JP4119992B2 - ネットワークにおけるデータ配信方法及びデータ配信システム - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明はネットワークにおけるデータ配信方法に関する。詳しくは、一のサーバから多数のサーバへ情報を配信する場合、配信元のサーバに負担をかけることなく、効率よくデータ配信を行うことのできるデータ配信方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
たとえば、銀行等の多数の支店からなるネットーワークにおいては、本店のホストコンピュータから上記多数の支店に対して、種々のデータを配信する必要がある。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−14228号
【特許文献2】
特開2001−67279号
【0004】
特許文献1に記載されているファイル配信システムにおいては、管理サーバが、配信対象のファイルとファイルの配信経路を示す配信経路情報を中継サーバに送信し、これらを受信した中継サーバが、上記配信経路情報を参照し、自サーバが送信元として設定されている場合、その送信先にファイル及び配信経路情報を配信するように構成されている。上記配信経路情報は、コンテンツ毎に配信される中継サーバについて生成される。上記配信経路情報で指定された上記中継サーバによって、情報がリレー配信され、管理サーバの負荷を軽減することができる。
【0005】
特許文献2に記載されている情報配付システムにおいては、管理サーバからネットワークに接続されたサーバのうち負荷の低いサーバを検出し、これらサーバを中継サーバとして、配下のマシンへの情報の配付を依頼するように構成されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
特許文献1に記載されている情報配付システムは、複数の中継サーバをあらかじめ拠点に配置して、これら中継サーバを介して端末サーバに情報を配付するように構成されている。このため、端末サーバに対する配信経路が固定され、回線状況やデータ特性によっては、上記中継サーバに大きな負担がかかる恐れがある。
【0007】
また、上記中継サーバに異常があると、上記中継サーバより下位の階層のサーバに情報を配付できなくなってしまう恐れもある。
【0008】
一方、特許文献2に記載されている情報配付システムにおいては、負荷の低いサーバを中継サーバとするため情報の転送効率自体は向上する。ところが、負荷調査を行うための行程が必要になるため、数百〜数千のサーバを構成要素とするネットワークにおいては、上記負荷調査に要する時間が莫大になってしまう。
【0009】
また、上記従来のデータ配信方法においては、配信されるデータの特性が考慮されていない。たとえば、各配信先サーバに対して同一の配信データと、各配信先サーバ毎に異なる配信データとを混在させた複合データを、一回の配信行程で配信したい場合、効率よくデータ配信を行うことができない。
【0010】
さらに、ネットワークの通信環境や各サーバの通信環境が異なる場合、各サーバを機械的に配列しただけでは、効率のよいデータ配信を行うことができない。すなわち、配信されるデータ特定及び配信先サーバの特性、さらには、通信環境を総合して配信経路を設定しなければ、効率の高いデータ配信を行うことができない。
【0011】
一方、配信先サーバの数が多くなると、すべての配信先サーバの特性等を考慮して配信経路を設定するのに莫大な手間や時間を要する。
【0012】
本願発明は、上記従来の問題を解決し、多数のサーバに対して効率よくデータ配信行う配信経路を設定できるとともに、上記配信経路に応じて最適な配信データを生成できる、ネットワークにおけるデータ配信方法を提供することを課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願の請求項1に記載した発明は、複数のサーバを含んで構成されるネットワークにおいて、一のサーバから他の複数のサーバへ情報を配信する、ネットワークにおけるデータ配信方法であって、配信元サーバにおいて、選択された配信先サーバから構成されるネットワーク特性及びこれらサーバに配信される配信データの全体データ特性に基づいて、階層構造を有する配信経路モデルを形成する配信経路モデル形成行程と、配信元サーバにおいて、各配信先サーバの個別サーバ特性及び各配信先サーバに配信される配信データの個別データ特性に基づいて、上記配信経路モデルに上記配信先サーバを割り当てて、データ配信経路を設定する配信経路設定行程と、上記配信元サーバにおいて、上記全体データ特性、上記個別データ特性及び配信経路情報を含む管理データを生成する管理データ生成行程と、上記配信元サーバにおいて、上記データ配信経路、上記全体データ特性及び上記個別データ特性に応じて、配信データを最適化するとともに上記管理データと一体化して、最適化転送データを生成する最適化転送データ生成行程と、上記配信元サーバから、上記データ配信経路によって設定された次階層の配信先サーバに、上記最適化転送データを転送するデータ転送行程とを含んで構成される。
【0014】
本願発明に係るデータ配信方法においては、配信元サーバを固定して、他のサーバにデータを転送することができる。また、配信元サーバを固定することなく、ネットワークを構成する各サーバが配信元となって他のサーバにデータを配信することもできる。
【0015】
配信元サーバにおいて、配信先サーバ及びこれらサーバに配信されるデータが選択される。上記配信元サーバは、ネットワークを構成するすべてのサーバを配信先サーバとして選択することもできるし、一部のサーバを配信先サーバとして選択することができる。また、配信先サーバのすべてに同一のデータを配信することもできるし、配信先サーバによって異なるデータを配信することもできる。また、各配信先サーバに対して同一のデータと、各配信先サーバによって異なるデータとが混在したデータを、一回の配信手順で配信することができる。
【0016】
本願発明に係るデータ配信方法においては、選択された上記配信先サーバから構成される上記ネットワーク特性及び上記全体データの特性に基づいて、配信経路モデルが形成される。上記配信経路モデルは、特定の配信先サーバから構成されるものではなく、上記ネットワーク特性及び全体データ特性に基づいて仮想的に形成された経路モデルである。すなわち、本願発明においては、まず、選択された配信先サーバ数に応じた配信経路モデルを形成し、その後に具体的なサーバを割り当てて、具体的配信経路を設定する。このようにして配信経路を設定することにより、配信先サーバの数や配信データが配信作業ごとに変化しても容易に対応することができる。また、多数のサーバを含むネットワークにおいて、効率のよいデータ配信を行うことが可能となる。配信経路の形態は特に限定されることはないが、少なくともいずれかの階層において2以上に分岐した配信経路が設定されることを前提としている。
