JP4108284B2

JP4108284B2 - Aluminum alloy plate for shutter of recording medium case

Info

Publication number: JP4108284B2
Application number: JP2001076850A
Authority: JP
Inventors: 憲一神谷; 正信福井
Original assignee: Kobe Steel Ltd
Current assignee: Kobe Steel Ltd
Priority date: 2001-03-16
Filing date: 2001-03-16
Publication date: 2008-06-25
Anticipated expiration: 2021-03-16
Also published as: JP2002279752A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フレキシブル（フロッピー）ディスク等の磁気ディスク並びにＭＯディスク及びミニディスク等の光ディスク等の記録媒体を収納するケースに設けられるシャッタ用の材料として好適なアルミニウム合金板に関し、特に打ち抜き加工性及び曲げ加工性が優れた記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板に関する。
【０００２】
【従来の技術】
フレキシブル（フロッピー）ディスク等の磁気ディスク、ＭＯディスク及びミニディスク等の光ディスク等においては、図１にフレキシブルディスクの例を示すように、合成樹脂製のケース２内に情報を記録する磁気ディスク又は光ディスク（記録用ディスク）等の記録媒体３が収納されている。そして、情報の書き込み又は読み出しの際には、このケース２内の記録媒体３に磁気ヘッド又は光ヘッドを近接させて、前記磁気ディスク又は光ディスク媒体３に対する読み書きを行う。従って、これらのケース２には、磁気ヘッド又は光ヘッドを記録媒体３に近接配置するための窓口として開口部（窓部）が設けられており、この開口部を開閉するためにシャッタ１が設けられている。
【０００３】
このシャッタ１は、図２の斜視図及び図３の横断面図に示すように、断面形状がコの字状をなす板材であり、その１対の面でケース２を挟持した状態で、ケース２に設けられたガイド溝により案内されてスライドすることにより、ケース２の窓部と、シャッタ１の窓部４とが整合した位置で窓を開け、常時は、ケース２の窓部を閉にしている。
【０００４】
而して、このシャッタに要求される機能は、必要な時に開閉し、磁性面を保護することである。また、シャッタはケース上で案内されてスライド移動するため、軽量であると共に、剛性が高いことが必要である。シャッタ用の材料としては、従来ステンレス鋼製又はポリスチレン若しくはＡＢＳ（アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体）等の合成樹脂製のものが使用されていた。しかし、ステンレス鋼製シャッタは、比較的重量が重く、また表面を手で触れた場合に指紋が付きやすく、外観が劣化しやすい。また、ポリスチレン及びＡＢＳ製シャッタは、剛性が低く、帯電しやすく、埃及び塵が付着しやすいので、磁性面にとって有害である。
【０００５】
従って、近年では、シャッタ用材料として、これらのステンレス鋼及び合成樹脂に代えて、軽量で且つ剛性があるアルミニウム合金板が使用されるようになってきている。
【０００６】
アルミニウム合金板をシャッタに使用する場合、シャッタの表面にアルミニウム合金板がむき出しになっていると、表面の潤滑性が低く、表面硬度が低いために、耐磨耗性が不足し、シャッタへの加工、加工品の輸送、ケースへの組み立て、磁気ディスク及び光ディスク製品の最終検査など、各製造工程において、アルミニウム合金板表面に疵が付き易く、磁性面にとって有害な摩耗紛が出やすくなる。また、疵の発生により、シャッタ外観を著しく損なう。そして、この問題は、製造工程だけでなく、持ち運びにおけるシャッタ同士の接触、更には使用中のワープロ及びパソコン等の読み書き装置への挿入着脱時の機械部品との接触によっても生じる。
【０００７】
このため、シャッタ用アルミニウム合金板の疵付きを防止する技術及びＵＶ硬化型インクの密着性を向上させる技術が種々提案されている。例えば、特開平３−７３４７９号公報及び特開平６−３４６１７８号公報では、アルミニウム合金板の表面に、アクリル系、アクリルエステル系、エポキシ系及びウレタン系からなる群から選択された合成樹脂をコーティングすることが提案されている。また、耐磨耗性の向上のため、アルミニウム合金板表面に表面硬化コーティングを設けることも提案されている（特開平６−６８６３８号公報）。更にまた、アルミニウム合金板表面に陽極酸化皮膜を設けたものも提案されている（特開平６−１１１５１６号公報及び特開平６−１６２７１０号公報）。
【０００８】
更に、アルミニウム合金板表面に表面硬化コーティングを設ける特開平６−６８６３８号公報の方法では、耐磨耗性が優れており、疵付きは防止されるものの、アルミニウム合金板を９０°曲げ加工して、図３に示すように断面形状がコの字形状をなすシャッタに加工する際に、９０°曲げ内隅部５で皮膜にクラックが入り、且つ皮膜が剥離することにより、磁性面にとって有害な埃及び塵が生じやすくなる。
【０００９】
また、アルミニウム合金板表面に陽極酸化皮膜を設ける特開平６−１１１５１６号公報及び特開平６−１６２７１０号公報の方法では、前述の９０°曲げ内隅部５で皮膜にクラックが入り、且つ皮膜が剥離することにより、磁性面にとって有害な埃及び塵が生じ易くなる。また、陽極酸化皮膜表面は干渉色が生じやすく、外観上の問題もある。更に、安定した電力と処理時間が必要な陽極酸化皮膜処理を施すため、製造コストが高くなるという問題もある。
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
このシャッタ用アルミニウム合金としては、高い剛性を得ることを目的として、例えば特許２９２５８９１号公報及び特許２９２５９５４号公報において、Ｍｇ：３．０乃至６．０質量％を含み、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなるアルミニウム合金が提案されている。Ｍｇは強度を得るために重要な元素であるが、この場合、Ｍｇ添加量が過多のため、強度が高すぎることによって、シャッタを成形する際の打ち抜き加工時に、加工工具（切刃）の刃先端の摩耗を促進してしまい、連続成形後に刃先端が摩耗によりダレが発生する（Ｒが増加する）ため、打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが生じやすいという問題がある。そして、打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが発生すると、その後の組み立て工程中にバリが他のシャッタ表面を疵付け、外観を損なうという問題も生じてくる。
【００１１】
