本発明は、レンズ交換可能な撮像装置本体に装着されて、立体視可能な視差画像を撮影させる立体撮像レンズ装置に関するものである。
いわゆるフィールドシーケンシャル方式の立体視撮影を行わせる立体撮像装置では、左右の対物光学系と、これら対物光学系に設けられた液晶シャッタ等のシャッタとを有している。そして、両シャッタの透過と非透過を交互に切り換えることによって左右の視差像を交互に撮像素子に撮像させる。こうして撮像された視差画像は、特殊な観察装置を用いることにより、観察者に立体画像として観察させることができる。
図8には、フィールドシーケンシャル方式の立体撮像装置の構成を示している。この図において、801は焦点調節を行うフォーカスレンズであり、フォーカス駆動部816により駆動される。802は変倍動作を行うズームレンズであり、ズーム駆動部817により駆動される。803は温度ピント補正やフランジバック調節のための補正レンズであり、補正駆動部818により駆動される。
804,805は左右の対物ミラーであり、左右の光軸の向き(輻輳)を調節するよう回動可能となっている。806,807は左右の第1群レンズであり、808,809は左右のシャッタである。シャッタ808,809はシャッタ駆動回路820により駆動され、適切な周期で交互に開閉動作(液晶シャッタにおいては透過状態・非透過状態)を繰り返す。
810はプリズムであり、左右の対物ミラー804,805からそれぞれ第1群レンズ806,807およびシャッタ808,809を介して入射する光束の光軸を合成する。これにより、左右の対物ミラー804,805から入射する光束は、共通する撮像面上に交互に結像する。
811は絞り調節を行うためのIRISであり、IRIS駆動部815により駆動される。812は第2群レンズである。
813,814はエンコーダであり、それぞれフォーカスレンズ801およびズームレンズ802の位置を検出する。
819は測距部であり、被写体までの距離を検出する。この検出信号は後述するマイクロコンピュータ828に送られ、マイクロコンピュータ828は被写体距離に応じて対物ミラー804,805を回動させて輻輳を調節する。
821は撮像面に配置されたCCDなどの撮像素子であり、CCD駆動回路822により駆動される。823は増幅器であり、撮像素子821の出力である撮像信号の増幅を行う。
824は信号処理部であり、ホワイトバランス、AF、AE等のための信号処理や映像信号の生成を行う。828はマイクロコンピュータであり、上記シャッタ808,809や駆動回路や信号処理部824等の装置全体の制御を司る。
この立体撮影装置は、専ら立体撮影を行う目的のためだけに作られており、立体撮影に特化した信号処理系と装置制御系(マイコン828)により撮影をすることで、立体画像を撮影することができる構成になっている。
ところで、最近では、図8中における左右の対物ミラー804から補正レンズ803までの撮影光学系を有した立体(3D)撮影レンズであって、一般的な2D撮影を行うカメラに装着可能なものが提案されている。
しかしながら、3D撮影レンズや2D撮影を行うカメラに装着した場合、種々の不都合が生じる。
例えば、カメラには、いわゆるスローシャッタモード(撮像素子の電荷蓄積時間を、例えばNTSC方式で規定された60分の1秒より遅い30分の1秒や15分の1秒とするモード)の選択が可能なものがある。このようなカメラに3D撮影レンズを装着して使用する場合において、スローシャッタモードが選択されていると、左右の視差画像が分離されずに混ざり合った画像として撮像されてしまい、適正な立体画像が得られないという問題がある。
また、左右の対物光学系により撮像素子上に形成される像には、左右の対物光学系の光学的な誤差(例えば、左右のシャッタの僅かな色の違い)による色の差や視差による像のずれがある。このために、これら左右の対物光学系により形成される像の撮像信号に基づいてホワイトバランスの設定制御を行う場合、2D撮影時と同様の方法では白抽出を適正に行うことができない可能性がある。
本願第1の発明は、撮像手段で撮像された撮像信号のうち所定の抽出範囲からの撮像信号を用いてホワイトバランスを設定する機能を備えた撮像装置本体に通信可能に装着され、左右の対物光学系と、これら左右の対物光学系を通じて形成される左右の視差を有する像を前記撮像手段に交互に撮像させる制御手段とを有する立体撮像レンズ装置であって、前記制御手段は、前記撮像装置本体に対し、2D撮像か立体撮像かの選択に応じて、前記撮像装置本体にホワイトバランスの抽出範囲を変更させる信号を送信することを特徴とする。
