JP4172022B2 - トンネルの拡幅方法及びトンネルの縮幅方法 - Google Patents

トンネルの拡幅方法及びトンネルの縮幅方法 Download PDF

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Description

本発明は、トンネルの拡幅方法及びトンネルの縮幅方法に関する。
従来より地下鉄トンネルや道路トンネルには、駅部や非常駐車帯を設置する必要があるため、途中に標準断面に拡幅断面を合わせた拡大断面を有する拡大坑を備える必要が生じる場合が多い。このようなトンネルをシールド工法で築造する場合、セグメントをシールド掘削機の内部で構築することからシールドトンネルの大きさや形状は、シールド掘削機自身の大きさや形状に左右される。したがって、シールドトンネルでは、その断面を全線にわたって拡大断面とすることとなり不経済となっていた。
このような中、特許文献1に示すように、シールド掘削機を標準断面と拡幅断面を合わせた拡大断面に製造し、拡大断面部ではシールド掘削機の全断面を使用して拡大断面のトンネルを築造し、標準断面部では拡幅断面の形状と等しい止水ブロックをシールド掘削機の内部に設置し、残りの空間で標準断面のトンネルを築造する方法が開発されている。
特許2799905号公報(図1参照)
しかし、上述するようなシールドトンネルの築造方法は、断面を標準断面から拡大断面に切り替える際に止水ブロックをシールド掘削機の外方に排出し、地山と標準断面との間に生じる余堀り部に残置する。このため、全長にわたり拡幅や縮幅を繰り返すようなシールドトンネルでは、複数の止水ブロックを製作しておく必要があり経済性に欠ける。
上記事情に鑑み、本発明は、簡略な構成でかつ経済的にトンネルの拡幅及び縮幅を実施できるトンネルの拡幅方法及びトンネルの縮幅方法を提供することを目的としている。
請求項1記載のトンネルの拡幅方法は、標準断面を有する一般坑と、該一般坑に拡幅断面を有する拡幅坑を合わせた拡大断面よりなる拡大坑の両者を築造するシールド掘削機を用いたトンネルの拡幅方法であって、前記シールド掘削機は、前記拡大断面と同様の断面を有するスキンプレートと、該スキンプレートの前方に位置し一般坑及び拡幅坑を掘削するカッタと、前記スキンプレートの後方の内周面とリング状に組み立てた標準断面セグメントの外周面との間に着脱自在、かつトンネルの軸方向にスライド可能に配され、前記拡幅断面と同様の断面形状を有する仮テール部材を備えてなり、前記シールド掘削機を用いて標準断面と拡幅断面を合わせた拡大断面で掘進しながら、前記仮テール部材を装着した前記スキンプレート内で標準断面セグメントを組み立て、掘削後の標準断面領域に一般坑を構築する第1の工程と、トンネルの掘進方向に前記仮テール部材をスライドさせて、掘進方向最前部に位置する標準断面セグメントに隣り合わせて拡幅断面領域を密閉する止水壁を構築した後、前記スキンプレートから仮テール部材を撤去する第2の工程と、掘進方向最前部に位置する前記標準断面セグメント及び止水壁に、拡大断面セグメントを組み立てながら掘進し、掘削後の拡大断面領域に拡大坑を構築する第3の工程よりなることを特徴としている。
請求項2記載のトンネルの縮幅方法は、標準断面を有する一般坑と、該一般坑に拡幅断面を有する拡幅坑を合わせた拡大断面よりなる拡大坑の両者を築造するシールド掘削機を用いたトンネルの縮幅方法であって、前記シールド掘削機は、前記拡大断面と同様の断面を有するスキンプレートと、該スキンプレートの前方に位置し一般坑及び拡幅坑を掘削するカッタと、前記スキンプレートの後方の内周面とリング状に組み立てた標準断面セグメントの外周面との間に着脱自在、かつトンネルの軸方向にスライド可能に配され、前記拡幅断面と同様の断面形状を有する仮テール部材を備えてなり、前記シールド掘削機を用いて標準断面と拡幅断面を合わせた拡大断面で掘進しながら前記仮テール部材を撤去した前記スキンプレート内で拡大断面セグメントを組み立て、掘削後の拡大断面領域に拡大坑を構築する第1の工程と、掘進方向最前部に位置する拡大断面セグメントの拡幅断面領域を封止板で密閉するとともに、標準断面領域に標準断面セグメントを組み立てた後、前記スキンプレートの所定位置に前記仮テール部材を装着する第2の工程と、第2の工程で組み立てた標準断面セグメントに続けて標準断面セグメントを組み立てながらを掘進し、掘削後の標準断面領域に一般坑を構築する第3の工程よりなることを特徴としている。
