JP4161118B2 - 気液接触装置及びそれを用いた内部熱交換型蒸留塔 - Google Patents

気液接触装置及びそれを用いた内部熱交換型蒸留塔 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、吸収塔、蒸留塔などとして用いることが可能な気液接触装置及びそれを用いた内部熱交換型蒸留塔に関し、詳しくは、多管式熱交換器型の気液接触装置及びそれを用いた内部熱交換型蒸留塔に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
気液接触装置の一つに、図5に示すように、垂直に配設された筒状のシェル51内に、垂直に複数の管52が挿入、配設され、複数の管52の上端側及び下端側が上側管板53a、下側管板53bにより、シェル51と連結されることにより、各管52の管内(チューブ側)54と管外(シェル側)55が隔離された構造を有する多管式熱交換器型の気液接触装置がある。
【0003】
この気液接触装置は、図5に示すように、液体を管52の上部から管の内壁に沿って膜状に流下させ、気体を管52の下部から液と向流に上昇させて(管52の上部から液と並流に気体を下降させる場合もある)気液接触を管内で行わせ、気体中の有効成分を液体に吸収させる吸収装置として利用されている。それは吸収時に生じる溶解熱・反応熱の除去が、管外55に冷却水を供給することによって容易に行えるからである。(したがって、熱の発生が伴わない吸収には、充填塔のような気液接触装置を吸収装置として使用する。)
この多管式で、管の外壁に沿って液を流下させ、管外側に気体を供給して、管外側で気液接触を行わせ、管内に冷却水を流す吸収装置は工業的には存在しない。それは一本一本の管の外側を上昇する気体の流れが一様でないため、吸収効率が悪いことによる。ただし、管が一本のみの研究用実験設備としては、管外で気液接触を行わせることはしばしばある。
【0004】
本願発明は、上記問題点を解決するものであり、多管式熱交換器型の気液接触装置において、管外を気液接触領域として、十分な気液接触効率を確保することが可能な気液接触装置及びそれを用いた省エネルギー効率の高い内部熱交換型蒸留塔を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、発明者等は、種々検討を行い、多管式熱交換器型の気液接触装置の管外で気液接触を行わせる場合に、図1に示すように、シェル1内の管外(シェル側)5を上昇する気体の流路を制御して、気体を管2の軸方向に略直交する方向に流動させ、反転を折り返しながらジグザグ状の経路(矢印Aで示す経路)で管外5を上昇させる複数枚のじゃま板20を備えた構成とすることを考えた。
すなわち、図1の気液接触装置は、下側の端室11に設けられた加熱又は冷却媒体入口12から管内(チューブ側)4に加熱又は冷却媒体が供給され、上側の端室13に設けられた加熱又は冷却媒体出口14から排出される一方、シェル1の下部に設けられた気体入口16から気体が供給され、この気体とシェル1の上部に設けられた液入口15から供給された液とが、管外(シェル側)5で気液接触した後、シェル1の下部に設けられた液出口17から液体が排出され、シェル1の上部に設けられた気体出口18から気体が排出されるように構成されている。
【0006】
このように構成された気液接触装置においては、気体がじゃま板20の作用により、シェル1の軸方向に略直交する方向に流動し、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路で管外(シェル側)5を上昇するため、十分な気液接触効率が得られるものと期待されたが、実際にはじゃま板20とシェル1の内壁との間に隙間があり、また、管2の外周面と、じゃま板20の管2を貫通させる貫通孔の内周面の間にも隙間があることから、気体がこの隙間からショートパスして、必ずしも十分な気液接触効率が得られないことがわかった。
【0007】
発明者等は、かかる知見に基づき、じゃま板20とシェル内壁1aとの間の隙間や、管2の外周面とじゃま板20の管2を貫通させる貫通孔の内周面の間の隙間からの気体のショートパスを防止するために、さらに種々の実験、検討を行って本願発明を完成した。
【0008】
すなわち、本願発明(請求項1)の気液接触装置は、
垂直に配設される筒状のシェルと、
筒状のシェル内にシェルの軸方向に沿って収納された複数の管と、