また、本願第2の発明は、撮像手段で撮像された撮像信号のうち所定の抽出範囲からの撮像信号を用いてホワイトバランスを設定する機能を備えた立体撮像装置本体であって、左右の対物光学系と、これら左右の対物光学系を通じて形成される左右の視差を有する像を前記撮像手段に交互に撮像させる制御手段とを有する立体撮像レンズ装置と通信可能に接続され、前記制御手段から送信された信号であって、2D撮像か立体撮像かの選択に応じたホワイトバランスの抽出範囲の変更に関する信号を受けて、該抽出範囲を変更することを特徴とする。
本願第1の発明によれば、この立体撮像レンズ装置を装着した撮像装置本体に、左右の視差画像の色の差や画像のずれを加味したホワイトバランスの設定許容範囲の設定を行わせることができる。このため、常に適正なホワイトバランス設定がなされた立体画像を得ることが可能となる。本願第2の発明においても同様である。
以下、本発明の実施例について説明する。
(参考実施例)
図1には、本発明の参考実施例であるの立体撮影システムの構成を示している。この立体撮影システムは、立体(3D)撮影レンズユニット127と、このレンズユニット127の着脱が可能なビデオカメラ本体とから構成されている。
レンズユニット127とビデオカメラ本体128は、所定フォーマットで規格化された不図示のマウントの機械的結合および不図示の接点ブロックの電気的接触によって、着脱および相互通信可能な交換レンズシステムを構成している。
レンズユニット127の接点ブロックとカメラ本体128の接点ブロックは、レンズマウントをカメラマウントに装着させることによって互いに接触する。これにより、レンズマイクロコンピュータ(以下、レンズコンという)126とカメラマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコンという)141は所定のデータ通信を所定のフォーマットにしたがって行うことができる。また、カメラ本体128からレンズユニット127への電力供給も、接点ブロックを介して行われる。
レンズユニット127の対物光学系は左右2つ設けられている。これら左右の対物光学系に入射した被写体からの光は、対物ミラー104,105で反射されて第1群レンズ106,107を通過する。そして、各々の対物光学系内に配置された液晶シャッタ108,109の交互の開閉(透過・非透過)動作によって交互にプリズム110に到達する。
なお、対物ミラー104,105は、測距部119により検出された被写体までの距離に応じて、レンズマイコン126によりモータによる駆動制御がなされる。これにより、被写体距離に応じて輻輳が調節される。また、測距部119により検出された被写体までの距離に応じて、レンズマイコン126によりモータによるフォーカスレンズ駆動制御がなされ、被写体距離に応じてフォーカスが調節される。
プリズム110に到達した左右の光束は、プリズム110で反射されて共通の光軸を有することになる。そして、IRIS111で光量調整された後、第2群レンズ112と、フォーカスレンズ101と、ズームレンズ102と、補正レンズ103を通ってCCD等の撮像素子129上で結像する。ここで、第2群レンズ112は固定されており、フォーカスレンズ101はフォーカシングを行う第3群レンズである。また、ズームレンズ102は、変倍を行う第4群レンズであり、補正レンズ103は温度ピント補正やフランジバック調節のための補正を行う第5群レンズである。撮像素子129は、この光学像を光電変換し、赤、緑、青の各色成分に応じた撮像信号を出力する。
撮像素子129から出力された各色成分の撮像信号は、増幅器130でそれぞれ最適なレベルに増幅され、信号処理部131に入力される。信号処理部131では、入力された撮像信号を標準カラーテレビジョン信号に変換する。また、撮像信号は、信号処理部131内に設けられたAWB(Auto white balance)信号処理部132、AF(Auto focus) 信号処理部133およびAE(Auto exposure )信号処理部134に入力される。
AWB信号処理部132では、入力された撮像信号から色差信号SAWBを生成する。この色差信号SAWBは、システムを統括して制御するカメラマイコン141内のAWB/露出制御部138に供給される。このAWB/露出制御部138では、色差信号SAWBを零にするように増幅器130を制御し、ホワイトバランスの設定制御を行うとともに、その制御情報をレンズマイコン126に送る。
