JP4161800B2 - 可変動弁系を有する内燃機関 - Google Patents

可変動弁系を有する内燃機関 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、バルブの開弁特性を変化させる可変動弁系を有する内燃機関に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガソリンエンジンは、混合気の燃焼を行うための気筒を備え、気筒内で吸気行程、圧縮行程、爆発行程、排気行程を繰り返して運転する。気筒には吸気行程で弁開する吸気弁と、排気行程で弁開する排気弁が備えられている。近年では、エンジンの運転状態に応じて、吸気弁、排気弁の開閉タイミングや開閉量などの開弁特性を変更可能な可変動弁系を備えるエンジンも提案されている。可変動弁系を備えるエンジンでは、開弁特性を変更することによって吸気量を制御することで、燃費の向上、エミッションの低減などの効果を奏することができる。
【0003】
可変動弁系を実現する方法は大きく二つに分類される。一つは、各弁をアクチュエータなどで個別に開閉可能とする方法である。もう一つは、カム、シャフトなどの機構によって機械的に各弁を駆動する構成において、カムの取り付け状態を機械的に変更する機構などを設ける方法である。後者の例として、例えば、特許文献1記載の機構が挙げられる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−263015号公報
【特許文献2】
特開2001−65371号公報
【特許文献3】
特開平11−324625号公報
【特許文献4】
特開平11−72031号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、一般にエンジン各部の温度変化は暖機前後で大きく変動する。こうした温度変化は、エンジン各部に熱伸縮を生じさせる。機械的に可変動弁系を実現する機構では、弁を動作させる機構の各部にも熱伸縮が生じる。かかる熱伸縮は開弁特性に誤差を生じさせる。開弁特性が目標値からずれることは、所望のトルクの不達成をもたらす。また、空燃比が目標値からずれることにより、燃焼に悪影響を与える場合もある。
【0006】
複数の気筒を備えるエンジンの場合、開弁特性の誤差に気筒ごとのバラツキがあることもあり、開弁特性が各気筒で不均一になってしまうこともあった。また、かかる開弁特性の誤差は、各気筒間のトルク差を招き、エンジンの円滑な運転を阻害することがある。
【0007】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたものであり、機械的に開弁特性を変更する機構を備えるエンジンにおける、開弁特性の誤差による弊害の低減を目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】
上記課題の少なくとも一部を解決するために、本発明では、次の構成を適用した。
本発明は、気筒に設けられたバルブの開弁特性を機械的に変化させる可変機構を備えた内燃機関において、可変機構の熱伸縮に起因した弊害を補償することを目的とする。
【0009】
本発明の内燃機関は、
バルブを備える気筒を複数有する内燃機関であって、
アクチュエータが前記複数の気筒の並びの一端側に設けられ、該アクチュエータの動作によって、前記複数の気筒の各々に対して設けられた前記各バルブの開弁特性を機械的に変化させる可変機構と、
前記開弁特性に、前記一端側の気筒から他端側の気筒に向けて順次拡大する誤差を生じさせる前記可変機構の熱伸縮量に対応した所定のパラメータ(以下、「熱伸縮パラメータ」と呼ぶ)を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出した前記パラメータに基づいて、前記複数の気筒の運転状態の平均が目標値に近づく平均化補正を行って、前記内燃機関の制御を行う制御手段と
を備えることを要旨とする。
【0010】
このようにすることで、可変機構の熱伸縮による開弁特性の誤差を考慮して運転制御を行うことができ、内燃機関の運転状態を所望の状態に収束させることができる。熱伸縮パラメータには、後述する通り、可変機構自体の状態量、内燃機関の状態量など、熱伸縮に影響を与える種々の状態量を用いることができる。
【0011】
制御パラメータは、例えば、可変機構の制御目標値としてもよいし、気筒の燃焼条件に関する目標値、即ち燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期、空燃比などの目標値としてもよい。前者によれば、熱伸縮による開弁特性への誤差自体を抑制することが可能となる。後者によれば、熱伸縮による開弁特性への誤差を考慮しつつ、各気筒で良好な燃焼を実現させることができる。
【0012】
本発明における制御は、種々の態様で実現することができる。内燃機関の運転制御では、要求トルク、回転数に基づいて制御パラメータを設定するのが通常であるが、更に、熱伸縮パラメータを考慮して制御パラメータを設定するようにしてもよい。また、別の方法として、要求トルク、回転数に基づいて設定された制御パラメータに対し、熱伸縮パラメータを考慮した補正を施すようにしてもよい。開弁特性を検出するためのセンサなど、内燃機関の運転制御で使用される種々のセンサの出力値を、熱伸縮パラメータに応じて補正するようにしてもよい。なお、制御パラメータは、所定の制御シャフトの移動量や、内燃機関の各機構の制御電流値であってもよい。
【0013】
上述の制御では、例えば、熱伸縮パラメータと、開弁特性の誤差、制御パラメータまたは補正量との関係を関数、マップなどの形式で予め記憶しておくようにしてもよい。開弁特性の誤差は、吸気量の誤差、空燃比の誤差、あるいは発生トルクの誤差と相関があるため、上記したマップにおいて開弁特性の誤差の代わりに吸気量の誤差、空燃比の誤差、あるいは発生トルクの誤差を用いてもよい。この関係は、目標となる開弁特性に関わらず共通としてもよいし、変動させてもよい。前者の態様では制御が簡易になる利点がある。後者の態様では、熱伸縮が及ぼす影響が開弁特性の目標値によって変動する場合に、これを考慮し、内燃機関の運転状態をより好適に制御することができる利点がある。
【0014】
