JP4145460B2 - ネットワーク制御装置及び通信ネットワーク - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、通信ネットワークの経路設定、輻輳及び障害管理等、通信ネットワークを構成するデバイスの制御をするネットワーク制御装置及び該ネットワーク制御装置を含む通信ネットワークに関する。
【0002】
【従来の技術】
通信ネットワークは、複数の通信端末、複数の中継装置、通信端末と中継装置や中継装置間を接続する伝送路等より構成される。例えば、急速に普及しているインターネットは、パーソナルコンピュータ(PC)やワークステーション(WS)等の通信端末、ルータ等の中継装置や光伝送路等の伝送路等により構成される。通常、通信端末間の通信は、通信に先立って通信端末間を通過する中継装置間での所望帯域が確保された経路の設定がなされてから行われる。また、輻輳や障害回避等をして、通信品質を確保する必要がある。従来、経路設定、通信品質の管理は1台のネットワーク管理装置により行われていた。
【0003】
図43は従来の通信ネットワークの構成例を示す図である。図43に示すように、従来の通信ネットワークは、複数の通信端末2#1,2#2、複数のルータ等の中継装置4#1〜4#3、1台のネットワーク制御装置6等から構成される。ネットワーク制御装置6は、中継装置4#i(i=1〜3)や通信端末2#i(i=1,2)等のネットワーク上のデバイスからそのリンク状態を示すトポロジー情報をインターネットや専用回線より収集して、デバイス情報データベースに格納する。ネットワーク制御装置6は、中継装置4#i(i=1〜3)や通信端末2#i(i=1〜2)等の外部のデバイスから経路設定、例えば、通信端末2#1と通信端末2#2を帯域10Mb/sで経路を設定するよう要求する設定要求を受信する。
【0004】
ネットワーク制御装置6は、設定要求に格納されている情報を解釈し、経路設定において経路を通過するデバイスを算出して、それらデバイスに関するデバイス設定情報、例えば、通信端末2#2宛ての通信データを受信した場合に通信データを送信する中継装置及び確保する帯域を示す情報、を作成する。そして、作成したデバイス設定情報を中継装置に通信する。デバイス設定情報を受信した中継装置は、デバイス設定情報に従って、中継先の中継装置間で指示された帯域を確保すると共に指定された通信宛先の通信データを受信した場合には、指示された中継装置に送信する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、急速な通信ネットワークの発展によりネットワークが大規模になり、ネットワーク制御装置が管理する中継装置に数が増加すると以下の問題点があった。
【0006】
(1) デバイス情報データベースに蓄積する網情報が膨大になる。
【0007】
(2) 経路算出の際に検出対象となる中継装置が増大して、最適経路検出処理の負荷が増加する。
【0008】
(3) 中継装置の接続コネクション数が増加して、コネクション管理処理の負荷が増加する。
【0009】
本発明の目的は、ネットワークが大規模になっても網情報が膨大しないネットワーク制御装置を提供することである。
【0010】
また、本発明の他の目的は、ネットワークが大規模になっても最適経路検出処理の負荷が増大しないネットワーク制御装置を提供することである。
【0011】
本発明の更に他の目的は、ネットワークが大規模になっても接続コネクション数が増大しないネットワーク制御装置を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の一側面によれば、複数のデバイスにより構成される通信ネットワークが複数のエリアに分割され、該複数エリアの中で該当する所定エリアを管理し、該所定エリアに位置する前記デバイスを制御するネットワーク制御装置であって、前記デバイスのいずれかより受信した送信元デバイスと送信先デバイスとの間の経路設定を要求する第1設定要求を受信する設定要求受信手段と、前記デバイスを特定するデバイス情報及び前記所定エリアに位置するデバイスと隣接デバイスとのリンクを示すトポロジー情報を格納するデータベースと、前記データベースを検索して、前記第1設定要求が示す前記送信元デバイス及び前記送信先デバイスが、本ネットワーク制御装置が管理するデバイスに係わるものであるか否かを判定する設定範囲判断手段と、係わるものでないと前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求を上位ネットワーク制御装置に送信する設定要求送信手段と、係わるものであると前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求及び前記トポロジー情報に基いて前記送信元デバイスと前記送信先デバイスとの間の経路を算出する経路算出手段と、前記経路算出手段により算出された経路を通過する各デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する各下位ネットワーク制御装置について、前記経路に関わるデバイス設定要求を作成する設定判断手段と、前記経路を通過する該当デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する該当下位ネットワーク制御装置に前記デバイス設定要求を送信するデバイス設定手段とを具備したことを特徴とするネットワーク制御装置が提供される。
【0013】
本発明の他の側面によれば、複数の通信端末、複数の中継装置及び複数のネットワーク制御装置から構成され、前記各通信端末、前記各中継装置及び前記各ネットワーク制御装置のそれぞれをデバイスとする通信ネットワークであって、前記複数のネットワーク制御装置は、最下位の各ネットワーク制御装置が、前記通信ネットワークが複数の第1エリアに分割された各所定エリアに位置する、前記複数の通信端末及び前記複数の中継装置を管理し、それ以外の各ネットワーク制御装置は、複数の下位ネットワーク制御装置が管理する複数の第1エリアからなる第2エリアに位置する前記複数の通信端末及び前記複数の中継装置を管理する、多分岐ツリー型構造であり、前記デバイスのいずれかより受信した送信元デバイスと送信先デバイスとの間の経路設定を要求する第1設定要求を受信する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定要求受信手段と、前記各ネットワーク制御装置が管理する前記デバイスを特定するデバイス情報及び前記所定エリアに位置するデバイスと隣接デバイスとのリンクを示すトポロジー情報を格納する前記各ネットワーク制御装置に設けられたデータベースと、前記データベースを検索して、前記第1設定要求が示す前記送信元デバイス及び前記送信先デバイスが、前記各ネットワーク制御装置が管理するデバイスに係わるものであるか否かを判定する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定範囲判断手段と、係わるものでないと前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求を上位ネットワーク制御装置に送信する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定要求送信手段と、係わるものであると前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求及び前記トポロジー情報に基いて前記送信元デバイスと前記送信先デバイスとの間の経路を算出する前記各ネットワーク制御装置に設けられた経路算出手段と、前記経路算出手段により算出された経路を通過する各デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する各下位ネットワーク制御装置について、前記経路に関わるデバイス設定要求を作成する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定判断手段と、前記経路を通過する該当デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する該当下位ネットワーク制御装置に前記デバイス設定要求を送信する前記各ネットワーク制御装置に設けられたデバイス設定手段とを具備したことを特徴とする通信ネットワークが提供される。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を説明する前に本発明の原理を説明する。図1は、本発明の原理図である。通信ネットワークは、複数のエリアi(i=1〜n)に分割されている。各エリアiには、複数の中継装置26#ij(j=1〜k)及び該各中継装置26#ijに収容される複数の通信端末28#ij等が位置する。ネットワーク制御装置10#iは、エリアiに位置する複数の中継装置26#ij(j=1〜k)及び該各中継装置26#ijに収容される複数の通信端末28#ijを管理する。各ネットワーク制御装置10#iは、設定要求受信手段12#i、データベース14#i、設定範囲判断手段16#i、設定要求送信手段18#i、経路算出手段20#i、設定判断手段22#i及びデバイス設定手段24#iを具備する。
【0015】
以下、図1の動作を説明する。管理する中継装置26#ijや通信端末28#ij等のデバイスより始点デバイスから終点デバイスまでの経路の設定要求がネットワーク制御装置10#i宛てに送信される。設定要求受信手段12#iは、設定要求を受信する。デースベース14#iには、管理するデバイスを特定するデバイス情報及び管理するエリアに位置するデバイスと隣接デバイスとの論理的なリンクを示すトポロジー情報が格納されている。設定範囲判断手段16#iは、データベース14#iを参照して、設定要求の始点デバイス及び終点デバイスが管理下のデバイスであるか否かを判断する。
【0016】
