JP4169971B2 - 超音波外科システムにおける発生装置の機能を変更するための装置および方法 - Google Patents

超音波外科システムにおける発生装置の機能を変更するための装置および方法 Download PDF

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Description

関連出願
本発明は本明細書に参考文献として含まれている本特許出願と共通の譲受人を有する「超音波外科ハンド・ピース内におけるブレード認識(BLADE IDENTIFICATION IN AN ULTRASONIC SURGICAL HANDPIECE)」を発明の名称とする2000年10月20日に出願されている米国仮特許出願第60/241,886号に基づく優先権を主張する。
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は一般に超音波外科システムにおける発生装置の機能を変更するための装置および方法に関し、特に超音波外科器具から発生装置に情報を供給するための超音波システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
電気的な外科用メスおよびレーザーが組織および血管を焼灼することにより軟質組織の切開および止血を同時に行なうという2種類の機能を実行するための外科装置として使用できることが知られている。しかしながら、このような装置は凝固状態を形成するために極めて高い温度を使用するために気化および発煙ならびにはねかえりを生じる。さらに、このような装置を使用することにより、比較的広い熱的な組織損傷の領域を形成する場合が多い。
【0003】
超音波駆動機構による高速で振動する外科ブレードによる組織の切断および焼灼も良く知られている。このような超音波切断装置に付随する問題の一例は無調整状態または無減衰状態の振動および熱、およびこれらによる材料疲労である。手術室の環境内において、ブレードを冷却するための熱交換器によるシステムの冷却処理を含むことによる上記加熱の問題を制御する試みがこれまで行なわれてきた。例えば、既知のシステムの一例において、超音波切断および組織フラグメント化システムは循環水ジャケットおよび切断部位の灌注および吸引のための手段を備えた冷却システムを必要とする。別の既知のシステムは切断ブレードへの低温流体の供給が必要である。
【0004】
トランスデューサ内に発生する熱を制限するための手段として当該トランスデューサに供給する電流を制限することが知られている。しかしながら、このことにより患者の最も効果的な治療を必要とする時にブレードに不十分な出力を供給することが起こり得る。本特許出願の譲受人に譲渡されていて本明細書に参考文献として含まれるThomasに発行されている米国特許第5,026,387号はブレードに供給する駆動エネルギーを制御することにより冷却剤を使用することなく超音波外科切断および止血システムにおける発熱を調整するためのシステムを開示している。この特許によるシステムにおいて、超音波発生装置は特定の電圧、電流および例えば1秒当たり55,500サイクルの振動数の電気的信号を生成する超音波発生装置が備えられている。この発生装置はケーブルを介してハンド・ピースに接続されており、このハンド・ピースが圧電セラミック素子を収容して超音波トランスデューサを形成している。ハンド・ピース上のスイッチまたは別のケーブルにより発生装置に接続しているフット・スイッチに応じて、この発生装置の信号がトランスデューサに供給されて、その各素子における長手方向の振動が生じる。一定の構造体がこのトランスデューサを外科ブレードに接続しており、これにより、外科ブレードが発生装置からの信号のトランスデューサへの供給時に超音波振動数で振動する。さらに、上記の構造体は所定の振動数で共振するように構成されているので、トランスデューサにより開始される動作が増幅できる。
【0005】
トランスデューサに供給される信号はブレードの負荷状態(組織に対する接触または後退)についての継続的または周期的な感知情報に応じて適宜トランスデューサに出力を供給するように制御される。この結果、装置は低出力のアイドリング状態から、外科用メスの組織への接触の有無に自動的に応じて選択可能な高出力の切断処理状態に到達する。第3の高出力凝固モードはブレードが組織に接触していない時のアイドリング出力レベルへの自動復帰を伴って手動により選択可能である。この超音波出力はブレードに継続的に供給されないので、周囲の発熱を減少しながら、必要に応じて切開および焼灼のために組織に十分なエネルギーを供給できる。
【0006】
上記Thomas特許におけるコントロール・システムはアナログ型である。位相ロック・ループ(電圧制御型オシレータ、周波数分割器、電源スイッチ、整合ネットワークおよび位相検出器を含む)がハンド・ピースに供給される振動数を安定化する。ハンド・ピースに供給される振動数、電流および電圧等のパラメータはブレード上の負荷により変化するので、マイクロプロセッサがこれらをサンプリングすることにより出力量を制御する。
【0007】
上記Thomas特許において記載されているような典型的な超音波外科システム内の発生装置における出力対負荷曲線は2個の部分を有している。第1の部分は負荷の増加に従って出力が増加する定常的な電流供給を示している正の勾配を有している。第2の部分は負荷の増加に従って出力が減少する定常的または飽和状態の出力電圧を示している負の勾配を有している。第1の部分に対応して調整される電流は各電子部品の設計により固定され、第2の部分の電圧は設計における最大出力電圧により制限される。このようなシステムにおける出力の出力対負荷特性は種々のハンド・ピース・トランスデューサおよび超音波ブレードに対して最適化できないために上記の構成は柔軟性に欠けている。外科装置用の従来のアナログ型超音波出力システムの性能は部品の許容度および動作温度変化による発生装置の電子部品における可変性により影響を受ける。特に、温度変化は振動数ロック範囲、駆動信号レベル、およびその他のシステム性能測定値を含む重要なシステム・パラメータにおいて多様な変化を生じる。
【0008】
効率的な様式で超音波外科システムを動作するために、始動時においてハンド・ピース・トランスデューサに供給される信号振動数を一定範囲において掃引することにより共振振動数を位置決めする。この位置が見つかると、発生装置の位相ロック・ループがその共振振動数に対してロックし、電圧位相角度に対するトランスデューサ電流を継続してモニターして、その共振振動数でトランスデューサを駆動することによりこのトランスデューサを共振状態に維持する。このようなシステムにおける重要な機能は共振振動数を変化する負荷および温度変化に対してトランスデューサの共振状態を維持することである。しかしながら、これら従来の超音波駆動システムは適応振動数制御に関して柔軟性がほとんどまたは全く無い。このような柔軟性は不所望な共振を識別するシステム能力において重要である。特に、これらのシステムは一方向における共振に応じて、すなわち、振動数の増減により探索できるのみであり、これらの探索パターンが固定されている。このシステムは無関係の共振モードを飛び越えること、またはどの共振を飛び越えるかまたはロックするか等の任意の発見的決定(heuristic decisions)を行なうことができず、適当な振動数のロックが行なわれている場合のみにおいて出力供給を確実に行なうことができない。
【0009】
さらに、従来技術の超音波発生装置システムは当該システムにおいて適応制御アルゴリズムの使用および決定動作を可能にする振幅制御においても柔軟性がほとんど無い。例えば、これらの固定されたシステムはブレード上の負荷および/または電圧位相角度に対する電流に基づいて例えば電流または振動数等の出力駆動要素に関する発見的決定を行なう能力に欠けている。このことはトランスデューサの有効寿命を延ばしてブレードに対する安全な動作条件を確定する一定の効率的な性能に対応する最適なトランスデューサ駆動信号レベルを設定するためのシステム能力も制限する。さらに、このような振幅および振動数に関する制御の欠如により、トランスデューサ/ブレード・システムについての診断検査および全体的なトラブルシューティングの支援を行なうシステム能力が低下する。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術のシステムは発生装置コンソールによるハンド・ピースの使用の認証を行なわない。さらに、従来技術のシステムにおいて診断検査および性能検査を行なうことは手間がかかる。また、各コンソールは独立して検査およびアップグレード(更新)する必要があるので、従来技術のシステムにおけるコンソールの再プログラム化およびアップグレード処理も手間がかかる。加えて、コンソールによる動作におけるハンド・ピースの種類および出力能力に応じて更新した駆動電流および出力変位によるコンソールの動作が可能ではない。それゆえ、従来技術における上記およびその他の不都合点を解消する外科処置を行なうための改善されたシステムに対する要望が当該技術分野において存在している。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は外科処置を行なうためのシステムを提供し、当該システムはエンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピース、当該ハンド・ピースを制御するためのデジタル信号プロセッサ(DSP)を有する発生装置コンソール、および上記エンド−イフェクタのシース部分またはシャー(剪断機)またははさみまたは鉗子のハンドル、グリップまたは取付部分の中に配置されているEEPROM(電気的消去プログラム可能な読出し専用メモリ)等の記憶装置を備えている。ハンド・ピースおよび発生装置の性能特性を認識する連続状のデータが上記記憶装置に記憶される。システムの初期化中に、および/または待機または準備中または使用中に定期的に、上記発生装置コンソールは記憶装置からの読出し情報を得るためにハンド・ピースに質問情報を送る。発生装置コンソールが記憶装置の情報を読み出す際に、適当な連続のデータが存在していれば、ハンド・ピースのブレードまたはシャーはその発生装置コンソールによる使用について認証される。一方、その連続のデータが存在していない、または正しくない場合には、ハンド・ピースのブレードまたはシャーはその発生装置コンソールによる使用について認証されない。本発明の特定の実施形態においては、上記連続データが暗号化されているコードであり、この場合に、コンソール内に存在している対応する暗号化アルゴリズムを解読して一定の応答データ・パターンを供給することによりハンド・ピースまたはブレードまたはシャーがそのコンソールによる使用について認証される。
【0012】
さらに、ハンド・ピースまたはブレードまたはシャーの動作におけるエラーを防ぐために、上記記憶装置はハンド・ピースの動作をハンディキャップ状態またはディスエーブル状態にする必要があるか否か、またはハンディキャップ・モードまたはディスエーブル・モードの動作をせずに最終消費者に警告するか否かを決定する場合に発生装置コンソールが利用できる特定の診断情報を記憶できる。例えば、上記記憶装置はハンド・ピースが活性である時間の制限値、一定時間内における活性化の数、使用している欠陥のあるブレードの数、動作温度、温度の最大許容変化率およびその他の制限値を含む情報を記憶できる。これらの記憶装置内に記憶されている制限値はハンド・ピースの種々の動作条件に基づいて追随的に再初期化できる。
【0013】
上記の記憶装置は、必要であれば、発生装置コンソールを再プログラムまたはアップグレードするために使用することもできる。例えば、新しいシステム機能を達成するために新しいハンド・ピースが定期的に供給される。このような新しいハンド・ピースを接続する場合に、システムが診断検査を行って発生装置コンソールの再プログラムまたはアップグレードが必要か否かを決定する。再プログラムまたはアップグレードが必要であると決定されると、発生装置コンソールは再プログラムまたはアップグレードのコードを記憶しているハンド・ピースのエンド−イフェクタのシース部分の中に配置されている記憶装置を読み出す。この記憶装置から読み出された再プログラムまたはアップグレードのコードを使用して、発生装置コンソールがこれに応じて再プログラム処理またはアップグレード処理される。それゆえ、このフィールド内の各コンソールがこれらを製造者に返すこと、またはコンソールに対するサービスの技術者に送ることなく自動的にアップグレード処理できる。あるいは、発生装置の記憶装置を再プログラムする代わりに、使用中の特定のブレード/シャーに対応する動作パラメータの基準として当該ブレード/シャーの記憶装置のデータが発生装置コンソールにより利用される。デフォールト・パラメータ(省略時パラメータ)がハンド・ピースに取り付けられている連続的なブレード/シャーにおいて特定のパラメータが存在しない場合にハンド・ピースの動作において復帰する。
