JP4131010B2 - 内視鏡用アダプタ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内視鏡の通気弁を開通させる際に該通気弁に装着する内視鏡用アダプタに関する。
【0002】
【従来の技術】
医療の分野では、消化管等の検査、診断などに、内視鏡が使用されている。この内視鏡の体腔内への細長い挿入部の内部には、ライトガイド、イメージガイド、電線ケーブル、各種チューブ類などの各種の長尺部材が挿入された構成になっている。内視鏡の挿入部が湾曲すると、これらの長尺部材同士の間に摩擦や押圧力を生じる。この摩擦や押圧力を低減して各長尺部材を保護するため、各長尺部材の周囲には、潤滑剤が配されている。
【0003】
この内視鏡で用いられる潤滑剤には、潤滑性に優れることはもちろんのこと、その潤滑性が長期間に亘って維持され、さらに、繰り返し行われる内視鏡の滅菌処理等によっても変質、劣化し難いことが求められる。このような要求を満足する潤滑剤として、各種の固体潤滑剤が用いられている。
【0004】
また、内視鏡は、繰り返し使用するものであり、使用の都度、洗浄・消毒・滅菌処理等を行う。例えば、この滅菌処理を過酸化水素ガスプラズマ滅菌により行う場合、ガスプラズマ滅菌装置では、内視鏡を収容した滅菌槽内を真空吸引して空気を排出した後、過酸化水素ガスが滅菌槽内に導入される。滅菌槽内が真空状態(減圧状態)になったとき、内視鏡の内部が密閉状態になっていると、内視鏡内部の圧力が外部(滅菌槽内)の圧力より高くなることにより、挿入部、特に、先端の湾曲部を被覆するゴム等の柔軟な部分が膨張し、損傷、破裂するおそれがある。
【0005】
かかる不都合を防止するために、内視鏡にはその内部と外部とを連通し得る通気弁が設けられており、過酸化水素ガスプラズマ滅菌の際には、通気弁を開通するためのアダプタをこの通気弁に装着し、内視鏡の内部と外部とを連通した状態で行う。
【0006】
また、過酸化水素ガスプラズマ滅菌では、その効果をより高めるために、過酸化水素ガスの湿度が、比較的高くなるよう調製して使用される。
【0007】
このようなことから、内視鏡の内部と外部とを連通した状態で過酸化水素ガスプラズマ滅菌を行うと、湿気を帯びた過酸化水素ガスが内視鏡の内部に侵入し、水分が貯留してしまうことがある。この場合、前記固体潤滑剤が、水分を吸収すると、固化し、本来の減摩効果が損なわれるという問題がある。また、内視鏡を高湿熱帯地域で使用する場合には、特に、内視鏡内部に水分が溜まり易く、固体潤滑剤の減摩効果はより急速に失われてしまうという問題がある。このように潤滑剤の減摩効果が損なわれてしまうと、可撓管や湾曲部を湾曲させる際に生じる摩擦によって、ライトガイドやイメージガイドを構成する光学繊維(光ファイバー)が、損傷、破損してしまうおそれがある。
【0008】
また、潤滑剤の吸湿により、光学繊維にヤケ等による劣化が生じるという問題もある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、例えば滅菌処理等に際して、高湿度の環境下に曝された場合でも、内視鏡の通気弁から内部へ水分が侵入するのを有効に防止することができる内視鏡用アダプタを提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記(1)〜(19)の本発明により達成される。
【0011】
(1) 内視鏡の通気弁を開通させる際に該通気弁に装着する内視鏡用アダプタであって、
前記通気弁に装着される本体部と、
前記通気弁の弁体を押圧して移動させる押圧部材とを有し、
前記押圧部材は、その少なくとも一部に、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とする乾燥剤を含有することを特徴とする内視鏡用アダプタ。
【0012】
これにより、例えば滅菌処理等に際して、高湿度の環境下に曝された場合でも、内視鏡の通気弁から内部へ水分が侵入するのを有効に防止することができる内視鏡用アダプタを提供することができる。
【0013】
(2) 前記押圧部材は、取替え可能である上記(1)に記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、内視鏡用アダプタにかかるコストの低減を図ることができる。
【0014】
(3) 前記押圧部材は、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている上記(1)または(2)に記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、押圧部材の吸湿の程度を目視により確認することができる。
【0015】
(4) 前記本体部の前記通気弁から流出入する気体が通過する部分に設置され、気体を透過させ液体を遮断する機能を有するフィルターを有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0016】
これにより、内視鏡用アダプタを通気弁に装着した状態で誤って洗浄したような場合であっても、洗浄水等の液体が内視鏡の内部に侵入するのを防止することができる。
【0017】
(5) 前記フィルターは、その少なくとも一部に、前記乾燥剤を含有する上記(4)に記載の内視鏡用アダプタ。
【0018】
これにより、例えば滅菌処理等に際して、内視鏡の通気弁から内部へ水分が侵入するのを防止する効果が特に優れたものとなる。
【0021】
) 前記フィルターは、前記吸湿物質を含有する吸湿層と、前記吸湿層の少なくとも片面側に設けられ、気体を透過させ液体を遮断する撥水層とを有する上記()に記載の内視鏡用アダプタ。
【0022】
これにより、フィルターの外側に液体が接触した場合でも、吸湿層が液体を吸って膨潤したり、乾燥剤の吸湿能力が低下したりするのを防止することができる。
