以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1はメモリーカード未挿入時のカードコネクタの外観を示す斜視図、図2は図1のカードコネクタをカバー除去状態で示す斜視図、図3は正規メモリーカード挿入時のカードコネクタをカバー除去状態で示す斜視図、図4は図3のカードコネクタを正規メモリーカード除去状態で異なる方向から示す斜視図であり、本実施形態のカードコネクタは、図14にも示す如く、矩形状のボディ底板1の左側縁前部と前側縁中間部を除く側縁にボディ左右及び前後側壁2,3,4,5を垂直に立上げてトレー状に形成した樹脂製で絶縁性を有するボディ6と、図15及び図16にも示す如く、一枚の矩形金属板をU字状に折曲げて矩形状のカバー天板7の左右側縁にカバー左右側板8,9を垂下形成した板金製で導電性を有するカバー10とを備え、ボディ6にカバー10を被せ、ボディ底板1にカバー天板7を対向させ、ボディ6の開放上面を塞ぐと共に、ボディ左右側壁2,3の外面をカバー左右側板8,9で覆い、カバー左側板8でボディ6の左側壁非形成部分を塞ぎ、薄型直方形状のコネクタケース11を構成する。このコネクタケース11の前側面にはボディ6の前側壁未形成部分によって、正規嵌合物である正規メモリーカード(本実施形態では「メモリースティック」を正規メモリーカードとして図示している。)12の断面形状(幅と高さ)に見合った形状(幅と高さ)のカード挿入口13(スロット)が開口形成され、カード挿入口13を通して正規メモリーカード12が挿入可能である。
コネクタケース11を構成しているボディ6とカバー10とは、ボディ左右側壁2,3の外面に突出形成する截頭4角錐状の係合突起14と、カバー左右側板8,9に開口形成して前記係合突起14を係脱自在に嵌合させる矩形状の係合孔15とによって、分離可能に結合される。またカバー10には、カバー左右側板8,9の下縁前後端部から外向きに水平に突出させるケース足片16が一体形成される。ボディ6には、接触端子であるコンタクト17が複数本(本実施形態では正規メモリーカード12のコンタクト数と同数の10本)左右横並び状態で配備される。各コンタクト17は導電性に優れた金属製の細長い接触バネ片で構成され、後半部がボディ底板1の内表面に固定され、前半部がカード挿入口13から奥側のカード挿入経路内に前上がり傾斜姿勢で立上げられ、その上下方向に弾性変位自在な前半部の端部に下方に開いた円弧状の接点部18が形成される。各コンタクト17の後端部はボディ後側壁5に左右横並び状態で開口形成された10個のコンタクト取出口19からそれぞれボディ6の後外側に突出させる。そして、コネクタケース11の底部4隅に突出するケース足片16をプリント基板に半田固定、又は、カシメ部材や締結部材を用いて固定し、またコネクタケース11の後側面から突出する各コンタクト17の後端部をプリント基板に半田固定して電気的に接続することによって、コネクタケース11、即ち、カードコネクタがプリント基板に表面実装される。
本実施形態のカードコネクタにはカード未挿入時にカード挿入口13を塞ぐ防塵用のシャッターを備えることが好ましい。またケース足片16をプリント基板のグランドパターンに電気的に接続し、カード挿抜時などの静電気をカバー10を通してプリント基板のグランドパターンへ逃がし、静電破壊などを防止することが好ましい。
次に、本実施形態のカードコネクタの内部機構について説明する。
まず、カード排出機構について説明すると、カード排出機構は可動体である樹脂製のスライド体20を備える。スライド体20は、図17及び図18にも示す如く、ボディ6の左右側部に前後方向に設けて対向させる四角柱状の左右側部ブロック21,22と、この左右側部ブロック21,22の後端間で左右方向に設けて前側面をカード挿入口13に対向させる四角柱状の後側部ブロックであるカード受止ブロック23とで構成する前方に開放したコ字形の側部ブロックと、この側部ブロックを表面側に一体形成する矩形状のスライド板24とで、カード挿入口13から挿入された正規メモリーカード12の挿入端部を前側から受入れる嵌合凹部25を形成するもので、スライド板24の裏面(スライド体20の裏面)をボディ底板1の内表面に摺動自在に接合支持させると共に、右側部ブロック22の外側面(スライド体20の右外側面)をボディ右側壁3の内側面に摺動自在に接合支持させ、ボディ底板1の内表面左側部に前後方向に形成する段差面であるガイドレール26とボディ右側壁3に沿ってカード挿抜方向(前後方向)に摺動可能にボディ6の内部に装着され、左右側部ブロック21,22の前端面(スライド体20の前端面)がボディ前側壁4の内面に当接するカード排出位置である初期位置とカード受止ブロック23の後側面(スライド体20の後端面)がボディ後側壁5の内面に当接する最押込位置との間で往復移動可能である。
また、カード排出機構は弾性体であるカード排出バネ27を備える。カード排出バネ27はコイルバネで構成され、前記スライド体20の左側部ブロック21とボディ後側壁5の間と、前記スライド体20の右側部ブロック22とボディ後側壁5の間とにそれぞれ張設され、左右2本のカード排出バネ27によってスライド体20を常時カード排出方向(前方)へ付勢しており、スライド体20は、図2に示す如く、カード未挿入時、初期位置に移動保持され、カード挿入口13から挿入された正規メモリーカード12の挿入端部を前側から嵌合凹部25に受入れ、カード受止ブロック23で受止めることで、正規メモリーカード12の挿入端面でカード受入ブロック23の前側面がカード挿入方向(後方)へ押圧され、正規メモリーカード12の挿入に追従して、図22に示す如く、前記カード排出バネ27に抗して最押込位置へ移動する。
前記スライド体20の後部には、カード受止ブロック23からスライド板24の後部にわたるL形のコンタクト挿通口28が10個左右横並び状態で開口形成されており、スライド体20の後部が各コンタクト挿通口28を介して自由状態の各コンタクト17の前半部を干渉なく通過可能である。
そして、前記スライド体20とカード排出バネ27と次に説明するロック機構29とでプッシュイン/プッシュアウト型のカード排出機構30を構成する。
