JP4143887B2 - エンジン始動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車に好適なエンジン始動装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
従来技術としては、特開平9−53547号公報および特開平9−53548号公報に開示されたエンジン始動装置がある。このエンジン始動装置では、エンジンのクランク軸に接合されたクラッチ外輪を、減速ギヤを介してスタータモータにより回転駆動されるクラッチ内輪から駆動するワンウェイクラッチを使用している。エンジンとスタータとの間には、このワンウェイクラッチがあるだけで減速ギヤはあっても変速機は介在しないので、エンジンのクランク軸とスタータモータとの間の減速比は、所定の値に定まっており可変ではない。
【0003】
このような従来技術のエンジン始動装置によれば、エンジン始動時にピニオンが突出してエンジンのリングギヤに噛み合う方式のスタータと異なり、ピニオンの突出機構をもたない分だけスタータの構成が簡素であるうえに、ピニオンの寿命も長い。すなわち、ピニオン突出式のスタータと違って、ピニオンの先端面がリングギヤに衝突して徐々に変形していずれは噛み合いに不具合を生じるという不都合が生じることがない分、信頼性にも優れている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述の従来技術では、前述のようにエンジンのクランク軸とスタータモータとの間の減速比が一定であるので、スタータモータは最も厳しい運用条件に適合させる必要がある。ここで、最も厳しい運用条件とは、たとえば、冬場の低温環境に長時間放置された場合である。この場合には、エンジンの潤滑油が固まってたいへん大きな粘性をもつようになるので、エンジンをクランキングするにはたいへん大きな駆動トルクが必要になる。それゆえ、スタータモータに対する軸出力の要求は大きくなり、出力が高い大きなスタータモータが必要とされる。その結果、スタータモータの体格が大きくなり重量も増大するので、エンジンルーム内の収容容積の面からも小型軽量化の面からも不利な設計を強いられることになる。
【0005】
そこで本発明は、従来技術よりもスタータモータを小型軽量化することが可能なエンジン始動装置を提供することを解決すべき課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、発明者らは以下の手段を発明した。
【0007】
(第1手段)
本発明の第1手段は、請求項1記載のエンジン始動装置である。すなわち、本手段のエンジン始動装置の大きな特徴は、次のように四つある。第一の特徴は、スタータのピニオンがリングギヤに常に噛み合っていることである。第二の特徴は、スタータがスタータクラッチおよびトランスミッションを介してエンジンのクランク軸に接続されることである。第三の特徴は、リングギヤがスタータクラッチを介してトランスミッションの出力軸に切り離し可能に接続されていることである。第四の特徴は、トランスミッションの出力軸とプロペラシャフトとの間にメインクラッチが配設されていることである。なお、本手段の特徴はこれだけに限定されるものではない。
【0008】
本手段では、エンジンを始動するに際し、スタータクラッチを接続しておき、メインクラッチは切り離しておく。すると、スタータモータに駆動されるピニオンが、リングギヤに噛み合っており、リングギヤの回転がトランスミッションを介してエンジンのクランク軸の回転につながる。それゆえ、スタータモータを回転させれば、エンジンをクランキングして始動することができる。
【0009】
この際、トランスミッションは、設計された範囲内で変速比を変更することができるので、エンジンや潤滑油の温度などの諸条件に応じて、トランスミッションのギヤ比を適正に設定することが可能になる。それゆえ、スタータモータからクランク軸に至るまでの減速比を諸条件に合わせて適正に変更することができるようになるので、スタータモータが発揮すべき駆動トルクや軸出力に過大な要求がなされなくなる。その結果、低温時などの最悪の始動条件下でも、スタータモータへの要求が緩和されるので、従来技術よりもスタータモータの軸出力が小さくても済むようになり、スタータモータが小型軽量化される。
【0010】
なお、エンジンが始動したらスタータクラッチは切り離され、リングギヤ、ピニオンおよびスタータモータは、トランスミッションの出力軸から切り離されるので、ピニオンはリングギヤに噛み合ったまま停止する。そして、搭載車両を発進させる場合には、メインクラッチを緩やかにつないでプロペラシャフトに徐々に駆動トルクを伝達し、滑らかに搭載車両を発進させることができる。逆に、搭載車両が停止する際には、メインクラッチが速やかに切り離され、プロペラシャフトが回転を停止してもエンジンはアイドリングを続けることができる。もちろん、搭載車両の停止中には、アイドルストップを行ってもかまわない。
