JP4117035B2 - 難燃性流動体 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は難燃性流動体に関し、さらに詳しくは、高温に曝されると不活性ガスを放出して火災の発生を防止する上、水分管理が不要で、かつ取扱いや廃液処理が容易であって、例えば潤滑油,作動油,切削油,洗浄油,加工油,熱処理油,グリースなどとして好適に用いられる難燃性流動体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、産業界は火災防止の目的のために、消防法により規制を受けている。例えば多くの潤滑油類が危険物第4類として分類され、その取扱い場所に相応した取扱い方法が厳密に規定されている。また、消防署は各建築物に対し、潤滑油類は難燃性のものを使用するように指導を行っている。
そのため、難燃性油として、例えば塩素系油,フッ素系油,リン酸エステル油,脂肪酸エステル油,含水系油などが開発されている。これらの中で、一部のハロゲン系油及び含水系油は、消防法による第4類の引火点測定試験において、引火点をもたず、消防法の規制対象外の非危険物に相当する。特に含水系油は、火災に対する安全性が高く、規制に対しての付帯設備も不要なことから、その需要が増加している。
含水系油ではエマルションタイプのWO系(乳化系,可溶化系)やOW系、水グリコール系に大別されるが、これらに共通する問題点は、潤滑性能と水分の蒸発である。すなわち、水を含有するため、潤滑性が低下するのを免れず、また水分が蒸発した後は、難燃性油でもないただの危険物となる。したがって、水分の管理が必要となり、それに余分な手間やコストが費やされることになる。
また、水グリコール系は廃水中のCOD(化学的酸素要求量)が多く、したがって廃液処理に多大なコストを要するなどの問題も有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、高温に曝されると不活性ガスを放出して火災の発生を防止する上、水分管理が不要で、かつ取扱いや廃液処理が容易な難燃性流動体を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記の好ましい性質を有する難燃性流動体を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、発泡性物質、特に有利には基油と発泡性物質を含有し、高温に曝されると該発泡性物質が分解または蒸発して不活性ガスを発生する液体状又は半固体状の流動体がその目的に適合しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、発泡時に不活性ガスを発生する発泡性物質を含有することを特徴とする液体状又は半固体状の難燃性流動体を提供するものである。
また、本発明の特に好ましい態様は、基油及び発泡時に不活性ガスを発生する発泡性物質を含有してなる液体状又はグリースなどの半固体状の難燃性流動体である。
本発明の難燃性流動体は、発泡性物質を含有するものであって、その性状は液体状,半固体状のいずれであってもよい。また、この流動体の発泡開始温度は、使用温度より高く、好ましくは10℃、さらに好ましくは20℃以上高く、かつ該流動体中の可燃成分が示す引火点より低い温度、好ましくは10℃、さらに好ましくは20℃以上低い温度であることが望ましい。発泡開始温度が使用温度に近いと使用中に発泡性物質の分解が生じるおそれがあり、万一の場合に発泡ガスによる着火防止機能が充分に発揮されないことがある。また、発泡開始温度が該流動体中の可燃成分が示す引火点以上では、万一の場合に発泡するより先に引火する恐れがあるので、本発明の目的が充分に達せられない。なお、本明細書でいう「使用温度」とは、潤滑油等を正常に使用する場合における変動幅をも含めた最高油温を指称し、例えば作動油では油圧ポンプ吐出口油温などを意味する。
本発明において液体状の流動体にあっては、その100℃における動粘度は、特に制限はないが、一般には1〜50cSt、好ましくは1〜30cStである。
【0005】
本発明の難燃性流動体においては、発泡性物質それ自体が、液体状又は半固体状の流動体であれば、用途によっては基油を併用しなくてもよい場合がある。このような液体状又は半固体状の発泡性物質としては、例えば一般の発泡剤(多くの場合は固体である)に、アルキル化などの修飾を施したものなどが挙げられる。また、このものは、熱分解温度が、危険物第5類に該当しないものが望ましい。
