JP4131572B2 - 燃料高圧供給用のラジアルピストンポンプ - Google Patents
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Description
本発明は、内燃機関の燃料噴射系、特にコモン・レイル式噴射系における燃料高圧供給用のラジアルピストンポンプであって、ポンプケーシング内に支承されていて偏心的に形成されているか又は周方向に複数のカム状の隆起を有する駆動軸と、該駆動軸に対して半径方向でそれぞれシリンダ室内に配置されていて前記駆動軸の回転時に前記シリンダ室内で半径方向に往復動可能な複数のピストンとを備え、各シリンダ室が、駆動軸に対して半径方向外側で、吸込み側の逆止弁と高圧側の逆止弁とを有する弁プレートによって閉鎖されている形式のものに関する。
背景技術:
前記形式のラジアルピストンポンプは、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4401074号明細書に基づいて公知である。逆止弁は、弁プレートの、シリンダ室に面した側で、シリンダ室の拡径区分内に設けられている。その場合、前記弁プレートのシール座に当接可能な、或いは該シール座から離間可能な弁体が、バスケット状又はポット状の構成部材内に収容されており、該構成部材は各ピストンへ向かってシリンダ室内へ延びておりかつ弁プレートに固定されている。
弁体は、ポット状の構成部材の底部に設けられた皿ばねを介して弁プレートの方へ向かって押圧される。
発明の開示:
前記公知のラジアルピストンポンプを出発点とする本発明の課題は、ラジアルピストンポンプの効率を高めることである。
前記課題を解決するための本発明の構成手段は、吸込み側の逆止弁が、弁プレートを貫通するプランジャを有し、該プランジャが、シリンダ室に対面した方の側に、弁プレートのシール座に密着可能な弁皿を有しており、前記弁プレートの、前記シリンダ室とは反対の側には、前記プランジャに閉弁方向で予荷重をかけるプランジャ負荷装置が設けられている点にある。
このように構成すれば、ピストンストロークを制限する無駄空間、つまり吸込み側逆止弁の構造空間が著しく削減される。公知のラジアルピストンポンプではポンプピストンのストロークは、ポット状構成部材の外面によって制限を受けた。しかし今やピストンは圧縮位相中、少なくともほぼ逆止弁の弁皿の外面にまで、要するに逆止弁の弁皿のストローク域内にまで達することができる。それ故に無駄容積は最小限に抑えられ、かつラジアルピストンポンプの効率は、公知のポンプの場合よりも高くなる。
本発明のラジアルピストンポンプの有利な実施形態では、プランジャに閉弁方向で予荷重をかけるプランジャ負荷装置は弁ばねを有し、該弁ばねは一端では、弁プレートの、シリンダ室とは反対の側に、また他端では、プランジャに設けたばね受けに支持されている。
プランジャに閉弁方向で予荷重をかけるプランジャ負荷装置を、弁プレートの、シリンダ室とは反対の側に配置することによって、該プランジャ負荷装置が逆止弁のための所望の開弁圧を供給するように任意の形式で構成できるという利点が得られる。
弁ばねのためのばね受けは、任意の形式で実現することができる。例えば据込み又は切欠によってプランジャに軸方向のストッパを設けることが可能である。有利には、かつ本発明の1変化態様によれば、ばね受けは鍔付きブシュエレメントによって形成されており、該鍔付きブシュエレメントのブシュ区分は、プランジャを同心的に包囲しており、かつ前記鍔付きブシュエレメントの鍔区分に弁ばねが支持されている。この構成手段によって、ばね受けをプランジャに被せ嵌め、かつ所望の部位に固定することが可能になる。
ばね受けの位置決めは任意の形式で行なうことができる。ばね受けは、特に鍔出し加工によってプランジャに係合接続式にプランジャに接合されているのが有利と判った。
逆止弁の開弁圧を設定するために、特定の寸法もしくは特定のばね定数を有する弁ばねを選定することが可能である。しかしラジアルピストンポンプの製造時に開弁圧をフレキシブルに設定できるようにするために、しかもこの目的のために多数の種々異なった弁ばねに頼る必要がないようにするために、逆止弁の所望の開弁圧を生ぜしめるような位置でばね受けをプランジャに位置決めすることが提案される。このためには前記の鍔付きブシュエレメントの形態のばね受けが有利と判った。