複数の管の上端側及び下端側をシェルと連結して、各管の管内(チューブ側)と管外(シェル側)が隔離された構造とする上側管板及び下側管板と
を備え、
管の外周面に沿って液が流下することにより、シェル側を上昇する気体と、管の外周面に沿って流下する液とが気液接触するように構成された気液接触装置であって、
(a)管を貫通させる貫通孔を有し、シェル内に高さ方向に所定の間隔をおいて略水平に配設され、シェル側を上昇する気体の流路を制御して、シェルの軸方向に略直交する方向に流動させ、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路でシェル側を上昇させる複数枚のじゃま板を備え、
(b)前記じゃま板の、気体を通過させるための開口領域を形成する部分を除いて、その周辺部とシェル内壁との隙間が気体を通過させないようにシールされ、 (c)前記じゃま板の、管を貫通させる貫通孔の直径が、管の外径より10〜40mm大きく、
(d)前記じゃま板の貫通孔には、弾性変形可能な薄板材料からなり、直径が管の外径と同じか、又は、20mm以内の範囲で管の外径より小さいシール用貫通孔を有し、かつ、シール用貫通孔の内周端側から放射線状に長さが5〜20mmの切り込みが複数形成された薄板状シール部材が配設され、
(e)前記管をじゃま板の貫通孔及び薄板状シール部材のシール用貫通孔に貫通させて組み立てたときに、シール用貫通孔の内周部が管に当接するように構成されていること
を特徴としている。
【0009】
シェル側を上昇する気体の流路を制御して、気体をシェルの軸方向に略直交する方向に流動させ、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路でシェル側を上昇させる複数枚のじゃま板をシェル内に配設し、気体を通過させるための開口領域を形成する部分を除いて、その周辺部とシェル内壁との隙間を、気体が通過しないようにシールすることにより、気体が管の軸方向に略直交する方向に流動し、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路でシェル側を上昇させることが可能になる。
【0010】
また、じゃま板の、管を貫通させる貫通孔の直径を、管の外径より10〜40mm大きく形成するとともに、この貫通孔に、弾性変形可能な薄板材料からなり、直径が管の外径と同じか、又は、20mm以内の範囲で管の外径より小さいシール用貫通孔を有し、かつ、シール用貫通孔の内周端側から放射線状に長さが5〜20mmの切り込みが複数形成された薄板状シール部材を配設することにより、管をじゃま板の貫通孔及び薄板状シール部材のシール用貫通孔に貫通させて組み立てたときに、シール用貫通孔の内周部を確実に管に当接させることが可能になり、管の外周面とじゃま板の貫通孔の間の隙間を薄膜シール部材により塞ぐとともに、シール用貫通孔の内周部と管の間の隙間及び薄膜シール部材に形成された切り込みを、管の外周面を流下する液によりシールすることが可能になり、気体のショートパスを確実に防止することが可能になる。その結果、気体を確実に所定のジグザグ状の経路でシェル側を上昇させることが可能になり、気液接触効率を向上させることが可能になる。
【0011】
薄板状シール部材としては、金属薄板を加工したものや、耐熱性や耐食性を備えた樹脂製の薄板を加工したもの、複合材料からなる薄板を加工したものなど、種々のものを用いることが可能であり、その材質や具体的な構成に特別の制約はない。
【0012】
また、じゃま板への薄板状シール部材の取り付け方法(構造)としては、例えば、じゃま板を2層構造として、層間に薄板状シール部材を挟み込む方法、薄板状シール部材を溶接によりじゃま板に固定する方法、ボルトなどの治具により薄板状シール部材をじゃま板に固定する方法など種々の方法を適用することが可能である。
【0013】
また、薄板状シール部材は複数枚重ねて使用してもよく、その場合に、各薄板状シール部材において切り込みの形成位置が重ならないよう、切り込みの位置をずらせることにより、さらに確実に気体がショートパスすることを防止できるようになる。
【0014】
なお、本願発明の気液接触装置においては、上昇気体が流下する液に吸収され、上方に行くにつれて気体の量が減少するような場合(例えば吸収装置として用いられる場合)には、じゃま板の間隔を塔頂に向かって、徐々に小さくしてゆくことが望ましい。
