JP4109578B2 - 化学発光式ガス分析方法および装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車や煙道などの排ガスその他のサンプルガスの成分を測定する化学発光式ガス分析方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開平9−21753号公報
化学発光法(Chemiluminescence)を用いた従来の化学発光式ガス分析計として、上記特許文献1に示すように、光学窓を有する反応槽と、SO以外の硫黄化合物をSOに還元する還元器を経たサンプルガスを前記反応槽内に供給する第1のサンプルガス供給流路と、前記還元器を経ないサンプルガスを前記反応槽内に供給する第2のサンプルガス供給流路と、前記反応槽内にオゾンを供給するオゾン供給流路と、前記反応槽の光学窓に対向して配置され、反応槽での化学発光を検出する受光部と、反応槽の光学窓と受光部との間に配置され、SOとオゾンとの反応により発生する化学発光とSOとオゾンとの反応により発生する化学発光とを波長により分離して受光部に導入する分光手段とを備えたものがある。
【0003】
前記化学発光式ガス分析計では、前記第1のサンプルガス供給流路にサンプルガスを送り、還元器においてサンプル中のSO2をSOに還元し、その後、サンプルガスを反応槽内に供給して、サンプルガス中のSOとオゾン供給流路からのO3とを反応させ、このとき生じた化学発光を前記受光部に導くことで、SOxを定量測定する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の構成からなる従来の化学発光式ガス分析計では、SOxのうちO3と反応して化学発光するのはSOのみであるため、反応槽内に供給されるサンプルガス中に含まれるSOxを全てSOに変換して反応槽に導くまでその状態を保たなければ、高精度にSOxを測定することが困難となる。
【0005】
しかし、SOは不安定であり、前記化学発光式ガス分析計では、サンプルガスが第1のサンプルガス供給流路の還元器を出てから反応槽内に到達するまでの間に、サンプルガス中のSOの一部がSO2に戻り、サンプルガス中のSOひいてはSOxを正確に測定することができないという問題があった。
【0006】
上記の問題への対策としては、前記還元器と反応槽とを可能な限り近づけることが考えられるが、このように構成した場合でも、反応槽内に供給されるサンプルガス中に含まれるSOの割合をある程度増やすことはできるが、やはり高精度のSOx測定を実現させることは困難であった。
【0007】
この発明は、上述の事柄に留意してなされたものであって、その目的は、サンプルガス中のSOx及びH2S(以下、サンプルガス中のSOx及びサンプルガス中のH2Sを合計したものを「硫黄化合物」という。)を精度よく測定することができる化学発光式ガス分析方法および装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の化学発光式ガス分析方法は、サンプルガスとオゾンとを混合し、サンプルガス中のH2Sをオゾンと反応させることにより発生した化学発光を検出する化学発光式ガス分析方法であって、H2S以外の硫黄化合物を含むサンプルガスを直接オゾンに混合し反応させる第一供給状態と、前記サンプルガスとオゾンとを混合する前に、還元剤および触媒を用いてサンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物をH2Sに変換し、その変換されたサンプルガス中のH2Sをオゾンに混合し反応させる第二供給状態と、を選択して化学発光を検出することにより、前記第一供給状態の選択時にはサンプルガス中のH 2 S濃度を導出し、前記第二供給状態の選択時にはサンプルガス中の全硫黄化合物濃度を導出し、また、導出された全硫黄化合物濃度から導出されたH 2 S濃度を減算することで、サンプルガス中のH 2 S以外の硫黄化合物濃度を求めることを特徴としている(請求項1)。
【0009】
上記の特徴を有する本発明では、第一供給状態を選択した場合、サンプルガス中のH2Sとオゾンが反応することで発生する所定の波長の光を検出することにより、サンプルガス中に存在するH2S濃度を導出することが可能となる。
【0010】
また、第二供給状態を選択した場合、サンプルガス中の硫黄化合物はH2Sに変換された状態で前記オゾンと混合され、前記H2Sとオゾンとが反応することで所定の波長の光が発生する。そして、この光を検出し、この検出値を所定の演算式に代入して演算することにより、サンプルガス中に含まれる硫黄化合物の量(濃度)を導出することが可能となる。ここで、前記H2Sは、その一部がSO2に戻る不安定なSOとは異なり安定しており、サンプルガス中の硫黄化合物から変換して形成されたH2Sは、他の物質に変化することなく前記オゾンと反応することから、高精度で硫黄化合物を測定することができる。
【0011】
このように第一供給状態と第二供給状態とを選択することによって、サンプルガス中に存在するH2S濃度だけでなく、サンプルガス中の全硫黄化合物濃度をも測定することが可能となる。従って、前記全硫黄化合物濃度からサンプルガス中に存在するH2S濃度を減ずれば、サンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物(SOx)濃度を求めることができる。
【0012】
また、前記サンプルガスを、前記オゾンとともに一定濃度の窒素酸化物と混合してもよい(請求項2)。
【0013】
