JP4101834B2 - 防舷材の選定方法 - Google Patents

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Description

本発明は、洋上の船舶が、他の船舶や浮体式構造物などの対象物に接舷する際、また接舷後に船舶を対象物に係留する際に用いる防舷材の選定方法に関する。
近年、2船舶間での原油の受け渡しなど、洋上荷役作業が増えてきている。また、洋上荷役作業はLPGにも適用されるようになり、近年では、船舶と洋上LNG基地との間での荷役作業も検討されている。洋上荷役作業を行なう機会は、益々高まっているといえる。2船舶間での洋上荷役作業は、一般的に、防舷材を介して2船舶を平行に接触させて(接舷させて)、係留索などを用いて2船舶を係留することで行なわれる。
例えば、2船舶間での原油受け渡しなどの洋上荷役作業において、接舷時に2船舶間の衝突のエネルギーが強すぎると、このエネルギーによって船体が破損することもある。また、係留の際に、係留条件の選定を誤った場合など、係留時に適切な2船舶間距離が維持されなくなり、2船舶それぞれの外板同士が接触し、船体が破損することもある。このような船体の破損が生じた場合、原油流出などの事故が発生することもあり、海域の環境への影響などの甚大な事故につながる。洋上荷役において、このような2船舶間の接舷および係留の条件の選定は重要である。
2船舶間の接舷や係留の際は、2船舶間の接舷の際の速度や、接舷時の船首の方向(接舷の角度)、また、防舷材の種類や係留索の種類や係留索の接続箇所など、係留システムの条件として多くの条件を選定する必要がある。従来は、これらの接舷・係留の条件は、基本的に、船長やムアリングマスター(接舷・係留に関し多くの経験や技能を有する専門家)などが、自らの経験・知識に基づいた主観的な判断によって選定する場合が殆どであった。近年、エネルギー需要の増加に伴って、洋上荷役作業も増加しており、船長やムアリングマスターを支援するため、また、経験の少ない人物であっても、客観的に接舷・係留の条件を選定するための方法が求められている。
接舷および係留の際、防舷材は、2船舶間の衝突のエネルギーを吸収することで2船舶間の接舷の際の衝撃を緩和するとともに、係留索とともに係留システムを成し、係留中の2船舶間距離を一定に保ち、2船舶間同士の接触の衝撃を吸収する。接舷の際に用いる、このような防舷材の選定自体が不適な場合は、高度な操船技術をもってしても、接舷中の2船舶間距離や、係留中の2船舶間距離が不適となり、洋上荷役作業に危険が生じる場合もあった。接舷・係留の条件の中でも、防舷材の種類の選定は特に重要である。
このような防舷材の選定に関し、石油会社国際海事評議会(OCIMF;Oil Companies International Marine Forum)がガイドラインを発行している。このガイドラインでは、洋上荷役における、受け入れ船舶と受け渡し船舶の接舷手順や、荷役作業時における防舷材や係留索などの係留システムの条件の選定に関して規定されている。このOCIMFのガイドラインには、下記表1に示すような、2船体の仮想質量(排水量)と相対接舷速度の仮定値から導かれる接舷エネルギーに基づいて作成された、船舶の排水量レベル毎に設定された、推奨される防舷材サイズや個数についての目安が記載されている。
Figure 0004101834
上記表1に示されるように、OCIMFのガイドラインでは、船体の仮想質量(排水量)と接舷エネルギーとに基づいて、防舷材の大きさや個数についての目安が記載されているのみである。しかし、洋上荷役作業における2船舶の挙動は、2船舶の接舷エネルギーに依存するのみではなく、気象条件にも大きく影響される。上記の表1に基づいて選定された防舷材を用いて、経験豊かな船長(またはムアリングマスター)の指揮の下で、接舷・係留作業が行なわれた場合であっても、例えば、波高が2〜5mの荒天時では、船体と防舷材との接触状態が異常となり、防舷材の表面に異常な磨耗が発生して防舷材が破損したり、防舷材係留ロープが切断してしまうこともあった。また、同様に荒天時において、2船舶間距離が維持されなくなり、2船舶の船体同士(各船体の外板同士)が接触する事故が発生することもあった。このように、従来の接舷エネルギーのみに基づいた防舷材の選定方法によって選定された防舷材では、波や風、潮流などの気象条件によっては、適当な防舷材とはなり得ない場合もあった。すなわち、従来の接舷エネルギーに基づいた防舷材の選定方法は、気象条件や、操船の条件(例えば、接舷時の接舷経路)など、接舷エネルギー以外の種々の条件の影響については考慮されておらず、例えば、荒海における接舷・係留および荷役作業などに適した防舷材を、正確に選択することはできなかった。
そこで、本発明は、接舷時の船舶の運動エネルギーに加え、気象・海象条件(波、潮流、風)、荷役の積載状態等に応じた船舶のコンディションなどを充分に考慮し、荒海における停泊および荷役においても、船舶の破損、係留索の破損、防舷材の破損等の事故を起こさず、且つ荷役の行い易い防舷材を選定する方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために、本発明は、接舷条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置を使用して、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷する接舷動作において用いる防舷材を選定する選定方法であって、前記3次元モデル作成手段が、少なくとも、前記接舷動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記接舷動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷経路と、をそれぞれ設定する接舷条件設定ステップと、前記数値解析シミュレーション手段が、設定した前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷経路に沿って船舶が対象物に接舷する前記接舷動作を再現する接舷シミュレーションを実施して、前記接舷シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、および、前記接舷シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データを導出する時系列データ導出ステップと、前記判定手段が、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記距離の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記接舷動作の最中における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定する判定ステップを有し、前記判定ステップでは、前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値の双方が、前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材の選定方法を提供する。
なお、本発明では、前記船舶の3次元モデルは、前記船舶の荷役積載量に応じて定まる前記船舶の喫水の程度を少なくとも表す船舶コンディション情報を含み、かつ、前記対象物の3次元モデルは、前記対象物の喫水の程度を少なくとも表す対象物コンディション情報を含むことが好ましい。
また、本発明は、前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値の少なくともいずれか一方が、前記防舷材を選定するための選定条件を満たさない場合、前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値が、いずれも前記選定条件を満たすと判定されるまで、選択を変更した防舷材に対応した防舷材モデルを用いた、前記数値解析シミュレーション手段による接舷シミュレーションと、前記選択を変更した防舷材に対する前記判定手段による判定とを繰り返すことが好ましい。
なお、前記数値解析シミュレーション手段は、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルを用い、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルそれぞれの前記接舷経路からの変位の時系列データを求め、これら変位の時系列データと、前記船舶および前記対象物それぞれの3次元形状データとから、前記距離の時系列データを求めることが好ましい。
さらに、前記防舷材選定装置は前記船舶の挙動を再現するアニメーション表示手段を有し、前記アニメーション表示手段が、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルを少なくとも用いて求めた前記変位の時系列データに基づき、前記接舷動作の際の、前記船舶および前記対象物それぞれの挙動を少なくとも再現するアニメーションを作成し、このアニメーションを表示するアニメーション表示ステップを有することが好ましい。
なお、前記時系列データ導出ステップでは、下記式(1)に示す微分方程式を用いて、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルそれぞれの前記接舷経路からの変位の時系列データ、および、前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの大きさに対応する、接舷の際に前記防舷材から前記船舶および前記対象物に係る反力の時系列データを求めることが好ましい。
Figure 0004101834

ただし、
xj(t);変位
Mij;質量を表す係数
mij(∞);不変付加質量を表す係数
Lij(t);メモリー影響関数を表す係数
Dij;粘性減衰係数を表す係数
Cij;静的復元力係数を表す係数
Gi;防舷材反力または係留索張力を表すベクトル
Fi;気象条件(波、風、潮流)を表す係数
なお、式(1)に示す微分方程式における、Lijおよびmijは、それぞれ下記式(2)および下記(3)で示されることが好ましい。
Figure 0004101834

Figure 0004101834

ただし、
Bij;減衰係数
Aij(σ);付加質量。
なお、前記選定条件として、前記船舶と前記対象物との間の距離の最小値を2.0m以上と設定してもよい。また、前記選定条件として、接舷の際に防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値を、前記選択した防舷材が、無圧縮の状態から60%圧縮されるときに吸収する吸収エネルギーの大きさ以下に設定すればよい。
