JP4173900B2 - 移動生物検知装置及び移動生物検知方法 - Google Patents
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Description
特に従来の人体検知装置は日照による影響を受けやすく、日照等によって床面が暖められて所定温度以上になると、当該温度変化によって人体を検知したものと誤認してしまったり、日照によって所定温度以上に暖められたカーテンが翻るなどしたときに人体を検知したものと誤認してしまったりしていた。
また、着用衣服等の影響によって人体の表面温度が人体温度(36℃程度)よりも低く検出されることがあるため、人体の検知感度を高くするためには検知領域の温度変化を判定する基準値(温度レベル)を低く設定しておくことが好ましいが、前記温度レベルを低くすると誤認が増加してしまうといった問題点があった。
また前記中心座標値の推移に対する周波数スペクトルを解析することによって、中心座標値の移動に規則性があるか否かを判定し、前記規則性がない場合には移動生物が存在すると判定するため、検知領域から検出される温度基準値(温度レベル)を低くして検知領域から検出する温度値を高感度にしても誤認を抑制することができ、移動生物を高精度で検知することができる。
本発明による移動生物検知装置10は、図1(a)に示すように、監視したい領域(以下、検知領域という)の天井等に設定され、赤外線の受光量によって物体の表面温度を計測できる赤外線検知素子(サーモパイル素子)を使用して検知領域内をある一定範囲(以下、区画という)毎に温度測定し、前記各区画毎の測定温度値に基づいて人体などの移動生物の存否を判定し、移動生物が存在すると判定したときは警報等を発報して検知領域内を監視・警備するものである。
そして前記温度検知部5では、赤外線検知素子3からの検知信号に基づいて複数の区画に区切られた検知領域に在る物体の表面温度を計測し、前記各区画毎の測定温度値を取得することができる。
また前記制御部6では、温度検知部5から出力される各区画毎の測定温度値を取得し、当該温度値に基づいて検知領域における移動生物の存否を判定し、移動生物が存在すると判定したときは出力部7から警報を発報するよう制御する。
そして、この中心座標値を時系列データとして記憶装置に記憶し、その時系列データから、ある一定時間範囲の時系列データを取得してその周波数スペクトルを求め、さらに前記周波数スペクトルを解析して前記時系列データの推移に規則性があるか否かを検出し、規則性がなければ移動生物が存在すると判定する。
この実施例では、8つの赤外線検知素子〔8×1〕によって、検知領域内を8つの区画〔8×1〕に区切るようにして各区画毎の検知信号がそれぞれ出力される。つまり各検知素子の座標値xが検知領域内の各区画の座標値に対応する。
そして、複数の区画に区切られた検知領域からの赤外線を受光してその受光量に応じた出力レベルの検知信号を出力する赤外線検知素子(x=1〜X)によって現時刻tnにおける検知領域の各区画毎の温度を測定し、前記8つの検知素子各々における測定温度値がそれぞれ所定温度(TPL)以上の温度であるか否かを判定し、所定温度以上の温度が検出された検知素子の座標値合計(sum_x)と、所定温度以上の温度が検出された検知素子の数(count_x)とを算出し、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値(average_x(tn)=sum_x/count_x)を求める。
なお各検知素子の座標値を「x=1,2,3,4,5,6,7,8」と定義し、検知素子の最小座標値(初期値)を「1」、最大座標値を「X=8」とする。
また図2(b)に示すように、現時刻tnにおける測定温度値tn[x]が所定温度以上であると判定された検知素子が、座標値3の検知素子と座標値4の検知素子である場合(図中のドット領域を参照)、中心座標値(average_x(tn)=sum_x/count_x)は、「3.5」として求められる。つまり、複数の区画〔8×1〕に区切られた検知領域において所定温度以上の温度が検出された全区画の中心座標値は、「3.5」として求められる。
制御部6は一定時間毎に温度検知部5から逐次入力される出力信号(検知素子毎の測定温度値)をもとに所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値を求めるとともに、現時刻までに求まっている時系列の値(中心座標値の時系列データ)を用いて周波数スペクトルを解析し、移動生物の存否を判定する。
