JP4121205B2 - Method for producing polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer having excellent antithrombotic properties - Google Patents

Method for producing polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer having excellent antithrombotic properties Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は抗血栓性に優れたポリスルホン系共重合体の製造方法に関する。さらに詳しくは血液と接触して使用するための医療用材料に用いることのできる特定のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を効率的に製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、合成高分子材料は、人工臓器、カテーテルをはじめとする医療用材料に広く用いられている。その代表的なものは、医療用高分子材料としてはポリエステル、ポリスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、シリコーン樹脂、ポリメタクリル酸エステル及び含フッ素樹脂などの疎水性高分子や、ポリビニルアルコール、ポリエーテルウレタン(セグメント化ポリウレタン、SPU)、ポリ(メタクリル酸2ーヒドロキシエチル)およびポリアクリルアミドなどの親水性高分子である。これら従来の材料の大部分が、主にその物理的、機械的特性に着目して使用されてきた中において、SPUに関しては、比較的抗血栓性に優れることが知られている。中でもBiomerR、CardiothaneRなどは人工心臓への応用が試みられているが、なお十分な効果を得るには至らなかった(E.Nylas,R.C.Reinbach, J.B.Caulfield,N.H.Buckley, W.G.Austen; J.Biomed.Mater.Res.Symp.,3,129(1972)、L.P.Joyce,M.C.Devries,W.S.Hastings,D.B.Olsen,R.K.Jarvik,W.J.Kolff; Trans.ASAIO, 29,81(1983))。
【0003】
一方、医療技術の進歩に伴って、生体組織や血液と材料が接触する機会はますます増加しており、材料の生体親和性が大きな問題になってきている。中でも蛋白質や血球などの生体成分が材料表面に吸着し、変性することは、血栓形成、炎症反応などの、通常では認められない悪影響を生体側に引き起こすばかりでなく、材料の劣化にもつながり、医療用材料の根本的かつ緊急に解決せねばならない重要な課題である。材料表面での血液凝固の防止に関しては、従来ヘパリンに代表される血液抗凝固剤の連続投与が行われてきたが、最近長期にわたるヘパリン投与の影響が問題となってきており、特に血液透析、血液濾過などの血液浄化をうける慢性腎不全患者の血液透析療法に関して、抗凝固剤を必要としない血液接触材料の開発が強く望まれるようになってきた。現在、日本における血液浄化法適用患者は10万人を超える。
【0004】
医用素材が血液と接触した際の補体活性化の抑制または抗血栓性を改善する方法も幾つか提案されている。例えば補体活性化抑制に関しては、第三級アミノ基を有する高分子の表面固定、ポリエチレンオキシド鎖のような親水性高分子を表面に共有結合によりグラフトしたりする方法等も報告され、ある程度の補体活性化抑制の効果は確認されているが、血液凝固の抑制(抗血栓性)までは不十分であった。また抗血栓性の改善に関しては、膜表面のヘパリン化(特開昭51−194号公報)、あるいはプロスタグランジンE1ーセルロース誘導体吸着層による表面修飾(特開昭54−77497号公報)による抗血栓性付与が、また抗血栓性に優れたポリマーである2−メタクリロイルオキシエチルホスホコリン(MPC)をセルロース表面にグラフト重合、固定化する方法(BIO INDUSTRY,8(6),412- 420(1991))あるいは化学修飾したMPCグラフトセルロース誘導体の中空糸への固定(特開平5−220218号公報および5−345802号公報)等が報告されている。しかし、生理活性物質の低安定性の問題等、効果が十分でなかったり、または固定化方法の煩雑さによる高コスト化、均質な固定化表層の獲得の困難さといった面で問題も多く、実用化されていない。もともと再生セルロース膜の透析性能は低く、また表面被覆方法が繁雑であるため、実用レベルには達していない。
【0005】
その他、前記のポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステルといった疎水性高分子材料や、ポリビニルアルコール、ポリ(メタクリル酸2−ヒドロキシエチル)などの親水性高分子材料は、いずれも機械的強度、生体親和性等において満足できるものではない。更にBiomerR、CardiothaneRなどセグメント化ポリウレタンは、剛直な芳香族ウレタン結合部位と柔軟なポリエーテル結合部位の間のミクロ相分離構造により血小板粘着が抑制されるが、その効果は必ずしも十分ではない。特にウレタン結合やウレア結合のように水素結合性の部分構造は、分子鎖の剛直性向上に寄与するものの、主鎖の極性基間の相互作用が強いため、疎水性相互作用を軽減しうる水分子の水和が阻害される。従って血中タンパクが吸着した際にタンパクの変性を誘起、血小板粘着を促進することが報告されている。そもそも一般に水酸基、アミノ基といった極性部位は、血液接触時に補体活性化(第二経路)を誘発し、フィブリン形成促進による血栓形成の要因ともなる。その他ポリエステル系ポリマーでは、PEO(ポリエチレンオキシド)/PBT(ポリブチレンテレフタレート)共重合体が、血液適合性に優れた生体適合ポリマーとして知られているが(特開昭60−238315号公報)、これも高い加水分解性、およびそれに伴う低分子溶出物の体内への漏洩など、化学的な安定性にかける欠点があり、実用上問題が大きい。
【0006】
一方、ポリマー表面を親水/疎水ミクロドメイン構造とすることで血小板粘着を抑制して抗血栓性を発現するという材料設計が、HEMA(2-hydroxyethylmethacrylate)-Styrene-HEMAブロック共重合体等で知られている(C.Nojiri,T.Okano,D.Grainger,K.D.Park,S.Nakahama,K.Suzuki,S.W.Kim,Trans. ASAIO,33,596(1987))が、これも高価格であり、また脆く、溶融成型、湿式成型も困難であるなど実用上の問題が大きい。最近では表面エネルギーの小さな(疎水性の大きい)フルオロアルキル基等をミクロドメイン構造の疎水性ドメインに適応することで、表面エネルギーの大きな親水性ドメインとの相分離状態を安定化し、より血液適合性を向上させる試みがなされているが、なお加工性の問題は解決されてない。先述の生体膜類似表面構造を有するMPC(2-methacryloyloxyethylphosphoryl choline)-BMA(buthylmethacrylate)共重合体が抗血栓性に優れることも示されたが(K.Ishihara, R.Aragaki,T.Ueda,A.Watanabe,N.Nakabayashi,J.Biomed.Mater.Res.,24,1069(1990))、これも成型加工性、価格等に問題がある。この様な意味で、医療素材の抗血栓化を考える上で、抗血栓性に優れた高分子素材との複合化については、現実には実用レベルに達していない。
【0007】
ところで、ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体が優れた抗血栓性を有し、これを抗血栓性材料として用いることは本発明者らによって提案されている。かかるポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体の重合法としては、ポリスルホンの原料モノマーであるジクロロジフェニルスルホン誘導体とビスフェノール化合物、及び両末端をハロゲン化したポリオキシアルキレングリコールを適当な塩基触媒の存在下、加熱することにより求核置換反応により重縮合する方法が採用されている。しかしながら、この方法ではモノマー原料として現在市販されていない両末端ハロゲン化ポリオキシアルキレングリコールを確保する必要があり、低コスト化、大量製造の面から実用化するのが困難である。
【0008】
すなわち、ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体を低コストで大量に製造するためには、ポリオキシアルキレン成分として両末端ハロゲン化ポリオキシアルキレングリコール以外の、しかも廉価で大量に供給されているものをモノマー原料に使用する必要がある。この様な意味で代替可能な候補として、両末端がヒドロキシル基からなるポリオキシアルキレングリコールがあり、この原料はポリエステル、ポリウレタン用のモノマー成分として広く汎用に用いられている。
【0009】