なお、水に浮かぶ前記船舶が接舷する対象物は、水に浮かぶ他の船舶であってもよく、また、対象物は、洋上基地などの浮体式構造物であってもよい。
本発明は、また、係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置を使用して、水に浮かぶ船舶が係留索によって対象物に係留された係留状態において用いられる防舷材を選定する選定方法であって、前記3次元モデル作成手段が、少なくとも、前記係留状態とされる船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索モデルと、前記係留状態において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記係留状態における前記船舶と前記対象物それぞれの係留位置と、をそれぞれ設定する係留条件設定ステップと、前記数値解析シミュレーション手段が、設定した前記船舶の3次元モデル前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記係留位置に基づき、前記環境条件下で前記係留位置において前記船舶が前記対象物に係留された前記係留状態を再現する係留シミュレーションを実施して、前記係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出する時系列データ導出ステップと、前記判定手段が、導出された前記距離の時系列データが再現する前記係留状態における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記係留状態における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記係留状態における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定する判定ステップを有し、
前記判定ステップでは、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記係留状態に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材の選定方法を、併せて提供する。
本発明は、また、接舷・係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷・係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷・係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置を使用して、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留された係留状態を含む接舷・係留動作において用いる防舷材を選定する選定方法であって、前記3次元モデル作成手段が、少なくとも、前記接舷・係留動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索モデルと、前記接舷・係留動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷・係留動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷・係留経路と、をそれぞれ設定する接舷条件設定ステップと、前記数値解析シミュレーション手段が、設定された前記船舶の3次元モデル前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷・係留経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷・係留経路に沿って船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留される前記接舷・係留動作を再現する接舷・係留シミュレーションを実施して、前記接舷・係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出する時系列データ導出ステップと、前記判定手段が、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定する判定ステップを有し、前記判定ステップでは、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷・係留動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材の選定方法も、併せて提供する。
本発明は、また、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷する接舷動作において用いる防舷材を選定する、接舷条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置であって、前記3次元モデル作成手段は、少なくとも、前記接舷動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記接舷動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷経路と、をそれぞれ設定し、前記数値解析シミュレーション手段は、設定した前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷経路に沿って船舶が対象物に接舷する前記接舷動作を再現する接舷シミュレーションを実施して、前記接舷シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、および、前記接舷シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データを導出し、前記判定手段は、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記距離の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記接舷動作の最中における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定し、前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値の双方が、前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材選定装置を提供する。
本発明は、また、水に浮かぶ船舶が係留索によって対象物に係留された係留状態において用いられる防舷材を選定する、係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置であって、前記3次元モデル作成手段は、少なくとも、前記係留状態とされる船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索のモデルと、前記係留状態において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記係留状態における前記船舶と前記対象物それぞれの係留位置と、をそれぞれ設定し、前記数値解析シミュレーション手段は、設定した前記船舶の3次元モデル、前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記係留位置に基づき、前記環境条件下で前記係留位置において前記船舶が前記対象物に係留された前記係留状態を再現する係留シミュレーションを実施して、前記係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出し、前記判定手段は、導出された前記距離の時系列データが再現する前記係留状態における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記係留状態における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記係留状態における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定し、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記係留状態に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材選定装置を、併せて提供する。
本発明は、また、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留された係留状態を含む接舷・係留動作において用いる防舷材を選定する、接舷・係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷・係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷・係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置であって、前記3次元モデル作成手段は、少なくとも、前記接舷・係留動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索モデルと、前記接舷・係留動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷・係留動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷・係留経路と、をそれぞれ設定し、前記数値解析シミュレーション手段は、設定された前記船舶の3次元モデル、前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷・係留経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷・係留経路に沿って船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留される前記接舷・係留動作を再現する接舷・係留シミュレーションを実施して、前記接舷・係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出し、前記判定手段は、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定し、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷・係留動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材選定装置も、併せて提供する。