【0017】
上記ネットワーク特性は、配信先サーバから構成されるネットワークを全体を集合としてとらえた場合の特性である。上記ネットワーク特性として、たとえば、配信先サーバ数、各サーバにおいて同時に利用できる通信回線数、データ転送速度等があげられる。上記同時に利用できる通信回線数、データ転送速度は、ネットワーク内のすべてのサーバ間で一定の場合もあるし、異なる場合も考えられる。各配信先サーバ間で異なる場合は、配信先サーバにおいて、平均的回線数や平均データ転送速度をネットーワーク特性として利用し、上記配信経路モデルを形成することができる。
【0018】
上記全体データ特性として、全配信先サーバに配信されるデータの総量、データの種類等があげられる。また、各配信先サーバに配信されるデータを足し合わせたものではなく、重複するデータを排除した実質的データ量を特性として採用することができる。
【0019】
たとえば、配信先サーバ数と同時に利用できる回線数とを用い、各配信先サーバが上記回線数に応じた下位サーバに対してデータを配信するものと仮定すると、階層構造を有する配信モデルを容易に構成できる。また、配信データ量とデータ転送速度を用い、各サーバが複数回の転送処理を行うものと仮定すると、全配信先サーバに対するデータ転送時間が最も小さくなるような階層構造を構成できる。
【0020】
上記配信経路設定行程においては、各配信先サーバの個別サーバ特性及び各配信先サーバに配信される配信データの個別データ特性に基づいて、上記配信経路モデルに上記配信先サーバを割り当てる。すなわち、上記配信経路モデルに、サーバの個別特性及び個別データ特性に基づいて具体的サーバを配置するのである。
【0021】
たとえば、利用できる回線数が多いサーバあるいは転送速度の早いサーバを階層の上位に配置することにより、効率の良いデータ配信を行うことができる。また、配信データ量が多いサーバを階層の上位に配置することにより、同一のデータを繰り返し転送する必要がなくなるため、データ配信を効率よく行える。
【0022】
また、請求項10に記載した発明のように、上記配信経路設定行程において、末端サーバまでの延べ配信データ量が最小となるように上記データ配信経路を設定することができる。また、請求項11に記載した発明のように、上記配信経路設定行程において、全サーバに対する総配信時間が最小となるように上記データ配信経路を設定することもできる。
【0023】
上記配信経路設定行程は、上記配信経路モデルの各配信経路に対して、サーバの個別条件に基づいて具体的サーバを割り当てる作業であるため、ネットワーク全体が多数のサーバから構成される配信経路モデルであっても、各経路設定の対象となるサーバ数は少なくなり、短時間に処理を行うことができる。
【0024】
上記管理データ生成行程は、上記全体データ特性、上記個別データ特性及び配信経路情報を含む管理データを生成する行程である。各配信先サーバは、上記管理データに基づいて自己宛のデータを読み出して取り込み、あるいは下位のサーバにデータを転送する。また、各配信経路における配信先サーバ特性と配信されるデータのデータ特性とを、各配信経路において共有することにより、効率の良いデータ配信を行うことができる。
【0025】
上記配信経路情報として、上記ネットワーク特性、各配信経路に配置されたサーバ名、上記サーバ個別特性等が含まれる。また、上記データ特性として、上記全体データ特性、個別データ特性等が含まれる。
【0026】
また、上記管理データに、各配信先サーバ内に保存されているデータの削除情報を含ませることができる。
【0027】
上記最適化転送データ生成行程は、上記データ配信経路、上記全体データ特性及び上記個別データ特性に応じて、1又は2以上の配信データから構成される転送データを最適化するとともに上記管理データと一体化して、最適化転送データを生成する行程である。
【0028】
配信データを最適化する手法は特に限定されることはないが、転送されるデータ量を減少させ、あるいはセキュリティを高めるように、配信データを最適化するのが好ましい。たとえば、各配信経路において複数のサーバに配信されるデータに共通のものがある場合には、転送されるデータに重複がないように設定する。また、種々の圧縮手法を用いて転送データを圧縮することもできる。
【0029】
上記転送データは配信経路によって異なるため、各配信経路に配信されるデータ特性に基づいて最適化すればよい。これにより、配信効率をさらに高めることができる。
【0030】
また、請求項17に記載した発明のように、複数の配信データを一体化して連結データを生成するとともに、連結情報を上記管理データに記録するデータ連結行程を行い、上記管理データと上記連結データとを一体化して最適化転送データを生成するように構成することもできる。
【0031】
複数の配信データがある場合、これらデータを一体化することにより、一回の転送処理でデータを送信することができる。しかも、本願発明では、各転送データの特性はすでに注出されて管理データが生成されている。したがって、上記管理データを利用して、一体化された配信データから所望の配信データを分離して復元することも容易である。配信データの連結方法は特に限定されることはないが、一つのバイナリデータとなるように連結するのが好ましい。さらに、上記連結データと、上記管理データとを一体化して最適化転送データを生成することができる。
【0032】
請求項18に記載した発明は、上記連結データを圧縮するとともに、圧縮情報を付加してする圧縮転送データを生成するデータ圧縮行程と、上記圧縮転送データをスクランブル処理するとともに、スクランブル情報を付加するスクランブル処理行程を含むものである。
【0033】
上記圧縮行程を行う手法は特に限定されることはなく、データの特性等に応じて種々の圧縮手段を採用できる。圧縮処理を行うことにより転送データ量が少なくなり、転送時間を減少させることができる。
【0034】
一方、請求項17に記載した転送データにおいては、転送元アドレス、転送先アドレス等の管理情報を容易に解読できる。このため、セキュリティが万全であるとはいえない。したがって、開放されたネットワークに適用するには問題がある。
【0035】
本請求項に記載した発明は、上記圧縮転送データにスクランブル処理を施す。通常、スクランブル処理を施すとデータ量が大きく増加するが、圧縮処理を施しているため、転送データのデータ量を増大させることなく、スクランブル処理を行える。上記スクランブルを解除するキーは、各配信先サーバに配付しておくのが好ましい。
【0036】
上記連結処理及び上記圧縮処理によって、配信データが隠蔽される。また、上記スクランブル処理によって、各配信データを解読するためる管理情報及び圧縮情報が隠蔽される。したがって、配信データに二重のロックを施したことになり、データ配信のセキュリティが格段に高まる。このため、インターネット等のオープンネットワークに本願発明に係るデータ配信方法を適用する場合の安全性が確保される。