また、AE信号処理部134では、入力された撮像信号から測光信号SAEを生成する。この測光信号SAEは、AWB/露出制御部138に送られ、露出制御に使われる。また、撮影画面内の一部の領域だけを重点的に測光する測光領域制御の命令がAE信号処理部134に送られる。
AWB/露出制御部138は露出制御も行っており、測光信号の露出状態が所望の状態になるように、CCD駆動回路135を駆動して撮像素子129の電荷蓄積時間や増幅器130のゲインを制御する。また、AWB/露出制御部138は、絞り駆動命令をレンズマイコン126のIRIS制御部123に送る。IRIS駆動部115は、絞り駆動命令に応じてIRIS111を開閉制御する。なお、IRIS111は、このIRIS111を通過する光量とIRIS111の実際の動きとを検出してIRIS111をフィードバックループ制御する。
IRIS111のフィードバックループ制御は、IRIS駆動部115がカメラ本体128から送られた絞り駆動命令に応じて不図示のIGメータを駆動し、駆動した絞り状態を不図示のエンコーダで検出する。そして、そのエンコーダ出力信号をカメラマイコン141内のAWB/露出制御部138へ転送することで行う。
さらに、AWB/露出制御部138は、低照度被写体を撮影する際等に用いられるスローシャッタ機能も制御する。すなわち、AWB/露出制御部138は、カメラ本体128に設けられたスローシャッタSWユニット142で選択されたスローシャッタ速度に応じて、CCD駆動回路135を制御する。そして、撮像素子129の電荷蓄積時間を通常(NTSC方式やPAL方式といったカラーテレビジョン方式で規定された電荷蓄積時間〈電子シャッタ速度〉)よりも長くなるように変更する。それに読み出し周期を合わせて間欠的に撮像信号を取り出す。なお、電子シャッタでは電荷蓄積時間は変化するが、読み出し周期は一定である。
読み出された間欠撮像信号は、信号処理部131を通して映像情報としてフィールドメモリ136に取り込まれる。そして、AWB/露出制御部138はメモリコントローラ&補間回路137を制御して、フィールドメモリ136にメモリされた映像情報を信号処理部131に引き渡し、読み出し周期間の欠落したフィールドの映像情報を補う。
AWB/露出制御部138は、上記の露出制御およびスローシャッタ制御を行う。一方、露出情報としての電子シャッタ情報、AGC等の増幅率情報、絞り制御情報、選択されたプログラムモード情報およびスローシャッタ時の読み出し周期情報をレンズマイコン126に送信する。
3D撮影時の自動焦点調節を行う場合、レンズマイコン126は、レンズユニット127に設けられた測距部119からの信号を用いて、三角測距法により被写体までの距離を測定する。そして、レンズマイコン126内のAF/ズーム制御部122は、カメラ本体128側のAF信号処理部133から送られてきたデータに基づいて制御信号をフォーカス駆動部116に出力し、フォーカスレンズ101を駆動させる。フォーカスレンズ101の位置情報は不図示のエンコーダによって検出が可能であり、被写体に合焦する位置にフォーカスレンズを駆動する。この一連のフィードバックループ制御を行うことで適切なAF動作を行うことができる。
また、カメラマイコン141は、カメラ本体128に設けられたズームSWユニット124からのテレ/ワイドデータに基づいてズーム制御部139で計算された制御データをレンズマイコン126に送信する。レンズマイコン126内のAF/ズーム制御部122は、カメラマイコン141からの制御データに基づいてズームレンズ102をズームSWユニット124におけるテレ又はワイドの押されている方向に駆動するよう、ズーム駆動部117に制御信号を送る。そして、ズームレンズ102を駆動させる。これにより、変倍動作が行われる。ズームレンズ102の位置は不図示のエンコーダにより検出可能であり、フィードバック駆動も行うことができる。
また、カメラマイコン141からは垂直同期信号が出力され、レンズユニット127に設けられた同期分離回路121に入力される。同期分離回路121は、入力された垂直同期信号を分離して所望のトリガー信号を生成し、シャッタ駆動回路120に送る。
