JP4151605B2 - エンジンのノック制御装置 - Google Patents

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  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)
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Description

本発明は、エンジン(内燃機関)のノック制御装置に関する。
エンジンのノッキングで発生する6〜8kHzの振動数を検出するノックセンサをエンジン本体に設けておき、このノックセンサにより検出されるノック強度に応じて点火時期を遅角させて最適な点火時期に制御するものがある(特許文献1参照)。
特開平8−338295号公報
ところで、従来よりノッキングを避けるため、ノッキング限界点火時期、厳密にはトレースノック点を実験により求めてエンジンの負荷と回転速度をパラメータとするノック限界点火時期のマップに移し込んでいる。厳密には、環境条件(気温、気圧や湿度)、使用される燃料のオクタン価などが一定でないので、条件の調整やそれらの感度補正を行なってから、ノック限界点火時期のマップを作成しているのが現状である。
しかしながら、ノッキングに対するこうした方法では、ノック限界点火時期のマップ作成に要する適合工数や適合に要する期間が長く開発時間を長引かせることになっている。しかも、環境条件や燃料のオクタン価などの情報を全てノック限界点火時期のマップに盛り込めるものでもない。このため、ノッキングが発生しないとも限らないので、上記特許文献1のようにノックセンサを設けているわけである。
また、最近では吸気弁のバルブリフトを可変に制御し得る可変動弁機構が出現してきており、こうした可変動弁機構を有するエンジンでは、可変動弁機構に与える指令値によりより燃焼室内の燃焼状態が大きく相違する。こうしたエンジンについても、上記の方法により対処しようとすると、可変動弁機構に与える指令値によりノック限界点火時期のマップを複数用意するしかなく、そうなると、ますます開発時間を長引かせてしまう。
ところで、図29はノック発生時の燃焼室内の圧力履歴で、高周波分を取り除いた平均圧力を描いてみると、自着火時期θknkで燃焼室内の圧力が一気に上昇していることがわかる。
そこで、MBTの得られる基本点火時期を第1基本点火時期MBTCALとして算出する第1基本点火時期算出手段と、ノック限界点火時期KNOCKcalを設定するノック限界点火時期設定手段と、これら第1基本点火時期MBTCAL、ノック限界点火時期KNOCKcalのいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段とを備えるエンジンのノック制御装置において、燃焼室内の燃料が自着火にいたるまでの時間の逆数の分布を表す特性に基づいて燃焼室内の燃料が自着火する時期θknkを推定し、前記第1基本点火時期MBTCALで点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknkを算出し、この算出した自着火時期における燃焼質量割合BRknkと燃料量QINJとに基づいて未燃燃料量MUBを算出し、この未燃燃料量MUBに基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量DPを算出し、この燃焼室内のノックによる圧力上昇量DPに基づいて第1ノック強度推定値KICを算出することにより、ノック強度の検出を、センサを用いることなく行い得るようにすると共に、前記算出した第1ノック強度推定値KICがトレースノック強度(スライスレベル)以上である場合に所定のノックリタード量KNRTを算出し、前記第1基本点火時期MBTCALからこのノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期KNOCKcalとして設定することにより、ノック限界点火時期のマップ作成に要する実験の工数と時間を削減するようにしたものを提案した。
しかしながら、その後に改良すべき点が見つかった。というのも、上記のノック限界点火時期KNOCKcalで点火して燃焼させると、第1基本点火時期MBTCALで点火して燃焼させる場合とは点火時期が遅角している分だけ燃焼速度が変化する。燃焼速度が変化すれば、燃焼質量割合の特性が変化する。すなわち、ノック限界点火時期KNOCKcalで点火して燃焼させる場合と、第1基本点火時期MBTCALで点火して燃焼させる場合とでは燃焼質量割合の特性が異なってくる。ということは、ノック限界点火時期KNOCKcalで点火して燃焼させる場合には、ノック限界点火時期KNOCKcalで点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性に基づいて自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknkを算出しなければならない。このため、ノック限界点火時期KNOCKcalで点火して燃焼させる場合にも、第1基本点火時期MBTCALで点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性に基づいて自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknkを算出したのでは、自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknkの算出に誤差を生じ、ひいては第1ノック強度推定値KICの算出精度が低下してしまうのである。
そこで本発明は、第1基本点火時期より遅角側の点火時期で点火して燃焼する場合であっても、ノック強度推定値の算出に誤差が生じないようにした装置を提供することを目的とする。
本発明は、所定の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段と、ノック限界点火時期を設定するノック限界点火時期設定手段と、これら第1基本点火時期、ノック限界点火時期のいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段とを備えるエンジンのノック制御装置において、前記第1基本点火時期で点火した場合に燃焼室内の燃料が自着火する時期を推定し、この算出した自着火時期に基づいて第1ノック強度推定値を算出し、この第1ノック強度推定値とスライスレベルを比較し、この比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル未満である場合に前記第1基本点火時期をそのままノック限界点火時期として設定し、前記比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル以上である場合に所定のノックリタード量を算出し、前記第1基本点火時期よりこのノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を算出し、この燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第2基本点火時期として算出し、この第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出し、この第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致するとき前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として設定し、前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の燃焼期間として算出し、この更新後の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、この更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の燃焼期間として算出し、この更新後の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、この更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定するように構成する。
また、本発明によれば、前記第1基本点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期における燃焼質量割合を算出し、この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて第1ノック強度推定値を算出すると共に、前記燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出する。
また本発明は、燃焼ガスの層流状態での燃焼速度である層流燃焼速度を算出する層流燃焼速度算出手段と、燃焼室内の燃焼ガス体積に相当する容積を算出する燃焼ガス体積相当容積算出手段と、所定のクランク角までに前記燃焼室内で燃焼するガスの燃焼質量割合を算出する燃焼質量割合算出手段と、所定運転条件での燃焼ガスの燃焼のしやすさを示す反応確率を算出する反応確率算出手段と、これら層流燃焼速度、燃焼ガス体積相当容積、燃焼質量割合及び反応確率に基づいて燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を第1燃焼期間として算出する第1燃焼期間算出手段と、この第1燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段と、ノック限界点火時期を設定するノック限界点火時期設定手段と、これら第1基本点火時期、ノック限界点火時期のいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段とを備えるエンジンのノック制御装置において、燃焼室内の燃料が自着火にいたるまでの時間の逆数の分布を表す特性に基づいて燃焼室内の燃料が自着火する時期を推定し、前記基本点火時期で点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期における燃焼質量割合を算出し、この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて未燃燃料量または未燃燃料割合を算出し、この未燃燃料量または未燃燃料割合に基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量を算出し、この燃焼室内のノックによる圧力上昇量に基づいて第1ノック強度推定値を算出し、この第1ノック強度推定値とスライスレベルを比較し、この比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル未満である場合に前記第1基本点火時期をそのままノック限界点火時期として設定し、前記比較結果よりノック強度推定値がスライスレベル以上である場合に所定のノックリタード量を算出し、前記第1基本点火時期MBTCALよりこのノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を第2燃焼期間として算出し、この第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第2基本点火時期として算出し、前記第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度推定値を第2ノック強度推定値として算出し、この第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致するとき前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期を前記ノック限界点火時期として設定し、前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定するように構成する。
本発明によれば、所定の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段と、ノック限界点火時期を設定するノック限界点火時期設定手段と、これら第1基本点火時期、ノック限界点火時期のいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段とを備えるエンジンのノック制御装置において、前記第1基本点火時期で点火した場合に燃焼室内の燃料が自着火する時期を推定し、この算出した自着火時期に基づいて第1ノック強度推定値を算出し、この第1ノック強度推定値とスライスレベルを比較し、この比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル未満である場合に前記第1基本点火時期をそのままノック限界点火時期として設定し、前記比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル以上である場合に所定のノックリタード量を算出し、前記第1基本点火時期よりこのノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を算出し、この燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第2基本点火時期として算出し、この第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出し、この第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致するとき前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として設定し、前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の燃焼期間として算出し、この更新後の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、この更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の燃焼期間として算出し、この更新後の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、この更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定するので、第2基本点火時期よりノックリタード量だけ遅角させた点火時期で燃焼させる場合であっても、第2ノック強度推定値を精度よく算出できる(ノック強度の推定が正確なものになる)。
また、本発明によれば、前記第1基本点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期における燃焼質量割合を算出し、この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて第1ノック強度推定値を算出すると共に、前記燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出するので、再設定後の燃焼質量割合の特性が、第2基本点火時期よりノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼させる場合の実際の燃焼質量割合の特性と合致することになる。
また本発明によれば、燃焼ガスの層流状態での燃焼速度である層流燃焼速度を算出する層流燃焼速度算出手段と、燃焼室内の燃焼ガス体積に相当する容積を算出する燃焼ガス体積相当容積算出手段と、所定のクランク角までに前記燃焼室内で燃焼するガスの燃焼質量割合を算出する燃焼質量割合算出手段と、所定運転条件での燃焼ガスの燃焼のしやすさを示す反応確率を算出する反応確率算出手段と、これら層流燃焼速度、燃焼ガス体積相当容積、燃焼質量割合及び反応確率に基づいて燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を第1燃焼期間として算出する第1燃焼期間算出手段と、この第1燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段と、ノック限界点火時期を設定するノック限界点火時期設定手段と、これら第1基本点火時期、ノック限界点火時期のいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段とを備えるエンジンのノック制御装置において、燃焼室内の燃料が自着火にいたるまでの時間の逆数の分布を表す特性に基づいて燃焼室内の燃料が自着火する時期を推定し、第1基本点火時期で点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性に基づいて自着火時期における燃焼質量割合を算出し、この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて未燃燃料量を算出し、この未燃燃料量に基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量を算出し、この燃焼室内のノックによる圧力上昇量に基づいて第1ノック強度推定値を算出し、この第1ノック強度推定値とスライスレベル(トレースノック強度を比較し、この比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル未満である場合に前記第1基本点火時期をそのままノック限界点火時期として設定し、前記比較結果よりノック強度推定値がスライスレベル以上である場合に所定のノックリタード量を算出し、前記第1基本点火時期よりこのノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定したときの燃焼期間を第2燃焼期間として算出し、この第2燃焼期間に基づいて得られる第2基本点火時期を算出し、前記第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期よりノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定したときのノック強度推定値を第2ノック強度推定値として算出し、この第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致するとき前記第2基本点火時期よりノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として設定し、前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、前記算出したノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定し、前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、ノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、ノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較することを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定するので、再設定後の燃焼質量割合の特性が第2基本点火時期よりノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼させる場合の実際の燃焼質量割合の特性と合致することになり、第2基本点火時期よりノックリタード量だけ遅角させた点火時期で燃焼させる場合であっても、第2ノック強度推定値を精度よく算出できる(ノック強度の推定が正確なものになる)。
以下、図面に基づき本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明のシステムを説明するための概略図である。
空気は吸気コレクタ2に蓄えられた後、吸気マニホールド3を介して各気筒の燃焼室5に導入される。燃料(ガソリン)は各気筒の吸気ポート4に配置された燃料インジェクタ21より噴射供給される。空気中に噴射された燃料は気化しつつ空気と混合してガス(混合気)を作り、燃焼室5に流入する。この混合気は吸気弁15が閉じることで燃焼室5内に閉じこめられ、ピストン6の上昇によって圧縮される。
この圧縮混合気に対して高圧火花により点火を行うため、パワートランジスタ内蔵の点火コイルを各気筒に配した電子配電システムの点火装置11を備える。すなわち、点火装置11は、バッテリからの電気エネルギーを蓄える点火コイル13と、点火コイル13の一次側への通電、遮断を行うパワートランジスタと、燃焼室5の天井に設けられ点火コイル13の一次電流の遮断によって点火コイル13の二次側に発生する高電圧を受けて、火花放電を行う点火プラグ14とからなっている。
圧縮上死点より少し手前で点火プラグ14により火花が飛ばされ圧縮混合気に着火されると、火炎が広がりやがて爆発的に燃焼し、この燃焼によるガス圧がピストン6を押し下げる仕事を行う。この仕事はクランクシャフト7の回転力として取り出される。燃焼後のガス(排気)は排気弁16が開いたとき排気通路8へと排出される。
排気通路8には三元触媒9を備える。三元触媒9は排気の空燃比が理論空燃比を中心とした狭い範囲(ウインドウ)にあるとき、排気に含まれるHC、CO、NOxといった有害三成分を同時に効率よく除去できる。空燃比は吸入空気量と燃料量の比であるので、エンジンの1サイクル(4サイクルエンジンではクランク角で720°区間)当たりに燃焼室5に導入される吸入空気量と、燃料インジェクタ21からの燃料噴射量との比が理論空燃比となるように、エンジンコントローラ31ではエアフローメータ32からの吸入空気流量の信号とクランク角センサ(33、34)からの信号に基づいて燃料インジェクタ21からの燃料噴射量を定めると共に、三元触媒9の上流に設けたO2センサ35からの信号に基づいて空燃比をフィードバック制御している。
吸気コレクタ2の上流には絞り弁23がスロットルモータ24により駆動される、いわゆる電子制御スロットル22を備える。運転者が要求するトルクはアクセルペダル41の踏み込み量(アクセル開度)に現れるので、エンジンコントローラ31ではアクセルセンサ42からの信号に基づいて目標トルクを定め、この目標トルクを実現するための目標空気量を定め、この目標空気量が得られるようにスロットルモータ24を介して絞り弁23の開度を制御する。
吸気弁用カムシャフト25、排気弁用カムシャフト26及びクランクシャフト7の各前部にはそれぞれカムスプロケット、クランクスプロケットが取り付けられ、これらスプロケットにタイミングチェーン(図示しない)を掛け回すことで、カムシャフト25、26がエンジンのクランクシャフト7により駆動されるのであるが、このカムスプロケットと吸気弁用カムシャフト25との間に介在して、作動角一定のまま吸気弁用カムの位相を連続的に制御し得る可変吸気バルブタイミングコントロール機構(以下、「吸気VTC機構」という。)27と、カムスプロケットと排気弁用カムシャフト26との間に介在して、作動角一定のまま排気弁用カムの位相を連続的に制御し得る可変排気バルブタイミングコントロール機構(以下、「排気VTC機構」という。)28とを備える。吸気弁15の開閉時期や排気弁16の開閉時期を変えると燃焼室5に残留する不活性ガスの量が変化する。燃焼室5内の不活性ガスの量が増えるほどポンピングロスが減って燃費がよくなるので、運転条件によりどのくらいの不活性ガスが燃焼室5内に残留したらよいかを目標吸気弁閉時期や目標排気弁閉時期にして予め定めており、エンジンコントローラ31ではそのときの運転条件(エンジンの負荷と回転速度)より目標吸気弁閉時期と目標排気弁閉時期を定め、それら目標値が得られるように吸気VTC機構27、排気VTC機構28の各アクチュエータを介して吸気弁閉時期と排気弁閉時期を制御する。
吸気温度センサ43からの吸気温度の信号、吸気圧力センサ44からの吸気圧力の信号、排気温度センサ45からの排気温度の信号、排気圧力センサ46からの排気圧力の信号が、水温センサ37からの冷却水温の信号と共に入力されるエンジンコントローラ31では、パワートランジスタ13を介して点火プラグ14の一次側電流の遮断時期である点火時期を制御する。
