JP4107831B2 - 医薬組成物 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2種以上の利尿剤を有効成分として含有する医薬組成物(特に、高血圧症の予防又は治療のための医薬組成物)に関する。
【0002】
【従来の技術】
高血圧症の予防又は治療(特に、治療)を目的として、アンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤を併用した例は、過去にも知られており例えば、WO89/6233号、特開平3−27362号等に記載されている。
【0003】
しかしながら、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤とを併用した例については知られていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は、高血圧症の予防と治療の重要性にかんがみて、種々研究を重ねた結果、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2種以上の利尿剤を含有する組成物が優れた血圧降下作用を有し、高血圧症の予防又は/及び治療薬として有用であることを見い出すに至った。
【0005】
本発明は、本発明は、特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2種以上の利尿剤を有効成分として含有する医薬組成物(特に、高血圧症の予防又は治療のための医薬組成物)、又は特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2種以上の利尿剤を同時又は時間を変えて投与するための医薬組成物(特に、高血圧症の予防又は治療のための組成物)を提供する。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の医薬組成物の有効成分は、一般式(I)
【0007】
【化2】
【0008】
を有する化合物、その薬理上許容される塩、その薬理上許容されるエステル又はその薬理上許容されるエステルの薬理上許容される塩からなる群から選択されるアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2種以上の利尿剤から成る。
【0009】
上記化合物(I)、その塩等は、公知化合物であり、例えば、特開平5−78328号公報等に記載され、化合物(I)の化学名は、4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾ−ル−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]イミダゾ−ル−5−カルボン酸である。
【0010】
本発明の有効成分である化合物(I)の「薬理上許容される塩」は、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩のようなアルカリ土類金属塩、アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル塩、コバルト塩等の金属塩;又はアンモニウム塩、t−オクチルアミン塩、ジベンジルアミン塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジアミン塩、N−メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカイン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N−ベンジル−フェネチルアミン塩、ピペラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のようなアミン塩であり得、好適には、アルカリ金属塩であり、特に好適には、ナトリウム塩である。
【0011】
本発明の有効成分である化合物(I)の「薬理上許容され得るエステル」は、化合物(I)が有するカルボン酸部分がエステル化されたものであって、該エステルを形成する基は、生体内で加水分解のような生物学的方法により開裂し得る基であり、例えば、メトキシメチル、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−(イソプロポキシ)エチル、2−メトキシエチル、2−エトキシエチル、1,1−ジメチル−1−メトキシメチル、エトキシメチル、プロポキシメチル、イソプロポキシメチル、ブトキシメチル、t−ブトキシメチルのようなC1−C4アルコキシC1−C4アルキル基、2−メトキシエトキシメチルのようなC1−C4アルコキシ化C1−C4アルコキシC1−C4アルキル基、フェノキシメチルのようなC6−C10アリールオキシC1−C4アルキル基、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチルのようなハロゲン化C1−C4アルコキシC1−C4アルキル基、メトキシカルボニルメチルのようなC1−C4アルコキシカルボニルC1−C4アルキル基、シアノメチル、2−シアノエチルのようなシアノC1−C4アルキル基、メチルチオメチル、エチルチオメチルのようなC1−C4アルキルチオメチル基、フェニルチオメチル、ナフチルチオメチルのようなC6−C10アリールチオメチル基、2−メタンスルホニルエチル、2−トリフルオロメタンスルホニルエチルのようなハロゲンで置換されてもよいC1−C4アルキルスルホニルC1−C4低級アルキル基、2−ベンゼンスルホニルエチル、2−トルエンスルホニルエチルのようなC6−C10アリールスルホニルC1−C4アルキル基、ホルミルオキシメチル、アセトキシメチル、プロピオニルオキシメチル、ブチリルオキシメチル、ピバロイルオキシメチル、バレリルオキシメチル、イソバレリルオキシメチル、ヘキサノイルオキシメチル、1−ホルミルオキシエチル、1−アセトキシエチル、1−プロピオニルオキシエチル、1−ブチリルオキシエチル、1−ピバロイルオキシエチル、1−バレリルオキシエチル、1−イソバレリルオキシエチル、1−ヘキサノイルオキシエチル、2−ホルミルオキシエチル、2−アセトキシエチル、2−プロピオニルオキシエチル、2−ブチリルオキシエチル、2−ピバロイルオキシエチル、2−バレリルオキシエチル、2−イソバレリルオキシエチル、2−ヘキサノイルオキシエチル、1−ホルミルオキシプロピル、1−アセトキシプロピル、1−プロピオニルオキシプロピル、1−ブチリルオキシプロピル、1−ピバロイルオキシプロピル、1−バレリルオキシプロピル、1−イソバレリルオキシプロピル、1−ヘキサノイルオキシプロピル、1−アセトキシブチル、1−プロピオニルオキシブチル、1−ブチリルオキシブチル、1−ピバロイルオキシブチル、1−アセトキシペンチル、1−プロピオニルオキシペンチル、1−ブチリルオキシペンチル、1−ピバロイルオキシペンチル、1−ピバロイルオキシヘキシルのようなC1−C7脂肪族アシルオキシC1−C4アルキル基、シクロペンチルカルボニルオキシメチル、シクロヘキシルカルボニルオキシメチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシエチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル、1−シクロペンチルカルボニルオキシプロピル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシプロピル、1−シクロペンチルカルボニルオキシブチル、1−シクロヘキシルカルボニルオキシブチルのようなC5−C6シクロアルキルカルボニルオキシC1−C4アルキル基、ベンゾイルオキシメチルのようなC6−C10アリールカルボニルオキシC1−C4アルキル基、メトキシカルボニルオキシメチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(メトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、エトキシカルボニルオキシメチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ブチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ペンチル、1−(エトキシカルボニルオキシ)ヘキシル、プロポキシカルボニルオキシメチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(プロポキシカルボニルオキシ)ブチル、イソプロポキシカルボニルオキシメチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソプロポキシカルボニルオキシ)ブチル、ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(ブトキシカルボニルオキシ)ブチル、イソブトキシカルボニルオキシメチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)エチル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(イソブトキシカルボニルオキシ)ブチル、t−ブトキシカルボニルオキシメチル、1−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル、ペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、ヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(ヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピルのようなC1−C6アルコキシカルボニルオキシC1−C4アルキル基、シクロペンチルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(シクロペンチルオキシカルボニルオキシ)ブチル、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシメチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)エチル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)プロピル、1−(シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ)ブチルのようなC5−C6シクロアルキルオキシカルボニルオキシC1−C4アルキル基、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−エチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−プロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−イソプロピル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、(5−ブチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルのような[5−(C1−C4アルキル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基,(5−フェニル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル、[5−(4−メチルフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−メトキシフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−フルオロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル、[5−(4−クロロフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチルのような[5−(C1−C4アルキル、C1−C4アルコキシ若しくはハロゲンで置換されてもよいフェニル)−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル]メチル基又はフタリジル、ジメチルフタリジル、ジメトキシフタリジルのようなC1−C4アルキル若しくはC1−C4アルコキシで置換されてもよいフタリジル基であり得、好適には、ピバロイルオキシメチル基、フタリジル基又は(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基であり、さらに好適には、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル基である。
【0012】
本発明の有効成分である化合物(I)の「薬理上許容されるエステルの薬理上許容される塩」は、上記「薬理上許容されるエステル」の薬理上許容される塩であって、例えば、弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩;過塩素酸塩;硫酸塩;燐酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のようなハロゲンで置換されてもよいC1−C4アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなC1−C4アルキルで置換されてもよいC6−C10アリ−ルスルホン酸塩;酢酸、りんご酸、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩のようなC1−C6脂肪酸塩;又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり得、好適には、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩又は燐酸塩であり、特に好適には、塩酸塩である。
【0013】
本発明の有効成分であるアンジオテンシンII受容体拮抗剤は、好適には、化合物(I)又はその薬理上許容されるエステルであり、更に好適には、化合物(I)の薬理上許容されるエステルであり、更により好適には、化合物(I)のピバロイルオキシメチルエステル、フタリジルエステル又は(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステルであり、最も好適には、化合物(I)の(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル、即ち、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチル 4−(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)−2−プロピル−1−[2’−(1H−テトラゾ−ル−5−イル)ビフェニル−4−イルメチル]イミダゾ−ル−5−カルボキシレート(CS−866)である。
【0014】
又、本発明の有効成分である化合物(I)及びその塩等は、大気中に放置しておくことにより、水分を吸収し、吸着水が付いたり、水和物となる場合があり、そのような塩も本発明に包含される。
【0015】
更に、本発明の有効成分である化合物(I)及びその塩等は、他のある種の溶媒を吸収し、溶媒和物となる場合があるが、そのような塩も本発明に包含される。
【0016】