前記ロック機構29は、図4、図5、図16、図18、図24乃至図26に示す如く、カム溝31とカムピン32とで構成される。カム溝31はスライド体20の左側面前半部(左側部ブロック21の外側面前半部)に形成され、カムピン32は金属製の細長い丸棒の両端を一方向に直角に折曲形成したもので、カード挿入口13より左側のボディ前側壁4内面に軸受部33を左右横向きに形成し、この軸受部33にカムピン32の一方の折曲端部(カムピン前端)32aを外側から挿込み、他方の折曲端部(カムピン後端)32bを前記カム溝31に外側から嵌入し、カムピン32をこの前端32aを支点に後端32bを上下揺動自在に、ボディ6とスライド体20の間に架設する。またボディ6の左側壁未形成部分を塞いでいるカバー左側板8から板バネ34を切起形成し、この板バネ34によってカムピン32をボディ6内側(右側)へ常時付勢し、軸受部33及びカム溝31からのカムピン32の抜止めを図ると共に、カムピン後端32bの端面をカム溝31の溝底に対して離反可能に圧接させる。
前記カム溝31はこの前端窪み部分に設定される係止溝部31cと、この係止溝部31cから少し斜め前方へ進んだ所で折返して後方へ延びる略上下対称の往路溝部31b及び正規復路溝部31dと、これら往路溝部31b及び正規復路溝部31dの後端部を重ねて1つにした起点溝部31aとを備え、前後方向に長いハート型の無端状に形成される。またカム溝31は往路溝部31bの始端部溝深より正規復路溝部31dの終端部溝深を浅く形成し、往路溝部31bの始端部溝底を起点溝部31aの溝底に段差を付けずに連結し、他方正規復路溝部31dの終端部溝底を起点溝部31aの溝底に段差31eを付けて連結し、カムピン後端32bが起点溝部31aから正規復路溝部31dに入込むのを規制すると共に、往路溝部31bの終端部溝底を下り傾斜で係止溝部31cの溝底に段差を付けずに連結し、係止溝部31cの溝底を下り傾斜で正規復路溝部31dの始端部に段差を付けずに連結し、カムピン後端32bが係止溝部31cから往路溝部31bに入込むのを規制する。これによって、カム溝31内でのカムピン後端32bの逆走が規制され、カムピン後端32bをカム溝31内で一方向に移動させる。
そして、カムピン後端32bはスライド体20が初期位置にある時には、図24に示す如く、起点溝部31aに位置し、詳しくは、起点溝部31aの中でも、起点溝部31aの端部とカムピン後端32bとの間に隙間を生じる所に位置する。正規メモリーカード12によってスライド体20を初期位置から最押込位置に移動させる1回目の押込操作を行い、その押込みを解除することによって、起点溝部31aから往路溝部31bを移動し、図25に示す如く、係止溝部31cに導入係止され、図3及び図4に示す如く、スライド体20を最押込位置より少し手前に設定されるカードセット位置(正規メモリーカード12の各コンタクトの接点部をコネクタの各コンタクト17の接点部18に接触させて電気的に接続する位置)にロックする。また正規メモリーカード12によってスライド体20をカードセット位置から最押込位置に移動させる2回目の押込操作を行い、その押込みを解除することによって、係止溝部31cに係止されていたカムピン後端32bは、その係止溝部31cから離脱して正規復路溝部31dに導入され、スライド体20のロックを解除し、正規復路溝部31dを移動し、図24に示す如く、起点溝部31aに復帰し、図2に示す如く、スライド体20を初期位置に復帰させる。
このように、プッシュイン/プッシュアウト型のカード排出機構30は、正規メモリーカード12の1回目の押込操作によってスライド体20を初期位置から最押込位置に移動させることで、ロック機構29を働かせてスライド体20をカードセット位置にロックし、また正規メモリーカード12の2回目の押込操作によってスライド体20をカードセット位置から再び最押込位置に移動させることで、スライド体20のロックを解除して初期位置に復帰させるものである。
前記カード排出機構30には、図2及び図22、図24乃至図26に示す如く、スライド体20と正規メモリーカード12を挿抜方向で係合させるための係合部材であるセミロック爪35を備える。セミロック爪35は凸形状に形成され、中間部に段差面35aを有し、前記嵌合凹部25の一側壁となる左側部ブロック21の内側面前部に形成された凹部36に収容配備され、この凹部36の開口縁に形成してセミロック爪35の段差面35aと突出方向で係合させる内向きのフランジ36aと、凹部36の底面とセミロック爪35との間に設けてセミロック爪35を突出方向へ常時付勢するコイルバネ37とによって、爪全体を凹部36に退入可能に、段差面35aより先の爪先端部を凹部36から突出保持させる。そして、スライド体20の嵌合凹部25に対する正規メモリーカード12の挿抜時、正規メモリーカード12の左側面によってセミロック爪35をコイルバネ37に抗して凹部36内に退入させる。正規メモリーカード12の挿入端面がカード受入ブロック23の前側面に当接するのと略同時に、正規メモリーカード12の左側面に形成された係合溝であるセミロック溝38にセミロック爪35が対向することで、コイルバネ37によってセミロック爪35の先端部を凹部36からセミロック溝38内に突出させ、スライド体20と正規メモリーカード12を挿抜方向で係合させる。
以上の説明は正規メモリーカード12が、図3に示す如く、正規挿入姿勢でカード挿入口13から挿入された場合のもので、図21に示す如く、正規メモリーカード12が正規挿入姿勢以外の姿勢でカード挿入口13から裏挿入や逆挿入など誤挿入された場合の対策として、本実施形態のカードコネクタには、矩形の正規メモリーカード12の一角部に形成される誤挿入防止用の角落し部39と、この角落し部39の下面に形成される誤挿入防止用の切込部40を用い、誤挿入された正規メモリーカード12によってスライド体20が押込まれないようにするためのカード誤挿入防止体41を備える。
尚、本実施形態における正規メモリーカード12の正規挿入姿勢とは、図3、図25及び図26に示す如く、正規メモリーカード12のコンタクト接点部が下に向く姿勢で、かつ、このコンタクト接点部からカード挿入口13に挿入されるカード挿入姿勢を言う。この正規挿入姿勢で正規メモリーカード12がカード挿入口13から挿入された場合には、前記角落し部39が嵌合凹部25の左奥角部に位置する状態で、正規メモリーカード12の挿入端部がスライド体20の嵌合凹部25に受入れられる。
前記カード誤挿入防止体41は、図2乃至図4、図14、図17及び図18、図21乃至図26に示す如く、正規メモリーカード12の挿入端面を当接させる可動のカード受止ブロック23の前側面(スライド体20のカード受止面)左下角部に部分的に固定のカード受止面42を形成するもので、スライド体20の底面にこの嵌合凹部25の左側後部底面からその後方のカード受止ブロック23の左下角部を連続的に切欠く切欠き孔43を形成し、ボディ底板1の内表面でボディ後側壁5から前方に向かって延出されるボディ6のリブであって、初期位置にあるスライド体20のカード受止ブロック23の左下角部を前記切欠き孔43を介して貫通し、前端を初期位置にあるスライド体20のカード受止ブロック23の左下角部前側面から所定寸法だけ突出させる前後方向に長い四角柱状のリブによって前記カード誤挿入防止体41を構成し、ボディ6に一体形成される前記カード誤挿入防止体41の前端面によって前記固定のカード受止面42を形成する。スライド体20の初期位置から最押込位置への移動を許容するように、切欠き孔43の前後方向の長さはカード誤挿入防止体41の前後方向の長さより長寸に形成する。
そして、正規メモリーカード12が正規挿入姿勢でカード挿入口13から挿入された場合、その挿入端部が初期位置にあるスライド体20の嵌合凹部25に受入れられ、挿入端面が角落し部39やその下面の切込部40によって固定のカード受止面42に干渉することなく可動のカード受止ブロック23の前側面に当接する。またこれと略同時にスライド体20のセミロック爪35の先端部が正規メモリーカード12のセミロック溝38に係合し、スライド体20と正規メモリーカード12とがカード挿抜方向で係合される。この状態でカード挿入口13から突出している正規メモリーカード12の端部を押圧操作し、さらに正規メモリーカード12を挿入すると(1回目の押込操作を行うと)、カード受止ブロック23の前側面が正規メモリーカード12の挿入端面で押圧され、正規メモリーカード12の挿入に追従してスライド体20が初期位置からカード排出バネ27に抗してカード挿入方向へ移動する。この時、正規メモリーカード12の挿入及びそれによるスライド体20のカード挿入方向への移動に伴って、カード受止ブロック23の前側面からのカード誤挿入防止体41の突出量は増して行くが、このカード誤挿入防止体41の突出部は正規メモリーカード12の角落し部39の下面の切込部40に嵌込まれて行き、正規メモリーカード12の挿入を全く規制しないため、スライド体20は最押込位置まで移動する。スライド体20が最押込位置に移動した時点で正規メモリーカード12の挿入を止めると(1回目の押込みを解除すると)、図3に示す如く、スライド体20は前記ロック機構29の働きによって最押込位置より少し手前のカードセット位置にてボディ6に対してロックされ、正規メモリーカード12をカードセット位置に挿入保持し、正規メモリーカード12のコンタクト接点部をコネクタの各コンタクト17の接点部18に接触保持させ、電気的に接続させる。
正規メモリーカード12がカードセット位置に挿入保持されている状態で、カード挿入口13から突出している正規メモリーカード12の突出端部を押圧し、再び正規メモリーカード12の挿入を行うと(2回目の押込操作が行うと)、カード受止ブロック23の前側面が正規メモリーカード12の挿入端面で押圧され、正規メモリーカード12の挿入に追従してスライド体20がカードセット位置からカード排出バネ27に抗してカード挿入方向へ移動し、最押込位置に移動する。スライド体20が再び最押込位置に移動した時点で正規メモリーカード12の挿入を止めると(2回目の押込みを解除すると)、スライド体20はロックが解除されて最押込位置からカード排出バネ27によってカード排出方向へ移動し、初期位置に復帰し、正規メモリーカード12の排出が行われる。このカード排出によって正規メモリーカード12はカード挿入口13から押出されるが、挿入端部は初期位置に復帰したスライド体20の嵌合凹部25に挿入保持されたままで、正規メモリーカード12はカード挿入口13から脱落することなく、カード挿入口13に保持される。カード排出後はカード挿入口13から突出している正規メモリーカード12の端部を把持し、初期位置に復帰したスライド体20の嵌合凹部25から正規メモリーカード12の挿入端部を引抜くことで、セミロック爪35の先端部が正規メモリーカード12のセミロック溝38から離脱し、スライド体20と正規メモリーカード12とのカード挿抜方向での係合が解除され、カード挿入口13から抜取ることができる。
正規メモリーカード12が、図21に示す如く、正規挿入姿勢以外の姿勢でカード挿入口13から誤挿入された場合、その挿入端部は初期位置にあるスライド体20の嵌合凹部25に受入れられるが、正規メモリーカード12の角落し部39以外の角落しされていない角部が固定のカード受止面42に当接し、それ以上の正規メモリーカード12の誤挿入が規制されるため(スライド体20の1回目の押込操作が規制されるため)、スライド体20は初期位置から移動しない。またセミロック爪35とセミロック溝38との係合も行われず、誤挿入された正規メモリーカード12をスライド体20にカード挿抜方向で係合することもない。従って、正規挿入姿勢以外の姿勢でカード挿入口13から誤挿入された正規メモリーカードによってスライド体20が最押込位置に移動し、ロック機構29を働かせて誤挿入された正規メモリーカード12をカードセット位置に挿入保持してしまうのを防止できると共に、その誤挿入された正規メモリーカード12により各コンタクト17の耐久性低下や破損を招くのを防止できる。また誤挿入された正規メモリーカード12をカードセット位置に挿入保持しないため、正規メモリーカード12の誤挿入をオペレータに確実に認識させることができる点でも効果的である。
ところで、前記カード挿入口13では正規嵌合物である正規メモリーカード12より大型の異種嵌合物(幅と高さのうち何れか一方でも正規嵌合物より大きい嵌合物)の挿入は防止できるが、正規メモリーカード12より小型の異種嵌合物である異種メモリーカードの挿入は防止できず、前記カード挿入口13からは正規メモリーカード12だけでなく、それより小型の異種メモリーカードも挿入可能となる。この異種メモリーカードがカード挿入口13から挿入された場合の対策として、本実施形態のカードコネクタには、異種メモリーカードが各コンタクト17に接触する位置まで挿入され、各コンタクト17の耐久性低下や破損を招くのを防止するための異種嵌合物挿入防止機構である異種カード挿入防止機構44を備える。本実施形態では、正規メモリーカード12より幅と高さが共に小さい小型の異種嵌合物である第1の異種メモリーカード45として「メモリースティックDuo」を図示し、加えて正規メモリーカード12と略同じ幅を有し高さが小さい第2の異種メモリーカード46も図示する。