【0023】
) 前記撥水層は、フッ素系樹脂で構成された多孔質体である上記()に記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、高い気体透過性および撥水性を有する撥水層が得られる。
【0024】
) 前記多孔質体は、フッ素系樹脂の繊維の集合体である上記()に記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、より高い気体透過性および撥水性を有する撥水層が得られる。
【0025】
) 前記フィルターは、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている上記(5)ないし()のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、フィルターの吸湿の程度を目視により確認することができる。
【0026】
10) 前記本体部には、前記通気弁から流出入する気体が通過する通気孔が形成され、
前記フィルターは、板状をなし、前記通気孔を塞ぐように設置されている上記()ないし()のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0027】
これにより、スペースを取らずに設置することができ、内視鏡用アダプタの小型化に寄与する。
【0028】
11) 前記フィルターは、取替え可能である上記()ないし(10)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、内視鏡用アダプタにかかるコストの低減を図ることができる。
【0029】
12) 前記本体部は、キャップ状をなし、前記通気弁を覆うように装着される上記(1)ないし(11)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
これにより、内視鏡の通気弁に対し容易かつ確実に装着することができる。
【0030】
13) 前記本体部と前記通気弁との間の気密性を確保するシール部材を有する上記(1)ないし(12)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0031】
これにより、通気弁に流入するガスがより確実に所定の流路を通過するようになる。
【0032】
14) 前記本体部には、前記通気弁から流出入する気体が通過する通気孔が複数形成されている上記(1)ないし(13)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0033】
これにより、内視鏡の内外での気体の流出入が円滑になされるので、滅菌処理に先立って滅菌槽内を真空状態(減圧状態)にした場合でも、内視鏡の柔軟な部分が膨張して損傷、破裂するようなことがより確実に防止される。
【0034】
15) 前記乾燥剤の含有量は、1〜40wt%である上記(1)ないし(14)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0035】
これにより、押圧部材やフィルターの成形性を低下させることなく、内視鏡の内部への水分の侵入を好適に防止することができる。
【0036】
16) 前記乾燥剤は、粉末である上記(1)ないし(15)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0037】
これにより、押圧部材やフィルターの構成材料への乾燥剤の混練をより容易かつ確実に行うことができるとともに、構成材料へより均一に混合する(分散させる)ことができる。
【0038】
17) 前記乾燥剤の平均粒径は、1〜30μmである上記(16)に記載の内視鏡用アダプタ。
【0039】
これにより、その比表面積を十分に確保することができ、吸湿能力がより向上する。
【0040】
18) 前記吸湿物質は、硫酸マグネシウムである上記(1)ないし(17)のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
【0041】
硫酸マグネシウムは、吸湿能力に優れ、各種樹脂材料への分散性が良好であり、吸湿によって腐食性・潮解性等を示さない、また、破砕が生じ難く、ダストの発生が極めて少ない。
【0042】
19) 前記硫酸マグネシウムは、MgSO・nHO(ただし、0≦n≦3)で表される上記(18)に記載の内視鏡用アダプタ。
これらの硫酸マグネシウムは、特に吸湿能力に優れている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内視鏡用アダプタを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1は、本発明の内視鏡用アダプタの実施形態を示す半縦断面図、図2は、図1に示す内視鏡用アダプタを内視鏡の通気弁に装着した状態を示す縦断面図、図3は、フィルターの断面図、図4は、内視鏡の平面図である。なお、以下の説明では、図1および図2中の上側を「上」、下側を「下」と言う。
【0044】
本発明の内視鏡用アダプタを説明する前に、まず、図4に基づいて、本発明の内視鏡用アダプタが装着される対象となる内視鏡について説明する。
【0045】
図4に示す医療用の内視鏡(ファイバースコープ)10は、可撓性を有する長尺の挿入部可撓管11と、該挿入部可撓管11の先端側に設けられた湾曲部(湾曲管)12と、挿入部可撓管11の基端側に設けられ、術者が把持して内視鏡10全体を操作する操作部13と、該操作部13の基端側に設けられ、被写体の像を直接観察する接眼部14と、光源装置(図示せず)に着脱可能に装着される光源差込部16と、操作部13と光源差込部16とを接続する可撓性を有する長尺の接続部可撓管15と、光源差込部16に設置された通気弁18とを備えている。