【0011】
したがって、本手段のエンジン始動装置によれば、次のような二つの効果が得られる。
【0012】
第一に、始動時の諸条件に合わせてスタータモータからクランク軸に至るギヤ比を適正に変更することができるので、スタータモータの駆動トルクや軸出力に対する要求が緩和され、スタータモータを小型軽量化することができるようになるという効果がある。
【0013】
第二に、スタータのピニオンがリングギヤに常に噛み合っておりピニオン突出機構がスタータにないので、スタータの構成が簡素になりスタータの信頼性も向上するという効果がある。
【0014】
(第2手段)
本発明の第2手段は、請求項2記載のエンジン始動装置である。すなわち、本手段のエンジン始動装置は、トランスミッションとして、減速比を連続的に変更することができるCVT(無段変速トランスミッション)を採用している。
【0015】
本手段では、CVTの採用によりスタータモータからクランク軸に至る減速比をより大きく取ることができるので、スタータモータの駆動トルクに対する要求をよりいっそう緩和することができる。また、CVTは段階的にではなく連続的に減速比を変更することができるので、諸条件に合わせて設計の範囲内で最適な減速比を実現することができる。さらに、CVTは、始動中のエンジンの状態に合わせてスタータモータの回転中にも連続的に減速比を変更することができるので、始動中のエンジンの状態に合わせてエンジン始動中にも最適に減速比を調整していくことができる。
【0016】
それゆえ、エンジン始動装置の初期に最適な減速比を実現できるばかりではなく、エンジン始動間中に時間変化する最適な減速比を保ち続けることができるようになる。その結果、スタータモータの駆動トルクや軸出力に対する要求だけではなく、スタータモータの最大回転数に対する要求も緩和され、スタータモータの設計および製造が容易になる。
【0017】
したがって、本手段のエンジン始動装置によれば、前述の第1手段の効果に加えて、エンジン始動の最初から最後に至るまで最適な減速比を実現し続けることができるので、スタータモータの設計および製造がより容易になるという効果がある。
【0018】
(第3手段)
本発明の第3手段は、請求項3記載のエンジン始動装置である。すなわち、本手段のエンジン始動装置は、スタータクラッチとして遠心式のワンウェイ・カムクラッチを採用している。
【0019】
本手段では、エンジンが自立運転をしており、トランスミッションの出力軸に接続された内輪の回転数がアイドル時の回転数以上である場合には、内輪と共に回転する各カムが遠心力によって回動し、内輪および外輪と接触しない。すなわち、各カムが内輪の外周面にも外輪の内周面にも接触しないので、内輪と外輪との間は力学的に切り離されており、外輪に固定されたリングギヤがエンジンに駆動される内輪に連れ回りすることはない。
【0020】
逆に、エンジンが停止しており内輪も停止している場合には、各カムに遠心トルクが作用しなくなるので、各カムを付勢するスプリングなどの作用により、各カムは一端で外輪の内周面に接触し、他端で内輪の外周面に接触する。これら二つの接触点はカムクラッチの半径線に対してストラットアングルをもって傾いているので、外輪がスタータにより回転駆動されると、各カムを介して内輪に回転トルクが伝達され、内輪も各カムと共に外輪に連れ回りする。それゆえ、エンジン始動に際して、スタータによりリングギヤを介して外輪が回転駆動されると、トランスミッションを介してクランク軸に接続されている内輪も回転駆動され、エンジンがクランキングされて始動するに至る。
【0021】
そして、エンジンが始動して自立回転を始めその回転数が高まり、内輪の回転数が外輪の回転数を越えると、摩擦力および遠心トルクによって各カムが回動して内輪および外輪と非接触の状態になる。すると、前述のように外輪が停止した状態で内輪が自由に回転することができるようになり、スタータクラッチとしてのカムクラッチは切り離される。
【0022】
このようにカムクラッチは、電磁クラッチなどとは異なり、外部からいっさい操作しなくても自動的に適正に切り離しと接続とを行うので、構成が簡素で安価なうえに信頼性が高く保守も容易である。
【0023】
したがって、本手段のエンジン始動装置によれば、前述の第1手段の効果に加えて、スタータクラッチの構成が簡素で安価なうえに信頼性が高く保守も容易になるという効果がある。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明のエンジン始動装置の実施の形態については、当業者に実施可能な理解が得られるよう、以下の実施例で明確かつ十分に説明する。