本発明は、単一の気筒を備える内燃機関に適用することも、気筒ごとに可変機構が設けられている内燃機関に適用することも可能であるが、
該内燃機関は複数の気筒を備え、
前記可変機構は、前記複数気筒の前記開弁特性を連動して変化させる場合に有用性が高い。
【0015】
本発明をかかる可変機構を備える内燃機関に適用することにより、上述の効果に加えて、熱伸縮に起因して、各気筒の開弁特性に生じるバラツキによる影響を補償することができる。
【0016】
複数の気筒を備える内燃機関においては、
前記制御パラメータは前記可変機構を制御するためのパラメータであり、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に応じて求まる前記複数気筒の開弁特性の平均と、所定の目標開弁特性とに基づき、前記可変機構に関する前記制御パラメータを設定するものとしてもよい。このようにすることで、熱伸縮によって各気筒に生じる開弁特性の誤差の少なくとも一部を、気筒間で相殺させることができ、内燃機関の平均的な運転状態を所望の状態に収束させることができる。かかる制御としては、例えば、開弁特性の平均と目標開弁特性との差違が所定の許容範囲内に収まるように可変機構を制御する方法を採ることができる。開弁特性は、作用角、リフト量、吸気量、発生トルク、あるいは空燃比と相関がある。このため、作用角、リフト量、吸気量、発生トルク、あるいは空燃比の平均に基づいて制御パラメータを設定するものとしてもよい。
【0017】
可変機構は、内燃機関が有する全気筒の開弁特性を連動して変化させる機構に限らず、2つ以上の気筒からなるグループごとに開弁特性を変化させる機構であってもよい。後者の機構としては、例えば、いわゆるV型エンジンにおいて、バンク毎に気筒をグループ化し、バンク毎に可変機構を設けた例が相当する。なお、可変機構は、各気筒の開弁特性を一律に変化させてもよい。
【0018】
本発明において、気筒の燃焼条件を制御する方法として、例えば、下記の方法を採ることができる。
第1の方法として、前記制御パラメータは前記各気筒の燃料噴射量を制御するためのパラメータであり、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に応じて推定される各気筒の吸気量と、前記各気筒の目標空燃比に基づき、該各気筒の燃料噴射量を設定するようにしてもよい。こうすることで、熱伸縮によって開弁特性に誤差が生じている場合でも、各気筒で所望の空燃比を実現でき、排気浄化性の悪化、トルク変動など空燃比の誤差に起因する弊害を抑制することができる。所望の空燃比としては、例えば、理論空燃比とすることができるが、内燃機関の回転数、要求トルクなどの運転状態に応じて変動させてもよい。所望の空燃比は、全気筒で同一の値としてもよいし、異なる値としてもよい。
【0019】
第2の方法として、
前記制御パラメータは前記各気筒のトルクを制御するためのパラメータであり、前記制御手段は、前記検出手段の検出結果に応じて推定される前記各気筒のトルクの差違が所定範囲内となるように前記各気筒の燃焼条件を設定するものとしてもよい。燃焼条件としては、燃料噴射量、空燃比、点火時期などが挙げられる。ディーゼルエンジンでは、点火時期に代えて燃料噴射時期を燃焼条件として考慮してもよい。かかる制御によれば、気筒間の発生トルクのバラツキを抑制し、トルク変動を低減することができる。
【0020】
上述した各種制御は、いずれか一つを適用してもよいし、適宜、組み合わせて適用してもよい。例えば、可変機構の制御と燃焼条件の制御の組み合わせでは、可変機構の制御で各気筒の誤差を抑制した上で、燃焼条件の制御によって各気筒の燃焼の安定化を図るようにすることができる。燃焼条件の制御においても、空燃比、点火時期など、複数の制御パラメータについて、熱伸縮の条件を考慮することにより、各気筒の発生トルクと排気浄化性などの複数の特性を併せて向上させることが可能となる。
【0021】
本発明は、揺動カム式、三次元カム式など種々の可変機構に適用可能である。可変機構はバルブのリフト量、作用角、位相の少なくとも一つを変更可能な機構であればよい。本発明を適用可能な可変機構の一つとして、
前記可変機構は、前記複数気筒のバルブと機械的に連結されたシャフトを、該シャフトの軸方向に変位させることで前記各バルブの開弁特性を連動して変化させる機構であり、
前記検出手段は該シャフトの前記軸方向の熱伸縮量に関するパラメータを検出するものとしてもよい。かかる機構では、シャフトが軸方向に熱伸縮することによって、複数気筒の開弁特性が不均一に誤差を発生することがあるため、本発明を有効に適用することができる。かかる機構においては、シャフトへの連結位置に応じて、各気筒の開弁特性の誤差には、線形関係その他の相関がある場合がある。かかる場合には、複数気筒のいずれか一部について設定された制御パラメータを、この相関に基づいて補正することで、他の気筒の制御パラメータを設定してもよい。
【0022】
次に、検出手段が可変機構の熱伸縮パラメータを検出する種々の態様を説明する。まず、例えば、本発明の内燃機関において、
前記検出手段は、前記可変機構の温度及び前記熱伸縮の少なくとも一方を検出するものとしてもよい。熱伸縮は変位量やひずみを直接測定するセンサによって検出するものとしてもよい。
【0023】
また、前記検出手段は、前記内燃機関の冷却水、潤滑油、外気及び吸気の少なくとも1つの温度を検出するものとしてもよい。つまり、可変機構自体ではなく、内燃機関のいずれかの部位における状態量を検出対象とすることで、可変機構の熱伸縮への影響を検出する方法である。
【0024】
検出手段は、必ずしもセンサで上述の状態量を検出する方法に限らず、内燃機関の運転履歴に基づいて熱伸縮パラメータを推定する方法を採っても良い。また、熱伸縮パラメータは、予め用意されたマップや関係式によって、一旦、熱伸縮量や開弁特性などに変換した上で用いるようにしてもよい。
【0025】
本発明において、内燃機関の運転中、常に上述した熱伸縮を考慮するものとしてもよいし、一定の条件下でのみ考慮するようにしてもよい。後者の態様として、例えば、内燃機関の温度が未暖機状態など所定の範囲内のときのみや、始動開始後の所定期間内のときのみに適用する方法が挙げられる。内燃機関の温度は、暖機後には大きく変化しないため、熱伸縮による誤差の影響は、暖機前にのみ顕著となることがある。かかる場合、暖機後には熱伸縮の影響を無視して制御することにより、制御処理の負荷を軽減することができる。
