JP4109630B2 - 良否判定装置、良否判定プログラムおよび良否判定方法 - Google Patents

良否判定装置、良否判定プログラムおよび良否判定方法 Download PDF

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Description

本発明は、良否判定装置、良否判定プログラムおよび良否判定方法に関する。
従来、この種の良否判定装置は、予め多数のサンプルから特定のパラメータ値とその良否判定結果情報とを取得し、この良否判定結果情報に対するパラメータ値の分布の傾向から、確率統計的な手法に基づいて製品の良否判定の閾値を算出するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
かかる構成によれば、製品から取得されたパラメータ値を良否判定の閾値と比較することにより良否判定を行うことが可能であった。
特願2002−242544号(未公開の特許出願)
しかしながら、上述した従来の良否判定装置において、良否判定の指標の信頼性や精度を向上させるためには解析の対象となるサンプルデータの個数を多くする必要があり、多数のサンプルデータを取得するには良品サンプルおよび不良品サンプルを用意する必要があった。従って、良否判定装置を運用させる前の準備に時間がかかってしまうという課題があった。特に、歩留まりの高い製品の場合は、通常の生産工程においては不良品サンプルを取得することは困難であるため、多大な時間が必要とされていた。また、この課題を解決するために意図的に不良品サンプルを作成してサンプルデータを取得する方法もあるが、高価な製品の不良品サンプルを多数作成することはコストが大きく、また不良要因が明らかでない不良については不良品サンプルを作成することすらできないという課題があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、類似する他の検査対象についてのサンプルデータも有効なデータとして扱うことで、必要とするサンプルデータの収集量を軽減することが可能な良否判定装置、良否判定プログラムおよび良否判定方法の提供を目的とする。
上記目的を達成するため、請求項1にかかる発明では、複数の仕様のサンプルについてのパラメーター値とその良否判定結果情報とからなるサンプルデータを予め取得するサンプリング手段と、各仕様毎に良カテゴリーと否カテゴリーの少なくとも一方のカテゴリーについての上記パラメータ値に基づく数値の分布傾向から統計的推定を行うことにより良否判定の閾値を算出する閾値算出手段と、良否判定対象から上記パラメータ値を取得する良否判定対象検査手段と、上記良否判定対象から取得された上記パラメータ値に基づく数値と上記閾値とを比較することにより当該良否判定対象の良否判定を行う良否判定手段とを備える良否判定装置において、
上記閾値算出手段は、上記仕様を示す特徴値を各仕様毎に記憶する仕様情報記憶手段と、上記閾値の算出対象となる対象仕様を示す上記特徴値と、同閾値算出の対象とならない異仕様を示す上記特徴値とを比較することにより、同対象仕様と同異仕様との類否判断を行う類否判定手段とを備え、上記閾値を算出するに当たり、対象仕様のサンプルから取得された対象仕様サンプルデータと、同類否判定手段により上記対象仕様と類似すると判定された上記異仕様のサンプルから取得された異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から上記閾値を算出する構成としてある。
上記のように構成した請求項1の発明において、上記サンプリング手段は、複数の仕様毎に多数のサンプルについてのパラメーター値と良否判定結果情報とからなるサンプルデータを予め取得する。そして、閾値算出手段においては各仕様を対象に良カテゴリーと否カテゴリーの少なくとも一方のカテゴリーについての上記パラメーター値に基づく数値の分布傾向から統計的推定を行うことにより上記閾値を算出する。すなわち、サンプルの上記パラメーター値に基づく数値の分布傾向から、実際に良品である良否判定対象がとりうる上記パラメータ値に基づく数値の範囲と、実際に不良品である良否判定対象がとりうる上記パラメータ値に基づく数値の範囲とを推定し、その境界値を上記閾値として算出する。一方、良否判定対象についても良否判定対象検査手段により上記サンプルと同様に上記パラメータ値が取得される。そして、上記良否判定対象から取得した上記パラメータ値に基づく数値と上記閾値とを比較することにより良否判定が行われる。
以上説明したように、本発明における上記閾値算出手段は、サンプルデータから統計的な推定を行うことにより上記閾値を決定する。サンプルから取得されたサンプルデータから統計的な推定を行う以上、上記閾値には誤差が生じる場合もあるし、また確実でない場合もある。統計的に推定される上記閾値の信頼性や精度を向上させるためには、サンプル数を多くする必要がある。従って、実際の良否判定の運用以前には多くのサンプルからサンプルデータを取得しておくことが望ましい。しかしながら、サンプルデータを多く取得するには予め不良品サンプルと良品サンプルを用意する必要があり時間的にもコスト的にも負担が大きいものとなる。また、複数の仕様を有する製品を検査する良否判定装置においては、全仕様毎に不良品サンプルと良品サンプルを用意することは大変である。
そこで、本発明においては上記閾値を算出するに当たり上記閾値算出手段は、閾値の算出対象となる対象仕様を有する対象仕様サンプルから取得された対象仕様サンプルデータのみならず、算出の対象となる対象仕様とは異なる仕様である異仕様サンプルから取得された異仕様サンプルデータも使用して上記閾値を算出することとしている。通常、上記閾値を算出するに当たっては上記対象仕様サンプルデータに基づく数値のみの分布傾向から上記閾値を算出するが、上記異仕様サンプルデータに基づく数値も含めた分布傾向から統計的推定を行うことにより上記閾値を算出する。すなわち、上記対象仕様サンプルのサンプル数を、上記異仕様サンプルのサンプル数で補充したサンプル数で統計的推定を行うことが可能となる。従って、サンプル数を増加させることができ、信頼性や精度の良い上記閾値を算出することが可能となる。
ここで、上記仕様とは良否判定対象の設計仕様・スペック等である。例えば、検査対象の色や形状等の外観的な仕様や抵抗値や動作速度等の電気的な仕様等が上記仕様に相当するものとして挙げられる。具体的には、上記仕様は一つ以上の仕様項目を有しており、各仕様項目毎にそれぞれ仕様の内容を示す特徴値を有している。例えば、チップ抵抗の基板に対するはんだ付け接点を良否判定対象とする場合、同接点は上記仕様としてチップ抵抗の幅や高さやリード数、形状等の仕様項目のそれぞれについての具体的な設計値を特徴値として有している。対象仕様が有する上記特徴値が全ての仕様項目について同じであれば対象仕様と同仕様となるし、対象仕様が有する上記特徴値に異なるものがあれば異仕様となる。
上記閾値算出手段は、仕様情報記憶手段により上記仕様を示す特徴値を各仕様毎に記憶し、類否判定手段により上記閾値の算出対象となる対象仕様を示す上記特徴値と、同閾値算出の対象とならない異仕様を示す上記特徴値とを比較する。これによって、上記類否判定手段は、上記対象仕様と上記異仕様との類否判断を行う。そして、対象仕様と類似する異仕様の異仕様サンプルデータを対象仕様サンプルデータとともに上記閾値の算出に用いるものとしている。すなわち、上記仕様が似ていれば取得される上記パラメータ値も似る可能性が高いため、対象仕様サンプルデータのみを用いて上記閾値の算出を行った場合と同様な結果を得ることが可能となる。従って、上記異仕様サンプルデータを上記閾値算出に用いたことによって、上記閾値の算出が不正確なものとなることを防止することができる。
上記パラメータ値は個別のサンプルや良否判定対象から得られる情報を示す数値であり、サンプルや良否判定対象を測定等することにより得られる数値である。例えば、チップ抵抗の基板に対するはんだ付け接点を良否判定対象とする場合、同接点から測定等により得られるはんだ高さ、はんだ幅等がパラメータ値となる。ただし、測定等により直接得られる数値に限られず、直接得られた数値を所定の変換式により変換した値等であっても良い。また、個別のサンプルから複数のパラメータを示す複数の上記パラメータ値が取得されても良い。例えば、サンプルから200種類の上記パラメータ値が取得されても良い。
パラメータ値に基づく数値はパラメータ値を基にして得ることができる数値であり、上記パラメータ値を変数として有する関数等から得られる数値もこれに該当する。また、上記関数は、複数の上記パラメータ値を多変量解析することにより得られる良カテゴリーと否カテゴリーとを最も分離させる判別関数等であっても良い。この場合、良カテゴリーと否カテゴリーとの群間分散は大きくなるため、より精度の良い良否判定を行うことが可能となる。むろん、パラメータ値自体もこれに該当し、パラメータ値の分布傾向から上記閾値を算出するものとしても良い。
上記サンプルデータは、運用初期に予め複数の良否判定対象について判定を行った結果取得される情報であるが、運用とともに追加取得することもできる。また、上記良カテゴリーと否カテゴリーは上記良否判定結果情報によって規定されるカテゴリーであり、少なくとも「良」と「否」のカテゴリー分類が必要であるが、より細分化しても良い。例えば、否カテゴリーについて「不良」の原因別にサブカテゴリーを作成し、上記複数のパラメータに具体的な値を与えたときにいずれのサブカテゴリーに属するかを良否判定結果として記憶しても良い。むろん、良カテゴリーについてサブカテゴリーを作成することも可能である。
また、請求項2にかかる発明では、上記閾値算出手段は、上記閾値を算出するに当たり、少なくとも一方のカテゴリーについて対象仕様サンプルデータ数を認識するとともに、認識された同対象仕様サンプルデータの個数が規定数より少なければ、同対象仕様サンプルデータと、上記類否判定手段により上記対象仕様と類似すると判定された上記異仕様のサンプルから取得された異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から上記閾値を算出する構成としてある。
上記のように構成した請求項2の発明において、上記閾値算出手段は上記閾値を算出するに当たり、少なくとも一方のカテゴリーについての上記対象仕様サンプルデータ数を認識する。認識された上記対象仕様サンプルデータ数が規定数より少ない場合には、上記対象仕様サンプルデータのみならず、上記異仕様サンプルから取得された上記異仕様サンプルデータに基づいて上記閾値を算出する。すなわち、上記対象仕様サンプルデータの個数が少なく閾値の推定精度や信頼性が低くなりそうな場合に上記異仕様サンプルデータでサンプル数を補充させることができる。
さらに、請求項3にかかる発明では、上記規定数は、入力された所望の信頼性と精度とから、これらを満足するサンプル数として算出される構成としてある。
上記のように構成した請求項3の発明において、上記規定数を所望の信頼性と所望の精度を満足するサンプル数として算出することにより、上記閾値を統計的推定により算出する際の精度や信頼性を所望のものとすることができる。上記規定数を算出する手法としては、有意水準と誤差とから必要なサンプル数を正規分布曲線から算出する計算式等を用いることができる。
