JP4105315B2 - 放電処理装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば下水処理場や屎尿処理場における下水処理過程或いは食品工場や化学工場の排水過程等から排出される有機性廃液、生物実験培養液、飲料水または飲食物製造用水等の被処理液体の改質を行う際に使用する放電処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
上述した被処理液体の改質方法として、従来、好気性微生物の存在する汚泥を用いて有機性廃液を好気的に処理し、好気性処理で増殖された汚泥を、高電圧パルス放電処理および電界パルス印加処理のうちの少なくとも一方により改質し、その改質によって生成した改質汚泥を前記好気性処理で処理する方法が提案されている(特願平10−63743号)。
【0003】
かかる方法において高電圧パルス放電処理等を行う放電処理装置は、図11に示すように、棒電極101と平板電極102とを並設し、両電極101、102間に高電圧パルス発生装置104にて所望の電圧を印加する構成となっている。この放電処理装置において、両電極101、102間に、例えば図12に示すようにt1〜t2の立ち上がり時間が数10ナノ秒という非常に急峻な電圧を印加すると、電極101、102に急速に電荷が搬送され、棒電極101の長尺方向に均一な電荷が分布する。そして、この印加電圧がVL以上のときに、汚泥が絶縁破壊を引き起こし、電極101、102間に放電が発生する。このとき、上記のように棒電極101には長尺方向に均一に電荷が分布しているから、平板電極102に対して一様に放電103が発生し、あたかも平面状をした放電、いわゆる面放電となる。
【0004】
この放電処理装置による場合には、線状をした放電を発生させる場合に比べ、処理対象に対して広範囲に放電を作用させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記提案方法による場合には、広範囲に面状をした放電が発生するものの、電流が支配的な放電、即ち数100アンペア以上の放電電流が流れ、アーク放電もしくは、ストリーマ放電からアーク放電へ移行中の放電ではなく、電圧が支配的なストリーマ放電、即ち数10アンペア以下の放電電流の放電が発生する場合も多い。
【0006】
このような電圧が支配的なストリーマ放電が発生する場合は、電流が支配的な放電が発生する確率が下がる分だけ、面状をした放電の利用効率が低下することになる。例えば、汚泥処理などにおいては、電流が支配的な放電を使用する場合の方が、衝撃波、紫外線、ラジカルまたは放電電流がより多く発生し、電圧が支配的なストリーマ放電を使用する場合よりも汚泥の可溶化が促進される。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を解消すべくなされたものであり、面状をした放電を発生させると共に、電流が支配的な放電の発生確率を向上させ得る放電処理装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の放電処理装置は、一対の電極間に介在される被処理液体中に対して、放電を発生させる放電処理装置であって、前記一対の電極の少なくとも一方が電界集中用の導電部を部分的に有するとともに、前記導電部がほぼ均等割合で設けられ、前記一対の電極間において、アーク放電による面放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の電流が支配的な数100アンペア以上の面放電を発生させる構成である。
【0009】
この構成にあっては、一対の電極の少なくとも一方が、電界集中用の導電部を部分的に有するので、その導電部の近傍において、電流が支配的な放電が発生し易くなる。このとき、その電界集中用の導電部をほぼ均等に設けているので、電流が支配的な放電、つまりアーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の電流が支配的な数100アンペア以上の放電が、広範囲にわたって面状に発生することになる。
【0010】
ここで、本発明の放電処理装置における電界集中用の導電部の形態としては、複数の突起からなるもの、複数のネジ山が螺旋の一部として形成されたもの、複数の短い棒を立てて並べたもの、複数の棒を寝かせて並べたもの、複数の球体を並べたもの、導電ワイヤを螺旋状にしたもの、メッシュ状にしたもの、複数のリング状若しくは針状の導電体を立てて並べたもの等や、更には種々の形状のものが該当する。
【0011】
また、電界集中用の導電部の配置は、隣り合う導電部同士のピッチが、上記のとおり、ほぼ均等割合で設けられていればよく、そのピッチ寸法は被処理液体の材質等に従い、適宜、適当な寸法が設定されるものであって、特に限定されない。
【0012】
本発明の放電処理装置において、前記一対の電極が、棒状電極と板状電極とからなる組合せ、球状電極とその外側を取り囲んだ環状または球状の電極とからなる組合せ、相互に対向する一対の板状電極からなる組合せ、および、環状電極とその内部に挿入された棒状電極とからなる組合せのうちの1つである構成とすることができる。
【0013】
このような構成としても、請求項1と同様の作用が得られる。
【0014】
また、本発明の放電処理装置において、前記導電部を有する電極が、導電部および導電部以外の部分が導電体で構成されたもの、導電部が導電体で、導電部以外の部分が絶縁体で構成されたもの、および、導電体からなる導電部のみで構成されたもののうちの1つである構成とすることができる。
【0015】
このような構成のうち、導電部が導電体で、導電部以外の部分が絶縁体で構成されたもの、および、導電体からなる導電部のみで構成されたものは、導電部および導電部以外の部分が導電体で構成されたものよりも、電流が支配的な放電を発生させる確率が更に上昇することになる。具体的には、以下の理由による。
【0016】
即ち、電極間に電圧がかかると、放電が発生するまでの間、僅かな時間、例えば数マイクロ秒以下であるが、図13に示すように、被処理液体を通じて漏れ電流105が発生する。この漏れ電流105は、被処理液体の温度を上げるエネルギーとして消費され、電極間の放電による衝撃波、紫外線、ラジカル、放電電流が発生することには殆ど効果がなく、被処理液体の温度上昇を必要としない処理には、無駄な消費エネルギーとなる。
【0017】
そこで、導電部以外の電極部分を絶縁体で構成するか、または省略することとした。これにより、電極間で発生する漏れ電流が少なくなり、無駄なエネルギー消費が減少して、電流が支配的な放電の発生確率が上がる。