このものは重合反応基がアルコール性水酸基であるため、重合活性基がフェノラートアニオンであるポリアリールエーテルスルホンへの共重合には、反応条件に種々の工夫がなされてきた。例えばEP 422933 A2では、ポリエーテルスルホン(PES)末端の塩素基を、金属ナトリウム、水素化ナトリウム等の強塩基下にポリエチレングリコールと反応させ、カップリングすることによるPESの親水化が報告されている。またVysokomol.Soedin.,Ser.A(1984),26(1),97-103では、末端がビスフェノールAの水酸基であるポリスルホンとポリエチレングリコールを、ヘキサメチレンイソシアナートを橋架け剤に用いて連結することによるブロック共重合体の調整法が報告されている。これらの方法はポリスルホン骨格に少量、または部分的にポリオキシアルキレン鎖を導入するには効果的であるが、本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体のように、主鎖骨格全体に均質にしかも大量(特に重量比でポリマー中30wt%以上)にポリオキシアルキレン鎖を導入するには不適当である。水素化ナトリウム等の強塩基を用いる重合では原料または重合活性基の脱離反応等による副生物生成のため十分に高分子量の共重合体が得られず、またイソシアナートを橋架け剤に用いる方法では主鎖中にかなりの量のウレタン結合が生成するため、ポリマーの物性、血液適合性の面からウレタン骨格の影響が避けられない。
【0010】
この様な意味で、本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体の製造には中程度の塩基性を有する触媒を用いた温和な条件でのポリオキシアルキレングリコールとポリスルホンモノマー原料の求核置換重合が望まれる。実際、US 5700902やMacromolecules(1996),29,7619-7621及びJ.Appl.Polym.Sci(1997), 66(7),1353-1358等では、塩基触媒として炭酸カリウムを用いることで、ポリスルホン末端の塩素原子と片末端メトキシ化ポリエチレングリコール(MeO-PEG)の求核置換反応によるポリスルホンへのMeO-PEGのグラフト化とABA型ブロック共重合体の調製が報告されている。この重合は前述の報告と類似のポリスルホンへのPEGのグラフトであり、ポリスルホンへのポリオキシエチレン鎖の導入率も30wt%以下と低いものではある。しかしながら、両末端ヒドロキシル体であるPEGを用い、重合条件を操作、最適化することで本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体の製造にも適用できる可能性がある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、コスト、生産性、成型性等の面で実用的であり、かつ血液適合性、特に抗血栓性に優れたポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体とその製造方法、ならびにそれを用いた医療用素材を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体の共重合成分として、抗血栓性に優れるソフトセグメントであるポリオキシアルキレングリコールの原料モノマーに、平均分子量が2000〜20000の範囲にある廉価なポリアルキレングリコール(PAG)を用い、ハード成分であるポリアリールエーテルスルホンの原料となるジフェニルスルホン類のジクロロ誘導体とビスフェノール化合物を、無溶媒下または溶媒中、塩基性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いて重縮合することにより、共重合体中のポリオキシアルキレングリコール単位数、疎水性であるハード成分の種類、およびこれらの共重合組成の制御された血液適合性ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン系共重合体を廉価かつ大量に調製できることを見出し本発明を達成するに至った。
【0013】
すなわち、本発明は、下記式(1)〜(3)
【0014】
【化2】
Cl−Ar−X−Ar1−Cl ・・・(1)
HO−Ar2−OH ・・・(2)
HO−(RO)k−OH ・・・(3)
(上記式(1)において、Xは−SO2−であり、ArおよびAr1はそれぞれ独立に、核置換されていてもよい2価の芳香族基である。上記式(2)において、 Ar2は核置換されていてもよい2価の芳香族基である。上記式(3)において、Rは炭素数2〜3のアルキレン基であり、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレン構造の分子量が2000〜20000となるような単位繰り返し数である。)で示される原料モノマーを、無溶媒下または溶媒中、塩基性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いて重縮合することを特徴とする、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン6/4(重量比)混合溶媒で濃度1.2g/dl、35℃で測定した還元粘度が0.5以上である抗血栓性に優れたポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体の製造方法である。
【0015】
また本発明は、上記ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を使用した、血液と接触して使用するための医療用材料用の素材である。
【0016】
本発明によれば、上記式(1)〜(3)で表されるモノマー原料を無溶媒下または溶媒中、塩基性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いて重縮合することにより、抗血栓性に優れたポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を与える。
【0017】
上記式(1)〜(3)においてAr、Ar1、およびAr2はそれぞれ独立に、核置換されていても良い2価の芳香族基を示し、具体的にはp−フェニレン、m−フェニレン、2,6−ナフチレン、2,7−ナフチレン、1,4−ナフチレン、1,5−ナフチレン、4,4’−ビフェニレン、2,2’−ビフェニレン、4,4’−オキシジフェニレン、4,4’−イソプロピリデンジフェニレン、4,4’−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェニレン、4,4’−イソプロピリデン−2,2’,6,6’−テトラメチルジフェニレン、4,4’−スルホニルジフェニレン等、およびそれらのモノ、ジ、トリ、テトラ核置換体を例示することができる。核置換基としてはメチル、エチル、フェニル等の炭素数1〜8のアルキル基、アリール基、フッ素、塩素等のハロゲン基、ニトロ基、炭素数1〜8のアルコキシ基等があげられる。 これらのうちAr、Ar'としてはp−フェニレンが、 Ar''としては4,4’−イソプロピリデンジフェニレン、4,4’−(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロイソプロピリデン)ジフェニレン、4,4’−スルホジフェニレン等が好ましい。
【0018】
また、上記式(1)において、Xは−SO2−である。
【0019】
上記式(3)において、Rは炭素数2〜3のアルキレン基を示し、具体的には、エチレン、プロピレン等を例示することができる。Rとしてはこれらのうち、エチレンが好ましい。Rは単独の構造でもよいし、二種以上の構造から構成されていてもよい。また、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレン構造の分子量が、2000〜20000となるような繰り返し単位数を示す。例えば、Rがポリオキシエチレン鎖の場合、Kは45〜450の値をとる。ポリオキシアルキレン構造の分子量は、好ましくは2000〜15000、より好ましくは3000〜10000、特に好ましくは3000〜6000である。
【0020】
上記方法により得られるポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、上記式(3)で表わされるポリオキシアルキレン構造の含有量がポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体に対し、10〜85重量%の範囲となるように用いる。該ポリオキシアルキレン構造の含有量が重量比10%以下ではポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体の疎水性が高すぎ、乾燥膜状態での水への濡れが充分ではない。また85%以上では親水性が高すぎるため、水中への溶出、著しい膨潤が起こり機械的強度も十分ではない。該ポリオキシアルキレン構造の含有量は、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは30〜70重量%である。
【0021】
本発明により得られるポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、下記式(4)及び(5)で表わされる繰り返し単位から主としてなるものである。
【0022】
【化3】
−[(−RO−)k−(−Ar−X−Ar1−O−)]y ・・(4)
−[(−Ar2−O−)−(−Ar−X−Ar1−O−)]1-y − ・・(5)
上記式(4)、(5)における、X、Ar、Ar1、Ar2、R、k、yは前記のものと同じである。
【0023】
かかる共重合体はフェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン6/4(重量比)混合溶媒で濃度1.2g/dl、35℃で測定した還元粘度が0.5以上である。
【0024】
なお、上記式(4)、(5)において、Yはポリマー連鎖のモル分率を表しており、このXの値は、上記式(4)で表わされるポリオキシアルキレン構造の含有量がポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体に対し、10〜85重量%の範囲となる数である。具体的なYの値は導入するAr基、R基の化学構造、組成により変動するが、具体的に示すと、例えばAr、Ar1、Ar2としてフェニレン、及びRとして分子量2000〜20000の範囲のポリオキシエチレン鎖を10〜85wt%導入する場合、Yは0.00176〜0.95200程度の範囲の値を取る。