【0026】
本発明は、内燃機関としての態様の他、可変機構としての態様、又は内燃機関、可変機構、燃料噴射装置、若しくは点火装置などの制御装置としての態様、内燃機関等の制御方法としての態様など、種々の態様で構成することが可能である。いずれの構成においても上述した各態様を適宜適用可能である。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、実施例に基づき以下の順序で説明する。
A.第1実施例;動弁制御:
A1.全体構成:
A2.機能ブロック:
A3.処理:
B.第2実施例;噴射制御:
B1.全体構成:
B2.機能ブロック:
B3.補正率記憶部の詳細:
B3a.温度補正設定部:
B3b.作用角補正設定部:
B4.処理:
C.第3実施例;複合制御:
D.変形例:
【0028】
A.第1実施例;動弁制御:
A1.全体構成:
図1は、エンジン1000の概略構成を示す説明図である。図1のエンジン1000は、可変動弁系を有する複数気筒の内燃機関である。
【0029】
図1の上段において、吸気カムシャフト110及び吸気カム111は、エンジンのクランクシャフトに連動して回転する。揺動カム150は、それぞれ支持パイプ101に支持される入力部103及び出力部104を有する。これらは支持パイプ101に追従してz軸を軸として回転する。吸気カム111が入力部103に接触して支持パイプ101を回転させることで、出力部104はロッカーアーム120及びステムエンド130を介して吸気バルブ111を弁開する。
【0030】
支持パイプ101の内部は中空であり、制御シャフト102が設けられている。支持パイプ101は、制御シャフト102と独立して回転する。制御シャフト102は、図1下段に示すように、アクチュエータ160によりz軸方向(制御シャフト102の軸方向)に移動される。
【0031】
スライダギア170と、入力部103及び出力部104とは、それぞれ、互いに勘合するヘリカルスプライン溝により接合する。スライダギア170は、制御シャフト102の移動に応じてz軸方向に移動する。これにより入力部103及び出力部104は各々支持パイプ101の軸回りに揺動する。入力部103及び出力部104が有する溝はネジ方向が逆となっているため、両者の揺動の方向は逆方向である。かかる構成により、制御シャフト102を移動させることで、リフト量や作用角等に基づいて定義される吸気バルブ131の開弁特性が変化する。
【0032】
エンジン1000は、気筒200と同様の気筒200a,200b,200cを有する。支持パイプ101には各気筒ごとに4つのスライダギア170等が設けられ、これらが移動することで、4つの気筒200等の開弁特性は連動して変化する。支持パイプ101及び制御シャフト102は4つの気筒に共通の部材であり、入力部103及び出力部104の相対的な位置関係を4つの気筒で各々連動して変化させる。
【0033】
ここで、制御シャフト102の温度は暖機前後で大きく変動する。この温度変化により、4つの気筒200等の開弁特性には各々誤差が生じる。この誤差は気筒ごとにバラツキを有する。開弁特性の誤差は、各気筒の吸気量にバラツキを生じさせる。
【0034】
図2は、エンジン1000が有する制御機構300を示す説明図である。図2のエンジン1000では図1で示した気筒200等などについては図示の便宜上から省略している。
【0035】
制御機構300は、CPU,ROM,RAM等を備えるコンピュータである。制御機構300は、エンジン1000の各機構を統合制御することで、エンジン1000の運転を制御する。かかる制御を行うために制御機構300は、ユーザのアクセル開度を取得する。
【0036】
制御機構300は、エンジン1000の冷却水の温度を検温機構302に検出させる。検温機構302が冷却水の温度を検出する位置は、制御シャフト102の温度を把握するために適した位置となっている。このため、冷却水の温度は、各気筒の吸気量の誤差に関連している。また、制御機構300はアクチュエータ160に制御信号を発する。
【0037】
A2.機能ブロック:
図2には、制御機構300が実現する機能ブロック構成を併せて示した。
制御機構300は、制御用のプログラムをROMに蓄積している。制御機構300は、このプログラムを実行することで図示する各機能ブロックをソフトウェア的に実現する。なお、図示する機能ブロックの全部又は一部はハードウェア的に実現するものとしてもよい。また、検温機構302等のハードウェア資源の一部又は全部を、制御機構300が実現する機能ブロックに置き換えることも可能である。
【0038】
運転制御部320は、エンジン1000の運転を制御する機能を有する。実施例の運転制御部320はアクチュエータ160を制御する。
【0039】
アクチュエータ160の制御のために運転制御部320は、まず、アクセル開度に応じてアクチュエータ160に対する制御値(以下ACT制御値と略称する)を決定する。運転制御部320は、制御値記憶部150bの記憶内容を、アクセル開度に応じて参照することでACT制御値を特定する。制御値記憶部150bは、アクセル開度とACT制御値とを対応付けたマップを記憶している。ACT制御値は、誤差が生じない理想状態で、アクセル開度に応じた所望の吸気量を実現する作用角に相当する制御値である。なお、ACT制御値の決定には、種々の技術を適用可能である。ACT制御値はアクチュエータ160を制御する電流値であるものとしてもよい。
【0040】
次に運転制御部320は、冷却水の温度に基づいてACT制御値を補正する。このために運転制御部320は、まず、補正量記憶部350を参照し、補正に利用する補正量を取得する。補正量記憶部350は、冷却水の温度と補正量とを対応付けたマップを記憶している。運転制御部320は、取得した補正量をACT制御値に加算する。
【0041】
最後に運転制御部320は、補正後のACT制御値に応じてアクチュエータ160の制御を行う。
【0042】
図3は、補正量記憶部350が記憶するマップの一例を示す説明図である。補正量記憶部350は、冷却水の温度と補正量とを対応付けたマップを記憶している。
【0043】