本発明の難燃性流動体においては、特に基油と発泡性物質とを含有するものが好適である。この際、基油としては、発泡性物質を溶解又は均質に分散させうる水以外の液体状又は半固体状物質が用いられる。この基油としては、例えば一般の鉱油,溶剤,合成潤滑油などが挙げられる。合成潤滑油の例としては、ポリα−オレフィン(PAO)系油,ポリアルキレングリコール(PAG)系油,リン酸エステル系油,シリコーン系油,ケイ酸エステル系油,アルキル芳香族系油,炭酸エステル系油,カーバメート系油,脂肪酸エステル系油(モノ,ジエステル,ポリオールエステル,アルキル若しくはアラルキルエステル系油など),含窒素系油,含ハロゲン系油などが挙げられる。この基油としては、取扱いやその他の点から、C,H,O,N程度の元素で構成されているものが好適である。このような基油の好ましいものの例としては、トリメチロールプロパンとオレイン酸,イソステアリン酸又はイソオクチル酸とのモノ−,ジ−,トリ−エステル、ペンタエリスリトールとヘキサン酸又は3,5,5−トリメチルヘキサン酸とのモノ−,ジ−,トリ−,テトラ−エステル、ジペンタエリスリトールとヘキサン酸又はノナン酸とのモノ−,ジ−,トリ−,テトラ−,ペンタ−,ヘキサ−エステル、これらの混合物などが挙げられる。これらの基油は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0006】
本発明の難燃性流動体において用いられる発泡性物質としては、発泡時に不活性ガスを発生し、かつ発泡開始温度が流動体中の可燃成分が示す引火点より低いものであればよく、特に制限されず、様々なものを用いることができる。なお、発生する不活性ガスとしては、例えば窒素,二酸化炭素,水蒸気などが好ましい。このような発泡性物質としては、例えばトリアジン系化合物,ヒドラジン系化合物,テトラゾール系化合物,アゾ系化合物,ハロゲン系(不燃性)溶剤,無機系発泡剤及び結晶水を含む化合物などが挙げられる。
上記トリアジン系化合物としては、例えばトリヒドラジノトリアジンなどが、ヒドラジン系化合物としては、例えばp,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド),p−トルエンスルホニルヒドラジド,p−トルエンスルホニルセミカルバジドなどが挙げられる。また、テトラゾール系化合物としては、一般式(II),(III)及び(IV)
【0007】
【化5】
Figure 0004117035
【0008】
で表される化合物を好ましく挙げることができる。
上記一般式(II)におけるAは直接結合又は炭素数1〜22の二価の炭化水素基を示す。ここで、炭素数1〜22の二価の炭化水素基としては、例えば炭素数1〜22のアルキレン基,炭素数2〜22のアルケニレン基,炭素数6〜22のアリーレン基,炭素数7〜22のアルキルアリーレン基又は炭素数7〜22のアラルキレン基などが挙げられる。このようなものの例としては、メチレン基,エチレン基,プロピレン基,ビニレン基,フェニレン基,トリレン基,ベンジレン基などが挙げられる。また、一般式(II)におけるR1 及びR2 は、それぞれ水素原子,炭素数1〜22の炭素水素基又は−CH(R3 )NR4 5 (R3 ,R4 及びR5 は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよいが、R4 とR5 は同時に水素原子ではなく、またR4 とR5 はたがいに結合して環構造を形成していてもよい。)を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。
【0009】
一般式(III)におけるR6 は水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基、R7 は水素原子,炭素数1〜22の炭化水素基又は−CH(R8 )NR9 10(R8 ,R9 及びR10は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよいが、R6 とR8 およびR9 とR10は同時に水素原子ではなく、またR9 とR10はたがいに結合して環構造を形成してもよい。)を示し、R6 とR7 はたがいに結合して環構造を形成していてもよい。さらに、一般式(IV)におけるR11〜R15は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。
上記一般式(II)〜(IV)において、炭素数1〜22炭化水素基としては、例えば炭素数1〜22のアルキル基,炭素数2〜22のアルケニル基,炭素数6〜22のアリール基,炭素数7〜22のアルキルアリール基又は炭素数7〜22のアラルキル基などが挙げられる。このようなものの例としては、メチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,sec−ブチル基,t−ブチル基,ペンチル基,ヘキシル基,オクチル基,シクロヘキシル基,ビニル基,アリル基,フェニル基,トリル基,ベンジル基などが挙げられる。
【0010】
