JP4143769B2 - 階調レーザマーキング方法 - Google Patents

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本発明は、レーザ光を使用して材料にマーキングする方法に関するもので、材料に段階的な階調を付与するマーキング技術に関する。
レーザ光を使用して透明材料内部にマーキングを施すものには、直方体のガラスを対象として、ガラス内部に微細クラックを発生させ、これらを小動物や人間の顔などを表すべく三次元的に配列させ、像を立体的に具現化するものがあった。例えば、必要なレベルのレーザエネルギをガラス内部に照射し、人の顔などを内部に形成して肖像を具現化し、装飾品、お土産などの製品に用いられている。
レーザ光を使用して内部にマーキングを行う対象物としての透明材料には、人間の目で見て透明な材料と、レーザ波長に対して透明な材料とがある。人間の視覚で透明な材料とは、380ナノメートルから780ナノメートルまでの可視光を一定量通過させるものを言う。
これに対し、人間の目には透明ではないが、レーザ光に対しては透明な材料がある。レーザ光には波長が200ナノメートル以下の真空紫外域のレーザ光から、波長が1ミクロンを超える近赤外線のレーザ光や、さらに、波長が10ミクロンを超える遠赤外線光のレーザ光など様々な光波長を持つものがあり、これらレーザ光の持つ光波長を、一定量通過させる材料は、レーザ光に対し透過性を有するものと言う。
例えば、シリコン半導体の基板などは、波長1064ナノメートルの波長を持つYAGレーザの光を一定量通過させるので、このレーザ光に対し透明性を有すると言える。また、ガラス材料は近赤外線、可視光線および紫外線に対し透明性を有すると言える。
従来、材料内部におけるレーザマーキングとして、上述の様なレーザ光に対し透明性を有する材料をマーキング対象物とし、この材料内部でレーザ光を集光させて透明材料の表面に損傷を与えることなく、その透明材料の内部のみにおいて加工に必要なレーザエネルギを与え、レーザ光の集光部分を不透明化させてマークを付す方法があった。
また、ガラス材料に対する内部加工方法として、ガラス内部でレーザ光を集光し、集光により微細なガラスの割れである微細クラックを発生させ、ガラスの不透明化によりマーキングを行い、これらを三次元的に配置して材料内部に彫刻像の形成を行うものがあった。
特開平03−124486 新納、奈良埼、佐藤、川口 「レーザアブレーションによる透明材料の微細加工」レーザ加工学会誌 VOL.9、No.2(2002)
以上に述べた技術では、3次元状の透明材料内に、3次元データを基に、3次元状のマーキングを施す事に関し、全周から見て形状を詳細に理解し易いと言う利点はあるものの、3次元的なマーキングによるため、対象材料に一定の厚みを必要とする制約条件があった。また、3次元的なマーキングであることから、材料の厚みの奥方向まで加工領域を要すため、表面近傍のみでの加工が出来なかった。
これは、内部のマークとしての微細クラックが全て同程度の状態であり、微細クラックを付した領域と、微細クラックを付さない領域の二者択一の選択しか出来なかったため、奥行きの表現を実際に三次元の距離で表現する事しか出来なかったためである。また、二次元的に濃淡階調を表現するためには微細クラックの間隔を用いるしか無かったためである。
このため、眼鏡用レンズなど、薄い材料を対象とした場合に、マーキングにより奥行きを持った形状を表現する事や、材料表面近傍のみでの形状の表現は困難であった。また、レーザマーキング用の加工データを3次元とする必要があり、加工データを準備する際、データ取り込みの為に多方向からの造形対象物像の取り込みを行う必要と、取り込みデータの合成による3次元的な加工データを作成する必要があり、簡便なデータを用いる事が出来なかった。
そこで、本発明においては、従来のレーザマーキング加工が有していた、薄い対象材料内に立体的な形状の表現を出来ない問題点と、データ生成の複雑さを解決することを課題とする。
薄い透明材料に奥行きを表現するには、加工範囲を二次元の平面と限定し、この平面において写真画像の様に陰影を持たせたマーキングによる表現を行えば良く、これを実現するには、微細クラックの状態を段階的に同程度なものとし、これら微細クラックの状態の違いによりマーキングの度合いを階調として表せばよい。
また、データ生成の複雑さを解決するには、加工データを二次元の平面データを元に生成すれば良い。
