JP4154850B2 - 意思表示装置及び意思表示方法。 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、脳機能信号を利用して使用者の意志を表示するための装置に関し、特に、近赤外光を利用して大脳皮質の脳血液量を計測し、計測値の変化を利用して使用者の意志を表示するための意思表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
頭部に照射した近赤外光の散乱透過光を利用して、脳血液中の酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの変化を計測し、その計測値を機器制御に利用する装置が報告されている(従来技術−1:特開平9−149894号公報)。近赤外光を頭部に照射すると、照射光は生体組織により散乱されながら頭部内部を透過する。この透過光は脳内を散乱透過する際に、脳血液に含まれる酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンに吸収されるため、吸収による透過光の強度減衰は、透過光の光路上に存在する酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの量に依存する。従来技術−1では、散乱透過光の減衰量を利用して測定した酸化ヘモグロビンと還元ヘモグロビンの量の変化を用いて外部装置を制御している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
近赤外光は照射用光ファイバにより頭部の照射点へ導かれ頭部を照射する。頭部内部を散乱透過した光を検出する検出用ファイバが照射点の近傍の検出点に配置される。検出用ファイバにより集光された光は光検出器へ導かれ検出される。照射用光ファイバの先端の照射点、検出用光ファイバの先端の検出点は、頭部に所定の間隔で保持される。検出用ファイバにより、照射点から検出点へ向かって散乱透過した光が検出される。この散乱透過光の光路の深さは、検出点と照射点との間隔が大になるに従って深くなり、光路の深さが数cmになるとその光路は大脳皮質の深さになる。頭部内の透過光は光路上の血液によって吸収されるため、透過光の強度は光路上の血液量を反映した値となる。その結果、検出点と照射点の間隔が数cmの場合、その透過光強度は大脳皮質の脳血液量を反映するようになり、その変化から脳血液量の変化を測定することができる。
【0004】
本発明では、このような方法で測定した脳血液量の変化を利用するが、今まで、脳血液量の変化を利用して使用者の意思を表示するための装置は知られていない。脳血液量の変化には、特定の脳機能の活動に対応した増減のほかに、心臓の拍動のような生体の自律神経系による変化や、人工呼吸器を装着した人の場合には、人工呼吸器による肺への空気送入の影響、その他、生体内の緩やかな血液変動等が重なっている。これらの要因による脳血液量の変動が、脳を活動させた期間(以後、タスク期間という)の脳血液量の変化の判別を困難にする。従って、使用者の意識的な脳機能活動による脳血液量の変化を検出し使用者の意思の表現を検知する場合に、意思表示内容の信頼性を低下させることになる。
【0005】
本発明の目的は、自律神経活動等に起因する脳血液量の変動や人工呼吸器等に起因する脳血液量の変動の影響を低減し、意思表示の信頼性を改善した意思表示装置を提供する事を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の意思表示装置では、装置の使用者の意識的な脳機能活動による脳の活動(活性化)に伴う血液量の変化を利用して、装置の使用者の意思を表現する。一定の安静期間と、質問の回答に答えるなどのための脳を活動させた期間(以後、タスク期間)での脳血液量の変化を計測する。タスク期間における脳血液量は、タスク期間における脳機能の活動量に応じて増加するので、使用者は、タスク期間における脳血液量を意識的な脳機能活動により制御して使用者の意思を表すことができる。タスク期間の脳血液量の増減は安静期間の脳血液量と比較し判別する。脳血液量、頭部に近赤外光を照射して、散乱されながら頭部内部を透過した透過光を、安静期間及びタスク期間で検出し、検出された透過光から求める。
【0007】