しかし又、ばね受けが、プランジャの軸方向ストッパに当接しているディスク状又はプレート状の構成部材、例えばプランジャにスナップ嵌め可能なスリット付き位置固定ディスクなどによって形成されているのが有利と判った。このような場合、プランジャには種々の軸方向位置に軸方向のストッパを設けることが可能である。軸方向のストッパ、もしくは周方向に延びる環状溝を設け、かつ異なった肉厚の複数の位置固定ディスクを用意しておき、かつ開弁圧に対する要求に応じて使用するのが有利と判った。位置固定ディスクの肉厚は容易に確認可能であり、従って逆止弁の組付け時の選択は容易である。
弁プレートの、シリンダ室とは反対の側の空間を最適に活用できるようにするために、弁プレート内に、シリンダ室の長手方向に対してほぼ半径方向の少なくとも1つのポートが設けられており、該半径方向ポートが燃料供給ポートと連通しているのが有利と判った。要するに本発明によれば燃料供給は、駆動軸に対して半径方向外側から行なわれるのではなくて、燃料は、弁プレートの平面内に延びるポートを介して供給される。この半径方向ポートは、弁プレートのプランジャ貫通ポートに有利に開口している。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明のラジアルビストンポンプの断面図である。
図2は図1のII−II線に沿った断面図である。
図3は図1及び図2に示したラジアルピストンポンプに軽度の改変を加えて示した逆止弁を有する弁プレートの断面図である。
図4は吸込み側の逆止弁を有する弁プレートの別の実施形態の断面図である。
発明を実施するための最良の形態:
次に図面に基づいて本発明の実施例を詳説する。
図1及び図2には、内燃機関の燃料噴射系に燃料を高圧供給するためのラジアルピストンポンプが図示されている。ラジアルピストンポンプは、ケーシングを形成するケーシング構成部材2を有し、該構成部材内には、図面から明らかな軸受構成部材を介して、偏心的な軸区分6を有する駆動軸4が回転可能に支承されている。前記の偏心的な軸区分6をめぐって滑りブシュ8が設けられており、該滑りブッシュ内で前記の偏心的な軸区分6が回転する。滑りブシュ8はその円周3に夫々120°互いにずらされた扁平面取り部10を有し、該扁平面取り部に対して各ピストン12が、扁平な当接面14を有する中間加圧片16でもって支持されている。
各ピストン12はシリンダ室18内で、駆動軸4に対して半径方向に往復動可能に支承されている。シリンダ室18は、ケーシング構成部材2内へ駆動軸4に対して半径方向に挿嵌された軸受構成部材20によって形成され、このために該軸受構成部材20は貫通ポート22を有している。
駆動軸4に対して貫通ポート22の半径方向外端部は、図3に詳細に図示した弁プレート24によって閉鎖されており、該弁プレートは、軸受構成部材20の半径方向外面に扁平に当接している。弁プレート24内には、総体的に符号26で示した吸込み側の逆止弁と、高圧側の逆止弁28とが組込まれている。吸込み側の逆止弁26はプランジャ30を有し、該プランジャは、シリンダ室18に面した方の端部に弁皿32を有し、かつ弁プレート24内の貫通ポート34を通って延びている。前記弁皿32は、弁プレート24の、シリンダ室18に面した側に設けたシール座36に当接して封止可能である。弁プレート24の反対側には、総体的に符号38で示したプランジャ30に閉弁方向で予荷重をかけるプランジャ負荷装置が設けられている。プランジャ負荷装置38は弁ばね40を有し、該弁ばねはプランジャ30を同心的に包囲し、かつ該弁ばねの一端は弁プレート24内の凹所42に支持され、該弁ばねの他端は、プランジャ30に設けたばね受け44に支持されている。該ばね受け44は鍔付きブシュエレメント46によって形成されており、該鍔付きブシュエレメントのブシュ区分48はプランジャ30を同心的に包囲し、また前記鍔付きブシュエレメントの鍔区分50は弁ばね40を支持している。吸込み側の逆止弁26を組付けるためにプランジャ30は、弁プレート24の、シリンダ室に対面した側から、弁皿32を弁座36に密着させるまで貫通ポート34を差し通される。次いで弁ばね40が、反対側からプランジャ30に被せ嵌められる。最後に鍔付きブシュエレメント46が、弁ばね40の戻し力に基づいて逆止弁の開弁圧を規定する所望の抵抗に達するまで、弁ばね40の内側でプランジャ30に被せ嵌められる。この位置で鍔付きブシュエレメント46はプランジャ30に鍔出し加工によって固定され、その場合、鍔付きブシュエレメント46のブシュ区分48が、プランジャ30の半径方向の周溝52内へ変形加工される。