請求項1に記載のトンネルの拡幅方法によれば、一般坑の掘進方向最前部に隣接して拡幅断面領域を密閉する止水壁を構築し、請求項2に記載のトンネルの縮幅方法によれば、拡大坑の掘進方向最前部で拡大坑の標準断面部に標準断面セグメントを組み立て、また拡幅断面部にこれを密閉する封止板を設置することから、該封止板もしくは止水壁で拡幅断面領域をトンネル軸線方向の前後で遮断することにより、一般坑に隣接して位置し余堀り部に該当する領域を簡略な構成で封鎖できる。これにより、トンネルを一般坑から拡大坑へ、もしくは拡大坑から一般坑へ切り替える際にも一般坑に隣接する余堀り部を容易に止水できるため、拡大坑への漏水を効率よく抑制でき、作業性が良く工費削減、工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
また、シールド掘削機による掘削断面は拡大断面のままであるから、シールドトンネルが全長にわたり拡縮を繰り返しても地盤に影響を与えることが少ない。
さらに、掘進するに従い地盤条件が変化するような地盤に対してシールドトンネルを構築する場合にも一様な手順で機械的にシールドトンネルを構築することができるため、地盤改良による拡幅方法と比較して作業性が良く、安全で高品質なシールドトンネルを構築することが可能となる。
本発明のトンネルの拡幅方法及びトンネルの縮幅方法の実施の形態およびそれに用いるシールド掘削機について、図1から図8に示す。本発明は、トンネルの拡大断面に相当する断面を有するスキンプレートと、該スキンプレートの後方に脱着自在に設置されている拡幅断面に相当する断面に成形された仮テール部材を備えたシールド掘削機を用いて、該仮テール部材を適宜脱着しながら掘進することにより、標準断面と、該標準断面に拡幅坑を合わせた拡大断面の両断面のトンネルを築造するものである。
(第1の実施の形態)
図1(a)に示すように、シールド掘削機1は、標準断面を有する一般坑14aと、これに隣接する拡幅断面を有する拡幅坑14bを合わせた拡大断面を有する拡大坑14cの両者を備えたシールドトンネル14を築造する装置であり、スキンプレート2、カッタ3及び仮テール部材7を備えている。
本実施の形態では、図8(c)に示すように、一般坑14aの断面形状が円、拡幅坑14bの断面形状が向かい合う2辺を湾曲させた略長方形、拡大坑14cの断面形状がこれら一般坑14aと拡幅坑14bの両断面を組み合わせた複合断面に形成されている。しかし、これらの断面形状は必ずしもこれにこだわるものではなく、例えば、図8(d)に示すように、拡幅坑14bの断面で一般坑14aを囲うようなリング形状に形成する等、何れに形成しても良い。
前記スキンプレート2は、シールド掘削機1の外郭をなす筒体であり、その断面は前記シールドトンネル14の拡大坑14cに相当する形状を有している。また、該スキンプレート2の前方に備えられている前記カッタ3は、図1(b)に示すように、一般坑14aに相当する領域を掘削する円盤状のカッタ3aと、拡幅坑14bに相当する領域を掘削する略四角盤状のカッタ3bを備えている。該カッタ3は、前方に設置されたカッタビット3cを回転させて地山を掘削するものであり、該シールド掘削機1は、常に地山15を拡大坑14cに相当する断面で掘削する。
また、該シールド掘削機1は、図2(a)の鉛直断面図に示すように、前記スキンプレート2の内方で前記カッタ3の背面に掘削土砂を取り込むチャンバ4、該チャンバ4に収容された掘削土砂を排土する排土装置5を備えており、また、スキンプレート2の内壁には、周方向に所定の離間間隔をもって配置され、掘進方向に伸長して推力受けピース10あるいはスキンプレート2の後方でリング状に組み立てられるセグメント9を押圧し、シールド掘削機1を掘進させる押圧ジャッキ11を備えている。
