JP4115244B2 - 画像信号処理装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、画像信号処理装置に関し、特にたとえば電子カメラに適用され、画像信号からノイズ成分を除去する、画像信号処理装置に関する。
【0002】
【従来技術】
従来のこの種の画像信号処理装置が、特許文献1に開示されている。この従来技術は、表示画像の拡大率に応じてメディアンフィルタのタップ係数を増大させることで、画像の拡大処理に起因して生じるシャギーの緩和と、フィルタ処理に起因する画質劣化の防止とを両立できるようにしたものである。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−44425号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来技術では、表示画像の特性がタップ係数の調整に反映されることはなく、必ずしも良好なフィルタ処理が施されるわけではなかった。
【0005】
それゆえに、この発明の主たる目的は、画像信号により良好なフィルタ処理を施すことができる、画像信号処理装置を提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
第1の発明に従う画像信号処理装置は、画像信号からノイズ成分を除去するフィルタ手段、画像信号の色成分を評価する色評価手段、およびフィルタ手段の効き具合に関連するパラメータ値を色評価手段の評価結果に基づいて人間の比視感度に反比例するように変更する変更手段を備える。
【0007】
第2の発明に従う画像信号処理装置は、画像信号からノイズ成分を除去するフィルタ手段、画像信号の明るさ成分を評価する明るさ評価手段、および明るさ評価手段の評価結果に基づいてフィルタ手段の効き具合を変更する変更手段を備える。
【0008】
【作用】
第1の発明によれば、画像信号に含まれるノイズ成分は、フィルタ手段によって除去される。色評価手段は、かかる画像信号の色成分を評価し、変更手段は、フィルタ手段の効き具合に関連するパラメータ値を色評価手段の評価結果に基づいて人間の比視感度に反比例するように変更する。
【0009】
人間の視覚は、黄色や緑色の光には敏感な一方、赤色や青色の光には鈍感である。これは、黄色や緑色の信号成分に対するフィルタ特性を強くすると解像感が低下すること、および赤色や青色の信号成分に対するフィルタ特性を強くしても解像感は低下しないことを意味する。そこで、第1の発明では、フィルタ手段の効き具合に関連するパラメータ値を人間の比視感度に反比例するように変更する。これによって、解像感の維持とノイズの低減とが両立する。
【0010】
好ましくは、色評価手段は、画像信号の彩度を検出する彩度検出手段、および画像信号の色相を検出する色相検出手段を含む。彩度および色相のパラメータを用いることで、有彩色と無彩色との切り分けと色の区別とが同時に実現される。
【0011】
好ましくは、明るさ評価手段が画像信号の明るさ成分を評価し、決定手段が明るさ評価手段の評価結果に基づいてフィルタ手段の効き具合を決定する。この場合、上述のパラメータ値は明るさ評価手段の評価に用いる基準値である。これによって、フィルタ手段の特性の変更に画像信号の明るさ成分が反映される。
【0012】
決定手段は、好ましくは、画像信号の明るさ成分が少ないほどフィルタ手段の効き具合を強くする。
【0013】
さらに好ましくは、γ補正手段によって画像信号にγ補正が施される。γ補正では、低輝度信号成分の増幅度が高輝度信号成分の増幅度よりも大きい。このことは、低輝度の信号成分に重畳されたノイズが目立つことを意味する。したがって、明るさ成分が少ないほどフィルタ手段の効き具合を強くすることで、低輝度部分に重畳されたノイズを目立たなくすることができる。
【0014】
好ましくは、画像信号は被写体を撮影する撮影手段から出力された信号である。これによって、良好なフィルタ処理が可能となる。
【0015】
第2の発明によれば、画像信号に含まれるノイズ成分は、フィルタ手段によって除去される。明るさ評価手段はかかる画像信号の明るさ成分を評価し、変更手段は明るさ評価手段の評価結果に基づいてフィルタ手段の効き具合を変更する。これによって、フィルタ特性の変更に明るさ成分が反映される。
【0016】
好ましくは、画像信号は、各画素が複数色のうち1色の色情報のみを有する信号である。色分離手段は、フィルタ手段によってノイズ成分が除去された画像信号に色分離を施して、各画素に複数色の色情報を割り当てる。各画素が1色の色情報のみを有する画像信号にフィルタ処理を施すことで、カラーノイズが抑制される。