このトリガー信号とレンズマイコン126で生成された左右識別信号はシャッタ駆動回路120に入力される。シャッタ駆動回路120は、2つのシャッタ108,109のうち一方を開動作させ、他方を閉動作させるよう制御する。これにより、左右の対物光学系により形成される像が交互に撮像素子129上に結像し、撮像素子129によって左右の視差画像が交互に撮像される。すなわち、フィールドシーケンシャル方式での立体撮影が行われる。
また、シャッタ108,109のどちらかが閉じた状態で撮影を行うことで2D撮影を行うことができ、容易に2D/3Dの切り変えを行うことができる。
なお、本実施例では、カメラマイコン141が垂直同期信号を出力しているが、信号処理部131から出力された映像信号を垂直同期信号とすることも可能である。
レンズマイコン126の通信処理部125とカメラマイコン141の通信処理部140とは、撮像フィールド毎(NTSCフォーマットでは1秒間に60回、PALフォーマットでは1秒間に50回)に通信を行っている。このときのレンズユニット127およびカメラ本体128におけるスローシャッタ禁止動作について図2のフローチャートを用いて説明する。
カメラ本体128の電源が投入され、レンズユニット127にも電源が供給されると、図2のステップ(図ではSと略す)201から本シーケンスが開始される。まず、ステップ202では、レンズマイコン126はSS_PERMISSION_FLAGのFALSEデータをカメラマイコン141に送信する。このデータは、撮像フィールド毎に送られる。このデータは、スローシャッタを有効にするか無効にするかの2値データであり、FALSEの場合はスローシャッタを禁止するデータである。
次に、ステップ203で、カメラマイコン141はスローシャッタSW(SS_SW)ユニット142がオン操作されたか否かを判別する。SS_SWがオンされたときは、ステップ205の処理に移る。また、SS_SWがオフの場合はステップ204の処理へ移る。
ステップ205では、カメラマイコン141は、レンズマイコン126から送られてきたSS_PERMISSION_FLAGの値を判断して、FALSEの場合はS204の処理へ移る。
ステップ204では、スローシャッタ禁止撮影モードになる。そして、撮像素子129の電荷蓄積時間が通常(NTSCフォーマットでは1/60秒〈シャッタ速度としてはS1/60〉、PALフォーマットでは1/50秒〈シャッタ速度としてはS1/50〉)又は通常よりも短時間(高速シャッタ速度で)の撮影を行う。そして、ステップ201の処理に戻る。
また、ステップ205においてSS_PERMISSION_FLAGがTRUEのときは、ステップ206のスローシャッタ撮影モードになる。そして、撮像素子129の電荷蓄積時間が通常よりも長い(低速シャッタ速度)の撮影を行う。
ここで、カメラ本体128に3D撮影レンズユニット127が接続されている場合は、SS_PERMISSION_FLAGは常にFALSEであるため、ステップ204で必ずスローシャッタ禁止撮影モードが設定される。
また、ステップ206の処理は、本実施例の3D撮影レンズユニットではなく、2D撮影レンズユニットが装着されている場合に行われる。2D撮影レンズが装着された場合、常にSS_PERMISSION_FLAGはTRUEに設定されるため、スローシャッタSWユニット142の操作によりスローシャッタ撮影モードを設定することができる。
ここで、スローシャッタSWユニット142は、操作されるごとに撮像素子129の電荷蓄積時間を可変設定する。例えば、スローシャッタ時の電荷蓄積間隔は、NTSCフォーマットでは、S1/8(1秒間に8コマ分、つまり通常の7.5倍の蓄積時間),S1/15,S1/30と変更可能である。また、PALフォーマットでは、スローシャッタは、S1/6(1秒間に6コマ分、つまり通常の10倍の蓄積時間),S1/12,S1/25と変更可能である。
これらの電子シャッタ速度の選択がスローシャッタ禁止撮影モードでは禁止される。つまり、スローシャッタ禁止撮影モードでは、カメラ本体128側のスローシャッタSWユニット142を操作してもこれらの電子シャッタ速度を設定することができなくなる。
但し、スローシャッタとは逆に撮像素子129の電荷蓄積時間を短くする高速電子シャッタなどの効果は、3D撮影においては1フィールド(NTSCフォーマットでは1秒間に60コマ、PALフォーマットでは1秒間に50コマ)以上にまたがらない。このため、左右の視差画像が混ざって写り込む現象であるクロストークは発生しない。したがって、このような高速シャッタ速度の設定はスローシャッタ禁止撮影モードでも禁止する必要はない。
