以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本発明の第1の実施の形態は、位相符号化(フェーズエンコーディング)多重による多重記録を可能とした例である。図1は、本実施の形態に係る光情報記録再生装置におけるピックアップ装置(以下、単にピックアップと言う。)と本実施の形態における光情報記録媒体の構成を示す説明図、図2は本実施の形態に係る光情報記録再生装置の全体構成を示すブロック図である。なお、光情報記録再生装置は、光情報記録装置と光情報再生装置とを含んでいる。
始めに、図1を参照して、本実施の形態における光情報記録媒体の構成について説明する。この光情報記録媒体1は、ポリカーボネート等によって形成された円板状の透明基板2の一面に、ボリュームホログラフィを利用して情報が記録される情報記録層としてのホログラム層3と、反射膜5と、保護層4とを、この順番で積層して構成されている。ホログラム層3と保護層4との境界面には、半径方向に線状に延びる複数の位置決め領域としてのアドレス・サーボエリア6が所定の角度間隔で設けられ、隣り合うアドレス・サーボエリア6間の扇形の区間がデータエリア7になっている。アドレス・サーボエリア6には、サンプルドサーボ方式によってフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うための情報とアドレス情報とが、予めエンボスピット等によって記録されている。なお、フォーカスサーボは、反射膜5の反射面を用いて行うことができる。トラッキングサーボを行うための情報としては、例えばウォブルピットを用いることができる。透明基板2は例えば0.6mm以下の適宜の厚み、ホログラム層3は例えば10μm以上の適宜の厚みとする。ホログラム層3は、光が照射されたときに光の強度に応じて屈折率、誘電率、反射率等の光学的特性が変化するホログラム材料によって形成されている。ホログラム材料としては、例えば、デュポン(Dupont)社製フォトポリマ(photopolymers)HRF−600(製品名)等が使用される。反射膜5は、例えばアルミニウムによって形成されている。
次に、図2を参照して、本実施の形態に係る光情報記録再生装置の構成について説明する。この光情報記録再生装置10は、光情報記録媒体1が取り付けられるスピンドル81と、このスピンドル81を回転させるスピンドルモータ82と、光情報記録媒体1の回転数を所定の値に保つようにスピンドルモータ82を制御するスピンドルサーボ回路83とを備えている。光情報記録再生装置10は、更に、光情報記録媒体1に対して情報光と記録用参照光とを照射して情報を記録すると共に、光情報記録媒体1に対して再生用参照光を照射し、再生光を検出して、光情報記録媒体1に記録されている情報を再生するためのピックアップ11と、このピックアップ11を光情報記録媒体1の半径方向に移動可能とする駆動装置84とを備えている。
光情報記録再生装置10は、更に、ピックアップ11の出力信号よりフォーカスエラー信号FE,トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFを検出するための検出回路85と、この検出回路85によって検出されるフォーカスエラー信号FEに基づいて、ピックアップ11内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光情報記録媒体1の厚み方向に移動させてフォーカスサーボを行うフォーカスサーボ回路86と、検出回路85によって検出されるトラッキングエラー信号TEに基づいてピックアップ11内のアクチュエータを駆動して対物レンズを光情報記録媒体1の半径方向に移動させてトラッキングサーボを行うトラッキングサーボ回路87と、トラッキングエラー信号TEおよび後述するコントローラからの指令に基づいて駆動装置84を制御してピックアップ11を光情報記録媒体1の半径方向に移動させるスライドサーボを行うスライドサーボ回路88とを備えている。
光情報記録再生装置10は、更に、ピックアップ11内の後述するCCDアレイの出力データをデコードして、光情報記録媒体1のデータエリア7に記録されたデータを再生したり、検出回路85からの再生信号RFより基本クロックを再生したりアドレスを判別したりする信号処理回路89と、光情報記録再生装置10の全体を制御するコントローラ90と、このコントローラ90に対して種々の指示を与える操作部91とを備えている。コントローラ90は、信号処理回路89より出力される基本クロックやアドレス情報を入力すると共に、ピックアップ11、スピンドルサーボ回路83およびスライドサーボ回路88等を制御するようになっている。スピンドルサーボ回路83は、信号処理回路89より出力される基本クロックを入力するようになっている。コントローラ90は、CPU(中央処理装置)、ROM(リード・オンリ・メモリ)およびRAM(ランダム・アクセス・メモリ)を有し、CPUが、RAMを作業領域として、ROMに格納されたプログラムを実行することによって、コントローラ90の機能を実現するようになっている。
次に、図1を参照して、本実施の形態におけるピックアップ11の構成について説明する。ピックアップ11は、スピンドル81に光情報記録媒体1が固定されたときに、光情報記録媒体1の透明基板2側に対向する対物レンズ12と、この対物レンズ12を光情報記録媒体1の厚み方向および半径方向に移動可能なアクチュエータ13と、対物レンズ12における光情報記録媒体1の反対側に、対物レンズ12側から順に配設された2分割旋光板14およびプリズムブロック15を備えている。2分割旋光板14は、図1において光軸の左側部分に配置された旋光板14Lと、図1において光軸の右側部分に配置された旋光板14Rとを有している。旋光板14Lは偏光方向を+45°回転させ、旋光板14Rは偏光方向を−45°回転させるようになっている。プリズムブロック15は、2分割旋光板14側から順に配置された半反射面15aと反射面15bとを有している。この半反射面15aと反射面15bは、共にその法線方向が対物レンズ12の光軸方向に対して45°傾けられ、且つ互いに平行に配置されている。
ピックアップ11は、更に、プリズムブロック15の側方に配置されたプリズムブロック19を備えている。プリズムブロック19は、プリズムブロック15の半反射面15aに対応する位置に配置され、且つ半反射面15aに平行な反射面19aと、反射面15bに対応する位置に配置され、且つ反射面15bに平行な半反射面19bとを有している。
ピックアップ11は、更に、プリズムブロック15とプリズムブロック19との間において、半反射面15aおよび反射面19aに対応する位置に、プリズムブロック15側より順に配置された凸レンズ16および位相空間光変調器17と、プリズムブロック15とプリズムブロック19との間において、反射面15bおよび半反射面19bに対応する位置に配置された空間光変調器18とを備えている。
位相空間光変調器17は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に出射光の位相を選択することによって、光の位相を空間的に変調することができるようになっている。この位相空間光変調器17としては、液晶素子を用いることができる。
空間光変調器18は、格子状に配列された多数の画素を有し、各画素毎に光の透過状態と遮断状態とを選択することによって、光強度によって光を空間的に変調して、情報を担持した情報光を生成することができるようになっている。この空間光変調器18としては、液晶素子を用いることができる。空間光変調器18は、本発明における情報光生成手段を構成する。
ピックアップ11は、更に、光情報記録媒体1からの戻り光が、空間光変調器18を通過した後、プリズムブロック19の半反射面19bで反射される方向に配置された検出手段としてのCCDアレイ20を備えている。
ピックアップ11は、更に、プリズムブロック19における空間光変調器18とは反対側の側方に、プリズムブロック19側から順に配置されたビームスプリッタ23、コリメータレンズ24および光源装置25を備えている。ビームスプリッタ23は、その法線方向がコリメータレンズ24の光軸方向に対して45°傾けられた半反射面23aを有している。光源装置25は、コヒーレントな直線偏光の光を出射するもので、例えば半導体レーザを用いることができる。
ピックアップ11は、更に、光源装置25側からの光がビームスプリッタ23の半反射面23aで反射される方向に配置されたフォトディテクタ26と、ビームスプリッタ23におけるフォトディテクタ26とは反対側に、ビームスプリッタ23側から順に配置された凸レンズ27、シリンドリカルレンズ28および4分割フォトディテクタ29を備えている。フォトディテクタ26は、光源装置25からの光を受光し、その出力は光源装置25の出力を自動調整するために用いられるようになっている。4分割フォトディテクタ29は、図3に示したように、光情報記録媒体1におけるトラック方向に対応する方向と平行な分割線30aとこれと直交する方向の分割線30bとによって分割された4つの受光部29a〜29dを有している。シリンドリカルレンズ28は、その円筒面の中心軸が4分割フォトディテクタ29の分割線30a,30bに対して45°をなすように配置されている。
なお、ピックアップ11内の位相空間光変調器17、空間光変調器18および光源装置25は、図2におけるコントローラ90によって制御されるようになっている。コントローラ90は、位相空間光変調器17において光の位相を空間的に変調するための複数の変調パターンの情報を保持している。また、操作部91は、複数の変調パターンの中から任意の変調パターンを選択することができるようになっている。そして、コントローラ90は、所定の条件に従って自らが選択した変調パターンまたは操作部91によって選択された変調パターンの情報を位相空間光変調器17に与え、位相空間光変調器17は、コントローラ90より与えられる変調パターンの情報に従って、対応する変調パターンで光の位相を空間的に変調するようになっている。
また、ピックアップ11内の各半反射面15a,19bの反射率は、例えば、光情報記録媒体1に入射する情報光と記録用参照光の強度が等しくなるように、適宜に設定される。
図3は、4分割フォトディテクタ29の出力に基づいて、フォーカスエラー信号FE、トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFを検出するための検出回路85の構成を示すブロック図である。この検出回路85は、4分割フォトディテクタ29の対角の受光部29a,29dの各出力を加算する加算器31と、4分割フォトディテクタ29の対角の受光部29b,29cの各出力を加算する加算器32と、加算器31の出力と加算器32の出力との差を演算して、非点収差法によるフォーカスエラー信号FEを生成する減算器33と、4分割フォトディテクタ29のトラック方向に沿って隣り合う受光部29a,29bの各出力を加算する加算器34と、4分割フォトディテクタ29のトラック方向に沿って隣り合う受光部29c,29dの各出力を加算する加算器35と、加算器34の出力と加算器35の出力との差を演算して、プッシュプル法によるトラッキングエラー信号TEを生成する減算器36と、加算器34の出力と加算器35の出力とを加算して再生信号RFを生成する加算器37とを備えている。なお、本実施の形態では、再生信号RFは、光情報記録媒体1におけるアドレス・サーボエリア6に記録された情報を再生した信号である。
次に、本実施の形態に係る光情報記録再生装置の作用について、サーボ時、記録時、再生時に分けて、順に説明する。なお、サーボ時、記録時、再生時のいずれのときも、光情報記録媒体1は規定の回転数を保つように制御されてスピンドルモータ82によって回転される。
まず、図4を参照して、サーボ時の作用について説明する。サーボ時には、空間光変調器18の全画素が透過状態にされる。光源装置25の出射光の出力は、再生用の低出力に設定される。なお、コントローラ90は、再生信号RFより再生された基本クロックに基づいて、対物レンズ12の出射光がアドレス・サーボエリア6を通過するタイミングを予測し、対物レンズ12の出射光がアドレス・サーボエリア6を通過する間、上記の設定とする。
光源装置25から出射された光は、コリメータレンズ24によって平行光束とされ、ビームスプリッタ23に入射し、半反射面23aで光量の一部は透過し、一部は反射される。半反射面23aで反射された光はフォトディテクタ26によって受光される。半反射面23aを透過した光は、プリズムブロック19に入射し、光量の一部が半反射面19bを透過する。半反射面19bを透過した光は、空間光変調器18を通過し、プリズムブロック15の反射面15bで反射され、光量の一部が半反射面15aを透過し、更に2分割旋光板14を通過して、対物レンズ12によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層3と保護層4の境界面上で収束するように、情報記録媒体1に照射される。この光は、光情報記録媒体1の反射膜5で反射され、その際、アドレス・サーボエリア6におけるエンボスピットによって変調されて、対物レンズ12側に戻ってくる。
光情報記録媒体1からの戻り光は、対物レンズ12で平行光束とされ、再度2分割旋光板14を通過し、プリズムブロック15に入射して、光量の一部が半反射面15aを透過する。半反射面15aを透過した戻り光は、反射面15aで反射され、空間光変調器18を通過し、光量の一部がプリズムブロック19の半反射面19bを透過する。半反射面19bを透過した戻り光は、ビームスプリッタ23に入射し、光量の一部が半反射面23aで反射され、凸レンズ27およびシリンドリカルレンズ28を順に通過した後、4分割フォトディテクタ29によって検出される。そして、この4分割フォトディテクタ29の出力に基づいて、図3に示した検出回路85によって、フォーカスエラー信号FE,トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFが生成され、これらの信号に基づいて、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われると共に、基本クロックの再生およびアドレスの判別が行われる。
なお、上記のサーボ時における設定では、ピックアップ11の構成は、CD(コンパクト・ディスク)やDVD(ディジタル・ビデオ・ディスクまたはディジタル・バーサタイル・ディスク)やHS(ハイパー・ストレージ・ディスク)等の通常の光ディスクに対する記録、再生用のピックアップの構成と同様になる。従って、本実施の形態における光情報記録再生装置10では、通常の光ディスク装置との互換性を持たせるように構成することも可能である。
ここで、後の説明で使用するA偏光およびB偏光を以下のように定義する。すなわち、図10に示したように、A偏光はS偏光を−45°またはP偏光を+45°偏光方向を回転させた直線偏光とし、B偏光はS偏光を+45°またはP偏光を−45°偏光方向を回転させた直線偏光とする。A偏光とB偏光は、互いに偏光方向が直交している。なお、S偏光とは偏光方向が入射面(図1の紙面)に垂直な直線偏光であり、P偏光とは偏光方向が入射面に平行な直線偏光である。
次に、記録時の作用について説明する。図6は記録時におけるピックアップ11の状態を示す説明図である。記録時には、空間光変調器18は、記録する情報に応じて各画素毎に透過状態(以下、オンとも言う。)と遮断状態(以下、オフとも言う。)を選択して、通過する光を空間的に変調して、情報光を生成する。本実施の形態では、2画素で1ビットの情報を表現し、必ず、1ビットの情報に対応する2画素のうちの一方をオン、他方をオフとする。
また、位相空間光変調器17は、通過する光に対して、所定の変調パターンに従って、画素毎に、所定の位相を基準にして位相差0(rad)かπ(rad)を選択的に付与することによって、光の位相を空間的に変調して、光の位相が空間的に変調された記録用参照光を生成する。コントローラ90は、所定の条件に従って自らが選択した変調パターンまたは操作部91によって選択された変調パターンの情報を位相空間光変調器17に与え、位相空間光変調器17は、コントローラ90より与えられる変調パターンの情報に従って、通過する光の位相を空間的に変調する。
光源装置25の出射光の出力は、パルス的に記録用の高出力にされる。なお、コントローラ90は、再生信号RFより再生された基本クロックに基づいて、対物レンズ12の出射光がデータエリア7を通過するタイミングを予測し、対物レンズ12の出射光がデータエリア7を通過する間、上記の設定とする。対物レンズ12の出射光がデータエリア7を通過する間は、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボは行われず、対物レンズ12は固定されている。また、以下の説明では、光源装置25がP偏光の光を出射するものとする。
図6に示したように、光源装置25から出射されたP偏光の光は、コリメータレンズ24によって平行光束とされ、ビームスプリッタ23に入射し、光量の一部が半反射面23aを透過し、プリズムブロック19に入射する。プリズムブロック19に入射した光は、光量の一部が半反射面19bを透過し、光量の一部が半反射面19bで反射される。半反射面19bを透過した光は、空間光変調器18を通過し、その際に、記録する情報に従って、空間的に変調されて、情報光となる。この情報光は、プリズムブロック15の反射面15bで反射され、光量の一部が半反射面15aを透過し、2分割旋光板14を通過する。ここで、2分割旋光板14の旋光板14Lを通過した光は偏光方向が+45°回転されて、A偏光の光となり、旋光板14Rを通過した光は偏光方向が−45°回転されて、B偏光の光となる。2分割旋光板14を通過した情報光は、対物レンズ12によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層3と保護層4の境界面、すなわち、反射膜5上で収束するように、光情報記録媒体1に照射される。
