JP4130146B2 - Power steering device - Google Patents

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JP4130146B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、エネルギー損失を防止するための流量制御弁を備えたパワーステアリング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エネルギー損失を防止するための流量制御弁を備えたパワーステアリング装置として、本願出願人が特開2001−260917(特許文献1)として既に開示したものがある。
この従来の装置は、図11に示すように、上記流量制御弁Vのスプール1の一端を一方のパイロット室2に臨ませ、スプール1の他端を他方のパイロット室3に臨ませている。
上記一方のパイロット室2には、ポンプポート4を介してポンプPを常時連通させている。また、この一方のパイロット室2は、流路6→可変オリフィスa→流路7を経由して、パワーシリンダ8を制御するステアリングバルブ9の流入側に連通している。
【0003】
一方、上記他方のパイロット室3には、スプリング5を介在させるとともに、流路10および流路7を介してステアリングバルブ9の流入側に連通している。そのため、上記両パイロット室2,3は、流路6→可変オリフィスa→流路7→流路10を介して連通することになり、可変オリフィスaの上流側の圧力が一方のパイロット室2に作用し、下流側の圧力が他方のパイロット室3に作用することになる。なお、上記可変オリフィスaの開度は、ソレノイドSOLに対するソレノイド電流指令値SIによって制御するようにしている。
【0004】
上記スプール1は、一方のパイロット室2の作用力と、他方のパイロット室3の作用力およびスプリング5のバネ力とがバランスした位置を保つが、そのバランスした位置において、タンクポート11の開度が決められる。
例えば、エンジン等のポンプ駆動源12の作動によって、ポンプPを駆動させると、ポンプポート4に圧油が供給されて、可変オリフィスaに流れが生じる。このように可変オリフィスaに流れが生じると、その前後に差圧が発生し、この差圧によって両パイロット室2,3に圧力差が発生する。そして、この圧力差によってスプール1が図示するノーマル位置からスプリング5に抗して上記バランスする位置に移動する。
【0005】
このようにしてスプール1がノーマル位置から移動すると、タンクポート11の開度が大きくなるが、このときのタンクポート11の開度に応じてポンプPからステアリングバルブ9側に導かれる制御流量QPと、タンクTあるいはポンプPに還流される戻り流量QTとの分配比が決まる。言い換えれば、タンクポート11の開度に応じて制御流量QPが決まることになる。
【0006】
このように制御流量QPがタンクポート11の開度に応じて制御されるということは、結局、可変オリフィスaの開度に応じてこの制御流量QPは決まることになる。なぜなら、タンクポート11の開度を決めるスプール1の移動位置は、両パイロット室2,3の圧力差で決まり、この圧力差を決めているのが可変オリフィスaの開度だからである。
【0007】
したがって、車速や操舵状況に応じて、制御流量QPを制御するためには、可変オリフィスaの開度、すなわちソレノイドSOLに対するソレノイド電流指令値SIを制御すればよいことになる。なぜなら、可変オリフィスaは、ソレノイドSOLの励磁電流の大きさによって、その開度を最大から最小まで任意に制御できるようにしているからである。
【0008】
一方、上記制御流量QPが導かれるステアリングバルブ9は、図示していないステアリングホィールの入力トルク(操舵トルク)に応じて、パワーシリンダ8への供給量を制御する。例えば、操舵トルクが大きければ、ステアリングバルブ9の切り換え量を大きくして、パワーシリンダ8への供給量を増やし、逆に操舵トルクが小さければ、ステアリングバルブ9の切り換え量を小さくして、パワーシリンダ8への供給量を少なくするようにしている。そして、パワーシリンダ8は、圧油の供給量が多いほど大きいアシスト力を発揮し、供給量が少ないほどアシスト力を小さくする。
なお、操舵トルクとステアリングバルブ9の切り換え量は、図示していないトーションバーなどのねじれ反力によって設定している。
【0009】
上記のようにしてパワーシリンダ8に供給される要求流量QMは、ステアリングバルブ9によって制御されているが、このステアリングバルブ9に供給される制御流量QPは、上記したように流量制御弁Vによって制御されている。ここで、パワーシリンダ8が必要とする要求流量QMと、流量制御弁Vで決められる制御流量QPとをなるべく等しくすれば、ポンプP側のエネルギー損失を低く抑えることができる。なぜなら、ポンプP側のエネルギー損失は、制御流量QPとパワーシリンダ8の要求流量QMとの差によって発生するからである。
そこで、制御流量QPをパワーシリンダ8の要求流量QMにできるだけ近づけて、エネルギー損失を防止するために、この従来例では、可変オリフィスaの開度を制御するようにしている。この可変オリフィスaの開度は、上記したようにソレノイドSOLに対する励磁電流で決まるが、この励磁電流を制御するのが以下に説明するコントローラCである。
【0010】
このコントローラCには、操舵角センサ14と車速センサ15とを接続している。このコントローラCは、図12に示すように、操舵角センサ14によって検出した操舵角に基づいて電流指令値I1を特定し、また、操舵角を微分して算出した操舵角速度に基づいて電流指令値I2を特定する。
なお、上記操舵角と電流指令値I1とは、その操舵角と制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値に基づいて決めている。また、操舵角速度と電流指令値I2との関係も、操舵角速度と制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値に基づいて決めている。ただし、これら電流指令値I1および電流指令値I2は、操舵角および操舵角速度がある設定値以上にならなければ、いずれもゼロを出力するようにしている。つまり、ステアリングホィールが中立あるいはその近傍にあるときに、上記電流指令値I1もI2もゼロにすることによって、中立近傍を不感帯域としている。
【0011】
また、コントローラCは、車速センサ15の検出値に基づいて、操舵角用電流指令値I3と操舵角速度用電流指令値I4とを出力するようにしている。
上記操舵角用電流指令値I3は、低速域で1を出力し、最高速域で例えば0.6を出力するようにしている。また、上記操舵角速度用電流指令値I4は、低速域で1を出力し、最高速域で例えば0.8を出力するようにしている。つまり、低速域から最高速域でのゲインは、1〜0.6の範囲で制御する操舵角用電流指令値I3の方が、1〜0.8の範囲で制御する操舵角速度用電流指令値I4よりも大きくなるようにしている。
【0012】
そして、上記操舵角用電流指令値I3を、操舵角による電流指令値I1に掛け合わせるようにしている。そのため、この乗算結果である操舵角系の電流指令値I5は、高速になればなるほど小さくなる。しかも、操舵角用電流指令値I3のゲインを、操舵角速度用電流指令値I4のゲインよりも大きく設定しているので、高速になればなるほどその減少率が大きくなる。つまり、低速域では応答性を高く保ち、高速域になると応答性を下げるようにしている。このように車速に応じて応答性を変化させるのは、一般に、高速走行中においては、それほど高い応答性を必要とせず、高い応答性を必要とするのは、ほとんどの場合低速域だからである。
【0013】
一方、操舵角速度による電流指令値I2には、操舵角速度用電流指令値I4を限界値として、操舵角速度系の電流指令値I6を出力させるようにしている。この電流指令値I6も、車速に応じて減少させるようにしている。ただし、操舵角速度用電流指令値I4のゲインは、操舵角用電流指令値I3よりも小さくしているので、電流指令値I6の減少率は、電流指令値I5の場合よりも小さい。
このように車速に応じて限界値を設定したのは、高速走行中に過剰なアシスト力が発揮されることを主に防止するためである。
【0014】
上記のようにして出力された操舵角系の電流指令値I5と操舵角速度系の電流指令値I6との大小を比較し、大きな方の値を採用するようにしている。
例えば、高速走行時には、ステアリングを急操作することはほとんどないので、操舵角系の電流指令値I5の方が、操舵角速度系の電流指令値I6よりも大きくなるのが通常である。そのため、高速走行時には、ほとんどの場合、操舵角系の電流指令値I5が選択される。そして、このときのステアリング操作の安全性・安定性を高めるために、電流指令値I5のゲインを大きくしている。つまり、走行速度が速くなればなるほど、制御流量QPを少なくする比率を高めて、走行時の安全性・安定性を高めるようにしている。
【0015】
一方、低速走行時には、ステアリングを急操作することが多くなるので、多くの場合に操舵角速度の方が大きくなる。そのため、低速走行時には、ほとんど操舵角速度系の電流指令値I6が選択される。そして、このように操舵角速度が大きい場合には、応答性が重視される。
したがって、低速走行時には、ステアリング操作の操作性すなわち応答性を高めるために、操舵角速度を基準にしながら、その操舵角速度系の電流指令値I6のゲインを小さくしている。言い換えれば、走行速度がある程度速くなっても、ステアリングを急操作したときには、制御流量QPを十分に確保することによって、応答性を確保するようにしている。
【0016】
上記のようにして選択された電流指令値I5あるいはI6には、スタンバイ用電流指令値I7を加算する。そして、このスタンバイ用電流指令値I7を加算した値を、ソレノイド電流指令値SIとして駆動装置16に出力する。
【0017】
このようにスタンバイ用の電流指令値I7を加算しているので、ソレノイド電流指令値SIは、操舵角、操舵角速度および車速に基づく電流指令値が全てゼロの場合でも、所定の大きさを保っている。そのため、所定の流量がステアリングバルブ9側に常に供給されることになる。エネルギー損失を防止するという観点からすれば、パワーシリンダ8およびステアリングバルブ9側の要求流量QMがゼロなら、流量制御弁Vの制御流量QPもゼロにするのが理想的である。つまり、制御流量QPをゼロにするということは、ポンプPの吐出量全量をタンクポート11からポンプPまたはタンクTに還流させること意味する。そして、タンクポート11からポンプPまたはタンクTに還流する流路は、本体B内にあって非常に短いので、その圧力損失がほとんどない。圧力損失がほとんどないので、ポンプPの駆動トルクも最小に抑えられ、その分、省エネにつながることになる。このような意味から、要求流量QMがゼロのときに、制御流量QPもゼロにするのが、エネルギー損失を防止するという観点からは有利になる。