従来の技術では、内部のマークとしての微細クラックの状態が同一であったため、階調を表現するには微細クラック間の距離による粗密性を利用しかなかったものを、微細クラックの寸法を含む状態を変える事により不透明化の度合いを変化させれば、二次元のマーキングにおいても階調の表現が可能になる。
ここで、微細クラックの状態とは、微細クラックの縦横方向または深さ方向の割れ状況、外寸、内部の状況と、光透過性、光吸収性、乱反射性に関する性質を示し、微細クラックの状態が変わる事による不透明度に影響を及ぼすものである。
そこで、この発明は、従来のレーザマーキング加工が有していた、マークとしての微細クラックを同程度の状態としか出来ない問題を解決するため、階調を持たせたマーキングの実現と、加工データの生成が複雑であることを解決するため、簡便なデータの作成を目的とするものである。
つまり、本発明は、(1)、レーザ波長に対し透明性を有する材料にレーザ光を走査させてマーキングする方法において、その材料内部に微細クラックを発生させる際、同一箇所に対し、照射するレーザ光の出力およびレーザ光照射1回あたりの時間を一定とし、レーザ光照射回数を変動制御する事で、微細クラックの縦横あるいは直径及び深さ寸法を変化させ、不透明化の段階を発生させる事を特徴とする階調レーザマーキング方法である。
これら微細クラックは、例えばガラスなどの割れを生じやすい脆性材料では、レーザ加工条件により全く同一の割れ状態とする事はできないが、概寸や性質などの微細クラックの状態はレーザ加工条件により段階的に同程度なものとさせることができ、不透明化の度合いを同程度な状態へと制御することができる。
そして、(2)、加工に用いるレーザ光がパルスレーザである事を特徴とする前記(1)記載の階調レーザマーキング方法である。
ここで、上記で示すパルスレーザとは、レーザ共振器内に蓄えるエネルギを制御して誘導放出を一気に行うQスイッチによるものや、レーザ共振器内部の電磁界定在波を同期させるモード同期などによるものを示し、連続して光を発振するCW(Continuous wave)レーザに対して区別している。
本発明は、レーザ波長に対し透明性を有する材料内部にマーキングする方法において、その材料内部に微細クラックを発生させる際、個別の微細クラックの状態を変動制御して段階的に発生せしめる手段を講じているので、マーキング領域の不透明度を変化させ人間の目で見た場合の見え方の度合いに段階を持たせた階調として表現することが出来ている。
即ち、この効果を利用して、二次元の平面加工でも写真の様な画像陰影の表出が可能となるので三次元状の奥行きを表現することが出来、対象が薄い材料の場合でも三次元状の奥行きの表現が可能になる。
そして、上記の手段を用いて、透明性を有する材料に階調的な三次元物の画像を有しめる事が出来る。これらは、対象材料を、例えば眼鏡レンズなどの薄い材料とすることも出来る。
また、加工データが二次元であるため、従来の加工では必要としていた複数のデータ取り込み装置からの三次元データの合成を必要とせず、一方向からのデータを二次元加工データとすることが出来、従来の方法に比較して簡便に加工データの生成が出来る。
微細クラックの状態を変動制御するためには、材料内部の同一の点に対し、レーザ加工条件である積算光照射エネルギを変化させて加工を行う。
即ち、照射するレーザ光の出力、レーザ光照射1回あたりの時間、ならびにレーザ光照射回数を変動制御する事で、レーザ加工条件である積算光照射エネルギを変化させることになり、微細クラックの縦横あるいは直径および深さ寸法や、この寸法による微細クラックの不透明度に関する性質を任意の段階に制御する事が出来る。
そして、これら微細クラックの状態により、透明材料の白濁化などの光透過性、光吸収性、光乱反射性に関する性質を変化させる事が出来、この効果を利用して光の不透明度合いを一定幅の階調の範囲内で意図する段階に制御する事が出来る。あるいは、前記効果を利用して、光の不透明度合いを多段階の階調とすることが出来る。
ここで、微細クラックは材料内部の一種の割れ状態であることから、レーザ光照射エネルギを変動制御して加工しても、割れ方向などの内部の状態を全く同一にすることは出来ないが、縦横方向の寸法、直径などの外寸、光に対する性質は一定の範囲内に収まるため、生成するためのレーザ光照射エネルギが同一の微細クラックは、同一の性質と持つと見なすことができる。