【0018】
本発明の放電処理装置において、前記一対の電極間に高電圧パルスが印加される構成とすることが好ましい。
【0019】
この構成にあっては、高電圧パルスにより、電流が支配的な面状放電を発生させることができる。このとき、特に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを使用することが、電流が支配的な面状放電を安定化できる点で好ましい。
【0020】
本発明の放電処理装置において、前記被処理液体が、有機性廃液、生物実験培養液、飲料水および飲食物製造用水等のうちの1種または2種以上からなる構成とすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態につき具体的に説明する。
【0022】
(実施形態1)
図1(a)は本実施形態1に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図1(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0023】
この放電処理装置は、図1(a)に示すように、平面電極1と棒状電極2とが並設されており、棒状電極2の表面には、平面電極1と対向する側に複数の突起からなる電界集中用の導電部2aが突出形成されている。導電部2aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極1と2との間には、平面電極1の方が棒状電極2よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0024】
この構成の放電処理装置において、両電極1、2を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極1、2間に印加する。
【0025】
本実施形態1の放電処理装置による場合には、図1(b)に示すように、棒状電極2の表面に形成した、突起からなる電界集中用の導電部2aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電4が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0026】
(実施形態2)
本実施形態2は、導電部として、ネジ山状のものを用いる場合である。
【0027】
図2(a)は本実施形態2に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図2(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0028】
この放電処理装置は、図2(a)に示すように、平面電極11と棒状電極12とが並設されており、棒状電極12の表面には、平面電極11と対向する側に、複数のネジ山が螺旋の一部として形成されてなる電界集中用の導電部12aが設けられている。導電部12aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極11と12との間には、平面電極11の方が棒状電極12よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0029】
この構成の放電処理装置において、両電極11、12を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極11、12間に印加する。
【0030】
本実施形態2の放電処理装置による場合には、図2(b)に示すように、棒状電極12の表面に設けた電界集中用の導電部12aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電14が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0031】
(実施形態3)
本実施形態3は、電極対の一方が球状電極で、他方がその球状電極の外側を取り囲んだ環状または球状の電極の場合である。
【0032】
図3(a)は本実施形態3に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図3(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0033】
この放電処理装置は、球状電極21と、その球状電極21の外側を取り囲んだ楕円環状電極22とが設けられており、楕円環状電極22は球状電極21の直径とほぼ同一寸法の長さを有した短いものである。内側の球状電極21の表面には、複数の突起からなる電界集中用の導電部21aが突出形成されている。導電部21aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極21と22との間には、楕円環状電極22の方が球状電極21よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0034】
この構成の放電処理装置において、両電極21、22を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極21、22間に印加する。
【0035】
本実施形態3の放電処理装置による場合には、球状電極21の表面に設けた電界集中用の導電部21aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電24が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0036】
本実施形態では、外側の電極22として楕円環状のものを使用しているが、円形や、矩形状、或いは三角形をした環状のものを使用したり、または、球状や、楕円の球状、或いはその一部分からなる半球状等からなるものを使用することができる。但し、球状や楕円の球状等の電極を使用する場合は、その内部が密閉された状態であるため、一部に内部と外部とを連通させる孔を設けておく必要がある。
【0037】
(実施形態4)
本実施形態4は、電極対の両方が平面電極の場合である。
【0038】
図4(a)は本実施形態4に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図4(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0039】