本発明の意思表示装置では、脳血液量の変化の測定を安静期間と、脳機能を活動させる期間、いわゆる、タスク期間とを交互に繰返し、最後に、安静期間で終了する一連の期間における脳血液量の変動の測定を行う。次に、測定したデータの内、安静期間に測定したデータの時間的な変動に対するフィティング関数Ffitを算出し、フィティング関数Ffitと計測データの差Dsを求める事により、ゆっくりとした脳血液量の変化の影響を除去する。更に、差Dsを安静期間とタスク期間の各期間毎に、自乗平均値を求める事により短い周期で変化する脳血液量の揺らぎによる影響を除去する。このような方法で求めた安静期間の差Dsの自乗平均値と、タスク期間の差Dsの自乗平均値との比を予め定めた閾値と比較して、タスク期間の脳血液量の変化を評価し、脳血液量の変化の有無を判定する。このように脳血液量に生じる揺らぎの内、ゆっくりとした変化を除去する方法と、短い周期の変化を除去する方法の二つの異なる除去方法を組み合わせて用いることにより、ノイズ除去の効果を高め信頼性の低下防止を図る。また、安静期間の脳血液量と比較し、タスク期間の脳血液量の変化の有無の判定結果を、「有り」、「無し」のほかに「変化の有無の判定不能」とする判定枠を設け3種類に分類、表示することにより、「有り」、「無し」の判定結果の信頼性を高める。
【0008】
本発明の意思表示装置では、頭部に近赤外光を照射して散乱されながら頭部内部を透過した透過光を検出し、安静期間に検出された透過光の強度と、使用者の意識的な脳機能活動により脳を活動させた期間であるタスク期間に検出された透過光の強度との比較から、タスク期間での脳血液量の安静期間での脳血液量に対する変化を検出し、この検出結果を、使用者の積極的な意識(「はい」、「もう一度」、「いいえ」)として表示装置に表示される。
【0009】
本発明の意思表示方法では、安静期間及び使用者の意識的な脳機能活動により脳を活動させた期間であるタスク期間に、頭部に近赤外光を照射して、散乱されながら頭部内部を透過した透過光を検出し、(1)安静期間に検出された透過光の強度と、タスク期間に検出された透過光の強度とを比較して、タスク期間での脳血液量の変化を分類し、分類結果を、使用者の意識として表示する、或いは、(2)安静期間に検出された透過光の強度と、タスク期間に検出された透過光の強度との比較から、タスク期間での脳血液量の安静期間での脳血液量に対する変化を検出し、検出結果を使用者の意識として表示する。
【0010】
本発明によれば、使用者の意識的な脳機能活動による脳血液量の変化を検出し使用者の積極的な意思の表現を検知する場合に、意思表示内容の信頼性の低下を防止できる意思表示装置及び意思表示方法を提供することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について説明する。図1は、本発明の実施例の意思表示装置の構成例を示す図である。電源1−2により駆動される半導体レーザ、発光ダイオード等の光源1−1は、波長800nm前後の近赤外光を発生する。光源1−1の光量は変調器1−3により変調される。変調周波数は数百Hzから数十kHzの範囲内にある一周波数であり、本実施例では965Hzの変調周波数を用いている。光源1−1からの光は、照射用光ファイバ1−4により使用者の頭部の照射点へ導かれ頭部を照射する。頭部を散乱透過した光は検出点に配置された検出用光ファイバ1−5により光検出器1−7へ導かれる。照射用光ファイバ1−4、検出用光ファイバ1−5の先端は、使用者の頭部にファイバ保持器1−6により固定されている。ファイバ保持器1−6の固定場所は、運動野、言語野又は前頭連合野等の利用される脳機能に対応する場所であるが、本実施例では運動野を固定場所として利用する。
【0012】
照射点の照射用光ファイバ1−4から頭部に照射された光は、頭皮、頭蓋骨、脳脊髄液層を透過し、運動野の大脳皮質に到達する。更に、大脳皮質を透過した光の一部が頭皮まで散乱されて来た光を、検出点の検出用光ファイバ1−5で集光し光検出器1−7へと導く。ここでファイバ保持器1−6により保持する照射用光ファイバ1−4と検出用光ファイバ1−5の間隔(照射点と検出点の間隔)は30mmとした。この間隔で光ファイバ先端を保持すると大脳皮質で血液に吸収されて減衰する散乱透過光の強度変化を効率よく検出できるためである。しかし、人の頭部は形状や頭蓋骨の厚さ等は個人差が有るため、効率よく散乱透過光を検出するための光ファイバ先端間隔は30mmに限定されるものではない。
【0013】
光検出器1−7は検出用光ファイバ1−5で集光された光の強度を電気信号に変換するための素子であり、フォトダイオード、光電子増倍管等の素子である。本実施例ではアバランシェダイオードを用いている。光検出器1−7の出力電気信号から光源の変調周波数と同じ周波数成分が、ロックインアンプ1−8により選択され増幅される。ロックインアンプ1−8により、頭部に照射した光成分の強度を効率よく選択し、ノイズとなる他の強度成分を除去する。ロックインアンプ1−8の出力は、AD変換器1−9によりアナログ信号からディジタル信号に変換される。