本願出願人は、アルミニウム合金板表面にアクリル系、アクリルエポキシ系、ウレタン系等、他の樹脂に比して硬度が高く、耐磨耗性が優れたポリエステル樹脂をコーティングすると共に、下層にクロメート皮膜を設けてポリエステル樹脂の密着性を向上させたシャッタ用アルミニウム合金板を提案している（特願平８−２２０２２８号）。また、アルミニウム合金板表面の樹脂皮膜の潤滑性を向上させるために、鉛筆硬度５Ｈ以上の樹脂皮膜中に高分子ＰＥ（ポリエチレン）ワックス、ＰＴＥＦワックス及びフッ素系ワックス等の潤滑剤を含ませたシャッタ用アルミニウム合金板を提案した（特願平９−３６５６９号）。
【００１２】
更にまた、アルミニウム合金板表面の樹脂皮膜の耐溶剤溶解性及び硬度を向上させるために、特定の高分子ビニル化合物に金属キレート化合物を含有させたシャッタ用アルミニウム合金板を提案した（特願平９−２３２３３５号）。
【００１３】
更にまた、疵付きを防止するために、アルミニウム合金板表面に特定の平均粒子径の無機微粒子と潤滑剤を含む熱硬化性樹脂皮膜を設けたシャッタ用アルミニウム合金板を提案した（特願平９−３０５３８１号）。
【００１４】
更にまた、ＵＶ硬化型インクの密着性を向上させるために、アルミニウム合金板表面にアクリレート基を官能基として有するポリエステルウレタン系樹脂皮膜を設けたシャッタ用アルミニウム合金板を提案した（特願平１０−１９７４１２号）。
【００１５】
しかし、これらの本願出願人が提案した先願発明においても、シャッタ用アルミニウム合金板として求められる軽量性及び剛性等の特性は勿論のこと、打ち抜き加工及び曲げ加工等の加工性の全ての特性を満足したものとはいえず、各特性のより一層の向上が望まれている。
【００１６】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、シャッタ用アルミニウム合金板として求められる軽量性、剛性、打ち抜き加工性及び曲げ加工性の全ての特性を満足する記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板を提供することを目的とする。
【００１７】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板は、Ｍｇ：２．２乃至２．８質量％、Ｍｎ：０．３５乃至０．５５質量％、Ｆｅ：０．１乃至０．４質量％を含有し、残部がアルミニウム及び不可避的不純物からなる組成を有するアルミニウム合金基板と、このアルミニウム合金基板の少なくとも記録媒体ケースのシャッタ外面側となる表面上に第１層として設けられクロム付着量換算で５乃至５０ｍｇ／ｍ^２のクロメート皮膜と、前記シャッタ外面側となる表面上に第２層として設けられた合成樹脂皮膜と、を有し、全体の引張強さが３００乃至３５０ＭＰａであることを特徴とする。
【００１８】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。本発明の記録媒体ケースのシャッタ用アルミニウム合金板は、アルミニウム合金基板と、このアルミニウム合金基板の少なくとも記録媒体ケースのシャッタ外面側となる表面上に、第１層としてクロメート皮膜が形成され、このクロメート皮膜上に第２層として合成樹脂皮膜が形成されている。
【００１９】
先ず、本発明におけるアルミニウム合金基板について、その合金の成分添加理由及び組成限定由について説明する。
【００２０】
アルミニウム合金基板のＭｇ含有量：２．２乃至２．８質量％
Ｍｇはアルミニウム合金板を冷間圧延する際の加工硬化を促進し、材料強度を向上させる効果を有するため、本発明では必須成分とするものである。しかしながら、Ｍｇの含有量が２．２質量％未満では、十分な強度向上効果が得られず、シャッタの剛性が不十分となり、例えば記録媒体ケースを落下させた場合にシャッタが変形し容易に外れるという不具合を生じる。一方、Ｍｇを過多に添加すると強度が高すぎることによって、シャッタを成形する際の打ち抜き加工時に、加工工具（切刃）の刃先端の摩耗を促進してしまい、連続成形後に刃先端が摩耗によりダレが発生する（Ｒが増加する）ため、打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが生じやすいという問題がある。このため、Ｍｇ添加量の上限は２．８０質量％に規制する必要がある。したがって、Ｍｇの添加量は２．２乃至２．８質量％の範囲とする。
【００２１】
アルミニウム合金基板のＭｎ含有量：０．３５乃至０．５５質量％
Ｍｎの添加は打ち抜き加工時の切断性を向上させるＡｌ−Ｆｅ−Ｍｎ系晶出物の生成及びアルミニウム合金基板の材料強度向上に効果を有するため、本発明においては、Ｍｎを必須成分として含有する。Ａｌ−Ｆｅ−Ｍｎ系晶出物の生成によりアルミニウム合金板の切断性が向上し、打ち抜き加工時の切断工具刃先への負担が低減するため、切断工具刃先の摩耗が抑制され、連続成形後の刃先端のダレにより打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが発生することが抑制される。この切断性向上の効果が現われるには、少なくともＭｎを０．３５質量％以上添加する必要がある。しかし、Ｍｎを０．５５質量％よりも過多に添加すると、巨大晶出物の生成及び晶出物の生成の数が多くなり、成形性が低下し、シャッタをコの字形状に曲げ加工する際に曲げ加工部で割れが発生するという問題が生じる。従って、Ｍｎの添加量は０．３５乃至０．５５質量％の範囲とする。
【００２２】
アルミニウム合金基板のＦｅ含有量：０．１乃至０．４質量％
Ｆｅの添加は打ち抜き加工時の切断性を向上させるＡｌ−Ｆｅ−Ｍｎ系晶出物の生成及びアルミニウム合金基板の成形性を向上させる結晶粒微細化に大きな効果を有する。Ｆｅの添加量が多いほど結晶粒は微細化される。しかし、Ｆｅの添加量が０．１質量％未満ではその効果が認められず、また０．４質量％を超えて添加すると、巨大晶出物の生成及び晶出物の生成の数が多くなり、成形性の低下を招く。従って、Ｆｅの添加量は０．１乃至０．４質量％の範囲とする。
【００２３】
また、このように組成を限定したアルミニウム合金基板の表面に、第１層としてクロム付着量換算で５乃至５０ｍｇ／ｍ^２のクロメート皮膜を設け、第２層として、例えば、下記組成の合成樹脂皮膜を設ける。この合成樹脂皮膜は、アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂を有し、このアクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂１００重量部に対して、平均粒子径１０μｍ以下の無機微粒子を５乃至２０重量部と、酸化ポリエチレン系潤滑剤を０．５乃至３重量部とを有するものである。そして、この合成樹脂皮膜を０．５乃至３μｍの膜厚で設けることにより、打ち抜き加工性、曲げ加工性、耐疵付き性、印刷性及び耐溶剤溶解性に優れた特性が得られる。しかしながら、合成樹脂皮膜の組成及び膜厚は、これに限らず、他の組成及び膜厚の合成樹脂被膜を設けてもよい。
【００２４】
アルミニウム合金基板表面に、第１層としてクロム付着量換算で５乃至５０ｍｇ／ｍ^２のクロメート皮膜を設けることにより、アルミニウム合金基板と第２層として設ける合成樹脂皮膜との層間密着性を向上させる効果があり、曲げ加工時の皮膜の割れによる剥離を生じにくくするとともに、材料表面に疵を生じにくくする。