補正量は、温度が−35℃のときに最大である。ただし、補正量記憶部350が記憶を行う最低の温度は−35℃の場合に限られない。また、90℃以上の範囲の補正量は0CAが設定されている。したがって、運転制御部320は、冷却水の温度が90℃以上の場合には補正を行わないものとなる。以下では、実施例のエンジン1000が暖機を完了した後には、冷却水の温度が90℃以上になるものとして説明を行う。なお、この温度は実施例では90℃に設定されているが、かかる場合に限定されることはない。運転制御部320は、全温度領域で補正を行うものとしてもよい。−35℃〜90℃の範囲の補正量は、温度上昇につれて0CAに近づくよう設定されている。
【0044】
前述の通り、各気筒の現実の実吸気量には誤差が含まれる。補正量記憶部350は、冷却水の温度ごとに、吸気量の誤差の平均値に相当する補正量を記憶している。すなわち、補正量が加算されたACT制御値が適用されることで、複数の気筒全体として、吸気量の誤差が補償される。
【0045】
A3.処理:
図4は、ACT制御値の補正を行う運転制御処理を示す説明図である。運転制御部320は、図4に示す処理を行うことで、制御シャフト102等の熱伸縮に応じたアクチュエータ160の制御を行う。
【0046】
ステップSa0で運転制御部320は、アクセル開度を入力する。また、ステップSa1で運転制御部320は、アクセル開度に基づいてACT制御値を決定する。
【0047】
ステップSa2で運転制御部320は、冷却水の温度の情報を取得する。また、ステップSa3で運転制御部320は、補正量記憶部350を参照することにより、冷却水の温度に対応する補正量を特定する。さらに、ステップSa4で運転制御部320は、ACT制御値に補正量を加算する。
【0048】
ステップSa5で運転制御部320は、補正後のACT制御値に応じた制御信号を、アクチュエータ160に発する。これによりステップSa6でエンジン1000は、補正後のACT制御値がアクチュエータ160に指示された状態で気筒200等の運転を行う。このときの4つの気筒200等の吸気総量は、熱伸縮による誤差相当分が補正量によって補償される。補正量は、4つの気筒の誤差の平均値に応じて設定されているため、4つの気筒の吸気総量は、誤差のない理想状態で、補正前のACT制御値が実現する吸気総量となる。
【0049】
以上説明したエンジン1000が実現する開弁特性について、図5を参照しつつ説明する。
【0050】
図5は、エンジン1000が実現する開弁特性を示す説明図である。
図5上段の表は、4つの気筒における作用角の誤差を示すものである。この表では、90℃(暖機完了後)と、25℃及び−30℃(エンジン起動時)との場合について示した。図5の表で「誤差のエンジン平均」とあるのは、熱伸縮による作用角の誤差について、複数気筒での平均値を示したものである。また、図5の表で「気筒200,200cの差」とあるのは、気筒200,200c間の作用角の相違量である。誤差がない場合の理想状態ではこの相違量は0であるから、この相違量は、熱伸縮の影響による作用角のバラツキを表す。なお、90℃での誤差が0CAであるのは、制御シャフト102を含む可変動弁機構は、暖機完了後(90℃以上のとき)に所望の性能を発揮するように設計されているためである。図5上段の表によれば、誤差の平均値は3.0CA程度に達する。また、各気筒間での作用角のバラツキは6.0CA程度に達する。
【0051】
図5の下段では開弁特性のバラツキの詳細を示している。ここでは、4つの気筒200等のリフト量を表す4つのグラフを並べて示した。図5上段の4つのグラフにおいて、縦軸は各気筒のリフト量である。また、図5の4つのグラフの横軸は各々、気筒200等のクランクシャフトの角度(CA)である。TDCは各気筒での上死点の角度を示す(図5の各グラフでBDCは省略した)。
【0052】
図5下段の4つの表で一点鎖線は、誤差が無い理想状態において、補正を行うことなく、制御値記憶部350bが記憶するACT制御値をそのまま適用した場合のリフト量(理想リフト量)を示している。誤差が無い理想状態であるから、気筒ごとのバラツキは生じない。制御値記憶部350bが記憶するACT制御値は、誤差が無い理想状態を基準として、アクセル開度に応じた所望の吸気量を各気筒が達成するように調製されている。
【0053】
次に破線は、熱伸縮による誤差が生じる現実のリフト量であって、補正を行わずにACT制御値をそのまま適用した場合のリフト量を示している。この場合、熱伸縮による誤差により、4つの吸気バルブ131等のリフト量は全て理想リフト量よりも小さい。この減少誤差はバラツキを有する。減少誤差のバラツキは4つの気筒で連動しており、気筒200,200a,200b,200cの減少誤差はこの順序で大きくなる。実施例の場合には、制御シャフト102の各部の位置のズレは、アクチュエータ160に近い程小さくなるためである。なお、各気筒の誤差の関係は、4つの気筒や制御シャフト102、アクチュエータ160の位置その他のエンジン1000の構成態様に応じて異なる。
【0054】
次に実線は、補正を行った場合のリフト量を示している。この場合にも、バラツキのある誤差が生じることは、制御値記憶部350bが記憶するACT制御値をそのまま適用した場合(破線)と同様である。しかし、実線の場合に適用されているACT制御値には補正量が加算されているため、各気筒200等のリフト量は破線の場合よりも大きい。このため、理想リフト量と比べて、相対的に大きなリフト量の気筒200,200aと、相対的に小さな気筒200b,200cとがある。すなわち、理想リフト量の場合からの吸気量の誤差は、気筒200,200aでは増加誤差であり、気筒200b,200cでは減少誤差である。
【0055】
前述の通り、ACT制御値に加算された補正量は、吸気量の誤差の平均値に相当するものである。このため、補正されたACT制御値が適用された場合における4つの気筒の吸気総量は、気筒200,200aでの増加誤差と、気筒200b,200cでの減少誤差とが互いに相殺し合う結果、理想リフト量が適用された場合の吸気総量と同一のものとなる。
【0056】
以上説明したエンジン1000によれば、4つの気筒での吸気総量において、所望の吸気総量を実現することができる。これにより、エンジン1000が発生するトルクを所望のトルクとすることができる。
【0057】
