JP4128928B2 - タイヤ空気圧警報装置 - Google Patents

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本発明は、走行中の自動車のタイヤ空気圧を定常的に監視して、異常が発生したときに警報を発生する装置の改良に関する。本発明は、とくに大型自動車に装備する装置に利用する。本発明は、複数のタイヤに装備されセンサ装置からそれぞれ発する微弱な電磁波を受信するアンテナの数を少なくするための改良に係る。
下記[特許文献1](出願人、日野自動車)には、車両の走行中に、タイヤの空気圧を各車輪に設けた圧力センサにより検出し、この検出結果を変調信号とする無線信号により送信し、車両側に設けた受信装置によりその電磁波を受信しタイヤの空気圧異常を警報するための装置が開示されている。
この装置を簡単に説明すると、各タイヤの空気圧注入口に、それぞれ圧力センサ、変調器、および電磁波発振器を含むセンサ装置を装着する。そのセンサ装置は、内蔵のタイマにより制御され間欠的に短い電磁波を発生する。この電磁波をタイヤの空気圧情報で変調して送信する。車両側にはこの電磁波を受信するための受信機を装備し、この受信機により復調された空気圧情報を評価して、異常があれば警報を発生する装置を設けたものである。タイヤ側に設けるセンサ装置には小型の電池が内蔵されている。この装置を利用することにより、車両走行中には間欠的に、たとえば数十秒毎に、すべてのタイヤの空気圧を順次監視し、異常がある場合には運転席に警報を発生することができる。
[特許文献2](出願人、日立)には、直接タイヤ空気圧に係わるものではないが、路側帯から送信される電磁波について、車両側で受信する電磁波が路面に反射する場合にこれを回避するための技術が開示されている。
[特許文献3](出願人、日本電気)には、車両が走行する路面の状態を電磁波の反射波を利用して測定する技術が開示されている。この文献には、路面に反射する電磁波をその位相差により識別して、路面に反射する電磁波を排除する技術が説明されている。
すなわち上記従来例タイヤ空気圧警報装置では、ホイールに装着されたセンサ装置から発生する電磁波を受信するときに、路面に反射した電磁波は妨害電波あるいは雑音であり、これを排除するような工夫が施されていた。
特開平11−78445号公報 特開2003−23382公報 特開2000−284063号公報
このような装置は、一部の高級な乗用車に、実用的な形態として装備されたものが販売されるようになった。しかし、トラック、バスその他大型車両に利用できる形態のものは実用化されていない。
その主な理由は、大型車両ではタイヤの数が多くタイヤ毎に設けるセンサ装置の数も多くなり装置が複雑になるからである。また大型車両では車体底部に比較的大きい構造物が装着されていて、ホイールに設けたセンサ装置から送信される電磁波がこれらの構造者により遮られるからである。各ホイールに設けるセンサ装置が送信する電磁波の強度には電波法による制限があり、送信信号の強度を大きくすることができない。このため乗用車では前後合計4輪のタイヤについて、車両中央付近に設けた一つの受信アンテナで各輪からの信号を受信できるところ、大型車両では、各輪のセンサ装置から送信される電磁波を受信するために、車両各所に複数のアンテナを配置しなければならない。
すなわち大型車両では、前輪1軸(2輪)、後輪2軸二重輪(2×2×2=8輪)の構成でもタイヤの数は全体で10本になる。前輪が2軸の場合にはさらにタイヤの数は2本多くなり全体で12本になる。そして、各タイヤに取付けるセンサ装置から送信する電磁波の強度を電波法で許容される最大値(発信源から3mの電界強度が54dBμV/m,超短波帯)に設定して試験をしてみると、前軸と後軸との距離が離れているから、車両中央付近に設けた一つのアンテナで、すべての車輪から発生する電磁波を有効に受信することは、実用上は不可能であることがわかった。
本発明はこのような背景に行われたものであって、タイヤ空気圧警報装置の高性能化、経済化および装置の取付け工数の低減をはかることを目的とする。本発明は、とくにホイール数が多い大型車両に適用するためのタイヤ空気圧警報装置を提供することを目的とする。本発明は、車両各部に配置するアンテナの数を少なくすることができる空気圧警報装置を提供することを目的とする。本発明は、多数のタイヤに取付けられたセンサ装置からの電磁波を、合理的に受信することができるアンテナおよびその取付け構造を提供することを目的とする。本発明は、車両底部に設けられた各種構造物や装置類により電磁波が遮られることがない装置を提供することを目的とする。