この場合に、ノックが生じていないときの点火時期は運転条件に応じた基本点火時期MBTCALであるが、エンジンの高負荷低回転速度域などでは燃焼室5内にノックが生じることがあり、ノックが生じるとエンジンの耐久性が低下するので、エンジンコントローラ31では点火時期制御によりノック制御を行う。
図2は点火時期制御の全体の流れを示すフローである。このフローは一定時間毎に実行するフローではなく操作の流れを示している。
ステップ1、2では基本点火時期MBTCAL[degBTDC]、ノック限界点火時期KNOCKcal[degBTDC]をそれぞれ算出する。
ここでは、基本点火時期MBTCALの算出を先に説明する。まず、燃焼解析に基づく点火時期制御を概説する(基本的な考え方は特開2003−148236公報に記載されている)。
図3に示すようにMBT(最大トルクの得られる最小進角値)で混合気に点火した場合に混合気の燃焼圧力が最大値Pmaxとなるクランク角を基準クランク角θPMAX[degATDC]とする。基準クランク角θPMAXは燃焼方式によらずほぼ一定であり、一般に圧縮上死点後12〜15度、最大で圧縮上死点後10〜20度の範囲にある。
図4に火花点火エンジンにおける燃焼室内の燃焼解析により得られた燃焼質量割合BR(燃焼ガス質量割合)の変化を示す。燃焼室に供給された燃料に対する燃焼質量の比率を表す燃焼質量割合BRは、点火時に0%であり、完全燃焼によって100%に達する。基準クランク角θPMAXにおける燃焼質量割合は一定で約60%であることが実験により確かめられている。
燃焼質量割合BRが0%から基準クランク角θPMAX相当の約60%に達するまでの変化代に相当する燃焼期間は、燃焼開始直後で燃焼質量割合にも燃焼圧力にもほとんど変化のない期間である初期燃焼期間と、燃焼質量割合と燃焼圧力が急激に増加する主燃焼期間とに分けられる。初期燃焼期間は、燃焼開始から火炎核が形成されるまでの段階であり、火炎核が形成されるのは燃焼質量割合が0%から2%〜10%まで変化したときである。この初期燃焼期間中は、燃焼圧力や燃焼温度の上昇速度が小さく、燃焼質量割合の変化に対して初期燃焼期間は長い。初期燃焼期間の長さは燃焼室内の温度や圧力の変化の影響を受けやすい。
一方、主燃焼期間においては、火炎核から外側へと火炎が伝播するのであり、その火炎速度(つまり燃焼速度)が急上昇する。そのため、主燃焼期間の燃焼質量割合の変化は初期燃焼期間の燃焼質量割合の変化に比べて大きい。
エンジンコントローラ31では、燃焼質量割合が2%に達する(変化する)までを初期燃焼期間BURN1[deg]とし、初期燃焼期間BURN1の終了後、基準クランク角θPMAXに至るまでの区間(燃焼室量割合でいえば2%より約60%に達するまでの間)を主燃焼期間BURN2[deg]として区別する。そして、初期燃焼期間BURN1に主燃焼期間BURN2を加えた合計である燃焼期間BURN[deg]を算出し、この燃焼期間BURNから基準クランク角θPMAX[degATDC]を差し引き、さらに後述する点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD[deg]を加えたクランク角位置を、MBTの得られる点火時期である基本点火時期MBTCAL[degBTDC]として設定する。
火炎核の形成される初期燃焼期間での燃焼室5内の圧力、温度は、点火時の圧力、温度とほぼ等価になるが、これから点火時期を算出しようとしているのに、最初から正確な点火時期を設定することはできない。そこで、図13に示したように基本点火時期の前回値を前回燃焼開始時期MBTCYCL[degBTDC]として算出し(ステップ44)、この値を図10に示したように初期燃焼期間の算出に用いるようにし(ステップ162)、初期燃焼期間の算出をサイクリックに繰り返すことで、精度の高い結果を時間遅れなしに出すようにしている。
次に、エンジンコントローラ31で実行される基本点火時期MBTCALの算出を以下のフローチャートを参照しながら詳述する。
図5は点火時期の算出に必要な各種の物理量を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。
まずステップ11では、吸気弁閉時期IVC[degBTDC]、温度センサ43により検出されるコレクタ内温度TCOL[K]、圧力センサ44により検出されるコレクタ内圧力PCOL[Pa]、温度センサ45により検出される排気温度TEXH[K]、内部不活性ガス率MRESFR[%]、温度センサ37により検出される冷却水温TWK[K]、目標当量比TFBYA、クランク角センサにより検出されるエンジン回転速度NRPM[rpm]を読み込む。
ここで、クランク角センサはクランクシャフト7のポジションを検出するポジションセンサ33と、吸気用カムシャフト25のポジションを検出するフェーズセンサ34とからなり、これら2つのセンサ33、34からの信号に基づいてエンジン回転速度NRPM[rpm]が算出されている。
吸気弁閉時期IVCは吸気VTC機構27に与える指令値から既知である。あるいはフェーズセンサ34により実際の吸気弁閉時期を検出してもかまわない。
内部不活性ガス率MRESFRは燃焼室内に残留する不活性ガス量を燃焼室内の総ガス量で除した値で、その算出については後述する。点火無駄時間DEADTIMEは一定値である。
目標当量比TFBYAは図示しない燃料噴射量の算出フローにおいて算出されている。目標当量比TFBYAは無名数であり、理論空燃比を14.7とすると、次式により表される値である。
TFBYA=14.7/目標空燃比 …(1)
例えば(1)式より目標空燃比が理論空燃比のときTFBYA=1.0となり、目標空燃比が例えば22.0といったリーン側の値であるとき、TFBYAは1.0未満の正の値である。
ステップ12では、燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける容積(つまり圧縮開始時期での容積)VIVC[m3]を算出する。燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCは、ピストン6のストローク位置によって決まる。ピストン6のストローク位置はエンジンのクランク角位置によって決まる。
図6を参照して、エンジンのクランクシャフト71の回転中心72がシリンダの中心軸73からオフセットしている場合を考える。コネクティングロッド74、コネクティングロッド74とクランクシャフト71との結節点75、コネクティングロッド74とピストンをつなぐピストンピン76が図に示す関係にあるとする。このときの、燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCは次式(2)〜(6)で表すことができる。
VIVC=f1(θivc)=Vc+(π/4)D2・Hivc …(2)
Vc=(π/4)D2・Hx/(ε−1) …(3)
Hivc={(CND+ST2/2)−(CRoff−PISoff)21/2
−{(ST/2)・cos(θivc+θoff)}
+(CND2−X21/2 …(4)
X =(ST/2)・sin(θivc+θoff)−CRoff+PISoff …(5)
θoff=arcsin{(CRoff−PISoff)/(CND・(ST/2))}…(6)
ただし、Vc :隙間容積[m3]、
ε :圧縮比、
D :シリンダボア径[m]、
ST :ピストンの全ストローク[m]、
Hivc :吸気弁閉時期におけるピストンピン76の
TDCからの距離[m]、
Hx :ピストンピン76のTDCからの距離の最大値と最小値の
差[m]、
CND :コネクティングロッド74の長さ[m]、
CRoff :結節点75のシリンダ中心軸73からのオフセット距離
[m]、
PISoff:クランクシャフト回転中心72のシリンダ中心軸73から
のオフセット距離[m]、
θivc :吸気弁閉時期のクランク角[degATDC]、
θoff :ピストンピン76とクランクシャフト回転中心72とを結
ぶ線がTDCにおいて垂直線となす角度[deg]、
X :結節点75とピストンピン76との水平距離[m]、
吸気弁閉時期のクランク角θivcは前述のように、エンジンコントローラ31から吸気VTC機構27への指令信号によって決まるので、既知である。式(2)〜(6)にこのときのクランク角θivc(=IVC)を代入すれば、燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCを算出することができる。したがって、実用上は燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCは吸気弁閉時期IVCをパラメータとするテーブルで設定したものを用いる。吸気VTC機構27を備えないときには定数で与えることができる。
ステップ13では、燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける温度(つまり圧縮開始時期温度)TINI[K]を算出する。燃焼室5に流入するガスの温度は、燃焼室5に流入する新気と燃焼室5に残留する不活性ガスとが混じったガスの温度であり、燃焼室5に流入する新気の温度は吸気コレクタ2内の新気温度TCOLに等しく、また燃焼室5内に残留する不活性ガスの温度は排気ポート部近傍の排気温度TEXHで近似できるので、燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける温度TINIは吸気弁閉時期IVCになったタイミングでの、吸気コレクタ2内の新気温度TCOL、排気温度TEXH、燃焼室5内に残留する不活性ガスの割合である内部不活性ガス率MRESFRから次式により求めることができる。
TINI=TEXH×MRESFR+TCOL×(1−MRESFR)…(7)
ステップ14では燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける圧力(つまり圧縮開始時期圧力)PINI[Pa]を算出する。すなわち、吸気弁閉時期IVCになったタイミングでのコレクタ内圧力PCOLを吸気弁閉時期IVCにおける圧力PINIとして取り込む。
ステップ15では、燃焼室5内の混合気の燃えやすさを表す反応確率RPROBA[%]を算出する。反応確率RPROBAは無次元の値であり、残留不活性ガス率MRESFR、冷却水温TWK[K]、目標当量比TFBYAの3つのパラメータに依存するので、次式により表すことができる。
RPROBA=f3(MRESFR、TWK、TFBYA) …(8)
具体的に説明すると、MRESFR、TWK、TFBYAの3つのパラメータの組み合わせによって得られる反応確率の最大値を100%とし、これらのパラメータと反応確率RPROBAの関係を実験的に求め、求めた反応確率RPROBAをパラメータに応じたテーブルとしてエンジンコントローラ31のメモリに予め格納しておく。ステップ14ではパラメータに応じてこのテーブルを検索することにより反応確率RPROBAを求める。
具体的には、冷却水温TWKに応じて図7に示すような特性を有する水温補正係数のテーブルと、同様に設定された内部不活性ガス率補正係数のテーブル(図示しない)と、目標当量比TFBYAに応じて図8に示すような特性を有する当量比補正係数のテーブルを予めメモリに格納しておく。各補正係数の最大値はそれぞれ1.0であり、3種類の補正係数の積に反応確率の最大値100%を掛け合わせることで、反応確率RPROBAを算出する。
各テーブルを説明すると、図7に示す水温補正係数は冷却水温TWKが高いほど大きく、冷却水温TWKが80℃以上では1.0になる。図8に示す当量比補正係数は目標当量比TFBYAが1.0のとき、つまり理論空燃比のときに最大値の1.0となり、目標当量比が1.0より大きくても小さくても当量比補正係数は減少する。内部不活性ガス率補正係数は図示しないが、内部不活性ガス率MRESFRがゼロの場合に1.0となる。
ステップ15では、基準クランク角θPMAX[degATDC]を算出する。前述のように基準クランク角θPMAXはあまり変動しないが、それでもエンジン回転速度NRPMの上昇に応じて進角する傾向があるため、基準クランク角θPMAXはエンジン回転速度NRPMの関数として次式で表すことができる。
θPMAX=f4(NRPM) …(9)
具体的にはエンジン回転速度NRPMから、エンジンコントローラ31のメモリに予め格納された図9に示す特性のテーブルを検索することにより基準クランク角θPMAXを求める。算出を容易にするために、基準クランク角θPMAXを一定とみなすことも可能である。
図10は初期燃焼期間BURN1[deg]を算出するためのもの、また図12は主燃焼期間BURN2[deg]を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。図10、図12は図5に続けて実行する。
図10、図12はどちらを先に実行してもかまわない。
まず図10から説明すると、ステップ161では、前回燃焼開始時期MBTCYCL[degBTDC]、図5のステップ12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVC[m3]、図5のステップ13で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINI[K]、図5のステップ14で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における圧力PINI[Pa]、エンジン回転速度NRPM[rpm]、図5のステップ15で算出されている反応確率RPROBA[%]を読み込む。
ここで、前回燃焼開始時期MBTCYCLは、基本点火時期MBTCALの[degBTDC]の1サイクル前の値であり、その算出については図13により後述する。
ステップ162では燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0[m3]を算出する。前述したように、ここでの点火時期(燃焼開始時期)は今回のサイクルで演算する基本点火時期MBTCALではなく基本点火時期の1サイクル前の値である。すなわち、基本点火時期の1サイクル前の値であるMBTCYCLから次式により燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0を算出する。
V0=f6(MBTCYCL) …(11)
具体的には前回燃焼開始時期MBTCYCLにおけるピストン6のストローク位置と、燃焼室5のボア径から、燃焼室5のMBTCYCLにおける容積V0を算出する。図5のステップ12では、燃焼室5の吸気弁閉時期IVCにおける容積VIVCを、吸気弁閉時期をパラメータとする吸気弁閉時期容積のテーブルを検索することにより求めたが、ここではMBTCYCLをパラメータとする前回燃焼開始時期容積のテーブルを検索することにより、燃焼室5の前回燃焼開始時期MBTCYCLにおける容積V0を求めればよい。
ステップ163では燃焼開始時期における有効圧縮比Ecを算出する。有効圧縮比Ecは無次元の値であり、次式に示すように燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0を燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCで除した値である。
Ec=f7(V0、VIVC)
=V0/VIVC …(12)
ステップ164では吸気弁閉時期IVCから燃焼開始時期に至る間の燃焼室5内の温度上昇率TCOMPを次式に示すように有効圧縮比Ecに基づいて算出する。
TCOMP=f8(Ec)=Ec^(κ−1) …(13)
ただし、κ:比熱比、
(13)式は断熱圧縮されるガスの温度上昇率の式である。なお、(13)式右辺の「^」は累乗計算を表している。この記号は後述する式でも使用する。
κは断熱圧縮されるガスの定圧比熱を定容比熱で除した値で、断熱圧縮されるガスが空気であればκ=1.4であり、簡単にはこの値を用いればよい。ただし、混合気に対してκの値を実験的に求めることで、一層の算出精度の向上が可能である。
図11は(13)式を図示したものである。従って、このような特性のテーブルを予めエンジンコントローラ31のメモリに格納しておき、有効圧縮比Ecに基づき当該テーブルを検索することにより温度上昇率TCOMPを求めることも可能である。
ステップ165では、燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0[K]を、燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINIに温度上昇率TCOMPを乗じることで、つまり
T0=TINI×TCOMP …(14)
の式により算出する。
ステップ166、167はステップ164、165と同様である。すなわち、ステップ166では吸気弁閉時期IVCから燃焼開始時期に至る間の燃焼室5内の圧力上昇率PCOMPを次式に示すように有効圧縮比Ecに基づいて算出する。
PCOMP=f9(Ec)=Ec^κ…(41)
ただし、κ:比熱比、
(41)式も(13)式と同じに断熱圧縮されるガスの圧力上昇率の式である。(41)式右辺の「^」も(13)式と同じに累乗計算を表している。
κは上記(13)式で用いている値と同じで、断熱圧縮されるガスが空気であればκ=1.4であり、簡単にはこの値を用いればよい。ただし、混合気に対してその組成、温度からκの値を求めることで、一層の算出精度の向上が可能である。
図11と同様の特性のテーブルを予めエンジンコントローラ31のメモリに格納しておき、有効圧縮比Ecに基づき当該テーブルを検索することにより圧力上昇率PCOMPを求めることも可能である。
ステップ167では、燃焼室5の燃焼開始時期における圧力P0[Pa]を、燃焼室5の吸気弁閉時期における圧力PINIに圧力上昇率PCOMPを乗じることで、つまり
P0=PINI×PCOMP …(42)
の式により算出する。
ステップ168では、初期燃焼期間における層流燃焼速度SL1[m/sec]を次式(公知)により算出する。
SL1=f10(T0、P0)
=SLstd×(T0/Tstd)2.18×(P0/Pstd)-0.16 …(15)
ただし、Tstd :基準温度[K]、
Pstd :基準圧力[Pa]、
SLstd:基準温度Tstdと基準圧力Pstdにおける基準層流燃焼
速度[m/sec]、
T0 :燃焼室5の燃焼開始時期における温度[K]、
P0 :燃焼室5の燃焼開始時期における圧力[Pa]、
層流燃焼速度(層流火炎速度)は気体の流れがない状態での火炎の伝播速度のことであり、燃焼室5内の圧縮速度、燃焼室5内の吸気流速に因らず、燃焼室5の温度及び圧力の関数となることが知られていることから、初期燃焼期間における層流燃焼速度を燃焼開始時温度T0と燃焼開始時圧力P0の関数として、また後述するように主燃焼期における層流燃焼速度を圧縮上死点温度TTDCと圧縮上死点圧力PTDCの関数としている。これは、層流燃焼速度は一般的に、エンジン負荷、燃焼室5内の不活性ガス率、吸気弁閉時期、比熱比、吸気温度により変化するのであるが、これらは燃焼室5内の温度Tと圧力Pに影響する因子であるので、層流燃焼速度は最終的に燃焼室5内の温度Tと圧力Pにより規定できるとするものである。
上記の(15)式において基準温度Tstdと基準圧力Pstdと基準層流燃焼速度SLstdは実験により予め定められる値である。
燃焼室5の通常の圧力である2bar以上の圧力下では、(15)式の圧力項(P0/Pstd)-0.16は小さな値となる。従って、圧力項(P0/Pstd)-0.16を一定値として、基準層流燃焼速度SLstdを基準温度Tstdのみで規定することも可能である。
従って、基準温度Tstdが550[K]で、基準層流燃焼速度SLstdが1.0[m/sec]で、圧力項が0.7である場合の燃焼開始時期における温度T0と層流燃焼速度SL1との関係は近似的に次式で定義することができる。
SL1=f11(T0)
=1.0×0.7×(T0/550)2.18 …(16)
ステップ169では、初期燃焼期間におけるガス流動の乱れ強さST1を算出する。このガス流動の乱れ強さST1は無次元の値であり、燃焼室5に流入する新気の流速と燃料インジェクタ21の噴射燃料のペネトレーションとに依存する。
燃焼室5に流入する新気の流速は、吸気通路の形状と、吸気弁15の作動状態と、吸気弁15を設ける吸気ポート4の形状に依存する。噴射燃料のペネトレーションは燃料インジェクタ21の噴射圧力と、燃料噴射期間と、燃焼噴射タイミングに依存する。
最終的に、初期燃焼期間におけるガス流動の乱れ強さST1は、エンジン回転速度NRPMの関数として次式で表すことができる。
ST1=f12(NRPM)=C1×NRPM …(17)
ただし、C1:定数、
乱れ強さST1を回転速度NRPMをパラメータとするテーブルから求めることも可能である。
ステップ170では層流燃焼速度S1と乱れ強さST1から、初期燃焼期間におけるガスの燃焼速度FLAME1[m/sec]を次式により算出する。
FLAME1=SL1×ST1 …(18)
燃焼室5内にガス乱れがあるとガスの燃焼速度が変化する。(18)式はこのガス乱れに伴う燃焼速度への寄与(影響)を考慮したものである。
ステップ171では、次式により初期燃焼期間BURN1[deg]を算出する。
BURN1={(NRPM×6)×BR1×V0}
/(RPROBA×AF1×FLAME1) …(19)
ただし、AF1 :火炎核の反応面積(固定値)[m2]、
この(19)式および後述する(22)式は、燃焼ガス質量を燃焼速度で割ると燃焼期間が得られるとする次の基本式より導いたものであるが、(19)、(22)式右辺の分子、分母ががただちに燃焼ガス質量、燃焼速度を表すものではない。
燃焼期間[sec]=シリンダ内総質量[g]/(未燃ガス密度[g/m3
×火炎表面積[m2]×火炎速度[m/sec])
…(補1)
(補1)式右辺分母の未燃ガス密度は、未燃ガス質量[g]を未燃ガス体積[m3]で割った値であるので、従来装置のように質量に相当する充填効率ITACのみの関数では未燃ガス密度を正確に計算できているとはいえない。そこで、(補1)式に対して実験結果とを照らし合わせつつ所定の近似を導入して初めて得られたのが上記(19)式及び後述する(22)式に示す実験式である。
ここで、(19)式右辺のBR1は燃焼開始時期より初期燃焼期間BURN1の終了時期までの燃焼質量割合の変化代であり、ここではBR1=2%に設定している。(19)式右辺の(NRPM×6)は単位をrpmからクランク角(deg)に変換するための処理である。火炎核の反応面積AF1は実験的に設定される。
また、初期燃焼期間中はほぼ燃焼室容積は変わらないとみなすことができる。従って、初期燃焼期間BURN1を算出するに際して最初の燃焼室容積である燃焼開始時の燃焼室容積V0を採用している。
次に図12のフローに移ると、ステップ181では図10のステップ161と同様に、図5のステップ12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVC[m3]、図5のステップ13で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINI[K]、図5のステップ14で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における圧力PINI[Pa]、エンジン回転速度NRPM[rpm]、図5のステップ15で算出されている反応確率RPROBA[%]を読み込み、さらにシリンダ新気量MACYL[g]、目標当量比TFBYA、内部不活性ガス量MRES[g]、外部不活性ガス量MEGR[g]を読み込む。
ここで、図1には外部EGR装置は示していないが、図12に関する限り外部EGR装置を備えているエンジンを前提として説明する。この場合に、外部不活性ガス量MEGRは例えば公知の手法(特開平10−141150号公報参照)を用いて算出すればよい。なお、図1に示す本実施形態のように外部EGR装置を備えていないエンジンを対象とするときには外部不活性ガス量MEGR=0で扱えば足りる。シリンダ新気量MACYL、内部不活性ガス量MRESの算出については図14以降で後述する。