【００２５】
次に、本実施例において、第２層として設ける合成樹脂皮膜の各成分について説明する。
【００２６】
アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂
ポリエステルウレタン系樹脂はポリエステル部が分子中に脂肪族成分の割合が多く、更にエステル結合が二次元的であるため、線状の高分子量樹脂となるため高い伸び特性を示す。その効果により曲げ加工時の曲げ加工部での皮膜の割れ及び剥離を抑制する。更には、ウレタン結合が他の樹脂結合と比べて比較的強く、且つウレタン結合間の分子間相互作用により高い強度を示す。その効果により、皮膜硬度が高くなり、材料表面に疵を生じにくくするとともに、溶剤洗浄工程においてコーティングした合成樹脂皮膜を溶出しにくくする。
【００２７】
無機微粒子
無機微粒子としてはコロイダルシリカ、タルク、及びマイカ等から選択された１種以上のものを使用することができる。これらの物質は相対的に硬度が高く、これらの物質を合成樹脂皮膜に含有させることにより、材料の表面硬度は更に高くなり、疵が生じにくくなる効果があるため、樹脂中に添加しても構わない。
【００２８】
酸化ポリエチレン系潤滑剤
合成樹脂皮膜中に潤滑剤を添加することにより、材料表面の潤滑性が向上する。材料表面の潤滑性の向上は、材料表面に疵が生じにくくなる効果とともに、打ち抜き加工時の切断工具刃先への負担が低減するため、切断工具刃先の摩耗が抑制され、連続成形後の刃先端のダレにより打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが発生することが抑制されるという効果がある。
【００２９】
潤滑剤としては、酸化ポリエチレン系、マイクロクリスタイン系、ポリ四フッ化エチレン系及びフッ素系等の合成化合物潤滑剤、並びにラノリン及びカルナウバロウ等の油脂系潤滑剤等があるが、材料表面に疵が生じにくくするという観点より、分子構造が直鎖構造となっていることから潤滑性に優れ且つ高い強度を有する酸化ポリエチレン系潤滑剤を使用することが好ましい。
【００３０】
以下に第１層として設けるクロメート皮膜及び第２層として設ける合成樹脂皮膜の数値限定理由について延べる。
【００３１】
クロメート皮膜のクロム付着量：５乃至５０ｍｇ／ｍ ^２
アルミニウム合金板表面に第１層としてクロメート皮膜を設けることにより、アルミニウム合金板と第２層として設ける合成樹脂皮膜との層間密着性を向上させ、曲げ加工時の皮膜の割れによる剥離を生じにくくするとともに、材料表面に疵を生じにくくする効果があるが、クロム付着量が５ｍｇ／ｍ^２未満の場合、その効果は殆ど認められない。一方、クロム付着量が５０ｍｇ／ｍ^２より多い場合は、曲げ加工時にクロメート皮膜自身に割れが生じ、そこを起点として合成樹脂皮膜にも割れが生じ、さらに割れが生じた部位で剥離が生じるという問題がある。従って、クロメート皮膜のクロム付着量は５乃至５０ｍｇ／ｍ^２の範囲とする。
【００３２】
合成樹脂皮膜の膜厚：０．５乃至３μｍ
アルミニウム合金板に上述した合成樹脂皮膜を設けることにより、材料表面に疵を生じにくくする効果が得られるが、合成樹脂皮膜の膜厚が０．５μｍ未満である場合は、この効果が発現されにくくなる。一方、合成樹脂皮膜の膜厚が３μｍより厚い場合、形成される皮膜の内部応力が高くなりすぎ、皮膜の密着性が低下する。そして、この皮膜の密着性が低下すると、曲げ加工部において皮膜が剥離しやすくなるという問題を生じる。従って、合成樹脂皮膜の膜厚は０．５乃至３μｍの範囲とすることが好ましい。
【００３３】
アルミニウム合金板の引張強さ：３００乃至３５０ＭＰａ
更に、このようにして形成されたアルミニウム合金板全体の引張強さは３００乃至３５０ＭＰａの範囲とする。引張強さが３００ＭＰａ未満であれば、シャッタの剛性が不十分となり、シャッタの成形加工時、記録媒体ケースの組立て工程時及び記録媒体ケースとしての使用時にシャッタが変形するという問題点が生じる。一方、引張り強さが３５０ＭＰａよりも高い場合は、強度が高すぎることによって、シャッタを成形する際の打ち抜き加工時に、加工工具（切刃）の刃先端の摩耗を促進してしまい、連続成形後に刃先端が摩耗によりダレる（Ｒが増加する）ため、打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが生じやすいという問題がある。また、打ち抜き加工されたシャッタ端面にバリが発生すると、その後の組み立て工程中にバリが他のシャッタ表面を疵付け、外観を損なうという問題点も生じてくる。
【００３４】
次に、上述のごとく構成されるアルミニウム合金板の製造方法について説明する。先ず、上述した組成（Ｍｇ：２．２乃至２．８質量％、Ｍｎ：０．３５乃至０．５５質量％、Ｆｅ：０．１乃至０．４質量％を含有し、残部がアルミニウム及び不可避不純物からなる組成）となるようにアルミニウム合金を溶解し、連続鋳造して鋳塊とする。そして、例えば５００℃の温度で４時間の均質化処理をする。次に、均質化処理した鋳塊に対し、熱間圧延又は熱間圧延及び冷間圧延を実施して、所定の板厚に圧延する。その後、この圧延板を３５０℃以上の温度で中間焼鈍して、最終圧延率が２０乃至９０％となるように冷間圧延する。
【００３５】
その後、必要に応じて、安定化処理及び歪矯正等を行う。次いで、塗装前処理として、アルカリ脱脂及び酸処理等により、アルミニウム合金板の表面の油分及び酸化皮膜を除去する。
【００３６】
得られたアルミニウム合金板を特許請求の範囲でいうアルミニウム合金基板として、このアルミニウム合金基板の表面に、第１層としてクロム付着量換算で５乃至５０ｍｇ／ｍ^２のクロメート皮膜を設ける。その後、第２層として、例えば、アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂と、平均粒子径が１０μｍ以下の無機微粒子（アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂１００重量部に対して、５乃至２０重量部）と、酸化ポリエチレン系潤滑剤（アクリレート変性ポリエステルウレタン系樹脂１００重量部に対して、０．５乃至３重量部）とを含有させた塗料を、例えば、ロールコーティング法によりアルミニウム合金板表面に乾燥後の膜厚が０．５乃至３μｍとなるように塗布し、例えば２５０℃以下で５乃至３０秒間加熱乾燥することにより、合成樹脂皮膜をクロメート皮膜上に形成する。
【００３７】
【実施例】
次に、本発明の実施例の特性について、本発明の範囲から外れる比較例と比較して説明する。
【００３８】
下記表１に示す組成を有するアルミニウム合金を常法により溶解し、連続鋳造により鋳塊とした。次に、この鋳塊を５１０℃の温度で４時間均質化処理した後、熱間圧延して、板厚が２．８ｍｍの板材とした。次に、冷間圧延により板厚が１ｍｍまで圧延した後、４２０℃の温度で中間焼鈍を行った。その後、板厚０．１８ｍｍまで最終冷間圧延を行い、場合によっては最終冷間圧延後に焼鈍して安定化処理を行った。なお、実施例１乃至４は組成が本発明の特許請求の範囲にて規定した範囲に入るもの、比較例１乃至６は組成が本発明の特許請求の範囲から外れるものである。比較例７及び８は、実施例１と同一組成である。