【0017】
【発明の効果】
第1の発明によれば、フィルタ手段の効き具合に関連するパラメータ値を人間の比視感度に反比例するように変更することで、解像感の維持とノイズの低減との両立が可能となり、良好なフィルタ処理が実現される。
【0018】
第2の発明によれば、フィルタ手段の効き具合の変更に画像信号の明るさ成分が反映されるため、良好なフィルタ処理が可能となる。
【0019】
この発明の上述の目的,その他の目的,特徴および利点は、図面を参照して行う以下の実施例の詳細な説明から一層明らかとなろう。
【0020】
【実施例】
図1を参照して、この実施例のディジタルカメラ10は、光学レンズ12および赤外線カットフィルタ13を含む。被写体の光学像は、こられの部材を介してイメージセンサ14の受光面に入射する。受光面は図2に示すような原色ベイヤ配列の色フィルタ14aによって覆われ、受光面に形成された各々の受光素子(画素)で生成される電荷(画素信号)は、R,GおよびBのいずれか1つの色情報のみを有する。
【0021】
電源が投入されると、スルー画像表示処理が実行される。まず、CPU34からTG(Timing generator)18に対して間引き読み出しの繰り返しが命令される。TG18は、イメージセンサ14に30fpsのフレームレートで間引き読み出しを施す。この結果、垂直方向の解像度が低減された生画像信号が、ラスタ走査態様でイメージセンサ14から出力される。ただし、出力される低解像度の生画像信号の偶数ラインにはR,G,R,G,…の色情報を有する画素信号が含まれ、奇数ラインにはG,B,G,B,…の色情報を有する画素信号が含まれる。
【0022】
CDS/AGC/AD回路16は、イメージセンサ14から出力された各フレームの生画像信号にノイズ除去,ゲイン調整およびA/D変換の一連の処理を施し、ディジタル信号である生画像データを出力する。出力された生画像データは信号処理回路20によってYUVデータに変換され、変換されたYUVデータはメモリコントローラ22によってSDRAM24に書き込まれる。
【0023】
ビデオエンコーダ26は、メモリコントローラ22を通してSDRAM24から各フレームのYUVデータを読み出し、読み出されたYUVデータに縮小ズームを施し、そしてズームされたYUVデータをNTSC方式のコンポジットビデオ信号に変換する。変換されたコンポジットビデオ信号はLCD28に与えられ、この結果、被写体のリアルタイム動画像つまりスルー画像がLCD28に全面表示される。
【0024】
シャッタボタン32が操作されると、記録処理が実行される。まず、CPU34からTG18に対して全画素読み出しが命令される。TG18は、イメージセンサ14に1フレーム分の全画素読み出しを施し、この結果、高解像度の生画像信号がラスタ走査態様でイメージセンサ14から出力される。出力された生画像信号の偶数ラインにはR,G,R,G,…の色情報を有する画素信号が含まれ、奇数ラインにはG,B,G,B,…の色情報を有する画素信号が含まれる。
【0025】
シャッタボタン32の操作に応答して読み出された生画像信号は、CDS/AGC/AD回路16および信号処理回路20によって上述と同様の処理を施される。信号処理回路20からは高解像度のYUVデータが出力され、このYUVデータはメモリコントローラ22を介してSDRAM24に書き込まれる。SDRAM24に格納された高解像度のYUVデータは、その後メモリコントローラ22を介してビデオエンコーダ26に与えられ、縮小ズームを経てNTSCフォーマットのコンポジットビデオ信号に変換される。この結果、シャッタボタン32が押された時点の被写体の静止画像つまりフリーズ画像がLCD28に全面表示される。
【0026】
CPU34は、シャッタボタン32が操作されたとき、JPEGコーデック30に圧縮命令を与える。JPEGコーデック30は、メモリコントローラ22を通してSDRAMから高解像度のYUVデータを読み出し、読み出されたYUVデータにJPEG圧縮を施し、圧縮されたYUVデータつまりJPEGデータをメモリコントローラ22を介してSDRAM24に書き込む。CPU34は、SDRAM24に格納されたJPEGデータをメモリコントローラ22を通して読み出し、読み出されたJPEGデータをI/F36を通して記録媒体38に記録する。
【0027】
なお、記録媒体38は着脱自在であり、装着時にI/F36と接続される。JPEGデータは、かかる記録媒体38にファイル形式で記録される。
【0028】