【0046】
挿入部可撓管11と湾曲部12とは、生体の管腔内に挿入する挿入部を構成するものである。挿入部可撓管11および湾曲部12の内部(中空部)には、例えば、光ファイバー、電線ケーブル、ケーブル、またはチューブ類等の長尺内蔵物(図示せず)が配置、挿通されている。
【0047】
これらの長尺内蔵物の外周(周囲)には、潤滑剤(固体潤滑剤)として、例えば二硫化モリブデン、窒化ホウ素、フッ素系樹脂等の粉末が配されている。これにより、挿入部可撓管11が体腔に挿入されて湾曲したときにこれらの長尺内蔵物同士の間に生じる摩擦や押圧力を低減することができ、これらの長尺内蔵物を保護することができる。また、挿入部可撓管11や湾曲部12の湾曲抵抗の増大も防止することができる。
【0048】
挿入部可撓管11と接続部可撓管15とは、それぞれ、中空部を有する(管状の)芯材の外周を外皮で被覆した内視鏡用可撓管で構成されている。内視鏡用可撓管の外皮は、例えば各種ゴム材料や各種樹脂材料等の可撓性を有する材料で構成されている。
【0049】
湾曲部12は、互いに回動自在に連結された複数(多数)の節輪と、該節輪の外周に被覆された網状管と、該網状管の外周に被覆された外皮とで構成されており、湾曲可能になっている。この湾曲部12の外皮(湾曲ゴム)は、例えば各種ゴム材料等の柔軟な弾性材料で構成されている。
【0050】
操作部13には、操作レバー17が設置されている。この操作レバー17を操作すると、挿入部可撓管11内に配設されたワイヤー(図示せず)が牽引されて、湾曲部12が2方向(または4方向)に湾曲し、その湾曲方向および湾曲度合いを遠隔操作することができる。
【0051】
光源差込部16は、ほぼ有底筒状をなすハブ161と、該ハブ161の底部から先端側に延びるように設置された光源用コネクタ162とを有している。内視鏡10の使用時には、この光源用コネクタ162を光源装置(図示せず)の差込穴に差し込むことにより、内視鏡10と光源装置とが光学的に接続される。
【0052】
そして、光源装置に内蔵された光源から発せられた光は、光源用コネクタ162内、ハブ161内、接続部可撓管15内、操作部13内、挿入部可撓管11内および湾曲部12内に連続して配設された光ファイバー束によるライトガイド(図示せず)を通り、湾曲部12の先端部121より観察部位に照射され、照明する。
【0053】
前記照明光により照明された観察部位からの反射光(被写体像)は、湾曲部12内、挿入部可撓管11内および操作部13内に連続して配設された光ファイバー束によるイメージガイド(図示せず)を通り、接眼部14へ伝達される。
【0054】
接眼部14の内部には、接眼レンズ(図示せず)が設置され、イメージガイド内を通って到達した反射光がこの接眼レンズを通して観察される。
【0055】
なお、本発明の内視鏡用アダプタ1は、内視鏡10のようなファイバー内視鏡に限らず、電子内視鏡等の各種の内視鏡に装着して使用するものに適用することができるのは言うまでもない。
【0056】
内視鏡10の各部同士は、例えばパッキンやOリング等のシール部材を用いて気密的(液密的)に接合(連結)されている。
【0057】
光源差込部16には、内視鏡10の内部と外部とを連通し得る通気弁18が設けられている。以下、この通気弁18について説明する。
【0058】
図2に示すように、通気弁18は、ハブ161から突出するように設けられた略円筒状の内筒部材(ケーシング)181と、該内筒部材181の上側の外周に螺合して固定された略円筒状の外筒部材(ケーシング)182と、内筒部材181および外筒部材182の内部で上下方向に移動可能に設置された弁体183と、該弁体183を上方に付勢するコイルバネ184とを有している。
【0059】
内筒部材181および外筒部材182の内腔は、内視鏡10の内部と外部とを連通する通気路となるものである。外筒部材182の下端部には、径方向外方へ向けて突出する係合ピン188が設置されている。
【0060】
弁体183は、上端部に傘状部(円錐台状部)を有する略キノコ形状をなしており、該傘状部の外側には、シールリング185が設置されている。
【0061】
外筒部材182の上端部には、開口186が形成されている。また、外筒部材182の上端部の内面(下面)187は、弁体183の傘状部に対応したすり鉢状(円錐台状)をなしている。
【0062】
このような通気弁18は、本発明の内視鏡用アダプタ1を装着していない状態(この状態は図示せず)では、コイルバネ184の付勢力により、弁体183の傘状部(シールリング185)が内面187に圧接されることにより、開口186が閉塞(遮断)され、閉状態となる。内視鏡10を使用する際や、洗浄する際などには、この状態で行う。これにより、洗浄水などが通気弁18から内視鏡10の内部に侵入するのを防止することができる。
【0063】
そして、通気弁18は、図2に示すように、内視鏡用アダプタ1を装着することにより、開通し(開状態になり)、内視鏡10の内部と外部とを連通する状態となる。内視鏡10を、例えば過酸化水素ガスプラズマ滅菌等により滅菌処理を施す際には、この状態で行う。これにより、ガスプラズマ滅菌装置(図示せず)において、内視鏡10を収容した滅菌槽内が過酸化水素ガスの導入に先立って真空状態(減圧状態)にされたとき、内視鏡10の内部と外部との圧力差が生ずることがない。その結果、例えば湾曲部12の外皮などの内視鏡10の柔軟な部分が膨張して損傷、破裂するようなことが防止される。
【0064】
以下、図1および図2に基づいて、本発明の内視鏡用アダプタについて説明する。
【0065】
図1に示すように、内視鏡用アダプタ1は、本体部2と、フィルター3と、シールリング4とを有している。
【0066】