本発明の防舷材の選定方法によれば、船舶の接舷、係留、停泊、荷役に適した防舷材を選定することができる。本発明の防舷材の選定方法によれば、従来の選定方法では適した防舷材を選定することができなかった荷役作業条件、例えば、荒海上で2船舶が接舷して荷役作業を行なうような荷役作業条件であっても、荷役作業条件に適した防舷材を選定することができる。また、本発明の防舷材の選定方法では、船舶の接舷時や係留時の詳細な挙動を、アニメーションとして表示することができる。これにより、このアニメーションを見た人物が、接舷時や係留時における船舶の詳細な挙動を把握することができる。よって、接舷時や係留時における船舶の詳細な挙動を確認した上で、防舷材を選定することができ、各種荷役作業条件に適したな防舷材を容易かつ正確に選定できる。この発明により選定した防舷材を使用すると、接舷時、係留時、荷役作業時において、常に適切な2船舶間距離を保つことができる。よって、荷役の際の操船が容易且つ安全に行なえ、荷役限界となる気象・海象条件を推定できることから、荷役時間が短縮できる。また、船舶、防舷材、係船索が破損しない。また、LPGや石油の漏出を特に心配することなく、通常の配慮で荷役作業ができる。
以下、本発明の防舷材の選定方法について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
図1は、本発明の防舷材の選定方法の一実施形態を実施する防舷材選定装置の一例である、防舷材選定装置10(装置10)の構成を示す概略のブロック図である。本実施形態では、装置10において、タンカーである2つの船舶(後述の船舶Aおよび船舶B)がそれぞれ所定の(設定された)量の原油を積載している状態で、2船舶間で洋上荷役を行なう場合における、防舷材の選定方法を実施する。詳しくは、接舷のために2つの船舶が接近している最中から、2つの船舶が接舷して、係留索を用いた係留システムによって係留されて、係留から所定時間が経過するまでの一連の接舷・係留動作における2つの船舶の挙動を詳細に再現するシミュレーションを実施し、このシミュレーション結果に基づいて、接舷・係留動作に用いるに適した防舷材を選定する。なお、装置10は、一連の接舷・係留動作における2つの船舶AおよびBの挙動を表す、各船舶の3次元形状モデル(船舶モデル)aおよびbを用いたアニメーションを表示もする。
装置10は、メモリ20およびCPU22を備えた本体12と、ディスプレイなどの出力手段14と、キーボードやマウスなどの入力手段16とを備えた、公知のパーソナルコンピュータである。本体12は、受付部23と、3次元モデル作成(選択)部24と、数値解析シミュレーション部26と、アニメーション作成部28と、判定部29とを備えている。これらの各部は、CPU22によって読み出されて実行されることで機能するアプリケーションプログラムとして、メモリ20に記憶されている。なお、装置10は、コンピュータであることに限定されず、例えば、上記の各部が専用回路で構成された専用装置であってもよい。
本体12の受付部23は、オペレータによって入力手段16から入力された各種情報を受け付けて、メモリ20に記憶させる。本体12では、これら3次元モデル作成(選択)部24、数値解析シミュレーション部26、アニメーション作成部28それぞれが、メモリ20に記憶された各種情報のうち必要な情報を読み出して、読み出した情報を用いて各種の処理を行う。また、3次元モデル作成(選択)部24、数値解析シミュレーション部26、アニメーション作成部28の各部(各プログラム)は、当該部(当該プログラム)以外の部(プログラム)の処理結果に応じて各種処理を実行するものであり、各部(各プログラム)が、メモリ20等を介して相互に処理結果の受け渡しを行なうよう構成されている。
図2は、図1に示す装置10を用いて実施される、本発明の防舷材の選定方法の一実施形態のフローチャートである。図3は、図2にフローチャートとして示す、本発明の防舷材の選定方法の一実施形態によって防舷材を選定する、接舷・係留動作について説明する概略の上面図である。この接舷・係留動作においては、2つの船舶AおよびBが接舷して、防舷材32および係留索34を用いた係留システムによって係留される。より詳しくは、2つの船舶A、Bがそれぞれ所定の(設定された)量の原油を積載している状態で、2船舶間で洋上荷役を行なう場合における接舷・係留動作であり、接舷のために2つの船舶が接近している最中から、2つの船舶が接舷して、係留索34を用いた係留システムによって係留される。本実施形態では、このような一連の接舷・係留動作において用いる防舷材を選定する。以下、図2に示すフローチャートに従い、本実施形態の防舷材の選定方法について説明する。なお、図4は、本実施形態の防舷材の選定方法を実施する際の、本体12の各部での情報(データ)のやり取りを示す概略図である。
まず、一連の接舷・係留動作の条件(基本条件とする)として、接舷・係留動作を実行する2つの船舶AおよびBそれぞれの3次元モデルaおよびb(各船舶の条件)、接舷・係留動作における気象の条件、接舷のために2つの船舶が接近している最中から、2つの船舶が接舷して、係留索を用いた係留システムによって係留されるまでの接舷経路の条件、および、係留索モデル(係留索の条件)を設定する(ステップS100)。装置10における、これらの条件の設定は、受付部23が、オペレータが入力手段16を用いて入力した各種条件の情報を受け付けて、メモリ20に記憶することで実施される。
基本条件のうち、まず、接舷経路の条件について説明する。図5は、本実施形態において防舷材を選定する接舷・係留動作について説明する図であり、この接舷・係留動作において2つの船舶AおよびBが接舷する際の、各船舶の接舷経路について示す、概略の上面図である。接舷経路の条件としては、図5に示すような、船舶Aおよび船舶Bそれぞれが、接舷のために接近する際の経路の条件を設定する。接舷時においては、一般的に、一方の船舶(図5の場合、船舶A)が一定速度(微速度)で直進している状態で、他方の船舶(図5の場合、船舶B)がこの一方の船舶(船舶A)に接近して、船首方向を一方の船舶と平行になるよう調整して接舷する。本実施形態においては、このような一般的な接舷状態を再現する接舷経路を設定する。例えば、接舷経路の条件として、図5に示すように、船舶Aおよび船舶Bそれぞれの、接近〜接舷〜係留にかけての速度(一定速度)の条件と、船舶Aおよび船舶Bそれぞれの接触位置の条件と、船舶Aおよび船舶Bの接舷角の条件(接舷時における、船舶Aおよび船舶Bの船首方向のなす角)を設定する。なお、本発明では、図5に示すような一般的な接舷経路と異なる接舷経路で2船舶が接舷する場合における防舷材を選定したい場合など、2船舶それぞれの速度を時系列で刻々と規定してもよいし、接舷経路についてもより詳細に設定してもよい。
次に、気象の条件について説明する。接舷・係留動作における気象の条件としては、例えば、図3に示すような、2つの船舶AおよびBが浮かぶ洋上の波の条件、潮流の条件、および風の条件などを設定する。洋上の波の条件としては、波の高さH、波の周期T、波の方向ωなどを設定する。なお、波の方向としては、例えば、洋上の波の進行方向に平行な方向と、船首の方向との成す角を設定する。また、潮流の条件としては、潮流の速度や潮流の方向などを設定する。また、風の条件としては、風の速度(風速)や、風の方向などを設定する。
次に、各船舶の条件について説明する。各船舶の条件としては、船舶Aおよび船舶Bそれぞれの、詳細な3次元形状や質量、重心位置などの情報(全長;LOA、垂線間長;Lpp、型幅;Breadth、型深さ;Depth)、喫水;Draft、排水量;Displacement、環動半径;Radius of Inertia、重心高さ;KG、メタセンター位置;Meta−center、等を設定する。本実施形態では、装置10のメモリ20に、予め数種類の船舶(タンカー)の3次元モデルのデータが記憶されている。これらタンカーの3次元モデルのデータとしては、船首部分および船尾部分の断面プロファイルまでもが再現された詳細な3次元形状の情報や、重心位置等が設定されている。また、各船舶の3次元モデル毎に、荷役である原油積載量の程度に応じて、例えばメタセンター位置、喫水、および排水量等が設定されている。
図6(a)および(b)は、船舶のコンディションを示す情報(船舶コンディション情報)の1つである、各種タンカーの原油積載量の程度に応じた喫水の違いについて説明する図であり、洋上に浮かんだタンカーの概略断面図である。図6(a)は、船舶Aが原油満載であり船舶Bの積載量が空である状態の例を示し、図6(b)は、船舶Aが原油を半載(満載の半分の量を積載)であり船舶Bが原油満載である状態の例を示している。図6(a)および(b)に示すように、タンカーなどの船舶は、原油など積載物の量に応じて喫水や排水量が変わり、それに応じてメタセンター位置なども変わる。これら喫水や排水量やメタセンター位置などは、洋上に浮かんだ船舶に作用する力、例えば、後述の流体力(hydrodynamic forces)の大きさや、船舶の挙動に大きく影響する。
本実施形態では、オペレータが、入力手段16によって、各船舶のタンカークラス、原油積載量の程度(船舶のコンディション)を入力することで、3次元モデル作成(選択)部24が、メモリ20に予め記憶されていた3次元形状の情報や、各タンカークラスと原油積載量とに応じたメタセンター位置や喫水や排水量等の情報等を選択して読み出すことで、各船舶AおよびBそれぞれの詳細な3次元モデルaおよびb(図10〜図12参照)が設定される。なお、本発明では、例えば、オペレータが入力手段16によって、各船舶の寸法の詳細や質量、さらに、原油積載量の程度や、原油積載量に応じたメタセンター位置や喫水や排水量等の情報等を入力して設定し、3次元モデル作成(選択)部24が、これらの情報に応じた3次元モデルを作成してもよい。3次元モデル作成(選択)部24において選択(または作成)された各船舶の条件の情報、上記気象の条件の情報、接舷経路の条件の情報などは、メモリ20に一時記憶される。
また、係留索の条件(係留索モデル)としては、係留索のサイズ(径)、係留索の本数、各係留索の接続位置、各係留索それぞれの伸長ー張力特性、および係留時の係留索の初期張力の条件などを設定する。
次に、選定する候補の防舷材(選定候補防舷材)が設定され、この選定候補防舷材に対応する防舷材の条件(防舷材モデル)が設定される(ステップS102)。装置10における防舷材の条件の設定は、オペレータが入力手段16から各種条件を入力することで実施される。防舷材の条件としては、防舷材32の個数、各防舷材32の設置箇所、防舷材それぞれの形状(サイズ)、防舷材の圧縮ー反力特性、防舷材の変位ー吸収エネルギー特性、などを設定する。
