JP4122688B2 - ガス設備における外気のリーク検出方法および検出装置 - Google Patents

ガス設備における外気のリーク検出方法および検出装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、外気との間に温度差を有するガスが、例えば誘引ブロアなどによって誘引されたりすることにより負圧状態で流通する排ガス処理装置やガス配管等のガス設備において、当該ガス設備に孔が明いたりして外気が内部にリークしたときにこれを検出するためのガス設備における外気のリーク検出方法および検出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
例えば鉱材を製錬する際の製錬炉や廃棄物を焼却する際の焼却炉など各種の炉から排出される排ガスは、高温であることや有害な成分を含んでいたりすることからそのまま大気中に排出したり漏洩させたりすることはできないので、誘引ブロアなどによって誘引することにより負圧状態で上記炉からガス配管(煙道)を介して抜き出され、適当な排ガス処理装置によって除塵等の処理が適宜なされた後に煙突から排出される。ところが、このようなガス配管や排ガス処理装置といったガス設備は、屋外に配設されることが多くて外部が風雨に晒されることとなる一方、内部には腐食性のガスが流通させられたりする場合もあって、長期の使用による老朽化に伴いガス配管や排ガス処理装置の外壁に孔が明いてしまうことがある。
【0003】
しかるに、このように老朽化に伴ってガス設備に孔が明いてしまっても、当該ガス設備内は上述のように負圧状態となっているので、内部のガスが外に漏れ出てしまうようなことはないが、その反面、外部の空気等の外気がこの孔からガス設備内部にリークしてしまうことになるため、上記誘引ブロア等による誘引力すなわち該誘引ブロアの駆動力の増大を図らなければならなくなったり、炉から排出される排ガスの処理能力が低減するのに伴って炉の処理能力自体も損なわれたりするおそれがある。そこで、これらガス配管や排ガス処理装置のようなガス設備においては、このような外気の設備内へのリークを検出する検出装置を設けるのが望ましく、かかる検出装置として従来は、例えば上記排ガス処理装置に酸素濃度計を設けて、リークした外気によるガスの酸素濃度の上昇によりリークの有無を検出するようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような酸素濃度計は、まず第1にきわめて高価であり、しかも外気のリークを検出すべきガス設備の入口側と出口側との酸素濃度が分からなければリークの有無も検出できないため、一つのガス設備に対して少なくとも2つの酸素濃度計が必要となる。このため、例えば保守点検のために複数の排ガス処理装置を備えたガス設備において、そのすべてに酸素濃度計を設けようとした場合には膨大なコストがかかることとなり、甚だ不経済な結果となる。また、このような酸素濃度計は、流通するガス中にダスト成分が多く含まれていたり、あるいはガスの酸素濃度が大きく変動したりするような場合には、正確な測定を行うことが困難であるという問題もある。そして、何よりも単に酸素濃度の上昇を測定するだけでは、リーク量を定量的に管理したり、これに基づいてガス設備の最適な補修計画を立てたりするようなことは困難とされていた。
【0005】
一方、たとえこのような酸素濃度計を備えてリークの有無を検出することができても、実際の補修の際にリーク箇所を発見するには、補修作業員の目視に頼らざるを得ない。ところが、例えば各種のガス処理装置等は通常保温板によってその外部が被覆されていることが多く、このため外気がリークしていることが分かっていても、当該ガス設備のどこに孔があいてリークしているかまでを見当つけることすらできなかった。そればかりか、例えば酸素濃度計の測定点がガス設備の出入口内の外周側に偏って配置されていたりすると、たとえリークが生じていても、リークした外気が出入口の上記測定点とは反対側の外周部分に沿って流通した場合には、これを検出することができなかったり酸素濃度が実際よりも低く測定されたりするなど、酸素濃度計が配設される位置によっては大きな測定誤差が生じてしまうという問題もある。
【0006】