更に図3から判るように、図1及び図2の図示とは異なって図3では、弁プレートの平面内に延びる燃料供給ポート54が設けられている。該燃料供給ポート54は、弁プレート24に形成されたプランジャ用の貫通ポート34へ開口している。ピストン12の吸込みストローク時にプランジャ30もしくは弁皿32は弁ばね40の予荷重に抗してシール座36から離間するので、燃料は弁皿32に沿って導かれ、該燃料は燃料供給ポート54を介してシリンダ室18内へ吸込まれる。これに続く圧縮ストローク時に吸込み側の逆止弁26は閉弁し、ピストン12のピストン面は、吸込み側の逆止弁26の弁皿32にまでほぼ達することができる。高圧下にある燃料は次いで凹設部56を介して高圧側の逆止弁28へ達し、そこからラジアルピストンポンプの高圧出口接続管片58へ達する。
図4には吸込み側の逆止弁60の別の実施形態が図示されており、該逆止弁が前述の実施形態と実質的に相違している点は、ばね受け62がスリット付き位置固定ディスク64によって形成されていることであり、該スリット付き位置固定ディスクは、周方向に延びる環状溝68の領域でプランジャ66にクリップ止め可能である。環状溝68と軸方向のストッパとがプランジャ66に設けられているので、逆止弁の所期の開弁圧は、所定の厚さdのスリット付き位置固定ディスク64を選択することによって設定される。
更に図4から判るように、プランジャ66もしくは弁皿70のストロークHの大部分はポンプピストンの圧縮ストロークのために使用することができる。
燃料供給は図示例では弁プレート72の平面内の開口を介して行なわれるのではなくて、(図1及び図2に相応して)矢印76によって示唆したように、弁プレート72の、シリンダ室74とは反対の側から行なわれる。
Claims (4)
- 内燃機関の燃料噴射系、特にコモン・レイル式噴射系における燃料高圧供給用のラジアルピストンポンプであって、ポンプケーシング(2)内に支承されていて偏心的に形成されているか又は周方向に複数のカム状の隆起を有する駆動軸(4)と、該駆動軸(4)に対して半径方向でそれぞれシリンダ室(18,74)内に配置されていて前記駆動軸(4)の回転時に前記シリンダ室(18,74)内で半径方向に往復動可能な複数のピストン(12)とを備え、各シリンダ室(18,74)が、駆動軸(4)に対して半径方向外側で、吸込み側の逆止弁(26,60)と高圧側の逆止弁(28)とを有する弁プレート(24,72)によって閉鎖されている形式のものにおいて、
吸込み側の逆止弁(26,60)が、弁プレート(24,72)を貫通する、貫通ポート(34)に摺動可能に支持されたプランジャ(30,66)を有し、該プランジャが、弁プレート(24,72)のシリンダ室(18,74)に対面した方の側に、弁プレート(24,72)のシール座(36)に密着可能な弁皿(32,70)と、プランジャ(30,66)に不動に設けられた鍔付きブシュエレメント(46)とを有しており、前記弁プレート(24,72)の、前記シリンダ室(18,74)とは反対の側には、前記プランジャ(30,66)に閉弁方向で予荷重をかける弁ばね(40)が設けられており、該弁ばねが、弁プレート(24)と、鍔付きブシュエレメント(46)との間に緊締されていることを特徴とする、燃料高圧供給用のラジアルピストンポンプ。 - 鍔付きブシュエレメント(46)のブシュ区分(48)が、プランジャ(30)を同心的に包囲しており、かつ前記鍔付きブシュエレメントの鍔区分(50)に弁ばね(40)が支持されている、請求項1記載のラジアルピストンポンプ。
- 鍔付きブシュエレメント(46)が、鍔出し加工によってプランジャ(30,66)に接合されている、請求項1又は2記載のラジアルピストンポンプ。
- 鍔付きブシュエレメント(46)が、逆止弁(26)の予め選定された開弁圧を生ぜしめるような位置でプランジャ(30)に位置決めされている、請求項1から3までのいずれか1項記載のラジアルピストンポンプ。
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