一方、プリズムブロック19の半反射面19bで反射された光は、反射面19aで反射され、位相空間光変調器17を通過し、その際に、所定の変調パターンに従って、光の位相が空間的に変調されて、記録用参照光となる。この記録用参照光は、凸レンズ16を通過して収束する光となる。この記録用参照光は、光量の一部がプリズムブロック15の半反射面15aで反射され、2分割旋光板14を通過する。ここで、2分割旋光板14の旋光板14Lを通過した光は偏光方向が+45°回転されて、A偏光の光となり、旋光板14Rを通過した光は偏光方向が−45°回転されて、B偏光の光となる。2分割旋光板14を通過した記録用参照光は、対物レンズ12によって集光されて光情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3と保護層4との境界面よりも手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながらホログラム層3を通過する。
図7および図8は記録時における光の状態を示す説明図である。なお、これらの図において、符号61で示した記号はP偏光を表し、符号63で示した記号はA偏光を表し、符号64で示した記号はB偏光を表している。
図7に示したように、2分割旋光板14の旋光板14Lを通過した情報光51Lは、A偏光の光となり、対物レンズ12を介して光情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3を通過し、反射膜5上で最も小径となるように収束すると共に反射膜5で反射されて、再度ホログラム3を通過する。また、2分割旋光板14の旋光板14Lを通過した記録用参照光52Lは、A偏光の光となり、対物レンズ12を介して情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3と保護層4との境界面よりも手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながらホログラム層3を通過する。そして、ホログラム層3内において、反射膜5で反射されたA偏光の情報光51Lと反射膜5側に進むA偏光の記録用参照光52Lとが干渉して干渉パターンを形成し、光源装置20の出射光の出力が高出力になったとき、その干渉パターンがホログラム層3内に体積的に記録される。
また、図8に示したように、2分割旋光板14の旋光板14Rを通過した情報光51Rは、B偏光の光となり、対物レンズ12を介して情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3を通過し、反射膜5上で最も小径となるように収束すると共に反射膜5で反射されて、再度ホログラム3を通過する。また、2分割旋光板14の旋光板14Rを通過した記録用参照光52Rは、B偏光の光となり、対物レンズ12を介して情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3と保護層4との境界面よりも手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながらホログラム層3を通過する。そして、ホログラム層3内において、反射膜5で反射されたB偏光の情報光51Rと反射膜5側に進むB偏光の記録用参照光52Rとが干渉して干渉パターンを形成し、光源装置20の出射光の出力が高出力になったとき、その干渉パターンがホログラム層3内に体積的に記録される。
図7および図8に示したように、本実施の形態では、情報光の光軸と記録用参照光の光軸が同一線上に配置されるように、情報光と記録用参照光とがホログラム層3に対して同一面側より照射される。
本実施の形態では、ホログラム層3の同一箇所において、記録用参照光の変調パターンを変えて複数回の記録動作を行うことで、位相符号化多重により、ホログラム層3の同一箇所に情報を多重記録することが可能である。
このようにして、本実施の形態では、ホログラム層3内に反射型(リップマン型)のホログラムが形成される。なお、A偏光の情報光51LとB偏光の記録用参照光52Rとは、偏光方向が直交するため干渉せず、同様に、B偏光の情報光51RとA偏光の記録用参照光52Lとは、偏光方向が直交するため干渉しない。このように、本実施の形態では、余分な干渉縞の発生が防止され、SN(信号対雑音)比の低下を防止することができる。
また、本実施の形態では、情報光は、上述のように、光情報記録媒体1におけるホログラム層3と保護層4の境界面上で最も小径となるように収束するように照射され、情報記録媒体1の反射膜5で反射されて対物レンズ12側に戻ってくる。この戻り光は、サーボ時と同様にして、4分割フォトディテクタ29に入射する。従って、本実施の形態では、この4分割フォトディテクタ29に入射する光を用いて、記録時にもフォーカスサーボを行うことが可能である。なお、記録用参照光は、光情報記録媒体1におけるホログラム層3と保護層4の境界面よりも手前側で最も小径となるように収束して発散光となるため、情報記録媒体1の反射膜5で反射されて対物レンズ12側に戻ってきても4分割フォトディテクタ29上では結像しない。
なお、本実施の形態では、凸レンズ16を前後に動かしたり、その倍率を変更することで、ホログラム層3において情報光と参照光による一つの干渉パターンが体積的に記録される領域(ホログラム)の大きさを任意に決めることが可能である。
次に、図9を参照して、再生時の作用について説明する。再生時には、空間光変調器18の全画素がオンにされる。また、コントローラ90は、再生しようとする情報の記録時における記録用参照光の変調パターンの情報を位相空間光変調器17に与え、位相空間光変調器17は、コントローラ90より与えられる変調パターンの情報に従って、通過する光の位相を空間的に変調して、光の位相が空間的に変調された再生用参照光を生成する。
光源装置25の出射光の出力は、再生用の低出力にされる。なお、コントローラ90は、再生信号RFより再生された基本クロックに基づいて、対物レンズ12の出射光がデータエリア7を通過するタイミングを予測し、対物レンズ12の出射光がデータエリア7を通過する間、上記の設定とする。対物レンズ12の出射光がデータエリア7を通過する間は、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボは行われず、対物レンズ12は固定されている。
図9に示したように、光源装置25から出射されたP偏光の光は、コリメータレンズ24によって平行光束とされ、ビームスプリッタ23に入射し、光量の一部が半反射面23aを透過し、プリズムブロック19に入射する。プリズムブロック19に入射した光は、光量の一部が半反射面19bで反射され、この反射された光は、反射面19aで反射され、位相空間光変調器17を通過し、その際に、所定の変調パターンに従って、光の位相が空間的に変調されて、再生用参照光となる。この再生用参照光は、凸レンズ16を通過して収束する光となる。この再生用参照光は、光量の一部がプリズムブロック15の半反射面15aで反射され、2分割旋光板14を通過する。ここで、2分割旋光板14の旋光板14Lを通過した光は偏光方向が+45°回転されて、A偏光の光となり、旋光板14Rを通過した光は偏光方向が−45°回転されて、B偏光の光となる。2分割旋光板14を通過した再生用参照光は、対物レンズ12によって集光されて光情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3と保護層4との境界面よりも手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながらホログラム層3を通過する。
図10および図11は再生時における光の状態を示す説明図である。なお、これらの図において、符号61で示した記号はP偏光を表し、符号62で示した記号はS偏光を表し、符号63で示した記号はA偏光を表し、符号64で示した記号はB偏光を表している。
図10に示したように、2分割旋光板14の旋光板14Lを通過した再生用参照光53Lは、A偏光の光となり、対物レンズ12を介して光情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3と保護層4との境界面よりも手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながらホログラム層3を通過する。その結果、ホログラム層3より、記録時における情報光51Lに対応する再生光54Lが発生する。この再生光54Lは、対物レンズ12側に進み、対物レンズ12で平行光束とされ、再度2分割旋光板14を通過して、S偏光の光となる。
また、図11に示したように、2分割旋光板14の旋光板14Rを通過した再生用参照光53Rは、B偏光の光となり、対物レンズ12を介して光情報記録媒体1に照射され、ホログラム層3と保護層4との境界面よりも手前側で一旦最も小径となるように収束した後、発散しながらホログラム層3を通過する。その結果、ホログラム層3より、記録時における情報光51Rに対応する再生光54Rが発生する。この再生光54Rは、対物レンズ12側に進み、対物レンズ12で平行光束とされ、再度2分割旋光板14を通過して、S偏光の光となる。
2分割旋光板14を通過した再生光は、プリズムブロック15に入射して、光量の一部が半反射面15aを透過する。半反射面15aを透過した再生光は、反射面15aで反射され、空間光変調器18を通過し、光量の一部がプリズムブロック19の半反射面19bで反射されて、CCDアレイ20に入射し、CCDアレイ20によって検出される。CCDアレイ20上には、記録時における空間光変調器18によるオン、オフのパターンが結像され、このパターンを検出することで、情報が再生される。
なお、記録用参照光の変調パターンを変えて、ホログラム層3に複数の情報が多重記録されている場合には、複数の情報のうち、再生用参照光の変調パターンと同じ変調パターンの記録用参照光に対応する情報のみが再生される。
図10および図11に示したように、本実施の形態では、再生用参照光の光軸と再生光の光軸が同一線上に配置されるように、再生用参照光の照射と再生光の収集とが、ホログラム層3の同一面側より行われる。
また、本実施の形態では、再生光の一部は、サーボ時における戻り光と同様に、4分割フォトディテクタ29に入射する。従って、本実施の形態では、この4分割フォトディテクタ29に入射する光を用いて、再生時にもフォーカスサーボを行うことが可能である。なお、再生用参照光は、光情報記録媒体1におけるホログラム層3と保護層4の境界面よりも手前側で最も小径となるように収束して発散光となるため、光情報記録媒体1の反射膜5で反射されて対物レンズ12側に戻ってきても4分割フォトディテクタ29上では結像しない。
ところで、CCDアレイ20によって、再生光の2次元パターンを検出する場合、再生光とCCDアレイ20とを正確に位置決めするか、CCDアレイ20の検出データから再生光のパターンにおける基準位置を認識する必要がある。本実施の形態では、後者を採用する。ここで、図12および図13を参照して、CCDアレイ20の検出データから再生光のパターンにおける基準位置を認識する方法について説明する。図12(a)に示したように、ピックアップ11におけるアパーチャは、2分割旋光板14によって、光軸を中心として対称な2つの領域71L,71Rに分けられる。更に、図12(b)に示したように、アパーチャは、空間光変調器18によって、複数の画素72に分けられる。この画素72が、2次元パターンデータの最小単位となる。本実施の形態では、2画素で1ビットのデジタルデータ“0”または“1”を表現し、1ビットの情報に対応する2画素のうちの一方をオン、他方をオフとしている。2画素が共にオンまたは共にオフの場合はエラーデータとなる。このように、2画素で1ビットのデジタルデータを表現することは、差動検出によりデータの検出精度を上げることができる等のメリットがある。図13(a)は、1ビットのデジタルデータに対応する2画素の組73を表したものである。この組73が存在する領域を、以下、データ領域と言う。本実施の形態では、2画素が共にオンまたは共にオフの場合はエラーデータとなることを利用して、再生光のパターンにおける基準位置を示す基準位置情報を、情報光に含ませるようにしている。すなわち、図13(b)に示したように、2分割旋光板14の分割線に平行な2画素の幅の部分と分割線に垂直な2画素の幅の部分とからなる十文字の領域74に、故意に、エラーデータを所定のパターンで配置している。このエラーデータのパターンを、以下、トラッキング用画素パターンと言う。このトラッキング用画素パターンが基準位置情報となる。なお、図13(b)において、符号75はオンの画素、符号76はオフの画素を表している。また、中心部分の4画素の領域77は、常にオフにしておく。
トラッキング用画素パターンと、記録するデータに対応するパターンとを合わせると、図14(a)に示したような2次元パターンとなる。本実施の形態では、更に、データ領域以外の領域のうち、図における上半分をオフにし、下半分をオンにすると共に、データ領域においてデータ領域以外の領域に接する画素については、データ領域以外の領域と反対の状態、すなわちデータ領域以外の領域がオフであればオン、データ領域以外の領域がオンであればオフとする。これにより、CCDアレイ20の検出データから、データ領域の境界部分をより明確に検出することが可能となる。
記録時には、図14(a)に示したような2次元パターンに従って空間変調された情報光と記録用参照光との干渉パターンがホログラム層3に記録される。再生時に得られる再生光のパターンは、図14(b)に示したように、記録時に比べるとコントラストが低下し、SN比が悪くなっている。再生時には、CCDアレイ20によって、図14(b)に示したような再生光のパターンを検出し、データを判別するが、その際、トラッキング用画素パターンを認識し、その位置を基準位置としてデータを判別する。
図15(a)は、再生光のパターンから判別したデータの内容を概念的に表したものである。図中のA-1-1 等の符号を付した領域がそれぞれ1ビットのデータを表している。本実施の形態では、データ領域を、トラッキング用画素パターンが記録された十文字の領域74で分割することによって、4つ領域78A,78B,78C,78Dに分けている。そして、図15(b)に示したように、対角の領域78A,78Cを合わせて矩形の領域を形成し、同様に対角の領域78B,78Dを合わせて矩形の領域を形成し、2つの矩形の領域を上下に配置することでECCテーブルを形成するようにしている。ECCテーブルとは、記録すべきデータにCRC(巡回冗長チェック)コード等のエラー訂正コード(ECC)を付加して形成したデータのテーブルである。なお、図15(b)は、n行m列のECCテーブルの一例を示したものであり、この他の配列も自由に設計することができる。また、図15(a)に示したデータ配列は、図15(b)に示したECCテーブルのうちの一部を利用したものであり、図15(b)に示したECCテーブルのうち、図15(a)に示したデータ配列に利用されない部分は、データの内容に関わらず一定の値とする。記録時には、図15(b)に示したようなECCテーブルを図15(a)に示したように4つの領域78A,78B,78C,78Dに分解して光情報記録媒体1に記録し、再生時には、図15(a)に示したような配列のデータを検出し、これを並べ替えて図15(b)に示したようなECCテーブルを再生し、このECCテーブルに基づいてエラー訂正を行ってデータの再生を行う。
上述のような再生光のパターンにおける基準位置(トラッキング用画素パターン)の認識や、エラー訂正は、図2における信号処理回路89によって行われる。
以上説明したように、本実施の形態に係る光情報記録再生装置10によれば、光情報記録媒体1に対して位相符号化多重により情報を多重記録可能としながら、記録時における光情報記録媒体1に対する記録用参照光および情報光の照射と、再生時における光情報記録媒体1に対する記録用参照光の照射および再生光の収集を、全て光情報記録媒体1に対して同一面側から同一軸上で行うようにしたので、従来のホログラフィック記録方式に比べて記録または再生のための光学系を小さく構成することができ、また、従来のホログラフィック記録方式の場合のような迷光の問題が生じない。また、本実施の形態によれば、記録および再生のための光学系を、通常の光ディスク装置と同様のピックアップ11の形で構成することができる。従って、光情報記録媒体1に対するランダムアクセスを容易に行うことができる。
また、本実施の形態によれば、光情報記録媒体1にフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うための情報を記録し、この情報を用いてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行うことができるようにしたので、記録または再生のための光の位置決めを精度よく行うことができ、その結果、リムーバビリティが良く、ランダムアクセスが容易になると共に、記録密度、記録容量および転送レートを大きくすることができる。特に本実施の記録では、位相符号化多重による情報の多重記録が可能であることと相まって、記録密度、記録容量および転送レートを飛躍的に増大させることが可能となる。例えば、一連の情報を、記録用参照光の変調パターンを変えながら、ホログラム層3の同一箇所に多重記録するようにした場合には、情報の記録および再生を極めて高速に行うことが可能となる。