さらに、請求項4にかかる発明では、上記類否判定手段は、上記閾値の算出対象となる対象仕様の上記特徴値に対する同特徴値と同閾値算出の対象とならない異仕様の上記特徴値との偏差の割合を算出し、同割合が小さい異仕様を同対象仕様と類似すると判断する構成としてある。
上記のように構成した請求項4の発明において、上記閾値の算出対象となる対象仕様の上記特徴値と、同閾値算出の対象とならない異仕様の上記特徴値との偏差を算出し、この偏差の対象仕様の上記特徴値に対する割合を算出する。そして、同割合が小さい仕様を対象仕様と類似する仕様であると判断する。
さらに、請求項5にかかる発明では、上記類否判定手段は、複数の上記特徴値に対する上記割合の平方和を仕様毎に算出し同平方和が最も小さい異仕様を同対象仕様と類似すると判断する構成としてある。
上記のように構成した請求項5の発明において、複数の上記特徴値に対する上記割合の平方和を仕様毎に算出する。そして、この平方和が小さい異仕様が対象仕様と最も類似すると判断する。すなわち、複数の上記特徴値を総合的に見て、最も類似する異仕様を検索することができる。
また、請求項6にかかる発明では、上記類否判定手段は、上記割合が所定の許容類似範囲内とならない場合には類似すると判定しない構成としてある。
上記のように構成した請求項6の発明において、上記割合が所定の許容類似範囲内とならない場合には類似すると判定しない。すなわち、上記許容類似範囲により上記特徴値の偏差の上記割合に上限を設けることにより、上記偏差があまりにも大きい異仕様の異仕様サンプルデータを使用して上記閾値を算出することが防止できる。
さらに、請求項7にかかる発明では、上記閾値算出手段において、上記対象仕様サンプルデータと上記異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から算出する上記閾値は、上記対象仕様サンプルデータのみに基づく数値の分布傾向から算出する上記閾値よりも不良流出の可能性を低くした値に補正される構成としてある。
上記のように構成した請求項7の発明において、上記対象仕様サンプルデータおよび上記異仕様サンプルデータの双方を使用して算出する上記閾値は、上記対象仕様サンプルデータのみを使用して算出する上記閾値よりも不良流出の可能性が低くなるような値に補正される。従って、上記異仕様サンプルデータを使用したことによって上記閾値の信頼性が低下するような場合にも、不良流出は防止することができる。
また、請求項8にかかる発明では、上記閾値算出手段において、上記対象仕様サンプルデータと上記異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から算出する上記閾値は、同算出に使用する上記異仕様サンプルデータの数に対する上記対象仕様サンプルデータの数の割合が少ないほど不良流出の可能性をより低くした値に補正される構成としてある。
上記のように構成した請求項8の発明において、算出に使用する上記異仕様サンプルデータの数に対する上記対象仕様サンプルデータの数の割合が少ないほど不良流出の可能性をより低くした値に補正することにより、上記対象仕様サンプルデータの数の割合が高くなり上記閾値の信頼性が低くなるほど不良流出の可能性を低くすることができる。
本発明にかかる良否判定装置は単独で存在する場合もあるし、ある機器に組み込まれた状態で利用されることもあるなど、発明の思想としてはこれに限らず、各種の態様を含むものである。従って、ソフトウェアであったりハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。発明の思想の具現化例として良否判定装置を制御するためのソフトウェアとなる場合には、かかるソフトウェアを記録した記録媒体上においても当然に存在し、利用されるし、当該ソフトウェア自体としても発明は成立する。このため、上記請求項9にかかる発明は、上記請求項1に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成としてある。むろん、請求項2〜請求項8に対応させた機能をコンピュータに実現させる構成も実現可能であることは言うまでもない。
むろん、このプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし光磁気記録媒体であってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。また、一次複製品、二次複製品などの複製段階については全く問う余地無く同等である。上記媒体とは異なるが、供給方法として通信回線を利用して行なう場合であれば通信回線が伝送媒体となって本発明が利用されることになる。さらに、一部がソフトウェアであって、一部がハードウェアで実現されている場合においても発明の思想において全く異なるものではなく、一部を記録媒体上に記憶しておいて必要に応じて適宜読み込まれるような形態のものとしてあってもよい。
また、このような良否判定装置の制御においては各手段が所定の制御手順で処理を進めていく上で、その根底にはその手順に発明が存在するということは当然であり、方法としても適用可能である。このため、請求項10にかかる発明は、上記請求項1に対応させた工程からなる構成としてある。むろん、請求項2〜請求項8に対応させた工程からなる構成も実現可能であることは言うまでもない。
以上説明したように請求項1,請求項9,請求項10にかかる発明によれば、良否判定の閾値を決定するに当たり、算出の対象となるサンプルデータの個数を補充することができるため統計的に信頼性の高い閾値の算出が可能な良否判定装置、良否判定プログラムおよび良否判定方法を提供することができる。
さらに、請求項2にかかる発明によれば、必要に応じて異仕様のサンプルから取得されたサンプルデータを閾値の算出に使用することができる。
さらに、請求項3にかかる発明によれば、所望の信頼性と精度を確保することができるできる。
また、請求項4から請求項6にかかる発明によれば、仕様の類否判断の手法を提供することができる。
さらに、請求項7にかかる発明によれば、不良流出の可能性を低減させることができる。
さらに、請求項8にかかる発明によれば、閾値の信頼性に応じて不良流出の可能性を低減させることができる。
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)本発明の概略構成:
(2)レーザー検査装置の構成:
(3)データ蓄積装置の構成:
(4)目視入力装置の構成:
(5)多変量統計解析装置の構成:
(1)本発明の概略構成:
図1は本発明にかかる良否判定装置を構成するシステムの概略図である。本システムはレーザー検査装置100とデータ蓄積装置200と目視入力装置300と多変量統計解析装置400とを備えており、それぞれがハブHを介して通信回線にて接続されている。すなわち、各装置は通信回線を介して互いに双方向通信可能である。レーザー検査装置100は、基板に貼り付けられたラベルを読みとることによって基板に実装される各部品の各接点を識別しつつ、当該接点付近にレーザーを照射する装置である。
本発明において、良否判定はレーザー検査装置100にて実行され、その処理手順は概略図2に示すフローに従う。すなわち、ステップS100にて上記基板に貼り付けられたラベルを読みとり、基板を特定するとともに後述する部品の実装位置や部品の種別等を特定する。すなわち、ラベルは基板の種類を特定する情報が記載されている。尚、本実施形態においては、基板の種類を特定するための情報に加えて基板の個体を特定するための情報(例えば、シリアルナンバー等)が記載されており、基板の個体を特定するための情報にて基板の個体を特定し、各個体別に良否判定結果を記録あるいは表示させることができる。
また、基板の特定手法は上述の態様に限られず、種々の態様を採用可能である。例えば、レーザー検査装置100によって検査を行った後に既知のシリアルナンバー等を付したラベルを貼り付ける構成等を採用しても良い。各部品の各接点は、はんだによって基板に取り付けられており、照射されたレーザーは接点付近で反射する。レーザー検査装置100はレーザーによって接点付近を掃引し、反射方向を認識しつつ反射光を検出可能であり、ステップS110ではこの掃引によって発生する反射光の検出値を形状データとして取得する。
形状データは各接点付近のはんだ形状によって異なるデータとなっており、ステップS120にてこの形状データを良否判定要因となる複数のパラメータに変換する。各パラメータについての多変量統計解析は予め上記多変量統計解析装置400にて実施されており、この結果として良否を判断するための閾値が予め決定されている。本実施形態においてこの閾値は判別関数の次元で規定されており、また、判別関数は上記ステップS120にて算出したパラメータの関数である。良否判定はステップS130にて上記パラメータを判別関数に代入し算出した値と上記閾値とを比較することによって行われ、その結果は、レーザー検査装置100に搭載されたディスプレイ上に表示され、利用者はこのディスプレイを視認することによって良否を知ることができる。むろん、良否は部品毎に表示することが可能であるし、一つの基板について一画面で表示することも可能であるし、「否」判定発生時のみに表示を行うようにしても良い。
本実施形態においては、統計精度を向上させるため、ステップS130にて良否判定を行った良否判定対象、すなわち、各部品の各接点についてのはんだ接続の良否判定結果情報およびそのパラメータ情報を対応づけつつ上記データ蓄積装置200に蓄積するようになっている。また、データ蓄積装置200には、本実施形態にかかる良否判定装置を運用する際に必要な各種データがデータベースとして登録されており、レーザー検査装置100と目視入力装置300と多変量統計解析装置400から各種データを取得して蓄積可能であるとともに、適宜蓄積データを出力することが可能である。尚、本実施形態においては、上記パラメータ情報に対して上記形状データを対応づけつつ記憶している(図示せず)。そして、データ蓄積装置200においてキーボード等の入力機器を操作して、ディスプレイ上に形状データを表示できるようにしてある。これにより、各形状データから算出された各パラメータがもっともらしい値になっているか否か等、事後的にチェックすることが可能である。
また、目視入力装置300においては、自動の良否判定で誤りが生じていた場合にデータを訂正して統計精度を向上させるために、目視による良否判定結果を入力可能に構成されている。尚、これらのレーザー検査装置100,データ蓄積装置200,目視入力装置300,多変量統計解析装置400とに備えられたコンピュータは汎用的なコンピュータを利用することができ、詳細なハードウェアの説明は省略する。
さらに、本実施形態にかかるシステムは上述の各装置にて分散処理を行っているが、むろん、単体のコンピュータによって上記各装置を構成しても良いし、特定の2以上あるいは3以上のコンピュータが上記各装置を構成しても良い。本実施形態においては、以上の構成によって良否カテゴリーにおいて特定の分布確率を与えるような閾値を決定しており、これにより流出率や見過ぎ率を容易に管理可能であるとともにノウハウの蓄積が必須にはならないシステムを提供しており、以下各装置を詳細に説明する。