【0037】
上記データ転送行程は、最適化された転送データを、上記配信元サーバから、上記データ配信経路によって設定された次階層の配信先サーバに転送する行程である。
【0038】
データ転送は、請求項5に記載した発明のように、複数の回線を同時に開いて、複数のサーバに対してデータを転送することができる。また、請求項6に記載した発明のように、複数の配信先サーバに対して順次データを転送することもできる。
【0039】
本願の請求項2に記載した発明は、上記配信経路設定行程において設定された各配信経路について、配信先サーバの上記個別サーバ特性又は/及び上記個別データ特性に応じて、各配信経路を最適化する配信経路調整行程を含むものである。
【0040】
上記配信経路設定行程では、配信先サーバや配信データの全体条件を基にして決定した仮想的な配信経路モデルに、配信先サーバの個別特性を考慮して各配信先サーバを機械的に割当てたものである。すなわち、配信先サーバを配信経路ごとにグループ分けしたものと考えられる。したがって、各配信経路に割当てられたサーバや配信データの個別的な条件を考慮すると、最適な配信経路とならない場合が生じる。そこで、各配信経路ごとに、個別的条件に基づいて、各サーバの経路配置を見直して最適化するものである。なお、上記配信経路設定行程は、階層構造を有する配信経路において、配信元サーバを除く複数の経路が対象となる。
【0041】
上記配信経路調整行程では、各配信経路に割当てられた配信先サーバ、すなわち、全配信先サーバの一部のサーバについて、上記配信経路モデル形成行程及び配信経路設定行程で採用した条件を再検討する。これにより、各配信経路を個別に再調整して最適な配信経路を設定することができる。
【0042】
上記配信経路調整行程においては、上記配信経路設定行程において採用されなかった特性を用いて、配信経路を調整することもできる。たとえば、配信経路モデル形成行程及び配信経路設定行程において、各サーバ間におけるデータ転送速度を考慮しなかった場合、上記配信経路調整行程において、上記データ転送速度を考慮して、各配信経路における各サーバの配置を見直すことができる。
【0043】
上記配信経路調整行程は、各配信経路について、各条件を適用した場合を仮定して繰り返し演算を行い、最適な配信経路を見出すように構成するのが望ましい。なお、上記配信経路調整行程は、上記配信経路設定行程において設定された各配信経路について行うため対象となるサーバ数が限られ、多くの作業時間を要することもなく、配信元サーバに大きな負担をかける恐れもない。また、配信経路調整行程は、配信元サーバにおいて行うこともできるし、次順位のサーバに依頼して行うこともできる。
【0044】
本願の請求項3に記載した発明は、上記データ配信経路における中間階層の配信先サーバにおいて、配信された最適化転送データから自己宛の配信データを読み出して取得するデータ取得行程と、上記データ配信経路に沿う下位の配信先サーバに対する再転送データを生成する再転送データ生成行程と、上記再転送データを次順位のサーバに転送するデータ再転送行程とを含んで構成されるものである。
【0045】
上記中間階層のサーバは、上記管理データに記述された情報に基づいて自己宛のデータを取得することができる。また、転送データが同一である場合には、同一の転送データをそのまま次順位のサーバに転送することができるが、次順位のサーバに配信する必要のない配信データが含まれる場合には、配信不要なデータを消去して再転送データを生成して転送する。これにより、データ配信を効率よく行うことができる。
【0046】
また、上記再転送を行う場合においても、請求項1に記載した発明と同様に、複数の回線を同時に開いて、同時に複数のサーバに対してデータを転送し、あるいは、複数の配信先サーバに対して順次データを転送することができる。
【0047】
本願の請求項4に記載した発明は、下位のサーバに対するデータ転送が行われた後、転送エラー情報を含むデータ転送結果情報を上位のサーバに順次転送することにより、上記データ転送結果情報をデータ配信経路と逆の経路をたどって配信元サーバまで転送する転送結果情報収集行程を含むものである。
【0048】
すべてのサーバに対してデータ転送が成功するとは限らない。特に、配信先サーバの数が多くなれば、転送エラーが発生する確率も増加する。本願発明は、転送エラー情報を含むデータ転送結果情報を配信元サーバにおいて収集することにより、転送エラーに対処できるように構成している。
【0049】
本願の請求項7に記載した発明は、配信先サーバに対する転送エラーが発生した場合、転送エラーが発生したサーバより上位階層のサーバが、新たな配信経路を再設定するとともに、新たな配信経路に対する最適化転送データを再生成して再転送を行うものである。
【0050】
上記再転送は、上記転送エラーを検出したサーバが行うこともできるし、より上位のサーバを用いて行うこともできる。たとえば、転送エラーを検出したサーバがデータ転送中である場合には、転送処理の終了しているより上位階層のサーバに再転送を依頼するように構成できる。また、各転送経路における上記階層のサーバは、管理データを取得しているため、上記エラーの発生した経路における上記再転送を容易に行うことができる。
【0051】
また、転送エラーによる再転送を行う場合、ネットワーク特性及びデータ特性が当初採用したものと異なることになる。すなわち、配信経路の中間位置からデータの転送を行うことになる。このため、配信先サーバに対する配信処理を効率よく行うため、新たな配信経路を設定するとともに、新たな最適化転送データを生成して再転送を行うのが好ましい。なお、新たな配信経路の設定手法及び最適化転送データの生成手法は、配信元サーバと同様の手法を用いることができる。
【0052】
さらに、請求項8に記載した発明のように、上記新たな配信経路を、上記転送エラーが発生したサーバより上位階層のサーバを含んで構成することができる。より上位階層のサーバは、データ配信処理が終了している場合が多く、しかも、データ転送処理能力の高いサーバが配置されているため、転送エラーを迅速に回復することができる。
【0053】
本願の請求項9に記載した発明は、再設定された上記新たな配信経路に関する再配信経路情報を上位のサーバを介して配信元サーバまで伝達するものである。
【0054】
配信元サーバにおいて、転送エラー情報を含む上記転送結果情報のみならず、上記再配信経路情報を管理することにより、配信エラーのあったサーバに対して後にデータを直接再配信したり、異常情報を発することができる。
【0055】
本願の請求項12に記載した発明は、設定された各配信経路に沿うサーバの通信回線状況を検出する回線状況検出行程を含み、検出された通信回線状況に基づいて上記配信経路調整行程を行うものである。
【0056】