この放電処理装置は、平面電極31と、平面電極32とが並設されており、平面電極32の表面であって、平面電極31と対向する側に、複数の突起からなる電界集中用の導電部32aが突出形成されている。導電部32aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極31と32との間には、平面電極31の方が平面電極32よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0040】
この構成の放電処理装置において、両電極31、32を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極31、32間に印加する。
【0041】
本実施形態4の放電処理装置による場合には、平面電極32の表面に設けた電界集中用の導電部32aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電34が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0042】
(実施形態5)
本実施形態5は、電極対の両方が平面電極の場合であり、導電部の形態として棒状のものが並べられた場合である。
【0043】
図5(a)は本実施形態5に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図5(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0044】
この放電処理装置は、平面電極41と、平面電極42とが並設されており、平面電極42の表面であって、平面電極41と対向する側に、複数並べた棒からなる電界集中用の導電部42aが設けられている。導電部42aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極41と42との間には、平面電極41の方が平面電極42よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0045】
この構成の放電処理装置において、両電極41、42を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極41、42間に印加する。
【0046】
本実施形態5の放電処理装置による場合には、平面電極42の表面に設けた電界集中用の導電部42aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電44が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0047】
(実施形態6)
本実施形態6は、電極対の両方が平面電極の場合であり、導電部の形態として球状のものが並べられた場合である。
【0048】
図6(a)は本実施形態6に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図6(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0049】
この放電処理装置は、平面電極51と、平面電極52とが並設されており、平面電極52の表面であって、平面電極51と対向する側に、複数の球体を並べてなる電界集中用の導電部52aが設けられている。導電部52aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極51と52との間には、平面電極51の方が平面電極52よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0050】
この構成の放電処理装置において、両電極51、52を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極51、52間に印加する。
【0051】
本実施形態6の放電処理装置による場合には、平面電極52の表面に設けた電界集中用の導電部52aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電54が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0052】
(実施形態7)
本実施形態7は、電極対の一方が筒状電極で、他方が棒状電極の場合である。
【0053】
図7(a)は本実施形態7に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図7(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0054】
この放電処理装置は、円筒状電極61と、その内部に同軸状に設けられた棒状電極62とが設けられており、棒状電極62の表面に、導電ワイヤを螺旋状に巻き付けてなる電界集中用の導電部62aが設けられている。導電部62aは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。かかる両電極61と62との間には、筒状電極61の方が棒状電極62よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0055】
この構成の放電処理装置において、両電極61、62を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極61、62間に印加する。
【0056】
本実施形態7の放電処理装置による場合には、棒状電極62の表面に設けた、導電ワイヤを巻き付けてなる電界集中用の導電部62aに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電64が発生し易くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得、かつ、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を向上できる。
【0057】
なお、本実施形態において、外側の電極に円筒状電極を用いているが、本発明はこれに限らず、断面が楕円や、三角形、或いは矩形をした筒状のものであってもよい。
【0058】
以上の各実施形態1〜7は、導電部および導電部以外の部分は導電体で形成しているが、本発明はこれに限らず、導電部のみを導電体で形成し、導電部以外の部分は絶縁体で形成するか、または省略する等してもよい。
【0059】
以下に、導電部のみを導電体で形成し、導電部以外の部分は絶縁体で形成するか、または省略する場合について説明する。
【0060】
(実施形態8)
本実施形態8は、実施形態5の構成に対応しており、導電部以外の部分が絶縁体で形成された場合である。
【0061】