【0014】
AD変換器1−9の出力信号はデータ処理装置1−10に送られ後述の処理がされ、処理結果は表示装置1−13に表示したり、スピーカ1−14で音により示される。データ処理装置1−10には、記憶装置1−12、データ入力装置1−11が接続されている。データ入力装置1−11、記憶装置1−12、データ処理装置と連動して動作し、通常はパーソナルコンピュータとして一体化されている事が多い。データ処理装置1−10によるデータ処理結果は、表示装置1−13、スピーカ1−14以外の装置、機器に出力するために、DA変換器1−15によりディジタル信号からアナログ信号に変換され、増幅器1−16により増幅され、出力用の端子1−17に供給される。端子1−17からの出力は本発明の装置以外の装置、機器の制御等に利用される。
【0015】
図2は、本発明の実施例の意思表示装置のパラメータ入力、測定データ、データ処理結果等を表示するためのユーザインタフェース画面の例を示す図である。表示画面2−1には、本発明の装置を制御するための制御ボタン、パラメータ設定値、計測されたデータ、データ処理結果等が表示される。
【0016】
本発明の装置による測定開始を指示する開始ボタン2−2が押されると、使用者の頭部を照射し透過した光の強度(以下、「透過光強度」という)が、図1に示す装置により計測され、計測された光の強度が信号強度欄2−4に表示される。表示された信号強度が本発明の装置を動作させるのに必要な強度であるか否かの判定が行われ、判定結果が計測可否表示欄2−5に「OK」或いは「NO」等の文字で表示される。本発明の装置の動作を終了させる指示は終了ボタン2−3を押して行なう。
【0017】
本発明の装置では、使用者(例えば、患者)に対して、質問者(例えば、医師)が、「はい」か「いいえ」で答えられる問いかけを行ない、この問いに対して使用者が、両手の把握運動を司どる脳機能領野(運動野)を活動させると、脳機能の活動により運動野の脳血液量が変化する。この運動野の脳血液量の変化を利用することにより、使用者は回答をすることができる。使用者が両手の把握運動をできる場合には、使用者が両手の把握運動を行なうことにより、運動野が活性化され運動野を流れる脳血液量が増大する。使用者が両手の把握運動をできない場合(例えば、神経障害等が原因で生じる)でも、使用者が両手の把握運動を試みる努力をすることにより、上記と同様に、運動野を流れる脳血流量が増大することが確認されている。「はい」、「いいえ」の回答は、両手の把握運動の有無(有の場合「はい」の回答、無の場合「いいえ」の回答)、あるいは、両手の把握運動を試みる努力の有無(有の場合「はい」の回答、無の場合「いいえ」の回答)にれぞれ対応させる。
【0018】
脳機能活動による脳血液量の増加を計測するために本発明の装置では、先ず、安静状態での脳血液量を計測し、続いて脳機能を活動させたとき、即ち、タスク実行時の脳血液量の計測を行い、安静期間とタスク実行期間の脳血液量の差から脳機能活動による脳血液量の変化を計測する。
【0019】
安静状態で脳血液量を計測する時間は、安静期間の時間入力欄2−6に入力され、脳機能を活動させながら脳血液量を測定する時間は、タスク期間の時間入力欄2−7に入力される。安静期間とタスク実行期間を数回繰返して測定を行うときは、繰返し回数を繰返し回数入力欄2−8に入力指示する。脳血液量の計測は、安静期間とタスク実行期間を繰返し回数入力欄2−8に指示された回数だけ繰返した後、最後に安静期間を経て終了する。
【0020】
計測した脳血液量の変化が増加しているか否かの判定に使用する判定係数A、Bはそれぞれ、判定係数A入力欄2−9、判定係数B入力欄2−10に入力される。判定係数A、Bを使用して行う判定方法については後述する。
【0021】
横軸を計測時間として計測データの強度は、信号強度表示画面欄2−11に表示される。b点を通る縦線2−12は、安静時の計測終了を示しタスク開始を示す縦線である。測定データ表示が始まる画面2−11の左端のa点からb点までが安静状態での計測時間を表す。この計測時間は安静期間の時間入力欄2−6で入力指定された時間である。c点を通る縦線2−13は、タスク終了を示す縦線であり、b点からc点までがタスク実行の時間であり、タスク期間の時間入力欄2−7で入力指定された時間である。c点から画面2−11の右端のd点までが計測の最後に行う安静状態での計測時間であり、この計測時間は安静期間の時間入力欄2−6で入力指示された時間である。図2に示す例は、安静期間とタスク実行期間が1回の場合であるが、繰返しが複数回の場合はタスクの開始と終了を表す画面上の縦線の数は繰返し回数に応じて多くなる。