【0025】
本発明によれば、上記式(1)〜(3)で表されるビス(ハロアリール)スルホン 、ジヒドロキシアリール化合物およびα,ω−ビスヒドロキシポリオキシアルキレン化合物(以後ポリアルキレングリコール、PAGと記述する)を、弱〜中程度の塩基性触媒の存在下無溶媒または好ましくは少量のアミド系溶媒中加熱反応させることによってポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を、効率よく製造することができる。
【0026】
反応は、上記式(2)と(3)で表されるジヒドロキシアリール化合物とPAGのモル数の和が、上記式(1)で表されるビス(ハロアリール)スルホンのモル数と等量となるように仕込んで混合し、適当な溶媒の存在下、アルカリと共に反応せしめる。ジヒドロキシアリール化合物とPAGのモル比を変えることで、種々の組成のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を得ることができる。加熱反応温度は120〜400℃が好ましく、より好ましくは160〜350℃である。反応温度が400℃より高いと副反応が起こったり、原料の分解が起こりやすく、また120℃より低いと反応が遅くなる。
【0027】
反応に用いる塩基性触媒としては、アルカリ金属炭酸塩が好ましく、例えば炭酸リチウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなどをあげることができる。なかでも特に炭酸カリウムが好ましい。かかる塩基性触媒の量は、反応中に発生するハロゲン化水素を実質的に中和する量であることが必要であるが、実際は理論量よりも5%程度多くても、少なくても、反応させることができる。反応には適当な溶媒を少量(原料モノマー重量合計に対して0〜同重量程度)用いることもできる。適当な溶媒を例示すれば、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド等のアミド系溶媒を用いることができるが、中でもN,N−ジメチルアセトアミドが好ましい。また、可塑剤を用いて反応を行ってもよい。かかる可塑剤としては、例えばジフェニルスルホン、エチレングリコールのジアルキルエーテルを挙げることができる。
【0028】
反応に際してその促進のために添加剤を加えることができる。かかる添加剤の例として金属またはその塩、包接化合物、キレート剤、有機金属化合物などをあげることができる。
【0029】
上記ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、還元粘度が0.5以上、好ましくは1.0〜3.0である。還元粘度が0.5未満の場合には、ポリマーの機械的強度が不充分となり好ましくない。なお、ここでいう還元粘度は、フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比6/4)中、ポリマー濃度1.2g/dl、温度35℃で測定される値をいう。
【0030】
上記ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、その目的に応じてポリオキシアルキレン構造の分子量、共重合組成を任意に変化させることができる。
【0031】
なお本発明において、上記ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、その性質が本質的に変化しない範囲(例えばポリマーの20重量%以下、好ましくは10重量%以下)で他の成分を共重合成分として含有していてもよい。共重合させる他の成分としては、例えば、エチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位として含有するポリエステル、ブチレンテレフタレート単位を主たる繰り返し単位として含有するポリエステル、ジフェニルスルホンを主たる繰り返し単位として含有するポリエーテルスルホン、ジフェニルスルホンとビスフェノールAの縮合物を主たる繰り返し単位として含有するポリスルホン、ビスフェノールAの炭酸エステルを主たるくり返し単位として含有するポリカーボネート等を挙げることができる。
【0032】
(作用)
本発明の方法により得られるポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、ヒト血漿に37℃で一時間接触した時のMicroBCA法により測定した蛋白吸着量が非常に少なく、0.7μg/cm2以下であり、血漿溶液に接したときの血液中の蛋白および血小板の粘着等に対して優れた吸着抑制効果を有する。この理由については、以下のように考えられる。上記ポリアルキルエーテル/ポリアリールスルホン共重合体は、剛直部位で疎水性の大きなポリアリールスルホン(ハード成分)及びポリマー主鎖中に固定された親水性ポリオキシアルキレンユニット(ソフト成分)を有しており、これら親水性セグメントと疎水性のポリアリールスルホンセグメント双方は熱力学的にのみならず、巨視的に相分離した表面構造を特徴とする。かかるポリマーには主鎖中に水素結合供与基が存在しないため、主鎖間の相互作用が小さく、該親水性ポリオキシアルキレンユニットのドメインには、疎水性相互作用を逓減しうる水分子の接触が容易に起こる。従ってドメインのパターンに基づく生体蛋白の表面への選択的吸着が起こり、吸着蛋白は表面で変性することがない。この結果、ポリマー表面は正常蛋白が単分子層で表面吸着した状態となり、それ以上の生体成分(赤血球、白血球および血小板)の粘着が抑制される。また補体活性化、血栓形成、細胞膜損傷等の有害な生体反応を回避できる。かかる蛋白吸着量は少ないほど望ましいが、0.3〜0.7μg/cm2の範囲にあれば実際的に十分効果がある。以上、このように疎水性が高く剛直なポリアリールエーテルスルホンセグメントは安定なドメイン構造を形成し易く、血液適合性発現に優利である。更に親水性のポリオキシアルキレン単位とブロック共重合することで得られるポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、濡れ性や溶剤溶解性、他のポリマーへの混和性も変化する結果、成型加工の面からも種々の特徴を付与できる可能性がある。
【0033】
こうして調製したポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体(A)は、単独、または種々の方法により汎用の医用高分子素材と複合あるいは混合されて本発明の抗血栓性に優れた高分子組成物が提供される。
【0034】
上記共重合体を複合あるいは混合する医用高分子素材としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリメタクリル酸エステル、ポリオレフィン、ポリアリールスルホン、ゴム系エラストマーなどが好適に用いられる。これらの汎用医用素材は、不純物等を含まない医療用グレードのポリマーで数平均分子量10,000〜1,000,000の素材であれば良い。上記共重合体は、これら素材の血液接触面に直接被覆あるいは積層することで複合化するか、またはこれらの素材と適当な方法でブレンドした組成物として複合化しても良い。
【0035】
こうして得られる医療用材料は、濃度5重量%であるヒト貧血小板血漿(PPP)のリン酸緩衝液に37℃、一時間接触させた時の上記共重合体表面への蛋白吸着量が0.8μg/cm2以下(MicroBCA法によるアルブミン換算)であることが好ましく、0.6μg/cm2以下であることがより好ましい。血液接触時の蛋白吸着量が0.8μg/cm2以上であると、それに続く血小板粘着、活性化を十分に抑制できないため、血栓形成が進行する。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、上記式(1)〜(3)で表わされる化合物を出発原料とすることにより、抗血栓性に優れたポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を、精製が容易で、生産性が高く、したがって低コストで製造することができる。かかる共重合体は、蛋白質や血球などの生体成分の吸着が少なく、また吸着した蛋白質の変性や接触した血小板の粘着、活性化を抑制することができる。更に共重合体中のオキシエチレン自由末端鎖、遊離水酸基末端数等が少ないため、補体活性化、細胞膜損傷を回避できる。それ故、本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体の利用分野としては、直接血液成分と接触して用いることが主たる目的となる医療用材料として有用であり、例えば、人工腎臓、人工血管、人工心肺、血液透析膜、血液バッグ、カテーテル、血漿分離膜等に用いることができる。そして、このような材料として本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を用いる場合、それ自体を単独で被覆、積層して中空糸、シート、フィルム、チューブとして成形するのみならず、各種汎用医用素材とブレンドし、そのブレンド体を各種材料表面に塗布し、血液接触表面のみを改質したり、ブレンド体自身を材料に成型、加工することも可能である。
【0037】
【実施例】
以下、参考例および実施例によって本発明を更に詳しく説明する。ただし、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
1.例中の「部」は特にことわらない限り「重量部」を表す。
【0038】
2.蛋白質吸着量の評価
膜に吸着したタンパク質の定量評価は、MicroBCA法により行った。これは銅イオンおよびBCA蛋白検出試薬を用いたキットによる蛋白定量法である。試料中に存在する蛋白により一価に還元された銅イオンのみが、この試薬とキレート反応を行い発色(570nm)するため、サンプルの吸光度測定より蛋白濃度(アルブミン換算)を定量することができる。