上記一般式(II)で表される化合物としては、例えば5,5’−ビス−1H−テトラゾール;1,1’−ジメチル−5,5’−ビス−1H−テトラゾール;1,1’−ジイソオクチル−5,5’−ビス−1H−テトラゾールなどが、一般式(III)で表される化合物としては、例えばテトラゾール,1−フェニル−1H−テトラゾール,5−フェニル−1H−テトラゾール,1−(2−エチルヘキシル)1H−テトラゾール,1−オレイル−5−メチル−1H−テトラゾールなどが、一般式(IV)で表される化合物としては、例えばN,N−ビス〔(1−テトラゾリル)メチル〕−N−(5−テトゾリル)アミンなどが挙げられる。
次に、アゾ系化合物としては、例えばアゾビスイソブチルニトリル,アゾジカルボン酸バリウム及び一般式(V)
【0011】
【化6】
Figure 0004117035
【0012】
で表されるアゾジカルボンアミド類などが挙げられる。上記一般式(V)において、R16〜R19は、それぞれ水素原子又は炭素数1〜22の炭化水素基を示し、それらはたがいに同一でも異なっていてもよく、またたがいに結合して環構造を形成していてもよい。ここで、炭素数1〜22の炭化水素基は、前記一般式(II)〜(IV)のテトラゾール系化合物において説明したものと同じである。この一般式(V)で表される化合物の例としては、アゾジカルボンアミドなどが挙げられる。
また、ハロゲン系溶剤としては、例えばHCFC123(1,1−ジクロロ−2,2,2−トリフルオロエタン),HCFC141b(1,1−ジクロロ−1−フルオロエタン),HFC338(オクタフルオロブタン),HFC347(ヘプタフルオロブタン),HCFC225(ジクロロペンタフルオロプロパン),オクタフルオロペンタノール,ドデカフルオロヘプタノール,ヘキサデカフルオロノナノール,テトラフルオロ−1,2−ジヨードエタン,オクタフルオロ−1,4,−ジヨードブタン,パーフルオロブチルヨーダイド,パーフルオロヘプチルヨーダイド,オクタフルオロペンチルヨーダイドなどが挙げられる。
さらに、無機系発泡剤としては、例えば炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,リン酸アンモニウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素アンモニウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,アジ化ナトリウムなどが挙げられ、結晶水を含む化合物としては、例えば5,5’−ビス−1H−テトラゾール2水和物などが挙げられる。
これらの発泡性物質の中で、難燃性流動体調製の際の取扱いの安全性及び効果などの面から、特に前記一般式(II)〜(IV)で表されるテトラゾール系化合物,一般式(V)で表されるアゾジカルボンアミド類,ハロゲン系溶剤及び無機系発泡剤(特に炭酸水素ナトリウム,炭酸水素カリウム,リン酸アンモニウム,炭酸アンモニウム,炭酸水素アンモニウム,炭酸ナトリウム,炭酸カリウム)が好適である。これらの発泡性物質は一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0013】
本発明の難燃性流動体における上記発泡性物質の添加量は、その種類により異なるが、発泡の程度は危険物第5類に該当しない程度に抑えるのが望ましい。この危険物第5類に該当しない量は熱分析試験の結果より逆算することができる。すなわち、消防法に規定された方法によると、基準物質として、2,4−ジニトロトルエンと過酸化ベンゾイルを用い、それぞれの発熱量に0.7及び0.8を乗じたものの対数及びそれぞれの発熱開始温度から25℃を減じたものの対数をとり、前者を縦軸、後者を横軸としてそれぞれプロットする。次に試料の発熱量の対数と、発熱開始温度から25℃を減じたものの対数をとり、そのプロットが、基準物質の点を結んだ線上あるいはそれ以上の領域にあれば、危険物第5類に該当することになる。したがって、発熱レベルがそれより少なければ、熱分析においては、第5類に該当しないことになる。基準物質の値は決まっているので、式
logQ<0.6679×log(T0 −25)+1.132
が導かれる。ここでQは総発熱量(cal/g)、T0 は発熱開始温度(℃)である。発泡性物質以外の発熱量は、発泡性物質に対して無視しうる量であると仮定すると、発泡性物質の添加量は式
Q=Q0 ×W×10-2
より逆算できる。ここで、Q0 は発泡性物質の発熱量,Wは発泡性物質の添加量(重量%)である。すなわち、本発明の難燃性流動体は、式(VI)
log(Q0 ×W×10-2)<0.6679×log(T0 −25)+1.132・・・(VI)
の関係を満たすのが望ましい。発泡性物質の分解が激しいものは添加量を抑え、発生ガス量の少ないものは適宜添加量を増加すればよく、また、新たに発泡性物質を加え、発泡を調節することもできる。