始点デバイス及び終点デバイスが管理するデバイスに係わるものならば、経路算出手段20#iは、設定要求に従って、始点デバイスと終点デバイス間の経路を算出する。設定判断手段22#iは、算出された経路を通過する各デバイス又は算出された経路を通過する各エリアを管理する各下位ネットワーク制御装置を特定する。そして、各該当デバイス又は各該当下位ネットワーク制御装置宛てに、経路に関するデバイス設定要求を作成する。デバイス設定手段24#iは、デバイス設定要求を該当デバイス又は該当下位ネットワーク制御装置に送信する。
【0017】
また、始点デバイス又は終点デバイスが管理するデバイスに係わるものでなければ、設定要求送信手段18#iは管理される上位ネットワーク制御装置に設定要求を送信する。この上位ネットワーク制御装置は、送信された設定要求を受信して、設定要求に示される始点デバイス及び終点デバイスが管理するデバイスに係わるものであるか否かを判断する。そして、管理するデバイスに係わるものならば、上記と同様にして、始点デバイスと終点デバイスとの間の経路を算出して、各経路を通過する各エリアを管理する各下位ネットワーク制御装置にデバイス設定要求を送信する。
【0018】
このように、ネットワーク制御装置は、設定要求を受けると、階層的に経路を算出して、最終的に中継装置にデバイス設定要求を送信する。このとき、データベース14#iは管理下のエリアのデバイスに係わる情報を保持するのみで良いので、ネットワーク制御装置は、ネットワークが大規模になっても、網情報が膨大しない、経路検出処理の負荷が増大しない、また、接続コネクション数が増大しない。
【0019】
図2は、本発明の実施形態による通信ネットワークの構成図である。図3は、ネットワーク制御装置52#ij(i=1〜m,j=1〜α(i))の階層構成を示す図である。ここで、iはネットワーク制御装置の階層構成におけるその階層を表す番号であり、例えば、最下位の第1階層の番号を1としている。mは、ネットワーク制御装置52#ijの階層数を表す番号である。α(i)は、第i階層のネットワーク制御装置52#ijの数を表す番号である。m及びα(i)は、通信ネットワークの規模に応じて自由に設定可能な数である。
【0020】
図2に示すように、通信ネットワークは、複数のエリア1,2,…,nに分割されている。各エリアi(i=1〜n)は、内部に位置する中継装置50#ij(i=1〜n)や中継装置50#ij(i=1〜n)に収容される通信端末49#ijk(k=1〜α(ij))の個数等によりエリアiを管理するネットワーク制御装置52#ijにおいて、網情報が膨大しないこと、最適経路算出処理の負荷が増大しないこと、接続コネクション数が増大しないこと等の観点より決定される。ここで、α(ij)は中継装置50#ijに収容される通信端末49#ijkの個数が中継装置50#ijに依存することを示す。例えば、エリア1には、ネットワーク制御装置52#11、中継装置50#11〜50#14及び中継装置50#11〜50#14に収容される通信端末49#111,…,49#141…が存在する。中継装置50#11〜50#14は、ネットワーク制御装置52#11の管理下にある。他のエリア2〜4についても、エリア1と同様の関係である。図2中において、中継装置間を結ぶ実線は、物理的に接続された光伝送路等を示す。中継装置とネットワーク制御装置との間及びネットワーク制御装置間を結ぶ実線は、論理的な接続、例えば、物理的に接続されている伝送路やことやインターネット等のネットワークを介して論理的に接続されていることを示す。
【0021】
通信端末49#ijkは、中継装置50#ijに収容されるパーソナルコンピュータやワークステーション等の端末であり、通信に先だってコネクションを張るためにネットワーク制御装置50#1jに設定要求を送信すること、所定のプロトコルに従って送信元アドレス、送信先アドレス等をパケット等の通信データに設定して中継装置50#ijに送出すること、中継装置50#ijより送出された通信データに設定された送信先アドレスに自身の通信端末のアドレスが設定されていれば通信データを受信して処理をすること等の機能を有する。ここで、所定のプロトコルには、特に制限は無く、TCP、UDP、IP、IPX等がある。
【0022】
各中継装置50#ijは、複数の通信端末49#ijk(k=1〜α(ij))を収容し、ネットワーク制御装置52#1iにより送信されたデバイス設定情報に従って指示された中継装置へ帯域を確保すること、通信端末49#ijkより送信された通信データを上記デバイス設定情報に従って所定の中継装置にルーティングすること等の機能を有する、ルータ、X25パケット交換機やATMスイッチ等である。
【0023】
ネットワーク制御装置52#1i(i=1〜n)は、複数の中継装置50#ij(j=1〜α(i))及び複数の通信端末49#ijk(k=1〜α(ij))を管理する。また、ネットワーク制御装置52#ij(2≦j≦m)は、下位ネットワーク制御装置52#(i−1)j(1)…を管理する。ネットワーク制御装置52#ijは、その基本的な機能は階層番号に拘わらず同じであり、以下の機能を有する。
【0024】
(1) デバイスより後述する網情報を受信すると、中継装置間のリンク情報を示す後述するトポロジーデータベース、管理下のデバイスを示すデバイスリストファイルを作成する。デバイスとは、中継装置、通信端末、コンソール、ネットワーク制御装置等をいう。リンク情報とは、中継装置と隣接中継装置との間の物理的な接続関係とその帯域に関する情報をいう。
【0025】
(2) 管理する複数のエリアを1個のエリアとしたときにこのエリアの境界に位置する中継装置間のリンク関係のみが管理される上位ネットワーク制御装置52#(i+1)α(j)から見えるように、網情報を加工して、上位ネットワーク制御装置52#(i+1)α(j)に送信する。
【0026】
図4は、本発明の実施形態によるネットワーク制御装置のトポロジーの見え方を示す図である。図4に示すように、ネットワーク制御装置52#1i(i=11〜n)は、エリアiの中継装置及び通信端末等についてのトポロジーが見える。ネットワーク制御装置52#21は、エリア1〜エリア4を管理しており、各エリアi(i=1〜4)の境界に位置する中継装置間のトポロジーが見える。例えば、エリア1については、境界に位置する中継装置50#13,50#14及び50#15間のトポロジーが見える。また、ネットワーク制御装置52#31は、エリア1〜4及びエリア5〜8を管理しており、エリア1〜4を1つのエリアとしたエリア11及びエリア5〜8を1つのエリアとしたエリア12の境界に位置する中継装置50#23、50#44、50#51及び50#62間のトポロジーが見える。
【0027】
以下の説明において、ネットワーク制御装置52#ijが管理するエリアと呼ぶ場合は、その下位ネットワーク制御装置が管理するエリア全体を1つのエリアとしたときのエリアをいう。このように、ネットワーク制御装置52#ijが見えるエリアのトポロジーは階層構造になっている。これにより、網情報が膨大しないこと、最適経路算出処理の負荷が増大しないこと、接続コネクション数が増大しないことが実現されている。
【0028】
(3) デバイスより設定要求を受信して、設定要求に関わる経路が管理エリア内で決定されるか否かを判断する。ここで、設定要求とは、例えば、ある端末からある端末へ要求帯域で経路設定を要求することをいう。設定要求のフォーマットは、後述するが、始点アドレス、終点アドレス、要求帯域等の情報を含む。
【0029】
i) 管理するエリア内で経路が算出できる場合は、該経路を通過する中継装置又は該経路に係わるネットワーク制御装置に、後述するデバイス設定情報を送信する。ここで、デバイス設定情報とは、ある通信宛先アドレスのパケットを受信したときに、次に中継する中継装置のアドレスや要求帯域を示す情報をいう。
【0030】
管理エリア内で経路が算出できるか否かの判断は、例えば、始点アドレス及び終点アドレスが管理するエリア内のデバイスのアドレス、もしくは、始点アドレスが管理するエリア内のテバイスのアドレス且つ終点アドレスが隣接エリアの入口中継装置であるかにより判断する。
【0031】
ii) 管理するエリア内で経路が算出できない場合は、管理される上位ネットワーク制御装置に設定要求を送出する。
【0032】
図5は、本発明の第1実施形態によるネットワーク制御装置54#ijの構成図である。ネットワーク制御装置54#ij(i=1〜m,j=1〜α(j))は、全て同一の機能ブロックから構成される。図5に示すように、ネットワーク制御装置54#ijは、設定要求受信部60、設定範囲判断部62、設定要求送信部64、設定判断部66、経路算出部68、デバイス設定部69、デバイス情報受信部70、デバイス情報整形部72、デバイス情報送信部74及びデバイス情報データベース76を具備する。
【0033】
図6は、設定要求/デバイス設定情報の基本フォーマットを示す図である。図6に示すように、本実施形態では、設定要求及びデバイス設定情報が共通フォーマットとされており、経路の始点アドレス、経路の終点アドレス、通信の宛先アドレス、要求帯域から構成される。共通フォーマットとしたのは、ネットワーク制御装置は、管理されているネットワーク制御装置から受信した場合と管理するデバイスから受信した場合とで区別せずに設定要求として共通した取扱いをすることにより、処理を簡潔にするためである。
【0034】
図7は、通信端末、コンソール、中継装置及び管理下のネットワーク制御装置から受信した場合の設定要求を示す図である。図7に示すように、設定要求は、通信の送信元アドレス、通信の宛先アドレス、通信の宛先アドレス及び要求帯域から構成される。これは、通信の送信元アドレスから通信の宛先アドレスまで要求帯域で経路を設定するよう要求されていることを示す。
【0035】
図8は管理されているネットワーク制御装置から受信した場合の設定要求を示す図である。図8に示すように、この設定要求は、自エリアの入口中継装置アドレス又は通信の送信元アドレス、次エリアの入口中継アドレス又は通信の宛先アドレス、通信の宛先アドレス及び要求帯域から構成される。これは、自エリアの入口中継装置アドレス又は通信の送信元アドレスから次エリアの入口中継アドレス又は通信の宛先アドレスまで要求帯域で経路路を設定するよう要求されていることを示す。
【0036】