この場合には、前記サンプルガス中のNOx量が急激に変動してもその変動がH2Sの検出に与える影響を非常に軽減することができ、より正確に硫黄化合物濃度を測定することができる。
【0014】
さらに、前記サンプルガスを、前記オゾンとともに希釈ガスと混合し、かつこの混合を行う空間内の温度および圧力を調整することで、前記オゾンとサンプルガス中のH2Sとの反応により発生する化学発光の検出に干渉する成分の影響を抑えるとしてもよい(請求項3)。
【0015】
前記サンプルガス中のH2Sとオゾンとを混合する際に、この混合を行う空間内にCO2、COが存在すると、前記H2Sとオゾンとの反応により発生した化学発光を検出したときの指示値に影響が生じる。詳しくは、前記CO2やCOが及ぼす影響はクエンチング(quenching)効果と呼ばれるもので、CO2やCOが存在しているだけで、前記指示値が実際よりも小さくなるというものである。サンプルガスを希釈するとともに、温度及び圧力を調整することにより、上記影響を抑え、高精度に硫黄化合物濃度を求めることができる。
【0016】
サンプルガスに、希釈ガスを混合し、圧力及び温度を調整することにより、オゾンとH2Sとの反応に影響を及ぼす成分(例えば、CO2,CO,NOxなど)がサンプルガス中に含まれていても、これらの成分がオゾンとH2Sとの反応に及ぼす影響は小さくなり、また、オゾンとH2Sが反応したときに放出される光の波長(340nm付近)と同波長の光を放出する成分(例えば、CH3SH、(CH3)2SやC2H5SHなどのH2S以外の硫化物)がサンプルガス中に含まれていても、これらの成分が放出する光の量は少なくなり、加えて、前記サンプルガス、オゾンおよび希釈ガスの流量調整を行えば、より正確に硫黄化合物濃度を測定することができる。
【0017】
また、前記サンプルガスを前記オゾンと混合する前に、サンプルガス中に含まれるNH3および/またはNOxを除去するとしてもよい(請求項4)。すなわち、サンプルガスがNH3を数百ppmから千ppm程度含む場合には、NH3の影響によりサンプルガスが通る流路を構成する配管内や反応セル内において(NH4)2Sが生成され、感度低下を引き起こす場合があるが、NH3をサンプルガス中から除去することで、NH3の影響無くH2Sのみを測定することが可能となる。また、サンプルガス中からNOxを除去すれば、NOxの影響をおさえて硫黄化合物の濃度を正確に測定するという効果が得られる。
【0018】
一方、本発明の化学発光式ガス分析装置は、サンプルガス供給路と、オゾン発生器を有する反応ガス供給路と、前記サンプルガス供給路および反応ガス供給路が接続される反応セルを有する測定部とを備えた化学発光式ガス分析装置であって、前記サンプルガス供給路として、サンプルガスを前記反応セルに直接供給するための第一流路と、サンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物をH2Sに変換する変換部を有し、この変換部でH2S以外の硫黄化合物がH2Sに変換されたサンプルガスを前記反応セルに供給するための第二流路とを備え、これら第一流路による供給状態と第二流路による供給状態とに切り換える弁を設け、この弁の切り換えで、サンプルガスを前記第一流路から反応セルに直接供給してサンプルガス中のH 2 S濃度を測定する状態と前記H 2 S以外の硫黄化合物がH 2 Sに変換されたサンプルガスを前記第二流路から前記反応セルに供給してサンプルガス中の全硫黄化合物濃度を測定する状態とに選択可能に構成されているとともに、測定された全硫黄化合物濃度から測定されたH 2 S濃度を減算することで、サンプルガス中のH 2 S以外の硫黄化合物濃度を求める手段を有していることを特徴としている(請求項5)。
【0019】
具体的には、前記変換部が、内部にセラミックを収容した筒体と、この筒体内を所定温度(例えば750℃以上)に加熱するための加熱手段と、前記筒体内にH2を供給するためのH2供給路とを備えている(請求項6)。
【0020】
上記の構成からなる本発明では、第一流路による供給状態に切り換えた場合、反応セルに直接供給されるサンプルガス中のH2Sとオゾンが反応することで発生する所定の波長の光を検出することにより、サンプルガス中に存在するH2S濃度を導出することが可能となる。
【0021】
また、弁を介して第二流路による供給状態に切り換えた場合、サンプルガス中の硫黄化合物は変換部のセラミックおよびH2によりH2Sに変換された状態で前記反応セル内に供給され、反応セル内においてサンプルガス供給路からのH2Sと反応ガス供給路からのオゾンとが反応して所定の波長の光が発生する。そして、この光を検出し、この検出値を所定の演算式に代入して演算することにより、サンプルガス中に含まれる硫黄化合物の量(濃度)を導出することが可能となる。ここで、前記H2Sは、その一部がSO2に戻る不安定なSOとは異なり安定していることから、サンプルガス供給路において硫黄化合物から変換して形成されたH2Sは、他の物質に変化することなく反応セル内へと供給され、これにより、高精度で硫黄化合物を測定することができる。
このように第一流路と第二流路とに切り換えることによって、サンプルガス中に存在するH2S濃度だけでなく、サンプルガス中の全硫黄化合物濃度をも測定することが可能となる。従って、前記全硫黄化合物濃度からサンプルガス中に存在するH2S濃度を減ずれば、サンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物(SOx)濃度を求めることができる。
【0022】
