は、骨充填材料の複数バッチを混合させるために、複数のレセプタクル12、スタンド14、混合要素16、プランジャー20および分配要素22と共に、単一のアクチュエータ18および測定装置24を含むことができる。
【0057】
III.クローズドセメント混合および移動システム
何らかの理由のために、外科用材料からヒュームおよび/または蒸気が放出されることが望ましくない場合、医用材料(例えば、骨セメント)を調製および/または送達するために、クローズド混合および移動システムを使用することが有利であり得る。例えば、PMMA骨セメントの液状モノマー成分から生じるヒュームおよび/または蒸気は、非常に不快な臭いがあり得、これらのヒュームを吸入すると、患者だけでなく手術室にいる様々な人たちに対して、著しい健康上のリスクをもたらし得る。
【0058】
PMMA粉末および液状モノマー成分を含む骨セメントの場合、この液状モノマーは、典型的には、その粉末をプランジャー製の袋に含有させつつ、使用前に、ガラス製のジャーまたはアンプル内に密封される。このような包装の一例は、SimplexP(登録商標)PMMA骨セメントで見られ、これは、Howmedica Corporationから市販されている。このような骨セメントの粉末化成分は、一般に、不活性であり、(十分に乱されないなら)、空気で運ばれる傾向にはないものの、この液状モノマー成分は、非常に蒸気圧が低く、空気と接触すると、容易に気化する。
【0059】
一旦、液状モノマーを含有するガラス製アンプルが(典型的には、そのガラス製アンプルの壊れやすいキャップを壊すことにより)開くと、この液状モノマーは、大気に晒されて、直ちに気化し始める。さらに、その混合プロセス中にて、この液状モノマーは、気化し続け、また、その液状/粉末混合物から気体が除かれる。一旦、混合が完了すると、このモノマーは、この液体/粉末混合物が密封環境(例えば、注射器または他のクローズド分配装置または混合物を患者の体内に入れるとき)内に含まれる時点まで、この混合物から気体が除かれ続ける。この混合物を、その混合送達操作の実質的に全ての工程中に、密閉環境内に含めるまでなければ、従って、骨セメントの混合および分配中にて、相当量の気化したモノマーが手術室に放出され得る。
【0060】
図22および23は、セメント混合移動システムの代替実施形態を描写しており、これは、望ましくは、その手術室環境への気化したモノマーの放出をできるだけ少なくする。この実施形態では、レセプタクル12は、モノマー分配体400を取り込んでいる。モノマー分配体400は、保持クリップ405、格納チューブ410、破壊要素415、キャップ420、供給管腔425および通気管腔430を含む。望ましくは、この分配体は、レセプタクル12に固定されており、供給管腔425および通気管腔430は、そのレセプタクル壁にある1個以上の開口部(図示せず)を通って、レセプタクル12の内部と連絡している。分配体400は、種々の方法(例えば、クリップ、接着剤、溶接または当該技術分野で公知の他の方法)で、このレセプタクルに固定され得る。
【0061】
図23で示すように、固定シール448は、望ましくは、気密様式で、レセプタクル12の上部開口部と係合して、望ましくは、手術室環境からレセプタクル12を密封する。望ましくは、固定シール448の下で、レセプタクル12内には、滑りシール450が位置付けられる。これらのシール448および450は、種々の公知の密封材料(ラテックスゴムを含めて)を含有できる。望ましくは、シール448により、そのレセプタクルの内容物と大気との間で実質的に気密なシールを維持しつつ、混合要素16および心棒87の回転を可能にする。それに加えて、滑りシール450は、望ましくは、レセプタクル12内で、縦方向に移動できる。もし望ましいなら、この滑りシールは、内部スロットまたは開口部(図示せず)を組み込むことができ、これにより、混合要素16との実質的に気密なシールを維持しつつ、混合要素16の中心軸に沿って、滑りシール450を滑らせることが可能となる。
【0062】
この骨セメント混合物を調製するために、レセプタクル12には、測定量の粉末化PMMA成分が導入される。この混合要素およびアクチュエータは、次いで、シール448および450を密封してレセプタクル12と係合しつつ、このレセプタクルに装着される。液状モノマーを含有する密封ガラス製アンプル435は、格納チューブ410に挿入される。キャップ420は、チューブ410に設置され、この格納チューブを閉じて密封する。
【0063】
次いで、キャップ420は、アンプル435上に締められ、望ましくは、アンプル435を破壊要素415に強制的に接触させて、アンプル435を割る。この格納チューブには、望ましくは、液状モノマーが流入し、供給管腔425を通って、レセプタクル12内の粉末化成分と接触する。通気管腔425は、望ましくは、この格納チューブで形成できる真空を緩和する。
【0064】
これらの液状成分および粉末化成分は、今ここで、先に記載した様式で、混合される。一旦、混合が完了すると、アクチュエータ18および固定シール448にある開口部(図示せず)を通って、プランジャー460が挿入でき、それにより、滑りシール450は、レセプタクル12内で、この混合物に向かって前進できる。もし望ましいなら、滑りシール450は、ラビリンスシールまたは他の配置(これにより、空気は、この滑りシールを過ぎて流れることができる)を組み込むことができる。望ましくは、滑りシール450を過ぎて流れる空気および/または気化したモノマーは、固定シール448により、封じ込められる。滑りシール450は、一旦、このPMMA混合物と接触すると、望ましくは、この混合物を加圧して、これは、次いで、先に記載した様式で、分配できる。
【0065】
この実施形態を使うと、このPMMA混合物は、モノマーのヒュームを著しく放出することなく、この混合分配システムから分配できる。一旦、分配が完了すると、その全クローズドシステムは、安全に廃棄され得る。
【0066】
図24A、24B、25および26は、先に記載したクローズド混合移動システムと併用して有用な混合要素の種々の実施形態を描写している。これらの混合要素は、滑りシール450の前進およびPMMA混合物の分配を促進するために、混合が完了した後、崩壊および/または折り畳みに特によく適している。さらに具体的には、図24Aおよび24Bは、一連のセクション460を含む混合要素16の図を描写しており、これらのセクションは、この混合要素の回転に応答して、これらのPMMA成分を混合するが、圧縮したとき、望ましくは、滑りシール450の前進およびPMMA混合物の分配を可能にするように、アコーディオン様の様式で、折り畳まれる。図25は、螺旋状セクションを含む混合要素16を描写しており、このセクションは、混合要素16の回転に応答して、これらのPMMA成分を混合するが、圧縮したとき、望ましくは、滑りシール450の前進およびPMMA混合物の分配を可能にするように、バネ様の様式で、圧縮される。図26は、複数の螺旋セクションを含む混合要素16を描写しており、これらのセクションは、類似した様式で、作動する。
【0067】
本発明の特徴は、上記請求の範囲で述べられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aおよび図1Bは、本発明の特徴を具体化する流動性材料を混合し分配するシステムの構成部品を含むキットの種々の実施形態の平面図である。
