JP4118325B2 - ウイルス採取具 - Google Patents

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Description

本発明は、ウイルスに感染した患者の呼気から前記ウイルスを採取するウイルス採取具に関する。
インフルエンザウイルス等の感染性ウイルスに感染した患者は、その疾病の経過中に、患者の体内で増殖した感染性ウイルスの一部を呼気又は鼻汁中に排出すると考えられている。特に、患者の呼気中に排出された感染性ウイルスは、空気中で粒子状(飛沫又は飛沫核)となって拡散するため、飛沫感染や空気感染の原因になると考えられる。
ところが、これまで、感染性ウイルスが空気感染や飛沫感染によって、人から人へと感染するという確実な証拠を掴むことはできなかった。これは、感染性ウイルスが一旦人体の内部から外部に呼出されると、粒子状(飛沫又は飛沫核)となって大気中に拡散するため、それらを捕捉することが困難となるからである。また、大気中に放出された感染性ウイルス粒子は、気温、湿度等の気象条件の変化、及び採取器具内の環境によって、容易に「感染性」が低下するため、結果として、感染ルートの証明も困難となる。
一方、採取対象が感染性ウイルス粒子とは異なるが、人体の呼気中の揮発性成分を採取するための装置が開発されている(例えば、特許文献1を参照)。
特許文献1の装置は、螺旋状に形成された捕集管と、この捕集管の滴下口に連結された回収びんと、これらを冷却する冷却容器とを備えた構成を有する。
特開平7−103974号公報(図1)
上記特許文献1の装置は、人が捕集管の端部から呼気を吹き込むと、呼気が捕集管を通過する最中に冷却され、呼気中に含まれる揮発性物質が呼気中の水蒸気とともに凝縮し、回収びんに溜まるようになっているが、ウイルスを採取することについては全く想定していない。
このため、特許文献1の装置をそのまま本願発明の用途に転用しても、十分な量のウイルスを検体として適切な状態で採取することはできない。
また、特許文献1の装置は、捕集管の螺旋部が嵩張るため装置全体が大型化し易い。さらに、螺旋部が複雑で長い管構造となっているため、凝縮した液体が螺旋部の内壁に残留し易いという問題もある。
このように、現状においては、患者の呼気からウイルスを直接採取し、検体に供するための医療器具は未だ開発されていない。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、患者の呼気中に含まれるウイルスを確実且つ簡便に採取し、これを診断又は研究用の検体として供することが可能なウイルス採取具を提供することにある。
本発明に係るウイルス採取具の特徴構成は、ウイルスに感染した患者の呼気から前記ウイルスを採取するウイルス採取具であって、本体に、前記患者の呼気を導入する呼気導入部と、前記患者の呼気に含まれる前記ウイルスを捕捉するトラップ部と、前記患者の呼気を含む気体成分を吸引する吸引部とを備え、前記呼気導入部は前記患者の呼気を圧縮及び膨張させることによって水蒸気を凝縮し、液化させるくびれ部を有し、前記トラップ部に前記くびれ部から排出される前記ウイルスを含んだ液体成分が導入されるウイルス分離培地を配置してあることにある。
呼吸器系ウイルスに感染した患者の呼気には、水蒸気及びウイルスが含まれると考えられている。また、このウイルスは、微粒子(飛沫又は飛沫核)となって空気中を浮遊すると考えられる。本構成のウイルス採取具では、患者の呼気に含まれるウイルスを採取するべく、本体の呼気導入部に患者の呼気を圧縮及び膨張させることによって水蒸気を凝縮し、液化させるくびれ部を設けている。患者の呼気がこのくびれ部を通過すると、当該呼気が減圧されて温度が低下する。その結果、呼気中の水蒸気が凝縮し、液化する。このとき、呼気に含まれるウイルスは凝縮した液体中に取り込まれる。
従って、呼気導入部に形成したくびれ部から排出されるウイルスを含んだ液体成分をトラップ部で捕捉することにより、患者の呼気に含まれるウイルスを簡便且つ確実に採取することができる。
また、トラップ部にはウイルス分離培地が配置されてあるので、トラップ部にくびれ部から排出されるウイルスを含んだ液体成分が導入されると、ウイルスとウイルス分離培地とが混合され、当該混合物を後の検査や研究用の検体として、ウイルスの感染性が保たれた状態で、そのまま利用することができる。