サンプルの作成については、実施例1と同様に調整した共重合体を濃度1wt%となるよう、塩化メチレンに溶解し、この溶液を用いて直径15mmのPET円板上にキャスト製膜することで共重合体の薄膜層を調製した。評価にあたっては、コントロールポリマーとして抗血栓性のないポリエーテルスルホン(PES、三井化学、ポリマーをNMPよりキャスト製膜して円板状に加工)、ポリエチレンテレフタレート(PET, 直径15mm、厚さ0.5mm円板、和光純薬)の平膜を比較実験に用いた。測定ではこれらの試料をヒト貧血小板血漿(PPP)を用い、この血漿溶液に接触させたときの蛋白吸着量を分光定量した。評価に際しては、PPPをリン酸緩衝液で所定濃度(5重量%リン酸緩衝液溶液)に調製したものを37℃、一時間ポリマー膜へ接触させ、吸着蛋白を1wt%ドデシル硫酸ナトリウム水溶液で抽出、MicroBCA キットを用い、常法により発色させ吸光度から吸着量を見積った。
【0039】
3.SEM観察による膜表面に吸着した血小板粘着の評価
一般に、重篤な血栓形成の前段階である血小板の粘着、凝集には,材料表面へ吸着するタンパク質の種類及びその表面における配向が大きく関与することが知られている.そして粘着した血小板の活性化(変形、顆粒放出)がその後の凝集、血小板血栓形成、凝固因子系の反応促進に影響する.従って血液(全血又は成分血)と接触した後の材料表面における血小板の粘着状態を観察することで、そのポリマーの血液適合性の程度を大まかに見積もることができる。
ここではヒト多血小板血漿(PRP)を用い、PRP接触後の膜表面の血小板粘着挙動をSEMにより観察した。PRPはヒト上腕部静脈より採取した新鮮血に3.5wt%クエン酸三ナトリウム水溶液を1/9容加え、1000r.p.m.で10分遠心分離した上澄みを調製した。サンプルは先述のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体薄膜コートPET平膜及びコントロールのPES、PET平膜を用いた。これらを培養シャーレ(Falcon,24well)中、0.7mlのPRPと37℃、3時間接触した.接触後のポリマーサンプルは蒸留水でよく洗浄し、2.5wt%グルタルアルデヒド水溶液で室温下二時間かけて固定し、凍結乾燥後、金蒸着して観察試料とした。
【0040】
[実施例1〜3]
A.ポリマーの製造
4,4-ヘキサフルオロイソプロピリデンジフェノール12.848部(セントラル硝子)、ビス(4−クロロフェニル)スルホン14.358部 (ランカスター製)、及び予めトルエンとの共沸により共存する水分を除去したα,ω−ビス(2−ヒドロキシ)ポリオキシエチレン#4000(ポリエチレングリコール、数平均分子量3000、日本油脂製)35.37部、トルエン15部、N,N-ジメチルアセトアミド20部、炭酸カリウム8.28部(関東化学)を、窒素導入口と排出口を持った3つ口フラスコに入れ、これをディーン・スタークス・トラップに誘導し窒素置換を行い、115〜125℃で20時間加熱環流を行った。反応に伴う水の流出が終了したのを確認後、トルエンを8時間かけて留去しながら、フラスコ内を窒素置換後、135〜145℃で80時間加熱撹拌し、反応せしめた。一定時間毎にサンプリングを行い、GPCにより反応の進行具合を評価した。反応後、全体をイオン交換水2000mlに撹袢しながら開け洗浄後、更に新たなイオン交換水2000mlで2時間撹袢洗浄するという操作を3回繰り返した。ついでポリマーを0.1wt%塩酸水溶液3000mlで8時間撹袢洗浄、残存する炭酸カリウム触媒を完全に失活させ水中に溶出した。これを更に新たなイオン交換水2000mlで2時間撹袢洗浄、脱塩酸するという操作を3回繰り返した。得られたポリマーを60℃、24時間かけて減圧乾燥後テトラヒドロフランで抽出し濾過、乾燥した。最終的に理論収率の95%程度(約56g)の乾燥ポリマーを得た。
【0041】
このポリマーはポリオキシエチレン成分60重量%とポリスルホン成分40重量%とからなる共重合体であり、これをPEO3000(60)-co-PSFS(40)と略す。
【0042】
このポリマー120mgをフェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比6/4)10mlに溶解させ、還元粘度を測定したところ1.25であった。また、このポリマーの数平均分子量は約32000(ポリスチレン換算)であった。結果を表1に示す。
【0043】
同様な方法で、共重合体組成比の異なるPEO3000(60)-co-PSS(40)、PEO3000(60)-co-PSPES(40)を合成した。これらのポリマーの分子量、粘度を表1に併記した。また、用いたポリマーの構造も示す。
【0044】
【表1】

Figure 0004121205
【0045】
1)略号はそれぞれ下記構造式に対応する。
2)フェノール/1,1,2,2−テトラクロルエタン混合溶媒(重量比6/4)10mlに120mgを溶解させて35℃で測定した還元粘度。
【0046】
以上の結果、ポリエチレングリコールを原料モノマーに用いることで下記に示す各種ポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体を効率よく重合できることが明らかとなった。
【0047】
【化4】
Figure 0004121205
【0048】
[実施例4〜6、比較例1〜2]
B.蛋白質吸着量の評価
上記の方法にしたがって膜表面の蛋白質吸着量を測定した。表2に示すように、本発明のポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、従来の医療用素材であるポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレートに比べ、有意な蛋白吸着抑制を示した。
【0049】
C.ヒトPRPを用いたポリマー表面への血小板粘着のSEM観察
表2にPRP接触後の各種ポリマーの膜表面の血小板粘着数を併記した。先の検討により、タンパク吸着抑制能が低い医療用素材であるポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレートでは、表面へ多くの血小板の粘着が認められた。一方、タンパク吸着抑制能の高いポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体の膜は、コントロールのPES、PETと比較して明らかな血小板粘着抑制が見られた。
【0050】
以上の結果より、タンパク吸着抑制能に優れたポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体は、既存のポリエーテルスルホンに比べ、血小板の粘着を有意に抑制し、血液適合性に優れることが明らかとなった。
【0051】
【表2】
Figure 0004121205
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for producing a polysulfone copolymer having excellent antithrombogenicity. More specifically, the present invention relates to a method for efficiently producing a specific polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer that can be used as a medical material for use in contact with blood.
[0002]
[Prior art]
In recent years, synthetic polymer materials have been widely used for medical materials such as artificial organs and catheters. Typical examples of the medical polymer material include hydrophobic polymers such as polyester, polysulfone, polyvinyl chloride, polystyrene, silicone resin, polymethacrylic acid ester and fluorine-containing resin, polyvinyl alcohol, polyether urethane ( Hydrophilic polymers such as segmented polyurethane (SPU), poly (2-hydroxyethyl methacrylate) and polyacrylamide. While most of these conventional materials have been used mainly focusing on their physical and mechanical properties, it is known that SPU is relatively excellent in antithrombogenicity. Among them, Biomer®, Cardiothane®, etc. have been tried to be applied to artificial hearts, but still have not been fully effective (E.Nylas, RCReinbach, JBCaulfield, NHBuckley, WGAusten; J. Biomed. Mater. Res. Symp., 3, 129 (1972), LPJoyce, MCDevries, WSHastings, DBOlsen, RKJarvik, WJKolff; Trans. ASAIO, 29, 81 (1983)).