(2)レーザー検査装置の構成:
図3はレーザー検査装置100の概略構成を示している。同図左側にはその光学系を模式的に示しており、右側には制御系を示している。レーザー検査装置100は、レーザー発振器126を備えており、所定のレーザー光を発振出力することができる。ガルバノメータ124はその内部に2枚の角度可変ミラーを備えており、ガルバノメータ制御部128の制御によって当該角度可変ミラーの配向角を調整することができる。
すなわち、当該角度可変ミラーの配向角を調整することによってガルバノメータ124から出力するレーザー光の配向角を調整することができ、これによって後述する掃引を実現している。ガルバノメータ124から出力されるレーザー光はレンズ123によって集光された後、受光ボックス110に入射される。従って、受光ボックス110には細く絞った状態のレーザー光が入射され、この状態で掃引されるので、後述するセンサでははんだ133付近の微視的状態に対応したレーザー光を検出することができる。尚、掃引は後述するようにはんだが形成されるリードの前側から部品本体方向に向けて行われ、その軌跡が1本の線を形成するが、高精度の掃引データが必要な部品等、種々の条件に応じて2本以上の線を形成するように掃引を行って、実質的に面の情報を取得しても良い。
受光ボックス110はレーザー光の適切な光学経路を形成し、反射光の有無をその方向とともに取得するための機器を備えている。受光ボックス110内の上部にはトップセンサ112が配設されており、その下方にアップセンサ114およびサイドセンサ116が配設されている。図4はこれらセンサの配置関係を示す図である。すなわち、アップセンサ114は中央に矩形の穴を形成しており、サイドセンサ116はアップセンサ114の下方四側面に形成されている。
トップセンサ112は矩形平板状であり、一方の面を下方に配向させつつ上記アップセンサ114の中央に形成された矩形の穴の上方に配設されている。また、トップセンサ112とアップセンサ114との間はレーザー光の光学経路になっており、平板状のハーフミラー118が配設されている。当該ハーフミラー118は、その平板面がトップセンサ112の下面に対して略45°を形成するとともに上記レンズ123からのレーザー光を反射して下方に進行させる方向に配向されている。尚、受光ボックス110の下方は開口しており、レーザー光は受光ボックス110内から下方に進行することも可能であるし、下方から受光ボックス110内に進行することも可能である。
ハーフミラー118は受光ボックス110の下方から進行するレーザー光の一部を透過させることができ、透過されたレーザー光はトップセンサ112の方向に進行する。また、上記トップセンサ112とアップセンサ114とはその下面に照射されるレーザー光を検出することが可能であり、サイドセンサ116は互いに向かい合う面にてレーザー光を検出することが可能である。受光ボックス110の下方にはX−Yステージ130が配設されており、良否判定対象の接点を備えた部品が実装される基板を載置可能である。また、X−Yステージ130はX−Yステージ制御部135に接続されており、同X−Yステージ制御部135が出力する所定の制御信号によってX−Yステージ130をX−Y平面上で移動させることができる。
従って、X−Yステージ130に基板を載置した状態で当該X−Yステージ130を移動させることによって、所望の良否判定対象を受光ボックス110の下方のレーザー光経路内に配設することができる。図3においては、X−Yステージ130上に実装部品132を模式的に示している。同実装部品132は矩形のチップ部品であるとともにその両端が接点132aになっており、当該接点をはんだ133で接合するようになっている。
上記ハーフミラー118にて反射されたレーザー光は上記受光ボックス110の下方に進行し、このはんだ133の付近に到達する。この結果はんだ133付近で当該レーザー光が反射され、再び上方に向けて進行する。この反射光はその進行角度によって上記トップセンサ112,アップセンサ114,サイドセンサ116あるいはその外側に向けて進行する。レーザー光がトップセンサ112,アップセンサ114,サイドセンサ116に到達したときには、各センサから所定の検出信号が出力される。
各センサはアンプ120に接続されており、上記検出信号は当該アンプ120にて所定の増幅が施されるとともに、コード生成部122に入力される。上記各センサでは検出位置毎に所定閾値以上のレベルの反射光の有無を検出可能であり、コード生成部122はその入力信号に基づいて上記反射光の反射角度を示すコードを生成する。図5は、生成されるコードを説明する説明図である。同図に示すように反射光がトップセンサ112で検出されたときにはコード”6”が生成される。
また、アップセンサ114の一方で検出される反射光はその角度によって”5”〜”3”のコードが生成され、サイドセンサ116の一方で検出される反射光では”3”〜”2”のコードが生成される。反対側のセンサで反射光を検出したときには”A”〜”D”のコードが生成される。サイドセンサ116の両外側に反射光が進行するときにはコード”0”が生成される。また、レーザー光によって上記はんだ133付近が掃引されるので、掃引の各段階でコードが生成され、この結果、コード生成部122は一回の掃引に対して複数の数値あるいはアルファベットを有するデータを出力する。むろん、ここに示す構成は一例であり、上記センサにてコード値が変動するピッチをより狭くしたり広くしたりすることは可能であるし、掃引は一回ではなく複数回検出しても良い。さらに、一方向のみの掃引を行うのではなく、複数方向の掃引を行っても良い。
上述のコード生成部122とガルバノメータ制御部128とX−Yステージ制御部135とはCPU140に接続されており、同CPU140が出力する制御信号によって制御され、また、同CPU140に対してデータを出力する。すなわち、CPU140は図示しないROMやRAMとともにプログラム実行環境を形成しており、CPU140は所定のプログラムを実行しつつコード生成部122とガルバノメータ制御部128とX−Yステージ制御部135とを介してレーザー検査装置100を制御する。
また、CPU140が上記プログラムに従って所定の演算処理を実行することにより、良否判定を行うようになっており、必要なデータを記憶部146に書き込み、また、通信I/O144を介して上記データ蓄積装置200や多変量統計解析装置400と必要に応じて通信を行い、表示部142に良否判定結果を表示する。尚記憶部146はデータの書き込みと読み出しとを行うことができる記憶媒体であれば良く、ハードディスクドライブやRAM,ROM等種々の媒体を採用可能である。また、レーザー検査装置100は良否判定対象が搭載される基板を識別するために各基板に貼り付けられたラベルを読みとる図示しないラベル読取装置を備えている。
図6は、レーザー検査装置100にて実行される良否判定プログラムの機能ブロック図である。レーザー検査装置100においては、OS150の制御下で良否判定プログラム160が実行される。OS150は上記通信I/O144を介してのデータ送受信や記憶部146からのファイル読み出しを制御し、良否判定プログラム160に対して必要なデータを供給するが、図6ではデータの授受関係を明確に示すため、通信I/O144と良否判定プログラム160と記憶部146とにおいてデータの授受を矢印で示している。
良否判定プログラム160は、ラベル読取部162と形状測定部164と良否判定部166とを備えている。ラベル読取部162は上記通信I/O144を介して上記図示しないラベル読取装置を制御して、良否判定対象が搭載される基板のラベルを識別するラベルデータを取得し、記憶部146に記憶する(ラベルデータ146a)。形状測定部164は上記ガルバノメータ制御部128を制御してレーザー光を掃引させ、X−Yステージ制御部135を制御してX−Yステージ130を駆動して所望の良否判定対象に対してレーザー光が照射されるように制御し、さらにコード生成部122が出力する上記コードからなる形状データを取得して記憶部146に記憶する(形状データ146b)。
ここで、形状測定部164は上記ラベルデータ146aにて特定される基板についての製品データを上記通信I/O144を介して取得する。当該製品データは、後述するようにデータ蓄積装置200に蓄積された基板に関するデータであり、各ラベルの基板において実装される部品の種類や部品上のリード数,その相対位置等が含まれる。形状測定部164はこれらのデータを取得することによって検査対象となるリードの位置を判定し、当該リードの位置付近を掃引できるように上記X−Yステージ制御部135を制御して基板の位置決めを実施する。
形状測定部164は、以上のように位置決めを実施しつつ基板上の検査対象総てについて形状データ146bを取得する。良否判定部166はこれらの形状データ146bを利用してそれぞれの良否判定対象、すなわち、接点に対するはんだ付けの良否を判定する演算処理を行っており、そのためのパラメータ算出部166aと閾値判定部166bとを備えている。パラメータ算出部166aは、上記形状データ146bを用いて後述する図8で説明する式等によってパラメータを算出する。ここにおいては、形状データ146bを複数の変換式にて複数のパラメータに変換する。このパラメータは、はんだ自体の形状やはんだ周囲の形状に相当するパラメータであり、後述する図7に示すようなはんだ形状の差異に応じて異なる値となるパラメータである。
当該パラメータは、はんだおよびその周囲の形状に相当する値であれば、種々の値を採用することができる。このパラメータは良否判定要因となりうるが、後述する判別分析の手法によって適切なパラメータ以外は除外されるので、良否判定要因として適切であるか否かを詳細に検討する必要はなく、形状を特定しうるパラメータであるかぎりパラメータとして採用しておいてかまわない。
図7は、実装部品132についての「良」状態と3種の「不良」状態とを説明する説明図である。同図に示すように、「良」状態では実装部品132の上面が基板の上面に対して略平行であるとともにはんだ133が接点132aの下側に入り込み、さらに、はんだ133の上面は凹面状になっている。上記形状データ146bは、図7のA〜Cおよび接点132a部分からの反射に基づくデータであって、これらの形状に対応している。同図における「良」状態においては、上記レーザー光にて紙面左側から順に掃引したときに形状データ146bのコードが例えば「66554443332200066」となる。
はんだ133の形状の特徴を捉えるに際しては種々の特徴によって形状を特定することができ、例えば上記図7のA〜Cの各位置からの反射に基づくデータを利用して形状を特定することができる。すなわち、上記コードは、はんだ133の凹面形状に対応した数値および順序になっており、同図の位置Aでは、基板面に対して略垂直に上方から下方に向かって進行するレーザー光がはんだ133で基板面に対して略垂直かつ下方から上方に向かって進行する光として反射するのでこの近辺ではコード値”6”となる。位置Aから位置Bに向けて掃引すると、はんだ133の傾斜が徐々に急になることに対応して反射光は紙面左側に配向する。従って、コード値は”5”〜”0”に向けて徐々に小さくなる減少数列になる。そして、接点132aの上面は基板に対して略平行であることから、再びコード値”6”が出現する。