即ち、レーザ加工条件である積算光照射エネルギを変化させることにより、光の不透明度合いを制御でき、マーキング領域を構成する個々の微細クラックの状態を制御し、多段階の階調を持つマーキングを行う事が出来る。
また、従来の透明材料内部マーキングが有していた、内部のマークとしての微細クラック全てが同程度の状態であり、微細クラックを付した領域と、微細クラックを付さない領域の二者択一の選択しか出来なかった問題を解決し、より多段階な微細クラックの状態から、意図する不透明段階に対応させた微細クラックの状態を選択する事が可能になる。
また、従来の透明材料内部マーキングが有していた、内部のマークとしての微細クラックの寸法を荒くしか制御できず、細かなクラックの寸法に制御できなかった問題を解決し、より多段階な微細クラックの状態から、意図する不透明段階に対応させた微細クラックの状態を選択する事が可能になる。
さらに、二次元の走査を伴うレーザ加工として、加工対象領域を二次元とすることが出来るため、二次元の加工面を対象材料の表面と平行に保てば、対象が薄い材料であっても微細クラックの状態を利用して濃淡や陰影を表現することが出来るため、その材料に一方向から見てもマーキングが表す形状を理解しやすい、例えば奥行きを持った写真画像の表現が可能になる。
さらにまた、材料に一定の厚みを要する制約から開放され、表面近傍のみでレーザ光の二次元走査を行えば、材料内部の加工に限定されることなく、表面における階調マーキングを行う事も出来る。
本発明の方法である上記によれば、階調マーキングにおいて意図する階調段階の多段階性に応じ、同一箇所に対してのレーザ光照射1回あたりの時間、照射するレーザ光の出力、レーザ光照射回数の中から、変動制御するパラメータを選択したり、あるいは組み合わせて微細クラックを段階的に発生せしめる手段を講じているので、微細クラックの状態を多段階に渡って変化させる事が出来る。
そして、上記の発明によれば、特に加工に用いるレーザをパルスレーザとし、レーザ光照射時間をパルス時間とする事が出来る。この場合のレーザ光の出力は、パルスレーザを発振させるためのダイオードやランプの電流により一定値に設定でき、パルス照射回数をレーザ光照射回数と扱う事が出来る。
そして、上記1および2の発明によれば、レーザ波長に対し透明性を有する材料の内部、または表面に、出力、照射時間、ならびに照射回数を制御したレーザ光を走査させる事により描画された階調的な画像を有しめる事が出来る。
この画像を有しめた透明体では、二次元的な加工ではあるが三次元的な奥行きの表現が出来、一方向から見て、マーキングによる物体の形状を簡単に理解する事が出来る。
この微細クラックを有しめた透明体は、微細クラックの性質を含む状態を変化させているので、例えば光透過性、光吸収性、乱反射性に関する性質と、それらの段階制を利用しての多値の情報書き込み、並びに読みとりなどの媒体として利用する事が出来る。
また、他の例として、レーザ光をこの透明体に照射し、微細クラックの状態による回折、集光、投影などの効果を有しめる事で、光学素子として利用する事が出来る。
さらに、この場合においての対象材料は、人間の目に見える可視光線に対して透明性を有する材料に限らず、レーザ波長に対して透明性を有するものであれば良い。例えば、可視光線に対して透明性を有せず、赤外線に対して透明性を有するシリコン半導体材料の内部に階調マーキングを施せば、人間の目で見た状態では表面に加工痕跡を残さず、その内部に情報を書き込んだり、赤外光に対する光学素子としての性質を持たせたりすることが出来る。
以下、本発明の実施の形態を図1〜図5に基づいて説明する。ここでは、加工用レーザにパルスレーザを用いた。ここでは、微細クラック状態を変動制御するパラメータとして、レーザ光の出力は励起用ダイオードの電流により固定とし、レーザ光1回あたりの照射時間は30ナノ秒とし、パルス照射回数をレーザ光照射回数と扱い、レーザ光照射回数により微細クラックを形成した。
図1において、1はレーザによる階調マーキングの対象物で、2はレーザ光を集束させる集光レンズ、3はレーザ光、DLはレーザ光の直径、LP1、LP2、LPnはそれぞれパルスレーザの第n番目の光パルスで、レーザ光照射時間およびレーザエネルギを変動制御されたものである。図1に示されるように、この一実施例の方法は、階調マーキング対象物1の一方の表面1aからパルスレーザ光を照射し、表面1aから内部にZ1の距離だけ離れた点Pにおいて、レーザ光の照射パルスLP1ないしLPnを集光させ、点P近傍においてのみレーザ加工に必要最低限のエネルギである加工閾値を超えさせる事でマークを形成し、パルスレーザ光のLPnのパルス照射回数に応じて点Pにおける微細クラックの直径または深さ状態を変化させる。