本発明は、このような背景の下になされたもので、上述の排ガス処理装置やガス配管等のガス設備における外気のリークを、正確かつ定量的に、しかもきわめて安価に検出することが可能な検出方法および検出装置を提供することを第1の目的とし、さらにはリークをより確実に検出できるとともに、リークが検出された場合にガス設備のどこでリークしているかの概ねの見当をつけることも可能な検出方法および検出装置を提供することを第2の目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して、まず上記第1の目的を達成するために、本発明の検出方法は、外気との温度差を有するガスが負圧状態で流通させられるガス設備内への外気のリークを検出するガス設備における外気のリーク検出方法であって、上記ガス設備の入口側におけるガス温度Aと、上記ガス設備の出口側におけるガス温度Bと、外気温度Cとを測定し、次式により算出される上記出口側におけるガス量を100%としたときの外気のリーク率Dに基づいて当該ガス設備内への外気のリークを検出することを特徴とし、また本発明の検出装置は、外気との温度差を有するガスが負圧状態で流通させられるガス設備内への外気のリークを検出するガス設備における外気のリーク検出装置であって、上記ガス設備の入口側におけるガス温度Aを測定する入口側ガス温度測定手段と、上記ガス設備の出口側におけるガス温度Bを測定する出口側ガス温度測定手段と、外気温度Cを測定する外気温度測定手段と、これらの温度A〜Cから同じく次式により上記出口側におけるガス量を100%としたときの外気のリーク率Dを算出する算出手段とを備えてなることを特徴とする。
【0008】
【数3】
Figure 0004122688
【0009】
ここで、このようなガス設備において外気がリークしていると、上述のようにガス設備の出口側における酸素濃度が上昇するのとともに、このガス設備に入口から流入するガスと外気との温度差A−Cにより、当該ガス設備における出入口間のガスの温度差A−Bにも変動が生じることとなる。そして、これらのA−CとA−Bとの比率は、出口側のガス量に対するリークした外気の量の比率と等しくなるので、これを上述のようにリーク率Dとして算出することにより、このリーク率Dに基づいてガス設備への外気のリークを検出することができる。従って、このような本発明の検出方法および検出装置によれば、高価な酸素濃度計を用いることなく、外気のリークを検出してこれを定量的に管理することが可能となり、しかもガスや外気の温度測定に用いられる上記測定手段としての温度計は、ガス中のダスト成分によって測定精度が損なわれたりすることもなく、さらに例えばガス設備へのガスの流通量が変動したりしてもリーク率Dは変化しないため、正確な測定を行うことが可能となる。
【0010】
また、上記第2の目的を達成するために、本発明の検出方法は上記検出方法においてさらに、少なくとも上記ガス設備の出口側のガス温度Bを測定するに際して、この出口側のガス温度Bを、上記ガスの流通方向に交差する方向にずらされた複数の測定点において測定することを特徴とし、また本発明の検出装置は上記検出装置においてさらに、少なくとも上記出口側ガス温度測定手段に、上記ガスの流通方向に交差する方向にずらされた複数の温度測定点を備えたことを特徴とする。従って、このような本発明の第2の検出方法および検出装置によれば、ガス設備内にリークした外気が上記出口内の外周側に偏って流通したとしても、この流通方向に交差する方向にずらされた複数の測定点のいずれかによって、出口側におけるガスの温度の変動を確実に測定してリークを検出することが可能となるとともに、この変動が測定された測定点の出口内における位置から、上記交差方向に関してガス設備内のどの位置でリークが生じたかの凡その見当をつけることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1ないし図5は、本発明の検出装置の一実施形態を備えたガス設備を示すものであって、当該検出装置を、銅の製錬工程における複数の転炉から排出された排ガスが流通する煙道(ガス配管)およびダストコットレル(排ガス処理装置)よりなるガス設備に適用した場合を示している。このガス設備においては、5基の上記転炉1A〜1Eが設けられるとともに、各転炉1A〜1Eには廃熱回収用のボイラー1a〜1eがそれぞれ付設されており、これらのボイラー1a〜1eの一端から延びるように設けられた排ガス排出用の煙道2A〜2Eが1本の共通煙道3に連結され、さらにこの共通煙道3には6本の煙道4A〜4Fが連結されていて、これらの煙道4A〜4Fにそれぞれ上記ダストコットレル5A〜5Fが連結されている。そして、これらのダストコットレル5A〜5Fが、本実施形態の検出装置によって外気のリークを検出すべきガス設備となる。なお、これらのダストコットレル5A〜5Fのうち図1においてダストコットレル5Dが破線で示されているのは、本実施形態において当該ダストコットレル5Dが長期停止中であるためである。
【0012】