図7の不良(浮き)においては、実装部品132の接点132aがはんだ133となじんでおらず、浮いている状態である。この場合、はんだ133の上面は凸面状になるので、はんだ133上面すなわち反射面の角度やはんだの高さ等は「良」状態と異なっており、形状データ146bは「良」状態と不良(浮き)とで異なってくる。例えば、同図に示す「不良(浮き)」状態においては、形状データ146bのコードが「022333444566666DD」となる。すなわち、はんだ133上面が凸面状であることに対応してコード値は増加数列になるとともに、コード値”6”の隣に接点132aの位置に対応したコード”D”(紙面右側への反射)が出現する様な数列になる。このように、「良」状態と「不良(浮き)」状態とを比較すると、コード値およびその連続の様子に、はんだ上面の形状に対応した差異が存在する。そこで、コード値の増加/減少傾向を示すパラメータによってはんだ上面の形状を特定するパラメータを規定することができる。
図7の不良(はんだ少)においては、実装部品132の接点132aの周囲に十分な量のはんだ133が存在せず、はんだ133の長さ等が上記「良」状態と異なっており、上記A〜Cの形状データ146bが「良」状態と不良(はんだ少)とで異なってくる。同図に示す「不良(はんだ少)」状態における形状データ146bのコード例としては「66666666666532066」のような数列が挙げられる。すなわち、はんだ133がほとんど存在しないことに対応して多くのコード値”6”が連続し、わずかなはんだ133に対応して”5320”のように減少数列がわずかに存在する。「良」状態と「不良(はんだ少)」状態とを比較しても、コード値およびその連続の様子に、はんだ上面の形状に対応した差異が存在する。そこで、これらの形状データ146bにおいてコード値”6”が連続する数や”6”以外のコードが連続する数およびその増加/減少傾向を示すパラメータによってはんだの形状を特定するパラメータを規定することができる。
図7の不良(部品無し)においては、実装部品132がはんだ133上に存在せず、はんだ133上面すなわち反射面の角度や実装部品装着位置からの反射が上記「良」状態と異なっており、上記A〜Cの形状データ146bが「良」状態と不良(部品無し)とで異なってくる。同図に示す「不良(部品無し)」状態における形状データ146bのコード例としては「022333444566666DC」のような数列が挙げられる。すなわち、はんだ133上面が凸面状であることに対応してコード値は増加数列になるとともに、コード値”6”の隣にはんだの凸面に対応したコード”D””C”が出現する様な数列になる。このように、「良」状態と「不良(部品無し)」状態とを比較すると、コード値およびその連続の様子に、はんだ上面の形状に対応した差異が存在する。そこで、コード値の増加/減少傾向や実装部品位置でのコード値変動の有無等を示すパラメータによってはんだ上面の形状を特定するパラメータを規定することができる。
図8は、これらパラメータのうちの一例を説明する説明図であり、形状としてはんだの高さを特定する際の例である。上述のように形状データ146bの各コードは、反射光が図5に示す各センサに到達する位置に対応しており、当該到達位置は照射レーザー光に対する反射角に対応しており、当該反射角は、はんだの面の配向角に対応していると考えられる。そこで、掃引時のデータ取得ピッチPと反射面の配向角を考慮すれば、各ピッチPでのはんだの高さが判明する。具体的には、図8に示すように形状データ146bのコードが”6”のときは基板面に対して略垂直な光路なので反射面は基板に対して略平行であると考え、コードが”5”のときはその反射方向から反射面の基板に対する配向角をβと考える。
配向角βが判明すれば、上記ピッチPでのはんだの高さが判明する。図8に示す例で配向角βに対する高さは10である。同様にコード”4”〜”2”について各ピッチでのはんだの高さを考えることができ、各コードから判明する各ピッチでのはんだの高さを積算すると、上記形状データ146bでのはんだの高さに該当する。そこで、図8に示す例では”665432”という形状データ146bを”0+0+10+20+40+50”に変換してはんだの高さを”120”とする。これが形状を特定しうるパラメータの一例である。尚、図8では簡略化して示しており、実際は同図に示す掃引データ取得回数より多数回のデータを取得しており、形状データ146bの数値列は同図に示す例より多い。
本実施形態におけるパラメータは上述のように例えば200個存在し、上記形状データ146bを種々のパラメータ算出式に代入してパラメータ値を算出することができる。例えば、上記図7に示す不良(はんだ少)においては、はんだの量が少なくなるほどコード値”6”が多くなるので、(コード値”6”の数)/(コード値の総数)を算出すれば、はんだ位置の平坦性を特徴づけるパラメータをパラメータ値として算出することができる。他にも、はんだ上面に凹凸が存在する場合には、コード値が単調変化せず”456545432”等のようにコード値の増減を繰り返すので、連続する二つの数列において数値が増加する場合と減少する場合とを計測し、(増加数−減少数)を算出すれば、はんだ上面の凹凸を特徴づけるパラメータを算出することができる。
以上のように、パラメータ算出部166aでは、予め決められた変換式(パラメータ算出式)に従って、形状データ146bから特定される形状を特徴づける複数のパラメータを算出する。尚、基板上には各種部品が実装されるため、各はんだによって形状等が異なる場合もあるので、その場合には形状データ146bに基づくパラメータの算出式も変更する。むろん、この場合、良否判定ははんだ種別毎に行われる。また、パラメータ算出部166aは製品データとして各はんだについてのパラメータの算出式を取得して計算するが、特定の算出式での演算を実行する様なアルゴリズムでプログラムを作成し、当該プログラムの実行によってパラメータが算出されるように構成しても良い。
閾値判定部166bは、上記通信I/O144を介して上記多変量統計解析装置400から後述する判別関数データと閾値データとを取得して、閾値による良否判定を実施する。判別関数データは、上記パラメータ算出部166aが算出するパラメータのうちのいくつかを変数とした関数であり、閾値判定部166bは上記算出したパラメータを当該判別関数に代入して判定用の値を算出する。さらに、この判定用の値と閾値とを比較し、判定用の値が閾値を境にして良カテゴリー側にある場合には「良」判定、閾値を境にして否カテゴリー側にある場合には「否」判定をする。
閾値判定部166bは、当該良否判定結果を表示部142に対して出力し、レーザー検査装置100に備えられたディスプレイに良否判定結果を表示させる。また、この良否判定結果は良否判定結果データとして通信I/O144を介して出力され、後述するデータ蓄積装置200に蓄積される。以上のように、レーザー検査装置100においては、データ蓄積装置200や多変量統計解析装置400から適宜データを取得して、基板上に実装される各部品の各はんだについてはんだ形状に基づいて実装の良否を判定することができる。
(3)データ蓄積装置の構成:
図9はデータ蓄積装置200にて実行される通信制御プログラムの機能ブロック図である。データ蓄積装置200においては、OS250の制御下で通信制御プログラム260が実行される。OS250は上記通信I/O244を介してのデータ送受信や記憶部246からのファイル読み出しを制御し、通信制御プログラム260に対して必要なデータを供給するが、図9ではデータの授受関係を明確に示すため、通信I/O244と通信制御プログラム260と記憶部246とにおいてデータの授受を矢印で示している。
通信制御プログラム260は、通信I/O244を介してデータを送受信するプログラムであり、外部からの要求に応じて製品データと良否判定結果データを出力する。また、記憶部246は製品データベース246aと良否判定結果データ246bとを蓄積するハードディスクドライブであり、本発明にかかるシステムの運用開始時に予め製品データベース246aと良否判定結果データ246bとが蓄積されるが、システムの運用とともに更新していくこともでき、上記閾値判定部166bが出力する良否判定結果データを取得して追加記録したり、後述する目視入力装置300が出力する目視判定データを新たな良否判定結果データとして追加することも可能である。
図10は、製品データベース246aに蓄積される製品データの例である。本実施形態においては各はんだ毎に検査が行われるため、製品データは個々のはんだの情報の集まりとして記録されている。従って、この製品データにおいては、上記基板に貼り付けられるラベル毎に対応する基板上に存在する各はんだの仕様情報が記憶されている。図10における中央のテーブルは、はんだの仕様情報246a1の一例を示している。同テーブルにおいて、パラメータ算出式が記憶されている。パラメータ算出式は、上述したとおり形状データ146bからはんだの形状を示すパラメータを算出する変換式であり、各はんだ毎に200個のパラメータ算出式が記憶されている。
はんだの仕様情報には、はんだ特徴値が各はんだ仕様項目毎に記憶されている。はんだ特徴値は、各はんだ仕様項目に対応するパラメータ量を意味している。例えば、はんだ仕様項目”接点高さ”に対応するパラメータ量は高さを表す数量”2mm”等となり、これをはんだ特徴値として記憶している。つまり、複数の仕様項目についての複数の特徴値により、各仕様が表されていることとなる。
はんだ仕様項目には、実装される部品情報を示す項目および各はんだの形状情報を示す項目および各はんだ位置示す項目等がある。これらは、レーザー検査装置100にてレーザー光を照射する良否判定対象の位置を特定する等のために使用される。その他のはんだ仕様項目として基板上の部品座標(X,Y)と部品の方向等が記録されれている。また、パッド情報を示すはんだ仕様項目としてパッドの形状情報が記録されている。これによって、レーザーの照射対象位置を特定する。図11はレーザーの照射対象位置を特定する様子を示す図である。同図左側に示すように部品座標は基板上の一点を特定する座標であり、同図中央に示すようにこの座標が部品の特定位置(図11では×印)に該当することが予め決められている。
また、はんだ仕様項目「部品の方向」から基板に対してどのような方向に部品が実装されるのかが特定され、リード数やそのピッチ数によって各リードの位置が特定される。上記掃引はリードの前側から部品本体方向に向けて実施され、リードの位置が特定されることによって掃引開始位置が特定される。従って、上記レーザー検査装置100はこれら製品データによって掃引の開始位置を特定することができ、当該開始位置にレーザーを照射できるように上記X−Yステージ130を制御する。その他、部品情報等を示すはんだ仕様項目が記憶されている。
はんだ仕様項目には、検査条件を示す項目が含まれ掃引情報やトップセンサ閾値がはんだ特徴値として記録されている。掃引情報には掃引回数や掃引ピッチが記録されており、センサ閾値は上記各センサにてレーザー光の受光の有無を特定する閾値が記録されている。従って、上記レーザー検査装置100はこれら製品データによって掃引手法を特定することができ、上記ガルバノメータ124やコード生成部122を制御して掃引およびコードデータの取得を実施する。