【図2】 図2Aおよび図2Bは、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなすレセプタクルの種々の実施形態の透視図である。
【図3】 図3は、図1Aで示したシステムの一部をなすスタンドの透視図である。
【図4】 図4は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなし得るアクチュエータの側面透視図である。図4A〜図4Fは、アクチュエータハンドル設計の代替実施形態の側面透視図である。
【図5】 図5Aは、図4で示したアクチュエータの下面図である。図5Bは、アクチュエータの代替実施形態の下面図である。
【図6】 図6Aは、図4で示したアクチュエータの分解透視図である。図6Bは、アクチュエータの代替実施形態の分解透視図である。
【図7】 図7は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなす混合要素の1実施形態の透視図である。
【図8】 図8は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなす混合要素の他の実施形態の透視図である。
【図9】 図9は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなす混合要素の他の実施形態の透視図である。
【図10】 図10は、図2で示したレセプタクルの透視図であり、これは、図3で示したスタンドに挿入され、この図はまた、このレセプタクルに追加される部品を示す。
【図11】 図11は、図8で示した混合要素の近位末端の透視図であり、これは、図4で示したアクチュエータの下半分の外側に挿入される。
【図12】 図12は、図13の組立図でも示すように、このアクチュエータ、混合要素、レセプタクルおよびスタンドアセンブリの分解図である。
【図13】 図13は、図12で示したアセンブリの透視図であり、これは、一方の手で握り手動回転しているアクチュエータを示し、また、操作者の他方の手で握っているレセプタクルを示し、このアクチュエータの回転は、このレセプタクルで材料を混合するのに役立つ。
【図14】 図14は、これらの材料をレセプタクル中で混合した後、そのレセプタクルに挿入されるプランジャーを示す透視図である。
【図15】 図15は、このレセプタクルから材料を分配する前に、そのレセプタクルから取り外されるスタンドを示す透視図である。
【図16】 図16は、この材料を含むレセプタクルに挿入されたプランジャーの透視図であり、これは、今ここで、分配する準備が出来ている。
【図17】 図17は、このレセプタクル内で混合される材料の透視図であり、これは、そのレセプタクルから分配される。
【図18】 図18は、図1Bで示したシステムの一部をなすアクチュエータの上半分の下面図である。
【図19】 図19は、空気掃き出し弁用の開口部を示すプランジャーアセンブリの透視図である。
【図20】 図20は、アセンブリを備えたディスペンサーの1実施形態の透視図であり、これは、図2Bのレセプタクルに固定する。
【図21】 図21は、任意の付属真空ラインを備えた図2Bのレセプタクルの透視図である。
【図22】 図22は、図21のレセプタクルの部分切取図である。
【図23】 図23は、図21のレセプタクルの他の部分切取図である。
【図24A】 図24Aは、図21のレセプタクルで使用するのに適した折り畳み可能混合要素の実施形態の透視図である。
【図24B】 図24Bは、図24Aの折り畳み可能混合要素の側面図である。
【図25】 図25は、図21のレセプタクルで使用するのに適した折り畳み可能混合要素の他の実施形態の透視図である。
【図26】 図26は、図21のレセプタクルで使用するのに適した折り畳み可能混合要素の他の実施形態の透視図である。
(関連出願)
本願は、2001年10月25日に出願された米国仮特許出願第60/243,195号から優先権を主張している。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、特に、医療分野で使用するために、材料を共に混合してその材料を他の器具に移動するシステムおよび方法に関する。
【0003】
(発明の背景)
例えば、骨充填材料として使用するために、医療分野で、複数の材料(粉末材料を含むポリ(メタクリル酸メチル)骨セメント)を液状モノマーと共に混合する現在の方法および装置は、しばしば、十分に満足のいく結果をもたらさない。
【0004】
典型的には、手術を行う状況では、この目的に使用する器具は、これらの成分を受容する小さいボウル、およびボウル内の成分を混合するスティック(例えば、共通舌圧子)である。粉末材料が使用される場合、通常、その容器からボウルに直接注がれる。結果的に、この方法は、しばしば、粉末材料がこぼれるので、乱雑となる。これらの成分の1種が液状モノマーである場合、この方法には、液状モノマーによる有害なヒュームの放出が関与し得る。
【0005】
骨充填材料の場合と同様に、これらの成分を混合した後、さらに別の問題に遭遇する。この骨充填材料を骨の空洞に分配するとき、一般的な方法には、まず、その材料を注射器に移動し、次いで、この材料を、空洞に送達する器具に移動することがある。この注射器は、その注射器本体を通って完全に係合したプランジャーを引き出すことによって材料を真空吸引することにより、または注射器プランジャーを取り出して注射器の後部に材料を注ぎプランジャーを再挿入することにより、いずれかにより、装填される。これは、困難で面倒な手順である。それゆえ、これらのヒュームを含有させつつ材料を混合しそれらの内容物を他の器具に簡単かつ清浄に移動または分配する方法を提供することが必要とされている。
【0006】
(発明の要旨)
医療品の様々な製造業者は、ポリ(メタクリル酸メチル)骨セメントを混合および/または分配する種々のシステムを開発し、製造し、そして供給しようと試みているものの(DePuy−PCT公報第WO97/21485号を参照;Immedica−PCT公報第WO99/37256を参照;およびStryker−米国特許第6,042,262号を参照)、このようなシステムは、しばしば、高価であり、複雑すぎ、高価および/または外部動力の付属品を必要とするか、または少量の骨充填材料を混合できない。これらの問題および他の問題があるために、特に、医療分野において、材料を混合し移動する改良されたシステムおよび方法が必要とされている。
【0007】
本発明の他の局面は、携帯型システムおよびそのシステムを使用する関連方法を提供し、これらは、正確には、混合前にその成分を測定し、混合中にその成分を含有し、その骨充填材料を混合または攪拌し、この混合物を他の器具に都合良くかつ清浄に移動または分配する。この携帯型システムは、材料を混合し移動する簡単で迅速で費用効率の高い方法を提供する。
【0008】
本発明の他の局面は、携帯型システムおよびそのシステムを使用する関連方法を提供し、これらは、混合中にその成分を十分に含有し、(望ましくは、混合中に放出された有毒なヒュームのこぼれをなくす)。
【0009】