【0018】
それにもかかわらず、要求流量QMがゼロのときでもスタンバイ用電流指令値I7からなるスタンバイ流量QSを確保しているのは、以下の理由からである。
第1に、装置の焼き付きを防止するためである。すなわち、スタンバイ流量QSを装置に循環させることによって、冷却効果が期待できるからである。
第2に、応答性を確保するためである。すなわち、上記のようにスタンバイ流量QSを確保しておけば、それが全然ないときよりも、目的の制御流量QPに到達する時間が短くてすむ。この時間差が応答性になるので、結局、スタンバイ流量QSを確保した方が、応答性を向上させることができる。
【0019】
第3に、キックバック等の外乱やセルフアライニングトルクに対抗するためでもある。すなわち、タイヤに外乱やセルフアライニングトルク等による抗力が作用すると、それがパワーシリンダ8のロッドに作用する。もし、スタンバイ流量QSを確保しておかなければ、この外乱やセルフアライニングトルクによる抗力で、タイヤがふらついてしまう。しかし、スタンバイ流量を確保しておけば、上記のような抗力が作用したとしても、タイヤがふらついたりしない。すなわち、上記パワーシリンダ8のロッドには、ステアリングバルブ9を切り換えるためのピニオン等がかみ合っているので、上記抗力が作用すると、ステアリングバルブ9も切り換わって、その抗力に対抗する方向にスタンバイ流量QSを供給することになる。したがって、スタンバイ流量QSを確保しておけば、上記キックバックによる外乱やセルフアライニングトルクに対抗できることになる。
【0020】
次に、この従来例の作用を説明する。
車両の走行中には、操舵角によるソレノイド電流指令値I1と操舵角用電流指令値I3との乗算値である操舵角系の電流指令値I5が出力される。それとともに、操舵角速度系の電流指令値I6が出力される。この電流指令値I6は、操舵角速度によるソレノイド電流指令値I2の、操舵角速度用電流指令値I4を限界値としたものである。
そして、操舵角系の電流指令値I5と操舵角速度系の電流指令値I6との大小が判定されるとともに、その大きい方の電流指令値I5あるいはI6に、スタンバイ用電流指令値I7が加算され、そのときのソレノイド電流指令値SIが決められる。このソレノイド電流指令値SIは、車両の高速走行時には、主に操舵角系の電流指令値I5が基準となり、車両の低速走行時には、主に操舵角速度系の電流指令値I6が基準となる。
【0021】
なお、スプール1の先端には、スリット13を形成している。このスリット13は、スプール1が図示するノーマル位置にあるときでも、一方のパイロット室2と可変オリフィスaとを連通させるものである。すなわち、スプール1がノーマル位置にあるときでも、ポンプポート4から一方のパイロット室2に供給された圧油を、上記スリット13→流路6→可変オリフィスa→流路7を介してステアリングバルブ9側に供給することによって、装置の焼き付きの防止、キックバック等の外乱の防止、および応答性を確保するようにしている。
また、図中符号17,18は絞りであり、符号19はリリーフ弁である。
【0022】
【特許文献1】
特開2001−260917号公報(第3頁〜第7頁、図1,図2)
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来のパワーステアリング装置では、ドライバーが例えばステアリングホィールを一方向に60deg操舵した状態から他方向に60deg操舵すると、図13に示すように、操舵角系および操舵角速度系の電流指令値I1、I2は、中立位置付近において一旦0まで下がった後、再び復帰する。すなわち、電流指令値I1,I2が中立位置付近でV字を描き、この電流指令値I1,I2が急激に変化する。このような電流指令値I1、I2が、ソレノイド電流指令値SIとしてそのまま出力されると、ステアリングバルブ9への制御流量QPも急激に変化する。そして、このようにステアリングバルブ9への制御流量QPが急激に変化すると、ドライバーが必要とする操舵トルクも急激に変化するため、ドライバーに違和感を与えるという問題があった。
【0024】
また、ステアリングホィールを大舵角域で止めた場合には、操舵角に応じた電流指令値が出力されるため、制御流量の急激な減少はほとんど生じないが、大舵角域にあるステアリングホィールを小舵角域で止めた場合には、操舵角に応じた電流指令値が減少するだけでなく、それまで出力されていた操舵角速度用の電流指令値も出力されなくなるので、電流指令値の急激な減少が生じる。このように電流指令値が急激に減少すると、制御流量QPが急激に減少するために、必要とする操舵トルクの急増によって、結果的にドライバーに違和感を与えるという問題があった。
この発明の目的は、入力される電流指令値が急激に減少した場合でも、ドライバーに違和感を与えることのないパワーステアリング装置を提供することである。
【0025】
【課題を解決するための手段】
この発明は、パワーシリンダを制御するステアリングバルブと、このステアリングバルブの上流側に設けた可変オリフィスと、この可変オリフィスの開度を制御するソレノイドと、このソレノイドを駆動するソレノイド電流指令値SIを制御するコントローラと、このコントローラに接続するとともに操舵角や操舵角速度などの操舵状況を検出する操舵状況検出センサと、ポンプから供給される圧油を上記可変オリフィスの開度に応じてステアリングバルブ側とタンク又はポンプ側とに分配する流量制御弁とを備え、上記コントローラが、操舵状況検出センサからの各種信号に対応する電流指令値に基づいて、ソレノイド電流指令値SIを特定するパワーステアリング装置を前提とする。
【0026】
第1の発明は、上記発明を前提にしつつ、上記コントローラには、電流指令値特性記憶部と、遅れ制御特性記憶部と、実行部と、電流指令値維持部とを備え、上記電流指令値特性記憶部が操舵状況検出センサからの操舵角信号に基づく実際の電流指令値Ibを記憶し、上記遅れ制御特性記憶部が基準電流指令値Iaを特定する基準減少率Δaを記憶し、上記実行部が電流指令値Ibの単位時間当たりの減少率Δbを算出するとともに、この算出した減少率Δbと基準減少率Δaとの大小を比較して、Δa≧Δbのときに実際の電流指令値Ibを出力し、Δa<Δbのときに基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaを出力する一方、上記電流指令値維持部は、車速が所定の値以下のときに、上記実行部が出力する、その時点における基準電流指令値Iaを維持する。
【0027】
第2の発明は、上記発明を前提にしつつ、上記コントローラには、電流指令値特性記憶部と、遅れ制御特性記憶部と、実行部と、電流指令値維持部とを備え、上記電流指令値特性記憶部が操舵状況検出センサからの操舵角信号に基づく実際の電流指令値Ibを記憶し、上記遅れ制御特性記憶部が基準電流指令値Iaを特定する基準減少率Δaを記憶し、上記実行部が電流指令値Ibの単位時間当たりの減少率Δbを算出するとともに、この算出した減少率Δbと基準減少率Δaとの大小を比較して、Δa≧Δbのときに実際の電流指令値Ibを出力し、Δa<Δbのときに基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaを出力する一方、上記電流指令値維持部は、操舵角速度が所定の値以上のときに、上記実行部が出力する、その時点における基準電流指令値Iaを維持する。
【0028】
そして、上記第1,第2の発明によれば、上記基準電流指令値Iaが出力された場合や、出力電流指令値が維持された場合には、ステアリングバルブに対する供給流量の減少率を、小さくする方向に制御することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
図1〜図5に、この発明の第1実施形態を示すが、図11に示したコントローラC以外の構成については、前記従来例と全く同じでなので、以下ではコントローラCについてのみ説明する。
【0030】
図1に示すように、コントローラCは、操舵角センサ14によって検出した操舵角に基づいて電流指令値I1を特定し、また、操舵角を微分して算出した操舵角速度に基づいて電流指令値I2を特定する。ただし、操舵角速度センサを別に設けて、この操舵角速度センサによって検出した操舵角速度に基づいて上記電流指令値I2を特定してもよい。
上記操舵角と電流指令値I1とは、その操舵角と制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値に基づいて決めている。また、操舵角速度と電流指令値I2との関係も、操舵角速度と制御流量QPとの関係がリニアな特性になる理論値に基づいて決めている。
【0031】
また、コントローラCは、車速センサ15の検出値に基づいて、操舵角用の電流指令値I3と操舵角速度用の電流指令値I4とを出力するようにしている。上記電流指令値I3は、車速がゼロまたは極微速域にあるときに小さくなり、一定の速度以上になると1を出力する。また、上記電流指令値I4は、車速がゼロまたは極微速域にあるときに1より大きな値を出力し、一定の速度以上になると1を出力する。これら電流指令値のうち、電流指令値I3を上記操舵角系の電流指令値I1に乗算し、電流指令値I4を上記操舵角速度系の電流指令値I2に乗算するようにしている。
【0032】
上記のように車速に基づく電流指令値I3を乗算するのは、ステアリングホィールを切った状態で、車両が停止していたり極微速域にあったりする場合のエネルギー損失を防止するためである。例えば、車庫入れのときに、ステアリングホィールを切った状態でしばらくエンジンをかけて停止していることがあるが、このような場合でも、操舵角に応じた電流指令値I1がソレノイド電流指令値SIとして出力されていると、無駄な流量がステアリングバルブ9側に供給されることになる。このような無駄を防止するために、車速が0または極微速域にあるときに、電流指令値I3を乗算し、操舵角系の電流指令値I1を小さくするようにしている。
ただし、上記のようにして電流指令値I3を小さくすると、ステアリングホィールを保舵した状態から切り始めるときの応答性が悪くなるので、車速0または極微速域で大きな値を出力する電流指令値I4を、操舵角速度系の電流指令値I2に乗算して、応答性を確保するようにしている。