[0003]
On the other hand, with the advancement of medical technology, the opportunity for contact between a living tissue or blood and a material is increasing, and the biocompatibility of the material has become a big problem. Among them, biological components such as proteins and blood cells are adsorbed and denatured on the surface of the material, which not only causes adverse effects on the living body, such as thrombus formation and inflammatory reaction, but also leads to deterioration of the material. This is an important issue that must be solved fundamentally and urgently for medical materials. Concerning the prevention of blood coagulation on the material surface, blood anticoagulant represented by heparin has been continuously administered. However, the influence of heparin administration over a long period of time has recently become a problem, especially hemodialysis, With regard to hemodialysis therapy for chronic renal failure patients who undergo blood purification such as hemofiltration, the development of blood contact materials that do not require anticoagulants has been strongly desired. Currently, there are more than 100,000 blood purification method patients in Japan.
[0004]
Several methods have also been proposed to suppress complement activation or improve antithrombogenicity when a medical material comes into contact with blood. For example, with respect to inhibition of complement activation, methods such as surface immobilization of polymers having tertiary amino groups and methods of grafting hydrophilic polymers such as polyethylene oxide chains to the surface by covalent bonds have been reported to some extent. Although the effect of inhibiting complement activation has been confirmed, the suppression of blood coagulation (antithrombogenicity) has been insufficient. Regarding the improvement of antithrombogenicity, antithrombosis can be achieved by heparinization of the membrane surface (Japanese Patent Laid-Open No. 51-194) or surface modification with a prostaglandin E1-cellulose derivative adsorbing layer (Japanese Patent Laid-Open No. 54-77497). A method of graft polymerization and immobilization of 2-methacryloyloxyethylphosphocholine (MPC), which is a polymer with excellent antithrombogenicity, on the surface of cellulose (BIO INDUSTRY, 8 (6), 412-420 (1991) ) Or fixing of chemically modified MPC-grafted cellulose derivatives to hollow fibers (Japanese Patent Laid-Open Nos. 5-220218 and 5-345802) has been reported. However, there are many problems in terms of problems such as low stability of physiologically active substances, high effects due to the complexity of the immobilization method, difficulty in obtaining a homogeneous immobilization surface layer, etc. It has not been converted. Originally, the regenerated cellulose membrane has low dialysis performance, and the surface coating method is complicated, so it has not reached the practical level.
[0005]
In addition, the hydrophobic polymer materials such as polyvinyl chloride and polymethacrylate and the hydrophilic polymer materials such as polyvinyl alcohol and poly (2-hydroxyethyl methacrylate) are both mechanical strength and biocompatible. Etc. are not satisfactory. Further, segmented polyurethane such as Biomer® and Cardiothane® suppresses platelet adhesion due to a microphase separation structure between a rigid aromatic urethane bond site and a flexible polyether bond site, but the effect is not always sufficient. In particular, hydrogen-bonded partial structures such as urethane bonds and urea bonds contribute to improving the rigidity of the molecular chain, but the strong interaction between polar groups in the main chain makes it possible to reduce the hydrophobic interaction. Molecular hydration is inhibited. Therefore, it has been reported that when blood proteins are adsorbed, protein denaturation is induced and platelet adhesion is promoted. In the first place, in general, polar sites such as hydroxyl groups and amino groups induce complement activation (second pathway) at the time of blood contact, and also cause thrombus formation by promoting fibrin formation. Among other polyester polymers, PEO (polyethylene oxide) / PBT (polybutylene terephthalate) copolymer is known as a biocompatible polymer excellent in blood compatibility (Japanese Patent Laid-Open No. 60-238315). However, there are drawbacks in terms of chemical stability, such as high hydrolyzability and leakage of low molecular eluates into the body, which is a serious problem in practical use.
[0006]
On the other hand, a material design that suppresses platelet adhesion and exhibits antithrombogenicity by making the polymer surface a hydrophilic / hydrophobic microdomain structure is known for HEMA (2-hydroxyethylmethacrylate) -Styrene-HEMA block copolymers, etc. (C. Nojiri, T. Okano, D. Grainger, KDPark, S. Nakahama, K. Suzuki, SWKim, Trans. ASAIO, 33, 596 (1987)), which is also expensive, brittle, and melt-molded. In addition, there are many practical problems such as difficulty in wet molding. Recently, by adapting fluoroalkyl groups with low surface energy (high hydrophobicity) to hydrophobic domains with a microdomain structure, the phase separation state with hydrophilic domains with high surface energy is stabilized, making it more blood compatible Although attempts have been made to improve the processability, the problem of workability has not been solved. It was also shown that MPC (2-methacryloyloxyethylphosphoryl choline) -BMA (buthylmethacrylate) copolymer having the above-mentioned biomembrane-like surface structure is excellent in antithrombogenicity (K. Ishihara, R. Aragaki, T. Ueda, A Watanabe, N. Nakabayashi, J. Biomed. Mater. Res., 24, 1069 (1990)), which also has problems in molding processability and price. In this sense, in considering anti-thrombosis of a medical material, the compounding with a polymer material excellent in antithrombogenicity has not actually reached a practical level.
[0007]
By the way, the present inventors have proposed that a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer has an excellent antithrombogenicity and uses it as an antithrombogenic material. As a polymerization method of such a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer, a dichlorodiphenyl sulfone derivative and a bisphenol compound, which are raw materials of polysulfone, and a polyoxyalkylene glycol having halogenated at both ends are used as an appropriate base catalyst. A method of polycondensation by nucleophilic substitution reaction by heating in the presence is employed. However, this method requires securing both terminal halogenated polyoxyalkylene glycols which are not currently commercially available as monomer raw materials, and is difficult to put into practical use from the viewpoint of cost reduction and mass production.
[0008]
That is, in order to produce a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer in a large amount at a low cost, a polyoxyalkylene component other than the both-end halogenated polyoxyalkylene glycol is supplied in a large amount at a low price. It is necessary to use what is in the monomer raw material. A candidate that can be substituted in this sense is a polyoxyalkylene glycol having both hydroxyl groups, and this raw material is widely used as a monomer component for polyester and polyurethane.
[0009]
Since this compound has an alcoholic hydroxyl group as a polymerization reactive group, various measures have been taken for the reaction conditions for copolymerization with a polyaryl ether sulfone whose polymerization active group is a phenolate anion. For example, EP 422933 A2 reports the hydrophilization of PES by reacting and coupling the chlorine group at the end of polyethersulfone (PES) with polyethylene glycol under a strong base such as sodium metal or sodium hydride. . In Vysokomol. Soedin., Ser. A (1984), 26 (1), 97-103, polysulfone having a terminal bisphenol A hydroxyl group and polyethylene glycol are linked using hexamethylene isocyanate as a crosslinking agent. The preparation method of the block copolymer by this is reported. These methods are effective for introducing a small amount or a part of a polyoxyalkylene chain into the polysulfone skeleton, but the main chain skeleton as in the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer of the present invention. It is unsuitable for introducing polyoxyalkylene chains homogeneously throughout and in a large amount (particularly 30 wt% or more in the polymer by weight). In the polymerization using a strong base such as sodium hydride, a sufficiently high molecular weight copolymer cannot be obtained due to the production of by-products such as elimination reaction of raw materials or polymerization active groups, and a method using isocyanate as a crosslinking agent However, since a considerable amount of urethane bonds are formed in the main chain, the influence of the urethane skeleton is inevitable from the viewpoint of the physical properties and blood compatibility of the polymer.
