JP4102066B2 - 二次電池用正極活物質とそれを用いた非水電解液二次電池、ならびに再生電子機能材料 - Google Patents

二次電池用正極活物質とそれを用いた非水電解液二次電池、ならびに再生電子機能材料 Download PDF

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、二次電池用正極活物質それを用いた非水電解液二次電池、ならびに再生電子機能材料としての再生正極活物質と再生蛍光体材料に関する。
【0002】
【背景技術】
近年、ノート型パソコン、携帯型情報端末(PDA)、携帯電話、ビデオカメラなどの携帯用電子機器が急速に普及している。それに伴って携帯用電子機器の電源として用いられている二次電池には、小型・高容量化、高サイクル寿命化などが強く要求されている。
【0003】
このような要求を満たす二次電池としては、例えばリチウム塩を含む非水電解液を使用したリチウムイオン二次電池が知られている。リチウムイオン二次電池では、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのLi含有遷移金属複合酸化物が正極活物質として用いられている。負極には炭素系の材料が用いられ、かつ非水溶媒中にLiPF6やLiBF4などのリチウム塩を溶解した非水電解液が用いられている。
【0004】
リチウムイオン二次電池は、リチウム金属を用いた二次電池に比べて安全性の点で格段に優れており、また単セル当たりの電圧が高く、高エネルギー密度が得られるというような特徴を有している。このようなことから、リチウムイオン二次電池は携帯用電子機器の電源などとして多量に使用されている。
【0005】
ところで、LiCoO2、LiNiO2などの正極活物質は、通常、酸化コバルトや酸化ニッケルと炭酸リチウムとの混合物を大気中にて900℃程度の温度で焼成して複合酸化物化することにより得ている。焼成により得た複合酸化物は数μm〜数10μm程度の粒径に粉砕された後、導電剤および結着剤と共に適当な溶媒に懸濁させてスラリー化される。このスラリーを集電体(金属箔)上に塗布、乾燥して薄板状にすることによって、正極が作製される。
【0006】
しかしながら、上述したような従来の正極を用いたリチウムイオン二次電池は、初期充電時に電圧低下不良が生じやすいという問題を有しており、これにより製造歩留りの低下や電池性能の低下などを招いている。さらに、二次電池の製造歩留りに関しては、正極スラリーを集電体上に塗布する際の目詰まりや集電体(金属箔)の破損なども低下要因になっている。
【0007】
上記したような現象について検討したところ、従来の製造方法により作製した正極活物質中には、粒子状の金属不純物や凝集粒子などが混入していることが多く、これらが問題を引き起こしていることが判明した。金属不純物粒子や凝集粒子などの混入量は僅かであることから、従来の製造工程では見逃されていたものである。さらに、粒子状の不純物を取り除く方法としては篩分けが一般的であるが、本来の活物質粒子との粒径差が小さい金属不純物粒子や凝集粒子などは、篩分けでは有効に除去することができない。
【0008】
このようなことから、二次電池用正極活物質においては、電池性能や製造歩留りを低下させる要因を排除することが強く求められている。また、不純物粒子や凝集粒子などは、通常の二次電池用正極活物質に限らず、廃電極などから物理的に回収、再生した再生正極活物質においても問題を生じさせている。
【0009】
すなわち、近年の資源の枯渇化や環境汚染などに関連して、電器製品のリサイクルへの要求が高まっている。各種電器機器に使用されている電子機能材料には、一般的に高価な金属材料が用いられているため、以前より回収の必要性が論じられており、また実際に回収、再使用することが試みられている。
【0010】
リチウムイオン電池などの二次電池の製造工程においては、条件だしや規定サイズへの裁断などによって、正極活物質が付着した廃電極が大量に発生する。このような廃電極からは、それを溶かしてCoを回収および精製し、一旦原料のCo34などの形にした後、再度LiCoO2などを合成することによって、正極活物質を再生している。
【0011】
上述したような方法は、回収された廃材を合成前の原料まで化学的に変化させることから、ここでは化学再生と呼ぶ。この方法では、再利用しようとする電子機能材料を原料から再度合成しなければならず、再生コストが高くなるという問題がある。一方、原料の分離や再度の合成を行うことなく、電子機能材料を再生する試みがなされている。
【0012】
二次電池の廃電極に関しては、LiCoO2などの活物質を直接回収する方法が提案されている(特開平10−8150号公報参照)。具体的には正極材料が塗布されたAl箔(廃電極)を、Alが溶解せずにかつLiCoO2分解しない温度で熱処理することによって、Al箔から正極材料を剥離させると共に、導電剤や結合剤などの成分を分解除去する。これによって、LiCoO2などの正極活物質を直接回収する。
【0013】
このような回収、再生方法を、合成前の原料まで化学的に変化させて回収する化学再生と区別するために、ここでは物理再生と呼ぶ。物理再生は化学再生に比べて、電子機能材料の再生に要する処理コストが低いという利点があり、実用上極めて有利である。
【0014】
一般的な物理再生工程としては、まず各種電子部品や電子機器の廃材から目的とする粉状、スラリー状、塗膜状などの電子機能材料を回収する。再生目的の電子機能材料が塗膜状である場合には、それを基板などから剥がしとる。次いで、電子機能材料を剥がしとった基板などの大きな異物を分離除去し、さらに洗浄で除去可能な異物や不純物を除去する。必要に応じて熱処理や酸もしくはアルカリ処理などを施し、これらの処理で除去可能な異物や不純物を除去する。さらに、篩分けや乾燥などを施すことによって、合成処理を行うことなく粉体状の再生電子機能材料を得ている。
【0015】
物理再生においては、各種の処理工程を経ても電子機能材料の特性を劣化させないことが必要とされる。しかし、実際には分離が難しい異物の混入、剥離工程や熱処理工程での熱による脆化に起因する微粉化、結合剤成分などの残留による凝集粗大塊の混入などによって、再生電子機能材料の特性が劣化してしまうことが問題になっている。二次電池用正極活物質の物理再生においては、篩分けなどでは分離が困難な不純物が混入するおそれが大きく、また活物質の凝集体なども多く存在する。このような再生正極活物質を使用して二次電池を作製すると、電池性能や製造歩留りが低下するという問題が生じてしまう。
【0016】
このようなことから、物理再生により得られる電子機能材料(再生材料)の特性劣化を抑制することによって、物理再生の利用性を高めることが望まれている。なお、電子機能材料の物理再生は、二次電池の正極活物質にかぎらず、陰極線管や蛍光ランプの作製に用いられる蛍光体スラリーから蛍光体を回収して、再利用する場合などにも適用されている。蛍光体の物理再生においても、不純物粒子や凝集粒子などが再生蛍光体の特性や製造歩留りの低下要因となっている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、電池性能や製造歩留りを低下させる要因を排除することによって、非水電解液二次電池の製造歩留りを高めることを可能にすると共に、電池性能の向上を図った二次電池用正極活物質さらにはそのような正極活物質を用いた非水電解液二次電池を提供することにある。本発明の他の目的は、各種の回収、再生処理工程により混入する異物、不純物、微粉、凝集粗大塊などを確実にかつ工業的に分離除去することを可能にすることによって、特性劣化を抑制した再生電子機能材料提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の二次電池用正極活物質は、非水電解液二次電池に用いられる金属酸化物からなる正極活物質であって、前記金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0019】
本発明の二次電池用正極活物質は、さらに前記金属酸化物の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以であり、かつ前記金属酸化物の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0020】
本発明の他の二次電池用正極活物質は、非水電解液二次電池に用いられる金属酸化物からなる正極活物質であって、粒径が30μm以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ密度が7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0021】
本発明の他の二次電池用正極活物質は、さらに粒径が0.5μm以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、密度が2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0024】
本発明の非水電解液二次電池は、Li含有複合金属酸化物からなり、かつ前記複合金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記複合金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下である正極活物質を含有する正極と、前記正極とセパレータを介して配置された負極と、前記正極、前記セパレータおよび前記負極を収納する電池容器と、前記電池容器内に充填された非水電解液とを具備することを特徴としている。
【0025】
本発明の他の非水電解液二次電池は、Li含有複合金属酸化物からなり、かつ粒径が30μm以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ密度が7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下である正極活物質を含有する正極と、前記正極とセパレータを介して配置された負極と、前記正極、前記セパレータおよび前記負極を収納する電池容器と、前記電池容器内に充填された非水電解液とを具備することを特徴としている。
【0026】
前述したように、二次電池用正極活物質には粒子状の金属不純物や凝集粒子などが混入おり、これらが問題を引き起こしている。特に、粒径の大きい粒子状の金属不純物のような高密度粒子は、二次電池を初期充電した際に高い正極電位により溶出し、溶出した金属イオンが負極側で還元されて析出することによって、マイクロショートを引き起こすことになる。また、凝集粒子などの粗大粒子は、正極作製時の塗膜工程で塗工ヘッドと基板間に滞留してしまったり、また集電体である金属箔に破損などが生じさせる。さらに、微小粒子や低密度粒子は電池性能の低下要因となる。
【0027】
上述した粗大粒子や微小粒子を取り除く方法としては、篩分け(湿式または乾式)が一般的であるが、正極活物質は粒径が数μmから数10μm程度と小さいため、乾式の篩分けでは目詰まりがすぐに起こってしまい、到底工業的に利用することはできない。一方、湿式篩によれば目詰まりの問題は解消できるものの、凝集粒子などの粗大粒子は本来の正極活物質との粒径差が小さいことから、通常の湿式篩では十分な分離精度を得ることができない。加えて、篩分けでは粒子状の金属不純物などを取り除くことはできない。
【0028】
