JP4143188B2 - 色筋入りガラス製品の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は色筋入りガラス製品の製造方法に関し、特に、溶解炉で溶融された溶融素地ガラスがフォアハースからフィーダを経てゴブとしてガラス製品成形機に供給される過程において、フォアハース又はフィーダ部分のスパウト又はチューブ内において溶融素地ガラスに着色材を混入し、色筋入りのゴブとしてガラス製品成形機に供給するする色筋ガラス製品の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図7に基づいて最も一般的なガラス製品の製造方法を説明する。溶解炉1で溶融された溶融素地ガラスは、フォアハース2、スパウト4、オリフィス5を通ってゴブGに形成される。ゴブGはデリバリ31によりガラス製品成形機32に供給され、ガラス製品として成形される。フォアハース2にはクーリングセクション2aとイコライジングセクション2bとがあり、溶融素地ガラスはこれらのセクションを通る間に冷却又は加熱され、所定の温度に調整される。スパウト4はゴブGを作るのに必要な溶融素地ガラスを溜め、保温する部分で、中央には溶融素地ガラス量を加減するチューブ7が設けられている。チューブの内部には上下動するクレープランジャ8があり、これが下降すると溶融素地ガラスがスパウト4下部のオリフィス5から押し出され、シャー6でカットされてゴブGとなる。
【0003】
色筋入りのガラス製品を製造する場合、通常、フォアハース2で溶融素地ガラスMに着色材を混入し、色筋入りのゴブを形成する。この色筋入りのゴブを成形機で成形すると色筋入りのガラス製品ができる。着色材である固形のカラーフリットは、カラーフリット収納ケース12に収納され、パーツフィーダ13及び秤量器14でその時の必要量を計測された後に、電磁フィーダ15に供給され、フォアハース2の投入口から投入される。スターラ30は溶融素地ガラスとカラーフリットが溶融した溶融カラーフリットとを攪拌するもので、これを作動させると素地ガラスが一様に着色され着色ガラスとなる。色筋入りガラス製品を製造する場合にはスターラ30を停止させ、溶融カラーフリットと溶融素地ガラスとは完全に混ざり合うことなく、溶融色筋ガラスとなってスパウト、オリフィスに至り、色筋入りのゴブが形成される。カラーフリット投入口を複数設け、異なった複数色のカラーフリットを混入することで複数の色筋入りガラス製品を製造することができる。
【0004】
特開昭63−190723号にはスパウト内の溶融素地ガラスに着色材として粉末状のカラーフリットを混入する技術が記載されている。着色材をスパウト内の溶融素地ガラスに混入することで、フォアハース内の溶融素地ガラスに混入する場合と異なった態様の色筋を形成することができる。特に、着色材をスパウトの中心付近で混入すると色筋がゴブの表面ではなく内部に入り、厚みの内部に色筋の入ったガラス製品を製造することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の技術のフォアハースで着色材を混入する場合、固形(粉末を含む)のガラスフリットを溶融素地ガラスに混入する際に泡(混入時の巻き込み泡・溶融素地ガラスに混入されたカラーフリットが溶ける際の反応泡・カラーフリット自体の内部にもともと存在する空気泡)が発生する。これらの泡を消すために、カラーフリットを混入した直後の溶融色筋ガラスをフォアハースにあるバーナで加熱し、その温度を成形機で成形するのに必要な温度より高くし、泡の中の空気を膨張させ弾き飛ばし、その後、成形機で成形するのに必要な温度まで下げている。したがって、着色材の投入口からオリフィスまでの距離が長くないと温度コントロールができず、着色材を混入する位置がスパウトよりもかなり上流側に限定される。ガラス製品に表れる色筋模様の態様は、着色材を混入する位置により大きく左右されるから、この技術で製造できる色筋模様の態様は限定されたものとなり、所望の色筋模様の態様を得ることはできない。
【0006】
特開昭63−190723号のスパウトで着色材を混入する場合、やはり固形(粉末を含む)のガラスフリットを溶融素地ガラスに混入する際に泡(混入時の巻き込み泡・溶融素地ガラスに混入されたカラーフリットが溶ける際の反応泡・カラーフリット自体の内部にもともと存在する空気泡)が発生する。そして、スパウト内ではこの泡を消すのが困難であるから、泡入りの不良品の発生が著しい。泡入りの不良品の発生を減少させるには混入する着色材の量をきわめて少なくしなければならず、やはり製造できる色筋模様の態様は限定されたものとなり、所望の色筋模様の態様を得ることはできない。また、溶融素地ガラスに固形の状態でカラーフリットを混入すると、溶融素地ガラスの中でカラーフリットが溶ける際にガラスの温度が低下する。溶融色筋ガラスは適切な温度に管理しなければならないが、特にスパウト内で固形着色材を混入し温度低下が生じる場合、スパウト内ではガラス温度をコントロールすることはできないから、温度低下を見込んで溶融素地ガラスの温度を予め高めにするのであるが、どの程度高い温度にすればよいのかがなかなか難しく、温度管理が困難であるという問題もある。