【0022】
画面2−11には、測定された透過光強度2−14が逐次表示される。計測開始後、画面2−11の左端のa点から透過光強度(測定値のプロット曲線)2−14の表示が開始され、計測時間の経過に伴い、順次、測定された透過光強度2−14が追加して表示され、画面2−11に表示される透過光強度2−14の曲線がa点からd点の方向に向かって伸びていく。この画面2−11のうち、a点からb点までが安静状態での計測データ表示区間、b点からc点までがタスク実行時の計測データ表示区間、c点からd点までが測定終了前の安静状態での計測データ表示区間である。
【0023】
測定終了後にデータ処理装置1−10により算出された、
a点からb点までの安静状態での測定データ及びc点からd点までの安静状態での測定データに対するフィティング曲線2−15が、画面2−11に点線で示される。
【0024】
測定データに基づき後述する判定方法により、タスク実行時の脳血液量の変化の有無を判定し、判定結果を表示欄2−16、2−17、2−18に表示する。表示結果は、「はい」、「もう一度」、「いいえ」の3種類に分類して表示する。本実施例では各判定ごとに表示欄を設けているが、表示欄の数を1つにして、表示欄に表示する文字や記号を変化させて結果の表示を行ってもよい。
【0025】
図3は、本発明の実施例の意思表示装置の制御シーケンスを示すフロー図である。ステップ3−1は装置の電源スイッチが入れられ、稼動準備ができた状態であり、測定開始の指示を待っている状態である。この状態で、図2に示す開始ボタン2−2が押され測定開始の指示が出されると、ステップ3−2で初期条件の初期条件の読込みが行われる。読み込む初期条件は、図2に示す、安静期間の時間入力欄2−6、タスク期間の時間入力欄2−7、繰返し回数入力欄2−8、判定係数A入力欄2−9、判定係数B入力欄2−10で入力指定された値である。
【0026】
次に、ステップ3−3で使用者の頭部を透過した透過光強度を計測し、ステップ3−4で計測された透過光強度が本発明の装置を正常に動作させるために必要な値にあるか否かの判定を行う。判定に用いる数値は事前の実験により求め、記憶装置に入力しておく。
【0027】
透過光強度が測定実行に十分な場合は、ステップ3−5で測定実行可の表示を図2に示す計測可否表示欄2−5に示し、ステップ3−7に進む。透過光強度が不足の場合は、ステップ3−6で測定実行否の表示を図2に示す計測可否表示欄2−5に示した後、ステップ3−3に進む。この場合は、光ファイバの頭部への取り付け状態を変更したのち、再度、信号強度の確認を行う。
【0028】
ステップ3−7では測定開始の指示を待ち一定時間ごとに、ステップ3−8へ移る。ステップ3−8では、指示信号が測定開始でない場合は、ステップ3−7へ戻る。指示信号が測定開始の場合は、ステップ3−9に移り所定の時間間隔で透過光強度の取り込みを行い、測定データを図1に示す記憶装置1−12に保存する。データ取り込みは、前述のように安静時のデータ取り込みとタスク実行時のデータ取り込みを行う。
【0029】
図2に示す、安静期間の時間入力欄2−6、タスク期間の時間入力欄2−7、繰返し回数入力欄2−8で指示された条件でデータの取り込みを行い、データ取り込み終了後、ステップ3−10のデータ処理に移る。データ処理の内容は後述する(図4)。データ処理後、ステップ3−11でデータ処理結果に基く処理を行う。ステップ3−11の処理内容は後述する(図5)。ステップ3−12は、データ処理結果に基く処理後の指示待ちの状態である。ここでの指示は測定を継続するか終了するかの指示である。
【0030】
測定継続指示の場合、ステップ3−12で表示した測定結果表示をステップ3−14でリセットしステップ3−7へ移る。測定終了の場合は、ステップ15へ移り測定を終了する。
【0031】
図4は、本発明の実施例の意思表示装置でのデータ処理を示すフロー図である。以下、図3に示すステップ3−10のデータ処理の内容を図4により説明する。図4に示すステップ4−0は、図3に示すステップ3−9に続くステップである。ステップ4−1では、図2に示す画面2−11のa点からb点までの安静状態でのデータ及びc点からd点までの安静状態でのデータを用いて、フィッティング関数Ffit(t)を算出する。tはデータの測定時刻である。安静状態での脳血液量は大きく変動しないので、フィッティング関数Ffit(t)として、定数、直線、2次又は3次の多項式を選ぶ。