図9は、中継装置に送信する場合のデバイス設定情報のフォーマットを示す図である。図9に示すように、このデバイス設定情報は、中継装置のアドレス、次に中継する中継装置のアドレス、通信の宛先アドレス及び要求帯域から構成される。これは、中継装置のアドレスで示される中継装置に、通信の宛先アドレスを送信先アドレスとする通信データを受信した場合に次に中継する中継装置のアドレスで示される中継装置に要求帯域を確保して中継するよう要求していることを示す。
【0037】
設定要求受信部60は、中継装置、コンソール、通信端末、このネットワーク制御装置54#ijが管理しているネットワーク制御装置等の外部のデバイスより図7又は管理されているネットワーク制御装置より図8に示す設定要求を受信し、設定範囲判断部62へ転送する。設定範囲判断部62は、受信した設定要求から経路の始点アドレス、経路の終点アドレスを抽出する。そして、デバイス情報データベース76中のネットワーク制御装置54#ijが管理するデバイスリストファイル及びエリアと接続している隣接中継装置についてのリンク情報が格納されているトポロジーデータベースを参照して、抽出したその両アドレス間の経路がこのネットワーク制御装置54#ijの管理するエリア内にあるか否かを判断する。設定要求に格納された始点及び終点の両アドレス間の経路が管理するエリア内にある場合には設定判断部66へ設定要求を転送する。そうでない場合は、設定要求送信部64へ設定要求を転送する。
【0038】
設定判断部66は、設定要求に格納されている経路の始点アドレス、経路の終点アドレス、通信路の要求帯域を抽出し、経路算出部68へ通知する。また、設定判断部66は、経路算出部68から通知された結果を基に各デバイスに通知する図9又は図10に示すデバイス設定情報を作成する。中継装置や通信端末に通知する情報の場合には、経路の始点アドレスを、設定する中継装置のアドレス又は通信端末のアドレス、経路の終点アドレスを、その中継装置の次にデータを受信するデバイスのアドレスとする。ネットワーク制御装置に通知する場合は、経路の始点アドレスを、送信するネットワーク制御装置が管理しているエリアの入口中継装置のアドレス又は通信の送信元アドレスとし、経路の終点アドレスを、送信するネットワーク制御装置が管理しているエリアから出力され次に受信する隣接エリアの入口中継装置又は通信の送信先アドレスとする。そして、作成した各デバイスに通知する情報をデバイス設定部69に送信する。デバイス設定部69は、受信した設定情報を各デバイスに送信する。設定要求送信部64は、設定要求情報を受信すると、それをこのネットワーク制御装置54#ijを管理しているネットワーク制御装置に送信する。
【0039】
経路算出部68は、経路の始点アドレス、終点アドレス、要求帯域をキーとしてトポロジーデータベースを参照し、経路が通過するデバイスを検出して、設定判断部66へ通知する。中継装置や通信端末を直接管理しているネットワーク制御装置の場合は、検出結果として求められるデバイスは中継装置や通信端末であるが、ネットワーク制御装置を管理しているネットワーク制御装置の場合は、検出結果として求められるデバイスはネットワーク制御装置やエリアの境界に位置する中継装置である。尚、中継装置、通信端末やネットワーク制御装置を両方管理しているネットワーク制御装置の場合には、上記をあわせたものが検出結果となりうる。そして、検出結果を設定判断部66に通知する。
【0040】
デバイス設定部69は、デバイス設定情報を各デバイス(中継装置又は管理するネットワーク制御装置)に送信する。ここで、デバイスに送信するプロトコルは既存のプロトコルで使用されているものを使用する。即ち、デバイス設定情報を各デバイスが解釈できるデバイス設定用プロトコルに変換し、そのプトロコルメッセージを送信する。これにより、ネットワーク上のデバイスを変更することなく、ネットワーク制御装置と接続することができる。
【0041】
デバイス情報受信部70は、通信端末、中継装置、ネットワーク制御装置等から送信された網情報を受信する。網情報には、網情報1と網情報2とがある。
【0042】
図10は、網情報1を示す図である。図10に示すように、網情報1は、ネットワークのトポロジー状態を示すリンク情報である。通信端末や中継装置等の実際のデータ通信に関わるデバイスから送信される場合には、物理的なリンクの状態が格納される。
【0043】
図11は、網情報2を示す図である。図11に示すように、網情報2は、ネットワーク制御装置が管理しているデバイスのアドレスリストである。一般に、中継装置、通信端末は管理デバイスがないため、中継装置、通信端末はこの網情報2を作成する必要はない。ネットワーク制御装置は、その管理下にいる中継装置、通信端末及び管理下にいるネットワーク制御装置が管理している中継装置、通信端末を網情報2に格納するアドレスの対象として網情報2を作成する。
【0044】
デバイス情報受信部70は、受信した網情報を基にデバイス情報データベース76中のネットワークトポロジー情報を格納しているトポロジーデータベース及び各ネットワーク制御装置が管理しているデバイスを格納しているデバイスリストの作成及び更新をする。つまり、トポロジーデータベース中に新しいリンクやノードの作成、削除、リンク帯域の設定・変更、デバイスリストファイルへの登録・登録されているアドレスの削除、更新、追加等を行う。
【0045】
図12は、デバイスリストファイルを示す図である。図12に示すように、デバイスリストファイルは、エリアID、該IDのエリア内に位置するデバイスのアドレスリストを格納する。エリアIDは、管理するエリアに付与されたIDであり、経路算出部68が経路を算出するために各デバイスがどのエリアに位置するかを知るためである。網情報1,2には、エリアIDは設定されていないが、網情報1,2を送信したネットワーク制御装置や最下位ネットワーク制御装置の場合は図示しないメモリにエリアIDを格納しておくことによりエリアIDを求めることができる。
【0046】
図13は、トポロジーデータベースを示す図である。図13に示すように、トポロジーデータベースは、網情報1に設定されたノードアドレス及びポインタのリスト、各ポインタによりポイントされる、網情報1に設定された隣接ノードアドレス及びリンクの帯域のリストから構成される。ノードアドレスで示されるデバイスとポインタでポイントされる隣接ノードアドレスで示されるデバイスとの間がリンクの帯域で接続されていることを意味する。
【0047】
そして、デバイス情報受信部70は、管理されるネットワーク制御装置が存在する場合は、デバイス情報整形部72に網情報1及び網情報2を送信する。デバイス情報整形部72は、管理する全てのデバイスより網情報1,2を受信すると、エリアの境界に位置する中継装置間のリンク情報(リンク及び帯域)に加工して網情報1の作成及び網情報2の作成をする。帯域についての加工方法は、種々考えられるが、例えば、加工方法1と加工方法2がある。
【0048】
加工方法1は、エリアの境界に位置する中継装置間の帯域を最短経路の帯域とする方法である。この加工方法1は、いずれの階層のネットワーク制御装置54#ijにおいても実施可能である。
【0049】
図14は、加工方法1を示すフローチャートである。図15はエリア1の詳細図である。図16は加工結果を示す図である。図14中のステップS2において、全ての網情報1から各中継装置がどの中継装置とどのくらいの帯域で接続されているかを獲得して、エリア内部のトポロジーを作成する。ステップS4において、エリア内部のトポロジーからエリア外部に位置する中継装置を抽出する。
【0050】
ステップS6において、トポロジーを参照し、エリア外部との境界に位置する中継装置を選択する。例えば、エリア1の境界に位置する中継装置50#13を選択する。ステップS8において、エリア外部との境界に位置する他の中継装置を選択する。例えば、エリア1の境界に位置する中継装置50#14を選択する。ステップS10において、ステップS6及びステップS8で選択された中継装置間の最短経路を算出する。例えば、中継装置50#13と中継装置50#14との間の最短経路は、中継装置50#13→中継装置50#14の帯域10Mb/sの経路が算出される。
【0051】
ステップS12において、最短経路のリンク情報を網情報1に格納する。ステップS14において、次の他の中継装置が有るか否かを判断する。次の他の中継装置が有れば、ステップS8に戻る。次の他の中継装置が無ければ、ステップS16に進む。ステップS16において、次の中継装置が有るか否かを判定する。次の中継装置が有れば、ステップS6に戻る。以上のステップを経て、エリア1について、図16に示すトポロジー情報が得られる。次の中継装置が無ければ、ステップS18に進む。ステップS18において、デバイス情報受信部70より受信した網情報1,2より網情報2を作成する。
【0052】
図17は、加工方法1による網情報1を示す図である。図17に示すように、加工方法1によりエリア1の網情報を加工すると、その網情報1は、中継装置50#13のアドレス、隣接中継中継50#15のアドレス、100Mb/s、隣接中継装置50#14のアドレス、10Mb/s、中継装置50#14のアドレス、隣接中継装置50#13のアドレス、10Mb/s、隣接中継装置50#15のアドレス、30Mb/s、中継装置50#15のアドレス、隣接中継装置50#13のアドレス、100Mb/s、隣接中継装置50#14のアドレス、30Mb/sとなる。
【0053】
加工方法2は、エリアの境界に位置する中継装置間の経路が最大帯域となる経路に加工する方法である。
【0054】
図18は、加工方法2を示すフローチャートである。図19は、加工方法2による加工結果を示す図である。図18中のステップS20において、全ての網情報1から各中継装置がどの中継装置とどのくらいの帯域で接続されているかを獲得して、エリア内部のトポロジーを作成する。ステップS22において、エリア内部のトポロジーからエリア外部に位置する中継装置を抽出する。
【0055】
ステップS24において、トポロジーを参照し、エリア外部との境界に位置する中継装置を選択する。ステップS26において、エリア外部との境界に位置する他の中継装置を選択する。ステップS28において、ステップS24及びステップS26で選択された中継装置間の最大帯域経路を算出する。例えば、中継装置50#13と中継装置50#14との間の最も帯域の大きな経路は、中継装置50#13→中継装置50#12→中継装置50#14の帯域50Mb/sの経路である。