この高速シャッタ速度は、NTSCフォーマットでは、S1/100(1秒間に100コマ分、つまり通常の5分の3の蓄積時間),S1/250,S1/500,S1/1000,S1/2000,S1/4000,S1/8000,S1/1500の選択が可能である。PALフォーマットでは、S1/120(1秒間に120コマ分、つまり通常の2分の1の蓄積時間),S1/250,S1/500,S1/1000,S1/2000,S1/4000,S1/8000の選択が可能である。
図3には、本発明の実施例1であるの立体撮影システムの構成を示している。この立体撮影システムは、立体(3D)撮影レンズユニット327と、このレンズユニット327の着脱が可能なビデオカメラ本体とから構成されている。
レンズユニット327とビデオカメラ本体328は、所定フォーマットで規格化された不図示のマウントの機械的結合および不図示の接点ブロックの電気的接触によって、着脱および相互通信可能な交換レンズシステムを構成している。
レンズユニット327の接点ブロックとカメラ本体328の接点ブロックは、レンズマウントをカメラマウントに装着させることによって互いに接触する。これにより、レンズマイクロコンピュータ(以下、レンズマイコンという)326とカメラマイクロコンピュータ(以下、カメラマイコン)341は所定のデータ通信を所定のフォーマットにしたがって行うことができる。また、カメラ本体328からレンズユニット327への電力供給も、接点ブロックを介して行われる。
レンズユニット327の対物光学系は左右2つ設けられている。これら左右の対物光学系に入射した被写体からの光は、対物ミラー304,305で反射されて第1群レンズ306,307を通過する。そして、各々の対物光学系内に配置された液晶シャッタ308,309の交互の開閉(透過・非透過)動作によって交互にプリズム310に到達する。
なお、対物ミラー304,305は、測距部319により検出された被写体までの距離に応じて、レンズマイコン326によりモータによる駆動制御がなされる。これにより、被写体距離に応じて輻輳が調節される。
また、測距部319により検出された被写体までの距離に応じて、レンズマイコン326によりモータによるフォーカスレンズ駆動制御がなされ、被写体距離に応じてフォーカスが調節される。
また、プリズム310に到達した左右の光束は、プリズム310で反射されて共通の光軸を有することになる。そして、IRIS311で光量調整された後、第2群レンズ312と、フォーカスレンズ301と、ズームレンズ302と、補正レンズ303を通ってCCD等の撮像素子329上で結像する。ここで、第2群レンズ312は固定されており、フォーカスレンズ301はフォーカシングを行う第3群レンズである。また、ズームレンズ302は変倍を行う第4群レンズであり、補正レンズ303は温度ピント補正やフランジバック調節のための補正を行う第5群レンズである。撮像素子329は、この光学像を光電変換し、赤、緑、青の各色成分に応じた撮像信号を出力する。
撮像素子329から出力された各色成分の撮像信号は、増幅器330でそれぞれ最適なレベルに増幅され、信号処理部331に入力される。信号処理部331では、入力された撮像信号を標準カラーテレビジョン信号に変換する。また、撮像信号は、信号処理部331内に設けられたAWB(Auto white balance)信号処理部332、AF(Auto focus) 信号処理部333およびAE(Auto exposure )信号処理部334に入力される。
AWB信号処理部332では、入力された撮像信号から色差信号SAWBを生成する。この色差信号SAWBは、システムを統括して制御するカメラマイコン341内のAWB/露出制御部338に供給される。このAWB/露出制御部338では、色差信号SAWBを零にするように増幅器330を制御し、ホワイトバランスの設定制御を行うとともに、その制御情報をレンズマイコン326に送る。
また、AE信号処理部334では、入力された撮像信号から測光信号SAEを生成する。この測光信号SAEは、AWB/露出制御部338に送られ、露出制御に使われる。また、撮影画面内の一部の領域だけを重点的に測光する測光領域制御の命令がAE信号処理部334に送られる。
