JP4157494B2 - 植物における環境ストレス耐性能力の評価法 - Google Patents

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Description

本発明は、光合成機能の解析による植物の環境ストレス耐性能力の評価方法に関する。具体的には、活性酸素が引き起こす光合成機能への酸化的障害である光阻害のレベルを特定の条件下で測定することによって、植物の環境ストレス耐性能力を評価する方法、並びにそのような耐性能力を評価するための装置に関する。
近年、高等植物の葉緑体における活性酸素の消去機構が明らかになった(非特許文献1)。活性酸素の代謝経路は各種抗酸化剤および抗酸化酵素から成り、環境ストレス下で発生する活性酸素を無毒化・消去する。すなわち、活性酸素が引き起こす細胞レベルでの酸化的障害を回避する防御系としての役割を担う。活性酸素の消去能力の評価は従来、活性酸素発生剤メチルビオローゲン(MV)に対する植物の耐性を調べる方法が最も一般的であった(非特許文献2, 非特許文献3) 。また別の方法としてO3やSO2の暴露実験も報告されている(非特許文献4)。
本発明者らはこれまで、生葉を用いた光合成機能の解析を行い、環境ストレスが光合成機能に与える影響(非特許文献5)及び光合成機能の非破壊解析法の確立(非特許文献6)を報告している。
さらに、クロロフィル蛍光測定装置に関して、例えば特許文献1には水中でのクロロフィル蛍光を測定するための装置が開示されている。植物は光を吸収して光合成を行うが、このときクロロフィルは吸収した光によって励起され、そのエネルギーを反応中心に伝える。このエネルギーは電子伝達、二酸化炭素固定に使われるが、使われないエネルギーは熱や光として放出される。このとき放出される光がクロロフィル蛍光と呼び、そのエネルギーは吸収エネルギーの約0.5〜3%といわれている。クロロフィル蛍光測定の場合、サンプルに3種類の光を照射する。1つめは、測定光であり、パルス変調された蛍光誘導のための微弱な光強度の光である。2つめは、閃光であり、全ての光化学系IIを閉じるための強い強度の光である。3つめは、照射光(actinic light)であり、一定強度の光を当てたときの蛍光強度を知りたいとき、その一定強度の光を指す。クロロフィル蛍光測定装置は、測定光によって励起された分の蛍光を測定するためのものであり、具体的には光量子収率を測定するための、言い換えれば、植物が光合成をするためにどれだけ光を利用したかを定量するための装置である。クロロフィル蛍光を測定することによって、光阻害の程度、すなわち、可視光の照射により引き起こされる光合成速度の低下の程度、また電子伝達速度がわかる。クロロフィル蛍光に関する知識については、例えば非特許文献7に記載されている。
特開平11-326210号公報 Asada K (2000) "The water-water cycle as alternative photon and electron sinks" Phil. Trans. R. Soc. Lond. B 355: 1419-1431 Shikanai T, Takeda T, Yamauchi H, Sano S, Tomizawa K, Yokota A and Shigeoka S (1998) "Inhibition of ascorbate peroxidase under oxidative stress in tobacco having bacterial catalase in chloroplast" FEBS Lett. 428: 47-51 Miyagawa Y, Tamoi M, and Shigeoka S. (2000) "Evaluation of the defense system in chloroplasts to photooxidative stress caused by paraquat using transgenic tobacco plants expressing catalase from Eschericha coli" Plant Cell Physiol. 