本発明に係るウイルス採取具において、液体浸透性を有する浸透布を、前記呼気導入部と前記トラップ部との間に亘って着脱可能に設けてあることが好ましい。
患者の呼気を凝縮し、液化して得られるウイルスを含んだ液体成分を検体として十分な量確保するためには、呼気導入部のくびれ部から排出される液体成分の略全量をトラップ部に導くことが望ましい。
そこで、本構成のウイルス採取具では、呼気導入部とトラップ部との間に亘って、液体浸透性を有する浸透布を着脱可能に設けている。これにより、ウイルスを含んだ液体成分はトラップ部に配置したウイルス分離培地へ確実に導かれる。
また、このような浸透布を設けることにより、液体成分(水分)の気化が促進される一方で、固体成分である粒子状のウイルスの飛散は防止される。
さらに、液体浸透性を有する浸透布は、上側からウイルスを含んだ液体成分が浸透すると同時に下側からウイルス分離培地が浸透するので、浸透布を介して両者が確実に接触する。従って、必要にして十分な時間をかけて吸引した後に浸透布を取り外し、浸透したウイルスを含む液体を遠心分離機等によって分離することにより、ウイルスとウイルス分離培地とが混合された良好な検体を得ることができる。
本発明に係るウイルス採取具において、前記トラップ部に、前記ウイルス分離培地を充填した貯留容器を着脱可能に設けてあることが好ましい。
ウイルスを含んだ液体成分は上方の呼気導入部のくびれ部から下方のトラップ部に向けて滴下されるため、トラップ部の側壁には液体成分が飛散等によって付着し易い。
そこで、本構成のウイルス採取具では、トラップ部に、ウイルス分離培地を充填した貯留容器を着脱可能に設けてある。これにより、トラップ部の側壁への液体成分の付着が防止され、ウイルスを含んだ液体成分は効率よく貯留容器に回収される。
また、検体を検査や研究に供する場合は、貯留容器をそのままトラップ部から取り外すだけでよいので、検体のロスを最小限にできるだけでなく、準備の手間が省ける。
本発明に係るウイルス採取具において、前記トラップ部を外部から冷却する冷却部を備えることが好ましい。
例えば、夏季等の高温多湿となる条件下においては、患者の呼気の凝縮効率が低下する場合がある。
しかし、本構成のウイルス採取具であれば、冷却部により呼気の温度をより低下させることができるため、患者の呼気中の水蒸気を、確実且つ十分に凝縮し、結露させ、ウイルスを含む液体をトラップ部に捕捉させることができる。
本発明のウイルス採取器に関する実施形態を図面に基づいて説明する。
ただし、本発明のウイルス採取装置は、以下に説明する実施形態や図面に記載される構成に限定されることを意図せず、それらと均等な構成も含む。
〔第1実施形態〕
図1は、本発明の第1実施形態によるウイルス採取具10を示す図である。図2は、患者がウイルス採取具10を実際に装着している状態を示す図である。
ウイルス採取具10の本体1は、本管1aと当該本管1aから側方に分岐する分岐管1bとを備える。本体1には、以下に説明する呼気導入部2、トラップ部3、及び吸引部4が設けられる。
呼気導入部2は、患者の呼気を導入する部位であり、本体1の本管1aの上方に設けられる。本実施形態では、呼気導入部2を本体1とは別体の鍔部2aを有する筒状部材2b及び導入口2cで形成し、これを本管1aの上部に差し込んで装着する構成としている。ただし、呼気導入部2を本体1に一体形成しても構わない。
ウイルス採取具10の使用状態においては、図2に示すように、呼気導入部2の導入口2cに、通気性の又は通気孔を有するマスクMを接続し、患者の呼気はマスクMを介して、周囲の大気とともに呼気導入部2に導入される。呼気導入部2のうち、患者の呼気が導入される導入口2cと反対側は、下方に向けて徐々に縮径したくびれ部2dを形成している。このようなくびれ部2dを有する呼気導入部2において、呼吸器系ウイルスに感染した患者の呼気を、後述する吸引部4に接続した吸引ポンプPを作動させて本体1の内部に導入すると、呼気はくびれ部2dの開口部手前で一旦圧縮され、その後直ちにくびれ部2dの開口部から放出されて減圧される。その結果、呼気の温度が低下して呼気中の水蒸気が凝縮し、液化する。このとき、呼気に含まれるウイルス(感染性ウイルス)は凝縮した液体中に取り込まれる。