【0056】
ステップS30において、最大帯域経路のリンク情報を網情報1に格納する。ステップS32において、次の他の中継装置が有るか否かを判断する。次の他の中継装置が有れば、ステップS26に戻る。次の他の中継装置が無ければ、ステップS34に進む。ステップS34において、次の中継装置が有るか否かを判定する。次の中継装置が有れば、ステップ24に戻る。以上のステップを経て、エリア1について、図19に示すトポロジー情報が得られる。次の中継装置が無ければ、ステップS36に進む。ステップS36において、デバイス情報受信部70より受信した網情報1,2より網情報2を作成する。
【0057】
図20は、加工方法2による網情報1を示す図である。図20に示すように、加工方法1によりエリア1の網情報を加工すると、その網情報1は、中継装置50#13のアドレス、隣接中継装置50#15のアドレス、100Mb/s、隣接中継装置50#14のアドレス、50Mb/s、中継装置50#14のアドレス、隣接中継装置50#13のアドレス、50Mb/s、隣接中継装置50#15のアドレス、50Mb/s、中継装置50#15のアドレス、隣接中継中継50#13のアドレス、100Mb/s、隣接中継装置50#14のアドレス、50Mb/sとなる。
【0058】
また、他の加工方法として、エリアの境界に位置する中継装置間の帯域を中継装置間を接続する全ての経路の帯域の総和とする方法も考えられる。上記加工により、図4に示したように、管理されるネットワーク制御装置が管理するエリアのトポジー情報は、管理するネットワーク制御装置が管理するエリアの境界に位置する中継装置間のリンク情報となり、トポロジーデータベースが階層的になる。そのため、ネットワークが大規模になることによるトポロジーデータベースが大規模になる等の問題を解決することができる。
【0059】
以下、図2の通信ネットワークの動作説明をする。
【0060】
(1) デバイス情報データベース76の作成・更新
通信ネットワークが構築されると、図5中のデバイス情報データベース76が以下の手順により作成される。
【0061】
図21は、デバイス情報受信部70、デバイス情報整形部72及びデバイス情報送信部74の動作フローチャートである。
【0062】
エリアiを直接管理するネットワーク制御装置52#1iの管理下の中継装置50#1j(j=1…)や通信端末49#1jk(j=1…,k=1…)に関する網情報1がこれらの自身等のデバイスよりネットワーク制御装置52#1iに送信される。図5中のデバイス情報受信部70は、ステップS40において、網情報1を受信する。デバイス情報受信部70は、ステップS42において、以下に示すトポロジーデータベース等のデバイス情報データベース70を作成する。
【0063】
図22は、図21中のステップS42の詳細フローチャートである。図22に示すように、ステップS50において、網情報1からノードアドレスを取り出す。ステップS52において、該ノードアドレスをデバイスリストファイルに登録する。ステップS54において、網情報1より隣接ノードアドレスを取り出す。ステップS56において、該ノードアドレスと該隣接ノードアドレス間のリンク情報をトポロジーデータベースに登録する。
【0064】
ステップS58において、網情報1に次の隣接ノードアドレスが有るか否かを判定する。次の隣接ノードアドレスが有る場合は、ステップS64に戻る。次の隣接ノードアドレスが無ければ、ステップS70に進む。ステップS70において、網情報1に次のノードアドレス有るか否かを判定する。次のノードアドレスが有れば、ステップS60に戻る。次のノードアドレスが無ければ、ステップS72において、網情報2が有るか否かを判定する。網情報2が有ればステップS74に進む。網情報2が無ければ終了する。ステップS74において、網情報2からノードアドレスを取り出す。ステップS76において、該ノードアドレスをデバイスリストファイルに登録する。ステップS78において、網情報2に次のノードアドレスが有るか否か判定する。次のノードアドレスが有れば、ステップS74に戻る。次のノードアドレスが無ければ、終了する。
【0065】
デバイス情報受信部70は、受信した網情報1,2をデバイス情報整形部72に送信する。デバイス情報整形部72は、図21中のステップS44において、上述したように網情報1,2を加工(変更)して、網情報1,2を作成する。尚、網情報1,2を加工しない場合も、ネットワークトラヒックの軽減、このネットワーク制御装置を管理しているネットワーク制御装置で扱う情報を縮小すると利点を得ることはできないが正しく設定要求に応じることはできる。
【0066】
そして、作成した網情報1,2をデバイス情報送信部74に送信する。デバイス情報送信部74は、ステップS46において、網情報1,2を管理されるネットワーク制御装置に送信する。ネットワーク制御装置は、管理するネットワーク制御装置から網情報1,2を受信すると上述した処理と全く同様にして、デバイス情報データベース76を作成する。そして、管理する全てのネットワーク制御装置から網情報1,2を受信すると、網情報1,2を加工して、管理されるネットワーク制御装置に送信する。以上のようにして、全てのネットワーク制御装置において、自ネットワーク制御装置が管理するネットワーク制御装置が管理するエリアの境界に位置する中継装置のトポロジーを示すトポロジーデータベース及び自ネットワーク制御装置が管理するエリアに位置する全てのデバイスを示すデバイスリストからなるデバイス情報データベース76が作成される。
【0067】
(2) 設定要求及びデバイス設定に係わる動作説明
図23は、設定要求受信部60、設定範囲判断部62、設定要求部64、設定判定部60、経路算出部68及びデバイス設定部69の動作フローチャートである。
【0068】
i) 設定要求の始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスアドレスの場合の動作説明
ここでは、エリア1に位置する中継装置50#11が収容する通信端末49#111からエリア1に位置する中継装置50#15が収容する通信端末49#151へ帯域10Mb/sの設定要求が有った場合を例に説明する。
【0069】
図24は動作説明図である。図25はシーケンスチャートである。図24及び図25に示すように、通信端末49#111は、通信端末49#111のアドレスが始点アドレス、通信端末49#151のアドレスが終点アドレス、端末49#151のアドレスが通信の宛先アドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(1)をネットワーク制御装置52#11宛てに送信する。設定要求受信部60は、図23中のステップS80において、設定要求(1)を受信して、設定範囲判断部62に転送する。設定範囲判断部62は、ステップS82において、設定要求から経路の始点アドレス、経路の終点アドレスを抽出する。
【0070】
設定範囲判断部62は、ステップS84において、デバイスリスト及びトポロジーデータベースを参照して、経路の始点アドレス及び終点アドレスが管理するエリア1のデバイスもしくは経路の始点アドレスが管理するエリア1のデバイス・終点アドレスが隣接エリアの入口中継装置である、即ち、両アドレス間の経路がネットワーク制御装置の管理するエリア内にあるか否かを判定する。両アドレス間の経路がネットワーク制御装置の管理するエリア内にあるならば、設定範囲判定部62は、設定判断部66に通知して、ステップS86に進む。そうでなければ、設定設定要求送信部64へ設定要求を転送して、ステップS92に進む。尚、中継装置が隣接エリアの入口中継装置であるか否かは、例えば、そのアドレスがトポロジーデータベース中に隣接中継装置のアドレスとして登録され且つデバイスリスト中に登録されていないものをいう。ここでは、始点アドレスである通信端末49#111のアドレス及び終点アドレスである通信端末49#511のアドレスの両方がエリア1内のアドレスなので、ステップS86に進む。
【0071】
設定判断部60は、ステップS86において、設定要求(1)に格納されている経路の始点アドレス、経路の終点アドレス、要求帯域を抽出し、経路算出部62へ通知する。経路算出部62は、経路の始点アドレス、終点アドレス、要求帯域をキーとして保持しているトポロジーデータベースを参照して、経路が通過するデバイスを検出する。そして、検出結果を設定判断部66に通知する。ここでは、通信端末49#111から通信端末49#511への10Mb/sの設定要求なので、中継装置50#11→中継装置50#12→中継装置50#15の経路が算出されて、設定判断部66に通知される。
【0072】
設定判断部60は、ステップS88おいて、デバイスに設定する設定情報を作成する。そして、作成した設定情報をデバイス設定部69に送信する。ここでは、図25に示すように、中継装置50#11、中継装置50#12及び中継装置50#15に設定するデバイス設定情報(2),(3),(4)が作成される。デバイス設定部69は、ステップS90において、該当デバイスへデバイス設定情報を送信する。ここでは、デバイス設定部69は、図24に示すように、中継装置50#11にデバイス設定情報(2)を送信し、中継装置50#51にデバイス設定情報(3)を送信し、中継装置50#15にデバイス設定情報(4)を送信する。
【0073】
中継装置50#11は、デバイス設定情報(2)を受信して、デバイス設定情報(2)に従って経路設定をする。そして、中継装置50#11は、通信端末49#151宛ての通信データを受信した場合は、中継装置50#12に送信する。中継装置50#12は、デバイス設定情報(3)を受信して、デバイス設定情報(3)に従って経路設定をする。中継装置50#12は、通信端末49#151宛ての通信データを受信した場合は、中継装置50#15に送信する。そして、中継装置50#15は、デバイス設定情報(4)を受信して、デバイス設定情報(4)に従って経路設定をする。中継装置50#15は、通信端末49#151宛ての通信データを受信した場合は、通信端末49#151に送信する。