【0014】
さらに、上記の記憶装置はエネルギー・レベル情報およびこれに対応する特定のハンド・ピースを駆動するための出力変位も記憶できる。このエネルギー・レベル情報を読み出すことにより、発生装置コンソールはハンド・ピースおよび/またはブレード/シャーに対して最良である出力変位に従ってハンド・ピースを駆動できる。
【0015】
加えて、上記の記憶装置は公称の共振振動数を含む振動数掃引情報、および振動数掃引を行なうための開始時および停止時の各掃引点も記憶できる。この記憶装置内に記憶されている振動数掃引情報を読み出して、発生装置コンソールはハンド・ピースを動作するための共振振動数を検出するために指示された振動数範囲内の振動数掃引を行なう。さらに、上記の記憶装置は避ける必要のある横共振(transverse-resonant)であるまたは当該横共振になりやすい振動数等の掃引する必要のない振動数または振動数範囲を記憶できる。これらの記憶された振動数はブレード/シャーの記憶装置内に記憶されているさらに広範囲に特定された許容掃引範囲内に存在できる。
【0016】
本発明によれば、エンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピース、当該ハンド・ピースを制御するためのデジタル信号プロセッサ(DSP)を有するコンソール、およびハンド・ピース内または当該ハンド・ピースに取り付けられているエンド−イフェクタのシース部分の中に配置されている記憶装置を備えているシステム内において処理を実行するための方法が提供される。本発明によるこの方法は上記記憶装置内に記憶されている情報を読み出すこと、当該記憶装置内に特定の連続状のデータが存在しているか否かを決定すること、当該特有の連続状のデータが存在する場合にそのコンソールによるハンド・ピースまたはブレードまたはシャーの使用を認証すること、ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送ること、および記憶装置内の情報に従ってハンド・ピースのエンド・イフェクタに超音波動作を賦与することを含む。特定の実施形態において、本発明による方法は発生装置コンソール内の暗号化アルゴリズムを解読すること、および連続状のデータが暗号化コードである場合に一定の応答データ・パターンを供給することも含む。
【0017】
別の実施形態において、本発明による方法はハンド・ピースの温度が一定のハンディキャップ制限値を超える場合にハンド・ピースにハンディキャップ・モードで動作するように命令すること、およびハンド・ピースが一定のディスエーブル制限値を超える場合にハンド・ピースをディスエーブルにすることを含む。さらに、本発明による方法は一定のハンド・ピースの動作時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が一定のハンディキャップ制限値を超える場合にハンド・ピースにハンディキャップ・モードで動作するように命令すること、および当該時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が一定のディスエーブル制限値を超える場合にハンド・ピースをディスエーブルにすることも含む。本発明による方法はさらにハンド・ピースが活性であった時間が一定のハンディキャップ制限値を超える場合にハンド・ピースにハンディキャップ・モードで動作するように命令すること、およびハンド・ピースが活性であった時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が一定のディスエーブル制限値を超える場合にハンド・ピースをディスエーブルにすることを含む。本発明による方法はさらに一定時間内のハンド・ピースに対応する活性化の数が一定のハンディキャップ制限値を超える場合にハンド・ピースをハンディキャップ・モードで動作する工程、および当該時間内にハンド・ピースに対応する活性化の数が一定のディスエーブル制限値を超える場合にハンド・ピースをディスエーブルにする工程を含む。なお、上記記憶装置内に記憶されているハンディキャップおよびディスエーブルの各制限値はハンド・ピースの変更された動作条件に基づいて再初期化できる。
【0018】
また、別の実施形態において、本発明による方法は発生装置コンソールの再プログラムまたはアップグレードの要否を決定すること、発生装置コンソールの再プログラムまたはアップグレードが必要であると決定された場合に、記憶装置内に記憶されている再プログラムまたはアップグレードのコードを読み出して当該再プログラムまたはアップグレードのコードにより発生装置コンソールを再プログラムすることも含む。
【0019】
さらに、本発明の別の実施形態による方法は記憶装置内に記憶されているエネルギー・レベル情報を読み出すこと、および当該記憶装置内に記憶されているエネルギー・レベル情報が特定のハンド・ピースまたはブレードまたはシャーを駆動する場合に付随する出力変位に対して相関されている場合に、一定の付随する出力変位に応じてハンド・ピースを駆動することを含む。さらに別の実施形態において、本発明による方法は記憶装置から公称の共振振動数、および一定の振動数範囲を定めている開始時掃引点および停止時掃引点を読み出すこと、当該振動数範囲内において振動数掃引を行なうこと、およびハンド・ピースを動作するための共振振動数を検出することを含む。あるいは、上記振動数掃引の場合の振動数範囲が公称の共振振動数、バイアス量およびマージン量に基づいて計算される場合に、記憶装置内に記憶される振動数範囲情報は一定の公称の共振振動数、一定のバイアス量および一定のマージン量とすることができる。加えて、掃引処理または駆動処理において避ける必要のある1個以上の振動数帯域または横共振振動数がハンド・ピース動作するための発生装置または部分診断における使用のために記憶できる。
本発明の上記およびその他の特徴および利点は以下の添付図面(必ずしも寸法通りではない)に基づく本発明の好ましい実施形態の詳細な説明によりさらに明らかになる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による外科処理方法を実施するためのシステムを示している図である。ケーブル20内の第1の一式のワイヤにより、電気的エネルギー、すなわち、駆動電流が発生装置コンソール10からハンド・ピース30に送られ、このハンド・ピース30において、電気的エネルギーが鋭いエンド−イフェクタ32のような外科装置に長手方向に沿う超音波振動動作を与える。このブレード(エンド−イフェクタ)32は組織の同時的な切開および焼灼処理のために使用できる。ハンド・ピース30に対する超音波電流の供給は当該ハンド・ピース30上に配置されているスイッチ34の制御下に行なうことができ、このスイッチ34はケーブル26内のワイヤを介して発生装置コンソール10の中の発生装置に接続している。さらに、この発生装置はフット・スイッチ40により制御可能であり、このフット・スイッチ40は別のケーブル50を介して発生装置コンソール10に接続している。従って、使用時において、外科医は、自分の指でハンド・ピース上のスイッチ34を操作するか自分の足でフット・スイッチ40を操作して、ハンド・ピース30に対して超音波電気信号を供給することによりブレードを一定の超音波振動数で長手方向に沿って振動させることができる。
【0021】
発生装置のコンソール10は液晶表示装置12を備えており、この表示装置12は最大切断出力率または切断出力に付随する数値的出力レベル等の種々の手段において選択される切断出力レベルを指示するために使用できる。この液晶表示装置12はシステムにおける別のパラメータを表示するために使用することもできる。出力スイッチ11を使用して装置を始動する。ウォーミング・アップ状態において、「待機(standby)」ライト13が点灯する。動作準備が完了すると、「準備完了(ready)」インジケータ14が点灯して、待機ライトが消える。装置が最大出力を供給する場合に、MAXボタン15が押される。それよりも少ない出力が望まれる場合には、MINボタン17を作動する。これにより、MAXボタンは自動的に不活性になる。さらに、MINボタン17が活性である際の出力レベルがボタン16により設定される。
【0022】
スイッチ34または40のいずれかの動作により超音波ハンド・ピースに電力が供給されると、この組立体は外科用メスまたはブレードを約55.5kHzで長手方向に振動させ、この長手方向の移動量は使用者により調節可能に選択されて供給される駆動電力(電流)の量に比例して変化する。比較的に高い切断出力が供給される場合に、ブレードは超音波振動速度において約40ミクロン乃至100ミクロンの範囲内で長手方向に移動するように設計されている。このようなブレードの超音波振動によりブレードが組織に接触する際に熱が発生する。すなわち、ブレードの組織内における加速移動により移動しているブレードの機械的エネルギーが極めて狭い局在化した領域内において熱エネルギーに変わる。この局在化した熱が直径1ミリメートルよりも小さい小血管内の出血を減少または消去する狭い領域の凝固状態を形成する。このブレードの切断効率およびその止血の程度は供給される駆動電力のレベル、切断速度またはブレードに対して外科医により加えられる力、組織の種類による性質、および組織における血管分布により異なる。
【0023】
図2においてさらに詳細に示すように、超音波ハンド・ピース30は電気的エネルギーを機械的エネルギーに変換してトランスデューサの各端部において長手方向に沿う振動動作を生じるための圧電トランスデューサ36を収容している。トランスデューサ36はそのスタック(堆積体)の一定の点に配置されている動作ゼロ点(motion null point)を有する積み重ね状のセラミック圧電素子の形態である。このトランスデューサ・スタックは2個のシリンダ31と33との間に取り付けられている。さらに、シリンダ35がシリンダ33に取り付けられており、当該シリンダ35は別の動作ゼロ点37においてハウジング内に取り付けられている。さらに、ホーン38はその一端側においてゼロ点37に取り付けられていて、その他端側においてカップラー39に取り付けられている。ブレード32はこのカップラー39に固定されている。この結果、ブレード32はトランスデューサ36による一定の超音波振動数の速度で長手方向に沿って振動する。トランスデューサの各端部は当該トランスデューサの共振振動数において最大電流で駆動する場合に不動の節部を構成するスタックの部分を伴ってその最大の動作を行なう。しかしながら、この最大動作を与える電流は各ハンド・ピースにより異なり、システムが使用できるようなハンド・ピースの持久記憶装置内に記憶されている弁である。
【0024】
ハンド・ピースの部品はその組み合わせ体が概ね同一の共振振動数で振動するように設計されている。特に、最終的な各要素の長さが1/2波長またはその倍数になるように各要素が調整されている。長手方向に沿う前後方向の動作は音響学的取付ホーン38のブレード32に近い方の直径が減少するのに従って増幅される。従って、ホーン38およびブレード/カップラーはブレード動作を増幅して音響システムにおける残りの部分に対して同調した共振振動を行なうような形状および寸法を有しており、このことにより、ブレード32に近接している音響学的取付ホーン38の端部において最大の前後動作が生じる。トランスデューサ・スタックにおける20ミクロン乃至25ミクロンの動作がホーン38により増幅されてブレードが約40ミクロン乃至100ミクロンの範囲で動作する。
【0025】
ハンド・ピースの中のトランスデューサを駆動するための超音波電気信号を形成するシステムを図3および図4に示す。この駆動装置は柔軟であり、所望の振動数および出力レベル設定値において駆動信号を形成できる。システム内のDSP60またはマイクロプロセッサを使用して適当な出力パラメータおよび振動周波数をモニターして、適当な出力パラメータおよび振動周波数をモニターして切断または凝固動作モードのいずれかにおいて供給される適当な出力レベルを生じる。DSP60またはマイクロプロセッサはさらにトランスデューサ/ブレードのようなシステム中の構成部品について診断検査を行なうために使用するコンピュータ・プログラムも記憶している。
【0026】
例えば、DSPまたはマイクロコンピュータ60に記憶されている位相修正アルゴリズム等のプログラムの制御下において、始動中の振動数を特定値、例えば、50KHzに設定できる。このことは共振に接近していることを示すインピーダンスにおける変化を検出するまで特定速度で掃引することにより行なうことができる。その後、掃引速度を減少してシステムが共振振動数、例えば、55KHzをオーバーシュートしないようにする。この掃引速度は、例えば、50サイクルの増加分において振動数変化を得ることにより達成できる。比較的遅い速度が望まれる場合は、プログラムにおいて、例えば、25サイクルにその増加分を減少することができ、両方の場合が測定したインピーダンスの大きさおよび位相に基づいて適応できる。もちろん、上記増加分の大きさを増加することによりさらに大きな速度が達成できる。さらに、上記の掃引速度は振動数の増加分の更新速度を変化することにより変更できる。