また、前記測定部において、サンプルガス中のH2Sと、NOおよび/またはCOとを測定するように構成してもよい(請求項7)。この場合には、サンプルガスに含まれる複数成分を同時に測定することが可能となる。
【0023】
【0024】
また、前記オゾン発生器に所定濃度のO2とN2とを供給する供給路と、前記反応セル内を所定温度となるように加熱する加熱手段と、反応セル内を減圧する減圧手段とを備えたとしてもよい(請求項8)。
【0025】
この場合、前記オゾン発生器に所定濃度のO2とN2とを供給することにより、オゾン発生器からほぼ一定濃度の窒素酸化物及び希釈ガスとしてのN2が反応セルに供給される。これにより、前記サンプルガス中のNOx量が急激に変動してもその変動がH2Sの検出に与える影響を非常に軽減することができ、また、CO2やCOが共存することによるクエンチングの影響を抑えることができる。従って、より正確に硫黄化合物濃度を測定することができる。
【0026】
また、前記反応セルに光透過窓を設け、前記サンプルガス供給路の下流端部又は反応ガス供給路の下流端部のいずれか一方が、前記光透過窓に向けて配置される内管となり、他方が前記内管の外側に配置される外管となるように構成してもよい(請求項9)。
【0027】
この場合には、前記反応セル内に供給されるサンプルガス中のH2Sと反応ガス中のオゾンとが効率よく反応することから、正確な硫黄化合物濃度を測定することができるという上記の効果はさらに向上する。
【0028】
また、前記サンプルガス供給路に、サンプルガス中のNH3および/またはNOxを除去する除去手段を設けてもよい(請求項10)。すなわち、サンプルガスがNH3 を数百ppmから千ppm程度含む場合には、NH3の影響によりサンプルガス供給路を構成する配管内や反応セル内において(NH4)2Sが生成され、感度低下を引き起こす場合があるが、NH3をサンプルガス中から除去することで、NH3の影響無くH2Sのみを測定することが可能となる。また、サンプルガス中からNOxを除去すれば、NOxの影響をおさえて硫黄化合物の濃度を正確に測定するという効果が得られる。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例を、図を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る化学発光式ガス分析方法に用いる化学発光式ガス分析装置(以下、分析装置という)Dの構成を概略的に示す説明図である。
本実施例の分析装置Dは、車両のエンジンからの排ガスをサンプルガスSとし、このサンプルガスS中の硫黄化合物濃度を連続測定するように構成されている。詳しくは、前記分析装置Dは、サンプルガス供給路1と、オゾン発生器2を有する反応ガス供給路3と、前記サンプルガス供給路1および反応ガス供給路3が接続される反応セル4を有する測定部5とを備えている。
【0030】
前記サンプルガス供給路1は、サンプルガス源(例えば自動車のエンジン、図示せず)からのサンプルガスSを前記反応セル4に直接供給する第一供給状態と、前記サンプルガスS中のH2S以外の硫黄化合物(実質的にはSOx)をH2Sに変換した後にサンプルガス源(図示せず)からのサンプルガスSを前記反応セル4に供給する第二供給状態とに切り換わるように構成されている。
【0031】
詳しくは、前記サンプルガス供給路1は、前記反応セル4に下流端が接続され、流路の一部にキャピラリ部6aを有する下流部6と、この下流部6の上流端に三方切換弁(例えば、三方電磁弁)7を介して接続され、流路の一部にキャピラリ部8aを有する第一流路8と、前記下流部6の上流端に三方切換弁7を介して接続され、流路の一部にキャピラリ部9aを有する第二流路9とを備えている。
【0032】
前記三方切換弁7は、親ポートPo と、第一ポートP1と、第二ポートP2との3つのポートを有しており、前記親ポートPo および第一ポートP1のみが連通する第一供給状態と、親ポートPo および第二ポートP2のみが連通する第二供給状態とに切り換わる。そして、三方切換弁7の親ポートPo には前記下流部6の上流端が接続され、第一ポートP1には前記第一流路8の下流端が接続され、第二ポートP2には前記第二流路9の下流端が接続される。
【0033】
前記第一流路8は、サンプルガスを前記反応セル4に直接供給するためのものであり、前記第二流路9は、含有するH2S以外の硫黄化合物がH2Sに変換されたサンプルガスを前記反応セル4に供給するためのものである。
【0034】
前記第二流路9は、サンプルガスS中のH2S以外の硫黄化合物をH2Sに変換するためのコンバータ10を前記キャピラリ部9aの下流側に有し、また、第二流路9におけるキャピラリ部9aとコンバータ10との間には、前記コンバータ10に水素(H2)を供給するための水素供給路11の下流端が接続されている。
【0035】
前記コンバータ10は、図2に示すように、触媒としてのAl2O3を99%以上含むセラミック(本実施例では複数のセラミックボール)12を内部に収容した例えば石英管からなる筒体13と、この筒体13の内部を所定温度(例えば、750℃以上、好ましくは800℃程度)に加熱するためのヒータなどの加熱手段14とを備えている。なお、前記筒体13内に収容されるセラミックボール12は、例えば石英ウールからなる栓部材15によって筒体13内に密に詰まった状態で保持されている。
【0036】
そして、前記コンバータ10内にサンプルガスSおよび還元剤としての水素(H2)を導入することにより、サンプルガスS内の硫黄化合物(大部分はSOx)が全てH2Sに変換される。
【0037】
前記水素供給路11は、水素の供給源(例えば水素を収容した高圧ガス容器)11aと、この水素供給路11内の圧力を調整するための調圧器11bと、キャピラリ部11cとを上流側からこの順に有している。
【0038】
また、上記の構成からなるサンプルガス供給路1における前記サンプルガス源から反応セル4までのサンプルガスSの流路となる部分には、サンプルガスS中の成分や水分が流路の内壁に付着したり凝縮・結露することを防止するために、ヒータなどの加熱手段16が設けられている。
【0039】
前記オゾン発生器2としては、O2に対して放電することによりオゾンを発生させるタイプのものや、O2に対して紫外線を照射することによりオゾンを発生させるものなど、種々の公知のものを用いることができる。
【0040】
前記反応ガス供給路3は、O2の供給源17a(例えば、O2を収容した高圧ガス容器)およびキャピラリ部17bを有する酸素供給路17と、N2の供給源18a(例えば、N2を収容した高圧ガス容器)およびキャピラリ部18bを有する窒素供給路18と、前記酸素供給路17の下流端および窒素供給路18の下流端が接続され、前記オゾン発生器2およびこのオゾン発生器2の下流側に設けられるキャピラリ部19aを有するガス供給路19とを備えている。
【0041】
上記の構成からなる反応ガス供給路3では、前記酸素供給源17aからのO2と窒素供給源18aからのN2とが所定の割合となるように(例えば、N2に対するO2の割合N2/O2が15〜40%、好ましくは20〜35%となるように)混合された状態でガス供給路19(オゾン発生器2)へと送られ、オゾン発生器2内においてO2が反応ガスとしてのオゾン(O3)に変換され、その後、ガス供給路19(反応ガス供給路3)から反応セル4内に所定濃度のN2とオゾンとO2とが送られ、同時に、微量でほぼ一定濃度のNOxが反応セル4内に導入されることとなる。以下、ガス供給路19(反応ガス供給路3)から反応セル4内に送られるガス(オゾン、N2、O2、NOxを含むガス)をまとめて反応ガス等という。
【0042】
前記反応セル4は、一方側(図1では右側)に光透過窓20を有し、他方側(図1では左側)に前記サンプルガス供給路1からのサンプルガスSおよび反応ガス供給路3からの反応ガス等を反応セル4内に導入するためのガス導入部21を有している。
【0043】
前記光透過窓20は、例えば、石英やサファイヤなどからなり、紫外線を透過するように構成されている。
【0044】
前記ガス導入部21は、前記光透過窓20に向けて垂直に配置される内管22と、この内管22の外側に配置される外管23とを有する二重管からなる。そして、前記サンプルガス供給路1および反応ガス供給路3のいずれか一方(本実施例では反応ガス供給路3)が前記内管22に接続され、他方(本実施例ではサンプルガス供給路1)が前記外管23に接続される。言い換えれば、サンプルガス供給路1の下流端部および反応ガス供給路3の下流端部のいずれか一方(本実施例では反応ガス供給路3の下流端部)が前記内管22となり、他方(本実施例ではサンプルガス供給路1の下流端部)が前記外管23となる。
【0045】
前記内管22は両端が開放されたほぼ円筒状をしており、前記外管23は、一端(図1では右端)が開放され、他端(図1では左端)が閉塞されたほぼ円筒状をしており、また、他端部には前記サンプルガス供給路1の下流部6の下流端が接続される接続部分23aが設けられている。そして、内管22と外管23とは同軸上に(すなわち各軸がほぼ一致する状態で)配置される。
【0046】
また、前記反応セル4には、ポンプ(真空ポンプ)24を有する排出流路25が接続されている。そして、反応セル4内は、ポンプ24により減圧され、例えば4.0〜4.2Torr(約560Pa)程度の圧力となっている。
【0047】
さらに、前記反応セル4には、反応セル4内を適温(例えば、60〜70℃程度)に加熱するためのヒータ等の加熱手段26が設けられている。
【0048】
前記測定部5は、前記反応セル4と、この反応セル4の前記光透過窓20を挟んで前記ガス導入部21と対向する位置に配置される光検出器27と、反応セル4と光検出器27との間に配置される光学フィルタ28とを備えている。
【0049】
前記光検出器27は、例えば、光電子増倍管(photomultiplier)からなる。
【0050】
前記光学フィルタ28は、340nm付近の光(紫外線)のみを透過させるように構成されている。
【0051】
上記の構成からなる分析装置Dを用いて行われる化学発光式ガス分析方法の手順について説明する。
まず、前記三方切換弁7を前記第一供給状態とし、前記サンプルガス供給路1の第一流路8から下流部6を経て反応セル4内に導入されるサンプルガスSの流量を数十mL/min(例えば、20mL/min)に設定するとともに、前記反応ガス供給路3から反応セル4内に導入される反応ガス等の流量を数百mL/min(例えば、450mL/min)に調整(設定)する。
【0052】
また、前記ポンプ24をON状態にして、反応セル4内を所定の圧力とするとともに、前記加熱手段16,26をON状態にしてサンプルガス供給路1内および反応セル4内を適温に調整する。
【0053】
上記の操作により、前記サンプルガス供給路1の第一流路8から下流部6を経てきたサンプルガスSは、前記外管23内(内管22と外管23との間)を通ったのち、外管23の一端側から光透過窓20に向けて反応セル4内に供給され、また、反応ガス供給路3からの反応ガス等は、前記内管22内を通ったのち、内管22の一端側から光透過窓20に向けて反応セル4内に供給される。