ステップ182、183は図10のステップ163、164と同様である。すなわち、ステップ182で圧縮上死点における有効圧縮比Ec 2を算出する。有効圧縮比Ec 2も上記(12)式の有効圧縮比Ecと同様に無次元の値であり、次式に示すように燃焼室5の圧縮上死点における容積VTDCを燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVCで除した値である。
Ec 2=f13(VTDC、VIVC)=VTDC/VIVC
…(43)
(43)式において燃焼室5の圧縮上死点における容積VTDCは運転条件によらず一定であり、予めエンジンコントローラ31のメモリに格納しておけばよい。
ステップ183では吸気弁閉時期IVCから圧縮上死点に至る間の燃焼室5内の断熱圧縮による温度上昇率TCOMP 2を次式に示すように有効圧縮比Ec 2に基づいて算出する。
TCOMP 2=f14(Ec 2)
=Ec 2^(κ−1)…(44)
ただし、κ:比熱比、
図11と同様の特性のテーブルを予めエンジンコントローラ31のメモリに格納しておき、有効圧縮比Ec 2から当該テーブルを検索することにより温度上昇率TCOMP 2を求めることも可能である。
ステップ184ではシリンダ新気量MACYL、目標当量比TFBYA、内部不活性ガス量MRES、外部不活性ガス量MEGRから次式により燃焼室5の総ガス質量MGAS[g]を算出する。
MGAS=MACYL×(1+TFBYA/14.7)+MRES+MEGR
…(45)
(45)式右辺の括弧内の「1」は新気分、「TFBYA/14.7」は燃料分である。
ステップ185ではこの燃焼室5の総ガス質量MGASと、シリンダ新気量MACYL、目標当量比TFBYAを用い、次式により混合気の燃焼による温度上昇量(燃焼上昇温度)TBURN[K]を算出する。
TBURN={MACYL×(TFBYA/14.7)×BRk×Q}
/(Cv×MGAS)…(46)
ただし、Q :燃料の定発熱量、
BRk:シリンダ内燃料の燃焼質量割合、
Cv :定積比熱、
(46)式右辺の分子はシリンダ内燃料による発生総熱量[J]、分母は単位発生熱量当たりの温度上昇率[J/K]を意味している。すなわち、(46)式は熱力学の公式に当てはめた近似式である。
ここで、シリンダ内燃料の燃焼質量割合BRkとしては予め実験等で適合しておく。簡易的には例えば60%/2=30%を設定する。これは、本実施形態では燃焼質量割合BRが約60%に達するまでを燃焼期間として扱うので、そのちょうど中間の30%をBRkとして設定するものである。
燃料の定発熱量Qは燃料の種類により異なる値であるので、燃料の種類に応じ予め実験等で求めておく。定積比熱Cvは2〜3の値であり予め実験等で代表値を適合しておく。ただし、混合気に対してその組成、温度から定積比熱Cvの値を求めることで、一層の算出精度の向上が可能である。
ステップ186では、燃焼室5の圧縮上死点における温度TTDC[K]を、燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINIに圧縮上死点までの温度上昇率TCOMP 2を乗じその乗算値に上記の燃焼上昇温度TBURNを加算することで、つまり次式により算出する。
TTDC=TINI×TCOMP 2+TBURN
…(47)
ステップ187では、この燃焼室5の圧縮上死点における温度TTDCと容積VTDC及び燃焼室5の吸気弁閉時期における圧力PINI、容積VIVC及び温度TINIから次式により燃焼室5の圧縮上死点における圧力PTDC[K]を算出する。
PTDC=PINI×VIVC×TTDC/(VTDC×TINI)
…(48)
(48)式は状態方程式を用いて得たものである。すなわち、吸気弁閉時期における圧力、容積及び温度(PINI、VIVC、TINI)を用いて次の状態方程式が成立する。
PINI×VIVC=n・R・TINI…(補2)
ただし、n:モル数、
R:ガス定数、
圧縮上死点近傍では容積はほぼ等しいので、圧縮上死点での圧力、容積及び温度(PTDC、VTDC、TTDC)を用いて次の状態方程式が成立する。
PTDC×VTDC=n・R・TTDC…(補3)
この(補3)式と上記(補2)との両式からn・Rを消去しPTDCについて解くと、上記(48)式が得られる。
ステップ188では図10のステップ168と同様にして、次式(公知)により、主燃焼期間における層流燃焼速度SL2[m/sec]を算出する。
SL2=f15(TTDC、PTDC)
=SLstd×(TTDC/Tstd)2.18×(PTDC/Pstd)-0.16
…(49)
ただし、Tstd :基準温度[K]、
Pstd :基準圧力[Pa]、
SLstd:基準温度Tstdと基準圧力Pstdにおける基準層流燃焼速度
[m/sec]、
TTDC:燃焼室5の圧縮上死点における温度[K]、
PTDC:燃焼室5の圧縮上死点における圧力[Pa]、
(49)式の解説は上記(16)式と同様ある。すなわち、(49)式の基準温度Tstdと基準圧力Pstdと基準層流燃焼速度SLstdは実験により予め定められる値である。燃焼室5の通常の圧力である2bar以上の圧力下では、(49)式の圧力項(PTDC/Pstd)-0.16は小さな値となる。従って、圧力項(PTDC/Pstd)-0.16を一定値として、基準層流燃焼速度SLstdを基準温度Tstdのみで規定することも可能である。よって、基準温度Tstdが550[K]で、基準層流燃焼速度SLstdが1.0[m/sec]で、圧力項が0.7である場合の圧縮上死点における温度TTDCと層流燃焼速度SL2との関係は近似的に次式で定義することができる。
SL2=f16(TTDC)
=1.0×0.7×(TTDC/550)2.18
…(50)
ステップ189では主燃焼期間におけるガス流動の乱れ強さST2を算出する。このガス流動の乱れ強さST2も初期燃焼期間におけるガス流動の乱れ強さST1と同様に、エンジン回転速度NRPMの関数として次式で表すことができる。
ST2=f17(NRPM)=C2×NRPM …(20)
ただし、C2:定数、
乱れ強さST2を回転速度をパラメータとするテーブルから求めることも可能である。
ステップ190では、層流燃焼速度SL2[m/sec]と主燃焼期間におけるガス流動の乱れ強さST2とから、主燃焼期間における燃焼速度FLAME2[m/sec]を次式により算出する。
FLAME2=SL2×ST2 …(21)
ただし、SL2:層流燃焼速度[m/sec]、
(21)式は(18)式と同様、ガス乱れに伴う燃焼速度への寄与を考慮したものである。
ステップ191では、主燃焼期間BURN2[deg]を(19)式に類似した次式で算出する。
BURN2={(NRPM×6)×(BR2×VTDC)}
/(RPROBA×AF2×FLAME2) …(22)
ただし、AF2:火炎核の反応面積[m2]、
ここで、(22)式右辺のBR2は主燃焼期間の開始時期より終了時期までの燃焼質量割合の変化代である。初期燃焼期間の終了時期に燃焼質量割合BRが2%になり、その後、主燃焼期間が開始し、燃焼質量割合BRが60%に達して主燃焼期間が終了すると考えているので、BR2=60%−2%=58%を設定している。AF2は火炎核の成長行程における平均の反応面積であり、(19)式のAF1と同様に、予め実験的に定めた固定値とする。
主燃焼期間では圧縮上死点を挟んで燃焼室容積が変化する。つまり、主燃焼期間の開始時期と、主燃焼期間の終了時期のほぼ中央に圧縮上死点位置が存在するとみなすことができる。また、圧縮上死点付近ではクランク角が変化しても燃焼室容積があまり変化しない。そこで主燃焼期間での燃焼室容積としてはこの圧縮上死点での燃焼室容積VTDCで代表させることとしている。
図13は基本点火時期MBTCAL[degBTDC]を算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。図10、図12のうち遅く実行されるフローに続けて実行する。
ステップ41では、図10のステップ171で算出されている初期燃焼期間BURN1[deg]、図12のステップ191で算出されている主燃焼期間BURN2[deg]、図5のステップ16で算出されている基準クランク角θPMAX[degATDC]、点火時期無駄時間相当クランク角IGNDEAD[deg]を読み込む。
上記の点火無駄時間相当クランク角IGNDEADの算出については図51のフローにより説明する(詳細は特願2003−109040を参照)。図51のフローは、図10、図12のフローで示した燃焼期間BURN1、BURNN2を算出した後、図13のフローの実行前に実行する。
ここでは、点火無駄時間DEADTIME[μsec]をまず算出し、その点火無駄時間DEADTIMEをクランク角に換算する。点火無駄時間DEADTIMEは点火指令を受けてから燃焼室5内で実際に燃焼が開始するまでの遅れ時間である。点火無駄時間に影響する因子は燃焼室5の圧力及び温度、混合気の空燃比の3つでありしかもこれら各因子の点火無駄時間への影響は互いに独立であるとして算出する。
図51においてステップ411では図13のステップ43で算出されている基本点火時期MBTCAL[degBTDC]、図5のステップ12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVC[m3]、図5のステップ13で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINI[K]、図5のステップ14で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における圧力PINI[Pa]、目標当量比TFBYA、エンジン回転速度NRPM[rpm]を読み込む。
ステップ412〜415では図10のステップ162〜167と同様にして燃焼開始時期における有効圧縮比Ec(=V0/VIVC)を算出し、その圧縮比Ecを用いて燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0と、燃焼室5の燃焼開始時期における圧力P0とを算出する。
T0=TINI×Ec^(κ−1) …(10−1)
P0=PINI×Ec^κ …(10−2)
ただし、κ:比熱比、
ステップ416では燃焼室5の燃焼開始時期における圧力P0の関数として点火無駄時間基本値DEADTIME0[μsec]を次式により算出する。
DEADTIME0=f21(P0) …(10−3)
例えば燃焼室5の燃焼開始時期における圧力P0から図44を内容とするテーブルを検索することにより点火無駄時間基本値DEADTIME0を求めればよい。点火無駄時間基本値DEADTIME0は理論空燃比のときかつ燃焼室5の燃焼開始時期における温度が基準温度である場合の値で、図44のように圧力P0が高いほど大きくなる。高圧で点火無駄時間が長くなるのは、高圧下では混合気が気化しにくくなるためである。
ステップ417〜419は点火無駄時間に対する2つの補正係数を算出する部分である。すなわち、燃焼室5の燃焼開始時期における温度が基準温度より低下したり、混合気の空燃比が理論空燃比より外れるときには、点火無駄時間基本値DEADTIME0が実際と合わなくなるので、温度補正係数Kdtmtと空気過剰率補正係数Kdtmlmbとを導入している。
まずステップ417では燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0の関数として点火無駄時間の温度補正係数Kdtmtを次式により算出する。
Kdtmt=f22(T0) …(10−4)
例えば燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0から図45を内容とするテーブルを検索することにより温度補正係数Kdtmtを求めればよい。温度補正係数Kdtmtは図45のように基準温度以上のとき1.0であり、基準温度より低くなるほど大きくなる値である。すなわち、温度T0が低いほど点火無駄時間は長くなる。
ステップ418では目標当量比TFBYAの逆数を目標空気過剰率TLAMBDAとしてつまり次式により目標空気過剰率TLAMBDA求める。
TLAMBDA=1/TFBYA …(10−5)
ステップ419では、この目標空気過剰率TLAMBDAの関数として点火無駄時間の空気過剰率補正係数Kdtmlmbを次式により算出する。
Kdtmlmb=f23(TLAMBDA) …(10−6)
例えば目標空気過剰率TLAMBDAから図46を内容とするテーブルを検索することにより空気過剰率補正係数Kdtmlmbを求めればよい。空気過剰率補正係数Kdtmlmbは図46のように目標空気過剰率TLAMBDAが1のとき(つまり理論空燃比のとき)最小の1.0となり、これより大きくても小さくても大きくなる値である。すなわち、空燃比が理論空燃比よりリッチ側にずれてもリーン側にずれても点火無駄時間は長くなる。
ステップ420では点火無駄時間基本値DEADTIME0を2つの補正係数Kdtmt、Kdtmlmbで補正することにより、つまり次式により点火無駄時間DEADTIME[μsec]を算出する。
DEADTIME=DEADTIME0×Kdtmt×Kdtmlmb
…(10−7)
ここでは、圧力P0によるものを基本値(DEADTIME0)として温度T0と空燃比(TLAMBDA)により補正する形式としたが、これに限られるものでなく、温度T0によるものを基本値として圧力P0と空燃比(TLAMBDA)により補正したり、空燃比(TLAMBDA)によるものを基本値として温度T0と圧力P0により補正するようにしてもかまわない。また、点火無駄時間に影響する因子はこれに限られるものでなく、充填効率や不活性ガス率(内部不活性ガス率MRESや外部不活性ガス率)があるので、これらの因子をも考慮して点火無駄時間を算出することができる。ただし、5つの因子全てを考慮する必要は必ずしもなく、少なくとも1つの因子をパラメータとして点火無駄時間を算出すればよい。
最後にステップ421では、点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD[deg]を算出する。点火無駄時間相当クランク角IGNDEADは、エンジンコントローラ31から点火コイル13の一次電流を遮断する信号を出力したタイミングから点火プラグ14が実際に点火するまでのクランク角区間で、次式により表すことができる。
IGNDEAD=f5(DEADTIME、NRPM) …(10−8)
(10−8)式は、エンジン回転速度NRPMから点火無駄時間DEADTIMEに相当するクランク角である点火無駄時間相当クランク角IGNDEADを算出するためのものである。
図13に戻りステップ42では、初期燃焼期間BURN1と主燃焼期間BURN2の合計を燃焼期間BURN[deg]として算出する。
ステップ43では次式により基本点火時期MBTCAL[degBTDC]を算出する。
MBTCAL=BURN−θPMAX+IGNDEAD …(23)
ステップ44では、この基本点火時期MBTCALから点火無駄時間相当クランク角IGNDEADを差し引いた値を前回燃焼開始時期MBTCYCL[degBTDC]として算出する。
今サイクルの点火時期指令値としてステップ43で算出された基本点火時期MBTCALが用いられたとすると、次サイクルの点火時期になるまでの間、ステップ44で算出された前回燃焼開始時期MBTCYCLが図10のステップ162において用いられる。
図14は燃焼室5内の内部不活性ガス率MRESFRを算出するためのもので、一定時間毎(例えば10msec毎)に実行する。このフローは上記図5のフローに先立って実行する。
ステップ51ではエアフローメータ32の出力と目標当量比TFBYAを読み込む。ステップ52ではエアフロメータ32の出力に基づいて、燃焼室5に流入する新気量(シリンダ新気量)MACYLを算出する。このシリンダ新気量MACYLの算出方法については公知の方法を用いればよい(特開2001−50091号公報参照)。
ステップ53では、燃焼室5内の内部不活性ガス量MRESを算出する。この内部不活性ガス量MRESの算出については、図15のフローにより説明する。
図15(図14ステップ53のサブルーチン)においてステップ61では、燃焼室5内の排気弁閉時期EVCにおける不活性ガス量MRESCYLを算出する。この不活性ガス量MRESCYLの算出についてはさらに図16のフローにより説明する。
図16(図15ステップ61のサブルーチン)においてステップ71では、排気弁閉時期EVC[degBTDC]、温度センサ45により検出される排気温度TEXH[K]、圧力センサ46により検出される排気圧力PEXH[kPa]を読み込む。
ここで、吸気弁閉時期IVCが吸気VTC機構27に与える指令値から既知であったように、排気弁閉時期EVCも排気VTC機構28に与える指令値から既知である。
ステップ72では燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける容積VEVCを算出する。これは吸気弁閉時期IVCにおける容積VIVCと同様に、排気弁閉時期をパラメータとするテーブルを検索することにより求めればよい。すなわち、排気弁VTC機構28を備える場合には、排気弁閉時期EVCから図23に示すテーブルを検索することにより、燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける容積VEVCを求めればよい。排気VTC機構28を備えないときには定数で与えることができる。
また、図示しないが圧縮比を変化させる機構を有する場合には、圧縮比の変化量に応じた排気弁閉時期における燃焼室容積VEVCをテーブルから求める。排気VTC機構28に加えて圧縮比を変化させる機構をも有する場合には、排気弁閉時期と圧縮比変化量とに応じたマップを検索することにより排気弁閉時期における燃焼室容積を求める。
ステップ73では、目標当量比TFBYAから図24に示すテーブルを検索することにより、燃焼室5内の不活性ガスのガス定数REXを求める。図24に示すように、不活性ガスのガス定数REXは目標当量比TFBYAが1.0のとき、つまり理論空燃比のとき最も小さく、これより大きくても小さくても大きくなる。
ステップ74では、排気温度TEXHに基づいて燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける温度TEVCを推定する。簡単には排気温度TEXHをそのままTEVCとおけばよい。なお、燃焼室5の排気弁閉時期における温度TEVCは、インジェクタ21の燃料噴射量に応じた熱量により変化するため、このような特性をも加味すれば、TEVCの算出精度が向上する。
ステップ75では、排気圧力PEXHに基づいて燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける圧力PEVCを算出する。簡単には排気圧力PEXHをPEVCと置けばよい。
ステップ76では、燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける容積VEVC、排気弁閉時期EVCにおける温度TEVC、排気弁閉時期EVCにおける圧力PEVC及び不活性ガスのガス定数REXから、燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける不活性ガス量MRESCYLを次式により算出する。
MRESCYL=(PEVC×VEVC)/(REX×TEVC) …(24)
このようにして燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける不活性ガス量MRESCYLの算出を終了したら図15に戻り、ステップ62で吸排気弁15、16のオーバーラップ(図では「O/L」と略記する)中に排気側から吸気側へ吹き返す不活性ガス量であるオーバーラップ中吹き返し不活性ガス量MRESOLを算出する。
この不活性ガス量MRESOLの算出については図17のフローにより説明する。
図17(図15ステップ62のサブルーチン)においてステップ81では、吸気弁開時期IVO[degBTDC]と、排気弁閉時期EVC[degBTDC]、図16のステップ74で算出されている燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける温度TEVCを読み込む。
ここで、吸気弁開時期IVOは、吸気弁閉時期IVCより吸気弁15の開き角だけ前の時期となるので、吸気弁閉時期IVCより吸気弁15の開き角(予め分かっている)とから求めることができる。
ステップ82では吸気弁開時期IVOと排気弁閉時期EVCとから、吸排気弁のオーバーラップ量VTCOL[deg]を次式により算出する。
VTCOL=IVO+EVC …(25)
例えば、吸気VTC機構27用アクチュエータへの非通電時に吸気弁開時期IVOが吸気上死点位置にあり、吸気VTC機構27用アクチュエータへの通電時に吸気弁開時期が吸気上死点より進角する特性であり、かつ排気VTC機構28用アクチュエータへの非通電時に排気弁閉時期EVCが排気上死点にあり、排気弁VTC機構28用アクチュエータへの通電時に排気弁閉時期EVCが排気上死点より進角する特性である場合には、IVOとEVCの合計が吸排気弁のオーバーラップ量VTCOLとなる。
ステップ83では、吸排気弁のオーバーラップ量VTCOLから、図25に示すテーブルを検索することによりオーバーラップ中の積算有効面積ASUMOLを算出する。図25に示すようにオーバーラップ中の積算有効面積ASUMOLは吸排気弁のオーバーラップ量VTCOLが大きくなるほど大きくなる値である。
ここで、図26は、吸排気弁のオーバーラップ中の積算有効面積ASUMOLの説明図であり、横軸はクランク角、縦軸は吸気弁12と排気弁15とのそれぞれの開口面積を示している。オーバーラップ中の任意の時点における有効開口面積は、排気弁開口面積と吸気弁開口面積とのうち小さい方とする。オーバーラップ中の全期間における積算有効面積ASUMOLは、吸気弁15及び排気弁16が開いている期間の積分値(図中の斜線部)である。
このようにオーバーラップ中積算有効面積ASUMOLを算出することで、吸気弁15と排気弁16とのオーバーラップ量を1つのオリフィス(流出孔)であると近似することができ、排気系の状態と吸気系の状態とからこの仮想オリフィスを通過するガス流量を簡略的に算出し得る。
ステップ84では、目標当量比TFBYAと、燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける温度TEVCとから、図27に示すマップを検索することにより、燃焼室5に残留する不活性ガスの比熱比SHEATRを算出する。図27に示したように、燃焼室に残留する不活性ガスの比熱比SHEATRは目標当量比TFBYAが1.0の近傍にあるときが最も小さくなり、それより大きくても小さくても大きくなる。また、目標当量比TFBYAが一定の条件では、燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける温度TEVCが高くなるほど小さくなる。
ステップ85では過給判定フラグTBCRG及びチョーク判定フラグCHOKEを設定する。この過給判定フラグTBCRG及びチョーク判定フラグCHOKEの設定については図18のフローにより説明する。
図18(図17ステップ85のサブルーチン)においてステップ101では、吸気圧力センサ44により検出される吸気圧力PINと、図16のステップ75で算出されている燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける圧力PEVCを読み込む。
ステップ102では、吸気圧力PINと、燃焼室5の排気弁閉時期EVCにおける圧力PEVCとから、次式により吸気排気圧力比PINBYEXを算出する。
PINBYEX=PIN/PEVC …(26)
この吸気排気圧力比PINBYEXは無名数であり、これと1をステップ103で比較する。吸気排気圧力比PINBYEXが1以下の場合には過給無しと判断し、ステップ104に進んで過給判定フラグTBCRG(ゼロに初期設定)=0とする。
吸気排気圧力比PINBYEXが1より大きい場合には過給有りと判断し、ステップ105へ進んで過給判定フラグTBCRG=1とする。