以上説明した各はんだ仕様項目にはそれぞれ許容類似範囲が設定され記憶されている。許容類似範囲とは経験あるいは推定等によって得られる数値であって、はんだ特徴値が許容類似範囲内にあるはんだ同士は少なくともそのはんだ仕様項目について類似すると判断できるはんだ特徴値の相対比を示している。ここでいう”はんだ仕様項目について類似する”とは、そのはんだ仕様項目のはんだ特徴値が相違していることのみを理由として、互いに類似するはんだの形状を特定するパラメータ値(例えば、後述するx1〜x200等)に大きな差異は発生しないと推定される関係をいう。ただし、許容類似範囲に設定においては、統計的な裏付けが要求されるものではなく、はんだ特徴値がこの位の範囲で相違していても、はんだの形状を特定するパラメータ値に大きな差異は発生しないであろうという主観的根拠により設定されても良い。
具体的に例を挙げて説明すると、はんだ仕様項目としての掃引回数が±10%の範囲で掃引回数が相違していることのみを理由として、”はんだ高さ”等のはんだの形状を特定するパラメータを示す各パラメータ値に大きな差異は発生しないと予想できれば、掃引回数についての許容類似範囲として±10%が設定される。一方、はんだ仕様項目としての掃引ピッチの相違が各パラメータ値に与える影響は大きいと考えられる。従って、はんだ仕様項目としての掃引ピッチについては許容類似範囲として±5%が設定されている。すなわち、はんだ仕様項目と各パラメータ値と間の依存関係は、はんだ仕様項目によって異なる場合があり、これに対応して各はんだ仕様項目毎に許容類似範囲が設定できるものとしている。
許容類似範囲は製品データベース246aに記憶されるデータであるが、運用開始前に予め設定されている。すなわち、予め入力部320により使用者の設定入力を受け付け記憶部346にて記憶させている。むろん、運用開始後にも入力部320にて使用者の設定入力を受け付けて、再設定することも可能である。ここで、全はんだ仕様項目について互いにはんだ特徴値が許容類似範囲内となる異なるはんだがある場合、はんだ特徴値が互いに相違していてもはんだの形状を特定するパラメータを示す各パラメータ値に大きな差異はないと予想することがきる。
一方、製品データには各はんだについてのパラメータ値データベース246a2が関連づけられて記憶されている。パラメータ値データベース246a2には、各はんだについて過去に実際に算出されたパラメータ値が記録されている。図10において、過去にパラメータ値が算出されたはんだAをサンプルはんだA−1,A−2,・・・A−mとして識別管理している。すなわち、少なくとくもサンプルはんだA−1,A−2,・・・A−mは、対象仕様であるはんだAに対して同仕様のサンプルとなる。
はんだB以降については、はんだAの仕様情報と異なる仕様情報が記録されており、はんだB以降についてのサンプルはんだ(例えば、サンプルはんだB−1,B−2,・・・B−s)等は、はんだAに対して異仕様のサンプルとなる。尚、本実施形態においてはパラメータが200個設定されており、全てのパラメータ値(図10ではx1〜x200等)が記録される。
実際に算出されたパラメータ値は運用開始の段階で、複数のデータが記録されているが、運用に伴って総ての良否判定対象について追記していっても良いし、一部について追記していっても良い。本実施形態において、このデータを追記する場合には上記パラメータ算出部166aが算出したパラメータ値を通信I/O144を介して取得する。いずれにせよ、各はんだについて過去に算出されたパラメータ値は記録され後述する判別関数算出において算出や閾値決定における確率推定に使用される標本(サンプル)となる。尚、以下においては過去にパラメータ値が算出された各はんだを単にサンプルと表記する。また、はんだAについてのサンプル数は”m”個ということとなり、はんだBについてのサンプル数は”s”個ということとなる。
さらに、各サンプルについては、上記良否判定結果データ246bが対応づけられており、良否判定結果データ246bではその良否判定結果が記録されている。また、単一のサンプルにおいても良否判定結は「浮き」,「はんだ少」等の複数の不良項目毎に存在するため、良否判定結果は複数の不良項目毎に記録されている。すなわち、上記パラメータ値と良否判定結果データ246bとの対応によって、あるパラメータ値となる場合に該当する不良項目について判定結果が「良」であるか「否(不良)」であるかが判明する。むろん、各カテゴリー毎のサンプル数についても判明し、例えば、はんだAについての良品のサンプル数”mo”,同不良品のサンプル数”mn”,はんだBについての良品のサンプル数”so”,同不良品のサンプル数”sn”等の情報も取得することが可能である。尚、以下、サンプルについてパラメータ値と良否判定結果が対応づけられた情報をサンプルデータと表記するものとする。
また、サンプルについての良否判定結果データ246bは良否判定対象(はんだ)の良否をカテゴリー化する際に利用される。すなわち、上記レーザー検査装置100において各パラメータ値を判別関数に代入すると判別関数の次元である値が算出されるが、この値について良否判定結果に対応させつつヒストグラムを作成すると、変数Zに対して良判定の分布と否判定の分布が得られる。そこで、それぞれの分布を良カテゴリーと否カテゴリーと定義する。
以上のように、データ蓄積装置200に適切なデータを蓄積し、上記レーザー検査装置100にて参照可能に提供することにより、良否判定を実施することができる。尚、データ蓄積装置200に対して新たなラベルについての製品データその搭載部品のデータ等を追加することにより、運用開始当初に蓄積されていない基板や部品についての良否判定を実施することが可能になる。
(4)目視入力装置の構成:
図12は、目視入力装置300にて実行される目視入力プログラムの機能ブロック図である。目視入力装置300においては、OS350の制御下で目視入力プログラム360が実行される。OS350は通信I/O344を介してのデータ送受信や記憶部346からのファイル読み出しを制御し、目視入力プログラム360に対して必要なデータを供給するが、図12ではデータの授受関係を明確に示すため、通信I/O344と目視入力プログラム360と記憶部346とにおいてデータの授受を矢印で示している。
目視入力プログラム360は、ラベル読取部361と判定結果取得部362と表示制御部363と入力受付部364と目視判定情報送信部365とを備えている。ラベル読取部361は通信I/O344を介して上記図示しないラベル読取装置を制御して、基板のラベルを識別するためのラベルデータを取得し、記憶部346に記憶する(ラベルデータ346a)。ここでは、良否判定対象が搭載された基板の総てではなく否判定された対象を含む基板について読取作業を行えばよい。
判定結果取得部362は通信I/O344を介して上記データ蓄積装置200から上記読取りを行ったラベルに該当する基板に関する上記製品データおよびその良否判定結果データを取得し、記憶部346に保存する。表示制御部363は当該記憶部346に保存された製品データおよび良否判定結果データを参照し、基板平面上のイメージデータを生成し、表示部310(ディスプレイ)に出力することによってディスプレイ上にイメージを表示させる。図13は、このイメージ表示例を示している。
同図に示すように、イメージ表示では基板に搭載された各部品およびその接点の模式図が示されている。同画面を表示した状態において、入力受付部の制御によって目視入力装置300が備えるキーボード等からなる入力部320を介して入力を受け付けることが可能であり、画面上で種々の操作が可能である。例えば、図13の左上に示すように各部品の拡大図を表示させることが可能である。図13においては、各接点についての良否判定を合わせて表示(例えば「否」判定について赤色で表示)することが可能であり、利用者は「否」判定された接点について真に否であるのか目視にて判定する。
さらに、利用者はこの目視判定結果を上記入力部320の操作にて入力することが可能であり、入力受付部364が入力結果を受け付けると目視判定情報送信部365に対して目視の判定結果を受け渡す。同目視判定情報送信部365は、目視判定結果を示す目視判定データを通信I/O344を介して出力する。同目視判定データは上記データ蓄積装置200に対して追記される良否判定結果データ246bである。ここで、むろん「良」判定された接点について真に良であるのかを目視にて判定し、その結果をデータ蓄積装置200に対して送信しても良い。また、目視判定結果とそのパラメータ情報とは対応づけられており、どのようなパラメータに対して目視によって「不良」あるいは「良」と判定したのかを把握できるようになっている。
これらの目視判定データは、多変量統計解析装置400において統計精度向上のために利用される。以上のように、目視入力装置300によれば、多変量統計解析装置400によって解析をする際に、目視入力の結果を本発明における良否判定に反映させることができる。運用開始当初には、この目視結果の反映が必須とはならない(運用開始から高精度で良否判定可能であるため)が、この目視による補正によれば容易に統計精度を向上させることができ、非常に信頼性の高い高性能の良否判定装置を提供することができる。
さらに、目視入力装置300における入力によってカテゴリーを細分化することも可能である。すなわち、はんだ付けが不良になる原因としては種々の原因があり、後述するように不良の原因毎にその原因に特徴的なはんだ形状が異なるので、原因毎に異なる判別関数を規定すれば、非常に高い精度で判定を実施することが可能になる。また、目視入力装置300における入力の際には目視によってはんだの形状を確認するので、そのはんだ形状に対応した不良原因を入力することは容易である。
そこで、目視入力装置300において不良の原因を合わせて入力し、当該入力された原因を示すデータを良否判定結果情報とすれば、原因毎に別個の否カテゴリーと良カテゴリーとを分離する判別関数を算出することが可能になる。ここでは目視によって不良の原因を確認して入力するので、原因が厳密に正しいとは限らないが、少なくとも、見かけ上のはんだ形状が異なれば不良原因が異なると考えられるので、見かけ上の差異によって別個の原因に細分化すればよい。例えば、実装部品132がはんだ133から浮いているもの、はんだが少ないもの、実装部品132が欠けているものなど目視で明らかに判定できる程度で原因別に細分化すれば十分である。
(5)多変量統計解析装置の構成:
本実施形態においては、多変量統計解析装置400による解析を行うことによって意図からはずれた統計的根拠に基づく閾値を決定することができ、これによって高性能の良否判定装置を実現している。この閾値は本発明にいう良否判定指標を意味し、この閾値を算出するために後述する判別関数が算出されている。以下、当該多変量統計解析装置400の構成および処理を説明する。図14は、多変量統計解析装置400にて実行される多変量解析プログラムの機能ブロック図であり、図15,図17は多変量統計解析プログラムが備える各モジュールでの処理を示すフローチャートである。