【0014】
さらに、本発明の難燃性流動体においては、式(I)
発生不活性ガスの理論平均モル数/全発生ガスの理論平均モル数≧0.3・・・(I)
の関係を満たすのが望ましい。上記式(I)において、発生不活性ガスの理論平均モル数とは、難燃性流動体に含まれる発泡性物質が完全に分解あるいは蒸発した場合の不活性ガスの発生モル数を表す。例えば1モルの発泡性物質から2モルの不活性ガスが放出される場合は、発生不活性ガス理論平均モル数は2モルとして計算する。また、不燃性溶剤の場合には、その重量を分子量で除した値が発生不活性ガス理論平均モル数となる。一方、全発生ガスの理論平均モル数とは、難燃性流動体中の発泡性物質以外の成分が完全に蒸発したと仮定した場合のモル数と、発泡性物質が分解又は蒸発して生じたガス(不活性ガス+それ以外のガス)のモル数との和を表す。すなわち本発明においては、全発生ガス中に不活性ガスが30モル%以上含まれるのが望ましく、これにより引火しにくくなる。
また、本発明の難燃性流動体においては、水分(結晶水も含む)含有量は5重量%以下であるのが望ましい。この水分含有量が5重量%を超えると該流動体は潤滑性などの所望の性能が充分に発揮されない場合があり、好ましくない。したがって、発泡性物質として、結晶水を含む化合物を用いる場合には、流動体中の水分(結晶水も含む)が5重量%以下になるように添加するのが有利である。
【0015】
本発明の難燃性流動体においては、発泡性物質を溶解又は均質に分散させるために、必要に応じて界面活性剤や分散剤を添加することができる。ここで、界面活性剤としては、例えば脂肪酸石鹸,ナフテン酸石鹸,長鎖アルコール硫酸エステル塩,第二級アルコール硫酸エステル塩,脂肪酸エチレングリコシド硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル硫酸エステル塩,脂肪酸多価アルコール硫酸エステル塩.脂肪酸アルキル硫酸エステル塩,脂肪酸アミド硫酸エステル塩,脂肪酸モノアルカノールアミド硫酸エステル塩,アルカンスルホン酸塩,石油スルホン酸塩,スルホ脂肪酸塩,モノ又はジアルキルスルホコハク酸塩,アルキルナフタレンスルホン酸塩.アルキルフェノールスルホン酸塩などの陰イオン性界面性剤,長鎖第一アミン塩,アルキル−ジ又はトリメチルアンモニウム塩,アルキルピリジニウム硫酸塩,脂肪酸ポリエチレンポリアミド,脂肪酸トリエタノールアミン,アルキルイミダゾリン,ポリオキシエチレンアルキルアミン,N−アルキルプロピレンジアミン,長鎖アミンオキシドなどの陽イオン性界面活性剤,アルキルベタイン,N−アルキルタウリン塩などの両性界面活性剤,ポリオキシエチレンアルキルエーテル,ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル,ポリオキシエチレン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル,ポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル,多価アルコール脂肪酸エステルなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0016】
また、分散剤としては、例えばスルホネート,フェネート,サリシレート,ホスホネートなどの金属系,コハク酸イミド,ベンジルアミン,コハク酸エステル,共重合系ポリマーなどの無灰系化合物などを用いることができる。
また、本発明の難燃性流動体には、使用目的に応じて、酸化防止剤,極圧剤,防錆剤,粘度指数向上剤などの添加剤を適宜加えてもよい。
上記酸化防止剤としては、例えば2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール;4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール);2,2' −メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール);ペンタエリスリトールテトラキス〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕;ペンタエリスリトールテトラキス(β−ラウリルチオプロピオネート);2,2' −チオビス〔エチル3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕;2,4−ビス(オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルアニリノ)−1,3,5−トリアジンなどのフェノール系酸化防止剤,フェニル−1−ナフチルアミン,フェニル−2−ナフチルアミン,フェノチアジン,モノオクチルジフェニルアミンなどのアミン系酸化防止剤、アルキルジスルフィド,ベンゾチアゾールなどの硫黄系酸化防止剤、さらにはジアルキルジチオリン酸亜鉛などが挙げられる。