【0025】
[実施例1]
(実施例1の構成)
本発明の実施例1としてのエンジン始動装置は、FR型の自動車に搭載され、図1に示すように、エンジンEから車輪Wに至るまでのパワートレイン(動力伝達系)の中間部に配設されている。
【0026】
搭載車両のパワートレインは、エンジンEの駆動力の伝達経路に沿って順に、エンジンEのクランク軸C、本実施例のエンジン始動装置10、プロペラシャフトP、ディファレンシャルギヤD、一対の車軸Sおよび車輪Wを有する。クランク軸Cには、フライホイールFが固定されている。また、エンジン始動装置10とプロペラシャフトPとは、図示しないユニバーサルジョイントによって接続されている。
【0027】
本実施例のエンジン始動装置10は、トランスミッション1、スタータクラッチ2、メインクラッチ3およびスタータ4を有する。
【0028】
トランスミッション1は、エンジンEのクランク軸Cに接続された変速可能な回転動力伝達装置であり、具体的には、その減速比を連続的に変更することができるCVT( Continuously Variable Transmission = 無段変速トランスミッション)である。
【0029】
スタータクラッチ2は、トランスミッション1の出力軸11に接続され、外周部に形成されたリングギヤ26と出力軸11との間を切り離し可能に接続する遠心式のカムクラッチである。すなわち、スタータクラッチ2は、トランスミッション1の出力軸11に接続された内輪21と、外周部に形成されたリングギヤ26によってスタータ4と接続された外輪22と、両者21,22の間を切り離し可能に接続する複数のカム23とをもつ。各カム23は、内輪21の回転数がアイドリング回転数よりも低い所定値以下になると、スタータ4によって回転駆動される外輪22を内輪21にワンウェイで接続する作用をもつ。
【0030】
スタータクラッチ2の要部は、その断面図を図2に示すように、内輪21と外輪22(リングギヤ26は図略)の間に、各カム23についてそれぞれ一組のスプリング24およびストッパ25をもつ。スプリング24は、内輪21に対して所定範囲でそれぞれ回動自在に軸支されたカム23を所定回転方向に付勢する作用をもち、カム23の回動軸回りに巻き付けられたバネである。一方、ストッパ25は、カム23の回動軸に対して所定位置を占めるように内輪21に固定された突起部材であり、スプリング24の一端が当接するともに、カム23の一側面が当接してそれ以上のカム23の回動を制限する作用をもつ。なお、スプリング24の他端は、カム23の凹部に係合し、図中反時計方向のトルクを生じてカム23を付勢している。
【0031】
ここで、カム23、スプリング24およびストッパ25は、内輪21とともに回転するので、エンジンが自立運転している回転数では、カム23にかかる遠心トルクがスプリング24の付勢力に打ち勝ち、カム23はストッパ25に当接するまで回動している。すると、カム23と外輪22の内周面は離れて両者の間に隙間が空き、カム23が外輪22から離れるので、内輪21と共に回転する各カム23から外輪22にエンジンからの回転力が伝達されることはない。
【0032】
逆に、エンジンが停止中には、図3に示すように、スプリング24(図2参照)の付勢力によってカム23がストッパ25から離れて回動し、カム23は一端で外輪22の内周面に当接し、他端で内輪21の外周面に当接する。この際、当接部はスタータクラッチ2の半径線に対して所定の角度(ストラットアングル)θだけ傾いているので、スタータクラッチ2はワンウェイクラッチとして作用する。その際、内輪21および外輪22と各カム23との当接部には、適正に分布した圧縮応力σがストラットアングルθをもって作用する。それゆえ、スタータ4によって外輪22が白抜き矢印方向に回転駆動されると、その回転運動は各カム23を介して内輪21を駆動し、エンジンEを始動するに至る。
【0033】
エンジンEが始動し自立回転を始めたら、内輪21にはエンジンEからトランスミッション1を介して駆動力が伝達され、スタータクラッチ2はオーバーラン状態になる。すると、今度は内輪21の回転数が外輪22の回転数を上回るようになるので、カム23は滑って内輪21から外輪22には駆動力は伝達されなくなる。さらに、内輪21は所定値以上の回転数で回転するので、再び図2に示すように、カム23にはスプリング24の付勢力に打ち勝つ遠心トルクが作用して、カム23はストッパ25に当接するまで回動し、内輪21の外周面からも外輪22の内周面からも離れる。それゆえ、スタータ4と連動している外輪22が回転を停止していても、エンジンEに駆動される内輪21は、外輪22から摩擦抵抗による損失をほとんど受けることなく回転し続けることができる。