本体部2は、ほぼ円筒状(管状)の第1部材21と、第1部材21の上端開口を覆う第2部材22と、第1部材21の上端部の内側に設置された第3部材23とで構成されている。この本体部2は、全体形状としてほぼキャップ状(蓋状)をなしており、通気弁18に被せるように装着される。このような構成により、内視鏡用アダプタ1を通気弁18に対し容易かつ確実に装着することができる。
【0067】
第1部材21の下側の部分の壁部には、通気弁18の係合ピン188が挿入するほぼL字状の案内溝(切欠き)211が形成されている。内視鏡用アダプタ1を通気弁18に被せ、所定角度回転すると、係合ピン188が案内溝211内を移動し、これにより、内視鏡用アダプタ1が通気弁18に装着・固定される。また、逆の操作を行うことにより、内視鏡用アダプタ1を通気弁18から取り外すことができる。
【0068】
第1部材21の外周部には、ローレット(微小な凹凸)212が形成されている。このローレット212は、内視鏡用アダプタ1を把持したときの手の滑り止めとして機能する。
【0069】
第2部材22は、円筒状の嵌合部221と、頂部222とを有し、上下方向に短い有底円筒状をなしている。第1部材21の上端部は、嵌合部221の内側に挿入(嵌入)している。
【0070】
頂部222には、通気孔223が形成されている。通気弁18から流出入する気体は、この通気孔223を通過する。本実施形態では、通気孔223は、周方向に沿って4つ形成されているが、この個数は何個でもよい。
【0071】
頂部222の上側には、板状の突出部224が一体的に形成されている。突出部224には、孔225が形成されており、この孔225にチェーン(接続部材)9の一端が接続されている。内視鏡用アダプタ1は、チェーン9の他端を例えば内視鏡10に接続しておくことにより、取り扱い時の落下、紛失等を防止することができる。
【0072】
第3部材(押圧部材)23は、通気弁18の弁体183を押圧して移動させる機能を有している。この第3部材23は、ほぼ円板状をなし、本実施形態では、第1部材21の上端部の内側に圧入により固定されている。これにより、第3部材23は、第1部材21に対して着脱可能(すなわち、取替え可能)となっている。
【0073】
この第3部材23には、通気弁18から流出入する気体が通過する複数の通気孔232が形成されている。
【0074】
このように、本体部2に、複数の通気孔223、232を設けることにより、内視鏡10の内外での気体の流出入が円滑になされるので、滅菌処理に先立って滅菌槽内を真空状態(減圧状態)にした場合でも、内視鏡10の柔軟な部分が膨張して損傷、破裂するようなことがより確実に防止される。
【0075】
また、第3部材23の中心部には、下方向に突出し、通気弁18の弁体183に当接する凸部(押圧部)231が形成されている。
【0076】
頂部222の下面(下側)には、薄い板状(膜状)のフィルター3が設置されている。フィルター3は、第1部材21の上端面と、頂部222の下面との間で挟持されることにより、固定されている。
【0077】
通気孔223は、フィルター3により塞がれており、気体は、通気孔223を通過する際、フィルター3を透過する。このような構成により、フィルター3をスペースを取らずに設置することができ、内視鏡用アダプタ1の小型化に寄与する。
【0078】
このフィルター3は、気体は透過させるが、液体は遮断する機能を有している。これにより、内視鏡用アダプタ1を通気弁18に装着した状態で誤って洗浄したような場合であっても、洗浄水等の液体が内視鏡10の内部に侵入するのを防止することができる。
【0079】
また、本実施形態では、第1部材21と第2部材22とは、例えば螺合により固定されており、第2部材22が第1部材21に対して着脱自在となっている。これにより、フィルター3は、取替え可能となっている。
【0080】
第1部材21の内周部には、シールリング(シール部材)4が設けられている。内視鏡用アダプタ1を通気弁18に装着した状態(図2に示す状態)では、外筒部材182の外周面がシールリング4の内周に密着して、気密性が確保される。これにより、通気弁18から内視鏡10の内部にガスが流入する場合、このガスがより確実に所定の流路を通過するようになる。
【0081】
図2に示すように、このような内視鏡用アダプタ1を通気弁18に装着すると、第3部材(押圧部材)23の凸部231が弁体183を押圧することにより、弁体183がコイルバネ184の付勢力に抗して下方向に移動する。これにより、弁体183の傘状部が内面187から離間した状態となり、通気弁18が開通する(開状態となる)。この状態では、内視鏡10の内部と外部とが連通し、気体が通気孔223、通気孔232、開口186を通過して内視鏡10の内部へ流入または内視鏡10の内部から外部へ流出することができる。
【0082】
さて、このような内視鏡用アダプタ1を装着した内視鏡10を、例えば過酸化水素ガスプラズマ滅菌等により滅菌処理を施した場合、過酸化水素を含むガス(気体)が滅菌槽内に導入されると、このガスは、通気孔223、通気孔232および通気弁18を通過して、内視鏡10の内部にも流入する。
【0083】
そして、このガスは、滅菌の効果をより高めるために、比較的高い湿度となるよう調製されている。このため、繰り返し施される滅菌処理により、内視鏡10の内部に水分が貯留する場合があり、この場合、前述したような潤滑剤(固体潤滑剤)が、水分を吸収(吸湿)・固化して、本来の減摩効果が損なわれる。また、このような現象は、内視鏡10を、高湿熱帯地域で使用する場合に、特に顕著に現れる。
【0084】
そこで、本発明の内視鏡用アダプタ1では、前記第3部材(押圧部材)23および/または前記フィルター3が乾燥剤5を含有する構成とした。本実施形態の内視鏡用アダプタ1では、第3部材(押圧部材)23およびフィルター3の双方が、それぞれ、乾燥剤5を含有している。
【0085】