41(3): 311-320 Aono M, Kubo A, Saji H, Tanaka K, Kondo N (1993) "Enhanced tolerance to photooxidative stress of transgenic Nicotiana tabacum with high chloroplastic glutathione reductase activity" Plant & Cell Physiology 34(1): 129-135 Tsuyama M, Kobayashi H, Shinya M, Yahata H, Kobayashi Y (1996) "Simultaneous measurements of quantum yield and CO2 uptake for the assessment of non-assimilative electron flow in tree leaves" Journal of Forest Research 1(2): 79-85 Tsuyama M, Shibata M, Kobayashi Y (2003) "Leaf factors affecting the relationship between chlorophyll fluorescence and the rate of photosynthetic electron transport as determined from CO2 uptake" Journal of Plant Physiology 160: 1131-1139 http://hostgk3.biology.tohoku.ac.jp/hikosaka/fluorescence.html
従来の方法では手法間で植物の環境ストレス耐性評価の結果が一致しないばかりか、処理強度(MV濃度、処理時間、照射光強度)の違いによって異なる結果を導くという問題があった。このため、植物の環境ストレス耐性能力の客観的な評価の必要性が従来から指摘されていた。
このような状況において、本発明は、植物の環境ストレス耐性を客観的に且つ正確に評価する方法を提供することを目的とする。
本発明はまた、活性酸素分解酵素で形質転換された植物について、環境ストレス耐性能力を有する植物を同定するための方法を提供することを目的とする。
本発明はさらに、植物の環境ストレス耐性能力を評価するための改良クロロフィル蛍光測定装置を提供することを目的とする。
本発明者らは、非破壊、精密、高感度が目的とされる光合成機能の解析を進めた結果、光合成作用光の非存在下において飽和光を間欠的に照射することによって、植物の光ストレス耐性を評価できることを見出した。従って、本発明は、以下のものからなる。
本発明は、第1の態様において、光合成作用光の非存在下、植物の光合成器官に飽和光パルスを間欠照射し、これによって引き起こされる光合成の光阻害のレベルを測定して植物の光ストレス耐性を評価することを含む、植物の環境ストレス耐性能力を評価する方法を提供する。
1つの実施態様において、光ストレス耐性は、葉緑体における活性酸素消去の能力に依存する。
別の実施態様において、光合成の光阻害は、クロロフィル蛍光の測定によって定量される。
別の実施態様において、飽和光パルスは、500μmol photon m-2s-1〜30,000μmol photon m-2s-1の光量子束密度である。
別の実施態様において、飽和光パルスの照射持続時間は、10μ秒〜10秒である。
別の実施態様において、ある飽和光パルスの照射開始と次の飽和光パルスの照射開始との間の照射間隔が、15秒〜30分である。
別の実施態様において、飽和光パルスの最初の照射開始から最後の照射終了までの時間が少なくとも2時間である。
別の実施態様において、光合成の光阻害は、室温又は環境温度で測定される。
本発明は、第2の態様において、活性酸素分解酵素で形質転換された植物を準備し、上記第1態様の評価方法によって該植物の光阻害のレベルを測定し、野生型植物と比較して光阻害が小さい、したがって環境ストレス耐性能力を有する、植物を同定するための方法を提供する。
本発明は、第3の態様において、植物の環境ストレス耐性能力を評価するための装置であって、飽和光パルスの光質を変えるための手段を含むクロロフィル蛍光測定装置において、飽和光パルスを間欠照射するための条件設定を可能にする手段をさらに含むことを特徴とする、上記装置を提供する。