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するもので、着色材を混入する位置の制限を受けないようにし、また、スパウト内で着色材を混入する場合でも比較的多量の着色材を混入できるようにすることで、所望の態様の色筋模様を得ることを可能とし、さらに、スパウト内で着色材を混入する場合でも泡の発生を少なくして不良品の発生率を減少させ、溶融色筋ガラスの温度管理も容易となる色筋入りガラス製品の製造方法を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フォアハース又はスパウト内において溶融素地ガラスに着色材が混入され、その着色材を含んだ溶融色筋ガラスがスパウト下部のオリフィスより色筋入りのゴブとしてガラス製品成形機に供給される色筋入りガラス製品の製造方法において、着色材であるカラーフリットを、その投入口の上方に置いた専用溶解炉で溶融して溶融カラーフリットとし、該溶融カラーフリットが溶融素地ガラスに対し傾斜して差し入れられた滑り台状の投入路上を流れて溶融素地ガラスに混入されることを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法である。
【0009】
カラーフリットは、専用溶解炉で予め溶融されるので、フリット内に存在する空気は溶融の際にほとんど消滅する。カラーフリットは溶融した状態の溶融カラーフリットとして溶融素地ガラスに混入されるので、反応泡もほとんど発生せず、後述する適当な方法で混入することで巻き込み泡も防ぐことができる。したがって、このような泡の発生を防ぐことができ、泡が混入した不良品の発生率を著しく減少することができる。また、着色材をフォアハースの任意の位置で混入することができ、スパウト内やチューブ内で混入することもできる。
【0010】
また、カラーフリットは、専用溶解炉で予め溶融されるので、溶融素地ガラスに混入した際の溶融素地ガラスの温度の低下がない。したがって、スパウト内、チューブ内において混入する場合でも溶融色筋ガラスの温度管理が容易である。
【0011】
専用溶解炉の流出口付近で流出する溶融カラーフリットをバーナで加熱することで、流出した溶融カラーフリットが溶融素地ガラスに至る間の温度低下を防ぐことができる。
【0012】
フォアハース又はスパウト内において溶融素地ガラスに溶融カラーフリットを混入する場合、溶融カラーフリットが、溶融素地ガラスに対して傾斜して差し入れられた滑り台状の投入路上を流れて混入するようにすると、溶融カラーフリットは投入路の上を流れて滑らかに溶融素地ガラスの中に入るから、巻き込み泡がほとんど発生しない。
【0013】
チューブ内において溶融素地ガラスに溶融カラーフリットを混入する場合、専用溶解炉の流出口とチューブの間にウォータジャケットを設け、専用溶解炉から流出した溶融カラーフリットがウォータジャケット内を通ってチューブ内に至るようにすることができる。このようにすることで、専用溶解炉とチューブの間に吹く風の影響を受けることなく溶融カラーフリットをチューブ内に投入することができる。また、チューブの上方にあるプランジャホルダなどの内壁に溶融カラーフリットが付着するのを防ぐことができる。ウォータジャケットは内管と外管の間に水を充填した2重管で、溶融カラーフリットは、内管内面に接触しても該部分の温度が低いために弾かれ、内面に付着することなくウォータジャケット内を通過する。
【0014】
チューブ内において溶融カラーフリットを混入する場合、チューブ内に至った溶融カラーフリットにバーナなどで熱風を吹き付けることで、溶融カラーフリットをチューブ内壁に接触させ、チューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入させることができる。溶融カラーフリットはチューブ内壁を伝わって滑らかに混入されるから、巻き込み泡がほとんど発生しない。
【0015】
チューブ内において溶融カラーフリットを混入する場合、チューブ内に至った溶融カラーフリットを、チューブ内壁に突出形成した受部に接触させ、該受部からチューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入させることができる。やはり溶融カラーフリットはチューブ内壁を伝わって滑らかに混入するから、巻き込み泡がほとんど発生しない。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、実施例を表した図面に基づいて本発明を詳細に説明する。図1は本発明の概要を説明するための溶解炉、フォアハース及びフィーダ部分の説明図、図2はフォアハースにおいて着色材を混入する場合の説明図、図3はスパウトにおいて着色材を混入する場合の説明図、図4〜6はチューブ内において着色材を混入する場合の説明図である。