図14に示す多変量統計解析装置400においては、OS450の制御下で多変量解析プログラム460が実行される。OS450は通信I/O444を介してのデータ送受信や記憶部446(ハードディスクドライブ等)からのファイル読み出しを制御し、多変量解析プログラム460に対して必要なデータを供給するが、図14ではデータの授受関係を明確に示すため、通信I/O444と多変量解析プログラム460と記憶部446とにおいてデータの授受を矢印で示している。
判別関数算出部460aは、ある変数を与える関数であって、当該変数に対して良カテゴリーと否カテゴリーとの度数分布を作成した場合に、両分布が良く分かれる判別関数を算出する処理を行う。図15は判別関数・閾値算出処理の流れをフローチャートにより示している。同図において、まずステップS200にて通信I/O444を介して目視入力装置300に記録された目視判定データとデータ蓄積装置200に記録されたパラメータ値データと良否判定結果データおよび製品データとを取得する。
パラメータ値データは過去において各はんだ毎に実際に算出されたサンプルのパラメータ値のデータである。尚、ここでは取得されるパラメータ値データは特に判別関数の算出の対象となっている不良を特徴づけるようなパラメータに限定されるわけではなく過去に算出されたパラメータ値データ(図10において、x1〜x200)は全て取得される。これらのデータは記憶部446に保存(製品データ446a,目視判定データ446b,パラメータ値データ446c,良否判定結果データ446d)され、多変量解析プログラム460の各モジュールに利用される。
ステップS300のサンプル補充処理においては、ステップS210以降で判別関数や閾値を算出するに当たり、算出に使用するサンプルデータの個数が所定の個数を下回らないような処理を行っている。尚、ステップS300の処理については後述し、ステップS210以降を先に説明する。
まず、パラメータの中からステップS210にて判別関数の変数として組み入れるパラメータを選択する。このパラメータの選択においては公知の手法、例えば、総当たり法,前進選択法,後退消去法,逐次法等を採用可能である。以上のようにして、判別関数の変数として採用すべきパラメータを選択すると、これらのパラメータを変数とした判別関数をステップS220にて算出する。判別関数は
Z=a11+a22+a33+・・・+ann
で表現される。尚、ここで、aiは係数,xiは各パラメータが代入される変数,nは選択されたパラメータの数である。上記判別関数は各パラメータ値を変数として有しており、判別関数により得られる変数”Z”は本発明にいうパラメータ値に基づく数値に該当する。
判別関数は、当該Zについて上記良カテゴリーと否カテゴリーとの度数分布を作成した際に両者を最も分離するようなZを与えるように上記係数が決定されることによって算出され、例えば、下記式(1)におけるの相関比η2を最大にする係数を決定して算出することができる。
Figure 0004109630
尚、上記式(1)でlは良カテゴリーあるいは否カテゴリーを識別する識別符号であり、nlはカテゴリー毎のサンプル数であり、上部に直線が付されたxは総平均である。
上記式(1)において、相関比η2が最大になると全平方和STと群間平方和SBの比が最大になる。この状態においては両カテゴリーの群間分散がなるべく大きく(各カテゴリーの平均がなるべく離れる)、各カテゴリーの分散がなるべく小さくなる。従って、判別関数に対する度数分布においては両カテゴリーが非常に良く分離する。尚、以上のような判別関数の算出は、現代数学社1983年5月1日初版発行、田中豊・脇本和昌著「多変量統計解析法」等に詳述されている。以上のような判別分析を行う手法としては、上記判別関数Zによる判別以外にも種々の手法を採用可能であり、マハラノビスの汎距離によって良否を判定する判別分析に本発明を適用しても良い。また、良カテゴリーと細分化された否カテゴリーとを同時に判別する多群の判別分析を利用しても良い。判別関数算出部460aが以上のようにして各係数aiを算出すると、当該係数およびパラメータを示すデータを判別関数データ446eとして記憶部446に保存する。
統計指標算出部460bは、上記判別関数に対する良カテゴリーと否カテゴリーとの度数分布において閾値を算出する際に利用される統計指標を算出し、閾値決定部460cは当該統計指標を利用して閾値を決定する。すなわち、従来の判別分析においては閾値を画一的にZ=0(両カテゴリーの中間点)としていたが、本発明においては、この閾値決定の際に統計指標を参酌している。
ステップS230では判別関数に対する各カテゴリーのヒストグラムを作成する。すなわち、上記パラメータ値データ446cと良否判定結果データ446dとを取得し、判別関数データ446eの変数として規定されたパラメータにサンプルの各パラメータ値を代入してZの値を算出し、その良否に基づいて良否別に度数を計測してヒストグラムを作成する。このようにして作成されたヒストグラムは例えば図16のようになる。すなわち、各カテゴリー毎の分布は概略正規分布になり、両者の裾がオーバーラップする。尚、実際の量産製品においては歩留まりが高いため否カテゴリーの分布数が同図より大幅に少ないことが多い。
ステップS240では、上記図16のように作成されたヒストグラムにおいて各カテゴリー別にサンプルについての度数平均と標準偏差を算出する。同図において判別関数Z=0が両カテゴリーの度数平均の中心に位置しており、否カテゴリーの度数平均を”Ave”、良カテゴリーの度数平均を”−Ave”と示している。また、否カテゴリーの標準偏差をσn、良カテゴリーの標準偏差をσoとして示している。
ステップS240にてサンプルについての度数平均および標準偏差を算出すると、ステップS250にて入力部420での流出率入力を受け付ける。すなわち、多変量統計解析装置400においては入力部420によって流出率を入力できるようになっており、この流出率に基づいて閾値を決定する。すなわち、流出率は良否判定対象が不良であるにもかかわらず良判定してしまうことによって、不良品が検出されることなく流出する確率であり、否カテゴリーの標準偏差σnによって算出することができる。
標準偏差σnによれば正規分布において、変数が度数平均と標準偏差との間に含まれる確率あるいは変数が標準偏差より外側の裾部分に含まれる確率を容易に特定することができ、標準偏差を定数倍することによって、入力された流出率にすることができる。例えば、図16に示す4σnであれば否カテゴリーの度数分布のうち、全体の0.00031が流出することになる。ただし、ここでいう確率や標準偏差等はあくまでもサンプルにおける確率であり、実際の製品検査における確率や標準偏差等ではない。すなわち、ステップS210〜S280の処理においてはサンプルの度数平均や標準偏差等から実際の製品検査における確率や標準偏差等を統計的に推定しつつ閾値を決定していることとなる。
尚、ステップS250においては、流出率自体の入力を受け付けても良いし、標準偏差に対して乗じる係数の入力を受け付けても良いし、図14に示すように予め保存された流出率データ446f(あるいは標準偏差データ)に基づいて流出率を特定しても良い。いずれにしても、ステップS250にて流出率を受け付けてその値を特定すると、ステップS260においては当該流出率を与えるような閾値Tを仮決定する。図16に示す例では、T=Ave−4σnにて閾値Tを仮決定している。本実施形態においては、流出率の管理に加えて見過ぎ率の管理をも実施しており、この意味でステップS260の閾値Tは仮決定された値である。見過ぎ率は良否判定対象が良品であるにもかかわらず不良判定がなされることによって、いわば過剰に閾値を厳しくしている状況(見過ぎ)が発生する確率であり、良カテゴリーの標準偏差σoによって算出することができる。
本実施形態においては、ステップS270にて見過ぎ率データ446gを取得し、(T+Ave)/σoが9より大きいか否かを判別して、上記仮決定された閾値Tが良カテゴリーの度数平均からその標準偏差σoの9倍より遠いか否かを判別する。同ステップS270にて(T+Ave)/σoが9より大きいと判別されたときには上記仮決定された閾値Tが流出率と見過ぎ率との双方から十分な値であるとして、閾値Tを閾値データ446hとして記憶部446に保存する。ステップS270にて(T+Ave)/σoが9より大きいと判別されないときには、見過ぎ率が高いとしてパラメータの再決定を実施する。
すなわち、良否判定対象の形状について良否を適正に判定できるパラメータが得られてなかったとしてパラメータ自体を再検討し、再決定する。この再決定を行うことによって、十分な流出率および見過ぎ率を確保できない状態で良否判定装置の運用を開始してしまうことを防止することができ、運用開始から高性能の判定を実施できるような装置を提供することができる。また、ノウハウの蓄積をしなくても高性能で装置の運用を開始することができる。尚、本実施形態では見過ぎ率データ446gを予め記憶部446に保存していたが、むろん、入力部420を介してこの見過ぎ率を特定するための値を入力させる構成等を採用可能である。尚、ステップS280における閾値Tの補正処理については後述する。
以上説明したように、本実施形態においては判別関数によって与えられる変数の値を統計的に解析し度数平均や標準偏差を算出している。そして、これらの統計的指標に基づいて、意図通りの見過ぎ率や意図通りの流出率を充足するような閾値を設定し良否判定を行っている。しかしながら、上述した度数平均や標準偏差は標本(サンプル)の確率分布から算出している値であって、あくまでも製品(母集団)検査時における実際の度数平均や標準偏差を推定しているに過ぎない。従って、サンプルにおける度数平均や標準偏差が、実際の度数平均や標準偏差に対して精度や信頼性が低く算出されれば、良否判定の精度や信頼性も当然低くなる。良否判定の精度や信頼性が低くなる要因としては、サンプル数の不足が挙げられる。サンプル数が少ない場合には、それに基づく確率推定も不確かなものとなり良否判定の精度や信頼性が低くなる。
そこで、本発明においては度数平均や標準偏差の算出精度を向上させ、また時間やコスト的にロスの大きいサンプリング作業を繰り返すことを回避するために、図15に示す判別関数・閾値算出処理においてステップS300のサンプル補充処理を行うこととしている。すなわち、ステップS300では判別関数の算出に使用するサンプルの個数を増加させるような処理を行っている。図17は、サンプル補充処理の詳細な流れをフローチャートにより示している。以下、サンプル補充処理をはんだAについて「浮き」不良を判定するための判別関数を算出する場合を例にして説明する。まず、図15に示すS200にて通信I/O444を介して目視入力装置300に記録された目視判定データとデータ蓄積装置200に記録されたパラメータ値データと良否判定結果データおよび製品データとが取得される。
ここで、はんだAについての判別関数を算出するために使用されるサンプルデータはステップS200で取得されたはんだAについてのパラメータ値データとその「浮き」不良に対する良否判定結果である。すなわち、はんだAが本発明にいう対象仕様のはんだであり、はんだAのサンプルから取得されたサンプルデータが本発明にいう対象仕様サンプルデータに相当する。同サンプルデータは、はんだAについてのサンプル数分存在しており、各々が200個のパラメータ値を有している。また、図10に示すようにはんだAについて過去にパラメータ値が算出されたサンプル数は”m”個となっている。さらに、はんだAについての良品サンプル数”mo”個,同不良品サンプル数”mn”個,はんだとは異仕様となるはんだBについての良品サンプル数”so”個,同不良品のサンプル数”sn”個となっている。