【0033】
上記車速に基づく電流指令値I3を乗算したら、この乗算後の電流指令値(I1×I3)に、遅れ制御部または電流指令値維持部によって所定の制御をかける。なお、これら遅れ制御部および電流指令値維持部の機能については後で詳しく説明する。
上記遅れ制御部および電流指令値維持部によって所定の制御をかけた後、その電流指令値に車速に基づいて設定した電流指令値I5を乗算する。
また、操舵角速度系の電流指令値(I2×I4)にも、車速に基づいて設定した電流指令値I6を乗算する。
【0034】
上記電流指令値I5,I6は、低速域で1を出力し、最高速域では1以下の小数点の値を出力するようにしている。そのため、低速域では入力値をそのまま出力するが、高速になればなるほど出力値が小さくなる。つまり、低速域では応答性を高く保ち、高速域になると応答性を下げるようにしている。このように車速に応じて応答性を変化させるのは、一般に、高速走行中においては、それほど高い応答性を必要とせず、高い応答性を必要とするのは、ほとんどの場合低速域だからである。
【0035】
上記乗算後の各電流指令値は、車速に基づいて設定した電流指令値I7,I8を限界値として出力される。すなわち、乗算後の値が、そのときの車速に応じた電流指令値I7,I8を超えている場合には、この超えた分をカットして、限界値内の電流指令値をそれぞれ出力させるようにしている。このように車速に基づく限界値を設定したのは、高速走行中に過剰なアシスト力が発揮されることを防止するためである。
なお、上記電流指令値I7,I8も、車速に応じて減少させるようにしているが、そのゲインは上記電流指令値I5,I6のゲインよりも小さく設定している。
【0036】
次に、上記のように限界値内に抑えられた操舵角系の電流指令値と操舵角速度系の電流指令値との大小を比較して、大きい方の値を採用する。そして、この大きい方の電流指令値が基本電流指令値Idとなる。
このようにして基本電流指令値Idを求めたら、この基本電流指令値Idにスタンバイ用の電流指令値Isを加算する。ただし、スタンバイ用の電流指令値Isをそのまま加算するのではなく、スタンバイ用の電流指令値Isに、車速に基づいて設定した電流指令値I9を乗算した値を加算する。
【0037】
上記車速に基づく電流指令値I9は、低速域では1を出力しているが、中速域では車速が高くなるにつれてその値が徐々に小さくなる。そして、高速域になると最小値を保つようにしている。したがって、この車速に基づく電流指令値I9とスタンバイ用の電流指令値Isとを乗算した値は、低速域ではそのまま出力され、中速域から高速域にかけて次第に小さくなる。そして、高速域では、最小値を保つことになる。高速域でスタンバイ用の電流指令値を小さくすれば、高速域におけるスタンバイ流量の無駄を防止することができる。
なお、高速域でも、電流指令値I9と電流指令値Isとを乗算した値がゼロにならないように設定している。
【0038】
上記のように基本電流指令値Idにスタンバイ用の電流指令値(Is×I9)を加算したら、その加算後の値をソレノイド電流指令値SIとして駆動装置16(図11参照)に出力する。そして、この駆動装置16が、ソレノイド電流指令値SIに対応した励磁電流をソレノイドSOLに出力することになる。
【0039】
以上のようにして、ソレノイド電流指令値SIを制御しているが、例えば、図2に示すように、ステアリングホィールを左側に操舵している状態から中立位置を超えて右側に操舵する場合、遅れ制御がない従来例では、電流指令値が図3の実線で示すようにほぼV字を描く。仮に、この電流指令値のみに基づいてソレノイド電流指令値SIが制御されたとすると、パワーシリンダ8によるアシスト力は、一旦急激に減少した後、再び急激に増加することになる。このようにアシスト力が急激に変化すると、ドライバーがステアリングホィールを操舵するのに必要とする操舵トルクも、図4の実線で示すように大きく変化する。そして、このように操舵トルクが大きく変化することによって、ドライバーに違和感を与えることになる。
【0040】
そこで、この違和感の原因となるソレノイド電流指令値SIの急激な変化を防止するために、遅れ制御部及び電流指令値維持部がその機能を発揮するが、これら遅れ制御部及び電流指令値維持部について以下に説明する。
上記遅れ制御部は、電流指令値特性記憶部と、遅れ制御特性記憶部と、遅れ制御を実行する実行部とを備えている。
上記電流指令値特性記憶部は、乗算後の電流指令値(I1×I3)を記憶する機能を有している。なお、この乗算後の電流指令値(I1×I3)のことを、以下では「実際の電流指令値Ib」と呼ぶ。
また、上記遅れ制御特性記憶部は、基準減少率Δaを記憶している。この基準減少率Δaは、図3の破線で示す基準電流指令値Iaを特定するための値であって、実験などによって決めている。
一方、上記電流指令値維持部は、出力する電流指令値を一定に維持する機能を有しているが、車速判定部からの信号によって、その機能がオンオフされるようにしている。また、上記車速判定部は、車速センサによって検出した車速が一定値以下のときに低速と判断し、このとき電流指令値維持部の機能をオンにする。また、車速センサによって検出した車速が一定値を超えると高速と判断し、このとき電流指令値維持部の機能をオフにする。
【0041】
上記のようにした遅れ制御部及び電流指令値維持部は、図5に示すように、まずステップ0において、基準減少率Δaを取り込んで、それを遅れ制御特性記憶部に記憶する。
次に、ステップ1において、時間t1における実際の電流指令値Ib(t1)を検出して、ステップ2で時間t1と検出した電流指令値Ib(t1)を記憶する。
ステップ3では、一定時間経過後の時間t2における実際の電流指令値Ib(t2)を検出する。そして、ステップ4で、この時間t2と検出した電流指令値Ib(t2)とを記憶する。
ステップ5では、上記電流指令値Ib(t1)と電流指令値Ib(t2)とを比較する。そして、電流指令値Ib(t2)の方が小さい場合、すなわち電流指令値が減少したと判断した場合にはステップ6に移り、実際の電流指令値Ibの単位時間当たりの減少率Δbを算出する。
【0042】
ステップ7では、車速を検出し、ステップ8においてこの車速が低速か高速かを車速判定部が判断する。そして、車速判定部が高速と判断した場合には、ステップ9に移り、基準減少率Δaを設定する。このようにして基準減少率Δaを設定したら、ステップ10において、この基準減少率Δaと実際の減少率Δbとを比較する。そして、基準減少率Δaの方が実際の減少率Δbよりも小さいと判断した場合には、ステップ11に移り、基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaを出力する。このように基準電流指令値Iaが出力されると、図3に示すように、実際の電流指令値Ibよりも大きな値が出力されることになる。したがって、図4に示すように、操舵トルクの急増を抑えることができるので、ドライバーに与える違和感を防止できる。
【0043】
ステップ12では、基準電流指令値Iaと実際の電流指令値Ib(t2)とを比較して、基準電流指令値Iaが電流指令値Ib(t2)よりも大きい場合にはステップ13において車速を検出し、ステップ14においてこの車速が高速が低速かを判断する。そして、高速の場合には上記ステップ10に戻り、その減少率Δaが実際の減少率Δbよりも小さい場合には、基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaで引き続き制御することになる。
一方、ステップ14において低速と判断された場合にはステップ17に移り、図3に示すように、その時点で出力されていた電流指令値Iaを維持する。このように電流指令値Iaを維持すると、図4に示すように、それ以上、操舵トルクが上昇することがないので、操舵トルクの増加によって生じる違和感をより確実に防止できる。
【0044】
ステップ18では、上記一定に維持されている基準電流指令値Iaが、実際の電流指令値Ibよりも大きいか否かを判断する。基準電流指令値Iaが実際の電流指令値Ib(t2)よりも大きい場合には、ステップ16に移り、t2をt1に置き換えるとともに、Ib(t2)をIb(t1)に置き換える。そして、再びステップ2に戻り、上記手順を繰り返すことになる。
一方、上記ステップ18において、一定に維持されている電流指令値Iaが、実際の電流指令値Ib(t2)以下になると、この実際の電流指令値Ib(t2)で制御することになる(ステップ15)。そして、その後、ステップ16に移り、上記と同様にステップ2に戻る。
【0045】
なお、上記ステップ5において、電流指令値Ib(t2)の方が大きいと判断した場合には、ステップ15に移り、実際の電流指令値Ib(t2)を出力する。このような場合は、操舵角の中立から切り込んでいく操舵状態を示すことから、操舵力が増加する方向にあり、このような状況で電流指令値Ibを遅らせると、過度な操舵力を招くことになる。そこで、上記したように、実際の電流指令値Ib(t2)を出力するようにしている。
また、上記ステップ10において、基準減少率Δaの方が実際の減少率Δbよりも大きいと判断した場合にもステップ15に移り、実際の電流指令値Ib(t2)を出力する。つまり、電流指令値は減少しているが、それほど急激に減少していない場合には、実際の電流指令値Ib(t2)で制御する。
【0046】
一方、上記ステップ8において低速と判断された場合には、ステップ17に移り、その時点で出力されている実際の電流指令値Ibに、電流指令値Iaを維持させることになるが、この時点で出力される電流指令値Iaというのは、実際の電流指令値Ibに相当するものである。したがって、低速の状態でステアリングホィールを操作する場合には、電流指令値は全く減少しない。
【0047】
以上のように、この第1実施形態によれば、実際の電流指令値Ibが減少している場合であって、しかも、その減少率Δbが基準減少率Δaよりも大きいと判断した場合に限り、基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaを出力するようにしている。このようにすれば、図4の破線で示すように、ドライバーが必要とする操舵トルクも緩やかに減少するので、実際の電流指令値Ibに基づいた操舵トルクよりも変化量を少なく抑えることができる。したがって、操舵トルクの急激な変化によって生じる違和感を防止することができる。
【0048】
また、特に車速が低速の場合には、その時点で出力されている実際の電流指令値Ib(t2)に、電流指令値Iaを維持するので、低速走行時のスムーズな操舵が可能となる一方で、高速走行時には、メリハリのある中立感を与えることができる。