【0015】
また、請求項2の気液接触装置は、前記薄板状シール部材のシール用貫通孔の直径が管の外径より小さく、管が薄板状シール部材のシール用貫通孔を貫通した状態で、薄板状シール部材がシール用貫通孔の周辺部において下向きに湾曲し、漏斗状の形状となるように組み立てられていることを特徴としている。
【0016】
薄板状シール部材のシール用貫通孔の直径を管の外径より小さくし、管が薄板状シール部材のシール用貫通孔を貫通した状態で、薄板状シール部材がシール用貫通孔の周辺部において下向きに湾曲し、漏斗状の形状となるようにした場合、薄板状シール部材のシール用貫通孔周辺の、湾曲して漏斗状になった部分に液が溜まり、管の外周面とシール用貫通孔との隙間や、シール用貫通孔の内周端側から放射線状に複数形成された切り込みなどが液により確実にシールされるため、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0017】
また、請求項3の気液接触装置は、前記管の外周面には直径が1〜5mm径の線状部材が螺旋状に巻き付けられており、前記薄板状シール部材のシール用貫通孔の内周部が、前記管の外周面及び/又は前記線状部材と当接するように構成されていることを特徴としている。
【0018】
管の外周面に、直径が1〜5mm径の線状部材を螺旋状に巻き付けるようにした場合、
(1)管の外周面を垂直方向に流下する液が水平方向(周方向)にも流れ広がるため、液を管の外周面に効率よく分散させることが可能になるとともに、
(2)流下液体の滞留時間を増大させることが可能になり、さらに、
(3)気液接触面積を増大させることが可能になる
ことから、気液接触効率を大幅に向上させることが可能になる。
なお、線状部材としては、例えば、銅製やステンレス製で断面が円形の線材(いわゆる針金)などを好適に用いることが可能であるが、線状部材はこれに限らず、断面形状が方形のものなど種々のものを用いることが可能である。
【0019】
また、本願発明(請求項4)の内部熱交換型蒸留塔は、
請求項1〜3のいずれかに記載の気液接触装置を用いた内部熱交換型蒸留塔であって、
前記管内(チューブ側)を高圧側、前記管外(シェル側)を低圧側として操作圧力に差をつけ、操作温度を異ならせることにより、濃縮部として機能するチューブ側から、回収部として機能するシェル側に、各管の管壁を伝熱面として熱移動するように構成されていること
を特徴としている。
【0020】
請求項1〜3のいずれかに記載の気液接触装置を用いることにより、気液の接触効率を向上させることが可能になるとともに、液膜の厚みを薄くして少ない液量で管の外周面(回収部側管壁)全体に効率よく液をゆき渡らせることが可能になり、濃縮部側から回収部側への熱移動効率を向上させて、省エネルギー効率を改善することが可能になる。
【0021】
内部熱交換型蒸留塔において、濃縮部側から回収部側への熱移動を効率よく行わせるためには、濃縮部と回収部とを隔てる管の外周面(回収部側管壁)に還流液をゆき渡らせることが重要である。
すなわち、蒸留塔内の回収部側には、回収部側よりも高温の濃縮部側から熱が移動するので、回収部側管壁(管の外周面)は受熱面となる。そして、この回収部管壁(管の外周面)に還流液が存在することにより、受熱した熱量が液の蒸発に使用され、受熱面で液が蒸発して上昇蒸気となり、効率よく蒸留作用が行われることになる。しかし、液が回収部側管壁に存在しなければ、熱の移動は実質的に行われず、回収部側管壁が受熱面(伝熱面)として有効に機能しなくなり、伝熱面積がそれだけ減少したのと同じことになる。その結果、内部熱交換量が少なくなり、省エネルギー効果もそれだけ小さくなる。
【0022】
このような内部熱交換型蒸留塔に本願発明の気液接触装置を用いることにより、液を確実に分散させて管の外周面(回収部側管壁)全体に液を確実にゆき渡らせることが可能になり、濃縮部側から回収部側への熱移動を効率よく行わせて、省エネルギー効率を大幅に向上させることが可能になる。
また、内部熱交換型蒸留塔においては、全体のバランスから、回収部に供給される液(還流液)の量には制約があり、限られた液量で、管の外周面(回収部側管壁)全体に液をゆき渡らせることが必要になるが、本願発明によれば、少ない液量でも効率よく管の外周面(回収部側管壁)全体に液をゆき渡らせることが可能になるため、濃縮部側から回収部側への熱移動効率を確実に向上させることが可能になり、有意義である。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を示して、その特徴とするところを詳しく説明する。