本発明により、植物の光ストレス耐性(すなわち、光・酸素毒耐性)を客観的に且つ正確に評価できる。具体的には、本発明は、例えば低温、乾燥、塩、多雨などに起因する環境ストレスに対する植物の耐性能を判定・評価することを可能にする。さらに、耐性植物の創出を目的とした分子育種事業における育種ターゲットの探索、遺伝子組み換え植物の性能試験、環境ストレス耐性能の高い精英樹の選抜育種も可能にする。特に、低温地域、多雨地域、塩害地域、乾燥地域などで育つ樹木の選抜のために、本発明の方法を使用できる。本発明は、対象として高等植物の葉が一般的に使用されるが、光合成や活性酸素消去系の基本的な仕組みは普遍的であることから、より広く光合成生物一般への応用も可能であろう。
本発明は、光合成作用光の非存在下、植物の光合成器官に飽和光パルスを間欠照射し、これによって引き起こされる光合成の光阻害のレベルを測定して植物の光ストレス耐性を評価することを含む、植物の環境ストレス耐性能力を評価する方法を提供する。
本発明の方法は、植物の光ストレス耐性、すなわち光・酸素毒耐性の能力を評価するものである。この方法では、対象とする植物体の光合成器官に対して飽和光パルスを暗所(すなわち、光合成作用光の非存在下)で繰り返し照射した後、クロロフィル蛍光などの測定により光合成の阻害のレベルを定量する。阻害のレベルが小さいほど耐性能が高く、逆に阻害のレベルが大きいほど耐性が劣る。飽和光とは、植物が光合成を行う能力に対して十分な光を意味する。
本発明における植物には、光合成を行うことができるすべての植物、特に高等植物及び下等植物、例えば双子葉植物、単子葉植物、シダ植物、コケ植物、藻類などが含まれる。
本発明において、光合成器官とは、葉緑体を有する植物部分を指し、一般的に、それは生きた葉であり、コケの場合には根を除く緑色部である。
本発明で使用される光阻害は、低温、塩、乾燥、多雨、酸性雨などの環境下で植物が受ける環境ストレスのために植物の葉緑体内で発生する猛毒の活性酸素が、種々の生体分子を過度に酸化した結果生じる光合成機能の障害を意味する。また、本発明の実施態様により、光ストレス耐性は、葉緑体におけるこのような活性酸素を消去する能力をいう。
理論に拘束されるつもりはないが、光阻害に対する植物の防御系をよりよく理解するために、光合成の明反応(第一段階)と暗反応(第二段階)の過程、並びに、これらの過程における電子伝達の乱れによって発生する活性酸素とその無毒化について以下に説明する。
光合成(Photosynthesis)は、植物が光エネルギーを化学エネルギーに変換する過程である。二酸化炭素と水を材料に光エネルギーを用いてグルコース(ブドウ糖)などを生成する一連の反応である。すなわち、下記の反応:
6CO2 + 12H2O → C6H12O6+ 6O2 + 6H2O
により、水の酸化により生成した電子を用いて二酸化炭素を還元し、炭水化物を合成する。光合成は大別して二つの段階からなる。共に細胞内小器官である葉緑体で行われるが、第一段階は葉緑体内のチラコイド膜で、第二段階は葉緑体内の液状基質のストロマで行われる。第一段階は一般的には明反応と呼ばれ光照射に依存する反応であり、第二段階は暗反応と呼ばれ光に依存しない反応である。
第一段階は光エネルギーの吸収に始まり、水の分解および電子伝達を経て、ATPの合成とNADPHの生成が行われる。これらは光合成色素、光化学系II複合体(系II)および光化学系I複合体(系I)、電子伝達体、リン酸化共役因子などのはたらきによって達成される。光化学系II複合体に結合するクロロフィルおよび補助色素(カロチノイドやフィコビリンなど)により吸収された光エネルギーは光化学系IIの反応中心へと移動する。系II反応中心とは光化学系あたり1ペア存在する特別なクロロフィルaである。反応中心に移動したエネルギーは反応中心クロロフィルを励起(したがって酸化)し、系II内の初期の電子受容体QAが還元される。系II反応中心には水を分解することによって生成した電子が渡される。電子はその後チラコイド膜に存在する電子伝達体を介して光化学系Iへと伝達される。そして、光エネルギーを吸収し酸化型となった光化学系Iの反応中心クロロフィルを還元する。このようにして電子が系IIから系Iへと流れる。系IIおよび系Iを経た電子は最終的にはNADP(補酵素ニコチン酸アミド アデニン ジヌクレオチド リン酸)を還元する。また、上記の電子伝達の過程でチラコイド膜内外にプロトン濃度勾配が形成される。これを駆動力としてリン酸化共役因子によりATPが合成される。明反応の結果、光エネルギーは化学エネルギーとしてATPとNADPHに蓄えられる。