実施例の補正量は冷却水の温度にのみ応じたものとしたが、かかる場合に限定されることはない。例えば、アクチュエータ160の状態によって吸気量の誤差の大きさが変化するエンジンの場合などでは、冷却水温が同じでも、目標とする作用角に応じて異なる補正量を適用するものとしてもよい。
【0058】
図3では、補正量記憶部350がマップを保持していることを説明した。運転制御部320は、マップを用いる代わりに、水温を変数とする関数を用いて補正量を算出するものとしてもよい。例えば図3のマップは、α,βを所定の定数、θを冷却水温として、「補正量={α−βθ:−35≦θ<90,0:90≦θ}」なる関数により特定可能である。運転制御部320は、運転制御処理(図4)を行う度にその都度、この関数を計算するものとしてもよい。
【0059】
実施例で補正は、ACT制御値を対象とする補正であったが、かかる場合に限定されることはない。補正の対象は例えば、リフト量を検出するセンサの検出値であってもよいし、制御シャフト102の移動量を検出するセンサの検出値であってもよいし、作用角を検出するセンサの検出値であってもよい。
【0060】
実施例における補正は、所望の吸気総量を実現するものであったが、かかる場合に限定されることはない。上述の技術は、所望の平均作用角その他の所望の平均開弁特性を実現する場合にも適用可能である。制御機構300は、所望の作用角と実際の作用角との誤差の平均値が最小(望ましくは0)となるようなACT制御値を適用するものとしてもよい。例えば、誤差の和が最も0に近づくようにしてもよいし、誤差の絶対値や2乗値の和が最小となるようにしてもよい。
【0061】
実施例では、エンジン1000の有する全ての気筒の開弁特性が連動して変更可能である場合を例示したが、かかる場合に限定されることはない。実施例の技術は、一部の気筒の開弁特性のみが連動して変更される場合にも適用可能である。例えば、いわゆるV型エンジンにおける1つのバンクの気筒のみの開弁特性が連動して変化される場合にも応用可能である。
【0062】
図4のステップSa1〜Sa4で運転制御部320は、アクセル開度に応じたACT制御値に対し、冷却水の温度に応じた補正を施していたが、図4のステップSa1〜Sa4の処理は一括して行われてもよい。例えば、アクセル開度及び冷却水の温度に応じて、直接、補正後のACT制御値を導出可能であるものとしてもよい。制御部300は、アクセル開度及び冷却水の温度ごとにACT制御値を記憶する記憶部を備えていてもよい。
【0063】
図6は、吸気総量と、その吸気総量を実現する制御値との関係を記憶するマップを示す説明図である。図6のマップは、アクセル開度に応じた所望の吸気総量と、実施例の補正量(図3)が適用された後のACT制御値との関係を記憶するものである。図6の場合の運転制御処理では、ステップSa1〜Sa4の処理に代えて、図6のマップから、適用すべき補正後のACT制御値を読出す。なお、図6のマップで制御値は、吸気総量ではなく、アクセル開度に応じて記憶するものとしてもよい。また、制御機構300は、図6と同様のマップを気筒ごとに保持していてもよい。
【0064】
図7は、気筒ごとに、制御値と吸気量との関係を記憶する各マップを示す説明図である。制御機構300は、4つのマップが記憶する気筒ごとの各吸気量を合計することで、所望の吸気総量を実現する制御値を特定するものとしてもよい。制御機構300は、例えばエンジン1000が有する一部の気筒のみが燃焼運転されている場合などには、一部の気筒の吸気総量が所望のものとなるようなACT制御値を適用してもよい。
【0065】
なお、制御機構300が保持する種々のマップは実験的な測定結果に基づいて調製してもよいし、理論的な数値に基づいて調製してもよい。
【0066】
B.第2実施例;噴射制御:
次に、第2実施例として、冷却水の温度に応じて各気筒の燃料噴射量を設定するエンジン1001を説明する。
【0067】
B1.全体構成:
図8は、第2実施例のエンジン1001を示す説明図である。
エンジン1001においても、4つの気筒200等と、アクチュエータ160及び制御シャフト102と、検温機構302と、制御機構400とを有する。これらは第1実施例のエンジン1000の場合と同様の機構を備える。
【0068】
ここで4つの気筒200等はシリンダブロック500に設けられている。4つの気筒200等は各々2つの吸気バルブ131a,131b等を有している。
【0069】
吸気マニホールド540は、4つの気筒200等へ吸気を供給する。例えば、気筒200に対しては、シリンダブロック500に設けられた吸気ポート511を介して吸気を供給する。吸気ポート511等は、4つの気筒200等ごとに設けられており、吸気マニホールド540は4つの吸気ポート511等からそれぞれ各気筒200等に吸気を供給する。
【0070】
4つのインジェクタ520,520a,520b,520cは各々、4つの気筒200等に供給される吸気に燃料を供給する燃料供給機構である。
【0071】
燃料が供給された混合気は、吸気ポート511等から気筒200等に各々流入し、4つの気筒200等の内部でそれぞれ燃焼される。燃焼により生じる排気ガスは、排気マニホールド600よりシリンダブロック500の外部に排出される。
【0072】
制御機構400は、CPU,ROM,RAM等を備えるコンピュータである。制御機構400は、エンジン1001の各機構を統合制御することで、エンジン1001の運転を制御する。かかる制御を行うために制御機構400は、ユーザのアクセル開度の情報をエンジン1000の外部から取得する。
【0073】
制御機構400は、アクセル開度に応じた目標開弁特性を決定し、目標開弁特性に応じたACT制御値を表す制御信号をアクチュエータ160に送付する。なお、実現される開弁特性は、誤差の影響を受けるため、目標開弁特性とは異なるものとなる。
【0074】
また、制御機構400は、エンジン1001の冷却水の温度を検温機構302に検出させる。制御機構400は、検出結果に応じた制御信号を4つのインジェクタに送付する。
【0075】
なお、点火時期記憶部453については第3実施例で説明する。
【0076】
B2.機能ブロック:
図8には、制御機構400が実現する機能ブロック構成を併せて示した。制御機構400は、制御プログラムをROMに蓄積している。制御機構400は、制御プログラムを実行することで、図示する各機能ブロックをソフトウェア的に実現する。なお、図示する機能ブロックの全部又は一部はハードウェア的に実現するものとしてもよい。また、図8に示した検温機構302等のハードウェア資源の一部又は全部を、制御機構400が実現する機能ブロックに置き換えることも可能である。