【0017】
また、極圧剤としては、例えばジアルキルジチオリン酸亜鉛,ジアルキルポリスルフィド,トリアリールホスフェート,トリアルキルホスフェートなどが、防錆剤としては、例えばアルキル若しくはアルケニルコハク酸,ソルビタンモノオレエート,ペンタエリスリトールモノ又はジオレエート,アミンホスフェート,ベンゾトリアゾールなどが、粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート,オレフィン系共重合体(例えばエチレン−プロピレン系共重合体など),スチレン系共重合体(例えばスチレン−ジエン水素化共重合体など)などが挙げられる。
【0018】
本発明の難燃性流動体は、通常の使用条件では全く従来通りの機能を果たし、また、火災時のような万一高温に曝された場合、不活性ガスを発生し、着火するのを防ぐとともに、着火した場合でも、その不活性ガスのために、容易に自己消火する機能を有している。さらに、実質的に水を用いていないため、含水系油のように水分の管理に手間をとられることがなく、かつ潤滑性能などもよい上、廃水処理も容易である。
本発明の難燃性流動体は、例えば潤滑油,作動油,切削油,加工油,洗浄油,熱処理油,電気絶縁油,グリースなどとして好適に用いられる。
【0019】
【実施例】
次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定されるものではない。
なお、流動体については、消防法の危険物第5類確認試験方法に準拠し、以下に示す方法で熱分析試験及び圧力容器試験を行うとともに、燃焼性確認試験を行った。
(1)熱分析試験
示差走査熱量計を用い、2種類の基準物質(2,4−ジニトロトルエン,過酸化ベンゾイル)の発熱開始温度及び発熱量を求めた。なお、昇温速度は毎分10℃とした。それぞれの発熱開始温度から25℃を減じた値の対数をとり(横軸)、それに対して発熱量(2,4−ジニトロトルエンについては0.7を乗じた値,過酸化ベンゾイルについては0.8を乗じた値)の対数(縦軸)をプロットして、基準線を作成した。次に、試料の発熱開始温度及び発熱量を測定し、発熱開始温度から25℃を減じた値の対数及び発熱量の対数を求めてプロットし、基準線より下になるものを危険性なしと測定した。
【0020】
(2)圧力容器試験
上部開放のアルミニウム製試料容器(内径約30mm,高さ約50mm,厚さ約0.4mm)に測定試料5gを入れてアルミニウム製破裂板(破裂圧力6kgf/cm2 )をセットし、これを、内容積200cm3 のステンレス鋼製圧力容器に厚さ2mm,細孔径1.0mmのオリフィス板を取り付けた装置に入れ、加熱、測定を行った。10回測定中、5回以上破裂したものを危険性ありと判定した。
(3)燃焼性確認試験
内径50mm,深さ5mmの磁性蒸発皿に、試料6ミリリットルを入れ、45度の角度からバーナーの炎を当てた。バーナーはガストーチ(LPG燃料,炎温度1900℃)を用い、炎の長さは10cmに統一し、先端の1cmが液面の中央に当たるようにした。
液面に炎を当ててから、着火するまでの時間及び着火後5秒間炎を当て続け、その後、炎を取り去った後の継続燃焼する時間を測定した。着火に要する時間が15秒以上伸びたのを引火しにくいものと判定し、また継続燃焼時間が5秒以内のものを、自己消火性ありと判定した。
【0021】
また、各成分の記号の意味は次のとおりである。
PEG(#400):ポリエチレングリコール(#400)
PE−1:トリメチロールプロパン(ジ,トリ)(オレエート,イソステアリート)混合物
PE−2:ペンタエリスリトールテトラ(ヘキサノエート,3,5,5−トリメチルヘキサノエート)混合物
PE−3:ジペンタエリスリトールヘキサ(ヘキサノエート,ノナノエート)混合物
PE−4:トリメチロールプロパントリ(イソオクチレート,イソステアレート)混合物
Tween85:ソルビタントリオレエートポリオキシエチレンエーテル
(エチレンオキシド平均付加モル数20)
PEGMOE(7):ポリエチレングリコールモノオレイルエーテル
(エチレンオキシド平均付加モル数7)
POESTO(30):ポリオキシエチレンソルビットテトラオレエート
(エチレンオキシド平均付加モル数30)
Span20:ソルビタンモノラウレート
PEGNPE(15):ポリエチレングリコールノニルフェニルエーテル
(エチレンオキシド平均付加モル数15)
SDOSS:ジイソオクチルスルホコハク酸ナトリウム
(2.5重量%含水)
BHT:5,5’−ビス−1H−テトラゾール
BHT・2H2 O:BHT・2水和物
1PHT:1−フェニル−1H−テトラゾール
