JP4162904B2 - ビオチン脂質 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な構造を有するビオチン脂質に関するものである。
より詳細には、本発明は疎水性表面にコーティングすることにより、細胞培養等に使用するタンパク質性の因子を、材料表面に固定する機能を付与する新規な構造を有するビオチン脂質に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
再生医療や人工臓器等の分野で、幹細胞や体細胞の利用が盛んに研究されている。そうした細胞の接着、増殖、分化、活性化等の為に様々な接着因子、増殖因子、分化誘導因子、サイトカイン等のタンパク質性の因子が用いられている。そのようなタンパク質性の因子は、一般に高価であり、培養液の成分として用いるのは効率が悪い為、培養素材に固定化して、その使用量を大幅に低減させる試みがなされている。
【0003】
細胞接着に関与するタンパク質には、フィブロネクチン、ラミニン、テネイシン、ビトロネクチン等があり、これらを人工材料の上に固定化したり被覆したりすることで、細胞接着性が高められることが、既に知られている(Y.Ikada等、Biomaterials.、12巻、747-751頁、1991年)。その為、細胞培養等に使用する素材にタンパク質性の因子を固定化することが研究されているが、タンパク質の変性等の問題の為に、その方法は、用いる培養素材やタンパク質等に依存しており、一般的な手法は存在しない。
【0004】
一方、ビオチン-アビジンの強い相互作用を利用したタンパク質間の結合方法は、タンパク質の活性を保ったままの修飾法として広く用いられている(新生化学実験講座、12巻、分子免疫学III 抗原・抗体・補体、99頁-104頁、日本生化学会編、東京化学同人、1992年)。
【0005】
その、ビオチン-アビジンを用いて、材料表面にタンパク質を固定化した研究として、例えば、高分子を用いたものでは、シリコンコーティングしたガラス基盤上に、アビジンとポリビニルスルホン酸を交互に吸着させることでアビジンを固定化し、そのアビジンに対するビオチンの結合を確認した研究がある。この固定化したアビジンを用いて、ビオチン標識された様々な機能性分子が固定化出来る(J.Anzai等、Chem.Soc.Perkin Trans.2、2413頁、1999年)。
【0006】
低分子化合物の場合では、アルカンチオールを脂質部分に使用したビオチン脂質を金表面に結合させて、アビジンを介してタンパク質を固定化する報告がある。Ringsdorf等は、ビオチンにアルカンチオールが結合したビオチン脂質を金表面に固定し、それぞれの分子認識によりストレプトアビジン、ビオチン標識したanti-HCG(human chorionic gonadotropin)-Fab、Fabフラグメントが順に結合する様子を表面プラズモン共鳴装置で確認している。この方法で、基盤表面に固定化したビオチンを用いることにより、タンパク質を固定化することが可能であることと、固定化したタンパク質が機能していることを示している(H.Ringsdorf等、Science、262巻、1706-1708、1993年)。
【0007】
同様にアルカンチオールを脂質部分に持つビオチン脂質の例に、金表面に固定したビオチン脂質と、ストレプトアビジンとの相互作用を測定し、そのアビジンに、ビオチン標識した牛血清アルブミンを結合させることを試みた例がある(H.J.Gruber等、Tetrahedron Letters、42巻、2677-2680頁、2001年)。この方法でも、固定化したビオチンを用いることでタンパク質の固定化が可能であることを示している。
【0008】
しかし、これらの方法はアルカンチオールを用いているため、金表面のような特殊な素材にしか用いることが出来ないことから、培養素材にタンパク質を固定するための一般的手法にはなり得ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、疎水性表面にコーティングすることにより、細胞培養等に使用するタンパク質性の因子を、材料表面に固定する機能を付与する新規な構造を有するビオチン脂質を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、市販の安価な原料から短工程、高収率で合成でき、コーティングするだけの簡単な操作で、多様な形状の培養素材にタンパク質を固定化する化合物を合成し、分子間相互作用解析装置を用いて、そのビオチン脂質が疎水性表面にコーティング出来ること、さらにそのビオチンを用いてアビジンを固定化できることを確認した。
【化2】
Figure 0004162904
(式中R1は、O(CH2nCH3基を、R2はHまたはR1を表し、mは2から6の整数を、nは11から17の整数を表す。)
【0011】
本発明の化合物の合成法はいかなる方法によってもかまわない。
3、4、5位に長鎖アルキロキシが結合した安息香酸誘導体は、市販の化合物から文献既知の方法(V.S.K.Balagurusamy等、J.Am.Chem.Soc.、119巻、1539-1555頁、1997年)で合成できる。また、3、5位に長鎖アルキロキシが結合した安息香酸誘導体も同様に文献既知の方法(V.Percec等、Angew.Chem.Int.Ed.、39巻、1598-1602頁、2000年)で合成できる。
【0012】