ここで、上記転炉1A〜1Eのボイラー1a〜1eおよびダストコットレル5A〜5Fに連結された上記煙道2A〜2Eおよび煙道4A〜4Fは、図1に示すように上記共通煙道3に沿って順に、煙道4Aは煙道2A,2B間に、また煙道4B,4Cは煙道2B,2C間に、煙道4D,4Eは煙道2C,2D間に、煙道4Fは煙道2D,2E間に、それぞれ共通煙道3に直交するように連結されていて、これらの煙道4A〜4Fがガス設備としてのダストコットレル5A〜5Fへのガスの入口とされる。なお、これらのダストコットレル5A〜5Fは、図2ないし図4に示すように概略直方体状の箱体内に図示されない乾式の電気集塵機が備えられてガス中のダスト成分を吸着可能とされたものであって、この箱体がなす直方体の長手方向を水平にして配設されており、この箱体の長手方向において上記共通煙道3側を向く一方の端面に上記煙道4A〜4Fがそれぞれ接続されている。また、本実施形態ではこの共通煙道3は、少なくともこれらの煙道4A〜4Fが接続される部分の近傍においては水平に延びるようにされている。
【0013】
一方、これらのダストコットレル5A〜5Fのうち図1において左側に示す2つのダストコットレル5A,5Bにおいては、その煙道4A、4Bが接続された側とは反対の他方の端面側の上部にそれぞれベルダンパー部5aが設けられるとともに、これらのベルダンパー部5a,5aの間には、鉛直下向きに延びた後に水平方向に曲折するL字状の煙道6が設けられている。さらに、これらダストコットレル5A,5Bの各ベルダンパー部5a,5aの互いに対向する側面と上記煙道6の上端部との間にはそれぞれ煙道7A,7Bが連結されており、これらの煙道7A,7Bが本実施形態におけるガス設備としての上記ダストコットレル5A,5Bからのガスの出口とされる。また、上記煙道6の下端部は、上記共通煙道3とは別の出口側の共通煙道8の一端に接続されるとともに、この共通煙道8には、上記ダストコットレル5A〜5Fのうち残りのダストコットレル5B〜5Fの上記他方の端面から延びる煙道7C〜7Fが接続されており、これらの煙道7C〜7Fがダストコットレル5C〜5Fからのガスの出口とされる。
【0014】
さらにまた、上記共通煙道8には、上記煙道6と煙道7Cとの間に、第1の硫酸プラント9に連結される煙道10が接続されている一方、この共通煙道8の上記煙道6とは反対側の他端部には第2の硫酸プラント11が連結されている。なお、これらの硫酸プラント9,11は、上記銅の製錬工程において発生して排ガス中に含まれる亜硫酸ガス成分を回収するためのものであり、こうして亜硫酸ガス成分が回収された排ガスは、必要に応じてその他の排ガス処理が施された後、煙突から大気に放出される。
【0015】
そして、本実施形態では、上記ダストコットレル5A〜5Fのガスの入口、すなわち上記煙道4A〜4Fに、それぞれその入口側ガス温度測定手段12として複数(本実施形態では2本)の熱電対式温度計12a,12bが設けられている一方、該ダストコットレル5A〜5Fのガスの出口、すなわち上記煙道7A〜7Fには、やはりそれぞれその出口側ガス温度測定手段13として複数(本実施形態では3本)の熱電対式温度計13a〜13cが設けられている。このうち、まず入口側ガス温度測定手段12として設けられる上記熱電対式温度計12a,12bは、煙道4A,4Bでは図2に示すようにその両側部から水平に対向するように挿入される一方、煙道4C〜4Fでは図4および図5に示すようにその上部から互いに平行に下向きに挿入されて取り付けられており、いずれも該熱電対式温度計12a,12b先端の測定点同士が、煙道4A〜4Fの長手方向に直交する1の断面内において水平方向に間隔をあけて位置するように、すなわちこれらの測定点が煙道4A〜4F内におけるガスの流通方向Fに直交する方向にずらされるように配置されている。
【0016】
一方、出口側ガス温度測定手段13として設けられる上記熱電対式温度計13a〜13cは互いに異なる長さとされていて、ダストコットレル5A,5Bの煙道7A,7Bでは、該煙道7A、7Bに直交する断面において図3に示すようにその先端の測定点が上下方向に間隔をあけて位置するように、すなわちやはりこれらの測定点が煙道7A,7B内におけるガスの流通方向Fに直交する方向にずらされるように配置されている。また、ダストコットレル5C〜5Fの煙道7C〜7Fにおいては、このように長さの異なる熱電対式温度計13a〜13cが、図5に示すように短い順にガスの流通方向Fに並んで煙道7C〜7Fの上部から互いに平行に下向きに挿入されて取り付けられており、従ってこれらの熱電対式温度計13a〜13cの先端の測定点もまた、やはり上下方向に間隔をあけて位置して、上記流通方向Fに斜交する方向にずらされて配置されることとなる。なお、こうしてずらされた測定点間の上下方向の間隔は本実施形態では等間隔とされ、しかもこの上下方向中央に位置する熱電対式温度計13b先端の測定点が煙道7A〜7F内でもその上下方向略中央に位置するように配設されている。