このような構成により、内視鏡10内にガスが流入する際に、このガスは、フィルター3および第3部材23に接触し、その際、ガス中に含まれる水分が乾燥剤5により効率よく除去(除湿)される。これにより、内視鏡10の内部に水分が侵入するのを防止することができる。特に、本実施形態では、第3部材(押圧部材)23およびフィルター3の双方が、乾燥剤5を含有することにより、内視鏡10の内部への水分の侵入を防止する効果が特に優れたものとなる。
【0086】
その結果、前述したような不都合、すなわち、潤滑剤(固体潤滑剤)が、水分を吸収(吸湿)・固化して、本来の減摩効果が損なわれてしまうことが防止され、挿入部可撓管11や湾曲部12の湾曲抵抗の増大、これに伴う光ファイバーの損傷、破損等、あるいは、光ファイバーのヤケ等が効果的に防止される。
【0087】
以下、乾燥剤5、第3部材23およびフィルター3について、それぞれ説明する。
【0088】
<乾燥剤5>
乾燥剤5は、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とするものである。かかる吸湿物質は、水分子をその分子構造内に非可逆的に取り込むため、単に水分子を吸着により保持する物質(例えば、シリカゲル、塩化カルシウム、ゼオライト等)と比べて、吸水量(吸湿量)が多く、すなわち、優れた吸湿能力(除湿効果)を有し、さらに、使用環境の変化(例えば温度変化等)によっても放湿し難い。このため、かかる吸湿物質を主成分とする乾燥剤5を用いることにより、内視鏡用アダプタ1を装着した状態で、内視鏡10を、前述したような滅菌処理を繰り返し施した場合(高湿度の環境下に曝した)場合でも、内視鏡10の内部への水分の侵入をより確実に防止することができる。
【0089】
かかる吸湿物質としては、特に限定されないが、例えば、硫酸マグネシウム、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化ケイ素等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、吸湿物質としては、硫酸マグネシウムを用いるのが好適である。
【0090】
硫酸マグネシウムは、次のような▲1▼〜▲4▼の利点を有する。
すなわち、▲1▼:吸湿能力(例えば、水分子の取り込み量や、取り込み速度等)に優れる。▲2▼:各種樹脂材料への分散性が良好であるため、第3部材23やフィルター3の構成材料中への混合を容易に行うことができる。▲3▼:吸湿によって腐食性・潮解性等を示さないので、第3部材23やフィルター3(吸湿層31)に形状変化を生じさせることがない。▲4▼:破砕が生じ難く、ダストの発生が極めて少ない。
【0091】
また、硫酸マグネシウムは、MgSO・nHO(ただし、0≦n≦3)で表されるものが好ましい。すなわち、硫酸マグネシウムは、無水物、1水和物、2水和物、3水和物のうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの硫酸マグネシウムは、特に吸湿能力に優れている。なお、硫酸マグネシウムとして、3水和物を超える水和物のものを用いると、乾燥剤5と第3部材23やフィルター3の構成材料(以下、単に「材料」と言う。)とを混練(混合)する際に、その混練時の温度等によっては、硫酸マグネシウムから水分子(結晶水)が放出され、材料への混練が困難となる場合がある。
【0092】
なお、乾燥剤5は、前記吸湿物質を主成分(例えば70wt%以上)とするものであればよく、他の乾燥剤として使用される物質(例えば、シリカゲル等)を含むものであってもよい。
【0093】
乾燥剤5の形状は、いかなるものであってもよいが、粉末であるのが好ましい。粉末の乾燥剤5を用いることにより、乾燥剤5の材料への混練をより容易かつ確実に行うことができるとともに、材料へより均一に混合する(分散させる)ことができる。
【0094】
また、乾燥剤5が粉末である場合、その平均粒径は、特に限定されないが、1〜30μm程度であるのが好ましく、2〜20μm程度であるのがより好ましい。平均粒径が前記範囲の乾燥剤は、その比表面積を十分に確保することができ、吸湿能力がより向上する。
【0095】
乾燥剤5の含有量は、特に限定されないが、1〜40wt%程度であるのが好ましく、1〜25wt%程度であるのがより好ましい。乾燥剤5の含有量が少なすぎると、内視鏡10の滅菌処理の条件等によっては、その内部への水分の侵入を好適に防止することができない場合があり、一方、乾燥剤5の含有量が多すぎると、材料の種類等によっては、その溶融粘度が低下して、第3部材23やフィルター3の成形が困難になる場合がある。
【0096】
<第3部材23>
第3部材23は、前述したように、通気弁18の弁体183を押圧して移動させる機能を有しており、樹脂材料、特に比較的硬質の樹脂材料で構成されているのが好ましく、その具体例としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、アクリル系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、アイオノマー、ポリアセタール、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルエーテルケトン等が挙げられる。
【0097】
なお、図示の構成では、乾燥剤5を、第3部材23全体に均一に含有する(混合された)構成であるが、第3部材23の各部で異なるもの、特に、その少なくとも内面付近に含有するものであればよい。この場合、第3部材23には、乾燥剤5を含む層が形成されるが、かかる層における乾燥剤5の含有量を、前記範囲となるようにすればよい。
【0098】
また、第3部材23は、例えば塩化コバルトのような水分に感応して変色する化合物(図示せず)を含有し、乾燥剤5の吸湿に伴って色が変化し得るよう構成されているのが好ましい。すなわち、第3部材23は、インジケータ機能を有しているのが好ましい。