【0027】
例えば、51KHzにおいて不所望な共振モードが存在することが分かっている場合に、上記プログラムは、例えば60KHzから振動数を下げて掃引して共振を見つけることができる。さらに、上記システムは50KHzから振動数を上げて掃引して不所望な共振が存在している51KHzを飛び越えることができる。いずれの場合においても、このシステムは高度の柔軟性を有している。
【0028】
動作時において、使用者は外科装置において使用する特定の出力レベルを設定する。この処理はコンソールのフロント・パネル上の出力レベルスイッチ16により行なわれる。このスイッチはDSP60に供給される信号150を発生する。その後、DSP60はコンソール・フロント・パネルの表示装置12に対して配線152(図4)上に信号を送ることにより所定の出力レベルを表示する。
【0029】
実際に外科ブレードを振動させるために、使用者はフット・スイッチ40またはハンド・ピース・スイッチ34を活性化する。この活性化により図3における配線154上に信号が送られる。この信号は出力をプッシュ−プル増幅器78からトランスデューサ36に供給するために有効である。DSPまたはマイクロプロセッサ60がハンド・ピース・トランスデューサの共振振動数をロックして出力がハンド・ピース・トランスデューサに好適に供給されるようになると、オーディオ・ドライブ信号が配線156上に送られる。このことによりシステム内の音響指示手段が音を発生して、使用者に対して出力がハンド・ピースに供給されて外科用メスが活性状態および動作状態になっていることを通知する。
【0030】
インピーダンス測定値および位相測定値を得るために、DSP60および図3および図4に示す別の回路要素を使用する。特に、プッシュ−プル増幅器78は超音波信号を出力変圧器86に供給し、さらに、この変圧器86はケーブル26内の配線85を介して信号をハンド・ピース内の圧電トランスデューサ36に供給する。この配線85内の電流および電圧は電流センス回路88および電圧センス回路92により検出される。これらの電流および電圧の各センス信号は平均電圧回路122および平均電流回路120にそれぞれ送られ、各回路がこれらの信号の平均値を計算する。この平均電圧がデジタル−アナログ変換器(ADC)126によりデジタル・コードに変換されて、このデジタル・コードがDSP60に入力される。同様に、電流平均信号がアナログ−デジタル変換器(ADC)124によりデジタル・コードに変換されて、このデジタル・コードがDSP60に入力される。DSP装置内において、電圧対電流の比率が進行中の基準に基づいて計算されて、振動数が変化する際にその時点におけるインピーダンス値が得られる。このインピーダンスにおける大幅な変化は共振が接近すると生じる。
【0031】
電流センス回路88および電圧センス回路92からの信号は零交叉検出器100,102にもそれぞれ供給される。これらは信号が零に対して交叉する時はいつでもパルスを生成する。検出器100からのパルスは位相検出論理回路104に供給され、この回路104は当該信号により開始するカウンタを備えている。また、検出器102からのパルスは同様に論理回路104に供給されて上記のカウンタを停止するために使用できる。この結果、このカウンタにより得られる計数値は配線104上のデジタル・コードであり、電流と電圧との間の位相差を示す。この位相差の大きさも共振の指示手段である。これらの信号は位相ロック・ループの一部として使用でき、当該位相ロック・ループは、例えば、位相デルタ(位相角度)をDSP中の位相設定点に対して比較することにより発生装置からの振動数を共振に対してロックして、プッシュ−プル増幅器78を駆動する直接デジタル合成(DDS)回路128に対して一定の振動数信号を発生する。
【0032】
さらに、上記インピーダンスおよび位相の各値はブレードの緩みを検出するための動作の診断段階において上記に示したように使用できる。このような場合に、上記DSP装置は共振における位相ロックの確立を探求せずに、むしろ、ハンド・ピースを特定の振動数において駆動してブレードの固定状態を決定するためのインピーダンスおよび位相を測定する。
【0033】
図5は図3の出力変圧器86のトランスデューサ駆動回路の概略図である。このトランスデューサはトランスデューサ等価回路Tequivを形成している構成要素Co,Ls,Cs,およびRsにより等価な電気的回路として表現されており、この場合のCoは分路キャパシタンスであり、図2に示す圧電トランスデューサ36の圧電素子の電気的キャパシタンスを表現している。
【0034】
Ls,CsおよびRsは全体の機械的システムにおける電気的な等価な構成要素であり、集合的に機械的なブランチを表現している。すなわち、Lsはシステムの有効質量であり、Csは有効コンプライアンスであり、Rsは摩擦、内部的な材料消失および/または組織に供給される電力に付随する機械的損失を表現している。
【0035】
インダクタLtは約55.5kHz等の超音波システムの共振において分路キャパシタンスCoに釣り合う。それゆえ、LtおよびCoは共振振動数において互いに電気的に相殺する。この結果、全ての駆動電流がこの機械的なブランチを通って流れる。このことはトランスデューサの超音波の変位が駆動電流に主として比例することを確実にする。
【0036】
2個の抵抗器Rp/2は直列に足されてRpの抵抗を形成している。この抵抗は出力回路全体のインピーダンスの上限値の設定および駆動電圧における上限値の設定を行なう場合に役立つ。好ましい実施形態において、Rpは比較的大きな抵抗である。共振時において、組織を凝固および切断している時でも、RsはRpよりもはるかに小さいので、RpおよびRsの並列結合はRsよりも有効に作用する。
【0037】
さらに、コンデンサCv1およびCv2の直列結合は電圧分割器を形成している。これらのコンデンサは一体となって一般的にトランスデューサを駆動する高い電圧を一体化されている回路(図示せず)による信号処理に適したレベルに低下する。変圧器Vtはこの低下された電圧をフィードバック回路(図4における電圧センス92)に送り、駆動回路と発生装置のその他の回路との間を絶縁している。
【0038】
抵抗器R3およびR4の直列結合部分を跨いで小さい電圧降下が生じる。好ましい実施形態においては、この直列結合は数オーム程度の比較的低い抵抗である。このR3およびR4を跨ぐ電圧降下は駆動電流に比例する。この電圧が変圧器ITを介してフィードバック回路(図4の電流センス88)に供給され、この変圧器ITもまた駆動回路を発生装置の残りの回路から絶縁している。この信号は発生装置内で実行される制御アルゴリズムにおける電流を表現する。
【0039】
R1およびR2は制御アルゴリズム内において使用するための制御回路に対する最小のインピーダンス・レベルを設定するために用いられる。この抵抗は電磁放射線および電流漏れを軽減するために出力変圧器内の2個の出力アームVout1およびVout2の間で分離されている。
【0040】
図6は本発明によるエンド−イフェクタのシース部分の中における持久記憶装置400を示している概略図である。好ましくは、この記憶装置400は、コストを高めて、クロストーク・ノイズの問題における複雑化を引き起こし、ハンド・ピース30の人間工学的な性能に悪影響を及ぼす電気的な絶縁形態における不要な複雑さを減らすために、エンド−イフェクタのシース部分の中に備えられていることが有利である。この記憶装置400をエンド−イフェクタのシース部分の中に配置することにより、ハンド・ピース30、その人間のオペレータ、および患者からの記憶装置400内の回路の適当な電気的絶縁を容易に行なうことができる。また、ケーブル26の中のワイヤ数も減らすことができる。
【0041】
図7は本発明によるシャー300のグリップ部分内の持久記憶装置303を示している概略図である。さらに、別のまたは付加的な記憶装置のための場所が取付部分内に配置されている記憶装置301および/またはシャー300のグリップ部分における記憶装置302として示されている。このシャー300はハンド・ピース310に取り付けられている。接触端子304および305がシャーの取付部分またはグリップの付近の内側または外側にあるか、またはこの中に嵌め込まれていて、記憶装置に対して配線されている。これらの接触端子はハンド・ピース内またはその上において対応する接触端子に接触して発生装置の当該ハンド・ピースを介するシャー内の記憶装置に対する連絡を可能にする。
【0042】
図8はハンド・ピース30の不適正な使用を防ぐための専有のロックアウト手法としての記憶装置400の動作を示しているフロー図である。この記憶装置400は発生装置コンソール10によるエンド−イフェクタまたはブレードまたはシャーの認証されていない、無計画的なまたは不注意の使用を防ぐために利用できる。不適正な使用には有害な使用、操作上不十分な使用、または発生装置コンソール10に対して非相容的な使用が含まれる。
【0043】
図9は上記の記憶装置400または301,302または303の動作を示している別のフロー図である。本発明による方法におけるこの特定の実施形態において、上記ブレードまたはシャーの中の記憶装置は、例えば、10秒の間隔で、ハンド・ピースの活性化から独立して定期的に質問される。この特定の実施形態はブレード変化の一般的に迅速な検出および取り付けたブレードの種類の一般的に迅速な検出を可能にする。これらの情報はハンド・ピースの温度、温度変化率、および起動を調節するための別のパラメータおよび閾値等をモニターする診断的機能性に貢献して、次の活性化に先立つブレードの種類および発生装置コンソール内の関連パラメータの表示を可能にする。
【0044】
また、図8の工程501において、ハンド・ピースの手動による活性化の場合に、例えば、発生装置コンソール10のボタン18を押すことによりハンド・ピース30を活性化する。次に、工程503において、発生装置コンソール10が記憶装置400を読み出す。その後、工程505において、連続状の専有データが記憶装置400の中に存在しているか否かを決定する。全ての認証されているハンド・ピースに対してこの持久記憶装置内に入力されている連続状の専有データはデジタルまたはアナログの形態である。また、この連続状の専有データはデジタルまたはアナログの形態のいずれかである音楽、ことば、または音響効果であってもよい。この場合に、記憶装置400の中に適正な連続状の専有データが存在していることは発生装置コンソール10によるそのハンド・ピースの使用が認証されている、または正当と認められていることを意味する。このような連続状のデータが記憶装置400の中に存在している場合に、ハンド・ピース30は発生装置コンソール10によりイネーブル化または活性化される(工程507)。一方、連続状のデータが記憶装置400の中に無い場合、または不適正な連続状のデータが存在している場合には、ハンド・ピース30はイネーブル化されず(工程509)、エラー・メッセージがコンソール10における表示装置12に現れて認証されていない使用であることが指示される。
【0045】
本発明による特定の実施形態において、発生装置コンソール10が記憶装置400の中のデータを読み出す際に、巡回冗長検査(CRC)が読出エラーの検出および/またはハンド・ピースの認証のために用いられる。このCRCはデータの長期のランにおいてエラーを極めて高精度に検出可能にする数学的手法である。例えば、データが電話で送信される前に、この送信機がそのデータの内容から32ビットのCRC値を計算できる。その後、受信機が異なるCRC値を計算すれば、このデータは送信中に改ざんされたことになる。すなわち、CRC値の一致によりデータが手を加えられずに送信されたことがほとんど完全な確実性をもって確認できる。
【0046】
このCRC認証技法によれば、適宜に小さい数により割られる一定の長さの2値数としてデータのブロック全体が処理され、その余りがこのデータ・ブロック部分の端部に付け加えられる検査弁(check value)として用いられる。除数としての一定のプライム数を選択することにより優れたエラー検出を行なうことができる。完全なブロックを表現している数(主データ+CRC値)が常に元の除数の倍数であるので、同一の除数を使用することにより常にゼロの新しい余りが得られる。このことは送り出されるデータに対応するCRC値を発生するために用いられる場合と同一の除法処理が送り込まれるデータを検査する場合にも使用できることを意味する。送信機において、この余りは(通常において)ゼロではなく、真のデータの後に即時に送られる。さらに、受信機において、上記のデータ・ブロック全体が検査され、除数がゼロであれば、このデータ送信が確認される。