上記通信回線状況の検出は、配信元サーバが行うこともできるが、多数のサーバに対する通信回線状況を検出すると、配信元サーバに多大な負担がかかる。このため、請求項13に記載した発明のように、次順位のサーバに検出を依頼するのが好ましい。次順位のサーバは、これが属する各配信経路に属するサーバの通信状況のみを検出すればよいため、全体の通信回線状況を効率よく検出することができる。
【0057】
本願の請求項14に記載した発明は、上記ネットワークにおいて、複数のデータ配信行程を同時に進行させるものである。
【0058】
たとえば、あるデータ配信に時間を要する場合、当該データ配信が完了しないうちに、別のデータを配信しなければならない場合がある。また、時間をかけて配信してもよいデータや、至急配信しなければならないデータもある。特に、配信完了までに時間を要するデータ配信が完了しないうちに、他のデータを至急配信しなければならない場合が問題である。
【0059】
本願発明に係るデータ配信方法では、階層構造を有する配信経路を設定するとともに、各配信経路における上位階層のサーバがデータ転送結果情報を共有できるため、配信処理が終了したサーバを容易に認識することができる。このため、上記配信結果情報を配信経路設定に反映させることによって、複数の配信行程を効率よく同時に進行させることができる。
【0060】
上記複数の配信行程を同時に効率よく行うため、請求項15に記載した発明のように、 配信元サーバで収集した上記データ転送結果情報を、ネットワークに属する全てのサーバに配信して共有するとともに、上記ネットワークにおいて、複数のデータ配信工程を同時に進行させるように構成するのが好ましい。また、請求項16に記載した発明のように、配信元サーバで収集した上記データ転送結果情報を、特定の1のサーバで集中管理して上記配信経路設定行程に反映させるとともに、上記ネットワークにおいて、複数のデータ配信工程を同時に進行させることができるように構成してもよい。
【0061】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の実施の形態を図に基づいて具体的に説明する。
【0062】
図1に示すように、本願発明は、複数のネットーワークサーバS1 〜Sn を備えて構成されるネットワークに適用される。各ネットワークサーバは、インターネットあるいは専用回線1を介してネットワークを構成している。以下に説明する実施の形態では、理解を容易にするため、23台のネットワークサーバを備えて構成されるネットワークに本願発明を適用したが、実際には数百台〜数千台のネットワークサーバを構成要素とするネットワークに適用される。
【0063】
各ネットワークサーバSn は、本願発明に係るデータ配信方法に係るプログラムを格納したマイクロサーバms1 〜msn を一体的に備え、このマイクロサーバを介して回線に接続されている。上記マイクロサーバは、CPU、ハードディスク、メモリ、データ通信装置等を備えて構成されている。配信されたデータは、一旦、上記マイクロサーバに格納される。各ネットワークサーバSn は、必要に応じてあるいは自動的に、上記マイクロサーバに転送されたデータを取得できるように構成されている。上記マイクロサーバを介してデータ配信システムを構成することにより、各ネットワークサーバのセキュリティを確保できるとともに、各ネットワークサーバが通信上の事情によって作動が阻害されるのを防止できる。以下の説明では、各マイクロサーバを単にサーバと称して本実施の形態を説明する。なお、本実施の形態では、マイクロサーバを用いて本願発明に係る処理を実行するように構成したが、各ネットワークサーバ本体を用いて処理を実行するように構成することもできる。
【0064】
図2に、配信元である各ネットワークサーバSn 及びマイクロサーバmsn に格納されているファイル及び本願発明を実行するための各手段を示す。
【0065】
各ネットワークサーバSn には、自らが配信元となった場合に配信先サーバを選択する配信サーバ選択手段2と、配信データを選択する配信データ選択手段3と、上記マイクロサーバmsn に配信されたデータをハードディスク等に取得する配信データ取得手段4とを備える。また、配信元になるサーバは、複数の配信データ51、配信データ52…からなる配信データ5を保有している。各ネットワークサーバSn は、配信された上記データを用いて種々の業務を行う。
【0066】
上記マイクロサーバmsn には、ネットワークを構成するすべてのサーバの特性を記述した個別サーバ特性ファイル6と、データ配信先サーバから構成されるネットワークの特性を求めるネットワーク特性算出手段7と、各配信先サーバに配信されるデータの特性を抽出する個別データ特性注出手段8と、全体データ特性算出手段9とが格納されている。
【0067】
上記個別サーバ特性ファイル6には、各サーバが同時に利用できる回線数、上記回線におけるデータ転送速度等の各サーバの個別的な特性が記録されている。
【0068】
上記ネットワーク特性算出手段7は、配信先サーバとして選択されたサーバ群の全体的な特性値を求めるものであり、上記個別サーバ特性ファイル6のデータを用いて上記ネットワーク特性を算出できるように構成される。本実施の形態では、上記個別サーバ特性ファイル6から各データ配信先サーバの同時に利用可能な回線数を注出し、これら利用可能回線数の平均値を算出することができるように構成されている。また、各サーバ間のデータ転送速度の平均値を算出することができるように構成されている。
【0069】
上記個別データ特性注出手段8は、上記各配信データの特性を注出するものであり、本実施の形態では、各配信データのデータ量、データ形式等を注出して、メモリ領域に配信データの特性テーブルを形成し、あるいはハードディスクに配信データの特性ファイルを形成することができるように構成されている。
【0070】
上記全体データ特性算出手段9は、上記配信データ特性テーブル等を用いて、配信データの全体的な特性を算出できるように構成されている。実施の形態では、配信される総データ量、データの形式ごとに積算した形式別データ総量等を算出することができるように構成されている。
【0071】
また、上記各マイクロサーバmsn には、配信経路モデル形成手段10と、配信経路設定手段11と、配信経路調整手段12と、管理データ生成手段13と、最適化転送データ生成手段14とが格納されている。
【0072】
上記配信モデル形成手段10は、選択されたサーバ数と、ネットワーク特性と、上記全体データ特性に基づいて、仮想的な配信経路モデルを形成することができる。実施の形態では、配信データ量が一定値以下であり、各サーバの平均的な利用回線数が2回線である場合、図5に示すような、配信元サーバから各々2つに分岐してデータを配信する配信経路モデルを形成するように設定されている。一方、配信データ量が多く各サーバ間の通信時間が大きくなる場合であって、全サーバに対するデータ配信をできるだけ短時間で行う必要がある場合には、図8に示すように、配信元サーバが複数回の転送処理を行う配信経路モデルを形成するように設定される。なお、上記配信モデルは一例であり、データ配信の種々の要求に応じて、最適な配信経路モデルが自動的に生成されるように構成するのが好ましい。