ステップ106では、図14のステップ51で読み込まれている目標当量比TFBYAから図28に示すテーブルを検索することにより、混合気の比熱比MIXAIRSHRを求め、これをステップ107で不活性ガスの比熱比SHEATRと入れ換える。図28に示したように、混合気の比熱比MIXAIRSHRは、目標当量比TFBYAが小さくなるほど大きくなる値である。
ステップ106、107において、不活性ガスの比熱比SHEATRを混合気の比熱比MIXAIRSHRに置き換えるのは、ターボ過給や慣性過給等の過給時を考慮したものである。すなわち、過給時には吸排気弁のオーバーラップ中のガス流れが吸気系から排気系へ向かう(吹き抜ける)ので、この場合においては、上記の仮想オリフィスを通過するガスの比熱比を不活性ガスの比熱比から混合気の比熱比に変更することで、吹き抜けるガス量を精度良く推定し、内部不活性ガス量を精度良く算出するためである。
ステップ108では、図17のステップ84または図18のステップ106、107で算出している不活性ガスの比熱比SHEATRに基づき、最小と最大とのチョーク判定しきい値SLCHOKEL、SLCHOKEHを次式により算出する。
SLCHOKEL={2/(SHEATR+1)}
^{SHEATR/(SHEATR−1)} …(27a)
SLCHOKEH={−2/(SHEATR+1)}
^{−SHEATR/(SHEATR−1)}…(27b)
これらのチョーク判定しきい値SLCHOKEL、SLCHOKEHは、チョークする限界値を算出している。
ステップ108において、(27a)右辺、(27b)右辺の各累乗計算が困難な場合には、(27a)、(27b)式の算出結果を、最小チョーク判定しきい値SLCHOKELのテーブルと最大チョーク判定しきい値SLCHOKEHのテーブルとしてそれぞれエンジンコントローラ31のメモリに予め記憶しておき、不活性ガスの比熱比SHEATRから当該テーブルを検索することにより求めてもよい。
テップ109では、吸気排気圧力比PINBYEXが、最小チョーク判定しきい値SLCHOKEL以上でかつ最大チョーク判定しきい値SLCHOKEH以下の範囲内にあるか否か、すなわちチョーク状態にないか否かを判定する。吸気排気圧力比PINBYEXが範囲内にある場合にはチョーク無しと判断し、ステップ110に進んでチョーク判定フラグCHOKE(ゼロに初期設定)=0とする。
吸気排気圧力比P1NBYEXが範囲内にない場合にはチョーク有りと判断し、ステップ111に進んでチョーク判定フラグCHOKE=1とする。
このようにして過給判定フラグとチョーク判定フラグの設定を終了したら図17に戻り、ステップ86〜88で次の4つの場合分けを行う。
〈1〉過給判定フラグTBCRG=0かつチョーク判定フラグCHOKE=0のとき
〈2〉過給判定フラグTBCRG=0かつチョーク判定フラグCHOKE=0のとき
〈3〉過給判定フラグTBCRG=0かつチョーク判定フラグCHOKE=1のとき
〈4〉過給判定フラグTBCRG=1かつチョーク判定フラグCHOKE=0のとき
そして、上記〈1〉のときにはステップ89に進んで、過給無しかつチョーク無し時のオーバーラップ中の平均吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp1を、上記〈2〉のときにはステップ90に進んで過給無しかつチョーク有り時のオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp2を、上記〈3〉のときにはステップ91に進んで過給有りかつチョーク無し時のオーバーラップ中の平均吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp3を、上記〈4〉のときにはステップ92に進んで過給有りかつチョーク有り時の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp4をそれぞれ算出し、算出結果をオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpに移す。
ここで、過給無しかつチョーク無し時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp1の算出について図19のフローにより説明する
図19(図17ステップ89のサブルーチン)においてステップ121では、図16のステップ73、75で算出されている不活性ガスのガス定数REX、燃焼室5の排気弁閉時期における圧力PEVCを読み込む。
ステップ122では、不活性ガスのガス定数REXと、図17のステップ81で読み込まれている燃焼室5の排気弁閉時期における温度TEVCとに基づき、後述するガス流量の算出式に用いる密度項MRSOLDを次式により算出する。
MRSOLD=SQRT{1/(REX×TEVC)} …(28)
ここで、(28)式右辺の「SQRT」はすぐ右のカッコ内の値の平方根を計算させる関数である。
なお、密度項MRSOLDの平方根計算が困難な場合は、(28)式の算出結果をマップとしてエンジンコントローラ31のメモリに予め記憶しておき、ガス定数REXと燃焼室5の排気弁閉時期における温度TEVCとからそのマップを検索することにより求めてもよい。
ステップ123では、図17のステップ84で算出されている不活性ガスの比熱比SHEATRと、図18のステップ102で算出されている吸気排気圧力比PINBYEXとに基づき、後述するガス流量の算出式に用いる圧力差項MRSOLPを次式により算出する。
MRSOLP=SQRT[SHEATR/(SHEATR−1)
×{PTNBYEX^(2/SHEATR)
−PTNBYEX^((SHEATR+1)/SHEATR)}]…(29)
ステップ124では、これら密度項MRSOLD、圧力差項MRSOLPと、燃焼室5の排気弁閉時期における圧力PEVCとから、過給無しかつチョーク無し時のオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp1を次式(ガス流量の算出式)により算出し、その算出値をステップ125でオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpに移す。
MRESOLtmp1=1.4×PEVC×MRSOLD×MRSOLP…(30)
次に、過給無しかつチョーク有り時の吹き返し不活性ガス流量の算出について図20のフローにより説明する
図20(図17ステップ90のサブルーチン)においてステップ131、132では、図19のステップ121、122と同様にして、不活性ガスのガス定数REX、燃焼室5の排気弁閉時期における圧力PEVCを読み込み、これらから前述の(28)式により密度項MRSOLDを算出する。
ステップ133では、図17のステップ84で算出されている不活性ガスの比熱比SHEATRに基づき、チョーク時圧力差項MRSOLPCを次式により算出する。
MRSOLPC=SQRT[SHEATR×{2/(SHEATR+1)} ^{(SHEATR+1)/〔SHEATR−1)}]…(31)
なお、(31)式の累乗計算と平方根計算とが困難な場合には、(31)式の算出結果を、チョーク時圧力差項MRSOLPCのテーブルとしてエンジンコントローラ31のメモリに予めに記憶しておき、不活性ガスの比熱比SHEATRからそのテーブルを検索することにより求めてもよい。
ステップ134では、これら密度項MRSOLD、チョーク時圧力差項MRSOLPCと、燃焼室5の排気弁閉時期における圧力PEVCとから、過給無しかつチョーク有り時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp2を次式により算出し、その算出値をステップ135でオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpに移す。
MRESOLtmp2=PEVC×MRSOLD×MRSOLPC …(32)
次に、過給有りかつチョーク無し時の吹き返しガス流量の算出について図21のフローにより説明する
図21(図17ステップ91のサブルーチン)においてステップ141では、吸気圧力センサ44により検出される吸気圧力PINを読み込む。
ステップ142では、図18のステップ106、107で算出されている不活性ガスの比熱比SHEATRと、図18のステップ102で算出されている吸気排気圧力比PINBYEXとから、過給時圧力差項MRSOLPTを次式により算出する。
MRSOLPT=SQRT[SHEATR/(SHEATR−1)
×{PINBYEX^(−2/SHEATR)
−PINBYEX^(−(SHEATR+1)/SHEATR)}]…(33)
なお、(33)式の累乗計算と平方根計算とが困難な場合は、(33)式の算出結果を、過給時圧力差項MRSOLPTのマップとしてエンジンコントローラ31のメモリに予め記憶しておき、不活性ガスの比熱比SHEATRと吸気排気圧力比PINBYEXとからそのマップを検索することにより求めてもよい。
ステップ143では、この過給時圧力差項MRSOLPTと吸気圧力PINとに基づいて、過給有りかつチョーク無し時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp3を次式により算出し、その算出値をステップ144でオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpに移す。
MRESOLtmp3=−0.152×PIN×MRSOLPT …(34)
ここで、(34)式の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp3は負の値とすることで、オーバーラップ中に吸気系から排気系へ吹き抜ける混合気のガス流量を表すことができる。
次に、過給有りかつチョーク有り時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量の算出について図22のフローにより説明する
図22(図17ステップ92のサブルーチン)においてステップ151、152では、図21のステップ141と同じく吸気圧力センサ44により検出される吸気圧力PINを読み込むと共に、図20のステップ132と同じくチョーク時圧力差項MRSOLPCを前述の(31)式により算出する。
ステップ153では、このチョーク時圧力差項MRSOLPCと吸気圧力PINとに基づいて、過給有りかつチョーク有り時のオーバーラップ中吹き返しガス流量MRESOLtmp4を次式により算出し、その算出値をステップ154でオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpに移す。
MRESOLtmp4=−0.108×PIN×MRSOLPC …(35)
ここで、(35)式の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmp4も、MRESOLtmp3と同様、負の値とすることで、オーバーラップ中に吸気側から排気側へ吹き抜ける混合気のガス流量を表すことができる。
このようにして、過給の有無とチョークの有無との組み合わせにより場合分けした、オーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpの算出を終了したら図17に戻り、ステップ93においてこのオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量MRESOLtmpとオーバーラップ期間中の積算有効面積ASUMOLとから、次式によりオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス量MRESOLを算出する。
MRESOL=(MRESOLtmP×ASUMOL×60)
/(NRPM×360) …(36)
このようにしてオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス量MRESOLの算出を終了したら図15に戻り、ステップ63において燃焼室5内の排気弁閉時期EVCにおける不活性ガス量MRESCYLと、このオーバーラップ中吹き返しガス量MRESOLとを加算して、つまり次式により内部不活性ガス量MRESを算出する。
MRES=MRESCYL+MRESOL …(37)
前述のように、過給有り時にはオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量(MRESOLtmp3、MRESOLtmp4)が負となるため、上記(36)式のオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス量MRESOLも負となり、このとき(37)式によれば、オーバーラップ中の吹き返し不活性ガス量MRESOLの分だけ内部不活性ガス量が減じられる。
このようにして内部不活性ガス量MRESの算出を終了したら図14に戻り、ステップ54においてこの内部不活性ガス量MRESと、目標当量比TFBYAとを用いて、次式により内部不活性ガス率MRESFR(燃焼室5内の総ガス量に対する内部不活性ガス量の割合)を算出する。
MRESFR=MRES
/{MRES+MACYL×(1+TFBYA/14.7)}…(38)
これで内部不活性ガス率MRESFRの算出を総て終了する。
このように本実施形態によれば、内部不活性ガス量MRESを、燃焼室5の排気弁閉時期における不活性ガス量MRESCYLと、吸排気弁のオーバーラップ中の吹き返しガス量MRESOLとで構成し(図15のステップ63参照)、この場合に、燃焼室5の排気弁閉時期における温度TEV及び圧力PEVCを算出し(図16のステップ74、75)、これら温度TEVC、圧力PEVCと不活性ガスのガス定数REXとに基づいて状態方程式(上記(24)式)により燃焼室5の排気弁閉時期における不活性ガス量MRESCYLを算出する(図16のステップ76参照)ようにしたので、特に、燃焼室5内部の状態量(PEVC、VEVC、TEVC)が刻々と変化する過渡運転時においても、運転条件に関わらず精度良く燃焼室5の排気弁閉時期における不活性ガス量MRESCYLを算出(推定)できる。
また、燃焼室5の排気弁閉時期における温度TEVC及び圧力PEVC、不活性ガスのガス定数REX及び比熱比SHEATR、吸気圧力PINに基づいてオーバーラップ中の吹き返し不活性ガス流量(MRESOLtmp1、MRESOLtmp2)を算出し(図19、図20参照)、このガス流量にオーバーラップ中の積算有効面積ASUMOLを乗算して、オーバーラップ中の吹き返しガス量MRESOLを算出する(図17のステップ93参照)ようにしたので、精度良くオーバーラップ中吹き返しガス量MRESOLを算出(推定)できる。
このように、燃焼室5の排気弁閉時期における不活性ガス量MRESCYL、オーバーラップ中吹き返しガス量MRESOLとも精度良く算出(推定)できると、これらの和である内部不活性ガス量MRESも精度良く算出(推定)できることになり、この精度良く推定することが可能となった内部不活性ガス量MRESに基づいて算出される内部不活性ガス率MRESFRを、点火時期の算出に用いる燃焼室5内の吸気弁閉時期IVCにおける温度TINIに活かすことで(図5のステップ13参照)、燃焼室5内の吸気弁閉時期IVCにおける温度TINIを精度良く算出できる。また、精度良く推定することが可能となった内部不活性ガス量MRESを、燃料噴射量、バルブ開閉タイミング(オーバーラップ量)などにも活かすことで、エンジンを適切に制御することが可能である。
また、不活性ガスのガス定数REXや不活性ガスの比熱比SHEATRは、目標当量比TFBYAに応じた値としているので(図24、図27参照)、理論空燃比を外れた空燃比での運転時(例えば理論空燃比よりもリーンな空燃比で運転を行うリーン運転時、冷間始動時のようにエンジンが元々不安定な状態を安定させるために理論空燃比の空燃比よりもリッチ側の空燃比で運転するエンジン始動直後、同じく大きな出力が要求されるために理論空燃比の空燃比よりもリッチ側の空燃比で運転する全負荷運転時)にも、燃焼室5の排気弁閉時期における不活性ガス量MRESCYL、オーバーラップ中吹き返しガス量MRESOL、これらの合計である内部不活性ガス量MRES、これに基づく内部不活性ガス率MRESFRを精度良く算出できる。
また、オーバーラップ期間の積算有効面積ASUMOLを仮想オリフィスの面積とし、この仮想オリフィスを排気が燃焼室5から吸気系へと吹き抜けると仮定しているので、オーバーラップ中の吹き返し不活性ガス量MRESOLの算出が簡略化されている。
これで燃焼室5内の内部不活性ガス率MRESFRの算出についての説明を終了し、次にはノック制御について説明する。
ここでは、まず新たに創出したノック制御の考え方について説明する。図29はノック発生時の燃焼室5内の圧力履歴を示している。高周波分を取り除いた平均圧力を改めて描いてみると、自着火時期θknk(ノック発生時期)に燃焼室5内の圧力が一気に上昇していることがわかる。このノックによる圧力上昇は燃焼室5内の未燃混合気が等容燃焼した結果で生じるとみなして、その圧力上昇分dPを次のように熱力学の計算式により算出する。
いま、未燃燃料量MUBの未燃ガスが等容燃焼で全て燃えると仮定すると、熱力学より発熱量Qは次式で与えられる。
Q=CF#×MUB …(補4)
ただし、CF#:燃料の低位発熱量、
一方、この発熱量Qにより燃焼室5内のガス温度が上昇するので、この温度上昇分をΔTとすれば次式が成立する。
Q=Cv×M×ΔT …(補5)
ただし、M:燃焼室5内の全てのガスの質量、
Cv:既燃ガスの定容比熱、
(補4)、(補5)の両式は等しいと置いて温度上昇分ΔTについて解くと次式が得られる。
ΔT=(CF#×MUB)/(Cv×M) …(補6)
気体の状態方程式PV=nRTの両辺を微分する(ただし、定容変化であるためVは一定)。
V×dP=dn×R×T+n×R×dT …(補7)
ここで、ノックが発生するような状態ではモル数nの変化は小さいため、(補7)式右辺のdn=0として次式を得る。
dP=(n×R/V)×dT …(補8)
(補8)、(補6)の両式より温度上昇分dT(=ΔT)を消去し圧力上昇分dPについて整理すると最終的に次式を得る。
dP=n×R×CF#×MUB/(V×Cv×M)…(補9)
すなわち、(補9)式は、未燃燃料量MUB、燃焼室5の自着火時期における容積V、既燃ガスの定容比熱Cv、燃焼室5内の全てのガスの質量M、燃焼室5内の全てのガスの総モル数nが分かれば、圧力上昇分dPを計算式により求めることができることを示している。
この場合、燃焼室5の自着火時期は公知の手法を用いて求めることができる。公知の手法とは、単位クランク角毎に燃焼室5内の温度及び圧力を算出して図30Aまたは図30Bよりその温度、圧力に対する1/τを求め、この1/τを積算した値が1となるときのクランク角を自着火時期θknkとするものである。ここで、図30Aまたは図30Bのτは燃焼室5内の燃料が自着火にいたるまでの時間である。自着火時期θknkが求まれば、この自着火時期θknkから燃焼室5の自着火時期における容積Vknkが機械的に求まる。
なお、本実施形態ではガソリンを燃料としている場合に、この燃料のオクタン価推定値OCTESTを算出するようにしており、このオクタン価推定値OCTESTの燃料のときの1/τを算出する必要がある。このため、図30Aに示すオクタン価100(最大オクタン価)の燃料での1/τと、図30Bに示すオクタン価80(最小オクタン価)の燃料での1/τとに基づいてオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τを算出するようにしている(後述する)。
一方、自着火時期θknkが分かれば図31に示す燃焼質量割合の特性を用いて自着火時の燃焼質量割合BRknkを求めることができ、この自着火時の燃焼質量割合BRknkと燃料量QINJとから次の計算式により未燃燃料量MUBを求めることができる。すなわち、燃料量QINJのうちBRknkが既に燃焼している割合であるから、残りの1−BRknkがまだ燃焼していない割合となる。
MUB=QINJ×(1−BRknk) …(補10)
ただし、図31では計算を簡単にするため、燃焼開始遅れ期間(IGNDEADref1)、初期燃焼期間(BURN1ref1)、主燃焼期間(BURN2ref1)の3つ分け、各期間の特性を直線で近似している。
この場合、図31に示す燃焼質量割合の特性は使用される燃料が変わらない限りエンジンの負荷や回転速度が相違しても変わらないので、エンジン仕様が定まれば一義的に定まることから、運転条件の相違毎に適合する必要はない。
次に、既燃ガスの定容比熱Cvについても次のように熱力学の計算式により算出することができる。すなわち、定圧比熱Cpの定義はCp=(∂E/∂T)pであるから、この式を積分すると次式を得る。
∫dE=Cp×∫dT …(補11)
∴E=Cp×T …(補12)
(補12)式より定圧比熱Cpは次式で与えられる。
Cp=E/T …(補13)
一方、理想気体で等圧変化のときにはCp−Cv=Rが成立するので、この式と(補13)式より定圧比熱Cpを消去し定容比熱Cvについて整理すると最終的に次式が得られる。
Cv=E/T−R …(補14)
ただし、E:エンタルピ、
T:燃焼室5内の自着火時時期における平均温度、
上記(補9)式の燃焼室5内の全てのガスの質量Mは次式により計算できる。
M=MRES+MACYL+QINJ …(補15)
ただし、MRES:内部不活性ガス量、
MACYL:シリンダ新気量、
QINJ:燃料量、
このように、未燃燃料量MUB、既燃ガスの定容比熱Cv、燃焼室5内の全てのガスの質量Mも(補10)、(補14)、(補15)の計算式によりそれぞれ求めることができることがわかる。残る未知数は、上記(補9)式の燃焼室5内の全てのガスの総モル数n、(補14)式のエンタルピE及び燃焼室5内の自着火時期における平均温度T(=TE)である。
ここで、上記(補9)式の燃焼室5内の全てのガスの総モル数n及び各成分ガスのモル数は燃焼の基礎式を用いて計算により求めることができ、各成分ガスのモル数と実験式とを用いて(補14)式のエンタルピEを計算することができる。燃焼室5内の自着火時期における平均温度TEも熱力学の式を用いて計算により求めることができる。
このように、ノックによる圧力上昇分dPを、テーブルやマップに頼らずにほぼ計算式により求められるように構成しているのであり、これによりテーブルやマップ作成に要する実験の工数と時間を大幅に削減することができる。
後は、このようにして得た圧力上昇分dPとノックとを関連させることであり、このdPをノック強度推定値に換算する。
次に、第1ノック強度推定値KICの算出を以下のフローチャートを参照しながら詳述する。
図32、図33は第1ノック強度推定値KICを算出するためのもので、クランク角が所定の時期(例えばMBTCAL)になると実行する。なお、以下では前述のフローで既に求めている物理量を重複して求めているような部分もあるが、説明する。
図32においてステップ201では、図14のステップ52、53で算出されているシリンダ新気量MACYL[g]及び内部不活性ガス量MRES[g]、燃料量QINJ[g]、第1基本点火時期MBTCAL1[degBTDC]、第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1[deg]、温度センサ43により検出されるコレクタ内温度TCOL[K]、温度センサ45より検出される排気温度TEXH[K]、圧力センサ44により検出されるコレクタ内圧力PCOL[Pa]を読み込む。なお、燃料量QINJ[g]は燃料噴射パルス幅TI[ms]に比例させて求めればよい。
ここで、図32、図33のフローは、後述する図39、図40のステップ307のサブルーチンとして構成してあるため、点火無駄時間相当クランク角は第1点火無駄時間相当クランク角である「IGNDEADref1」、基本点火時期は第1基本点火時期である「MBTCAL1」であり、図51のステップ421で算出されている点火無駄時間相当値IGNDEAD、図13のステップ43で算出されている基本点火時期MBTCALでない。ただし、物理的な意味としては変わりない。
ステップ202ではシリンダ新気量MACYL[g]をWIDRY[g]に、内部不活性ガス量MRES[g]をMASSZ[g]に移す。これらWIDRY、MASSZは、第1ノック強度推定値KIC1の算出等にのみ用いるために導入したもので、WIDRYはシリンダ新気量、MASSZは内部不活性ガス量である。