【0054】
そして、前記反応セル4内に供給されたサンプルガスS中のH2Sと、反応ガス等中のオゾンとが反応して340nm付近の紫外線が発生し、前記光透過窓20および光学フィルタ28を透過した前記紫外線は光検出器27により検出される。この紫外線の強度は、反応セル4内に導入されたH2S濃度に依存するので、検出された紫外線の強度から所定の演算式を用いてH2S濃度を導出できる。なお、前記反応セル4と光検出器27との間に340nm付近の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28を配置してあることから、オゾンとNOとが反応することで反応セル4内から発せられる600nm以上の波長を有する紫外線などによる干渉影響を防ぐことができる。
【0055】
その後、反応セル4内のガスは排出流路25から分析装置Dの外部へと排出される。
【0056】
そして、本実施例の分析方法では、前記三方切換弁7を第二供給状態とすることで、サンプルガスSに含まれるSOx及びH2Sをあわせた全硫黄化合物の測定を行う。
【0057】
詳しくは、前記第二供給状態では、サンプルガス源からのサンプルガスSは、コンバータ10内を通り、下流部6を経た後、反応セル4内に導入されることとなる。そして、前記コンバータ10内を通ったときに、サンプルガスS中の硫黄化合物(SOx)は、同じくコンバータ10内に供給されているH2と反応して、全てH2Sに変換される。すなわち、サンプルガスS中に含まれるH2S以外の硫黄分はH2Sに変換されることとなる。
【0058】
そして、前記反応セル4内に供給されたサンプルガスS中のH2S及び変換されたH2Sと、反応ガス等中のオゾンとが反応して340nm付近の紫外線が発生し、前記光透過窓20および光学フィルタ28を透過した前記紫外線は光検出器27により検出される。この紫外線の強度は、前記サンプルガスS中の全硫黄化合物濃度に依存し、検出された紫外線の強度から所定の演算式を用いて全硫黄化合物濃度を導出できる。
【0059】
上記の構成からなる分析方法および装置Dでは、サンプルガスS中の全硫黄化合物濃度を精度よく測定することができる。すなわち、前記分析方法および装置Dでは、サンプルガスS中の硫黄化合物(SOx)を全てH2Sに変換した状態で前記反応セル4内に供給し、反応セル4内においてサンプルガス供給路1からのH2Sと反応ガス供給路3からのオゾンとを反応させて所定の波長の光を発生させ、この光を前記光検出器27を用いて検出し、この検出値を所定の演算式に代入して演算することにより、サンプルガスS中に含まれる全硫黄化合物濃度を導出する。そのため、反応セル4内に供給されるサンプルガスS中に含まれる硫黄化合物(SOx)を全てH2Sに変換した状態で保たなければ、高精度にSOxを測定することが困難となるが、前記H2Sは安定しており、サンプルガス供給路1のコンバータ10を経て形成されたH2Sは、他の物質にほとんど変化することなく反応セル4内へと供給され、これにより、高精度に全硫黄化合物濃度を測定することができる。そして、この測定した全硫黄化合物濃度から前記第一供給状態で測定したサンプルガスS中のH2S濃度を減ずることにより、サンプルガスS中のSOx濃度を求めることができる。
【0060】
ところで、前記サンプルガスS中のH2Sとオゾンとを混合する際に、この混合を行う空間(反応セル4)内にCO2、COが存在すると、前記H2Sとオゾンとの反応により発生した化学発光を検出したときの指示値に影響が生じる。詳しくは、前記CO2やCOが及ぼす影響はクエンチング(quenching)効果と呼ばれるもので、CO2やCOが存在しているだけで、前記指示値が実際よりも小さくなるというものである。
【0061】
そこで、上記の構成からなる分析方法および分析装置Dでは、前記オゾン発生器2に所定濃度のO2とN2とを供給し、オゾン発生器2を有する反応ガス供給路3から反応セル4に希釈ガスとしての所定濃度のN2を送るようにしてあり、反応セル4内に導入されたサンプルガス供給路1からのサンプルガスSを前記N2によって希釈する。また、前記ポンプ24によって反応セル4内を減圧する。さらに、前記加熱手段26を用いることで、反応セル4内の温度を前記光検出器27によってH2Sを検出するのに最適な温度に調整する。また、反応セル4内に導入されるサンプルガス供給路1からのサンプルガスSおよび反応ガス供給路3からの反応ガス等の流量をそれぞれの流路に設けられたキャピラリ部などによって調整する。
【0062】
そして、上記の希釈と減圧と温度調整とにより、オゾンとH2Sとの反応に影響を及ぼす成分(例えば、CO2,COなど)がサンプルガスS中に含まれていても、これらの成分がオゾンとH2Sとの反応に及ぼす影響は小さくなり、また、オゾンとH2Sが反応したときに放出される光の波長(340nm付近)と同波長の光を放出する成分(例えば、CH3SH、(CH3)2SやC2H5SHなどのH2S以外の硫化物)がサンプルガスS中に含まれていても、これらの成分が放出する光の量は少なくなり、加えて、上記流量調整を行うことによって、より正確にH2S濃度を測定することができる。
【0063】
言い換えれば、本実施例の分析方法および分析装置Dでは、上述のように前記希釈と減圧と温度調整と流量調整とを行うことにより、前記オゾンとサンプルガス中のH2Sとの反応により発生する化学発光の検出に干渉する成分の影響を抑え、より正確な硫黄化合物濃度の測定を実現することができる。
【0064】