【0077】
運転制御部420は、エンジン1001の運転を制御する機能を有する。
運転制御部420は、アクセル開度に応じた目標開弁特性を決定し、これに応じたACT制御値を表す制御信号をアクチュエータ160に送付する。
【0078】
また、運転制御部420は、アクセル開度に応じた燃料噴射量を決定する。運転制御部420は、燃料噴射量に所定の温度補正及び作用角補正を加え、補正後の燃料噴射量をインジェクタ520等にそれぞれ実現させる。
【0079】
噴射量記憶部450bは、目標開弁特性に対応付けて燃料噴射量を記憶している。記憶される燃料噴射量は、熱伸縮の影響がない理想状態で、理論空燃比を実現する燃料噴射量である。また、実施例で噴射量記憶部450bは、目標開弁特性ごとに燃料噴射量を記憶するものとしたが、アクセル開度に応じて記憶する場合や、目標開弁特性を特定する目標作用角に応じて記憶する場合も同様である。
【0080】
補正率記憶部450は、温度補正率(単位は%)のマップと、作用角補正率(単位は%)のマップとを記憶している。運転制御部420は、温度補正率及び作用角補正率を燃料噴射量に乗じることでこれを補正する。
【0081】
B3.補正率記憶部の詳細:
図9は、補正率記憶部450が有するマップの一例を示す説明図である。
B3a.温度補正設定部:
温度補正設定部451は、温度補正率(%)を冷却水の温度と対応付けて4つの気筒200,200a,200b,200cごとに記憶している。
【0082】
温度補正率は、冷却水の温度が−35℃のとき、中立値(100%)との差が最大である。また、90℃以上の範囲の温度補正率は中立値(100%)である。すなわち運転制御部420は、冷却水の温度が90℃以上の場合、温度補正率に基づく補正を行わない。また、−35℃〜90℃の範囲の温度補正率は、温度上昇につれて中立値に近づくように設定されている。なお、中立値に近づく変化の態様は、各気筒の吸気量の誤差の変化の態様に応じたものである。
【0083】
4つの気筒200,200a,200b,200c等の各温度補正率は、同じ温度ではこの順序で小さくなる。各温度補正率の大きさの関係は、4つの気筒200等に生じる吸気量の誤差の関係に応じたものである。
【0084】
なお、図9では、気筒200,200aの温度補正率が100%以上であり、気筒200,200aの温度補正率が100%以下である場合を示したが、かかる場合に限定されることはない。
【0085】
運転制御部420は、冷却水の温度に基づいて、補正率記憶部450の記憶内容を参照することで温度補正率(%)を各気筒200等ごとに読み出す。
【0086】
B3b.作用角補正設定部:
作用角補正設定部452は、気筒の作用角と対応付けて作用角補正率(%)を記憶している。作用角補正率は、作用角が大きくなるほど、小さな作用角補正率を記憶している。作用角補正率の変化は、気筒200等の吸気量に占める、熱伸縮による誤差の相対的割合に応じたものである。
【0087】
運転制御部420は、目標開弁特性の目標作用角に応じて補正率記憶部450を参照することで作用角補正率(%)を読み出す。運転制御部420は、温度補正率及び作用角補正率を乗ずることで燃料噴射量を補正する。
【0088】
各気筒の現実の吸気量は、制御シャフト102の熱伸縮により誤差を含む。第一実施例で示した場合(図5)では、4つの気筒200,200a,200b,200cで、この順序で大きくなる減少誤差について説明した。吸気量の誤差は、空燃比のズレを生じさせる。温度補正率及び作用角補正率は、このズレを補償するように設定されている。
【0089】
なお、実施例では作用角に応じた補正率を適用する場合を例示したが、リフト量等の開弁特性に応じた補正率や、吸気量に応じた補正率を適用する場合も同様である。
【0090】
B4.処理:
図10は、燃料噴射量の補正を行う運転制御処理を示す説明図である。運転制御機構400は、図10に示す処理を行うことで、目標噴射量を決定し、決定された目標噴射量によりエンジン1001を運転する。
【0091】
ステップSb1で運転制御部420は、現在適用している目標開弁特性を把握する。また、ステップSb2で運転制御部420は、目標開弁特性に応じた燃料噴射量を噴射量記憶部450bから読み出す。
【0092】
Sb3で運転制御部420は冷却水の温度情報を取得する。ステップSb4で運転制御部420はまず、冷却水の温度に応じた温度補正率を温度補正設定部451から読み出す。また、ステップSb4で運転制御部420は、目標作用角に応じた作用角補正率を作用角補正設定部452から読み出す。
【0093】
ステップSb5で運転制御部420は、「燃料噴射量×(温度補正率/100)×(作用角補正率/100)」を計算する。以上により、4つの気筒の燃料噴射量が各々決定された。
【0094】
ステップSb6で運転制御部420は、各燃料噴射量を実現する制御信号を4つのインジェクタ520等にそれぞれ送付する。
【0095】
以上の処理に基づきステップSb7でエンジン1001は、運転制御部420が決定した燃料噴射量での運転を行う。
【0096】
図11は、エンジン1001が適用する燃料噴射量の一例を示す説明図である。図中で一点鎖線及び破線は、図5の場合と同様である。誤差がない理想状態では、理想リフト量が実現される(一点鎖線)。一方、現実のリフト量には、気筒間でバラツキのある誤差が含まれる(実線の2つの場合)。
【0097】
補正前の燃料噴射量は、理想リフト量の場合に理論空燃比を実現するものであった。しかし、理想リフト量の場合と現実のリフト量の場合との吸気量には誤差がある。前述の通り、4つの気筒200,200a,200b,200cでこの順序で大きくなる減少誤差である。しかし、温度補正率及び作用角補正率は、かかる誤差を補償可能なように設定されている。このため、温度補正率等が適用された燃料噴射量は、4つの気筒200,200a,200b,200cでこの順序で小さくなる。かかる燃料噴射量は、誤差を含む現実のリフト量の場合において理論空燃比を実現する。よって、図10のステップSb7の運転では、4つの気筒200等で各々理論空燃比が実現される。
