JP4131328B2 - 液体吐出ヘッド及び液体吐出装置 - Google Patents
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Description
そして、サーマル方式では、半導体基板上に発熱素子を設け、この発熱素子によって液室内の液体に気泡を発生させ、発熱素子上に配置されたノズルから液体を液滴として吐出させ、記録媒体等に着弾させるものである。
また、図11は、図10のヘッド1の流路構造を示す断面図である。なお、液体吐出装置のこの種の流路構造としては、例えば特許文献1に開示されている。
ここで、一般の空間にはゴミやホコリが漂っており、自由に移動している。したがって、これらが液体中に落ちて、液体中のゴミやホコリとして存在する。しかし、インクジェットプリンタ等の液体吐出装置では、ミクロン単位のノズル18から液体を吐出させる構造であるので、ゴミやホコリがノズル18に詰まるおそれがある。
さらに、設計上では、液体吐出装置の流路において、複数箇所にゴミやホコリを除去するためのフィルターを設けておく必要がある。
特に、ラインヘッドのようにノズル数が多くなるほどノズル18の吐出不良が生じる確率が高くなるので、より厳しい管理が必要となり、コストが増大するという問題がある。
気泡の発生箇所としては、前述の共通流路23や個別流路3dが挙げられるが、いずれの箇所に発生しても、吐出ムラの原因となる。
図12では、共通流路23内には、フィルターが設けられている。このフィルターは、ゴミ及びホコリが個別流路3d内に進入することを防止するために設けられたものであって、円柱状の柱を共通流路23に沿って配列したものである。
なお、気泡が存在すると吐出状態が影響を受けるのは、吐出そのものが、吐出時に発生する圧力と、それに対応した液室3a付近の液体、バリア層3、気泡の存在で決まる反作用が影響を及ぼすためと考えられる。
このような場合には、たとえ気泡が小さくても、狭い空間内に気泡が存在するので影響が大きい。すなわち、図12の場合よりも吐出量が減少する。また、気泡が入り込んだ個別流路3dに対応するノズル18からの吐出量のみが減少するので、スジとなって目立つようになる。
一方、気泡で覆われる部分は、気体であるので熱伝導率が悪く、液体による冷却が進まないので発熱部分の熱が溜まりやすい。その結果として、気泡が拡大してしまうという問題がある。
図14では、共通流路23内にフィルター(図12とは異なり、三角柱状の柱を配列したもの)が設けられており、合体成長した気泡がフィルターの柱間を塞いでしまい、液体が液室3a側に移動できない状態となったものである。
吐出衝撃が引き起こす問題としては、以下の2つが挙げられる。
上記技術では、吐出速度がそれまでの吐出速度よりやや低下する(10m/s程度であったものが、7〜8m/s程度となる)ので、吐出速度が低下した分だけ、吐出時の液体の切れが不十分となる。
このような吐出速度の低下が生じると、吐出ムラではないが、印画結果に濃度ムラが生じてしまうおそれがあるという問題がある。
特に、ラインヘッドの場合には、シリアルヘッドと比較すると、吐出面のクリーニングが行われずに連続して印画される時間が長く、その印画量も多いことから、ノズル表面、特にオリフィス周辺に残留する液体量が増加し、新たに吐出される液滴と干渉してしまう。
本発明の1つである請求項1の発明は、半導体基板上に設けられ、一方向に沿って複数配列された発熱素子と、前記発熱素子上に位置するノズルが形成されたノズル層と、前記半導体基板と前記ノズル層との間に設けられたバリア層と、前記バリア層の一部によって形成されており、各前記発熱素子間に配置されるとともに、前記発熱素子の並び方向に垂直な方向に延在した隔壁と、前記バリア層の一部によって形成されており、N(Nは、2以上の整数)個の前記発熱素子と(N−1)個の前記隔壁に対して、これらの外側に前記隔壁に平行に一対設けられた側壁と、前記バリア層の一部によって形成されており、前記発熱素子の配列方向に沿って設けられた後壁とを備え、前記N個の前記発熱素子、前記(N−1)個の前記隔壁、一対の前記側壁、及び前記後壁を含むものを液体吐出ユニットとし、前記発熱素子に対して前記後壁と反対側に共通流路を設け、前記側壁の共通流路と反対側の端部と前記後壁とを連結し、前記隔壁の前記共通流路と反対側の端部を前記後壁から所定の間隔を隔てて配置し、1つの前記液体吐出ユニットにおいて、前記共通流路側及び前記後壁側から各前記発熱素子に液体が供給されるように形成したことを特徴とする液体吐出ヘッドである。