【００３９】
【表１】

【００４０】
下記表２は、得られたアルミニウム合金板の表面に形成されるクロメート被膜及び樹脂を示す。前述の如くして得られた板材をアルカリ脱脂し、その後、実施例１乃至４及び比較例１乃至６は、第１層としてクロム付着量換算で２０ｍｇ／ｍ^２となるようにリン酸クロメート処理によりクロメート皮膜を形成し、次に、第２層として下記表２に示す組成の塗料をロールコーティング法により乾燥後の膜厚が１μｍとなるように塗装し、２００℃の温度で加熱乾燥することにより、合成樹脂皮膜を塗装した試験材を得た。また、比較例７及び８は、第１層のクロメート皮膜の付着量が他の実施例及び比較例と異なると共に、形成方法を塗布により行ったものであり、第２層の形成条件は他と同一である。また、塗装条件も他の実施例及び比較例と同一である。
【００４１】
【表２】

【００４２】
得られた試験材については、全体の引張り強さ、打ち抜き加工性、曲げ加工性を評価するため、以下の測定を夫々行った。その測定結果及び評価を下記表３に示す。
【００４３】
【表３】

【００４４】
全体の引張り強さについてはＪＩＳ５号試験片を作製し、引張り試験を行うことにより求めた。
【００４５】
打ち抜き加工性については、図４に示す条件にて連続切断加工試験を実施し、切刃先端形状（Ｒ）の変化およびカエリ量を測定した。連続切断加工試験においては、プレス油として低粘度の揮発性プレス油ＡＦ−２Ａ（出光興産（株）製）を使用し、塗油量は１ｇ／ｍ^２とした。また、切断工具（切刃）材質としてはＳＫＤ１１（ＪＩＳ）を使用し、切刃のクリアランスを２０μｍに設定した。更に、加工速度を３００ｃｍ／分とし、ストローク長を３ｍｍ、切断長さを３０ｍｍとした。切刃先端形状（Ｒ）は形状測定装置（ＳＥＤ３６Ｄ：（株）小坂研究所製；触針Ｒ＝２μｍ）にて測定した。また、カエリ量は図４の切断部断面形状模式図に示す凸部からバリ先端部までの寸法を測定した。なお、連続切断加工数は２０万ショットとし、初期状態及び２０万ショット後の切刃先端形状（Ｒ）並びにカエリ量を測定した。
【００４６】
製品剛性については、得られた試験材を図２に示す形状に加工してシャッタを得た後、そのシャッタを図１に示すフレキシブルディスクのケースに組み込んだものを、床面から１ｍの高さから図１に示すフレキシブルディスクのケースの角部が床に衝突するように落下させることにより評価した。評価は各試験材についてｎ＝１０ずつ実施し、シャッタが変形してケースから外れる個数をカウントすることにより行った。
【００４７】
曲げ加工性については、試験材の板厚を曲げ半径とする９０°−０Ｒ曲げ試験を行い、曲げ部を５０乃至２００倍にした実体顕微鏡で観察して、曲げ部の割れの状態から評価した。評価としては、割れのないものを○、微小な割れのあるものを△、大きな割れのあるものを×として評価した。
【００４８】
表３に示すように、実施例１は本発明範囲であり、全体の引張り強さが３００乃至３５０ＭＰａの範囲にあるので、打ち抜き加工性が良好で、連続切断加工後もほとんど切刃先端形状（Ｒ）の変化はなく、バリの増加も認められなかった。また、落下衝撃試験においてもケースよりシャッタが変形し外れることはなく、十分な製品剛性を有する。比較例１は、組成が本発明範囲にあるものの、安定化処理の加熱温度が高いので、全体の引張り強さが２００ＭＰａと本発明範囲を外れて低くなっており、打ち抜き加工性は良好であるものの、落下衝撃試験でシャッタが変形して外れ、製品剛性が不十分である。比較例２は、全体の引張強さが３８０ＭＰａと高すぎるため、製品剛性は良好であるが、打ち抜き加工性が劣り、連続切断加工において切刃先端形状（Ｒ）の増加が認められ、またそれに伴いバリの増加も認められる。比較例３は、全体の引張り強さが２９０ＭＰａと低く、製品剛性が不十分となると共に、組成においても切断性を向上させるＡｌ−Ｆｅ−Ｍｎ系晶出物の生成が不十分であるため、切断性が劣り、連続切断加工において切刃先端形状（Ｒ）の増加が認められ、またそれに伴いバリの増加も認められる。比較例４は全体の引張り強さが１７０ＭＰａと本発明範囲を外れており、打ち抜き加工性は良好であるものの、落下衝撃試験でシャッタが変形し外れ、製品剛性が不十分となる。比較例５はＭｎ添加量が過多となっているため、巨大晶出物の生成及び晶出物の生成の数が多くなり、成形性が低下するため、曲げ加工性において、曲げ部に微小な割れが生じ、曲げ加工性が不十分となる。比較例６はＦｅ添加量が過多となっているため、巨大晶出物の生成および晶出物の生成の数が多くなり、成形性が低下するため、曲げ加工性において、曲げ部に微小な割れが生じ、曲げ加工性が不十分となる。比較例７はクロメート皮膜が過少であるため、曲げ加工性において、曲げ部に微小な割れが生じ、曲げ加工性が不十分となる。比較例８はクロメート皮膜が過多であるため、曲げ加工性において、曲げ部に微小な割れが生じ、曲げ加工性が不十分となる。
【００４９】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明によれば、打ち抜き加工性及び曲げ加工性がいずれも優れたシャッタ用アルミニウム合金板を得ることができる。このため、このアルミニウム合金板は、記録媒体ケースのシャッタに成形する際に、打ち抜き加工性及び曲げ加工性が優れており、また耐疵付き性、耐溶剤溶解性及び印刷性が優れているため、記録媒体ケースのシャッタに好適な樹脂被覆アルミニウム合金板を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】記録媒体として、フレキシブルディスクを示す正面図である。
【図２】このフレキシブルディスクのケースに使用されるシャッタを示す斜視図である。
【図３】このシャッタの断面図である。
【図４】本発明の実施例の試験条件を説明する図である。
【符号の説明】
１：シャッタ
２：ケース
３：記録媒体
４：窓部
５：内隅部[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an aluminum alloy plate suitable as a material for a shutter provided in a case for storing a recording medium such as a magnetic disk such as a flexible (floppy) disk and an optical disk such as an MO disk and a mini disk, and more particularly to punching workability and The present invention relates to an aluminum alloy plate for a shutter of a recording medium case excellent in bending workability.