そこで、本発明では二次電池用正極活物質を構成する粒子の粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用して、正極活物質から粗大粒子と高密度粒子を同時に分離除去する工程を実施している。この分離除去工程では、さらに微小粒子と低密度粒子を分離除去することもできる。すなわち、粒子の重力、慣性力、遠心力などの物理力に対する抵抗力は、その粒径や密度によって異なる。従って、このような抵抗力の違いを利用することにより、粗大粒子と高密度粒子、さらに微小粒子と低密度粒子を容易にかつ精度よく分離除去することができる。
【0029】
上記した分離除去工程は、各種の分級装置を使用して実施することができる。例えば、遠心力式の乾式分級装置では、粒子の半径および密度に基づいて、細かく分級点を設定することができるため、二次電池用正極活物質との粒径差が小さい凝集粒子などの粗大粒子や粒子状の金属不純物のような高密度粒子についても、高精度に分離除去することができる。また、微小粒子や低密度粒子についても同様である。
【0030】
上述したような分離除去工程を実施することによって、粗大粒子と高密度粒子の含有比率を同時に低減した二次電池用正極活物質を再現性よく得ることができる。そして、このような二次電池用正極活物質を用いることによって、高密度粒子などに起因する二次電池のマイクロショートや粗大粒子などに起因する正極作製時の塗膜工程における不良発生などを抑制することができる。従って、電池性能に優れ、かつ製造歩留りが高い二次電池を提供することが可能となる。
【0031】
さらに、物理再生により電子機能材料を再生する場合においても、回収、再生処理工程などで異物、不純物、凝集塊のような粗大粒子や高密度粒子が混入する。これらは再生電子機能材料の特性を低下させる原因になっている。このような再生電子機能材料中に混入した粗大粒子や高密度粒子、さらに微小粒子や低密度粒子の除去に対しても、上述した粒子の粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用した分離除去工程は有効である。本発明の再生電子機能材料および電子機能材料の再生方法は、このような分離除去工程を適用したものである。
【0032】
すなわち、本発明の再生電子機能材料(再生正極活物質または再生蛍光体材料)は、電子部品(二次電池または電子管)の製造工程で生じた廃材(廃電極または余剰の蛍光体スラリー)または廃電子部品(廃二次電池または廃電子管)から回収、再生した粉体状の再生電子機能材料(粉体状の正極活物質からなる再生正極活物質または蛍光体粉末からなる再生蛍光体材料)であって、記粉体(粉体状正極活物質または蛍光体粉末)の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記粉体(粉体状正極活物質または蛍光体粉末)の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0033】
本発明の再生電子機能材料(再生正極活物質または再生蛍光体材料)は、さらに前記粉体(粉体状正極活物質または蛍光体粉末)の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記粉体(粉体状正極活物質または蛍光体粉末)の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0034】
本発明の他の再生電子機能材料(再生正極活物質または再生蛍光体材料)は、電子部品(二次電池または電子管)の製造工程で生じた廃材(廃電極または余剰の蛍光体スラリー)または廃電子部品(廃二次電池または廃電子管)から回収、再生した粉体状の再生電子機能材料(粉体状の正極活物質からなる再生正極活物質または蛍光体粉末からなる再生蛍光体材料)であって、記粉体(粉体状正極活物質または蛍光体粉末)の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記粉体(粉体状正極活物質または蛍光体粉末)の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴としている。
【0040】
【発明を実施するための形態】
以下に、本発明を実施するための形態について説明する。まず、本発明の二次電池用正極活物質とその製造方法、さらにそれを用いた非水電解液二次電池の実施形態について述べる。
【0041】
本発明の二次電池用正極活物質は、リチウムイオン二次電池のような非水電解液二次電池の正極に用いられるものである。このような正極活物質には、例えばリチウムを含む複合金属酸化物のような金属酸化物が用いられる。リチウム含有の複合金属酸化物としては、リチウム−コバルト複合酸化物、リチウム−ニッケル複合酸化物、リチウム−マンガン複合酸化物などが挙げられる。
【0042】
リチウム−コバルト複合酸化物やリチウム−ニッケル複合酸化物は、基本的にはLiMO2(MはCoおよびNiから選ばれる少なくとも1種の元素を示す)で表されるものであるが、LiとCoやNiとの比率が化学量論組成より若干Liリッチ側(例えばLi/M比=1〜1.2)にずれているものであってもよい。CoやNiの一部はSn、Al、V、Cr、Fe、Mnなどの遷移金属元素で置換することができる。
【0043】
リチウム−マンガン複合酸化物は、基本的にはLiMn24で表されるものであるが、LiとMnの比率が化学量論組成より若干ずれているものであってもよい。この場合Liリッチ(例えばLi/Mn比=0.5〜0.65)とすることが好ましい。Mnの一部はSn、Al、V、Cr、Fe、Co、Niなどの遷移金属元素で置換してもよい。
【0044】
本発明においては、上述したような金属酸化物からなる正極活物質から、粗大粒子と高密度粒子を共に除去している。すなわち、本発明の二次電池用正極活物質は、それを構成する金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とするものである。これら粗大粒子および高密度粒子は、後に詳述する粒子の粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用した分離工程、具体的には分級による分離工程によって、同時に除去することができる。
【0045】
粗大粒子の規定に関しては、具体的には粒径が30μm以上の粗大粒子の含有比率を体積比で1%以下とすることが好ましい。また、高密度粒子の規定に関しては、具体的には密度が7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率を質量比で1000ppm以下とすることが好ましい。このような粗大粒子および高密度粒子は、以下に示すように、非水電解液二次電池の特性や製造性などに対して悪影響を及ぼすことから、本発明ではその含有比率の低減を図っている。
【0046】
非水電解液二次電池の正極は、通常、以下のように作製している。すなわち、まず正極活物質としての複合金属酸化物などを焼成法により作製し、これを必要に応じて粉砕して粉体とする。正極活物質は、例えば酸化コバルトと炭酸リチウムとを所定の割合で混合し、空気中にて900℃×5時間というような条件で焼成することにより合成される。焼成物は数μm〜数10μm程度の粒径に粉砕される。この後、導電剤および結着剤と共に適当な溶媒に懸濁させ、この懸濁物を集電体上に塗布、乾燥して薄板状にすることによって、正極が作製される。
【0047】
上記したような粉体状の正極活物質中に粗大粒子や高密度粒子が混入していると、種々の問題を引き起こすことになる。粗大粒子や高密度粒子は電池歩留りの低下要因や電池性能(電池容量や充放電特性など)の劣化原因となる。本発明において、除去対象となる粗大粒子としては、正極活物質の凝集体(二次粒子)、正極活物質と結合剤との結合体(凝集体)、あるいは異物(不純物粒子)などが挙げられる。また、高密度粒子としては、粒子状の金属性不純物が挙げられる。
【0048】
ここで、金属性不純物とは、正極活物質の構成に必要な金属酸化物以外の金属または金属イオンを含むものである。このような金属性不純物は、様々な理由で正極材料中に混入する。金属性不純物は、例えば正極活物質の原料である金属酸化物中に含まれていたり、また焼成物の粉砕工程や正極材料の混合工程などにおいて、活物質が製造装置で接触した際に装置壁面が削り取られることにより混入する。このような金属性不純物は、鉄、銅、ニッケル、亜鉛などの金属、もしくはそれらを含む合金であることが多い。
【0049】
上述したような金属性不純物のうち、特に粒径が大きい粒子状の金属性不純物は、非水電解液二次電池の初期充電時の電圧低下不良の原因となる。すなわち、粒子状の金属性不純物が正極活物質中に混入していると、二次電池を初期充電した際に、高い正極電位により粒子状不純物中の金属がイオンとなって溶出する。溶出した金属は負極側で還元されて負極上に析出して堆積する。金属イオンの堆積が進むとセパレータを貫通して正極と接触し、マイクロショートを引き起こすことになる。
【0050】
このような現象は金属性不純物の粒子径が大きいほど顕著になる。金属性不純物粒子の表面は酸化されているのが普通であるが、粒径の大きい粒子は酸化されていない内部に金属イオンを比較的多量に含んでいる。従って、比較的大きい不純物粒子は溶出する金属イオンの量が多いため、マイクロショートを引き起こしやすい。
【0051】
また、粒径が大きい不純物粒子が正極や負極の表面に存在すると、充電時に負極活物質へのリチウムイオンのインターカレーションが起こり、負極が膨張する。これにより電極群に圧力が加わり、不純物粒子がセパレータを貫通してマイクロショートが発生する。
【0052】
上述したように、粒子状の金属性不純物は初期充電時の電圧低下不良の原因となる。このようなことから、本発明においては粒子状の金属性不純物に相当する高密度粒子の含有比率を質量比で1000ppm以下としている。このように、高密度粒子の含有比率を低減した正極活物質によれば、金属性不純物に起因する二次電池のマイクロショートを抑制することが可能であることから、電池特性および製造歩留りの向上を図ることができる。粒子状の金属性不純物は一部粗大粒子にも相当することから、粗大粒子の含有比率を低減することも、電池特性および製造歩留りの向上に寄与する。
【0053】
二次電池用正極活物質中の含有比率を規定した高密度粒子は、正極活物質を構成する金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の粒子であり、具体的には密度が7g/cm3以上の粒子の含有比率を規定することが好ましい。このような高密度粒子は、上記したようなマイクロショートの発生原因となるおそれが大きいことから、含有比率を質量比で1000ppm以下としている。高密度粒子の含有比率は質量比で500ppm以下、さらには100ppm以下とすることが好ましい。高密度粒子のより好ましい含有比率は10ppm以下である。
【0054】
上述したように、高密度粒子は主として金属性不純物からなるものである。対象とする金属性不純物は、正極活物質の構成に必要な金属酸化物以外の金属または金属イオンを含むものであるが、特に不純物イオンとなりやすい金属を含む金属性不純物を除去することが好ましい。例えば、正極活物質としてリチウム−コバルト複合酸化物を用いる場合には、鉄、銅、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの含有量を低減することが好ましい。
【0055】