[0010]
In this sense, the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer of the present invention is produced by using a polyoxyalkylene glycol and a polysulfone monomer raw material under mild conditions using a medium basic catalyst. Nucleophilic substitution polymerization is desired. In fact, in US 5700902 and Macromolecules (1996), 29,7619-7621 and J.Appl.Polym.Sci (1997), 66 (7), 1353-1358, etc., polysulfone terminal is obtained by using potassium carbonate as a base catalyst. The grafting of MeO-PEG onto polysulfone and the preparation of ABA type block copolymer by the nucleophilic substitution reaction of a single chlorine atom and one terminal methoxylated polyethylene glycol (MeO-PEG) have been reported. This polymerization is a graft of PEG onto polysulfone similar to the above report, and the introduction rate of polyoxyethylene chain into polysulfone is also as low as 30 wt% or less. However, it may be applicable to the production of the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer of the present invention by using PEG which is a hydroxyl group at both ends and manipulating and optimizing the polymerization conditions.
[0011]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer which is practical in terms of cost, productivity, moldability, etc. and has excellent blood compatibility, particularly antithrombotic properties, and a method for producing the same And providing a medical material using the same.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
As a copolymer component of a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer, the present inventors have used polyoxyalkylene glycol, which is a soft segment having excellent antithrombogenicity, as a raw material monomer having an average molecular weight in the range of 2000 to 20000. inexpensive used polyalkylene glycol (PAG), an alkali metal carbonate dichloro derivative and bisphenol compound of the diphenyl sulfone compound as a raw material for polyarylethersulfone is a hard component, without a solvent or in a solvent, as the base catalyst in By polycondensation with a salt , the number of polyoxyalkylene glycol units in the copolymer, the type of hard component that is hydrophobic, and the blood compatible polyalkyl ether / polyaryl with controlled copolymer composition Preparation of ether sulfone copolymer at low cost and in large quantities This has led to the achievement of the present invention discovered that you can.
[0013]
That is, the present invention provides the following formulas (1) to (3).
[0014]
[Chemical 2]
Cl—Ar—X—Ar 1 —Cl (1)
HO—Ar 2 —OH (2)
HO- (RO) k -OH (3)
(In the above formula (1), X is —SO 2 —, and Ar and Ar 1 are each independently a divalent aromatic group optionally substituted by a nucleus. In the above formula (2), Ar 2 is a divalent aromatic group optionally substituted by a nucleus, wherein R is an alkylene group having 2 to 3 carbon atoms, and k is a polyoxyalkylene represented by (RO) k. The number of unit repeating units such that the molecular weight of the structure is 2000 to 20000)) is characterized by polycondensation using an alkali metal carbonate as a basic catalyst in the absence of solvent or in a solvent. Excellent antithrombogenicity with a reduced viscosity of 0.5 or more measured at 35 ° C. with a phenol / 1,1,2,2-tetrachloroethane 6/4 (weight ratio) mixed solvent at a concentration of 1.2 g / dl. Polyalkyl ether / poly It is a manufacturing method of the reel ether sulfone copolymer.
[0015]
The present invention, using the above polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer, a Material for medical material for use in contact with blood.
[0016]
According to the present invention, the monomer raw materials represented by the above formulas (1) to (3) are antithrombogenic by polycondensation in the absence of solvent or in a solvent using an alkali metal carbonate as a basic catalyst. An excellent polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer is obtained.
[0017]
The formula (1) Ar in ~ (3), Ar 1, and Ar 2 each independently represent a divalent aromatic group which may be nucleus-substituted, specifically p- phenylene, m- phenylene 2,6-naphthylene, 2,7-naphthylene, 1,4-naphthylene, 1,5-naphthylene, 4,4′-biphenylene, 2,2′-biphenylene, 4,4′-oxydiphenylene, 4, 4'-isopropylidenediphenylene, 4,4 '-(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropylidene) diphenylene, 4,4'-isopropylidene-2,2', 6,6 ' -Tetramethyldiphenylene, 4,4'-sulfonyldiphenylene and the like, and mono-, di-, tri-, and tetra-nuclear substituents thereof can be exemplified. Examples of the nuclear substituent include alkyl groups having 1 to 8 carbon atoms such as methyl, ethyl, and phenyl, aryl groups, halogen groups such as fluorine and chlorine, nitro groups, and alkoxy groups having 1 to 8 carbon atoms. Of these, Ar and Ar are p-phenylene, Ar is 4,4′-isopropylidenediphenylene, 4,4 ′-(1,1,1,3,3,3-hexafluoroisopropylidene. Ridene) diphenylene, 4,4′-sulfodiphenylene and the like are preferable.
[0018]
In the above formula (1), X is —SO 2 —.
[0019]
In the above formula (3), R represents an alkylene group having 2 to 3 carbon atoms, and specific examples thereof include ethylene and propylene. Of these, ethylene is preferred as R. R may be a single structure or may be composed of two or more kinds of structures. K represents the number of repeating units such that the molecular weight of the polyoxyalkylene structure represented by (RO) k is 2000 to 20000. For example, when R is a polyoxyethylene chain, K takes a value of 45 to 450. The molecular weight of the polyoxyalkylene structure is preferably 2000 to 15000, more preferably 3000 to 10000, and particularly preferably 3000 to 6000.
[0020]
The polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer obtained by the above method has a polyoxyalkylene structure content represented by the above formula (3) of 10 to 10 relative to the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer. It is used in a range of 85% by weight. When the content of the polyoxyalkylene structure is 10% or less by weight, the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer is too hydrophobic and is not sufficiently wetted with water in the dry film state. On the other hand, if it is 85% or more, the hydrophilicity is too high, so that elution into water and remarkable swelling occur and the mechanical strength is not sufficient. The content of the polyoxyalkylene structure is preferably 30 to 80% by weight, more preferably 30 to 70% by weight.
[0021]
The polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer obtained by the present invention is mainly composed of repeating units represented by the following formulas (4) and (5).
[0022]
[Chemical 3]
- [(- RO-) k - (- Ar-X-Ar 1 -O-)] y ·· (4)
- [(- Ar 2 -O - ) - (- Ar-X-Ar 1 -O-)] 1-y - ·· (5)
In the above formulas (4) and (5), X, Ar, Ar 1 , Ar 2 , R, k, and y are the same as those described above.
[0023]
Such a copolymer has a reduced viscosity of 0.5 or more as measured with a phenol / 1,1,2,2-tetrachloroethane 6/4 (weight ratio) mixed solvent at a concentration of 1.2 g / dl and 35 ° C.
[0024]
In the above formulas (4) and (5), Y represents the mole fraction of the polymer chain, and the value of X is the polyoxyalkylene structure content represented by the above formula (4). The number is in the range of 10 to 85% by weight based on the ether / polyarylethersulfone copolymer. The specific value of Y varies depending on the chemical structure and composition of the Ar group and R group to be introduced. Specifically, for example, Ar, Ar 1 , Ar 2 are phenylene, and R is a molecular weight range of 2000 to 20000. When 10 to 85 wt% of polyoxyethylene chain is introduced, Y takes a value in the range of about 0.00176 to 0.95200.
[0025]
According to the present invention, bis (haloaryl) sulfone, dihydroxyaryl compound and α, ω-bishydroxypolyoxyalkylene compound represented by the above formulas (1) to (3) (hereinafter referred to as polyalkylene glycol, PAG) Can be produced efficiently in the presence of a weak to moderate basic catalyst in the absence of a solvent or preferably in a small amount of an amide-based solvent to produce a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer.
[0026]
In the reaction, the sum of the number of moles of the dihydroxyaryl compound represented by the above formulas (2) and (3) and PAG is equivalent to the number of moles of the bis (haloaryl) sulfone represented by the above formula (1). In the presence of a suitable solvent, the mixture is reacted with an alkali. By changing the molar ratio of the dihydroxyaryl compound and PAG, polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymers having various compositions can be obtained. The heating reaction temperature is preferably 120 to 400 ° C, more preferably 160 to 350 ° C. When the reaction temperature is higher than 400 ° C., side reactions occur or the raw materials are easily decomposed. When the reaction temperature is lower than 120 ° C., the reaction is delayed.