[0002]
[Prior art]
In a magnetic disk such as a flexible (floppy) disk, an optical disk such as an MO disk and a mini disk, etc., a magnetic disk or optical disk for recording information in a synthetic resin case 2 as shown in FIG. A recording medium 3 such as a (recording disk) is accommodated. When writing or reading information, a magnetic head or an optical head is brought close to the recording medium 3 in the case 2 to read from or write to the magnetic disk or optical disk medium 3. Accordingly, these cases 2 are provided with openings (windows) as a window for arranging the magnetic head or the optical head close to the recording medium 3, and the shutter 1 is provided to open and close the openings. It has been.
[0003]
As shown in the perspective view of FIG. 2 and the cross-sectional view of FIG. 3, the shutter 1 is a plate material having a U-shaped cross-section, and the case 2 is sandwiched between the pair of surfaces. The window is opened at a position where the window portion of the case 2 and the window portion 4 of the shutter 1 are aligned with each other by sliding by being guided by the guide groove provided in the case 2, and the window portion of the case 2 is normally closed. ing.
[0004]
Thus, the function required of this shutter is to open and close when necessary to protect the magnetic surface. Moreover, since the shutter is guided and slid on the case, it is necessary to be lightweight and highly rigid. As a material for the shutter, conventionally, a material made of stainless steel or a synthetic resin such as polystyrene or ABS (acrylonitrile-butadiene-styrene copolymer) has been used. However, a stainless steel shutter is relatively heavy, and when the surface is touched with a hand, a fingerprint is easily attached and the appearance is likely to deteriorate. In addition, polystyrene and ABS shutters have low rigidity, are easily charged, and are liable to adhere to dust and dust, which is harmful to the magnetic surface.
[0005]
Therefore, in recent years, instead of these stainless steel and synthetic resin, a lightweight and rigid aluminum alloy plate has been used as a shutter material.
[0006]
When using an aluminum alloy plate for the shutter, if the aluminum alloy plate is exposed on the surface of the shutter, the lubricity of the surface is low and the surface hardness is low. In each manufacturing process, such as processing, transportation of processed products, assembly into a case, and final inspection of magnetic disks and optical disk products, the aluminum alloy plate surface tends to be wrinkled, and wear particles harmful to the magnetic surface are easily generated. In addition, the appearance of the shutter significantly deteriorates the appearance of the shutter. This problem is caused not only by the manufacturing process but also by contact between the shutters in carrying, and contact with mechanical parts during insertion / removal to / from a reading / writing device such as a word processor or a personal computer in use.
[0007]
For this reason, various techniques for preventing wrinkling of the aluminum alloy plate for the shutter and techniques for improving the adhesion of the UV curable ink have been proposed. For example, in JP-A-3-73479 and JP-A-6-346178, a surface of an aluminum alloy plate is coated with a synthetic resin selected from the group consisting of acrylic, acrylic ester, epoxy, and urethane. It has been proposed. In order to improve wear resistance, it has also been proposed to provide a surface-hardened coating on the surface of an aluminum alloy plate (Japanese Patent Laid-Open No. 6-68638). Furthermore, an aluminum alloy plate provided with an anodized film has also been proposed (JP-A-6-111516 and JP-A-6-162710).
[0008]
Furthermore, the method disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 6-68638, in which a surface hardened coating is provided on the surface of the aluminum alloy plate, is excellent in wear resistance and prevents wrinkling, but the aluminum alloy plate is bent by 90 °. As shown in FIG. 3, when processing a shutter having a U-shaped cross-section, the film is cracked at the 90 ° bend inner corner 5 and the film peels off, which is harmful to the magnetic surface. Dust and dust are likely to be generated.
[0009]
Further, in the method of Japanese Patent Laid-Open No. 6-111516 and Japanese Patent Laid-Open No. 6-162710 in which an anodized film is provided on the surface of an aluminum alloy plate, the film is cracked at the 90 ° bent inner corner 5 and the film is not formed. By peeling off, dust and dust harmful to the magnetic surface are likely to be generated. Also, the surface of the anodized film tends to generate interference colors, and there is a problem in appearance. Further, since the anodic oxide film treatment requiring stable power and treatment time is performed, there is a problem that the manufacturing cost increases.
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
For the purpose of obtaining high rigidity, this shutter aluminum alloy includes, for example, in Japanese Patent No. 2925891 and Japanese Patent No. 2925954, Mg: 3.0 to 6.0 mass%, and the balance is made of aluminum and inevitable impurities. An aluminum alloy has been proposed. Mg is an important element for obtaining strength. In this case, the amount of Mg added is excessive, so that the strength is too high, so that the blade of a processing tool (cutting blade) is formed during punching when molding a shutter. The wear of the tip is promoted, and the blade tip is worn by wear after the continuous forming (R increases), so that there is a problem that burrs are likely to occur on the punched shutter end surface. Then, if burrs are generated on the punched shutter end face, there is a problem that the burrs rub against other shutter surfaces during the subsequent assembly process and the appearance is impaired.
[0011]
The applicant of the present application coats the surface of the aluminum alloy plate with a polyester resin that is harder than other resins, such as acrylic, acrylic epoxy, and urethane, and has excellent wear resistance, and has a chromate film as a lower layer. Has been proposed to improve the adhesion of the polyester resin (Japanese Patent Application No. 8-220228). Further, in order to improve the lubricity of the resin film on the surface of the aluminum alloy plate, a shutter in which a lubricant such as high molecular weight PE (polyethylene) wax, PTEF wax and fluorine-based wax is included in a resin film having a pencil hardness of 5H or more. Proposed an aluminum alloy plate (Japanese Patent Application No. 9-36569).