第二段階はカルビン-ベンソン回路における炭酸固定である。回路では上記のATPとNADPHを用いて二酸化炭素が有機化合物へと転化される。この回路の鍵酵素はリブロース−1, 5−二リン酸カルボキシラーゼ/オキシゲナーゼ(ルビスコ)である。これはストロマ中のCO2 / O2分圧比に依存してリブローズ-1, 5-二リン酸(RuBP)のカルボキシル化反応または酸化反応を触媒する。CO2分圧が高い場合は、CO2とRuBPを結合させ、2分子の3−ホスホグリセリン酸(PGA)を生成する。回路は3回転で完結し、3分子のCO2が固定され、炭素原子を3つ含むグリセロアルデヒド-3-リン酸を1分子生成する。グリセロアルデヒド-3-リン酸の2分子は結合して炭素原子を6つ含む糖グルコースができる。回路が3回転する時6分子のNADPHと9分子のATPを消費する。一方ストロマ中のO2分圧が高い場合は、ルビスコは酸化反応も触媒する。この場合PGAの他にホスホグリコール酸(PGly)も生成する。ホスホグリコール酸はパーオキシゾームおよびミトコンドリアにわたる一連の反応により代謝されPGAとして再び葉緑体に回収される。この過程でミトコンドリアにおいてCO2が放出される。ルビスコの酸化反応以降の一連の反応は光呼吸と呼ばれる。光呼吸は光合成CO2固定と同様にエネルギーの消費系であり、カルボキシル化反応が起きる場合の約2倍のエネルギーを消費する。
第一段階と第二段階の活性は通常はバランスされており、明反応で生成されたエネルギーが暗反応に過剰になることはない。これは光化学系IIにおいて過剰光エネルギーが熱散逸されるためである。しかしながら強光照射下では、上記のバランスが崩れると考えられている。すなわち、炭酸固定や光呼吸によるエネルギー消費の能力を超えて電子が伝達される。強光下に限らず、例えば乾燥により気孔が閉鎖し葉緑体へのCO2供給が制限される場合も過剰な電子伝達が起こると予想される。同様のことは、例えば低温や塩などによる環境ストレスによっても起きる。過剰な電子伝達は、葉緑体内で猛毒の活性酸素が発生する結果となる。活性酸素は種々の生体分子を酸化し光合成機能に障害を与える(「光阻害」という)。
活性酸素の生成に対して植物は防御系を発達させており、光阻害を回避することができる。光化学系IIから光化学系Iへと電子が過剰に流れると系Iの還元側で酸素還元が起きる。生成した活性酸素O2 -(スーパーオキシド ラジカル)はSOD(スーパーオキシド ジスムターゼ)によりO2と過酸化水素(H2O2)へと不均化される。H2O2はアスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)により水へと還元される。APX反応で生成したモノデヒドロ アスコルビン酸ラジカル(MDA)は二つの経路によりアスコルビン酸(Asc)へと還元される。一つは、フェレドキシン(Fd)あるいはMDAレダクターゼ(MDAR)により直接Ascに還元される。もう一つの経路では、MDAがAscとデヒドロアスコルビン酸(DHA)へ不均化され、DHAがDHAレダクターゼ(DHAR)/グルタチオンレダクターゼ(GR)系によりAscへ還元される。再生されたAscはAPXの基質となる。Fd、MDARおよびGR反応に必要な還元力は、光化学系Iで光生成した電子あるいはNADPHにより供給される。このようにして過剰な電子伝達によって生成した活性酸素は無毒化・消去される。光化学系IIにおいても活性酸素の一重項酸素(1O2*)が生成するが、これはベータカロチン(β-Car)によって無毒化される。
本発明における光ストレス(光・酸素毒)耐性を評価する方法は、光合成作用光(すなわち、光合成を誘導する光)の非存在下で飽和光パルスを一定時間繰り返し葉に照射することを特徴とする。作用光の非存在下では光合成炭酸固定および光呼吸(上記第二段階)は誘導されない。すなわち系Iでの酸素還元反応にとっては競合する反応が無いことになる。従って、酸素還元(活性酸素の生成)が最大になるものと考えられる。一方、活性酸素の消去系は、(APX反応で生じたMDAの)Ascへの再生に還元力が必要であることから、その機能を十分に発揮できない。ただしSOD反応に還元力は必要ないので、作用光非存在下でもO2 -は不均化・消去される。作用光非存在下で飽和パルス光を繰り返し照射することでH2O2および一重項酸素1O2*による光阻害を誘導することが可能であると考えられる。