ステップ203では第1基本点火時期MBTCAL1[degBTDC]から第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1[deg]を減算した値(つまり燃焼開始時のクランク角)をクランク角θ[degBTDC]にセットする。
ステップ204では燃焼室5の圧縮開始時温度TC0[K]を次式により算出する。
TC0={(WIDRY+QINJ)×TCOL+MASSZ×TEXH}
/(WIDRY+QINJ+MASSZ) …(60)
ここでは、不活性ガスと新気の比熱を等しくして式を簡略化している。
ステップ205では燃焼室5の圧縮開始時圧力PC0[Pa]を算出する。これは圧力センサ44により検出される吸気弁閉時期IVCのコレクタ内圧力PCOLをPC0とすればよい。
ステップ206〜208はオクタン価推定値OCTESTの燃料に対する1/τを算出する部分である。最大オクタン価から最小オクタン価までの複数の異なるオクタン価毎に1/τのマップを備えさせるとROM容量が大きくなり過ぎるので、ここでは最大オクタン価(例えば100)の燃料に対する1/τのマップと、最小オクタン価(例えば80)の燃料に対する1/τのマップとだけ持たせておき、最大オクタン価と最小オクタン価の間にあるオクタン価(オクタン価推定値OCTEST)の燃料に対する1/τは、それらオクタン価100の燃料での1/τと、オクタン価80の燃料での1/τとの間を補間計算して算出する。
具体的にはステップ206、207で圧縮開始時温度TC0と圧縮開始時圧力PC0とから図30A、図30Bを内容とするマップをそれぞれ検索することによりオクタン価100の燃料での1/τ、オクタン価80の燃料での1/τを算出する。各1/τは図30A、図30Bのように温度、圧力が大きくなるほど大きくなる値である。また、温度、圧力が同じであれば、オクタン価100の燃料での1/τのほうが、オクタン価80の燃料での1/τより大きい傾向を示す。従って、ステップ208ではオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τを次式(補間計算式)により算出する。
1/τEST=1/τ80+(OCTEST−80)
×(1/τ100−1/τ80)/(100−80)
…(補17)
ただし、1/τEST:オクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τ、
1/τ100:オクタン価100の燃料での1/τ、
1/τ80 :オクタン価80の燃料での1/τ、
ここで、オクタン価推定値OCTESTの算出については図37により後述する。
ステップ209ではこのオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τをSUMに加算する。SUMは1/τの積算値を表す。積算値SUMの初期値はゼロである。
ステップ209ではこのオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τをSUMに加算する。SUMは1/τの積算値を表す。積算値SUMの初期値はゼロである。
ステップ210ではこの積算値SUMと1とを比較する。積算値SUMが1に満たないときには自着火したタイミングでないのでステップ211に進んで現在のクランク角θと所定値const01を比較する。ここで、所定値const01には点火後のノックがもう生じないクランク角位置(例えば90degATDC)を設定している。現在のクランク角θが所定値const01を超えていないときにはステップ212に進み、クランク角を所定角度const02(例えば1deg)だけ進める。
ステップ213では現在のクランク角θのときの燃焼室5内の瞬間圧縮比εθを算出する。この瞬間圧縮比εθは燃焼室5の隙間容積Vcを燃焼室5の現在のクランク角θにおける容積で除算した値の逆数である。燃焼室5の現在のクランク角θにおける容積はピストン6のストローク位置つまりエンジンのクランク角により定まるので、クランク角θをパラメータとするテーブルを予め作成しておき現在のクランク角θからこのテーブルを検索することにより求めればよい。
ステップ214では現在のクランク角θのときの燃焼質量割合BRを算出する。これには、まず現在のクランク角θから、燃焼質量割合を求めるためのクランク角Θ[degATDC]を算出する。
この場合、変数としてのクランク角Θは圧縮上死点TDCを基準のゼロとしてこれより遅角側をプラス、これより進角側をマイナスに採った値であり、このクランク角Θ[degATDC]を用いると燃焼質量割合BRは第1基本点火時期MBTCAL1、第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1、後述する第1初期燃焼期間BURN1ref1、第1主燃焼期間BURN2ref1を用いて次のような一次式となる。
第1燃焼遅れ期間;
BR=0 …(61)
第1初期燃焼期間;
BR=SS1×(Θ+MBTCAL1−IGNDEADref1)
…(62)
第1主燃焼期間 ;
BR=0.02+SS2×(Θ+MBTCAL1−IGNDEADref1
−BURN1ref1)
…(63)
ただし、SS1:0.02/BURN1ref1、
SS2:0.58/BURN2ref1、
ここで述べた燃焼質量割合BRの設定(初期設定)は、後述する図39、図40のステップ308の内容であるため、第1初期燃焼期間は「BURN1ref1」、第1主燃焼期間は「BURN2ref1」、第1点火無駄時間相当クランク角は「IGNDEADref1」、第1基本点火時期は「MBTCAL1」としてあり、図10のステップ171で算出されているBURN1、図12のステップ191で算出されているBURN2、図51のステップ421で算出されている点火無駄時間相当値IGNDEAD、図13のステップ191で算出されている基本点火時期MBTCALと区別する。ただし、物理的な意味としては変わりない。
従って、算出したクランク角Θが第1燃焼遅れ期間にあるときには(61)式により、第1初期燃焼期間にあるときには(62)式により、第1主燃焼期間にあるときには(63)式により燃焼質量割合を算出する。
ステップ215、216では燃焼室5内の燃料が燃焼したときの平均温度TC[K]と平均圧力PC[Pa]を次式により算出する。
TC=TC0×εθ^0・35
+CF#×QINJ×BR/(MASSZ+WIDRY+QINJ)
…(64)
PC=PC0×εθ^1.35×TC/TC0/εθ^0.35…(65)
ただし、εθ :瞬間圧縮比、
CF#:燃料の低位発熱量、
(64)、(65)式は燃焼室5内でガスが断熱圧縮されると共に定容変化で燃焼すると仮定したときの式である。すなわち、(64)式右辺第1項が断熱圧縮後の温度を、(65)式右辺のPC0×εθ^1.35が断熱圧縮後の圧力を、これに対して(64)式右辺第2項が定容変化で燃焼により温度上昇した分を、(65)式右辺のTC/TC0/εθ^0.35が定容変化での燃焼による圧力上昇率を表している。
ステップ217では燃焼室5内の未燃混合気の温度Tubを次式により算出する。
Tub=TC0×εθ^0・35×(PC/PC0/εθ^1.35)
^(0.35/1.35) …(66)
(66)式は燃焼室5内でガスが断熱圧縮されると共に、(64)式とは相違して、可逆断熱変化で燃焼すると仮定したときの式である。すなわち、(66)式右辺のTC0×εθ^0.35が断熱圧縮後の温度を、(66)式右辺の(PC/PC0/εθ^1.35)^(0.35/1.35)が可逆断熱変化での燃焼による温度上昇率を表している。
なお、未燃混合気の圧力は上記(65)式の平均圧力PCと等しいと仮定する。
ここで、(64)式の平均温度TCと、(66)式の未燃混合気の温度Tubとの違いは次のようなものである。すなわち、(64)式の平均温度TCは燃焼室5内で発生した熱が燃焼室5内の全てのガスを昇温させると仮定したときの温度である。これに対して、(66)式の未燃混合気温度Tubは燃焼室5内でガスが既燃ガスと未燃ガスの2つに分離された状態にあり、燃焼室5内で発生した熱は既燃ガスのみを昇温させると仮定したときの温度である。そして、未燃混合気の自着火により急激な圧力上昇が生じてノックが発生する。
この後はステップ206に戻り、ステップ206、207において、初回に用いた燃焼開始時温度TC0と燃焼開始時圧力PC0に代えて、今度はステップ216、217で得ている未燃混合気温度Tubと未燃混合気圧力(=PC)から図30A、図30Bを内容とするマップをそれぞれ検索することによりオクタン価100の燃料での1/τとオクタン価80の燃料での1/τとを算出する。そしてステップ208ではこれら2つの1/τに基づいてオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τを上記の(補17)式を用いて算出し、算出したオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τをステップ209で積算値SUMに積算する。そして、積算後のSUMと1をステップ210で、また現在のクランク角θと所定値const01をステップ211で比較する。積算値SUMが1に満たずかつクランク角θが所定値const02を超えていない場合にはステップ212〜217の操作を行って燃焼室平均圧力PCと未燃混合気温度Tubを算出し、再びステップ206〜217の操作を繰り返す。
このようにクランク角θを所定値const02進める毎に燃焼室平均圧力PCと未燃混合気温度Tubを算出し直してオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τを算出しこれを積算値SUMに積算することで、ステップ209における積算値SUMが1に向かって徐々に大きくなってゆく。
やがて積算値SUMが1以上となったときには自着火時期(ノック発生時期)になったと判断し、ステップ210より図33のステップ218に進んでそのときのクランク角θを自着火時期θknkに移す。
図33のステップ219では、図31に示した初期設定の燃焼質量割合BRの特性を用いて自着火時の燃焼質量割合BRknkを算出する。これは自着火時期θknkが初期燃焼期間にあるときにはこの自着火時期θknkを圧縮上死点TDCを基準とする上記のクランク角Θに変換し、その変換したクランク角Θを上記の(62)式に、また自着火時期θknkが主燃焼期間にあるときにはこの自着火時期θknkを圧縮上死点TDCを基準とする上記のクランク角Θに変換し、その変換したクランク角Θを上記の(63)式にそれぞれ代入することによって求めることができる。
ステップ220では、燃焼室5の自着火時θknkにおける平均温度TEを算出する。これは上記(64)式右辺の燃焼質量割合BRに1.0を代入して得られる燃焼室5の平均温度TCを燃焼室5の自着火時平均温度TEとして求めればよい。
ステップ221では、燃焼室5の自着火時期θknkにおける容積Vknkを算出する。燃焼室5の自着火時期θknkにおける容積Vknkは、燃焼室5の現在のクランク角θにおける容積と同様に、ピストン6のストローク位置つまりエンジンのクランク角により定まるので、クランク角θをパラメータとするテーブルを予め作成しておき自着火時θknkからこのテーブルを検索することにより求めればよい。
ステップ222では燃料量QINJ[g]と自着火時の燃焼質量割合BRknkとから自着火時の未燃燃料量MUB[g]を次式により算出する。
MUB=QINJ×(1−BRknk) …(67)
(67)式は上記(補10)式そのものである。
ステップ223では総ガスモル数MLALLを算出する。これについては図34のフローにより説明する。
図34(図33ステップ223のサブルーチン)において、ステップ241では図32のステップ202で算出されている内部不活性ガス量MASSZ[g]、シリンダ新気量WIDRY[g]、燃料量QINJ[g]を読み込み、ステップ242で燃焼室5の内部不活性ガス率RTOEGRを次式により算出する。
RTOEGR=MASSZ/(MASSZ+WIDRY+QINJ)…(68)
ステップ243では燃焼室5内の燃料が全て燃焼した(つまりBR=1)ときの各ガス成分のモル数を算出する。ただし、ガス成分としては、燃料のほかは、O2、N2、CO2、CO、H2Oに限定する。また、ガソリンの燃料組成をC714で近似している。
まず、燃料量QINJ[g]の燃料が燃焼した後に発生する総排出ガスのモル数WEDRY[mol]と排出ガス中のO2、N2、CO2、CO、H2Oといったそれぞれのガス成分のモル数XEO2[mol]、XEN2[mol]、XECO2[mol]、XECO[mol]、XEH2O[mol]を次のように算出する。
総排出ガス;WEDRY=MIDRY#×WlDRY−QlNJ
/(B#×AC#+A#×AH)×(A#/4) …(69.1)
酸素 ;XEO2 ={MIDRY#×WlDRY×0.21−QINJ
/(B#×AC#+A#×AH)×(B#+A#/4)}
/WEDRY …(69.2)
二酸化炭素;XECO2={QINJ/(B#×AC#+A#×AH#)×B#}
/WEDRY …(69.3)
一酸化炭素;XECO =0 …(69.4)
窒素 ;XEN2 =1−XEO2−XECO2−XECO …(69.5)
水 ;XEH2O={MIDRY#×WIDRY×15/745
+QINJ/(B#×AC#+A#×AH#)
×A#/2}/WEDRY …(69.6)
ただし、MIDRY#:1g当たりの新気ガスのモル数
AH#:水素のモル質量、
AC#:炭素のモル質量、
A#、B#:定数、
ここで、ガソリンの組成をC714で近似しているため、定数A#は14、定数B#は7である。
次に、燃焼サイクル初期の各ガス成分のモル数WGAS[mol]、WEGR[mol]、WO2[mol]、WN2[mol]、WCO2[mol]、WCO[mol]、WH2O[mol]を次のように算出する。
燃料 ;WGAS=QINJ/(B#×AC#+A#×AH#)
…(70.1)
不活性ガス;WEGR=MIDRY#×WIDRY×RTOEGR…(70.2)
酸素 ;WO2 =MIDRY#×WIDRY×0.21+WEGR×XEO2
…(70.3)
窒素 ;WN2 =MIDRY#×WIDRY×0.89+WEGR×XEN2
…(70.4)
二酸化炭素;WCO2=WEGR×XECO2 …(70.5)
一酸化炭素;WCO =WEGR×XECO …(70.6)
水 ;WH2O=MIDRY#×WIDRY×15/745
+WEGR×XEH2O …(70.7)
次に、全て燃焼した(つまりBR=1)ときの各ガス成分のモル数MLGAS[mol]、MLO2[mol]、MLN2[mol]、MLCO2[mol]、MLCO[mol]、MLH2O[mol]を次のように算出する。
燃料 ;MLGAS=WGAS−QINJ/(B#×AC#+A#×AH#)
…(71.1)
酸素 ;MLO2 =WO2−(B#+A#/4)×QlNJ
/(B#×AC#+A#×AH#) …(71.2)
窒素 ;MLN2 =WN2 …(71.3)
二酸化炭素;MLCO2=WCO2+B#×QINJ
/(B#×AC#+A#×AH#) …(71.4)
一酸化炭素;MLCO =WCO …(71.5)
水 ;MLH2O=WH2O+A#/2×QINJ
/(B#×AC#+A#×AH#) …(71.6)
これで、燃焼室5内の燃料が全て燃焼した(つまりBR=1)ときの各ガス成分のモル数の算出を終了するので、ステップ244に進み各ガス成分のモル数の総和を燃焼室5内の燃料が全て燃焼したときの総ガスモル数MLALLとして、つまり次式により総ガスモル数MLALLを算出する。
MLALL=MLGAS+MLO2+MLN2+MLCO2+MLCO+MLH2O
…(71.7)
このようにして総ガスモル数MLALLの算出を終わったら図33のステップ224に戻り、ガスエンタルピ(自着火する燃料ガスのエンタルピ)E[cal/mol]を算出する。このガスエンタルピの算出については図35のフローにより説明する。図35(図33ステップ224のサブルーチン)においてステップ251では、図33のステップ220で算出されている燃焼室5の自着火時平均温度TE、図34のステップ243、244で算出されている各ガス成分のモル数MLGAS、MLO2、MLN2、MLCO2、MLCO、MLH2O、総ガスモル数MLALLを読み込む。
ステップ252では自着火時平均温度TEから各ガス成分のエンタルピEO2、EN2、ECO2、ECO、EH2Oを算出する。各ガス成分のエンタルピは次の水谷の実験式(内燃機関vol.11 No.125p79参照)を用いて算出すればよい。
(1)TE<1200Kの場合
E=A0#+1000×(A1#×(TE/1000)
+A2#/2×(TE/1000)^2
+A3#/3×(TE/1000)^3
+A4#/4×(TE/1000)^4
+A5#/5×(TE/1000)^5)+HDL#…(72.1)
(2)TE>1200Kの場合
E=B0#+1000×(B1#×(TE/1000)
+B2#×LN(TE/1000)
−B3#/(TE/1000)
−B4#/2/(TE/1000)^2
−B5#/3/(TE/1000)^3)+HDL#…(72.2)
ただし、A0#〜A5#、B0〜B5#、HDL#は実験により求める適合値、
ステップ253では燃料のエンタルピEGを次式により算出する。
EG=B#/AC#×ECO2+A#/AH#×EH20/2
+(B#/AC#+A#/AH#/4)×EO2…(72.3)
ステップ254では各ガス成分の平均エンタルピEを次式により計算して図35の処理を終了し、図33のステップ225に戻る。
E=(MLGAS×EG+MLO2×EO2+MLN2×EN2
+MLCO2×ECO2+MLCO×ECO+MLH2O×EH2O)
/MLALL …(72.4)
図33のステップ225では既燃ガスの定容比熱Cv[J/K・g]をガスエンタルピE、燃焼室5の自着火時平均温度TEを用いて次式により計算する。
Cv=E/TE−R# …(73)
ただし、R#:普遍気体定数、
(73)式は上記(補14)式においてT→TE、R→R#の置き換えにより得られる式である。
ステップ226は自着火による圧力上昇分つまりノックによる圧力上昇分DP[Pa]を次式により算出する。
DP=(WALL×MUB×R#×CF#)
/{Cv×Vknk×(MASSZ+QINJ+WIDRY)}
…(74)
ただし、CF#:燃料の低位発熱量、
(74)式の圧力上昇分DPは図29に示したようにノック発生により燃焼室5内の圧力がステップ的に大きくなるので、この圧力上昇分を計算式により求めるようにしたものである。
(74)式は上記(補9)式においてdP→DP、n→MLALL、R→R#、V→Vknk、M→MASSZ+WIDRY+QINJの置き換えにより得られる式である。
ステップ227ではノック強度推定値基本値KIC0を次式により算出する。
KIC0=相関係数1×DP …(75)
ここで、(75)式右辺の相関係数1はノック強度との相関を表すための係数である。この場合、ノックによる圧力上昇分DPが大きいほどノック強度推定値基本値KIC0が大きくなるようにしている。
ステップ228ではエンジン回転速度NRPMから図36を内容とするテーブルを検索することにより回転速度補正係数KNを次式により算出し、ステップ229でこの回転速度補正係数KNをノック強度推定値基本値KIC0に乗算した値を第1ノック強度推定値KICとして、つまり次式により第1ノック強度推定値KICを算出する。
KIC=KIC0×KN …(76)
ここで、回転速度補正係数KNは、エンジン回転速度NRPMが低いときのほうが回転速度が高いときよりノックによる圧力振動をドライバーが強く感じるので、この違いを第1ノック強度推定値に反映させるためのものである。すなわち、図36のようにKNの値は、基準回転速度NRPM0のときを1.0としてこれより低い回転速度域では1.0を超える値、この逆に基準回転速度NRPM0より高い回転速度域で1.0未満の値である。実際の値は実験により適合する。
一方、積算値SUMが1に達しないことあり、このときには図32のステップ211において、現在のクランク角θがやがて所定値const01を超える。このときには図32のステップ211より図33のステップ230に進み所定値を第1ノック強度推定値KICに入れて今回の処理を終了する。
次に、運転中における燃料のオクタン価推定値OCTESTの算出を図37のフローにより説明する。オクタン価の推定はノックセンサ47からの信号に基づいてノックが生じたか否かを検出しつつ行うので、図37のフローは点火毎に点火の直後に実行する。ここで、点火毎に実行するにはクランク角センサ(33、34)からの信号により作られる基準位置信号の入力より所定のクランク角が経過したタイミングで実行すればよい。
図37においてステップ261ではノックセンサ47を用いてノックが生じているか否かをみる。例えばノックセンサ47により検出される電圧値と所定値とを比較し、電圧値が所定値を超えていればノックが発生している、つまりオクタン価推定値OCTESTが実際のオクタン価より大きいと判断しステップ262に進み、オクタン価推定値OCTESTを第1の所定値const03だけ小さくする。つまり、次式によりオクタン価推定値OCTESTを更新する。
OCTEST(new)=OCTEST(old)−const03…(79)
ただし、OCTEST(new):更新後のオクタン価推定値、
OCTEST(old):更新前のオクタン価推定値、
const03 :小さくする側への更新量、
ノックが検出されない場合にはステップ261よりステップ263に進み図2のステップ3において算出されている点火時期最小値PADV[degBTDC]と図2のステップ1において算出されている基本点火時期MBTCAL[degBTDC]を比較する。点火時期最小値PADVが基本点火時期MBTCALと一致するときにはオクタン価推定値OCTESTと実際のオクタン価が一致しており、従ってオクタン価推定値を変更する必要がないので、そのまま今回の処理を終了する。
一方、点火時期最小値PADVが基本点火時期MBTCALと一致しないときにはオクタン価推定値OCTESTと実際のオクタン価が一致しておらずその結果として点火時期が遅角されていると判断し、ステップ263よりステップ264に進んでカウンタ値countと所定値const04とを比較する。カウンタ値countの初期値はゼロであり、ステップ264に進んできた当初はカウンタ値countが所定値const04未満にあるので、このときにはステップ265に進み、カウンタ値countを1だけインクリメントする。すなわち、カウンタ値countは図37のフローを一回実行する毎に値が1ずつ増すので、やがてカウンタ値countが所定値const04以上になる。このときにはステップ264よりステップ266に進んでオクタン価推定値OCTESTを第2の所定値const05だけ増やす。つまり、次式によりオクタン価推定値OCTESTを更新する。
OCTEST(new)=OCTEST(old)+const05…(80)
ただし、OCTEST(new):更新後のオクタン価推定値、
OCTEST(old):更新前のオクタン価推定値、
const05 :大きくする側への更新量、
オクタン価推定値OCTESTの更新は、カウンタ値countが所定値const04となる毎であるので、ステップ267ではカウンタ値countをゼロにリセットする。
図38は点火時期、カウンタ値count、オクタン価推定値OCTESTの動きを示している。図示のようにt01のタイミングでノックセンサ47によりノックを検出したときにはオクタン価推定値OCTESTが実際のオクタン価より大きい結果であると判断されオクタン価推定値OCTESTが第1の所定値const03だけステップ的に小さくされる。この結果、ノックが生じないようであれば、カウンタ値countが所定値const04に達する毎に今度はオクタン価推定値OCTESTが第2の所定値const05ずつ大きくなってゆく。そして、t02のタイミングで点火時期最小値PADVがMBTCALに一致した後はオクタン価推定値OCTESTの更新が中止されそのときの値が保持される。その後のt03のタイミングで再びノックが生じれば上記の操作が繰り返される。