【0099】
第3部材23をこのような構成とすることにより、例えば内視鏡10のメンテナンスの際に、第3部材23の変色により、第3部材23(乾燥剤5)の吸湿の程度を目視により確認することができる。このとき、第3部材23の変色度合いにより、第3部材23の取替え時期を判断して、乾燥剤5が吸湿能力の限界を超えている場合には、第3部材23を取り替えるようにすることができ、便利である。また、第3部材23が取り替え可能であることにより、内視鏡用アダプタ1を構成する各部を繰り返し使用することができ、内視鏡用アダプタ1にかかるコストの低減を図ることもできる。
【0100】
<フィルター3>
フィルター3は、図3に示すように、乾燥剤5を含有する吸湿層31と、吸湿層31の両面側にそれぞれ設置され、気体を透過させ液体を遮断する撥水層32とを備えている。すなわち、フィルター3は、撥水層32、吸湿層31、撥水層32の3層がこの順に積層された構成になっている。
【0101】
吸湿層31は、乾燥剤5が、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン樹脂、ポリウレタン等の各種樹脂材料のようなバインダー(吸湿層31の構成材料)により固定されて構成されている。
【0102】
なお、かかる構成のフィルター3では、吸湿層31における乾燥剤5の含有量を、前記範囲となるようにすればよい。
【0103】
また、吸湿層31は、第3部材23と同様に、インジケータ機能を有しているのが好ましい。これにより、第3部材23で説明したのと同様の効果が得られる。
【0104】
吸湿層31の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.05〜5mm程度、好ましくは0.1〜1mm程度とされる。
【0105】
撥水層32は、フッ素系樹脂で構成された多孔質体(多孔質膜)であり、高い気体透過性および撥水性を有しており、気体は透過させるが、液体は遮断する。この撥水層32は、フッ素系樹脂の繊維の集合体(例えば織布、不織布)で構成されているのが好ましい。これにより、より高い気体透過性および撥水性を有する撥水層32が得られる。
【0106】
また、撥水層32を構成するフッ素系樹脂としては、例えば、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン:PTFE)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP樹脂)、四フッ化エチレン・パーフルオロアルコキシエチレン共重合体(PFA樹脂)、四フッ化エチレン・エチレン共重合体(ETFE樹脂)、ビニリデンフルオライド樹脂(ポリフッ化ビニリデン:PVDF)、ビニルフルオライド樹脂(PVF樹脂)、クロロトリフルオロエチレン樹脂(CTFE樹脂)、エチレン−クロロトリフルオロエチレン樹脂(ECTFE樹脂)が挙げられる。
【0107】
撥水層32の厚さは、特に限定されないが、例えば、0.01〜0.3mm程度、好ましくは0.05〜0.15mm程度とされる。
【0108】
なお、このような撥水層32は、必要に応じて、省略することもできるが、吸湿層31の少なくとも片面側、特に外面側(図2中の上面側)に設けられているのが好ましく、図示のように吸湿層31の両面側に設けられているのがより好ましい。
【0109】
撥水層32が吸湿層31の外面側に設けられていると、フィルター3の外側に液体(水)が接触した場合でも、吸湿層31が液体(水)を吸って膨潤したり、乾燥剤5の吸湿能力(除湿効果)が低下したりするのを防止することができる。
【0110】
また、吸湿層31と撥水層32とは、互いに結合していなくてもよく、別個のものが単に重ねられているような構成でもよい。
【0111】
また、フィルター3では、吸湿層31や撥水層32は、少なくとも通気孔223の位置に設けられていればよく、その他の部分が異なる材料で構成されていてもよい。
【0112】
また、内視鏡用アダプタ1では、フィルター3が複数枚重ねて設けられていてもよい。この場合、複数のフィルター3は、互いに接触していても離間していてもよい。
【0113】
以上、本発明の内視鏡用アダプタを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、内視鏡用アダプタを構成する各部材(各部)は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0114】
また、フィルターは、内視鏡の通気弁から流出入する気体が通過する部分であれば、内視鏡用アダプタのいかなる個所に設置されていてもよい。
【0115】
また、フィルターの形状(形態)は、板状(膜状)のものに限らず、例えば円柱状、直方体状の多孔質体のものや、容器内に乾燥剤を充填したようなものなどであってもよい。
【0116】
また、押圧部材およびフィルターは、いずれか一方のみが乾燥剤を含有する構成であってもよい。
【0117】
【実施例】
以下、本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
まず、乾燥剤として、MgSO・2HOで構成された粉末(平均粒径5μm)を用意した。
【0118】
次に、この乾燥剤を含有するポリカーボネートを用いて、第3部材を作製した。
【0119】
また、この乾燥剤にポリエチレンを加え、加熱・圧縮して成形し、シート状の吸湿層(厚さ0.5mm)を得、この吸湿層の両面側に、それぞれ、厚さ0.08mmのPTFE製多孔質膜(ADVANTEC社製、メンブランフィルター)よりなる撥水層を積層してフィルターを作製した。
【0120】
なお、第3部材および吸湿層における乾燥剤の含有量は、それぞれ、1wt%とした。
【0121】