本発明で使用される飽和光パルスは、1)光合成および光呼吸を誘導せず、且つ、2)繰り返し照射により光合成阻害を引き起こすことが必要である。これらを満たす条件は、耐性評価の精度に影響するが、用いる植物種や生育環境毎に条件を適宜設定することで耐性能力の評価をより簡便に得ることが可能となる。生きた植物の光合成器官(一般的に、完全展開葉)に飽和光パルスを間欠的に照射する条件は、下記のものに限定されないが、次のとおりである。
光量子束密度は、約500μmol photon m-2s-1〜約30,000μmol photon m-2s-1、好ましくは3,000μmol photon m-2s-1〜20,000μmol photon m-2s-1、より好ましくは5,000μmol photon m-2s-1〜10,000μmol photon m-2s-1である。光量子束密度は、葉の表面積1m2、1秒間あたりに降りそそぐ光量子数を指す。
照射持続時間は、約10μ秒〜約10秒、好ましくは0.1秒〜3秒、より好ましくは0.5秒〜1秒である。
ある飽和光パルスの照射開始と次の飽和光パルスの照射開始との間の照射間隔は、約15秒〜約30分、好ましくは1分〜10分、より好ましくは3分〜7分である。
飽和光パルスの最初の照射開始から最後の照射終了までの時間は、少なくとも約2時間、好ましくは2〜20時間、より好ましくは5〜10時間である。
光合成の光阻害は、生きた植物の葉に飽和光パルスを上記の条件で直接照射し、光合成の光阻害のレベルを市販のクロロフィル蛍光測定システム(H. WALZ社又はLI-COR社)を用いてクロロフィル蛍光の最小蛍光レベル(F0)と最大蛍光レベル(Fm)を測定することによって定量できる。最小蛍光レベルは、例えば光量子束密度1μmol photone m-2s-1のような光合成を起こさない微弱な赤色光による励起の結果生じる蛍光である。一方、最大蛍光レベルは、飽和光パルスの照射により誘導される蛍光である。光合成機能の光阻害の程度は、光化学系II量子収率によって表され、下記の式(I):
光化学系II量子収率 =(Fm-F0)/Fm (I)
(ここで、Fm及びF0は上記の意味を有する。)から求めることができる。光阻害を受けていない状態にある植物の光化学系II量子収率は0.75〜0.85の範囲内にあることが知られている。また、光阻害の程度を反映して光化学系II量子収率は低下する(図1参照)。
光阻害の測定はさらに、大気もしくは21%O2+350ppmCO2の気相中、葉が乾燥しないように一定の湿度と温度の条件、例えば湿度約40〜約90%、室温もしくは環境温度、好ましくは15〜30℃で行うことができる。
クロロフィル蛍光測定システムは、光量子収率を測定するための、言い換えれば、植物が光合成をするためにどれだけ光を利用したかを定量するための装置である。本発明における蛍光測定には、例えば、H.Walz社(ドイツ)製のPAM-101、PAM102又はPAM103、あるいは、LI-COR社(米国)製のLI6400-40 Leaf Chamber Fluorometerなどのクロロフィル蛍光測定装置が使用されうる。
しかし、本発明方法では、長時間にわたり生きた植物の光合成器官(一般的に、葉)に飽和光パルスを間欠照射する必要があるし、また飽和光パルスの光質を変え、種々の環境ストレスをシミュレート可能にするために種々の波長域の光を照射できることが望ましい。市販の装置では、このような要件を満たすことが困難である。
従って、本発明はさらに、植物の環境ストレス耐性能力を評価するための装置であって、飽和光パルスの光質を変えるための手段を含むクロロフィル蛍光測定装置において、飽和光パルスを間欠照射するための条件設定を可能にする手段をさらに含むことを特徴とする装置を提供する。