【0047】
8ビットCRC発生装置は記憶装置400内のハードウエア、ソフトウエアまたはファームウエアの中において実行できる。このファームウエアはハードウエア装置用のコントローラのソフトウエアであり、EEPROMまたはフラッシュROM(読出し専用記憶装置)等の持久記憶装置(例えば、記憶装置400)の中に書込みまたはプログラムすることが可能である。このファームウエアはコントローラ・ソフトウエア内のバグの検出および修正用またはハードウエア装置の性能を改良するためのフラッシュ・プログラムにより更新できる。本発明を実施する場合に使用する例示的なEEPROMはDALLAS SEMICONDUCTOR(商標)から市販されているハードウエア装置のiButton(商標)系統群の一部品である64ビットの一回限り式プログラマブル・アプリケーション・レジスタによるランダム・アクセス用の1ページが32バイトで構成されている256ビットDS2430A 1ワイヤ・デバイスである。
【0048】
当該技術分野において一般的に用いられているプログラミング言語である「C」における以下の例示的なソフトウエア・コードは発生装置コンソール10によるハンド・ピースの使用を認証するために記憶装置400内の連続状のデータを読み出す場合の8ビットCRCの計算方法を示している。データ・ブロックについてCRC値を計算する前に、8ビットCRC値を先ずゼロに初期化する。発生装置コンソール10が記憶装置400内の8バイトの連続状のデータを読み出す際に、8ビットのCRC値が各8バイトの連続状のデータに対応して計算される。結果として得られた8ビットのCRC値がゼロに等しければ、発生装置コンソール10によるハンド・ピースの使用が認証されて、ハンド・ピースがイネーブル状態になる。一方、得られた8ビットのCRC値がゼロでない場合は、発生装置コンソール10によるハンド・ピースの使用は認証されず、ハンド・ピースはイネーブル状態にならずに、エラー・メッセージが発生装置コンソール10における表示装置12に現れて使用が認証されないことが示される。
【数1】
Figure 0004169971
【0049】
記憶装置400に対応する16ビットのCRC値を計算するための別の例示的なソフトウエア・コードを以下に記載する。同様に、データ・ブロックについてCRC値を計算する前に、16ビットCRC値を先ずゼロに初期化する。発生装置コンソール10が記憶装置400内の16バイトの連続状のデータを読み出す際に、16ビットのCRC値が連続状のデータにおける1バイト乃至30バイトのそれぞれに対応して計算されて、これらの結果が31バイトおよび32バイトで記憶される。これらの結果を比較した後に、結果として得られたCRC値がゼロに等しければ、発生装置コンソール10によるハンド・ピースの使用が認証されて、ハンド・ピースがイネーブル状態になる。一方、得られた16ビットのCRC値がゼロでない場合は、発生装置コンソール10によるハンド・ピースの使用は認証されず、ハンド・ピースはイネーブル状態にならずに、エラー・メッセージが発生装置コンソール10における表示装置12に現れて使用が認証されないことが示される。
【数2】
Figure 0004169971
【0050】
さらに、記憶装置400の中のデータを暗号化したコードにすることができ、このコードが発生装置コンソール10に存在している対応する解読アルゴリズムにより解読されて、当該コンソールによるハンド・ピースの適正な使用を認証するように作用する一定の応答データ・パターンが得られる。この暗号化は内容またはその他のデータを認識不能なデジタル形態に変える処理、およびこの形態をその後に元の形態に戻す処理により各メッセージを暗号化および解読するためにコンピュータの「キー(key)」を使用するアルゴリズムにより達成できる。この「キー」が長いほど、コードを解読するために要する計算処理が増える。力ずくで暗号化されたメッセージを解読するためには、全ての可能なキーを試みる必要がある。コンピュータの各キーは種々の長さの情報の「ビット(bits)」により作成されている。例えば、8ビットのキーは256(2の8乗)個の可能な値を有する。また、56ビットのキーは72クアドリロン(72×1016)個の可能な組み合わせを形成する。さらに、キーが128ビットの長さまたはパーソナル・コンピュータ上の16文字メッセージと等価であれば、力づくの解読は56ビット・キーを解読する場合の4.7セクスティリオン(4.700,000,000,000,000,000,000)倍困難になる。このような暗号化により、発生装置コンソール10によるハンド・ピースの正当と認められない使用が概ね防止でき、認証されない使用において暗号化されたコードが解読される可能性は極めて稀になる。
【0051】
また、発生装置コンソール10による使用に対して互換性のある特異的な認識(ID)番号が製造される全てのハンド・ピースおよびブレードおよびシャーに対して記憶装置(例えば、記憶装置400または301)の中に登録されて記憶され、この場合の認識はいずれの2個のハンド・ピースまたはブレードまたはシャーも互いに似ていないために確実におこなえる。本発明による特定の実施形態において、記憶装置400はDALLAS SEMICONDUCTOR(商標)から市販されているDS2430A 1ワイヤEEPROMデバイスであり、この装置は製造された各ハンド・ピースに対して工場でレーザー加工されて検査された64ビットのID番号を記憶している。このID番号は各ハンド・ピースに対応する特異的な連続のID番号であると共に、一定のモデル番号またはモデル系統群の番号にすることができる。このことにより、発生装置コンソール10は上記のモデルまたはモデル系統群に対応する連続番号のリストを必要とせずに、その互換性およびこれと共に使用可能なことを認知する。また、例えば、DALLAS SEMICONDUCTOR(商標)から市販されているMICROLAN(商標)プロトコルの各製品等の概ね同一の通信プロトコルの別の製品との互換性を確実にするために、ハードウエアのフォーマットおよびプロトコル内のファウンドリー・ロック・データ(foundry lock data)が記憶装置400の中に記憶されている。この処理により概ね同一の通信プロトコルにおいて動作するローカル・エリア・ネットワーク(LAN)上に付加的な外科装置と共にシステムを備える場合の規模を適宜に変更できるようになる。
【0052】
図10および図11は発生装置コンソール10によりシース1100を使用する際のエラー防止のための本発明による記憶装置400または301の動作を示しているフロー図である。ハンド・ピース30を動作する際のエラーを防ぐために、記憶装置400または301はハンド・ピース30の動作をハンディキャップ状態またはディスエーブル状態にすることの要否を決定する場合に発生装置コンソール10が利用できる特定の診断情報を記憶できる。例えば、記憶装置400または301はハンド・ピースが活性である時間、一定時間内における活性化の数、使用している欠陥のあるブレードの数、動作温度、許容可能な温度の変化率、および例えば表1に記載するような任意のその他の特性についての各制限値を含む情報を記憶できる。なお、当該技術分野の熟練者であれば、別のエラー防止手段、診断および性能の特性も記憶装置400または301内に記憶できることが理解できると考える。記憶装置400または301内に記憶可能な(表1に示すような)例示的な性能特性は外科装置の種類の情報および修正データ(表1の列1)、電流設定点(列2)、トランスデューサのキャパシタンス(列3)、ケーブルのキャパシタンス(列4)、検査用の先端部またはエンド−イフェクタを備えたハンド・ピースの場合の位相マージン(列5)、共振振動数(列6)、残りの動作処理(列7)、動作振動数の下方の限界値または閾値(列8)、動作振動数の上方の限界値または閾値(列9)、最大出力(列10)、出力制御情報および認証(列11)、ハンド・ピースのインピーダンス(列12)、特定の出力レベルにおける全体の定時情報(列13および列14)、ハンド・ピースのイネーブル/ディスエーブル診断情報(列15)、ハンド・ピース・エラー・コード(列16)、温度範囲および変化データ(列17,18および19)、電流過剰負荷制限値(列20)、高インピーダンス故障制限値(列21)、および巡回冗長検査(CRC)データ(列22)を含む。さらに、ブレードの制振性等の別の特性も記憶装置に記憶できる。
【0053】
さらに、記憶装置400は使用者名等の使用者の特異的なデータ、内部トラッキング番号、キャリブレーション・スケジュール、およびカスタム・アウトプット性能仕様を記憶できる。上記使用者の特異的なデータは発生装置コンソール10により操作またはプログラムすることができ、あるいは工場においてエンド−イフェクタを作成する時に初期化できる。加えて、上記記憶装置は焼灼器または自己発熱型装置、ホモジナイザーおよび液化装置等の特殊化装置と共に使用できる。
【表1】
Figure 0004169971
【0054】
図12および図13はそれぞれブレード/シャーの記憶装置内に記憶されているパラメータにより引き起こされる問題または困難に対する最終消費者への警告方法を示すフロー図である。処置を実行する外科医の能力を妨げるまたは低下させる可能性のある機能的可能性を不利にするまたは減少する代わりに、本発明による方法の特定の実施形態はその警告の性質による内容およびすぐ手近の外科的作業における適当な時点において最終消費者が手動で停止することを可能にする。
【0055】
本発明の特定の実施形態によれば、ハンド・ピース30が使用のために活性化されると、発生装置コンソール10が診断情報について記憶装置400または301を読み出す(工程601)。次に、工程603において、発生装置コンソール10はハンド・ピース30の温度が記憶装置400に記憶されているハンディキャップ制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、発生装置コンソール10はハンド・ピース30に、例えば、一定の速度または振動周波数よりも低く、または過剰発熱を避けるために凝固または切断等の制限状態のモードで動作する等のハンディキャップ・モードで動作するように命令する(工程605)。また、超えていない場合には、制御フローが工程607に進み、この工程において、発生装置コンソール10はハンド・ピース30の温度が記憶装置400の中に記憶されているディスエーブル制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、発生装置コンソール10はハンド・ピース30をディスエーブルにする(工程609)。また、超えていない場合には、制御フローが工程611に進み、この工程において、発生装置コンソール10はハンド・ピース30を動作している一定時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が記憶装置400の中に記憶されているハンディキャップ制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、発生装置コンソール10はハンド・ピース30に、例えば、一定の速度または振動周波数よりも低く、またはブレード32が欠陥品になることの発生を減少するために凝固または切断等の制限状態のモードで動作することを含むハンディキャップ・モードで動作するように命令する(工程613)。この工程613におけるハンディキャップ・モードは上記工程605におけるハンディキャップ・モードとは必ずしも同一ではなく、上記の各工程603および工程611における各状況下でハンド・ピース30を動作するためのそれぞれの最適なモードにより決まる。
【0056】
検出された欠陥のあるブレードの数がそのハンディキャップ制限値を超えていない場合には、制御フローが工程615に進み、この工程において、発生装置コンソール10は一定の時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が記憶装置400内に記憶されているディスエーブル制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、発生装置コンソール10はハンド・ピース30をディスエーブルにする(工程609)。また、この制限値を超えていない場合には、制御フローが工程Aを介して工程617に進み、この工程において、発生装置コンソール10はハンド・ピース30が活性化された時間が記憶装置400内に記憶されているハンディキャップ制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、発生装置コンソール10はハンド・ピース30に、例えば、一定の速度または振動周波数よりも低く、または凝固または切断等の制限状態のモードで動作することを含むハンディキャップ・モードで動作するように命令する(工程619)。この工程619におけるハンディキャップ・モードは上記の工程605または613におけるハンディキャップ・モードとは必ずしも同一ではなく、上記の各工程603,611および617における状況下でハンド・ピース30を動作するためのそれぞれの最適なモードにより決まる。