また、ポリカーボネート中には、ポリカーボネート100重量部に対して1重量部となるように、また、ポリエチレン中には、ポリエチレン100重量部に対して1重量部となるように、それぞれ、無水塩化コバルトを混合した。
【0122】
これらの第3部材およびフィルターを用いて、図1ないし図3に示すような内視鏡用アダプタを作製した。
【0123】
(実施例2、3)
第3部材およびフィルターの乾燥剤の含有量を、それぞれ、表1に示すように変更したこと以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0124】
(実施例4〜18)
第3部材およびフィルターに用いる乾燥剤の種類を、それぞれ、表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0125】
(実施例19)
乾燥剤を含有しないフィルターを用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0126】
(実施例20)
フィルターを省略したこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0127】
(実施例21)
乾燥剤を含有しない第3部材を用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0128】
(実施例22)
撥水層を有さないフィルター、および、乾燥剤を含有しない第3部材を用いたこと以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0129】
(比較例1〜3)
第3部材およびフィルターに用いる乾燥剤の種類を、それぞれ、表1に示すように変更した以外は、前記実施例2と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0130】
(比較例4)
いずれも乾燥剤を含有しない第3部材およびフィルターを用いたこと以外は、前記実施例1と同様にして内視鏡用アダプタを作製した。
【0131】
[評価]
各実施例および各比較例で作製した内視鏡用アダプタに対して、それぞれ、以下の評価試験を行った。
【0132】
[滅菌処理による評価]
図2に示す構造の通気弁を有する気管支用ファイバー内視鏡(旭光学工業株式会社製、型式「FB−15V型」)を、各内視鏡用アダプタに対して、それぞれ用意した。なお、この内視鏡には、その内部の長尺内蔵物の周囲に潤滑剤として、二硫化モリブデン粉末(平均粒径2μm)を配した。
【0133】
これらの内視鏡の通気弁に、それぞれ、各内視鏡用アダプタを装着した。
これらのものを、それぞれ真空槽に入れ、真空槽内をほぼ真空に減圧した後、エチレンオキサイドガス(濃度:100%、湿度:70%RH)を導入する滅菌処理を100回繰り返して行った。
【0134】
なお、1回の滅菌処理のエチレンオキサイドガス導入時間(滅菌処理時間)は、2時間45分とした。
【0135】
そして、各内視鏡について、それぞれ、アングル力量(湾曲部を湾曲させる湾曲操作にかかる負荷)の変化を確認し、その変化を、以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:滅菌処理100回後も、アングル力量に変化なし
○:滅菌処理100回後に、若干のアングル力量の増大あり
△:滅菌処理80回程度から、アングル力量の増大あり
×:滅菌処理50回程度から、アングル力量の増大あり
【0136】
[高湿度環境下放置による評価]
図2に示す構造の通気弁を有する気管支用ファイバー内視鏡(旭光学工業株式会社製、型式「FB−15V型」)を、各内視鏡用アダプタに対して、それぞれ用意した。なお、この内視鏡は、その内部の長尺内蔵物の周囲に潤滑剤として、窒化ホウ素粉末(平均粒径3μm)と4フッ化エチレン粉末(平均粒径4μm)との混合物を配した。また、窒化ホウ素粉末と4フッ化エチレン粉末とは、重量比で70:30となるように混合した。
【0137】
これらの内視鏡の通気弁に、それぞれ、各内視鏡用アダプタを装着した。
これらのものを、それぞれ保湿容器に入れ、高湿度環境(温度:40℃、湿度:90%RH)下に、200時間放置した。
【0138】
そして、各内視鏡について、それぞれ、10時間経過毎に、アングル力量(湾曲部を湾曲させる湾曲操作にかかる負荷)の変化を確認し、その変化を、以下の4段階の基準に従って評価した。
◎:高湿度下に200時間放置後も、アングル力量に変化なし
○:高湿度下に200時間放置後に、若干のアングル力量の増大あり
△:高湿度下に100時間程度放置後から、アングル力量の増大あり
×:高湿度下に50時間程度放置後から、アングル力量の増大あり
これらの結果を表1に示す。
【0139】
【表1】
Figure 0004131010
【0140】
表1に示すように、実施例1〜22の内視鏡(本発明の内視鏡)は、いずれもアングル力量の増加が防止され、繰り返し施される滅菌処理に耐え得るものであった。
【0141】
また、実施例1〜22の内視鏡を分解して、潤滑剤の状態を確認した結果、吸湿により固化した潤滑剤は、確認されなかった。さらに、光ファイバーの中に、折れやヤケが生じているものも確認されなかった。
【0142】
また、実施例1〜22の内視鏡を分解して、第3部材やフィルターの色を確認したところ、変色が確認され、乾燥剤による吸湿も良好に行われていることが確認された。
【0143】
これに対し、比較例1〜4の内視鏡は、いずれも滅菌処理を繰り返すこと、または、高湿度下に長時間放置することにより、早い段階でアングル力量が増大し、湾曲部の湾曲操作を円滑に行うことができないようになった。
【0144】
また、比較例1〜4の内視鏡を分解して、潤滑剤の状態を確認した結果、潤滑剤は、吸湿により固化していた。さらに、光ファイバーの中に、折れやヤケが生じているものが多数確認された。