本発明の1局面は、未混合状態で成分(例えば、骨充填材料)を受容するレセプタクルを含むアセンブリを提供する。該アセンブリはまた、混合要素を含み、該混合要素は、該成分を混合するために、該レセプタクルに挿入可能である。該アセンブリは、さらに、該混合要素用のアクチュエータを含み、該アクチュエータは、駆動部材および被駆動部材を含み、該被駆動部材は、該駆動部材と連結されている。該アクチュエータは、該混合要素と取り外し可能に連結されている。十分に混合した後、該混合要素は、取り外すことができるか、および/または該混合物を移動または分配するために、該レセプタクルには、プランジャーが挿入される。
【0010】
1実施形態では、前記混合要素は、パドルを含み、該パドルは、回転に応答して前記成分を混合する。該パドルは、成分の混合を促進する構造体(例えば、複数のアパーチャ)を含むことができる。この配置では、前記アクチュエータは、パドルを回転する駆動部材を含む。該アクチュエータは、ドライブトレイン(例えば、遊星歯車列)を含むことができ、これは、駆動部材を被駆動部材に連結する。望ましくは、該駆動部材は、手動操作可能であり、外部動力源を必要としない。
【0011】
1実施形態では、前記レセプタクルは、分配バルブを含む。該分配バルブは、混合工程中には閉じられ、移動または分配工程を実行するとき、手で操作して開放または閉鎖される。
【0012】
(実施形態の詳細な説明)
これらの実施形態は、骨充填材料を混合することに関連して、本発明の特徴を具体化するシステムおよび方法を記載している。しかしながら、そのように記載したシステムおよび方法は、その応用において、骨充填材料の混合には限定されない。これらのシステムおよび方法は、多様な用途(医療分野の内外)で使用するように適用できる。
【0013】
本明細書中で記載した発明の種々の構成部品は、非鉄材料および/または非金属材料から構成でき、このことにより、種々の実施形態は、磁気環境および/または全室MRI環境で使用可能になることもまた、理解できるはずである。
I.構成部品
図1Aは、構成部品を示し、これには、キット200として配列され、材料混合移動システムを形成するために、互いに共同して使用可能である。これらの構成部品の数および構造は、変えることができる。図1Aでは、キット200は、レセプタクル12(これは、混合する材料を受容し、混合後、それらの材料をスタンド14(これは、レセプタクル12を受容する)に移動または分配する);混合要素16(これは、これらの材料を混合するために、レセプタクル12に挿入できる);アクチュエータ18(これは、混合要素16を駆動する);プランジャー20(これは、混合した材料をレセプタクル12から押し出すために、レセプタクル12に挿入できる);分配要素22(これは、レセプタクル12から押し出された混合材料を分配する);および測定装置24(これは、混合するためにレセプタクル12に設置された材料を測定する)を含む。
【0014】
望ましくは、部品12、14、16、18、20、22および24は、実質的に剛性の金属材料、プラスチック材料またはセラミック材料を含む。1実施形態では、12、14、16、20、22および24は、ポリプロピレンを含み、そして部品18は、Acetalホモポリマー(DuPont Corporation製のDELRIN(登録商標)材料)または透明または着色ナイロンを含む。これらの部品材料は、望ましくは、骨充填材料との接触による影響を受けないか、および/またはγ線で滅菌可能である。もちろん、種々の他の代替材料が使用でき、これには、限定期間中に著しく劣化することなくモノマーとの接触に耐えることができる材料が挙げられる。
【0015】
A.レセプタクル
図2Aで示すように、レセプタクル12は、近位末端30および遠位末端32を有する。レセプタクル12は、さらに、内部ボア37を有し、これは、望ましくは、近位末端30から遠位末端32へと伸長している。遠位末端32は、遠位先端34を備え、そこを通って、材料(例えば、骨充填材料)を分配し得る。
【0016】
レセプタクル12は、異なる使用段階で混合要素16およびプランジャー20を別々に収容するサイズである。遠位先端34の内面は、後にさらに詳細に記載するように、使用中に混合要素16の遠位先端62を支持するサイズである。近位末端30は、レセプタクル12の外面33に一組のタブ36を備え、このレセプタクルをアクチュエータ18と連結し、これは、順に、混合要素16の近位末端56に解除可能に連結する。プランジャー20をレセプタクル12に挿入したとき、タブ36により、また、後に詳細に記載するように、混合後に材料を分配するために、医師は、レセプタクル12およびプランジャー20を握って操作できるようになる。
【0017】
1実施形態では、レセプタクル12は、約70立方センチメートル(70cc)の容量を有する。もちろん、他のサイズのレセプタクル12は、混合要素16および他の付随した部品のサイズ、および混合する充填材料の望ましい量に依存して、使用できる。他の代表的なサイズには、5cc、10ccおよび20ccの注射器を挙げることができる。レセプタクル12の外面33は、望ましくは、目盛り39を含み、これは、レセプタクル12の内部の容量を示す。好ましくは、目盛り39は、レセプタクル12の遠位先端34の近くから開始する。レセプタクル12は、望ましくは、混合中および移動中にて、レセプタクル12に設置したときに混合する材料を見ることができるように、透明なポリプロピレンから作製される。
【0018】
代替実施形態では、図2Bで示すように、レセプタクル12は、遠位末端32にて、レセプタクル基部35を含む。レセプタクル基部35は、一般に、半球状の形状であり、レセプタクル12の内部ボア37を支持する。レセプタクル12の内部ボア37内では、レセプタクル基部35にて、中心ネック(図示せず)が位置しており、これは、先の実施形態に関連して先に記載したように、混合要素16の遠位先端62を受容し確実に保持するサイズである。レセプタクル基部35は、望ましくは、内部ボア37を安定にし上昇させて、混合した材料を簡単に分配または移動させる。レセプタクル基部35は、レセプタクル12ができるだけ倒れないように、しっかりした基盤を与えるサイズである。レセプタクル12は、混合した骨充填材料を分配する出口34Bを有する。
【0019】
もし望ましいなら、レセプタクル12は、レセプタクル12中のヒュームを排除するかおよび/または材料を脱気するために、標準的な手術室の真空ホース用の真空付属品31(図2Bを参照)を組み込み得る。この真空ホースは、さらに、レセプタクル基部35にあるインデント31Aにより、固定され得る。もし、さらに望ましいなら、レセプタクル12は、骨充填材料装置送達銃用のカートリッジを形成し得る。
【0020】
B.スタンド
図1Aで示したシステムでは、スタンド14(図3を参照)は、混合中にて、レセプタクル12を支持する。スタンド14は、上面40および下面42を有する。上面40は、中心ネック44を有し、これは、レセプタクル12の遠位末端32を受容して確実に保持するサイズである。ネック44内の中心には、小チャンバ46があり、これは、レセプタクル12の遠位先端34を受容するサイズである。スタンド14の下面42は、平坦面を有し、これにより、スタンド14は、処置テーブルのような表面で、平らに置くことができる。
【0021】
レセプタクル基部35がレセプタクル12に直接組み込まれるような図1Bで示すシステムには、別個のスタンド14は、絶対に必要な訳ではない。
【0022】