【0049】
一方、図6〜図10に示した第2実施形態は、電流指令値維持部のオンオフの切り換えを、操舵角速度判定部によって制御するものである。すなわち、この第2実施形態では、図10の制御フローに示すように、ステップ1からステップ6までの手順については上記第1実施形態と同じであるが、ステップ7では操舵角速度を検出し、ステップ8では操舵角速度の大小を判定している。また、これらステップ7,8と同様に、ステップ13においても操舵角速度を検出し、ステップ14で操舵角速度の大小を判定している。
なお、この第2実施形態において、ステップ10からステップ12までの手順と、ステップ15及びステップ16の手順は、上記第1実施形態と全く同じである。
【0050】
上記ステップ8及びステップ14では、操舵角速度が所定の値よりも大きいと判断した場合にステップ17に移り、そのとき出力されている電流指令値Iaを維持する。操舵角速度が大きい場合というのは、車両が低速で走行していることが多い。そこで、この第2実施形態では、操舵角速度に基づいて車速を予測し、上記第1実施形態と同様に、走行状態に適した制御ができるようにしている。
一方、操舵角速度が小さい場合というのは、車両が高速で走行している場合が多いので、上記ステップ8及びステップ14において、操舵角速度が所定の値以下であると判断した場合には、基準減少率Δaが実際の減少率Δbよりも小さい場合に基準電流指令値Iaを出力し、その逆の場合には実際の電流指令値Ibを出力する。
このようにした第2実施形態によっても、上記第1実施形態と同様に、車両が低速域にある場合の操舵をスムーズに行うとともに、高速走行時には、メリハリのある中立感を与えることができる。
【0051】
なお、上記第1、第2実施形態では、電流指令値I5,I6をゲインとして乗じた直後に、電流指令値I7,I8を限界値とするリミッターを個別に設定しているが、個別にリミッターを設定する代わりに、スタンバイ用の電流指令値を加算した後の値に、車速に応じた電流指令値を限界値とするリミッターを一律に設定してもよい。
また、車速に基づく電流指令値I5,I6を個別に乗じる代わりに、大小判定後の値に、車速に基づく電流指令値をゲインとして一律に乗じてもよい。
さらに、スタンバイ用の電流指令値を加算した後の値に、車速に応じた電流指令値を限界値とするリミッターを一律に設定してもよいし、大小判定後の値に、車速に基づく電流指令値をゲインとして一律に乗じてもよい。
【0052】
一方、上記第1、第2実施形態では、流量制御弁Vの可変オリフィスaの開度をコントローラCで制御することで、制御流量QPに無駄が生じないようにしているが、この制御流量QPというのは、図11に示したように、タンクポート11の開度を調節することによって制御している。すなわち、ポンプPの吐出油のうち、不要な流量をタンクポート11を介してタンクTに環流させることによって、制御流量QPを制御している。そして、ポンプPの吐出油をタンクポート11に導く流路というのは、本体Bの内部にあるために非常に短い。したがって、この環流させる流路において、圧力損失がほとんど生じないため、油温の上昇もほとんどない。つまり、上記第1〜第3実施形態では、流量制御弁Vが、制御流量QP以外の流量をタンクポート11を介してタンクTに環流させる構成にしているので、油温の上昇を抑えるという効果も得ることができる。
【0053】
【発明の効果】
第1、第2の発明によれば、入力される電流指令値が急激に減少した場合でも、遅れ制御をかけることによって、出力される電流指令値の急激な変動が緩和されるので、ステアリングバルブに対する供給流量の減少率も小さくする方向に制御することができる。したがって、必要とする操舵トルクの急激な変化が原因で従来生じていた違和感も防止することができる。
また、車速が低速になったとき、あるいは操舵角速度が大きくなったときに、その時点で出力されている電流指令値を維持するので、車両が低速域にある場合の操舵をスムーズに行うとともに、高速走行時には、メリハリのある中立感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。
【図2】操舵角と時間との関係を示す説明図である。
【図3】電流指令値と時間との関係を示す説明図である。
【図4】必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。
【図5】第1実施形態のコントローラCの制御フロー図である。
【図6】第2実施形態のコントローラCの制御ブロック図である。
【図7】操舵角と時間との関係を示す説明図である。
【図8】電流指令値と時間との関係を示す説明図である。
【図9】必要とする操舵トルクと時間との関係を示す説明図である。
【図10】第2実施形態のコントローラCの制御フロー図である。
【図11】従来の装置の全体図である。
【図12】従来のコントローラCの制御ブロック図である。
【図13】従来の操舵時の電流指令値の変化を示したグラフである。
【符号の説明】
V 流量制御弁
P ポンプ
SOL ソレノイド
T タンク
a 可変オリフィス
8 パワーシリンダ
9 ステアリングバルブ
C コントローラ
14 操舵角センサ
15 車速センサ
SI ソレノイド電流指令値
Is スタンバイ用の電流指令値
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a power steering apparatus provided with a flow control valve for preventing energy loss.
[0002]
[Prior art]
As a power steering apparatus provided with a flow control valve for preventing energy loss, there is one already disclosed by the present applicant as Japanese Patent Application Laid-Open No. 2001-260917 (Patent Document 1).
In this conventional apparatus, as shown in FIG. 11, one end of the spool 1 of the flow control valve V faces one pilot chamber 2 and the other end of the spool 1 faces the other pilot chamber 3.
A pump P is always in communication with the one pilot chamber 2 through a pump port 4. The one pilot chamber 2 communicates with the inflow side of the steering valve 9 that controls the power cylinder 8 via the flow path 6 → the variable orifice a → the flow path 7.
[0003]
On the other hand, in the other pilot chamber 3, a spring 5 is interposed and communicated with the inflow side of the steering valve 9 through a flow path 10 and a flow path 7. Therefore, the pilot chambers 2 and 3 communicate with each other through the flow path 6 → the variable orifice a → the flow path 7 → the flow path 10, and the pressure upstream of the variable orifice a is applied to one pilot chamber 2. The downstream pressure acts on the other pilot chamber 3. The opening of the variable orifice a is controlled by a solenoid current command value SI for the solenoid SOL.
[0004]
The spool 1 maintains a position where the acting force of one pilot chamber 2 and the acting force of the other pilot chamber 3 and the spring force of the spring 5 are balanced, but at the balanced position, the opening degree of the tank port 11 is maintained. Is decided.
For example, when the pump P is driven by the operation of a pump drive source 12 such as an engine, pressure oil is supplied to the pump port 4 and a flow is generated in the variable orifice a. When a flow occurs in the variable orifice a in this way, a differential pressure is generated before and after that, and a pressure difference is generated in both pilot chambers 2 and 3 due to this differential pressure. Then, due to this pressure difference, the spool 1 moves from the normal position shown in the figure to the balance position against the spring 5.