前記異種カード挿入防止機構44はカード挿入口13から挿入された嵌合物であるメモリーカードの断面形状(メモリーカードのカード挿抜方向と直交する断面形状、即ち、メモリーカードの幅と高さ)に基づいてそのメモリーカードの正規/異種を判別するカード選別機能と、カード挿入口13から挿入されたメモリーカードの正規/異種の判別に基づいてスライド体20をロック解除/ロック状態とするロック機能とを有するカード選別体47を備える。カード選別体47は、図2、図4乃至図7、図9乃至図13、図19及び図20に示す如く、長手側が正規メモリーカード12の幅方向に沿う一枚の帯状金属板からなるカード選別板48を備える。カード選別板48の両端部を上向きに折曲げ、カード選別板48の両端部に正規メモリーカード12の幅方向で対向する左右一対の側部板バネ49a,49bを形成すると共に、カード選別板48の中央部に所定の間隔を設けて下膨らみの平行リブ50a,50bを形成し、2本のリブ50a,50b間のカード選別板48中央部に平坦な中央ベース板51を形成し、また各リブ50a,50bから側部板バネ49a,49bの基端(下端)折曲げ部までのカード選別板48の両側部に、リブ50a,50bから側部板バネ49a,49bの基端折曲げ部に向かって上り傾斜を付け、カード選別板48の両側部に左右一対の底部板バネ52a,52bを形成し、左側部板バネ49aと左底部板バネ52aによってカード選別板48の左側部にカード挿入方向から見て略L形の左変位部53aを形成し、右側部板バネ49bと右底部板バネ52bとによってカード選別板48の右側部にカード挿入方向から見て前記左変位部53aと左右対称の右変位部53bを形成し、自由状態における左右側部板バネ49a,49bの相対間隔を正規メモリーカード12の幅寸法より所定寸法だけ小さく形成すると共に、その基端側部の相対間隔より自由端部側の相対間隔がより小さくなるように形成する。即ち、左右側部板バネ49a,49bの基端側部を自由端側部より幅方向外側に張出形成する。さらに左右側部板バネ49a,49bの前縁(カード受入れ側の側縁)には前方に向かって幅方向外側に開拡するカード受入れ用の左右一対の側部ガイド片54a,54bが突出形成され、左右底部板バネ52a,52bの前縁(カード受入れ側の側縁)には前下がり傾斜状のカード受入れ用の左右一対の底部ガイド片55a,55bが突出形成される。
前記カード選別板48をスライド体20の嵌合凹部25に装着し、この嵌合凹部25の左右中央部(正規メモリーカード12の幅方向中央部)に中央ベース板部51を接合支持させ、嵌合凹部25の底部左右側部に左右底部板バネ52a,52bを上下方向(正規メモリーカード12の高さ方向)に弾性変位自在に支持すると共に、嵌合凹部25の左右側部で左右側部板バネ49a,49bを左右方向(正規メモリーカード12の幅方向)に弾性変位自在に対向支持させるもので、図5及び図17に示す如く、中央ベース板51の左端部から左底部板バネ52a及び左底部ガイド片55aに対向する嵌合凹部25の底面に前記切欠き孔43の前端に連通させる左切欠き孔56aを形成すると共に、中央ベース板51の右端部から右底部板バネ52b及び右底部ガイド片55bに対向する嵌合凹部25の底面に右切欠き孔56bを形成し、前記左右切欠き孔56a,56b間の嵌合凹部25の底面を他の底面よりカード選別板48の板厚分だけ凹める選別板装着溝57を形成し、中央ベース板51をこの表面(上面)が嵌合凹部25の底面と面一になるように嵌合凹部25の底面に選別板装着溝57を介して接合支持させ、カード未挿入時、自由状態における左右底部板バネ52a,52bを左右切欠き孔56a,56bから嵌合凹部25の底部左右側部に突出させ、左右底部ガイド片55a,55bの前端を左右切欠き孔56a,56b内に臨ませる。また左側部板バネ49a及び左側部ガイド片54aに対向する嵌合凹部25の左側壁面(左側部ブロック21の内側面)に下端を前記左切欠き孔56aの左端部に臨ませる左凹部58aを形成すると共に、右側部板バネ49b及び右側部ガイド片54bに対向する嵌合凹部25の右側壁面(右側部ブロック22の内側面)に下端を前記右切欠き孔56bの右端部に臨ませる右凹部58bを形成し、カード未挿入時、自由状態における左右側部板バネ49a,49bを嵌合凹部25の左右側壁面よりさらに内側で対向させ、左右側部ガイド片54a,54bの前端を左右凹部58a,58b内に臨ませる。
また、前記左右変位部53a,53bの端部、即ち、左右側部板バネ49a,49bの自由端部には、この端部から幅方向外側に折曲げ延出させて形成する左右一対の可動係合片59a,59bを備える。左右可動係合片59a,59bはこの先端部より基端折曲げ部を高位に形成し、図1、図5、図15及び図16に示す如く、自由状態の左右変位部53a,53bによって左右係合片59a,59bの先端部をカバー天板7の内面に押当て、その基端折曲げ部を突入させる左右スライド窓60a,60bを、前記カバー天板7にスライド体20の移動に伴う左右可動係合片59a,59bの移動範囲に開口形成する。さらに、スライド体20が初期位置にある時に左右可動係合片59a,59bの基端折曲げ部が突入する左右スライド窓60a,60bの前部を除いて、この左右スライド窓60a,60bの内側縁から下向きに切起形成する左右一対の固定係合片61a,61bを備える。この左右固定係合片61a,61bの未形成部分となる左右スライド窓60a,60bの前端ノッチ部に左右可動係合片59a,59bの基端折曲げ部を自由状態の左右変位部53a,53bによって突入保持し、スライド体20の初期位置からのカード挿入方向への移動を左右可動係合片59a,59bと左右固定係合片61a,61bとの係合(干渉)によって規制し、スライド体20を初期位置にロックする。尚、前記左右凹部58a,58bの上部には左右可動係合片59a,59bを収容可能な深さを有する深溝62a,62bを形成する。