トラップ部3は、患者の呼気に含まれるウイルスを捕捉する部位であり、本体1の本管1aの下方に設けられる。本実施形態では、トラップ部3を本体1に一体形成してある。ただし、トラップ部3を本体1に対して、例えば、ねじ込み式として着脱可能に構成しても構わない。
トラップ部3には、呼気導入部2のくびれ部2dから排出されるウイルスを含んだ液体成分が導入される。さらに、トラップ部3には、ウイルスの活性が損なわれ難いウイルス分離培地(Virus Isolation Medium;VIM)5が配置されている。このウイルス分離培地5は、例えば、1%のウシ血清アルブミン(Bovine Serum Albumin)、リン酸バッファ(Phosphate Buffered Saline;PBS)、及び雑菌や真菌を除去するための抗生物質等の混合物で構成される。
患者の呼気から採取したウイルスは、ウイルス分離培地5と混合されることにより、診断や研究等で用いる検体として、ウイルスの感染性が保たれた状態で、そのまま利用可能となる。従って、患者の呼気を凝縮して得られるウイルスを含んだ液体成分を検体として十分な量確保するためには、呼気導入部2のくびれ部2dから排出される液体成分の略全量をトラップ部3に導くことが望ましい。
そこで、本実施形態では、呼気導入部2とトラップ部3との間に亘って、液体浸透性を有する浸透布6を着脱可能に設けている。浸透布6は、例えば、円筒形に形成したガーゼを用いることができる。この場合、円筒形ガーゼの一端をくびれ部2dの開口部を覆うように呼気導入部2の側に装着し、他端をトラップ部3に溜められたウイルス分離培地5に浸漬させる。これにより、くびれ部2dから排出されたウイルスを含んだ液体成分は、浸透布6を上方から下方に浸透し、トラップ部3に配置したウイルス分離培地5へと確実に導かれる。また、ウイルスを含んだ液体成分は浸透布6をゆっくりと移動することにより液体成分(水分)の気化が促進されるため、気化熱による冷却効果も得られる。一方、固体成分である粒子状のウイルスは、凝縮した液体成分に確実に取り込まれるため、飛散が防止される。
また、浸透布6を用いれば、上側からウイルスを含んだ液体成分が浸透すると同時に下側からウイルス分離培地5を積極的に浸透させることもできる。この場合、浸透布6を介して、ウイルスを含んだ液体成分とウイルス分離培地5とが確実に接触する。従って、必要にして十分な時間をかけて吸引した後に浸透布6を取り外し、浸透布6に浸透したウイルスを含む液体を遠心分離機等によって分離することにより、ウイルスとウイルス分離培地5とが混合された良好な検体を得ることができる。
吸引部4は、患者の呼気を含む気体成分を吸引する部位であり、本体1の分岐部1bに設けられる。本実施形態では、吸引部4を本体1とは別体の鍔部4aを有する筒状部材4b及び吸引口4cで形成し、これを分岐管1bに差し込んで装着する構成としている。また、筒状部材4bの外径は分岐部1bの内径より十分小さくなるように構成され、さらに筒状部材4bの側面に複数の穴4dが設けられる。これにより、本体1の内部の気体は筒状部材4bの管軸方向に加えて側方からも通流し、吸引がスムーズに行われる。
また、筒状部材4bの底部を閉鎖し、側面のみに複数の穴4dを設けることも可能である。この場合、分岐部1bの内部に存在する気体の乱れが少なくなるとともに、気体成分のみを筒状部材4bの側方からゆっくりと通流させることができるため、患者の呼気に含まれる粒子状のウイルスは穴4dに吸引されず、トラップ部3に効率よく捕捉される。なお、吸引部4は本体1に一体形成しても構わない。
ウイルス採取具10の使用状態においては、図2に示すように、吸引部4の吸引口4cに吸引ポンプPが接続される。この吸引ポンプPを駆動させると、本体1の内部の気体(すなわち、患者の呼気を含む気体成分)を一定速度でウイルス採取具10の外部に排出することができる。ここで、吸引ポンプPの吸引量を患者の呼吸による呼気吐出量より大きくなるように設定しておく。その結果、患者はマスクMの中で通常の呼吸をするだけで、その呼気は吸引ポンプPの吸引量に応じて、周囲の大気とともに、呼気導入部2からウイルス採取具10の内部に適量導入される。