上記発明においては、N個の発熱素子、(N−1)個の隔壁、両側の側壁、及び後壁を含む液体吐出ユニットを設け、少なくとも液体吐出ユニット内では、隔壁等によって発熱素子に両側から液体が流入可能となっている。また、本発明の構造では、両側から発熱素子に液体を供給することができるが、このような呼び水機能を持たせた場合には、発熱素子上(液室内)の圧力が低下しがちである。しかし、1つの液体吐出ユニットとして閉じた構造であるため、Nの値に適切な値を選択すれば、圧力低下をなくし、液体の吐出時の必要な圧力を維持することができる。
本発明における液体吐出装置は、実施形態ではインクジェットプリンタ(サーマル方式のカラーラインプリンタ。以下単にプリンタという。)であり、液体吐出ヘッドは、実施形態ではラインヘッド10である。
4つのヘッドチップ19列は、1列ごとに、ヘッドフレーム16の収容空間16aの内部に配置されるようになっている。そして、ヘッドチップ19の背面であって、ヘッドフレーム16の収容空間16aには、1列ごとに、色の異なるインクを収容したインクタンクが取り付けられることで、各収容空間16aすなわち各ヘッドチップ19列にそれぞれ異なる色のインクが供給される。
各ヘッドチップ19は、千鳥状に、すなわち隣接するヘッドチップ19が180度向きが異なるように配置されている。そして、図2に示すように、「N−1」番目、「N+1」番目に配置されたヘッドチップ19と、「N」番目及び「N+2」番目に配置されたヘッドチップ19間には、全てのヘッドチップ19にインクを供給するための共通流路23が形成されている。
また、図2に示すように、各ノズル18の相互の間隔は、千鳥状に隣接する部分を含め、全て等間隔となっている。
従来技術と同様に、半導体基板上には、発熱素子12が配列されている。そして、図2中、発熱素子12間には、隔壁13aが配置されている。隔壁13aは、バリア層13の一部によって形成されたものであり、発熱素子12の配列方向に垂直な方向に延在するように配置されている。さらに、隔壁13aは、それぞれ長手方向における両端部の厚みが中央部に比較して厚く形成されている。これにより、発熱素子12上の領域(なお、この領域を「液室」という。)における間隔W1と、両端部における間隔W2とは、
W1>W2
の関係となるように形成されている。
これにより、間隔W2の部分によって、ゴミ・ホコリ除去のフィルターとしての機能を持たせることができるとともに、液滴の吐出時の内部(液室)圧力を高くすることができる。
この場合に、隔壁13aと後壁13cとは、間隔xだけ隔てて配置されている。これにより、後壁13c側に、後方共通流路24を形成し、隔壁13aによって隔てられた2つの発熱素子12上では、この後方共通流路24によって液体が移動可能となっている。
以上より、外側が側壁13bによって囲まれた内部でのみ、後壁13c側の後方共通流路24で液体の移動が可能となる。図3の実施形態では、2つの発熱素子12(液室)間で液体が移動できるが、一対の側壁13b内の発熱素子12の数が増加すれば、それだけ、それらの発熱素子12上で液体の移動ができるようになる。
y=0
となる。
しかし、本発明では、間隔yは、間隔xより短ければ良く、間隔yが0より大きい、すなわち側壁13bの後壁13c側端と後壁13cとの間に隙間が形成されていても良い。
よって、
0≦y<x
であれば良い。
ここで、上述のN個の発熱素子12、(N−1)個の隔壁13a、一対の側壁13b、及び後壁13cを含む部分を、「液体吐出ユニット」と称する。そして、本実施形態では、半導体基板上にこの液体吐出ユニットが並設されている。
図4の実施形態では、N=3である。すなわち、3個の発熱素子12と、2個の隔壁13aと、その両側に設けられた一つの側壁13bと、後壁13cとによって、液体吐出ユニットを構成している。また、図4の実施形態では、図3の実施形態のように、隔壁13aや側壁13bの先端部が太く形成されていない。このように形成した場合には、隔壁13aや側壁13bの先端にフィルターの機能を持たせることはできないが、共通流路23側にフィルター等が別個に設けられていれば、特に問題はない。