AWB/露出制御部338は露出制御も行っており、測光信号の露出状態が所望の状態になるように、CCD駆動回路335を駆動して撮像素子329の電荷蓄積時間や増幅器330のゲインを制御する。また、AWB/露出制御部338は、絞り駆動命令をレンズマイコン326のIRIS制御部323に送る。IRIS駆動部315は、絞り駆動命令に応じてIRIS311を開閉制御する。なお、IRIS311は、このIRIS311を通過する光量とIRIS311の実際の動きとを検出してIRIS311をフィードバックループ制御する。
IRIS311のフィードバックループ制御は、IRIS駆動部315がカメラ本体328から送られた絞り駆動命令に応じてIGメータを駆動し、駆動した絞り状態をエンコーダで検出する。そのエンコーダ出力信号をカメラマイコン341内のAWB/露出制御部338へ転送することで行う。
さらに、AWB/露出制御部338は、低照度被写体を撮影する際等に用いられるスローシャッタ機能も制御する。すなわち、AWB/露出制御部338は、カメラ本体328に設けられたスローシャッタSWユニット342で選択されたスローシャッタ速度に応じて、CCD駆動回路335を制御する。そして、撮像素子329の電荷蓄積時間を通常(NTSC方式やPAL方式といったカラーテレビジョン方式で規定された電荷蓄積時間〈電子シャッタ速度〉)よりも長くなるように変更し、それに読み出し周期を合わせて間欠的に撮像信号を取り出す。なお、電子シャッタでは電荷蓄積時間は変化するが、読み出し周期は一定である。
読み出された間欠撮像信号は、信号処理部331を通して映像情報としてフィールドメモリ336に取り込まれる。そして、AWB/露出制御部338はメモリコントローラ&補間回路337を制御して、フィールドメモリ336にメモリされた映像情報を信号処理部331に引き渡し、読み出し周期間の欠落したフィールドの映像情報を補う。
AWB/露出制御部338は、上記の露出制御およびスローシャッタ制御を行う。一方、露出情報としての電子シャッタ情報、AGC等の増幅率情報、絞り制御情報、選択されたプログラムモード情報およびスローシャッタ時の読み出し周期情報をレンズマイコン326に送信する。
3D撮影時の自動焦点調節を行う場合、レンズマイコン326は、レンズユニット327に設けられた測距部319からの信号を用いて、三角測距法により被写体までの距離を測定する。そして、レンズマイコン326内のAF/ズーム制御部322は、カメラ本体328側のAF信号処理部333から送られてきたデータに基づいて制御信号をフォーカス駆動部316に出力し、フォーカスレンズ301を駆動させる。フォーカスレンズ301の位置情報はエンコーダ313によって検出が可能であり、被写体に合焦する位置にフォーカスレンズを駆動する。この一連のフィードバックループ制御を行うことで適切なAF動作を行うことができる。
また、カメラマイコン341は、カメラ本体328に設けられたズームSWユニット323からのテレ/ワイドデータに基づいてズーム制御部339で計算された制御データをレンズマイコン326に送信する。レンズマイコン326内のAF/ズーム制御部322は、カメラマイコン341からの制御データに基づいてズームレンズ302をズームSWユニット324におけるテレ又はワイドの押されている方向に駆動するよう、ズーム駆動部317に制御信号を送る。そして、ズームレンズ302を駆動させる。これにより、変倍動作が行われる。ズームレンズ302の位置はエンコーダ314により検出可能であり、フィードバック駆動も行うことができる。
また、カメラマイコン341からは垂直同期信号が出力され、レンズユニット327に設けられた同期分離回路321に入力される。同期分離回路321は、入力された垂直同期信号を分離して所望のトリガー信号を生成し、シャッタ駆動回路320に送る。
このトリガー信号とレンズマイコン326で生成された左右識別信号はシャッタ駆動回路320に入力される。シャッタ駆動回路320は、2つのシャッタ308,309のうち一方を開動作させ、他方を閉動作させるよう制御する。これにより、左右の対物光学系により形成される像が交互に撮像素子329上に結像し、撮像素子329によって左右の視差画像が交互に撮像される。すなわち、フィールドシーケンシャル方式での立体撮影が行われる。
また、シャッタ308,309のどちらかが閉じた状態で撮影を行うことで2D撮影を行うことができ、容易に2D/3Dの切り変えを行うことができる。
なお、本実施例では、カメラマイコン341が垂直同期信号を出力しているが、信号処理部331から出力された映像信号を垂直同期信号とすることも可能である。