図2は透明材料内部の微細クラックの直径D1、D2、Dnと、微細クラックの縦方向の長さL1、L2、Lnを示したもので、D1、D2、・・・DnとL1、L2、Lnはそれぞれパルスレーザ光のLPnの条件、即ちパルス時間、レーザエネルギ、パルス照射回数に応じて微細クラックの直径が横方向にD1、D2、Dnへと、また、微細クラックの縦方向の長さがL1、L2、Lnへと成長する過程を表す。これら微細クラックの状態により、ガラスなどの透明材料は、白濁化の度合いが変わり、結果として階調表現に適した微細クラックの形成が出来る。
図3はレーザ照射回数を用いて微細クラックの状態としての横方向の直径Dを変化させることを示したもので、Shotはレーザ照射回数を示し、直径Dを1から16までの16段階と変化させる事を示す平面図である。このようにしてパルスレーザ光の照射回数数を用いることで、微細クラックの状態を変化させることが出来る。
図1に示す様に、微細クラックを形成する際、個別の微細クラックに応じてレーザ光照射エネルギを変動制御する手段を講じているので、生成される個々の微細クラックの状態を変化させることが出来ている。
ここでは、パルスエネルギを固定してパルス照射の回数を増加させており、レーザ光照射積算エネルギがパルス照射回数に応じて増加することになり、微細クラックの直径は、レーザ光照射積算エネルギに応じて増加する。
これにより、レーザ光の出力およびパルス照射回数でレーザ光照射エネルギを正確に変動制御する事が出来、微細クラックの直径状態を多段階とすることが可能である。
同様に、レーザ光の出力およびパルス照射回数でレーザ光照射エネルギを正確に変動制御する事が出来、微細クラックの深さ状態を多段階とすることが可能である。
従って、これら微細クラックを画像の画素位置および濃度に対応させて配列させる事で、画像の濃淡を表す事ができている。即ち、階調画像を表出することができる。
図4は文字を画像としてガラスの中に描画したものの一部であり、ここでは微細クラックを、縦に約70列、横方向に約60行の配列で、個々の微細クラックはガラス内部への集光により1ないし16のパルス照射で形成し、画像として認識させている。
図5はガラス内部に微細クラックの直径および深さ状態の異なる配列を16種類作製し、これらの配列ごとに微細クラックの状態の一例として光の透過度を測定したもので、この結果により、微細クラックの状態により光の透過度が変化し、これらを制御可能であるすることを表す。
図6はガラス内部に、階調画像および文字を表出させたものである。
以下、この発明の実施例として、階調マーキングによる画像描画方法を示す。
本発明の実施例では、パルスレーザを用いて行い、階調マーキングには、加工用レーザ光源にパルス幅30ナノ秒で光波長355ナノメートルのパルスレーザを、光走査にはパソコン制御により縦横それぞれ16ビット四方即ち65536段階の分解能を持つガルバノメータミラーを、集光レンズに焦点距離105mmのレンズを、対象材料として355ナノメートルの光波長に対し透明性を有するホウ酸系ガラスで直径30mmかつ厚さ5mmの丸形基板を用いた。
ガルバノメータミラーとは、任意の一点から他点へレーザ光照射先を移動させるレーザ光走査のためのもので、角度変化が可能な2枚の鏡を有して、XY二次元のレーザ光照射先の光走査やレーザの一定時間の照射などの制御を行う事が出来る装置である。
ガルバノメータミラーを駆動させる制御機器は、ガルバノメータ制御およびパルスレーザ光の光照射に電気的に接続し、この制御機器により、レーザ光の照射先をガルバノメータで指定し、パルスレーザの照射回数をガルバノメータに連動して変動制御させる。
パルスレーザから発射されたレーザ光は、ガルバノメータミラーで反射される際、ガルバノメータミラーの設定角度により、反射先が変更されるので、XY二次元のレーザ光照射先の光走査を行う事が出来る。
ガルバノメータミラーで反射し、光走査の照射先が指定された光を、集光レンズを用いてガラス内部で収束させる。このときの加工に用いたデータについて以下に示す。