本実施形態においては、複数の種類の防舷材の条件(防舷材モデル)がメモリ20に予め設定されている。本実施形態では、オペレータが入力手段16によって、接舷・係留に用いる防舷材の仕様を選択・設定することで、各防舷材それぞれの形状や特性の条件(各防舷材のモデル)が設定される。
次に、防舷材を選定するための条件(選定条件)を設定する(ステップS104)。防舷材を選定するための条件としては、一連の接舷・係留動作全体において、2つの船舶AおよびBの2船舶間距離が満たすべき最低値および最大値の条件、および、防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギー(吸収エネルギー)の最低値や防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値、および2船舶の係留中に係留索にかかる張力の満たすべき条件などが設定される。
2船舶間距離とは、おおまかには、洋上に浮かぶ2船舶の間隔のことでである。接舷や係留時において2船舶間距離が小さ過ぎると、2船舶が衝突してしまう危険性が高くなる。また、2船舶間距離が大きすぎると、例えば、2船舶を係留した状態で2船舶間にホースを繋いで、このホースを用いて原油の移送作業を行なう場合など、このホースの長さが2船舶間距離に比べて相対的に短くなり、原油の移送作業が行なえなくなる等の障害が発生することがある。
また、防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギーは、2船舶が防舷材を介して衝突した際に防舷材が吸収・緩和するエネルギー(吸収エネルギー)の大きさである。この吸収エネルギーの大きさは、防舷材が圧縮されることで防舷材に蓄積する圧縮エネルギーの大きさとしても表され、また、防舷材から船体にかかる反力(圧縮反力)の大きさ、ひいては、防舷材の圧縮率の大きさに対応しているといえる。防舷材が吸収できるエネルギーは無限ではなく、防舷材毎に、蓄積する圧縮エネルギーの限界値や、圧縮量の限界値の推奨値が設定されている。防舷材が、このような限界値の推奨値を超えて圧縮されたり、圧縮エネルギー限界値を超えたりすれば、防舷材が破損することもある。また、防舷材で吸収できなかったエネルギーによって、船体が激しく揺動してしまうこともある。
また、防舷材と同様に、係留索もそれぞれ破断荷重が設定されており、係留索にかかる張力の大きさの限界値が定まっている。係留中、2船舶の揺動によって係留索にかかる張力の大きさは変動するが、この張力の大きさが破断荷重を超えれば、係留索が破断して係留状態を維持できなる。
防舷材を選定するための条件としては、例えば、接舷・係留動作全体で、複数の防舷材のうち最も船首部分の防舷材(第1防舷材)の位置、および第1防舷材の位置から25m前方位置での2船舶間の距離が、2.0m以上維持されていることを設定すればよい。2船舶がより接近しても良い場合は、例えば、2船舶間の距離が、0.3m以上維持されていることを設定すればよい。また、接舷動作全体で、第1防舷材の圧縮率(防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギーの大きさに対応している)が60%以下であることを設定すればよい。また、防舷材がより圧縮されてもよい場合は、第1防舷材の圧縮率が20%以上であることを設定すればよい。また、係留索の条件として、例えば、係留索に係る張力が1200kN/本以下であることを設定すればよい。これらの条件は、想定される船舶の種類や、接舷・係留動作の種類等に応じた値を設定すればよい。
本発明では、接舷・係留動作における、2船舶間距離が満たすべき条件、および防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギーの条件、係留索にかかる張力の満たすべき条件を設定しておくことで、接舷・係留における上記問題の発生を確実に防止することができる防舷材を選定することを可能としている。なお、少なくとも2船舶の接舷時のみにおいて適切な防舷材を選定すればよく、係留については考慮する必要がない場合(接舷動作のみについて考慮すればよい場合)など、当然、係留索の満たすべき選定条件については設定しておかなくてもよい。
次に、数値解析シミュレーション部26が、メモリ20から逐次必要なデータを読み出しつつ、各船舶の3次元モデル(船舶モデルaおよび船舶モデルb)、防舷材の条件(防舷材モデル)、および係留索の条件(係留索モデル)を用い、設定された気象の条件下、接舷経路に沿って行なわれる接舷・係留動作を再現するシミュレーションを実施する。これにより、この接舷・係留シミュレーションにおける各船舶モデルの、設定した接舷経路からの変位の時系列データ、接舷・係留シミュレーションにおける複数の防舷材それぞれの圧縮量の時系列データ、接舷・係留シミュレーションにおける、係留後の係留索にかかる張力の時系列データを導出する。そして、接舷・係留シミュレーションにおける複数の防舷材それぞれの圧縮量の時系列データから、防舷材それぞれが蓄積する圧縮エネルギー、すなわち防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギーを導出する。また、設定された接舷経路からの変位の時系列データと各船舶モデルとに基づいて、接舷・係留シミュレーションにおける、各船舶モデルの間の距離(船舶モデル間距離)の時系列データも導出する(ステップS106)。
なお、各船舶モデルの、設定した接舷経路からの変位としては、各船舶モデルそれぞれの6自由度の変位(一般的に、Surge,Sway,Heave,として表される軸方向変位、およびRoll,Pitch,Yaw,として表される軸周りの回転角変位)を求める。すなわち、数値解析シミュレーション部26では、船舶モデルaの6自由度変位と、船舶モデルbの6自由度変位と、計12の自由度の変位をそれぞれ導出する。
数値解析シミュレーション部26では、下記式(1)を用いて、接舷・係留シミュレーションにおける、各船舶モデルそれぞれの時系列の動揺をシミュレーションしている。式(1)は、不規則な外力項Fを取り扱う2階微分方程式である。式(1)において、Lij(t)およびmij(∞)は、式(2)および式(3)で表される。数値解析シミュレーション部26では、流体力(hydrodynamic forces)を導出するための高次境界要素法を用いた数値解析を行い、また、2つの船舶間での、流体力成分の強い相互作用を考慮した、メモリー影響関数マトリクスを用いた時間領域分析を行なう。
Figure 0004101834

Figure 0004101834

Figure 0004101834

ただし、xj(t);変位、Mij;質量を表す係数、mij(∞);不変付加質量を表す係数、Lij(t);メモリー影響関数を表す係数、Dij;粘性減衰係数を表す係数、Cij;静的復元力係数を表す係数、Gi;防舷材反力または係留索張力を表すベクトル、係留張力、Fi;気象条件(波、風、潮流)を表す係数、Bij;減衰係数、Aij(σ);付加質量、である。
数値解析シミュレーション部26では、あるタイミングにおける、各船舶モデルそれぞれの接舷経路からの6自由度の変位、および各防舷材モデルによる反力や、係留索モデルによる係留力を導出し、この6自由度の変位や反力や係留力に基づき、次のタイミングにおける、各船舶モデルそれぞれの接舷経路からの6自由度の変位、および各防舷材モデルによる反力や、係留索モデルによる係留力を導出している。数値解析シミュレーション部26では、このようなシミュレーションを繰り返し実施する。
数値解析シミュレーション部26では、メモリ20から読み出した気象の条件を、外力項Fに反映させている。また、メモリ20から、防舷材の条件(防舷材モデル)および係留索の条件(係留索モデル)を読み出して、上記防舷材モデルや係留索モデルに応じた反力や係留力を、ベクトルGに反映させている。また、各船舶モデルのデータ、主に、排水量やメタセンター位置などの条件を係数Mijおよびmijに反映させている。なお、防舷材からの反力は、2船舶が接舷したタイミングから、すなわち、防舷材が2つの船舶によって圧縮され始めたタイミングから、ベクトルGに反映させ始める。また、係留索による張力は、係留を開始したタイミングからベクトルGに反映させ始める。係留を開始するタイミングは任意に設定すればよく、例えば、2つの船舶が接舷して、2つの船舶の船首の方向が充分に平行となってから、所定の時間だけ経過したタイミングから係留を開始するものとすればよい。
数値解析シミュレーション部26において、各船舶モデルの時系列の変位データ、防舷材モデルそれぞれの圧縮量の時系列データ、および係留索モデルの張力の時系列データが導出されると、数値解析シミュレーション部26では、この時系列の変位データと各船舶モデルの3次元形状データとを用いて、各船舶モデルの間の距離の時系列データを導出する。上述のように、数値解析シミュレーション部26では、各船舶モデルの、あるタイミングでの接舷経路からの変位データが導出される。これらの接舷経路のデータおよび変位データから、あるタイミングでの各船舶モデルそれぞれの位置および姿勢が求まる。これら各船舶モデルそれぞれの位置および姿勢のデータと、2船舶の3次元形状データとから、船舶モデルの間の距離(船舶モデル間距離)の時系列データを求めることができる。
図7は、数値解析シミュレーション部26において導出される船舶モデル間距離について説明する図であり、船舶モデルaおよびbそれぞれの概略断面図である。図7の実線は、船舶モデルaおよびbそれぞれが接舷経路どおりに移動した場合の、あるタイミングにおける各船舶モデルaおよびbそれぞれの位置および姿勢を示している。そして、破線は、洋上の波や、防舷材の反力、2つの船舶間での動的流体力成分の強い相互作用などによって、上記のあるタイミングにおいて、各船舶モデルaおよびbそれぞれの位置や姿勢が、予定されていた上記接舷経路からずれた状態を示している。数値解析シミュレーション部26は、例えば、各船舶モデルそれぞれの重心位置GおよびGについて、それぞれ6自由度の変位を導出する。図7では、紙面に平行な平面における直行座標X,Yそれぞれの変位、および紙面に垂直な軸周りの回転軸θ、の計3自由度の変位をそれぞれ示している。このような変位のデータに各船舶の3次元形状データを当てはめることで、あるタイミングでの、変位した状態における、船舶モデルaおよび船舶モデルbの位置および姿勢が求まり、船舶モデル間距離が求まる。図7においては、変位した状態における各船舶の3次元モデルの2船舶間距離として、各船舶の3次元モデルの上端同士の距離dが示されている。