[0012]
Furthermore, in order to improve the solvent solubility and hardness of the resin film on the surface of the aluminum alloy plate, an aluminum alloy plate for shutters in which a metal chelate compound is contained in a specific polymer vinyl compound has been proposed (Japanese Patent Application No. 9). -232335).
[0013]
Furthermore, in order to prevent wrinkling, a shutter aluminum alloy plate was proposed in which a thermosetting resin film containing inorganic fine particles having a specific average particle size and a lubricant was provided on the surface of the aluminum alloy plate (Japanese Patent Application No. 9). -305538).
[0014]
Furthermore, in order to improve the adhesion of the UV curable ink, a shutter aluminum alloy plate provided with a polyester urethane-based resin film having an acrylate group as a functional group on the surface of the aluminum alloy plate was proposed (Japanese Patent Application No. Hei 10- 197412).
[0015]
However, even in the prior inventions proposed by the applicants of the present application, all the characteristics of workability such as punching and bending as well as characteristics such as lightness and rigidity required for an aluminum alloy plate for shutters are obtained. It is not satisfactory, and further improvement of each characteristic is desired.
[0016]
The present invention has been made in view of such a problem, and is an aluminum for a shutter of a recording medium case satisfying all the characteristics of lightness, rigidity, punching and bending that are required as an aluminum alloy plate for a shutter. An object is to provide an alloy plate.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
The aluminum alloy plate for shutter of the recording medium case according to the present invention has Mg: 2.2 to 2.8% by mass, Mn: 0.35 to 0.55% by mass, Fe: 0.1 to 0.4% by mass. An aluminum alloy substrate having a composition consisting of aluminum and inevitable impurities, and a first layer on at least the outer surface side of the shutter of the recording medium case of the aluminum alloy substrate. 5 to 50 mg / m²And a synthetic resin film provided as a second layer on the outer surface of the shutter, and has an overall tensile strength of 300 to 350 MPa.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, the present invention will be described in detail. The aluminum alloy plate for the shutter of the recording medium case of the present invention has an aluminum alloy substrate and a chromate film formed as a first layer on at least the outer surface of the recording medium case of the aluminum alloy substrate. A synthetic resin film is formed as a second layer on the film.
[0019]
First, regarding the aluminum alloy substrate in the present invention, the reasons for adding the components and limiting the composition of the alloy will be described.
[0020]
Mg content of aluminum alloy substrate: 2.2 to 2.8% by mass
Mg has an effect of promoting work hardening at the time of cold rolling an aluminum alloy plate and improving material strength, and is therefore an essential component in the present invention. However, if the Mg content is less than 2.2% by mass, a sufficient strength improvement effect cannot be obtained, and the rigidity of the shutter becomes insufficient. For example, when the recording medium case is dropped, the shutter is deformed and easily detached. This causes a malfunction. On the other hand, if Mg is added excessively, the strength is too high, which promotes the wear of the cutting edge of the processing tool (cutting blade) during the punching process when forming the shutter. Since sagging occurs (R increases), there is a problem that burrs are likely to occur on the punched shutter end face. For this reason, it is necessary to regulate the upper limit of the Mg addition amount to 2.80% by mass. Therefore, the amount of Mg added is in the range of 2.2 to 2.8% by mass.
[0021]
Mn content of aluminum alloy substrate: 0.35 to 0.55 mass%
Since the addition of Mn has an effect on the generation of Al-Fe-Mn-based crystallized matter that improves the cutting performance during the punching process and the material strength of the aluminum alloy substrate, Mn is contained as an essential component in the present invention. . The generation of the Al-Fe-Mn crystallized material improves the cutting performance of the aluminum alloy plate and reduces the burden on the cutting tool blade edge during punching. It is possible to suppress the occurrence of burrs on the shutter end face punched out due to the cutting edge of the blade. In order to exhibit the effect of improving the cutting property, it is necessary to add at least 0.35% by mass of Mn. However, when Mn is added in excess of 0.55% by mass, the number of large crystallized products and the number of crystallized products are increased, the moldability is lowered, and the shutter is bent into a U-shape. In this case, there arises a problem that cracks occur in the bent portion. Therefore, the amount of Mn added is in the range of 0.35 to 0.55 mass%.
[0022]
Fe content of aluminum alloy substrate: 0.1 to 0.4 mass%
The addition of Fe has a great effect on the formation of Al-Fe-Mn-based crystallized substances that improve the cutting performance during punching and the refinement of crystal grains that improve the formability of the aluminum alloy substrate. The larger the amount of Fe added, the finer the crystal grains. However, when the amount of Fe added is less than 0.1% by mass, the effect is not observed. When the amount exceeds 0.4% by mass, the number of giant crystals and the number of crystals produced increases. This leads to a decrease in moldability. Therefore, the amount of Fe added is in the range of 0.1 to 0.4 mass%.
[0023]
Further, on the surface of the aluminum alloy substrate whose composition is limited in this way, 5 to 50 mg / m in terms of chromium adhesion as the first layer.²And a synthetic resin film having the following composition, for example, is provided as the second layer. This synthetic resin film has an acrylate-modified polyester urethane resin, and 5 to 20 parts by weight of inorganic fine particles having an average particle diameter of 10 μm or less with respect to 100 parts by weight of the acrylate-modified polyester urethane resin. 0.5 to 3 parts by weight of the agent. By providing this synthetic resin film with a film thickness of 0.5 to 3 μm, it is possible to obtain characteristics excellent in punching workability, bending workability, wrinkle resistance, printability, and solvent resistance. However, the composition and film thickness of the synthetic resin film are not limited to this, and synthetic resin films having other compositions and film thicknesses may be provided.
[0024]
5 to 50 mg / m in terms of chromium adhesion as the first layer on the aluminum alloy substrate surface²By providing this chromate film, there is an effect of improving the interlayer adhesion between the aluminum alloy substrate and the synthetic resin film provided as the second layer, making it difficult to cause peeling due to cracking of the film during bending, and to the material surface Makes wrinkles less likely to occur.
[0025]
Next, each component of the synthetic resin film provided as the second layer in this example will be described.