【0057】
上記のハンド・ピース30が活性化されていた時間がそのハンディキャップ制限値を超えていない場合は、制御フローは工程621に進み、この工程において、発生装置コンソール10はハンド・ピース30が活性化されていた時間が記憶装置400の中に記憶されているディスエーブル制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えていれば、制御フローは、工程Bを介して、工程609に進み、この工程において、発生装置コンソール10がハンド・ピース30をディスエーブルにする。また、上記の制限値を超えていなければ、制御フローは工程623に進み、この工程において、発生装置コンソール10は一定時間内におけるハンド・ピース30の活性化の数が記憶装置400の中に記憶されているハンディキャップ制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、発生装置コンソール10はハンド・ピース30に、例えば、一定の速度または振動周波数よりも低く、または凝固または切断等の制限状態のモードで動作することを含むハンディキャップ・モードで動作するように命令する(工程625)。この工程625におけるハンディキャップ・モードは上記の各工程605,613または619におけるハンディキャップ・モードとは必ずしも同一ではなく、上記の各工程603,611,617および623における状況下でハンド・ピース30を動作するためのそれぞれの最適なモードに応じて決まる。
【0058】
上記の一定時間内におけるハンド・ピース30の活性化の数がそのハンディキャップ制限値を超えていない場合は、制御フローは工程627に進み、この工程において、発生装置コンソール10が一定時間内におけるハンド・ピース30の活性化の数が記憶装置400の中に記憶されているディスエーブル制限値を超えているか否かを決定する。この制限値を超えている場合に、制御フローは、工程Bを介して、工程609に進み、この工程において、発生装置コンソール10はハンド・ピース30をディスエーブルにする。また、上記の制限値を超えていない場合には、制御フローが、工程Cを介して、工程601に進み、当該工程から、ハンド・ピース30をディスエーブル状態にするまで、この本発明の特定の実施形態による上記の各処理工程が反復可能になる。
【0059】
上記の図10および図11について本明細書において説明した各ディスエーブル制限値および各ハンディキャップ制限値はハンド・ピース30の動作モードを決定するための発生装置コンソール10に対応する実質的に異なる基準値にすることができる。記憶装置400はハンド・ピース30の変更された動作条件に対応する異なるディスエーブル制限値またはハンディキャップ制限値に対してそれぞれ再初期化することが可能である。発生装置コンソール10も同様にこの記憶装置400内に記憶されている情報に基づいてハンド・ピース30の動作モードを制御するための変更された基準値に応じて動作するように再初期化できる。
【0060】
図14はハンド・ピース30を使用している発生装置コンソール10を再プログラムまたはアップグレードするための本発明による記憶装置400の動作を示しているフロー図である。先ず工程801において、発生装置コンソール10は当該コンソールの諸機能について診断検査を行なう。例えば、変更、ディスエーブル、または付加が必要な機能等のいずれかの機能が不適当と考えられるか否かについて工程803において決定される。例えば、上記の図10および図11について本明細書において説明したエラー防止機能を付加することが必要になる可能性があり、あるいは、各ハンディキャップ制限値および各動作モードは再初期化することが必要になる可能性がある。特定の機能が不適当であると決定された場合に、制御フローは工程807に進む。この工程807において、発生装置コンソール10は再プログラム・コードが工程800において記憶されているハンド・ピース30の記憶装置400を読み出す。この記憶装置400からの再プログラム・コードを用いて、発生装置コンソール10の各機能が再プログラム処理される。
【0061】
一方、上記工程803においてコンソール10の各機能が適当であり、記憶装置が比較的新しいバージョンのプログラムを備えていることが決定されると、発生装置コンソール10は制御フローを工程805に進める。この工程805においては、発生装置コンソール10のためのアップグレードが必要であるか否かが決定される。必要である場合には、制御フローが工程807に進む。この工程807において、発生装置コンソール10は工程800において再プログラムまたはアップグレードのコードが既に記憶されているハンド・ピース30の記憶装置400を読み出す。この記憶装置400からの再プログラムまたはアップグレード・コードの読出し情報を用いて、発生装置コンソール10の各機能が再プログラムまたはアップグレードされる。例えば、発生装置コンソール10はハンド・ピースの特定の世代またはバージョンに対して動作上の困難点がある場合に、記憶装置400からのアップグレード情報が発生装置コンソール10に命令してこのハンド・ピースの比較的新しいバージョンまたは世代のみに対してその使用が可能になるようにする。記憶装置400はさらに動作上の困難点または欠点を有している世代またはバージョンに従うハンド・ピースの特定群に対応する製造日、設計バージョン、製造コード、ロット・コードまたはその他の製造に関連する情報を含む情報も記憶することが可能であり、これらの情報により発生装置コンソール10が再プログラムまたはアップグレードされてこのようなハンド・ピースに対する使用における活性化を拒否することが可能になる。
【0062】
再プログラムまたはアップグレードのコードを記憶することに加えて、記憶装置400は発生装置コンソール10によりハンド・ピース30を動作するための性能基準を記憶できる。例えば、大規模な外科処置用の比較的大型のハンド・ピースと同程度の強度であるエネルギー・レベルにおいては比較的小形のハンド・ピースが駆動できないので、記憶装置400は特定のハンド・ピース30を駆動するための最大エネルギー・レベル等のエネルギー・レベル情報を記憶できる。このハンド・ピース30を駆動するためのエネルギー・レベルに相関する情報およびこれに対応する出力変位も記憶装置400の中に記憶できる。発生装置コンソール10はこの記憶装置400の中に記憶されているエネルギー・レベル情報を読み出して、これに対応する出力変位によりハンド・ピース30を駆動する。エネルギー・レベル情報に加えて、振幅変調および共振振動数の種類等の駆動信号特性が記憶装置400に記憶できる。これらの記憶装置400内に記憶された情報を用いて、発生装置コンソール10およびハンド・ピース30は図10および図11について本明細書において説明したエラー防止、および図14について本明細書において説明した発生装置コンソール10の再プログラムまたはアップグレードを行なうことができる。
【0063】
図2,図3および図4について本明細書において説明し、本明細書に参考文献として含まれる関連の米国特許出願第09/693,621号に記載されているように、動作モードにおけるハンド・ピース30の各部品は、全体として、概ね同一の共振振動数において振動するように設計されており、この場合のハンド・ピース30の各構成要素は結果として得られる各要素の長さが1/2波長になるように同調される。位相修正アルゴリズムを使用しているマイクロプロセッサまたはDSP60はハンド・ピース30の各部品が振動する周波数を制御する。ハンド・ピース30の活性時に、この振動周波数が始動値またはハンド・ピース30の記憶装置400内に記憶されている50kHz等の公称の共振振動数に設定される。その後、共振振動数への接近を示すインピーダンスにおける変化が検出されるまで、それぞれの値が記憶装置400内に記憶されている開始時掃引点と停止時掃引点との間の振動数範囲の掃引がDSP60の制御下で行なわれる。このインピーダンスにおける変化は、例えば、関連の米国特許出願第09/693,621号に記載されるようにハンド・ピース30の動作を制御するためのアルゴリズムを数学的にモデル化するための並列等価回路のインピーダンス値を言う。さらに、共振振動数が得られると、ハンド・ピース30の各部品がその振動数において振動される。
【0064】
図15は記憶装置400に記憶されている情報により一定の共振振動数において本発明によるハンド・ピース30の動作を示しているフロー図である。ハンド・ピース30が活性化されると(工程901)、発生装置コンソール10はハンド・ピース30の記憶装置400を読出し(工程903)、公称の共振振動数および開始時掃引点および停止時掃引点により範囲が定められている振動数範囲を含む共振振動数においてハンド・ピース30を動作するために必要な情報を取り出す(工程905)。この振動数範囲内の振動数掃引がDSP60の制御下において行なわれる(工程907)。次に、共振振動数の検出が工程909において行なわれる。共鳴振動数が検出されなかった場合は、制御フローは工程907に戻り、この工程において、上記の振動数掃引が継続される。また、共鳴振動数が検出されると、制御フローは工程911に進み、この工程において、ハンド・ピース30の各部品がその共振振動数において振動される。
【0065】
図16は記憶装置400内に記憶されている情報を使用する一定の共振振動数における本発明によるハンド−ピース30の動作の別の実施形態を示している図である。振動数掃引のための一定の振動数範囲の開始時および停止時の各掃引点の代わりに、記憶装置400または301は公称の共振振動するおよびバイアス量を記憶する。発生装置コンソール10はこの公称の共振振動数からバイアス量を引き足しして開始時および停止時の各掃引点をそれぞれ計算する。バイアス量を超える比較的小さい量のマージンが共振振動数を探索するための振動数掃引を行なう振動数範囲における開始時および停止時の各掃引点にそれぞれ到達するようにバイアス量に付加される。共振振動数が検出されると、ハンド・ピース30の各部品がその共振振動数において振動される。
【0066】
図15により、記憶装置400または301の中に記憶されている情報による一定の共振振動数における本発明によるハンド・ピース30の動作をこの特定の実施形態に従って説明する。ハンド・ピース30が活性化されると(工程901)、発生装置コンソール10がハンド・ピース30の記憶装置400を読み出して、上記公称の共振振動数、バイアス量およびマージン量を含む共振振動数においてハンド・ピース30を動作するために必要な情報を取り出し(工程905)、これらの情報から一定の振動数範囲が図16について本明細書において説明するように追随的に計算される。この発生装置コンソール10は公称の共振振動数から上記バイアス量を引き足しすることにより開始時および停止時の各掃引点をそれぞれ計算する。さらに、上記振動数範囲における開始時および停止時の各掃引点にそれぞれ到達するために上記バイアス量を超える比較的小さい量のマージン量がこのバイアス量に付加されて、この振動数範囲内において一定の共振振動数を探索するための振動数掃引が行なわれる。この振動数範囲内の振動数掃引はDSPの制御下で行なわれる(工程907)。その後、共振振動数の検出が工程909において行われる。この共振振動数が検出されない場合は、制御フローが工程907に戻り、この工程907において振動数掃引が継続される。また、共振振動数が検出されると、制御フローは工程911に進み、この工程911においてハンド・ピース30の各部品がその共振振動数において振動される。
【0067】
本発明による超音波外科ハンド・ピース30のための記憶装置400はそのエンド−イフェクタのシースの中に配置されている。あるいは、記憶装置301,302または303をシャーまたはシャー状の装置またはその他の装置におけるグリップ、取付部分、またはハンドル部分の中に配置することもできる。さらに、記憶装置400は電気的コネクタ、ハンド・ピース30のハウジング内、またはケーブル26の中のイン−ライン位置を含む1個以上の場所に配置することも可能である。EEPROMにすることに加えて、上記記憶装置400は読出し専用メモリ(ROM)、消去プログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)または単電池(セル)、電池(バッテリ)、またはスーパー・コンデンサ等のコンデンサにより電力供給される任意のその他の揮発性記憶装置の内の1種または組み合わせとすることができる。さらに、記憶装置400はプログラム可能アレイ論理(PAL)、プログラム可能論理アレイ(PLA)、アナログ・シリアル記憶デバイス、音響記憶一体型回路または同様のデバイス、または暗号化のためのマイクロプロセッサ等の数値操作デバイスを伴うメモリ・デバイスとすることもできる。さらに、記憶装置400はエンド−イフェクタの代わりにハンド・ピース30の中に差し込むことのできる非ハンド・ピース型の装置内に配置できる。