[0005]
When the spool 1 moves from the normal position in this way, the opening degree of the tank port 11 increases, but the control flow rate QP guided from the pump P to the steering valve 9 side according to the opening degree of the tank port 11 at this time The distribution ratio with the return flow rate QT returned to the tank T or the pump P is determined. In other words, the control flow rate QP is determined according to the opening degree of the tank port 11.
[0006]
Thus, the fact that the control flow rate QP is controlled according to the opening degree of the tank port 11 ultimately determines the control flow rate QP according to the opening degree of the variable orifice a. This is because the moving position of the spool 1 that determines the opening of the tank port 11 is determined by the pressure difference between the pilot chambers 2 and 3, and this pressure difference is determined by the opening of the variable orifice a.
[0007]
Therefore, in order to control the control flow rate QP according to the vehicle speed and the steering situation, it is only necessary to control the opening of the variable orifice a, that is, the solenoid current command value SI for the solenoid SOL. This is because the opening of the variable orifice a can be arbitrarily controlled from the maximum to the minimum depending on the magnitude of the excitation current of the solenoid SOL.
[0008]
On the other hand, the steering valve 9 to which the control flow rate QP is guided controls the supply amount to the power cylinder 8 in accordance with an input torque (steering torque) of a steering wheel (not shown). For example, if the steering torque is large, the switching amount of the steering valve 9 is increased to increase the supply amount to the power cylinder 8. Conversely, if the steering torque is small, the switching amount of the steering valve 9 is decreased to reduce the power cylinder. The supply amount to 8 is reduced. The power cylinder 8 exhibits a larger assist force as the pressure oil supply amount is larger, and the assist force is smaller as the supply amount is smaller.
Note that the switching amount of the steering torque and the steering valve 9 is set by a torsional reaction force such as a torsion bar (not shown).
[0009]
The required flow rate QM supplied to the power cylinder 8 as described above is controlled by the steering valve 9. The control flow rate QP supplied to the steering valve 9 is controlled by the flow rate control valve V as described above. Has been. Here, if the required flow rate QM required by the power cylinder 8 and the control flow rate QP determined by the flow rate control valve V are made as equal as possible, the energy loss on the pump P side can be kept low. This is because the energy loss on the pump P side is caused by the difference between the control flow rate QP and the required flow rate QM of the power cylinder 8.
Therefore, in order to prevent the energy loss by making the control flow rate QP as close as possible to the required flow rate QM of the power cylinder 8, the opening degree of the variable orifice a is controlled in this conventional example. The opening degree of the variable orifice a is determined by the excitation current for the solenoid SOL as described above, and the controller C described below controls the excitation current.
[0010]
A steering angle sensor 14 and a vehicle speed sensor 15 are connected to the controller C. As shown in FIG. 12, the controller C specifies the current command value I1 based on the steering angle detected by the steering angle sensor 14, and also determines the current command value based on the steering angular velocity calculated by differentiating the steering angle. I2 is specified.
The steering angle and the current command value I1 are determined on the basis of a theoretical value in which the relationship between the steering angle and the control flow rate QP is a linear characteristic. Further, the relationship between the steering angular velocity and the current command value I2 is also determined based on a theoretical value in which the relationship between the steering angular velocity and the control flow rate QP is a linear characteristic. However, the current command value I1 and the current command value I2 are both set to output zero unless the steering angle and the steering angular velocity exceed a certain set value. That is, when the steering wheel is in the neutral position or in the vicinity thereof, the current command values I1 and I2 are set to zero to make the neutral vicinity a dead band.
[0011]
Further, the controller C outputs a steering angle current command value I3 and a steering angular velocity current command value I4 based on the detection value of the vehicle speed sensor 15.
The steering angle current command value I3 is set to 1 in the low speed range and to, for example, 0.6 in the maximum speed range. Further, the steering angular velocity current command value I4 is set to 1 in the low speed range and, for example, 0.8 in the maximum speed range. That is, the steering angle current command value controlled in the range of 1 to 0.8 is controlled by the steering angle current command value I3 controlled in the range of 1 to 0.6. It is made larger than I4.
[0012]
The steering angle current command value I3 is multiplied by the steering angle current command value I1. Therefore, the steering angle system current command value I5, which is the multiplication result, becomes smaller as the speed increases. In addition, since the gain of the steering angle current command value I3 is set to be larger than the gain of the steering angular velocity current command value I4, the reduction rate increases as the speed increases. That is, the responsiveness is kept high in the low speed range, and the responsiveness is lowered in the high speed range. The reason why the responsiveness is changed in accordance with the vehicle speed in this way is generally that high responsiveness is not required during high-speed driving, and high responsiveness is generally required in the low speed range. .
[0013]
On the other hand, for the current command value I2 based on the steering angular velocity, the steering angular velocity current command value I6 is output using the steering angular velocity current command value I4 as a limit value. The current command value I6 is also decreased according to the vehicle speed. However, since the gain of the steering angular velocity current command value I4 is smaller than the steering angular current command value I3, the rate of decrease of the current command value I6 is smaller than that of the current command value I5.
The reason why the limit value is set according to the vehicle speed is mainly to prevent the excessive assist force from being exerted during high-speed traveling.
[0014]
The steering angle system current command value I5 and the steering angular velocity system current command value I6 output as described above are compared, and the larger value is adopted.
For example, the steering angle system current command value I5 is usually larger than the steering angle speed system current command value I6 because the steering is hardly operated suddenly at high speed. Therefore, in most cases, the current command value I5 for the steering angle system is selected during high speed traveling. In order to increase the safety and stability of the steering operation at this time, the gain of the current command value I5 is increased. That is, the higher the traveling speed, the higher the ratio of decreasing the control flow rate QP, thereby improving the safety and stability during traveling.
[0015]
On the other hand, when the vehicle is traveling at a low speed, the steering is frequently operated suddenly. In many cases, the steering angular velocity is larger. For this reason, the current command value I6 of the steering angular velocity system is almost selected during low-speed traveling. When the steering angular velocity is large as described above, responsiveness is emphasized.
Therefore, when the vehicle is traveling at low speed, the gain of the current command value I6 of the steering angular velocity system is reduced with reference to the steering angular velocity in order to improve the operability of the steering operation, that is, the responsiveness. In other words, even when the traveling speed is increased to some extent, when the steering is suddenly operated, the control flow rate QP is sufficiently ensured to ensure responsiveness.
[0016]
The standby current command value I7 is added to the current command value I5 or I6 selected as described above. Then, a value obtained by adding the standby current command value I7 is output to the drive device 16 as a solenoid current command value SI.
[0017]
Since the standby current command value I7 is added in this way, the solenoid current command value SI is maintained at a predetermined magnitude even when the current command values based on the steering angle, the steering angular velocity, and the vehicle speed are all zero. Yes. Therefore, a predetermined flow rate is always supplied to the steering valve 9 side. From the viewpoint of preventing energy loss, if the required flow rate QM on the power cylinder 8 and steering valve 9 side is zero, it is ideal that the control flow rate QP of the flow control valve V is also zero. That is, setting the control flow rate QP to zero means returning the entire discharge amount of the pump P from the tank port 11 to the pump P or the tank T. And since the flow path which returns from the tank port 11 to the pump P or the tank T is in the main body B and is very short, there is almost no pressure loss. Since there is almost no pressure loss, the driving torque of the pump P can be suppressed to the minimum, which leads to energy saving. From this point of view, when the required flow rate QM is zero, setting the control flow rate QP to zero is advantageous from the viewpoint of preventing energy loss.
[0018]
Nevertheless, the reason why the standby flow rate QS composed of the standby current command value I7 is secured even when the required flow rate QM is zero is as follows.
First, it is for preventing the burn-in of the apparatus. That is, a cooling effect can be expected by circulating the standby flow rate QS to the apparatus.
Second, it is to ensure responsiveness. That is, if the standby flow rate QS is ensured as described above, the time to reach the target control flow rate QP can be shorter than when there is no standby flow rate QS. Since this time difference becomes responsiveness, the responsiveness can be improved by securing the standby flow rate QS.
[0019]
Thirdly, it is also for combating disturbances such as kickback and self-aligning torque. That is, when a drag force due to disturbance, self-aligning torque, or the like acts on the tire, it acts on the rod of the power cylinder 8. If the standby flow rate QS is not ensured, the tire will fluctuate due to the drag due to this disturbance and self-aligning torque. However, if the standby flow rate is secured, the tire will not wobble even if the above-described drag acts. That is, since the pin of the power cylinder 8 is engaged with a pinion or the like for switching the steering valve 9, when the drag acts, the steering valve 9 is also switched, and the standby flow rate QS in a direction against the drag. Will be supplied. Therefore, if the standby flow rate QS is secured, the disturbance due to the kickback and the self-aligning torque can be countered.
[0020]
Next, the operation of this conventional example will be described.