上記したような不純物金属の含有量が多いと、粒子状の金属不純物量も相対的に増大するため、各不純物金属の総含有量についても低減することが好ましい。具体的には、鉄は200ppm以下、銅は50ppm以下、亜鉛は30ppm以下、ニッケルは400ppm以下、マンガンは40ppm以下とすることが好ましい。不純物としての金属含有量を上記した範囲とすることによって、例えば初期充電時における電圧低下不良の発生をより有効に抑制することができる。不純物元素としての鉄の含有量は100ppm以下とすることがさらに好ましく、銅は25ppm以下、亜鉛は20ppm以下、ニッケルは100ppm以下、マンガンは20ppm以下とすることがさらに好ましい。
【0056】
一方、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子は、特に正極製造時の工程不良の原因となる。すなわち、最近の二次電池の薄型化や高出力化に伴って、正極の厚さ(塗布厚)は薄型化する方向に進んでいる。このため、正極活物質中に粗大粒子が存在すると、正極作製時の塗膜工程で塗工ヘッドと基板間に粗大粒子が滞留したり、また集電体である金属箔に破損などが生じる原因となる。さらに、電極の表面が粗くなってしまい、二次電池の体積当りの容量低下につながる。
【0057】
そこで、本発明においては粗大粒子の含有比率を体積比で1%以下としている。このような正極活物質によれば、正極作製時の塗膜工程における不良発生を抑制することが可能であることから、二次電池の製造歩留りを高めることができる。
【0058】
二次電池用正極活物質中の含有比率を規定した粗大粒子は、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粒子であり、具体的には粒径が30μm以上の粒子の含有比率を規定することが好ましい。このような粗大粒子は塗膜工程での不良原因となるおそれが大きいことから、その含有比率を体積比で1%以下としている。上記した粗大粒子の含有比率は体積比で0.5%以下とすることがより好ましい。さらに、金属酸化物の平均粒径に対して粒径が400%以上の粒子、あるいは粒径が20μm以上の粒子の含有比率を体積比で1%以下とすることが好ましい。
【0059】
本発明の二次電池用正極活物質は、上述したように粗大粒子と高密度粒子を同時に除去したものである。このように、正極活物質から電池歩留りの低下要因や電池性能(電池容量や充放電特性など)の劣化原因となる粗大粒子と高密度粒子を同時に除去することによって、非水電解液二次電池の製造不良や初期不良を大幅に削減することができると共に、電池性能の向上を図ることが可能となる。粗大粒子および高密度粒子の一方のみを除去しただけでは、除去対象からもれた粒子により製造歩留りの低下などが生じる。
【0060】
さらに、本発明の二次電池用正極活物質は上述した粗大粒子および高密度粒子の規定に加えて、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であると共に、金属酸化物の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることが好ましい。
【0061】
すなわち、微小粒子は容量が小さいため、あまり多く存在すると質量当りの容量低下につながる。さらに、同じ容量でも塗膜にした際の密度が小さくなるため、二次電池の体積当りの密度が小さくなる。低密度の粒子は電池容量の低下を招く。このようなことから、正極活物質中の微小粒子および低密度粒子の比率を低減することによって、非水電解液二次電池の性能をより一層向上させることが可能となる。
【0062】
二次電池用正極活物質中の含有比率を規定した微小粒子は、正極活物質を構成する金属酸化物の平均粒径に対して粒径が15%以下の粒子であり、具体的には粒径が0.5μm以下の粒子の含有比率を規定することが好ましい。このような微小粒子は電池容量の低下原因となることから、その含有比率を体積比で1%以下とすることによって、二次電池の性能を向上させることができる。微小粒子の含有比率は体積比で0.5%以下とすることがより好ましい。さらに、金属酸化物の平均粒径に対して粒径が20%以下の粒子、あるいは粒径が0.8μm以下の粒子の含有比率を体積比で1%以下とすることが好ましい。
【0063】
また、二次電池用正極活物質中の含有比率を規定した低密度粒子は、正極活物質を構成する金属酸化物の平均密度に対して密度が50%以下の粒子であり、具体的には密度が2.5g/cm3以下の粒子の含有比率を規定することが好ましい。このような低密度粒子は電池容量の低下原因となることから、その含有比率を質量比で1000ppm以下とすることによって、二次電池の性能を向上させることができる。低密度粒子の含有比率は質量比で500ppm以下、さらには100ppm以下とすることがより好ましい。また、金属酸化物の平均密度に対して密度が70%以下の粒子、あるいは密度が3.5g/cm3以下の粒子の含有比率を質量比で1000ppm以下、さらには100ppm以下とすることが好ましい。
【0064】
ここで、本発明における正極活物質の粒径に関する規定は、粒子にレーザ光を当てたときに起こる光の散乱現象を利用した、LEEDS&NORTHRUP社製のMICROTRAC II PARTICLE−SIZE ANALYZERを用いて粒度分布を測定し、この粒度分布に基づいて求めるものとする。ただし、極微量の粗大粒子などは、粒度分布上ではその含有比率を判断することができない場合がある。このような場合には、粗大粒子や高密度粒子を分離除去した後に再度分級操作を行い、その際に粗大粒子側に分離された粒子に基づいて確認することができる。さらに、正極活物質を走査型電子顕微鏡により観察することによっても、粗大粒子や微小粒子の含有比率を確認することができる。
【0065】
また、主として金属性不純物からなる高密度粒子の量は、金属性不純物のみを溶解し得る弱酸などを用いて処理し、処理後の液中に含まれる金属成分の量を測定することにより確認することができる。すなわち、Li含有複合金属酸化物はシュウ酸などの弱酸に対して不溶であるが、金属性不純物はシュウ酸に溶解する。従って、正極活物質をシュウ酸などの弱酸で処理し、処理後の液中に含まれる鉄、銅、亜鉛、ニッケル、マンガンなどの量を測定することによって、正極活物質中の高密度粒子としての金属性不純物粒子の質量比を確認することができる。なお、前述した不純物金属の総含有量は、正極活物質中に含まれる不純物量を全量分析することにより求められるものである。
【0066】
上述した本発明の正極活物質は、以下のようにして製造される。まず、通常の焼成法にしたがって、LiCoO2、LiNiO2、LiMn24などのLi含有複合金属酸化物を合成する。Li含有複合金属酸化物の合成工程は、リチウムの化合物とコバルト、ニッケル、マンガンなどの化合物とを原料として用い、これらを所定の比率で混合した後、例えば大気中にて650〜950℃の温度で焼成することにより実施される。原料としての化合物には、酸化物、炭酸塩、硫酸塩、硝酸塩、水酸化物などが用いられる。これらは金属性不純物量が少ないものを使用することが好ましい。また、焼成に先立って、金属性不純物を除去するための精製を実施してもよい。
【0067】
合成工程により得られたLi含有複合金属酸化物は、ボールミル、カッターミル、ハンマーミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いて、例えば平均粒径が0.5〜15μm、より好ましくは1〜10μmとなるように粉砕される。この際、粒子状の金属性不純物などの量が増加しないように、例えば活物質が接触し得る機器の表面をセラミックスなどでコーティングすることも有効である。
【0068】
このようにして得られる粉体状の正極活物質中には、原料中に含まれていた粒子状の金属性不純物や製造過程で混入した粒子状の金属性不純物などの高密度粒子、また正極活物質の凝集体(二次粒子)、正極活物質と結合剤との凝集体、不純物粒子などの粗大粒子が含まれている。また、微小粒子や低密度粒子が含まれている場合も多い。
【0069】
そこで、得られた粉体状の正極活物質に対して、その粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用した、粗大粒子および高密度粒子の分離除去工程を実施する。この分離工程によって、粗大粒子と高密度粒子、さらに微小粒子と低密度粒子が分離除去され、高品質の正極活物質が得られる。粗大粒子については90%D値(粒度分布で粒子の累積体積が90%となったときの粒径)が小さくなるように、微小粒子については10%D値(粒度分布で粒子の累積体積が10%となったときの粒径)が大きくなるように、分離除去工程を実施することが好ましい。
【0070】
上述した分離除去工程は、重力、慣性力、遠心力などの物理力に対して、粒子の抵抗力がその粒径や密度によって異なることを利用したものである。具体的には、重力式、慣性力式、遠心力式などの各種の分級装置を使用して、粗大粒子と高密度粒子、あるいは微小粒子と低密度粒子を分離除去する。これら各粒子の除去操作は、同時に実施することができる。分級装置には、成分変動や凝集の防止、また後工程の容易さなどから、乾式のものを使用することが好ましい。すなわち、粗大粒子と高密度粒子を正極活物質の状態を変化させることなく除去することが可能な乾式の分級装置を使用することが好ましい。
【0071】
乾式の分級装置としては、上述した重力式、慣性力式、遠心力式などの種々のものが知られている。重力式の分級装置は、粒子の落下速度や位置の違いにより分級を行うものであり、代表的な機種としては水平粒径型、垂直粒径型、ジグザグ型などが知られている。また、慣性力式の分級装置は、粒子の慣性力を利用して分級を行うものであり、直線型、曲線型、ルーパー型、エルボージェット、バリアブルインパクタなどが知られている。
【0072】
遠心力式の分級装置は、自由渦、半自由渦による遠心力、あるいは強制渦による遠心力と、流体抵抗力との釣合いを利用して分級を行うものであり、代表的な機種としてはサイクロン、ファントンゲレン、クラシクロン、ディスパーションセパ、ミクロプレックス、ミクロンセパレータ、ターボプレックス、アキュカット、ターボクラシファイアなどが知られている。
【0073】
本発明において、粗大粒子と高密度粒子の分離除去工程は、上述したような分級装置を利用することによって有効に実施されるものである。すなわち、粗大粒子や微小粒子を取り除く方法としては、篩分け(湿式または乾式)が一般的であるが、正極活物質の粒径は数μmから数10μm程度と小さいため、乾式の篩分けでは目詰まりがすぐに起こってしまい、到底工業的に利用することはできない。乾式の篩分けは100μm以下のオーダーではすぐに目詰まりしてしまう。
【0074】
一方、湿式篩によれば目詰まりの問題は解消できるものの、正極活物質の粒径が数μmから数10μm程度と小さいことに加えて、混入する凝集塊などの粗大粒子は本来の活物質粒子との粒径差が小さいことから、通常の湿式篩では十分な分離精度を得ることができない。さらに、湿式篩では活物質粒子との粒径差が小さい粒子状の金属性不純物を除去することができない。湿式篩ではスラリー化して篩を通すため、最終的に粉末状の再生材料を得るためには乾燥が必要であるが、凝集させないように乾燥させることは困難である。加えて、湿式篩ではスラリー化した際に、活物質からのリチウムの溶出、活物質の表面状態の変化、またその他による電池性能の低下などが懸念される。
【0075】
一方、金属性不純物の除去には除鉄機の使用も考えられる。除鉄機は希土類磁石などを使用して磁性物質を除去するものである。従って、磁性をもたないニッケルや亜鉛を除去することはできない。さらに、除鉄機は金属性不純物の除去効率自体も劣るものである。