なお、上記各船舶の3次元モデルを用いて、上記式(1)によって数値解析(シミュレーション)を実施した結果が、実際の船舶模型を用いた実験結果と高精度に一致していることが、「S.Sakakibara,M.Wakabayashi,K.Shimada,and H.Yamaguchi:”Simulation Program For Berthing and Mooring of Two vessels in Consideration of Exact Hydrodynamic Interactions”,OMAE2005,67457,(2005)」に記載されている。各船舶の3次元モデルaおよびbを用いて導出された、各3次元モデル間の2船舶間距離(図7に示す例では、距離d)の時系列データは、実際の船舶AおよびBの2船舶間距離の時系列の値を忠実に再現しているといえる。また、防舷材モデルの圧縮量や圧縮エネルギー(吸収エネルギー)の時系列データ、係留索モデルの張力の時系列データは、それぞれ実際の防舷材の時系列の値、実際の係留索の張力の時系列の値を再現しているといえる。
図8は、実際の船舶Aおよび船舶Bが接舷する状態について説明する図であり、2つの船舶AおよびBの概略上面図である。一般的な接舷・係留動作では、船舶Aおよび船舶Bが接舷する際、図8に示すように、船舶Aおよび船舶B双方の船首部分が最も接近する。一般的に、船舶は船首部分の形状が複雑であって、船首部分の断面形状は、船の甲板から船底に向かって船幅が徐々に狭くなるような形状となっている。また、図6に示すように、船舶Aおよび船舶Bそれぞれの積載量の程度に応じて、各船舶の喫水の程度は異なっており、船舶Aおよび船舶Bそれぞれの積載量の程度が異なっていれば、2つの船舶が接触する位置は、各条件毎にそれぞれ異なる。
図9(a)および(b)は、図6(a)に示す状態および図6(b)に示す状態それぞれにおいて、図8に示すように、実際の船舶Aの船首部分に備えられた防舷材fと船舶Bの船首とが接触する状態を示している。図9(a)に示す状態では、防舷材fは、船舶Bの側面の中央部に向けて凹んでいる部分と接触する。図9(a)に示す状態では、船舶Aに設けられた防舷材fと船舶Bとが接触する前に、船舶Aと船舶Bとが接触する可能性は比較的高い。図9(b)に示す状態では、防舷材fは、船舶Bの側面の甲板に近い部分と接触する。図9(b)に示す状態では、船舶Aに設けられた防舷材fと船舶Bとが接触する前に、船舶Aと船舶Bとが接触する可能性は比較的低い。このように、接舷・係留動作における船舶の2船体間距離は、船舶の3次元形状(特に船首形状)や、船舶の積載量の条件、および接舷・係留動作における2船舶それぞれの3次元的な挙動によって、刻々と変化する。そして、特に船首部分の2船舶間距離は、実際の船舶からは、実際に目で見て確認することはできない。
本実施形態では、上述のように、船舶Aおよひ船舶Bそれぞれの船首形状、および積載条件まで忠実に再現した3次元モデル(船舶モデルaおよび船舶モデルb)を用いて、接舷・係留動作における2船舶AおよびBの3次元挙動を詳細に再現するシミュレーションを実施している。これにより、接舷・係留動作における、船舶AおよびBの2船舶間距離を詳細に導出し、これらの時系列データに基づいて、接舷・係留動作に適した防舷材を選定することを可能としている。
数値解析シミュレーション部26において導出された2船舶間距離の時系列の値(船舶モデル間距離の時系列データに対応)、および導出した防舷材の圧縮量や圧縮エネルギー(吸収エネルギー)の時系列の値(防舷材モデルの圧縮量や圧縮エネルギーに対応)、係留索の張力の時系列の値(係留索モデルの張力の時系列データに対応)は、出力手段(ディスプレイ)14に表示出力される(ステップS108)。2船舶間距離の時系列データとしては、例えば、少なくとも、一方の船舶の一番前に設けられた防舷材の設置箇所(第1防舷材設置箇所)における2船舶間距離、および第1防舷材設置箇所から所定距離だけ前方の位置での2船舶間距離を表示すればよい。これは、2つの船舶の接舷・係留動作においては、上述のように、船首部分の2船舶間距離が特に重要となるからである。もちろん、一方の船舶に設けられた複数の防舷材それぞれの設置箇所での2船体間距離を、それぞれ表示してもよい。また、2船舶間距離の時系列データおよび時系列の圧縮エネルギーのみに関わらず、2つの船舶それぞれの変位の時系列データ等も併せて表示することが好ましい。
また、各時系列データを表示するとともに、アニメーション作成部28において、接舷経路の条件のデータと、各船舶の変位の時系列データと、各船舶モデルとを用い、接舷・係留動作における、2船舶の挙動の様子を詳細に再現したアニメーションを作成して、ディスプレイである出力手段14に表示出力する(ステップS110)。
図10(a)〜(c)、図11(a)〜(c)、および図12(a)〜(c)は、本実施形態においてディスプレイ14に表示されるアニメーションの画像の一例を示している。図10(a)〜(c)は、各船舶モデルaおよびbを、各船舶モデルの上方から見た状態を示す画像である。また、図11(a)〜(c)は、各船舶モデルaおよびbを、各船舶モデルの前方から俯瞰した状態を示す画像である。また、図12(a)〜(c)は、各船舶モデルaおよびbを、各船舶モデルの後方から俯瞰した状態を示す画像である。アニメーション作成部28では、このように複数の方向から見た状態を再現するアニメーションを表示することが可能であって、例えば、オペレータの指示入力に従って、指定された方向から見た状態のアニメーション画像を表示する。
図10(a),図11(a),図12(a)は、船舶Aに船舶Bが接近を開始した時点を再現する画像を示し、図10(b),図11(b),図12(b)は、船舶Aの船首部分の防舷材に船舶Bが接した時点を再現する画像を示し、図10(c),図11(c),図12(c)は、船舶Aと船舶Bの船首の方向が略平行となって、船舶Aと船舶Bとが係留された時点を再現する画像を示している。実際のディスプレイでは、このような画像が時系列で連続的に表示され、接舷から係留後までの各船舶の詳細な時系列挙動を視覚的に判断可能となっている。また、各図に示すように、特定の時点での各船舶の詳細な位置や姿勢を視覚的に判断することもできる。本発明の防舷材の選定方法では、ディスプレイ14に表示されたアニメーションをオペレータが見ることで、設定した条件の防舷材では、2船舶のどの部分がどのように接触するのかを詳細に知ることができる。
装置10では、数値解析シミュレーション部26(プログラム)と、アニメーション作成部28(プログラム)とが、それぞれ個別に設けられている。例えば、1つのプラグラムによって、数値解析シミュレーションおよびアニメーションの作成・表示処理を同時に実行した場合、一般的な家庭用PCなどでこれらの処理を行うと、多大な処理時間が必要となる。または、迅速にこれらの処理を実行するには、大容量のメモリや高速度のCPUを備えた高性能の装置(コンピュータ)が必要になり、コストがかかる。装置10では、数値解析シミュレーションを実施する数値解析シミュレーション部26と、アニメーションを作成・表示するアニメーション作成部28とがそれぞれ独立して設けられていることで、例えば一般的な家庭用のPCであっても、数値シミュレーション処理およびアニメーション作成処理を、それぞれ迅速に実施することができる。
次に、表示された時系列データに基づき、ステップS102で設定した選定候補防舷材が、ステップS100で設定された基本条件下での、接舷・係留動作に用いる防舷材として適しているか否かが判定されるとともに、表示されたアニメーションに基づき、この判定結果が検定される(ステップS112)。判定は、判定部29が、2船舶間距離の時系列データ、防舷材の吸収エネルギーの時系列データ、および係留索の張力の時系列データとが、ステップS104で設定された防舷材選定のための条件とを比較することで行なわれる。すなわち、各時系列データから、2船舶間距離の最小値および防舷材の最小値を抽出し、各最小値の双方ともが、予め設定された防舷材選定のための閾値よりも大きくなるか否かを判定している。判定部29による判定結果は、ディスプレイである出力手段14に表示される。
ステップS112では、判定部29による判定とともに、アニメーションに基づいた検定も実施される。アニメーションに基づいた検定では、ディスプレイ14に表示されたアニメーションをオペレータが見ることで、設定された条件の防舷材を用いて2船舶の接舷・係留動作を実施した際、船舶の挙動に異常が発生するか否かを確認し、設定した防舷材を選定してよいかを否かを検定する。例えば、アニメーションを確認した際、2つの船舶のいずれかの挙動が所望する船舶の挙動と異なっており、設定した条件の防舷材を選定したくない場合、接舷の際に用いる防舷材として相応しくない旨を、入力・設定すればよい。判定部29における判定結果がOKであっても、この検定結果が不適(Not OK)である場合には、設定した防舷材は、不適であると判断する。
なお、判定部29における判定結果が不適であっても、ディスプレイ14に表示されたアニメーションをオペレータが見ることで、設定した条件の防舷材では、2船舶のどの部分がどのように接触するのかを詳細に知ることができる。このような情報を、後述のステップS114における、次の防舷材の条件の設定に反映させることで、好適な防舷材を迅速に選定することができる。
判定部29における判定結果、またはオペレータによる検定結果のいずれか一方の結果が不適である場合、すなわち、ステップS112における判定結果が不適(Not OK)である場合、防舷材の条件が変更される(ステップS114)。例えば、オペレータが新たな防舷材の条件を入力・選択することで、防舷材の条件が変更される。また、メモリ20に記憶されている複数の防舷材の条件から、CPU22が自動的に選択してもよい。防舷材の条件が変更されて、新たな防舷材の条件が設定されれば(ステップS104)、再びステップS104〜ステップS112の処理が繰り返される。これら、ステップS104〜ステップS112の処理は、ステップS112における判定結果がOKとなるまで、すなわち、接舷に適した防舷材が選定されるまで、繰り返し実施される。
本実施形態では、このようにして、設定した基本条件下での接舷・係留動作に適した防舷材を選定することができる。本発明の防舷材の選定方法では、2つの船舶を接舷・係留する際の防舷材を選定することに限定されない。例えば、防舷材が設置された船舶が、洋上LNG基地などの浮体式構造物に接近して接舷し、この船舶が洋上LNG基地などの浮体式構造物に係留される際に用いる防舷材を選定することもできる。この場合、例えば、基本条件として、洋上LNG基地などの浮体式構造物の3次元形状や、洋上LNG基地の喫水等のコンディション等を設定すればよい。
また、本発明の防舷材の選定方法では、接舷・係留動作に適した防舷材を選定するのみでなく、例えば、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷する接舷動作のみに少なくとも適した防舷材を選定することもできる。この場合、基本条件として係留索の条件(係留索モデル)を設定する必要はなく、また、選定条件として係留索にかかる張力の条件を設定する必要はない。また、例えば、水に浮かぶ船舶が係留索によって対象物に係留された係留状態のみに少なくとも適した防舷材を選定することもできる。この場合、基本条件として接舷経路の条件を設定せず、係留状態における船舶と対象物の位置を設定すればよい。
本発明の防舷材の選定方法によれば、このように、船舶の接舷、係留、停泊、荷役に適した防舷材を選定できる。特に、従来の選定方法では適した防舷材を選定することができなかった荷役作業条件、例えば、荒海上で2船舶が接舷して荷役作業を行なうような荷役作業条件であっても、荷役作業条件に適したな防舷材を選定することができる。また、このように、船舶の接舷時や係留時の詳細な挙動を、アニメーションとして表示することで、このアニメーションを見た人物が、接舷時や係留時における船舶の詳細な挙動を把握することができる。これにより、接舷時や係留時における船舶の詳細な挙動を確認した上で、防舷材を選定することができ、各種荷役作業条件に適した防舷材を容易かつ正確に選定できる。本発明により選定した防舷材を使用すると、接舷時、係留時、荷役作業時において、常に適切な船舶間隔を保つことができる。よって、荷役の際の操船が容易且つ安全に行なえ、荷役限界となる気象・海象条件を推定できることから、荷役時間が短縮できる。また、船舶、防舷材、係船索が損傷しない。また、LPGや石油の漏出を特に心配することなく、通常の配慮で荷役作業ができる。
以上、本発明の防舷材の選定方法について詳細に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良や変更をしてもよいのはもちろんである。
本発明の防舷材の選定方法を用いて、種々の条件下で、2船舶の接舷・係留動作に適した防舷材の選定を行なった結果を示す。第1の実施例では、2船舶が接近して接舷する際に適した防舷材を選定した。また、第2の実施例では、2船舶が係留された係留状態に適した防舷材を選定した。
まず、第1の実施例(接舷時)の結果を示す。
防舷材を選定するための条件としては、接舷動作全体で、複数の防舷材のうち最も船首部分の防舷材(第1防舷材)の位置、および第1防舷材の位置から25m前方位置での2船舶間の距離が、2.0m以上維持されていること、接舷動作全体で、第1防舷材の圧縮率(防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギーを表す)が60%以下であることを設定した。
本実施例では、気象の条件としては、潮流や風の条件は考慮せず(影響が無視できるほど小さいと仮定し)、波の条件のみを設定した。本実施例では、接舷時における波の条件として、下記表2に示すような、ケース1〜3の複数のケースをそれぞれ設定した。
Figure 0004101834
また、船舶の条件として、下記表3に示すような条件をそれぞれ設定した。本実施例では、表3に示すように、300,000DWTクラスのタンカーSおよび150,000DWTクラスのタンカーTの2つの船舶を設定した。そして各タンカーの原油積載量の組み合わせとして、タンカーSが原油満載でありタンカーTの積載量が空である第1コンディションと、タンカーSが原油を半載(満載の半分の量を積載)でありタンカーTが原油満載である第2コンディションと、2つのコンディションを設定した。
Figure 0004101834
また、接舷経路の条件として、上記図5に示すような接舷経路を設定し、船舶Aの進行速度を
2.0ノット、船舶Bの進行速度を2.0ノットとし、接舷位置において船舶Aと船舶Bの船首の方向を0度として設定した。
また、防舷材は、300,000DWTクラスのタンカーであるタンカーAの右舷側に、30mおよび50mピッチで取り付けられているとした。選定候補防舷材モデルとしては、図13(a)および(b)に示す、φ3.3m(直径)×6.5m(長さ)−P50(初期圧力50kN)の防舷材Eと、φ4.5m×9.0m−P50の防舷材Fと、2種類の防舷材を設定した。これらの2種類の防舷材E,Fは、いずれも、タンカーAとタンカーBとの接舷動作について、上記表1に示すOCIMFのガイドラインに基づいて選定される防舷材の1つである。
これらの設定条件に基づき、横浜ゴム社製シミュレーションソフトIAMOSを用いて、3次元モデル作成(選択)、数値解析シミュレーション、アニメーション作成処理を実施した。
図14(a)〜(f)に示す複数のグラフは、船舶の条件として表3に示す第1コンディションを設定し、気象の条件として表2のケース1の条件を設定し、防舷材の条件として図13に示す防舷材Eを設定した場合の数値解析の結果を、それぞれ示している。また、図15(a)〜(f)に示す複数のグラフは、船舶の条件および防舷材の条件を、図14に示す場合と同様とし、気象の条件として表2のケース3の条件を設定した場合の数値解析の結果を示している。2船舶間距離としては、第1防舷材位置およびその前方25m位置における、船体側面の上端同士の間隔および船底同士の間隔を導出した。
図14に示す、気象条件がケース1の場合、第1防舷材前方においても2船舶間距離は2m以上維持されている(図14(f)参照)。また、図15に示す、気象条件がケース3(波周期が長くかつ波が横向きに近づく)の場合も、2船舶間距離は、気象条件がケース1の場合に比べて小さくはあるが、2mを維持してはいる(図15(f)参照)。この結果から、船舶の条件として表3に示す第1コンディションを設定した場合、ケース1およびケース3のいずれの気象条件においても、図13に示す防舷材Eは適していることがわかった。ただし、ケース1の場合、2船舶間距離は、ケース3と比べて大きいこともわかった。
図16(a)〜(f)に示す複数のグラフは、船舶の条件として表3に示す第2コンディションを設定し、気象の条件としてケース3の条件を設定し、防舷材として防舷材Eを用いた場合の、数値解析の結果を示している。2船舶間の距離は、第1防舷材位置前方において約1.5mにまで接近している。この場合、防舷材Eは不適であることがわかった。
図17(a)〜(f)に示す複数のグラフは、船舶の条件および気象の条件は図16に示す場合と同様に設定して、防舷材として図13に示す防舷材Fを用いた場合の数値解析の結果を示している。2船舶間距離は、防舷材1の前方位置においても約3mが維持されている。この場合、防舷材Fは適していることがわかった。
図16(a)〜(f)および図17(a)〜(f)に示すように、船舶の条件を第2コンディションとして、気象の条件としてケース3の条件を設定した場合、OCIMFのガイドラインで推奨されているφ3.3m×6.5m−P50の防舷材Eは不適であるが、同じくOCIMFのガイドラインで推奨されているφ4.5m×9.0m−P50の防舷材Fは適していることがわかった。本発明の防舷材の選定方法を用いることで、このように、OCIMFのガイドラインに基いた選定では十分に考慮できない、接舷・係留動作における気象の条件や、船舶の3次元形状をも考慮して、設定された接舷の条件に好適な防舷材を詳細に選定することができた。
次に、第2の実施例(係留時)の結果を示す。
防舷材を選定するための条件としては、係留状態全体で、第1防舷材位置、および第1防舷材の位置から25m前方位置での2船舶間の距離が、2.0m以上維持されていること、係留状態全体で、第1防舷材の圧縮率(防舷材が吸収する2船舶の運動エネルギーを表す)が60%以下であること、係留索の張力が1200kN/本以下であること、を設定した。
第2の実施例においても、気象の条件としては、潮流や風の条件は考慮せず(影響が無視できるほど小さいと仮定し)、波の条件のみを設定した。第2の実施例では、係留時における波の条件として、下記表4に示すような波の条件を設定した。係留時においては、長周期波の影響を考慮して、複数の種類の波の周期を設定している。なお、この波は、公知のJONSWAP型の波スペクトルとした。
Figure 0004101834
また、船舶の条件としては、第1の実施例と同様、上記表3に示すような2つの条件をそれぞれ設定し、タンカーSが原油満載でありタンカーTの積載量が空である第1コンディションと、タンカーSが原油を半載(満載の半分の量を積載)でありタンカーTが原油満載である第2コンディションと、2つのコンディションを設定した。
防舷材の条件は、第1の実施例の条件と同様とし、図13(a)および(b)にそれぞれ示す、φ3.3m(直径)×6.5m(長さ)−P50の防舷材Eと、φ4.5m×9.0m−P50防舷材Fと、の2種類の防舷材を選定防舷材として設定した。係留の条件としては、2船舶が、図18に示すように16本の係留索と4基の防舷材とで係留されるとした。係留索の条件としては、図19に示す16本の係留索L1〜L16を、それぞれ図18に示すL1〜L16それぞれとして設定した。2つの船舶が接舷して、係留を開始した時点での係留索の初期張力は、各係留策ともいずれも100kN(10ton)とした。
第2の実施例においても、これらの設定条件に基づき、横浜ゴム社製シミュレーションソフトIAMOSを用いて、3次元モデル作成(選択)、数値解析シミュレーション、アニメーション作成処理を実施した。
図20(a)〜(c)には、船舶の条件として表3に示す第1コンディションを設定し、気象の条件として表4の条件を設定し、防舷材の条件として図13に示す防舷材Eを設定した場合の数値解析の結果を示すグラフである。図20(a)〜(c)は、複数の防舷材それぞれの圧縮率、複数の係留索それぞれの張力、2船舶間距離(第1防舷材の位置での、船舶Aの側壁と船舶Bの船底との距離)の最大・最小値の周期特性を示している。図20に示すように、この場合、防舷材の圧縮率は20〜30%で、係留索張力は250kN〜400kN(2本あたり)であった。また、2船舶間距離も、長周期側において2m以上を維持していた。この場合、図13に示す防舷材Eは適していることがわかった。
図21(a)〜(c)には、船舶の条件として表3に示す第2コンディションを設定し、気象の条件として表4の条件を設定し、防舷材の条件として図13に示す防舷材Eを用いた場合の、数値解析の結果を示している(図20に示す場合と比較して、船体コンディションを変更している)。図21(a)〜(c)に示すように、この場合、防舷材の圧縮率は30〜40%で、係留索張力は250kN〜500kN(2本あたり)であった。しかし、2船舶間距離は、長周期側において2m未満となった。この場合、図13に示す防舷材Eは不適であることがわかった。