信号処理回路20は、図3に示すように構成される。生画像データは、白バランス調整回路40によって白バランス調整を施され、γ補正回路42によってγ補正を施され、そして色分離回路44によって色分離を施される。色分離によって生成される補間画像データは、各々の画素がR,GおよびBの全ての色情報を有するデータである。色分離回路44から出力された補間画像データはその後、YUV変換回路46によってYUVデータに変換される。変換されたYUVデータは、Y:U:V=4:2:2の比率を有する。
【0029】
YUVデータを形成するYデータは、3ラインずつブロック化回路50に与えられる。つまり、注目する3ラインのうち、1ライン目のYデータはそのままデータL0としてブロック化回路50に与えられ、2ライン目のYデータは1H遅延線48aを介してデータL1としてブロック化回路50に与えられ、3ライン目のYデータは1H遅延線48aおよび48bを介してデータL2としてブロック化回路50に与えられる。したがって、或る1ライン期間にブロック化回路50に同時に入力される3ラインと、次の1ライン期間にブロック化回路50に同時に入力される3ラインとの間では、2ラインの重複が生じる。
【0030】
ブロック化回路50は、入力された3ラインのYデータから水平3画素×垂直3画素のYデータを抽出し、抽出された9画素のYデータをデータD0〜D8として同時に出力する。或る1画素期間に出力される9画素と、次の1画素期間に出力される9画素との間では、水平2画素×垂直3画素の重複が生じる。
【0031】
図4を参照して、ブロック化回路50は、6つのレジスタ50r−1〜50r−6によって構成される。データL0はレジスタ50r−1および50r−2によって1画素期間ずつ遅延され、データL1はレジスタ50r−3および50r−4によって1画素期間ずつ遅延され、そしてデータL3はレジスタ50r−5および50r−6によって1画素期間ずつ遅延される。したがって、連続する3画素のデータL0はデータD0〜D2として出力され、連続する3画素のデータL1はデータD3〜D5として出力され、そして連続する3画素のデータL2はデータD6〜D8として出力される。
【0032】
データD0〜D9のうち、データD4が抽出された9画素の中央に存在する画素のデータとなる。したがって、データD4を“注目画素データ”と定義し、データD0〜D3およびD5〜D9を“周辺画素データ”と定義する。
【0033】
適応型メディアンフィルタ52は、ブロック化回路50からデータD0〜D8を取り込み、タップ係数Tに従う量のデータを用いてフィルタ処理を実行する。図7を参照して具体的に説明すると、タップ係数Tが“9”であれば、9画素分のデータD0,D1,D3,D5,D6,D7,D8およびD4がデータ値に従う順序でソートされ、中央に配置されたデータが選択される。タップ係数Tが“11”であれば、11画素分のデータD0,D1,D3,D5,D6,D7,D8,D4,D4およびD4がデータ値に従う順序でソートされ、中央に配置されたデータが選択される。タップ係数Tが“13”であれば、13画素分のデータD0,D1,D3,D5,D6,D7,D8,D4,D4,D4,D4およびD4がデータ値に従う順序でソートされ、中央に配置されたデータが選択される。タップ係数Tが“15”であれば、15画素分のデータD0,D1,D3,D5,D6,D7,D8,D4,D4,D4,D4,D4,D4およびD4がデータ値に従う順序でソートされ、中央に配置されたデータが選択される。
【0034】
図7から分かるように、タップ係数Tが大きくなるほど、全データに占めるデータD4の比率が高くなり、データD4が選択され易くなる。換言すれば、タップ係数Tが取り得る数値“9”,“11”,“13”および“15”のうち、数値が小さくなるほどフィルタの効き具合が強くなり、数値が大きくなるほどフィルタの効き具合が弱くなる。
【0035】
なお、タップ係数Tが“0”であればフィルタ処理は実行されず、データD4が無条件で選択される。
【0036】
図5を参照して、適応型メディアンフィルタ52は、1つのエンコーダ52eと、7個のセレクタ52s−1〜52s−7と、79個の比較器52c−1〜52c−79とによって構成される。
【0037】
ブロック化回路50から出力されたデータD0〜D8のうち、データD0およびD1は比較器52c−1の上側入力端および下側入力端にそれぞれ与えられ、データD2およびD3は比較器52c−2の上側入力端および下側入力端にそれぞれ与えられる。また、データD5およびD6は比較器52c−3の上側入力端および下側入力端にそれぞれ与えられ、データD7およびD8は比較器52c−4の上側入力端および下側入力端にそれぞれ与えられる。さらに、データD4は、比較器52c−17の下側入力端に与えられる。