下記表1には、前記希釈および温度調整とを行わない従来の分析装置を用いた場合と、本実施例の分析装置Dを用いた場合のそれぞれにおいて、H2Sの検出感度を1.000としたときの他の成分の感度比(相対感度)を示してある。この表1から明らかなように、従来の分析装置では、CH3SHおよびC2H5SHなどの成分の感度はH2Sの感度よりも大きかったが、本実施例の分析装置Dでは、CH3SHおよびC2H5SHを含めたH2S以外の成分のいずれの感度も、H2Sの感度の約10分の1程度以下におさえることができる。
【0065】
【表1】
【0066】
また、上記の構成からなる分析装置Dでは、前記反応セル4内に供給されるサンプルガスSおよび反応ガス等は、前記ガス導出部21から光検出器27に向けて同軸状に導出され、サンプルガスS中のH2Sと反応ガス等中のオゾンとが効率よく反応することから、正確な硫黄化合物濃度を測定することができるという上記の効果はさらに向上する。
【0067】
さらに、上記の構成からなる分析方法および分析装置Dでは、前記オゾン発生器2に所定濃度のO2とN2とを供給し、オゾン発生器2を有する反応ガス供給路3から反応セル4に微量でほぼ一定濃度の窒素酸化物(NOx)を送るようにしてあるので、前記反応セル4内に供給されるサンプルガスS中のNOx量が急激に変動してもその変動がH2Sの検出に与える影響を非常に軽減することができる。
【0068】
上記の効果を明らかにするために、反応セル4内に供給される反応ガス等内にNOxを全く含まない従来の分析装置と、前記反応ガス等内に微量で一定濃度のNOxを含む本実施例の分析装置Dとを用いて、前記反応セル4内に供給されるサンプルガスS中に既知濃度のNOを投入して、そのNOの投入量とH2Sの検出値との関係を調べるという実験を行った。詳しくは、サンプルガスとしては一定濃度(5.17ppm)のH2Sを含むガスを用い、第1段階でそのサンプルガスにNOを502.9ppm投入し、その後、サンプルガスに投入するNOを第2段階で1005.8ppm,第3段階で1507.6ppm,第4段階で2010,7ppm,第5段階で2514.7ppmと段階的に増やした。その結果を図3(A)および(B)に示す。なお、図3(A)および(B)ではそれぞれ、横軸には時間(秒)を、縦軸には前記光検出器27によるH2Sの検出値(V)をとっている。
【0069】
図3(A)から明らかなように、前記反応セル4に供給する反応ガス等内にNOxを一切含まない従来の分析装置では、第1段階で前記サンプルガス中に最初に502.9ppmのNOを投入したときには光検出器の支持値が急激に上昇し、その後、第2段階、第3段階と段階を経るごとに投入したNOの影響が小さくなっている。これは、全くNOxを含んでいない状態のサンプルガスにNOを投入したときには、H2Sの検出に及ぼす前記NOの影響が大きいが、ある程度のNOxを含んだ状態のサンプルガスにNOを投入したときには、H2Sの検出に及ぼす前記NOの影響が小さくなるためであると考えられる。
【0070】
これに対して、図3(B)から明らかなように、前記反応セル4に供給する反応ガス等内に一定濃度のNOxを含む本実施例の分析装置Dでは、サンプルガスに投入したNOは、H2Sの検出にほとんど影響を及ぼしていない。このことから、本実施例の分析装置Dでは、前記反応セル4内に供給されるサンプルガスS中のNOx濃度が急激に変動しても、その変動の影響を受けることなく硫黄化合物の濃度を正確に測定できるということがわかる。
【0071】
また、前記分析装置Dでは、サンプルガス供給路1に設けた加熱手段16と、反応セル4に設けた加熱手段26とによって、サンプルガス供給路1を経て反応セル4に送られるサンプルガスS中の成分や水分が、流路や反応セル4の内壁に付着したり凝縮・結露することを防止してあることからも、硫黄化合物の濃度を正確に測定できるという効果はさらに上昇することとなる。
【0072】
また、前記分析方法および装置Dでは、前記サンプルガスSと前記オゾンを混合する前に、サンプルガスS中のH2S以外の硫黄化合物をH2Sに変換して反応セル4に供給する状態H2Sに変換しないでサンプルガスSを反応セル4に直接供給する状態とを選択できるように構成してあることから、サンプルガスS中の全硫黄化合物濃度だけでなく、サンプルガスS中に存在するH2S濃度をも測定することが可能となる。従って、前記全硫黄化合物濃度からサンプルガスS中に存在するH2S濃度を減ずれば、サンプルガスS中のH2S以外の硫黄化合物(実質的にはSOx)濃度を求めることができる。
【0073】
すなわち、上記の構成からなる分析装置Dおよびこの分析装置Dを用いる化学発光式ガス分析方法によれば、例えば、車両のエンジンからの排ガス中のSOx濃度やH2S濃度及び全硫黄化合物濃度を、その排ガスに含まれるH2O,NOなどのH2S以外の成分の影響を受けずに選択的に連続測定することができる。
【0074】
なお、本実施例の分析装置Dにおいて、前記サンプルガス供給路1の下流部6(例えば、三方切換弁7とキャピラリ部6aとの間)に、サンプルガスS中のNH3および/またはNOxを除去する除去手段30を設けてもよい。
【0075】
前記除去手段30は、例えば、図4に示すように、リン酸を含浸させた多孔質の珪石31を複数内部に収容した例えば石英管からなる筒体32と、この筒体32の内部を適温(筒体32内で水分が凝縮しない程度の温度、例えば100℃程度)に加熱するためのヒータなどの加熱手段33とを備えたスクラバからなる。なお、前記筒体32内に収容される珪石31は、例えば石英ウールからなる栓部材34によって筒体32内に密に詰まった状態で保持されている。
【0076】