【0098】
以上説明したエンジン1001によれば、各気筒の開弁特性の誤差を勘案しつつ、それぞれの気筒での燃料噴射量の制御を行うことができる。これにより、各気筒で理論空燃比を実現することができる。
【0099】
なお、図6で説明した技術は、第2実施例の場合にも応用可能である。図6では、冷却水温ごとに、アクセル開度とACT制御値との関係を記憶していたが、図6の技術を第2実施例に応用する場合には、目標開弁特性と燃料噴射量との関係を記憶するものとできる。
【0100】
上記の説明では、所望の空燃比が実現される場合を例示した。上記に説明した技術は、所望の発生トルクや、所望のエミッションレベル等に応じて燃料噴射量を設定する場合に応用することができる。
【0101】
また、制御機構400は、複数気筒の空燃比の平均値を所望のものとするような燃料噴射量を適用するものとしてもよい。4つの気筒から排出される排気は、排気マニホールド600から下流側に設けられた触媒へ流入するまでに混合する。各気筒の空燃比の平均値が所望のものとなることで、混合排気の空燃比を所望の空燃比とでき、排気浄化率の低下を防ぐことができる。
【0102】
また、上記の説明では、各気筒の燃料噴射量を制御する場合について示したが、上述の技術は、各気筒の点火時期を制御する場合に応用することができる。例えば、熱伸縮による開弁特性のバラツキを考慮しつつ、各気筒の点火時期を制御するものとしてもよい。
【0103】
第1実施例に示した技術と、第2実施例に示した技術とを組み合わせて利用することも可能である。第一実施例に示した場合でも、開弁特性の気筒ごとの不均一さ自体は残存する(図5参照)。制御機構400は、この不均一さに応じ、各気筒燃料噴射量を決定するものとしてもよい。
【0104】
制御機構400は、冷却水温ごとに、ACT制御値と各気筒の吸気量とを対応付けたマップを記憶していてもよい。例えば図7のマップを記憶していてもよい。誤差を含んだ各気筒の吸気量は図7のマップにより推定可能である。推定された吸気量に応じ、理論空燃比を実現する燃料噴射量を導出できる。同様に制御装置400は、ACT制御値と各気筒の作用角等とを対応付けたマップや、ACT制御値と、適用すべき燃料噴射量とを対応付けたマップを記憶していてもよい。
【0105】
C.第3実施例;複合制御:
第3実施例として、第2実施例と同様の燃料噴射量の補正に加え、燃料噴射量のその補正結果に応じ、更に点火時期を補正する場合について説明する。
【0106】
図12は、4つのスパークプラグを示す説明図である。エンジン1001において、4つの気筒200,200a,200b,200cは各々、スパークプラグ600,600a,600b,600cを備える。制御機構400は4つのスパークプラグに各々点火時期を指示する。
【0107】
エンジン1001の機能ブロック構成は、第2実施例で説明した通りである(図8参照)。制御機構400は、点火時期記憶部453の記憶内容に応じて各気筒の点火時期を決定する。
【0108】
図13は、点火時期と発生トルクの関係を記憶するマップを示す説明図である。点火時期記憶部453は、適用される燃料噴射量(図10のステップSb5で導出されたもの)ごとに、点火時期と発生トルクとの関係を記憶している。以下では、第3実施例での運転制御処理のフローチャート(図12で併せて示した)を、図13を参照しつつ説明する。
【0109】
図12のステップSc1では、第2実施例のステップSb1〜Sb6(図10)の処理を行い、燃料噴射量を決定してこれを4つのインジェクタに指示する。各気筒の燃料噴射量は、吸気量の誤差に応じて決定されている。図13の場合、気筒200,200a,200b,200cの吸気量r1,r2,r3,r4(r1>r2>r3>r4)に応じて決定されている。このため、各気筒の燃料噴射量も不均一であり、図13に示す通り、各々m1,m2,m3,m4(m1>m2>m3>m4)となっている。各燃料噴射量は、吸気量の大小に応じ、気筒200,200aでは増量補正がされ、気筒200b,200cでは減量補正がされている(図9の温度補正率参照)。図13において破線で示す通り、かかる燃料噴射量が適用された状態で各気筒に所定の基本点火時期を適用した場合の発生トルクは不均一となる。
【0110】
図12のステップSc2では点火時期を決定する。図13で示したように、まず、減量補正がされた気筒200b(#3)については、基本点火時期が適用される。また、増量補正がされた気筒200,200a(#1,#2)については、気筒200bと同一のトルクを発生する点火時期を適用する。気筒200,200aに適用される点火時期は、基本点火時期より遅角された点火時期である。以上により、決定した燃料噴射量及び点火時期を適用した状態で運転を行うことができる(ステップSc3)。
【0111】
上記のようにすることで、気筒200,200a,200bの発生トルクが同一となるため、トルク変動を回避することができる。
【0112】
なお、上記の説明では、点火時期を補正する場合について説明したが、例えばディーゼルエンジンにおいて燃料噴射時期を補正する場合も同様である。
【0113】
D.変形例:
なお、上述のエンジン1000,1001において可変動弁系は、揺動カム式、三次元カム式その他の種々の方式の多様な可変動弁系に置き換えて構成することができる。また、実施例では、シャフトの熱伸縮により開弁特性の誤差が生じる場合を例示したが、かかる場合に限定されることはない。上述の技術は、開弁特性に誤差を生じさせる熱伸縮の態様が種々の場合に応用することができる。
【0114】
また、運転制御処理(図4,図10)は、一定間隔ごとに行われるものとしてもよいし、冷却水の温度変化を検温機構302が検出すること等に応じて行われるものとしてもよいし、アクセル開度の変更等に応じて行われるものとしてもよい。
【0115】
また、実施例では、熱伸縮による誤差を冷却水の温度に基づいて特定する場合を例示したが、かかる場合に限定されることもない。例えば、エンジンの潤滑油や吸気の温度、エンジンの外気の温度等に基づいて特定してもよい。また、制御シャフト102の熱伸縮を直接測定するセンサ類を利用するものとしてもよい。さらに、かかるセンサ類等と、冷却水の温度の検温機構302とを組み合わせて利用してもよい。
【0116】