図22(a)〜(c)は、図21に示す条件から、防舷材を変更した場合の数値解析シミュレーションの結果を示している。すなわち、図22(a)〜(c)は、船舶の条件として表3に示す第2コンディションを設定し、気象の条件として表4の条件を設定し、防舷材として図13に示す防舷材Fを用いた場合の、数値解析の結果を示している。なお、図22(c)には、比較のため、図21(c)に示す結果も併せて示している。図22(a)〜(c)にそれぞれ示すように、この場合、係留索張力は250kN〜500kN(2本あたり)であった。また、防舷材の圧縮率は15〜20%であり、2船舶間距離は、長周期側においても3m以上を維持していた。この場合、図13に示す防舷材Fは適していることがわかった。
図21(a)〜(c)および図22(a)〜(c)に示すように、船舶の条件を第2コンディションとして、気象の条件として表4の条件を設定した場合、OCIMFのガイドラインで推奨されているφ3.3m×6.5m−P50の防舷材Eは不適であるが、同じくOCIMFのガイドラインで推奨されているφ4.5m×9.0m−P50の防舷材Fは適していることがわかった。
本発明の防舷材の選定方法を用いることで、このように、OCIMFのガイドラインに基いた選定では十分に考慮できない、接舷・係留動作における気象の条件や、船舶の3次元形状をも考慮して、設定された係留の条件に好適な防舷材を詳細に選定することができた。
本発明の防舷材の選定方法の一実施形態を実施する、防舷材選定装置の一例を示す概略のブロック図である。 図1に示す装置を用いて実施される、本発明の防舷材の選定方法の一実施形態のフローチャートである。 本発明の防舷材の選定方法の一実施形態によって防舷材を選定する、接舷・係留動作について説明する概略の上面図である。 本発明の防舷材の選定方法を実施する際の、図1に示す装置の本体部での情報(データ)のやり取りを示す概略図である。 本実施形態において防舷材を選定する接舷・係留動作について説明する図であり、2つの船舶が接舷する際の各船舶の接舷経路について示す、概略の上面図である。 (a)および(b)は、各種タンカーの原油積載量の程度に応じた喫水の違いについて説明する図であり、洋上に浮かんだタンカーの概略断面図である。 本発明の防舷材の選定方法において導出される船舶モデル間距離について説明する図であり、2つの船舶モデルそれぞれの概略断面図である 実際の船舶が接舷する状態について説明する図であり、2つの船舶それぞれの概略上面図である。 (a)および(b)は、図6(a)および(b)に示す状態それぞれにおいて、図8に示すように、実際の船舶が接舷する状態について説明する図であり、2つの船舶それぞれの船首部分の概略断面図である。 (a)〜(c)は、本発明の防舷材の選定方法においてディスプレイに表示されるアニメーションの画像の一例を示し、各船舶モデルそれぞれを、各船舶モデルの上方から見た状態を示す画像である。 (a)〜(c)は、本発明の防舷材の選定方法においてディスプレイに表示されるアニメーションの画像の一例を示し、各船舶モデルそれぞれを、各船舶モデルの前方から俯瞰した状態を示す画像である。 (a)〜(c)は、本発明の防舷材の選定方法においてディスプレイに表示されるアニメーションの画像の一例を示し、各船舶モデルそれぞれを、各船舶モデルの後方から俯瞰した状態を示す画像である。 (a)および(b)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例における、選定候補防舷材の特性を示すグラフである。 (a)〜(f)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。 (a)〜(f)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。 (a)〜(f)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。 (a)〜(f)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。 本発明の防舷材の選定方法の実施例における、防舷材および係留索の設置条件を示す図である。 本発明の防舷材の選定方法の実施例において設定された係留索の特性を示すグラフである。 (a)〜(c)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。 (a)〜(c)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。 (a)〜(c)は、本発明の防舷材の選定方法の実施例において導出された時系列データのグラフの一例である。
符号の説明
10 防舷材選定装置
12 本体部
14 出力手段
16 入力手段
20 メモリ
22 CPU
23 受付部
24 3次元モデル作成(選択)部
26 数値解析シミュレーション部
28 アニメーション作成部
29 判定部

Claims (13)

  1. 接舷条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置を使用して、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷する接舷動作において用いる防舷材を選定する選定方法であって、
    前記3次元モデル作成手段が、少なくとも、前記接舷動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記接舷動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷経路と、をそれぞれ設定する接舷条件設定ステップと、
    前記数値解析シミュレーション手段が、設定した前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷経路に沿って船舶が対象物に接舷する前記接舷動作を再現する接舷シミュレーションを実施して、前記接舷シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、および、前記接舷シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データを導出する時系列データ導出ステップと、
    前記判定手段が、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記距離の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記接舷動作の最中における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定する判定ステップを有し、
    前記判定ステップでは、前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値の双方が、前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材の選定方法。
  2. 前記船舶の3次元モデルは、前記船舶の荷役積載量に応じて定まる前記船舶の喫水の程度を少なくとも表す船舶コンディション情報を含み、かつ、前記対象物の3次元モデルは、前記対象物の喫水の程度を少なくとも表す対象物コンディション情報を含む請求項1記載の防舷材の選定方法。
  3. 前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値の少なくともいずれか一方が、前記選定条件を満たさない場合、
    前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値が、いずれも前記選定条件を満たすまで、選択を変更した防舷材に対応した防舷材モデルを用いた、前記数値解析シミュレーション手段による接舷シミュレーションと、前記選択を変更した防舷材に対する前記判定手段による判定とを繰り返す請求項1または2記載の防舷材の選定方法。
  4. 前記数値解析シミュレーション手段は、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルを用い、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルそれぞれの前記接舷経路からの変位の時系列データを求め、これら変位の時系列データと、前記船舶および前記対象物それぞれの3次元形状データとから、前記距離の時系列データを求める請求項1〜3のいずれかに記載の防舷材の選定方法。
  5. さらに、前記防舷材選定装置は前記船舶の挙動を再現するアニメーション表示手段を有し、
    前記アニメーション表示手段が、前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルを少なくとも用いて求めた前記変位の時系列データに基づき、前記接舷動作の際の、前記船舶および前記対象物それぞれの挙動を少なくとも再現するアニメーションを作成し、このアニメーションを表示するアニメーション表示ステップを有する請求項4記載の防舷材の選定方法。
  6. 前記選定条件として、前記船舶と前記対象物との間の距離の最小値を2.0m以上と設定する請求項1〜5のいずれかに記載の防舷材の選定方法。
  7. 前記選定条件として、接舷の際に防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値を、前記選択した防舷材が、無圧縮の状態から60%圧縮されるときに吸収する吸収エネルギーの大きさ以下に設定する請求項1〜6のいずれかに記載の防舷材の選定方法。
  8. 水に浮かぶ前記船舶が接舷する対象物は、水に浮かぶ他の船舶である請求項1〜7のいずれかに記載の防舷材の選定方法。
  9. 係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置を使用して、水に浮かぶ船舶が係留索によって対象物に係留された係留状態において用いられる防舷材を選定する選定方法であって、
    前記3次元モデル作成手段が、少なくとも、前記係留状態とされる船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索のモデルと、前記係留状態において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記係留状態における前記船舶と前記対象物それぞれの係留位置と、をそれぞれ設定する係留条件設定ステップと、