【0076】
上述したような従来の不純物除去工程に対して、分級装置を使用した分離工程によれば、正極活物質から粗大粒子と高密度粒子、さらには微小粒子と低密度粒子を容易にかつ精度よく分離除去することができる。粗大粒子と高密度粒子に関しては同時に分離除去することができる。これは二次電池の性能や製造歩留りを高める上で重要である。微小粒子と低密度粒子についても同様である。
【0077】
すなわち、通常の活物質粒子の粒径に対して、製造工程で問題となる粗大粒子の粒径は250%以上程度あり、また正極活物質の密度が5g/cm3程度であるのに対し、金属性不純物の密度は7〜9g/cm3程度である。これらの差はいずれも分級機で分離を実施する上で十分な値ということができる。例えば、遠心力式の乾式分級装置では、粒子の半径および密度に基づいて、細かく分級点を設定することができるため、粒径差が小さい凝集塊などの粗大粒子や粒子状の金属性不純物などを同時にかつ精度よく分離除去することができる。また、微小粒子と低密度粒子についても同様である。
【0078】
本発明においては、上述したような種々の分級装置が粗大粒子と高密度粒子を同時に分離除去する工程、さらには微小粒子と低密度粒子を同時に分離除去する工程に使用される。微小粒子と低密度粒子の分離除去は、分級装置の条件設定によって、粗大粒子と高密度粒子の分離除去と同時に実施される。本発明では、特に(1)分散性能が高い、(2)分級精度が高い、(3)粒子を粉砕しない(ダメージが小さい)、という条件を満足する分級装置を使用することが好ましい。
【0079】
(1)に関しては、正極活物質は粒径20μm以下の粒子がほとんどであり、粒子が細かいために凝集性が高い。従って、強い分散をかけないと一次粒子の大きさを基準とした分級を実施することができず、分級精度に影響する。(2)に関しては、電池性能に影響する粗大粒子、高密度粒子、微小粒子、低密度粒子の混入がないことが好ましく、微量でも存在すると電池のショートなどの致命的な欠陥につながることがある。(3)に関しては(1)と関係するが、分散が強すぎると一次粒子が粉砕されて微粉が発生し、歩留り低下と電池性能の劣化につながる。また粉砕されなくても、粒子に強い力がかかると結晶にひずみが生じて、二次電池の特性が劣化するおそれがある。
【0080】
このようなことから、本発明では上記した(1)〜(3)の条件を全て満たす分級装置を使用することが望ましい。上記条件を満たす分級装置として、本発明では遠心力式の乾式分級装置を使用することが好ましい。特に、分散性能が高く精密分級が可能な、遠心力に対する流体抵抗力の差を利用した分級装置が望ましい。
【0081】
上述したような分級装置を利用した分離除去工程は、粉体状の正極活物質の平均粒径に対して粒径が250%以上の粗大粒子、および平均密度に対して密度が120%以上の高密度粒子が取り除かれるように分級条件を設定して実施することが好ましい。具体的には、上記した粗大粒子や高密度粒子が除去されるような分級点を設定することが好ましい。粒子状の金属性不純物を除去するという観点からは、分級点を15μm以下に設定することが好ましい。
【0082】
図2は乾式分級機の分級ロータの回転数(遠心力)と空気流量(空気抵抗力)を調整し、分級点を変化させて分級した際の粒子状金属性不純物の除去率の一例を示している。粒子状の金属性不純物は、分級点を15μm以下とした場合にはほぼ100%除去されるが、それを超えると除去率が低下する。これは粒子状の金属性不純物の粒径がおおよそ15μm以上であるためと考えられる。従って、粒子状の金属性不純物に関しては、分級点を15μm以下に設定することで十分に分離除去することが可能となり、これにより二次電池の初期充電時の電圧低下不良を顕著に抑制することができる。
【0083】
また、微小粒子および低密度粒子については、粉体状の正極活物質の平均粒径に対して粒径が50%以下の微小粒子、および平均密度に対して密度が75%以下の低密度粒子が取り除かれるように分級条件を設定することが好ましい。微小粒子と低密度粒子は、粗大粒子および高密度粒子と同一操作内で同時に分離除去することができる。
【0084】
なお、本発明の正極活物質の製造方法においては、分級操作を行う前の活物質粉末の平均粒径および平均密度に基づいて条件設定するが、通常除去する粒子の含有率は僅かであるため、上記した平均粒径および平均密度は目的とする正極活物質粉末の平均粒径および平均密度とほぼ等しいものである。
【0085】
上述したような分離除去工程(分級工程)を経て得られる二次電池用正極活物質は、平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下、かつ平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下という条件を満足するものである。さらには、平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下、かつ平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下という条件を満足するものである。本発明においては、粗大粒子の含有比率と高密度粒子の含有比率、微小粒子の含有比率と低密度粒子の含有比率の全ての条件を満足させることが望ましい。
【0086】
分離除去工程(分級工程)を経て得られる二次電池用正極活物質は、次いで導電剤と混合された後、さらに結着剤および溶媒が加えられてスラリー化される。このスラリーを集電体(金属箔など)上に塗布し、加熱乾燥して薄板状にした後、所定の寸法に切断されて正極として用いられる。なお、分級工程は正極活物質を導電剤と混合した後に実施することも可能である。正極活物質を導電剤と混合した後に分級した場合には、導電剤中に含まれる不純物粒子や粗大粒子も除去することができる。ただし、このような工程を適用した場合には、導電剤の一部まで低密度粒子側に分離されてしまうおそれがある。
【0087】
次に、本発明の非水電解液二次電池の実施形態について説明する。図1は本発明の非水電解液二次電池をリチウムイオン二次電池に適用した一実施形態の構造を一部断面で示す図である。同図において、1は例えばステンレスからなる電池容器(電池缶)である。この電池容器1の底部には絶縁体2が配置されている。電池容器1の形状としては、例えば有底円筒状や有底角筒状などが適用される。本発明は円筒形二次電池および角型二次電池のいずれにも適用可能である。
【0088】
電池容器1は負極端子を兼ねている。電池容器1内には発電要素として電極群3が収納されている。電極群3は、正極4、セパレータ5および負極6をこの順序で積層した帯状物を、負極6が外側に位置するように、例えば渦巻き状に巻回した構造を有している。電極群3は渦巻き型に限らず、正極4、セパレータ5および負極6をこの順序で複数積層したものであってもよい。
【0089】
電極群3が収納された電池容器1内には、非水電解液が充填されている。電池容器1内の電極群3の上方には、中央部が開口された絶縁紙7が載置されている。電池容器1の上方開口部には絶縁封口板8が配置されている。絶縁封口板8は、電池容器1の上端部付近を内側にかしめ加工することによって、電池容器1に対して液密に固定されている。
【0090】
絶縁封口板8の中央部には、正極端子9が嵌合されている。正極端子9には正極リード10の一端が安全弁11を介して接続されている。正極リード10の他端は、正極4に接続されている。負極6は図示しない負極リードを介して、負極端子である電池容器1に接続されている。これらによって、非水電解液二次電池としてのリチウムイオン二次電池12が構成されている。
【0091】
次に、電極群3を構成する正極4、セパレータ5および負極6と非水電解液について、さらに詳しく述べる。まず、正極4は本発明の二次電池用正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁し、この懸濁物を集電体上に塗布、乾燥して薄板状にすることにより作製される。
【0092】
正極活物質に混合される導電剤や結着剤としては、従来から非水電解液二次電池用として用いられている、種々の材料を使用することができる。導電剤としてはアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛などが用いられる。結着剤としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などが用いられる。
【0093】
正極活物質、導電剤および結着剤の配合割合は、正極活物質80〜95質量%、導電剤3〜20質量%、結着剤2〜7質量%の範囲とすることが好ましい。正極活物質、導電剤および結着剤を含む懸濁物を塗布する集電体としては、例えばアルミニウム箔、ステンレス箔、ニッケル箔などが用いられる。
【0094】
セパレータ5、負極6、非水電解液などの他の電池構成要素についても、従来から非水電解液二次電池用として用いられている種々の材料や構成を適用することができる。例えば、セパレータ5としては合成樹脂製不織布、ポリエチレン製多孔質フィルム、ポリプロピレン製多孔質フィルムなどが用いられる。
【0095】
負極6は負極活物質と結着剤とを適当な溶媒に懸濁し、この懸濁液を集電体上に塗布、乾燥して薄板状とすることにより作製される。負極活物質としては、リチウムイオンを吸蔵・放出することが可能な、熱分解炭素類、ピッチ・コークス類、グラファイト類、ガラス状炭素類、フェノール樹脂やフラン樹脂のような有機高分子化合物の焼成体、炭素繊維、活性炭などの炭素材料、または金属リチウム、Li−Al合金のようなリチウム合金、ポリアセチレンやポリピロールのようなポリマーなどが用いられる。結着剤には正極5と同様なものが用いられる。
【0096】
負極活物質と結着剤の配合割合は、負極活物質90〜95質量%、結着剤2〜10質量%の範囲とすることが好ましい。負極活物質および結着剤を含む懸濁物を塗布、乾燥させる集電体としては、例えば銅、ステンレス、ニッケルなどの箔、メッシュ、パンチドメタル、ラスメタルなどが用いられる。
【0097】
さらに、非水電解液は非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される。非水溶媒としては例えばリチウムイオン二次電池の溶媒として公知の各種非水溶媒を用いることができる。非水電解液用の非水溶媒は特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネートなどと、ジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、エトキシメトキシエタンなどとの混合溶媒などが用いられる。
【0098】
電解質としては、LiPF6、LiBF4、LiClO4、LiAsF6、LiCF3SO3などのリチウム塩が例示される。このような電解質の非水溶媒に対する溶解量は0.5〜1.5mol/L(リットル)の範囲とすることが好ましい。
【0099】
上述したような本発明を適用したリチウムイオン二次電池12においては、正極活物質中の粗大粒子や高密度粒子などを除去しているため、初期充電時のマイクロショートの発生などを有効に抑制することができ、また正極作製時の工程不良の発生なども抑制することができる。従って、リチウムイオン二次電池12の製造歩留りを大幅に高めることが可能となる。さらに、粗大粒子や高密度粒子などは電池性能の低下要因ともなるため、これらの粒子を除去することによって、リチウムイオン二次電池12の性能の向上を図ることが可能となる。