図1は本願発明の一実施形態にかかる気液接触装置の構成を示す正面断面図である。
【0024】
この実施形態の気液接触装置は、垂直に配設された筒状のシェル1内に、垂直に複数の管2が挿入、配設され、各管2の上端側及び下端側が上側管板3a、下側管板3bにより、シェル1と連結されることにより、各管2の管内(チューブ側)4と管外(シェル側)5が隔離された構造を有している。
さらに、この気液接触装置においては、下側の端室11に加熱又は冷却媒体を管内に供給するための媒体入口12が設けられ、上側の端室13に加熱又は冷却媒体が排出される媒体出口14が設けられている。
また、シェル1の上部には、管外5に液を供給するための液入口15及び気体出口18が設けられ、シェル1の下部には気体入口16及び液出口17が設けられている。また、管外(シェル側)5の上部には、液分散具19が配設されている。
【0025】
そして、この実施形態の気液接触装置においては、管外(シェル側)5を上昇する気体の流路を制御して、気体を管2の軸方向に略直交する方向に流動させ、反転を折り返しながら、ジグザグ状の経路(矢印Aで示す経路)で管外(シェル側)5を上昇させる複数枚のじゃま板20がシェル1内に、高さ方向の所定の間隔をおいて配設されている。また、各じゃま板20の、気体を上方に流すための開口領域21を形成する部分を除いて、じゃま板20の周辺部とシェル内壁1aとの間の隙間は気体が通過(ショートパス)しないようにシールされている。
【0026】
また、図2(a),(b)に示すように、じゃま板20の、管2を貫通させる貫通孔22の直径D1は、管2の外径D2より10〜40mm大きく形成されている。また、この貫通孔22には、弾性変形可能な薄板材料(この実施形態ではステンレス製の薄板)からなり、直径D3(図3)が管2の外径D2よりも約10mm小さいシール用貫通孔24が形成され、かつ、シール用貫通孔24の内周端側から放射線状に長さが5〜20mmの切り込み25が複数形成された薄板状シール部材23が配設されている。なお、図2(a),(b)において薄板状シール部材23のシール用貫通孔24の周囲部分が湾曲した状態を示しているが、本願発明でいうシール用貫通孔24の直径D3は、図3に示すように、周囲部分が湾曲していない状態におけるシール用貫通孔24の直径をいう。
【0027】
また、管2の外周面には直径が1〜5mm径の線状部材(この実施形態では外径が3mmのステンレス製の針金)31が螺旋状に10mmのピッチで巻き付けられており、薄板状シール部材23のシール用貫通孔24の内周部が、管2の外周面又は線状部材31と当接するように構成されている。
【0028】
上述のように構成されたこの実施形態の気液接触装置にあっては、図2(a),(b)に示すように、管2をじゃま板20の貫通孔22及び薄板状シール部材23のシール用貫通孔24に貫通させて組み立てたときに、シール用貫通孔24の内周部が管2の外周面及び/又は線状部材31に当接し、下側に湾曲して漏斗状の形状となる。そして、この漏斗状となった部分に管2の外周面を流下する液が溜まり、管2の外周面及び/又は線状部材31と薄板状シール部材23のシール用貫通孔24の内周部との間の隙間及び切り込み25が液によりシールされる。
【0029】
その結果、気体が管2の外周面及び/又は線状部材31と薄板状シール部材23のシール用貫通孔24の内周部との隙間及び切り込み25からショートパスすることを防止して、気体を、確実に所定のジグザグ状の経路で管外(シェル側)5を上昇させることが可能になり、気液接触効率を向上させることが可能になる。
【0030】
また、管2の外周面には、直径が1〜5mm径の線状部材31を螺旋状に巻き付けているので、管2の外周面を垂直方向に流下する液が水平方向(周方向)にも流れ広がるため、液を管2の外周面に効率よく分散させることが可能になるとともに、流下液体の滞留時間を増大させることが可能になり、さらに、気液接触面積を増大させることが可能になることから、気液接触効率を大幅に向上させることが可能になる。
【0031】
なお、上述のように構成されたこの実施形態の気液接触装置は、HClの製造(HClの水による吸収)、ベンゼンの塩素化などの気液反応に多量の発熱を伴う場合の吸収装置などに好適に用いることが可能である。