While the vehicle is traveling, a steering angle system current command value I5, which is a product of the solenoid current command value I1 based on the steering angle and the steering angle current command value I3, is output. At the same time, the steering angular velocity system current command value I6 is output. The current command value I6 is obtained by setting the steering angular velocity current command value I4 of the solenoid current command value I2 based on the steering angular velocity as a limit value.
Then, the magnitude of the current command value I5 for the steering angle system and the current command value I6 for the steering angular velocity system is determined, and the standby current command value I7 is added to the larger current command value I5 or I6. The solenoid current command value SI at that time is determined. The solenoid current command value SI is mainly based on the steering angle system current command value I5 when the vehicle is traveling at high speed, and is mainly based on the steering angular velocity system current command value I6 when the vehicle is traveling at low speed.
[0021]
A slit 13 is formed at the tip of the spool 1. The slit 13 allows one pilot chamber 2 and the variable orifice a to communicate with each other even when the spool 1 is in the normal position shown in the figure. That is, even when the spool 1 is in the normal position, the pressure oil supplied from the pump port 4 to the one pilot chamber 2 is supplied to the steering valve 9 via the slit 13 → the flow path 6 → the variable orifice a → the flow path 7. By supplying to the side, prevention of image sticking, prevention of disturbance such as kickback, and responsiveness are ensured.
In the figure, reference numerals 17 and 18 are throttles, and reference numeral 19 is a relief valve.
[0022]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2001-260917 (pages 3 to 7, FIGS. 1 and 2)
[0023]
[Problems to be solved by the invention]
In the above-described conventional power steering device, when the driver steers the steering wheel, for example, 60 deg in one direction and 60 deg in the other direction, as shown in FIG. Returns once to 0 near the neutral position and then returns again. That is, the current command values I1 and I2 draw a V shape near the neutral position, and the current command values I1 and I2 change rapidly. When such current command values I1 and I2 are directly output as the solenoid current command value SI, the control flow rate QP to the steering valve 9 also changes abruptly. Then, when the control flow rate QP to the steering valve 9 changes abruptly in this way, the steering torque required by the driver also changes abruptly, which causes the driver to feel uncomfortable.
[0024]
In addition, when the steering wheel is stopped in the large steering angle range, a current command value corresponding to the steering angle is output, so there is almost no sudden decrease in the control flow rate, but the steering wheel in the large steering angle range is generated. Is stopped in the small steering angle range, not only the current command value corresponding to the steering angle is decreased, but also the current command value for the steering angular velocity that has been output until then is not output. A sudden decrease occurs. When the current command value is suddenly reduced in this way, the control flow rate QP is suddenly reduced. As a result, there is a problem that the driver feels uncomfortable due to a sudden increase in the required steering torque.
An object of the present invention is to provide a power steering device that does not give a driver a sense of incongruity even when an input current command value rapidly decreases.
[0025]
[Means for Solving the Problems]
The present invention controls a steering valve for controlling a power cylinder, a variable orifice provided upstream of the steering valve, a solenoid for controlling the opening of the variable orifice, and a solenoid current command value SI for driving the solenoid. Controller, a steering state detection sensor connected to the controller and detecting a steering state such as a steering angle and a steering angular velocity, and pressure oil supplied from a pump according to the opening of the variable orifice and the tank Or a flow control valve that distributes to the pump side, and the controller assumes a power steering device that specifies a solenoid current command value SI based on current command values corresponding to various signals from the steering situation detection sensor. To do.
[0026]
The first invention is based on the above invention, and the controller includes a current command value characteristic storage unit, a delay control characteristic storage unit, an execution unit, and a current command value maintaining unit, and the current command value The characteristic storage unit stores the actual current command value Ib based on the steering angle signal from the steering situation detection sensor, the delay control characteristic storage unit stores the reference reduction rate Δa for specifying the reference current command value Ia, and the execution The unit calculates a decrease rate Δb per unit time of the current command value Ib, and compares the calculated decrease rate Δb with the reference decrease rate Δa. When Δa ≧ Δb, the actual current command value Ib And a reference current command value Ia based on the reference reduction rate Δa is output when Δa <Δb, while the current command value maintaining unit outputs the execution unit when the vehicle speed is equal to or lower than a predetermined value. Reference current command at that time To maintain the Ia.
[0027]
The second invention is based on the above invention, and the controller includes a current command value characteristic storage unit, a delay control characteristic storage unit, an execution unit, and a current command value maintaining unit, and the current command value The characteristic storage unit stores the actual current command value Ib based on the steering angle signal from the steering situation detection sensor, the delay control characteristic storage unit stores the reference reduction rate Δa for specifying the reference current command value Ia, and the execution The unit calculates a decrease rate Δb per unit time of the current command value Ib, and compares the calculated decrease rate Δb with the reference decrease rate Δa. When Δa ≧ Δb, the actual current command value Ib outputs, .DELTA.a <while outputting a reference current command value Ia based on the reference reduction rate .DELTA.a when [Delta] b, the current instruction value holding section, when the steering angular velocity is higher than a predetermined value, the execution unit is output The reference voltage at that time Maintaining the command value Ia.
[0028]
According to the first and second aspects of the invention, when the reference current command value Ia is output or when the output current command value is maintained, the rate of decrease in the supply flow rate to the steering valve is reduced. It can be controlled in the direction to do.
[0029]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
1 to 5 show a first embodiment of the present invention. Since the configuration other than the controller C shown in FIG. 11 is exactly the same as the conventional example, only the controller C will be described below.
[0030]
As shown in FIG. 1, the controller C specifies the current command value I1 based on the steering angle detected by the steering angle sensor 14, and also determines the current command value I2 based on the steering angular velocity calculated by differentiating the steering angle. Is identified. However, a steering angular velocity sensor may be provided separately, and the current command value I2 may be specified based on the steering angular velocity detected by the steering angular velocity sensor.
The steering angle and the current command value I1 are determined based on a theoretical value in which the relationship between the steering angle and the control flow rate QP is a linear characteristic. Further, the relationship between the steering angular velocity and the current command value I2 is also determined based on a theoretical value in which the relationship between the steering angular velocity and the control flow rate QP is a linear characteristic.
[0031]
Further, the controller C outputs a steering angle current command value I3 and a steering angular velocity current command value I4 based on the detection value of the vehicle speed sensor 15. The current command value I3 decreases when the vehicle speed is zero or in the extremely low speed range, and outputs 1 when the vehicle speed exceeds a certain speed. Further, the current command value I4 is a value larger than 1 when the vehicle speed is zero or in the extremely low speed range, and 1 when the vehicle speed exceeds a certain speed. Of these current command values, the current command value I3 is multiplied by the current command value I1 of the steering angular system, and the current command value I4 is multiplied by the current command value I2 of the steering angular velocity system.
[0032]
The reason why the current command value I3 based on the vehicle speed is multiplied as described above is to prevent energy loss when the vehicle is stopped or in the extremely low speed range with the steering wheel turned off. For example, when entering the garage, the engine may be stopped for a while with the steering wheel turned off. Even in such a case, the current command value I1 corresponding to the steering angle is the solenoid current command value SI. As a result, a wasteful flow rate is supplied to the steering valve 9 side. In order to prevent such waste, the current command value I3 is multiplied to reduce the steering angle system current command value I1 when the vehicle speed is 0 or extremely low.
However, if the current command value I3 is reduced as described above, the responsiveness when starting to turn the steering wheel from the state in which the steering wheel is held is deteriorated. Is multiplied by the current command value I2 of the steering angular velocity system to ensure responsiveness.
[0033]
When the current command value I3 based on the vehicle speed is multiplied, predetermined control is applied to the multiplied current command value (I1 × I3) by the delay control unit or the current command value maintaining unit. The functions of the delay control unit and the current command value maintaining unit will be described in detail later.
After predetermined control is performed by the delay control unit and the current command value maintaining unit, the current command value is multiplied by a current command value I5 set based on the vehicle speed.
Also, the current command value (I2 × I4) of the steering angular velocity system is multiplied by the current command value I6 set based on the vehicle speed.
[0034]
As the current command values I5 and I6, 1 is output in the low speed range, and a decimal value of 1 or less is output in the maximum speed range. Therefore, the input value is output as it is in the low speed range, but the output value decreases as the speed increases. That is, the responsiveness is kept high in the low speed range, and the responsiveness is lowered in the high speed range. The reason why the responsiveness is changed in accordance with the vehicle speed in this way is generally that high responsiveness is not required during high-speed driving, and high responsiveness is generally required in the low speed range. .
[0035]
The current command values after the multiplication are output with current command values I7 and I8 set based on the vehicle speed as limit values. That is, when the value after multiplication exceeds the current command values I7 and I8 corresponding to the vehicle speed at that time, the excess is cut and the current command value within the limit value is output. I have to. The limit value based on the vehicle speed is set in this way in order to prevent an excessive assist force from being exerted during high speed traveling.
The current command values I7 and I8 are also decreased according to the vehicle speed, but the gain is set smaller than the gain of the current command values I5 and I6.
[0036]
Next, the steering angle system current command value suppressed within the limit value as described above is compared with the steering angular velocity system current command value, and the larger value is adopted. The larger current command value becomes the basic current command value Id.