図8(a)は本実施形態8に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図8(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0062】
この放電処理装置は、平面電極71と、平面電極72とが並設されており、平面電極72は後述する導電部72b以外の部分72aが、例えばセラミックス等の絶縁体からなり、その表面上であって、平面電極71と対向する側に、複数の棒が並べられてなる電界集中用の導電部72bが設けられている。つまり、平面電極72は、導電部72bからなる電極である。また、導電部72bは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。
【0063】
かかる両電極71と72との間には、平面電極71の方が平面電極72よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0064】
この構成の放電処理装置において、両電極71、72を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極71、72間に印加する。
【0065】
本実施形態8の放電処理装置による場合には、平面電極72を実質構成する導電部72bに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電74が発生し易くなり、しかも絶縁体からなる導電部以外の部分72aにおいて、漏れ電流Aが発生し難くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得ることは勿論であるが、電極全体を導電体で形成する場合よりも、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を更に向上できる。
【0066】
なお、絶縁体で形成した導電部以外の部分は、省略してもよい。
【0067】
(実施形態9)
本実施形態9は、実施形態3の構成に対応しており、導電部以外の部分が絶縁体で形成された場合である。
【0068】
図9(a)は本実施形態9に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図9(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0069】
この放電処理装置は、楕円環状電極81と、その内部に設けられた球状電極82とが設けられており、楕円環状電極81は球状電極82の直径とほぼ同一の長さ寸法を有する短いものである。球状電極82は後述する導電部82b以外の部分82aが、例えばセラミックス等の絶縁体からなり、その表面に、複数の短い棒を立てて並べてなる電界集中用の導電部82bが設けられている。つまり、球状電極82は、導電部82bからなる電極である。また、導電部82bは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。
【0070】
かかる両電極81と82との間には、楕円環状電極81の方が球状電極82よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0071】
この構成の放電処理装置において、両電極81、82を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極81、82間に印加する。
【0072】
本実施形態9の放電処理装置による場合には、球状電極82を実質構成する導電部82bに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電84が発生し易くなり、しかも絶縁体からなる導電部以外の部分72aにおいて、漏れ電流Aが発生し難くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得ることは勿論であるが、電極全体を導電体で形成する場合よりも、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を更に向上できる。
【0073】
本実施形態では、外側の電極として楕円環状のものを使用しているが、円形や、矩形状、或いは三角形をした環状のものを使用したり、または、球状や、楕円の球状等からなるものを使用することができる。但し、球状や楕円の球状等の電極を使用する場合は、その内部が密閉された状態であるため、一部に内部と外部とを連通させる孔を設けておく必要がある。
【0074】
なお、絶縁体で形成した導電部以外の部分は、省略してもよい。
【0075】
(実施形態10)
本実施形態10は、実施形態7の構成に対応しており、導電部以外の部分が絶縁体で形成された場合である。
【0076】
図10(a)は本実施形態10に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、図10(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【0077】
この放電処理装置は、円筒状電極91と、その内部に設けられた棒状電極92とが設けられており、棒状電極92は後述する導電部92b以外の部分92aが、例えばセラミックス等の絶縁体からなり、その表面に、導電ワイヤを螺旋状に巻き付けてなる電界集中用の導電部92bが設けられている。つまり、棒状電極92は、導電部92bからなる電極である。また、導電部92bは、ほぼ均等割合でかつ、ここでは密に設けられている。
【0078】
かかる両電極91と92との間には、円筒状電極91の方が棒状電極92よりも高電位として、高電圧パルス発生装置3から高電圧パルスが印加される。
【0079】
この構成の放電処理装置において、両電極91、92を被処理液体中に位置せしめ、高電圧パルス発生装置3から、例えば数100ナノ秒以下の非常に急峻な立ち上がりの高電圧パルスを両電極91、92間に印加する。
【0080】
本実施形態10の放電処理装置による場合には、棒状電極92を実質構成する導電部92bに電界が集中し、その電界集中部で、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電、つまり電流が支配的な放電94が発生し易くなり、しかも絶縁体からなる導電部以外の部分72aにおいて、漏れ電流Aが発生し難くなる。この結果、広範囲な面放電を被処理液体に作用させ得ることは勿論であるが、電極全体を導電体で形成する場合よりも、アーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の放電の発生確率を更に向上できる。