さらに、前記スキンプレート2の後方の内壁には、前記セグメント9の外周面に接するテールパッキン6を備えている。該テールパッキン6は、ワイヤーブラシを多重に取り付けた構成を用いているが、裏込め注入材や地下水がスキンプレート2内に流入する現象を阻止できるものであれば、何れを用いても良い。
このような構成の該シールド掘削機1は、図2(b)の水平断面図に示すように、前記スキンプレート2の後方の内壁で、前記シールドトンネル14の拡幅坑14bに相当する領域を掘削するカッタ3bと掘進方向で同軸状の位置に仮テール部材7を備えており、また仮テール部材7と隣接する前記テールパッキン6の近傍には、該テールパッキン6を格納する格納鉄板12が備えられている。
前記仮テール部材7は、前記スキンプレート2の後方で前記セグメント9を組み立てる位置に配置されており、一般坑14aを構築する際に用いられるものである。したがって、図8(a)に示すように、拡幅坑14bと略同様の断面形状、つまり、拡幅坑14bと同様の断面形状から前記スキンプレート2に備えられているテールパッキン6の突出幅を差し引いた断面形状を有している。
該仮テール部材7のテールパッキン6と隣接する側面は、前記格納鉄板12に対して平行に成形されており、両者間には止水を目的としたゴム材等の止水部材13が設置されている。一方、該仮テール部材7の標準断面のセグメント9aと向かい合う側面には、該標準断面のセグメント9aの外周面に接して、前記スキンプレート2に備えられているものと同様の機能を有するテールパッキン6が設けられている。
また、該仮テール部材7は、前記スキンプレート2に対して着脱自在に設置されており、シールドトンネル14の一般坑14aを構築したい場合にはこれを装着し、拡大坑14cを構築したい場合には撤去することにより、その断面形状に応じたセグメント9を容易に組み立てることができるものである。
さらに、該仮テール部材7は、前記スキンプレート2に対してトンネルの軸線方向で前記格納鉄板12に沿うようにスライド自在に設置されており、前記スキンプレート2内の前記セグメント9を組み立てる位置よりも掘進方向に移動することができる構成となっている。
加えて、該仮テール部材7には、裏込め注入機構8と硬化材注入機構17が設置されており、裏込め注入機構8は注入管8a及び吐出口8bを備えている。これは、シールドトンネル14の拡大坑14cを築造する際には拡幅坑14bに相当する領域が、一般坑14aを築造する際には余堀り部となることから、一般坑14aを築造する際にこの余堀り部に裏込め注入材16を注入するものである。
なお、裏込め注入機構8は、前記注入管8aより裏込め注入材16を供給され、前記吐出口8bを介して余堀り部に吐出するものであり、前記注入管8aは裏込め注入材16を供給できる装置であれば何れに連結しても良い。本実施の形態では、掘削土砂の再利用を目的に、注入管8aをチャンバ4に排土装置5を介して連通する構成とし、掘削土砂にセメントや水及び混和剤を供給して裏込め注入材16に加工し、これを裏込め注入機構8へ供給している。
一方、前記硬化材注入機構17は、シールドトンネル14を一般坑14aから拡大坑14cに切り替える際に用いられるもので、図3(b)に示すように、一般坑14aを築造する際には余堀り部となる拡幅断面1bを有する領域の一部に硬化材を注入し第1の止水壁18を構築するものである。少なくとも該第1の止水壁18を構築することにより拡幅断面1bを有する領域は、トンネル軸線方向の前後で遮断されることから、これをシールドトンネル14の一般坑14aから拡大坑14cへの切り替位置に構築することにより、一般坑14aに隣接する拡幅断面1bを有する領域の一方側、つまり余堀部を止水できるため、拡幅断面1bを有する領域の他方側に拡大坑14cを構築しても漏水が生じる等の現象を抑制できるものである。