本発明は、車両側に設ける受信アンテナ(2)の位置について、複数のホイールにそれぞれ取付けられたセンサ装置(1)から送信される電磁波について、路面に反射した電磁波を有効に受信することができる位置および角度に受信アンテナ(2)を配置することを最大の特徴とする。すなわち、ホイールに装着されたセンサ装置(1)は、車両の走行中に所定の時間間隔で間欠的に、タイヤの空気圧情報で変調された電磁波を送信する。そしてこのセンサ装置(1)は走行中はホイールとともに回転する。かりに、車体下部の受信アンテナ(2)の取付け位置および取付け角度をホイールを直接見通すことができるように設定しても、ホイールが回転してセンサ装置(1)が路面から離れた位置になったときには、センサ装置(1)と受信アンテナ(2)との間には、車体フレームや車体下部に取付けられた各種の装置や構造物がその見通しを遮ることになり、電磁波は有効に受信アンテナ(2)に到達しない。
上記括弧内の数字はあとから説明する実施例図面の参照数字である。これは発明の構成を理解しやすいように付すものであって、発明の構成を実施例の構成に限定的に理解するためのものではない。以下の説明においても同様である。
これに対して、ホイールとともに回転するセンサ装置(1)から送出する電磁波が、いったん路面に反射した電磁波を有効に受信するように受信アンテナ(2)を配置すると、受信感度がいちじるしく良くなることが実験的に確かめられた。すなわち車体に取付ける受信アンテナ(2)の指向特性の最も有効な角度をタイヤが接地する近傍の路面に向けることにより、一つの受信アンテナで、複数のホイールに取付けられたセンサ装置が発生する電磁波をホイールの回転にかかわらず受信することができるようになる。これはこの装置に利用している電磁波は目に見えないが、これを電磁波の一つである可視光線におきかえて理解すると、タイヤに装着されたセンサ装置が発生する電磁波により路面が照射されて、路面を明るくしている状態を想定すると理解しやすい。このような構成により、ホイールの回転に伴い、受信される電磁波が断続する現象は実用的に十分な程度に回避することができる。
ホイールに装着したセンサ装置からの電磁波を受信するために、従来例装置では、路面反射波はむしろ雑音として考えられていた。このため路面反射波を受信しないようにする工夫がなされていたところ、本発明はこの路面反射波を積極的に利用するとの新しい思想に基づくものである。
すなわち本発明は、複数のホイールにそれぞれ装着されタイヤの空気圧情報を含む信号により変調された電磁波を送出するセンサ装置(1)と、車両に装備されこの電磁波を受信する受信アンテナ(2)と、この受信アンテナに受信された電磁波から前記空気圧情報を復調する受信機(3)と、その空気圧情報に応じて運転席に警報を送出する手段とを備えたタイヤ空気圧警報装置において、前記受信アンテナ(2)は、その指向特性の最も有効な角度が前記センサ装置(1)から送信され路面に反射した電磁波に対して向けられたことを特徴とする。
このような構成により、前記受信アンテナ(2)は、一または複数の前軸に装着された複数のホイールにそれぞれ設けられた前記センサ装置(1)が送出する電磁波を受信するために車両前方下部に共通に1個を設ければよいことがわかった。
またこのような構成により、前記受信アンテナ(2)は、一または複数の後軸に装着された複数のホイールにそれぞれ設けられた前記センサ装置(1)が送出する電磁波を受信するために車両側部の左右にそれぞれ1個ずつを設ければよいことがわかった。
大型車両の前軸は一軸の場合と二軸の場合がある。一般に、前輪一軸の場合は前方のホイールは2個であり、前輪二軸の場合には前方のホイールは4個になる。前輪二軸4個のホイールに対しても、本発明の構成により1個の受信アンテナでカバーできる。一般に、後軸のホイールは一つの軸に左右合計4個装着されるので、後軸についてはホイールの数が多くなる。ちなみに後軸が2軸の場合には後軸だけでもホイールの数は8個になる。これを1個の受信アンテナでカバーすることも可能であるが、車両の左右に区分してそれぞれ別の受信アンテナを設けることが実用上合理的である。