その様にして得られた安息香酸誘導体を加水分解により、遊離のカルボン酸とし、アルカンジアミンあるいはその一方のアミンを保護した化合物と、通常のアミド結合形成に用いられる方法に従って縮合させ必要に応じて脱保護することによって、アルカンジアミンの片方のアミンに安息香酸が結合した脂質を得ることが出来る。こうして得られたアミン化合物とビオチンとの結合には、一般的なアミド縮合反応を用いることが出来る。
【0013】
タンパク質を固定化するには、合成したビオチン脂質を、例えばエタノール等の適当な溶媒に溶解して、細胞培養素材などの疎水表面にコーティングした後、アビジン標識されたタンパク質の溶液を加えて固定化するか、あるいは一旦、アビジンを固定して、ビオチン標識されたタンパク質溶液を加えることで、タンパク質を固定することが出来る。アビジンまたはビオチンによる修飾は、タンパク質の活性を保ったまま修飾する方法として確立されている(新生化学実験講座、12巻、分子免疫学III 抗原・抗体・補体、99頁-104頁、日本生化学会編、東京化学同人、1992年)ので、この手法は、タンパク質固定化の一般的手法として用いることが出来る。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、式(1)で示されるビオチン脂質を提供するものであり、式(1)で示されるビオチン脂質を有効成分とするタンパク質固定素材を提供するものであり、式(1)で示されるビオチン脂質を有効成分とするタンパク質固定化剤を提供するものである。
【0015】
以下に、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は以下の記述に限定されるものではない。
【0016】
【実施例】
【実施例1】
N-(N-ビオチニル-6-アミノヘキシル)-3,5-ビス(ドデシロキシ)ベンズアミドの合成
(+)-ビオチン (245 mg, 1.00 mmol)、トリフェニルホスフィン (394 mg, 1.50 mmol)、トリエチルアミン (100μl, 1.00 mmol)、四塩化炭素 (230μl, 1.50 mmol) をジクロロメタンに溶解し、N-(6-アミノヘキシル)-3,5-ビス(ドデシロキシ)ベンズアミド(470mg, 0.08mmmol)のジクロロメタン溶液を加え、室温で2時間撹拌した。反応終了後、反応液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=96:4)で精製し、目的化合物 (390 mg, 0.48 mmol, 60%) を得た。
【0017】
1H NMR (CDCl3)δ0.88 (6H, t, J=6.8 Hz), 1.25-1.80 (52H, m), 2.20 (2H, m), 2.71 (1H, d, J=12.9 Hz), 2.90 (1H, dd, J=12.9, 5.1 Hz), 3.14 (1H, td, J=7.3, 5.1 Hz), 3.23 (2H, q, J=6.6 Hz), 3.41 (2H, q, J=6.6 Hz), 3.96 (4H, t, J=6.6 Hz), 4.31 (1H, dd, J=7.6, 5.1 Hz), 4.49 (1H, dd, J=7.6, 5.1 Hz), 4.31 (1H, dd, J=7.6, 5.1 Hz), 5.00 (1H, s), 5.83 (1H, s), 6.00 (1H, t, J=5.1 Hz), 6.49 (1H, t, J=5.1 Hz), 6.55 (1H, t, J=2.2 Hz), 6.90 (2H, d, J=2.2 Hz).
【0018】
【実施例2】
ビオチン脂質とストレプトアビジンとの相互作用
上で得られたビオチン脂質(1)とストレプトアビジンとの相互作用は、分子間相互作用解析装置であるIAsys Plus(Affinity Sensors社製)を用いて解析した。
【0019】
疎水性キュベットを、界面活性剤、バッファー、2-プロパノールで洗浄の後、N-(N-ビオチニル-6-アミノヘキシル)-3,5-ビス(ドデシロキシ)ベンズアミドの0.8μM溶液(2-プロパノール:クロロホルム=19:1)を添加して固定化を行った。固定化量は755 Arc seconds だった。
【0020】
このキュベットを、バッファー、塩酸水溶液、水酸化ナトリウム水溶液で洗浄の後、牛血清アルブミンでブロッキングを行い、バッファーで洗浄の後、ストレプトアビジン40μg/mlを50μl添加して、相互作用を検討した。
【0021】
5分後の吸着量は620 Arc secondsであり、10分後の吸着量620 Arc secondsと、ストレプトアビジンは固定化されたままほとんど解離しないことを確認した。
【0022】
【発明の効果】
本発明は、疎水性表面にコーティングすることにより、細胞培養等に使用するタンパク質性の因子を、材料表面に固定する機能を付与する新規な構造を有するビオチン脂質を提供するものである。

Claims (3)

  1. 式(1)で示されるビオチン脂質。
    Figure 0004162904
    (式中R1は、O(CH2nCH3基を、R2はHまたはR1を表し、mは2から6の整数を、nは11から17の整数を表す。)
  2. 式(1)で示されるビオチン脂質を有効成分とするタンパク質固定素材。
  3. 式(1)で示されるビオチン脂質を有効成分とするタンパク質固定化剤。
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