【0073】
上記配信経路設定手段11は、上記個別サーバ特性及び上記個別データ特性等に基づいて、上記配信経路モデルで設定した配信経路における各仮想サーバに、具体的なサーバを割り当てて、実際に配信を行い得る配信経路を設定するものである。
【0074】
上記配信経路調整手段12は、上記個別サーバ特性及び上記個別データ特性に基づいて、具体的サーバからなる各配信経路を見直して調整を行い、最適化された配信経路を求めるものである。本実施の形態では、図5におけるb1 及びb2 を頂点とする2つの各配信経路について調整を行った。なお、対象となる配信経路は、実施の形態に限定されることはなく、より下位の階層における細分化した経路について調整を行うこともできる。
【0075】
上記管理データ生成手段13は、各配信経路別に、各配信データの特性、配信経路情報等を記述した管理データを生成する機能を備えている。
【0076】
上記最適化転送データ生成手段14は、設定された各配信経路に応じて、上記管理データ及び配信データから、一体的な転送データを生成するものである。
【0077】
さらに、各サーバには、データ送信、受信を行うためのデータ通信手段15と、転送されたデータを読み出すとともに、自己宛のデータを記憶装置等に格納するデータ読出・格納手段16と、配信結果を上位のサーバに対して転送する配信結果転送手段17と、配信元サーバ選択手段18とが格納されている。
【0078】
上記データ通信手段15は、一般的に採用される機器及びソフトウエアから構成することができる。
【0079】
上記データ読出・格納手段16は、メモリ領域に転送された転送データから自己宛のデータを読み出して、ハードディスク等に格納する機能を有している。
【0080】
上記配信結果転送手段17は、データ配信が完了したこと、あるいはエラーが生じてデータ配信ができなかったことに関する情報を、上位階層のサーバに転送するものであり、自己が生成した配信結果情報のみならず、下位のサーバから転送された配信結果情報を上位のサーバに転送できるように構成されている。
【0081】
上記配信元サーバ選択手段18は、下位のサーバへの配信が失敗した場合、データ配信できなかったサーバに対するデータ配信を行うための配信元サーバを選択する機能を有している。
【0082】
以下、図3〜図8に基づいて、上記各手段によって行われるデータ配信の手順を説明する。なお、本実施の形態では、ネットーワークを構成する一のネットワークサーバS1 が他のサーバへデータを配信する場合について説明する。
【0083】
上記ネットワークサーバS1 において、上記配信先サーバ選択手段2及び上記配信データ選択手段3によって、配信先サーバと配信データが選択される(S101)。本実施の形態では、22台のサーバS2 〜S23と、これらに転送される配信データ5が選択される。上記配信先サーバ名及び上記配信データは、マイクロサーバms1 のメモリ領域に転送して以降の処理を行うように構成している。
【0084】
次に、上記各配信先サーバの個別特性と上記各配信データの個別データ特性が注出される(S102)。本実施の形態では、各マイクロサーバ内に、全サーバの個別サーバ特性ファイル6が格納されており、データ配信先に選択されたサーバの回線数、データ転送速度等が注出されて、配信先サーバに関するサーバ個別特性テーブルが形成される。また、各配信データ51,52…についても、データ量、データ形式等が注出され、個別データ特性を記述した個別データ特性テーブルが形成される。これらテーブルは、サーバms1 のメモリ領域あるいはハードディスクに保存される。
【0085】
次に、配信先サーバ個別特性に基づいて、配信先サーバから構成されるネットワーク特性が算出される。本実施の形態では、配信サーバ総数、平均利用可能回線数、平均転送速度等が算出される。また、同時に、上記個別データ特性テーブルから、全配信データ量、各サーバについての平均配信データ量等の全体データ特性が算出される(S103)。これら、特性値は、サーバ内のメモリ領域に保存され、あるいはハードディスクに保存される。
【0086】
次に、上記ネットワーク特性と、上記全体データ特性に基づいて、配信経路モデルが形成される(S104)。上記配信経路モデルは、配信先サーバ数に応じて、階層構造を有する仮想的な配信経路を構成するものである。
【0087】
本実施の形態では、配信先サーバ数が22台の配信経路モデルとして、図5に示す配信経路モデルと図7に示す配信経路モデルを例に挙げて説明する。
【0088】
図5に示す配信経路モデルは、各サーバについて同時利用可能な平均回線数が2回線であり、データ量が比較的少なく、配信時間があまり問題とならない場合に形成される配信経路モデルである。図5に示すように、各サーバから2つに分岐する経路から構成されるツリー状の配信経路モデルが形成される。
【0089】
図5に示す配信経路モデルが形成された後、図6に示すように、22台の各仮想サーバb1 〜e8 に、具体的な配信先サーバS2 〜S23が割当てられて、配信経路が設定される(S105)。本実施の形態では、利用可能回線数の多いサーバを上位階層に配置するように設定される。
【0090】
上記配信経路モデル形成行程(S104)では、各サーバにおける利用可能回線数がすべて2回線であるとの仮定のもとに配信経路モデルを形成したが、図6に示すように、具体的なサーバを割り当てた上記配信経路では、第2階層のサーバS2 ,S3 の利用可能回線数が3回線であるため、これらサーバにおける回線が余っている。一方、第4階層のS11及びS13のサーバは、実際の利用可能回線が1回線である。このため、S11及びS13のサーバは、下位のサーバ対して、複数回の転送処理を行わなければならない。
【0091】
そこで、本実施の形態では、配信経路調整行程(107)を行うことにより、配信経路を最適化できるように構成している。たとえば、上記配信経路調整行程を行うかどうかは、配信経路モデルを形成するときに採用した条件と、各サーバを配置した配信経路における各サーバの個別特性とが、矛盾しないかどうかを検証することにより判定できる(S106)。
【0092】
実施の形態における上記配信経路調整行程(S107)は、S2 を含む配信経路と、S3 を含む配信経路を、サーバの個別特性に基づいて再調整する。具体的には、図7に示すように、S2 の余った回線19に、S9 以下のサーバを連結するとともに、S3 の余った回線20にS15以下のサーバを連結する。また、S18のサーバをS4 のサーバに連結するとともに、S20のサーバをS7 のサーバに連結して配信経路に再設定する。上記配信経路調整行程107を行うことにより、配信経路が最適化され、データの配信効率を高めることができる。上記配信経路調整行程は、種々の条件を設定して、配信経路モデルに配置された各個別サーバ特性に矛盾が生じないように、複数回の演算処理を繰り返すことによって達成することができる。上記演算処理は、b1 及びb2 を頂点とする各配信経路に配置されたサーバについて行えばよいため、対象となるサーバ数が少なくなり、短時間に最適な配信経路を見出すことができる。