なお、これら裏込め注入機構8及び硬化材注入機構17は、必ずしも仮テール部材7に備える必要はなく、前記スキンプレート2に別途備える構成としても良いし、セグメント9aに備えても良い。
上述する構成のシールド掘削機1を用いたトンネルの拡幅方法及び縮幅方法を以下に示す。なお、トンネルの拡幅とは、シールドトンネル14を一般坑14aから拡大坑14cに切り替えることであり、トンネルの縮幅とは、シールドトンネル14を拡大坑14cから一般坑14aに切り替えることである。
まず、トンネルの拡幅方法を図3から図5を参照しながら詳述する。なお、図3から図5は、シールド掘削機1及びシールドトンネル14の水平断面を示したものである。
(拡幅方法:第1の工程)
図3(a)に示すように、前記シールド掘削機1を用いて標準断面1aと拡幅断面1bを合わせた拡大断面で地山15を掘削しながら、前記仮テール部材7及び格納鉄板12を装着した前記スキンプレート2内で標準断面セグメント9aを組み立て、標準断面1aを有する領域にシールドトンネル14の一般坑14aを構築する。
このとき、前記標準断面セグメント9aと地山15との間に形成されている拡幅断面1bを有する領域は余堀り部となるから、該余堀部に前記仮テール部材7に備えられた裏込め注入機構8を用いて裏込め注入材16を充填し、地山の安定を確保しておく。
(拡幅方法:第2の工程)
次に、シールドトンネル14の拡大坑14cの構築に切り替える手前で、前記仮テール部材7をトンネルの掘進方向にスライドさせる。このときの移動量は、該仮テール部材7の一部が、前記一般坑14aの掘進方向最前部に位置する標準断面セグメント9aに隣接する範囲内としている。
次に、図3(b)に示すように、該仮テール部材7、前記格納鉄板12及び前記一般坑14aの掘進方向最前部に位置する標準断面セグメント9aに囲われた領域に、前記硬化材注入機構17を介して硬化材を充填し、第1の止水壁18を構築する。
この後、図3(c)に示すように、前記スキンプレート2から仮テール部材7を撤去し、該仮テール部材7が設置されていた位置、つまり第1の止水壁18、前記一般坑14aの掘進方向最前部に位置する標準断面セグメント9a、前記格納鉄板12により囲まれる領域に、第2の止水壁19を構築する。
このとき、鋼板よりなる封止板20を、一端が前記格納鉄板12に当接するとともに他端が前記標準断面セグメント9aに当接し、前記一般坑14aの掘進方向最前部に位置する標準断面セグメント9aのトンネル掘進方向側の端面と同一平面形成するように配置し、これを第2の止水壁19を構築する際の捨て型枠とする。
ここで、前記第1の止水壁18及び第2の止水壁19は、掘削後の拡幅断面1bを有する領域をトンネル軸線方向の前後で遮断するものであるが、何れもスキンプレート2内で構築されており、前記格納鉄板12を型枠の一部として構築されている。したがって、前記封止板20との当接位置で該格納鉄板12を切断することにより、図3(c)及び図8(b)に示すように、格納鉄板12は第1の止水壁18及び第2の止水壁19の捨て型枠となり、またスキンプレート2から撤去される。
(拡幅方法:第3の工程)
次に、前記一般坑14aの掘進方向最前部に位置する標準断面セグメント9a及び第2の工程で構築した前記第1の止水壁18、第2の止水壁19及び封止板20に対して、図4(a)(b)に示すように、拡大断面セグメント9cを前記スキンプレート2内で組み立てながら掘進し、シールドトンネル14の拡大坑14cを構築する。これにより、シールドトンネル14は一般坑14aから拡大坑14cに拡幅される。
なお、本実施の形態において、拡大坑14cは、一般坑14aと拡幅坑14bが連通した断面を有する形状に築造されているが、必ずしもこれにこだわるものではない。例えば、図5(a)(b)に示すように、拡大断面セグメント9cに代わって掘削断面のうち標準断面1aを有する領域に標準断面セグメント9a、拡幅断面1bを有する領域に拡幅断面セグメント9bを各々断面方向に隣り合わせた配置し、拡大坑14cのトンネル内が断面方向で左右に分割されている構成とする等、築造したい拡大坑14cの形状に応じて、適宜拡大坑14cに用いるセグメントの形状を選択すればよい。