【0032】
次のステップ4−2では、フィッティング関数Ffit(t)と時刻tに測定したデータとの差分Ds(t)を計算する。測定したデータをM(t)とする時、AD変換器1−9により時刻tiでサンプリングされ測定されたデータをM(ti)とする時、
差分Ds(ti)は(数1)により与えられる。
【0033】
【数1】
Ds(ti)=M(ti)−Ffit(ti) …(数1)
ステップ4−3では、安静期間内のDs(t)の自乗平均値Crestと、タスク実行期間内のDs(t)の自乗平均値Ctaskを、(数2)、(数3)により計算する。なお、Nrestは、a点からb点までの安静状態でのデータ及びc点からd点までの安静状態でのデータの合計のサンプリング点数、Ntaskは、b点からc点までのタスク実行期間での合計のサンプリング点数である。Σは加算記号を示し、(数2)ではNrest個についての加算、(数3)ではNtask個についての加算を示す。
【0034】
【数2】
Crest=({ΣDs(ti)}2)/Nrest …(数2)
【0035】
【数3】
Ctask=({ΣDs(ti)}2)/Ntask …(数3)
ステップ4−4では、Crestに対するCtaskの比率Rを(数4)により計算し、次のステップ3−11に移る。
【0036】
【数4】
R=Ctask/Crest …(数4)
図5は、本発明の実施例の意思表示装置に於ける脳血液量の増加の有無の判定と、判定結果の表示処理のフローを示す図である。図5を用いて、図3に示すステップ3−11の処理の内容を説明する。ここでの処理は、比率Rと図2に示す、判定係数A入力欄2−9に入力された判定係数Aの値と、判定係数B入力欄2−10に入力された判定係数Bの値とを用いて、タスク実行期間に脳血液量が増加したか否かの判定を行う。
【0037】
ステップ5−1では、R>Aが成立している場合は、タスク実行期間の脳血液量が安静期間の脳血液量より増加している判定してステップ5−2へ移る。ステップ5−2では、図2に示す、脳血液量の増加を示す欄2−16に増加を表す「はい」を表示し、次のステップ5−3で制御Yes信号を出す。この信号は、図1に示すスピーカ1−14で脳血液量の増加を表す音声を出し、同時にDAコンバータ1−15と増幅器1−16により、端子1−17へ脳血液量の増加に対応する出力信号を出す。この信号は脳血液量の増加に対応して機器を制御するための信号に利用される。その後ステップ3−12へ移る。
【0038】
ステップ5−1で、R>Aが成立しなかった場合は、ステップ5−4に進む。ステップ5−4では、R<Bが成立している場合は、タスク実行期間の脳血液量の増加がなかったと判定し、ステップ5−5に移る。ステップ5−5では、図2に示す、脳血液量の減少を示す欄2−18に血液量の増加がなかった事を示す「いいえ」を表示する。
【0039】
ステップ5−6では、制御No信号を出し、図1に示すスピカー1−14で血液量の増加のなかった事を表す音声を出す。同時にDAコンバータ1−15と増幅器1−16により、脳血液量の増加がない事に対応する出力信号を端子1−17に出す。この信号は脳血液量の増加がない事に対応して機器を制御するための信号に利用される。その後はステップ3−12へ進む。
【0040】
ステップ5−4でR<Bが成立しなかった場合は、ステップ5−7に進み図1に示す、脳血液量の増加減少の判定不能を表示する欄2−17に脳血液量の増加が判定できなかった事を示す表示「もう一度を」示す。ステップ5−8では、判定できなかった事を意味する音声を図1に示すスピーカ1−14で出し、同時に判定不能に対応する信号を端子1−17に出す。その後のステップはステップ3−12になる。
【0041】
以上は、運動野の脳機能の活動を利用した場合の意志の表示の説明であるが、言語野の脳機能の活動を利用することもできる。言語障害がある使用者でも、例えば、医師の質問に対して関連のある言語の発声を試みる努力(サイレントスピーチ)をすることにより、言語野の脳機能を活性化することができる。この結果、言語野の脳血流量が増大する。言語野の脳血流量の変化の有無を検出することにより、使用者の「はい」または「いいえ」の意志を検知できる。従って、使用者の意志表示が可能となる。
【0042】
本発明は、ALS患者のための意志表示、意志伝達のための装置、脳梗塞等による障害の機能回復のチェック等の脳機能のモニタ等に使用可能である。