また、本実施の形態によれば、光情報記録媒体1に記録された情報は、その情報の記録時における記録用参照光の変調パターンと同じ変調パターンの再生用参照光を用いなければ再生することができないので、コピープロテクトや機密保持を容易に実現することができる。また、本実施の形態によれば、光情報記録媒体1に、参照光の変調パターンが異なる多種類の情報(例えば各種のソフトウェア)を記録しておき、その光情報記録媒体1自体は比較的安価にユーザに提供し、ユーザの求めに応じて、各種類の情報を再生可能とする参照光の変調パターンの情報を、かぎ情報として個別に有料で提供するといったサービスの実現が可能となる。
また、本実施の形態に係る光情報記録再生装置10によれば、再生光のパターンにおける基準位置を示す基準位置情報を、情報光に含ませるようにしたので、再生光のパターンの認識が容易になる。
また、本実施の形態に係る光情報記録再生装置10によれば、ピックアップ11を、図4に示したサーボ時の状態とすることにより、記録媒体にエンボスピットによって記録された情報を再生することができるので、従来の光ディスク装置との互換性を持たせることが可能となる。
また、本実施の形態に係る光情報記録再生装置10によれば、光情報記録媒体1に多重記録される情報の一つ一つに、異なる参照光の位相の変調パターンを対応させるため、情報が記録された光情報記録媒体1の複製が極めて困難である。そのため、不法な複製を防止することができる。
また、本実施の形態における光情報記録媒体1では、ホログラフィを用いて情報が記録されるホログラム層3と、エンボスピットによってアドレス等の情報が記録される層とが離れているため、情報が記録された光情報記録媒体1を複製しようとすると、これらの2つの層を対応させなければならず、この点からも複製が難しく、不法な複製を防止することができる。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る光情報記録再生装置について説明する。本実施の形態は、位相符号化多重とホールバーニング型波長多重とを併用して多重記録を行うことを可能とした例である。本実施の形態に係る光情報記録再生装置の全体の構成は、図2に示した第1の実施の形態に係る光情報記録再生装置10の構成の略同様である。
始めに、ホールバーニング型波長多重について簡単に説明する。ホールバーニングとは、光吸収スペクトルにおいて入射光の波長位置に光吸収率の変化を生じる現象を言い、フォトケミカルホールバーニングとも言われる。以下、ホールバーニングを起こす材料、すなわち光吸収スペクトルにおいて入射光の波長位置に光吸収率の変化を生じる材料を、ホールバーニング材料と言う。ホールバーニング材料は、一般に、非晶質等の、構造が不規則な媒質(ホストと呼ばれる。)材料に、色素等の光吸収中心(ゲストと呼ばれる。)材料が分散された材料である。このホールバーニング材料は、極低温下において、多数のゲストの光吸収スペクトルの重ね合わせにより、ブロードな光吸収スペクトルを有する。このようなホールバーニング材料に、レーザ光等の特定の波長(ただし、ホールバーニング材料の光吸収帯内の波長)の光を照射すると、その波長に対応した共鳴スペクトルを有するゲストだけが、光化学反応により異なるエネルギレベルに移るため、ホールバーニング材料の光吸収スペクトルにおいて、照射した光の波長位置に光吸収率の減少が生じる。
図16は、ホールバーニング材料の光吸収スペクトルにおいて、複数の波長の光の照射により、複数の波長位置に光吸収率の減少が生じた状態を表している。ホールバーニング材料において、光の照射によって光吸収率が減少した部分はホールと呼ばれる。このホールは極めて小さいので、ホールバーニング材料に、波長を変えて複数の情報を多重記録することが可能となり、このような多重記録の方法を、ホールバーニング型波長多重と言う。ホールは10−2nm程度の大きさなので、ホールバーニング材料では、103〜104程度の多重度が得られると考えられている。なお、ホールバーニングについての詳しい説明は、例えば、「コロナ社発行“光メモリの基礎”,104 〜133 ページ,1990年」や、前出の文献“PHBを用いた波長多重型ホログラムの新しいリアルタイム記録再生の研究”に記載されている。
本実施例では、上述のホールバーニング型波長多重を利用して、ホールバーニング材料に対して、波長を変えて複数のホログラムを形成できるようにしている。そのため、本実施の形態に係る光情報記録再生装置で使用する光情報記録媒体1では、ホログラム層3が、上述のホールバーニング材料によって形成されている。
また、本実施例では、ピックアップ11内の光源装置25は、ホログラム層3を形成するホールバーニング材料の光吸収帯内における複数の波長のコヒーレントな光を選択的に出射可能なものとしている。このような光源装置25としては、色素レーザとこの色素レーザの出射光の波長を選択する波長選択素子(プリズム、回折格子等)とを有する波長可変レーザ装置や、レーザとこのレーザの出射光の波長を変換する非線形光学素子を用いた波長変換素子とを有する波長可変レーザ装置等を使用することができる。
本実施の形態において、操作部91は、第1の実施の形態と同様に、参照光の変調パターンを複数の変調パターンの中から選択することができると共に、光源装置25の出射光の波長を、選択可能な複数の波長の中から選択することができるようになっている。そして、コントローラ90は、所定の条件に従って自らが選択した波長または操作部91によって選択された波長の情報を光源装置25に与え、光源装置25は、コントローラ90より与えられる波長の情報に従って、対応する波長の光を出射するようになっている。
本実施例に係る光情報記録再生装置のその他の構成は、第1の実施の形態と同様である。
本実施例に係る光情報記録再生装置では、記録時には、光源装置25の出射光の波長を、選択可能な複数の波長の中から選択する。これにより、選択された波長の情報光および記録用参照光が生成される。本実施例では、ホログラム層3の同一箇所において、情報光および記録用参照光の波長を変えて複数回の記録動作を行うことで、ホールバーニング型波長多重により多重記録を行うことができる。
また、本実施例に係る光情報記録再生装置では、ホログラム層3の同一箇所において、ある波長で、記録用参照光の変調パターンを変えて複数回の記録動作を行い、更に、他の波長で、同様に、記録用参照光の変調パターンを変えて複数回の記録動作を行うことで、位相符号化多重とホールバーニング型波長多重とを併用して多重記録を行うことができる。この場合、位相符号化多重による多重度をN、ホールバーニング型波長多重による多重度をMとすると、N×Mの多重度が得られることになる。従って、本実施例によれば、第1の実施の形態に比べて、記録密度、記録容量および転送レートをより増大させることが可能となる。
また、本実施例によれば、光情報記録媒体1に記録された情報は、その情報の記録時における情報光および記録用参照光の波長と同じ波長の再生用参照光を用いなければ再生することができないので、第1の実施の形態と同様に、コピープロテクトや機密保持を容易に実現することができる。更に、位相符号化多重とホールバーニング型波長多重とを併用して多重記録を行った場合には、その情報の記録時における情報光および記録用参照光の波長と同じ波長で、且つ記録用参照光の変調パターンと同じ変調パターンの再生用参照光を用いなければ再生することができないので、コピープロテクトや機密保持をより強固に実現することが可能となる。
また、本実施の形態によれば、光情報記録媒体1に、情報光および記録用参照光の波長または参照光の変調パターンが異なる多種類の情報を記録しておき、その光情報記録媒体1自体は比較的安価にユーザに提供し、ユーザの求めに応じて、各種類の情報を再生可能とする参照光の波長および変調パターンの情報を、かぎ情報として個別に有料で提供するといったサービスの実現が可能となる。
本実施の形態におけるその他の作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
次に、本発明の第3の実施の形態に係る光情報記録再生装置について説明する。本実施の形態に係る光情報記録再生装置の全体の構成は、図2に示した第1の実施の形態に係る光情報記録再生装置10の構成の略同様である。ただし、ピックアップの構成が、第1の実施の形態とは異なっている。
図17は、本実施の形態におけるピックアップの構成を示す説明図、図18は、ピックアップを構成する各要素を含む光学ユニットの構成を示す平面図である。
本実施の形態におけるピックアップ111は、コヒーレントな直線偏光のレーザ光を出射する光源装置112と、この光源装置112より出射される光の進行方向に、光源装置112側より順に配置されたコリメータレンズ113、中間濃度フィルタ(neutral density filter;以下、NDフィルタと記す。)114、旋光用光学素子115、偏光ビームスプリッタ116、位相空間光変調器117、ビームスプリッタ118およびフォトディテクタ119を備えている。光源装置112は、S偏光またはP偏光の直線偏光の光を出射するようになっている。コリメータレンズ113は、光源装置112の出射光を平行光束にして出射するようになっている。NDフィルタ114は、コリメータレンズ113の出射光の強度分布を均一化するような特性になっている。旋光用光学素子115は、NDフィルタ114の出射光を旋光して、S偏光成分とP偏光成分とを含む光を出射するようになっている。旋光用光学素子115としては、例えば、1/2波長板または旋光板が用いられる。偏光ビームスプリッタ116は、旋光用光学素子115の出射光のうち、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過させる偏光ビームスプリッタ面116aを有している。位相空間光変調器117は、第1の実施の形態における位相空間光変調器17と同様のものである。ビームスプリッタ118は、ビームスプリッタ面118aを有している。このビームスプリッタ面118aは、例えば、P偏光成分を20%透過させ、80%反射するようになっている。フォトディテクタ119は、参照光の光量を監視して、参照光の自動光量調整(auto power control;以下、APCと記す。)を行うために用いられるものである。このフォトディテクタ119は、参照光の強度分布も調整できるように、受光部が複数の領域に分割されていてもよい。
ピックアップ111は、更に、光源装置112からの光がビームスプリッタ118のビームスプリッタ面118aで反射されて進行する方向に、ビームスプリッタ118側より順に配置された偏光ビームスプリッタ120、2分割旋光板121および立ち上げミラー122を備えている。偏光ビームスプリッタ120は、入射光のうち、S偏光成分を反射し、P偏光成分を透過させる偏光ビームスプリッタ面120aを有している。2分割旋光板121は、図17において光軸の右側部分に配置された旋光板121Rと、光軸の左側部分に配置された旋光板121Lとを有している。旋光板121R,121Lは、第1の実施の形態における2分割旋光板14の旋光板14R,14Lと同様のものであり、旋光板121Rは偏光方向を−45°回転させ、旋光板121Lは偏光方向を+45°回転させる。立ち上げミラー122は、2分割旋光板121からの光の光軸に対して45°に傾けられて、2分割旋光板121からの光を、図17における紙面に直交する方向に向けて反射する反射面を有している。
ピックアップ111は、更に、2分割旋光板121からの光が立ち上げミラー122の反射面で反射して進行する方向に配置されて、スピンドル81に光情報記録媒体1が固定されたときに、光情報記録媒体1の透明基板2側に対向する対物レンズ123と、この対物レンズ123を、光情報記録媒体1の厚み方向およびトラック方向に移動可能なアクチュエータ124(図18参照)とを備えている。
ピックアップ111は、更に、光源装置112からの光が偏光ビームスプリッタ116の偏光ビームスプリッタ面116aで反射されて進行する方向に、偏光ビームスプリッタ116側より順に配置された空間光変調器125、凸レンズ126、ビームスプリッタ127およびフォトディテクタ128を備えている。空間光変調器125は、第1の実施の形態における空間光変調器18と同様のものである。凸レンズ126は、光情報記録媒体1において、情報光を記録用参照光より手前側で収束させて、記録用参照光と情報光の干渉領域を形成する機能を有している。また、この凸レンズ126の位置を調整することで、記録用参照光と情報光の干渉領域の大きさを調整できるようになっている。ビームスプリッタ127は、ビームスプリッタ面127aを有している。このビームスプリッタ面127aは、例えば、S偏光成分を20%透過させ、80%反射するようになっている。フォトディテクタ128は、情報光の光量を監視して、情報光のAPCを行うために用いられるものである。このフォトディテクタ128は、情報光の強度分布も調整できるように、受光部が複数の領域に分割されていてもよい。凸レンズ126側からビームスプリッタ127に入射し、ビームスプリッタ面127aで反射される光は、偏光ビームスプリッタ120に入射するようになっている。
ピックアップ111は、更に、ビームスプリッタ127における偏光ビームスプリッタ120とは反対側に、ビームスプリッタ127側より順に配置された凸レンズ129、シリンドリカルレンズ130および4分割フォトディテクタ131を備えている。4分割フォトディテクタ131は、第1の実施の形態における4分割フォトディテクタ29と同様のものである。シリンドリカルレンズ28は、その円筒面の中心軸が4分割フォトディテクタ131の分割線に対して45°をなすように配置されている。
ピックアップ111は、更に、ビームスプリッタ118における偏光ビームスプリッタ120とは反対側に、ビームスプリッタ118側より順に配置された結像レンズ132およびCCDアレイ133を備えている。
ピックアップ111は、更に、偏光ビームスプリッタ116における空間光変調器125とは反対側に、偏光ビームスプリッタ116側より順に配置されたコリメータレンズ134および定着用光源装置135を備えている。定着用光源装置135は、光情報記録媒体1のホログラム層3に記録される情報を定着するための光、例えば波長266nmの紫外光を出射するようになっている。このような定着用光源装置135としては、レーザ光源や、レーザ光源の出射光を非線形光学媒質を通して波長変換して出射する光源装置等が用いられる。コリメータレンズ134は、定着用光源装置135の出射光を平行光束にするようになっている。また、本実施例では、定着用光源装置135は、S偏光の光を出射するようになっている。
図18に示したように、光学ユニット140は、光学ユニット本体141を備えている。なお、図18では、光学ユニット本体141の底面部分のみを示している。光学ユニット本体141には、上述のコリメータレンズ113、NDフィルタ114、旋光用光学素子115、偏光ビームスプリッタ116、位相空間光変調器117、ビームスプリッタ118、偏光ビームスプリッタ120、2分割旋光板121、立ち上げミラー122、空間光変調器125、凸レンズ126、ビームスプリッタ127、凸レンズ129、シリンドリカルレンズ130、結像レンズ132およびコリメータレンズ134が取り付けられている。
図18は、旋光用光学素子115として1/2波長板を用いた例を示している。また、この例では、光学ユニット本体141内には、旋光用光学素子115の出射光におけるS偏光成分とP偏光成分との比率を調整するために、モータ142と、このモータ142の出力軸の回転を旋光用光学素子115に伝達するためのギア143が設けられている。
図19は、旋光板を用いた旋光用光学素子115の例を示したものである。この例における旋光用光学素子115は、互いに対向する2枚の楔状の旋光板115a,115bを有している。これらの旋光板115a,115bのうちの少なくとも一方は図示しない駆動装置によって、図中の矢印方向に変位され、図19(a),(b)に示したように、旋光板115a,115bが重なる部分における旋光板115a,115bの合計の厚みが変化するようになっている。これにより、旋光板115a,115bを通過する光の旋光角が変化し、その結果、旋光用光学素子115の出射光におけるS偏光成分とP偏光成分との比率が変化するようになっている。なお、図19(a)に示したように、旋光板115a,115bの合計の厚みが大きいときには旋光角が大きくなり、図19(b)に示したように、旋光板115a,115bの合計の厚みが小さいときには旋光角が小さくなる。
アクチュエータ124は、光学ユニット本体141の上面に取り付けられている。光源装置112は、この光源装置112を駆動する駆動回路145と一体化され、この駆動回路145と共にユニット本体141の側面に取り付けられている。フォトディテクタ119は、APC回路146と一体化され、このAPC回路146と共に、ユニット本体141の側面に取り付けられている。APC回路146は、フォトディテクタ119の出力を増幅し、参照光のAPCのために用いられる信号APCref を生成するようになっている。フォトディテクタ128は、APC回路147と一体化され、このAPC回路147と共に、ユニット本体141の側面に取り付けられている。APC回路147は、フォトディテクタ119の出力を増幅し、情報光のAPCのために用いられる信号APCobj を生成するようになっている。モータ142の近傍におけるユニット本体141の側面には、各APC回路146,147からの信号APCref,APCobjを比較して、旋光用光学素子115の出射光におけるS偏光成分とP偏光成分との比率が最適な状態となるようにモータ142を駆動する駆動回路148が取り付けられている。