P5T:5−フェニル−1H−テトラゾール
1EHT:1−(2−エチルヘキシル)−1H−テトラゾール
1EH5MT:1−(2−エチルヘキシル)−5−メチル−1H−テトラゾール
1OLT:1−オレイル−1H−テトラゾール
1OL5MT:1−オレイル−5−メチル−1H−テトラゾール
ADCA:アゾジカルボンアミド
OBSH:p,p’−オキシビス(ベンゼンスルホニルヒドラジド)
HCFC225:ジクロロペンタフルオロプロパン
8F5OH:オクタフルオロペンタノール
12F7OH:ドデカフルオロヘプタノール
16F9OH:ヘキサデカフルオロノナノール
C2F4I2:テトラフルオロ−1,2−ジヨードエタン
実施例1〜8
基油として、ポリエチレングリコール#400〔PEG(#400)〕を用い、第1表に示す配合組成の難燃性流動体を調製し、その性能を評価した。結果を第2表に示す。
【0022】
【表1】
Figure 0004117035
【0023】
【表2】
Figure 0004117035
【0024】
注1)不活性ガス(モル%)=(発生不活性ガスの理論平均モル数/全発生ガスの理論平均モル数)×100
本発明の流動体は、いずれも難燃性を向上させるのに効果があることが分かる。
実施例9〜26
基油として、トリメチロールプロパン(ジ,トリ)(オレエート,イソステアレート)(PE−1)を用い、第3表に示す配合組成の難燃性流動体を調製し、その性能を評価した。結果を第4表に示す。
【0025】
【表3】
Figure 0004117035
【0026】
【表4】
Figure 0004117035
【0027】
注1)第2表の脚注と同じ。
本発明の流動体は、いずれも難燃性を向上させるのに効果があることが分かる。
実施例27〜36
基油として、ペンタエリスリトールテトラ(ヘキサノエート,3,5,5−トリメチルヘキサノエート)(PE−2)を用い、第5表に示す配合組成の難燃性流動体を調製し、その性能を評価した。結果を第6表に示す。
【0028】
【表5】
Figure 0004117035
【0029】
【表6】
Figure 0004117035
【0030】
注1)第2表の脚注と同じ。
本発明の流動体は、いずれも難燃性を向上させるのに効果があることが分かる。
実施例37〜42
基油として、ジペンタエリスリトールヘキサ(ヘキサノエート,ノナノエート)(PE−3)を用い、第7表に示す配合組成の難燃性流動体を調製し、その性能を評価した。結果を第8表に示す。
【0031】
【表7】
Figure 0004117035
【0032】
【表8】
Figure 0004117035
【0033】
注1)第2表の脚注と同じ。
本発明の流動体は、いずれも難燃性を向上させるのに効果があることが分かる。
実施例43〜52
基油として、トリメチロールプロパントリ(イソオクチレート,イソステアレート)(PE−4)を用い、第9表に示す配合組成の難燃性流動体を調製し、その性能を評価した。結果を第10表に示す。
【0034】
【表9】
Figure 0004117035
【0035】
【表10】
Figure 0004117035
【0036】
注1)第2表の脚注と同じ。
本発明の流動体は、いずれも難燃性を向上させるのに効果があることが分かる。
【0037】
【発明の効果】
本発明の難燃性流動体は液体状又は半固体状であって、高温に曝されると不活性ガスを放出して火災の発生を防止する上、水分管理が不要で、かつ取扱いや廃液処理が容易であり、例えば潤滑油,作動油,切削油,洗浄油,加工油,熱処理油,グリースなどに好適に用いられる。

Claims (4)

  1. 基油及び発泡時に不活性ガスを発生する発泡性物質としてドデカフルオロヘプタノール、ヘキサデカフルオロノナノール及びテトラフルオロ−1,2−ジヨードエタンから選ばれる一種以上を含有し、発泡性物質の発熱量をQ0(cal/g)、発熱開始温度をT0(℃)、発泡性物質の含有量をW(重量%)としたとき、式(VI)
    log(Q0×W×10-2)<0.6679×log(T0−25)+1.132・・・(VI)
    の関係を満し、かつ液体状又は半固体状であって、潤滑油、作動油、切削油、加工油、洗浄油、熱処理油、電気絶縁油、グリースから選ばれる用途に用いられる難燃性流動体。
  2. 発泡開始温度が使用温度より高く、かつ流動体中の可燃成分が示す引火点より低い温度である請求項1記載の難燃性流動体。
  3. 式(I)
    発生不活性ガスの理論平均モル数/全発生ガスの理論平均モル数≧0.3・・・(I)
    の関係を満たす請求項1又は2記載の難燃性流動体。
  4. 水分含有量が5重量%以下である請求項1又は2記載の難燃性流動体。
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