【0074】
ii) 設定要求の始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスアドレスでない場合の動作説明(1)
ここでは、エリア1に位置する中継装置50#11が収容する通信端末49#111からエリア2に位置する中継装置50#22が収容する通信端末49#22へ帯域10Mb/sの設定要求が有った場合を例に説明する。
【0075】
図26は動作説明図である。図27はシーケンスチャートである。図26及び図27に示すように、通信端末49#111は、通信端末49#111のアドレスが始点アドレス、通信端末49#221のアドレスが終点アドレス、端末49#221のアドレスが通信の宛先アドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(1)をネットワーク制御装置52#11宛てに送信する。設定範囲判断部62は、設定要求(1)の終点アドレスがエリア1内のアドレスでは無いので、設定要求(1)を設定要求送信部64に転送する。設定要求送信部64は、設定要求(1)を設定要求(2)として、ネットワーク制御装置54#21に送信する。
【0076】
ネットワーク制御装置54#21中の経路算出部68は、設定要求(2)に設定された、始点アドレス、終点アドレス及び要求帯域をキーとして、トポロジーデータベース及びデバイスリストを参照して、経路が通過するデバイスを検出する。ここでは、始点アドレスがエリア1内のアドレス、終点アドレスがエリア2のアドレスなので、エリア1内の中継装置50#13→エリア2内の中継装置50#21への経路が検出される。設定判断部60は、始点アドレスが通信端末49#111のアドレス、終点アドレスが中継装置50#21のアドレス、端末49#221のアドレスが通信の宛先アドレス、要求帯域が10Mb/sであるデバイス設定情報(3)を作成する。また、始点アドレスが中継装置50#21のアドレス、終点アドレスが通信端末49#211のアドレス、通信の宛先アドレスが通信端末49#211、要求帯域が10Mb/sであるデバイス設定情報(4)を作成する。デバイス設定部69は、デバイス設定情報(3)をネットワーク制御装置52#11に送信する。また、デバイス設定情報(4)をネットワーク中継装置50#12に送信する。
【0077】
ネットワーク制御装置52#11は、デバイス設定情報(3)を受信すると、i)の場合と同様にして、通信端末49#111から中継装置50#21までの経路を算出する。そして、中継装置50#11にデバイス設定情報(5)を送信し、中継装置50#12に設定情報(6)を送信する。ネットワーク制御装置52#12は、デバイス設定情報(4)を受信すると、i)の場合と同様にして、中継装置50#21から通信端末49#221までの経路を算出する。そして、中継装置50#21にデバイス設定情報(7)を送信し、中継装置50#22にデバイス設定情報(8)を送信する。
【0078】
iii) 設定要求の始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスアドレスでない場合の動作説明(2)
上記ii)の場合、ネットワーク制御装置52#21からネットワーク制御装置52#11へ設定要求がされる場合であったが、複数階層のネットワーク制御装置を経由して設定要求される場合について以下に説明する。ここでは、エリア1に位置する中継装置50#11が収容する通信端末49#111からエリア5に位置する中継装置50#53が収容する通信端末49#531へ帯域10Mb/sの設定要求が有った場合を例に説明する。
【0079】
図28は動作説明図である。図29はシーケンスチャートである。図28及び図29に示すように、通信端末49#111は、通信端末49#111のアドレスが始点アドレス、通信端末49#221のアドレスが終点アドレス、端末49#531のアドレスが通信の宛先アドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(1)をネットワーク制御装置52#11宛てに送信する。ネットワーク制御装置52#11は、設定要求(1)の終点アドレスである端末49#531のアドレスがエリア1内のアドレスでは無いので、設定要求(1)を設定要求(2)として、ネットワーク制御装置52#21に送信する。ネットワーク制御装置52#21は、終点アドレスである端末49#531のアドレスがエリア1〜エリア4内のアドレスでないので、設定要求(2)を設定要求(3)として、ネットワーク制御装置52#31に送信する。
【0080】
ネットワーク制御装置52#31は、始点アドレスである通信端末49#111のアドレスがエリア1〜4からなるエリア11内のアドレスであり、終点アドレスである通信端末49#531のアドレスがエリア5〜8からなるエリア12内のアドレスであるので、エリア11とエリア12を通過する経路を算出する。例えば、中継装置50#44→中継装置50#51の経路を算出する。
【0081】
ネットワーク制御装置52#31は、算出した経路を通過するエリア11を管理するネットワーク制御装置52#21に、始点アドレスが通信端末49#111のアドレス、終点アドレスが中継装置50#51のアドレス、通信宛先アドレスが通信端末49#531のアドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(4)を送信する。また、算出した経路を通過するエリア12を管理するネットワーク制御装置52#22に、始点アドレスが中継装置50#51のアドレス、終点アドレスが通信端末49#531のアドレス、通信宛先アドレスが通信端末49#531のアドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(5)を送信する。
【0082】
ネットワーク制御装置52#21は、設定要求(4)を受信して、デバイス設定要求(4)に設定された始点アドレス、終点アドレスを基に、エリア1→中継装置50#21→エリア2→中継装置50#41→エリア4を通過する経路を算出する。そして、算出した経路を通過するエリア1を管理するネットワーク制御装置52#11に、始点アドレスが通信端末49#111のアドレス、終点アドレスが中継装置50#21のアドレス、通信宛先アドレスが通信端末49#531、要求帯域が10Mb/sである設定要求(6)を送信する。また、ネットワーク制御装置52#12に、始点アドレスが中継装置50#21のアドレス、終点アドレスが中継装置50#41のアドレス、通信宛先アドレスが通信端末49#531のアドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(7)を送信する。更に、ネットワーク制御装置52#14に、始点アドレスが中継装置50#21のアドレス、終点アドレスが中継装置50#51のアドレス、通信宛先アドレスが通信端末49#531のアドレス、要求帯域が10Mb/sである設定要求(8)を送信する。
【0083】
同様に、ネットワーク制御装置52#22は、設定要求(5)を受信して、ネットワーク制御装置52#15に、始点アドレスが中継装置50#51のアドレス、終点アドレスが通信端末49#531のアドレス、通信宛先アドレスが通信端末49#531、要求帯域が10Mb/sである設定要求(9)を送信する。
【0084】
ネットワーク制御装置52#11は、設定要求(6)を受信して、ii)と同様にして、中継装置50#11にデバイス設定情報(10)、中継装置50#13にデバイス設定情報(11)を送信する。ネットワーク制御装置52#12は、設定要求(7)を受信して、ii)と同様にして、中継装置50#21にデバイス設定情報(12)、中継装置50#22にデバイス設定情報(13)、中継装置50#24にデバイス設定情報(14)を送信する。また、ネットワーク制御装置52#14は、中継装置50#41にデバイス設定情報(15)、中継装置50#43にデバイス設定情報(16)、中継装置50#44にデバイス設定情報(17)、中継装置50#45にデバイス設定情報(18)を送信する。ネットワーク制御装置52#15は、中継装置50#51にデバイス設定情報(19)、中継装置50#52にデバイス設定情報(20)に送信する。
【0085】
以上の処理により、通信端末49#111から通信端末49#531への経路が設定される。このとき、ネットワークが大規模になっても、ネットワーク制御装置が階層的なトポロジーから経路を算出するので、経路算出の負荷が軽減できる。また、ネットワーク制御装置が保持するトポロジーデータベースが階層的であるので、ネットワークが大規模になっても、網情報が膨大しない、経路算出処理の負荷が増大しない、また接続コネクション数が増大しない。
【0086】
第2実施形態
図30は、本発明の第2実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図であり、図5中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。第2実施形態によるネットワーク制御装置は設定要求を送信したデバイスもしくはユーザを識別するための情報を格納するフィールドを設け、設定要求を送ったデバイスもしくはユーザを判別し、予め保持しているデバイスプロファイル、ユーザプロファイルとこれらを照合して、要求の受理をするか否かを判断するようにしたことが第1実施形態と異なる。
【0087】
図30に示すように、ネットワーク制御装置は、設定要求受信部100、設定範囲判断部62、設定要求送信部64、設定判断部66、経路算出部68、デバイス設定部69、デバイス情報受信部70、デバイス情報整形部72、デバイス情報送信部74、デバイス情報データベース76、要求権限判断部102及びプロファイルデータベース104を具備する。
【0088】