本発明の装置は、従来公知の、少なくとも光源、励起波長選択部、蛍光波長選択部、光検出素子、検出信号出力部を備えたクロロフィル蛍光測定装置の改良型であり、本発明方法での使用が容易なように改良されたものである。飽和光パルスの光質を変えるための手段は、植物の種々の環境ストレスに対応する光ストレスをシミュレートできるようにするための手段であり、例えば種々の波長の光を照射できるように可変波長手段を有している。一般的に使用されているクロロフィル蛍光測定装置は、400〜600nmの範囲に励起波長域を有するが、本発明の装置では、それより低波長域及び高波長域の光を照射できるように200〜700nm、好ましくは220〜600nmの範囲で波長を任意に可変可能である。そのために、励起光源は、従来のLED又はLDに替えて例えばハロゲンランプを用いることができ、励起光及び蛍光の選択のために干渉フィルタが使用される。光質とは、波長をいう。本装置は、飽和光パルスを間欠照射するための条件設定を可能にする手段を含むことを特徴とするが、該手段は、少なくとも飽和光パルスの光量子束密度、照射持続時間、照射間隔、照射開始から終了までの時間を設定するための手段であり、好ましくはそのようなパラメータを自動設定することを可能にするコンピュータプログラムソフトである。
本発明の装置は、上記の構成メンバーに加えて、植物の光合成器官(一般的に、葉)を保持するための室(もしくはチャンバー)を備えており、該室内は光合成作用光が遮断され、且つ、飽和光パルスが光合成器官(一般的に、葉)の全面又は一部(もしくは特定の部位)に照射できるような構造となっている。光合成器官の広い面を測定可能なように、飽和光があたる面積の広いものが望ましい。本装置はさらに、大気又は、大気成分と実質的に同じ含有率からなる酸素と二酸化炭素の混合気体を該室内に導入するための気体の入口と出口を備えた手段を有する。また、本装置は、該室内の温度と湿度を一定に保持するための手段を含むことができる。さらに、本装置は、クロロフィル蛍光を測定するための検出器と、データを処理・解析するためのプロセッサを含み、該プロセッサには、光化学系II量子収率を自動計算するためのプログラムソフトも搭載されており、さらに該データを表示するための表示部、データを記憶するためのメモリーが含まれる。本装置はまた、データを印刷するための印刷手段を含むことができる。本発明の装置は、室内、温室内のみならず野外、水中でも使用可能なように、耐水構造、携帯可能であるのが望ましい。
本発明の装置は、低温、乾燥、塩、多雨などに起因する環境ストレスに対する植物の耐性能を容易に測定することを可能にする利点があり、例えば環境ストレス耐性能の高い精英樹の選抜育種での使用を可能にする。
本発明はさらに、活性酸素分解酵素で形質転換された植物を準備し、上記の評価方法によって該植物の光阻害のレベルを測定し、野生型と比較して光阻害が小さい、したがって環境ストレス耐性能力を有する、植物を同定するための方法を提供する。
活性酸素分解酵素で形質転換された植物は、該酵素をコードする遺伝子を導入したベクターを作製し、目的の植物細胞に移入し、形質転換細胞を培養することによって得ることができる。活性酸素を消去する酵素には、例えば細菌、酵母、真菌、植物などの原核または真核生物に由来するカタラーゼ、アスコルビン酸ペルオキシダーゼ(APX)、スーパーオキシドジスムターゼ(SOD)が含まれる。カタラーゼ及びAPXは、過酸化水素を水と酸素に分解し無毒化する。SODは、スーパーオキシドラジカルO2 -を酸素と過酸化水素へ不均化する。カタラーゼ、APX、SOD遺伝子の配列は、カタラーゼ遺伝子について例えばvon Ossowski I, Mulvey MR, Leco PA, Borys A, Loewen PC (1991) “Nucleotide sequence of Escherichia coli katE, which encodes catalase HPII” J. Bacteriol. 173(2): 514-520、APX遺伝子について例えばIshikawa T, Sakai K, Yoshimura K, Takeda T, Shigeoka S (1996) “cDNAs encoding spinach stromal and thylakoid-bound ascorbate peroxidase, differing in the presence or absence of their 3’-coding regions” FEBS Lett. 384(3): 289-293、SOD遺伝子について例えばIsin SH, Burke JJ, Allen RD (1990) “Sequence divergence of pea Cu/Zn superoxide dismutase II cDNAs” Plant Mol Biol 15: 789-791などに記載されている。