【0093】
図8に示す配信経路モデルは、各サーバについて同時利用可能な平均回線数が2回線であるが、データ量が多いか、あるいは各サーバ間でのデータ転送速度が遅いため、配信元サーバが複数回の配信処理を行うように構成されたものである。
【0094】
すなわち、各サーバ間でのデータ転送時間が大きくなるため、図5に示す配信経路モデルでは、データ配信が完了するための時間が大きくなる。このため、配信元サーバaが、時間をずらせて複数の転送処理を行う複数のツリー構造を備える配信モデルを形成している。なお、本実施の形態においても、たとえば、上記個別サーバ特性ファイルに記述された各サーバのデータ転送速度を利用して、各配信経路における末端のサーバまでのデータ転送処理時間を計算し、配信経路調整行程を行って配信時間が短縮されるようにサーバの配置替えを行うことができる。
【0095】
なお、上記図5及び図8に示す配信経路モデルは、一例として挙げたものであり、上述したネットワーク特性、全体データ特性、配信されるデータの緊急性等によって、配信経路モデルを設定できるように構成することができる。
【0096】
配信経路を設定した後、管理データを生成する(S108)。本実施の形態に係る上記管理データは、上記のようにして配置されたサーバ名を含む配信経路情報、配信データ名及びデータ形式を含む配信データ特性等を記述して構成される。各中継サーバにおける下位のサーバに対するデータ配信作業は、上記管理データに基づいて実行される。
【0097】
次に、上記管理データに基づいて、最適化転送データが生成される(S109)。最適化転送データは、配信元サーバから、次順位のサーバに転送される転送データであり、上記管理データと各サーバに配信される配信データとを連結して構成される。なお、複数のサーバに同一のデータが配信される場合は、上記管理データを用いて転送されるデータの重複が排除される。生成された上記最適化転送データは、次順位のサーバに転送される。
【0098】
上記データ転送行程において、次順位のサーバに無事データが転送されかどうかが判断される(S111)。データ転送が成功しエラーが発生しなかった場合(S111でN)、転送結果情報が生成され、上位階層のサーバに上記転送結果情報が転送される(S112)。上記転送結果は、配信経路と逆の経路をたどって、配信元サーバまで伝達されるように構成されている。上記転送結果には、配信先サーバ名、配信データ名等の情報が含まれる。
【0099】
配信先サーバにおいて、上記最適化転送データから自己宛の配信データを読み出して、メモリ領域あるいはハードディスクに格納する。各ネットワークサーバSn は、配信データ取得手段4を用いて、各マイクロサーバmsn から上記配信データを取得する(S113)。
【0100】
次に、上記管理データに記述された配信経路情報から、次順位のサーバへの再転送の要否が判断される。再転送が不要な場合(S114でN)、当該配信経路における配信作業は終了する(S115)。
【0101】
次順位のサーバへの再転送が必要な場合(S114でY)、再転送データが生成される(S116)。上位のサーバから配信を受けたデータと下位のサーバへ配信するデータとが同一である場合には、転送データはそのまま下位のサーバへ再転送される。
【0102】
下位のサーバへ再転送する必要のないデータが含まれている場合、上記再転送データは、転送を受けたデータから下位のサーバへ配信不要な配信データを削除したものとなる。
【0103】
上記再転送データは、上述したと同様に、次順位のサーバに転送され(S117)、上述した手順が各階層のサーバにおいて実行されることにより、各配信経路におけるデータ配信が行われ、再転送が不要となるまで転送処理が繰り返される。
【0104】
転送エラーが発生した場合(S111でY)、配信結果情報としてエラー情報が生成される。上記エラー情報は、上述のように、配信経路と逆の経路をたどって、配信元サーバまで転送される(S118)。
【0105】
転送エラーが生じた場合、本実施の形態では、配信元サーバS1 において、エラーが生じたサーバより下位のサーバに対する配信経路を設定するように構成している。
【0106】
すなわち、上記配信元サーバ選択手段18によって、配信エラーが生じたサーバより下位の階層のサーバに対する再配信元となるサーバが選択される(S119)。上記再配信元サーバとして、自己S1 を選択することもできるし、エラーが生じたサーバより上位のサーバを選択することもできる。なお、データ転送が完了しているとともに、配信能力が高いサーバを選択するように構成するのが好ましい。
【0107】
エラーが生じたサーバより下位のサーバで構成されるネットワークの特性及び配信データ特性は、元のネットワーク特性及び配信データ特性と異なる。このため、選択された再配信元サーバにおいて、上述した一連の配信手順と同一手順のデータ配信の各行程が行われるように構成されている。
【0108】
上記構成によって、多数のサーバに対して、効率よくデータを配信できるとともに、配信エラーが生じた場合にも迅速に対応することが可能となる。
る。
【0109】
図10に、上記最適化転送データ生成手段14の構成の一例を示す。また、図11に最適化転送データ生成手段14によって、最適化転送データが生成される行程を模式的に示す。さらに、図12に最適化転送データ生成行程における、各行程の手順を示す。
【0110】
図10に示すように、本実施の形態では、上記最適化転送データ生成手段14を、データ整理手段141と、配信データ連結手段142と、データ圧縮手段143と、スクランブル処理手段144とを備えて構成している。そして、図12に示すように、最適化転送データ生成行程209において、上記各手段を用いて、データ整理行程S201、データ連結行程S202、データ圧縮行程S203及びスクランブル処理行程S204が行われる。上記各処理は、マイクロサーバ内のメモリ領域で行うのが好ましい。
【0111】
上記データ整理手段141は、配信データ選択手段が配信先サーバごとに配信データを注出した場合、重複する配信データを一つのデータに整理統合するものである。一つの配信データについての複数した送信先は、上記管理データに記録される。データを整理することにより、送信データ量を少なくすることができる。
【0112】