【0017】
さらに、これら入口・出口側ガス温度測定手段12,13としての熱電対式温度計12a,12b,13a〜13cは図示されないパソコン等の算出手段に接続されており、この算出手段においては、入口側ガス温度測定手段12により測定された入口側ガス温度Aと、出口側ガス温度測定手段13により測定された出口側ガス温度Bと、さらに図示されない熱電対式温度計等の外気温度測定手段により測定されたダストコットレル5A〜5F周辺の外気の温度Cとから、次式により各ダストコットレル5A〜5Fの出口側におけるガス量を100%としたときの該ダストコットレル5A〜5Fへの外気のリーク率Dが算出されるように設定されている。なお、本実施形態では、それぞれ複数の熱電対式温度計12a,12b,13a〜13cよりなる入口・出口側ガス温度測定手段12,13において、それぞれの熱電対式温度計12a,12b,13a〜13cによる測定温度の平均を上記入口・出口側ガス温度A,Bとしている。
【0018】
【数4】
Figure 0004122688
【0019】
しかるに、このように構成された検出装置を用いた本発明の外気のリーク検出方法の一実施形態においては、上記入口・出口側ガス温度測定手段12,13により測定されるダストコットレル5A〜5Fの入口・出口側ガス温度A,Bと外気温度測定手段により測定される外気温度Cとから上記式によってリーク率Dを算出し、このリーク率Dに基づいて各ダストコットレル5A〜5F内への外気のリークを検出することができる。すなわち、こうして算出されるリーク率Dは、転炉1A〜1Eにおける操業状態の変化に伴う入口側ガス温度Aの変動や外気温度Cの変動に関わらず、出口側のガス量に対するリークした外気の量の比率に等しくなるから、このリーク率Dの変動を監視しておいて、これが大きな値となったり上昇する傾向にあったりする場合には、該当するダストコットレル5A〜5Fの外壁に孔などがあいてリークが生じたり、孔が拡大してリークが増大したりしているものと判断することができ、これによって当該ダストコットレル5A〜5Fの使用の中断や補修工事を計画することが可能となるのである。
【0020】
ここで、次表1は、上記実施形態の検出装置を用いて、上記ダストコットレル5A〜5Fのうちダストコットレル5Fにおける入口・出口側ガス測定手段12,13の各熱電対式温度計12a,12b,13a〜13cごとの入口・出口側ガス温度A,Bおよびその平均と外気温度Cとを1999年12月17日〜2000年1月3日に渡って測定し、これに基づいて各日ごとのリーク率Dを算出した結果を示すものであり、図6はこれを図に示したものである。ただし、各温度A〜Cは1日の測定時間内における平均温度であり、またリーク率Dは上述のように複数の熱電対式温度計12a,12b,13a〜13cによる平均の入口・出口側ガス温度A,Bから算出した。さらに、1999年12月19日については、リーク箇所を塞ぐためにダストコットレル5Fへのガスの供給を停止して補修工事を行ったため、各温度A〜Cの測定およびリーク率Dの算出はされていない。
【0021】
【表1】
Figure 0004122688
【0022】
しかるに、これら表1および図6の結果より、補修工事(12月19日)の前には20%以上であったリーク率Dが、補修工事後には概ね13〜14%に低減していることが分かる。当然、これは補修工事によりダストコットレル5F外壁の孔が塞がれて外気のリークが低減したためであるが、言い換えれば上述のようにこのリーク率Dが増大したり上昇傾向にあったりするときには、出口側のガス量に対するリーク量も増大しているものと判断することができ、必要に応じて補修等の適宜の処置をとることができる。
【0023】
従って、このように上記構成の外気のリーク検出方法および検出装置によれば、まず第1に高価な酸素濃度計を用いることなく、比較的安価な熱電対式温度計12a,12b,13a〜13c等のガス温度測定手段12,13や外気温度測定手段によって外気のリークを検出することができ、しかもこれらの温度測定手段12,13はガス中のダスト成分が多い場合やガスの性状の変動が大きい場合でも正確な測定を行うことができるので、低廉でありながらも確実なリークの検出を図ることが可能となる。そして、さらに上記リーク検出方法および検出装置では、こうして検出された外気のリークをリーク率Dとして定量的に把握することが可能となるので、上述のようにこのリーク率Dの変動を管理することにより、新たなリークの発生やその拡大などをも検出することができ、これに応じて当該ガス設備の使用の中止や補修なども計画的に行うことが可能となって、安定的なガス設備の利用を図ることができる。