[0027]
The basic catalyst used in the reaction is preferably an alkali metal carbonate, and examples thereof include lithium carbonate, potassium carbonate, sodium carbonate, lithium hydrogen carbonate, sodium hydrogen carbonate, potassium hydrogen carbonate and the like. Of these, potassium carbonate is particularly preferred. The amount of the basic catalyst needs to be an amount that substantially neutralizes the hydrogen halide generated during the reaction. In practice, the amount of the basic catalyst may be about 5% higher or lower than the theoretical amount. Can be made. A small amount of a suitable solvent can be used for the reaction (about 0 to the same weight as the total weight of raw material monomers). Examples of suitable solvents include amide solvents such as N-methylpyrrolidone, N, N-dimethylacetamide, and dimethyl sulfoxide. Among them, N, N-dimethylacetamide is preferable. Moreover, you may react using a plasticizer. Examples of such plasticizers include diphenyl sulfone and dialkyl ethers of ethylene glycol.
[0028]
Additives can be added to promote the reaction. Examples of such additives include metals or salts thereof, clathrate compounds, chelating agents, organometallic compounds, and the like.
[0029]
The polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer has a reduced viscosity of 0.5 or more, preferably 1.0 to 3.0. When the reduced viscosity is less than 0.5, the mechanical strength of the polymer is insufficient, which is not preferable. The reduced viscosity here is a value measured at a polymer concentration of 1.2 g / dl and a temperature of 35 ° C. in a phenol / 1,1,2,2-tetrachloroethane mixed solvent (weight ratio 6/4). Say.
[0030]
The polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer can arbitrarily change the molecular weight of the polyoxyalkylene structure and the copolymer composition depending on the purpose.
[0031]
In the present invention, the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer contains other components in such a range that its properties are not essentially changed (for example, 20% by weight or less, preferably 10% by weight or less of the polymer). You may contain as a polymerization component. Examples of other components to be copolymerized include, for example, polyesters containing ethylene terephthalate units as main repeating units, polyesters containing butylene terephthalate units as main repeating units, polyether sulfones containing diphenyl sulfone as main repeating units, and diphenyl sulfones. And polysulfone containing a condensate of bisphenol A as the main repeating unit, polycarbonate containing bisphenol A carbonate as the main repeating unit, and the like.
[0032]
(Function)
The polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer obtained by the method of the present invention has a very low protein adsorption amount measured by the MicroBCA method when contacted with human plasma at 37 ° C. for 1 hour, and is 0.7 μg / cm. 2 or less, and has an excellent adsorption inhibitory effect on protein and platelet adhesion in blood when in contact with plasma solution. The reason for this is considered as follows. The polyalkyl ether / polyarylsulfone copolymer has a polyarylsulfone (hard component) which is rigid and has a large hydrophobicity, and a hydrophilic polyoxyalkylene unit (soft component) fixed in the polymer main chain. Both of these hydrophilic segments and hydrophobic polyarylsulfone segments are characterized by a surface structure that is macroscopically phase-separated not only thermodynamically. In such polymers, since there are no hydrogen bond donating groups in the main chain, the interaction between the main chains is small, and the domains of the hydrophilic polyoxyalkylene unit are in contact with water molecules that can diminish the hydrophobic interaction. Happens easily. Therefore, the selective adsorption of the biological protein to the surface based on the domain pattern occurs, and the adsorbed protein does not denature on the surface. As a result, the surface of the polymer is in a state where the normal protein is adsorbed on the surface of the monomolecular layer, and adhesion of further biological components (red blood cells, white blood cells and platelets) is suppressed. In addition, harmful biological reactions such as complement activation, thrombus formation, and cell membrane damage can be avoided. The smaller the amount of protein adsorbed, the better. However, if it is in the range of 0.3 to 0.7 μg / cm 2 , the effect is practically sufficient. As described above, such a highly hydrophobic and rigid polyarylethersulfone segment is easy to form a stable domain structure, and is advantageous for blood compatibility. In addition, polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymers obtained by block copolymerization with hydrophilic polyoxyalkylene units are also affected by changes in wettability, solvent solubility, and miscibility with other polymers. There is a possibility that various features can be imparted from the viewpoint of processing.
[0033]
The polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer (A) thus prepared is a polymer composition excellent in antithrombogenicity of the present invention, either alone or combined or mixed with a general-purpose medical polymer material by various methods. Things are provided.
[0034]
Polyester, polyamide, polyurethane, polyvinyl chloride, polymethacrylic acid ester, polyolefin, polyarylsulfone, rubber-based elastomer and the like are preferably used as the medical polymer material for compounding or mixing the copolymer. These general-purpose medical materials may be materials having a number average molecular weight of 10,000 to 1,000,000, which are medical grade polymers not containing impurities. The copolymer may be compounded by directly coating or laminating the blood contact surface of these materials, or may be compounded as a composition blended with these materials by an appropriate method.
[0035]
The thus obtained medical material has a protein adsorption amount of 0.1% on the surface of the copolymer when brought into contact with a phosphate buffer solution of human poor platelet plasma (PPP) having a concentration of 5% by weight at 37 ° C. for 1 hour. is preferably 8 [mu] g / cm 2 or less (albumin converted by MicroBCA method), and more preferably 0.6 [mu] g / cm 2 or less. When protein adsorption during blood contact is 0.8 [mu] g / cm 2 or more, platelet adhesion and subsequent, can not sufficiently suppress activation, thrombus formation proceeds.
[0036]
【The invention's effect】
According to the present invention, a polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer excellent in antithrombogenicity can be easily purified by using the compounds represented by the above formulas (1) to (3) as starting materials. , High productivity and therefore can be manufactured at low cost. Such a copolymer has little adsorption of biological components such as proteins and blood cells, and can suppress denaturation of the adsorbed protein and adhesion and activation of the contacted platelets. Furthermore, since there are few oxyethylene free terminal chains and free hydroxyl terminal numbers in the copolymer, complement activation and cell membrane damage can be avoided. Therefore, as a field of use of the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer of the present invention, it is useful as a medical material whose main purpose is to use it in direct contact with blood components. It can be used for artificial blood vessels, heart-lung machines, hemodialysis membranes, blood bags, catheters, plasma separation membranes and the like. And when using the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer of the present invention as such a material, it is not only coated and laminated by itself, but formed as a hollow fiber, sheet, film, tube, It is also possible to blend with various general-purpose medical materials and apply the blend to the surface of various materials to modify only the blood contact surface, or to mold and process the blend itself into the material.
[0037]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in more detail with reference examples and examples. However, the following examples do not limit the present invention.
1. “Parts” in the examples represents “parts by weight” unless otherwise specified.
[0038]
2. Evaluation of protein adsorption amount Quantitative evaluation of the protein adsorbed on the membrane was performed by the MicroBCA method. This is a protein quantification method using a kit using copper ions and a BCA protein detection reagent. Only the copper ions that are monovalently reduced by the protein present in the sample undergo a chelate reaction with this reagent to develop a color (570 nm), so that the protein concentration (albumin conversion) can be quantified by measuring the absorbance of the sample.
For sample preparation, a copolymer prepared in the same manner as in Example 1 was dissolved in methylene chloride so as to have a concentration of 1 wt%, and this solution was used to cast a film on a PET disk having a diameter of 15 mm. A thin film layer of a copolymer was prepared. In the evaluation, polyethersulfone without antithrombogenicity (PES, Mitsui Chemicals, polymer cast from NMP and processed into a disk shape), polyethylene terephthalate (PET, diameter 15 mm, thickness 0.5 mm) The flat film of the plate, Wako Pure Chemicals) was used for the comparative experiment. In the measurement, human poor platelet plasma (PPP) was used for these samples, and the amount of protein adsorbed when brought into contact with this plasma solution was determined spectroscopically. In the evaluation, PPP prepared with a phosphate buffer to a predetermined concentration (5 wt% phosphate buffer solution) was brought into contact with the polymer membrane for 1 hour at 37 ° C., and the adsorbed protein was extracted with a 1 wt% sodium dodecyl sulfate aqueous solution. Using a MicroBCA kit, the color was developed by a conventional method, and the amount of adsorption was estimated from the absorbance.