また、前記拡幅断面1bを有する領域において、前記シールドトンネル14の一般坑14aから拡大坑14cへの切り替位置に、第1の止水壁18、第2の止水壁19及び封止板20を構築したため、拡幅断面1bを有する領域はトンネル軸線方向の前後に遮断されることから、一般坑14aに隣接し前記裏込め注入材16が注入されて余堀り部となっている拡幅断面1bを有する一方の領域が止水されるため、他方の領域に拡大坑14cを構築しても漏水が生じる等の現象を抑制できるものである。
さらに、先にも述べたように、前記シールド掘削機1は、スキンプレート2の内壁に周方向に所定の離間間隔をもって配置された押圧ジャッキ11を掘進方向に伸長し、スキンプレート2の後方で組み立てられる前記セグメント9あるいは推力受けピース10を押圧しながら掘進する。したがって、前記封止板20を介して第2の止水壁19に拡大断面セグメント9cもしくは拡幅断面セグメント9bを当接することにより、これらから第2の止水壁19へ伝達される押圧力が、局部的な作用から封止板20の面全体での作用に分散されるため、第2の止水壁19や拡大断面セグメント9cもしくは拡幅断面セグメント9bが破壊されることのない安全なシールドトンネル14を築造することができるものである。
次に、トンネルの縮幅方法を図6を参照しながら詳述する。なお、図6もシールド掘削機1及びシールドトンネル14の水平断面を示したものである。
(縮幅方法:第1の工程)
図6(a)に示すように、前記シールド掘削機1を用いて標準断面1aと拡幅断面1bを合わせた拡大断面で地山15を掘削しながら前記仮テール部材7及び格納鉄板12を撤去した前記スキンプレート2内で拡大断面セグメント9cを組み立て、掘削後の拡大断面領域にシールドトンネル14の拡大坑14cを構築する。
(縮幅方法:第2の工程)
次に、前記拡大坑14cの掘進方向最先端に位置する拡大断面セグメント9cの掘進方向側の端面で拡幅断面1bを有する領域に前記封止板20を設置して拡幅断面1bを有する領域を密封するとともに、標準断面1aを有する領域に標準断面セグメント9aを組み立てる。この後、図6(b)に示すように、前記シールド掘削機1を掘進し、前記スキンプレート2の所定位置に前記仮テール部材7を装着する。
なお、前記封止板20は、あらかじめ拡大断面セグメント9cに一体的に固定しておき封支板付き拡大断面セグメントとしてこれを前記拡大坑14cの掘進方向最先端に組み立てても良い。
なお、シールドトンネル14を縮幅した後の作業として、シールドトンネル14の拡幅を行わず拡大坑14cを構築しない場合には、このまま第3の工程を実施するが、再度、拡大坑14cを構築しシールドトンネル14を拡幅する場合には、前記スキンプレート2に前述した格納鉄板12を装着する必要がある。以下に、前記スキンプレート2に格納鉄板12を装着する場合の装着方法を簡略に示す。
前述したように、シールドトンネル14の一般坑14aの構築への切り替え位置で拡大坑14cに標準断面セグメント9a及び前記封止板20を設置した後、前記シールド掘削機1を掘進する前に、図7(a)に示すように、前記拡大坑14cの掘進方向最先端に位置する拡大断面セグメント9cの掘進方向側の端面で拡幅断面1bを有する領域内の前記テールパッキン6が接触する位置に、前記格納鉄板12を仮留めする。なお、該格納鉄板12は、掘進に伴い前記テールパッキン6が移動する位置に沿って延在するように配置する。なお、上述したように拡大断面セグメント9cと封止板20とをあらかじめ一体的に固定しておいても良い。
次に、図7(b)に示すように、前記シールド掘削機1を掘進することにより、前記テールパッキン6を移動させて、該テールパッキン6を前記格納鉄板12内に格納し、該格納鉄板12をスキンプレート2に固定するとともに、拡大断面セグメント9cから開放する。この後、前記スキンプレート2の所定位置に前記仮テール部材7を装着する。