【0024】
ところで、上記表1の補修前の12月17日および18日の入口・出口側ガス温度A,Bに着目すると、入口側ガス温度Aは2つの熱電対式温度計12a,12bでほとんど差がないのに対し、出口側ガス温度Bはその測定点の位置が煙道7F内で下側にゆくほど低くなっており、特に煙道7Fの中央に位置する熱電対式温度計13b先端の測定点では、平均の出口側ガス温度Bに対して10℃以上も低い温度となっている。しかるに、出口側ガス温度Bにこのような温度分布が生じた場合には、図5において破線で示すようにダストコットレル5Fに入口側の煙道4Fから流入したガスが層流状態を維持したまま出口側の煙道7Fから流れ出たものとすると、ダストコットレル5Fの上下方向中央部から下側に孔があいてリークが生じているものと判断することができる。そこで、補修に先立って特にダストコットレル5F外壁の上下方向中央部から下側を重点的に調べることにより外気のリークを生じさせる孔を発見することができ、これを補修によって塞いだところ、表1の12月20日以降の上記熱電対式温度計13bにおける測定結果のように煙道7Fの中央部分を流通するガスの温度の上昇を認めることができ、これとともに平均の出口側ガス温度Bの上昇およびリーク率Dの低減を図ることができた。
【0025】
このように、本実施形態の外気のリーク検出方法および検出装置においては、ガス設備であるダストコットレル5Fの出口側となる煙道7Fに、出口側ガス温度測定手段13の複数の測定点を、該煙道7F内をガスが流通する流通方向Fに交差する方向(本実施形態では流通方向Fに斜交した上下方向)にずらして配置することにより、このガス設備内のどの位置にリークが発生しているかの凡その見当をつけることができ、これに基づいてリーク箇所を発見したり補修計画を立てたりすることができる。従って、本実施形態によれば、リーク率Dの増大に伴って補修を行う場合でも、より効率的な補修作業を行うことが可能となり、ガス設備が補修のために使用不可能となる期間をできるだけ短くして、当該ガス設備が設けられる各種装置の稼働率の向上を図ることができる。
【0026】
しかも、例えば図5において出口側ガス温度測定手段13が、その先端の測定点が煙道7F内の上側に位置する熱電対式温度計13aだけであったとすると、上述のように煙道7Fの中央部から下側をリークした外気が流通した場合にはこれを検出することができず、すなわちリークを看過してしまうおそれがあるが、これに対して本実施形態よれば、上述のように出口側ガス温度測定手段13の複数の測定点が上記流通方向Fに交差する方向にずらされることにより、この交差方向においては出口側のガスの温度に偏りがあってもこれを測定することができるので、ガス設備にリークが生じた場合の検出を一層確実に行うことができるという効果も得られる。そして、このようにガス温度測定手段13に複数の熱電対式温度計13a〜13cを備えるなどして、複数の測定点をずらして配置するにしても、上記構成のリーク検出方法および検出装置においては安価な熱電対式温度計等によるガス温度測定手段を採用することができるので、例えば酸素濃度計を同じように複数備えた場合などに比べ、大幅に低いコストで上記効果を得ることが可能となる。
【0027】
なお、ここで本実施形態では、このようにダストコットレル5A〜5Fをガス設備として、その出口側となる煙道7A〜7Fに設けられるガス温度測定手段13の複数の測定点をガスの流通方向Fに交差する上下方向にずらして配置したが、例えば上記転炉1A〜1Eのボイラー1a〜1eからこれらダストコットレル5A〜5Fまでの煙道2A〜2E,4A〜4Fおよび共通煙道3をガスが負圧状態で流通するガス設備としてみた場合には、上記煙道4A〜4Fがこのガス設備の出口側となり、この場合にも、その測定点がガスの流通方向Fに交差する方向(ただし、この場合は水平方向)にずらされた複数の熱電対式温度計12a,12bを有するガス温度測定手段12がこの出口側となる煙道4A〜4Fに備えられることとなる。しかるに、この場合には、例えば図4に示すダストコットレル5Fの煙道4Fについてみると、該煙道4Fに接続される部分の近傍では共通煙道3は水平に延びるようにされていて、煙道2Dから共通煙道3を通って煙道4Fに流れ込むガスは熱電対式温度計12a側を、また煙道2Eから共通煙道3を通って煙道4Fに流れ込むガスは熱電対式温度計12b側をそれぞれ通ることとなる。
【0028】