ところで、夏季等の高温多湿となる条件下においては、患者の呼気の凝縮効率が低下する場合がある。このような場合、図2に示すように、トラップ部3の外部に冷却部7を設けることが有効である。
本実施形態の場合、冷却部7は、トラップ部3を下方から全体を覆うことができる程度の大きさを有する容器に、冷媒として約−20℃に冷却した飽和食塩水を入れたものとして構成される。冷媒には、上記飽和食塩水の他にもポリエチレングリコール等の保冷剤を使用することもできる。
このような冷却部7を設けることにより、本体1の内部に導入される呼気の温度をさらに低下させることができる。その結果、患者の呼気中の水蒸気を、確実且つ十分に凝縮し、結露させ、ウイルスを含む液体をトラップ部3に捕捉させることができる。
<実施例>
次に、第1実施形態によるウイルス採取具10を用いて、検査用の検体を採取した実施例について説明する。
本実施例では、図2に示す態様で患者にウイルス採取具10を装着し、得られた検体の量を計測した。具体的には、ウイルス採取具10に室内の空気を導入したときに得られたウイルス分離培地5の容積(ブランク試験)と、患者の呼気を導入したときに得られたウイルス分離培地5の容積(ウイルス採取試験)とを比較し、採取した検体の量を求めた。試験条件は以下のとおりである。
(試験条件)
・試験時間:10分
・初期のウイルス分離培地の量:3ml
・初期のトラップ部の温度:25℃
・試験中の室温:25℃(一定)
・試験中のポンプ吸引量:20リットル/分(一定)
ブランク試験において、10分後のウイルス分離培地5の量は、当初の3mlから2mlに減少した。これは、ブランク試験中にウイルス分離培地5に含まれる水分が気化し、気化熱とともに、吸引ポンプPによって外部に排出されたためと考えられる。そして、1分後より、トラップ部3の温度は、当初の25℃から10℃に低下した。
一方、ウイルス採取試験において、10分後のウイルス分離培地5の量は2.5mlであり、ブランク試験よりもウイルス分離培地5の減少量は少なかった。また、1分後より、トラップ部3の温度はブランク試験と同様に10℃まで低下した。
これらの結果から、本発明のウイルス採取具10を使用すると、ウイルスに感染した患者が呼吸を行うだけで、2.5ml−2.0ml=0.5mlのウイルスを含んだ呼気の液体成分を、10分程度で採取できると考えられる。この量は、インフルエンザウイルス等の呼吸器系ウイルスを検出するためには十分な量である。
次に、実際のインフルエンザウイルスを用いた試験として、インフルエンザウイルスの個体数が概ね分かっている患者の鼻汁を利用した試験を以下のように行った。
インフルエンザウイルスに感染している患者の鼻汁(ウイルス数:約10個/ml)を生理食塩水で10−1〜10−4倍に希釈し、これらの希釈サンプルを超音波霧化機で霧化させたものを、本発明のウイルス採取具10を用いて液化し、検体を生成できるかを確認した。
結果は、何れの濃度の希釈サンプルも、呼気導入部2のくびれ部2dを通過する際に凝縮して液化され、ウイルス分離培地5と混合されて所定の検体を生成することができた。
因みに、ウイルス採取具10によって得られた検体によるインフルエンザウイルスの確認は、例えば、以下の手順によって行われる。
(1)インフルエンザウイルスの宿主細胞として、フラスコに単層培養したMDCK(Madin−Darby Canine Kidney)細胞に、検体(感染性ウイルスを含んだ液体成分とウイルス分離培地5との混合物)を接種する。
(2)フラスコをCOインキュベータに投入し、約37℃で、約90分間インキュベートする(細胞への吸着)。
(3)COインキュベータからフラスコを取り出し、フラスコ中の液体成分を捨てる。
(4)接種後のMDCK細胞を、抗生物質を含ませたリン酸バッファで洗浄する。
(5)洗浄したMDCK細胞を、検査用培地で培養する。
(6)インフルエンザウイルスが十分量存在する場合、ウイルスは細胞内で増殖し、特有の細胞変性効果(ウイルスに感染した細胞が浮き上がった状態)が1週間以内に発現する。