(縮幅方法:第3の工程)
図6(c)に示すように、第2の工程で組み立てた標準断面セグメント9aに続けて標準断面セグメント9aを組み立てながら前記シールド掘削機1を掘進し、掘削後の標準断面1aを有する領域にシールドトンネル14の一般坑14aを構築する。これにより、シールドトンネル14は拡幅坑から一般坑14aに縮幅される。
このとき、前記標準断面セグメント9aと地山との間に形成されている拡幅断面1bを有する領域は余堀り部となるから、該余堀り部に前記仮テール部材7に備えられた裏込め注入機構8を用いて裏込め注入材16を充填し、地山の安定を確保しておく。なお、前記封止板20で前記拡大坑14cと余堀り部となる領域を遮断しているため、これら裏込め注入材16が拡大坑14cに漏出することはない。
上述する構成のシールド掘削機1によれば、前記スキンプレート2の後方に着脱可能に設置されている仮テール部材7を撤去することで拡大断面セグメント9c、装着することで標準断面セグメント9aの両者を組み立てることができるため、その構成が簡略で作業性が良く、工費削減及び工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
また、前記仮テール部材7は繰り返し使用することができるため、シールドトンネル14が全長にわたり拡縮を繰り返す場合にも新たなに仮テール部材7を製作する必要がないため、経済的に一般坑14a及び拡大坑14cの両者を備えるシールドトンネル14を構築することが可能となる。
また、前記裏込め注入機構8とチャンバ4を連通することにより、掘削土砂を該チャンバ4から前記裏込め注入機構8に供給できることから、供給途中で掘削土砂にセメント水及び混和剤を配合することにより、掘削土砂を加工して裏込め注入材16として再利用した上で余堀り部に注入できるため、残土処分に係る処理費や輸送費等の工費を大幅に削減できるとともに、産業廃棄物の発生量を抑制でき環境配慮に大きく寄与することが可能となる。
さらに、前記仮テール部材7に硬化材注入機構17を備えることにより、トンネルを一般坑から拡大坑に切り替える手前で拡幅断面領域の一部に止水壁を構築できるから、一般坑14aから拡大坑14cに切り替わる領域の止水構造を容易に構築できるため、作業性が良く工費削減及び工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
トンネルの拡幅方法は、一般坑14aの掘進方向最前部に隣接して拡幅断面1bを有する領域を密閉する第1の止水壁18及び第2の止水壁19を構築し、トンネルの縮幅方法は、拡大坑14cの掘進方向最前部で拡大坑14cの標準断面1aを有する領域に標準断面セグメント9aを組み立て、また拡幅断面1bを有する領域にこれを密閉する封止板20を設置することから、該封止板20もしくは第1の止水壁18及び第2の止水壁19の構築位置で拡幅断面1bを有する領域をトンネル軸線方向の前後に遮断することにより、一般坑14aに隣接して位置し余堀り部に該当する領域を簡略な構成で封鎖できる。これにより、トンネルを一般坑14aから拡大坑14cへ、もしくは拡大坑14cから一般坑14aへ切り替える際にも一般坑14aに隣接する余堀り部を容易に止水できるため、拡大坑14cへの漏水を効率よく抑制でき、作業性が良く工費削減、工期短縮に大きく寄与することが可能となる。
また、シールド掘削機1による掘削断面は拡大断面1cに相当するから、シールドトンネルが全長にわたり拡縮を繰り返しても地盤に影響を与えることがないため、地上に構築された構造物等を配慮することなく施工することが可能となる。
さらに、掘進するに従い地盤条件が変化するような地盤に対してシールドトンネル14を構築する場合にも一様な手順で機械的にシールドトンネル14を構築することができるため、地盤改良による拡幅方法と比較して作業性が良く、安全で高品質なシールドトンネル14を構築することが可能となる。