上記配信データ連結手段は142は、複数の配信データを連結して一体化し、一度の転送手続で配信できる転送データを生成するものである。たとえば、図11に示すように、上記各配信データ51〜55は、配信元サーバS1 のハードディスク内に独立したファイルの形式で保存されている。これらファイルを連結して一つの連結データ32にまとめることにより、一体化したデータを生成する(S202)。なお、各配信データ51〜55をバイナリデータとして認識し、これらバイナリデータを連結して一つのバイナリデータを生成するのが好ましい。その際、各配信データを認識して復元できる連結情報が、各配信データの特性等を記録した上記管理データ31に記録される。
【0113】
次に、本実施の形態では、データ圧縮手段143を用いて、上記連結データ32を圧縮して圧縮連結データ35を生成する。圧縮方法は限定されることはなく、上記連結データ32の特性等に応じて選択できるように構成するのか望ましい。また、配信先で上記圧縮連結データ35を解凍するための圧縮情報34が、上記圧縮連結データ35頭部に連結される。
【0114】
そして、上記管理データ31が、上記連結データ32の頭部に連結されて、一体化された圧縮転送データ33が生成される(S203)。配信データ及び管理データを一体化することにより、一度の転送手続でデータを送信することが可能となり、送信時間を短縮することができる。
【0115】
次に、上記圧縮転送データ33にスクランブル処理を施す(S204)。スクランブル処理を行う手法も特に限定されることはなく、既知の種々の手法を採用できる。実施の形態では、上記管理データ31と、上記圧縮情報34と、上記圧縮連結データ35の一部にスクランブル処理を施す。そして、これらデータの頭部にスクランブル情報37を付加して、本実施の形態に係る最適化転送データ36が生成される。上記スクランブルを解除するためのキーは、各配信先サーバにあらかじめ格納されている。
【0116】
通常、スクランブル処理を施すとデータ量が大幅に増加する。一方、本実施の形態では、連結処理及び圧縮処理を行った配信データにスクランブル処理を施しているため、配信データ量が大きく増加することはない。また、上記管理データ31、上記圧縮情報34及び上記圧縮連結データ35の一部にスクランブル処理を施すことにより、データ量及び処理時間を増加させることなく、スクランブル処理した最適化転送データ36を得ることができる。
【0117】
上記スクランブル処理を施すことにより、上記管理データ及び上記圧縮情報が隠蔽され、二重のロックが施された状態のデータを配信することができる。このため、情報セキュリティーが大幅に向上する。したがって、開放されたネットワークに本願発明に係る配信方法を適用することも可能となる。
【0118】
本願発明は、上述の実施の形態に限定されることはない。実施の形態では、特定のサーバS1 からデータを配信するように構成したが、どのサーバからもデータを配信することができる。
【0119】
また、配信経路モデルを形成するための条件、上記配信経路モデルに実際のサーバを配置する条件は、上述した実施の形態に限定されることはなく、種々の条件に適合した配信経路を設定できるように構成できる。
【0120】
また、実施の形態では、理解を容易にするため、一のデータ配信を行う場合について説明したが、本願発明では、同時に異なるサーバから、それぞれデータを配信することができる。
【0121】
また、配信経路を設定するための条件として、設定された各配信経路に沿うサーバの通信回線状況を検出する回線状況検出手段を設け、検出された通信回線状況に基づいて上記配信経路調整行程を行うこともできる。
【0122】
上記通信回線状況の検出は、配信元サーバが次順位に設定した配信先サーバに依頼して行うこともできる。
【0123】
また、実施の形態では、各サーバに対する配信結果情報は、配信元サーバが管理するように構成したが、配信元サーバで収集した配信結果情報を、ネットワークに属する全てのサーバに配信して共有することもできる。
【0124】
また、実施の形態では、最適化転送データ生成行程においてデータ圧縮行程及びスクランブル処理行程を設けたが、圧縮する必要のない場合やセキュリティの必要のない場合には、これらを省略できる。
【0125】
設け、各サーバのデータ配信状況を一元的に把握して、効率の高いデータ配信を行うように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明に係るデータ配信を行うネットワークの構成を模式的に示す図である。
【図2】データ配信を行うための各手段を示す図である。
【図3】本願発明に係るデータ配信を行う手順を示すフローチャートである。
【図4】本願発明に係るデータ配信を行う手順を示すフローチャートである。
【図5】配信経路モデルの一例を示す図である。
【図6】図5に示す配信経路モデルにサーバを割り当てた配信経路を示す図である。
【図7】図6に示す配信経路を調整して、再設定した配信経路を示す図である。
【図8】配信経路モデルの他の一例を示す図である。
【図9】図8の配信経路モデルにサーバを割り当てた配信経路を示す図である。
【図10】最適化転送データ生成手段の構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図10の最適化転送データ生成手段におけるデータの生成手順を模式的に示す図である。
【図12】最適化転送データ生成行程における各行程を示すフローチャートである。
【図13】本願発明の他の実施の形態を示す図である。

Claims (20)

  1. 複数のサーバを含んで構成されるネットワークにおいて、一のサーバから他の複数のサーバへ情報を配信する、ネットワークにおけるデータ配信方法であって、
    配信元サーバにおいて、選択された配信先サーバから構成されるネットワーク特性及びこれらサーバに配信される配信データの全体データ特性に基づいて、階層構造を有する配信経路モデルを形成する配信経路モデル形成行程と、
    配信元サーバにおいて、各配信先サーバの個別サーバ特性及び各配信先サーバに配信される配信データの個別データ特性に基づいて、上記配信経路モデルに上記配信先サーバを割り当てて、データ配信経路を設定する配信経路設定行程と、
    上記配信元サーバにおいて、上記全体データ特性、上記個別データ特性及び配信経路情報を含む管理データを生成する管理データ生成行程と、
    上記配信元サーバにおいて、上記データ配信経路、上記全体データ特性及び上記個別データ特性に応じて、配信データを最適化するとともに上記管理データと一体化して、最適化転送データを生成する最適化転送データ生成行程と、
    上記配信元サーバから、上記データ配信経路によって設定された次階層の配信先サーバに、上記最適化転送データを転送するデータ転送行程とを含む、ネットワークにおけるデータ配信方法。
  2. 上記配信経路設定行程において設定された各配信経路について、配信先サーバの上記個別サーバ特性又は/及び上記個別データ特性に応じて、各配信経路を最適化する配信経路調整行程を含む、請求項1に記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  3. 上記データ配信経路における中間階層の配信先サーバにおいて、