【0032】
なお、上述のように構成された気液接触装置の管外を蒸留塔として用いた場合における液流量とNTSMの関係を図4に示す。
図4に示すように、NTSMの値は現行蒸留塔と略同等であり、この実施形態の気液接触装置の管外が蒸留塔としても十分実用的に機能することがわかる。
【0033】
また、この実施形態の気液接触装置は、管内(チューブ側)を高圧側、管外(シェル側)を低圧側として操作圧力に差をつけ、操作温度を異ならせることにより、濃縮部として機能するチューブ側(高圧側)から、回収部として機能するシェル側(低圧側)に、各管の管壁を伝熱面として熱移動するように構成された内部熱交換型蒸留塔として好適に用いることが可能である。その場合、気液接触効率を向上させることが可能になるとともに、液膜の厚みを薄くして少ない液量で管の外周面全体に効率よく液をゆき渡らせることが可能になり、濃縮部側から回収部側への熱移動効率を向上させて、省エネルギー効率を改善することが可能になる。
【0034】
なお、本願発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
【0035】
【発明の効果】
上述のように、本願発明(請求項1)の気液接触装置は、シェル側を上昇する気体の流路を制御して、気体をシェルの軸方向に略直交する方向に流動させ、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路でシェル側を上昇させる複数枚のじゃま板をシェル内に配設し、気体を通過させるための開口領域を形成する部分を除いて、その周辺部とシェル内壁との隙間を、気体が通過しないようにシールするようにしているので、気体が管の軸方向に略直交する方向に流動し、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路でシェル側を上昇させることが可能になる。
【0036】
また、じゃま板の、管を貫通させる貫通孔の直径を、管の外径より10〜40mm大きく形成するとともに、この貫通孔に、弾性変形可能な薄板材料からなり、直径が管の外径と同じか、又は、20mm以内の範囲で管の外径より小さいシール用貫通孔を有し、かつ、シール用貫通孔の内周端側から放射線状に長さが5〜20mmの切り込みが複数形成された薄板状シール部材を配設するようにしているので、管をじゃま板の貫通孔及び薄板状シール部材のシール用貫通孔に貫通させて組み立てたときに、シール用貫通孔の内周部を確実に管に当接させることが可能になり、管の外周面とじゃま板の貫通孔の間の隙間を薄膜シール部材により塞ぐとともに、シール用貫通孔の内周部と管の間の隙間及び薄膜シール部材に形成された切り込みを、管の外周面を流下する液によりシールすることが可能になり、気体のショートパスを確実に防止することが可能になる。その結果、気体を確実に所定のジグザグ状の経路でシェル側を上昇させることが可能になり、気液接触効率を向上させることが可能になる。
【0037】
また、請求項2の気液接触装置のように、薄板状シール部材のシール用貫通孔の直径を管の外径より小さくし、管が薄板状シール部材のシール用貫通孔を貫通した状態で、薄板状シール部材がシール用貫通孔の周辺部において下向きに湾曲し、漏斗状の形状となるようにした場合、薄板状シール部材のシール用貫通孔周辺の、湾曲して漏斗状になった部分に液が溜まり、管の外周面とシール用貫通孔との隙間や、シール用貫通孔の内周端側から放射線状に複数形成された切り込みなどが液により確実にシールされるため、本願発明をさらに実効あらしめることが可能になる。
【0038】
また、請求項3の気液接触装置のように、管の外周面に、直径が1〜5mm径の線状部材を螺旋状に巻き付けるようにした場合、管の外周面を垂直方向に流下する液が水平方向(周方向)にも流れ広がるため、液を管の外周面に効率よく分散させることが可能になるとともに、流下液体の滞留時間を増大させることが可能になり、さらに、気液接触面積を増大させることが可能になることから、気液接触効率を大幅に向上させることができる。
【0039】
また、本願発明(請求項4)のように、本願発明の気液接触装置を、内部熱交換型蒸留塔に用いることにより、気液の接触効率を向上させることが可能になるとともに、液膜の厚みを薄くして少ない液量で管の外周面(回収部側管壁)全体に効率よく液をゆき渡らせることが可能になり、濃縮部側から回収部側への熱移動効率を向上させて、省エネルギー効率を改善することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の一実施形態にかかる気液接触装置の構成を示す正面断面図である。