【0038】
比較器52c−1〜52c−79のいずれも、上側入力端から入力されたデータと下側入力端から入力されたデータとを互いに比較し、数値が大きいデータを上側出力端から出力するとともに、数値が小さいデータを下側出力端から出力する。比較器52c−1〜52c−79の接続関係は図5から明らかであるため、接続関係の詳しい説明は省略するが、比較器52c−24の上側出力端からは、データD0〜D8のうちで数値が最も大きいデータがデータD_MAXとして出力される。
【0039】
エンコーダ52eは、入力されたタップ係数Tに応じて、図6に示す数値を有する制御データs0〜s6を出力する。タップ係数Tが“9”であれば制御データs0〜s6として“1111110”が出力され、タップ係数Tが“11”であれば制御データs0〜s6として“1111001”が出力される。また、タップ係数Tが“13”であれば制御データs0〜s6として“1100002”が出力され、タップ係数Tが“15”であれば制御データs0〜s6として“0000003”が出力される。さらに、タップ係数Tが“0”であれば、制御データs0〜s6として“0000004”が出力される。
【0040】
制御データs0〜s5はそれぞれ、セレクタ52s−1〜52s−6に与えられる。セレクタ52s−1〜52s−6の各々は、与えられた制御データ値が“0”を示すときデータD4を選択し、与えられた制御データ値が“1”を示すとき“0”を選択する。
【0041】
制御データs6は、セレクタ52s−7に与えられる。セレクタ52s−7は、制御データ値が“0”を示すとき、比較器52c−39の下側出力端から出力されたデータD_M9を選択し、制御データ値が“1”を示すとき、比較器52c−55の上側出力端から出力されたデータD_M11を選択する。セレクタ52s−7はまた、制御データ値が“2”を示すとき、比較器52c−64の下側出力端から出力されたデータD_M13を選択し、制御データ値が“3”を示すとき、比較器52c−79の上側出力端から出力されたデータD_M15を選択する。セレクタ52s−7はさらに、制御データ値が“4”を示すときデータD4を選択する。
【0042】
したがって、タップ係数Tが“9”を示すときは比較器52c−1〜52c−39が有効化され、タップ係数Tが“11”を示すときは比較器52c−1〜52c−55が有効化される。また、タップ係数Tが“13”を示すときは比較器52c−1〜52c−64が有効化され、タップ係数Tが“15”を示すときは比較器52c−1〜52c−79が有効化される。タップ係数Tが“0”を示すときは、比較器52c−1〜52c−79は全て無効とされる。
【0043】
セレクタ52s−7によって選択されたデータは、データD_MEDとして適応型メディアンフィルタ52から出力される。また、適応型メディアンフィルタ52から出力されたデータD_MAXは、Yデータとして信号処理回路20から出力される。
【0044】
図3に戻って、YUV変換回路46によって生成されたUデータおよびVデータは、そのまま信号処理回路20から出力されるとともに、それぞれ1H遅延線54aおよび54bを介して彩度/色相演算回路56に与えられる。彩度/色相演算回路56は、数1に従って彩度Cを算出し、数2に従って色相Hを算出する。
【0045】
【数1】
C=(U2+V2)1/2
【0046】
【数2】
H=arctan(U/V)
領域判別/係数決定回路58は、算出された彩度Cおよび色相Hが図9に示すゾーンZuv0〜Zuv5のいずれに属するかを判別する。具体的には、彩度Cを閾値THCと比較し、色相Hを閾値THH1〜THH4の各々と比較して、彩度Cおよび色相Hが属するゾーンを判別する。
【0047】
なお、ゾーンZuv0には無彩色が分布し、ゾーンZuv1およびZuv5には青色が分布する。また、ゾーンZuv2には赤色が分布し、ゾーンZuv3には黄色が分布し、ゾーンZuv4には緑色が分布する。3原色である赤色,緑色および青色の他に黄色に対応するゾーンZuv3を形成するようにしたのは、このゾーンZuv3に肌色が含まれ、肌色について特別な処理を行うためである。
【0048】
たとえばゾーンZuv0が判別されると、領域判別/係数決定回路58は、図10に示すように数値TH0Z0〜TH3Z0を閾値THL0〜THL3として決定する。領域判別/係数決定回路58はその後、適応型メディアンフィルタ52から出力されたデータD_MAXを閾値THL0〜THL3の各々と比較し、比較結果に応じてタップ係数Tを“9”,“11”,“13”,“15”および“0”の中から決定する。適応型メディアンフィルタ52には、こうして決定されたタップ係数Tが与えられる。