ステップS310においては規定数Mを算出するための誤差Eと有意水準αの入力を受け付ける。誤差Eと有意水準αは入力部420にて受け付けられ、規定数算出部460dに入力される。尚、ここでいう誤差Eは使用者が望む閾値の算出誤差であり、有意水準αは使用者が望む閾値の信頼性である。ステップS320では規定数算出部460dが所定の計算式により、使用者が要求する誤差Eと有意水準αを満足する閾値が算出するために必要なサンプル数を規定数Mとして算出する。上記算出式は下記式(2)における標本数算出の公式により算出することができる。
Figure 0004109630
尚、上記式(2)において”z(α/2)”は正規分布N(0,12)における(α/2)の確率点を示し、”p”は統計値の推定を行う母比率を示している。例えば、上記式(2)によって、最も多いサンプル数が必要となる確率値p=0.5とした条件において、誤差E=0.01と有意水準α=0.05とを満足するサンプル数を算出すると、規定数M=2401個となる。従って、良品サンプル数が規定数M(2401個)より小さい場合には、期待する誤差0.01と有意水準0.05を満足するような閾値の推定を行うことができない。
そして、ステップS330においては、はんだAの良品サンプル数moと規定数Mとを比較する。そして、良品サンプル数moが規定数Mより小さい場合には、判別関数算出の処理を中断させる。この場合、判別関数・閾値算出処理を中断し表示部310等を介して作業者等にサンプルデータを追加するように促す警告を発するようにしても良い。本実施形態においては標本数算出の公式により、誤差Eと有意水準αとから規定数Mを求めるものとしたが、使用者の主観等によって決められた規定数Mの入力を直接受け付けるようにしても良い。
このようにすることにより、期待より信頼性や精度が悪い良否判定を行ってしまうことを未然に防止することができる。量産製品は製品歩留まりが高い場合が多いため、不良品サンプルは良品サンプルより圧倒的に少ないケースが多い。従って、良品サンプルの数が規定数Mに満たないときは不良品サンプルの数が規定数Mを満足する可能性は極めて低く、良品サンプルの数が規定数Mに満たないと判明した時点で処理を中断するものとしている。むろん、良品サンプルの数と不良品サンプルの数がともに規定数Mに満たないとき中断するようにしても良いし、良品サンプルの数と不良品サンプルの数のいずれかが規定数Mに満たないとき中断するようにしても良い。
一方、良品サンプル数が規定数Mより大きい場合には、良カテゴリーについては所望の信頼性αや精度Eを満足するような確率推定を行うことができる。具体的には、良品サンプルの確率分布に基づく見過ぎ率の推定の精度や信頼性が保証される。次に、ステップS340にて不良品サンプル数についても規定数Mがあるかどうか判定される。ここで、不良品サンプル数が規定数Mより大きければ、不良品サンプルの確率分布に基づいて所望の信頼性や精度を満足する推定をステップS210〜S280にて行うことが可能となる。具体的には、否カテゴリーの確率分布に基づく流出率の推定の精度や信頼性が保証される。従って、そのまま図15に示すステップS210に進み判別関数に組み入れるパラメータが選択される。尚、ステップS210以降の各処理については前述のとおりである。
ステップS340にて、否カテゴリーについて規定数Mより多くの対象仕様の不良品サンプルの個数がないと判定されると、ステップS400にて類否判定部400dは、はんだ仕様の類否判定処理を実行する。図18は、ステップS400にて行われるはんだ仕様の類否判定処理の流れを詳細に示している。まず、ステップS410にて全ての接点仕様のうち良カテゴリーおよび否カテゴリーに属するサンプル数が規定数Mに満たないはんだ仕様を除外する。例えば、はんだBについての良品サンプル数”so”と同不良品のサンプル数”sn”と規定数Mとを比較する。そして、ステップS420においては図10において詳細を示した製品データ446aを取得して、図19において例示するような比較テーブルD1を生成する。
比較テーブルD1においては、それぞれのはんだ仕様項目に対応する許容類似範囲と、はんだAの仕様を示すはんだ特徴値と、はんだAとは異なる異仕様のはんだB,C,D……の仕様を示すはんだ特徴値とが一覧化されている。尚、ここで一覧化されるはんだ仕様項目はパラメータ量として数値化が可能なものに限られている。比較テーブルD1に示す例では、はんだ仕様項目は1〜gまでのはんだ仕様項目があり、その項目数はg個となる。尚、はんだ特徴値をPyxと表す。はんだ特徴値Pyxの添え字yは、はんだを表しており、y=A,B,C・・・となる。はんだ特徴値Pyxの添え字xは、はんだ仕様項目を表しており、x=1,2,・・・gとなる。また、後述する許容類似範囲Fxやはんだ特徴値偏差Wyxやはんだ特徴値偏差割合Vyxや平方和Hyについても同様の方法で添え字を付けて表記するものとする。
ステップS430においては、異仕様の各はんだについてはんだ特徴値偏差Wyxを算出し、これを対象仕様としてのはんだAのはんだ特徴値PAxで割ることにより、はんだ特徴値偏差割合Vyxを算出する。以上を数式により表すと、
yx=(PAx−Pyx)/PAx
となる。はんだ特徴値偏差割合Vyxの算出結果の一例を図20の比較テーブルD2において示している。
そして、ステップS440においては、全てのはんだ仕様項目x(x=1〜g)について、はんだ特徴値偏差割合Vyxが許容類似範囲Fxとなる異仕様のはんだを検索する。図20に示す例では、はんだBとはんだDが検索される。ステップS440にて検出された異仕様のはんだの個数に応じて以降の処理を異ならしめている。
まず、ステップS440にて検索された異仕様のはんだの一個である場合には、ステップS450にて、同検索された各異仕様のはんだをはんだAと類似する異仕様のはんだであると判定する。すなわち、全てのはんだ仕様項目について許容類似範囲内Fxである異仕様のはんだを類似する異仕様のはんだであると判定する。
ステップS440にて検索された異仕様のはんだが二個以上ある場合には、ステップS460にて、同検索された異仕様のはんだ毎に平方和Hyを算出する。平方和Hyを計算式により表すと、
y=Vy1 2+Vy2 2+Vy3 2+・・・+Vyg 2
となる。そして、平方和Hyが最も小さいはんだの仕様を最も類似すると判断する。図20の比較テーブルD2にて示す例では、はんだBの平方和HBが最も小さい値となっているため、ステップS460にてはんだBの仕様がはんだAの仕様に最も類似すると判定される。
以上説明したステップS450およびステップS460にて類似すると判定された異仕様のはんだと、判別関数と閾値Tの算出の対象となっているはんだとは、全はんだ仕様項目においてはんだ特徴値が相互に許容類似範囲内であるため、これらのはんだから取得されるパラメータ値は大きく相違しないということが予想できる。すなわち、これらのはんだのサンプルから取得されたパラメータ値の分布傾向は互いに似たような分布傾向になると予想できる。
一方、ステップS440にて類似する異仕様のはんだが検索されない場合には、類似するはんだを検索することができないとして判別関数・閾値算出処理を中断させる。この場合、判別関数・閾値算出処理を中断し表示部310等を介して作業者等にサンプルデータを追加するように促す警告を発するようにしても良い。このようにすることにより、あからさまに仕様が異なるはんだから取得されたサンプルデータを使用して、却って閾値Tの算出精度を悪化させることを防止することができる。
以上のように判別関数および閾値Tの算出対象となるはんだと類似する異仕様はんだが判定されると、図17のステップS350にて判別関数および閾値Tの算出対象となるはんだのサンプルデータに、これと類似する異仕様はんだのサンプルデータが追加される。図19〜図20に示す例では、はんだBがはんだAに対して類似すると判定されるため、ステップS350では、はんだAのサンプルデータとしてはんだBのサンプルデータが補充される。従って、はんだAの判別関数や閾値Tを算出するためのサンプル数としては、対象仕様のはんだAのサンプル数と異仕様のはんだBのサンプル数とが加算された個数となる。すなわち、良カテゴリーにおいては”mo+so”個が算出に使用する全サンプル数となるし、否カテゴリーにおいては”mn+sn”個が算出に使用する全サンプル数となる。また、ステップS410によって、はんだBの良品サンプル数soおよび不良品サンプル数snはともに規定数Mをより多いため、補充後のサンプル数は規定数Mをより多いことが保証される。
このようにして、不足するサンプルデータを異仕様のはんだのサンプルデータで補充することにより規定数のサンプル数を確保することが可能となる。従って、サンプル数を確保するためのサンプリング作業の負担を軽減させることが可能となる。また、サンプルデータを補充するはんだは類似するはんだに限定されるため、類似するはんだから取得されたパラメータ値に基づく分布傾向と、閾値の算出対象となるはんだから取得されるパラメータ値に基づく真の分布傾向とのずれを最小限に抑え、これに基づいて算出される閾値の信頼性を低下させないようにすることができる。
しかしながら、サンプルデータを補充するはんだを、類似するはんだに限定したことにより、真の分布傾向とのずれを最小限に抑えることはできても、完全にずれをなくすことはできない。従って、そのわずかなずれの分だけ閾値Tの算出が不正確なものとなる場合がある。例えば、図21のヒストグラムに示すように、閾値Tの算出対象となるはんだから取得されるパラメータ値に基づく真の否カテゴリーの分布傾向に対して、類似するはんだから取得されたパラメータ値も含めた否カテゴリーの分布傾向が少し否カテゴリー側にずれた場合には、否カテゴリー度数平均Aveも否カテゴリー側にずれることとなる。従って、T=Ave−4σnにて算出される閾値Tも、否カテゴリー側にずれた値となる。この場合、真の否カテゴリーにおいて閾値Tよりも良カテゴリー側にあるものについては、不良品であるにも拘わらず良品として判定されることとなる。また、度数平均Aveにずれが生じなくても、真の否カテゴリーよりも標準偏差σが小さくなった場合にも、同様に不良品であるにも拘わらず良品として判定されるものが生じることとなる。
かかる課題を解決するために本実施形態においては、図15におけるステップS280にて閾値Tの補正処理を行っている。図22は、閾値Tの補正処理の流れをフローチャートにより示している。同図において、まずステップS281にて、サンプル比Jを算出する。サンプル比Jは、ステップS260,S270にて閾値Tを算出した際に使用した全サンプル数に対する、異仕様のサンプル数の比である。図19,20の例においては、以下の数式
J=sn/(mn+sn
により算出する。従って、サンプル比Jは0〜1で変動する変数であり、異仕様のサンプル数が多いほど1に近づいた値となる。そして、ステップS282では、以下の数式
*=Ave−(4σ+σ×J)
により補正後の閾値T*を算出している。