【0068】
さらに別の実施形態において、上記ブレードまたはシャーまたはエンド−イフェクタはハンド・ピースに対して直接的によりはむしろスイッチ・アダプタまたはアダプタに対して電気的に連絡している。このスイッチ・アダプタは信号をハンド・ピースに対して直接的にまたは中間の処理を介して伝達して、ブリッジとして作用する。この一例を図21に示しており、この場合におけるスイッチ・アダプタ2005はハンド・ピース2000とブレード・メモリ接触端子2004とに対する接触端子を有している。この構成は、このアダプタがスイッチ・アダプタであり、ブレード・メモリからハンド・ピースに直接的に配線を通すための十分な空間的余裕が無い場合に特に有用である。
【0069】
別の実施形態において、上記記憶装置は直接的な電気的接続の代わりに電磁的連結を介してハンド・ピースまたはアダプタに対して連絡している。この方法においては、上記記憶装置および支援用の電子部品をコイルに接続して、これらの全てをブレードまたはシャーまたはエンド−イフェクタの中に取り付ける。この一例を図22に示しており、この場合におけるコイル1001はブレードまたはシャーの上部または内部に配置されているメモリ・コイル1002に対して比較的近くに配置されているハンド・ピースまたはスイッチ・アダプタまたはアダプタの中に配置されている。発生装置コンソール内の回路がこのコイル1001を駆動して読み出しを行なう。これにより、上記の記憶装置は直接的な配線接続を用いることなく発生装置コンソールにより読み出しおよび/または書込みされる。この方法はエンド−イフェクタの製造における複雑さを減少するので直接的な電気的接続よりも有利である。さらに、この方法は、記憶装置内のデータにより既に行なった使用数等を知ること、または無菌パッケージを開けることなくソフトウエアのアップグレードを可能にすることが必要であるが、都合よく開けることのできない無菌パッケージ内に包装されているブレードまたはシャーまたはその他のエンド−イフェクタの記憶装置に対する読み出しおよび/または書込みも可能にする。
【0070】
図18,図19および図20はそれぞれ等角図、側面図および側断面図により本発明によるエンド−イフェクタ内の持久記憶装置(EEPROM等)を伴う超音波外科ハンド・ピースの特定の実施形態を示している図である。
【0071】
上記のEEPROM400はハンド・ピース30または超音波ブレード32のハウジングの中に嵌め込まれている。このEEPROM400は出力/データ接触端子1120および接地接触端子1110を伴う2個の端子を有している。このEEPROM400はインサート成形処理または二次ショット成形処理によりハンド・ピース30の中に嵌め込まれる。また、このEEPROM400はブレード32に接触している接地接触端子1110がトランスデューサ36(図6)に対して接続できるように取り付けまたは配置されている。出力/データ接触端子1120を介するもう一方の端子はハンド・ピース30からEEPROM400に対する出力またはデータの配線連絡を可能にする位置に成形されている。
【0072】
特に図20において、上記接地接触端子1110と共にEEPROM400に配線されている金属シム1140が示されている。この金属シム1140を操作することにより、接地接触端子1110はトランスデューサ36から絶縁しているブレード32の外部接触端子に対して接続できる。さらに、上記出力/データ接触端子1120と共に上記EEPROM400を当該接触端子1120に接続するEEPROM配線1130が示されている。このEEPROM400とハンド・ピース30との間の接触端子はブレードの認識を決定および認証するために十分な長さだけの一時的な接続手段とすることができる。
【0073】
以上において本発明をその好ましい実施形態について特定的に詳細に図示し説明したが、これらの実施形態はこれら以外の形態を排除することを目的としておらず、あるいは本明細書に開示したこれらの正確な形態に本発明を限定することを目的としていない。当該技術分野における熟練者であれば、上記の形態および詳細部分における多くの変更が本発明の範囲および趣旨から逸脱することなく行なえることが理解できると考える。同様に、本明細書において説明したいずれの処理工程も他の工程と交換して実質的に同一の結果を得ることができる。このような変更の全ては本発明の範囲内に含まれると考えられ、これらは本明細書に記載した特許請求の範囲およびこれらに等価な各実施態様により定められる。
【0074】
本発明の実施態様は以下の通りである。
(A)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
シースを伴うエンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースを備えており、当該エンド−イフェクタがブレード、シャー、はさみおよび鉗子から成る群から選択される1種類であり、さらに、
前記ハンド・ピースを制御するための発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記ブレードに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
前記エンド−イフェクタのシースの中に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが著作権化された連続状のデータが存在しているか否かを決定するために当該記憶装置の中に記憶されている情報を読み出し、
前記連続状のデータが存在している場合に、前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証されるシステム。
(B)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
エンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースと、
前記ハンド・ピースを制御するための発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
グリップ、ハンドルおよび取付部分から成る群から選択される前記エンド−イフェクタの一部分の中に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが連続状のデータが存在しているか否かを決定するために当該記憶装置の中に記憶されている情報を読み出し、
前記連続状のデータが存在している場合に、前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証されるシステム。
(C)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
エンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースと、
前記ハンド・ピースを制御するための発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
前記エンド−イフェクタのブレード取付ハブと共に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが連続状のデータが存在しているか否かを決定するために当該記憶装置の中に記憶されている情報を読み出し、前記連続状のデータが存在している場合に、前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証されるシステム。
(1)前記連続状のデータが著作権化されている実施態様(B)に記載のシステム。
(2)前記連続状のデータが著作権化されている実施態様(C)に記載のシステム。
(3)前記記憶装置が一定のアラーム制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記一定のアラーム制限値を超えた場合に、一定のアラーム・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの温度が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(B)に記載のシステム。
(4)前記記憶装置が一定のアラーム制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記一定のアラーム制限値を超えた場合に、一定のアラーム・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの温度が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(C)に記載のシステム。
(5)前記記憶装置が一定のアラーム制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記一定のアラーム制限値を超えた場合に、一定のアラーム・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの温度が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(A)に記載のシステム。
【0075】
(D)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
着脱自在のエンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースと、
前記ハンド・ピースを制御するための発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
前記エンド−イフェクタと共に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが当該記憶装置の中に使用経過および診断情報および形態情報を書き込み、
前記診断情報が活性化の数、活性化の持続時間、使用間の実質的な時間を伴う使用数、診断エラー・コード、イネーブル状態の使用、ディスエーブル状態の使用、発生装置コンソールの連続番号、およびハンド・ピースの連続番号から成る群から選択されるシステム。
(E)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
ブレードおよびシャーから成る群から選択される着脱自在のエンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースと、
前記ハンド・ピースを制御するためのデジタル信号プロセッサ(DSP)を有する発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
前記エンド−イフェクタの中に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが当該記憶装置を読み出して前記エンド−イフェクタを駆動することに対して当該コンソールをディスエーブルにするために前記エンド−イフェクタがディスエーブル状態になっているか否かを決定するシステム。
(6)前記ハンド・ピースがさらに音を出して潜在的に危険な状態を通知するアラームを備えている実施態様(E)に記載のシステム。
(F)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
ブレードおよびシャーから成る群から選択されるエンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースと、
前記ハンド・ピースを制御するためのデジタル信号プロセッサを有する発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
前記エンド−イフェクタと共に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが当該記憶装置の中に記憶されている情報を読み出してそのコンソール表示装置上に当該情報および当該情報の説明を表示するシステム。
(7)さらに、スイッチ・アダプタを備えており、前記記憶装置が直接的な接触端子を介して当該スイッチ・アダプタに電気的に連絡しており、前記スイッチ・アダプタが前記ハンド・ピースに対して情報を伝達する実施態様(F)に記載のシステム。
(8)さらに、アダプタを備えており、前記記憶装置が電磁的信号連結手段を介して当該アダプタに電気的に連絡しており、前記アダプタが前記ハンド・ピースに対して前記電磁的信号連結手段を介して情報を伝達する実施態様(F)に記載のシステム。
(9)さらに、スイッチ・アダプタを備えており、前記記憶装置が電磁的信号連結手段を介して前記ハンド・ピースに電気的に連絡しており、前記スイッチ・アダプタが前記ハンド・ピースに対して前記電磁的信号連結手段を介して情報を伝達する実施態様(F)に記載のシステム。