    前記数値解析シミュレーション手段が、設定した前記船舶の3次元モデル前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記係留位置に基づき、前記環境条件下で前記係留位置において前記船舶が前記対象物に係留された前記係留状態を再現する係留シミュレーションを実施して、前記係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出する時系列データ導出ステップと、
    前記判定手段が、導出された前記距離の時系列データが再現する前記係留状態における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記係留状態における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記係留状態における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定する判定ステップを有し、
    前記判定ステップでは、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記係留状態に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材の選定方法。
  10. 接舷・係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷・係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷・係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置を使用して、水に浮かぶ船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留された係留状態を含む接舷・係留動作において用いる防舷材を選定する選定方法であって、
    前記3次元モデル作成手段が、少なくとも、前記接舷・係留動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索モデルと、前記接舷・係留動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷・係留動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷・係留経路と、をそれぞれ設定する接舷条件設定ステップと、
    前記数値解析シミュレーション手段が、設定された前記船舶の3次元モデル前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷・係留経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷・係留経路に沿って船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留される前記接舷・係留動作を再現する接舷・係留シミュレーションを実施して、前記接舷・係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出する時系列データ導出ステップと、
    前記判定手段が、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定する判定ステップを有し、
    前記判定ステップでは、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷・係留動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材の選定方法。
  11. 水に浮かぶ船舶が対象物に接舷する接舷動作において用いる防舷材を選定する、接舷条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置であって、
    前記3次元モデル作成手段は、少なくとも、前記接舷動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記接舷動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷経路と、をそれぞれ設定し、
    前記数値解析シミュレーション手段は、設定した前記船舶の3次元モデルおよび前記対象物の3次元モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷経路に沿って船舶が対象物に接舷する前記接舷動作を再現する接舷シミュレーションを実施して、前記接舷シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、および、前記接舷シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データを導出し、
    前記判定手段は、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記距離の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷動作の最中における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記接舷動作の最中における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定し、前記距離の時系列の値および前記吸収エネルギーの時系列の値の双方が、前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材選定装置。
  12. 水に浮かぶ船舶が係留索によって対象物に係留された係留状態において用いられる防舷材を選定する、係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置であって、
    前記3次元モデル作成手段は、少なくとも、前記係留状態とされる船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索のモデルと、前記係留状態において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記係留状態における前記船舶と前記対象物それぞれの係留位置と、をそれぞれ設定し、
    前記数値解析シミュレーション手段は、設定した前記船舶の3次元モデル、前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記係留位置に基づき、前記環境条件下で前記係留位置において前記船舶が前記対象物に係留された前記係留状態を再現する係留シミュレーションを実施して、前記係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出し、
    前記判定手段は、導出された前記距離の時系列データが再現する前記係留状態における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記係留状態における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記係留状態における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定し、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記係留状態に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材選定装置。
  13. 水に浮かぶ船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留された係留状態を含む接舷・係留動作において用いる防舷材を選定する、接舷・係留条件を設定する3次元モデル作成手段と、接舷・係留シミュレーションを行うことにより時系列データを導出する数値解析シミュレーション手段と、接舷・係留動作に適した防舷材であるか否かを判定する判定手段とを有する防舷材選定装置であって、
    前記3次元モデル作成手段は、少なくとも、前記接舷・係留動作を実施する船舶の3次元モデルおよび対象物の3次元モデルと、前記係留状態に用いる係留索モデルと、前記接舷・係留動作において前記船舶および前記対象物が受ける、波、風、潮流の少なくともいずれか1つの条件を含む環境条件と、前記接舷・係留動作における前記船舶と前記対象物それぞれの接舷・係留経路と、をそれぞれ設定し、
    前記数値解析シミュレーション手段は、設定された前記船舶の3次元モデル、前記対象物の3次元モデルおよび前記係留索モデルと選択した防舷材に対応した防舷材モデルとを用いて、設定した前記環境条件および前記接舷・係留経路に基づき、前記環境条件下で前記接舷・係留経路に沿って船舶が対象物に接舷し、接舷後に係留索によって前記対象物に係留される前記接舷・係留動作を再現する接舷・係留シミュレーションを実施して、前記接舷・係留シミュレーションにおける前記船舶の3次元モデルと前記対象物の3次元モデルとの間の距離の時系列データ、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記係留索モデルにかかる張力の時系列データ、および、前記接舷・係留シミュレーションにおいて前記防舷材モデルが吸収する吸収エネルギーの時系列データ、をそれぞれ導出し、
    前記判定手段は、導出された前記距離の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記距離の時系列の値、導出された前記張力の時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記張力の時系列の値、および、導出された前記吸収エネルギーの時系列データが再現する前記接舷・係留動作における前記吸収エネルギーの時系列の値が、前記係留状態における前記船舶と前記対象物との間の距離が満たすべき条件と、前記係留状態において係留索にかかる張力の上限値と、前記防舷材が吸収する吸収エネルギーの上限値と、により定められた選定条件を満たすか否かを判定し、前記距離の時系列の値、前記張力の時系列の値、および、前記吸収エネルギーの時系列の値、のいずれもが前記選定条件を満たす場合、前記選択した防舷材を、前記接舷・係留動作に適した防舷材であると判定して選定することを特徴とする防舷材選定装置。
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