加工に用いたデータは、光学的データ取り込み装置で取り込んだ1280×768のカラー画像を原画像とし、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の三色でそれぞれが8ビット255段階の階調を持つ。この原画像より、画像配列を取り出し、256×154の二次元配列で、濃度が白黒4ビット即ち16階調となるように画像の変換処理を行い、加工データ配列を作成する。
画像描画のためには、画像の画素位置および濃度に対応させた二次元配列を加工データとし、レーザ光の照射集光位置ごとにエネルギの異なるレーザ光照射を行い、画像濃淡に対応させて微細クラックを形成し、この微細クラックの状態を利用して光の透過度即ち材料の白濁化を多段階とさせ、対象内部に画像を描画すれば良い。
一般に、パーソナルコンピュータなどの汎用PCでは、画像データは、画像寸法や階調数などの情報を含むヘッダ部と、赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)の光の三原色それぞれに対する二次元の配列データから構成され、配列要素は主に8ビットとして0から255までの階調を持つデータである。
ここで、dsを濃度、iを画素横方向の位置、jを縦方向の位置として、赤、緑、青それぞれの二次元の配列データから白黒画像としての二次元配列データds[i][j]を作成し、この配列におけるパルス照射回数の値を、微細クラックの状態が可変可能な範囲内とし、レーザ加工に適した階調(例えば、4ビットで1から16までの16段階程度)でマーキングすることで、透明材料の内部に写真など画像の表出が可能になる。
つまり、加工用データとして、二次元配列の画像データds[i][j]を扱い、画像における画素の二次元的な位置である[i]と[j]に対応させてレーザ光の照射先を指定し、かつ、画像の濃度dsに対応させたレーザ光出力、レーザ光照射1回あたりの時間、レーザ光照射回数による加工条件を設定し、当該場所に発生する微細クラックの直径または深さを含む状態を利用した不透明度の階調を付与する。
加工に用いるレーザ光の出力としてパルスエネルギを140マイクロジュールとして、パルス照射回数を画像の濃度即ち加工データ配列の16階調に対応させて1ないし16とすると、微細クラックを形成する為の、レーザ光照射エネルギは、140から2240マイクロジュールの中から段階的に選択される事となる。
この様なパルスエネルギの段階を用いた場合、照射パルス数が1回では微細クラックの直径は約11ミクロンであり、照射パルス数が15回の場合の微細クラックの直径は約80ミクロンであり、16段階の濃度と対応させる為に十分な分解能を持つ。
図4は文字を画像としてガラスの中に描画したものであり、前記パルスレーザ、ガルバノメータミラー、制御機器、ならびに対象物を用い、レーザ光の投影可能面積を75ミリ四方とし、この領域の一部を用いてガラス内部の文字画像描画を行った。
実施例として、直径30mmかつ厚さ5mmのガラス内部に、縦横それぞれ約22mm×16mmのマーキング領域で、この領域に写真画像を形成したものを図6に示す。この実施例では、二次元的な配列ではあるが、画像の濃淡を利用する事により擬似的に三次元の、すなわち奥行きの表現までが出来る写真画像の描画が可能となっている。また、この実施例では、画像の下部に文字の表出を行っている。
以上の様な方法により、レーザ波長に対し透明性を有する材料に出力、照射時間、ならびに照射回数を変動制御したレーザ光を走査させる事により、三次元で奥行きを表現した階調的な画像を有する事を特徴とする透明体を製作する事が出来る。即ち、ガラスなどの透明材料の内部に、写真画像を描画する事が出来る。
これら書き込んだ情報は、透明材料の内部に微細クラックとして形成されているので、後の改ざんが不可能な階調マーキングとなっている。
この実施例によれば、ガラスに描画する画像画素の位置および濃度に、レーザ光の照射先の位置、およびレーザ光照射回数条件を対応させ、微細クラック状態を変化させて材料の不透明度を多段階化させ、従来は出来なかった薄いガラス内に階調を持つ三次元物の画像の表出が出来ている。
この実施例では、レーザ加工条件としてレーザ光照射回数を変化させて微細クラックの状態を変動制御したが、他の実施形態として、レーザ光出力あるいはレーザ光照射1回あたりの時間を変動させて、微細クラックの状態を変動制御する方法でも良い。また、対象材料を可視光線に対して透明性を有するガラス材料としたが、レーザ光を用いて読み取りを行うのであれば、レーザ光に対して透明性を有する材料を対象としても良い。