本発明の他方の有効成分である利尿剤は、公知化合物であり、例えば、米国特許2,554,816号、米国特許2,980,679号、米国特許2,783,241号、英国特許795,174号、J.Chem.Soc.,1125(1928)、米国特許2,835,702号、英国特許851,287号、米国特許3,356,692号、米国特許3,055,904号、米国特許2,976,289号、米国特許3,058,882号、Helv.Chim.Acta,45(巻),2316(1962)、応用薬理,21(巻),607(1982)、米国特許3,183,243号、米国特許3,360,518号、米国特許3,567,777号、米国特許3,634,583号、米国特許3,025,292号、J.Am.Chem.Soc.,82(巻),1132(1960)、米国特許3,108,097号、Experientia,16(巻),113(1960)、J.Org.Chem.,26(巻),2814(1961)、米国特許3,009,911号、米国特許3,265,573号、米国特許3,254,076号、米国特許3,255,241号、米国特許3,758,506号、ベルギー特許639,386号、米国特許3,163,645号等に記載され、アセタゾラミド(Acetazolamide)、メタゾラミド(Methazolamide)、エトクスゾラミド(Ethoxzolamide)、クロフェナミド(Clofenamide)、ジクロルフェナミド(Dichlorphenamide)、ジスルファミド(Disuflamide)、メフルシド(Mefruside)、クロルタリドン(Chlorthalidone)、キネタゾン(Quinethazone)、フロセミド(Furosemide)、クロパミド(Clopamide)、トリパミド(Tripamide)、インダパミド(Indapamide)、クロレキソロン(Clorexolone)、メトラゾン(Metolazone)、キシパミド(Xipamide)、ブメタニド(Bumetanide)、ピレタニド(Piretanide)、X-54のようなスルホンアミド系化合物;ヒドロクロロチアジド(Hydrochlorothiazide)、メチクロチアジド(Methylclothiazide)、ベンジルヒドロクロロチアジド(Benzylhydrochlorothiazide)、トリクロルメチアジド(Trichloromethiazide)、シクロペンチアジド(Cyclopenthiazide)、ポリチアジド(Polythiazide)、エチアジド(Ethiazide)、シクロチアジド(Cyclothiazide)、ベンドロフルメチアジド(Bendroflumethiazide)、ヒドロフルメチアジド(Hydroflumethiazide)のようなチアジド系化合物;エタクリン酸(Ethacrynic acid)、チエニル酸(Tienilic acid)、インダクリノン(Indacrinone)、キンカルバート(Quincarbate)のようなフェノキシ酢酸系化合物;トリアムテレン(Triamterene);アミロリド(Amiloride);スピロノラクトン(Spironolactone);カンレノ酸カリウム(Potassium canrenoate);トラセミド(Torasemide);MK−447;又はトラキサノクスナトリウム(Traxanox sodium)であり得、好適には、チアジド系化合物であり、更に好適には、ヒドロクロロチアジドである。
【0017】
以下に、利尿剤の代表的なものの平面構造式を示す。
【0018】
【化3】
【0019】
【化4】
【0020】
【化5】
【0021】
【化6】
【0022】
【化7】
【0023】
【化8】
【0024】
【化9】
【0025】
【化10】
【0026】
ヒドロクロロチアジドの化学名は、6−クロロ−3,4−ジヒドロ−2H−1,2,4−ベンゾチアジアジン−7−スルホンアミド 1,1−ジオキシドであり、本願のヒドロクロロチアジドは、その薬理上許容される塩を包含し、その塩は、例えば、弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲン化水素酸塩;硝酸塩;過塩素酸塩;硫酸塩;燐酸塩;メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のようなハロゲンで置換されてもよいC1−C4アルカンスルホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩のようなC1−C4アルキルで置換されてもよいC6−C10アリ−ルスルホン酸塩;、酢酸、りんご酸、フマ−ル酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、蓚酸塩、マレイン酸塩のようなC1−C6脂肪酸塩;又はグリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩であり得、好適には、塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩又は燐酸塩であり、特に好適には、塩酸塩である。
【0027】
又、上記化合物が不斉炭素を有する場合には、本発明の利尿剤は、光学異性体及びそれらの異性体の混合物をも包含する。さらに、上記化合物の水和物も包含する。
【0028】
本発明において、利尿剤は、1種又は2種以上が選択されるが、好適には、利尿剤から1種が選択され、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と組み合わせて使用される。
【0029】
本発明の医薬組成物の好適な態様は、
(1)有効成分の利尿剤が、スルホンアミド系化合物、フェノキシ酢酸系化合物又はチアジド系化合物である医薬組成物、
(2)有効成分の利尿剤が、チアジド系化合物である医薬組成物、
(3)有効成分の利尿剤が、ヒドロクロロチアジド、メチクロチアジド、ベンジルヒドロクロロチアジド、トリクロルメチアジド、シクロペンチアジド、ポリチアジド、エチアジド、シクロチアジド、ベンドロフルメチアジド及びヒドロフルメチアジドから成る群から選択される薬剤である医薬組成物及び