一方、Nの値が多すぎると、1つの液体吐出ユニットでの開口部分が多くなってしまい、液滴の吐出速度(吐出圧力)の低下、ひいては吐出ムラを招く。実験結果から、N≦8までが、良好な結果となることがわかった。
よって、
2≦N≦8
となる。
この実施形態は、N=4である。また、この実施形態では、第1に、共通流路23側に、フィルター25が設けられている。フィルター25は、複数の柱25aを等ピッチで配列したものである。また、柱25a間の隙間によってフィルター25がその機能を果たすものとなるが、この柱25a間の間隔は、隔壁13a間、又は隔壁13aと側壁13bとの間の間隔よりも狭くなるように形成されている。
なお、フィルター25の柱25aは、必ずしもこのように側壁13bと連結させる必要はなく、大きさも任意である。ただし、柱25a間の隙間は、隔壁13a間、又は隔壁13aと側壁13bとの間の隙間より狭いことが必要である。さらにまた、図5の実施形態では、柱25aは、断面が略長方形状の角柱としたが、これに限らず、種々の形状を用いることができる。
ただし、フィルター25を設けることで、ゴミやホコリの侵入を防止するだけでなく、ヘッドチップ19をノズルシート17に接合するときの圧力によって隔壁13a(液室)がつぶされないようにするという役割も持たせることができる。
図6において、半導体基板11の1辺の外縁部に、液体吐出ユニット(単位ユニット)を並設し、ユニット列を設けている。また、図中、液体供給側に、共通流路23が設けられ、図中、矢印方向から液体が各液体吐出ユニットに供給される。
図8において、半導体基板11には、裏面側から表面側に貫通する液体供給孔(長穴)11aが形成されている。そして、この液体供給孔11aは、インクタンク等(図示せず)と連通している。そして、この液体供給孔11aに沿って液体吐出ユニットを並設し、ユニット列を設けるとともに、液体供給孔11aの両側にユニット列が対向して配置されている。
以上のように、半導体基板11上に液体吐出ユニットを設ける例としては、図6〜図8の形態や、それ以外の種々の形態が考えられるが、いずれの形態であっても良い。
11 半導体基板
12 発熱素子
13 バリア層
13a 隔壁
13b 側壁
13c 後壁
17 ノズルシート(ノズル層)
18 ノズル
19 ヘッドチップ
23 共通流路
24 後方共通流路
25 フィルター
25a 柱
x 隔壁13aと後壁13cとの間隔
y 側壁13bと後壁13cとの間隔
W1 発熱素子12上の領域(液室)における隔壁13a間の間隔
W2 隔壁13aの長手方向における両端部の隔壁13a間の間隔
Claims (12)
- 半導体基板上に設けられ、一方向に沿って複数配列された発熱素子と、
前記発熱素子上に位置するノズルが形成されたノズル層と、
前記半導体基板と前記ノズル層との間に設けられたバリア層と、
前記バリア層の一部によって形成されており、各前記発熱素子間に配置されるとともに、前記発熱素子の並び方向に垂直な方向に延在した隔壁と、
前記バリア層の一部によって形成されており、N(Nは、2以上の整数)個の前記発熱素子と(N−1)個の前記隔壁に対して、これらの外側に前記隔壁に平行に一対設けられた側壁と、
前記バリア層の一部によって形成されており、前記発熱素子の配列方向に沿って設けられた後壁と
を備え、
前記N個の前記発熱素子、前記(N−1)個の前記隔壁、一対の前記側壁、及び前記後壁を含むものを液体吐出ユニットとし、
前記発熱素子に対して前記後壁と反対側に共通流路を設け、前記側壁の共通流路と反対側の端部と前記後壁とを連結し、前記隔壁の前記共通流路と反対側の端部を前記後壁から所定の間隔を隔てて配置し、
1つの前記液体吐出ユニットにおいて、前記共通流路側及び前記後壁側から各前記発熱素子に液体が供給されるように形成した
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
2≦N≦8
である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記発熱素子の領域上での前記隔壁間及び前記隔壁と前記側壁とでなす間隔W1と、前記共通流路側端での前記隔壁間及び前記隔壁と前記側壁とでなす間隔W2とは、
W2<W1
である