【0049】
領域判別/係数決定回路58は、図8に示すように構成される。色相Hは比較器58c−1〜58c−4で閾値THH1〜THH4と比較され、彩度Cは比較器58c−5において閾値THCと比較される。比較器58c−1から出力される比較データcph1は、H>THH1のとき“1”を示し、H≦THH1のとき“0”を示す。比較器58c−2から出力される比較データcph2は、H>THH2のとき“1”を示し、H≦THH2のとき“0”を示す。比較器58c−3から出力される比較データcph3は、H>THH3のとき“1”を示し、H≦THH3のとき“0”を示す。比較器58c−4から出力される比較データcph4は、H>THH4のとき“1”を示し、H≦THH4のとき“0”を示す。比較器58c−5から出力される比較データcpcは、C>THCのとき“1”を示し、C≦THCのとき“0”を示す。
【0050】
第1デコーダ58d−1は、比較データcph1〜cph4およびcpcに基づいてゾーン判別データZUVを生成する。このとき、比較データcph1〜cph4およびcpcとゾーン判別データとの間には、図11に示す関係が成り立つ。図11において“X”はデータ値が“0”および“1”のいずれでもよいことを示す。また、ゾーン判別データZUVが取り得る数値“0”〜“5”はそれぞれ、図9に示すゾーンZuv0〜Zuv5に対応する。
【0051】
図11によれば、比較データcpcが“0”であれば、ゾーン判別データZUVは“0”を示す。比較データcph1〜cph4の各々が“0”でかつ比較データcpcが“1”であれば、ゾーン判別データZUVは“1”を示す。比較データcph1およびcpcの各々が“1”でかつ比較データcph2〜cph4の各々が“0”であれば、ゾーン判別データZUVは“2”を示す。比較データcph1,cph2およびcpcの各々が“1”でかつ比較データcph3およびcph4が“0”であれば、ゾーン判別データZUVは“3”を示す。比較データcph1〜cph3およびcpcの各々が“1”でかつ比較データcph4が“0”であれば、ゾーン判別データZUVは“4”を示す。比較データcph1〜cph4およびcpclの全てが“1”であれば、ゾーン判別データZUVは“5”を示す。
【0052】
セレクタ58s−1,58s−2,58s−3および58s−4はそれぞれ、ZUV=0のとき閾値TH0Z0,TH1Z0,TH2Z0およびTH3Z0を選択し、ZUV=1のとき閾値TH0Z1,TH1Z1,TH2Z1およびTH3Z1を選択する。また、ZUV=2のとき閾値TH0Z2,TH1Z2,TH2Z2およびTH3Z2を選択し、ZUV=3のとき閾値TH0Z3,TH1Z3,TH2Z3およびTH3Z3を選択する。さらに、ZUV=4のとき閾値TH0Z4,TH1Z4,TH2Z4およびTH3Z4を選択し、ZUV=5のとき閾値TH0Z5,TH1Z5,TH2Z5およびTH3Z5を選択する。
【0053】
ここで、ゾーンZuv1〜ゾーンZuv5にそれぞれ対応する閾値TH*Z1〜TH*Z5(*:0〜3)は、図13に示す標準比視感度を示す曲線Aと相関関係を有する。詳しく説明すると、曲線B0〜B3は、曲線Aに反比例する曲線である。閾値TH0Z1〜TH0Z5は曲線B0に沿って分布し、閾値TH1Z1〜TH1Z5は曲線B1に沿って分布し、閾値TH2Z1〜TH2Z5は曲線B2に沿って分布し、そして閾値TH3Z1〜TH3Z5は曲線B3に沿って分布する。なお、標準比視感度曲線とは、人間の視覚が黄色や緑色の光には敏感な一方、赤色や青色の光には鈍感であることを表す曲線である。
【0054】
図8に戻って、セレクタ58s−1で選択された閾値は閾値THL0として比較器58c−6に与えられ、セレクタ58s−2で選択された閾値は閾値THL1として比較器58c−7に与えられる。また、セレクタ58s−3で選択された閾値は閾値THL2として比較器58c−8に与えられ、そしてセレクタ58s−4で選択された閾値は閾値THL3として比較器58c−9に与えられる。
【0055】