C.混合要素
混合要素16は、様々な構成にでき、図7、8および9は、代表的な異なる構成を示している。使用中にて、混合要素16は、レセプタクル12内で回転して、このレセプタクル内に含有された材料を混合する。
【0023】
記載した種々の構成では、混合要素16は、上面50および下面52を有する。これらの実施形態では、上面および下面50および52は、外向きに伸長している中心リブ51を有し得、これは、混合要素16の完全性を維持するための補強材として作用する。混合要素16はまた、1個以上の横断リブ53を含み得る。
【0024】
混合要素16は、近位末端56および遠位末端57を有する。遠位末端57は、望ましくは、平坦先端62を備え、これは、レセプタクル12の遠位先端34に嵌るように適合される。混合要素16の遠位先端62は、望ましくは、レセプタクル12の遠位先端34に位置している成分を混合する。遠位先端62はまた、望ましくは、レセプタクル12の遠位先端34内のベアリング面として作用して、レセプタクル12内での混合要素16の側面運動を束縛するだけでなく、それが回転するにつれて、混合要素16をレセプタクル12内の中心に保つ。遠位先端62はまた、混合要素16がアクチュエータ18との確実な係合を維持するように作用する。
【0025】
もし望ましいなら、近位末端56は、アクチュエータ18に装着するのに適当な種々の形状であり得るものの、近位末端56は、中実円筒形先端58を備えることができる。先端58は、後にさらに詳細に記載するように、アクチュエータ18に連結するように適合される。先端58は、横材60を有し、これは、図7、8および9で示すように、アクチュエータ18から混合要素16への回転力の伝達を容易にする。横材60はまた、所定位置でスナップ留めすることにより、混合要素16をアクチュエータ18のキー溝89としっかりと係合するように作用する。先端58はまた、強度および安定性をさらに与えるために、図9で示すように、リッジ59を含み得る。
【0026】
混合要素16はまた、図7〜9で示すように、1個以上のアパーチャ61、63、65、67、68および69を有する。アパーチャ61、63、65、67、68および69は、選択した成分(例えば、粉末化材料および液状モノマー)を共に混合するのを助けるように機能する。アパーチャ61、63、65、67、68および69は、望ましくは、その混合物の一部が混合要素16を通って流れるのに十分に大きく、それにより、混合要素16は、抵抗を最小にして、レセプタクル12内で回転できるようになり、また、選択した混合材料の混合を最大にできる。もし、アパーチャ61、63、65、67、68および69のサイズを大きくするなら、回転に対する抵抗が少なくなる。しかしながら、それに伴って、十分な混合を保証するために、この混合物中では、混合要素16をさらに回転する必要がある。アパーチャが大きいと、その混合プロセスが容易になるのに対して、アパーチャが小さいと、混合要素16に「乗り上がる(riding up)」成分が生じ得る。このような場合、その混合は、これらの成分を混合物に後退させるために、瞬間的に停止しなければならない。
【0027】
望ましくは、混合要素16は、レセプタクル12の内部を実質的に横切って伸長するサイズである。このような配置により、混合要素16の回転が粉末化成分および液状成分をレセプタクルの内壁から「擦り落とす」ことができるので、その粉末成分および液状成分を混合し易くでき、これらの成分の均一な混合を保証する。レセプタクル12および混合要素16の側壁間の現実の物理的な接触は、絶対的に必要な訳ではないものの、少なくとも1実施形態では、混合要素16とレセプタクル12の側壁とは、非常に近接している。
【0028】
図8で示した実施形態では、混合要素16は、望ましくは、一連の均一に間隔を置いた小アパーチャ65(これらは、混合要素16の近位末端56の近くから始まる)に続いて、少なくとも2個の大アパーチャ69(これらは、混合要素16の遠位末端57の方へと伸長している)、および少なくとも2個の中間サイズのアパーチャ67(これは、遠位末端57にある)を有する。このような実施形態により、簡単に混合できるようになり、先に述べた混合物の「乗り上がり」をできるだけ少なくする;しかしながら、この実施形態では、典型的には、アクチュエータ18をさらに回転する必要がある。この実施形態では、骨充填材料の場合、適当な混合物を確保するには、約5回〜20回のアクチュエータ18の回転で十分であるはずである。
【0029】
図7で示した実施形態では、混合要素16は、複数の均一に間隔を置いたアパーチャ61を有し、これらは、リブ51に平行に位置しており、また、混合要素16は、さらに、遠位先端62にて、少なくとも2個のアパーチャ63を有する。この実施形態では、適当な骨充填材料を混合するために、アクチュエータ18を約5回〜10回で回転する必要がある。この実施形態では、これより少ない回転でもよいものの、この実施形態は、典型的には、先に述べた実施形態を行う操作者の代わりに、その回転に対してさらに高い強度が必要である。さらに、その成分を混合物に後退させるために、その混合プロセス中には、時々、停止する必要がある。
【0030】
図9で示した実施形態では、混合要素16は、2個の大アパーチャ68(これらは、混合要素16の近位末端58の近くから始まっている)に続いて、少なくとも2個の大アパーチャ69(これらは、遠位末端57の方へと伸長している)を有する。この実施形態では、骨充填材料を適当に混合するために、アクチュエータ18を約15回〜20回で回転する必要がある。図9で示した最小表面積の混合要素16では、十分に混合した後のレセプタクル12から取り外したとき、混合要素16上には、少量の骨充填材料だけが残るにすぎない。
【0031】
他の代替実施形態では、混合要素16には、種々のサイズおよび形状(図示せず)の任意数のアパーチャを組み込むことができる。
【0032】
D.アクチュエータ
アクチュエータ18(図4および5Aおよび5Bを参照)は、混合要素16を駆動する。望ましくは、アクチュエータ18は、DELRIN(登録商標)材料または透明または着色ナイロンから形成される。図4で示すように、アクチュエータ18は、手の平サイズの円筒形状である。
【0033】
アクチュエータ18は、外面70を有し、これは、もし望ましいなら、使用者に握り易いように、ギザギザまたは刻み目を付けられ得る。図4A〜4Fは、アクチュエータ用の種々の代替ハンドル設計を示す。アクチュエータ18は、上半分72および下半分74(また、図6Aおよび6Bを参照)を有し、これらは、種々の方法(ファスナー、接着剤またはスナップ嵌めを含めて)で、共に連結されるように適合されている。
【0034】
アクチュエータ18の上半分72は、駆動部材として機能するのに対して、アクチュエータ18の下半分74は、被駆動部材である。上半分72は、下半分74に対して回転する。
【0035】
アクチュエータ18の上半分72および下半分74の両方は、内側76および外側78を有する。図6Aで示すように、上半分72の内側76は、リングギア73を含む。下半分74の内側76は、遊星歯車配列84を含み、これは、リングギア73と噛み合う。
【0036】