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記隔壁の前記共通流路側端に対して、前記側壁の前記共通流路側端の方が、前記発熱素子から遠ざかる側に位置している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記共通流路には、前記バリア層の一部によって形成された複数の柱からなるフィルターを備え、
前記フィルターの前記柱は、前記発熱素子の配列ピッチと異なるピッチで配置され、
前記隔壁の前記共通流路側端に対して、前記側壁の前記共通流路側端の方が、前記発熱素子から遠ざかる側に位置しており、
前記側壁の前記共通流路側端と、前記フィルターの前記柱とが連結している
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
1つの前記半導体基板上に、複数の前記液体吐出ユニットを設けるとともに、複数の前記液体吐出ユニットの全ての前記ノズルを一定のピッチで配置した
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項6に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
複数の前記液体吐出ユニットは、前記半導体基板の1辺の外縁部に配置されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項6に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
複数の前記液体吐出ユニットは、前記半導体基板の対向する2辺の外縁部にそれぞれ配置されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項6に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記半導体基板には、裏面側から表面側に貫通する長穴が形成されており、
前記長穴に沿って、その両側に、複数の前記液体吐出ユニットが対向して配置されている
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項1に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
前記発熱素子の配列方向に沿って、複数の前記半導体基板をライン状に配置し、各前記半導体基板の前記共通流路を前記半導体基板に配置方向に沿って設けることにより、ラインヘッドを形成した
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 請求項10に記載の液体吐出ヘッドにおいて、
複数の前記半導体基板をライン状に配置したものを、列状に複数並べ、
1つの列の複数の前記半導体基板と、他の列の複数の前記半導体基板とに対し、異なる特性の液体を供給するようにした
ことを特徴とする液体吐出ヘッド。 - 半導体基板上に設けられ、一方向に沿って複数配列された発熱素子と、
前記発熱素子上に位置するノズルが形成されたノズル層と、
前記半導体基板と前記ノズル層との間に設けられたバリア層と、
前記バリア層の一部によって形成されており、各前記発熱素子間に配置されるとともに、前記発熱素子の並び方向に垂直な方向に延在した隔壁と、
前記バリア層の一部によって形成されており、N(Nは、2以上の整数)個の前記発熱素子と(N−1)個の前記隔壁に対して、これらの外側に前記隔壁に平行に一対設けられた側壁と、
前記バリア層の一部によって形成されており、前記発熱素子の配列方向に沿って設けられた後壁と
を備え、
前記N個の前記発熱素子、前記(N−1)個の前記隔壁、一対の前記側壁、及び前記後壁を含むものを液体吐出ユニットとし、前記発熱素子に対して前記後壁と反対側に共通流路を設け、前記側壁の共通流路と反対側の端部と前記後壁とを連結し、前記隔壁の前記共通流路と反対側の端部を前記後壁から所定の間隔を隔てて配置し、1つの前記液体吐出ユニットにおいて、前記共通流路側及び前記後壁側から各前記発熱素子に液体が供給されるように形成した液体吐出ヘッドを備える
ことを特徴とする液体吐出装置。
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