4分割フォトディテクタ131は、検出回路85(図2参照)と一体化され、この検出回路85と共に、ユニット本体141の側面に取り付けられている。CCDアレイ133は、CCDアレイ133の駆動やCCDアレイ133の出力信号の処理等を行う信号処理回路149と一体化され、この信号処理回路149と共に、ユニット本体141の側面に取り付けられている。定着用光源装置135は、この定着用光源装置135を駆動する駆動回路150と一体化され、この駆動回路150と共に、ユニット本体141の側面に取り付けられている。ユニット本体141の側面には、更に、光学ユニット140内の回路と光学ユニット140外との間で各種の信号の入出力を行う入出力ポート151が取り付けられている。この入出力ポート151には、例えば、光を用いて信号を伝送する光ファイバを含む光ファイバフレキシブルケーブル152が接続されている。
また、図示しないが、光学ユニット本体141の上面には、位相空間光変調器117を駆動する駆動回路および空間光変調器125を駆動する駆動回路が取り付けられている。
図20は、光源装置112を、複数の波長域の光として赤色(以下、Rと記す。)、緑色(以下、Gと記す。)および青色(以下、Bと記す。)の3色のレーザ光を出射可能なものとし、CCDアレイ133も、R,G,Bの3色の光を検出可能なものとした場合のピックアップ111の構成の一例を示したものである。
図20に示した例における光源装置112は、色合成プリズム161を備えている。この色合成プリズム161は、R光入射部162R、G光入射部162G、B光入射部162Bを備えている。各入射部162R,162G,162Bには、それぞれ補正フィルタ163R,163G,163Bが設けられている。光源装置112は、更に、それぞれR光、G光、B光を出射する半導体レーザ(以下、LDと記す。)164R,164G,164Bと、各LD164R,164G,164Bより出射された光を平行光束にして各入射部162R,162G,162Bに入射させるコリメータレンズ165R,165G,165Bとを備えている。各LD164R,164G,164Bより出射されたR光、G光、B光は、コリメータレンズ165R,165G,165B、補正フィルタ163R,163G,163Bを経て、色合成プリズム161に入射し、色合成プリズム161によって合成されて、NDフィルタ114に入射するようになっている。なお、図20に示した例では、図17におけるコリメータレンズ113は設けられていない。
図20に示した例におけるCCDアレイ133は、色分解プリズム171を備えている。この色分解プリズム171は、R光出射部172R、G光出射部172G、B光出射部172Bを備えている。各出射部172R,172G,172Bには、それぞれ補正フィルタ173R,173G,173Bが設けられている。CCDアレイ133は、更に、それぞれ、各出射部172R,172G,172Bに対向する位置に配置され、R光画像、G光画像、B光画像を撮像するCCD174R,174G,174Bとを備えている。結像レンズ132側からの光は、色分解プリズム171によってR光、G光、B光に分解され、このR光、G光、B光は、それぞれ、補正フィルタ173R,173G,173Bを経て、CCD174R,174G,174Bに入射するようになっている。
次に、図21ないし図23を参照して、本実施の形態における光学ユニット140のスライド送り機構について説明する。図21は、スライド送り機構を示す平面図、図22は、静止状態におけるスライド送り機構を示す一部切り欠き側面図、図23は、光学ユニットが微小に変位したときのスライド送り機構を示す一部切り欠き側面図である。
スライド送り機構は、光学ユニット140の移動方向に沿って平行に配置された2本のシャフト181A,181Bと、各シャフト181A,181Bにつき2つずつ設けられ、各シャフト181A,181Bに沿って移動可能な軸受182と、各軸受182と光学ユニット140とを弾性的に連結する板ばね183と、光学ユニット140をシャフト181A,181Bに沿って移動させるためのリニアモータ184とを備えている。
リニアモータ184は、光学ユニット140の下端部に連結されたコイル185と、一部がコイル185内を貫通するように、光学ユニット140の移動方向に沿って配置された枠状の2つのヨーク186A,186Bと、ヨーク186A,186Bの内周部にコイル185に対向するように固定されたマグネット187A,187Bとを備えている。
ここで、スライド送り機構の作用について説明する。リニアモータ184を動作させると、光学ユニット140が変位する。この変位が微小なときには、図23に示したように、軸受182は変位せずに、軸受182と光学ユニット140との間の板ばね183が変形する。光学ユニット140の変位が所定の範囲を越えると、光学ユニット140に追従して軸受182も変位する。このようなスライド送り機構によれば、光学ユニット140の変位が微小なときには軸受182が変位せず、そのため、軸受182の滑りによる摩耗を防止できる。その結果、スライド送り機構の耐久性および信頼性を確保しながら、リニアモータ184によって光学ユニット140を駆動してトラッキングサーボを行うことが可能となる。なお、シークも、スライド送り機構によって行われる。
アクチュエータ124は、対物レンズ123を保持し、軸181を中心にして回転可能な円柱形状のアクチュエータ本体182を備えている。このアクチュエータ本体182には、軸181に平行に2つの孔183が形成されている。アクチュエータ本体182の外周部には、フォーカス用コイル184が設けられている。更に、このフォーカス用コイル184の外周の一部には、図示しない視野内アクセス用コイルが設けられている。アクチュエータ124は、更に、各孔183に挿通されたマグネット185と、視野内アクセス用コイルに対向するように配置された図示しないマグネットとを備えている。対物レンズ123は、アクチュエータ124の静止状態において、対物レンズ123の中心と軸181とを結ぶ線がトラック方向を向くように配置されている。
次に、図24ないし図27を参照して、本実施の形態における光情報記録媒体1のデータエリアに対する参照光および情報光の位置決め(サーボ)の方法について説明する。本実施の形態におけるアクチュエータ124は、対物レンズ123を光情報記録媒体1の厚み方向およびトラック方向に移動できるようになっている。
図24(a)〜(c)は、アクチュエータ124によって、対物レンズ123を光情報記録媒体1のトラック方向に移動させる動作を示したものである。アクチュエータ124は、静止状態では、(b)に示した状態になっている。アクチュエータ124は、図示しない視野内アクセス用コイルに通電することで、(b)示した状態から、(a)または(c)に示した状態に変化するようになっている。このように対物レンズ123を光情報記録媒体1のトラック方向に移動させる動作を、本実施の形態において視野内アクセスと呼ぶ。
図25は、対物レンズ123のシークによる移動方向と視野内アクセスの方向とを示したものである。図25において、符号191は、対物レンズ123のシークによる移動方向を表し、符号192は、対物レンズ123の視野内アクセスによる移動方向を表している。また符号193は、シークによる移動と視野内アクセスを併用した場合における対物レンズ123の中心の軌跡を表したものである。視野内アクセスでは、対物レンズ123の中心を、例えば2mm程度の移動させることが可能である。
本実施の形態では、視野内アクセスを用いて、光情報記録媒体1のデータエリアに対して、参照光および情報光の位置決め(サーボ)を行う。図26は、この位置決めを説明するための説明図である。本実施の形態における光情報記録媒体1では、図26(a)に示したように、アドレス・サーボエリア6には、各トラック毎にグルーブ201が形成されているが、データエリア7には、グルーブ201が形成されていない。また、アドレス・サーボエリア6の端部には、クロックの再生のために用いられると共にデータエリア7の両端部のうちのどちらに隣接するか(本実施の形態において極性と言う。)を表すピット列202が形成されている。
図26(b)において、符号203は、記録または再生時における対物レンズ123の中心の軌跡を表したものである。本実施の形態では、データエリア7に位相符号化多重により情報を多重記録する際や、データエリア7に多重記録された情報を再生する際には、対物レンズ123の中心をデータエリア7内で停止させておかずに、図26(b)に示したように、対物レンズ123の中心がデータエリア7とその両側のアドレス・サーボエリア6の一部とを含む区間内で往復運動するように、視野内アクセスを用いて対物レンズ123の中心を移動させる。そして、ピット列202を用いてクロックを再生すると共に極性を判断し、アドレス・サーボエリア6内の区間204において、グルーブ201を用いてフォーカスサーボおよびトラッキングサーボを行う。区間204,204間のデータエリア7を含む区間205内では、トラッキングサーボを行わず、区間204通過時の状態を保持する。対物レンズ123の中心の移動における折り返しの位置は、再生したクロックに基づいて、一定の位置になるように決定する。また、データエリア7内において情報を多重記録する位置も、再生したクロックに基づいて、一定の位置になるように決定する。図26(b)において、符号206は、記録または再生のタイミングを示すゲート信号を表したものである。このゲート信号では、ハイ(H)レベルのときが、記録または再生のタイミングであることを表している。データエリア7内の一定の箇所に情報を多重記録するには、例えば、ゲート信号がハイレベルのときに選択的に、光源装置112の出力を記録用の高出力にするようにすればよい。また、データエリア7内の一定の箇所に多重記録された情報を再生するには、例えば、ゲート信号がハイレベルのときに選択的に、光源装置112より光を出射させるようにしたり、CCDアレイ133が電子シャッタ機能を有している場合には、ゲート信号がハイレベルのときに電子シャッタ機能を用いて画像の取り込みを行うようにすればよい。
上述のような方法で、参照光および情報光の位置決めを行うことにより、光情報記録媒体1の同一箇所において、比較的長い時間、記録や再生を行う場合でも、記録や再生を行う位置がずれることを防止することができる。また、光情報記録媒体1が回転していても、光情報記録媒体1の回転に追従するように視野内アクセスを行うことにより、光情報記録媒体1が静止しているのと同じ状況で記録や再生を行うことができ、光情報記録媒体1の同一箇所において、比較的長い時間、記録や再生を行うことが可能となる。また、上述のように視野内アクセスを用いて参照光および情報光の位置決めを行う技術を用いれば、ディスク状の光情報記録媒体1に限らず、カード状等の他の形態の光情報記録媒体を用いる場合にも、容易に参照光および情報光の位置決めを行うことが可能となる。
図27は、シークによる移動と視野内アクセスを併用して、光情報記録媒体1における複数箇所にアクセスした場合における対物レンズ123の中心の軌跡の一例を表したものである。この図において、縦方向の直線は、シークを表し、横方向の直線は、トラック方向の他の箇所への移動を表し、短い区間内で往復運動を行っている部分は、記録または再生を行っている部分を表している。
次に、図28および図29を参照して、光情報記録媒体1を収納するカートリッジの一例について説明する。図28は、カートリッジの平面図、図29は、シャッタを開けた状態のカートリッジの平面図である。本例におけるカートリッジ211は、内部に収納している光情報記録媒体1の一部を露呈させる窓部212と、この窓部212を開閉するシャッタ213とを有している。シャッタ213は、窓部212を閉じる方向に付勢されており、通常時は、図28に示したように、窓部212を閉じているが、カートリッジ211を光情報記録再生装置に装着したときには、光情報記録再生装置によって、図29に示したように窓部212を開ける方向に移動されるようになっている。
次に、図30ないし図34を参照して、1台の光情報記録再生装置に複数のピックアップ111を設ける場合における光学ユニット140の配置の例について説明する。
図30は、光情報記録媒体1の片面に対向するように2つの光学ユニット140A,140Bを配置した例を示している。光学ユニット140Aは、図21に示した光学ユニット140と同様の形態(以下、Aタイプと言う。)のものである。一方、光学ユニット140Bは、図21に示した光学ユニット140とは面対称な形態(以下、Bタイプと言う。)のものである。2つの光学ユニット140A,140Bは、カートリッジ211の窓部212より露呈する光情報記録媒体1に対向する位置に配置される。また、各光学ユニット140A,140Bのスライド送り機構は、それぞれ、各光学ユニット140A,140Bの対物レンズ123の中心が、光情報記録媒体1の中心を通る線に沿って移動するように、配置される。
図31は、光情報記録媒体1の各面に対向するようにそれぞれ2つの光学ユニットを配置し、合計4つの光学ユニットを設けた例を示している。図32は、図31のA−A′線断面図、図33は、図31のB−B′線断面図である。この例では、光情報記録媒体1の一方の面(図31における裏面)に対向するように、2つの光学ユニット140A,140Bが配置され、光情報記録媒体1の他方の面(図31における表面)に対向するように、2つの光学ユニット140C,140Dが配置されている。光学ユニット140Cは、Aタイプのものであり、光学ユニット140Dは、Bタイプのものである。
光学ユニット140A,140Bとそのスライド送り機構の配置、および光学ユニット140C,140Dとそのスライド送り機構の配置の条件は、図30を用いて説明した通りである。なお、4つの光学ユニット140A,140B,140C,140Dを有効に利用するには、光情報記録媒体1として、両面からの情報の記録、再生が可能なものを用いる必要がある。
図34は、光情報記録媒体1の各面に対向するようにそれぞれ8個の光学ユニットを配置し、合計16個の光学ユニットを設けた例を示している。この例では、光情報記録媒体1の一方の面(図34における表面)に対向するように、8個の光学ユニット1401〜1408が配置され、光情報記録媒体1の他方の面(図34における裏面)に対向するように、8個の光学ユニット1409 〜14016が配置されている。光学ユニット1401,1403,1405,1407,14010,14012,14014,14016は、Aタイプのものである。光学ユニット1402,1404,1406,1408,1409,14011,14013,14015は、Bタイプのものである。各光学ユニットのスライド送り機構は、それぞれ、各光学ユニットの対物レンズ123の中心が、光情報記録媒体1の中心を通る線に沿って移動するように、配置される。なお、16個の光学ユニットを有効に利用するには、カートリッジに収納されず、且つ両面からの情報の記録、再生が可能な光情報記録媒体1を用いる必要がある。
ところで、本実施の形態に係る光情報記録再生装置および光情報記録媒体1を含むシステムでは、桁違いに大量の情報を光情報記録媒体1に記録することが可能であり、このようなシステムは、連続した膨大な情報を記録する用途に適している。しかし、このような用途に使用するシステムにおいて、連続した膨大な情報を記録している間、情報の再生ができないとすると、非常に使いづらいシステムになってしまう。
そこで、例えば図30ないし図34に示したように、1台の光情報記録再生装置に複数のピックアップ111を設けることにより、1つの光情報記録媒体1を用いて情報の記録と再生を同時に行ったり、複数のピックアップ111によって同時に記録や再生を行うことが可能となり、記録や再生の性能を向上させることができ、特に、連続した膨大な情報を記録する用途においても使いやすいシステムを構成することができる。また、1台の光情報記録再生装置に複数のピックアップ111を設けることにより、大量の情報の中から所望の情報を検索する場合に、1つのピックアップ111のみを有する場合に比べて、性能を飛躍的に向上させることができる。
次に、図35ないし図46を参照して、本実施の形態における光情報記録媒体1の具体的な構造の例について説明する。
本実施の形態における光情報記録媒体1は、ホログラフィによって情報が記録される第1の情報層(ホログラム層)と、サーボのための情報やアドレス情報がエンボスピット等によって記録される第2の情報層とを有する。そして、参照光を第2の情報層において最も小径となるように収束させながら、第1の情報層において記録用参照光と情報光の干渉領域をある程度の大きさに形成する必要がある。そのため、本実施の形態では、第1の情報層と第2の情報層の間にある程度の大きさのギャップ(間隙)を形成している。これにより、参照光を第2の情報層において最も小径となるように収束させて、第2の情報層に記録された情報を再生可能としながら、第1の情報層において記録用参照光と情報光の干渉領域を十分な大きさに形成することが可能となる。本実施の形態における光情報記録媒体1は、このギャップの形成方法によって、エアギャップタイプと透明基板ギャップタイプとに分けることができる。
図35ないし図37は、エアギャップタイプの光情報記録媒体1を示し、図35は光情報記録媒体1の半分の断面図であり、図36は光情報記録媒体1の半分の分解斜視図であり、図37は光情報記録媒体1の半分の斜視図である。この光情報記録媒体1は、一方の面が反射面となっている反射基板221と、この反射基板221の反射面に対向するように配置された透明基板222と、反射基板221と透明基板222とを所定の間隔で隔てる外周スペーサ223および内周スペーサ224と、透明基板222における反射基板221側の面に接合されたホログラム層225とを備えている。反射基板221の反射面とホログラム層225との間には、所定の厚みのエアギャップが形成されている。ホログラム層225は、第1の情報層となる。反射基板221の反射面には、プリグルーブが形成されており、この反射面が、第2の情報層となる。