遊星歯車配列84は、太陽歯車86および1個以上の遊星歯車88を含む。太陽歯車86は、ネジ95によって、アクチュエータ18の下半分74に軸方向に固定されている。遊星歯車88は、ネジ94によって、リテイナーリング92に固定されている。1代替実施形態では、遊星歯車88は、2個のギアを含み、各ギアは、太陽歯車86の反対側に位置付けられる。
【0037】
遊星歯車88の歯は、リングギア73の歯と噛み合う。遊星歯車88の歯はまた、太陽歯車86と噛み合う。アクチュエータ18の上半分72をアクチュエータ18の下半分74に対して回転すると、リングギア73が回転する。これは、順に、アクチュエータ18の定置下半分74内で、遊星歯車88に対して回転を与える。遊星歯車88が回転すると、順に、アクチュエータ18の下半分74内で、太陽歯車86が回転する。3個の遊星歯車88が存在する実施形態では、リングギア73(すなわち、アクチュエータ18の上半分72)の1回転は、アクチュエータ18の下半分74内での太陽歯車86の約4回転に等しい。2個の遊星歯車88が存在している実施形態では、リングギア73の1回転は、太陽歯車86の約3回転に等しい。
【0038】
図5Aで示すように、アクチュエータ18の下半分74の外側78は、中心スロット96を有し、これは、混合要素16の円筒形先端58を受容する。太陽歯車86から突出している心棒87(図6Aを参照)は、スロット96内に伸長する。先端58にある横材60は、心棒87のキー溝89(図5Aを参照)に嵌り、これは、混合要素16を太陽歯車86に連結する。それゆえ、太陽歯車86が回転すると、混合要素16が回転する。
【0039】
さらに、下半分74の外側78は、安定化構造体98(図5Aを参照)を有する。構造体98は、レセプタクル12のタブ36と接しているかおよび/または握って、太陽歯車86から混合要素16に回転を与えつつ、レセプタクル12が回転するのを防止する。安定化構造体98は、ファスナー99により、外側78の下半分74に固定される。もし望ましいなら、アクチュエータ18は、レセプタクル12内のヒュームを排出するために、標準的な手術室真空ホース(図示せず)用の付属品を組み込み得る。
【0040】
代替実施形態(図6Bを参照)では、アクチュエータ18の上半分72は、一体化リングギア73を有し、これは、アクチュエータ18の内面71(図18を参照)に適合される。アクチュエータ18の下半分74は、遊星歯車配列84を有し、これは、リングギア73と噛み合う。遊星歯車配列84は、太陽歯車86および複数の遊星歯車88を含む。望ましくは、遊星歯車配列88は、2個の遊星歯車88を含む。太陽歯車86は、心棒87によって、アクチュエータ18の下半分74に軸方向に固定されている。心棒87は、その上部で、上半分72にスナップ留めするように適合され、また、その下部で、混合要素16の先端58を受容するように適合されている。心棒87の中間部は、太陽歯車86を所定位置で保持するために、また、太陽歯車86が与えた回転力を受容するために、四角にされている。
【0041】
遊星歯車88は、中空ギアポスト93により、アクチュエータ18の下半分74に固定される。リテイナーリング92は、保持タブ90を有し、これは、遊星歯車88の中心ボアを通って嵌り、中空ギアポスト93に伸長している(図6Bを参照)。保持タブ90は、小タングを有し、これらは、中空ギアポスト93を通って下方に伸長して、リテイナーリング92をアクチュエータ18の下半分74に確実に係合する。リテイナーリング92はまた、望ましくは、安定化フィート97を有し、これは、下方に伸長して、遊星歯車配列84に強度および安定性を与える。
【0042】
図5Bで示すように、アクチュエータ18の下半分74の外側78は、安定化構造体98Bを有し、これは、一般に、レセプタクル12の挿入に適合するように、長楕円形である。安定化構造体98Bの長楕円形状は、太陽歯車86が心棒87(これは、混合要素16と連結する)に回転を与えつつ、レセプタクル12が回転するのを防止する。
【0043】
E.プランジャー
プランジャー20(図14および16を参照)は、レセプタクル12のボア37に嵌る。レセプタクル12内でプランジャー20を前進させると、望ましくは、レセプタクル12から空気が追い出されるだけでなく、レセプタクル12から材料が分配される。
【0044】
図19で示すように、プランジャー20はまた、望ましくは、バルブ用の1個以上の開口部103を含み、これらは、プランジャー20と混合した骨充填材料との間のレセプタクル12内にある空気を自動的に掃き出す。プランジャー20は、シール101を含有でき、これは、種々の材料から作製され、これらの材料には、混合した骨充填材料との接触によって影響を受けない非剛性材料が挙げられるが、これらに限定されない。1実施形態では、プランジャー20は、バルブを含むことができ、これは、小ボールボアリング(図示せず)を備え、それにより、空気は、レセプタクル12を通ってプランジャー20を前進させるにつれて、排出できるようになる。このボールベアリング(図示せず)は、この骨充填材料よりも密度が低いプラスチック材料から作製され得る。プランジャー20が粘稠な骨充填材料と接触するにつれて、このボールベアリングは、強制的に、閉鎖位置にされる。この空気を掃き出すことにより、プランジャー20と材料とが直接接触できるようになり、これにより、その材料の分配制御が向上する。
【0045】
F.分配要素
図1Aで示したシステムでは、分配要素22は、ノズル100を含み、これは、レセプタクル12の遠位先端34に嵌るように適合される(図17を参照)。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34には、LUER(登録商標)取付具(図示せず)が組み込まれる。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34には、取付具(図示せず)が組み込まれ、この取付具は、5ccまたは10ccの注射器の本体に噛み合うように適合される。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34には、配管(図示せず)が組み込まれ、この配管は、5ccまたは10ccの注射器本体内に取り付けられるように適合される。
【0046】
図1Bで示したシステムでは、分配要素22は、望ましくは、クリップ121(図20を参照)によって、レセプタクル12の遠位先端32上にスナップ留めされる。分配要素22はまた、他の手段(例えば、接着剤、溶接、または当該技術分野で公知の他の手段)により、レセプタクル12に装着され得る。分配要素22は、望ましくは、レセプタクル12の出口34B(図2Bを参照)と噛み合う。弁体125の内側には、ストップコック弁(図示せず)または他の型の適当な弁が位置でき、これは、混合した材料用の出口127を有する。分配要素22は、1本以上のハンドル123を備えることができ、これらは、弁体125の末端に位置している。2本の分配ハンドル123(これらは、図20で示している)により、分配要素22を左手または右手のいずれかで操作できるようになる。LUER(登録商標)取付具129は、望ましくは、注射器またはネジ付き骨充填装置を装着し易くするために、弁体125上に組み込まれる。もちろん、移動される混合材料を受容する器具の種類に依存して、弁体125上には、任意数の他の型の取付具または配管を組み込むことができる。
【0047】
G.測定装置