この実施例では、各検知素子の座標値が検知領域の各区画の座標値に対応するため、所定温度以上の温度が検出された検知素子の座標値を求めることによって、検知領域において所定温度以上の温度が検出された区画の座標値(位置)が求められる。つまり、各検知素子毎の座標値およびその測定温度値とから、検知領域の各区画で発生した温度変化の時系列推移を求めることができる。
なお各検知素子毎に現時刻tnにおける測定温度値tn[x]を取得して温度判定(TPL検出)し、所定温度(TPL)以上の温度が検出された検知素子の中心座標値を求めるにあたって、温度判定(TPL検出)の対象となる検知素子を一つずつ隣に移行しながら温度判定を繰り返すことによって全検知素子をそれぞれ温度判定し、検知素子毎の測定温度値に基づいて所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値を取得する。
また温度判定の対象となる検知素子の座標値xが最大座標値(X=8)を超えないかを判定し(ステップS2)、超えない場合は当該検知素子の測定温度値が所定温度以上であるか否かを判定する(ステップS3)。
一方、現時刻tnにおける測定温度値tn[x]が所定温度(TPL)以上でない場合(NO)、ステップS4とS5を経ずに温度判定の対象となる検知素子を隣に1つ移行させ(ステップS6)、ステップS2へ戻る。
つまり「現時刻よりも一定時間過去にさかのぼった時刻(tn−(N−1))」から「現時刻(tn)」までの一定時間範囲において離散フーリエ変換をする。
そして所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値の時系列データ(average_x(t),tn−(N−1)≦t≦tn)をもとに、周波数スペクトルFx(m)(m=0〜M,M≦N)を計算し、その周波数スペクトルFx(m)(m=0〜M,M≦N)を解析することによって中心座標値の移動に規則性が在るか否かを判定し、移動に規則性が無い場合、移動生物が存在すると判定する。
表記の簡略化のため、中心座標値の時系列データ(average_x(t),tn−(N−1)≦t≦tn)を(average_x(n),0≦n≦(N−1))と表わしている。
図4(a)は、温度検知部5から逐次入力される検知素子毎の測定温度値に基づいて、過去のある時刻から現時刻まで一定時間範囲、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値の時系列データ(average_x(t),tn−(N−1)≦t≦tn)を示すものであって、中心座標値の移動に規則性がない状態を示すものである。
図4(b)は、図4(a)に示す時系列データをフーリエ変換によって周波数スペクトルFx(m)を求めたデータを示すものであって、中心座標値の移動に規則性が無い場合、スペクトル強度判定基準値Sを連続して超えるFx(m)の数、つまり、離散帯スペクトル幅値Bが規則性判定基準値Tよりも大きくなる。つまり規則性判定基準値Tよりも長い帯スペクトルが検出される。
なお周波数スペクトルの解析に用いるスペクトル強度判定基準値Sや、規則性判定基準値Tは、移動生物を検知する環境や条件によって予め適当な値を設定しておく。
また周波数スペクトル解析の対象となる離散周波数サンプル番号(m)が最大値(M)を超えないかを判定し(ステップS12)、超えない場合は当該サンプルの周波数スペクトルFx(m)がスペクトル強度判定基準値S以上であるか否かを判定する(ステップS13)。
そして、周波数スペクトルがスペクトル強度判定基準値Sを超えない場合は離散帯スベクトル幅値Bを0とした後(ステップS14)、次のサンプルに移行する(ステップS17)。
そして規則性判定基準値T以上のときは、中心座標値の移動に規則性が無いと判定し、人体などの移動生物が存在する(有人)と判定する(ステップS18)。
また規則性判定基準値T未満のときは、次のサンプルに移行する(ステップS17)。
そしてステップS12においてサンプル番号mが総サンプル数Mよりも大きくなったら、つまり全サンプルについて解析したら、規則性判定基準値T以上の離散帯スペクトル幅値Bが存在せず中心座標値の移動に規則性があると判定し、検知領域に所定温度以上の温度範囲が発生してもそれは人体などの移動生物によるものではないと判定し、移動生物が存在しない(無人)と判定する(ステップS19)。
図6は、移動生物に起因しない環境下における、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値の時系列データと周波数スペクトルデータとを示すグラフである。