図38ないし図40は、透明基板ギャップタイプの光情報記録媒体1を示し、図38は光情報記録媒体1の半分の断面図であり、図39は光情報記録媒体1の半分の分解斜視図であり、図40は光情報記録媒体1の半分の斜視図である。この光情報記録媒体1は、透明基板231、第1の情報層となるホログラム層232、透明基板233が、この順に積層されて構成されている。透明基板231におけるホログラム層232とは反対側の面には、プリグルーブが形成されていると共に、反射膜234が設けられている。この透明基板231におけるホログラム層232とは反対側の面が、第2の情報層となる。この第2の情報層とホログラム層232との間には、透明基板231による所定の厚みのギャップが形成されている。透明基板233は、透明基板231に比べて薄くなっている。
また、本実施の形態における光情報記録媒体1は、片面タイプと両面タイプに分けることができる。
図41ないし図43は、片面タイプの光情報記録媒体1を示し、図41は、厚みが1.2mmのタイプの光情報記録媒体1の断面図、図42は、厚みが0.6mmのタイプの光情報記録媒体1の断面図、図43は、片面タイプの光情報記録媒体1に対する記録用参照光および情報光の照射の仕方を示す説明図である。図41および図42に示した光情報記録媒体1は、図38に示した構造になっている。ただし、図41に示した光情報記録媒体1は、透明基板231、ホログラム層232および透明基板233の合計の厚みが1.2mmとなっており、図42に示した光情報記録媒体1は、透明基板231、ホログラム層232および透明基板233の合計の厚みが0.6mmとなっている。
対物レンズ123より光情報記録媒体1に照射される記録用参照光241は、プリグルーブが形成されている面で最も小径となるように収束し、対物レンズ123より光情報記録媒体1に照射される情報光242は、ホログラム層232よりも手前側で最も小径となるように収束する。その結果、ホログラム層232において、記録用参照光241と情報光242とによる干渉領域243が形成される。
なお、図41および図42には、透明基板ギャップタイプで片面タイプの光情報記録媒体1を示したが、エアギャップタイプで片面タイプの光情報記録媒体1を構成してもよい。この場合には、透明基板222、ホログラム層225およびエアギャップの合計の厚みが1.2mmまたは0.6mmとなるようにする。
図44ないし図46は、両面タイプの光情報記録媒体1を示し、図44は、透明基板ギャップタイプの光情報記録媒体1の断面図、図45は、エアギャップタイプの光情報記録媒体1の断面図、図46は、両面タイプの光情報記録媒体1に対する記録用参照光および情報光の照射の仕方を示す説明図である。図44に示した光情報記録媒体1は、図42に示した片面タイプの2枚の光情報記録媒体を、反射膜234同士で張り合わせた構造になっている。また、図45に示した光情報記録媒体1は、図35に示した片面タイプの2枚の光情報記録媒体を、反射基板221同士で張り合わせた構造になっている。なお、図45に示した光情報記録媒体1において、片側の透明基板222、ホログラム層225およびエアギャップの合計の厚みは0.6mmとなっている。
対物レンズ123より光情報記録媒体1に照射される記録用参照光241は、プリグルーブが形成されている面で最も小径となるように収束し、対物レンズ123より光情報記録媒体1に照射される情報光242は、ホログラム層232,225よりも手前側で最も小径となるように収束する。その結果、ホログラム層232,225において、記録用参照光241と情報光242とによる干渉領域243が形成される。
ところで、本実施の形態における光情報記録再生装置は、従来の光ディスクを用いた情報の記録や再生も可能になっている。例えば、図47に示したように、透明基板252の片面に、プリグルーブが形成され、且つ反射膜253が設けられた片面タイプの光ディスク251を用いる場合には、図48に示したように、対物レンズ123より光ディスク251に照射される光を、光ディスク251においてプリグルーブが形成されている面、すなわち情報層で最も小径となるように収束させる。なお、図47に示した光ディスク251において、透明基板252の厚みは、例えば1.2mmである。図47に示したような構造の光ディスクとしては、CD、CD−ROM、CD−R(ライトワンス(Write Once)タイプのCD)、MD(ミニディスク)等がある。
また、図49に示したように、片面に、プリグルーブが形成され且つ反射膜263が設けられた2枚の透明基板262を、反射膜263同士で張り合わせた構造の両面タイプの光ディスク261を用いる場合には、図50に示したように、対物レンズ123より光ディスク261に照射される光を、光ディスク261においてプリグルーブが形成されている面、すなわち情報層で最も小径となるように収束させる。なお、図49に示した光ディスク261において、片側の透明基板262の厚みは、例えば0.6mmである。図50に示したような構造の光ディスクとしては、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、MO(光磁気)ディスク等がある。
なお、本実施の形態における光情報記録媒体1では、第2の情報層を、例えば図47や図49に示したような従来の光ディスクにおける情報層と、記録される情報の内容も含めて同様の形態とすることができる。この場合、第2の情報層に記録された情報は、ピックアップ111をサーボ時の状態とすることで再生することが可能となる。また、従来の光ディスクにおける情報層には、サーボのための情報やアドレス情報も記録されているので、第2の情報層を従来の光ディスクにおける情報層と同様の形態とすることにより、従来の光ディスクにおける情報層に記録されたサーボのための情報やアドレス情報を、そのまま、ホログラム層における記録や再生のための情報光、記録用参照光および再生用参照光の位置決めのために利用することが可能となる。また、第2の情報層(従来の光ディスクにおける情報層)に、第1の情報層(ホログラム層)に記録された情報のディレクトリ情報やディレクトリマネジメント情報等を記録することで、高速検索が可能になる等、第2の情報層の応用範囲は広い。
次に、本実施の形態に係る光情報記録再生装置の作用について説明する前に、図51および図52を参照して、位相符号化多重の原理について説明する。図51は、位相符号化多重を行う一般的な記録再生系の概略の構成を示す斜視図である。この記録再生系は、2次元デジタルパターン情報に基づく情報光302を発生させる空間光変調器301と、この空間光変調器301からの情報光302を集光して、ホログラム記録媒体300に対して照射するレンズ303と、位相が空間的に変調された参照光305を発生させ、この参照光305をホログラム記録媒体300に対して情報光302と略直交する方向から照射する位相空間光変調器304と、再生された2次元デジタルパターン情報を検出するためのCCDアレイ308と、ホログラム記録媒体300から出射される再生光306を集光してCCDアレイ308上に照射するレンズ307とを備えている。
図51に示した記録再生系では、記録時には、記録する原画像等の情報をデジタイズし、その0か1かの信号を更に2次元に配置して2次元デジタルパターン情報(以下、ページデータと言う。)を生成する。ここでは、#1〜#nのページデータを、同じホログラム記録媒体300に多重記録するものとする。また、各ページデータ#1〜#n毎に異なる位相変調用の2次元デジタルパターン情報(以下、位相データと言う。)#1〜#nを生成する。まず、ページデータ#1の記録時には、ページデータ#1に基づいて、空間光変調器301によって、空間的に変調された情報光302を生成し、レンズ303を介してホログラム記録媒体300に照射する。同時に、位相データ#1に基づいて、位相空間光変調器304によって、位相が空間的に変調された参照光305を生成し、ホログラム記録媒体300に照射する。その結果、ホログラム記録媒体300には、情報光302と参照光305との重ね合わせによってできる干渉縞が記録される。以下、同様に、ページデータ#2〜#nの記録時には、それぞれ、ページデータ#2〜#nに基づいて、空間光変調器301によって、空間的に変調された情報光302を生成し、位相データ#2〜#nに基づいて、位相空間光変調器304によって、位相が空間的に変調された参照光305を生成し、これら情報光302および参照光305をホログラム記録媒体300に照射する。このようにして、ホログラム記録媒体300における同一箇所に、複数の情報が多重記録される。このように情報が多重記録されたホログラムをスタックと呼ぶ。図51に示した例では、ホログラム記録媒体300は複数のスタック(スタック1,スタック2,…,スタックm,…)を有している。
スタックから任意のページデータを再生するには、そのページデータを記録した際と同じ位相データに基づいて位相が空間的に変調された参照光305を、そのスタックに照射してやればよい。そうすると、その参照光305は、その位相データおよびページデータに対応した干渉縞によって選択的に回折され、再生光306が発生する。この再生光306は、レンズ307を介してCCDアレイ308に入射し、再生光の2次元パターンがCCDアレイ308によって検出される。そして、検出した再生光の2次元パターンを、記録時とは逆にデコードすることで原画像等の情報が再生される。
図52は、情報光302と参照光305の干渉によってホログラム記録媒体300に干渉縞が形成される様子を示したものである。図52において、(a)は、ページデータ#1に基づく情報光3021 と、位相データ#1に基づく参照光3051 の干渉によって、干渉縞3091 が形成される様子を示している。同様に、(b)は、ページデータ#2に基づく情報光3022 と、位相データ#2に基づく参照光3052の干渉によって、干渉縞3092が形成される様子を示し、(c)は、ページデータ#3に基づく情報光3023 と、位相データ#3に基づく参照光3053の干渉によって、干渉縞3093が形成される様子を示している。
次に、本実施の形態に係る光情報記録再生装置の作用について、サーボ時、記録時、再生時に分けて、順に説明する。
まず、図53および図54を参照して、サーボ時の作用について説明する。図53はサーボ時におけるピックアップ111の状態を示す説明図である。サーボ時には、空間光変調器125は、全画素が遮断状態にされる。位相空間光変調器117は、各画素を通過する光が全て同じ位相になるように設定される。光源装置112の出射光の出力は、再生用の低出力に設定される。なお、コントローラ90は、再生信号RFより再生された基本クロックに基づいて、対物レンズ123の出射光がアドレス・サーボエリア6を通過するタイミングを予測し、対物レンズ123の出射光がアドレス・サーボエリア6を通過する間、上記の設定とする。
光源装置112から出射された光は、コリメータレンズ113によって平行光束とされ、NDフィルタ114、旋光用光学素子115を順に通過して、偏光ビームスプリッタ116に入射する。偏光ビームスプリッタ116に入射した光のうちのS偏光成分は、偏光ビームスプリッタ面116aで反射され、空間光変調器125によって遮断される。偏光ビームスプリッタ116に入射した光のうちのP偏光成分は、偏光ビームスプリッタ面116aを透過し、位相空間光変調器117を通過して、ビームスプリッタ118に入射する。ビームスプリッタ118に入射した光の一部は、ビームスプリッタ面118aで反射され、偏光ビームスプリッタ120を通過して、2分割旋光板121に入射する。ここで、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過した光はB偏光となり、旋光板121Lを通過した光はA偏光となる。2分割旋光板121を通過した光は、立ち上げミラー122で反射されて、対物レンズ123によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層よりも奥側にあるプリグルーブ上で収束するように、情報記録媒体1に照射される。この光は、プリグルーブ上で反射され、その際、プリグルーブ上に形成されたピットによって変調されて、対物レンズ123側に戻ってくる。なお、図53では、立ち上げミラー122を省略している。
情報記録媒体1からの戻り光は、対物レンズ123で平行光束とされ、2分割旋光板121を通過してS偏光となる。この戻り光は、偏光ビームスプリッタ120の偏光ビームスプリッタ面120aで反射されて、ビームスプリッタ127に入射し、一部がビームスプリッタ面127aを透過して、凸レンズ129およびシリンドリカルレンズ130を順に通過した後、4分割フォトディテクタ131によって検出される。そして、この4分割フォトディテクタ131の出力に基づいて、検出回路85によって、フォーカスエラー信号FE,トラッキングエラー信号TEおよび再生信号RFが生成され、これらの信号に基づいて、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボが行われると共に、基本クロックの再生およびアドレスの判別が行われる。
また、ビームスプリッタ118に入射した光の一部は、フォトディテクタ119に入射し、このフォトディテクタ119の出力信号に基づいて、APC回路146によって信号APCrefが生成される。そして、この信号APCrefに基づいて、光情報記録媒体1に照射される光の光量が一定になるようにAPCが行われる。具体的には、信号APCref が所定の値に等しくなるように、駆動回路148がモータ142を駆動して、旋光用光学素子115を調整する。あるいは、サーボ時には、旋光用光学素子115を通過した光がP偏光成分のみとなるように、旋光用光学素子115を設定し、光源装置112の出力を調整してAPCを行うようにしてもよい。フォトディテクタ119の受光部が複数の領域に分割され、また、位相空間光変調器117が透過光量も調節可能なものである場合には、フォトディテクタ119の各受光部毎の出力信号に基づいて、位相空間光変調器117における画素毎の透過光量を調節して、光情報記録媒体1に照射される光の強度分布が均一になるように調整するようにしてもよい。
なお、上記のサーボ時における設定では、ピックアップ111の構成は、通常の光ディスクに対する記録、再生用のピックアップの構成と同様になる。従って、本実施の形態における光情報記録再生装置は、通常の光ディスクを用いて記録や再生を行うことも可能である。
図54は、本実施の形態に係る光情報記録再生装置によって、通常の光ディスクを用いて記録や再生を行う場合における光ディスク近傍における光の状態を示す説明図である。なお、この図では、通常の光ディスクの例として、両面タイプの光ディスク261を挙げている。この光ディスク261では、透明基板262における反射膜263側の面にプリグルーブ265が形成されており、対物レンズ123側からの光は、プリグルーブ265上で収束するように、光ディスク261に照射され、プリグルーブ265上に形成されたピットによって変調されて、対物レンズ123側に戻ってくる。
次に、図55ないし図57を参照して、記録時の作用について説明する。図55は、記録時におけるピックアップ111の状態を示す説明図、図56、図57は、それぞれ、記録時における光情報記録媒体1の近傍の光の状態を示す説明図である。なお、以下では、図56に示したように、光情報記録媒体1として、エアギャップタイプのものを用いた場合を例にとって説明する。
記録時には、空間光変調器125は、記録する情報に応じて各画素毎に透過状態(以下、オンとも言う。)と遮断状態(以下、オフとも言う。)を選択して、通過する光を空間的に変調して、情報光を生成する。位相空間光変調器117は、通過する光に対して、所定の変調パターンに従って、画素毎に、所定の位相を基準にして位相差0(rad)かπ(rad)を選択的に付与することによって、光の位相を空間的に変調して、光の位相が空間的に変調された記録用参照光を生成する。
本実施の形態では、既に説明したように、データエリア7に位相符号化多重により情報を多重記録する際には、対物レンズ123の中心がデータエリア7とその両側のアドレス・サーボエリア6の一部とを含む区間内で往復運動するように、視野内アクセスを用いて対物レンズ123の中心を移動させる。対物レンズ123の中心がデータエリア7内の所定の位置にきたときに、選択的に、光源装置112の出力を記録用の高出力にする。
光源装置112から出射された光は、コリメータレンズ113によって平行光束とされ、NDフィルタ114、旋光用光学素子115を順に通過して、偏光ビームスプリッタ116に入射する。偏光ビームスプリッタ116に入射した光のうちのP偏光成分は、偏光ビームスプリッタ面116aを透過し、位相空間光変調器117を通過し、その際、光の位相が空間的に変調されて、記録用参照光となる。この記録用参照光は、ビームスプリッタ118に入射する。ビームスプリッタ118に入射した記録用参照光の一部は、ビームスプリッタ面118aで反射され、偏光ビームスプリッタ120を通過して、2分割旋光板121に入射する。ここで、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過した記録用参照光はB偏光となり、旋光板121Lを通過した記録用参照光はA偏光となる。2分割旋光板121を通過した記録用参照光は、立ち上げミラー122で反射されて、対物レンズ123によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層225よりも奥側で収束するように、光情報記録媒体1に照射される。なお、図55では、立ち上げミラー122を省略している。