本発明に係るトンネルの拡幅方法および縮幅方法において用いるシールド掘削機の概略と一般部及び拡大部を備えるシールドトンネルの概略を示す図である。 シールド掘削機の断面を示す図である。 本発明に係るトンネルの拡幅方法(その1)を示す図である。 本発明に係るトンネルの拡幅方法(その2)を示す図である。 本発明に係るトンネルの拡幅方法の他の事例を示す図である。 本発明に係るトンネルの縮幅方法を示す図である。 本発明に係るトンネルの縮幅方法においてシールド掘削機に格納鉄板を取り付ける際の取り付け方法を示す図である。 本発明に係るトンネルの拡幅方法および縮幅方法により築造されるシールドトンネルの断面を示す図である。
符号の説明
1 シールド掘削機
2 スキンプレート
3 カッタ
4 チャンバ
5 排土装置
6 テールパッキン
7 仮テール部材
8 裏込め注入機構
9 セグメント
10 推力受けピース
11 押圧ジャッキ
12 格納鉄板
13 止水部材
14 シールドトンネル
15 地山
16 裏込め注入材
17 硬化材注入機構
18 第1の止水壁
19 第2の止水壁
20 封止板

Claims (2)

  1. 標準断面を有する一般坑と、該一般坑に拡幅断面を有する拡幅坑を合わせた拡大断面よりなる拡大坑の両者を築造するシールド掘削機を用いたトンネルの拡幅方法であって、
    前記シールド掘削機は、前記拡大断面と同様の断面を有するスキンプレートと、該スキンプレートの前方に位置し一般坑及び拡幅坑を掘削するカッタと、前記スキンプレートの後方の内周面とリング状に組み立てた標準断面セグメントの外周面との間に着脱自在、かつトンネルの軸方向にスライド可能に配され、前記拡幅断面と同様の断面形状を有する仮テール部材を備えてなり、
    前記シールド掘削機を用いて標準断面と拡幅断面を合わせた拡大断面で掘進しながら、前記仮テール部材を装着した前記スキンプレート内で標準断面セグメントを組み立て、掘削後の標準断面領域に一般坑を構築する第1の工程と、
    トンネルの掘進方向に前記仮テール部材をスライドさせて、掘進方向最前部に位置する標準断面セグメントに隣り合わせて拡幅断面領域を密閉する止水壁を構築した後、前記スキンプレートから仮テール部材を撤去する第2の工程と、
    掘進方向最前部に位置する前記標準断面セグメント及び止水壁に、拡大断面セグメントを組み立てながら掘進し、掘削後の拡大断面領域に拡大坑を構築する第3の工程よりなることを特徴とするトンネルの拡幅方法。
  2. 標準断面を有する一般坑と、該一般坑に拡幅断面を有する拡幅坑を合わせた拡大断面よりなる拡大坑の両者を築造するシールド掘削機を用いたトンネルの縮幅方法であって、
    前記シールド掘削機は、前記拡大断面と同様の断面を有するスキンプレートと、該スキンプレートの前方に位置し一般坑及び拡幅坑を掘削するカッタと、前記スキンプレートの後方の内周面とリング状に組み立てた標準断面セグメントの外周面との間に着脱自在、かつトンネルの軸方向にスライド可能に配され、前記拡幅断面と同様の断面形状を有する仮テール部材を備えてなり、
    前記シールド掘削機を用いて標準断面と拡幅断面を合わせた拡大断面で掘進しながら前記仮テール部材を撤去した前記スキンプレート内で拡大断面セグメントを組み立て、掘削後の拡大断面領域に拡大坑を構築する第1の工程と、
    掘進方向最前部に位置する拡大断面セグメントの拡幅断面領域を封止板で密閉するとともに、標準断面領域に標準断面セグメントを組み立てた後、前記スキンプレートの所定位置に前記仮テール部材を装着する第2の工程と、
    第2の工程で組み立てた標準断面セグメントに続けて標準断面セグメントを組み立てながらを掘進し、掘削後の標準断面領域に一般坑を構築する第3の工程よりなることを特徴とするトンネルの縮幅方法。
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