(4)有効成分の利尿剤が、ヒドロクロロチアジドである医薬組成物である。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明のCS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2以上の利尿剤を有効成分として含有する医薬組成物は、優れた血圧降下作用を有し、毒性も弱いため、医薬[好適には、高血圧症、心臓疾患(狭心症、心不全、心肥大)、血管障害(動脈硬化症、PTCA後再狭窄、末梢性循環障害)、腎臓疾患(糖尿病性腎症、糸球体腎炎、腎硬化症)の予防剤又は治療剤(特に、治療剤)、更に好適には、高血圧症又は心臓疾患の予防剤又は治療剤(特に、治療剤)であり、特に好適には、高血圧症の予防剤又は治療剤(特に、治療剤)]として有用である。また、上記医薬は、好適には、温血動物用であり、更に好適には、ヒト用である。
【0031】
本発明によれば、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤とは、それらが組み合わせられ、使用されることより各々の単剤と比べ、優れた効果を示す。又、このような効果は、必ずしも2系統の薬剤が同時に体内に存在していなくてももたらされる。即ち、2系統の薬剤が同時にある程度以上の血中濃度を有さなくても効果を示すのである。推測によれば、本発明に使用される2系統の薬剤は、共に、生体内に取り込まれて受容体に到達すれば、生体内の「スイッチ」を入れる作用を果たし、従って、投与後の経過時間につれてもはやその血中濃度では作用を示さないように見えても、実際は「スイッチ」はすでに入っており、一方の系統の物質が有する高血圧の予防または治療効果が奏される。この状態において、他方の系統の薬剤が投与されると、その薬剤が有する高血圧の予防または治療効果に加えて、先に投与された薬剤の効果が合さり、優れた効果が得られる。勿論、臨床上は両系統の薬剤が同時に投与されることが便宜であり、それゆえ、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤は、配合剤の形態で投与することができる。製剤技術上、両薬剤を物理的に同時に混合することが好ましくない場合は、それぞれの単剤を同時に投与することもできる。また、前述のとおり、2系統の薬剤は同時に投与しなくても優れた効果を奏するので、それぞれの単剤を適当な間隔を置いて相前後して投与することもできる。かかる2系統の薬剤によりもたらされる優れた効果が達成されるのに許容される最大限の2系統薬剤の投与間隔は、臨床上または動物実験により確認することができる。
【0032】
本発明において使用されるCS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤の投与ル−トは、一般的に経口ル−トである。従って、2系統の薬剤は、それぞれ単独で別々の単位投与形態に、又は混合して物理的に1個の単位投与形態に調製することができる。かかる単位投与形態は、たとえば、散剤、顆粒剤、錠剤、カプセル剤等であり得、それ自体、適宜の薬理学的に許容される塩、エステル等を賦形剤、希釈剤等と混合し、以下に示すように、通常の製剤技術により調製することができる。
【0033】
即ち、上記製剤は、賦形剤(例えば、乳糖、白糖、葡萄糖、マンニトール、ソルビトールのような糖誘導体;トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、α澱粉、デキストリンのような澱粉誘導体;結晶セルロースのようなセルロース誘導体;アラビアゴム;デキストラン;プルランのような有機系賦形剤;及び、軽質無水珪酸、合成珪酸アルミニウム、珪酸カルシウム、メタ珪酸アルミン酸マグネシウムのような珪酸塩誘導体;燐酸水素カルシウムのような燐酸塩;炭酸カルシウムのような炭酸塩;硫酸カルシウムのような硫酸塩等の無機系賦形剤を挙げることができる。)、滑沢剤(例えば、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムのようなステアリン酸金属塩;タルク;ビーズワックス、ゲイ蝋のようなワックス類;硼酸;アジピン酸;硫酸ナトリウムのような硫酸塩;グリコール;フマル酸;安息香酸ナトリウム;DLロイシン;ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸マグネシウムのようなラウリル硫酸塩;無水珪酸、珪酸水和物のような珪酸類;及び、上記澱粉誘導体を挙げることができる。)、結合剤(例えば、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、マクロゴール、及び、前記賦形剤と同様の化合物を挙げることができる。)、崩壊剤(例えば、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、内部架橋カルボキシメチルセルロースナトリウムのようなセルロース誘導体;カルボキシメチルスターチ、カルボキシメチルスターチナトリウム、架橋ポリビニルピロリドンのような化学修飾された澱粉・セルロース類;上記澱粉誘導体を挙げることができる。)、乳化剤(例えば、ベントナイト、ビーガムのようなコロイド性粘土;水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムのような金属水酸化物;ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸カルシウムのような陰イオン界面活性剤;塩化ベンザルコニウムのような陽イオン界面活性剤;及び、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルのような非イオン界面活性剤を挙げることができる。)、安定剤(例えば、メチルパラベン、プロピルパラベンのようなパラオキシ安息香酸エステル類;クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエチルアルコールのようなアルコール類;塩化ベンザルコニウム;フェノール、クレゾールのようなフェノール類;チメロサール;デヒドロ酢酸;及び、ソルビン酸を挙げることができる。)、矯味矯臭剤(例えば、通常使用される、甘味料、酸味料、香料等を挙げることができる。)、希釈剤等の添加剤を用いて周知の方法で製造される。