そして、図5乃至図7に示す如く、正規メモリーカード12がカード挿入口13から挿入された場合その挿入端部が、異種カード挿入防止機構44によって初期位置にロックされているスライド体20の嵌合凹部25に受入れられ、その嵌合凹部25に装着されているカード選別板48の左右底部板バネ52a,52bの上面に左右底部ガイド片55a,55bbを介して乗上げてこれを通過すると同時に、左右側部板バネ49a,49bの間に左右側部ガイド片54a,54bを介して割込んでこれを通過し、カード選別板48の内側に嵌合される。このカード選別板48の内側に嵌合された正規メモリーカード12の挿入端部の断面形状(幅と高さ)によって、カード選別板48を幅方向外側に押広げて、左右変位部53a,53bをそれぞれこの基端部の左右のリブ50a,50bを支点に押下げる(下方に揺動変位させる)。これによって、左右側部板バネ49a,49bが嵌合凹部25の左右側壁面の左右凹部58a、58b内に退入し、正規メモリーカード12の左右側面下部を左右両側から挟持し、左右底部板バネ52a,52bが正規メモリーカード12の下面に接触する水平姿勢を超えて、その下面から離反する傾斜姿勢(自由状態の時と逆向きの傾斜姿勢)で嵌合凹部25底面の左右切欠き孔56a,56b内に退入する。この左右変位部53a,53bの変位によって、左右変位部53a,53bの自由端部の位置が幅方向外側に変位しながら下がるため、左右変位部53a,53bの自由端部から延出形成された左右可動係合片59a,59bが幅方向外側に変位しながら下り、左右深溝62a,62b内に退入し、左右可動係合片59a,59bの先端部がカバー天板7の内面から離反し、基端折げ部が左右スライド窓60a,60bの前端ノッチ部から抜出て左右固定係合片61a,61bから下側に外れる位置に変位する。これによって、異種カード挿入防止機構44によるスライド体20の初期位置でのロックが解除され、そのロック解除状態が正規メモリーカード12の挿入端部が嵌合凹部25に受入れられている間保持され、前記スライド体20が動作可能となり、正規メモリーカード12のカードセット位置への挿入及びその位置からの排出を行うことができる。また正規メモリーカード12がカード挿入口13から抜取られ、初期位置に復帰したスライド体20の嵌合凹部25から正規メモリーカード12の挿入端部が引抜かれると、カード選別板48の左右変位部53a,53bは元の自由状態に復帰し、スライド体20を再び初期位置にロックする。
尚、図14及び図22に示す如く、スライド体20が最押込位置に移動した時、前記左底部板バネ52aを収容している左切欠き孔56a内に切欠き孔43からカード誤挿入防止体41の先端部が突入するが、そのカード誤挿入防止体41の先端部には左底部板バネ52aとの干渉を回避するための切欠き63が形成されており、スライド体20は初期位置から最押込位置まで移動可能である。また図5及び図14に示す如く、嵌合凹部25底面の左右切欠き孔56a,56b内に最も深く入込む左右底部板バネ52a,52bの自由端部(左右変位部53a,53bの折曲げ部)に対向するボディ底面1に左右切欠き孔64a,64bを、スライド体20の移動に伴う左右底部板バネ52a,52bの自由端部の移動範囲に開口形成し、左右底部板バネ52a,52bの自由端部がボディ底面1に摺接し、円滑なスライド体20の動作(正規メモリーカード12の挿抜き)が阻害されるのを防止する。
図8及び図9に示す如く、第1の異種メモリーカード45がカード挿入口13から挿入され、その挿入端部が異種カード挿入防止機構44によって初期位置にロックされているスライド体20の嵌合凹部25に受入れられた場合、その嵌合凹部25に装着されているカード選別板48の内側に第1の異種メモリーカード45の挿入端部が嵌合されるが、この嵌合凹部25に嵌合された第1の異種メモリーカード45の幅と高さが共に正規メモリーカード12の幅と高さより小さいため、カード選別板48を幅方向外側に押広げて、左右変位部53a,53bをそれぞれこの基端部の左右のリブ50a,50bを支点に押下げることができないため、異種カード挿入防止機構44によるスライド体20の初期位置でのロックは解除されず、例え、第1の異種メモリーカード45の挿入端面でスライド体20のカード受止ブロック23の前側面を押圧しても、カード選別板48の左右可動係合片59a,59bとコネクタケース11の左右固定係合片61a,61bとの係合によって、スライド体20はカード挿入方向に移動することなく初期位置に保持される。
また、図10及び図11に示す如く、カード選別板48の内側に第1の異種メモリーカード45の挿入端部が嵌合された状態で、その第1の異種メモリーカード45を下方に押付けた場合、第1の異種メモリーカード45の下面で自由状態の左右底部板バネ52a,52bが水平姿勢に押下げられるだけで、左右可動係合片59a,59bを左右固定係合片61a,61bから外すのに必要な左右変位部53a,53bの変位量は得られず、この場合も異種カード挿入防止機構44によるスライド体20の初期位置でのロックは解除されない。この場合、左右可動係合片59a,59bと左右固定係合片61a,61bとの係合代が少なくなるが、カード選別板48の左側の変位部53aは前記カード誤挿入防止体41の前側で、嵌合凹部25の左下角部に配設され、カード挿入方向から見て前記カード誤挿入防止体41と重なる位置に配設され、第1の異種メモリーカード45を挿入しようとしてもカード誤挿入防止体41と干渉するので、スライド体20はカード挿入方向に移動することはなく初期位置に確実に保持される。またカード選別板48の内側に第1の異種メモリーカード45の挿入端部が嵌合された状態で、その第1の異種メモリーカード45を下方に押付けながら、左右何れか一側に片寄せた場合(正規メモリーカード12と略同じ高さを有し幅のみが小さい異種嵌合物である異種メモリーカードがカード挿入口13から挿入された場合と同じ)も、少なくとも左右何れか一側の変位部53a又53bについて、変位しないか変位量が不足するため、異種カード挿入防止機構44によるスライド体20の初期位置でのロックは解除されない。