比較器58c−6〜58c−9はそれぞれ、セレクタ58s−1〜58s−4から与えられた閾値THL0〜THL3を適応型メディアンフィルタ70から出力されたデータD_MAXと比較する。比較器58c−6から出力される比較データcpl0は、D_MAX>THL0のとき“1”を示し、D_MAX≦THL0のとき“0”を示す。比較器58c−7から出力される比較データcpl1は、D_MAX>THL1のとき“1”を示し、D_MAX≦THL1のとき“0”を示す。比較器58c−8から出力される比較データcpl2は、D_MAX>THL2のとき“1”を示し、D_MAX≦THL2のとき“0”を示す。比較器58c−9から出力される比較データcpl3は、D_MAX>THL3のとき“1”を示し、D_MAX≦THL3のとき“0”を示す。
【0056】
第2デコーダ58d−2は、比較データcpl0〜cpl3に基づいてタップ係数Tを生成する。このとき、比較データcpl0〜cpl3とタップ係数Tとの間には、図12に示す関係が成り立つ。
【0057】
図12によれば、比較データcpl0〜cpl3の全てが“0”であれば、タップ係数Tは“9”を示す。比較データcpl0が“1”でかつ比較データcpl1〜cpl3が“0”であれば、タップ係数Tは“11”を示す。比較データcpl0およびcpl1が“1”でかつ比較データcpl2およびcpl3が“0”であれば、タップ係数Tは“13”を示す。比較データcpl0〜cpl2が“1”でかつ比較データcpl3が“0”であれば、タップ係数Tは“15”を示す。比較データcpl0〜cpl3の全てが“1”であれば、タップ係数Tは“0”を示す。
【0058】
したがって、データD_MAXが大きいほど、タップ係数Tは“9”,“11”,“13”および“15”の中で大きい値を示し、データD_MAXが小さいほど、タップ係数Tは“9”,“11”,“13”および“15”の中で小さい値を示す。このため、データD_MAXが大きいほどフィルタの効き具合が弱くなり、データD4が選択され易くなる。逆に、データD_MAXが小さいほどフィルタの効き具合が強くなり、データD4が選択され難くなる。
【0059】
以上の説明からわかるように、図3に示すYUV変換回路46から出力されたYデータのノイズ成分は、適応型メディアンフィルタ52によって除去される。彩度/色相演算回路56は、YUV変換回路46から出力されたUデータおよびVデータに基づいて彩度Cおよび色相Hを算出する。算出された彩度Cは図8に示す比較器58c−5によって閾値THCと比較され、色相Hは図8に示す比較器58c−1〜58c−4によって閾値THH1〜THH4と比較される。第1デコーダ58d−1は、比較器58c−5から出力された比較データcpcと比較器58c−1〜58c−4から出力された比較データcph1〜cph4とに基づいてゾーン判別データZUVを出力する。これによって、注目画素の色評価結果が得られる。
【0060】
セレクタ58s−1〜58s−4は、ゾーン判別データZUVに対応する数値を持つ閾値THL0〜THL3を出力する。注目画素に関連するYデータであるデータD_MAXは、比較器58c−6〜58c−9によって閾値THL0〜THL3と比較される。これによって、注目画素に関連する明るさ評価結果が得られる。第2デコーダ58d−2は、比較器58c−6〜58c−9から出力された比較データcpl0〜cpl3に基づいて、タップ係数Tを決定する。
【0061】
閾値THL0〜THL3は人間の比視感度特性に反比例する数値を示し、フィルタの効き具合は、比視感度特性に反比例するように変更される。また、タップ係数TはデータD_MAXが低いほど小さくなり、これによって画像が低輝度であるほどフィルタの効き具合が強くなる。
【0062】
人間の視覚は、黄色や緑色の光には敏感な一方、赤色や青色の光には鈍感である。このことは、黄色や緑色の信号成分に対するフィルタ特性を強くすると解像感が低下すること、および赤色や青色の信号成分に対するフィルタ特性を強くしても解像感は低下しないことを意味する。そこで、この実施例では、人間の比視感度に反比例するように適応型メディアンフィルタ52の特性を変更するようにしている。これによって、人間の視覚が敏感である黄色や緑色ではフィルタ特性が弱められ、解像感の低下が防止される。また、人間の視覚が鈍感である赤色や青色ではフィルタ特性が強くされ、ノイズが除去される。こうして解像感の維持とノイズの低減とが両立し、良好なフィルタ処理が可能となる。
【0063】
また、図3に示すγ補正回路42は、YUV変換回路46のYUV変換に先立って生画像データにγ補正を施す。γ補正では、低輝度成分の増幅度が高輝度成分の増幅度よりも大きい。これは、低輝度の信号成分に重畳されたノイズが目立つことを意味する。そこで、この実施例では、輝度が低いほどフィルタの効き具合を強くするようにしている。これによって、低輝度部分に重畳されたノイズを目立たなくすることができる。なお、低輝度部分では解像感の維持は重要ではないので、ここでもノイズの低減と解像感の維持とが両立する。