【0017】
図1において、溶解炉1で溶融された溶融素地ガラスMはフォアハース2からフィーダ3部分へと流れ、スパウト4、オリフィス5を通りシャー6でカットされてゴブGに形成される。ゴブGは図示しないデリバリにより図示しないガラス製品成形機に供給され、ガラス製品として成形される。フォアハース2にはクーリングセクション2aとイコライジングセクション2bとがあり、溶融素地ガラスはこれらのセクションを通る間に冷却又は加熱され、所定の温度に調整される。スパウト4はゴブGを作るのに必要な溶融素地ガラス又は溶融色筋ガラスを溜め、保温する部分で、中央には溶融色筋ガラス量を加減するチューブ7が設けられている。チューブ7の内部には上下動するクレープランジャ8があり、これが下降すると溶融色筋ガラスがスパウト下部のオリフィス5から押し出され、シャー6でカットされてゴブGとなる。チューブ7の上方にはチューブメカ9、プランジャホルダ10がある。
【0018】
着色材であるカラーフリットは、フォアハース、スパウト又はチューブ内において溶融素地ガラスに混入される。着色材を混入するための投入口の上方にはカラーフリットを溶融するための専用溶解炉11が設けられる。カラーフリットは、カラーフリット収納ケース12に収納され、パーツフィーダ13及び秤量器14でその時の必要量を計測された後に、電磁フィーダ15により所定量が自動的に専用溶解炉11に供給される。専用溶解炉11の流出口付近にはバーナ16が設けられ、流出する溶融カラーフリットCを加熱する。加熱された溶融カラーフリットCはフォアハース、スパウト又はチューブの投入口から溶融素地ガラスに混入される。このような着色材の投入口を複数設ければ、複数の色筋入りのガラス製品を製造できる。
【0019】
図2はフォアハースにおいて着色材を混入する場合を説明するものである。フォアハースの天井部分に投入口が開口され、その投入口からレンガなどの耐火物でなる滑り台状の投入路17が傾斜して溶融素地ガラスに差し入れられている。専用溶解炉から流出した溶融カラーフリットCはバーナ16で加熱された後投入路17上に落下し、その付近に設けられたバーナ18により加熱されて流動性を増して投入路17上を流れ下り、溶融素地ガラス内に滑らかに混入し、巻き込み泡をほとんど発生させない。
【0020】
図3はスパウトにおいて着色材を混入する場合を説明するものである。スパウト又はスパウトに近接したフォアハースの天井部分に投入口が開口され、その投入口からレンガなどの耐火物でなる滑り台状の投入路17が傾斜して溶融素地ガラスに差し入れられている。専用溶解炉から流出した溶融カラーフリットCはバーナ16で加熱された後投入路17上に落下し、その付近に設けられたバーナ18により加熱されて流動性を増して投入路17上を流れ下り、溶融素地ガラス内に滑らかに混入し、巻き込み泡をほとんど発生させない。
【0021】
図4はチューブ内において着色材を混入する場合を説明するものである。専用溶解炉11は、プランジャホルダ10の微調整移動に対応して移動できる微調整プレート19の上に設置されている。専用溶解炉11とチューブ7の間には2個のウォータジャケット20、21が設けられている。ウォータジャケット20は専用溶解炉11から流出した溶融カラーフリットCが専用溶解炉とチューブの間に吹く風の影響を受けることなくまっすぐに落下できるようにするためのものであり、ウォータジャケット21は溶融カラーフリットCが投入口に該当するプランジャホルダの内壁に接触、付着するのを防ぐためのものである。ウォータジャケットの素材は、その酸化を防ぐために、耐熱性に優れたSUS310、SUS330、白金、インコネルなどを使用する。
【0022】
図5に示すのは、チューブ7内に落下した溶融カラーフリットCを、チューブメカ9とプランジャホルダ10の間から挿入したバーナ22の火炎(熱風)を吹き付けることで溶融カラーフリットCをチューブ7の内壁に接触させ、チューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入させる方法である。溶融カラーフリットCはチューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入し、巻き込み泡をほとんど発生させない。
【0023】
図6に示すのは、チューブ7の内壁に耐火物でなる受部を突出形成しておき、チューブ7内に落下した溶融カラーフリットCが受部23の上に落下し、該受部からチューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入される方法である。溶融カラーフリットCはチューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入し、巻き込み泡をほとんど発生させない。
【0024】
【発明の効果】