成分を混合するためにレセプタクルに設置する前に、これらの成分を測定するために、測定装置24(図1Aを参照)が使用される。測定装置24は、一定のサイズ(例えば、10ccの測定カップ)であり得、目盛りが付けられ得るか、および/または混合前に粒子を精選する篩を含み得る。
【0048】
H.漏斗
混合する成分をレセプタクル12に入れるか注ぎ易くするために、漏斗10が使用される(図1B)。
【0049】
II.システムの具体的な使用
図1Aで示した実施形態では、レセプタクル12、スタンド14、混合要素16、アクチュエータ18、プランジャー20、ディスペンサー22および測定装置24だけでなく、混合する成分は、使用するために集められるか、必要に応じて、キット200から引き出される。医師または助手は、スタンド14(図10を参照)の上側40のネック44内に、レセプタクル12の遠位末端32を挿入する。望ましくは、レセプタクル12の遠位先端34は、スタンド14の上側40に位置している小チャンバ46内で保持され、望ましくは、遠位先端34を閉じて密封する。
【0050】
図20で示すように、医師は、混合する成分(例えば、ポリ(メタクリル酸メチル)骨セメント用の粉末化成分)を測定するために、測定装置24を使用し得る。この粉末化成分は、レセプタクル12に注がれる。もし、レセプタクル12がその外面33で目盛り付き秤39を備えているなら、この成分は、所望レベルに達するまでに、レセプタクル12に添加できる。この粉末化成分をレセプタクル12に添加した後、他の成分(例えば、骨セメント用の液状モノマー)が添加できる。
【0051】
次いで、混合要素16およびアクチュエータ18が得られる。望ましくは、混合要素16の遠位末端56は、(図11で示すように)、アクチュエータ18の下半分74の外側78に位置しているスロット96内に挿入される。このアセンブリは、今ここで、反転され、混合要素16の遠位末端57は、レセプタクル12(これは、図12の分解図で示されている)の近位末端30に挿入される。望ましくは、混合要素16は、混合要素16の遠位先端62がレセプタクル12の遠位先端34内に伸長されるように、挿入される。アクチュエータ18は、望ましくは、レセプタクル12の近位末端30に位置しているタブ36と係合して、アクチュエータ18の下半分74がレセプタクル12に対して静止したままになる。
【0052】
医師は、今ここで、スタンド14、レセプタクル12またはスタンド14とレセプタクル12とを、他方の手で保持しつつ、アクチュエータ18の上半分72を一方の手で握る(図13を参照)。次いで、アクチュエータ18の上半分72は、レセプタクル12に対して、例えば、まず、時計方向、次いで、反時計方向(逆でも良い)に、前後に半回転で、回転される。あるいは、またはこの前後運動と共に、アクチュエータ18は、単一方向に回転され得る。望ましくは、アクチュエータ18は、この混合物を混合するのに十分な時間、回転される。
【0053】
この混合物を十分に混合した後、アクチュエータ18および混合要素16は、レセプタクル12から取り外され、脇に置かれる。もし望ましいなら、混合要素16は、要素16にくっついている混合物を取り除くために、レセプタクル12の上部に接触させて擦り落とされ、望ましくは、このような混合物をレセプタクル12に戻す。次に、レセプタクル12の近位末端30には、プランジャー20が挿入される(図14を参照)。このアセンブリは、今ここで、安全に反転でき、スタンド14は、レセプタクル12から取り外される(図15を参照)。望ましくは、スタンド14は、プランジャー20を挿入してアセンブリを反転させる前には、レセプタクル12から取り外されない。このような場合、この混合物は、骨充填材料の場合と同様に、レセプタクル12の遠位先端34にある開口部から簡単には流出できる。
【0054】
スタンド14をレセプタクル12から取り出した後、注射器から空気を排出する通常の様式でプランジャー20を前進させることにより、レセプタクル12の遠位先端34から、空気を追い出すことができる。この混合物は、プランジャー20を前進させることにより、レセプタクル12から直接分配され得る。もし望ましいなら、ディスペンサー22は、レセプタクル12の遠位先端34上に嵌められる。1実施形態では、もし、ディスペンサー22がノズル100であるなら、この混合物は、ノズル100を通って分配される。他の実施形態では、もし、レセプタクル12の遠位先端34がLUER(登録商標)取付具を組み込むなら、このLUER(登録商標)取付具は、米国特許第6,241,734号(その内容は、本明細書中で参考として援用されている)で開示されているように、骨充填装置と噛み合い得る。このLUER(登録商標)取付具がレセプタクル12の遠位先端34に組み込まれるとき、その組合せにより、複数の骨充填装置を直接満たすことが可能となる。他の実施形態では、もし、レセプタクル12の遠位先端34が、5ccまたは10ccの注射器の注射器本体と噛み合う取付具を取り込むなら、この注射器は、レセプタクル12内で、この混合物で満たされ得る。他の実施形態では、レセプタクル12の遠位先端34は、5ccまたは10ccの注射器本体内に嵌る配管を取り込み得、それにより、この注射器は、そのプランジャー末端から充填できるようになる。このような実施形態では、この配管は、この注射器のプランジャー開口部を通って挿入される。この注射器は、その遠位先端からその近位末端へと充填され、この配管は、この注射器を所望レベルまで満たしつつ、引き出される。
【0055】
図1Bで示したシステムは、使いやすさを高めて工程を少なくした別の特徴を含む。レセプタクル20は、分配要素22を閉鎖位置にして、キット200に包装される。混合する材料に加えて、密封されたキット200からシステム部品(レセプタクル12、混合要素16、アクチュエータ18、プランジャー20および漏斗10)を集めた後、医師または助手は、レセプタクル12の近位末端30内に漏斗10を位置付け、粉末化した成分をレセプタクル12に注ぐ。もし望ましいなら、液状モノマーを添加する前に、レセプタクル12には、粉末化した追加成分(例えば、(この混合物を放射線不透過性にするための)無菌硫酸バリウムまたは(感染を防止するための)抗生物質)が添加され得る。混合要素16およびアクチュエータ18は、先に記載したように、共に連結され、そしてレセプタクル12に挿入される。アクチュエータ18は、レセプタクル12の近位末端30にあるタブ36と係合するように位置付けられる。医師または助手は、今ここで、先に記載したように、アクチュエータ18を回転して、この材料を混合する。レセプタクル12内のモノマーのヒュームは、望ましくは、真空ホース付属品31により、レセプタクル12から排出され得る。この混合物を十分に混合した後、アクチュエータ18および混合要素16は、レセプタクル12から取り外されて、脇に置かれる。次に、プランジャー20は、レセプタクル12の近位末端30に挿入される。このシステムから、プランジャー20にある開口部103を通って、空気が自動的に掃き出される。次いで、残留空気/モノマーの混合物は、真空ホース付属品31により、レセプタクル12の内部ボア37から排出され得、医師または助手がモノマーのヒュームに晒されるのをさらに減らす。この混合物は、今ここで、移動する準備が出来ている。望ましくは、混合した材料は、米国特許第6,241,734号で開示されているように、この骨充填装置に直接移動される。この工程により、この材料を他の装置(例えば、注射器)に移動する必要がなくなり、これは、順に、米国特許第6,241,734号の装置を充填するのに使用される。この混合物は、プランジャー20を押し下げることにより、開放した分配要素22を通って、直接分配され得る。あるいは、この混合物の流れは、分配ハンドル123を回転してストップコック弁(図示せず)を開閉することにより、制御され得る。