このように、本実施形態のウイルス採取具10を用いれば、患者の呼気に含まれるウイルスを簡便且つ確実に採取し、ウイルスの感染性が保たれた状態で、ウイルスの検出検査に利用することができる。すなわち、呼気中のウイルスの存在を証明することが可能になる。
〔第2実施形態〕
図3は、本発明の第2実施形態によるウイルス採取具20の正面図である。なお、この第2実施形態のウイルス採取具20において、第1実施形態のウイルス採取具10と同様の構成については、同じ参照符号を付して詳細な説明を省略する。
本実施形態のウイルス採取具20では、トラップ部3に、ウイルス分離培地5を充填した貯留容器8を着脱可能に設けてある。
本実施形態では、ウイルスを含んだ液体成分は、上方の呼気導入部2のくびれ部2dから下方のトラップ部3に向けて滴下され、トラップ部3に設けたウイルス分離培地5を充填した貯留容器8に入る。このため、トラップ部3の側壁への液体成分の付着が防止され、ウイルスを含んだ液体成分は効率よく貯留容器8に回収される。
また、貯留容器8はトラップ部3に対して着脱可能に設けてあるので、検体を検査や研究に供する場合は、貯留容器8をそのままトラップ部3から取り外すだけでよい。従って、検体のロスを最小限にできるだけでなく、準備の手間が省ける。
ところで、本実施形態では、図3に示すように、貯留容器8をトラップ部3の形状に合わせた試験管型の容器としているが、貯留容器8としては任意のものを使用することができる。例えば、後の検査で使用する分析装置のサンプル容器をそのまま貯留容器8として利用することも可能である。
また、トラップ部3の底部を取り外し可能とし、この底部を貯留容器8としても構わない。
なお、この第2実施形態で説明したトラップ部3に貯留容器8を着脱可能に設ける構成を、先に説明した第1実施形態に適用することも勿論可能である。
〔別実施形態〕
ウイルスに感染した患者の呼気には、ウイルスを含む飛沫の他に、痰や唾液等の異物が含まれている場合がある。また、呼気中のウイルスも種類によってサイズが異なる。
そこで、目的のウイルスを精度よく採取するために、上記第1実施形態のウイルス採取具10、又は上記第2実施形態のウイルス採取具20において、呼気導入部2の導入口2cにプレフィルタを設けることも有効である。この場合、プレフィルタのポアサイズは、目的のウイルス(飛沫)は通過させるが、それより大きい物体は略遮断できるものを採用する。
また、プレフィルタとして、飛沫核を通過させるが飛沫は遮断するポアサイズのものを採用することもできる。この場合、例えば、プレフィルタを装着したウイルス採取具10,20を病室内に静置し、吸引ポンプPを作動させる。その結果、空気中に浮遊する飛沫核がプレフィルタを通過して採取されれば、ウイルスが空気感染するという一定の証拠を得ることができる。
本発明の第1実施形態によるウイルス採取具を示す図 患者がウイルス採取具を実際に装着している状態を示す図 本発明の第2実施形態によるウイルス採取具を示す図
符号の説明
1 本体
2 呼気導入部
2d くびれ部
3 トラップ部
4 吸引部
5 ウイルス分離培地
6 浸透布
7 冷却部
8 貯留容器
10 ウイルス採取具
20 ウイルス採取具

Claims (4)

  1. ウイルスに感染した患者の呼気から前記ウイルスを採取するウイルス採取具であって、
    本体に、
    前記患者の呼気を導入する呼気導入部と、
    前記患者の呼気に含まれる前記ウイルスを捕捉するトラップ部と、
    前記患者の呼気を含む気体成分を吸引する吸引部とを備え、
    前記呼気導入部は前記患者の呼気を圧縮及び膨張させることによって水蒸気を凝縮し、液化させるくびれ部を有し、前記トラップ部に前記くびれ部から排出される前記ウイルスを含んだ液体成分が導入されるウイルス分離培地を配置してあるウイルス採取具。
  2. 液体浸透性を有する浸透布を、前記呼気導入部と前記トラップ部との間に亘って着脱可能に設けてある請求項1に記載のウイルス採取具。
  3. 前記トラップ部に、前記ウイルス分離培地を充填した貯留容器を着脱可能に設けてある請求項1又は2に記載のウイルス採取具。
  4. 前記トラップ部を外部から冷却する冷却部を備えた請求項1〜3の何れか一項に記載のウイルス採取具。
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