一方、偏光ビームスプリッタ116に入射した光のうちのS偏光成分は、偏光ビームスプリッタ面116aで反射され、空間光変調器125を通過し、その際に、記録する情報に従って、空間的に変調されて、情報光となる。この情報光は、ビームスプリッタ127に入射する。ビームスプリッタ127に入射した情報光の一部は、ビームスプリッタ面127aで反射され、偏光ビームスプリッタ120のビームスプリッタ面120aで反射され、2分割旋光板121に入射する。ここで、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過した情報光はA偏光となり、旋光板121Lを通過した情報光はB偏光となる。2分割旋光板121を通過した情報光は、立ち上げミラー122で反射されて、対物レンズ123によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層225よりも手前側で一旦収束し拡散しながらホログラム層225を通過するように、光情報記録媒体1に照射される。
その結果、図56に示したように、ホログラム層225において、記録用参照光311と情報光312とによる干渉領域313が形成される。この干渉領域313は、樽状の形態をなす。なお、図55に示したように、凸レンズ126の位置310を調整することで情報光の収束位置を調整でき、これにより、干渉領域313の大きさを調整することができる。
図57に示したように、ホログラム層225内では、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過したA偏光の記録用参照光311Aと、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過したA偏光の情報光312Aとが干渉し、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過したB偏光の記録用参照光311Bと、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過したB偏光の情報光312Bとが干渉し、これらの干渉パターンがホログラム層225内に体積的に記録される。
また、記録する情報毎に、記録用参照光の位相の変調パターンを変えることにより、ホログラム層225の同一箇所に、複数の情報を多重記録することができる。
ところで、図55に示したように、ビームスプリッタ118に入射した記録用参照光の一部は、フォトディテクタ119に入射し、このフォトディテクタ119の出力信号に基づいて、APC回路146によって信号APCref が生成される。また、ビームスプリッタ127に入射した情報光の一部は、フォトディテクタ128に入射し、このフォトディテクタ128の出力信号に基づいて、APC回路147によって信号APCobj が生成される。そして、これらの信号APCref,APCobjに基づいて、光情報記録媒体1に照射される記録用参照光と情報光の強度の比が最適な値となるようにAPCが行われる。具体的には、駆動回路148が、信号APCref,APCobjを比較して、これらが所望の比となるように、モータ142を駆動して、旋光用光学素子115を調整する。フォトディテクタ119の受光部が複数の領域に分割され、また、位相空間光変調器117が透過光量も調節可能なものである場合には、フォトディテクタ119の各受光部毎の出力信号に基づいて、位相空間光変調器117における画素毎の透過光量を調節して、光情報記録媒体1に照射される記録用参照光の強度分布が均一になるように調整するようにしてもよい。同様に、フォトディテクタ128の受光部が複数の領域に分割され、また、空間光変調器125が透過光量も調節可能なものである場合には、フォトディテクタ128の各受光部毎の出力信号に基づいて、空間光変調器125における画素毎の透過光量を調節して、光情報記録媒体1に照射される情報光の強度分布が均一になるように調整するようにしてもよい。
また、本実施の形態では、信号APCref,APCobjの和に基づいて、記録用参照光と情報光の合計の強度が最適な値となるようにAPCが行われる。記録用参照光と情報光の合計の強度を制御する方法としては、光源装置112の出力のピーク値の制御、パルス的に光を出射する場合の出射パルス幅、出射光の強度の時間的なプロファイルの制御等がある。
次に、図58および図59を参照して、定着時の作用について説明する。図58は、定着時におけるピックアップ111の状態を示す説明図、図59は、定着時における光情報記録媒体1の近傍の光の状態を示す説明図である。定着時には、空間光変調器125は、全画素が遮断状態にされる。位相空間光変調器117は、各画素を通過する光が全て同じ位相になるように設定される。光源装置112からは光が出射されず、定着用光源装置135から、定着用のS偏光の紫外光が出射される。
定着用光源装置135から出射された光は、コリメータレンズ134によって平行光束とされ、偏光ビームスプリッタ116に入射し、偏光ビームスプリッタ面116aで反射され、位相空間光変調器117を通過して、ビームスプリッタ118に入射する。ビームスプリッタ118に入射した光の一部は、ビームスプリッタ面118aで反射され、偏光ビームスプリッタ120を通過して、2分割旋光板121に入射する。ここで、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過した光はB偏光となり、旋光板121Lを通過した光はA偏光となる。2分割旋光板121を通過した光は、立ち上げミラー122で反射されて、対物レンズ123によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層225よりも奥側にあるプリグルーブ上で収束するように、情報記録媒体1に照射される。そして、この光によって、ホログラム層225内の干渉領域313に形成されていた干渉パターンが定着される。なお、図58では、立ち上げミラー122を省略している。
なお、光情報記録媒体1に対する定着用の光の位置決め(サーボ)は、記録時における記録用参照光および情報光の位置決めと同様に行うことができる。
また、ビームスプリッタ118に入射した定着用の光の一部は、フォトディテクタ119に入射し、このフォトディテクタ119の出力信号に基づいて、APC回路146によって信号APCrefが生成される。そして、この信号APCrefに基づいて、光情報記録媒体1に照射される定着用の光の光量が一定になるようにAPCが行われる。具体的には、信号APCref が所定の値に等しくなるように、定着用光源装置135の出力を調整する。フォトディテクタ119の受光部が複数の領域に分割され、また、位相空間光変調器117が透過光量も調節可能なものである場合には、フォトディテクタ119の各受光部毎の出力信号に基づいて、位相空間光変調器117における画素毎の透過光量を調節して、光情報記録媒体1に照射される定着用の光の強度分布が均一になるように調整するようにしてもよい。
次に、図60ないし図62を参照して、再生時の作用について説明する。図60は、再生時におけるピックアップ111の状態を示す説明図、図61、図62は、それぞれ、再生時における光情報記録媒体1の近傍の光の状態を示す説明図である。
再生時には、空間光変調器125は、全画素が遮断状態にされる。位相空間光変調器117は、通過する光に対して、所定の変調パターンに従って、画素毎に、所定の位相を基準にして位相差0(rad)かπ(rad)を選択的に付与することによって、光の位相を空間的に変調して、光の位相が空間的に変調された再生用参照光を生成する。ここで、本実施例では、再生用参照光の位相の変調パターンは、位相空間光変調器117の中心に対して、再生しようとする情報の記録時における記録用参照光の位相の変調パターンと点対称なパターンとする。
光源装置112から出射された光は、コリメータレンズ113によって平行光束とされ、NDフィルタ114、旋光用光学素子115を順に通過して、偏光ビームスプリッタ116に入射する。偏光ビームスプリッタ116に入射した光のうちのS偏光成分は、偏光ビームスプリッタ面116aで反射され、空間光変調器125によって遮断される。偏光ビームスプリッタ116に入射した光のうちのP偏光成分は、偏光ビームスプリッタ面116aを透過し、位相空間光変調器117を通過し、その際、光の位相が空間的に変調されて、再生用参照光となる。この再生用参照光は、ビームスプリッタ118に入射する。ビームスプリッタ118に入射した再生用参照光の一部は、ビームスプリッタ面118aで反射され、偏光ビームスプリッタ120を通過して、2分割旋光板121に入射する。ここで、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過した再生用参照光はB偏光となり、旋光板121Lを通過した再生用参照光はA偏光となる。2分割旋光板121を通過した再生用参照光は、立ち上げミラー122で反射されて、対物レンズ123によって集光されて、光情報記録媒体1におけるホログラム層225よりも奥側で収束するように、光情報記録媒体1に照射される。なお、図60では、立ち上げミラー122を省略している。
なお、光情報記録媒体1に対する再生用参照光の位置決め(サーボ)は、記録時における記録用参照光および情報光の位置決めと同様に行うことができる。
図62に示したように、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過したB偏光の再生用参照光315Bは、ホログラム層225を通過し、ホログラム層225の奥側の収束位置にある反射面で反射し、ホログラム層225を再度通過する。このとき、反射面で反射した後の再生用参照光315Bは、干渉領域313内において、記録時に記録用参照光311Aが照射された箇所を通過し、且つ記録用参照光311Aと同じ変調パターンの光となっている。従って、この再生用参照光315Bによって、干渉領域313より、記録時における情報光312Aに対応した再生光316Bが発生する。この再生光316Bは、対物レンズ123側へ進行する。
同様に、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過したA偏光の再生用参照光315Aは、ホログラム層225を通過し、ホログラム層225の奥側の収束位置にある反射面で反射し、ホログラム層225を再度通過する。このとき、反射面で反射した後の再生用参照光315Aは、干渉領域313内において、記録時に記録用参照光311Bが照射された箇所を通過し、且つ記録用参照光311Bと同じ変調パターンの光となっている。従って、この再生用参照光315Aによって、干渉領域313より、記録時における情報光312Bに対応した再生光316Aが発生する。この再生光316Aは、対物レンズ123側へ進行する。
B偏光の再生光316Bは、対物レンズ123を通過した後、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過して、P偏光の光となる。A偏光の再生光316Aは、対物レンズ123を通過した後、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過して、P偏光の光となる。2分割旋光板121を通過した再生光は、偏光ビームスプリッタ120に入射し、偏光ビームスプリッタ面120aを透過して、ビームスプリッタ118に入射する。ビームスプリッタ118に入射した再生光の一部は、ビームスプリッタ面118aを透過し、結像レンズ132を通過して、CCDアレイ133に入射する。なお、図60に示したように、結像レンズ132の位置を調整することで、CCDアレイ133に対する再生光の結像状態を調整することができる。
CCDアレイ133上には、記録時における空間光変調器125によるオン、オフのパターンが結像され、このパターンを検出することで、情報が再生される。なお、記録用参照光の変調パターンを変えて、ホログラム層225に複数の情報が多重記録されている場合には、複数の情報のうち、再生用参照光の変調パターンと点対称な変調パターンの記録用参照光に対応する情報のみが再生される。
また、ビームスプリッタ118に入射した再生用参照光の一部は、フォトディテクタ119に入射し、このフォトディテクタ119の出力信号に基づいて、APC回路146によって信号APCref が生成される。そして、この信号APCref に基づいて、光情報記録媒体1に照射される再生用参照光の光量が一定になるようにAPCが行われる。具体的には、信号APCref が所定の値に等しくなるように、駆動回路148がモータ142を駆動して、旋光用光学素子115を調整する。あるいは、再生時には、旋光用光学素子115を通過した光がP偏光成分のみとなるように、旋光用光学素子115を設定し、光源装置112の出力を調整してAPCを行うようにしてもよい。フォトディテクタ119の受光部が複数の領域に分割され、また、位相空間光変調器117が透過光量も調節可能なものである場合には、フォトディテクタ119の各受光部毎の出力信号に基づいて、位相空間光変調器117における画素毎の透過光量を調節して、光情報記録媒体1に照射される再生用参照光の強度分布が均一になるように調整するようにしてもよい。
また、本実施の形態において、光源装置112として、R,G,Bの3色のレーザ光を出射可能なものを用い、CCDアレイ133も、R,G,Bの3色の光を検出可能なものを用い、更に、光情報記録媒体1として、それぞれR,G,Bの各色の光のみによって光学特性の変化する3層のホログラム層を有するものを用いることにより、同一の記録用参照光の変調パターンで、光情報記録媒体1の同一箇所に3種類の情報を記録することが可能となり、より多くの情報を多重記録することが可能となる。上述のような3層のホログラム層を有する記録媒体としては、例えば、DuPont社製HRF−700X059−20(商品名)がある。
上述のように、R,G,Bの3色の光による情報の多重記録を行う場合には、光情報記録媒体1の同一箇所に対して、R,G,Bの各色毎に、時分割で情報の記録を行う。その際、R,G,Bの各色毎に、情報光の変調パターンは変えるが、記録用参照光の変調パターンは変えない。ここで、各色毎の情報光の各画素が2値の情報を担持する場合、すなわち各画素が明か暗かで表現される場合には、R,G,Bの3色の光による情報の多重記録を行うことより、例えばRをMSB(最上位ビット)、BをLSB(最下位ビット)として、各画素につき8(=23 )値の情報を記録することが可能となる。空間光変調器125が、透過光量を3段階以上に調節可能で、各色毎の情報光の各画素がn(nは3以上の整数)階調の情報を担持する場合、R,G,Bの3色の光による情報の多重記録を行うことより、各画素につきn3 値の情報を記録することが可能となる。
R,G,Bの3色の光による情報の多重記録を行った場合における情報の再生は、以下のように種々の方法が可能である。すなわち、再生用参照光をR,G,Bのいずれか1色の光とすれば、再生用参照光と同じ色の光を用いて記録された情報のみが再生される。再生用参照光をR,G,Bのうちの任意の2色の光とした場合には、再生用参照光と同じ2色の光を用いて記録された2種類の情報のみが再生される。この2種類の情報は、CCDアレイ133において、各色毎の情報に分離される。また、再生用参照光をR,G,Bの3色の光とした場合には、3色の光を用いて記録された3種類の情報が全て再生される。この3種類の情報は、CCDアレイ133において、各色毎の情報に分離される。なお、光情報記録媒体1がR,G,Bの各色毎の層を有する場合、各色毎の層において、それぞれ位相符号化多重により多重記録を行う。これにより、参照光の位相の変調パターン毎に、R,G,Bの各色毎のパターンの再生像が得られるという効果を奏する。
次に、図63および図64を参照して、本実施の形態に係る光情報記録再生装置が持つダイレクト・リード・アフタ・ライト(Direct Rrad After Write;以下、DRAWと記す。)機能と、多重記録時のライト・パワー・コントロール(Write Power Control;以下、WPCと記す。)機能について説明する。
始めに、DRAW機能について説明する。DRAW機能とは、情報の記録後、直ちに、記録された情報の再生を行う機能である。この機能により、情報の記録後、直ちに、記録された情報の照合(Verify)を行うことが可能となる。
以下、図55および図57を参照して、本実施の形態におけるDRAW機能の原理について説明する。まず、本実施の形態において、DRAW機能を使用する場合には、記録用参照光の変調パターンを、位相空間光変調器117の中心に対して点対称なパターンとする。記録時には、ホログラム層225内で、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過したA偏光の記録用参照光311Aと、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過したA偏光の情報光312Aとが干渉し、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過したB偏光の記録用参照光311Bと、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過したB偏光の情報光312Bとが干渉し、これらの干渉パターンがホログラム層225内に体積的に記録される。