【0100】
次に、本発明の再生電子機能材料と電子機能材料の再生方法の実施形態について説明する。まず、本発明の再生方法を二次電池用正極活物質の再生に適用した実施形態について述べる。
【0101】
リチウムイオン二次電池のような非水電解液二次電池の製造工程においては、条件だしや規定サイズへの裁断などによって、正極活物質が付着した廃電極が大量に発生する。これを回収して正極活物質が再生される。使用済みの二次電池から回収した廃電極についても、同様に回収して正極活物質を再生する。正極活物質として用いられるリチウム含有複合金属酸化物はいずれも高価であることから、再利用の効果が大きい。
【0102】
具体的には、まず廃電極を適当な大きさ(例えば100×100mm以下の小片)に切断し、これを350〜450℃の温度で熱処理(一次熱処理)する。この一次熱処理によって、正極材料中に含まれる結合剤成分の一部が分解されるため、正極材料の塗膜はAl箔などから剥離する。これを篩にかけてAl箔を除去し、正極材料を回収する。
【0103】
次いで、回収した正極材料を500〜700℃の温度で熱処理(二次熱処理)する。この二次熱処理によって、導電剤としてのカーボンや結合剤の分解残渣であるカーボンを燃焼除去する。一次熱処理および二次熱処理には、通常の熱処理炉やロータリーキルンを使用することができるが、特に二次熱処理にはロータリーキルンを適用することが好ましい。得られた熱処理物を必要に応じて篩にかけて、粉体状の正極活物質のみを取り出す。
【0104】
ただし、この段階の正極活物質は、活物質の凝集塊や活物質と結合剤との結合体などの粗大粒子、Al箔や熱処理炉の内壁などから混入した不純物粒子(高密度粒子や低密度粒子)、熱処理工程での脆化に起因する微小粒子などを含んでおり、そのまま再利用すると二次電池の性能劣化や製造歩留りの低下などを招くことになる。
【0105】
そこで、再生した粉体状正極活物質に対して、活物質粒子の粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用した分離工程を実施する。この分離工程によって、粗大粒子や高密度粒子、あるいは微小粒子や低密度粒子が分離除去され、高品質の再生正極活物質が得られる。分離除去工程は前述したように、重力、慣性力、遠心力などの物理力に対して、粒子の抵抗力がその粒径や密度により異なることを利用したものであり、各種の分級装置を使用して実施することができる。具体的な分級工程については、前述した正極活物質の製造工程で説明した通りである。
【0106】
分級条件は、正極活物質の製造工程時と同様に、再生した粉体状正極活物質の平均粒径に対して粒径が250%以上の粗大粒子、および平均密度に対して密度が120%以上の高密度粒子が取り除かれるように設定することが好ましい。微小粒子および低密度粒子についても同様であり、再生した粉体状正極活物質の平均粒径に対して粒径が50%以下の微小粒子、および平均密度に対して密度が75%以下の低密度粒子が取り除かれるように、分級条件を設定することが好ましい。
【0107】
上述したような分離除去工程(分級工程)を経て得られる再生正極活物質は、平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下、平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下という条件を満足するものである。あるいは、平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下、平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下という条件を満足するものである。これらのさらに好ましい条件などは前述した正極活物質と同様である。
【0108】
本発明の再生正極活物質は、粗大粒子の含有比率、高密度粒子の含有比率、微小粒子の含有比率、低密度粒子の含有比率の全ての条件を満足させることが特に望ましい。具体的な粒径および密度については、粒径が30μm以上の粗大粒子や粒径が0.5μm以下の微小粒子の含有比率をそれぞれ体積比で1%以下とすることが好ましい。また、密度が7g/cm3以上の高密度粒子や密度が2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率をそれぞれ質量比で1000ppm以下とすることが好ましい。
【0109】
上述した再生正極活物質は、電池歩留りの低下要因や電池性能(電池容量や充放電特性など)の劣化原因となる粗大粒子や高密度粒子、また同様に電池性能を低下させる微小粒子や低密度粒子の含有比率が極めて少ないため、これを非水電界液二次電池に再使用した際に性能劣化や歩留り低下などを招くことがない。本発明によれば高特性の再生正極活物質を、再合成処理を行うことなく確実に得ることができる。
【0110】
次に、本発明の再生方法を蛍光体材料の再生に適用した実施形態について述べる。蛍光体材料は、陰極線管や蛍光ランプなどの電子管の作製に使用されている。このような電子管の作製にあたって、蛍光体はスラリー化されて蛍光膜の形成に用いられる。蛍光膜の形成工程では余剰の蛍光体スラリーが多量に生じるため、この余剰スラリーを回収し、回収した蛍光体スラリーから蛍光体粉末を再生する。
【0111】
赤色発光蛍光体は高価な希土類元素を主成分とするため、種々の方法で回収、再生して再利用することが行われている。回収した赤色蛍光体スラリーへの不純物の混入が比較的少ない場合には、不純物を物理・機械的に分離除去した後、乾燥、篩分けなどの工程に供される。
【0112】
回収した赤色蛍光体スラリーが比較的多くの不純物を含む場合、例えば青色蛍光体スラリーや緑色蛍光体スラリーなどが混入しているような場合には、以下に示すような再生工程を実施する。まず、回収した赤色蛍光体スラリーを、必要に応じて脱イオン水に分散させ、また必要に応じてろ過して異物などを除去した後、薬品洗浄工程、カーボン除去工程および酸洗浄工程を順に行う。
【0113】
薬品洗浄工程は、通常2段階に分けて行われる。まず、第1段階では蛍光体スラリーに次亜塩素酸塩(次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カリウムなど)のような過酸化物を添加して撹拌し、蛍光体スラリー中に存在する重クロム酸アンモニウムのようなクロム化合物を分解除去する。次いで、水洗してクロム化合物の分解物を除去した後、第2段階として過ヨウ素酸塩(過ヨウ素酸アンモニウムや過ヨウ素酸カリウムなど)のような過ヨウ素酸化合物を添加して撹拌し、スラリー中に含まれるポリビニルアルコールのような有機化合物を分解除去する。
【0114】
次に、薬品洗浄工程を経た蛍光体スラリーを静置して沈降させ、水相を系外に除去した後、カーボン除去工程としてアンモニア水を加えて撹拌する。撹拌後に静置することによって、蛍光体は沈降し、上澄み液中にカーボンが浮遊する。このカーボンを含む上澄み液を系外に除去し、必要に応じて水洗を行う。
【0115】
続いて、赤色蛍光体スラリー中に混入している緑色発光蛍光体や青色発光蛍光体を、酸洗浄工程により除去する。酸としては塩酸や硝酸が用いられ、第1段階で塩酸、第2段階で硝酸を用いる2段階法によることが望ましい。
【0116】
この後、上記した各工程を経た赤色蛍光体スラリーをろ過して固形分を取り出した後、乾燥を施すことによって、粉末状の赤色蛍光体を得る。ただし、この段階の赤色蛍光体粉末は、蛍光体粉末の凝集塊のような粗大粒子、乾燥工程や撹拌工程などで生じた微小粒子、さらにコンタミとしての高密度粒子や低密度粒子を含んでおり、そのまま再利用すると陰極線管の性能劣化などを招くおそれが大きい。例えば、粗大な粒子は蛍光体塗布時のピンホールの原因となり、蛍光体以外の不純物としての金属粒子は金属汚染を引き起こす。これらによって、陰極線管の製造歩留りが低下する。微小粒子や低密度粒子も品質悪化の原因となる。
【0117】
そこで、乾燥後の赤色蛍光体粉末に対して、蛍光体粒子の粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用した分離工程を実施する。この分離工程によって、粗大粒子や高密度粒子、また微小粒子や低密度粒子が分離除去され、高品質の再生赤色蛍光体粉末が再現性よく得られる。
【0118】
青色蛍光体スラリーおよび緑色蛍光体スラリーについては、必要に応じて脱イオン水に分散させ、また必要に応じて、ろ過して異物を除去した後、温水洗浄を行う。温水洗浄工程は30〜80℃程度の温水の存在下で、青色または緑色蛍光体スラリーをそれぞれ撹拌することにより、各スラリー中に含まれるポリビニルアルコールやクロム化合物などの水溶性物質を除去する工程である。なお、温水洗浄は数回、例えば4回程度繰り返すことが望ましい。
【0119】
この後、温水洗浄を施した青色または緑色蛍光体スラリーをろ過して固形分を取り出した後、乾燥を施すことによって、粉末状の青色または緑色蛍光体を得る。この段階の青色または緑色蛍光体粉末は、赤色蛍光体粉末と同様に、粗大粒子、微小粒子、高密度粒子、低密度粒子などを含んでいるため、蛍光体粒子の粒径および密度に基づく抵抗力の差を利用した分離工程を実施する。この分離工程によって、粗大粒子や高密度粒子、また微小粒子や低密度粒子が分離除去され、高品質の再生青色または緑色蛍光体粉末が再現性よく得られる。
【0120】
再生蛍光体粉末などを分級する場合においても、(1)分散性能が高い、(2)分級精度が高い、(3)粒子を粉砕しない、という条件を満足する分級装置を使用することが好ましい。(1)に関しては、蛍光体をはじめとする電子機能材料は20μm以下の粒子がほとんどであり、凝集性が高いことから、強い分散をかけないと一次粒子を基準とした分級を実施することができない。(2)に関しては、電子機能材料の性能に影響する粗大粒子、微粒子、高密度粒子、低密度粒子を高精度に分離する必要がある。(3)に関しては、分散が強すぎると微粉が発生するなどして、歩留り低下と電子機能材料の特性劣化につながる。
【0121】
このようなことから、再生正極活物質または再生蛍光体を分級する場合においても、上記した(1)〜(3)の条件を全て満たす分級装置を使用することが望ましい。上記条件を満たす分級装置として、本発明の再生方法では遠心力式の分級装置を使用することが好ましい。特に、分散性能が高く精密分級が可能な、遠心力に対する流体抵抗力の差を利用した乾式分級装置が望ましい。
【0122】
上述したような分級により分離除去する粗大粒子としては、蛍光体凝集体(二次粒子)、蛍光体と他材料との結合体(凝集体)、あるいは異物(不純物粒子)などが挙げられる。ここでは、再生後の蛍光体の特性を考慮して、再生蛍光体粉末(粉体状電子機能材料)の平均粒径に対して粒径が250%以上の粗大粒子、および平均密度に対して密度が120%以上の高密度粒子を取り除くように分級条件を設定して、分離除去工程を実施することが好ましい。
【0123】
微小粒子および低密度粒子については、同様に再生後の蛍光体の特性を考慮して、再生蛍光体粉末の平均粒径に対して粒径が50%以下の微小粒子や平均密度に対して密度が75%以下の低密度粒子を取り除くように、分級条件を設定することが好ましい。微小粒子および低密度粒子は、分級装置の選定などに基づいて、粗大粒子および高密度粒子と同一操作内で同時に分離除去することができる。
【0124】