ベクター系は、植物細胞の形質転換に使用されるTiプラスミド/アグロバクテリウム系、ヘルパーTiプラスミドを含むバイナリーベクター/アグロバクテリウム系などを包含する。形質転換は、植物細胞からプロトプラストを作製したのち、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、パーティクルガンなどの方法で実施できる。形質転換植物細胞を適当な固体培地上で培養し、カルスを選抜し、植物体を再生する。植物体から例えば葉緑体DNAを単離し、例えば公知のサザンブロット法にて目的の外来遺伝子が導入されていることを確認し、必要に応じて目的の酵素の活性を測定する。これら一連の手法については、例えばワトソン・組換えDNAの分子生物学、第2版(丸善株式会社);細胞工学別冊、細胞工学シリーズ15「新版モデル植物の実験プロトコール-遺伝学的手法からゲノム解析まで-、(2001年)秀潤社、等に記載されており、その開示を参照することができる。
本発明の方法では、形質転換植物の光合成器官に、上記の評価方法により、作用光非存在下で飽和光パルスを繰り返し照射し、光合成機能の光阻害を調べる。さらに野生型についても同様の測定を行い、光阻害の経時的変化を形質転換植物と野生型とで比較し、野生型よりも有意に光阻害の小さい形質転換植物を同定・選抜する。
添付した図面を参照しながら、下記の実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明は、この特定の具体例に限定されるものではなく、当業者であれば本発明の様々な変形及び変更が可能であり、それらはすべて本発明の範囲内である。
作用光非存在下で飽和光パルスを葉に繰り返し照射し、光合成機能の光阻害を調べた。光阻害は、活性酸素消去系の能力を強化することにより緩和された。また、光阻害の程度は活性酸素消去系の能力を反映する。
一年生ユーカリ交雑種(E. grandis x urophylla)の完全展開葉に作用光非存在下で飽和光パルスを繰り返し照射した。蛍光測定は、パルス変調クロロフィル蛍光計(LI6400-40;LI-COR社製, USA)を用いて行い、生葉を装置のリーフチャンバー内にセットし、21 % O2+350 ppm CO2の気相中、葉温25度、湿度70 %に保持した。葉に対し飽和光パルス [光量子束密度(PFD) 8,000 μmol photon m-2s-1、持続時間 1秒] を5分間隔で約20時間にわたり照射し、最小蛍光レベル(F0)と最大蛍光レベル(Fm)を測定した。なお、クロロフィル蛍光はPFD 1 μmol photon m-2s-1の微弱な赤色光により励起した。光化学系II量子収率は上記式(I)から求めた。
図1(野生株)に光合成機能の光阻害を光化学系II量子収率により解析した結果を示す。処理開始当初、光化学系II量子収率は、光阻害を受けていない状態を表す約0.8であった。しかし、系II量子収率は、時間の経過とともに大きく低下した。これは繰り返し照射した飽和光パルスが光阻害を引き起こしたことを示す。
一年生ユーカリ交雑種に替えてカタラーゼ導入形質転換体ユーカリ(KatE2)の葉を用いたことを除いて実施例1と同様の実験を行った。KatE2は、野生型細胞をプラスミドpkatE-Hm(図2)で形質転換して得られたものであり、葉緑体に酵素カタラーゼを蓄積し、野生型と比べて22%カタラーゼ活性が高い(図3)。カタラーゼは2H2O2→ 2H2O + O2の反応により過酸化水素を無毒化する働きがある。これによりアスコロビン酸ペルオキシダーゼ(APX)の機能(すなわち、過酸化水素の消去)を補足し、活性酸素消去系の能力を強化する。