(10)さらに、スイッチ・アダプタを備えており、当該アダプタが直接的な接触端子を介して前記ハンド・ピースに電気的に連絡している実施態様(F)に記載のシステム。
【0076】
(11)前記記憶装置が焼灼装置、ホモジナイザーおよび液化装置から成る群から選択される特殊化装置と共に使用される実施態様(F)に記載のシステム。
(12)前記記憶装置が前記ハンド・ピースの特定の種類に対する互換性を決定するため、および当該ハンド・ピースに対して互換性が無いことが決定された場合にそのハンド・ピースの使用をブロックするために使用される実施態様(F)に記載のシステム。
(13)前記記憶装置の中にプログラムされているファームウエア内において実行される巡回冗長検査(CRC)により前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証される実施態様(A)に記載のシステム。
(14)前記連続状のデータが暗号化されており、前記コンソール内の対応する暗号化アルゴリズムを解読して一定の応答データ・パターンを供給することにより前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証される実施態様(A)に記載のシステム。
(15)前記記憶装置が一定のハンディキャップ制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記一定のハンディキャップ制限値を超えた場合に、一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの温度が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(A)に記載のシステム。
【0077】
(16)前記記憶装置が一定のハンディキャップ制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースを動作している一定時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が前記一定のハンディキャップ制限値を超えた場合に、一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記一定時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(A)に記載のシステム。
(17)前記記憶装置が一定のハンディキャップ制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースが活性であった時間が前記一定のハンディキャップ制限値を超えた場合に、一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースが活性であった時間が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(A)に記載のシステム。
(18)前記記憶装置が一定のハンディキャップ制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、一定時間内における当該ハンド・ピースの活性化の数が前記一定のハンディキャップ制限値を超えた場合に、一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記一定時間内におけるハンド・ピースの活性化の数が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(A)に記載のシステム。
(19)前記一定のハンディキャップ制限値および前記一定のディスエーブル制限値が前記ハンド・ピースの変更された各動作条件に基づいて再初期化される実施態様(15)に記載のシステム。
(20)前記コンソールの再プログラムが必要であることが決定された場合に、前記記憶装置の中に記憶されている再プログラム・コードを読み出すことにより当該コンソールが再プログラム処理され、前記コンソールのアップグレードが必要であることが決定された場合に、前記記憶装置の中に記憶されているアップグレード・コードを読み出すことにより当該コンソールがアップグレード処理される実施態様(A)に記載のシステム。
【0078】
(21)前記コンソールが前記エンド−イフェクタの代わりに前記ハンド・ピースにプラグを介して差し込まれている非ハンド・ピース型装置の持久記憶装置から再プログラム・コードおよびアップグレード・コードを読み出す実施態様(20)に記載のシステム。
(22)前記記憶装置の中に記憶される情報がエネルギー・レベル情報および対応する出力変位に相関しており、前記コンソールが当該エネルギー・レベル情報を読み出して当該対応する出力変位に応じて前記ハンド・ピースを動作する実施態様(A)に記載のシステム。
(23)前記記憶装置の中に記憶される情報が公称の共振振動数、一定の振動数範囲を定めている開始時掃引点および停止時掃引点を含み、前記ハンド・ピースを動作するための一定の共振振動数を検出するために振動数掃引が前記一定の振動数範囲内において前記コンソールの制御下で行なわれる実施態様(A)に記載のシステム。
(24)前記記憶装置の中に記憶される情報が公称の共振振動数、一定の振動数範囲を計算するためのバイアス量およびマージン量を含み、前記ハンド・ピースを動作するための一定の共振振動数を検出するために振動数掃引が前記一定の振動数範囲内において前記コンソールの制御下で行なわれる実施態様(A)に記載のシステム。
(25)前記記憶装置が電気的消去プログラム可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去プログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プログラム可能アレイ論理(PAL)、プログラム可能論理アレイ(PLA)、アナログ・シリアル記憶デバイス、音響記憶一体型回路、暗号化のためのマイクロプロセッサ等の数値操作デバイスを伴うメモリ・デバイス、および単電池(セル)、電池(バッテリ)およびコンデンサにより構成されているデバイスにより電力供給される揮発性記憶装置により構成されている実施態様(A)に記載のシステム。
【0079】
(G)シースを伴うエンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピース、当該ハンド・ピースを制御するためのコンソール、および前記エンド−イフェクタのシースの中に配置されている記憶装置を備えているシステムにおいて外科処置を実行するための方法において、
前記記憶装置の中に記憶されている情報を読み出す工程と、
前記記憶装置の中に著作権化された連続状のデータが存在しているか否かを決定する工程と、
前記連続状のデータが存在している場合に前記コンソールによる前記ハンド・ピースの使用を認証する工程と、
前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送る工程と、
前記エンド・イフェクタに対して超音波動作を与える工程を含む方法。
(26)さらに、前記コンソール内の暗号化アルゴリズムを解読する工程と、一定の応答データ・パターンを供給する工程を含み、前記連続状のデータが暗号化されているコードである実施態様(G)に記載の方法。
(27)さらに、前記ハンド・ピースの温度が一定のハンディキャップ制限値を超える場合に、当該ハンド・ピースに一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令する工程と、前記ハンド・ピースの温度が一定のディスエーブル制限値を超える場合に当該ハンド・ピースをディスエーブルにする工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
(28)さらに、前記ハンド・ピースを動作している一定時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が一定のハンディキャップ制限値を超える場合に、当該ハンド・ピースに一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令する工程と、前記一定時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が一定のディスエーブル制限値を超える場合に前記ハンド・ピースをディスエーブルにする工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
(29)さらに、前記ハンド・ピースが活性であった時間が一定のハンディキャップ制限値を超える場合に、当該ハンド・ピースに一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令する工程と、前記ハンド・ピースが活性であった時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が一定のディスエーブル制限値を超える場合に前記ハンド・ピースをディスエーブルにする工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
(30)さらに、一定時間内における前記ハンド・ピースの活性化の数が一定のハンディキャップ制限値を超える場合に、当該ハンド・ピースに一定のハンディキャップ・モードで動作するように命令する工程と、前記一定時間内におけるハンド・ピースの活性化の数が一定のディスエーブル制限値を超える場合に前記ハンド・ピースをディスエーブルにする工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
【0080】
(31)さらに、前記ハンド・ピースの変更された各動作条件に前記ハンディキャップ制限値および前記ディスエーブル制限値を再初期化する工程を含む実施態様(27)に記載の方法。
(32)さらに、前記コンソールの再プログラムが必要であるか否かを決定する工程と、前記コンソールの再プログラムが必要であることが決定された場合に、前記記憶装置の中に記憶されている再プログラム・コードを読み出して当該再プログラム・コードにより前記コンソールを再プログラム処理する工程と、前記コンソールのアップグレードが必要であるか否かを決定する工程と、前記コンソールのアップグレードが必要であることが決定された場合に、前記記憶装置の中に記憶されているアップグレード・コードを読み出して当該アップグレード・コードにより前記コンソールをアップグレード処理する工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
(33)さらに、前記記憶装置の中に記憶されているエネルギー・レベル情報を読み出す工程と、対応する出力変位に応じて前記ハンド・ピースを駆動する工程を含み、前記記憶装置の中に記憶されているエネルギー・レベル情報が前記ハンド・ピースを駆動するための対応する出力変位に相関されている実施態様(G)に記載の方法。
(34)さらに、前記記憶装置から公称の共振振動数、一定の振動数範囲を定めている開始時掃引点および停止時掃引点を読み出す工程と、前記一定の振動数範囲内において振動数掃引を行なう工程と、前記ハンド・ピースを動作するための一定の共振振動数を検出する工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
(35)さらに、前記記憶装置から公称の共振振動数、一定のバイアス量および一定のマージン量を読み出す工程と、前記公称の共振振動数、バイアス量およびマージン量に基づいて一定の振動数範囲を計算する工程と、前記一定の振動数範囲内において振動数掃引を行なう工程と、前記ハンド・ピースを動作するための一定の共振振動数を検出する工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
【0081】
(36)さらに、前記エンド−イフェクタに対する使用数のトラックを維持する工程と、前記エンド−イフェクタに対して許容されている残りの使用数のトラックを維持する工程を含む実施態様(G)に記載の方法。
(H)外科処置を実行するためのシステムにおいて、
エンド−イフェクタを有する超音波外科ハンド・ピースと、
前記ハンド・ピースを制御するための発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
前記エンド−イフェクタのブレード取付ハブと共に配置されている記憶装置を備えており、前記コンソールが連続状のデータが存在しているか否かを決定するために当該記憶装置の中に記憶されている情報を読み出し、前記連続状のデータが存在している場合に、前記エンド−イフェクタが前記ハンド・ピースを伴う使用について認証されるシステム。