さらに、図12及び図13に示す如く、第2の異種メモリーカード46がカード挿入口13から挿入され、その挿入端部が異種カード挿入防止機構44によって初期位置にロックされているスライド体20の嵌合凹部25に受入れられ、その嵌合凹部25に装着されているカード選別板48の内側に嵌合された状態で、第2の異種メモリーカード46を下方に押付けても、この嵌合凹部25に嵌合された第2の異種メモリーカード46の高さが正規メモリーカード12の高さより小さいため、左右側部板バネ49a,49bは幅方向外側に変位するものの、第2の異種メモリーカード46の左右側面上部を左右両側から挟持するようになり、第1の異種メモリーカード45の場合と同様に、左右底部板バネ52a,52bが水平姿勢に押下げられるだけで、左右可動係合片59a,59bを左右固定係合片61a,61bから外すのに必要な左右変位部53a,53bの変位量は得られず、この場合も異種カード挿入防止機構44によるスライド体20の初期位置でのロックは解除されない。また左右可動係合片59a,59bと左右固定係合片61a,61bとの係合代が少なくなるが、第2の異種メモリーカード46を挿入しようとしても、第1の異種メモリーカード45の場合と同様に、カード誤挿入防止体41と干渉するので、スライド体20はカード挿入方向に移動することはなく初期位置に確実に保持される。
このように、前記カード挿入口13で正規嵌合物である正規メモリーカード12より大型の異種嵌合物の挿入を防止し、前記カード挿入口13から挿入可能な正規メモリーカード12より小形の異種嵌合物である第1、第2の異種メモリーカード45,46の挿入を異種嵌合物挿入防止機構である異種カード挿入防止機構44によって防止することにより、正規メモリーカード12のみをカードセット位置に挿入可能とし、各コンタクト17の耐久性低下や破損を招くのを防止できる。また前記カード選別板48は正規メモリーカード12をカードセット位置において左右外側から挟持し、かつ、上方に付勢し、正規メモリーカード12の左右及び上下方向の位置決め行うため、カードセット位置での正規メモリーカード12の保持安定性を高め、正規メモリーカード12の各コンタクトとカードコネクタの各コンタクト17の接触安定性も高める。
また、前記カード選別体47はカード選別板48に加え、図2、図4、図19及び図20に示す如く、長手側が正規メモリーカード12の幅方向に沿う一枚の帯状金属板からなるカード導入板65と、このカード導入板65にカード選別板48を一体連結する連結板66とを備える。前記カード導入板65の両端部を向きに折曲げ、カード導入板65の両端部に正規メモリーカード12の幅方向で対向する左右一対の側板67a,67bを形成すると共に、この左右側板67a,67bの上部を下向きに曲返し、カード導入板65の両端部にフック68a,68bを形成し、左右側板67a,67bの相対間隔を嵌合凹部25の左右側壁面の相対間隔(嵌合凹部25の幅)と同寸に形成する。さらにカード導入板65の前縁(カード受入れ側の側縁)中央部には前下がり傾斜状で幅広のカード受入れ用の底部ガイド片69を形成する。そして、左右側板67a,67b間のカード導入板65の後縁中央部とカード選別板48の中央ベース板51前縁中央部とを連結板66を介して一体連結し、カード導入板65をカード選別板48の前側に(カード受入れ側に)平行に、カード挿入方向から見てカード選別板48と略重なる姿勢で一体連結し、左右側板67a,67b間のカード導入板65及び連結板66、カード選別板48の中央ベース板51を面一に連設させる。即ち、カード選別体47は平面視H形状の一枚の金属板にて、カード選別板48、カード導入板65及び連結板66を一体形成する。
そして、カード導入板65が嵌合凹部25前端部(カード受入れ端部)に装着されるように、カード選別体47を嵌合凹部25に装着し、前記カード選別板48を嵌合凹部25の長さ方向中間部に装着させるもので、図17に示す如く、左右側部ブロック21,22の前端部上面にカード導入板65の左右フック68を嵌込む左右フック溝70a,70bを形成すると共に、前記選別板装着溝57を、カード導入板65の左右側板67a,67b及びこの間のカード導入板65、前記連結板66が接合する嵌合凹部25の左右側壁面(左右側部ブロック21,22の内側面)及び底面に拡張形成し、その選別板装着溝57の左右端部を前記左右フック溝70a,70bに連設させ、カード導入板65の左右フック68a,68bをスライド体20の左右フック溝70a,70bに嵌込み、カード導入板65の左右側板67a,67bをこの表面(内側面)が嵌合凹部25の左右側壁面と面一になるように嵌合凹部25の左右側壁面に選別板装着溝57を介して接合支持させ、また左右側板67a,67b間のカード導入板65及び前記連結板66をこの表面(上面)が嵌合凹部25の底面と面一になるように嵌合凹部25の底面に選別板装着溝57を介して接合支持させ、前記底部ガイド片69を嵌合凹部25の底面中央部から前方に向けて前下がり傾斜状態で突出させ、これらカード導入板65及び連結板66を介してカード選別板48を前述のように嵌合凹部25の長さ方向中間部に係止する。即ち、カード選別体47をスライド体20の嵌合凹部25に係止装着する。尚、カード挿入口13の下縁中央部にはスライド体20が初期位置に移動時、底部ガイド片69を嵌入させる切欠き部71を形成する。
前記カード選別体47の本体であるカード選別板48はスライド体20の嵌合凹部25の受入れ口に装着しても良いが、長さ方向中間部に装着することによって、カード挿入口13から挿入された正規メモリーカード12の挿入端部が、初期位置にあるスライド体20の嵌合凹部25にある程度挿入されて、この正規メモリーカード12の挿入姿勢の傾きなどが規制された時点で、カード選別板48に対して嵌合するようになるため、正規メモリーカード12の挿抜きをスムーズに行える。またカード選別板48はそれだけでスライド体20の嵌合凹部25に装着可能であるが、上記のようにカード導入板65及び連結板66を介してカード選別板48を嵌合凹部25の長さ方向中間部に装着することによって、嵌合凹部25受入れ口のガイド片69表面からカード選別板48の中央ベース板51表面に連続する一連の平坦面が形成されるため、カード選別板48を嵌合凹部25の長さ方向中間部に装着しても、正規メモリーカード12の挿抜きをスムーズに行える。さらにカード選別板48はカード導入板65及び連結板66を介してスライド体20の嵌合凹部25に係止されるため、カードコネクタの組立時、カード選別板48の組付けを簡単に行えるので効果的である。
最後に、メモリーカードの無理抜き防止機構について説明する。