また、上述の場合には、吸気バルブについてのみ言及したが、排気バルブその他のバルブに対して実施例の技術を適用することも可能である。
【0117】
以上、実施例に基づき本発明にかかる内燃機関を説明してきたが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨並びに特許請求の範囲を逸脱することなく、変更、改良され得る。例えば、可変動弁系が1つの気筒の開弁特性のみを変化させる場合でも、可変動弁系の熱伸縮は開弁特性の誤差を生じさせる。しかし、上述の技術を適用することで、開弁特性の誤差を抑止したり、所望の吸気量や理論空燃比を実現したりできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 エンジン1000の概略構成を示す説明図である。
【図2】 エンジン1000が有する制御機構300を示す説明図である。
【図3】 補正量記憶部350が記憶するマップの一例を示す説明図である。
【図4】 ACT制御値の補正を行う運転制御処理を示す説明図である。
【図5】 エンジン1000が実現する開弁特性を示す説明図である。
【図6】 所望の吸気総量を実現する制御値を記憶するマップを示す説明図である。
【図7】 気筒ごとに、制御値と吸気量との関係を記憶する各マップを示す説明図である。
【図8】 第2実施例のエンジン1001を示す説明図である。
【図9】 補正率記憶部450が有するマップの一例を示す説明図である。
【図10】 燃料噴射量の補正を行う運転制御処理を示す説明図である。
【図11】 エンジン1001が適用する燃料噴射量の一例を示す説明図である。
【図12】 4つのスパークプラグを示す説明図である。
【図13】 点火時期と発生トルクの関係を記憶するマップを示す説明図である。
【符号の説明】
1000…エンジン
101…支持パイプ
102…制御シャフト
103…入力部
104…出力部
110…吸気カムシャフト
111…吸気カム
120…ロッカーアーム
130…ステムエンド
150…揺動カム
160…アクチュエータ
170…スライダギア
200,200a,200b,200c…気筒
300…制御機構
302…検温機構
320…運転制御部
350…補正量記憶部
350b…制御値記憶部
1001…エンジン
131a,131b…吸気バルブ
500…シリンダブロック
540…吸気マニホールド
511…吸気ポート
520,520a,520b,520c…インジェクタ
600…排気マニホールド
520…インジェクタ
400…制御機構
420…運転制御部
450b…噴射量記憶部
450…補正率記憶部
451…温度補正設定部
452…作用角補正設定部
453…点火時期記憶部

Claims (10)

  1. バルブを備える気筒を複数有する内燃機関であって、
    アクチュエータが前記複数の気筒の並びの一端側に設けられ、該アクチュエータの動作によって、前記複数の気筒の各々に対して設けられた前記各バルブの開弁特性を機械的に変化させる可変機構と、
    前記開弁特性に、前記一端側の気筒から他端側の気筒に向けて順次拡大する誤差を生じさせる前記可変機構の熱伸縮量に対応した所定のパラメータを検出する検出手段と、
    前記検出手段が検出した前記パラメータに基づいて、前記複数の気筒の運転状態の平均が目標値に近づく平均化補正を行って、前記内燃機関の制御を行う制御手段と
    を備える内燃機関。
  2. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記制御手段は、前記開弁特性の一つである開弁時のリフト量の前記複数の気筒についての平均値が、誤差が無い理想状態での目標量である理想リフト量に近づくように、前記補正を行う内燃機関。
  3. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記制御手段は、前記検出手段が検出したパラメータに応じて求まる前記複数気筒の開弁特性の平均が、所定の目標開弁特性に近づくように、前記アクチュエータの動作を制御する制御パラメータを設定する内燃機関。
  4. 請求項3記載の内燃機関であって、
    前記制御手段は、前記複数の気筒のうちの一部の気筒の吸入空気量に減少誤差を生じ、他の気筒の吸入空気量に増加誤差を生じるように前記アクチュエータを駆動することにより、前記平均化の補正を行う内燃機関。
  5. 請求項1記載の内燃機関であって、
    前記制御手段は、前記検出手段が検出した前記パラメータと前記複数の気筒の配置とに応じて推定される各気筒の吸気量に基づいて、該各気筒の燃料噴射量を補正することで、前記複数の気筒の運転状態の一つである空燃比の平均が目標値に近づく前記平化の補正を行う内燃機関。
  6. 請求項5記載の内燃機関であって、
    前記燃料噴射量の補正は、前記可変機構の温度による前記可変機構の熱収縮量を補償するように予め定めた温度補正量と、前記バルブが非閉弁状態にある作用角の誤差に基づいて予め定めた作用角補正量とを、燃料噴射量に乗じて行う内燃機関。
  7. 請求項5または6記載の内燃機関であって、
    前記制御手段は、更に前記検出手段が検出した前記パラメータと前記複数の気筒の配置とに応じて推定される各気筒の吸気量に基づいて、該各気筒の点火時期を補正することで、前記各気筒の出力トルクの平均化を行う点火時期制御手段を備えた内燃機関。
  8. 請求項記載の内燃機関であって、
    前記点火時期制御手段は、前記検出手段が検出した前記パラメータに応じて推定される前記各気筒のトルクの差違が所定範囲内となるように前記各気筒の点火時期を調整する内燃機関。
  9. 請求項1ないし8いずれか記載の内燃機関であって、
    前記可変機構は、前記複数気筒のバルブと機械的に連結されたシャフトを、前記アクチュエータにより、該シャフトの軸方向に変位させることで前記各バルブの開弁特性を連動して変化させる機構であり、
    前記検出手段は該シャフトの前記軸方向の熱伸縮量に関するパラメータを検出する内燃機関。
  10. 請求項1ないし7いずれか記載の内燃機関であって、
    前記検出手段は、前記パラメータとして、前記内燃機関の冷却水、潤滑油、外気及び吸気の少なくとも1つの温度を検出する内燃機関。
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