【0034】
本発明において使用されるCS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤の投与量と投与比率は、個々の薬剤の活性、患者の症状、年齢、体重等の種々の条件により大幅に変化し得るが、一般的に言って、それらの成人当りの用量(mg薬量/回)は、それぞれ約0.5−1000mg(好適には、1−100mg)及び約0.05−1500mg(好適には、5−300mg)であり、1日1回乃至数回症状に応じて投与される。
【0035】
これら2系統の薬剤の投与量の比率も、また、大幅に変わり得るが、一般的に言って、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤の投与量比率は、重量比で、1:200ないし200:1の範囲内であり得る。
【0036】
本発明において、CS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と利尿剤は、それぞれ上記の投与量をそれぞれを同時に、または時間を異にして別々に、投与される。
【0037】
【実施例】
以下に、実施例及び製剤例をあげて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明の範囲はこれらに限定されるものではない。
【0038】
実施例1
CS−866とヒドロクロロチアジド併用による降圧作用
28匹の20週齢雄性SHR(Spontaneously hypertensive rat、SPFグレード、生産元:(株)星野試験動物飼育所:高血圧自然発症ラット)に血圧測定用テレメトリー送信機(TA11PA−C40、DATA SCIENCES. Inc.)の埋め込み手術を実施した。手術からの回復を待ち、24週齢から血圧モニターを開始し、いずれの動物にも、0.5%カルボキシメチルセルロース(CMC)水溶液(2mL/kg)を7日間連日(1日1回)経口ゾンデで経口投与した。0.5%CMC水溶液投与から5日及び6日目の測定値を基準に血圧が均一になるように4群(各群7匹)に動物を分け、25週齢から、0.5%CMC水溶液(2mL/kg:コントロール群)もしくは被験物質を0.5%CMC水溶液に縣濁した液(2mL/kg)を14日間連日(1日1回)経口投与した。 投与前日、投与後7日目及び投与後14日目の血圧を測定した。群構成と被験物質投与及び血圧の測定値(各測定日の24時間平均血圧±標準誤差)を、それぞれ、表1及び表2に示す。
【0039】
なお、被験物質は、それぞれ、ヒドロクロルチアジド(HCTZ)、CS−866及びHCTZとCS−866であり、HCTZは、最終濃度が10mg/2mLの懸濁液となるように0.5%CMC水溶液を用いて調製し、CS−866は、最終濃度が1mg/2mLの懸濁液となるように0.5%CMC水溶液を用いて調製し、HCTZとCS−866は、最終濃度が[10mg(HCTZ)+1mg(CS−866)]/2mLの懸濁液となるように0.5%CMC水溶液を用いて調製した。
【0040】
【表1】
【0041】
【表2】
表2に示すように、HCTZとCS-866の併用投与(群4)は、各々の単剤投与(群2又は群3)に比べ、より優れた降圧効果を示した。
【0042】
製剤例1
錠剤
【0043】
【表3】
上記表3に示す処方の粉末を混合し、打錠機により打錠して、1錠350mgの錠剤とする。この錠剤は必要に応じて、糖衣を施すことができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明のCS−866等の特定のアンジオテンシンII受容体拮抗剤と1種又は2以上の利尿剤を有効成分として含有する医薬組成物は、優れた血圧降下作用を有し、毒性も弱いため、医薬[好適には、高血圧症、心臓疾患(狭心症、心不全、心肥大)、血管障害(動脈硬化症、PTCA後再狭窄、末梢性循環障害)、腎臓疾患(糖尿病性腎症、糸球体腎炎、腎硬化症)の予防剤又は治療剤(特に、治療剤)、更に好適には、高血圧症又は心臓疾患の予防剤又は治療剤(特に、治療剤)であり、特に好適には、高血圧症の予防剤又は治療剤(特に、治療剤)]として有用である。また、上記医薬は、好適には、温血動物用であり、更に好適には、ヒト用である。

Claims (2)

  1. 一般式(I)
    を有する化合物の(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステルであるアンジオテンシン II 受容体拮抗剤、及び、ヒドロクロロチアジドである利尿剤を有効成分として含有する医薬組成物。
  2. 医薬組成物が、高血圧症の予防又は治療のためのものである請求項1の医薬組成物。
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