このようにして算出されるオクタン価推定値OCTESTは図32のステップ208でのオクタン価推定値OCTESTの燃料での1/τの算出に用いられる。
図39、図40(図2のステップ2のサブルーチン)は第2ノック限界点火時期KNOCKcalを算出するためのもので、クランク角が所定の時期(例えばMBTCAL)になると実行する。
図39においてステップ301〜307は第1基本点火時期MBTCAL1[degBTDC]を算出する部分で、基本的に前述の図10、図12、図13で示した基本点火時期MBTCALの算出方法と同じである。ただし、前述の図10、図12においては初期燃焼期間の終了時期における燃焼質量割合である2%(=BR1)と、燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0とを用いて初期燃焼期間BURN1を(図10のステップ171参照)、また主燃焼期間の終了時期における燃焼質量割合である58%(=BR2)と、燃焼室5の圧縮上死点時期における容積VTDCとを用いて主燃焼期間BURN2を(図12のステップ191参照)算出したのに対して、ここでは第1初期燃焼期間の中間時期における燃焼質量割合である1%(=BR1p)と、燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積Vmb1pとを用いて第1初期燃焼期間BURN1ref1を(図41のステップ351参照)、また第1主燃焼期間の中間時期近傍における燃焼質量割合である31%(=BRmb31p)と、燃焼室の燃焼質量割合31%時における容積Vmb31pとを用いて第1主燃焼期間BURN2ref1を(図42のステップ371参照)算出する。
これは、開発当初は上記(19)式、(22)式に示したように、燃焼室容積(V0、VTDC)について燃焼開始時期や圧縮上死点時期を、燃焼質量割合(BR1、BR2)について終了時期をバラバラに採用していたのであるが、上記(19)式及び(22)式はそもそも実験式であり、その後の実験により各燃焼期間のほぼ中間時期を採用するほうがより平均的な値が得られることが判明したため、燃焼期間を算出するための値である燃焼室容積、燃焼質量割合とも中間時期の値を採用し直すようにしたものである。すなわち、第1初期燃焼期間(後述する第2初期燃焼期間についても)については燃焼質量割合が0%より2%の区間であるので、そのちょうど1/2の1%時を採用する。第1主燃焼期間(後述する第2主燃焼期間についても)については燃焼質量割合が2%より58%の区間であるので、そのちょうど1/2は28%となるが図31に示したように面積的には後半のほうが大きいので、後半に少し偏らせた31%時を採用する。ただし、31%時に限定されるものでなく、これに近いタイミングであればかまわない。
詳述すると、図39においてステップ301では図10のステップ171で算出されている初期燃焼期間BURN1、[deg]、図12のステップ191で算出されている主燃焼期間BURN2[deg]、図13のステップ43で算出されている基本点火時期MBTCAL[degBTDC]のほか、図51のステップ421で算出されている点火無駄時間相当値IGNDEAD[deg]、図5のステップ16で算出されている基準クランク角θPMAX[degATDC]を読み込む。
ステップ302では基本点火時期MBTCALを点火時期θign[degBTDC]に移し、ステップ303、304で燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積Vmb1p[m3]及び燃焼室5の燃焼質量割合31%時における容積Vmb31p[m3]を変数であるθign−IGNDEAD−BURN1/2、θign−IGNDEAD−BURN1−BURN2/2の関数として次式により算出する。
Vmb1p =f25(θign−IGNDEAD−BURN1/2)
…(81)
Vmb31p=f25(θign−IGNDEAD−BURN1
−BURN2/2)
…(82)
(81)式右辺の変数としてのθign−IGNDEAD−BURN1×(1/2)は燃焼質量割合が1%のときのクランク角[degBTDC]、(82)式右辺の変数としてのθign−IGNDEAD−BURN1−BURN2×(1/2)は燃焼質量割合が31%のときのクランク角[degBTDC]で、(81)、(82)式はこれら各クランク角の関数として燃焼室5のその各クランク角における容積Vmb1p、Vmb31pを求めるものである。すなわち、図31に示したように、燃焼質量割合とクランク角Θとの間には関係があり、また、図5のステップ12、図10のステップ162で求めたように燃焼室5の容積はそのときのクランク角により定まる(クランク角の関数である)ので、燃焼質量割合が1%、31%のときの各クランク角Θ[degATDC]を図31に示す燃焼質量割合の特性と同様の燃焼質量割合の特性(予め設定してある)を用いて求め、その求めたクランク角Θをクランク角θ[degBTDC]に変換し、その変換したクランク角θから、クランク角θをパラメータとするテーブルを検索することにより燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積Vmb1pと、燃焼室5の燃焼質量割合31%時における容積Vmb31pとを求めることができる。
上記の(81)式、(82)式右辺において、IGNDEAD、BURN1、BURNN2を負の値で与えているのは、(81)式、(82)式右辺の点火時期θignの単位がMBTCALと同じ[degBTDC]の単位であるためである。このため、(81)式、(82)式右辺のかっこ内のクランク角は基本点火時期MBTCALよりも遅角側の値となる。
ステップ305では燃焼質量割合1%と、燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積Vmb1pとを用いて第1初期燃焼期間BURN1ref1を、燃焼質量割合31%と、燃焼室5の燃焼質量割合31%時における室容積Vmb31pとを用いて第1主燃焼期間BURN2ref1をそれぞれ算出する。ここでは図10、図12のフローにより算出されているBURN1、BURN2と区別するため、添字としての「ref1」をつけている。このうち第1初期燃焼期間BURN1ref1及び後述する第2初期燃焼期間BURN1ref2の算出については図41のフローにより、第1主燃焼期間BURN2ref1及び後述する第2主燃焼期間BURN2ref2の算出については図42のフローにより説明する。
まず、図41から説明すると、ここでの第1または第2の初期燃焼期間の算出方法の基本的な考え方は図10に示した初期燃焼期間の算出方法と同じである。ここでは第1初期燃焼期間の算出方法で代表させて説明する。
図41(図39のステップ305のサブルーチン)においてステップ341では図14のステップ52、53で算出されているシリンダ新気量MACYL[g]及び内部不活性ガス量MRES[g]、燃料量QINJ[g]、温度センサ43により検出されるコレクタ内温度TCOL[K]、温度センサ45より検出される排気温度TEXH[K]、圧力センサ44により検出されるコレクタ内圧力PCOL[Pa]、図5のステップ12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVC[m3]、エンジン回転速度NRPM[rpm]、図5のステップ15で算出されている反応確率RPROBA[%]、図39のステップ303で算出されている燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積Vmb1p[m3]を読み込む。
ステップ342では燃焼質量割合1%時の有効圧縮比Emb1pを次式により算出する。
Emb1p=Vmb1p/VIVC …(83)
ステップ343〜347によりTCとPCを算出するための操作は図32のステップ202、204、205、215、216によりTCとPCを算出するための操作と同様である。異なるのは図32のステップ215、216においてはそのときのクランク角θでの圧縮比であるεθと、そのときのクランク角θでの燃焼質量割合であるBRとを用いたのに対して、図41のステップ346、347では燃焼質量割合1%時の瞬間圧縮比であるEmb1pと、燃焼質量割合1%時の燃焼質量割合であるBR1pとを用いる点である。すなわち、図41のステップ346、347では燃焼室5内の燃料が燃焼したときの平均温度TC[K]と平均圧力PC[Pa]を次式により算出する。
TC=TC0×Emb1p^0・35
+CF#×QINJ×BR1p/(MASSZ+WIDRY+QINJ)
…(84)
PC=PC0×Emb1p^1.35×TC/TC0/Emb1p^0.35
…(85)
ただし、CF#:燃料の低位発熱量、
ステップ348〜351により第1初期燃焼期間を算出するための操作は図10のステップ168〜171により初期燃焼期間を算出するための操作と同様である。異なるのは図10のステップ168において燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0と圧力P0とを用いて層流燃焼速度SL1を算出したのに対して、図41のステップ348では上記(84)式、(85)式で求めた温度TCと圧力PCを用いて層流燃焼速度SL1を算出する点、また図10のステップ171において初期燃焼期間BURN1の終了時期における燃焼質量割合であるBR1(=2%)と、燃焼室5の燃焼開始時期における容積であるV0とを用いて初期燃焼期間BURN1を算出したのに対して、図41のステップ351では第1初期燃焼期間の中間時期における燃焼質量割合である1%(=BR1p)と、燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積であるVmb1pとを用いて第1初期燃焼期間BURN1ref1を算出する点である。すなわち、ステップ348では第1初期燃焼期間における層流燃焼速度SL1[m/sec]を、またステップ351では第1初期燃焼期間BURN1ref1[deg]をそれぞれ次式により算出する。
SL1=SLstd×(TC/Tstd)2.18×(PC/Pstd)-0.16 …(86)
ただし、Tstd :基準温度[K]、
Pstd :基準圧力[Pa]、
SLstd:基準温度Tstdと基準圧力Pstdにおける基準層流燃焼
速度[m/sec]、
BURN1ref1={(NRPM×6)×BR1p×Vmb1p}
/(RPROBA×AF1×FLAME1) …(87)
ただし、AF1 :火炎核の反応面積(固定値)[m2]、
なお、図41のステップ351に示す「BURN1refi」は、第1初期燃焼期間である「BURN1ref1」と第2初期燃焼期間である「BURN1ref2」とをまとめて示している(つまりiは1または2)。これは、図41のフローが図39のステップ305と図40のステップ321の2箇所で用いられ、このうち図39のステップ305では第1初期燃焼期間BURN1ref1を、図40のステップ321では第2初期燃焼期間BURN1ref2を算出するようにしているためである。
次に、図42に移ると、ここでの第1または第2の主燃焼期間の算出方法の基本的な考え方は図12に示した主初期燃焼期間の算出方法と同じである。ここでは第1主燃焼期間の算出方法で代表させて説明する。
図42(図39のステップ305のサブルーチン)においてステップ361では図14のステップ52、53で算出されているシリンダ新気量MACYL[g]及び内部不活性ガス量MRES[g]、燃料量QINJ[g]、温度センサ43により検出されるコレクタ内温度TCOL[K]、温度センサ45より検出される排気温度TEXH[K]、圧力センサ44により検出されるコレクタ内圧力PCOL[Pa]、図5のステップ12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVC[m3]、エンジン回転速度NRPM[rpm]、図5のステップ15で算出されている反応確率RPROBA[%]、図39のステップ304で算出されている燃焼室5の燃焼質量割合31%時における容積Vmb31p[m3]を読み込む。
ステップ362では燃焼質量割合31%時の有効圧縮比Emb31pを次式により算出する。
Emb31p=Vmb31p/VIVC …(88)
ステップ363〜367によりTCとPCを算出するための操作は図32のステップ202、204、205、215、216によりTCとPCを算出するための操作と同様である。異なるのは図32のステップ215、216においてはそのときのクランク角θでの圧縮比であるεθと、そのときのクランク角θでの燃焼質量割合であるBRとを用いたのに対して、図42のステップ366、367では燃焼質量割合31%時の圧縮比であるEmb31pと、燃焼質量割合31%時の燃焼質量割合であるBR31pとを用いる点である。すなわち、図42のステップ366、367では燃焼室5内の燃料が燃焼したときの平均温度TC[K]と平均圧力PC[Pa]を次式により算出する。
TC=TC0×Emb31p^0・35
+CF#×QINJ×BR31p/(MASSZ+WIDRY+QINJ)
…(89)
PC=PC0×Emb31p^1.35×TC/TC0/Emb31p^0.35
…(90)
ただし、CF#:燃料の低位発熱量、
ステップ368〜371により第1主燃焼期間を算出するための操作は図12のステップ188〜191により主燃焼期間を算出するための操作と同様である。異なるのは図12のステップ188において燃焼室5の圧縮上死点における温度TTDCと圧力PTDCとを用いたのに対して、図42のステップ368では上記(89)式、(90)式で求めた温度TCと圧力PCとを用いる点、また図12のステップ191において主燃焼期間BURN2の終了時期における燃焼質量割合であるBR2(=58%)と、燃焼室5の圧縮上死点における容積であるVTDCとを用いたのに対して、図42のステップ371では第1主燃焼期間の中間時期の近傍における燃焼質量割合である31%(=BR31p)と、燃焼室5の燃焼質量割合31%時における容積であるVmb31pとを用いる点である。すなわち、ステップ368では第1主燃焼期間における層流燃焼速度SL2[m/sec]を、またステップ371では第1主燃焼期間BURN2ref1[deg]をそれぞれ次式により算出する。
SL2=SLstd×(TC/Tstd)2.18×(PC/Pstd)-0.16 …(91)
ただし、Tstd :基準温度[K]、
Pstd :基準圧力[Pa]、
SLstd:基準温度Tstdと基準圧力Pstdにおける基準層流燃焼
速度[m/sec]、
BURN2ref1={(NRPM×6)×BR31p×Vmb31p}
/(RPROBA×AF2×FLAME1) …(92)
ただし、AF2 :火炎核の反応面積(固定値)[m2]、
なお、図42のステップ371に示す「BURN2refi」も、第1主燃焼期間である「BURN2ref1」と第2主燃焼期間である「BURN2ref2」とをまとめて示している(つまりiは1または2)。これは、図42のフローが図39のステップ305と図40のステップ321の2箇所で用いられ、このうち図39のステップ305では第1主燃焼期間BURN2ref1を、図40のステップ321では第2主燃焼期間BURN2ref2を算出するようにしているためである。
このようにして2つの第1燃焼期間BURN1ref1、BURN2ref1の算出を終了したら図39のステップ306に戻り第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1[deg]を算出する。ここでも図51のフローにより算出されているIGNDEADと区別するため、添字としての「ref1」をつけている。この第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1及び後述する第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2の算出については図43のフローにより説明する。
図43(図39のステップ306のサブルーチン)のフローは第1または第2の点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1を算出するためのもので、その算出方法は前述した図51に示す点火無駄時間相当クランク角IGNDEADの算出方法と基本的に変わらない。ここでは第1主燃焼期間の算出方法で代表させて説明する。
図51に示す点火無駄時間相当クランク角IGNDEADの算出方法と異なるのは、図51においては燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0を算出するのに前回燃焼開始時期MBTCYCLを用いたのに対して(図51のステップ411、412参照)、図43では点火時期θignを用いる(図43のステップ381、382参照)点だけである。従って異なる点を主に説明すると、図43のステップ381において図39のステップ302で得られている点火時期θign[degBTDC](=MBTCAL)、図5のステップ12で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における容積VIVC[m3]、図5のステップ13で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における温度TINI[K]、図5のステップ14で算出されている燃焼室5の吸気弁閉時期における圧力PINI[Pa]、目標当量比TFBYA、エンジン回転速度NRPM[rpm]を読み込み、このうち点火時期θignを用いステップ382において燃焼室5の燃焼開始時期における容積V0を算出する。
ステップ383〜385では図51のステップ413〜415と同様にして燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0[K]と、燃焼室5の燃焼開始時期における圧力P0[Pa]とを算出する。
なお、図43のステップ391に示す「IGNDEADrefi」も、第1点火無駄時間相当クランク角である「IGNDEADref1」と第2点火無駄時間相当クランク角である「IGNDEADref2」とをまとめて示している(つまりiは1または2)。これは、図43のフローが図39のステップ306と図40のステップ322の2箇所で用いられ、このうち図39のステップ306では第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1を、図40のステップ322では第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2を算出するようにしているためである。
このようにして点火時期θignを用いての第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1[deg]の算出を終了したら図39に戻りステップ307では図39のステップ305、306で算出している第1燃焼期間BURN1ref1、BURN2ref1、第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1を用いて次式により第1基本点火時期MBTCAL1[degBTDC]を算出する。
MBTCAL1=BURN1ref1+BURN2ref1−θPMAX
+IGNDEADref1
…(93)
ここでは図13のフローにより算出されている基本点火時期MBTCALと区別するため、添字としての「1」をつけている。従ってこの(93)式は上記(23)式と基本的に同じである。
ステップ308ではこのようにして算出した第1燃焼期間BURN1ref1、BURN2ref1、第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1、第1基本点火時期MBTCAL1を用いて図31に示したように燃焼質量割合BRの波形を初期設定する。すなわち、第1燃焼遅れ期間、第1初期燃焼期間、第1主燃焼期間の各期間での燃焼質量割合の式である上記(61)〜(63)式を算出し、算出した式は記憶しておく。
ステップ309では、上記の第1基本点火時期MBTCAL1におけるノック強度推定値を第1ノック強度推定値KICとして算出する。この第1ノック強度推定値KICの算出については図32、図33により前述したところである。すなわち、図32、図33は図39のステップ308のサブルーチンであった。従って、第1ノック強度推定値KICの算出についての再度の説明は省略する。
ステップ310ではトレースノック強度をエンジン回転速度NRPMから図47を内容とするテーブルを検索して求める。トレースノック強度は周知のように軽いノックが生じるときのノック強度で、図47のようにエンジン回転速度NRPMが低いほど大きくなる値である。
ステップ311では第1ノック強度推定値KICと、このトレースノック強度を比較する。第1ノック強度推定値KICがトレースノック強度未満のときには燃焼質量割合BRの波形は図31に示した初期設定のままでよいと判断し、ステップ312に進んで第1基本点火時期MBTCAL1をそのままノック限界点火時期KNOCKcal[degBTDC]として設定し今回の処理を終了する。
一方、第1ノック強度推定値KICがトレースノック強度以上のときには図31に示した初期設定の燃焼質量割合BRの波形では実際の燃焼質量波形からのずれが生じていると判断し、実際の燃焼質量割合の変化に合わせて燃焼質量割合の波形を再設定するためステップ311よりステップ313に進み点火時期のノックリタード量KNRT[deg]を第1ノック強度推定値KICとトレースノック強度の差に基づいて、つまり次式により算出して図40に示す操作に進む。
KNRT=(KIC−トレースノック強度)×所定値 …(94)
図40のステップ314〜327は、第2基本点火時期MBTCAL2より遅角した点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度推定推定値を第2ノック強度推定値KIC2として算出する部分である。図40においてまずステップ314では点火時期θign[degBTDC](=MBTCAL1)の値を前回値を表すθignz[degBTDC]に移し、この点火時期前回値θignzからノックリタード量KNRTを差し引いた値(つまり第1基本点火時期MBTCAL1よりノックリタード量KNRTだけ遅角側の値)を点火時期θign[degBTDC]として算出する。これは初回だけであり、2回目からは点火時期θignの値を前回値を表すθignzに移し、この点火時期前回値θignzからノックリタード量KNRTを差し引いた値(つまり図40のステップ323で算出される第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角側の値)を点火時期θignとして算出する。
ステップ315では図39のステップ305、306で算出している第1燃焼期間BURN1ref1、BURN2ref1及び第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1の値を第2初期燃焼期間、第2主燃焼期間、第2点火無駄時間相当クランク角の各前回値を表すBURN1ref2z、BURN2ref2z、IGNDEADref2zに移す。ただし、これは初回だけであり、2回目からは図40のステップ321、322で算出される第2初期燃焼期間BURN1ref2、第2主燃焼期間BURN2ref2、第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2を各前回値を表すBURN1ref2z、BURN2ref2z、IGNDEADref2zに移す。
ステップ316では点火時期θign(初回は第1基本点火時期MBTCAL1よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期)を用いて燃焼室5の燃焼質量割合1%時における容積Vmb1p[m3]を次式により算出する。この操作は図39のステップ303の操作と同様である。
Vmb1p=f25(θign−IGNDEADref2z
−BURN1ref2/2)
…(95)
ステップ317〜320は燃焼室5の燃焼質量割合31%時における容積Vmb31pを算出する部分である。まずステップ317では燃焼質量割合が31%のときのクランク角の前回値θmb31pz[degBTDC]を次式により算出する。