本発明の産業上の利用可能性としては、例えば、眼鏡用レンズの表面へのマーキングにおいて、階調で見えやすさを制御できる事から、企業マークなどデザイン的なものを見えやすいマークとし、シリアルナンバなどのユーザ区別情報は最小レーザエネルギによる隠しマークとし、模倣防止や企業の個別情報の書き込みなどへの利用が考えられる。
その他、マーキングする階調を利用して多値の情報書き込みなどにも応用が可能である。例えば、微細クラックの状態を2段階とすると、一つの微細クラックには1ビットとして2つの情報を書き込む事が出来る。
1つの微細クラックの階調を0から15までの16段階とすれば、4ビットの情報を書き込む事が出来、これらの微細クラックを8つの要素からなる一次元の配列として形成すると、8つの微細クラック列で2000以上の情報を書き込む事が出来る。
さらに、これらの微細クラック列を二次元に配列させると、書き込める情報はべき乗則に則り、数万、数十万と記録できる多値情報量は、飛躍的に増加させることが出来る。このように、微細クラックの状態を階調利用での多段階にすることや、行列を二次元に拡張する事で、透明材料内部の微細領域に多値の情報を書き込む事が出来る。
図1は本発明の一実施例に係る階調マーキング方法の説明図である。 図2は階調を形成するための、微細クラックの横および縦方向の寸法状態制御の説明図である。 図3はレーザエネルギを変化させるためにレーザ光照射回数を用い、微細クラックの直径を変化させることを表した模式図である。 図4は微細クラックを配列させることで、微細クラックの配列を画像や文字として認識が可能であることを示す図で、階調マーキングにより「福井県」の文字を製作した例である。 図5はガラス内部にマークした微細クラックの状態により、光の透過度を変化させる事が可能と示す図である。 図6は実施例として、ガラス内部に写真を描画した例である。 図7は従来のレーザ内部マーキング方法を表す図である。
符号の説明
1 階調マーキング対象物
2 集光レンズ
3 レーザ光
4 従来の方式による内部マーキング対象物
P 微細クラックを形成させる領域
LP1 1個目のパルス光
LP2 2個目のパルス光
LPn n個目のパルス光
DL レーザ光の直径
1a レーザ入射側の対象材料表面
Z1 レーザ光入射側表面から加工領域Pまでの距離
C 微細クラック
D1 レーザ照射回数1で形成される微細クラックの直径
(LP1により形成される微細クラックの直径)
D2 レーザ照射回数2で形成される微細クラックの直径
(LP1とLP2により形成される微細クラックの直径)
Dn レーザ照射回数Nで形成される微細クラックの直径
(LP1からLPnにより形成される微細クラックの直径)
L1 1パルスショットで形成される微細クラックの長さ
(LP1により形成される微細クラックの長さ)
L2 2パルスショットで形成される微細クラックの長さ
(LP1とLP2により形成される微細クラックの長さ)
Ln nパルスショットで形成される微細クラックの長さ
(LP1からLPnにより形成される微細クラックの長さ)
D 微細クラックの直径
Shot1 レーザ照射回数1
Shot2 レーザ照射回数2
Shot3 レーザ照射回数3
Shot4 レーザ照射回数4
Shot5 レーザ照射回数5
Shot6 レーザ照射回数6
Shot7 レーザ照射回数7
Shot8 レーザ照射回数8
Shot9 レーザ照射回数9
Shot10 レーザ照射回数10
Shot11 レーザ照射回数11
Shot12 レーザ照射回数12
Shot13 レーザ照射回数13
Shot14 レーザ照射回数14
Shot15 レーザ照射回数15
Shot16 レーザ照射回数16




Claims (2)

  1. レーザ波長に対し透明性を有する材料にレーザ光を走査させてマーキングする方法において、その材料内部に微細クラックを発生させる際、同一箇所に対し、照射するレーザ光の出力およびレーザ光照射1回あたりの時間を一定とし、レーザ光照射回数を変動制御する事で、微細クラックの縦横あるいは直径及び深さ寸法を変化させ、不透明化の段階を発生させる事を特徴とする階調レーザマーキング方法。
  2. 加工に用いるレーザ光がパルスレーザである事を特徴とする請求項1記載の階調レーザマーキング方法。

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