[0039]
3. Evaluation of platelet adhesion adsorbed on the membrane surface by SEM observation In general, the adhesion and aggregation of platelets, which are the pre-stage of severe thrombus formation, are largely related to the type of protein adsorbed on the material surface and its orientation on the surface. It has been known. Adhesive platelet activation (deformation, granule release) affects subsequent aggregation, platelet thrombus formation, and the promotion of coagulation factor responses. Therefore, the degree of blood compatibility of the polymer can be roughly estimated by observing the adhesion state of platelets on the surface of the material after contact with blood (whole blood or component blood).
Here, human platelet rich plasma (PRP) was used, and the platelet adhesion behavior of the membrane surface after PRP contact was observed by SEM. PRP was prepared by adding 1/9 volume of 3.5 wt% trisodium citrate aqueous solution to fresh blood collected from the human brachial vein, and adding 1000 r.p. p. m. The supernatant obtained by centrifugation at 10 minutes was prepared. As the sample, the above-described polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer thin film coated PET flat film and control PES and PET flat film were used. These were contacted with 0.7 ml of PRP at 37 ° C. for 3 hours in a culture dish (Falcon, 24 well). The polymer sample after contact was thoroughly washed with distilled water, fixed with a 2.5 wt% glutaraldehyde aqueous solution at room temperature for 2 hours, freeze-dried, and then gold-deposited to obtain an observation sample.
[0040]
[Examples 1 to 3]
A. Polymer production
12,848 parts (central glass) of 4,4-hexafluoroisopropylidenediphenol, 14.358 parts of bis (4-chlorophenyl) sulfone (manufactured by Lancaster), and α, ω-bis from which coexisting water was previously removed by azeotropy with toluene (2-Hydroxy) polyoxyethylene # 4000 (polyethylene glycol, number average molecular weight 3000, manufactured by NOF Corporation) 35.37 parts, toluene 15 parts, N, N-dimethylacetamide 20 parts, potassium carbonate 8.28 parts (Kanto Chemical), nitrogen The flask was placed in a three-necked flask having an inlet and an outlet, and this was introduced into a Dean-Starks trap to perform nitrogen substitution, and heated to reflux at 115 to 125 ° C. for 20 hours. After confirming the completion of the outflow of water accompanying the reaction, the inside of the flask was purged with nitrogen while distilling off toluene over 8 hours, followed by heating and stirring at 135 to 145 ° C. for 80 hours to carry out the reaction. Sampling was performed at regular intervals, and the progress of the reaction was evaluated by GPC. After the reaction, the whole was stirred and washed with 2000 ml of ion-exchanged water, washed, and further washed with 2000 ml of fresh ion-exchanged water for 2 hours. Subsequently, the polymer was stirred and washed with 3000 ml of 0.1 wt% hydrochloric acid aqueous solution for 8 hours, and the remaining potassium carbonate catalyst was completely deactivated and eluted in water. The operation of stirring and washing with 2000 ml of new ion exchange water for 2 hours and dehydrochlorination was repeated three times. The obtained polymer was dried under reduced pressure at 60 ° C. for 24 hours, extracted with tetrahydrofuran, filtered and dried. Finally, a dry polymer of about 95% (about 56 g) of the theoretical yield was obtained.
[0041]
This polymer is a copolymer composed of 60% by weight of a polyoxyethylene component and 40% by weight of a polysulfone component, and this is abbreviated as PEO3000 (60) -co-PSFS (40).
[0042]
When 120 mg of this polymer was dissolved in 10 ml of a phenol / 1,1,2,2-tetrachloroethane mixed solvent (weight ratio 6/4) and the reduced viscosity was measured, it was 1.25. Moreover, the number average molecular weight of this polymer was about 32000 (polystyrene conversion). The results are shown in Table 1.
[0043]
PEO3000 (60) -co-PSS (40) and PEO3000 (60) -co-PSPES (40) having different copolymer composition ratios were synthesized by the same method. Table 1 shows the molecular weight and viscosity of these polymers. It also shows the structure of the polymer used.
[0044]
[Table 1]
Figure 0004121205
[0045]
1) Each abbreviation corresponds to the following structural formula.
2) Reduced viscosity measured at 35 ° C. by dissolving 120 mg in 10 ml of a phenol / 1,1,2,2-tetrachloroethane mixed solvent (weight ratio 6/4).
[0046]
From the above results, it was revealed that various polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymers shown below can be efficiently polymerized by using polyethylene glycol as a raw material monomer.
[0047]
[Formula 4]
Figure 0004121205
[0048]
[Examples 4-6, Comparative Examples 1-2]
B. Evaluation of protein adsorption amount The protein adsorption amount on the membrane surface was measured according to the above method. As shown in Table 2, the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer of the present invention showed significant inhibition of protein adsorption compared to the conventional medical materials such as polyether sulfone and polyethylene terephthalate.
[0049]
C. SEM observation of platelet adhesion to polymer surface using human PRP Table 2 shows the number of platelet adhesion on the membrane surface of various polymers after PRP contact. As a result of the previous studies, a large amount of platelet adhesion was observed on the surface of polyethersulfone and polyethylene terephthalate, which are medical materials with low protein adsorption inhibition ability. On the other hand, the membrane of polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer having a high protein adsorption inhibiting ability showed a clear inhibition of platelet adhesion as compared with control PES and PET.
[0050]
From the above results, it is clear that the polyalkyl ether / polyaryl ether sulfone copolymer, which has excellent protein adsorption inhibiting ability, significantly suppresses platelet adhesion and has superior blood compatibility compared to existing polyether sulfone. It became.
[0051]
[Table 2]
Figure 0004121205

Claims (1)

下記式(1)〜(3)
Figure 0004121205
(上記式(1)において、Xは−SO2−であり、ArおよびAr1はそれぞれ独立に、核置換されていてもよい2価の芳香族基である。上記式(2)において、Ar2は核置換されていてもよい2価の芳香族基である。上記式(3)において、Rは炭素数2〜3のアルキレン基であり、kは(RO)kで示されるポリオキシアルキレン構造の分子量が2000〜20000となるような単位繰り返し数である。)で示される原料モノマーを、無溶媒下または溶媒中、塩基性触媒としてアルカリ金属炭酸塩を用いて重縮合することを特徴とする、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン6/4(重量比)混合溶媒で濃度1.2g/dl、35℃で測定した還元粘度が0.5以上である抗血栓性に優れたポリアルキルエーテル/ポリアリールエーテルスルホン共重合体の製造方法。
Following formula (1)-(3)
Figure 0004121205
(In the above formula (1), X is —SO 2 —, and Ar and Ar 1 are each independently a divalent aromatic group optionally substituted by a nucleus. In the above formula (2), Ar 2 is a divalent aromatic group which may be substituted with a nucleus, wherein in the above formula (3), R is an alkylene group having 2 to 3 carbon atoms, and k is a polyoxyalkylene represented by (RO) k. The number of repeating units is such that the molecular weight of the structure is 2000 to 20000.) and is polycondensed using an alkali metal carbonate as a basic catalyst in the absence of solvent or in a solvent. Excellent antithrombogenicity with a reduced viscosity of 0.5 or more measured at 35 ° C. with a phenol / 1,1,2,2-tetrachloroethane 6/4 (weight ratio) mixed solvent at a concentration of 1.2 g / dl. Polyalkyl ether / polya A method for producing a reel ether sulfone copolymer.
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