【0145】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明によれば、例えば滅菌処理等に際して、高湿度の環境下に曝された場合でも、乾燥剤の除湿効果により、内視鏡の通気弁から内部へ水分が侵入するのを有効に防止することができる。その結果、内視鏡の内部に配された潤滑剤の吸湿、固化を防止することができ、よって、内視鏡に、例えば湾曲抵抗の増大、損傷、破損等が生じるのを防止することができる。
【0146】
また、乾燥剤として、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質、特に、硫酸マグネシウムを主成分とするものを用いることにより、前記効果がより向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の内視鏡用アダプタの実施形態を示す半縦断面図である。
【図2】図1に示す内視鏡用アダプタを内視鏡の通気弁に装着した状態を示す縦断面図である。
【図3】フィルターの断面図である。
【図4】内視鏡の平面図である。
【符号の説明】
1 内視鏡用アダプタ
2 本体部
21 第1部材
211 案内溝
212 ローレット
22 第2部材
221 嵌合部
222 頂部
223 通気孔
224 突出部
225 孔
23 第3部材
231 凸部
232 通気孔
3 フィルター
31 吸湿層
32 撥水層
4 シールリング
5 乾燥剤
9 チェーン
10 内視鏡
11 挿入部可撓管
12 湾曲部
121 先端部
13 操作部
14 接眼部
15 接続部可撓管
16 光源差込部
161 ハブ
162 光源用コネクタ
17 操作レバー
18 通気弁
181 内筒部材
182 外筒部材
183 弁体
184 コイルバネ
185 シールリング
186 開口
187 内面
188 係合ピン

Claims (19)

  1. 内視鏡の通気弁を開通させる際に該通気弁に装着する内視鏡用アダプタであって、
    前記通気弁に装着される本体部と、
    前記通気弁の弁体を押圧して移動させる押圧部材とを有し、
    前記押圧部材は、その少なくとも一部に、水分子を結晶水として分子構造内に取り込み得る吸湿物質を主成分とする乾燥剤を含有することを特徴とする内視鏡用アダプタ。
  2. 前記押圧部材は、取替え可能である請求項1に記載の内視鏡用アダプタ。
  3. 前記押圧部材は、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている請求項1または2に記載の内視鏡用アダプタ。
  4. 前記本体部の前記通気弁から流出入する気体が通過する部分に設置され、気体を透過させ液体を遮断する機能を有するフィルターを有する請求項1ないし3のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  5. 前記フィルターは、その少なくとも一部に、前記乾燥剤を含有する請求項4に記載の内視鏡用アダプタ。
  6. 前記フィルターは、前記吸湿物質を含有する吸湿層と、前記吸湿層の少なくとも片面側に設けられ、気体を透過させ液体を遮断する撥水層とを有する請求項に記載の内視鏡用アダプタ。
  7. 前記撥水層は、フッ素系樹脂で構成された多孔質体である請求項に記載の内視鏡用アダプタ。
  8. 前記多孔質体は、フッ素系樹脂の繊維の集合体である請求項に記載の内視鏡用アダプタ。
  9. 前記フィルターは、前記乾燥剤の吸湿に伴って、その色が変化し得るよう構成されている請求項5ないしのいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  10. 前記本体部には、前記通気弁から流出入する気体が通過する通気孔が形成され、
    前記フィルターは、板状をなし、前記通気孔を塞ぐように設置されている請求項ないしのいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  11. 前記フィルターは、取替え可能である請求項ないし10のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  12. 前記本体部は、キャップ状をなし、前記通気弁を覆うように装着される請求項1ないし11のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  13. 前記本体部と前記通気弁との間の気密性を確保するシール部材を有する請求項1ないし12のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  14. 前記本体部には、前記通気弁から流出入する気体が通過する通気孔が複数形成されている請求項1ないし13のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  15. 前記乾燥剤の含有量は、1〜40wt%である請求項1ないし14のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  16. 前記乾燥剤は、粉末である請求項1ないし15のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  17. 前記乾燥剤の平均粒径は、1〜30μmである請求項16に記載の内視鏡用アダプタ。
  18. 前記吸湿物質は、硫酸マグネシウムである請求項1ないし17のいずれかに記載の内視鏡用アダプタ。
  19. 前記硫酸マグネシウムは、MgSO・nHO(ただし、0≦n≦3)で表される請求項18に記載の内視鏡用アダプタ。
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