【0064】
他の実施例のディジタルカメラ10は、信号処理回路20が図14に示すように構成される点を除き、図1実施例と同様である。このため、異なる点を中心に説明し、同様の部分の重複した説明は省略する。
【0065】
図14を参照して、生画像データは、5ライン毎にRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられる。つまり、注目する5ラインのうち、1ライン目の生画像データはそのままRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられ、2ライン目の生画像データは1H遅延線62aを介してRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられ、3ライン目の生画像データは1H遅延線62aおよび62bを介してRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられる。また、4ライン目の生画像データは1H遅延線62a〜62cを介してRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられ、5ライン目の生画像データは1H遅延線62a〜62dを介してRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられる。
【0066】
したがって、或る1ライン期間にRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられる5ライン分の生画像データと、次の1ライン期間にRBブロック化回路64およびGブロック化回路66に与えられる5ライン分の生画像データとの間では、4ラインの重複が生じる。
【0067】
RBブロック化回路64は、注目する水平5画素×垂直5画素のマトリクスが図15(A)に示すパターンを形成するとき、Rの色情報を有する9画素の画素データをデータD0〜D8として抽出する。RBブロック化回路64はまた、注目する水平5画素×垂直5画素のマトリクスが図15(B)に示すパターンを形成するとき、Bの色情報を有する9画素の画素データをデータD0〜D8として抽出する。一方、Gブロック化回路66は、注目する水平5画素×垂直5画素のマトリクスが図15(C)に示すパターンを形成するとき、Gの色情報を有する9画素の画素データをデータD0〜D8として抽出する。
【0068】
この実施例でも、データD4が、抽出された9画素の中央に存在する画素のデータとなる。したがって、データD4を“注目画素データ”と定義し、データD0〜D3およびD5〜D9を“周辺画素データ”と定義する。
【0069】
セレクタ68は、図15(A)または図15(B)に示すパターンが形成されるときRBブロック化回路64を選択し、図15(C)に示すパターンが形成されるときGブロック化回路66を選択する。したがって、Rの色情報のみを有する9画素の画素データ,Gの色情報のみを有する9画素の画素データあるいはBの色情報のみを有する9画素の画素データが、適応型メディアンフィルタ70に入力される。
【0070】
適応型メディアンフィルタ70は、図3に示す適応型メディアンフィルタ52と同じ構成を有し、入力されたデータD0〜D8のうち数値が最も大きいデータがデータD_MAXとして明るさ判別回路72に入力される。明るさ判別回路72は、入力されたデータD_MAXの値を閾値TH1〜TH4(TH1<TH2<TH3<TH4)の各々と比較し、比較結果に応じたタップ係数Tを適応型メディアンフィルタ70に入力する。
【0071】
図16を参照して、D_MAX<TH1であれば、適応型メディアンフィルタ70に入力されるタップ係数Tは“9”を示す。TH1≦D_MAX<TH2であれば、適応型メディアンフィルタ70に入力されるタップ係数Tは“11”を示す。TH2≦D_MAX<TH3であれば、適応型メディアンフィルタ70に入力されるタップ係数Tは“13”を示す。TH3≦D_MAX<TH4であれば、適応型メディアンフィルタ70に入力されるタップ係数Tは“15”を示す。TH4≦D_MAXであれば、適応型メディアンフィルタ70に入力されるタップ係数Tは“0”を示す。
【0072】
したがって、データD_MAXが大きいほど、タップ係数Tは“9”,“11”,“13”および“15”の中で大きい値を示し、データD_MAXが小さいほど、タップ係数Tは“9”,“11”,“13”および“15”の中で小さい値を示す。このため、データD_MAXが大きいほどフィルタの効き具合が弱くなり、データD4が選択され易くなる。逆に、データD_MAXが小さいほどフィルタの効き具合が強くなり、データD4が選択され難くなる。