【0056】
もし、別の骨充填材料の混合物が望ましいなら、または初期混合物が硬化および/または使用不可能になった後に追加の骨充填材料が必要になったら、使用済の混合要素16(これは、その上に骨充填材料を有する)は、アクチュエータ18から取り出されて、新しい混合要素16と交換され得、アクチュエータ18は、骨充填材料の追加バッチと混合するのに使用できるようになる。このような場合、キット200は、骨充填材料の複数バッチを混合させるために、複数のレセプタクル12、スタンド14、混合要素16、プランジャー20および分配要素22と共に、単一のアクチュエータ18および測定装置24を含むことができる。
【0057】
III.クローズドセメント混合および移動システム
何らかの理由のために、外科用材料からヒュームおよび/または蒸気が放出されることが望ましくない場合、医用材料(例えば、骨セメント)を調製および/または送達するために、クローズド混合および移動システムを使用することが有利であり得る。例えば、PMMA骨セメントの液状モノマー成分から生じるヒュームおよび/または蒸気は、非常に不快な臭いがあり得、これらのヒュームを吸入すると、患者だけでなく手術室にいる様々な人たちに対して、著しい健康上のリスクをもたらし得る。
【0058】
PMMA粉末および液状モノマー成分を含む骨セメントの場合、この液状モノマーは、典型的には、その粉末をプランジャー製の袋に含有させつつ、使用前に、ガラス製のジャーまたはアンプル内に密封される。このような包装の一例は、SimplexP(登録商標)PMMA骨セメントで見られ、これは、Howmedica Corporationから市販されている。このような骨セメントの粉末化成分は、一般に、不活性であり、(十分に乱されないなら)、空気で運ばれる傾向にはないものの、この液状モノマー成分は、非常に蒸気圧が低く、空気と接触すると、容易に気化する。
【0059】
一旦、液状モノマーを含有するガラス製アンプルが(典型的には、そのガラス製アンプルの壊れやすいキャップを壊すことにより)開くと、この液状モノマーは、大気に晒されて、直ちに気化し始める。さらに、その混合プロセス中にて、この液状モノマーは、気化し続け、また、その液状/粉末混合物から気体が除かれる。一旦、混合が完了すると、このモノマーは、この液体/粉末混合物が密封環境(例えば、注射器または他のクローズド分配装置または混合物を患者の体内に入れるとき)内に含まれる時点まで、この混合物から気体が除かれ続ける。この混合物を、その混合送達操作の実質的に全ての工程中に、密閉環境内に含めるまでなければ、従って、骨セメントの混合および分配中にて、相当量の気化したモノマーが手術室に放出され得る。
【0060】
図22および23は、セメント混合移動システムの代替実施形態を描写しており、これは、望ましくは、その手術室環境への気化したモノマーの放出をできるだけ少なくする。この実施形態では、レセプタクル12は、モノマー分配体400を取り込んでいる。モノマー分配体400は、保持クリップ405、格納チューブ410、破壊要素415、キャップ420、供給管腔425および通気管腔430を含む。望ましくは、この分配体は、レセプタクル12に固定されており、供給管腔425および通気管腔430は、そのレセプタクル壁にある1個以上の開口部(図示せず)を通って、レセプタクル12の内部と連絡している。分配体400は、種々の方法(例えば、クリップ、接着剤、溶接または当該技術分野で公知の他の方法)で、このレセプタクルに固定され得る。
【0061】
図23で示すように、固定シール448は、望ましくは、気密様式で、レセプタクル12の上部開口部と係合して、望ましくは、手術室環境からレセプタクル12を密封する。望ましくは、固定シール448の下で、レセプタクル12内には、滑りシール450が位置付けられる。これらのシール448および450は、種々の公知の密封材料(ラテックスゴムを含めて)を含有できる。望ましくは、シール448により、そのレセプタクルの内容物と大気との間で実質的に気密なシールを維持しつつ、混合要素16および心棒87の回転を可能にする。それに加えて、滑りシール450は、望ましくは、レセプタクル12内で、縦方向に移動できる。もし望ましいなら、この滑りシールは、内部スロットまたは開口部(図示せず)を組み込むことができ、これにより、混合要素16との実質的に気密なシールを維持しつつ、混合要素16の中心軸に沿って、滑りシール450を滑らせることが可能となる。
【0062】
この骨セメント混合物を調製するために、レセプタクル12には、測定量の粉末化PMMA成分が導入される。この混合要素およびアクチュエータは、次いで、シール448および450を密封してレセプタクル12と係合しつつ、このレセプタクルに装着される。液状モノマーを含有する密封ガラス製アンプル435は、格納チューブ410に挿入される。キャップ420は、チューブ410に設置され、この格納チューブを閉じて密封する。
【0063】
次いで、キャップ420は、アンプル435上に締められ、望ましくは、アンプル435を破壊要素415に強制的に接触させて、アンプル435を割る。この格納チューブには、望ましくは、液状モノマーが流入し、供給管腔425を通って、レセプタクル12内の粉末化成分と接触する。通気管腔425は、望ましくは、この格納チューブで形成できる真空を緩和する。
【0064】
これらの液状成分および粉末化成分は、今ここで、先に記載した様式で、混合される。一旦、混合が完了すると、アクチュエータ18および固定シール448にある開口部(図示せず)を通って、プランジャー460が挿入でき、それにより、滑りシール450は、レセプタクル12内で、この混合物に向かって前進できる。もし望ましいなら、滑りシール450は、ラビリンスシールまたは他の配置(これにより、空気は、この滑りシールを過ぎて流れることができる)を組み込むことができる。望ましくは、滑りシール450を過ぎて流れる空気および/または気化したモノマーは、固定シール448により、封じ込められる。滑りシール450は、一旦、このPMMA混合物と接触すると、望ましくは、この混合物を加圧して、これは、次いで、先に記載した様式で、分配できる。
【0065】
この実施形態を使うと、このPMMA混合物は、モノマーのヒュームを著しく放出することなく、この混合分配システムから分配できる。一旦、分配が完了すると、その全クローズドシステムは、安全に廃棄され得る。
【0066】