[0026]
Acrylate-modified polyester urethane resin
Polyester urethane-based resins have a high proportion of aliphatic components in the molecule and a two-dimensional ester bond, so that they become a linear high molecular weight resin and exhibit high elongation characteristics. The effect suppresses cracking and peeling of the film at the bending portion during bending. Furthermore, the urethane bond is relatively strong compared to other resin bonds, and exhibits high strength due to intermolecular interaction between the urethane bonds. As a result, the film hardness is increased, and the surface of the material is less likely to be wrinkled, and the synthetic resin film coated in the solvent washing step is less likely to be eluted.
[0027]
Inorganic fine particles
As the inorganic fine particles, one or more selected from colloidal silica, talc, mica and the like can be used. These substances have a relatively high hardness, and by adding these substances to the synthetic resin film, the surface hardness of the material is further increased and the effect of preventing wrinkles is less likely to occur. I do not care.
[0028]
Polyethylene oxide lubricant
By adding a lubricant to the synthetic resin film, the lubricity of the material surface is improved. The improved lubricity of the material surface has the effect of reducing wrinkles on the material surface and reduces the burden on the cutting tool edge during punching. There is an effect that the occurrence of burrs on the end face of the shutter punched by the sagging is suppressed.
[0029]
Lubricants include synthetic compound lubricants such as polyethylene oxide, microcrystalline, polytetrafluoroethylene, and fluorine, and oil-based lubricants such as lanolin and carnauba wax. From the viewpoint of making it difficult to occur, it is preferable to use an oxidized polyethylene-based lubricant having excellent lubricity and high strength because the molecular structure has a linear structure.
[0030]
The reason for limiting the numerical values of the chromate film provided as the first layer and the synthetic resin film provided as the second layer will be described below.
[0031]
Chromium adhesion amount of chromate film: 5 to 50 mg / m ²
By providing a chromate film as the first layer on the surface of the aluminum alloy plate, the interlayer adhesion between the aluminum alloy plate and the synthetic resin film provided as the second layer is improved, and peeling due to cracking of the film during bending is less likely to occur. At the same time, it has the effect of making it difficult to cause wrinkles on the surface of the material, but the chromium adhesion amount is 5 mg / m.²If the ratio is less than 1, the effect is hardly recognized. On the other hand, the amount of chromium adhesion is 50 mg / m²When the amount is larger, there is a problem in that the chromate film itself is cracked during bending, the synthetic resin film is also cracked starting from the crack, and peeling is further generated at the cracked site. Therefore, the chromium adhesion amount of the chromate film is 5 to 50 mg / m.²The range.
[0032]
Synthetic resin film thickness: 0.5 to 3 μm
By providing the above-mentioned synthetic resin film on the aluminum alloy plate, an effect of making it difficult to cause wrinkles on the material surface can be obtained. However, when the thickness of the synthetic resin film is less than 0.5 μm, this effect is hardly exhibited. Become. On the other hand, when the film thickness of the synthetic resin film is thicker than 3 μm, the internal stress of the formed film becomes too high, and the adhesion of the film decreases. And when the adhesiveness of this film | membrane falls, the problem that a film | membrane peels easily in a bending process part will arise. Therefore, the thickness of the synthetic resin film is preferably in the range of 0.5 to 3 μm.
[0033]
Tensile strength of aluminum alloy plate: 300 to 350 MPa
Furthermore, the tensile strength of the whole aluminum alloy plate formed in this way is set to a range of 300 to 350 MPa. If the tensile strength is less than 300 MPa, the rigidity of the shutter becomes insufficient, causing a problem that the shutter is deformed during molding of the shutter, during the assembly process of the recording medium case, and when used as the recording medium case. On the other hand, when the tensile strength is higher than 350 MPa, the strength is too high, which accelerates the wear of the cutting edge of the processing tool (cutting blade) at the time of punching when forming the shutter. Since the tip of the blade sags due to wear (R increases), there is a problem that burrs are likely to occur on the punched shutter end surface. Further, when a burr is generated on the punched shutter end face, there is a problem that the burr rubs another shutter surface during the subsequent assembly process and the appearance is deteriorated.
[0034]
Next, the manufacturing method of the aluminum alloy plate comprised as mentioned above is demonstrated. First, the composition described above (Mg: 2.2 to 2.8% by mass, Mn: 0.35 to 0.55% by mass, Fe: 0.1 to 0.4% by mass, with the balance being aluminum and unavoidable The aluminum alloy is melted so that the composition is composed of impurities) and continuously cast into an ingot. Then, for example, homogenization is performed at a temperature of 500 ° C. for 4 hours. Next, the ingot that has been homogenized is subjected to hot rolling or hot rolling and cold rolling, and rolled to a predetermined plate thickness. Thereafter, the rolled sheet is subjected to intermediate annealing at a temperature of 350 ° C. or higher, and cold-rolled so that the final rolling rate is 20 to 90%.
[0035]
Thereafter, stabilization processing, distortion correction, and the like are performed as necessary. Next, as a pretreatment for coating, the oil and oxide film on the surface of the aluminum alloy plate are removed by alkali degreasing, acid treatment, or the like.
[0036]
The obtained aluminum alloy plate is used as an aluminum alloy substrate in the claims, and the surface of the aluminum alloy substrate is 5 to 50 mg / m in terms of chromium adhesion as the first layer.²A chromate film is provided. Thereafter, as the second layer, for example, acrylate-modified polyester urethane resin, inorganic fine particles having an average particle diameter of 10 μm or less (5 to 20 parts by weight with respect to 100 parts by weight of acrylate-modified polyester urethane resin), and polyethylene oxide The film thickness after drying a paint containing a base lubricant (0.5 to 3 parts by weight with respect to 100 parts by weight of the acrylate-modified polyester urethane resin) on the surface of the aluminum alloy plate by, for example, a roll coating method A synthetic resin film is formed on the chromate film by coating to 0.5 to 3 μm and drying by heating, for example, at 250 ° C. or lower for 5 to 30 seconds.
[0037]
【Example】
Next, the characteristics of the examples of the present invention will be described in comparison with comparative examples that are out of the scope of the present invention.
[0038]
An aluminum alloy having the composition shown in Table 1 below was melted by a conventional method and formed into an ingot by continuous casting. Next, this ingot was homogenized for 4 hours at a temperature of 510 ° C., and then hot rolled to obtain a plate material having a plate thickness of 2.8 mm. Next, after rolling to 1 mm by cold rolling, intermediate annealing was performed at a temperature of 420 ° C. Then, the final cold rolling was performed to a plate thickness of 0.18 mm, and in some cases, annealing was performed after the final cold rolling to perform a stabilization treatment. In Examples 1 to 4, the composition falls within the range specified in the claims of the present invention, and in Comparative Examples 1 to 6, the composition deviates from the claims of the present invention. Comparative Examples 7 and 8 have the same composition as Example 1.