【図2】本願発明の一実施形態にかかる気液接触装置の要部を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面断面図である。
【図3】薄板状シール部材のシー−ル用貫通孔の周囲部分が湾曲していない状態を示す正面断面図である。
【図4】本願発明の一実施形態にかかる気液接触装置を蒸留塔として用いた場合における液流量とNTSMの関係を示す図である。
【図5】従来の気液接触装置の構成を示す図である。
【符号の説明】
1 シェル
1a シェル内壁
2 管
3a 上側管板
3b 下側管板
4 管内(チューブ側)
5 管外(シェル側)
11 下側の端室
12 媒体入口
13 上側の端室
14 媒体出口
15 液入口
16 気体入口
17 液出口
18 気体出口
19 液分散具
20 じゃま板
21 気体を上方に流すための開口領域
22 じゃま板の貫通孔
23 薄膜状シール部材
24 シール用貫通孔
25 シール用貫通孔に形成された放射線状の切り込み
31 線状部材
A 気体の流動経路
D1 じゃま板の貫通孔の直径
D2 管の外径
D3 シール用貫通孔の外径

Claims (4)

  1. 垂直に配設される筒状のシェルと、
    筒状のシェル内にシェルの軸方向に沿って収納された複数の管と、
    複数の管の上端側及び下端側をシェルと連結して、各管の管内(チューブ側)と管外(シェル側)が隔離された構造とする上側管板及び下側管板と
    を備え、
    管の外周面に沿って液が流下することにより、シェル側を上昇する気体と、管の外周面に沿って流下する液とが気液接触するように構成された気液接触装置であって、
    (a)管を貫通させる貫通孔を有し、シェル内に高さ方向に所定の間隔をおいて略水平に配設され、シェル側を上昇する気体の流路を制御して、シェルの軸方向に略直交する方向に流動させ、反転を繰り返しながらジグザグ状の経路でシェル側を上昇させる複数枚のじゃま板を備え、
    (b)前記じゃま板の、気体を通過させるための開口領域を形成する部分を除いて、その周辺部とシェル内壁との隙間が気体を通過させないようにシールされ、 (c)前記じゃま板の、管を貫通させる貫通孔の直径が、管の外径より10〜40mm大きく、
    (d)前記じゃま板の貫通孔には、弾性変形可能な薄板材料からなり、直径が管の外径と同じか、又は、20mm以内の範囲で管の外径より小さいシール用貫通孔を有し、かつ、シール用貫通孔の内周端側から放射線状に長さが5〜20mmの切り込みが複数形成された薄板状シール部材が配設され、
    (e)前記管をじゃま板の貫通孔及び薄板状シール部材のシール用貫通孔に貫通させて組み立てたときに、シール用貫通孔の内周部が管に当接するように構成されていること
    を特徴とする気液接触装置。
  2. 前記薄板状シール部材のシール用貫通孔の直径が管の外径より小さく、管が薄板状シール部材のシール用貫通孔を貫通した状態で、薄板状シール部材がシール用貫通孔の周辺部において下向きに湾曲し、漏斗状の形状となるように組み立てられていることを特徴とする請求項1記載の気液接触装置。
  3. 前記管の外周面には直径が1〜5mm径の線状部材が螺旋状に巻き付けられており、前記薄板状シール部材のシール用貫通孔の内周部が、前記管の外周面及び/又は前記線状部材と当接するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の気液接触装置。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の気液接触装置を用いた内部熱交換型蒸留塔であって、
    前記管内(チューブ側)を高圧側、前記管外(シェル側)を低圧側として操作圧力に差をつけ、操作温度を異ならせることにより、濃縮部として機能するチューブ側から、回収部として機能するシェル側に、各管の管壁を伝熱面として熱移動するように構成されていること
    を特徴とする内部熱交換型蒸留塔。
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