設定要求受信部100は、設定要求を受信して、要求権限判断部102に転送する。要求権限判断部102は、設定要求に含まれる設定要求を送信したデバイスもしくはユーザを識別するための識別情報を抽出する。そして、識別情報を基にプロァイルデータベース104を参照して、識別情報により示されるデバイスもしくはユーザが設定要求の権限を有するか否かを判断する。設定要求をする権限を有する場合は、設定要求を設定範囲判断部62に送信する。設定要求をする権限を有さない場合は、設定要求を棄却する。プロファイルデータベース104は、設定要求を送信する権限を有するデバイスもしくはユーザのプロファイルを格納するデータベースである。
【0089】
図31は、図30中の設定要求受信部100、要求権限判断部102、設定範囲判断部62、設定判断部66、経路算出部68、デバイス設定部69及び設定要求送信部64の動作フローチャートである。
【0090】
以下、図31を参照して、第2実施形態によるネットワーク制御装置の動作説明をする。設定要求受信部100は、図31中のステップS120において、設定要求を受信し、要求権限判断部102へ設定要求を転送する。要求権限判断部102は、ステップS102において、受信した設定要求から設定要求を送信したデバイスもしくはユーザを識別するための識別情報を抽出する。要求権限判断部102は、ステップS104において、識別情報とプロァイルデースベース104中のプロファイルとを照合して、識別情報により示されるデバイスもしくはユーザが設定要求の権限を有するか否かを判断する。設定要求をする権限を有する場合は、設定要求を設定範囲判断部62に送信して、ステップS106に進む。設定要求をする権限を有さない場合は、設定要求を棄却して、終了する。ステップS106〜ステップS116までの処理は図23中のステップS82〜ステップS92と同様なので説明を省略する。
【0091】
以上のように、第2実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、設定要求を送出するデバイスやユーザの権限をチェックすることにより、通信ネットワークの信頼性が向上する。
【0092】
第3実施形態
図32は、本発明の第3実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図であり、図5中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。第3実施形態では、通信端末、中継装置、コンソールからの設定要求及び管理下の下位ネットワーク制御装置からの設定要求と管理されている上位ネットワーク制御装置からの設定要求(デバイス設定情報)を識別できるフラグをメッセージに格納するようにした点で、通信端末、中継装置、コンソールからの設定要求、管理下の下位ネットワーク制御装置からの設定要求、管理されている上位ネットワーク制御装置からの設定要求(デバイス設定情報)、中継装置へのデバイス設定情報は、同一フォーマットになっている第1実施形態と異なる。
【0093】
このように、フラグを設定するようにしたのは、管理されるネットワーク制御装置からの設定要求の場合、設定要求されている始点アドレス及び終点アドレスの両アドレスが設定要求を受信したネットワーク制御装置が管理するエリアにあることが保証されているので、管理するエリアにあるか否かを判断する必要はなく、その処理をスキップして、経路設定を高速に行うためである。
【0094】
図32に示すように、ネットワーク制御装置は、設定要求受信部60、設定範囲判断部110、設定要求送信部64、設定判断部66、経路算出部68、デバイス設定部69、デバイス情報受信部70、デバイス情報整形部72、デバイス情報送信部及びデバイス情報データベース76を具備する。
【0095】
図33は、設定要求の基本フォーマットを示す図である。図33に示すように、設定要求メッセージの所定の位置に通信識別フラグを格納する領域が設けられる。この通信識別フラグは、通信端末、中継装置、コンソールからの設定要求、管理下の下位ネットワーク制御装置からの設定要求と管理されている上位ネットワーク制御装置からの設定要求(デバイス設定情報)とを識別するためのものであり、例えば、管理されているネットワーク制御装置からの設定要求の場合に”1”、それ以外の場合に”0”とする。
【0096】
設定範囲判断部110は、設定要求に設定された通信識別フラグを取り出して、管理されている上位ネットワーク制御装置からの設定要求の場合は、設定判断部66に設定要求を転送する。それ以外の場合は、図5中と設定範囲判断部62と同様の処理を行う。その他の点は、第1実施形態と同様なので説明を省略する。
【0097】
図34は、図32中の設定要求受信部60、設定範囲判断部110、設定判断部66、経路算出部68、デバイス設定部70及び設定要求送信部64の動作フローチャートである。以下、図34を参照して、第3実施形態によるネットワーク制御装置の動作説明をする。
【0098】
設定要求受信部60は、図34中のステップS140において、設定要求を受信し、設定範囲判断部110へ設定要求を転送する。設定範囲判断部110は、ステップS142において、受信した設定要求から、通信識別フラグ、経路の始点アドレス、経路の終点アドレスを抽出する。設定範囲判断部110は、ステップS144において、通信識別フラグより、設定要求が管理されるネットワーク制御装置からのものであるか否かを判断する。設定要求が管理されるネットワーク制御装置からのものである場合は、設定要求を設定判断部66へ転送して、ステップS148に進む。設定要求が管理されるネットワーク制御装置からのものでない場合は、設定要求を設定判断部66に転送して、ステップS146に進む。ステップS146〜ステップS154までの処理は、図23中のステップS84〜ステップS92までの処理と同様なので説明を省略する。
【0099】
以上のように、第3実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、設定要求が管理されているネットワークから送信されたものであるかを判断して、設定要求が管理されているネットワーク制御装置から送信されたものである場合には、始点アドレス及び終点アドレス間の経路が管理するエリアにあるか否かの判断処理をスキップするので、経路算出するまでの処理が早くなり、経路設定を高速にすることができる。
【0100】
尚、本実施形態では、メッセージに通信フラグを設定するようにしたが、通信端末、中継装置、コンソールからの設定要求、管理下の下位ネットワーク制御装置からの設定要求と、管理されている上位ネットワーク制御装置からの設定要求(デバイス設定情報)とを異なるフォーマットにし、設定要求が管理されている上位ネットワークから送信されたものであるかを判断して、設定要求が管理されているネットワーク制御装置から送信されたものである場合には、始点アドレス及び終点アドレス間の経路が管理するエリアにあるか否かの判断処理をスキップしても良い。
【0101】
第4実施形態
図35は本発明の第4実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図であり、図35中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。第4実施形態は、負荷分散を図るために始点アドレスと終点アドレスとを結ぶ複数の異なる経路を設定可能としている。
【0102】
図35に示すように、ネットワーク制御装置は、設定要求受信部60、設定範囲判断部110、設定要求送信部64、設定判断部66、経路算出部130、デバイス設定部69、デバイス情報受信部130、デバイス情報整形部72、デバイス情報送信部74、デバイス情報データベース124及び設定起動部132を具備する。
【0103】
負荷分散を図るために始点アドレスと終点アドレスとを結ぶ経路を複数個設定するための設定要求は、始点アドレス及び終点アドレスが同一の設定要求を複数回行うことにより実現する場合と、1回の設定要求にて複数の帯域を設定することにより実現する場合とがある。本実施形態では前者により経路を複数個設定するものとしている。経路算出部122は、デバイス情報データベース124中の経路管理データベースを参照して、始点アドレス及び終点アドレスが同一のものについて、既に経路が設定されているか否かを判断して、既に経路が設定されていれば、この経路と異なる要求帯域を満たす経路を算出する。そして、算出した経路を経路管理データベースに登録する。
【0104】
図36は、図35中のデバイス情報データベース124中の経路管理データベースを示す図である。経路管理データベースは既に設定されている経路に関する情報を格納するデータベースである。図36に示すように、経路管理データベースは、設定要求に含まれる送信元アドレス(始点アドレス)、送信先アドレス(終点アドレス)及び経路を通過する全ての中継装置のアドレスが、既に設定された経路について格納されている。
【0105】
図37は、図35中の設定要求受信部60、設定範囲判断部62、設定判断部66、経路算出部122、デバイス設定部70及び設定要求送信部64の動作フローチャートである。以下、図37を参照して、第4実施形態によるネットワーク制御装置の動作説明をする。図37中のステップS160からステップS164までの処理は、図23中のステップS80〜ステップS84までの処理と同様なので説明を省略する。経路算出部122は、ステップS166において、設定要求より指示された、始点アドレス、終点アドレスを基にデバイス情報データベース124中の経路管理データベースを検索して、始点アドレス及び終点アドレスが同一のものについて、既に経路が設定されているか否かを判断する。
【0106】
既に経路が設定されていれば、始点アドレス、終点アドレス及び要求帯域をキーとして、トポロジーデータベースを参照し、この経路と異なる要求帯域を満たす経路を通過するデバイスを検出する。そして、算出した経路に係わるデバイスアドレス等を経路管理データベースに登録する。既に経路が設定されていなければ、始点アドレス、終点アドレス及び要求帯域をキーとして、トポロジーデータベースを参照し、要求帯域を満たす経路を通過するデバイスを検出する。そして、算出した経路に係わるデバイスアドレス等を経路管理データベースに登録する。そして、検出結果を設定判断部66に通知する。ステップS168〜ステップS174までの処理は図23中のステップS88〜ステップS92までの処理と同様なので説明を省略する。