When the basic current command value Id is obtained in this way, the standby current command value Is is added to the basic current command value Id. However, instead of adding the standby current command value Is as it is, a value obtained by multiplying the standby current command value Is by the current command value I9 set based on the vehicle speed is added.
[0037]
The current command value I9 based on the vehicle speed is 1 in the low speed range, but gradually decreases as the vehicle speed increases in the medium speed range. Then, the minimum value is kept at the high speed range. Therefore, a value obtained by multiplying the current command value I9 based on the vehicle speed by the current command value Is for standby is output as it is in the low speed range and gradually decreases from the medium speed range to the high speed range. In the high speed range, the minimum value is maintained. If the standby current command value is reduced in the high speed range, waste of the standby flow rate in the high speed range can be prevented.
Even in the high speed range, the value obtained by multiplying the current command value I9 and the current command value Is is set so as not to become zero.
[0038]
When the standby current command value (Is × I9) is added to the basic current command value Id as described above, the added value is output to the drive device 16 (see FIG. 11) as the solenoid current command value SI. Then, the driving device 16 outputs an exciting current corresponding to the solenoid current command value SI to the solenoid SOL.
[0039]
As described above, the solenoid current command value SI is controlled. For example, as shown in FIG. 2, when the steering wheel is steered from the left side to the right side beyond the neutral position, there is a delay. In the conventional example without control, the current command value is substantially V-shaped as shown by the solid line in FIG. If the solenoid current command value SI is controlled based only on this current command value, the assist force by the power cylinder 8 once decreases rapidly and then increases again rapidly. When the assist force changes abruptly in this way, the steering torque required for the driver to steer the steering wheel also changes greatly as shown by the solid line in FIG. In this way, the steering torque changes greatly, which gives the driver a feeling of strangeness.
[0040]
Therefore, in order to prevent a sudden change in the solenoid current command value SI that causes this discomfort, the delay control unit and the current command value maintaining unit perform their functions. Is described below.
The delay control unit includes a current command value characteristic storage unit, a delay control characteristic storage unit, and an execution unit that executes delay control.
The current command value characteristic storage unit has a function of storing a current command value (I1 × I3) after multiplication. The multiplied current command value (I1 × I3) is hereinafter referred to as “actual current command value Ib”.
The delay control characteristic storage unit stores a reference decrease rate Δa. The reference decrease rate Δa is a value for specifying the reference current command value Ia indicated by the broken line in FIG. 3 and is determined by an experiment or the like.
On the other hand, the current command value maintaining unit has a function of maintaining a constant current command value to be output, but the function is turned on and off by a signal from the vehicle speed determination unit. The vehicle speed determination unit determines that the vehicle speed is low when the vehicle speed detected by the vehicle speed sensor is equal to or less than a predetermined value, and turns on the function of the current command value maintaining unit at this time. Further, when the vehicle speed detected by the vehicle speed sensor exceeds a certain value, it is determined that the vehicle speed is high, and at this time, the function of the current command value maintaining unit is turned off.
[0041]
As shown in FIG. 5, the delay control unit and the current command value maintaining unit configured as described above first capture the reference reduction rate Δa in step 0 and store it in the delay control characteristic storage unit.
Next, in step 1, the actual current command value Ib (t1) at time t1 is detected, and in step 2, the current command value Ib (t1) detected as time t1 is stored.
In step 3, an actual current command value Ib (t2) at time t2 after a predetermined time has elapsed is detected. In step 4, the time t2 and the detected current command value Ib (t2) are stored.
In step 5, the current command value Ib (t1) is compared with the current command value Ib (t2). When the current command value Ib (t2) is smaller, that is, when it is determined that the current command value has decreased, the process proceeds to step 6 to calculate the rate of decrease Δb per unit time of the actual current command value Ib. .
[0042]
In step 7, the vehicle speed is detected, and in step 8, the vehicle speed determination unit determines whether the vehicle speed is low or high. If the vehicle speed determination unit determines that the vehicle speed is high, the process proceeds to step 9 to set a reference reduction rate Δa. When the reference reduction rate Δa is set in this way, in step 10, the reference reduction rate Δa is compared with the actual reduction rate Δb. If it is determined that the reference reduction rate Δa is smaller than the actual reduction rate Δb, the process proceeds to step 11 to output a reference current command value Ia based on the reference reduction rate Δa. When the reference current command value Ia is output in this way, a value larger than the actual current command value Ib is output as shown in FIG. Therefore, as shown in FIG. 4, the sudden increase in the steering torque can be suppressed, so that a sense of discomfort given to the driver can be prevented.
[0043]
In step 12, the reference current command value Ia is compared with the actual current command value Ib (t2). If the reference current command value Ia is larger than the current command value Ib (t2), the vehicle speed is detected in step 13. In step 14, it is determined whether the vehicle speed is high or low. Then, when the speed is high, the process returns to the step 10, and when the reduction rate Δa is smaller than the actual reduction rate Δb, the control is continued with the reference current command value Ia based on the reference reduction rate Δa.
On the other hand, if it is determined at step 14 that the speed is low, the routine proceeds to step 17 where the current command value Ia output at that time is maintained as shown in FIG. If the current command value Ia is maintained in this way, as shown in FIG. 4, the steering torque does not increase any more, so that a sense of incongruity caused by an increase in the steering torque can be prevented more reliably.
[0044]
In step 18, it is determined whether or not the reference current command value Ia that is maintained constant is larger than the actual current command value Ib. When the reference current command value Ia is larger than the actual current command value Ib (t2), the process proceeds to step 16, where t2 is replaced with t1, and Ib (t2) is replaced with Ib (t1). And it returns to step 2 again and repeats the said procedure.
On the other hand, when the current command value Ia maintained constant in step 18 becomes equal to or less than the actual current command value Ib (t2), the actual current command value Ib (t2) is controlled (step 2). 15). Then, the process proceeds to step 16 and returns to step 2 in the same manner as described above.
[0045]
When it is determined in step 5 that the current command value Ib (t2) is larger, the process proceeds to step 15 to output the actual current command value Ib (t2). In such a case, since the steering state is shown in which the steering angle is turned from the neutral, the steering force tends to increase. In such a situation, if the current command value Ib is delayed, an excessive steering force is caused. become. Therefore, as described above, the actual current command value Ib (t2) is output.
Further, when it is determined in step 10 that the reference decrease rate Δa is larger than the actual decrease rate Δb, the process proceeds to step 15 to output the actual current command value Ib (t2). That is, when the current command value is decreasing but not decreasing so rapidly, control is performed with the actual current command value Ib (t2).
[0046]
On the other hand, if it is determined in step 8 that the speed is low, the process proceeds to step 17 where the actual current command value Ib output at that time is maintained at the current command value Ia. The output current command value Ia corresponds to the actual current command value Ib. Therefore, when the steering wheel is operated at a low speed, the current command value does not decrease at all.
[0047]
As described above, according to the first embodiment, only when the actual current command value Ib is decreasing and it is determined that the decrease rate Δb is larger than the reference decrease rate Δa. The reference current command value Ia based on the reference decrease rate Δa is output. In this way, as indicated by the broken line in FIG. 4, the steering torque required by the driver also decreases gently, so that the amount of change can be suppressed to be smaller than the steering torque based on the actual current command value Ib. . Therefore, it is possible to prevent a sense of incongruity caused by a sudden change in steering torque.
[0048]
In particular, when the vehicle speed is low, the current command value Ia is maintained at the actual current command value Ib (t2) output at that time, so that smooth steering during low-speed traveling is possible. Thus, when driving at high speed, it can give a clear and neutral feeling.
[0049]
On the other hand, in the second embodiment shown in FIGS. 6 to 10, the steering angular velocity determination unit controls the on / off switching of the current command value maintaining unit. That is, in the second embodiment, as shown in the control flow of FIG. 10, the procedure from step 1 to step 6 is the same as that of the first embodiment, but in step 7, the steering angular velocity is detected, and the step In 8, the magnitude of the steering angular velocity is determined. Similarly to steps 7 and 8, the steering angular velocity is detected also in step 13, and the magnitude of the steering angular velocity is determined in step 14.
In the second embodiment, the procedure from Step 10 to Step 12 and the procedure of Step 15 and Step 16 are exactly the same as those in the first embodiment.
[0050]
In step 8 and step 14, when it is determined that the steering angular velocity is larger than a predetermined value, the process proceeds to step 17, and the current command value Ia output at that time is maintained. When the steering angular velocity is large, the vehicle is often traveling at a low speed. Therefore, in the second embodiment, the vehicle speed is predicted based on the steering angular velocity, and control suitable for the traveling state can be performed as in the first embodiment.
On the other hand, when the steering angular velocity is low, the vehicle is often traveling at a high speed. Therefore, if it is determined in step 8 and step 14 that the steering angular velocity is equal to or less than a predetermined value, the reference decrease is made. The reference current command value Ia is output when the rate Δa is smaller than the actual decrease rate Δb, and the actual current command value Ib is output in the opposite case.