【0073】
適応型メディアンフィルタ70から出力された生画像データは、白バランス調整回路74およびγ補正回路76を経て色分離回路78に与えられ、各画素がR,GおよびBの全ての色情報を有する補間画像データに変換される。変換された補間画像データは、その後YUV変換回路80を経て出力される。
【0074】
以上の説明から分かるように、生画像データに含まれるノイズ成分は、適応型メディアンフィルタ70によって除去される。明るさ、判別回路72は、注目画素に関連するデータD_MAXによって画像の明るさを評価し、評価結果に基づいてタップ係数Tを変更する。これによって、適応型メディアンフィルタ70のフィルタ特性の変更に画像の明るさが反映される。また、生画像データは、各画素がR,GまたはGの色情報のみを有するデータである。このような画像データにフィルタ処理を施すことで、カラーノイズが抑制される。これによって、良好なフィルタ処理が実現される。
【0075】
なお、この実施例では、メディアンフィルタの改良型を用いるようにしたが、フィルタの特性を変更できる限り、ガウシアンフィルタなどの別のフィルタを用いてもよい。また、この実施例では、ディジタルカメラを用いて説明したが、この発明は、テレビジョン受像機やビデオレコーダなどの画像信号処理装置にも適用できる。さらに、この実施例では、データD0〜D8のうち数値が最大となるデータをデータD_MAXとして、このデータD_MAXを図8に示す比較器58c−6〜58c−9に与えているが、データD_MAXに代えてデータD4を比較器58c−6〜58c−9に与えるようにしてもよい。この場合、常に注目画素の明るさが評価される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施例を示すブロック図である。
【図2】図1実施例に適用される色フィルタの構成の一例を示す図解図である。
【図3】図1実施例に適用される信号処理回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図4】図3実施例に適用されるブロック化回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図5】図3実施例に適用される適応型メディアンフィルタの構成の一例を示すブロック図である。
【図6】図5に示す適応型メディアンフィルタの動作の一部を示す図解図である。
【図7】図5に示す適応型メディアンフィルタの動作の他の一部を示す図解図である。
【図8】図3実施例に適用される領域判別/係数決定回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図9】図8に示す領域判別/係数決定回路の動作の一部を示す図解図である。
【図10】図8に示す領域判別/係数決定回路の動作の他の一部を示す図解図である。
【図11】図8に示す領域判別/係数決定回路の動作のその他の一部を示す図解図である。
【図12】図8に示す領域判別/係数決定回路の動作のさらにその他の一部を示す図解図である。
【図13】この発明の他の実施例に適用される信号処理回路の構成の一例を示すブロック図である。
【図14】標準比視感度曲線を示すグラフである。
【図15】図13実施例の動作の一部を示す図解図である。
【図16】図13実施例の動作の他の一部を示す図解図である。
【符号の説明】
10…ディジタルカメラ
20…信号処理回路
42,76…γ補正回路
46,80…YUV変換回路
52,70…適応型メディアンフィルタ
56…彩度/色相演算回路
58…領域判別/係数決定回路
Claims (1)
- 色分離信号を輝度信号および色差信号に変換する変換手段、
前記変換手段により変換された輝度信号を画素ブロック単位に出力するブロック化手段、
前記画素ブロックに対応する色差信号に基づいて色成分を評価する色評価手段、
前記色評価手段の出力に基づいて前記ブロック化手段から出力された輝度信号のノイズ成分を除去するフィルタ手段を具え、
前記色評価手段は前記色差信号に基づいて彩度および色相を検出し、当該検出した彩度および色相を標準比視感度曲線に反比例した値と比較して前記フィルタ手段のフィルタ係数を決定することを特徴とする画像信号処理装置。
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