サンプルガスSがNH3を数百ppmから千ppm程度含む触媒後のガスなどである場合には、NH3の影響によりサンプルガス供給路1を構成する配管内や反応セル4内において(NH4)2Sが生成され、感度低下を引き起こすことがあるが、前記除去手段30を配置することにより、サンプルガスS中に含まれるNH3を前記珪石31により高効率でトラップしてサンプルガスS中から除去することができ、NH3の影響無くH2Sのみを測定することが可能となる。また、加えて、前記除去手段30はNOxの一部も同時にトラップするため、除去手段30を設ければ、NOxの影響をおさえてH2Sの濃度を正確に測定するという効果が上昇することとなる。
【0077】
さらに、前記分析装置Dでは、少し構成を変更するだけで、サンプルガスS中の硫黄化合物だけではなく、オゾンと反応することで所定の波長を有する光を発するNOやCOなどの成分を測定することもできる。具体的には、オゾンと反応して600nm以上の波長を有する紫外線を発する前記NOを分析装置Dにより測定するためには、例えば、前記光学フィルタ28が600nm以上の紫外線のみを透過するように変更すればよく、また、オゾンと反応して400nm付近の波長を有する紫外線を発する前記COを分析装置Dにより測定するためには、例えば、前記光学フィルタ28が400nm付近の紫外線のみを透過するように変更すればよい。
【0078】
そして、例えば、前記光学フィルタ28に代えて、図5に示すように、340nm付近の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28aと、600nm以上の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28bと、400nm付近の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28cとを有し、これら3つの光学フィルタのうちのいずれかのみを光検出器27と光透過窓20との間に保持できるホルダ29を設けることにより、サンプルガスS中のH2S(硫黄成分)、NOおよびCOを測定できる分析装置Dを構成することができる。
【0079】
また、前記光検出器27を複数設け、各光検出器27と光透過窓20との間に、それぞれ異なる波長を有する光のみを透過する光学フィルタを配置することで、サンプルガスSに含まれる複数成分を同時に測定することも可能となる。例えば、図6に示すように、前記光検出器27を3つ並べて設け、1つの光検出器27と光透過窓20との間には、340nm付近の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28aを設け、他の1つの光検出器27と光透過窓20との間には600nm以上の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28bを設け、さらに他の1つの光検出器27と光透過窓20との間には400nm付近の波長を有する紫外線のみを透過させる光学フィルタ28cを設けることにより、前記3つの光検出器27によってサンプルガスS中のH2S(硫黄成分)、NOおよびCOを同時に測定することも可能となる。
【0080】
なお、前記測定部5においてサンプルガスS中のNOを測定するように構成した場合には、サンプルガス供給路1においてサンプルガスS中に含まれるNOxを全てNOに変換するためのコンバータ(図示せず)を設けることにより、サンプルガスS中の全窒素を測定することも可能となり、また、前記測定部5においてサンプルガスS中のCOを測定するように構成した場合には、サンプルガス供給路1においてサンプルガスS中に含まれるCOxを全てCOに変換するためのコンバータ(図示せず)を設けることにより、サンプルガスS中の全炭素を測定することも可能となる。
【0081】
また、本実施例の分析装置Dでは、サンプルガスSのサンプリング流量を小さくすることが可能であるため、例えば、サンプルガス供給路1の上流端をサンプリングプローブとして構成し、このサンプリングプローブを車両のテールパイプ内に挿入した状態で配置することによって、車両のエンジン気筒中のSOx濃度変化、H2S濃度変化、全硫黄化合物の濃度変化、NO濃度変化やCO濃度変化などを高速に直接測定することも可能となる。
【0082】
さらに、本実施例の分析方法および装置Dでは、サンプルガスSのサンプリング流量を小さくすることができるとともに、その分析にガスクロマトグラフィーを用いる必要がなく、さらに、煩雑な前処理が必要なNDIRを用いたH2S計などに比べてそのような前処理が不要であることからも、SOx、H2S、COやNOの測定を安価にかつ高速に行うことが可能となる。
【0083】
【発明の効果】
上記の構成からなる本発明によれば、サンプルガスに存在するH2S濃度だけでなく、サンプルガス中の全硫黄化合物濃度も精度よく測定することできる。また、前記全硫黄化合物濃度からサンプルガス中に存在するH2S濃度を減ずれば、サンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物(SOx)濃度も求めることができる。
【0084】