熱源が移動生物に起因するものではなく移動性がない場合、図6(a)に示すように、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値が移動せず、時系列データをフーリエ変換して周波数スペクトルを解析すると、規則性判定基準値T以上の離散帯スペクトル幅値Bが検出されない。
また日照によって暖められた床面のように熱源がゆっくりと規則性をもって移動する場合、図6(b)に示すように、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値がゆっくりと規則性をもって移動し、時系列データをフーリエ変換して周波数スペクトルを解析すると、規則性判定基準値T以上の離散帯スペクトル幅値Bが検出されない。
さらに日照によって暖められたカーテンの翻りのように熱源が規則性(周期性)をもって移動する場合、図6(c)に示すように、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値が規則性をもって移動し、時系列データをフーリエ変換して周波数スペクトルを解析すると、規則性判定基準値T以上の離散帯スペクトル幅Bが検出されない。
つまりこの実施例では、検知素子毎に測定温度値を取得して所定温度以上の温度が検出されるか否かを判定し、所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値を求めることによって、検知領域における各区画毎の測定温度値を取得して所定温度以上の温度であるか否かを判定し、所定温度以上の温度が検出された全ての区画に対応する中心座標値を求める。
そして、前記中心座標値を時系列データとして記憶し、この時系列データから、ある一定時間範囲の時系列データを取得してその周波数スペクトルを解析し、前記時系列データの推移に規則性があるか否かを検出する。そして、規則性が無い場合は移動生物が存在すると判定する。
この実施例では、64の赤外線検知素子〔8×8〕によって、検知領域内を64の区画〔8×8〕に区切るようにして各区画毎の検知信号がそれぞれ出力される。つまり、各検知素子の座標値が検知領域の各区画の座標値に対応する。
そして、複数の区画に区切られた検知領域からの赤外線を受光してその受光量に応じた出力レベルの検知信号を出力する赤外線検知素子(x=1〜X,y=1〜Y,)によって検知領域を区画毎に温度測定し、前記64の検知素子各々における測定温度値がそれぞれ所定温度(TPL)以上であるか否かを判定し、所定温度以上の温度が検出された検知素子の座標値合計(sum_x、sum_y)と、所定温度以上の温度が検出された検知素子の数(count_x、count_y)とをx座標値とy座標値毎に算出し、所定温度以上の温度が検出された検知素子のx座標における中心座標値(average_x(tn)=sum_x/count_x)と、y座標における中心座標値(average_y(tn)=sum_y/count_y)とを求める。
なお、各検知素子のx座標値を「x=1,2,3,4,5,6,7,8」と定義するとともに、y座標値を「y=1,2,3,4,5,6,7,8」と定義し、各最小座標値(初期値)を「1」、最大座標値X,Yをそれぞれ「8」とする。
また図7(b)に示すように、現時刻tnにおける測定温度値tn[x,y]が所定温度以上であると判定された検知素子が、座標値(3,3)≦(x,y)≦(4,3)の検知素子の場合、x座標における中心座標値(average_x(tn)=sum_x/count_x)は「3.5」、y座標における中心座標値(average_y(tn)=sum_y/count_y)は「3」として求められる。つまり、複数の区画〔8×8〕に区切られた検知領域において所定温度以上の温度が検出された全区画の中心座標値は、x座標における中心座標値が「3」、y座標における中心座標値が「3.5」として求められる。
なおこの実施例でも、第1実施例と同様に、各検知素子の座標値が検知領域の各区画の座標値に対応するため、所定温度以上の温度が検出された検知素子の座標値を求めることによって、検知領域で所定温度以上の温度が検出された区画の座標値(位置)が求められ、各検知素子の座標値およびその測定温度値とから、検知領域の各区画で発生した温度変化の時系列推移を求めることができる。
なお検知素子毎に取得した測定温度値(tn[x,y])を温度判定(TPL検出)し、所定温度(TPL)以上の温度が検出された検知素子の中心座標値を求めるにあたって、温度判定(TPL検出)の対象となる検知素子を一つずつ隣に移行しながら温度判定を繰り返すことによって全検知素子をそれぞれ温度判定し、検知素子毎の測定温度値に基づいて所定温度以上の温度が検出された検知素子の中心座標値を取得する。