【0043】
【発明の効果】
本発明の意思表示装置及び方法では、体の運動機能を利用せずに脳機能の働きによる脳血液量の変化を利用して、装置の使用者の意思表示を可能とする。脳血液量の変化には、脳機能の活動による変化のほかに、自律神経活動、人工呼吸器装着の場合は人工呼吸器の影響等、人の意思によらない変化が有り、脳血液量の変化の判定が困難な場合が有るが、本発明の装置及び方法では、これらの影響を除去した後、脳機能活動による脳血液量の変化の有無を、「有り」、「無し」、「不明」の3種類に分類する。この結果、使用者の意識的な積極的な意思(「はい」、「いいえ」、「もう一度」)の表現を検知する場合に、意思表示内容の判定の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の意思表示装置の構成例を示す図。
【図2】本発明の実施例の意思表示装置のパラメータ入力、測定データ、データ処理結果等を表示するためのユーザインタフェース画面の例を示す図。
【図3】本発明の実施例の意思表示装置の制御シーケンスを示すフロー図。
【図4】本発明の実施例の意思表示装置でのデータ処理を示すフロー図。
【図5】本発明の実施例の意思表示装置に於ける脳血液量の増加の有無の判定と、判定結果の表示処理のフロー図。
【符号の説明】
1−1…光源、1−2…電源、1−3…変調器、1−4…照射用光ファイバ、1−5…検出用光ファイバ、1−6…ファイバ保持器、1−7…光検出器、1−8…ロックインアンプ、1−9…AD変換器、1−10…データ処理装置、1−11…データ入力装置、1−12…記憶装置、1−13…表示装置、1−14…スピーカ、1−15…DA変換器、1−16…増幅器、1−17…出力用の端子、2−1…表示画面、2−2…開始ボタン、2−3…終了ボタン、2−4…信号強度欄、2−5…計測可否表示欄、2−6…安静期間の時間入力欄、2−7…タスク期間の時間入力欄、2−8…繰返し回数入力欄、2−9…判定係数A入力欄、2−10…判定係数B入力欄、2−11…信号強度表示画面欄、2−12…タスク開始を示す縦線、2−13…タスク終了を示す縦線、2−14…測定値のプロット曲線、2−15…安静状態での測定データに対するフィティング曲線、2−16…脳血液量の増加を示す欄、2−17…脳血液量の増加減少の判定不能を表示する欄、2−18…脳血液量の減少を示す欄。
Claims (6)
- 被検体頭部に光を照射する光照射手段と、
前記被検体頭部内部を透過した透過光を検出する光検出手段と、
前記光検出手段で検出された前記透過光の強度から、前記被検体頭部の血液量を演算するデータ処理装置と、
前記データ処理装置の処理結果を表示する表示手段とを有し、
前記データ処理装置は、前記光検出手段による計測データと、前記計測データの時間的な変動に対するフィッティング関数との差をDsとし、安静期間におけるDsの自乗平均値と、前記被検体の脳機能を活動させるタスク期間におけるDsの自乗平均値との比を所定の閾値と比較し、前記血液量変化の有無を判定することを特徴とする意思表示装置。 - 被検体頭部に光を照射する光照射手段と、前記被検体頭部内部を透過した透過光を検出する光検出手段と、検出された前記透過光の強度のデータを処理するデータ処理装置と、該データ処理装置の処理結果を表示する表示手段とを有し、前記データ処理装置は、安静期間に検出された前記透過光の強度と、前記被検体の意識的な脳機能活動により脳を活動させた期間であるタスク期間に検出された前記透過光の強度とを比較して、前記タスク期間での脳血液量の変化を分類し、分類結果が、前記被検体の意識として前記表示装置に表示されることを特徴とする意思表示装置。
- 請求項2に記載の意思表示装置に於いて、前記データ処理装置は、前記脳血液量の変化を3種類に分類することを特徴とする意思表示装置。
- 請求項2に記載の意思表示装置に於いて、前記分類結果を音ととして出力する手段を有することを特徴とする意思表示装置。
- 請求項2に記載の意思表示装置に於いて、前記透過光の検出開始時点、前記透過光の終了開始時点、タスク期間の開始時点、タスク期間の終了時点が、前記表示装置に表示されることを特徴とする意思表示装置。
- 請求項2に記載の意思表示装置に於いて、前記透過光の検出開始時点、前記透過光の終了開始時点、タスク期間の開始時点、タスク期間の終了時点を、音として出力する手段を有することを特徴とする意思表示装置。
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