なお本発明では分級操作を行う前の蛍光体粉末の平均粒径および平均密度に基づいて条件設定するが、通常除去する粒子の含有率は僅かであるため、上記した平均粒径および平均密度は目的とする再生蛍光体粉末の平均粒径および平均密度とほぼ等しいものである。
【0125】
上述したような分離除去工程(分級工程)を経て得られる再生蛍光体粉末は、平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下、平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下という条件を満足するものである。あるいは、平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下、平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下という条件を満足するものである。これらのさらに好ましい条件などは、前述した再生正極活物質と同様である。
【0126】
上述した再生蛍光体粉末は、蛍光膜の塗膜品位や製品歩留りの低下要因となる粗大粒子および高密度粒子、また同様に輝度の低下原因などとなる微小粒子および低密度粒子の含有比率が極めて少ないため、これを陰極線管に再使用した際に性能劣化などを招くことがない。本発明の再生方法によれば、高特性の再生蛍光体粉末を、再合成処理を行うことなく確実に得ることができる。これは蛍光体粉末をはじめとする各種電子機能材料の再生、再利用に大きく寄与するものである。
【0127】
本発明を適用した蛍光体材料の再生方法は、陰極線管の作製に用いられる蛍光体スラリー(余剰スラリー)からの回収、再生に限られるものではなく、蛍光ランプなどの他の電子管の作製に使用した蛍光体スラリー、さらには廃陰極線管や廃蛍光ランプからの回収、再生に適用することもできる。
【0128】
本発明を適用した蛍光体材料の再生方法は、電子管の製造工程で生じた余剰の蛍光体スラリーまたは廃電子管から蛍光体を回収する工程と、回収した蛍光体を精製して、蛍光体粉末を再生する工程とを具備し、回収した蛍光体を精製する過程で、蛍光体粉末を構成する粒子の粒径または密度に基づく抵抗力の差を利用して、蛍光体粉末から粗大粒子および高密度粒子を同時に分離除去する工程を実施するものである。分離除去工程においては、蛍光体粉末から微小粒子および低密度粒子をさらに分離することができる。
【0129】
さらに、上述した粗大粒子や高密度粒子、もしくは微小粒子や低密度粒子の分離除去工程(分級工程)は、蛍光体粉末の再生工程のみならず、通常の蛍光体粉末の製造工程においても効果を発揮する。すなわち、通常の蛍光体の製造工程に基づいて蛍光体粉末を製造する。具体的には、蛍光体原料を融剤と混合して焼成した後、この焼成物を洗浄および乾燥して蛍光体粉末を製造する。このような蛍光体粉末に対して、上述した粗大粒子、高密度粒子、微小粒子、低密度粒子の分離除去工程(分級工程)を実施すると、より高輝度の蛍光体粉末を得ることができる。具体的な分級条件は前述した通りである。
【0130】
このような蛍光体粉末の製造方法によれば、平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子、もしくは粒径が30μm以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子、もしくは密度が7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下である蛍光体粉末が得られる。さらに、このような蛍光体粉末においては、平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子、もしくは粒径が0.5μm以下の微小粒子の含有比率を体積比で1%以下とし、かつ平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子、もしくは密度が2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下とすることができる
【0131】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例およびその評価結果について述べる。
【0132】
実施例1
この実施例1では、本発明の正極活物質の製造方法について述べる。まず、酸化コバルト粉末と炭酸リチウムと酸化スズとを所定の割合で混合し、空気中にて900℃で5時間焼成して、正極活物質としてSn含有LiCoO2粉末を得た。得られたSn含有LiCoO2粉末の平均粒径(50%D値)は3.71μmであった。
【0133】
この正極活物質粉末に対して気流式分級装置を用いて分級処理を施し、粗大粒子と高密度粒子、さらに微小粒子と低密度粒子を除去した。分級点に影響する風量、分散条件、ロータ回転数の値を適宜選択して、分級装置の運転を行った。収量比は粗大粒子側2%、微小粒子側0.5%、これらを除去した後の正極活物質97.5%であった。これらの値は粒子の累積体積である。分級の前後の粒度分布を表1および図3、図4に示す。また、除去した粗大粒子および微小粒子の粒度分布を図5、図6に示す。
【0134】
正極活物質粉末の粒度分布は以下のようにして測定した。まず、試料を0.5g採取し、これを100mlの水中に投入して撹拌した。さらに超音波分散を100W,3minの条件で行った後、LEEDS&NORTHRUP社製のMICROTRAC II PARTICLE−SIZE ANALYZER TYPE7997−10を使用して粒度分布を測定した。10%D値、50%D値(平均粒径)、90%D値は、得られた粒度分布から求めた。
【0135】
【表1】
Figure 0004102066
【0136】
分級前後の粒度分布は、除去した粗大粒子や微小粒子が微量であるため、ほとんど変化していないが、除去した粗大粒子の粒度分布を見ると10μm以上の粒子が多く存在しており、分級前の粉末には10μm以上の粗大粒子が多く存在していたことが分かる。また、頻度が低いために、粒度分布測定では確認できないが、目視では0.5mm程度の超粗大粒子も含まれており、これも除去することができた。
【0137】
分級後の粗大粒子の粒度分布は、理想的には1ピークであるが、図5に示したように2ピークになることが多い。これは粉末の凝集性が高いためである。すなわち、本来一次粒子は小さいが、凝集して粗大粒子側に分級された粒子が、粒度分布の測定前にほぐれた結果である。除去した微小粒子の粒度分布からは、粒度0.7μm程度の微小粒子が分級前の粉末に存在していたことが分かる。
【0138】
このような正極活物質を使用して、以下のようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。また、本発明との比較例1として、分級装置による分離除去工程を実施しない以外は、この実施例1と同様に作製した正極活物質を用いて、同様にリチウムイオン二次電池を作製した。
【0139】
まず、正極活物質90質量%と導電剤としてグラファイト6質量%と結着剤としてポリフッ化ビニリデン4質量%とを混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、これをアルミニウム箔に塗布、乾燥させた後、ローラープレス機で圧縮成形した。これを所定のサイズに裁断することによって、シート状の正極を得た。
【0140】
次に、炭素材料93質量%と結合剤としてのポリフッ化ビニリデン7質量%とを混合して負極合剤を調製した。この負極合剤を用いる以外は、正極と同様にしてシート状の負極を作製した。
【0141】
上述したシート状の正極と微孔性ポリエチレンフィルムからなるセパレータとシート状の負極をこの順序で積層し、この積層物を負極が外側に位置するように渦巻き状に巻回することにより電極群を作製した。この電極群にリードを取り付けて有底円筒状の容器(電池缶)に収容し、さらに非水電解液を封入することにより、円筒形リチウムイオン二次電池を組立てた。なお、非水電解液は、エチレンカーボネートとメチルエチルカーボネートの1:1混合溶媒に1mol/Lの濃度でLiPF6を溶解して調製した。
【0142】
このようにして作製した実施例および比較例の円筒形リチウムイオン二次電池の特性を以下のようにして測定、評価した。その結果を表2に示す。
【0143】
[初期充電時の電圧低下]
組立てた電池の初めての充電時に、20℃の環境の下で1Aの電流制限を設けて4.2Vの定電圧充電を5時間行った。これを10日間室温で保存した後に電圧を測定し、その際の電圧降下を調べた。
【0144】
[サイクル特性評価]
20℃の環境の下で、1Aの電流制限を設けて4.2Vの定電圧充電を5時間行い、1時間の休止の後、2.7Vまで1Aで放電を行った。さらに1時間休止させた後に、上記した条件で充電を行った。このサイクルを300回繰り返し行い、初期の放電量(Cap(1st))と300回目の放電量(Cap(300th))の比(Cap(300th)/Cap(1st))を測定した。
【0145】
[放電容量]
上記したサイクル特性を評価する際の第1回目の放電時の放電容量を、使用した活物質の量(10g)で割り、活物質単位重さ当りの放電容量を求めた。
【0146】
[工程不良数]
電極製造工程の不良数を、塗工ヘッドの目詰まり回数を指標として調べた。
【0147】
【表2】
Figure 0004102066
【0148】
表2から明らかなように、分級を実施した正極活物質を用いた実施例1のリチウムイオン二次電池は電池性能に優れるだけでなく、工程不良の発生回数も少ないことが分かる。
【0149】
実施例2
実施例1と同様にして正極活物質(Sn含有LiCoO2粉末)を作製した。この際、分級条件を変更することによって、粗大粒子や高密度粒子の除去条件が異なる12種類の試料を得た。これら各試料から分析用サンプルを抽出し、それぞれ不純物量の測定を以下のようにして行った。さらに、各試料を用いて実施例1と同様にリチウムイオン二次電池を作製し、実施例1と同一条件で電圧降下を測定した。これらの結果を表3に示す。
【0150】
不純物量の測定は、まず各サンプルの一部を王水で加熱溶解し、このサンプルを全量溶解した液中のFe量、Zn量、Cu量をICP分析により測定した。この分析結果は正極活物質中のFe、Zn、Cuの各不純物の全量を示すものである。
【0151】
次に、各サンプルの残部をシュウ酸溶液(10%)で溶解し、この溶液をろ過した後に、ろ液中のFe量、Zn量、Cu量をICP分析により測定した。この分析結果は正極活物質中に金属粒子として存在するFe、Zn、Cuの各不純物量を示すものである。この分析結果は請求項1の正極活物質中の高密度粒子の含有比率に相当する。
【0152】
【表3】
Figure 0004102066
【0153】
表3から明らかなように、シュウ酸可溶成分が多いと、二次電池の電圧降下が大きいことが分かる。Feについては、10〜20ppm程度のシュウ酸可溶成分量(金属性不純物量)では電圧降下はほとんど生じないが、シュウ酸可溶成分が90ppm程度存在すると電圧降下が大きくなる。CuおよびZn成分については、数ppm程度のシュウ酸可溶成分を含んでいても電圧降下が起こる。
【0154】
実施例3
まず、炭酸リチウムと酸化コバルト(Co34)とを、Li:Coの原子比が1:1となるように混合し、空気中にて900℃で5時間焼成して、正極活物質であるLiCoO2を合成した。次いで、得られたLiCoO2を粉砕機で平均粒径が5μm程度になるまで粉砕した。粉砕後のLiCoO2粉末を乾式の遠心式分級装置にかけ、LiCoO2粉末から粒子状の金属性不純物(高密度粒子)を分離除去した。