本発明により、装置の部品点数が少なくなるとともに、取付けのための作業工数が小さくなり、タイヤ空気圧警報装置が経済化される。本発明により、ホイールの回転により電磁波が遮られることがなく、タイヤの空気圧情報を安定に受信することができる装置が得られる。本発明により、ホイール数が多く、しかも車体下部に複数の構造物が装着されている大型車両に適用するための、合理的なタイヤ空気圧警報装置を提供することができる。
図面を参照して実施例装置について説明する。図1は本発明実施例装置車両の平面図である。この図に、前1軸、後2軸二重輪の車両について、タイヤ空気圧警報装置の配置を示す。前輪は左右に1輪ずつ装着され、後輪は各軸左右に2輪ずつ装着され、車輪数は合計10個である。この10個の車輪にはそれぞれセンサ装置1が装着されている。すなわち、各車輪のタイヤ空気圧注入口には、通常のバルブに代えてセンサ装置1が装着される。センサ装置1には、それぞれそのタイヤの空気圧を検出する圧力センサが装備されている。このタイヤ空気圧情報は電磁波に変調されて空間に送出される。この電磁波は受信アンテナ2に受信される。この受信された信号は受信機3により復調され、アナライザ4により分析され、運転席に設けられたメータ・マルチ・インフォメーション表示器7およびブザー8に表示される。
図2は各車輪に装着されたセンサ装置1のブロック構成図である。各センサ装置1はそれぞれのタイヤ空気圧にさらされた圧力センサ11を備える。圧力センサ11により検出されたタイヤの空気圧情報はプロセッサ12に取込まれる。プロセッサ12はその空気圧情報にしたがってディジタル信号を発生する。このディジタル信号は発振器13により発生する電磁波を変調し、この電磁波は送信アンテナ14から空間に送出される。送信アンテナ14はタイヤの空気圧注入口に取付けられたきわめて小型の構造物であり、ホイールの回転に伴い車軸まわりに回動する。すなわちホイールの回転に伴い電磁波の送信位置は変化する。
図3は車両側に設けられた装置のブロック構成図である。この装置は、受信アンテナ2で受信された電磁波を受信機3で受信復調し、その復調されたディジタル信号をアナライザ4により分析する。アナライザ4にはメモリ5から比較情報が供給される。アナライザ4の出力情報は、インターフェース6を介して、運転席に設けられたメータ・マルチインフォメーション表示器7およびブザー8に表示される。アンテナ2および受信機3の回路要部は一つの筐体に実装され、アナライザ4、メモリ5およびインターフェース6は別の筐体に実装される。これを一点鎖線で示す。
すなわちこの装置は、車両の走行中に各車輪に装着されたタイヤの空気圧を監視し、その空気圧が所定の基準を下回る、あるいは前回の受信情報に比較して基準量を下回ると、運転席に警報を発生するとともに、その空気圧が下回っているタイヤの番号を表示する。これらセンサ装置1、受信アンテナ2、受信機3、アナライザ4、メータ・マルチ・インフォメーション表示器7などの構成はよく知られているものである。またこれら装置の構造は、本願出願人による上記[特許文献1]に記載があるので、ここではさらに詳しい説明を省略する。
ここで本発明の特徴とするところは、受信アンテナ2の配置およびその取付け角度にある。図1を参照して、この構成は、上記のように前軸2個、後軸8個、合計10個の車輪にそれぞれ装着されたセンサ装置1に対して、3個の受信アンテナ2a、2b、2cを配置する。すなわち、前軸に装着された一対の前輪21については、それぞれのセンサ装置1から送信される電磁波を一つの受信アンテナ2aにより受信する。二つの後軸の左側に装着された4個の車輪については、各センサ装置1から送信される電磁波を一つの受信アンテナ2bにより受信する。二つの後軸の右側に装着された4個の車輪については、各センサ装置1から送信される電磁波を一つの受信アンテナ2cにより受信する。そして各受信アンテナ2a、2b、2cは、それぞれその指向特性の最大になる方向が、各センサ装置1から送出され、いったん路面に反射した電磁波に対して有効になるように取付けられる。
図4はアンテナの実装構造図である。このアンテナ2は、そのエレメントは金属板の打ち抜き加工によりループ状に形成されたループアンテナ2pである。そしてこのループアンテナ2aが、受信機3の要部回路が形成された回路基板3aにほぼ平行に取付けられ、プラスチック筐体2bの内部に収容された構造である。車体にはこのプラスチック筐体2qが取付けられる。受信機3の電気回路はコネクタ3bを介して接続される。