図24A、24B、25および26は、先に記載したクローズド混合移動システムと併用して有用な混合要素の種々の実施形態を描写している。これらの混合要素は、滑りシール450の前進およびPMMA混合物の分配を促進するために、混合が完了した後、崩壊および/または折り畳みに特によく適している。さらに具体的には、図24Aおよび24Bは、一連のセクション460を含む混合要素16の図を描写しており、これらのセクションは、この混合要素の回転に応答して、これらのPMMA成分を混合するが、圧縮したとき、望ましくは、滑りシール450の前進およびPMMA混合物の分配を可能にするように、アコーディオン様の様式で、折り畳まれる。図25は、螺旋状セクションを含む混合要素16を描写しており、このセクションは、混合要素16の回転に応答して、これらのPMMA成分を混合するが、圧縮したとき、望ましくは、滑りシール450の前進およびPMMA混合物の分配を可能にするように、バネ様の様式で、圧縮される。図26は、複数の螺旋セクションを含む混合要素16を描写しており、これらのセクションは、類似した様式で、作動する。
【0067】
本発明の特徴は、上記請求の範囲で述べられている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1Aおよび図1Bは、本発明の特徴を具体化する流動性材料を混合し分配するシステムの構成部品を含むキットの種々の実施形態の平面図である。
【図2】 図2Aおよび図2Bは、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなすレセプタクルの種々の実施形態の透視図である。
【図3】 図3は、図1Aで示したシステムの一部をなすスタンドの透視図である。
【図4】 図4は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなし得るアクチュエータの側面透視図である。図4A〜図4Fは、アクチュエータハンドル設計の代替実施形態の側面透視図である。
【図5】 図5Aは、図4で示したアクチュエータの下面図である。図5Bは、アクチュエータの代替実施形態の下面図である。
【図6】 図6Aは、図4で示したアクチュエータの分解透視図である。図6Bは、アクチュエータの代替実施形態の分解透視図である。
【図7】 図7は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなす混合要素の1実施形態の透視図である。
【図8】 図8は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなす混合要素の他の実施形態の透視図である。
【図9】 図9は、図1Aおよび1Bで示したシステムの一部をなす混合要素の他の実施形態の透視図である。
【図10】 図10は、図2で示したレセプタクルの透視図であり、これは、図3で示したスタンドに挿入され、この図はまた、このレセプタクルに追加される部品を示す。
【図11】 図11は、図8で示した混合要素の近位末端の透視図であり、これは、図4で示したアクチュエータの下半分の外側に挿入される。
【図12】 図12は、図13の組立図でも示すように、このアクチュエータ、混合要素、レセプタクルおよびスタンドアセンブリの分解図である。
【図13】 図13は、図12で示したアセンブリの透視図であり、これは、一方の手で握り手動回転しているアクチュエータを示し、また、操作者の他方の手で握っているレセプタクルを示し、このアクチュエータの回転は、このレセプタクルで材料を混合するのに役立つ。
【図14】 図14は、これらの材料をレセプタクル中で混合した後、そのレセプタクルに挿入されるプランジャーを示す透視図である。
【図15】 図15は、このレセプタクルから材料を分配する前に、そのレセプタクルから取り外されるスタンドを示す透視図である。
【図16】 図16は、この材料を含むレセプタクルに挿入されたプランジャーの透視図であり、これは、今ここで、分配する準備が出来ている。
【図17】 図17は、このレセプタクル内で混合される材料の透視図であり、これは、そのレセプタクルから分配される。
【図18】 図18は、図1Bで示したシステムの一部をなすアクチュエータの上半分の下面図である。
【図19】 図19は、空気掃き出し弁用の開口部を示すプランジャーアセンブリの透視図である。
【図20】 図20は、アセンブリを備えたディスペンサーの1実施形態の透視図であり、これは、図2Bのレセプタクルに固定する。
【図21】 図21は、任意の付属真空ラインを備えた図2Bのレセプタクルの透視図である。
【図22】 図22は、図21のレセプタクルの部分切取図である。
【図23】 図23は、図21のレセプタクルの他の部分切取図である。
【図24A】 図24Aは、図21のレセプタクルで使用するのに適した折り畳み可能混合要素の実施形態の透視図である。
【図24B】 図24Bは、図24Aの折り畳み可能混合要素の側面図である。
【図25】 図25は、図21のレセプタクルで使用するのに適した折り畳み可能混合要素の他の実施形態の透視図である。
【図26】 図26は、図21のレセプタクルで使用するのに適した折り畳み可能混合要素の他の実施形態の透視図である。
Claims (13)
- 骨充填材料を混合する装置であって:
該骨充填材料の成分を未混合状態で受容するための内部の周囲を取り囲む側壁を有するレセプタクルであって、近位末端領域および遠位末端領域を含み、ここで、該遠位末端領域が、該遠位末端領域に隣接し、かつ該レセプタクルの内部と連通する、該側壁上に形成された分配出口(34b)を備えるレセプタクルと;
該遠位末端領域の該分配出口に遠位方向で隣接して該レセプタクルに連結される基部(35)であって、該近位末端領域を直立状態に保持および支持し、そして使用の間に該レセプタクルが倒れないようなサイズおよび形態である基部と;
該成分を混合するために、該レセプタクルに挿入可能である混合要素と;
該混合要素用の手の平サイズの円筒形状のアクチュエータであって、駆動部材および被駆動部材を含み、該被駆動部材は、該駆動部材と連結され、そして該混合要素と取り外し可能に連結されているアクチュエータと、を備える、装置。 - 前記混合要素が、パドルを含み、該パドルが、回転に応答して前記成分を混合する、請求項1に記載の装置。
- 前記駆動部材が、前記パドルを回転する、請求項2に記載の装置。
- 前記混合要素が、前記成分の混合を促進する構造体を含む、請求項1に記載の装置。
- 前記構造体が、複数のアパーチャを含む、請求項4に記載の装置。
- さらに、プランジャーを含み、該プランジャーが、前記レセプタクルから充填材料を分配するために、前記混合要素を取り外した後、該レセプタクルに挿入可能である、請求項1に記載の装置。
- 前記ディスペンサーが、ノズルを含む、請求項1に記載の装置。
- 前記ディスペンサーが、取付具を含み、該取付具が、前記レセプタクルの遠位先端に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
- 前記ディスペンサーが、チューブを含み、該チューブが、前記レセプタクルの遠位先端に組み込まれている、請求項1に記載の装置。
- 前記アクチュエータが、遊星歯車配列を含み、該遊星歯車配列が、駆動部材を被駆動部材の回転を与える、請求項1に記載の装置。
- 前記駆動部材が、手動操作可能である、請求項1に記載の装置。
- 複数の骨充填装置をさらに備え、そして前記分配出口が、前記骨充填材料の混合された成分を該骨充填装置の各々に分配するための取付具を含む、請求項1に記載の装置。
- 前記プランジャーが、該プランジャーの進行の間に前記レセプタクル中の空気を掃き出す手段を含む、請求項6に記載の装置。
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