    配信された最適化転送データから自己宛の配信データを読み出して取得するデータ取得行程と、
    上記データ配信経路に沿う下位の配信先サーバに対する再転送データを生成する再転送データ生成行程と、
    上記再転送データを次順位のサーバに転送するデータ再転送行程とを含む、請求項1又は請求項2のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  4. 下位のサーバに対するデータ転送が行われた後、転送エラー情報を含むデータ転送結果情報を上位のサーバに順次転送することにより、上記データ転送結果情報をデータ配信経路と逆の経路をたどって配信元サーバまで転送する転送結果情報収集行程を含む、請求項1から請求項3のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  5. 上記データ転送行程及び/又は上記データ再転送行程において、複数の回線を開いて、同時に複数のサーバに対してデータが転送される、請求項1から請求項4のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  6. 上記データ転送行程及び/又は上記データ再転送行程において、複数の配信先サーバに対して順次データが転送される、請求項1から請求項5のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  7. 配信先サーバに対する転送エラーが発生した場合、転送エラーが発生したサーバより上位階層のサーバが、新たな配信経路を再設定するとともに、新たな配信経路に対する最適化転送データを再生成して再転送を行う、請求項1から請求項6のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  8. 上記新たな配信経路は、上記転送エラーが発生したサーバより上位階層のサーバを含んで構成される、請求項7に記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  9. 再設定された上記新たな配信経路に関する再配信経路情報を上位のサーバを介して配信元サーバまで伝達する、請求項7又は請求項8のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  10. 上記配信経路設定行程において、末端サーバまでの延べ配信データ量が最小となるように上記データ配信経路を設定する、請求項1から請求項9のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  11. 上記配信経路設定行程において、全サーバに対する総配信時間が最小となるように上記データ配信経路を設定する、請求項1から請求項9のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  12. 設定された各配信経路に沿うサーバの通信回線状況を検出する回線状況検出行程を含み、
    検出された通信回線状況に基づいて上記配信経路調整行程を行う、請求項1から請求項11のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  13. 上記回線状況検出行程は、配信元サーバが次順位に設定した配信先サーバに依頼して行う、請求項12に記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  14. 上記ネットワークにおいて、複数のデータ配信行程を同時に進行させる、請求項1から請求項13のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  15. 配信元サーバで収集した上記データ転送結果情報を、ネットワークに属する全てのサーバに配信して共有するとともに、上記ネットワークにおいて、複数のデータ配信工程を同時に進行させる、請求項4に記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  16. 配信元サーバで収集した上記データ転送結果情報を、特定の1のサーバで集中管理して上記配信経路設定行程に反映させるとともに、上記ネットワークにおいて、複数のデータ配信工程を同時に進行させる、請求項4に記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  17. 上記最適化転送データ生成行程において、
    上記複数の配信データを一体化して連結データを生成するとともに、連結情報を上記管理データに記録するデータ連結行程を含み、
    上記管理データと、上記連結データとを一体化して最適化転送データを生成する、請求項1から請求項16のいずれかに記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  18. 上記連結データを圧縮するとともに、圧縮情報を付加して圧縮転送データを生成するデータ圧縮行程と、
    上記圧縮転送データをスクランブル処理するとともに、スクランブル情報を付加するスクランブル処理行程を含む、請求項17に記載のネットワークにおけるデータ配信方法。
  19. 複数のサーバを含んで構成されるネットワークにおいて、一のサーバから他の複数のサーバへ情報を配信する、ネットワークにおけるデータ配信システムであって、
    選択された配信先サーバから構成されるネットワーク特性及びこれらサーバに配信される配信データの全体データ特性に基づいて、階層構造を有する配信経路モデルを形成する配信経路モデル形成手段と、
    各配信先サーバの個別サーバ特性及び各配信先サーバに配信される配信データの個別データ特性に基づいて、上記配信経路モデルに上記配信先サーバを割り当てて、データ配信経路を設定する配信経路設定手段と、
    上記全体データ特性、上記個別データ特性及び配信経路情報を含む管理データを生成する管理データ生成手段と、
    上記データ配信経路、上記全体データ特性及び上記個別データ特性に応じて、配信データを最適化するとともに上記管理データと一体化して、最適化転送データを生成する最適化転送データ生成手段と、
    上記データ配信経路によって設定された次階層の配信先サーバに、上記最適化転送データを転送するデータ転送手段とを含む、ネットワークにおけるデータ配信システム。
  20. 上記配信経路設定手段において設定された各配信経路について、配信先サーバの上記個別サーバ特性又は/及び上記個別データ特性に応じて、各配信経路を最適化する配信経路調整手段を含む、請求項19に記載のネットワークにおけるデータ配信システム。
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