レンズマイコン326の通信処理部324とカメラマイコン341の通信処理部340とは、撮像フィールド毎(NTSCフォーマットでは1秒間に60回、PALフォーマットでは1秒間に50回)に通信を行っている。このときのレンズユニット327およびカメラ本体328におけるホワイトバランス制御について図4のフローチャートを用いて説明する。
カメラ本体328の電源が投入され、レンズユニット327にも電源が供給されると、本シーケンスが開始される。まず、ステップ(図ではSと略す)401では、カメラマイコン341はホワイトバランス制御に必要なデータの初期化を行い、RWB制御データ,BWB制御データを出力する。
続いて、カメラマイコン341は、ステップ402において、ホワイトバランス制御を時間的に管理するための制御タイマのリセット/スタートを行う。この制御タイマは所定時間をカウントすると停止する。
次に、ステップ403で、カメラマイコン341は、画面全体を64分割した画面領域の色データを読み込む。そして、ステップ404では、読み込んだ色データから各分割画面領域が白であるかの判定を行う。
さらに、ステップ405では、64個の分割画面領域の中に白の画面領域があるかどうかを判断する。白の画面領域がなければステップ406に進み、RWB制御データを固定とする。
一方、ステップ405で白の画面領域があった場合はステップ407に進み、白と判定した分割画面領域の色データの平均値を算出する。
次に、ステップ408では、算出した平均値がR−Y、B−Y領域の所定高色温度領域にあるかどうかを判断する。所定高色温度領域にあるときはステップ411に進み、現在のRWB制御データに所定量を加算する。
また、ステップ408で所定高色温度領域になかったときは、ステップ409に進み、ステップ407で算出した平均値が所定低色温度領域にあるかどうか判断する。
平均値が所定低色温度領域にあるときは、ステップ410で現在のRWB制御データから所定量を減算する。ステップ409において、ステップ407で算出した平均値が所定低色温度領域になかったときはステップ406へ進む。
本実施例では、レンズユニット327からの通信により、ホワイトバランスの調整許容範囲の変更要求フラグが立っていた場合には、ステップ408,409での判断に利用する温度領域のしきい値を緩和する。詳細については後述する。
ステップ413では、決定したRWB制御データからBWB制御データを算出する。また、ステップ414では、これらRWB制御データおよびBWB制御データを出力する。
ステップ415では、ステップ414で出力した制御データを格納する。さらに、ステップ416では、ステップ402でカウントをスタートさせた制御タイマがカウントを終了して停止したか否かを判断し、停止していないときは再度判断を繰り返す。そして、制御タイマが停止しているときは、ステップ402に戻る。この制御タイマによってホワイトバランスの制御周期は一定に保たれる。
次に、図5〜図7を用いて本実施例における3D撮影時のホワイトバランスの設定許容範囲の設定について説明する。
図5は、レンズユニット327における通信動作のうち、ホワイトバランスの設定許容範囲の設定に関わるフローチャートを表している。
レンズマイコン326は、レンズユニット327がカメラ本体328に装着されるとすぐに、ステップ501でカメラマイコン341との初期通信を行う。このとき、レンズマイコン326は、カメラマイコン341にレンズバージョン情報や焦点距離、変倍率などの各種データを送信する。
また、カメラ本体428からも、カメラバージョン情報やフランジバック調整値などの各種データが送信され、レンズマイコン326はこれらを受信する。
ステップ502では、レンズマイコン326が、カメラ本体328が3D撮影モードであるか否かの判定を行う。3D撮影モードである場合には、ステップ503に進み、3D撮影用のホワイトバランス抽出範囲(設定許容範囲)に変更が必要か否かを示すWB変更要求フラグを1にセットする。3D撮影モードでない場合には、ステップ304へ進み、WB変更要求フラグを0にセットする。
ステップ505では、レンズマイコン326は、ステップ503,504でセットしたWB変更要求フラグを含む制御通信を行う。この際、レンズマイコン326からは、カメラ本体328へのWB変更要求の他に、IRIS情報やAF測距枠サイズ、現在焦点距離などの各種データが送信される。また、カメラ本体からAF評価値やIRIS制御などの各種データを受信する。