また温度判定の対象となる検知素子(x,y)のx座標値が最大座標値(X=8)を超えないかを判定するとともにy座標値が最大座標値(Y=8)を超えないか判定し(ステップS22,S23)、何れも超えない場合は当該検知素子の測定温度値が所定温度以上であるか否かを判定する(ステップS24)。
一方、現時刻tnにおける測定温度値tn[x,y]が所定温度(TPL)以上でない場合(NO)、ステップS25とS26を経ずに検知素子を隣に1つ移行させ(ステップS27)、ステップS23へ戻りステップS24からS27の工程を繰り返す。
なおステップS23の判定でx座標値が最大座標値(X=8)を超えた場合は、y座標値に1を加算し、かつx座標値を最小座標値(初期値)「1」にしてから(ステップS28)、ステップS22へ戻り、ステップS23からS28の工程を繰り返す。
つまりx座標とy座標の時系列データのそれぞれについて、「現時刻よりも一定時間過去にさかのぼった時刻(tn−(N−1))」から「現時刻(tn)」までの一定時間範囲において離散フーリエ変換をする。
そして所定温度以上の温度が検出された検知素子のx座標における中心座標値の時系列データ(average_x(t),tn−(N−1)≦t≦tn)をもとに、M個の周波数スペクトルFx(m)を計算するとともに、所定温度以上の温度が検出された検知素子のy座標における中心座標値の時系列データ(average_y(t),tn−(N−1)≦t≦tn)をもとに、M個の周波数スペクトルFy(m)を計算し、これらの周波数スペクトルFx(m)、Fy(m)をそれぞれ解析することによって中心座標値の移動に規則性が在るか否かを判定し、移動に規則性が無い場合、移動生物が存在すると判定する。
また何れの周波数スペクトル解析においても、規則性判定基準値T以上の離散帯スペクトル幅値Bが存在しなかった場合は、所定温度以上である検知素子の中心座標値の移動に規則性があると判定し、検知領域に所定温度以上の温度範囲が発生してもそれは人体などの移動生物によるものではないと判定し、移動生物が存在しない(無人)と判定する。
2 光学フィルタ
3 赤外線検知素子
4 増幅部
5 温度検知部
6 制御部
7 出力部
10 移動生物検知装置
Claims (2)
- 複数の区画に区切られた検知領域から各区画毎の赤外線を受光してその各受光量に応じた出力レベルの検知信号を出力するように構成された赤外線検知素子と、この赤外線検知素子から出力される各検知信号に基づいて各区画毎の測定温度値を取得する温度検知部と、前記温度検知部からの各区画毎の測定温度値に基づいて検知領域の移動生物を検知する制御部と、前記制御部の制御によって生物検知警報を発報する出力部とから構成される移動生物検知装置において、
温度検知部から出力される各区画毎の測定温度値に基づいて、所定温度以上の温度が検出された区画を検出して検知領域における所定温度以上の全区画に対応する中心座標値を求めるとともに、この中心座標値を時系列データとして記憶装置に記憶し、その時系列データから、ある一定時間範囲の時系列データを取得してその周波数スペクトルを求め、
さらにこの算出された周波数スペクトルに予め閾値が設定され、
前記設定された閾値を連続して超えている帯域の合計値があらかじめ決められた値より大きいか否かを判定することにより前記時系列データの推移に規則性があるか否かを検出し、規則性がなければ移動生物が存在すると判定することを特徴とする移動生物検知装置。 - 複数の区画に区切られた検知領域の各区画毎の測定温度値に基づいて検知領域の移動生物を検知する方法において、
検知領域の各区画毎に測定温度値を取得して所定温度以上が検出されるか否かを判定し、所定温度以上の温度が検出された全ての区画に対応する中心座標値を求める工程と、
前記工程によって算出される中心座標値を時系列データとして記憶し、この時系列データから、ある一定時間範囲の時系列データを取得してその周波数スペクトルを算出する工程と、
前記算出した周波数スペクトルが、予め設定された閾値を連続して超えている帯域の合計値があらかじめ決められた値より大きいか否かを判定することによりその時系列データの推移に規則性があるか否かを検出し、規則性が無い場合は移動生物が存在すると判定する工程とによって、
検知領域における移動生物の存否を判定することを特徴とする移動生物検知方法。
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