カードコネクタについては、メモリーカードをカードセット位置に挿入保持する特定の機構、例えば、各種カード排出機構(イジェクト機構)が必要であるが、カードセット位置に挿入保持されているメモリーカード12が無理抜きされた場合、その特定機構に異常な負荷がかかりこれを破損させるおそれがあった。このような問題を解決するための無理抜き防止機構を提供する。この無理抜き防止機構は、カードセット位置に挿入保持されているメモリーカードが無理抜きされた時に特定機構に働く負荷で、その特定機構によるメモリーカード12のカードセット位置での挿入保持を強制的に解除し、特定機構の破損を防止する。特に、プッシュイン/プッシュアウト型やその他型式のカード排出機構によってメモリーカードをカードセット位置に挿入保持するカードコネクタについては、メモリーカードの挿入に追従して移動する可動体に対してそのメモリーカードを弾力的に係合する係合部材が備えられ、この係合部材が、カードセット位置に挿入保持されているメモリーカードが無理抜きされた時には付勢力に抗して係止解除方向に動作するため、無理抜き防止機構は、この動作を利用してカード排出機構によるメモリーカードのカードセット位置での挿入保持を強制的に解除し、可動体を初期位置に自動復帰させ、カード排出機構の破損を防止する。このような無理抜き防止機構が本実施形態のカードコネクタにも備えられる。
本実施形態のようにプッシュイン/プッシュアウト型のカード排出機構30を備えたカードコネクタの無理抜き防止機構72は、図24乃至図26に示す如く、前記カム溝31の係止溝部31cからカード排出方向に形成して起点溝部31aに連通させるエスケープ溝73を備え、スライド体20によってカードセット位置に挿入保持された正規メモリーカード12の無理抜き時、セミロック爪35の退入動作によって係止溝部31cからカムピン後端32bを離脱させてスライド体20のロックを強制的に解除し、カムピン後端32bをエスケープ溝73から起点溝部31aに復帰可能としてスライド体20をカード排出位置に自動復帰させる。
詳しくは、前記エスケープ溝73は、図18にも示す如く、往路溝部31bと係止溝部31cと正規復路路溝部31bとで囲われるカム溝31中央部の島部74にカード挿抜方向に形成されると共に、溝深さが各溝部31b,31c,31dより浅く形成され、前端を係止溝部31cの係止溝壁75上部を破ってその係止溝部31cに連通させ、後端を正規復路路溝部31bとの間の段差31eよりさらに高い段差76を付けて往路溝部31bの始端部に連通させる。またセミロック爪35の退入動作によって係止溝部31cからカムピン後端32bを離脱させるための1本の突出しピン77を備えると共に、スライド体20によってカードセット位置に挿入保持された正規メモリーカード12の無理抜き時、前記突出しピン77によって、セミロック爪35の退入動作を利用して係止溝部31cからカムピン後端32bを離脱させてスライド体20のロックを強制的に解除するために、セミロック爪35に対してこの退入動作方向にカム溝31を配備し、またセミロック爪35の真後ろに係止溝部31cが配備されるようにカム溝31を形成する。即ち、本実施形態ではスライド体20の嵌合凹部25一側壁面となる左側部ブロック21の内側面の前部にセミロック爪35を収容配備する凹部36が形成されるので、スライド体20の左側面の前部(左側部ブロック21の外側面前部)にカム溝31を形成し、セミロック爪35の退入動作方向で、かつ、真後ろにカム溝31の係止溝部31cを配備する。そして、突出しピン77をセミロック爪35の中心にこの進退方向に沿って植設固定し、その一端側を凹部36の底面に対向するセミロック爪35の底面中心部から突出させると共に、凹部36の底面から係止溝壁75に係合時のカムピン後端32bの端面が対向する係止溝部31cの溝底に前記突出しピン77を貫通させる貫通孔78を形成し、セミロック爪35の突出時に突出しピン77を係止溝部31cの溝底より退入保持し、セミロック爪35の退入動作によって突出しピン77を係止溝部31cの溝底より突出させるように構成する。これによって、初期位置にあるスライド体20の嵌合凹部25に対する正規メモリーカード12の挿抜き、並びに、正規メモリーカード12のカードセット位置への挿入及び挿入保持と正規メモリーカード12のカードセット位置からの排出を支障なく行え、図26に示す如く、スライド体20によってカードセット位置に挿入保持された正規メモリーカード12が無理抜きされた場合には、セミロック爪35の退入動作によって係止溝部31cの溝底より突出する突出しピン77が、その係止溝部31cに係合しているカムピン後端32bを板バネ34に抗して係止溝壁75より高く突上げる。この結果、スライド体20のカードセット位置から初期位置への移動規制がなくなり、スライド体20のカードセット位置でのロックが解除されるため、スライド体20はカード排出バネ27の付勢力によってカード排出方向へ移動し、これに伴ってカムピン後端32bは係止溝部31cから離脱して直接エスケープ溝73に導入されてこの溝を移動通過して起点溝部31aに移動するため、スライド体20は初期位置に自動復帰する。このため、スライド体20によってカードセット位置に挿入保持された正規メモリーカード12が無理抜きされても、カム溝31の係止溝部31cやカムピン32には異常な負荷がかからず、これらが変形して正規メモリーカード12のスムーズな挿抜きを妨げるスライド体20の動作不良を招いたり、カード排出機構30のロック機構29が正常に機能しなくなるのを防止できる。
尚、セミロック爪35と係止溝部31cとの間に上記のような位置関係が得られない場合でも、前記突出しピン77に代えて適当な動作伝達部材を組込むことによって、上記と同様の作用効果を得ることができる。
また、前記無理抜き防止機構72はプッシュイン/プッシュアウト型のカード排出機構30を備えたカードコネクタに備えることによって、カード排出機構30を本来のプッシュイン/プッシュアウト型として使用できる他、プッシュイン/プルアウト型としても使用できる新たな型式のカード排出機構を構成できる。この新たな型式のカード排出機構は、メモリーカードを押込操作することによってこれを排出するという、プッシュイン/プッシュアウト型の操作違和感をなくし、不慣れなオペレータにとっては使い勝手の面で有効である。
以上から明らかなように、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の挿入を防止するため、挿入口13から挿入された嵌合物12,45,46の断面形状(幅と高さ)に基づいて正規嵌合物12のみを所定位置まで挿入可能とする異種嵌合物挿入防止機構44を備えたことで、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の挿入を防止できるため、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の挿入によるコンタクト17の耐久性低下や破損などを防止できる。