[0039]
[Table 1]

[0040]
Table 2 below shows the chromate film and resin formed on the surface of the obtained aluminum alloy plate. The plate material obtained as described above was alkali degreased, and then Examples 1 to 4 and Comparative Examples 1 to 6 were 20 mg / m in terms of chromium adhesion as the first layer.²Then, a chromate film is formed by a phosphoric acid chromate treatment so that the coating film has a composition shown in Table 2 below as a second layer, and is applied by a roll coating method so that the film thickness after drying becomes 1 μm. A test material coated with a synthetic resin film was obtained by heating and drying at a temperature of ° C. Further, Comparative Examples 7 and 8 are different from the other Examples and Comparative Examples in the amount of the first layer chromate film deposited, and the formation method is performed by coating. Are identical. Also, the coating conditions are the same as in the other examples and comparative examples.
[0041]
[Table 2]

[0042]
About the obtained test material, in order to evaluate the whole tensile strength, punching workability, and bending workability, the following measurements were performed, respectively. The measurement results and evaluation are shown in Table 3 below.
[0043]
[Table 3]

[0044]
The total tensile strength was obtained by preparing a JIS No. 5 test piece and conducting a tensile test.
[0045]
For the punching workability, a continuous cutting process test was performed under the conditions shown in FIG. 4, and the change in the cutting edge tip shape (R) and the amount of burrs were measured. In the continuous cutting process test, low-viscosity volatile pressing oil AF-2A (manufactured by Idemitsu Kosan Co., Ltd.) is used as the pressing oil, and the amount of oil applied is 1 g / m.²It was. Moreover, SKD11 (JIS) was used as a cutting tool (cutting blade) material, and the clearance of the cutting blade was set to 20 μm. Furthermore, the processing speed was 300 cm / min, the stroke length was 3 mm, and the cutting length was 30 mm. The cutting edge tip shape (R) was measured with a shape measuring device (SED36D: manufactured by Kosaka Laboratory Ltd .; stylus R = 2 μm). Further, the amount of burrs was measured by measuring the dimension from the convex part to the burr tip part shown in the cut section cross-sectional schematic diagram of FIG. The number of continuous cutting processes was 200,000 shots, and the initial state, the cutting edge tip shape (R) after 200,000 shots, and the amount of burrs were measured.
[0046]
For product rigidity, the obtained test material was processed into the shape shown in FIG. 2 to obtain a shutter, and then the shutter incorporated in the flexible disk case shown in FIG. 1 was 1 m above the floor. 1 was evaluated by dropping the corners of the flexible disk case shown in FIG. 1 so as to collide with the floor. The evaluation was performed by performing n = 10 for each test material, and counting the number of shutters deformed and removed from the case.
[0047]
The bending workability was evaluated by performing a 90 ° -0R bending test in which the thickness of the test material was the bending radius, and observing with a stereomicroscope with the bending part being 50 to 200 times, and evaluating from the state of cracking of the bending part. . As the evaluation, the case without cracks was evaluated as ◯, the case with small cracks as Δ, and the case with large cracks as X.
[0048]
As shown in Table 3, Example 1 is within the scope of the present invention, and since the overall tensile strength is in the range of 300 to 350 MPa, the punching workability is good, and the cutting edge tip shape (almost after continuous cutting) ( There was no change in R) and no increase in burr was observed. In the drop impact test, the shutter is not deformed and removed from the case, and the product has sufficient rigidity. In Comparative Example 1, although the composition is in the range of the present invention, the heating temperature of the stabilization treatment is high, so the overall tensile strength is 200 MPa, which is low outside the range of the present invention, and the punching workability is good. However, in the drop impact test, the shutter is deformed and detached, and the product rigidity is insufficient. In Comparative Example 2, since the overall tensile strength is too high at 380 MPa, the product rigidity is good, but the punching workability is inferior, and an increase in the cutting edge tip shape (R) is observed in continuous cutting, and Along with this, an increase in burr is also observed. In Comparative Example 3, since the overall tensile strength is as low as 290 MPa, the product rigidity becomes insufficient, and the production of Al—Fe—Mn-based crystallized matter that improves the cutting property even in the composition is insufficient. The cutting ability is inferior, the cutting edge tip shape (R) is increased in continuous cutting, and the burr is also increased accordingly. In Comparative Example 4, the overall tensile strength is 170 MPa, which is outside the range of the present invention, and the punching workability is good, but the shutter is deformed and removed in the drop impact test, and the product rigidity becomes insufficient. In Comparative Example 5, since the amount of Mn added is excessive, the number of large crystallized products and the number of crystallized products are increased, and the formability is lowered. Cracking occurs and bending workability becomes insufficient. In Comparative Example 6, since the amount of Fe added is excessive, the number of large crystallized products and the number of crystallized products are increased, and the formability is reduced. Cracking occurs and bending workability becomes insufficient. In Comparative Example 7, since the chromate film is too small, in the bending workability, a minute crack is generated in the bent portion, and the bending workability becomes insufficient. Since the comparative example 8 has an excessive chromate film, in the bending workability, a minute crack is generated in the bent portion, and the bending workability becomes insufficient.
[0049]
【The invention's effect】
As described in detail above, according to the present invention, it is possible to obtain an aluminum alloy plate for shutters that is excellent in both punching workability and bending workability. For this reason, this aluminum alloy plate is excellent in punching workability and bending workability when formed into a shutter of a recording medium case, and also has excellent scratch resistance, solvent dissolution resistance, and printability. Thus, a resin-coated aluminum alloy plate suitable for a shutter of a recording medium case can be obtained.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a front view showing a flexible disk as a recording medium.
FIG. 2 is a perspective view showing a shutter used in the case of this flexible disk.
FIG. 3 is a sectional view of the shutter.
FIG. 4 is a diagram for explaining test conditions of an example of the present invention.
[Explanation of symbols]
1: Shutter
2: Case
3: Recording medium
4: Window
5: Inner corner

Claims

In an aluminum alloy plate for a shutter of a recording medium case used as a shutter for opening and closing a recording head window provided in the case for storing the recording medium, Mg: 2.2 to 2.8 mass%, Mn: 0.35 To 0.55% by mass, Fe: 0.1 to 0.4% by mass, the balance of which is aluminum and an unavoidable impurity, and an aluminum alloy substrate and at least a shutter of the recording medium case of the aluminum alloy substrate A chromate film of 5 to 50 mg / m ² provided as a first layer on the outer surface side, and a synthetic resin film provided as a second layer on the outer surface of the shutter; An aluminum alloy plate for a shutter of a recording medium case, wherein the overall tensile strength is 300 to 350 MPa.