θmb31pz=θignz−IGNDEADref2z−BURN1ref2z
−BURNN2ref2/2
…(96)
ステップ318では燃焼質量割合が2%のときのクランク角の前回値と、燃焼質量割合が2%のときのクランク角の今回値との差θ2pdif[deg]を次式により算出する。
θ2pdif=(θignz−IGNDEADref2z−BURN1ref2z)
−(θign−IGNDEADref2−BURN1ref2) …(97)
ステップ319では燃焼質量割合が31%のときのクランク角の今回値θmb31p[degBTDC]を次式により算出する。
θmb31p=θmb31pz−θ2pdif …(98)
ステップ320ではこのクランク角θmb31pから燃焼室5の燃焼質量割合31%時における容積Vmb31p[m3]を次式により算出する。この操作は図39のステップ304の操作と同様である。
Vmb31p=f25(θmb31p) …(99)
ステップ321、322では上記(95)式、(99)式で得られた燃焼室容積Vmb1p、Vmb31pを用いて第2初期燃焼期間BURN1ref2、第2主燃焼期間BURN2ref2を、また初回は第1基本点火時期MBTCAL1より遅角された点火時期(MBTCAL1−KNRT)を用いて燃焼室5の燃焼開始時期における温度T0及び圧力P0を算出し第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2を算出する。これら第2燃焼期間BURN1ref2、BURN2ref2及び第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2の算出には図41、図42、図43のフローを用いればよい。
ステップ323ではこのようにして算出した第2燃焼期間BURN1ref2、BURN2ref2及び第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2を用いて上記(93)式と同様の式である次式により第2基本点火時期MBTCAL2[degBTDC]を算出する。
MBTCAL2=BURN1ref2+BURN2ref2−θPMAX
+IGNDEADref2
…(100)
これで、燃焼質量波形BRの再設定に必要となる第2基本点火時期MBTCAL2、第2初期燃焼期間BURN1ref2、第2主燃焼期間BURN2ref2、第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2が全て求まったので、ステップ324ではこれらの値を用いて燃焼質量波形を再設定する。すなわち、上記(61)式〜(63)式と同様の次式により第2燃焼遅れ期間、第2初期燃焼期間、第2主燃焼期間における燃焼質量割合BRの一次式を算出し、算出した式は記憶しておく。
第2燃焼遅れ期間;
BR=0 …(101)
第2初期燃焼期間;
BR=SS1×(Θ+MBTCAL2−IGNDEADref2)
…(102)
第2主燃焼期間 ;
BR=0.02+SS2×(Θ+MBTCAL2−IGNDEADref2
−BURN1ref2)
…(103)
ただし、SS1:0.02/BURN1ref2、
SS2:0.58/BURN2ref2、
図48は初期設定の燃焼質量割合の波形(実線参照)と、再設定される燃焼質量割合の波形(一点鎖線参照)との違いをモデルで示したものである。第1基本点火時期MBTCAL1よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL1−KNRT)で点火して燃焼する場合には第1基本点火時期MBTCAL1で点火して燃焼する場合よりも燃焼速度が遅くなるため、そのぶん燃焼質量割合の波形が変化する。
そこで、改めて、第1基本点火時期MBTCAL1よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL1−KNRT)で点火して燃焼する場合の値である第2燃焼期間BURN1ref2、BURN2ref2、第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2、第2基本点火時期MBTCAL2を算出し、これらより燃焼質量割合を再設定したのが一点鎖線の特性である。この一点鎖線の特性によれば、基本点火時期からの遅角に伴う燃焼速度の遅れの分だけ変化した実際の燃焼質量割合の変化をよく近似できるものとなっている。
このようにして燃焼質量波形の再設定が終了すると、ステップ325ではその再設定した燃焼質量波形を用いて、第2基本点火時期MBTCAL2よりリタードさせた点火時期(=MBTCAL2−KNRT)でのノック強度推定値を第2ノック強度推定値KIC2として算出する。第2ノック強度推定値には図39のステップ309で算出される第1ノック強度推定値KICと区別するため、添字としての「2」をつけている。
第2ノック強度推定値KIC2の算出については図49、図50のフローにより説明する。
図49、図50(図40のステップ325のサブルーチン)において第2ノック強度推定値KIC2の算出方法そのものは、図32、図33に示した第1ノック強度推定値KICの算出方法と同じであるので、図32、図33と同一部分に同一のステップ番号をつけている。
図32、図33と相違するのはステップ401、402、403、404、405のみである。すなわち、ステップ401では図40のステップ322、323で算出されている第2点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref2、第2基本点火時期MBTCAL2に加えて図39のステップ313で用いられているノックリタード量KNRTをも読込み、ステップ402でクランク角θに(MBTCAL2−KNRT)−IGNDEADref2を入れる。これは、第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角した点火時期を起点として第2ノック強度推定値KIC2を算出するものである。
ステップ204〜217、図50のステップ218では、図32、図33の場合と同様にして自着火時期θknkを算出する。
図50のステップ403では再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknkを算出する。この自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknk算出方法そのものは図33のステップ219での操作と同じである。すなわち、自着火時期θknkが第2初期燃焼期間にあるときにはこの自着火時期θknkを圧縮上死点TDCを基準とする上記のクランク角Θに変換し、その変換したクランク角Θを上記の(102)式に、また自着火時期θknkが第2主燃焼期間にあるときにはこの自着火時期θknkを圧縮上死点TDCを基準とする上記のクランク角Θに変換し、その変換したクランク角Θを上記の(103)式にそれぞれ代入することによって求めることができる。
図50のステップ220〜228、404ではこの燃焼質量割合BRknkと燃料量QINJとを用いて未燃燃料量MUBを算出し、この未燃燃料量MUBに基づいてノックによる圧力上昇量DPを算出し、このノックによる圧力上昇量DPに基づいて第2ノック強度推定値KIC2を算出する。
このようにして、再設定した燃焼質量波形を用いての第2ノック強度推定値KIC2の算出を終了すると、図40に戻り、この第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度をステップ326で比較する。比較の結果、第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度が一致するときには、再設定した燃焼質量波形が、リタードさせた点火時期のときの実際の燃焼質量波形をよく近似することを表すので、このときにはステップ327に進んでそのときの点火時期であるMBTCAL2−KNRT(=θign)の値をノック限界点火時期KNOCKcal[degBTDC]に移して今回の処理を終了する。
一方、第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度が一致していないことは、現在の点火時期に対する燃焼質量波形では実際の燃焼質量波形にまだ一致していないことを表すので、このときにはステップ328に進み、ノックリタード量が適切であったか否かをみるため第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度を比較する。第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度より大きいときには、図39のステップ313で算出しているノックリタード量KNRTではまだ足りないと判断してステップ329に進み、ノックリタード量KNRTを第1の所定値const1だけ大きくする。つまり次式によりノックリタード量KNRTを更新する。
KNRT(new)=KNRT(old)+const1 …(104)
ただし、KNRT(new):更新後のノックリタード量、
KNRT(old):更新前のノックリタード量、
const1 :大きくする側への更新量、
このようにしてノックリタード量を更新した後はステップ314に戻ってステップ314〜326の操作を再び実行する。すなわち、ステップ314では更新後のノックリタード量KNRTを用いて点火時期θignを算出し、この新たな点火時期θignを用いてステップ315〜323の操作を実行して、燃焼質量波形の設定に必要となるMBTCAL2、BURN1ref2、BURN2ref2、IGNDEADref2を算出しこれらを用いステップ324において燃焼質量波形を再設定し、その再設定した燃焼質量割合の波形を用いてその新たな点火時期θignでの第2ノック強度推定値KIC2をステップ325で算出し、その算出した第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度をステップ326で比較する。比較の結果、第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度と一致すればステップ326よりステップ327に進んでそのときの点火時期であるMBTCAL2−KNRT(=θign)の値をノック限界点火時期KNOCKcalに移して今回の処理を終了する。
それでも、第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度と一致しなればステップ328に進んで第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度以上であるか否かをみてまだ第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度以上であるときにはステップ329でさらにノックリタード量KNRTを増大側に更新した後、ステップ314に戻ってステップ314〜326の操作を再び実行する。このようにしてやがては第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度が一致することになり、ステップ327の操作を実行して今回の操作を終了する。
一方、第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度より小さければ、図39のステップ313で算出しているノックリタード量KNRTが大きすぎたと判断してステップ328よりステップ330に進み、ノックリタード量KNRTを第2の所定値const2だけ小さくする。つまり次式によりノックリタード量KNRTを更新する。
KNRT(new)=KNRT(old)−const2 …(105)
ただし、KNRT(new):更新後のノックリタード量、
KNRT(old):更新前のノックリタード量、
const2 :小さくする側への更新量、
このようにしてノックリタード量を更新した後はステップ314に戻ってステップ314〜326の操作を再び実行する。すなわち、ステップ314では更新後のノックリタード量KNRTを用いて点火時期θignを算出し、この新たな点火時期θignを用いてステップ315〜323の操作を実行して、燃焼質量波形の設定に必要となるMBTCAL2、BURN1ref2、BURN2ref2、IGNDEADref2を算出しこれらを用いステップ324において燃焼質量波形を再設定し、その再設定した燃焼質量割合の波形を用いてその新たな点火時期θignでの第2ノック強度推定値KIC2をステップ325で算出し、その算出した第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度をステップ326で比較する。比較の結果、第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度と一致すればステップ326よりステップ327に進んでそのときの点火時期であるMBTCAL2−KNRT(=θign)の値をノック限界点火時期KNOCKcalに移して今回の処理を終了する。
それでも、第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度と一致しなればステップ328に進んで第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度未満であるか否かをみてまだ第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度未満であるときにはステップ330でさらにノックリタード量KNRTを減少側(進角側)に更新した後、ステップ314に戻ってステップ314〜326の操作を再び実行する。このようにしてやがては第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度が一致することになり、ステップ327の操作を実行して今回の操作を終了する。
なお、上記の所定値const1、const2の設定の仕方によっては第2ノック強度推定値KIC2とトレースノック強度が一致することがなくノックリタード量KNRTが収束しない事態が生じ得るので、そうならないように上記の所定値const1、const2は事前の予備実験等によりマッチングする。あるいはトレースノック強度に所定の許容範囲を設けておき、第2ノック強度推定値KIC2がこの許容範囲に収まったときにはノックリタード量KNRTが収束したとみなしてステップ327に進ませるようにする。
なお、図40のステップ314よりステップ330のループ操作は一瞬にして終了するのであり、次の燃焼サイクルの基本点火時期MBTCALのタイミングまで長引くことはない。
そのあとはクランク角が次の燃焼サイクルの基本点火時期MBTCALにくるまでそのまま待機し、再び図39、図40の処理を実行する。こうして一燃焼サイクル毎にノック限界点火時期KNOCKcalが求められる。
このようにしてノック限界点火時期KNOCKcalの算出を終了したら図2のステップ3に戻り、基本点火時期MBTCAL[degBTDC]とノック限界点火時期KNOCKcal[degBTDC]のうちから小さいほう、つまり遅角側の値を点火時期最小値PADVとして選択し、さらにステップ4ではこれに水温等による各種の補正を加えた値を点火時期指令値QADV[degBTDC]として設定する。エンジンの暖機完了後であれば、水温等による補正はないので、点火時期指令値QADVは点火時期最小値PADVに等しくなる。
こうして設定した点火時期指令値QADVは、ステップ5で点火レジスタに移され、実際のクランク角がこの点火時期指令値QADVと一致したタイミングでエンジンコントローラ31より一次電流を遮断する点火信号が点火コイル13に出力される。
ここで、本実施形態の作用効果を説明する。
本実施形態(請求項4に記載の発明)によれば、ノック限界点火時期設定手段が、燃焼室5内の燃料が自着火にいたるまでの時間の逆数の分布を表す特性に基づいて燃焼室5内の燃料が自着火する時期θknkを推定する自着火時期推定手段(図32及び図33のステップ218参照)と、基本点火時期MBTCALで点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性に基づいて自着火時期θknkにおける燃焼質量割合BRknkを算出する自着火時燃焼質量割合算出手段(図33のステップ219参照)と、この算出した自着火時期における燃焼質量割合BRknkと燃料量QINJとに基づいて未燃燃料量MUBを算出する未燃燃料量算出手段(図33のステップ222参照)と、この未燃燃料量MUBに基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量DPを算出する圧力上昇量算出手段(図33のステップ226参照)と、この燃焼室5内のノックによる圧力上昇量DPに基づいて第1ノック強度推定値KICを算出する第1ノック強度推定値算出手段(図33のステップ227〜229参照)と、この第1ノック強度推定値KICとトレースノック強度(スライスレベル)を比較する比較手段(図39のステップ311参照)と、この比較結果より第1ノック強度推定値KICがトレースノック強度以上である場合に所定のノックリタード量KNRTを算出するノックリタード量算出手段(図39のステップ313参照)と、第1基本点火時期MBTCAL1よりこのノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL1−KNRT)で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を第2燃焼期間(BURN1ref2、BURN2ref2)として算出する第2燃焼期間算出手段(図40のステップ314〜321参照)と、この第2燃焼期間(BURN1ref2、BURN2ref2)に基づいてMBTの得られる基本点火時期を第2基本点火時期MBTCAL2として算出する第2基本点火時期算出手段(図40のステップ323参照)と、前記第2燃焼期間(BURN1ref2、BURN2ref2)に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期(MBTCAL2)より前記クリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定する再設定手段(図40のステップ324参照)と、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度推定値を第2ノック強度推定値KIC2として算出する第2ノック強度算出手段(図40のステップ325参照)と、この第2ノック強度推定値KIC2がトレースノック強度と一致するとき第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)をノック限界点火時期KNOCKcalとして設定するノック限界点火時期設定手段(図40のステップ326、327参照)とを備えるので、再設定後の燃焼質量割合の特性が第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で点火して燃焼させる場合の実際の燃焼質量割合の特性と合致することになり、第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で燃焼させる場合であっても、第2ノック強度推定値KIC2を精度よく算出できる(ノック強度の推定が正確なものになる)。
第2基本点火時期MBTCAL2から遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で点火したときの層流燃焼速度は、第1基本点火時期MBTCAL1(あるいは図13のステップ43により算出されるMBTCAL)で点火したときの層流燃焼速度と異なることに対応して、本実施形態(請求項5に記載の発明)によれば、第2燃焼期間算出手段が、第2燃焼期間(BURN1ref2、BURN2ref2)を、第1基本点火時期MBTCAL1(あるいは図13のステップ43により算出されるMBTCAL)で点火して燃焼する場合の層流燃焼速度と異なる層流燃焼速度(SL1、SL2)を用いて算出するので(図10のステップ168及び図41のステップ348の違い、図12のステップ188及び図42のステップ368の違い参照)、第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で点火して燃焼する場合の層流燃焼速度(SL1、SL2)を正確に算出できる。
乱れ強さ(ST1、ST2)は第2基本点火時期MBTCAL2よりノックリタード量KNRTだけ遅角させた点火時期(MBTCAL2−KNRT)で点火して燃焼させた場合と、第1基本点火時期MBTCAL1で点火して燃焼させた場合とで変わらないことを実験により確認しており、これに対応して本実施形態(請求項7に記載の発明)によれば、第1、第2の燃焼期間算出手段が層流燃焼速度(SL1、SL2)を乱れ強さ(ST1、ST2)で補正する(図41のステップ350、図42のステップ370参照)と共に、第2燃焼期間算出手段が用いる乱れ強さ(ST1、ST2)が第1燃焼期間算出手段が用いる乱れ強さ(SL1、ST2)と同じである(図10のステップ169及び図41のステップ349参照、図12のステップ189及び図42のステップ369参照)ので、第2燃焼期間算出手段による第2燃焼期間の算出が正確になると共にROM容量を削減できる。
本実施形態(請求項8に記載の発明)によれば、第1及び第2の燃焼期間を燃焼質量割合の変化に応じて複数(初期燃焼期間と主燃焼期間の2つ)に分割しているので、燃焼の初期と後期とで燃焼速度(つまり燃焼質量割合)が大きく変化する実際の現象によく対応させることができる。
本実施形態(請求項9に記載の発明)によれば、第2燃焼期間算出手段が、第2燃焼期間(BURN1ref2、BURN2ref2)を算出する際に、燃焼室5のその燃焼期間の中間時期における容積(Vmb1p、Vmb31p)と、燃焼室5のその燃焼期間の中間時期における燃焼質量割合(BR1p、BR31p)とを用いるので(図41のステップ351及び図42のステップ371参照)、第2燃焼期間(BURN1ref2、BURN2ref2)の算出精度が上がり、そのぶん燃焼質量割合の特性の再設定の精度も向上する。
本実施形態(請求項10に記載の発明)によれば、点火信号を点火コイル13と点火プラグ14等からなる点火装置(火花点火手段)に出力してから点火プラグ14により燃焼室5内で点火が行われるまでのクランク角区間である点火無駄時間相当クランク角(IGNDEADref2)を燃焼に関するパラメータ(燃焼室5の燃焼開始時期おける圧力P0、燃焼室5の燃焼開始時期おける温度T0、空燃比としての目標空気過剰率TLAMBDA)に応じて算出する点火無駄時間相当クランク角算出手段を備え(図43参照)、前記再設定手段がこの点火無駄時間相当クランク角(IGNDEADref2)に基づいても燃焼質量割合の特性を再設定するので(図40のステップ322〜324参照)、燃焼に関するパラメータが変化しても、燃焼質量割合の特性を精度よく再設定できる。
実施形態では、未燃燃料量MUBに基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量DPを算出する場合で説明したが、未燃燃料割合に基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量DPを算出するようにしてもかまわない(請求項3、4に記載の発明)。
実施形態では、燃焼ガスの層流状態での燃焼速度である層流燃焼速度(SL1、SL2)、燃焼室内の燃焼ガス体積に相当する容積である燃焼ガス体積相当容積(V0、VTDC)、所定のクランク角までに前記燃焼室内で燃焼するガスの燃焼質量割合(BR1、BR2)及び所定運転条件での燃焼ガスの燃焼のしやすさを示す反応確率(RPROBA)に基づいて燃焼開始から所定クランク角までの第1燃焼期間(BURN1、BURN2)を算出する第1燃焼期間算出手段と、この第1燃焼期間(BURN1、BURN2)に基づいてMBTの得られる基本点火時期(MBTCAL)を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段とを備える場合で説明したが、これに限られるものでなく、他の公知の算出方法によりMBTの得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出するものにも本発明を適用できる(請求項1に記載の発明)。