異種嵌合物挿入防止機構44は挿入口13から挿入された嵌合物12,45,46を当接させる可動体20を、嵌合物12,45,46の断面形状に基づいて変位する嵌合物選別体47(48)によって、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の場合にロック状態に保持し、正規嵌合物12の場合にロックを解除することで、挿入口13から挿入された嵌合物12,45,46の断面形状(幅と高さ)に基づいて、正規嵌合物12のみを所定位置まで挿入可能とし、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の挿入を防止できる。
嵌合物選別体47(48)は独立して変位可能な複数の変位部53a,53bを有し、正規嵌合物12でのみ全ての変位部53a,53bが同時にロック解除位置へ変位することで、可動体20を、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の場合にロック状態に保持し、正規嵌合物12の場合にロックを解除し、正規嵌合物12のみを所定位置まで挿入可能とし、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の挿入を防止できる。
挿入口13から挿入されたメモリーカード12に当接させてカード挿入に追従して移動させるカード排出用の可動体20を備えたコネクタ、即ち、カードコネクタにおいては、メモリーカード12の断面形状(幅と高さ)に基づいて変位するカード選別体47(48)によって、正規メモリーカード12より小型の異種メモリーカード45,46の場合に可動体20をカード排出位置にロックし、正規メモリーカード12の場合に可動体20のロックを解除し、正規メモリーカード12のみを所定位置まで挿入可能とする異種カード挿入防止機構44を備えることで、正規メモリーカード12より小型の異種メモリーカード45,46の挿入を防止することができるため、正規嵌合物12より小型の異種嵌合物45,46の挿入によるコンタクト17の耐久性低下や破損などを防止できる。
カード選別体47(48)は独立して変位可能な複数の変位部53a,53bを有し、正規メモリーカード12でのみ全ての変位部53a,53bが同時にロック解除位置へ変位することで、正規メモリーカード12より小型の異種メモリーカード45,46の場合に可動体20をカード排出位置にロックし、正規メモリーカード12の場合に可動体20のロックを解除し、正規メモリーカード12のみを所定位置まで挿入可能とし、正規メモリーカード12より小型の異種メモリーカード45,46の挿入を防止できる。
カードコネクタには、正規メモリーカード12が正規挿入姿勢以外の姿勢で誤挿入された時、正規メモリーカード12の角落しされていない角部を当接させてそれ以上のカード挿入を防止するカード誤挿入防止体41を備えることで、正規メモリーカード12の正規挿入姿勢以外の姿勢での誤挿入によるコンタクト17の耐久性低下や破損などを防止できる。この場合、カード選別体47(48)の一つの変位部53aをカード挿入方向から見てカード誤挿入防止体41と重なる位置に配設する構成を採用することによって、正規メモリーカード12より小型の異種メモリーカード45,46によってカード選別体47(48)の全ての変位部53a,53bが同時にロック解除位置近くに変位される場合が生じても、この異種メモリーカード45,46の挿入をカード誤挿入防止体41によって確実に防止できる。
カードコネクタには、可動体20と正規メモリーカード12を挿抜方向で係合させるための係合部材35を備えることで、正規メモリーカード12をカードセット位置にて挿入保持すると共に、カード排出時、カード挿入口13からの正規メモリーカード12の脱落を防止できる。この係合部材35は、詳しくは、可動体20の凹部36から弾力的に突出し、挿入口13から挿入された正規メモリーカード12が可動体20に当接した時、正規メモリーカード12に形成された係合溝38に係合することで、可動体20と正規メモリーカード12を挿抜方向で係合させることができる。
カードコネクタには、可動体20と、可動体20をカード排出方向に付勢するカード排出バネ27と、ロック機構29とで構成するカード排出機構30を備え、ロック機構29は可動体20に形成するカム溝31と、カム溝31に一端を摺動自在に嵌入させるカムピン32とを備え、1回目のカード押込操作でカム溝31の係止溝部31cにカムピン32を係止させ、可動体20をカードセット位置でロックし、2回目のカード押込操作で係止溝部31cからカムピン32を離脱させ、可動体20のロックを解除してカード排出位置に復帰させることで、正規メモリーカード12の挿入/排出操作を簡単に行える。所謂、プッシュイン/プッシュアウト型のカード排出機構30を備える。
プッシュイン/プッシュアウト型のカード排出機構30を備えたカードコネクタについて、カム溝31は可動体20がカード排出位置にある時にカムピン32を位置させる起点溝部31aと、1回目のカード押込操作で起点溝部31aから係止溝部31cにカムピン32を導入係止させる往路溝部31bと、2回目のカード押込操作で係止溝部31cから起点溝部31aにカムピン32を復帰させる正規復路溝部31dに加え、係止溝部31cからカード排出方向に形成して起点溝部31aに連通させるエスケープ溝73を備え、カードセット位置の可動体20に保持された正規メモリーカード12の無理抜き時、係合部材35の退入動作によって係止溝部31cからカムピン32を離脱させて可動体20のロックを解除し、カムピン32をエスケープ溝73から起点溝部31aに復帰可能として可動体20をカード排出位置に復帰させる無理抜き防止機構72を備えることで、カードセット位置の可動体20に保持された正規メモリーカード12の無理抜きによって、カム溝31の係止溝部31cやカムピン32に異常な負荷がかかりこれらが変形し、正規メモリーカード12のスムーズな挿抜きを妨げる可動体20の動作不良を招いたり、カード排出機構30のロック機構29が正常に機能しなくなるのを防止できる。