【0034】
さて、再び図1に示すように、メインクラッチ3は、トランスミッション1の出力軸11と車輪Wを駆動するプロペラシャフトPとの間を切り離し可能に接続するクラッチである。
【0035】
最後に、スタータ4は、スタータクラッチ2のリングギヤ26に常時噛み合っているピニオン41と、ピニオン41を回転駆動するスタータモータ42とをもつ。その一方で、スタータ4は、ピニオン突出機構や、マグネットスイッチおよびドライブレバーや、ワンウェイクラッチなどをもたず、極めて簡素な構成になっている。
【0036】
以上をまとめると、エンジン始動時には、スタータモータ42が生じた軸出力は、ピニオン41、リングギヤ26付きのスタータクラッチ2、トランスミッション1の出力軸11、トランスミッション1を順に伝達され、遡ってエンジンEのクランク軸Cを回転させるに至る。一方、エンジンが始動して自立運転している間には、エンジンEが生じた軸出力は、クランク軸C、トランスミッション1およびその出力軸11、メインクラッチ3を介してプロペラシャフトPに伝達され、車輪Wを回転させるに至る。
【0037】
(実施例1の作用効果)
本実施例のエンジン始動装置10は、以上のように構成されているので、以下のような作用効果を発揮する。
【0038】
本実施例のエンジン始動装置10では、エンジンEを始動するに際し、スタータクラッチ2は自然に接続されており、一方、搭載車両が動かないようにメインクラッチ3は切り離しておく。すると、スタータモータ42に駆動されるピニオン41が、スタータクラッチ2の外周部に形成されたリングギヤ26に常に噛み合っており、リングギヤ26の回転が、トランスミッション1を介してエンジンEのクランク軸Cの回転につながる。それゆえ、スタータモータ42に通電して回転させれば、スタータクラッチ2およびトランスミッション1を介してエンジンEをクランキングさせることができ、こうしてエンジンEを始動することができる。
【0039】
この際、トランスミッション1はCVTであるから、設計された範囲内で変速比を無段階で自在に変更することができるので、エンジンや潤滑油の温度などの諸条件に応じて、トランスミッション1の減速比を適正に設定することが可能になる。すなわち、スタータモータ42からクランク軸Cに至るまでの減速比を諸条件に合わせて最適に設定することができるので、スタータモータ42が発揮すべき駆動トルクや軸出力に過大な要求がなされなくなる。その結果、低温時などの最悪の始動条件下でも、スタータモータ42への要求が緩和されるので、従来技術よりもスタータモータ42の軸出力が小さくても済むようになり、スタータモータ42が小型軽量化される。
【0040】
そればかりではなく、エンジン始動中にもトランスミッション1の減速比を悲観変化させることができるから、適正な制御手段を設けることにより、スタータモータ42をエンジン始動の最中にも常に最適の減速比で運転させることができる。それゆえ、スタータモータ42への要求がさらに緩和され、スタータモータ42がよりいっそう小型軽量化されるとともに、エンジンEをより短時間で始動することができるようになる。
【0041】
なお、エンジンEが始動したらスタータクラッチ2は自然に切り離され、リングギヤ26およびスタータ4はトランスミッション1の出力軸11から切り離されるので、ピニオン41はリングギヤ26に噛み合ったまま停止する。そして、搭載車両を発進させる場合には、メインクラッチ3を緩やかにつないでプロペラシャフトPに徐々に駆動トルクを伝達させるようにすれば、滑らかに搭載車両を発進させることができる。逆に、搭載車両が停止する際には、メインクラッチ3が速やかに切り離され、プロペラシャフトPが回転を停止してもエンジンEはアイドリングを続けることができる。もちろん、搭載車両の停止中には、アイドルストップを行ってもかまわない。
【0042】
したがって、本実施例のエンジン始動装置10によれば、次のような三つの効果が得られる。
【0043】
第一に、始動時の諸条件に合わせてスタータモータ42からクランク軸Cに至る減速比を設計範囲で最適に設定し、エンジン始動の最中にも適正に変更して最適な減速比を保ち続けることができるようになる。その結果、スタータモータ42の駆動トルク、軸出力および限界回転数に対する要求が緩和され、スタータモータ42を従来技術よりも小型軽量化することができるようになるという効果がある。
【0044】