従って、この場合には、例えば熱電対式温度計12aで測定されたガス温度が熱電対式温度計12bで測定されたガス温度に対し、転炉1D,1Eのボイラー1d,1eから排出されたガスの温度差以上の大きな温度差で低かったとすると、上記熱電対式温度計12a側の煙道2Dから共通煙道3を通って煙道4Fに至るまでの間のどこかに外気のリークが生じているものと見当をつけることができ、これに基づいて補修を行うことが可能となる。なお、本実施形態ではダストコットレル5A〜5Fの入口側の煙道4A〜4Fに測定点が水平方向にずらされた複数の熱電対式温度計12a,12bを、また出口側の煙道7A〜7Fには測定点が上下方向にずらされた複数の熱電対式温度計13a〜13cを、それぞれ入口・出口側ガス温度測定手段12,13として設けているが、特に出口側ガス温度測定手段13においてはさらに水平方向に測定点がずらされた熱電対式温度計等の温度測定手段を備えてもよく、これにより、ダストコットレル5A〜5Fの水平方向すなわち左右いずれの側でリークが発生しているかの見当もつけることが可能となる。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の外気のリーク検出方法および検出装置によれば、比較的安価でありながら、ガスの状態に影響を受けることなく確実にガス設備への外気のリークを検出することができるとともに、これをリーク率として定量的に管理することができ、これに基づいて当該ガス設備の補修等を効率的に計画立てることができる。また、特に少なくともガス設備の出口側でのガス温度測定を、ガスの流通方向に交差する方向にずらされた複数の測定点で行うことにより、当該ガス設備のいずれの箇所でリークが生じているかを概ね見当つけることができ、一層効率的な補修を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の検出装置の一実施形態を備えたガス設備を示す平面図である。
【図2】 図1に示すガス設備のうちのダストコットレル5A,5B周辺の拡大平面図である。
【図3】 図2における矢線Y方向視の側面図である。
【図4】 図1に示すガス設備のうちのダストコットレル5F周辺の拡大平面図である。
【図5】 図4における矢線Z方向視の側面図である。
【図6】 本発明の検出方法の一実施形態に係わる入口・出口側ガス温度A,Bと外気温度Cとリーク率Dとを示す図である。
【符号の説明】
1A〜1E 転炉
1a〜1e ボイラー
2A〜2E,4A〜4F,6,7A〜7F,10 煙道
3,8 共通煙道
5A〜5F ダストコットレル(ガス設備)
12 入口側ガス温度測定手段
13 出口側ガス温度測定手段
12a,12b,13a〜13c 熱電対式温度計
A 入口側ガス温度
B 出口側ガス温度
C 外気温度
D リーク率
F ガスの流通方向

Claims (4)

  1. 外気との温度差を有するガスが負圧状態で流通させられるガス設備内への外気のリークを検出するガス設備における外気のリーク検出方法であって、上記ガス設備の入口側におけるガス温度Aと、上記ガス設備の出口側におけるガス温度Bと、外気温度Cとを測定し、次式により算出される上記出口側におけるガス量を100%としたときの外気のリーク率Dに基づいて当該ガス設備内への外気のリークを検出することを特徴とするガス設備における外気のリーク検出方法。
    Figure 0004122688
  2. 少なくとも上記ガス設備の出口側のガス温度Bを測定するに際して、このガス温度Bを、上記ガスの流通方向に交差する方向にずらされた複数の測定点において測定することを特徴とする請求項1に記載のガス設備における外気のリーク検出方法。
  3. 外気との温度差を有するガスが負圧状態で流通させられるガス設備内への外気のリークを検出するガス設備における外気のリーク検出装置であって、上記ガス設備の入口側におけるガス温度Aを測定する入口側ガス温度測定手段と、上記ガス設備の出口側におけるガス温度Bを測定する出口側ガス温度測定手段と、外気温度Cを測定する外気温度測定手段と、これらの温度A〜Cから次式により上記出口側におけるガス量を100%としたときの外気のリーク率Dを算出する算出手段とを備えてなることを特徴とするガス設備における外気のリーク検出装置。
    Figure 0004122688
  4. 少なくとも上記出口側ガス温度測定手段は、上記ガスの流通方向に交差する方向にずらされた複数の温度測定点を備えていることを特徴とする請求項3に記載のガス設備における外気のリーク検出装置。
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