【0155】
遠心式分級装置の原料投入口から供給されたLiCoO2粉末は、空気の流れに乗って付属の分散エリアで十分に分散された後、分級エリアに送り込まれる。ここで、LiCoO2粉末は分級ロータの回転流による遠心力と接線方向から中心部に向って流れる空気流の抵抗を受ける。粗粒子はより遠心力に影響され、微粒子はより空気抵抗力に影響される。金属不純物粒子などは遠心力により分級ロータの外に飛ばされ、捕集用サイクロンを経て粗粒子回収部で回収される。適正な粒径を有するLiCoO2粒子は、空気流と共にロータの内部側に送り込まれ、捕集用サイクロンを経て微粒子回収部で回収される。
【0156】
上記したような乾式分級装置において、分級点は空気流量を一定にしてロータ回転数を調整することにより容易に制御することができる。この実施例では分級点を15μmに調整し、LiCoO2粉末中に含まれる金属不純物粒子などを分離、回収した。
【0157】
分級後の正極活物質(LiCoO2)中の不純物量(全量)をICP法で分析したところ、Fe200ppm以下、Cu50ppm以下、Zn20ppm以下、Ni400ppm以下、Mn40ppm以下であった。また、活物質粉末に粒径10μmのCu粒子、粒径10μmのFe粒子を数100ppm添加し、上記した分級条件と同一条件で分級したところ、ほぼ全てのCu粒子およびFe粒子が粗粒子回収部に回収された。このことは、上記した分級条件で10μm以上の金属不純物粒子が除去されていることを示している。
【0158】
次に、微粒子回収部に回収された正極活物質(LiCoO2)を用いて、以下のようにしてリチウムイオン二次電池を作製した。まず、正極活物質91質量%と導電剤としてアセチレンブラック2.7質量%およびグラファイト2.7質量%と結着剤としてフッ素樹脂3.6質量%とを混合して正極合剤を調製した。この正極合剤をN−メチル−2−ピロリドンに分散させてスラリー状とし、これをアルミニウム箔の両面に塗布、乾燥させた後、ローラープレス機で片面の厚さが100μmとなるように圧縮成形した。これを所定のサイズに裁断することによって、シート状の正極を得た。
【0159】
次に、平均繊維径10μm、平均繊維長18μmのメゾフェーズピッチ系炭素繊維90質量%に、炭素系導電性フィラー7質量%とゴム系結着剤であるスチレンブタジエンゴム(SBR)3質量%を混合して負極合剤を調製した。この負極合剤を溶媒中に懸濁させてスラリー状とし、これを銅箔の両面に塗布、乾燥させた後、ローラープレス機で片面の厚さが100μmとなるように圧縮成形した。これを所定のサイズに裁断することによって、シート状の負極を得た。
【0160】
上述したシート状の正極と負極を用いて、実施例1と同様にして円筒形リチウムイオン二次電池を組立てた。この二次電池について、20℃の環境の下で4.2Vまで定電流(1600mA)で充電し、さらに4.2Vの定電圧充電を3時間行った。これを1週間室温で保存した後に電圧を測定した。その際の電圧降下を調べた。電圧降下が80mV以上のものは不良品とし、初期充電時の電圧低下不良の発生率を調べた。その結果を表4に示す。
【0161】
実施例4
金属不純物粒子を除去する工程を、正極活物質に導電剤と結着剤を添加、混合した後に実施する以外は、実施例3と同様にして正極を作製した。さらに、この正極を用いて、実施例3と同様なリチウムイオン二次電池を作製した。このようなリチウムイオン二次電池について、実施例3と同様にして、初期充電時の電圧低下不良の発生率を調べた。その結果を表4に示す。
【0162】
実施例5
金属不純物粒子を除去する工程において、分級前に予め凝集粒子をジェットミルで粉砕する以外は、実施例3と同様にして正極を作製した。さらに、この正極を用いて、実施例3と同様なリチウムイオン二次電池を作製した。このようなリチウムイオン二次電池について、実施例3と同様にして、初期充電時の電圧低下不良の発生率を調べた。その結果を表4に示す。
【0163】
実施例6
金属不純物粒子を除去する工程において、粗粒子側回収部に回収された粒子を分級点15μmで再分級し、粒子径の大きい活物質粒子を取り出す以外は、実施例3と同様にして正極を作製した。さらに、この正極を用いて、実施例3と同様なリチウムイオン二次電池を作製した。このようなリチウムイオン二次電池について、実施例3と同様にして、初期充電時の電圧低下不良の発生率を調べた。その結果を表4に示す。
【0164】
比較例3
分級による不純物粒子の分離を実施しない以外は、実施例3と同様にして正極を作製した。さらに、この正極を用いて、実施例3と同様なリチウムイオン二次電池を作製した。このようなリチウムイオン二次電池について、実施例3と同様にして、初期充電時の電圧低下不良の発生率を調べた。その結果を表4に示す。
【0165】
【表4】
Figure 0004102066
【0166】
表4から明らかなように、分級後の正極活物質を用いた各実施例のリチウムイオン二次電池は、分級を実施していない比較例3に比べて、初期充電時の電圧低下不良の発生率が大幅に低下していることが分かる。
【0167】
実施例7
この実施例では、本発明の再生方法を二次電池用正極活物質の再生に適用した例について述べる。実施例1における正極の製造工程において、大量の正極屑(廃電極)が発生する。具体的には、塗工工程後の裁断時に生じる裁断屑や、所定の厚さに塗るための条件出しなどに使用した正極屑である。この正極屑から以下のようにして正極活物質を回収、再生した。
【0168】
まず、正極屑をシュレッダにかけて100×100mm以下の小片にした。これを箱型熱処理炉にて400℃で熱処理した。この熱処理でAl箔から塗膜が剥がれるため、篩により両者を分離した。次に、Alが除かれた正極屑をさらに600℃で熱処理(ロータリーキルン使用)することによって、結合剤成分およびカーボン成分を燃焼除去して、粉末状の正極活物質のみを取り出した。
【0169】
さらに、上記した正極活物質に対して、気流式分級装置を用いて分級処理を施した。この際の分級装置の運転条件を適宜選ぶことによって、除去される粗大粒子、高密度粒子、微小粒子、低密度粒子の量、粒径、密度を制御した。粒度分布は前述した方法により測定した。
【0170】
このようにして得た再生正極活物質を使用して、実施例1と同様にしてリチウムイオン二次電池を作製した。また、比較例4として、分級装置による粗大粒子、高密度粒子、微小粒子、低密度粒子の分離除去工程を実施しない以外は、この実施例7と同様に正極屑から回収、再生した再生正極活物質を用いて、同様にリチウムイオン二次電池を作製した。なお、実施例7および比較例4による各リチウム−コバルト複合酸化物を、それぞれCuKα線による粉末X線回析法で測定したところ、いずれもLiCoO2の回析パターンとほぼ一致した。
【0171】
このようにして作製した実施例7および比較例4の各円筒形リチウムイオン二次電池の特性を、実施例1と同様にして測定、評価した。特性の評価結果を図7〜図10に示す。図7は再生正極活物質中の粒径30μm以上の粗大粒子の含有比率(体積比)と電圧降下との関係を示している。図8は再生正極活物質中の密度7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率(質量比)と電圧降下との関係、図9は再生正極活物質中の粒径0.5μm以下の微小粒子の含有比率(体積比)と容量維持率との関係、図10は再生正極活物質中の密度2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率(質量比)と放電容量との関係を示している。
【0172】
図7から明らかなように、粗大粒子が多い正極活物質を使用した電池では電圧降下が激しく、電池の中でショートしていることが分かる。図8からは、高密度粒子が多い正極活物質を使用した電池では電圧降下が激しく、電池の中でショートしていることが分かる。さらに、図9からは微小粒子が多いと容量維持率が悪化することが、図10からは低密度粒子が多いと放電容量が小さくなることが分かる。
【0173】
実施例8
この実施例では、本発明の再生方法を蛍光体粉末の再生に適用した例について述べる。カラーブラウン管のガラスパネルに蛍光膜を形成する工程で回収した蛍光体スラリーを撹拌槽に投入した。この蛍光体スラリーは赤色蛍光体Y22S:Euと共に他の添加物質や不純物を含むものである。撹拌槽に脱イオン水を加えて撹拌し、蛍光体スラリーを水中に十分に分散させた後、これを100メッシュのナイロン布に通して異物を除去した。次いで、このスラリーを沈降させて水相を系外に除去した後、以下の処理を順に行った。
【0174】
まず、上記スラリーを撹拌槽に移し、脱イオン水と塩素分5%の次亜塩素酸ナトリウム水溶液とを加えて撹拌し、スラリー中に存在するクロム化合物を酸化分解した。この後、脱イオン水による水洗を3回繰り返した。次いで、80℃の脱イオン水と過ヨウ素酸カリウムとを加えて撹拌し、スラリー中に存在するポリビニルアルコールを酸化分解した。静置してスラリーを沈降させた後、水相を系外に除去した。
【0175】
次に、撹拌槽に残ったスラリーに脱イオン水とアンモニア水とを加えて撹拌した後、10時間静置してスラリーを沈降させた。この後、上澄み液をその中に浮遊するカーボンと共に系外に除去した。
【0176】
撹拌槽に残ったスラリーに70℃の温水と35%塩酸水溶液とを加えて撹拌した。この後、静置してスラリーを沈降させ、水相を系外に除去した後、脱イオン水による水洗を2回繰り返した。これに脱イオン水と濃硝酸とを加えて撹拌した後、静置してスラリーを沈降させ、水相を系外に除去した。さらに、脱イオン水による水洗をスラリーのpHが5.5以上になるまで繰り返した。この後、水洗したスラリーをろ過し、固形分を取り出した後、乾燥して赤色蛍光体粉末を得た。
【0177】
得られた赤色蛍光体粉末に対して、気流式分級装置を用いて分級処理を施した。この際の分級装置の運転条件を適宜選ぶことによって、除去される粗大粒子、高密度粒子、微小粒子、低密度粒子の量、粒径、密度を制御した。
【0178】
上述した分級処理を施した数種類の赤色蛍光体粉末、および分級処理を施さない以外は同様に再生した赤色蛍光体粉末(比較例5)を用いて、それぞれ常法にしたがってドットタイプの蛍光膜を形成した。このようにして得た各蛍光膜の特性を以下のようにして評価した。
【0179】
まず、再生赤色蛍光体粉末中の粒径30μm以上の粗大粒子の含有比率(体積比)と蛍光膜のドット落ち量との関係、さらに再生赤色蛍光体粉末中の密度7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率(質量比)と蛍光膜のドット落ち量との関係を調べた。ドット落ち量は、露光・現像工程で未露光部分を除去する際に、本来残るべき蛍光体ドットに対する欠落した部分の比率(面積)で示す。これらの結果を図11および図12に示す。これらの図から明らかなように、再生赤色蛍光体粉末中から粒径30μm以上の粗大粒子や密度7g/cm3以上の高密度粒子を分離除去することによって、高品質の蛍光膜を得ることが可能となる。
【0180】
次に、再生赤色蛍光体粉末中の粒径0.5μm以下の微小粒子の含有比率(体積比)と蛍光膜の発光輝度との関係、さらに再生赤色蛍光体粉末中の密度2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率(質量比)と蛍光膜の発光輝度との関係を調べた。これらの結果を図13および図14に示す。これらの図から明らかなように、再生赤色蛍光体粉末中から粒径0.5μm以下の微小粒子や密度2.5g/cm3以下の低密度粒子を分離除去する工程を実施することによって、高輝度の蛍光膜が得られることが可能となる。