KatE2及びpkatE-Hmの作製は、Shikanai T, Takeda T, Yamauchi H, Sano S, Tomizawa K, Yokota A, Shigeoka S (1998) “Inhibition of ascorbate peroxidase under oxidative stress in tobacco having bacterial catalase in chloroplast” FEBS Lett. 428: 47-51に記載の手法に従って行われた。
図1から分かるように、光化学系II量子収率の低下は形質転換体ユーカリ(KatE2)の方が野生型より有意に小さく、光阻害の進行が緩和されることが明らかとなった。
作用光非存在下で飽和光パルスを繰り返し照射することで活性酸素消去系の能力を評価できることが確認された。
本発明により、耐性植物の創出を目的とした分子育種事業における育種ターゲットの探索、遺伝子組み換え植物の性能試験、環境ストレス耐性能の高い精英樹の選抜育種での応用が可能である。より具体的には、低温地域、多雨地域、塩害地域、乾燥地域などで育つ樹木の選抜のために、本発明の方法を使用できる。
カタラーゼ導入形質転換体ユーカリKatE2(形質転換体)と一年生ユーカリ交雑種(野生型)について、光阻害のレベルを経時的に測定した結果を示すグラフである。 形質転換ユーカリKatE2を作製するために使用された、カタラーゼ遺伝子挿入プラスミドpkatE-Hmの構造を示す。ここで、LerbcS Proはトマト由来rbcS遺伝子のプロモーター領域、TPはトマト由来rbcS遺伝子の葉緑体移行シグナル領域、katEは大腸菌由来のカタラーゼ遺伝子、T-Nosはノパリン合成酵素遺伝子のターミネーター領域、NOS Proはノパリン合成酵素遺伝子のプロモーター領域、HPTはハイグロマイシン耐性遺伝子、nptIIはカナマイシン耐性遺伝子をそれぞれ表す。なお、ベクター上には左(LB)、右(RB)ボーダー領域が存在する。 カタラーゼ導入形質転換体ユーカリ(KatE2)と一年生ユーカリ交雑種(WT)におけるカタラーゼ活性の比較を示す。

Claims (10)

  1. 光合成作用光の非存在下、植物の光合成器官に飽和光パルスを間欠照射し、これによって引き起こされる光合成の光阻害のレベルを測定して植物の光ストレス耐性を評価することを含む、植物の環境ストレス耐性能力を評価する方法。
  2. 光ストレス耐性が葉緑体における活性酸素消去の能力に依存する、請求項1に記載の方法。
  3. 光合成の光阻害がクロロフィル蛍光の測定によって定量される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 飽和光パルスが500μmol photon m-2s-1〜30,000μmol photon m-2s-1の光量子束密度である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
  5. 飽和光パルスの照射持続時間が10μ秒〜10秒である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. ある飽和光パルスの照射開始と次の飽和光パルスの照射開始との間の照射間隔が、15秒〜30分である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 飽和光パルスの最初の照射開始から最後の照射終了までの時間が少なくとも2時間である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 光合成の光阻害が室温又は環境温度で測定される、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
  9. 活性酸素分解酵素で形質転換された植物を準備し、請求項1に記載の方法によって該植物の光阻害のレベルを測定し、野生型植物と比較して光阻害が小さい、したがって環境ストレス耐性能力を有する、植物を同定するための方法。
  10. 植物の環境ストレス耐性能力を評価するための装置であって、飽和光パルスの光質を変えるための手段を含むクロロフィル蛍光測定装置において、飽和光パルスを間欠照射するための条件設定を可能にする手段をさらに含むことを特徴とする、上記装置。
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