【0107】
以上説明したように、第4実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、始点アドレス及び終点アドレスが同一のものについて複数個の異なる経路を設定することが可能となり、負荷分散を図ることができる。
【0108】
第5実施形態
図38は本発明の第5実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図であり、図5中の構成要素と実質的に同一の構成要素には同一の符号を附している。第5実施形態は、通信ネットワーク上の中継装置に障害又は輻輳が発生しているか否かを判断して、障害や輻輳が発生した場合は、ネットワーク制御装置が自律で障害や輻輳に係わる経路を変更することを可能としている。
【0109】
図38に示すように、ネットワーク制御装置は、設定要求受信部60、設定範囲判断部110、設定要求送信部64、設定判断部66、経路算出部134、デバイス設定部69、デバイス情報受信部130、デバイス情報整形部72、デバイス情報送信部74、デバイス情報データベース136及び設定処理起動部132を具備する。
【0110】
図39は、網情報3を示す図である。網情報3は、中継装置のトラヒック数や故障状態を通知するための情報であり、中継装置のアドレス、中継装置のトラヒック状態(トラヒック数)又は中継装置の障害状態から成る。デバイス情報受信部130は受信した情報が網情報1,2であるか網情報3であるかいずれの情報であるかを判断する。そして、網情報1,2であれば、第1実施形態と同様の処理を行う。網情報3であれば、網情報3を設定処理起動部132に通知する。
【0111】
設定処理起動部132は、網情報3より中継装置が輻輳状態である(例えば、トラヒック数が閾値を越えている)又は障害状態であるか否かを判断する。輻輳状態又は障害状態であれば、トポロジーデータベース中に、輻輳状態又は障害状態の中継装置のアドレスを隣接ノードアドレスとするリンク情報を輻輳状態/障害状態に設定する。更に、設定処理起動部132は、デバイス情報データベース136中の第4実施形態で説明したと同様の経路管理データベースを参照して、輻輳状態又は障害状態の中継装置を通過する経路を全て抽出する。そして、経路管理データベースに登録されている抽出した経路に係わる、送信元アドレスを始点アドレス、送信先アドレスを終点アドレス、設定帯域を要求帯域とする設定要求を、設定範囲判断部62に送信する。
【0112】
経路算出部134は、始点アドレス、終点アドレス、要求帯域をキーとして、トポロジーデータベースを参照して、輻輳状態や障害状態の中継装置を回避しながら始点アドレスと終点アドレスとを結ぶ経路を算出して、経路を通過するデバイスを検出する。そして、算出した経路に係わる経路管理情報を経路管理データベースに登録する。デバイス情報データベース136は、デバイスリストファイル、トポロジーデータベース及び経路管理データベースを含む。デバイスリストファイルは第1実施形態のものと実質的に同一である。経路管理データベースは第4実施形態のものと実質的に同一である。
【0113】
図40は、トポロジーデータベースを示す図である。トポロジーデータベースは、図5中のデバイス情報データベース中のトポロジーデータベースが有する情報に加えて、各中継装置について、その隣接中継装置が輻輳状態/故障状態/正常状態のいずれの状態であるかを示す情報を含む。図40中の輻輳状態/故障状態とは、隣接ノードアドレスで示されるその隣接中継装置が輻輳状態/故障状態/正常状態のいずれの状態であるかを示すフィールドである。
【0114】
図41は、図38中のデバイス情報受信部130、デバイス情報整形部72、デバイス情報送信部74、設定処理起動部132、設定範囲判断部62、設定判断部66、経路算出部134及びデバイス設定部70の動作フローチャートである。以下、この図面を参照して、ネットワーク制御装置が輻輳状態や障害状態の中継装置に関わる経路を検出して、輻輳状態や障害状態を回避する別の経路を設定する処理について説明する。
【0115】
デバイス情報受信部130は、ステップS180において、網情報を受信する。デバイス情報受信部130は、ステップS182において、受信した網情報が網情報1,2又は網情報3のいずれの情報であるか判断する。受信した網情報が網情報1,2であれば、ステップS184に進む。受信した網情報が網情報3であれば、網情報3を設定処理起動部132に転送して、ステップS190に進む。ステップS184〜ステップS188までの処理は図21中のステップS42〜ステップS46までの処理と同様なので説明を省略する。
【0116】
設定処理起動部132は、ステップS190において、網情報3を解析する。設定処理起動部132は、ステップS192において、網情報3より中継装置が輻輳状態である(例えば、トラヒック数が閾値を越えている)又は障害状態であるか否かを判断する。輻輳状態又は障害状態であれば、ステップS194に進む。輻輳状態又は障害状態で無ければ、終了する。設定処理起動部132は、ステップS194において、トポロジーデータベース中に、輻輳状態又は障害状態の中継装置のアドレスを隣接ノードアドレスとするリンク情報を輻輳状態/障害状態に設定する。そして、デバイス情報データベース136中の経路管理データベースを参照して、輻輳状態又は障害状態の中継装置を通過する経路を全て抽出する。そして、経路管理データベースに登録されている抽出した経路に係わる、送信元アドレスを始点アドレス、送信先アドレスを終点アドレス、設定帯域を要求帯域とする設定情報を作成して、設定範囲判断部62に送信して、ステップS196に進む。
【0117】
図42は図41中のステップS196の詳細フローチャートである。ステップS200〜ステップS202までの処理は図中のステップS〜ステップSまでの処理と同様なので説明を省略する。ステップS204において、経路算出部134は、始点アドレス、終点アドレス、要求帯域をキーとして、トポロジーデータベースを参照して、輻輳状態や障害状態の中継装置を回避して、始点アドレスと終点アドレスとを結ぶ経路を算出して、経路を通過するデバイスを検出する。そして、算出した経路に関わる経路情報を経路管理データベースに登録する。検出結果を設定判断部66に通知する。ステップS206〜ステップS210までの処理は、図23中のステップS88〜ステップS92までの処理と同様なので説明を省略する。この結果、輻輳状態や障害状態の中継装置が回避された経路が自律で再設定される。
【0118】
以上説明したように、第5実施形態によれば、第1実施形態と同様の効果がある上に、中継装置の輻輳状態や障害状態を検出して自律で経路の変更を行うので通信ネットワークの信頼性が向上する。
【0119】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、通信ネットワークを複数のエリアに分割して、ネットワーク制御装置は各エリア毎に管理するので、ネットワークが大規模になっても、網情報が膨大しない、経路算出処理の負荷が増大しない、また接続コネクション数が増大しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理図である。
【図2】本発明の実施形態による通信ネットワークの構成図である。
【図3】本発明の実施形態によるネットワーク制御装置の階層構成を示す図である。
【図4】本発明の実施形態によるネットワーク制御装置のトポロジーの見え方を示す図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図である。
【図6】設定要求の基本フォーマットを示す図である。
【図7】通信端末、コンソール、中継装置、管理下のネットワーク制御装置から受信した場合の設定要求のフォーマットを示す図である。
【図8】管理されているネットワーク制御装置から受信した場合の設定要求のフォーマットを示す図である。
【図9】中継装置に送信する場合のデバイス設定情報のフォーマットを示す図である。
【図10】網情報1のフォーマットを示す図である。
【図11】網情報2のフォーマットを示す図である。
【図12】図5中のデバイス情報データベース中のデバイスリストファイルを示す図である。
【図13】図5中のデバイス情報データベース中のトポロジーデータベースを示す図である。
【図14】加工方法1のフローチャートである。
【図15】エリア1の詳細図である。
【図16】加工方法1による加工結果を示す図である。
【図17】加工方法1による網情報1を示す図である。
【図18】加工方法2のフローチャートである。
【図19】加工方法2による加工結果を示す図である。
【図20】加工方法2による網情報1を示す図である。
【図21】図5中のデバイス情報受信部、デバイス情報整形部、デバイス情報送信部のフローチャートである。
【図22】図21中のステップS42の詳細フローチャートである。
【図23】図5中の設定要求受信部、設定範囲判断部、設定要求送信部、設定判断部、デバイス設定部のフローチャートである。
【図24】始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスの場合の動作説明図である。
【図25】始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスの場合のシーケンスチャートである。
【図26】始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスでない場合の動作説明図(1)である。
【図27】始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスでない場合のシーケンスチャート(1)である。
【図28】始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスでない場合の動作説明図(2)である。
【図29】始点アドレス、終点アドレスが管理下のデバイスでない場合のシーケンスチャート(2)である。
【図30】本発明の第2実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図である。