特に、上記の構成からなる化学発光式ガス分析方法および装置では、サンプルガス中の硫黄化合物はH2Sに変換された状態で前記オゾンと混合され、前記H2Sとオゾンとが反応することで所定の波長の光が発生する。そして、この光を検出し、この検出値を所定の演算式に代入して演算することにより、サンプルガス中に含まれる硫黄化合物の量(濃度)を導出できる。ここで、前記H2Sは、その一部がSO2に戻る不安定なSOとは異なり安定しており、サンプルガス中の硫黄化合物から変換して形成されたH2Sは、他の物質に変化することなく反応セル内へと供給され、これにより、高精度に硫黄化合物を測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る化学発光式ガス分析方法に用いる化学発光式ガス分析装置の構成を概略的に示す説明図である。
【図2】 上記実施例におけるコンバータの構成を概略的に示す説明図である。
【図3】 (A)および(B)は、従来の分析装置と本発明の分析装置とを用いて、反応セル内に供給されるサンプルガス中に既知濃度のNOを投入して、そのNOの投入量とH2Sの検出値との関係を調べた実験の結果を示すグラフである。
【図4】 上記実施例における除去手段の構成を概略的に示す説明図である。
【図5】 前記化学発光式ガス分析装置の変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【図6】 前記化学発光式ガス分析装置の他の変形例の構成を概略的に示す説明図である。
【符号の説明】
1…サンプルガス供給路、2…オゾン発生器、3…反応ガス供給路、4…反応セル、5…測定部、7…三方切換弁、8…第一流路、9…第二流路、10…コンバータ(変換部)、11…水素供給路、12…セラミック、13…筒体、14…加熱手段、20…光透過窓、22…内管、23…外管、D…化学発光式ガス分析装置、S…サンプルガス。
Claims (10)
- サンプルガスとオゾンとを混合し、サンプルガス中のH2Sをオゾンと反応させることにより発生した化学発光を検出する化学発光式ガス分析方法であって、H2S以外の硫黄化合物を含むサンプルガスを直接オゾンに混合し反応させる第一供給状態と、前記サンプルガスとオゾンとを混合する前に、還元剤および触媒を用いてサンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物をH2Sに変換し、その変換されたサンプルガス中のH2Sをオゾンに混合し反応させる第二供給状態と、を選択して化学発光を検出することにより、前記第一供給状態の選択時にはサンプルガス中のH 2 S濃度を導出し、前記第二供給状態の選択時にはサンプルガス中の全硫黄化合物濃度を導出し、また、導出された全硫黄化合物濃度から導出されたH 2 S濃度を減算することで、サンプルガス中のH 2 S以外の硫黄化合物濃度を求めることを特徴とする化学発光式ガス分析方法。
- 前記サンプルガスを、前記オゾンとともに一定濃度の窒素酸化物と混合する請求項1に記載の化学発光式ガス分析方法。
- 前記サンプルガスを、前記オゾンとともに希釈ガスと混合し、かつ、この混合を行う空間内の温度および圧力を調整することで、前記オゾンとサンプルガス中のH2Sとの反応により発生する化学発光の検出に干渉する成分の影響を抑える請求項1または2に記載の化学発光式ガス分析方法。
- 前記サンプルガスを前記オゾンと混合する前に、サンプルガス中に含まれるNH3および/またはNOxを除去する請求項1〜3のいずれかに記載の化学発光式ガス分析方法。
- サンプルガス供給路と、オゾン発生器を有する反応ガス供給路と、前記サンプルガス供給路および反応ガス供給路が接続される反応セルを有する測定部とを備えた化学発光式ガス分析装置であって、前記サンプルガス供給路として、サンプルガスを前記反応セルに直接供給するための第一流路と、サンプルガス中のH2S以外の硫黄化合物をH2Sに変換する変換部を有し、この変換部でH2S以外の硫黄化合物がH2Sに変換されたサンプルガスを前記反応セルに供給するための第二流路とを備え、これら第一流路による供給状態と第二流路による供給状態とに切り換える弁を設け、この弁の切り換えで、サンプルガスを前記第一流路から反応セルに直接供給してサンプルガス中のH 2 S濃度を測定する状態と前記H 2 S以外の硫黄化合物がH 2 Sに変換されたサンプルガスを前記第二流路から前記反応セルに供給してサンプルガス中の全硫黄化合物濃度を測定する状態とに選択可能に構成されているとともに、測定された全硫黄化合物濃度から測定されたH 2 S濃度を減算してサンプルガス中のH 2 S以外の硫黄化合物濃度を求める手段を有していることを特徴とする化学発光式ガス分析装置。
- 前記変換部が、内部にセラミックを収容した筒体と、この筒体内を所定温度に加熱するための加熱手段と、前記筒体内にH2を供給するための水素供給路とを備えている請求項5に記載の化学発光式ガス分析装置。
- 前記測定部において、サンプルガス中のH2Sと、NOおよび/またはCOとを測定するように構成した請求項5または6に記載の化学発光式ガス分析装置。
- 前記オゾン発生器に所定濃度のO2とN2とを供給する供給路と、前記反応セル内を所定温度となるように加熱する加熱手段と、反応セル内を減圧する減圧手段とを備えた請求項5〜7のいずれかに記載の化学発光式ガス分析装置。
- 前記反応セルに光透過窓を設け、前記サンプルガス供給路の下流端部又は反応ガス供給路の下流端部のいずれか一方が、前記光透過窓に向けて配置される内管となり、他方が前記内管の外側に配置される外管となるように構成した請求項5〜8のいずれかに記載の化学発光式ガス分析装置。
- 前記サンプルガス供給路に、サンプルガス中のNH3および/またはNOxを除去する除去手段を設けた請求項5〜9のいずれかに記載の化学発光式ガス分析装置。
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