図5はそのアンテナの取付け構造を示す概念図である。受信アンテナ2は、車両のフレームの形状を維持補強するために設けられたクロス・メンバ18に取付けられる。受信アンテナ2の電磁波に対する指向特性の最大になる方向が、ホイールが接地する近傍の路面になるように設定される。図5に示されたアンテナの取付け角度αは5〜45度であり、望ましいのは30度である。すなわちこの受信アンテナ2は、その電磁波に対する指向特性の最大になる方向をホイールの方向に向けるのではなく、センサ装置1が送出する電磁波が路面を照射する位置に向ける。
これは、受信アンテナ2の指向方向をホイールの方向に設定しても、ホイールの回転に伴い何らかの装置や構造物の陰になることがあり、ホイールの回転にしたがってセンサ装置1が発生する電磁波を受信できない場合があるからである。それよりも、センサ装置1が送出する電磁波が路面を照射している位置に向けることにより、ホイールが回転してセンサ装置1がかりに路面から離れた位置になっている場合にも、センサ装置1が発生する電磁波を有効に受信することができるようになる。発明者らは多数回の実験によりこれを確認した。
後部の受信アンテナ2bおよび2cは、それぞれ車両フレームの外側に、二つの後輪の間に取付ける。この後輪用の受信アンテナ2bおよび2cについても、その電磁波に対する指向特性が最大になる方向が、ホイールが接地する近傍の路面になるように配置することが適当である。
この実施例装置を試験したところ、利用周波数315MHzにおいて、各種の舗装道路の路面上できわめて有効であった。すべてのホイールに取付けられたセンサ装置1からの電磁波について受信感度で2.5dBないし6.9dBの改善がみられた。雨降りの状態でも有効であることが確かめられた。積雪路面ではやや減衰があることが観測された。
上記説明は、大型車両または商用車両について記述したが、本発明は乗用車その他の車両にも広く実施することができる。また輸出用車両については、それぞれ電波法による規制や利用周波数の制限が異なるが、それぞれの地域の規定に適合するように同様に実施することができる。
本発明実施例装置の大型車両における配置を示す平面図。 本発明実施例装置のセンサ装置を説明するブロック構成図。 本発明実施例装置の車両側装置を説明するブロック構成図。 アンテナの実装構造図。 本発明実施例装置の受信アンテナ取付け角度を説明する図。
符号の説明
1 センサ装置
2a、2b、2c 受信アンテナ
2p ループアンテナ
2q プラスチック筐体
3 受信機
3a 回路基板
3b コネクタ
4 アナライザ
5 メモリ
6 インターフェース
7 メータ・マルチ・インフォメーション表示器
8 ブザー
10 ハーネスワイヤ
11 圧力センサ
12 プロセッサ
13 発振器
14 送信アンテナ
15 電池
16 シャシ
17 キャブ
18 クロス・メンバ
21 前輪タイヤ
22、23 後輪タイヤ

Claims (4)

  1. 複数のホイールにそれぞれ装着されタイヤの空気圧情報を含む信号により変調された電磁波を送出するセンサ装置と、車両に装備されこの電磁波を受信する受信アンテナと、この受信アンテナに受信された電磁波から前記空気圧情報を復調する受信機と、その空気圧情報に応じて運転席に警報を送出する手段とを備えたタイヤ空気圧警報装置において、
    前記受信アンテナは、その指向特性の最も有効な角度が前記センサ装置から送信され路面に反射した電磁波に対して向けられたことを特徴とするタイヤの空気圧警報装置。
  2. 前記受信アンテナは、一または複数の前軸に装着された複数のホイールにそれぞれ設けられた前記センサ装置が送出する電磁波を受信するために車両前方下部に共通に1個が設けられた請求項1記載のタイヤの空気圧警報装置。
  3. 前記受信アンテナは、一または複数の後軸に装着された複数のホイールにそれぞれ設けられた前記センサ装置が送出する電磁波を受信するために車両側部の左右にそれぞれ1個ずつが設けられた請求項1記載のタイヤ空気圧警報装置。
  4. 前記受信アンテナは、金属板の打ち抜き加工によりループ状に形成され、受信機の要部回路とともにプラスチック製筐体の内部に実装された構造である請求項1記載のタイヤ空気圧警報装置。
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