実施形態では、図39、図40に示したように第1燃焼期間BURN1ref1、BURN2ref1、第1点火無駄時間相当クランク角IGNDEADref1、第1基本点火時期MBTCAL1を算出し(図39のステップ305〜307参照)、これらに基づいて燃焼質量割合の特性を初期設定すると共に(図39のステップ308参照)、基本点火時期MBTCAL1を基準にして点火時期を遅角させる場合で説明したが、図10、図12に示した燃焼期間BURN1、BURN2、図51に示した点火無駄時間相当クランク角IGNDEAD、図13に示した基本点火時期MBTCALに基づいて燃焼質量割合の特性を初期設定すると共に、図13のステップ43に示した基本点火時期MBTCALを基準にして点火時期を遅角させるように構成してもかまわない(請求項4に記載の発明)。
実施形態では、第2燃焼期間算出手段が、第2燃焼期間を、第1基本点火時期MBTCALで点火して燃焼する場合の層流燃焼速度と異なる層流燃焼速度(SL1、SL2)を用いて算出する場合で説明したが(図41のステップ348、図42のステップ368参照)、第2燃焼期間算出手段が、第2燃焼期間を、第1基本点火時期MBTCAL1で点火して燃焼すると場合の層流燃焼速度と同じ層流燃焼速度(SL1、SL2)を用いて算出させることもできる(請求項6に記載の発明)。これによれば、演算負荷を小さくできる。
実施形態では、オクタン価推定値を算出する場合で説明したが、これに限られるものでなく、オクタン価推定値を算出しないものにも適用がある。さらにはガソリンとアルコールの混合燃料を使用するものにも適用がある。
請求項1に記載の発明において、自着火時期推定手段の機能は図32及び図33のステップ218により、第1ノック強度推定値算出手段の機能は図33のステップ227〜229により、比較手段の機能は図39のステップ311により、ノックリタード量算出手段の機能は図39のステップ313により、燃焼期間算出手段の機能は図40のステップ314〜321により、第2基本点火時期算出手段の機能は図40のステップ323により、第2ノック強度推定値算出手段の機能は図40のステップ325により、ノック限界点火時期設定手段の機能は図40のステップ326、327によりそれぞれ果たされている。
請求項4に記載の発明において、層流燃焼速度算出手段の機能は図10のステップ168及び図12のステップ188により、燃焼ガス体積相当容積算出手段の機能は図10のステップ162及び図12のステップ182により、燃焼質量割合算出手段の機能は図10のステップ171及び図12のステップ191により、反応確率算出手段の機能は図5のステップ15により、第1燃焼期間算出手段の機能は図10のステップ171及び図12のステップ191(または図39のステップ305)により、第1基本点火時期算出手段の機能は図13のステップ43(または図39のステップ307)により、自着火時期推定手段の機能は図32及び図33のステップ218により、自着火時燃焼質量割合算出手段の機能は図33のステップ219により、未燃燃料量算出手段の機能は図33のステップ222により、圧力上昇量算出手段の機能は図33のステップ226により、第1ノック強度推定値算出手段の機能は図33のステップ227〜229により、比較手段の機能は図39のステップ311により、ノックリタード量算出手段の機能は図39のステップ313により、第2燃焼期間算出手段の機能は図40のステップ314〜321により、第2基本点火時期算出手段機能は図40のステップ323により、再設定手段の機能は図40のステップ324により、第2ノック強度推定値算出手段の機能は図40のステップ325により、ノック限界点火時期設定手段の機能は図40のステップ326、327によりそれぞれ果たされている。
一実施形態のエンジンの制御システム図。 点火時期制御を説明するためのフローチャート。 燃焼室の圧力変化図。 燃焼質量割合の変化を説明する特性図。 物理量の算出を説明するためのフローチャート。 エンジンのクランクシャフトとコネクティングロッドの位置関係を説明するダイアグラム。 水温補正係数の特性図。 当量比補正係数の特性図。 基準クランク角の特性図。 初期燃焼期間の算出を説明するためのフローチャート。 温度上昇率の特性図。 主燃焼期間の算出を説明するためのフローチャート。 基本点火時期の算出を説明するためのフローチャート。 内部不活性ガス率の算出を説明するためのフローチャート。 内部不活性ガス量の算出を説明するためのフローチャート。 EVC時不活性ガス量の算出を説明するためのフローチャート。 オーバーラップ中吹き返し不活性ガス量の算出を説明するためのフローチャート。 過給判定フラグ、チョーク判定フラグの設定を説明するためのフローチャート。 過給無しかつチョーク無し時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量の算出を説明するためのフローチャート。 過給無しかつチョーク有り時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量の算出を説明するためのフローチャート。 過給有りかつチョーク無し時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量の算出を説明するためのフローチャート。 過給有りかつチョーク有り時のオーバーラップ中吹き返し不活性ガス流量の算出を説明するためのフローチャート。 排気弁閉時期における燃焼室容積の特性図。 不活性ガスのガス定数の特性図。 オーバーラップ中の積算有効面積の特性図。 オーバーラップ中の積算有効面積の説明図。 不活性ガスの比熱比の特性図。 混合気の比熱比の特性図。 ノック発生時の燃焼室内の圧力履歴を示す特性図。 オクタン価100の燃料での1/τの特性図。 オクタン価80の燃料での1/τの特性図。 直線で近似した場合の燃焼質量割合の変化を示す特性図。 第1ノック強度推定値の算出を説明するためのフローチャート。 第1ノック強度推定値の算出を説明するためのフローチャート。 総ガスモル数の算出を説明するためのフローチャート。 ガスエンタルピの算出を説明するためのフローチャート。 回転速度補正係数の特性図。 オクタン価推定値の算出を説明するためのフローチャート。 ノック検出時のオクタン価推定値の動きを示す波形図。 ノック限界点火時期の算出を説明するためのフローチャート。 ノック限界点火時期の算出を説明するためのフローチャート。 第1または第2の初期燃焼期間の算出を説明するためのフローチャート。 第1または第2の主燃焼期間の算出を説明するためのフローチャート。 第1または第2の点火無駄時間相当クランク角の算出を説明するためのフローチャート。 点火無駄時間基本値の特性図。 温度補正係数の特性図。 空気過剰率補正係数の特性図。 トレースノック強度の特性図。 燃焼質量割合の再設定を示す特性図。 第2ノック強度推定値の算出を説明するためのフローチャート。 第2ノック強度推定値の算出を説明するためのフローチャート。 点火無駄時間相当クランク角の算出を説明するためのフローチャート。
符号の説明
1 エンジン
5 燃焼室
11 点火装置(火花点火手段)
21 燃料インジェクタ
31 エンジンコントローラ

Claims (15)

  1. 所定の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段と、
    ノック限界点火時期を設定するノック限界点火時期設定手段と、
    これら第1基本点火時期、ノック限界点火時期のいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段と
    を備えるエンジンのノック制御装置において、
    前記ノック限界点火時期設定手段が、
    前記第1基本点火時期で点火した場合に燃焼室内の燃料が自着火する時期を推定する自着火時期推定手段と、
    この算出した自着火時期に基づいて第1ノック強度推定値を算出する第1ノック強度推定値算出手段と、
    この第1ノック強度推定値とスライスレベルを比較する比較手段と、
    この比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル未満である場合に前記第1基本点火時期をそのままノック限界点火時期として設定するノック限界点火時期設定手段と、
    前記比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル以上である場合に所定のノックリタード量を算出するノックリタード量算出手段と、
    前記第1基本点火時期よりこのノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を算出する燃焼期間算出手段と、
    この燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第2基本点火時期として算出する第2基本点火時期算出手段と、
    この第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出する第2ノック強度推定値算出手段と、
    この第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致するとき前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として設定するノック限界点火時期設定手段と
    前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、
    前記算出したノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、
    前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の燃焼期間として算出し、
    この更新後の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、
    この更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、
    この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較する
    ことを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、
    また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、
    前記算出したノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、
    前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の燃焼期間として算出し、
    この更新後の燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、
    この更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、
    この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較する
    ことを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定するノック限界点火時期設定手段と
    を備えることを特徴とするエンジンのノック制御装置。
  2. 前記第1ノック強度推定値算出手段は、前記第1基本点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期における燃焼質量割合を算出する自着火時燃焼質量割合算出手段と、この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて第1ノック強度推定値を算出するノック強度推定値算出手段とからなり、
    前記第2ノック強度推定値算出手段は、前記燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定する再設定手段と、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出するノック強度推定値算出手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのノック制御装置。
  3. 前記自着火時期推定手段は、燃焼室内の燃料が自着火する時期を燃焼室内の燃料が自着火にいたるまでの時間の逆数の分布を表す特性に基づいて推定すると共に、
    前記第1ノック強度推定値算出手段は、前記第1基本点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期における燃焼質量割合を算出する自着火時燃焼質量割合算出手段と、この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて未燃燃料量または未燃燃料割合を算出する未燃燃料量算出手段と、この未燃燃料量または未燃燃料割合に基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量を算出する圧力上昇量算出手段と、この燃焼室内のノックによる圧力上昇量に基づいて第1ノック強度推定値を算出するノック強度推定値算出手段とからなり、
    前記第2ノック強度推定値算出手段は、前記燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定する再設定手段と、この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出するノック強度推定値算出手段とからなることを特徴とする請求項1に記載のエンジンのノック制御装置。
  4. 燃焼ガスの層流状態での燃焼速度である層流燃焼速度を算出する層流燃焼速度算出手段と、
    燃焼室内の燃焼ガス体積に相当する容積を算出する燃焼ガス体積相当容積算出手段と、
    所定のクランク角までに前記燃焼室内で燃焼するガスの燃焼質量割合を算出する燃焼質量割合算出手段と、
    所定運転条件での燃焼ガスの燃焼のしやすさを示す反応確率を算出する反応確率算出手段と、
    これら層流燃焼速度、燃焼ガス体積相当容積、燃焼質量割合及び反応確率に基づいて燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を第1燃焼期間として算出する第1燃焼期間算出手段と、
    この第1燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第1基本点火時期として算出する第1基本点火時期算出手段と、
    ノック限界点火時期を設定するノック限界点火時期設定手段と、
    これら第1基本点火時期、ノック限界点火時期のいずれかのうち遅角側の値で火花点火を行う火花点火手段と
    を備えるエンジンのノック制御装置において、
    前記ノック限界点火時期設定手段が、
    燃焼室内の燃料が自着火にいたるまでの時間の逆数の分布を表す特性に基づいて燃焼室内の燃料が自着火する時期を推定する自着火時期推定手段と、
    前記第1基本点火時期で点火して燃焼するときの燃焼質量割合の特性に基づいて前記自着火時期における燃焼質量割合を算出する自着火時燃焼質量割合算出手段と、
    この算出した自着火時期における燃焼質量割合と燃料量とに基づいて未燃燃料量または未燃燃料割合を算出する未燃燃料量算出手段と、
    この未燃燃料量または未燃燃料割合に基づいて燃焼室内のノックによる圧力上昇量を算出する圧力上昇量算出手段と、
    この燃焼室内のノックによる圧力上昇量に基づいて第1ノック強度推定値を算出する第1ノック強度推定値算出手段と、
    この第1ノック強度推定値とスライスレベルを比較する比較手段と、
    この比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル未満である場合に前記第1基本点火時期をそのままノック限界点火時期として設定するノック限界点火時期設定手段と、
    前記比較結果より第1ノック強度推定値がスライスレベル以上である場合に所定のノックリタード量を算出するノックリタード量算出手段と、
    前記第1基本点火時期よりこのノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を第2燃焼期間として算出する第2燃焼期間算出手段と、
    この第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を第2基本点火時期として算出する第2基本点火時期算出手段と、
    前記第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定する再設定手段と、
    この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を第2ノック強度推定値として算出する第2ノック強度推定値算出手段と、
    この第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致するとき前記第2基本点火時期より前記ノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として設定するノック限界点火時期設定手段と
    前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより大きい場合には、
    前記算出したノックリタード量を所定値だけ大きくなる側に更新し、
    前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、
    この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、
    前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、
    この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、
    この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較する
    ことを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期として、
    また前記第2ノック強度推定値が前記スライスレベルと一致せず第2ノック強度推定値がスライスレベルより小さい場合には、
    前記算出したノックリタード量を所定値だけ小さくなる側に更新し、
    前記第1基本点火時期よりこの更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合の燃焼開始から所定クランク角までの燃焼期間を更新後の第2燃焼期間として算出し、
    この更新後の第2燃焼期間に基づいて得られる基本点火時期を更新後の第2基本点火時期として算出し、
    前記更新後の第2燃焼期間に基づいて燃焼質量割合の特性を、前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼する場合の燃焼質量割合の特性へと再設定し、
    この再設定後の燃焼質量割合の特性を用いて前記更新後の第2基本点火時期より前記更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期で点火して燃焼すると仮定した場合のノック強度を更新後の第2ノック強度推定値として算出し、
    この更新後の第2ノック強度推定値と前記スライスレベルとを比較する
    ことを繰り返し、この繰り返しにより更新後の第2ノック強度推定値がスライスレベルと一致するとき、更新後の第2基本点火時期より更新後のノックリタード量だけ遅角させた点火時期をノック限界点火時期としてそれぞれ設定するノック限界点火時期設定手段と
    を備えることを特徴とするエンジンのノック制御装置。
  5. 前記第2燃焼期間算出手段が、前記第2燃焼期間を、前記第1基本点火時期で点火して燃焼する場合の層流燃焼速度と異なる層流燃焼速度を用いて算出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  6. 前記第2燃焼期間算出手段が、前記第2燃焼期間を、前記第1基本点火時期で点火して燃焼する場合の層流燃焼速度と同じ層流燃焼速度を用いて算出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  7. 前記第1、第2の燃焼期間算出手段が前記層流燃焼速度を乱れ強さで補正すると共に、
    前記第2燃焼期間算出手段が用いる乱れ強さは前記第1燃焼期間算出手段が用いる乱れ強さと同じであることを特徴とする請求項5または6に記載のエンジンのノック制御装置。
  8. 前記第1及び第2の燃焼期間を前記燃焼質量割合の変化に応じて複数に分割することを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  9. 前記第2燃焼期間算出手段が、前記第2燃焼期間を算出する際に、燃焼室のその燃焼期間の中間時期における容積及び燃焼室のその燃焼期間の中間時期における燃焼質量割合を用いることを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  10. 点火信号を前記火花点火手段に出力してからこの火花点火手段により燃焼室内で点火が行われるまでのクランク角区間である点火無駄時間相当クランク角を燃焼に関するパラメータに応じて算出する点火無駄時間相当クランク角算出手段を備え、前記再設定手段がこの点火無駄時間相当クランク角に基づいても前記燃焼質量割合の特性を再設定することを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  11. 前記燃焼に関するパラメータは、空燃比、燃焼室の燃焼開始時期における圧力、燃焼室の燃焼開始時期における温度、充填効率、不活性ガス率の少なくとも一つであることを特徴とする請求項10に記載のエンジンのノック制御装置。
  12. 前記所定のノックリタード量は前記第1ノック強度推定値と前記スライスレベルの差に基づく値であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか一つに記載のエンジンのノック制御装置。
  13. 前記自着火時期に基づいて燃焼室の自着火時期における容積を算出する自着火時容積算出手段を備え、
    この燃焼室の自着火時期における容積に基づいても前記ノックによる圧力上昇量を算出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  14. 燃焼室の前記自着火する燃料ガスの比熱を推定する燃料ガス比熱推定手段を備え、この燃焼室の前記自着火する燃料ガスの比熱に基づいても前記ノックによる圧力上昇量を算出することを特徴とする請求項4に記載のエンジンのノック制御装置。
  15. 前記燃料ガス比熱算出手段は、前記自着火する燃料ガスのエンタルピを計算式により算出する燃料ガスエンタルピ算出手段と、燃焼室の前記自着火時期における平均温度を計算式により算出する自着火時平均温度算出手段と、これら燃料ガスのエンタルピと自着火時期における平均温度とに基づいて前記自着火する燃料ガスの比熱を算出する燃料ガス比熱算出手段とからなることを特徴とする請求項14に記載のエンジンのノック制御装置。
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