このように、干渉パターンがホログラム層225内に記録され始めると、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過したA偏光の記録用参照光311Aがホログラム層225の奥側の収束位置にある反射面で反射した光によって、記録用参照光311Bによって干渉パターンが記録された箇所より、A偏光の再生光が発生する。この再生光は、対物レンズ123側へ進行し、対物レンズ123を通過した後、2分割旋光板121の旋光板121Lを通過して、P偏光の光となる。同様に、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過したB偏光の記録用参照光311Bがホログラム層225の奥側の収束位置にある反射面で反射した光によって、記録用参照光311Aによって干渉パターンが記録された箇所より、B偏光の再生光が発生する。この再生光は、対物レンズ123側へ進行し、対物レンズ123を通過した後、2分割旋光板121の旋光板121Rを通過して、P偏光の光となる。2分割旋光板121を通過した再生光は、偏光ビームスプリッタ120に入射し、偏光ビームスプリッタ面120aを透過して、ビームスプリッタ118に入射する。ビームスプリッタ118に入射した再生光の一部は、ビームスプリッタ面118aを透過し、結像レンズ132を通過して、CCDアレイ133に入射して検出される。このようにして、情報の記録後、直ちに、記録された情報の再生を行うことができる。
図63において符号321は、光情報記録媒体1の1箇所における情報の記録開始後の経過時間と、CCDアレイ133の出力レベルとの関係の一例を示したものである。このように、CCDアレイ133の出力レベルは、情報の記録開始後、光情報記録媒体1における干渉パターンの記録の度合いに応じて、次第に大きくなり、ある時刻において最大値に達し、その後は、次第に小さくなる。CCDアレイ133の出力レベルが大きいほど、記録された干渉パターン(以下、記録パターンと言う。)による回折効率が大きいと言える。従って、記録時に、CCDアレイ133の出力レベルが、所望の回折効率に対応した出力レベルとなったときに記録を停止することで、所望の回折効率の記録パターンを形成することができる。
本実施の形態では、好ましくは、上述のようにDRAW機能を用いて所望の回折効率の記録パターンを形成するために、光情報記録媒体1に、適宜、テストエリアを設ける。テストエリアとは、データエリア7と同様に、ホログラフィによって情報を記録可能な領域である。そして、好ましくは、コントローラ90は、情報の記録時に、以下のような動作を行う。すなわち、コントローラ90は、予め、テストエリアにおいて所定のテスト用データを記録する動作を行い、図63に示したようなCCDアレイ133の出力レベルのプロファイルを検出する。このとき、好ましくは、光源装置112の出力や、記録用参照光と情報光との光量の比率を変えて、テストエリア内の複数箇所で、テスト用データの記録およびCCDアレイ133の出力レベルのプロファイルの検出動作を行い、例えば図63において符号321〜323で示したように、複数のプロファイルを検出し、その中から最適なプロファイルを選択し、選択したプロファイルに対応する条件で実際の情報の記録動作を行うようにする。
また、コントローラ90は、検出したプロファイル、あるいは選択したプロファイルに基づいて、所望の回折効率に対応した出力レベル、または、その出力レベルが得られる記録開始からの時間を求める。コントローラ90は、実際の情報の記録の際には、CCDアレイ133の出力レベルを監視して、その出力レベルが予め求めた所望の回折効率に対応した出力レベルに達したら、記録を停止する。あるいは、コントローラ90は、実際の情報の記録の際には、記録の開始後の経過時間が、予め求めた所望の回折効率に対応した出力レベルが得られる記録開始からの時間に達したら、記録を停止する。このような動作により、光情報記録媒体1に対して、所望の回折効率の記録パターンを形成することが可能となる。
また、前述のように、本実施の形態では、DRAW機能を用いて、記録された情報の照合を行うことができる。図64は、本実施の形態に係る光情報記録再生装置において、この照合を行うために必要な回路構成を示したものある。この図に示したように、光情報記録再生装置は、コントローラ90より、記録する情報が与えられ、この情報を、空間光変調器(図64では、SLMと記す。)125の変調パターンのデータとなるように符号化するエンコーダ331と、CCDアレイ133の出力データを、コントローラ90からエンコーダ331に与えられる形態のデータとなるように復号化するデコーダ322と、コントローラ90からエンコーダ331に与えられるデータとデコーダ322によって得られるデータとを比較し、比較結果の情報をコントローラ90に送る比較部333とを備えている。比較部333は、比較結果の情報として、例えば、比較する2つのデータの一致度、あるいはエラーレート(誤り率)の情報を、コントローラ90に送る。コントローラ90は、例えば、比較部333より送られてくる比較結果の情報が、データの誤りを修復可能な範囲内である場合には、記録動作を続行し、比較結果の情報が、データの誤りを修復可能な範囲外である場合には、記録動作を中止する。
このように、本実施の形態に係る光情報記録再生装置によれば、DRAW機能を有していることから、光情報記録媒体1の感度むらや、外部の環境温度の変化や、光源装置112の出力のゆらぎ等の外乱があっても、最適な記録状態で記録動作を行うことができる。
また、本実施の形態によれば、情報の記録と同時に、記録された情報の照合を行う機能を有するので、高い信頼性を維持しながら高速の記録を行うことができる。この機能は、特に高転送レートの情報の記録を行う場合に有用である。情報の定着が行われていない状態で情報の再生を行うことは、重ね書きを行うのと同様の作用をなし、記録された情報の品質を劣化させることになるので、好ましくないが、本実施の形態における照合の機能では、記録動作中に、記録された情報の確認が終了するので、問題は生じない。
次に、多重記録時のWPC機能について説明する。記録用参照光の変調パターンを変えて、光情報記録媒体1の同一箇所に複数の情報を多重記録する場合、先に記録が行われた記録パターンの回折効率は、その後に行われる記録によって次第に低下する。本実施の形態におけるWPC機能とは、多重記録時に、多重記録される情報毎の各記録パターンで略同じ回折効率が得られるように、記録時における記録用参照光および情報光を制御する機能である。
ここで、記録パターンの回折効率は、記録用参照光および情報光の強度、記録用参照光および情報光の照射時間、記録用参照光と情報光の強度比、記録用参照光の変調パターン、光情報記録媒体1の同一箇所に合計何回の記録を行い、そのうちの何回目の記録か等のパラメータに依存する。従って、WPC機能では、これらの複数のパラメータのうちの少なくとも1つを制御すればよい。制御を簡単に行うには、記録用参照光および情報光の強度や照射時間を制御すればよい。記録用参照光および情報光の強度を制御する場合には、後に行う記録ほど、強度を小さくしていく。記録用参照光および情報光の照射時間を制御する場合には、後に行う記録ほど、照射時間を短くしていく。
本実施の形態におけるWPC機能では、予め求めておいた、図63に示したようなCCDアレイ133の出力レベルのプロファイルに基づいて、1〜m(mは2以上の整数)回目の記録時における記録用参照光および情報光を制御する。図63には、記録用参照光および情報光の照射時間を制御する場合における照射時間の例を示している。すなわち、図63に示した例では、光情報記録媒体1の同一箇所に5回の記録を行うものとし、T1,T2,T3,T4,T5 が、それぞれ、1回目の記録時、2回目の記録時、3回目の記録時、4回目の記録時、5回目の記録時における記録用参照光および情報光の照射時間を表している。
このように、本実施の形態によれば、多重記録される情報毎の各記録パターンの回折効率を略等しくすることができる。
ところで、本実施の形態に係る光情報記録再生装置によれば、大量の情報を高密度に光情報記録媒体1に記録することが可能となる。このことは、情報の記録後に光情報記録媒体1に欠陥等が生じて一部の情報を再生できなくなると、それによって失われる情報の量も大きくなることを意味する。本実施の形態では、このような情報の欠落を防止して、信頼性を向上させるため、以下で説明するように、RAID(Redundant Arrays of Inexpensive Disks)技術を応用した情報の記録を行うことができるようになっている。
RAID技術は、複数のハードディスク装置を使用して、冗長性を有するようにデータを記録することによって、記録の信頼性を高める技術である。RAIDは、RAID−1からRAID−5までの5つに分類されている。以下の説明では、このうち、代表的なRAID−1、RAID−3およびRAID−5を例にとって説明する。RAID−1は、2つのハードディスク装置に同じ内容を書き込む方式であり、ミラーリングとも呼ばれる。RAID−3は、入力データを一定の長さに分割して、複数のハードディスク装置に記録すると共に、パリティデータを生成して、他の1台のハードディスク装置に書き込む方式である。RAID−5は、データの分割の単位(ブロック)を大きくして、1つの分割データをデータブロックとして1つのハードディスク装置に記録すると共に、各ハードディスク装置の互いに対応するデータブロックに対するパリティデータをパリティブロックとして他のハードディスク装置に記録すると共に、パリティブロックを全ハードディスク装置に分散する方式である。
本実施の形態におけるRAID技術を応用した情報の記録方法(以下、分散記録方法と言う。)は、上述のRAIDの説明中におけるハードディスク装置を、光情報記録媒体1における干渉領域313に置き換えて、情報の記録を行うものである。
図65は、本実施の形態における分散記録方法の一例を示す説明図である。この例では、光情報記録媒体1に記録すべき情報が、一連のデータDATA1,DATA2,DATA3,…であるものとし、同じデータDATA1,DATA2,DATA3,…を、光情報記録媒体1における複数の干渉領域313a〜313eに記録している。なお、各干渉領域313a〜313eでは、それぞれ、複数のデータが、位相符号化多重により多重記録される。この記録方法は、RAID−1に対応するものである。この記録方法によれば、複数の干渉領域313a〜313eのいずれかにおいてデータの再生ができなくなっても、他の干渉領域より、データを再生することができる。
図66は、本実施の形態における分散記録方法の他の例を示す説明図である。この例では、光情報記録媒体1に記録すべき情報が、一連のデータDATA1,DATA2,DATA3,…,DATA12であるものとし、このデータを分割して、複数の干渉領域313a〜313dに記録すると共に、複数の干渉領域313a〜313dに記録されるデータに対するパリティデータを生成し、このパリティデータを干渉領域313eに記録している。より具体的に説明すると、この記録方法では、データDATA1〜DATA4が、それぞれ干渉領域313a〜313dに記録され、データDATA1〜DATA4に対するパリティデータPARITY(1−4)が干渉領域313eに記録され、データDATA5〜DATA8が、それぞれ干渉領域313a〜313dに記録され、データDATA5〜DATA8に対するパリティデータPARITY(5−8)が干渉領域313eに記録され、データDATA9〜DATA12が、それぞれ干渉領域313a〜313dに記録され、データDATA9〜DATA12に対するパリティデータPARITY(9−12)が干渉領域313eに記録される。なお、各干渉領域313a〜313eでは、それぞれ、複数のデータが、位相符号化多重により多重記録される。この記録方法は、RAID−3に対応するものである。この記録方法によれば、複数の干渉領域313a〜313dのいずれかにおいてデータの再生ができなくなっても、干渉領域313eに記録されているパリティデータを用いて、データを復元することができる。
図67は、本実施の形態における分散記録方法の更に他の例を示す説明図である。この例では、光情報記録媒体1に記録すべき情報が、一連のデータDATA1,DATA2,DATA3,…,DATA12であるものとし、このデータを分割して、複数の干渉領域313a〜313eのうちの4つの干渉領域に記録すると共に、記録されるデータに対するパリティデータを生成し、このパリティデータを、複数の干渉領域313a〜313eのうちの残りの干渉領域に記録している。また、この方法では、パリティデータを記録する干渉領域を、順次変更している。より具体的に説明すると、この記録方法では、データDATA1〜DATA4が、それぞれ干渉領域313a〜313dに記録され、データDATA1〜DATA4に対するパリティデータPARITY(1−4)が干渉領域313eに記録され、データDATA5〜DATA8が、それぞれ干渉領域313a〜313c,313eに記録され、データDATA5〜DATA8に対するパリティデータPARITY(5−8)が干渉領域313dに記録され、データDATA9〜DATA12が、それぞれ干渉領域313a,313b,313d,313eに記録され、データDATA9〜DATA12に対するパリティデータPARITY(9−12)が干渉領域313cに記録される。なお、各干渉領域313a〜313eでは、それぞれ、複数のデータが、位相符号化多重により多重記録される。この記録方法は、RAID−5に対応するものである。この記録方法によれば、データを記録した複数の干渉領域のいずれかにおいてデータの再生ができなくなっても、パリティデータを用いて、データを復元することができる。
例えば図65ないし図67に示したような分散記録方法は、制御手段としてのコントローラ90の制御の下で行われる。
図68は、上述の分散記録方法で使用される複数の干渉領域の配置の一例を示したものである。この例では、分散記録方法で使用される干渉領域を、1つのトラック内の隣接する複数の干渉領域313としている。この場合、分散記録方法で使用される複数の干渉領域313は、視野内アクセスの可能な範囲内の干渉領域とするのが好ましい。それは、各干渉領域313に対して高速にアクセスできるからである。
図69は、上述の分散記録方法で使用される複数の干渉領域の配置の他の例を示したものである。この例では、分散記録方法で使用される複数の干渉領域を、光情報記録媒体1の半径方向331およびトラック方向332に2次元的に隣接する複数の干渉領域313としている。この場合、分散記録方法で使用される複数の干渉領域のうち、トラック方向332に隣接する複数の干渉領域313は、視野内アクセスの可能な範囲内の干渉領域とするのが好ましい。それは、トラック方向332に隣接する各干渉領域313に対して高速にアクセスできるからである。
なお、本実施の形態における分散記録方法では、一連のデータを、隣接する複数の干渉領域313に記録せずに、飛び飛びに位置する複数の干渉領域313に分散させて記録するようにしてもよい。
ここまでは、1つの干渉領域313に複数のデータを位相符号化多重により多重記録する場合における分散記録方法について説明してきたが、他の方法により、複数のデータを多重記録する場合においても、分散記録方法を実現することができる。その一例として、図70を参照して、シフトマルチプレキシング(shift multiplexing)という方法を用いて複数のデータを多重記録する場合における分散記録方法について説明する。シフトマルチプレキシングとは、図70に示したように、光情報記録媒体1に対して、複数の干渉領域313を、互いに水平方向に少しずつずれ、且つ一部が重なるように形成して、複数の情報を多重記録する方法である。なお、図70では、分散記録方法で使用される複数の干渉領域313が2次元的に配置されている例を示したが、分散記録方法で使用される複数の干渉領域313は、同じトラック内で隣接するように配置してもよい。また、図70において、符号334で示した矢印は、記録の順番を表している。マルチプレキシングを用いた分散記録方法では、複数の干渉領域313に、一連のデータより分割されたデータやパリティデータを分散して記録する。
また、位相符号化多重とシフトマルチプレキシングとを併用して複数のデータを多重記録する場合においても、分散記録方法を実現することができる。図71は、情報記録媒体1のトラック方向332については、位相符号化多重によって情報を多重記録する干渉領域313を、互いに重なることなく形成し、情報記録媒体1の半径方向331については、シフトマルチプレキシングを用いて隣接する干渉領域313が互いに水平方向に少しずつずれ、且つ一部が重なるように形成した例を示している。この例における各干渉領域313は、それぞれ、図65ないし図67における干渉領域313a〜313eと同様に扱われる。
次に、図72および図73を参照して、本実施の形態に係る光情報記録再生装置の応用例として、本実施の形態に係る光情報記録再生装置を利用したジューク装置について説明する。なお、ジューク装置とは、記録媒体の交換を行うオートチェンジャ機構を有する大容量の情報記録再生装置である。
図72は、ジューク装置の外観を示す斜視図、図73は、ジューク装置の回路構成を示すブロック図である。このジューク装置は、ジューク装置の全面側に設けられたフロントパネルブロック401と、ジューク装置の内部を構成するロボティクスブロック402と、ジューク装置の裏面側に設けられたリアパネルブロック403と、ジューク装置の内部に設けられ、複数の光情報記録再生装置が連結されてなる第1のディスクアレイ404と、同じく複数の光情報記録再生装置が連結されてなる第2のディスクアレイ405と、ジューク装置の各部に所定の電力を供給する電力供給ブロック406とを備えている。
フロントパネルブロック401は、各ディスクアレイ404,405を交換する際等に開閉されるフロントドア407と、フロントパネル408とを備えている。
フロントパネル408には、各種操作キーを有するキーパッド409と、例えば動作モード等を表示するためのディスプレイ410と、フロントドア407の開閉を指定するためのファンクショナルスイッチ411と、光情報記録媒体1の挿入および排出口であるメイルスロット412と、メイルスロット412を介して挿入された光情報記録媒体1を図示しないメイルボックスに転送すると共に、排出する光情報記録媒体1をメイルボックスからメイルスロット412に転送する転送用モータ413と、ジューク装置内に挿入された光情報記録媒体1が規定枚数に達したことを検出するフルセンサ414とが設けられている。