すなわち、異仕様のサンプル数の比が大きければ大きいほど、否カテゴリーの度数平均Aveから良カテゴリーの度数平均−Aveに近づいた値に閾値Tを補正することが可能となっている。従って、異仕様のサンプル数の比が大きく閾値Tの信頼性が低くなりそうな場合には、閾値T*を良カテゴリーの度数平均−Aveに近づけて不良品が良品として流出することが防止できる。すなわち、閾値Tの算出に使用する異仕様サンプルデータの数に対する対象仕様サンプルデータの数の割合が少ないほど不良流出の可能性をより低くした値T*に補正している。
尚、本実施形態においては、良否判定において取得されたパラメータ値は順次データ蓄積装置200に追記されるため、対象仕様について検査を行えば次第に算出に使用されるサンプル数に占める異仕様のサンプル数の比が小さくなっていく。従って、データを蓄積するほど、閾値T*の信頼性は向上するとともに、本来の閾値T(=Ave−4σ)に閾値T*が近づいた値となる。
上記実施形態においては、レーザー検査装置100に良否判定装置を適用して実装部品のはんだ形状から実装部品装着の良否を判定していたが、むろん良否判定対象はこれに限らず種々のものを採用可能である。例えば、形状データ146bを取得するための手段は上記照射レーザー光の反射光を検出するセンサに限られない。照射電磁波をX線に置換し、センサをX線ディテクタに置換すれば、同様の検査装置を提供することができ、同様の多変量解析によって高性能の良否判定装置を提供することができる。むろん、形状データを取得するために反射光の方向を検出することが必須になるわけではなく、透過光でも良いし、光の方向ではなく強度を検出しても良い。
可視光や赤外線等を利用しても良いし、画像を撮像するとともに当該画像の画像データを種々の変換式にて複数のパラメータに変換して本発明にかかる多変量解析によって高性能の良否判定を行っても良い。
良否判定装置を構成するシステムの概略ハードウェア構成を示す図である。 レーザー検査装置における概略フローチャートである。 レーザー検査装置の概略構成を示す図である。 センサの配置関係を示す図である。 生成されるコードを説明する説明図である。 良否判定プログラムの機能ブロック図である。 実装部品についての「良」状態と「不良」状態とを説明する説明図である。 パラメータの一例を説明する説明図である。 通信制御プログラムの機能ブロック図である。 製品データベースに蓄積される製品データの例を示す図である。 レーザーの照射対象位置を特定する様子を示す図である。 目視入力プログラムの機能ブロック図である。 基板平面のイメージ表示例を示す図である。 多変量解析プログラムの機能ブロック図である。 判別関数および閾値算出処理のフローチャートである。 各カテゴリーのヒストグラムを示す図である。 サンプル補充処理のフローチャートである。 類否判定処理のフローチャートである。 類否判定処理にて生成される比較テーブルの例である。 類否判定処理にて生成される比較テーブルの例である。 各カテゴリーのヒストグラムを示す図である。 閾値補正処理のフローチャートである。
符号の説明
100…レーザー検査装置
110…受光ボックス
112…トップセンサ
114…アップセンサ
116…サイドセンサ
118…ハーフミラー
120…アンプ
122…コード生成部
123…レンズ
124…ガルバノメータ
126…レーザー発振器
128…ガルバノメータ制御部
130…X−Yステージ
132…実装部品
132a…接点
133…はんだ
135…X−Yステージ制御部
142…表示部
146…記憶部
146a…ラベルデータ
146b…形状データ
160…良否判定プログラム
162…ラベル読取部
164…形状測定部
166…良否判定部
166a…パラメータ算出部
166b…閾値判定部
200…データ蓄積装置
246…記憶部
246a…製品データベース
246b…良否判定結果データ
260…通信制御プログラム
300…目視入力装置
310…表示部
320…入力部
346…記憶部
346a…ラベルデータ
360…目視入力プログラム
361…ラベル読取部
362…判定結果取得部
363…表示制御部
364…入力受付部
365…目視判定情報送信部
400…多変量統計解析装置
420…入力部
446…記憶部
446a…製品データ
446b…目視判定データ
446c…パラメータ値データ
446d…良否判定結果データ
446e…判別関数データ
446f…流出率データ
446g…見過ぎ率データ
446h…閾値データ
460…多変量解析プログラム
460a…判別関数算出部
460b…統計指標算出部
460c…閾値決定部
460d…類否判定部
460e…規定数算出部

Claims (10)

  1. 複数の仕様のサンプルについてのパラメーター値とその良否判定結果情報とからなるサンプルデータを予め取得するサンプリング手段と、
    各仕様毎に良カテゴリーと否カテゴリーの少なくとも一方のカテゴリーについての上記パラメータ値に基づく数値の分布傾向から統計的推定を行うことにより良否判定の閾値を算出する閾値算出手段と、
    良否判定対象から上記パラメータ値を取得する良否判定対象検査手段と、
    上記良否判定対象から取得された上記パラメータ値に基づく数値と上記閾値とを比較することにより当該良否判定対象の良否判定を行う良否判定手段とを備える良否判定装置において、
    上記閾値算出手段は、
    上記仕様を示す特徴値を各仕様毎に記憶する仕様情報記憶手段と、
    上記閾値の算出対象となる対象仕様を示す上記特徴値と、同閾値算出の対象とならない異仕様を示す上記特徴値とを比較することにより、同対象仕様と同異仕様との類否判断を行う類否判定手段とを備え、
    上記閾値を算出するに当たり、対象仕様のサンプルから取得された対象仕様サンプルデータと、同類否判定手段により上記対象仕様と類似すると判定された上記異仕様のサンプルから取得された異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から上記閾値を算出することを特徴とする良否判定装置。
  2. 上記閾値算出手段は、
    上記閾値を算出するに当たり、少なくとも一方のカテゴリーについて対象仕様サンプルデータ数を認識するとともに、
    認識された同対象仕様サンプルデータの個数が規定数より少なければ、同対象仕様サンプルデータと、上記類否判定手段により上記対象仕様と類似すると判定された上記異仕様のサンプルから取得された異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から上記閾値を算出することを特徴とする上記請求項1に記載の良否判定装置。
  3. 上記規定数は、
    入力された所望の信頼性と精度とから、これらを満足するサンプル数として算出されることを特徴とする上記請求項2に記載の良否判定装置。
  4. 上記類否判定手段は、上記閾値の算出対象となる対象仕様の上記特徴値に対する同特徴値と同閾値算出の対象とならない異仕様の上記特徴値との偏差の割合を算出し、同割合が小さい異仕様を同対象仕様と類似すると判断することを特徴とする上記請求項1から上記請求項3のいずれかに記載の良否判定装置。
  5. 上記類否判定手段は、複数の上記特徴値に対する上記割合の平方和を仕様毎に算出し同平方和が最も小さい異仕様を同対象仕様と類似すると判断することを特徴とする上記請求項1から上記請求項4のいずれかに記載の良否判定装置。
  6. 上記類否判定手段は、上記割合が所定の許容類似範囲内とならない場合には類似すると判定しないことを特徴とする上記請求項1から上記請求項5のいずれかに記載の良否判定装置。
  7. 上記閾値算出手段において、上記対象仕様サンプルデータと上記異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から算出する上記閾値は、上記対象仕様サンプルデータのみに基づく数値の分布傾向から算出する上記閾値よりも不良流出の可能性を低くした値に補正されることを特徴とする上記請求項1から上記請求項6のいずれかに記載の良否判定装置。
  8. 上記閾値算出手段において、上記対象仕様サンプルデータと上記異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から算出する上記閾値は、同算出に使用する上記異仕様サンプルデータの数に対する上記対象仕様サンプルデータの数の割合が少ないほど不良流出の可能性をより低くした値に補正されることを特徴とする上記請求項7に記載の良否判定装置。
  9. 複数の仕様のサンプルについてのパラメーター値とその良否判定結果情報とからなるサンプルデータを予め取得するサンプリング機能と、
    各仕様毎に良カテゴリーと否カテゴリーの少なくとも一方のカテゴリーについての上記パラメータ値に基づく数値の分布傾向から統計的推定を行うことにより良否判定の閾値を算出する閾値算出機能と、
    良否判定対象から上記パラメータ値を取得する良否判定対象検査機能と、
    上記良否判定対象から取得された上記パラメータ値に基づく数値と上記閾値とを比較することにより当該良否判定対象の良否判定を行う良否判定機能とをコンピュータに実現される良否判定プログラムにおいて、
    上記閾値算出機能は、
    上記仕様を示す特徴値を各仕様毎に記憶する仕様情報記憶機能と、
    上記閾値の算出対象となる対象仕様を示す上記特徴値と、同閾値算出の対象とならない異仕様を示す上記特徴値とを比較することにより、同対象仕様と同異仕様との類否判断を行う類否判定機能とを実行し、
    上記閾値を算出するに当たり、対象仕様のサンプルから取得された対象仕様サンプルデータと、同類否判定機能により上記対象仕様と類似すると判定された上記異仕様のサンプルから取得された異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から上記閾値を算出することを特徴とする良否判定プログラム。
  10. 複数の仕様のサンプルについてのパラメーター値とその良否判定結果情報とからなるサンプルデータを予め取得するサンプリング工程と、
    各仕様毎に良カテゴリーと否カテゴリーの少なくとも一方のカテゴリーについての上記パラメータ値に基づく数値の分布傾向から統計的推定を行うことにより良否判定の閾値を算出する閾値算出工程と、
    良否判定対象から上記パラメータ値を取得する良否判定対象検査工程と、
    上記良否判定対象から取得された上記パラメータ値に基づく数値と上記閾値とを比較することにより当該良否判定対象の良否判定を行う良否判定工程とを備える良否判定方法において、
    上記閾値算出工程は、
    上記仕様を示す特徴値を各仕様毎に記憶する仕様情報記憶工程と、
    上記閾値の算出対象となる対象仕様を示す上記特徴値と、同閾値算出の対象とならない異仕様を示す上記特徴値とを比較することにより、同対象仕様と同異仕様との類否判断を行う類否判定工程とを備え、
    上記閾値を算出するに当たり、対象仕様のサンプルから取得された対象仕様サンプルデータと、同類否判定工程により上記対象仕様と類似すると判定された上記異仕様のサンプルから取得された異仕様サンプルデータとに基づく数値の分布傾向から上記閾値を算出することを特徴とする良否判定方法。
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