本発明の色筋入りガラス製品の製造方法は、着色材のカラーフリットが専用溶解炉で予め溶融された後溶融素地ガラスに混入されるので、反応泡とカラーフリット自体の内部にある泡の発生がほとんどなくなる。また、滑り台状の投入路及びチューブ内を伝わって溶融カラーフリットを溶融素地ガラス内に滑らかに混入させることにより、巻き込み泡をほとんど発生させない。これらのことにより、泡が混入した不良品の発生率を著しく減少させることができ、製造歩留まりが向上する。また、着色材をフォアハースの自由な位置で混入することができ、スパウト、チューブ内において混入する場合でも比較的多量の着色材を混入できるから、多種多様な態様の色筋模様の入ったガラス製品を製造することが可能となる。さらに、着色材を溶融素地ガラスに混入した際の溶融素地ガラスの温度低下がないので、着色材をスパウト、チューブ内において混入する場合でも溶融色筋ガラスの温度管理が容易であり、製造歩留まりが一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概要を説明するための溶解炉、フォアハース及びフィーダ部分の説明図である。
【図2】フォアハースにおいて着色材を混入する場合の説明図である。
【図3】スパウトにおいて着色材を混入する場合の説明図である。
【図4】チューブ内において着色材を混入する場合の説明図である。
【図5】チューブ内において着色材を混入する場合の説明図である。
【図6】チューブ内において着色材を混入する場合の説明図である。
【図7】従来の色筋入りガラス製品製造方法の説明図である。
【符号の説明】
1 溶解炉
2 フォアハース
3 フィーダ
4 スパウト
5 オリフィス
6 シャー
7 チューブ
8 クレープランジャ
9 チューブメカ
10 プランジャホルダ
11 専用溶解炉
12 カラーフリット収納ケース
13 パーツフィーダ
14 秤量器
15 電磁フィーダ
16 バーナ
17 投入路
18 バーナ
19 微調整プレート
20 ウォータジャケット
21 ウォータジャケット
22 バーナ
23 受部
30 スターラ
31 デリバリ
32 ガラス製品成形機
Claims (6)
- フォアハース又はスパウト内において溶融素地ガラスに着色材が混入され、その着色材を含んだ溶融色筋ガラスがスパウト下部のオリフィスより色筋入りのゴブとしてガラス製品成形機に供給される色筋入りガラス製品の製造方法において、着色材であるカラーフリットを、その投入口の上方に置いた専用溶解炉で溶融して溶融カラーフリットとし、該溶融カラーフリットが溶融素地ガラスに対し傾斜して差し入れられた滑り台状の投入路上を流れて溶融素地ガラスに混入されることを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法
- 請求項1の色筋入りガラス製品の製造方法において、前記専用溶解炉から流出した前記溶融カラーフリットが、前記投入路に接する部分でバーナにより加熱されることを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法
- チューブ内において溶融素地ガラスに着色材が混入され、その着色材を含んだ溶融色筋ガラスがスパウト下部のオリフィスより色筋入りのゴブとしてガラス製品成形機に供給される色筋入りガラス製品の製造方法において、着色材であるカラーフリットを、その投入口の上方に置いた専用溶解炉で溶融して溶融カラーフリットとし、前記専用溶解炉の流出口とチューブの間にウォータジャケットを設け、前記専用溶解炉から流出した前記溶融カラーフリットがウォータジャケット内を通ってチューブ内に至るようにすることを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法
- 請求項3の色筋入りガラス製品の製造方法において、チューブ内に至った前記溶融カラーフリットに熱風を吹き付けることで前記溶融カラーフリットがチューブ内壁に接触し、チューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入されるようにしたことを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法
- 請求項3の色筋入りガラス製品の製造方法において、チューブ内に至った前記溶融カラーフリットがチューブ内壁に突出形成された受部に接触し、該受部からチューブ内壁を伝わってチューブ内の溶融素地ガラスに混入されるようにしたことを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法
- 請求項1〜5のいずれかの色筋入りガラス製品の製造方法において、前記専用溶解炉の流出口付近で前記溶融カラーフリットがバーナで加熱されることを特徴とする色筋入りガラス製品の製造方法
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