フロントドア407には、フロントドア407の開閉状態を検出するドアセンサ415と、フロントドア407を開閉制御するためのドアロックソレノイド416と、ファンクショナルスイッチ411の操作に応じてフロントドア407を開閉制御するインタロックスイッチ417とが設けられている。
ロボティクスブロック402は、その内部に例えば10枚の光情報記録媒体1を収納可能となっている下部マガジン421と、この下部マガジン421の上面部に積層されるように設けられ、その内部に例えば10枚の光情報記録媒体1を収納可能となっている上部マガジン422と、ジューク装置全体の制御を行うコントローラブロック423とを有している。
また、ロボティクスブロック402は、ジューク装置内に挿入された光情報記録媒体1を所定の箇所に移動させる図示しないマニピュレータのグリップ動作を制御するためのグリップ動作用モータ424と、コントローラブロック423の制御に応じてグリップ動作用モータ424の回転数および回転方向を制御するグリップ動作用モータコントローラ425と、グリップ動作用モータ424の回転数および回転方向を検出し、この検出データをコントローラブロック23に供給するグリップ動作用エンコーダ426とを有している。また、ロボティクスブロック402は、マニピュレータを時計回り方向、反時計回り方向あるいは左右方向に回転制御するための回転動作用モータ427と、コントローラブロック423の制御に応じて回転動作用モータ427の回転数および回転方向を制御する回転動作用モータコントローラ428と、回転動作用モータ427の回転数および回転方向を検出し、この検出データをコントローラブロック423に供給する回転動作用エンコーダ429とを有している。また、ロボティクスブロック402は、マニピュレータを上下方向に移動制御するための上下動作用モータ430と、コントローラブロック423の制御に応じて上下動作用モータ430の回転数および回転方向を制御する上下動作用モータコントローラ431と、上下動作用モータ430の回転数および回転方向を検出し、この検出データをコントローラブロック423に供給する上下動作用エンコーダ432とを有している。
また、ロボティクスブロック402は、メイルスロット412を介した光情報記録媒体1の挿入排出動作を行うための転送用モータ413の回転数および回転方向を制御する転送用モータコントローラ433と、クリアパスセンサ434およびクリアパスエミッタ420とを有している。
リアパネルブロック403は、シリアル伝送用の入出力端子であるRS232C用コネクタ端子435と、UPS(Uninterruptible Power System)用コネクタ端子436と、パラレル伝送用の入出力端子である第1のSCSI(Small Computer System Interface)用コネクタ端子437と、同じくパラレル伝送用の入出力端子である第2のSCSI用コネクタ端子438と、商用電源に接続されるAC(交流)電源コネクタ端子439とを有している。
RS232C用コネクタ端子435およびUPS用コネクタ端子436は、それぞれコントローラブロック423に接続されている。コントローラブロック423は、RS232C用コネクタ端子435を介して供給されるシリアルデータをパラレルデータに変換して各ディスクアレイ404,405に供給すると共に、各ディスクアレイ404,405からのパラレルデータをシリアルデータに変換してRS232C用コネクタ端子435に供給するようになっている。
また、各SCSI用コネクタ端子437,438は、コントローラブロック423および各ディスクアレイ404,405に接続されている。各ディスクアレイ404,405は、各SCSI用コネクタ端子437,438を介して直接データの受渡しを行い、コントローラブロック423は、各ディスクアレイ404,405からのパラレルデータをシリアルデータに変換してRS232C用コネクタ端子435に供給するようになっている。
また、AC電源コネクタ端子439は、電力供給ブロック406に接続されている。電力供給ブロック406は、このAC電源コネクタ端子439を介して取り込まれた商用電源に基づいて+5V,+12V,+24V,−24Vの各電力を形成し、他の各ブロックに供給するようになっている。
図示しないマニピュレータは、メイルスロット412を介してメイルボックスに転送された光情報記録媒体1を1枚ずつつかみ上げる等の動作を行うグリッパを有するキャリッジと、このキャリッジを保持するキャリッジ保持部と、キャリッジを上下、左右、前後および回転制御するための駆動部とを備えている。ジューク装置の内部には、その底面部に略長方形状を形成し、この長方形状の四隅からジューク装置の上面部にかけて、底面部に対して垂直となるように立設された4本の支柱が設けられている。キャリッジ保持部は、キャリッジを左右前後および回転自在に保持しており、その両端部に、4本の支柱に沿ってキャリッジ保持部が上下移動可能なように支柱を把持する支柱把持部を有している。
キャリッジ駆動部は、このようなマニピュレータを支柱に沿って上下に移動制御するための駆動力を発生し、キャリッジを左右、前後および回転制御するための駆動力を発生すると共に、グリッパにより光情報記録媒体1をつかみ上げるための駆動力を発生するようになっている。
図72に示したように、フロントドア407は、一端が蝶番450により開閉自在に片持ち支持されており、このフロントドア407を開閉することで下部マガジン421、上部マガジン422、第1、第2のディスクアレイ404,405をそれぞれ引き出しあるいは装着できるようになっている。各マガジン421,422は、それぞれカートリッジに収納された10枚の光情報記録媒体1を、ジューク装置の底面部に対して平行に積層したかたちで収納するボックス形状を有しており、光情報記録媒体1は、各マガジン421,422の背面側(各マガジン421,422をジューク装置に装着した際にフロントドア407が設けられている正面側に相対向する面側)から挿入されるようになっている。この光情報記録媒体1の装着は、ユーザが各マガジン421,422を取り出して手動で収納し、光情報記録媒体1を収納した各マガジン421,422をジューク装置に装着することにより一度で行うことができる。また、メイルスロット412を介して光情報記録媒体1を挿入することにより、挿入された光情報記録媒体1がメイルボックスに転送され、このメイルボックスに転送された光情報記録媒体1を、マニピュレータが各マガジン421,422に装着するようになっている。これにより、各マガジン421,422に自動的に光情報記録媒体1を装着することができる。
第1および第2のディスクアレイ404,405は、それぞれRAIDコントローラと、第1〜第5の光情報記録再生装置が連結されて構成されたドライブアレイとを備えている。
各光情報記録再生装置は、それぞれディスク挿入排出口を有しており、このディスク挿入排出口を介して光情報記録媒体1が各光情報記録再生装置に挿入あるいは各光情報記録再生装置より排出されるようになっている。また、RAIDコントローラは、コントローラブロック423に接続されており、コントローラブロック423の制御により、RAID1、RAID3あるいはRAID5の記録方式に従って、各光情報記録再生装置を制御するようになっている。なお、RAID1、RAID3およびRAID5の各記録方式は、フロントパネル408に設けられているキーパッド409のキー操作により選択されるようになっている。
このジューク装置では、ディスクアレイ404,405を用いて、RAID1,RAID3あるいはRAID5の記録方式により、データの記録を行うようになっている。このようにデータの記録を行うためには、ジューク装置に予め光情報記録媒体1を装着しておく必要がある。ジューク装置に対する光情報記録媒体1の装着方法には、以下の2通りがある。
第1の装着方法は、図72に示したように、フロントドア407を開き、下部マガジン421および上部マガジン422を取り出し、これらのマガジン421,422に対して、手作業で光情報記録媒体1を装着する方法である。
第2の装着方法は、図73に示したメイルスロット412を介して、1枚ずつ光情報記録媒体1を装着する方法である。メイルスロット412に光情報記録媒体1が装着されると、コントローラブロック423がこれを検出して、転送用モータ413を駆動制御し、光情報記録媒体1をメイルボックスに転送する。コントローラブロック423は、光情報記録媒体1がメイルボックスに転送されると、上下動作用モータ430を駆動制御して、マニピュレータを、メイルボックスが設けられている方向に移動制御すると共に、グリップ動作用モータ424を駆動制御して、マニピュレータに設けられているグリッパによりつかみ上げられた光情報記録媒体1を、マガジン421,422の空いているディスク収納部に移動制御する。そして、グリップ動作用モータ424を駆動制御して、グリッパによりつかみ上げられている光情報記録媒体1を、ディスク収納部内でリリースする。コントローラブロック423は、メイルスロット412を介して光情報記録媒体1が挿入される毎に、このような一連の装着動作を繰り返し行うように各部を制御する。
このように第1の装着方法または第2の装着方法により、各マガジン421,422に光情報記録媒体1が装着されると、コントローラブロック423は、マニピュレータを制御して、下部マガジン421あるいは上部マガジン422に収納された光情報記録媒体1を第1のディスクアレイ404あるいは第2のディスクアレイ405に転送する。各ディスクアレイ404,405は、それぞれ5枚の光情報記録媒体1を装着可能となっており、マニピュレータにより、各マガジン421,422に収納された計20枚の光情報記録媒体1のうちの5枚が第1のディスクアレイ404に、他の5枚が第2のディスクアレイ405に装着されることになる。
ユーザは、データの記録を行う場合には、キーパッド409を操作することにより、RAID1,RAID3あるいはRAID5の記録方式の中から所望の記録方式を選択し、キーパッド409を操作してデータの記録開始を指定する。ディスクアレイ404,405には、RS232C用コネクタ端子435あるいは第 1、第2のSCSI用コネクタ端子437,438を介して、記録すべきデータが供給されている。コントローラブロック423は、データの記録開始が指定されると、選択された記録方式に応じて、データの記録が行われるように、各ディスクアレイ404,405に設けられているRAIDコントローラを介して、各ディスクアレイ404,405を制御する。
このジューク装置では、従来のハードディスク装置を用いたRAIDにおけるハードディスク装置を、各ディスクアレイ404,405に5台ずつ設けられている光情報記録再生装置に置き換えて、RAID1,RAID3あるいはRAID5の記録方式の中から選択された記録方式に従って、データの記録を行う。なお、このジューク装置において、データのインタフェースは、上述の説明中で挙げたものに限定されない。
ところで、本実施の形態に係る光情報記録再生装置では、第1の実施の形態と同様に、コピープロテクトや機密保持を容易に実現することができる。また、参照光の変調パターンが異なる多種類の情報(例えば各種のソフトウェア)を記録した光情報記録媒体1をユーザに提供し、ユーザの求めに応じて、各種類の情報を再生可能とする参照光の変調パターンの情報を、かぎ情報として個別に有料で提供するといった情報配信サービスの実現が可能となる。
また、光情報記録媒体1より所定の情報を取り出すためのかぎ情報となる参照光の位相の変調パターンは、ユーザとなる個人の固有の情報に基づいて作成するようにしてもよい。個人の固有の情報としては、暗証番号、指紋、声紋、虹彩のパターン等がある。
図74は、本実施の形態に係る光情報記録再生装置において、上述のように個人の固有の情報に基づいて参照光の位相の変調パターンを作成するようにした場合の要部の構成の一例を示したものある。この例では、光情報記録再生装置は、指紋等の個人の固有の情報を入力する個人情報入力部501と、この個人情報入力部501より入力された情報に基づいて、参照光の位相の変調パターンを作成し、情報の記録時または再生時に、必要に応じて、位相空間変調器117に対して、作成した変調パターンの情報を与えて、位相空間変調器117を駆動する位相変調パターンエンコーダ502と、この位相変調パターンエンコーダ502によって作成された変調パターンの情報を記録したカード504を発行すると共に、このカード504が装着されたときに、そのカード504に記録されている変調パターンの情報を位相変調パターンエンコーダ502に送るカード発行・入力部503とを備えている。
図74に示した例では、ユーザが、本実施の形態に係る光情報記録再生装置を用いて、光情報記録媒体1に情報を記録する際に、個人情報入力部501に対して、指紋等の個人の固有の情報を入力すると、位相変調パターンエンコーダ502は、個人情報入力部501より入力された情報に基づいて、参照光の位相の変調パターンを作成し、情報の記録時に、位相空間変調器117に対して、作成した変調パターンの情報を与えて、位相空間変調器117を駆動する。これにより、ユーザである個人の固有の情報に基づいて作成された参照光の位相の変調パターンに対応づけられて、光情報記録媒体1に情報が記録される。また、位相変調パターンエンコーダ502は、作成した変調パターンの情報をカード発行・入力部503に送り、カード発行・入力部503は、送られてきた変調パターンの情報を記録したカード504を発行する。
ユーザが、上述のようにして記録された情報を光情報記録媒体1より再生するには、記録時と同様に、個人情報入力部501に対して個人の固有の情報を入力するか、カード504をカード発行・入力部503に装着する。
個人情報入力部501に対して個人の固有の情報を入力した場合には、位相変調パターンエンコーダ502は、個人情報入力部501より入力された情報に基づいて、参照光の位相の変調パターンを作成し、情報の再生時に、位相空間変調器117に対して、作成した変調パターンの情報を与えて、位相空間変調器117を駆動する。このとき、記録時における光の位相の変調パターンと再生時における参照光の位相の変調パターンが一致すれば、所望の情報が再生される。なお、個人情報入力部501に対して同じ個人の固有の情報を入力しても、位相変調パターンエンコーダ502において、記録時と再生時とで異なる変調パターンが作成されるのを防止するため、個人情報入力部501より入力された情報がある程度相違しても、位相変調パターンエンコーダ502において同じ変調パターンが作成されるようにしてもよい。
一方、カード504をカード発行・入力部503に装着した場合には、カード発行・入力部503は、カード504に記録されている変調パターンの情報を位相変調パターンエンコーダ502に送り、位相変調パターンエンコーダ502は、送られてきた変調パターンの情報を、位相空間変調器117に与えて、位相空間変調器117を駆動する。これにより、所望の情報が再生される。
本実施の形態におけるその他の構成、作用および効果は、第1の実施の形態と同様である。
なお、本発明は上記各実施の形態に限定されず、例えば、上記各実施の形態では、光情報記録媒体1におけるアドレス・サーボエリア6に、アドレス情報等を予めエンボスピットによって記録しておくようにしたが、予めエンボスピットを設けずに、アドレス・サーボエリア6において、ホログラム層3の保護層4に近い部分に選択的に高出力のレーザ光を照射して、その部分の屈折率を選択的に変化させることによってアドレス情報等を記録してフォーマッティングを行うようにしてもよい。
また、ホログラム層3に記録された情報を検出する素子としては、CCDアレイではなく、MOS型固体撮像素子と信号処理回路とが1チップ上に集積されたスマート光センサ(例えば、文献「O plus E,1996年9月,No.202,第93〜99ページ」参照。)を用いてもよい。このスマート光センサは、転送レートが大きく、高速な演算機能を有するので、このスマート光センサを用いることにより、高速な再生が可能となり、例えば、Gビット/秒オーダの転送レートで再生を行うことが可能となる。
また、特に、ホログラム層3に記録された情報を検出する素子としてスマート光センサを用いた場合には、光情報記録媒体1におけるアドレス・サーボエリア6に、アドレス情報等をエンボスピットによって記録しておく代わりに、予め、データエリア7におけるホログラフィを利用した記録と同様の方法で所定のパターンのアドレス情報等を記録しておき、サーボ時にもピックアップを再生時と同じ状態にして、そのアドレス情報等をスマート光センサで検出するようにしてもよい。この場合、基本クロックおよびアドレスは、スマート光センサの検出データから直接得ることができる。トラッキングエラー信号は、スマート光センサ上の再生パターンの位置の情報から得ることができる。また、フォーカスサーボは、スマート光センサ上の再生パターンのコントラストが最大になるように対物レンズ12を駆動することで行うことができる。また、再生時においても、フォーカスサーボを、スマート光センサ上の再生パターンのコントラストが最大になるように対物レンズを駆動することで行うことが可能である。
また、各実施の形態において、参照光の変調パターンの情報や波長の情報は、外部のホスト装置より、コントローラ90に与えられるようにしてもよい。
1…光情報記録媒体、2…透明基板、3…ホログラム層、4…保護層、5…反射膜、6…アドレス・サーボエリア、7…データエリア、10…光情報記録再生装置、11…ピックアップ、12…対物レンズ、14…2分割旋光板、17…位相空間光変調器、18…空間光変調器、20…CCDアレイ、25…光源装置。