【0081】
なお、本実施形態10において、外側の電極に円筒状電極を用いているが、本発明はこれに限らず、断面が楕円や、三角形、或いは矩形をした筒状のものであってもよい。
【0082】
なお、本実施形態10において、絶縁体で形成した導電部以外の部分は、省略してもよい。
【0083】
上述した実施形態1〜10では、一対の電極の一方に導電部を設けているが、両方の電極に導電部を設けるようにしてもよい。その導電部の形態としては、上述した実施形態の例として、複数の突起からなるもの、複数のネジ山が螺旋の一部として形成されたもの、複数の短い棒を立てて並べたもの、複数の棒を寝かせて並べたもの、複数の球体を並べたもの、および導電ワイヤを螺旋状にしたものを挙げているが、上記各実施形態は、これらのもののうちから任意のものを選択使用してもよい。その選択できる導電部の他の例としては、メッシュ状にしたもの、複数のリング状若しくは針状の導電体を立てて並べたもの等や、更には種々の形状のものや、電極表面に微少の凹凸を形成してざらつき感を生じるものも該当する。
【0084】
また、本発明における導電部の設ける方法としては、電界集中用の導電部および導電部以外の部分が導電体からなる電極の場合、その電極材料を加工して導電部を形成することも可能である。
【0085】
また、上述した実施形態1〜10では本発明に係る放電処理装置の適用対象である被処理液体について明言していないが、本発明の放電処理装置は、例えば下水処理場や屎尿処理場における下水処理過程或いは食品工場や化学工場の排水過程等から排出される有機性廃液、生物実験培養液、飲料水または飲食物製造用水等の被処理液体に対し、その1種または2種以上が混在するものに適用でき、その改質を図ることができる。
【0086】
【発明の効果】
以上詳述したように、本発明による場合には、一対の電極の少なくとも一方が、電界集中用の導電部を部分的に有するので、その導電部の近傍において、電流が支配的な放電が発生し易くなる。このとき、その電界集中用の導電部をほぼ均等に設けているので、電流が支配的な放電、つまりアーク放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の電流が支配的な数100アンペア以上の放電を、広範囲にわたって面状に発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は実施形態1に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図2】 (a)は実施形態2に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図3】 (a)は実施形態3に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図4】 (a)は実施形態4に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図5】 (a)は実施形態5に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図6】 (a)は実施形態6に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図7】 (a)は実施形態7に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図8】 (a)は実施形態8に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図9】 (a)は実施形態9に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図10】 (a)は実施形態10に係る放電処理装置の構成を概略的に示す図であり、(b)はその放電処理装置が放電している状態を示す正面図である。
【図11】 従来の放電処理装置の構成を概略的に示す正面図である。
【図12】 従来の放電処理装置および本発明の放電処理装置が利用する高電圧パルスの波形を示す図である。
【図13】 本発明において減少を図る漏れ電流の発生原因を説明するための図(概略的正面図)である。
【符号の説明】
1、11、31、32、41、42、51、52、71、72 平面電極
2、12、62、92 棒状電極
2a、12a、21a、32a、42a、52a、62a 導電部
72b、82b、92b 導電部
3 高電圧パルス発生装置
21、82 球状電極
22、81楕円環状電極
61、91 円筒状電極
72a、82a、92a 導電部以外の部分

Claims (6)

  1. 一対の電極間に介在される被処理液体中に対して、放電を発生させる放電処理装置であって、前記一対の電極の少なくとも一方が電界集中用の導電部を部分的に有するとともに、前記導電部がほぼ均等割合で設けられ、前記一対の電極間において、アーク放電による面放電、若しくはストリーマ放電からアーク放電への移行中の電流が支配的な数100アンペア以上の面放電を発生させることを特徴とする放電処理装置。
  2. 前記一対の電極が、棒状電極と板状電極とからなる組合せ、球状電極とその外側を取り囲んだ環状または球状の電極とからなる組合せ、相互に対向する一対の板状電極からなる組合せ、および、環状電極とその内部に挿入された棒状電極とからなる組合せのうちの1つであることを特徴とする請求項1に記載の放電処理装置。
  3. 前記導電部を有する電極が、導電部および導電部以外の部分が導電体で構成されたもの、導電部が導電体で、導電部以外の部分が絶縁体で構成されたもの、および、導電体からなる導電部のみで構成されたもののうちの1つであることを特徴とする請求項1または2に記載の放電処理装置。
  4. 前記導電部を有する電極のうち、導電部および導電部以外の部分が導電体で構成されたものは、その導電部が導電部以外の部分よりも相手側電極に対して接近するように突出形成されていることを特徴とする請求項3に記載の放電処理装置。
  5. 前記一対の電極に高電圧パルスが印加されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の放電処理装置。
  6. 前記被放電処理液体が、有機性廃液、生物実験培養液、飲料水および飲食物製造用水等のうちの1種または2種以上からなることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の放電処理装置。
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