【0181】
実施例9
ここでは蛍光体粉末の製造例について述べる。まず5質量%のEuを添加した酸化イットリウム共沈原料100g、硫黄50gおよび融剤として炭酸ナトリウム50gを混合し、この混合物を1100℃×6時間焼成することによって、Y22S:Eu蛍光体を合成した。
【0182】
焼成後、余剰となるNa2Sなどを水洗で完全に除去し、乾燥した。この蛍光体粉末に対して気流式分級装置を用いて分級処理を施した。この際の分級装置の運転条件を適宜選ぶことによって、粗大粒子塊として粒径30μm以上の粒子、また微小粒子として粒径0.5μm以下の粒子を除去した。
【0183】
上述した分級処理を施した赤色蛍光体粉末(実施例9)、および分級処理に代えて目開き70μmの金属網を用いた篩分けを行う以外は実施例9と同様にして作製した赤色蛍光体粉末(比較例6)をそれぞれ用いて、常法にしたがってドットタイプの蛍光膜を形成した。このようにして得た各蛍光膜の特性を評価した。
【0184】
その結果、分級処理により粒径30μm以上の粗大粒子を除去した蛍光体粉末によれば、ドット落ち量が減少することが確認された。また、粒径0.5μm以下の粒子を除去することによって、蛍光膜の発光輝度が向上することが確認された。もちろん非発光物である異物などを除去することによっても発光輝度が向上する。これらによって、高品質の蛍光膜を再現性よく得ることが可能となる。
【0185】
【産業上の利用可能性】
以上の実施形態からも明らかなように、本発明の二次電池用正極活物質は、電池性能や製造歩留りを低下させる粗大粒子や高密度粒子などを除去しているため、非水電解液二次電池の製造歩留りおよび電池性能の向上に大きく寄与するものである。また、本発明の二次電池用正極活物質の製造方法によれば、そのような高性能の正極活物質を安価にかつ効率よく製造することができる。
【0186】
本発明の電子機能材料の再生方法は、従来の物理再生では分離が困難であった、異物、不純物、微粉、凝集粗大塊などを確実にかつ工業的に分離除去することを可能にしたものである。従って、物理再生による処理コストの低減効果を十分に発揮した上で、高品質の再生電子機能材料を再現性よく得ることができる。
【0187】
【図面の簡単な説明】
図1は本発明の二次電池用正極活物質を適用した非水電解液二次電池の一構成例を示す断面図、
図2は乾式分級装置の分級点と粒子状金属性不純物の除去率との関係の一例を示す図、
図3は本発明の実施例1による二次電池用正極活物質の分級前の粒度分布を示す図、
図4は本発明の実施例1による二次電池用正極活物質の分級後の粒度分布を示す図、
図5は実施例1で分級した粗大粒子側の粒度分布を示す図、
図6は実施例1で分級した微小粒子側の粒度分布を示す図、
図7は本発明の実施例7による再生正極活物質中の粒径30μm以上の粗大粒子の含有比率と電圧降下との関係を示す図、
図8は本発明の実施例7による再生正極活物質の密度7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率と電圧降下との関係を示す図、
図9は本発明の実施例7による再生正極活物質の粒径0.5μm以下の微小粒子の含有比率と容量維持率との関係を示す図、
図10は本発明の実施例7による再生正極活物質の密度2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率と放電容量との関係を示す図、
図11は本発明の実施例8による再生蛍光体粉末中の粒径30μm以上の粗大粒子の含有比率と蛍光膜のドット落ち量との関係を示す図、
図12は本発明の実施例8による再生蛍光体粉末中の密度7g/cm3以上の高密度粒子と蛍光膜のドット落ち量との関係を示す図、
図13は本発明の実施例8による再生蛍光体粉末中の粒径0.5μm以下の微小粒子の含有比率と蛍光膜の発光輝度との関係を示す図、
図14は本発明の実施例8による再生蛍光体粉末中の密度2.5g/cm3以下の低密度粒子と蛍光膜の発光輝度との関係を示す図である。

Claims (20)

  1. 非水電解液二次電池に用いられる金属酸化物からなる正極活物質であって、前記金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  2. 請求項1記載の二次電池用正極活物質において、
    前記粗大粒子は前記正極活物質の凝集体、前記正極活物質と他材料との結合体および不純物粒子から選ばれる少なくとも1種の粒子であり、かつ前記高密度粒子は粒子状の金属性不純物であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  3. 請求項1記載の二次電池用正極活物質において、
    前記金属酸化物の平均粒径に対して粒径が400%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で100ppm以下であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  4. 請求項1記載の二次電池用正極活物質において、
    さらに、前記金属酸化物の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記金属酸化物の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  5. 請求項1記載の二次電池用正極活物質において、
    前記正極活物質は、コバルト、ニッケルおよびマンガンから選ばれる少なくとも1種とリチウムとを含む複合金属酸化物からなることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  6. 請求項5記載の二次電池用正極活物質において、
    前記正極活物質中の不純物元素量は、鉄が200ppm以下、銅が50ppm以下、亜鉛が30ppm以下、ニッケルが400ppm以下、マンガンが40ppm以下であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  7. 非水電解液二次電池に用いられる金属酸化物からなる正極活物質であって、粒径が30μm以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ密度が7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  8. 請求項7記載の二次電池用正極活物質において、
    さらに、粒径が0.5μm以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、密度が2.5g/cm3以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする二次電池用正極活物質。
  9. Li含有複合金属酸化物からなり、かつ前記複合金属酸化物の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記複合金属酸化物の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下である正極活物質を含有する正極と、
    前記正極とセパレータを介して配置された負極と、
    前記正極、前記セパレータおよび前記負極を収納する電池容器と、
    前記電池容器内に充填された非水電解液と
    を具備することを特徴とする非水電解液二次電池。
  10. Li含有複合金属酸化物からなり、かつ粒径が30μm以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ密度が7g/cm3以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下である正極活物質を含有する正極と、
    前記正極とセパレータを介して配置された負極と、
    前記正極、前記セパレータおよび前記負極を収納する電池容器と、
    前記電池容器内に充填された非水電解液と
    を具備することを特徴とする非水電解液二次電池。
  11. 二次電池の製造工程で生じた廃電極または廃二次電池から回収、再生した粉体状の正極活物質からなる再生正極活物質であって、
    粉体状正極活物質の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記粉体状正極活物質の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする再生正極活物質
  12. 請求項11記載の再生正極活物質において、
    さらに、前記粉体状正極活物質の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記粉体状正極活物質の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする再生正極活物質
  13. 二次電池の製造工程で生じた廃電極または廃二次電池から回収、再生した粉体状の正極活物質からなる再生正極活物質であって、
    粉体状正極活物質の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記粉体状正極活物質の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする再生正極活物質
  14. 電子管の製造工程で生じた余剰の蛍光体スラリーまたは廃電子管から回収、再生した蛍光体粉末からなる再生蛍光体材料であって、
    前記蛍光体粉末の平均粒径に対して粒径が600%以上の粗大粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記蛍光体粉末の平均密度に対して密度が150%以上の高密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする再生蛍光体材料。
  15. 請求項14記載の再生蛍光体材料において、
    さらに、前記蛍光体粉末の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記蛍光体粉末の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする再生蛍光体材料。
  16. 電子管の製造工程で生じた余剰の蛍光体スラリーまたは廃電子管から回収、再生した蛍光体粉末からなる再生蛍光体材料であって、
    前記蛍光体粉末の平均粒径に対して粒径が15%以下の微小粒子の含有比率が体積比で1%以下であり、かつ前記蛍光体粉末の平均密度に対して密度が50%以下の低密度粒子の含有比率が質量比で1000ppm以下であることを特徴とする再生蛍光体材料。
  17. 請求項記載の非水電解液二次電池において、
    前記二次電池は携帯用電子機器に使用されることを特徴とする非水電解液二次電池。
  18. 請求項10記載の非水電解液二次電池において、
    前記二次電池は携帯用電子機器に使用されることを特徴とする非水電解液二次電池。
  19. 請求項記載の非水電解液二次電池を電源として具備することを特徴とする携帯用電子機器。
  20. 請求項10記載の非水電解液二次電池を電源として具備することを特徴とする携帯用電子機器。
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