図5はカメラマイコン314の通信動作のうち、本実施例に関わるフローチャートである。カメラ本体328に設けられたマニュアルでのホワイトバランス設定を行うためのWBセットスイッチ344が押されたとき、割込みが発生して処理が開始される。
まず、ステップ601では、レンズマイコン326からの制御通信の受信を確認する。レンズユニット327とカメラ本体328間の通信は垂直同期周期ごとに行われているため、ステップ601で制御通信の受信が完了していない場合は、完了するまで処理を待つ。
制御通信の受信が完了した後で、ステップ602では、レンズマイコン326が様々な制御データの中から3D特有の情報であるWB変更要求フラグをレジスタに格納する。
そして、ステップ603では、ステップ602でレジスタに格納したWB変更要求フラグを確認する。
WB変更要求フラグが1のときは、3D撮影であると判断し、ステップ604で3D撮影用のWB抽出範囲に色温度のしきい値変更を行う。
一方、WB変更要求フラグが0のときは、ステップ605で、通常の2D撮影時のWB抽出範囲を設定する。
そして、ステップ606では、図4で説明したホワイトバランスの設定処理を行い、割込み処理を終了する。
図7には、ホワイトバランス抽出範囲の概略を示している。2D撮影では、従来通りに、図中の点線内の抽出範囲で白抽出が行われる。しかし、3D撮影の場合は、左右の視差画像に対応する撮像信号により2つの色温度から白抽出を行う必要がある。
例えば、抽出範囲が狭いと、片方の撮像信号は抽出範囲に色温度を持つが、他方が抽出範囲から逸脱している場合が生じ、ホワイトバランスを取ることが困難になる。そこで、抽出範囲を図中の太線の範囲まで広げる。つまり、図4のフローチャートのステップ408,409での色温度判定時のしきい値を緩和することでホワイトバランスが取りやすくなるように抽出範囲の変更(拡大)を行う。
このように、ホワイトバランス抽出範囲を変更することで、左右の対物光学系の光学的差による影響や視差による色の違い(画像のずれ)の影響よって、ホワイトバランス制御時に色差信号が発散してしまうことを防ぐ。そして、ホワイトバランスの収束点に収束し易いようにすることができる。
本発明の参考実施例である立体撮影システムの構成を示すブロック図。
上記参考実施例の立体撮影システムにおける動作シーケンスを示すフローチャート。
本発明の実施例1である立体撮影システムの構成を示すブロック図。
上記実施例1の立体撮影システムにおける動作シーケンスを示すフローチャート。
上記実施例1の立体撮影システムにおける動作シーケンスを示すフローチャート。
上記実施例1の立体撮影システムにおける動作シーケンスを示すフローチャート。
上記実施例1の立体撮影システムにおけるホワイトバランス抽出範囲の概念図。
従来の立体撮影装置の構成を示すブロック図。
符号の説明
101,301 フォーカスレンズ
102,302 ズームレンズ
103,303 補正レンズ
104,105,304,305 対物ミラー
106,107,306,307 第1群レンズ
108,109,308,309 シャッタ
110,310 プリズム
111,311 IRIS
112,312 第2群レンズ
115,315 IRIS駆動部
116,316 フォーカス駆動部
117,317 ズーム駆動部
118,318 補正駆動部
119,319 測距部
120,320 シャッタ駆動回路
121,321 同期分離回路
122,322 AF/ズーム制御部
123,323 IRIS制御部
124,343 ズームスイッチユニット
125,324 通信処理部
126,326 レンズマイコン
127,327 レンズユニット
128,328 カメラ本体
129,329 撮像素子
130,330 増幅部
131,331 信号処理部
132,332 AWB信号処理部
133,333 AF信号処理部
134,334 AE信号処理部
135,335 CCD駆動回路
136,336 フィールドメモリ
137,337 メモリコントローラ&補間回路
138,338 AWB/露出制御部
139,339 ズーム制御部
140,340 通信処理部
141,341 カメラマイコン
142 スローシャッタSWユニット
144 ホワイトバランスセットSW
313 フォーカスエンコーダ
314 ズームエンコーダ