【図31】図30中の設定要求受信部、要求権限判断部、設定範囲判断部、設定要求送信部、設定判断部、デバイス設定部のフローチャートである。
【図32】本発明の第3実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図である。
【図33】設定要求の基本フォーマットを示す図である。
【図34】図32中の設定要求受信部、設定範囲判断部、設定要求送信部、設定判断部、デバイス設定部のフローチャートである。
【図35】本発明の第4実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図である
【図36】図35中デバイス情報データベース中の経路管理データベースの構成図である。
【図37】図35中の設定要求受信部、設定範囲判断部、設定要求送信部、設定判断部、デバイス設定部のフローチャートである。
【図38】本発明の第5実施形態によるネットワーク制御装置の機能ブロック図である。
【図39】網情報3のフォーマットを示す図である。
【図40】図38中のデバイス情報データベース中のトポロジーデータベースを示す図である。
【図41】図38中のデバイス情報受信部、デバイス情報整形部、デバイス情報送信部、設定処理起動部のフローチャートである。
【図42】図41中のステップS196の詳細フローチャートである。
【図43】従来の通信ネットワークを示す図である。
【符号の説明】
10#i(i=1〜n) ネットワーク制御装置
12#1(i=1〜n) 設定要求受信手段
14#i(i=1〜n) データベース
16#i(i=1〜n) 設定範囲判断手段
18#i(i=1〜n) 設定要求送信手段
20#i(i=1〜n) 経路算出手段
22#i(i=1〜n) 設定判断手段
24#i(i=1〜n) デバイス設定手段
26#ij(i=1〜n,j=1〜k) 中継装置
28#ij(i=1〜n,j=1〜k) 通信端末
Claims (10)
- 複数のデバイスにより構成される通信ネットワークが複数のエリアに分割され、該複数エリアの中で該当する所定エリアを管理し、該所定エリアに位置する前記デバイスを制御するネットワーク制御装置であって、
前記デバイスのいずれかより受信した送信元デバイスと送信先デバイスとの間の経路設定を要求する第1設定要求を受信する設定要求受信手段と、
前記デバイスを特定するデバイス情報及び前記所定エリアに位置するデバイスと隣接デバイスとのリンクを示すトポロジー情報を格納するデータベースと、
前記データベースを検索して、前記第1設定要求が示す前記送信元デバイス及び前記送信先デバイスが、本ネットワーク制御装置が管理するデバイスに係わるものであるか否かを判定する設定範囲判断手段と、
係わるものでないと前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求を上位ネットワーク制御装置に送信する設定要求送信手段と、
係わるものであると前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求及び前記トポロジー情報に基いて前記送信元デバイスと前記送信先デバイスとの間の経路を算出する経路算出手段と、
前記経路算出手段により算出された経路を通過する各デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する各下位ネットワーク制御装置について、前記経路に関わるデバイス設定要求を作成する設定判断手段と、
前記経路を通過する該当デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する該当下位ネットワーク制御装置に前記デバイス設定要求を送信するデバイス設定手段と、
を具備したことを特徴とするネットワーク制御装置。 - 本ネットワーク制御装置が管理するデバイスよりデバイス間のリンクを示す第1網情報を受信するデバイス情報受信手段と、上位ネットワーク制御装置がある場合は前記第1網情報に基く網情報を該上位ネットワーク制御装置に送信するデバイス情報送信手段とを更に具備したことを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御装置。
- 本ネットワーク制御装置が管理する全デバイスから前記第1網情報を受信すると、該第1網情報に基いて前記所定エリアの境界に位置するデバイスに係わるトポロジーを示す網情報に加工するデバイス情報整形手段を更に具備したことを特徴とする請求項2記載のネットワーク制御装置。
- 前記デバイス情報送信手段は、前記デバイス情報整形手段により加工された前記第1網情報及び前記所定エリアに位置する全てのデバイスを特定するデバイス情報を示す第2網情報を上位ネットワーク制御装置に送信することを特徴とする請求項3記載のネットワーク制御装置。
- 前記第1網情報及び前記第2網情報に基づき前記デバイス情報及び前記トポロジー情報を格納する前記データベースを更新するデータベース更新手段を更に具備したことを特徴とする請求項4記載のネットワーク制御装置。
- 前記設定範囲判断手段は、前記第1設定要求が上位ネットワーク制御装置から送信されたものであるか、本ネットワーク制御装置が管理するデバイスから送信されたものであるかを判別し、上位ネットワーク制御装置から送信されたものである場合には無条件に前記経路算出手段に前記第1設定要求を通知することを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御装置。
- アクセス権に係わる情報を記憶するプロファイルと、前記第1設定要求を送信したデバイス又はユーザと前記プロファイルに記憶されたアクセス権とを照合して、前記デバイス又は前記ユーザがアクセス権を有するものであると判断したときに、前記第1設定要求を受け付けるアクセス権判別手段を更に具備したことを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御装置。
- 前記経路算出手段により算出された前記経路を管理する経路管理情報を前記データベースに書き込む経路管理手段と、本ネットワーク制御装置が管理するデバイスに係わるトラヒック情報を受信して該デバイスが輻輳状態であるか否かを判断し、該デバイスが輻輳状態であるとき、前記経路管理情報を参照して、該デバイスを通過する既に設定されている経路に係わる第2設定要求を作成して前記設定範囲判断手段に通知する設定処理起動手段とを更に具備し、前記経路算出手段は前記輻輳状態に係わるデバイスを通過する経路を回避して経路の再算出をすることを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御装置。
- 前記経路算出手段により設定された前記経路を管理する経路管理情報を前記データベースに書き込む経路管理手段と、本ネットワーク制御装置が管理するデバイスに係わる障害情報を受信して該デバイスが障害状態であるか否かを判断し、該デバイスが障害状態であるとき、前記経路管理情報を参照して、該デバイスを通過する既に設定されている経路に係わる第2設定要求を作成して前記設定範囲判断手段に通知する設定処理起動手段とを更に具備し、前記経路算出手段は前記障害状態に係わるデバイスを通過する経路を回避して経路の再算出をすることを特徴とする請求項1記載のネットワーク制御装置。
- 複数の通信端末、複数の中継装置及び複数のネットワーク制御装置から構成され、前記各通信端末、前記各中継装置及び前記各ネットワーク制御装置のそれぞれをデバイスとする通信ネットワークであって、
前記複数のネットワーク制御装置は、最下位の各ネットワーク制御装置が、前記通信ネットワークが複数の第1エリアに分割された各所定エリアに位置する、前記複数の通信端末及び前記複数の中継装置を管理し、それ以外の各ネットワーク制御装置は、複数の下位ネットワーク制御装置が管理する複数の第1エリアからなる第2エリアに位置する前記複数の通信端末及び前記複数の中継装置を管理する、多分岐ツリー型構造であり、
前記デバイスのいずれかより受信した送信元デバイスと送信先デバイスとの間の経路設定を要求する第1設定要求を受信する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定要求受信手段と、
前記各ネットワーク制御装置が管理する前記デバイスを特定するデバイス情報及び前記所定エリアに位置するデバイスと隣接デバイスとのリンクを示すトポロジー情報を格納する前記各ネットワーク制御装置に設けられたデータベースと、
前記データベースを検索して、前記第1設定要求が示す前記送信元デバイス及び前記送信先デバイスが、前記各ネットワーク制御装置が管理するデバイスに係わるものであるか否かを判定する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定範囲判断手段と、
係わるものでないと前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求を上位ネットワーク制御装置に送信する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定要求送信手段と、
係わるものであると前記設定範囲判断手段が判断した場合に、前記第1設定要求及び前記トポロジー情報に基いて前記送信元デバイスと前記送信先デバイスとの間の経路を算出する前記各ネットワーク制御装置に設けられた経路算出手段と、
前記経路算出手段により算出された経路を通過する各デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する各下位ネットワーク制御装置について、前記経路に関わるデバイス設定要求を作成する前記各ネットワーク制御装置に設けられた設定判断手段と、
前記経路を通過する該当デバイス又は前記経路を通過する各エリアを管理する該当下位ネットワーク制御装置に前記デバイス設定要求を送信する前記各ネットワーク制御装置に設けられたデバイス設定手段と、
を具備したことを特徴とする通信ネットワーク。
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