(37)前記連続状のデータが著作権化されている実施態様(H)に記載のシステム。
(38)前記記憶装置が一定のアラーム制限値および一定のディスエーブル制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記一定のアラーム制限値を超えた場合に、一定のアラーム・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの温度が前記一定のディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする実施態様(H)に記載のシステム。
【0082】
【発明の効果】
従って、本発明によれば、従来技術における不都合点を解消する外科処置を行なうための改善された超音波外科システムおよび方法が提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するための超音波外科切断および止血システム用のコンソール、およびハンド・ピースおよびフット・スイッチの斜視図である。
【図2】図1のシステムにおける超音波外科用メスのハンド・ピースにおける概略的切断図である。
【図3】本発明の実施形態によるハンド・ピースに対応するシステムを示しているブロック図である。
【図4】本発明の実施形態によるハンド・ピースに対応するシステムを示しているブロック図である。
【図5】図4の出力変圧器86のトランスデューサ駆動回路の概略図である。
【図6】本発明による超音波外科ハンド・ピース内のエンド−イフェクタのシース部分内における持久記憶装置を示している概略図である。
【図7】本発明による超音波シャーのハンドル/グリップ/取付部分(非シース部分)内の持久記憶装置を示している概略図である。
【図8】超音波外科ハンド・ピースの不適正な使用を防ぐための専有ロックアウト手法としての本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図9】本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図10】超音波外科ハンド・ピースの使用時におけるエラー防止のための本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図11】超音波外科ハンド・ピースの使用時におけるエラー防止のための本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図12】本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図13】本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図14】ハンド・ピースを使用しているコンソールを再プログラムまたはアップグレードするための本発明による持久記憶装置の動作を示しているフロー図である。
【図15】本発明による記憶装置内に記憶されている情報による共振振動数における超音波外科ハンド・ピースの動作を示しているフロー図である。
【図16】本発明による持久記憶装置内に記憶されている情報による共振振動数におけるハンド・ピースの動作の別の実施形態を示している説明図である。
【図17】ハンド・ピースの動作を避けるための振動数がブレード/シャーの記憶装置内に備えられている別の実施形態を示している説明図である。
【図18】本発明によるエンド−イフェクタ内に持久記憶装置を備えている超音波外科ハンド・ピースの一部分の等角図である。
【図19】本発明によるエンド−イフェクタ内に持久記憶装置を備えている超音波外科ハンド・ピースの一部分の側面図である。
【図20】本発明によるエンド−イフェクタ内に持久記憶装置を備えている超音波外科ハンド・ピースの一部分の側断面図である。
【図21】本発明によるハンド・ピースに持久記憶装置の信号を橋絡するためのハンド・ピース・アダプタを使用している別の実施形態を示している概略図である。
【図22】本発明による持久記憶装置に対して記憶装置のデータを送受するための電磁的連結手段を示している概略図である。
【符号の説明】
10 発生装置コンソール
20 ケーブル
30 ハンド・ピース
32 ブレード(エンド−イフェクタ)
36 トランスデューサ
40 フット・スイッチ
50 ケーブル
300 シャー
400 記憶装置

Claims (18)

  1. 外科処置を実行するためのシステムにおいて、
    音波外科ハンド・ピースを備えており、
    前記ハンド・ピースに接続可能なエンド−イフェクタを備えており、当該エンド−イフェクタがブレード、ブレードおよびシースの組立体、シャー、はさみ、ならびに鉗子から成る群から選択され、さらに、
    前記ハンド・ピースを制御するための発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
    前記エンド−イフェクタの中に配置されている記憶装置を備えており、当該記憶装置は、前記エンド−イフェクタによる切断速度および組織の止血の程度を設定するために当該エンド−イフェクタと共に動作するように前記発生装置コンソールの動作を調整し、ハンディキャップ制限値およびディスエーブル制限値をさらに記憶し、
    前記コンソールが著作権化された連続状のデータが存在しているか否かを決定するために前記記憶装置の中に記憶されている情報を読み出し、前記ハンド・ピースを動作しているある時間内に検出される欠陥のあるブレードの数が前記ハンディキャップ制限値を超えている場合には、ハンディキャップ・モードで動作するように前記ハンド・ピースに命令し、かつ前記コンソールは、前記時間内に検出される前記欠陥のあるブレードの数が前記ディスエーブル制限値を超える場合には、前記ハンド・ピースをディスエーブルにし、
    前記連続状のデータが存在している場合に、前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証されるシステム。
  2. 前記記憶装置がアラーム制限値を記憶しており、前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記アラーム制限値を超えた場合に、アラーム・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの前記温度が前記ディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする請求項1に記載のシステム。
  3. 前記記憶装置の中にプログラムされているファームウエア内において実行される巡回冗長検査(CRC)により前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証される請求項1に記載のシステム。
  4. 前記連続状のデータが暗号化されたコードであり、前記コンソール内の対応する暗号化アルゴリズムにより前記暗号化されたコードを解読して応答データ・パターンを供給することにより前記ハンド・ピースが前記コンソールによる使用について認証される請求項1に記載のシステム。
  5. 前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースの温度が前記ハンディキャップ制限値を超えた場合に、ハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースの前記温度が前記ディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする請求項1に記載のシステム。
  6. 前記ハンディキャップ制限値および前記ディスエーブル制限値が前記ハンド・ピースの変更された各動作条件に基づいて再初期化される請求項5に記載のシステム。
  7. 前記コンソールが前記ハンド・ピースに、当該ハンド・ピースが活性であった時間が前記ハンディキャップ制限値を超えた場合に、ハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記ハンド・ピースが活性であった前記時間が前記ディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド・ピースをディスエーブルにする請求項1に記載のシステム。
  8. 前記コンソールが前記ハンド・ピースに、ある時間内における当該ハンド・ピースの活性化の数が前記ハンディキャップ制限値を超えた場合に、ハンディキャップ・モードで動作するように命令し、さらに前記コンソールが、前記時間内におけるハンド・ピースの活性化の前記数が前記ディスエーブル制限値を超えた場合に、当該ハンド ・ピースをディスエーブルにする請求項1に記載のシステム。
  9. 前記コンソールの再プログラムが必要であることが決定された場合に、前記記憶装置の中に記憶されている再プログラム・コードを読み出すことにより当該コンソールが再プログラム処理され、前記コンソールのアップグレードが必要であることが決定された場合に、前記記憶装置の中に記憶されているアップグレード・コードを読み出すことにより当該コンソールがアップグレード処理される請求項1に記載のシステム。
  10. 前記コンソールが、前記エンド−イフェクタの代わりに前記ハンド・ピースにプラグを介して差し込まれている非ハンド・ピース型装置の非揮発性記憶装置から前記再プログラム・コードおよび前記アップグレード・コードを読み出す請求項9に記載のシステム。
  11. 前記記憶装置の中に記憶される前記情報がエネルギー・レベル情報および対応する出力変位に相関しており、前記コンソールが当該エネルギー・レベル情報を読み出して当該対応する出力変位に応じて前記ハンド・ピースを駆動する請求項1に記載のシステム。
  12. 前記記憶装置の中に記憶される前記情報が公称の共振振動数、或る振動数範囲を定めている開始時掃引点および停止時掃引点を含み、前記ハンド・ピースを動作するための共振振動数を検出するために振動数掃引が前記振動数範囲内において前記コンソールの制御下で行なわれる請求項1に記載のシステム。
  13. 前記記憶装置の中に記憶される前記情報が公称の共振振動数、振動数範囲を計算するためのバイアス量およびマージン量を含み、前記ハンド・ピースを動作するための共振振動数を検出するために振動数掃引が前記振動数範囲内において前記コンソールの制御下で行なわれる請求項1に記載のシステム。
  14. 前記記憶装置が電気的消去プログラム可能な読出し専用メモリ(EEPROM)、読出し専用メモリ(ROM)、消去プログラム可能な読出し専用メモリ(EPROM)、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、プログラム可能アレイ論理(PAL)、プログラム可能論理アレイ(PLA)、アナログ・シリアル記憶デバイス、音響記憶一体型回路、暗号化のためのマイクロプロセッサを含む数値操作デバイスを伴うメモリ・デバイス、および単電池(セル)、電池(バッテリ)およびコンデンサから成るデバイスにより電力供給される揮発性記憶装置から成る請求項1に記載のシステム。
  15. 外科処置を実行するためのシステムにおいて、
    音波外科ハンド・ピースと、
    前記ハンド・ピースに接続可能であり、ブレード、およびシャーから成る群から選択されるエンド−イフェクタと、
    前記ハンド・ピースを制御するためのデジタル信号プロセッサを有する発生装置コンソールを備えており、当該コンソールが前記ハンド・ピースを駆動するための駆動電流を送り、当該駆動電流が前記エンド−イフェクタに対して長手方向の超音波動作を与え、さらに、
    前記エンド−イフェクタ内に配置されている記憶装置を備えており、当該記憶装置は、前記エンド−イフェクタによる切断速度および組織の止血の程度を設定するために当該エンド−イフェクタと共に動作するように前記発生装置コンソールの動作を調整し、さらに、
    アダプタを備えており、
    前記記憶装置は、電磁信号連結を介して前記アダプタと電気的に連絡し、
    前記アダプタは、前記電磁信号連結により前記ハンド・ピースに情報を伝達し、
    前記コンソールが前記記憶装置の中に記憶されている情報を読み出して、前記コンソール表示装置上に当該情報および当該情報の説明を表示するシステム。
  16. 前記アダプタがスイッチ・アダプタである請求項15に記載のシステム。
  17. 前記記憶装置が焼灼装置、ホモジナイザーおよび液化装置から成る群から選択される特殊化装置と共に使用される請求項15に記載のシステム。
  18. 前記記憶装置が前記ハンド・ピースの特定の種類に対する互換性を決定するため、および当該ハンド・ピースに対して互換性が無いことが決定された場合にそのハンド・ピースの使用をブロックするために使用される請求項15に記載のシステム。
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