第二に、スタータ4のピニオン41がスタータクラッチ2のリングギヤ41に常に噛み合っており、スタータ4はピニオン突出機構をもたないばかりか、ドライブレバーやワンウェイクラッチなどももたない。その結果、スタータ4の構成が極めて簡素になり、スタータ4がより製造容易で安価になるうえに、その信頼性も向上するという効果がある。
【0045】
第三に、ピニオン41はリングギヤ26に常に噛み合ったままであり、ピニオン41が突出してリングギヤ26に衝突することがなく、しかもエンジン始動時以外はピニオン41およびリングギヤ26は停止している。その結果、ピニオン41の寿命が延び、頻繁なエンジン始動にも耐えることができるようになって、エコランによる頻繁なアイドルストップにも耐えられる高い耐久性が得られるという効果がある。
【0046】
(実施例1の変形態様1)
本実施例の変形態様1として、トランスミッション1としてCVTの代わりに多段階の変速機を採用したエンジン始動装置の実施が可能である。
【0047】
本変形態様では、スタータ4からクランク軸Cに至るまでのギヤ比を段階的にしか設定できないので、最適のギヤ比には必ずしも設定することはできず、最適値に近い適正なギヤ比が設定されることになる。また、エンジン始動中のギヤ比の変更はできないので、エンジン始動の最終段階を考慮すると、スタータ4の限界回転数に対する要求はやや厳しくなる。
【0048】
しかしながら、離散的にではあっても、依然として最適値に最も近い適正なギヤ比の設定が可能であるから、おおむね実施例1に準じる効果が本変形態様によっても得られる。
【0049】
(実施例1の変形態様2)
本実施例の変形態様2として、スタータクラッチ2としてカムクラッチの代わりに電磁クラッチを採用し、スタータモータ42の運転時にのみ電磁クラッチを接続するようにしたエンジン始動装置の実施が可能である。
【0050】
本変形態様では、スタータクラッチとしての電磁クラッチを制御するために、制御手段や配線が必要になり、実施例1のカムクラッチに比べてコストや信頼性および保守性の面でやや不利ではある。しかしながら、適正な機能をもった制御手段を備えれば、実施例1にはない好ましい効果が得られる可能性はあるものと考えられる。
【0051】
したがって、本変形態様によっても、おおむね実施例1に準じる効果が得られる。
【0052】
(実施例1のその他の変形態様)
本実施例では、FR型の自動車への搭載例を挙げたが、FF型、RR型、4WD型など、その他の形式の自動車や各種車両への搭載も可能である。あるいは、エンジンとその軸出力の変速とを必要とする装置であれば、車両やビークルに限定されることなく、いかような装置であっても本発明のエンジン始動装置を実施できる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1のエンジン始動装置を備えた駆動系の構成を示す模式図
【図2】 実施例1でのスタータクラッチの要部構成をエンジン自立運転中の状態で示す断面図
【図3】 実施例1でのスタータクラッチの要部構成をエンジン始動時の状態で示す断面図
【符号の説明】
10:エンジン始動装置
1:トランスミッション(CVT=無段変速トランスミッション)
2:スタータクラッチ(遠心式のカムクラッチ)
21:内輪 22:外輪
23:カム 24:スプリング 25:ストッパ
26:リングギヤ
3:メインクラッチ
E:エンジン C:クランク軸 F:フライホイール
P:プロペラシャフト D:ディファレンシャルギヤ
S:車軸 W:車輪
σ:圧縮応力

Claims (3)

  1. エンジンのクランク軸に接続された変速可能なトランスミッションと、
    このトランスミッションの出力軸に接続され、外周部に形成ないし接合されたリングギヤとこの出力軸との間を切り離し可能に接続するスタータクラッチと、
    この出力軸と車輪を駆動するプロペラシャフトとの間を切り離し可能に接続するメインクラッチと、
    このリングギヤに噛み合っているピニオンとこのピニオンを回転駆動するスタータモータとをもつスタータと、
    を有することを特徴とするエンジン始動装置。
  2. 前記トランスミッションは、減速比を連続的に変更することができるCVT(無段変速トランスミッション)である、
    請求項1記載のエンジン始動装置。
  3. 前記スタータクラッチは、
    前記トランスミッションの前記出力軸に接続された内輪と、
    前記リングギヤを介して前記スタータと接続された外輪と、
    この内輪の回転数が所定値以下になると、前記スタータによって回転駆動されるこの外輪をこの内輪にワンウェイで接続する複数のカムと、
    をもつ遠心式のカムクラッチである、
    請求項1記載のエンジン始動装置。
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