According to the second embodiment as described above, similarly to the first embodiment, steering can be performed smoothly when the vehicle is in a low speed range, and a sharp neutral feeling can be given during high speed traveling.
[0051]
In the first and second embodiments, the limiters having the current command values I7 and I8 as limit values are individually set immediately after the current command values I5 and I6 are multiplied as gains. However, the limiters are individually set. Instead of setting, a limiter having a current command value corresponding to the vehicle speed as a limit value may be uniformly set to a value after adding the standby current command value.
Further, instead of individually multiplying the current command values I5 and I6 based on the vehicle speed, the current command value based on the vehicle speed may be uniformly multiplied as the gain after the magnitude determination.
Furthermore, a limiter with the current command value corresponding to the vehicle speed as a limit value may be set uniformly to the value after adding the standby current command value, or the current based on the vehicle speed may be set to the value after the magnitude determination. The command value may be uniformly multiplied as a gain.
[0052]
On the other hand, in the first and second embodiments, the opening of the variable orifice a of the flow control valve V is controlled by the controller C so that no waste occurs in the control flow QP. This is controlled by adjusting the opening degree of the tank port 11 as shown in FIG. That is, the control flow rate QP is controlled by circulating an unnecessary flow rate of the oil discharged from the pump P to the tank T via the tank port 11. The flow path for guiding the oil discharged from the pump P to the tank port 11 is very short because it is inside the main body B. Accordingly, there is almost no pressure loss in the circulating flow path, and therefore the oil temperature hardly increases. In other words, in the first to third embodiments, the flow rate control valve V is configured to circulate a flow rate other than the control flow rate QP to the tank T via the tank port 11, so that an effect of suppressing an increase in oil temperature is achieved. Can also be obtained.
[0053]
【The invention's effect】
According to the first and second aspects of the present invention, even when the input current command value is suddenly decreased, the rapid fluctuation of the output current command value is alleviated by applying the delay control. The reduction rate of the supply flow rate with respect to can be controlled to be reduced. Therefore, it is possible to prevent the uncomfortable feeling that has conventionally occurred due to a sudden change in the required steering torque.
In addition, when the vehicle speed becomes low, or when the steering angular speed becomes large, the current command value output at that time is maintained, so that steering is smoothly performed when the vehicle is in the low speed range, When running at high speeds, it can give a neutral feeling of sharpness.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a control block diagram of a controller C of a first embodiment.
FIG. 2 is an explanatory diagram showing a relationship between a steering angle and time.
FIG. 3 is an explanatory diagram showing a relationship between a current command value and time.
FIG. 4 is an explanatory diagram showing a relationship between required steering torque and time.
FIG. 5 is a control flowchart of the controller C of the first embodiment.
FIG. 6 is a control block diagram of a controller C of the second embodiment.
FIG. 7 is an explanatory diagram showing a relationship between a steering angle and time.
FIG. 8 is an explanatory diagram showing a relationship between a current command value and time.
FIG. 9 is an explanatory diagram showing a relationship between required steering torque and time.
FIG. 10 is a control flowchart of the controller C of the second embodiment.
FIG. 11 is an overall view of a conventional apparatus.
12 is a control block diagram of a conventional controller C. FIG.
FIG. 13 is a graph showing a change in current command value during conventional steering.
[Explanation of symbols]
V Flow control valve P Pump SOL Solenoid T Tank a Variable orifice 8 Power cylinder 9 Steering valve C Controller 14 Steering angle sensor 15 Vehicle speed sensor SI Solenoid current command value Is Current command value for standby

Claims (2)

パワーシリンダを制御するステアリングバルブと、このステアリングバルブの上流側に設けた可変オリフィスと、この可変オリフィスの開度を制御するソレノイドと、このソレノイドを駆動するソレノイド電流指令値SIを制御するコントローラと、このコントローラに接続するとともに操舵角や操舵角速度などの操舵状況を検出する操舵状況検出センサと、ポンプから供給される圧油を上記可変オリフィスの開度に応じてステアリングバルブ側とタンク又はポンプ側とに分配する流量制御弁とを備え、上記コントローラが、操舵状況検出センサからの各種信号に対応する電流指令値に基づいて、ソレノイド電流指令値を特定するパワーステアリング装置において、上記コントローラには、電流指令値特性記憶部と、遅れ制御特性記憶部と、実行部と、電流指令値維持部とを備え、上記電流指令値特性記憶部が操舵状況検出センサからの操舵角信号に基づく実際の電流指令値Ibを記憶し、上記遅れ制御特性記憶部が基準電流指令値Iaを特定する基準減少率Δaを記憶し、上記実行部が電流指令値Ibの単位時間当たりの減少率Δbを算出するとともに、この算出した減少率Δbと基準減少率Δaとの大小を比較して、Δa≧Δbのときに実際の電流指令値Ibを出力し、Δa<Δbのときに基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaを出力する一方、上記電流指令値維持部は、車速が所定の値以下のときに、上記実行部が出力する、その時点における基準電流指令値Iaを維持することを特徴とするパワーステアリング装置。A steering valve for controlling the power cylinder, a variable orifice provided on the upstream side of the steering valve, a solenoid for controlling the opening of the variable orifice, a controller for controlling a solenoid current command value SI for driving the solenoid, A steering situation detection sensor that detects a steering situation such as a steering angle and a steering angular velocity and is connected to the controller, and pressure oil supplied from the pump is supplied to the steering valve side and the tank or pump side according to the opening of the variable orifice. In a power steering apparatus in which the controller specifies a solenoid current command value based on current command values corresponding to various signals from the steering situation detection sensor, the controller A command value characteristic storage unit, a delay control characteristic storage unit, The current command value characteristic storage unit stores the actual current command value Ib based on the steering angle signal from the steering situation detection sensor, and the delay control characteristic storage unit serves as a reference. A reference decrease rate Δa for specifying the current command value Ia is stored, and the execution unit calculates a decrease rate Δb per unit time of the current command value Ib, and the magnitude of the calculated decrease rate Δb and the reference decrease rate Δa is large or small. The current command value Ib is output when Δa ≧ Δb, and the reference current command value Ia based on the reference decrease rate Δa is output when Δa <Δb. The power steering device is characterized in that the reference current command value Ia output by the execution unit is maintained when the vehicle speed is equal to or lower than a predetermined value. パワーシリンダを制御するステアリングバルブと、このステアリングバルブの上流側に設けた可変オリフィスと、この可変オリフィスの開度を制御するソレノイドと、このソレノイドを駆動するソレノイド電流指令値SIを制御するコントローラと、このコントローラに接続するとともに操舵角や操舵角速度などの操舵状況を検出する操舵状況検出センサと、ポンプから供給される圧油を上記可変オリフィスの開度に応じてステアリングバルブ側とタンク又はポンプ側とに分配する流量制御弁とを備え、上記コントローラが、操舵状況検出センサからの各種信号に対応する電流指令値に基づいて、ソレノイド電流指令値を特定するパワーステアリング装置において、上記コントローラには、電流指令値特性記憶部と、遅れ制御特性記憶部と、実行部と、電流指令値維持部とを備え、上記電流指令値特性記憶部が操舵状況検出センサからの操舵角信号に基づく実際の電流指令値Ibを記憶し、上記遅れ制御特性記憶部が基準電流指令値Iaを特定する基準減少率Δaを記憶し、上記実行部が電流指令値Ibの単位時間当たりの減少率Δbを算出するとともに、この算出した減少率Δbと基準減少率Δaとの大小を比較して、Δa≧Δbのときに実際の電流指令値Ibを出力し、Δa<Δbのときに基準減少率Δaに基づく基準電流指令値Iaを出力する一方、上記電流指令値維持部は、操舵角速度が所定の値以上のときに、上記実行部が出力する、その時点における基準電流指令値Iaを維持することを特徴とするパワーステアリング装置。A steering valve for controlling the power cylinder, a variable orifice provided on the upstream side of the steering valve, a solenoid for controlling the opening of the variable orifice, a controller for controlling a solenoid current command value SI for driving the solenoid, A steering situation detection sensor that detects a steering situation such as a steering angle and a steering angular velocity and is connected to the controller, and pressure oil supplied from the pump is supplied to the steering valve side and the tank or pump side according to the opening of the variable orifice. In a power steering apparatus in which the controller specifies a solenoid current command value based on current command values corresponding to various signals from the steering situation detection sensor, the controller A command value characteristic storage unit, a delay control characteristic storage unit, The current command value characteristic storage unit stores the actual current command value Ib based on the steering angle signal from the steering situation detection sensor, and the delay control characteristic storage unit serves as a reference. A reference decrease rate Δa for specifying the current command value Ia is stored, and the execution unit calculates a decrease rate Δb per unit time of the current command value Ib, and the magnitude of the calculated decrease rate Δb and the reference decrease rate Δa is large or small. The current command value Ib is output when Δa ≧ Δb, and the reference current command value Ia based on the reference decrease rate Δa is output when Δa <Δb. The power steering device is characterized in that when the steering angular velocity is equal to or higher than a predetermined value , the reference current command value Ia output from the execution unit is maintained at that time .
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